東横インが本社役員と全ホテル支配人に ipad mini...

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東横インといえば、宿泊価格の安さが魅力だ。かつてのビジネスホテルのイメージを一新させ、リーズ ナブルな料金でサービスを提供してきた。そんな同社が、リアルタイムな情報共有とスピード化を図るこ とを目的として、本社役員と全国のホテル支配人に iPad 2 を配付したのは 2011 年 7 月、さらにコンパク トさが向上した iPad mini を配付したのは、2013 年 3 月のことだった。 iPad mini導入で最も効果的なのは、移動時間を有効活用できるようになったことだと語るのは社長の 黒田麻衣子氏だ。 「導入前、ホテルの支配人は自店舗のデスクに座り、パソコンを立ち上 げなければ情報にアクセスできない環境にありました。支配人会議など の出張時や他店舗に行った際、また、ホテル内でも事務室以外の別フロ アでは情報にアクセスできないという状況は効率が悪く課題でした。そ こで、場所を問わずに活用できるiPad miniは役に立つと考えました。 いつでも情報にアクセスできることで、時間を無駄なく使えるようになっ たことは、最大の効果と考えています」(黒田氏) 「費用を抑えながらクオリティを高める」のが同社の強みだと黒田氏は 語る。同社では、一般に本社が持つことが多い権限や職務を支配人に任 せている。 「例えば施設内の故障対応は、支配人が自ら修理します。分からない箇所は、本社の専門部署に質問し ながら対応しますが、電話では伝えにくい内容もiPad miniのカメラで故障内容を撮影し、画像を見なが ら会話をするといった使い方もしています。何事も自分たち流の工夫で対応する社風なので、一台でさま ざまな活用方法があるiPad miniは現場にもマッチしています」(黒田氏) 事例で学ぶ iPhone/iPad 活用術 このリーフレットはマイナビニュース、エンタープライズ チャンネル・モバイルソリューションカテゴリに掲載された記事を元に作成しています。 http://news.mynavi.jp/series/iphoneipadkatsuyo/164/ (164)東横インが本社役員と全ホテル支配人に iPad mini 配付 代表執行役社長 黒田麻衣子氏 iPad mini を活用したペーパーレス会議の様子。会議資料は iPad で確認する

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Page 1: 東横インが本社役員と全ホテル支配人に iPad mini …...東横インといえば、宿泊価格の安さが魅力だ。かつてのビジネスホテルのイメージを一新させ、リーズ

東横インといえば、宿泊価格の安さが魅力だ。かつてのビジネスホテルのイメージを一新させ、リーズナブルな料金でサービスを提供してきた。そんな同社が、リアルタイムな情報共有とスピード化を図ることを目的として、本社役員と全国のホテル支配人にiPad 2を配付したのは2011年7月、さらにコンパクトさが向上したiPad miniを配付したのは、2013年3月のことだった。

iPad mini導入で最も効果的なのは、移動時間を有効活用できるようになったことだと語るのは社長の黒田麻衣子氏だ。

「導入前、ホテルの支配人は自店舗のデスクに座り、パソコンを立ち上げなければ情報にアクセスできない環境にありました。支配人会議などの出張時や他店舗に行った際、また、ホテル内でも事務室以外の別フロアでは情報にアクセスできないという状況は効率が悪く課題でした。そこで、場所を問わずに活用できるiPad miniは役に立つと考えました。いつでも情報にアクセスできることで、時間を無駄なく使えるようになったことは、最大の効果と考えています」(黒田氏)

「費用を抑えながらクオリティを高める」のが同社の強みだと黒田氏は語る。同社では、一般に本社が持つことが多い権限や職務を支配人に任せている。

「例えば施設内の故障対応は、支配人が自ら修理します。分からない箇所は、本社の専門部署に質問しながら対応しますが、電話では伝えにくい内容もiPad miniのカメラで故障内容を撮影し、画像を見ながら会話をするといった使い方もしています。何事も自分たち流の工夫で対応する社風なので、一台でさまざまな活用方法があるiPad miniは現場にもマッチしています」(黒田氏)

