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Page 1: matsusemi.saloon.jpmatsusemi.saloon.jp/.../2015/01/320b64b5722fa31676… · Web view本章では、本論文の具体的な内容に入る前に、筆者が読者に念頭に置いておいて欲しい事項などを記述する。まず、第1節において筆者の問題意識や本論文の執筆に至った経緯について説明する。そして、第2節において本論文の目的と流れについて説明し、本論文のその後の展開について概説

2014年 度   卒 業 論 文2015/1/9 (金)提出

「なぜ文 学 部 は就 職 に弱 いのか~ 文 学 部 生 のキャリア形 成 について

~」

慶應義塾大学 文学部人文社会学科 教育学専攻 4 年

学籍番号: 11115825

Page 2: matsusemi.saloon.jpmatsusemi.saloon.jp/.../2015/01/320b64b5722fa31676… · Web view本章では、本論文の具体的な内容に入る前に、筆者が読者に念頭に置いておいて欲しい事項などを記述する。まず、第1節において筆者の問題意識や本論文の執筆に至った経緯について説明する。そして、第2節において本論文の目的と流れについて説明し、本論文のその後の展開について概説

松 浦 良 充 研 究 会 12 期

宮下拓也目 次                               ● 第 1 章   は じ め に

  ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.1    第 1 節   筆 者 の 問 題 意 識 の 提

示 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.1    第 2 節   本 論 文 の 目 的 と 流

れ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.2

● 第 2 章   文 学 部 を 取 り 巻 く 現

状 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.2    第 1 節   減 り 続 け る 文 学

部 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.2    第 2 節   文 学 部 の 存 在 意 義 と

は ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.6    第 3 節   な ぜ 文 学 部 は 減 り 続 け る の

か ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.12第 4 節   文 学 部 は “ 就 活 ” に 不 利 な の

か ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.13第 5 節   文 学 部 出 身 者 の 実 際 の 就 職 状 況 に つ い

て ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.16第 6 節   文 学 部 は 人 気 企 業 に 就 職 で き な

い ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.20

● 第 3 章   文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意

識 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.22    第 1 節   こ こ ま で の 流

れ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.22    第 2 節   企 業 が 大 学 に 求 め る こ と は 何

か ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.23    第 3 節   文 学 部 は 企 業 が 求 め る こ と に 応 え ら れ て い る の

か ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.25

● 第 4 章   文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意 識 を い か に し て 涵 養 し て い く の

か ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.29    第 1 節   法 政 大 学 文 学 部 の 事

例 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.30

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    第 2 節   立 教 大 学 文 学 部 の 事

例 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.31    第 3 節   龍 谷 大 学 文 学 部 の 事

例 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.35    第 4 節   事 例 の ま と

め ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.36

● 第 5 章   お わ り

に ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.37    第 1 節   本 論 文 の ま と

め ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.37    第 2 節   今 後 の 課

題 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.38

● 第 6 章   参 考 文 献 一

覧 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.40

● ア ブ ス ト ラ ク

ト ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.49

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● 第 1 章   はじめに

  本 章 で は 、 本 論 文 の 具 体 的 な 内 容 に 入 る 前 に 、 筆 者 が 読 者 に 念 頭 に 置 い て お

い て 欲 し い 事 項 な ど を 記 述 す る 。 ま ず 、 第 1 節 に お い て 筆 者 の 問 題 意 識 や 本 論

文 の 執 筆 に 至 っ た 経 緯 に つ い て 説 明 す る 。 そ し て 、 第 2 節 に お い て 本 論 文 の 目

的 と 流 れ に つ い て 説 明 し 、 本 論 文 の そ の 後 の 展 開 に つ い て 概 説 す る 。

第 1 節   筆 者 の 問 題 意 識 の 提 示

  「 文 学 部 」 と い う 学 部 に ど う い う イ メ ー ジ を 持 つ だ ろ う か 。 文 学 作 品 を 研 究

す る 学 部 、 作 家 に つ い て 研 究 す る 学 部 、 人 文 学 を 研 究 領 域 と す る 学 部 、 な ど で

あ ろ う か 。 そ れ ら の す べ て が 正 解 で あ る 。 人 に よ っ て 文 学 部 に 対 し て 抱 く イ

メ ー ジ は 様 々 で あ る 。 し か し 、 そ う し た イ メ ー ジ の 中 に は 、 「 文 学 部 は 就 職 活

動 に お い て 不 利 に な る 」 「 社 会 の 役 に 立 た な い 」 な ど と い っ た ネ ガ テ ィ ブ な イ

メ ー ジ を 抱 く 人 も 少 な く な い だ ろ う 。 筆 者 自 身 も 文 学 部 に 在 籍 し て い る が 、 こ

の よ う な 文 学 部 に 対 す る ネ ガ テ ィ ブ な 批 判 を 耳 に す る こ と は 決 し て 少 な く な い 。

実 際 に 、 「 文 学 部 」 と い う 看 板 を 取 り 下 げ 、 「 人 間 文 化 学 部 」 「 現 代 文 化 学

部 」 と い っ た 新 し い 名 称 に 変 更 す る 大 学 も 非 常 に 増 え て い る 。 ま た 、 新 設 の 学

部 で 「 文 学 部 」 と い う 学 部 を 創 設 す る 大 学 は ほ と ん ど な い 。 無 論 、 こ れ に は 時

代 の 変 化 と と も に 、 社 会 が 要 請 す る 大 学 教 育 の 在 り 方 も 変 わ り 、 そ れ を 受 け て

名 称 を 変 更 し た と い う こ と も 考 え ら れ る で あ ろ う 。 実 際 に 、 そ う い っ た 社 会 の

要 請 を 受 け て 、 新 し い 形 の 大 学 や 学 部 が 新 設 さ れ て い る ケ ー ス も あ る 。 し か し 、

こ の よ う な 名 称 の 変 更 に は 、 少 な か ら ず 「 文 学 部 」 と い う 名 前 だ と 学 生 が 集 ま

ら な い と 大 学 側 が 考 え た 末 に 講 じ ら れ た 対 策 で あ る と い う 側 面 も あ る と 筆 者 は

考 え て い る 。

  こ の よ う な 文 学 部 の 人 気 低 迷 、 す な わ ち 「 文 学 部 不 要 論 」 は 日 本 だ け で 言 わ

れ て い る 問 題 で は な い 。 諸 外 国 に も 同 じ よ う な 潮 流 が あ る 。 た と え ば 、 ア メ リ

カ の 文 系 の キ ャ リ ア を 先 導 し て き た ハ ー バ ー ド 大 学 で は 人 文 学 を 専 攻 す る 学 生

が急激に 減 っ て き て い る そ う だ 。特に 就 職 に関し て 学 生 は 不安に 考 え て い る と

い う 。 つ ま り 、 人 文 学 を 専 攻 し て も仕事 が な い と認識 し て い る 学 生 が 増 え て い

る と い う こ と だ 。

  し か し 、 こ の よ う に 文 学 部 が 減 少 し て い く こ と は 問 題 で あ る 、 と 筆 者 は 考 え

る 。 な ぜ な ら 、 文 学 部 で行う 学 問(=人 文 学)は 非 常 に重要 で 、必要 な 学 問 だ

か ら で あ る 。特に 、 大震災や脳死な ど の 問 題 を通し て倫理的 に物事 を思考 す る

こ と が 求 め ら れ る機会 の 増 え た昨今 に お い て 、 文 学 部 の必要性や重要性は 増 す

ば か り で あ る 。 そ れ に も か か わ ら ず 、 文 学 部 が 減 少 の 一途を辿っ て い る こ の 現

状 は 非 常 に危機的 で あ る 。

 東京大 学 文 学 部 の 学 部長で あ る小松久男教授(東洋史学)は 、商学 部 や 経済

学 部 が そ の 存 在 意 義 を 問 わ れ な い 中 、 文 学 部 だ け が 社 会 か ら 存 在 意 義 を 問 わ れ

続 け る こ と こ そ 文 学 部 が愛さ れ て い る と い う こ と で あ る と インタビュー 1 で話

1 東京大学「文学部長インタビュー」(http://www.ut-life.net/study/kouki/faculty/lit/)2013/8/29 取得。

1

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し て い る が 、 筆 者 も 社 会 か ら そ の 存 在 意 義 や 不 要 論 が 問 わ れ 続 け る 「 文 学 部 」

と い う 学 部 に 非 常 に関心を 持 っ た 。

  な ぜ 、 文 学 部 は 不 要 論 を唱え ら れ る の か 。 な ぜ 、 文 学 部 に 学 生 が 集 ま ら な い

の か 。 「 文 学 部 不 要 論 」 の 一 要因を 明 ら か に し 、 文 学 部 の 今 後 の 展望に 何 か し

ら の 示唆を与え る こ と が 本 論 文 の 執 筆 に 至 っ た 経 緯 で あ る 。

第 2 節   本 論 文 の 目 的 と 流 れ

  前 節 で は 、 筆 者 の 問 題 意 識 や 本 論 文 の 執 筆 に 至 っ た 経 緯 に つ い て 説 明 を し た 。

本 節 で は 、

本 論 文 の 目 的 と 流 れ に関し て 説 明 を す る 。

  現 在 の 日 本 に お い て 、 文 学 部 不 要 論 が唱え ら れ て い る 現 状 が あ る 。 文 学 部 に

学 生 が 集 ま ら な い た め 、 実 際 に 文 学 部 の 看 板 を 取 り 下 げ 、異な る 名 称 に 変 更 す

る 大 学 も 増 え て い る 。 し か し 、 文 学 部 は 非 常 に必要性が高く 、重要 な 学 部 で あ

る 。 そ れ に も か か わ ら ず 、 不 要 論 が唱え ら れ 、 減 少 を 続 け る 要因は 何 か 。 そ の

要因は な ぜ引き起こ さ れ る の か 。 こ れ ら を検討し 、 筆 者 の主張を 提 示 す る こ と

が 本 論 文 の 目 的 で あ る 。

  筆 者 の主張を 提 示 し 、検討す る た め に 、 ま ず 第 2 章 に お い て 文 学 部 を 取 り 巻

く 現 状 に つ い て 、 様 々 な観点よ り 言及し て い く 。 そ れ を踏ま え た上で 、 第 3 章

に お い て 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意 識 に つ い て 、 先行研 究 や アンケ ー ト調査な ど を

