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マーケティングとデータインフラ ― 米国の新しい試み 10/17/2012 Open Publishing Forum @渋谷・ポーラメソッド 電子出版再構築研究会 第1期:出版マーケティングをみなおす 2回:「「新しい出版マーケティングの時代」」 EBook2.0 Forum/EB2 Magazine オブジェクトテクノロジー研究所 鎌田 博樹 [email protected]

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マーケティングとデータインフラ― 米国の新しい試み

10/17/2012 Open Publishing Forum @渋谷・ポーラメソッド

 電子出版再構築研究会 第1期:出版マーケティングをみなおす 第2回:「「新しい出版マーケティングの時代」」

EBook2.0 Forum/EB2 Magazineオブジェクトテクノロジー研究所鎌田 博樹[email protected]

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2© 2012 by OTI & Hiroki Kamata

「マーケティング」に対する日本的誤解

マーケティングとは

「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を届け、顧客がその商品を効果的に得られるようにする活動の全て」…Wikipedia

本来商品開発中心で広告・宣伝、集客や販促活動は、ごく一部

ヒト、動機、コンテンツを最適な形で結びつけるための活動

マーケティング・コミュニケーション(市場をつくる=出版本来の仕事)

市場(想定顧客/読者)との間の相互学習状態(対話プロセス)

ニーズとソリューション(商品/サービス)は対話を通じて成長

エヴァンジェリズム:ITと同様、出版においても非常に重要

情報の価値を知り、価値を伝える

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本日のテーマ:「新しい出版マーケティングの時代」

アプローチ1. デジタル時代の出版マーケティング:何が変わったのか?2. 3種類のデータ(公的統計/市場データ/顧客データ)を知る。3. マーケティングを支援するサービス/ビジネスを考える。

変動要因

公開市場データがどこまで充実するか、世界化するのかマーケティング=データ力バランス:出版社、著者、ストア

前提:出版とはコミュニケーション:1回限りの販売ではない。データ中心:オンライン/オフラインの共存から前者の優位へ市場はn (マス)とx (個人)で把握する。

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デジタル時代の出版マーケティング:何が変わったか

流通環境の変化

Web中心:オンライン・ストア/コンテンツ主導(市場の可視化)ストア:米国で50%↗、日本で20%↗

コンテンツ:米国で25%↗、日本で数%→

発見→デリバリの速さ店頭→Webでの見つかり易さ/見つけ易さ

購入動機の開拓ソーシャル・ネットワーキング

目的の変化:出版社・書店・著者

読めない市場への供給量の最適化から読者の発見/関係構築へ

コンテクストの発見:テーマ×著者×読者×タイミング

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3つの視点

出版動向(出版社、著者)新刊/再刊/復刊、カテゴリフォーマット別(デジタル/HC/PB…)

販売動向(書店)カテゴリ/フォーマット/チャネル/価格…Nielsen BookScanBISG BookStats

読者動向(読書活動と関心の動き)読書傾向:人口クラスター別、読書量、消費額、フォーマット…関心動向:webアナリティクス(アクセス、Google、Twitter、Facebook…)プライベート・データ:読者データ、著者データ

市場はデータで(かなり)読めるようになった:見方

出版 読者

販売

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市場はデータで(かなり)読めるようになった:情報源

3つのデータ市場:公的統計/データサービス/プライベート・データ

公的統計国勢調査:連邦統計局産業統計:商務省出版統計(業界団体=AAP)

データサービス販売データ (BookScan、BookStats)高い頻度で更新アナリティクス

「読者」データベースプロファイル、履歴DRM外しも選択肢

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何を読み取るか:何をどうつくり、どう売ればいいのか

ニーズを読み取る:商品/サービス

商品+サービス出版計画(企画開発):長期・中期・短期

カテゴリ/テーマ/著者の選択フォーマット選択:デジタル(EB、AB、APP)、紙(HC、PB)

ブランディング、ブランド・マーケティング

競合分析/比較優位UIデザイン

流通/販売/販促プランニング

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米国のデータサービス:Nielsen BookScan

2001年スタートのPOSデータサービス(音楽市場に倣う)それ以前はNY Times Best Sellerなど数字のない順位表大手出版社は販売データを把握するも共有せず

US Consumer Market Panel=書店情報アマゾンを含む約75%以上をカバー当初は成功を疑問視されたものの定着

アマゾンがAuthor Centralで提供開始(2010年12月~)

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BookStats/AAP-BISG

2009年に着手。2年で実現市場認識=データ共有の必要性を認識書店を通過しないデジタル出版の拡大アマゾンの情報寡占への警戒→2000以上の出版社が賛同

3次元モデル(データキューブ)で市場を鳥瞰

フォーマット(紙からデジタルまで)カテゴリ(児童書から学術書)チャネル(書店から直販まで)

定期レポート/オンライン/カスタマイズ

PDFレポートOnline Data Dashboard (ODD)

ベンチマーキング($2000)、カスタマイズ($7,000~30,000)

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データマーケティングの将来:ビッグデータ

アマゾンにおける「ビッグ・データ(BD)」利用の成功販売と顧客満足として実証キャンペーン

異なるデータソースからの情報のインテリジェントな複合と可視化

ソーシャルメディア:Twitter、Facebook…

顧客データベース(プロファイル/トラックレコード)関心の変動:キーワード、トピック

ビッグデータ応用マーケティング・サービス

Bookseer:反響分析CoverCake:SNSモニタリング/解析ePubDirect:E- Book販売分析のためのBIソリューション

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結論:マーケティングに関する仮説

日本の書籍出版業の衰退は、広義の「マーケティング能力」が時代に対応できなかったことによる。コンテンツが意味(価値)を持つのはコンテクストによる、マーケティングはコンテクストを形成するものである。デジタル出版は21世紀最大の成長要因だが、その成否はマーケティングが握っている。21世紀のマーケティングの基本は、対話を通じて市場を育てる「マーケティング・コミュニケーション」である。マーケティングは膨大・多様なデータ解析への依存度を高めていくが、現在の日本のデータ・インフラは一世代前のものである。