事例で学ぶ iPhone/iPad活用術

このリーフレットはマイナビニュース、エンタープライズ チャンネル・モバイルソリューションカテゴリに掲載された記事を元に作成しています。http://news.mynavi.jp/series/iphoneipadkatsuyo/164/

(164)東横インが本社役員と全ホテル支配人に iPad mini 配付

代表執行役社長 黒田麻衣子氏

iPad mini を活用したペーパーレス会議の様子。会議資料は iPad で確認する

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工夫次第でさまざまな使い方が可能になるのがiPad miniの魅力だ。同社では、全国のホテル支配人が集まる会議で毎回大量に発生していた紙資料を電子化し、iPad miniから閲覧することで、印刷代や事務員の作業コスト削減にも成功した。さらにDVDで全店舗へ配送していた動画マニュアルなども、iPad上での配信を検討中だ。

「243店舗分のDVDを月に数回、業者に作成・発送依頼していたコストがすべて不要になるため、年間約400万円の経費削減が実現します。これにより手軽な動画配信が可能になるため、社長メッセージなども配信し現場店舗とのコミュニケーション促進に役立てたいと考えています」(黒田氏)

■店舗の情報を同時に管理できるツールが欲しい同社ホテルは駅近や繁華街の好立地にあり手頃な価格で宿泊できるため、ビジネス客だけでなく観光客

からも重宝されており、客室稼働率は80%以上を保つ(全国平均でビジネスホテルは64.6%、シティホテルは72.8%、「宿泊旅行統計調査、平成23年10〜12月期」より)。近年、くまモンで観光熱が高い熊本で3店舗の支配人を兼任している緒方ゆかり氏にiPad miniの導入効果を聞いた。

「3店舗同時に管理しているので、支配人業務に必須な情報をまとめて確認できるツールがあればと思っていました。お客様にご満足いただくホテル運営をすることが支配人の仕事ですので、ホテルの状況を総合的に判断し、スタッフに適切な指示を出すことが求められますが、判断に必要な情報を提供してくれるのがiPad miniです。店舗管理をするうえで欠かせないツールになっています」(緒方氏)

3店舗を順次回りながらマネージメントを行っているという緒方氏。店舗の運営計画や客室稼働状況の管理、設備チェックやスタッフの管理、顧客対応まで、3店舗分の状況を判断し、現場スタッフに指示を出すのは容易ではないが、iPad miniから社内データにアクセスすることで必要な情報を必要時にすぐ入手できるようになり、業務効率が格段に向上したという。

「メールチェックやホテルの稼働状況、スタッフのシフト確認など、すべてiPad miniから3店舗同時に確認できます。導入前は、各店舗情報をその店舗の事務室のパソコンまで見に行く必要があり、ちょくちょく立ち寄る訳にもいかないため、時間を作ってそれぞれの店舗に入り、まとめてメールチェックや確認作業、入力業務を行っていました」(緒方氏)

そのため、情報確認はどうしても数時間、半日ごとにならざるをえなかった。

「支配人会議などの出張で、多い月は5〜6回程度ホテルを不在にすることもありますが、iPad miniがあれば出張先でも逐一3店舗の状況を確認でき、入力業務もiPad miniから直接行えるので隙間時間を有効に活用できています」(緒方氏)

東横イン 熊本新市街・東横 INN 熊本城通町筋・東横 INN 熊本駅前 支配人 緒方ゆかり氏

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ホテル運営の責任を負う支配人にとって、客室稼働率は何より気になるところだが、iPad miniがあれば3店舗の空室状況をリアルタイムに確認することができる。3店舗は、駅前、繁華街の中心、県庁や熊本城に近い場所にそれぞれ位置しており、例えば熊本のある場所でイベントがあれば、イベント開催場所に近いホテルから埋まっていく。満室になる前に空室がある店舗に送客をかけ全体の空室状況を調整することで、空室のままになる部屋を極力なくすことができる。また、スタッフのシフト管理もiPad miniから対応できる。

