mizuho-topics-2014-2-cc2 february, 2014 みずほ信託銀行 不動産トピックス...

8
トピックス1 東京に集積する私立大学の概況と 最近のキャンパス整備等の取組事例 �������� 2 トピックス2 一棟リノベーション型分譲マンションの動向 ���� 6 マンスリーウォッチャー 2013年の東京圏の土地売買件数の動き������ 8 2014 2 February

Upload: others

Post on 21-Jul-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: mizuho-topics-2014-2-cc2 February, 2014 みずほ信託銀行 不動産トピックス 東京に集積する私立大学の概況と最近のキャンパス整備等の取組事例

トピックス1 東京に集積する私立大学の概況と�最近のキャンパス整備等の取組事例���������2

トピックス2 一棟リノベーション型分譲マンションの動向�����6

マンスリーウォッチャー2013年の東京圏の土地売買件数の動き�������8

2014

2February

Page 2: mizuho-topics-2014-2-cc2 February, 2014 みずほ信託銀行 不動産トピックス 東京に集積する私立大学の概況と最近のキャンパス整備等の取組事例

2 February, 2014 みずほ信託銀行 不動産トピックス

東京に集積する私立大学の概況と最近のキャンパス整備等の取組事例東京都における私立大学の大学数や入学者数は、最近の10年間、他の道府県に比べて大きく増加

しています。特に、区部における大学数・学生数の集積が顕著です。以下、東京都への集積が進む私立大学の概況および最近のキャンパス整備と不動産に関する取組み

を、文部科学省等の統計や個々の事例に基づいてご紹介します。

[図表1-1] 18歳人口の推移と将来の推計

[図表1-2] 大学入学者数の増減数と増減率(都道府県別、2002 〜 2013年度)

[図表1-3] 東京都内の大学への各都道府県の高校からの入学者数と都道府県別割合(2013年度)

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、大学全体の学生数や施設の規模を左右する18歳人口は、今後長期的に減少する趨勢にありますが、減少が一時的に緩む2010年代前半の小康期を経て、2010年代後半以降、再び減少の勢いが増す見通しとなっています

[図表1-1]。個々の大学・学校法人では、この小康期の間に学生確保の方策の一つとして、キャンパス整備に注力するところが少なくありません。

文部科学省「学校基本調査」に基づき、2002〜 13年度の都道府県別の①大学入学者増減数(横軸)と、②入学者数増減率(縦軸)をグラフ上([図表1-2])にプロットすると、東京都の増加数と増加率はいずれも相対的に大きい位置にあります。一方、東京都に隣接する埼玉、千葉、神奈川の3県は、減少数、減少率が大きい位置にあります。

東京都内の大学にどの都道府県の高校から入学しているかを示す所在地県別入学者数の割合は、都内の高校からと、神奈川・埼玉・

東京都内の大学入学者数はこの10年で他の道府県に比べ大きく増加千葉の3県からがいずれも34%で、1都3県からの入学者数が全体の7割近くを占めています。東京都内の大学に神奈川・埼玉・千葉の3県の高校卒業者が毎年度多く入学することで、東京都内の大学が支えられている側面があると考えられます[図表1-3]。

データ出所:総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「将来推計人口」

データ出所:図表1-2、1-3のいずれも文部科学省「学校基本調査」

100

110

120

130

140

150

160

2000 02 04 06 08 10 12 14 16 18 20 22 24 28

→推計値

18歳人口は2010年代後半から再び減少を加速

18歳人口(全国)

(万人)

(年)

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

35,000

40,000

45,000

50,000

入学者数

東京都内の大学入学者数に占める都県別割合の累計

東京都内の大学への各都県からの入学者数

(人)

1都3県からの入学者で7割近くを占める

東京

神奈川

埼玉

千葉

茨城

静岡

栃木

長野

群馬

新潟

都県別割合の累計

兵庫

-20%

-10%

0%

10%

20%

30%

40%

-10,000 0 10,000 20,000

増加数・増加率大 入学者数増減率(2002〜13年度)

減少数・減少率大

入学者増減数(2002~2013年度) (人)

