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第2章 施策の展開方向 展開方向6 新たな技術の活用と農村を支える環境づくり

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Page 1: P.55 第2章 展開方向6 - pref.niigata.lg.jp · 技術を検証し、新潟発の技術指針の策定を目的とした事業を平成22年度から実施しています。 ・

第2章 施策の展開方向

展開方向6 新たな技術の活用と農村を支える環境づくり

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第2章 施策の展開方向

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展開方向6 新たな技術の活用と農村を支える環境づくり

(1) 新潟発の新技術の成果普及

・ 農業農村整備において新たな技術を活用するため、「環境にやさしい田園整備」の視点から既存

技術を検証し、新潟発の技術指針の策定を目的とした事業を平成 22年度から実施しています。

・ 今後も継続して現場のニーズに即した技術への転換を目指し指針を策定してくとともに、これ

まで研究を行ってきた技術の普及に向けた取り組みが必要です。

● 新たな技術の活用の推進

・ 新たな技術の活用を進めるため、今後も引き続き技術指針の策定等を行っていくとともに、研

究内容、これまでの研究成果等の積極的な PR を行います。

・ 農業農村整備分野における今後の IoT*10/ICT*11 技術の活用を目指した新たな技術の活用を進め

ます。

*10 IoT(Internet of Things)とは、コンピュータなどの情報・通信機器だけでなく、世の中に存在する様々な物体(モノ)

に通信機能を持たせ、インターネットに接続したり相互に通信することにより、自動制御などを行うこと。

*11 ICT( Information and Communication Technology )とは情報通信技術のこと。 情報や通信に関連する科学技術の総称。

*12 PLC(Programmable Logic Controller)とは、自動化システムで使われる膨大な数のリレー回路を置き換える安価な代替

装置として開発された入出力用の電子制御装置。

【アドバイザー会議の様子】 指針等の策定にあたっては、新潟大学と連携し、有識者から助

言等を頂いています。

【指針等の作成例】

・等高線区画整理導入の手引書(案)

・鋼矢板水路の補修補強工法導入の参考マニュアル(案)

農業農村の持続的な発展のためには、地域住民だけでなく、多くの方々の参画を得て農村を支

えていくことが大切です。農業農村整備に関する施策を有効に展開するため、新たな技術の活用

を進めるとともに、農村を支える体制や県民理解の促進を図る取組を推進します。

現状と課題

対応方向

地域の担い手が目指す営農構想を実現するオーダーメイドの整

備への対応、園芸作物の生産条件に沿った整備手法の確立などを

図るため、新たな技術指針を検討。

水管理システム更新にあたり、維持管理が容易、かつコスト

縮減となる PLC 等、汎用品の組み合わせによる施設更新を

検討し、新たな水管理システムとして導入を検討。

【新たなほ場整備技術指針の作成】 【PLC*12技術の導入】

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(2) 土地改良区の運営基盤強化

・ 農村を支える土地改良施設*13 を整備、維持管理する土地改良区は県内に 82 あり(H30.2.1 現

在)、全国に比べ、中・大規模土地改良区が多いことが特色です。県では「新潟県土地改良区統合

整備基本計画」を策定し、合併を推進してきましたが、現在、土地改良区は、合併などによる業

務の効率化のみでは解決できない問題が発生しています。

・ 施設の老朽化に伴う維持管理費の増加や、農村の都市化、混住化など社会情勢の変化による課

題を抱えており、今後において、安定した運営を実現する体制づくりが必要です。

● 安定した土地改良区運営を実現する体制づくり

・ 効率的かつ計画的な施設管理と、将来に渡り継続する安定した土地改良区運営を実現する体制

を目指し、「新潟県土地改良区運営基盤強化推進計画」を策定し、体制強化を図ります。

新潟県土地改良区運営基盤強化推進計画(平成29年~平成36年)

*13 土地改良施設とは、農業のための用水施設や排水施設、道路等のこと。

【図2-6-1 土地改良区の合併状況】 【図2-6-2 土地改良区の面積別割合】

現状と課題

① 体制強化基本計画の策定と計画の実行

② 施設の維持管理対策

③ 広報による土地改良区に対する理解醸成の取組の推進

④ 統合整備の推進

⑤ 複式簿記導入の推進

⑥ 人材育成

運営基盤強化のための取組指針

各土地改良区が自らの現在の取

組状況に合わせ、可能な範囲で

取組目標を設定

取組

対応方向

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(3) 地籍調査の推進

・ 地籍調査は、国土調査法により市町村等が行う調査であり、登記所の地図等を基に毎筆の土地

について、所有者、地番、地目の調査と境界、面積の測量を行い、地籍図等を作成するもので、

土地をめぐる行政活動、経済活動など、すべての基礎データを築く重要な調査です。

【地籍調査の効果】 ・災害発生時の迅速な復旧 ・課税の公平化

・土地取引の円滑化 ・公共事業の円滑化

・ 本県では、未着手、休止の市町村もあり、進捗率が全国平均よりも低い状況にあるため、地籍

調査を一層推進する必要があります。

● 地籍調査の円滑な推進

・ 未着手、休止市町村への着手や再開の働きかけを行うとともに、実施中の市町村に対しては、

研修会等を通じた技術力向上や相談窓口として支援を行います。

・ 国や県の公共事業担当部局等で構成されている新潟県地籍調査推進連絡会議で情報共有や連絡調

整を図ります。

【効果事例】

現状と課題

【県内の事例(H16.10.23新潟県中越大震災)】

地籍調査が完了している旧広神村(魚沼市)では、災害復旧の県道拡幅工事において、 地籍調査未実施地域では約1年を要する測量・用地買収が2ヶ月で完了。(縮減割合8割)