「1店舗あたり30〜50名程度のスタッフが勤務していますが、残室状況によって手配するホテルスタッフや清掃スタッフの人数もすべて変わってきます。客室が埋まっていく様子をiPad miniではっきり確認しながら指示が出せるので、適正な人員配置にも役立っています」(緒方氏)

■iPadmini片手にスピーディなホテル運営が可能にメールチェックを頻繁に行えることで、予約顧客への対応もスピーディになり、サービス向上にもつな

がっていると緒方氏はいう。予約は主に公式ホームページから受けるが、団体予約などは店舗でも直接受付する。最近は、履歴が残るメールからの予約を好む顧客も増え、支配人が直接やりとりする機会も増えている。

「移動中の空き時間などにもこまめにメールチェックできるので、団体予約にも素早く対応できます。溜まったメールをまとめてチェックしていたころに比べ、見逃す心配もなくなりました」(緒方氏)

近年増加している海外からの旅行客とのメールのやり取りも、iPad miniに翻訳アプリさえインストールしておけば、辞書要らず。iPad miniの活用範囲は広がる一方だ。

ホテル運営をするうえで、「常に自分のホテルを見直す目線」を持つことも大切だ。同社では、「支配人日報」を配信し、各店舗の状況を共有し合っている。

「各ホテルの支配人がその日にあったこと、反省点、業績、明日の予定などを全支配人と関係者にメール送信していますが、この日報も、iPad miniで作成・閲覧できるようになりました」(緒方氏)

客室稼働状況やシフト管理、日報入力も iPad mini から対応できる

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他店舗の日報には、自店舗の運用に役立つヒントがある。以前は事務所のパソコンでまとめてチェックしていたので、なかなかすべての日報に目を通す時間はなかったと緒方氏は語る。iPad miniで頻繁にメールチェックが可能になってからは、すべて目を通し参考にする余裕も生まれたという。

■カメラで状況報告や宿泊客とのコミュニケーションツールもiPadminiで清掃後の客室チェックにもiPad miniのカメラ機能は役立つ。清掃後の客室を見回り、汚れが残ったま

まの部分や、注意してほしい個所をiPad miniカメラで撮影し、朝礼でスタッフに見せれば、口頭では伝えにくい内容も伝わりやすく、スタッフの改善指導に効果的なのだという。

また、周辺地域との交流にもiPad miniが欠かせない。同社では宿泊費用を抑えるために、ごく一部の店舗を除きレストランなどの飲食施設を設置せず、代わりに周辺の飲食店とタイアップすることで顧客満足度向上を図っている。知らない土地で、その土地ならではの料理を楽しむのも宿泊客の楽しみの一つだ。そこで支配人が周辺飲食店に出向き、「美味しい」と思った飲食店を同社のWebサイトに掲載し宿泊客へ紹介するが、飲食店へ掲載依頼する際にも、iPad miniを持参する。掲載先のWebページを表示しながら説明したり、掲載許可の出た飲食店のメニューや料理をiPad miniのカメラで撮影し、その場でWeb掲載するなど活用している。

今後は、海外への店舗展開も積極的に進める予定だと黒田氏はいう。

「現在、韓国に6店舗を展開し、2015年にはカンボジアにも進出する予定です。そうなれば、現地との遠隔会議などが必須となるので、iPadによるビデオ会議も検討中です」(黒田氏)

今後ますますiPad mini活用の用途は拡がりそうだ。

「Walking map」サイトの地図画面(左)。店舗の周辺スポット情報が分かる。地図上のアイコンをタップすると店舗の詳細リンク先が開く(右)

問い合わせ:東横インhttp://www.toyoko-inn.com/