埼玉

千葉 福岡

神奈川

沖縄石川

京都

愛知大阪大阪

鹿児島

滋賀秋田

群馬

東京

注:2010年までは「国勢調査」、2011年以降は2012年1月推計値(出生中位(死亡中位)推計)。各年10月1日時点人口に基づく。

注:図表1-2、1-3とも入学者数は私立大学、国公立大学を含む。図表1-2は入学した大学学部が所在する都道府県における入学者数。

Page 3: mizuho-topics-2014-2-cc2 February, 2014 みずほ信託銀行 不動産トピックス 東京に集積する私立大学の概況と最近のキャンパス整備等の取組事例

3みずほ信託銀行 不動産トピックス February, 2014

[図表1-4] 東京都区部・市部別の私立大学数の変化

[図表1-6]東京都区・市別の私立大学数の変化(2002 〜 2012年度増減)

[図表1-5] 東京都区部・市部別の私立大学学生数の変化

東京都区部に大学キャンパスと学生の集積が進行

データ出所:文部科学省「学校基本調査」

データ出所:文部科学省「学校基本調査」

データ出所:文部科学省「学校基本調査」

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

東京都区部 東京都市部

(校)

2012年度2002年度2012年度2002年度

私立大学数

0

2

4

6

8

10

12

14

16

東京都区部 東京都市部

立地大学数

2012年度 2002年度

千代田区

中央区

港区

新宿区

文京区

渋谷区

豊島区

品川区

大田区

目黒区

世田谷区

杉並区

練馬区

中野区

板橋区

北区

台東区

墨田区

荒川区

江東区

足立区

葛飾区

江戸川区

八王子市

町田市

三鷹市

小平市

武蔵野市

多摩市

2012年度2002年度2012年度2002年度0

100,000

200,000

300,000

400,000

500,000

東京都区部 東京都市部

(人)

私立大学学生数

東京都内の私立大学数、学生数を区部と市部に分けて2002年度と10年後の2012年度でその変化をみると、市部の大学数は微増でしたが、学生数は減少しています。これに対して区部では、2002年7月の工業等制限法廃止を契機にした大学キャンパスのいわゆる都心回帰の影響もあり、大学数、学生数のいずれも増加しています[図表1-4、1-5]。

近年は、郊外から都心へのキャンパス移転事例のみならず、例えば手狭となった都心キャンパスを、区部の中で当該大学のニーズに立地・敷地条件等が適合した場所へと移転・新築する事例や、都心キャンパスの近接地等

の取得を重ねてキャンパスを拡充する事例などがあります。(P4で後述)

各大学は文部科学省の指導により、それぞれの中長期ビジョンや運営方針に基づいたキャンパス構想や整備計画を策定しています。その中で、構想等の実現に向けて、年々計画的に実行する取組み姿勢を強めています。

2002年度と2012年度で私立大学数の変化を区・市別にみると、例えば千代田区、文京区など都心部での増加とともに、江東区、足立区など周辺の区部へのキャンパスの移転や新設に伴う増加が特徴的です[図表1-6]。

注:私立大学数は、大学本部のある学校数。

注:私立大学数は大学本部のある学校数。市部の自治体については、紙面の制約上私立大学が3校以上ある市を選定して図示した。

注:私立大学学生数は、大学本部のある学校の学生数。

Page 4: mizuho-topics-2014-2-cc2 February, 2014 みずほ信託銀行 不動産トピックス 東京に集積する私立大学の概況と最近のキャンパス整備等の取組事例

4 February, 2014 みずほ信託銀行 不動産トピックス

私立大学の最近のキャンパス整備と不動産に関する主な取組みを、事例に基づいて以下の5つの視点から整理しました[図表1-7]。

大学のコアとなる教育・研究事業に係る校舎等の整備にとどまらず、左記の【2】〜【5】の取組みのように、それらを支える収益事業、グラウンドや国際学生寮等の付帯施設、附属中学・高校等のキャンパスなどをあわせて拡充・強化することで、大学(グループ)全体にわたってより魅力ある環境を創出しようとする姿勢がうかがえます。

私立大学のキャンパス整備と不動産に関する特徴的な取組み

[図表1-7]私立大学の最近のキャンパス整備と不動産に関する取組み

資料:各学校法人・大学のWEBサイトにおける中長期計画、事業計画等、新聞報道等の公表資料に基づき都市未来総合研究所作成

キャンパス整備と不動産に関する取組み・方策 取組みの主な行動(要約)