未実施 実績 縮減効果 縮減率

新潟県魚沼市

(旧広神村)

県道拡幅工事

57%(100%)

約1年 約2ヶ月 約10ヶ月 8割

場所 事例地籍調査進捗率

調査期間

※国土交通省「地籍調査」資料による。

対応方向

【図2-6-3 地籍調査の都道府県別進捗率(平成28年度末現在)】

地籍調査(都道府県別)進捗率(平成28年度末)

新潟 34%

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(4) 効果的な広報活動

・ 農業水利施設の役割や歴史的価値、農業農村の持つ多面的機能などを県民の皆さんから理解い

ただき、農業農村の持続的な発展を直接的、間接的に支援いただくため、広報活動に取り組んで

います。

・ 地域住民を対象とした施設見学会や、小中学校の総合学習を活用した出前授業などの参加者は、

平成 22年度の 1,888人から平成 28年度の 4,930人に大きく増加し、参加者からは「施設の役割

が理解出来た」「また参加したい」など好意的な反応を得ており、県民理解は進んできています。

・ インターネット、SNS や新聞など多様な媒体の活用により、幅広い方々に対して、効果的な情

報発信に取り組む必要があります。

・ ほ場整備地区における園芸産地育成等の新たな取組ついても、その内容や成果を情報発信して

いく必要があります。

● 多様な媒体を活用した広報活動

・ 県民の理解を得ながら農業農村を持続的に発展させていくため、引き続き地域住民や小中学生

などを対象とした施設見学会などに取り組みます。

・ SNS、地元新聞社などの多様な媒体を活用し、将来の農業の担い手となり得る若者や女性など

幅広い県民に対して、農業水利施設の役割や農業農村整備事業の効果などを、効果的に広報する

活動を行っていきます。

《関連する事業》

・新潟らしい新技術の調査検討事業 ・新潟の農業農村の歴史探訪・発信事業 ・地籍調査事業 等

現状と課題

対応方向

【地域住民を対象とした施設見学会】

親松排水機場(新潟市)

【農業用水について学ぶ出前講座(総合学習)】

伊米ヶ崎地区(魚沼市)

【生産者を交えたパネルディスカッション】 【受益地で生産された農産物の試食会】

地元新聞社を活用し、

受益地で生産された農産

物や生産者を切り口に、

農業水利施設の役割を PR

するシンポジウムを開催

新潟日報メディアシップ(新潟市)

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【トピックス⑦】

にいがた農業水利施設百選を活用した広報の取組

○ にいがた農業水利施設百選とは

水稲の栽培には水が大きく関わっており、台地などでは用水を引くことが難しく、また、低

平地では排水対策が大きな課題となっていました。しかし、先人たちは、これを苦労しながら

克服して農業を行ってきました。近代になって、大規模な農業水利施設が造られるようになり

ましたが、先人たちが築いてきた施設も数多く活躍しています。

これらの農業水利施設の多くは、農業生産だけでなく、地域を災害から守り、地域の人々に

安らぎや潤いを与えるなどの様々な多面的機能を発揮して、地域の歴史や文化、住民の日常生

活に深い関わりを持ってきました。

このように、県内の農業水利施設が有している農業農村への貢献、歴史・文化的価値、地域

住民との密接な関わりなどを知っていただき、その重要性や保全の必要性を理解いただくため

に、平成25年5月、にいがた農業水利施設百選選定委員会により「にいがた農業水利施設百

選」が選定されました。

○ にいがた農業水利施設百選を活用した広報活動

県では、選定された施設の歴史や役割を PR することにより、施設の有する農業や社会への貢

献、住民生活との関わりについて、広く県民の皆さんから知っていただきたいと考えています。

そのため、施設見学会の開催や、子どもたちの総合学習の場を提供し、施設の役割を理解でき

る機会を設けています。また、施設が造られた歴史的背景や管理してきた先人の努力を紹介した

ホームページを作成するなど、様々な取組を行っています。

○ にいがた農業水利施設百選から世界かんがい施設遺産へ

百選施設である「上江用水路」は、先人の努力によって長年堀り継がれた歴史などが評価され、

平成 27 年世界かんがい施設遺産に登録されました。

登録を機に、施設を管理する土地改良区等と連携して、地域住民を対象とした現地見学会や小

学校等への出前講座などを開催し、施設の重要性を広く県民等に PR する取組を行っています。

【江戸時代に開削され市民の憩いの場となっている用水路】 【頸城平野の農地を潤すとともに県民に安らぎを与えるダム】

福島江用水路(長岡市) 笹ヶ峰ダム(妙高市)

【地域住民の施設見学】

白根排水機場(新潟市)

【地元小学生の総合学習】

沢田排水路(阿賀野市)