【1】大学の拠点再編と主要キャンパスの拡充強化

◇東京都心と郊外の複数のキャンパスを再編して核となるキャンパスに重点投資する取組み

◆既存キャンパスの再開発◆既存施設の建替え

◇既存都心キャンパスの移転・新設 ◆既存都心キャンパスの区部への移転とキャンパス新設 (背景として、既存都心キャンパスの狭隘化や施設老朽化など)

◇キャンパス近接地等の取得による拠点拡充

◆新キャンパスの用地取得◆キャンパス近接地等の取得による拠点拡充と再開発

◇再編対象となるキャンパス、施設の統廃合

◆統廃合に伴う土地や施設の売却◆学部の都心移転や統廃合に伴う用途転換、有効利用 (とくに郊外キャンパスで該当事例が多い)

【2】学校法人経営を支えるための不動産賃貸事業

◇法人経営を支えるため、収益事業を強化

◇収益事業強化の一環として不動産賃貸事業を拡大

◆賃貸オフィス等の建設◆賃貸オフィス等の取得(大都市都心部など)◆再編対象となり統廃合する土地や施設の賃貸◆収益事業を行う事業法人を設立

【3】附属中学・高校等の校地再編、合併対象学校法人のキャンパス整備

◇附属中学・高校の都心キャンパス整備の取組み

◆大学本部近くに校地を確保し、新校舎建設の上で附属中学・高校を移転(中・高・大の連携強化等が目的)

◆附属中学・高校の近接地の取得による校地拡充と再開発

◇合併した対象学校法人のキャンパス・施設整備の取組み

◆合併した対象学校法人のキャンパス再開発や老朽化した既存施設の建替えなど

【4】スポーツ施設用キャンパス、グラウンド、付帯施設の新設や統廃合

◇スポーツ施設用キャンパス、グラウンドの新設

◆都心キャンパスから1時間圏内で大規模画地を確保してスポーツ施設用キャンパスを新設

◆既存キャンパス近くの企業グラウンド等を取得◆既存運動場等の統廃合や売却(売却益を新設資金等に充当)

◇国際学生寮、留学生寮等の新設◇既存学生寮や福利厚生施設の統廃合

◆海外からの留学生と日本人学生が共同生活を送ることで国際感覚を養いグローバル人材の育成を目指す国際学生寮の新設事例が多い。

◆既存学生寮の統廃合、既存研修所・保養所の統廃合など

【5】キャンパスや施設の防災対策、環境(エコ)対策

◇新設施設や既存施設の防災(BCP・耐震)対策、環境対策(省エネ・CO2削減等)

◆キャンパス再開発や移転・新築、建替え等を契機に、防災対策、環境(エコ)対策等に注力する取組み事例が多い

◆中長期計画の一環としてキャンパスの環境保全と省エネルギー、防災・安全対策、高齢者・障害者への配慮(バリアフリー)などを推進。

◆「エコ」をコンセプトとするキャンパス整備、新病院建設◆キャンパス・施設群のファシリティコスト、エネルギーコスト等の削減◆大学が立地する地域における防災拠点としての対応

【1】 大学の拠点再編と主要キャンパスの拡充強化【2】 学校法人経営を支えるための不動産賃貸事業【3】 附属中学・高校等の校地再編、

合併対象学校法人のキャンパス整備【4】 スポーツ施設用キャンパス、グラウンド、

付帯施設の新設や統廃合【5】 キャンパスや施設の防災対策、環境(エコ)対策

Page 5: mizuho-topics-2014-2-cc2 February, 2014 みずほ信託銀行 不動産トピックス 東京に集積する私立大学の概況と最近のキャンパス整備等の取組事例

5みずほ信託銀行 不動産トピックス � February,�2014

キャンパス整備と不動産に関する上記(P4)の5つの取組みのいずれかまたは複数の視点が該当する特徴的な私立大学の事例を採り上げて、その概況や取組みの狙い、効果などを以下に紹介します。

(なお、本文中[ ]は筆者の考察による記述です。)

A大学は創立100周年を迎え、世界に並び立つ都市型総合大学を目指して長期計画を策定している。現有するキャンパスの有効活用と施設・設備の整備計画を策定、実行するとともに、大学の持続的発展の礎となる新キャンパスの取得を検討する。合併した学校法人の既存施設の更新にも取組む。

◆収入多角化と財政安定化のため、収益事業を行う事業法人の設置を計画している。

◆都心キャンパス内に賃貸オフィスを含む大規模高層ビルを建設する。大学との共同研究や海外展開に積極的な企業を迎え入れ、グローバル人材を育成する目的とともに、テナント企業からの賃料収入で収益を増やし、大学経営の安定につなげる狙いもある。

◆キャンパスの環境保全と省エネルギー、高齢者・障害者への配慮(バリアフリー)、防災・安全対策などを推進する。

B大学は近年、郊外を主要なキャンパスにしていたことなどから減少傾向にあった志願者数を回復する目的や、都心キャンパスでの文科系学部の全学年一貫教育の実現などの目的で、都心キャンパスの再開発計画を推進し、文科系学部全体が都心キャンパスに通学する態勢が整備された。文科系学部が東京都心キャンパスに移ったことなどで、都内のみならず隣接する各県などからの志願者も増加した。

C大学は、東京都心の本部および主要キャンパスが手狭となったため、区部へ移転しキャンパスを新設した。元の都心キャンパスは大半を売却して移転先キャンパスの整備費用や、元の本部跡地の一部再開発の整備費用等に充当した。主要キャンパスの移転・新設により志願者が増加した。

また新設したキャンパスは、「環境:エコ」「防災:BCP」等の視点から、理工系大学としての知恵と技術を駆使して計画されており、地域の防災拠点としても位置づけられている。

D大学は創立記念事業として、全学的な大学キャンパス及び附属病院の再編を計画・推進してきた。特に本部のある都心キャンパス再編においては、私立総合大学の研究協力も得て、「エコ」重視を計画コンセプトとする新病院を建設している。また複数の既存校舎跡地に新設する教育研究棟の構想策定とともに、同大学のそれぞれのキャンパス拡充のため周辺で新規取得した複数の不動産の活用検討作業などを進めている。[同大学は安定した財務状況を背景に、将

来構想に沿って各キャンパス周辺で必要な不動産を順次取得したうえで、再開発に適した土地形状等の条件が整ったところで校舎等を新設してキャンパスの拡充を図る戦略を進めていることがうかがえます。]

E大学は、近年、長期にわたりキャンパスに近接する土地の取得を適時実施してキャンパス整備を推進しており、今後もこの取組みを必要に応じて続ける方針である。東京都区部の本部を含むキャンパス一帯には20か所以上に大学施設が立地している。

F大学は、併設中学・高校一貫校の施設整備や中学・高校・大学の連携強化のため、大学本部近くで大規模な用地を取得し、新校舎建設の上で同校を移転させるプロジェクトを推進している。上記とは別の併設中学・高校でも、中長期的なキャンパス整備の一環として同校の隣接地の取得を進めている。

G大学では当初、都区部等の既存グラウンドを統廃合して郊外のレジャー施設跡地にスポーツ施設用キャンパスを整備する計画を進めていたが、最近の建築費高騰などを主な理由として計画は撤回された。[当該大学のように、都心キャンパスから

概ね1時間圏内で、アクセスの良さ、敷地規模・形状、周辺環境など大学側のニーズに適合するグラウンド等のスポーツ施設用地を求める大学は少なくないものと推察されます。]

(以上、都市未来総合研究所 池田 英孝)

Page 6: mizuho-topics-2014-2-cc2 February, 2014 みずほ信託銀行 不動産トピックス 東京に集積する私立大学の概況と最近のキャンパス整備等の取組事例

6 February, 2014 みずほ信託銀行 不動産トピックス

一棟リノベーション型分譲マンションの動向中古マンションの流通、販売市場では、住戸に大幅な改修(リノベーション*)を行う物件がみられ、

最近、建物全体にリノベーションを行う一棟リノベーション型分譲マンション(以下、「一棟リノベ型マンション」)事業への参入が増加しています。

* 従前の水準に戻す改修を行うリフォームに対し、間取り変更、最新の住宅設備・什器、セキュリティ機器の導入等により従前よりも高い付加価値をつけるための比較的大規模な改修。他用途から住宅への用途変更を伴う場合もある。

区分所有マンション等を対象とした住戸単位のリノベーション・再販を行う事業が普及しつつあり、係る物件が中古マンション市場で流通しています。加えて一棟リノベ型マンションも市場流通がみられ、2013年には事業参入あるいは参入表明が相次ぎました([図表2-4]の事例参照)。

一棟リノベ型マンション事業([図表2-1])は、賃貸マンションや企業の社宅などを一棟取得し、住戸部分の専有部を改修、あわせて

共用部を改修したのちに住戸単位で分譲する手法で、建物全体を改修対象とするのが一般的です。

賃貸マンションを対象とする場合、築後20〜 25年前後の物件を取得するケースが多くみられます[図表2-4]。賃貸マンションでは、築後年数の経過にともなって賃料単価と稼働率が低下し収益性が落ちる傾向があり([図表2-2]、東京23区内のJ-REIT保有物件の比較)、一棟リノベ型マンション事業では、築古の賃

[図表2-1]一棟リノベ型マンション事業の一般的な流れ

[図表2-2] 東京23区の賃貸マンションの築後経過年別の賃料収入単価、稼働率(J-REIT保有物件)

[図表2-3] 東京圏の賃貸マンションの着工時期別にみた着工戸数推移

データ出所:国土交通省「建築着工統計」

資料:都市未来総合研究所作成

データ出所:都市未来総合研究所「ReiTREDA」

賃貸マンションを一棟取得

住戸(専有部)改修

共用部・壁面等改修 分譲住戸

賃貸住戸

分譲転換分を順次、販売

企業の社宅等を取得住戸(専有部)改修 共用部・壁面等改修

分 譲

あるいは

(築後20~25年程度)※物件により差がある

※専有部については賃貸住戸の空室を順次、改修・分譲するため、分譲完了時まで賃貸物件と分譲物件が併存する形となる

空室を改修し分譲用に転換 空室を改修し分譲用に転換

90% 91% 92% 93% 94% 95% 96% 97% ワンルーム

コンパクト

ファミリー

[稼働率]

築後10年以内築後10~20年

築後20年超築後10年以内築後10~20年

築後20年超築後10年以内築後10~20年

築後20年超

7 8 9 10 11 12 13 14 15 ワンルーム

コンパクト

ファミリー

[賃料収入単価] (千円/月坪)

築後10年以内築後10~20年

築後20年超築後10年以内築後10~20年

築後20年超築後10年以内築後10~20年

築後20年超

0

10

20

30

40

50

60

10~15年

着工時期

(万戸)

一棟リノベ型マンション事業において、主な取得対象となる築後20~25年の物件は、比較的豊富

概ねの築後経過年数

1988~  1992年

1993~  1997年

1998~  2002年

2003~  2007年

2008~  2012年

20~25年 15~20年 5~10年 ~5年

注: 2013年上期を含め過去4半期の平均値。固定賃料、一棟貸物件を除く。 注:RC・SRC造/共同住宅/貸家を集計。

Page 7: mizuho-topics-2014-2-cc2 February, 2014 みずほ信託銀行 不動産トピックス 東京に集積する私立大学の概況と最近のキャンパス整備等の取組事例

7みずほ信託銀行 不動産トピックス � February,�2014

[図表2-4]一棟リノベ型マンション事業への主な参入事例

資料:各種公表資料より都市未来総合研究所作成

貸マンションを比較的低価格で取得したのち、空室となった専有部と共用部を改修して順次分譲し事業収益を確保する手法をとります。なお東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)では1990年前後に賃貸マンションの大量着工があり、築後20 〜 25年前後の物件数は比較的、豊富な状況にあります[図表2-3]。社宅を対象とする場合、企業のリストラや、所有から賃借への変更といった方針転換等に伴い売却される物件を取得し、専有部と共用部を改修して分譲します。全住戸に対して同時に改修を行うことが可能なケースが多く、一般に賃貸マンションに比べ分譲期間を短くすることが可能です。

2013年には分譲マンションデベロッパーの一棟リノベ型マンション事業への参入が相次ぎました[図表2-4]。購買層の所得が伸びないことなどによる中古マンションの需要拡

大、好調な新築分譲マンションの販売状況と築古賃貸マンションのストック増、新築分譲マンション事業における優良マンション素地取得競争の激化などが参入の背景として考えられます。事業手法や体制をみると、新築分譲マンションの企画・販売ノウハウの活用・投入、新築分譲で大量発注などによりコストダウンした最新住宅設備の導入、対象物件の取得のための仲介・流通や、建物の改修・管理におけるグループ企業一体となった事業組成などの特徴がみられ、将来にわたる事業継続、事業規模拡大を計画しています。

そのほかの参入業態として、住戸単位のリノベーション・再販を主力事業とするリノベーション事業者が、係るノウハウを活かし参入したケース、不動産仲介事業者がグループ企業と連携して参入したケース等もみられます。

(以上、都市未来総合研究所 清水 卓)

事業者の業種(主力事業) 一棟リノベーション型分譲マンション事業の概要

分譲マンションデベロッパー

A 社 ○事業機会の拡大による収益の多様化を目指し、2013 年 10 月に専任グループを新たに組成、一棟リノベ型マンション事業への取組を開始。2014 年春に新ブランドを立ち上げ予定。

○首都圏を中心に一棟単位で新耐震基準の中古賃貸マンションを取得、賃貸マンションの専有部(空室住戸)、エントランス等の共用部を改修し、順次販売。新築分譲マンションで使用する最新住宅設備・仕様を導入(新築物件での供給規模を活かした調達によりコスト低減を実現)。取得に係る仲介、改修工事、建物管理業務等にグループ会社のリソースを活用。

 ※同社は一戸単位のリノベーションも手掛ける予定○ 3 ~ 4 千万円の価格帯を中心に、一次取得層のファミリーほか、シングル、ディンクスと幅広いターゲットを想定。○初期の目標は年間供給戸数 100 戸、売上高 30 億円。将来的には年間供給戸数 500 ~ 600 戸、売上高 200

億円を目標。B 社 ○ 2013 年に一棟リノベ型マンションの新たなブランドを立ち上げ、供給を開始。第一号物件は従前、賃貸マンション(築

後 23 年、58 戸)。○専有部について、改修の大小により3 種類のリノベーションの選択肢を設定。○新たな供給に向け、賃貸マンションを東京都内で 3 物件、神奈川県内で 1 物件、取得済み(2013 年 11 月現在)。

C 社 ○グループ会社が、住戸単位のリノベーション・再販事業で実績。○グループ会社各社の連携により、2013 年に一棟リノベ型マンション事業に参入。新たなマンションブランドを付し、

事業を展開。○第一号物件は従前、企業の社宅。今後、年間 4 ~ 5 棟の供給を予定。

D 社 ○ 2007 年に一棟リノベ型マンションの供給実績。グループ企業(管理会社)との連携により新たなブランドを立ち上げ、2012 年、2013 年に物件供給(従前は企業の社宅)。

○ストック住宅の有効活用と環境への配慮から、今後も一棟リノベ型マンション事業を継続して展開していく予定。E 社 ○ 2013 年に一棟リノベ型マンション事業を開始。第一号は従前、企業の社宅として利用された物件。

○専有部についてスケルトン状態からリノベーションを行う(新築分譲マンションの標準仕様と同等の設備等を導入するパターン、デザイナーとともに一から作りこむパターンを選択)。

○今後、継続して同事業を展開していく予定。不動産仲介会社 F 社 ○不動産販売事業強化のため、2013 年春に一棟リノベ型マンション事業への参入を表明、ブランドを立ち上げた。

○東京 23 区内で(6 階建て、総戸数 24 戸、築 27 年)を取得、2014 年 1 月に販売を開始。なお兵庫県内で第一弾の物件を2013 年に販売開始済み(取得時において築後 26 年)。

○空室を改修(設備、配管等も交換)し分譲。残りの住戸も退去発生時に改修し順次、販売する。エントランス等の共用部についても一新。設計・施工、管理業務でグループ会社と連携し事業を展開。

リノベーション事業者(1 戸単位)

G 社 ○主力事業の住戸単位のリノベーション・再販事業で年間数百戸の販売実績。○ 2012 年から一棟リノベ型マンション事業を開始。販売価格帯は 3,500 万円台が中心。専有部はスケルトン状態に

戻したうえで改修、共用部についても外装、エントランス等を大幅改修。○今後、数年をめどに、一棟リノベ型マンション事業で年間 20 ~ 30 億円の売上げを目指す。物件仕入のターゲットは、

大規模修繕を間近に控えたあるいは運用成績が低下した賃貸マンション、そのほか社宅など。リノベーション事業者

(1 棟単位)H 社 ○ 2005 年に一棟リノベ型マンション事業のパイロットプロジェクトを開始、2006 年に初の分譲。

○ 2013 年に、賃貸マンションの一部(2/3 以上が目安)を取得し、専有部と共用部を改修し分譲する方式を新たに導入。東京 23 区や地方の主要都市に立地し、新耐震基準、専有面積 50㎡以上のファミリー向けの物件を主対象とし事業を展開。

Page 8: mizuho-topics-2014-2-cc2 February, 2014 みずほ信託銀行 不動産トピックス 東京に集積する私立大学の概況と最近のキャンパス整備等の取組事例

※本資料は参考情報の提供を目的とするものです。当行は読者に対し、本資料における法律・税務・会計上の取扱を助言、推奨もしくは保証するものではありません。 本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成していますが、その正確性と完全性、客観性については当行は責任を負いません。※本資料に掲載した記事の無断複製・無断転載を禁じます。

■本レポートに関するお問い合わせ先■みずほ信託銀行株式会社 不動産企画部 夏目 和宏  TEL.03-3274-9079(代表)株式会社都市未来総合研究所 研究部 佐藤 泰弘、池田 英孝 TEL.03-3273-1432(代表)

不動産トピックス 2014.2発  行 みずほ信託銀行株式会社 不動産企画部 〒103-8670 東京都中央区八重洲1-2-1 http://www.mizuho-tb.co.jp/編集協力 株式会社都市未来総合研究所 〒103-0027 東京都中央区日本橋2-3-4 日本橋プラザビル11階 http://www.tmri.co.jp/

東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の土地売買件数※1は2007年、2008年に急減し、その後も減少を続けていましたが、2011年に底を打ち、2012年は2008年の水準まで回復しました[図表3-1]。

東京圏の2013年1月〜 11月※2の土地売買件数は各都県とも前年同期を上回っており、12月の土地売買件数が前年並みであれば、2年連続増加となります[図表3-2]。2013年の各月の土地売買件数の動きを、急減した2007年以降の各年と比べると、東京都は7月から2007年を上回る水準で推移しています[図表3-3]。神奈川県、埼玉県も6月、7月から2007年に迫る水準で推移しています。千葉県はやや出遅れていますが、9月以降3 ヶ月連続で前年同月を上回っています。

(以上、都市未来総合研究所 三輪 一雄)

2013年の東京圏の土地売買件数の動き

データ出所:図表3-1〜 3とも法務省「登記統計」

[図表3-1]土地売買件数の推移(全国・東京圏) [図表3-2]1 〜 11月の東京圏の土地売買件数

[図表3-3]東京圏1都3県の月別土地売買件数

※1:法務省「登記統計」の売買による土地の所有権移転登記件数※2:本稿執筆時点で2013年12月の上記※1の件数が未公表のため

注:2013 年 12 月の件数は本稿執筆時点で未公表のため非表示

注:2013 年 12 月の件数は本稿執筆時点で未公表のため 1 〜 11 月で比較

100

110

120

130

140

150

160

170

180

32

34

36

38

40

42

44

46

48

東京圏 全国(右軸)

2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012(万件)(万件)(年)

4 5 6 7 8 9

10 11 12 13

東京都

神奈川県

埼玉県

千葉県

(万件) 2012年1月~11月 2013年1月~11月

7 8 9

10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20

2007年

2008年

2009年

2010年

2011年

2012年

2013年

(千件)1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

【東京都】

2007年

2008年

2009年

2010年

2011年

2012年

2013年

(千件)1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 5

7

9

11

13【神奈川県】

2007年

2008年

2009年

2010年

2011年

2012年

2013年

(千件)1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 4

5

6

7

8

9

10 【埼玉県】

2007年

2008年

2009年

2010年

2011年

2012年

2013年

(千件)1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 4

5

6

7

8

9

10

11 【千葉県】