基に検討し て い く 。 そ し て 、 第 4 章 に お い て 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意 識 を い か に

し て 涵 養 し て い く の か 、 と い う こ と に つ い て検討し て い く 。検討を行う た め に 、

法 政 大 学 、 立 教 大 学 、 龍 谷 大 学 を 例 と し て用い る こ と と す る 。 第 5 章 に お い て

筆 者 の主張や 考 え を ま と め 、結論付け る 。 ま た 、 今 後 の 課 題 に関し て も 言及す

る 。 そ し て 、最後 と な る 第 6 章 で は 、 本 論 文 に用い た 参 考 文 献 を掲載し て い る

の で 、 参照さ れ た い 。

  そ れ で は 、次章 に お い て 、 文 学 部 を 取 り 巻 く 現 状 に つ い て 、 様 々 な観点よ り

検討し て い く 。

● 第 2 章   文 学 部 を取 り巻 く現 状

  前 章 で は 、 筆 者 の 問 題 意 識 や 本 論 文 の 執 筆 に 至 っ た 経 緯 を 説 明 し 、 本 論 文 の

目 的 と 流 れ に つ い て 言及し た 。 本 章 で は 、 前 章 の 内 容 を踏ま え 、 文 学 部 を 取 り

巻 く 現 状 に つ い て 言及し て い く 。

第 1 節   減 り 続 け る 文 学 部

  本 節 で は 、 日 本 国 内 に お い て 文 学 部 が 減 少 を 続 け て い る 現 状 に つ い て 説 明 す

る 。

  現 在 、 文 学 部 を 持 つ 大 学 は 日 本 に数多く 存 在 す る 。 文 学 部 は 経済学 部 、 法 学

部 、商学 部 な ど と並ん で 、 日 本 で最も知名 度 の あ る 学 部 だ と 言 っ て も 間違い な

い だ ろ う 。 さ ら に 、 文 学 部 は 非 常 に歴史の あ る 学 部 な の で あ る 。 そ も そ も 、

「 学 部 」 と い う 概 念 が誕生 し た の は 、 1877 年 の東京大 学 の 創 設 が契機で あ っ

た 。 こ の 時 に 、 日 本 に お い て初め て 「 学 部 」 と い う 言葉が使わ れ 、 文 学 部 、理

2

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学 部 、 法 学 部 、医学 部 の 4 学 部 が 置 か れ る こ と と な っ た 。 日 本 の 教 育 法令の 中

で最初に 「 学 部 」 と い う 言葉が使わ れ た瞬間 で あ っ た 。 つ ま り 、 文 学 部 は 日 本

で最も古い 学 部 の 1 つ で あ り 、 非 常 に歴史の あ る 学 部 な の で あ る 。

し か し 、 文 学 部 は 「 就 職 活 動 に 不 利 に な る 」 「 社 会 の 役 に 立 た な い 」 と い っ

た よ う な ネ ガ テ ィ ブ な 批 判 や誤解 を 受 け る こ と が あ る 。 筆 者 自 身 、 文 学 部 に 在

籍 を し て い る が 、 こ の よ う な 批 判 や誤解 を 耳 に す る こ と は 決 し て 少 な く は な い 。

そ し て 、 実 際 に 今 そ の 文 学 部 が 日 本 か ら 減 り 続 け て い る 。以下 は 、 こ の 20 年

で 「 文 学 部 」 と い う 看 板 を お ろ し 、改組・ 名 称 変 更 を行っ た主な 大 学 を表に ま

と め た も の で あ る 2 。

改組・ 変 更 年 改 組 ・ 変 更 前 の

名 称

改組・ 変 更 後 の 名 称

山口県立 大 学 1994 年 文 学 部 国際文化学部、社会福祉学部

高知女子大 学 1998 年 文 学 部 文 化 学 部

広 島 文 教 女 子 大

2000 年 文 学 部 人 間科学 部

昭和女子大 学 2003 年 文 学 部 人 間 文 化 学 部

大阪大 谷 大 学 2004 年 文 学 部 教 育 福 祉

学科

教 育福祉学 部

文 化女子大 学 2004 年 文 学 部 現 代 文 化 学 部

大阪大 谷 大 学 2005 年 文 学 部 コ ミ ュ ニ

テ ィ関係学科

人 間 社 会 学 部

九州女子大 学 2005 年 文 学 部 人 間科学 部

ル ー テ ル 学 院 大

2005 年 文 学 部 総合人 間 学 部

上智大 学 2005 年 文 学 部 教 育 学

科 ・ 心 理 学 科 ・

社 会 学 科 ・ 社 会

福祉学科

総合人 間科学 部(上

智大 学 の場合は 「 文

学 部 」 が な く な っ た

わ け で は な い 。)

神戸山手大 学 2008 年 人 文 学 部 現 代 社 会 学 部

神 戸 海 星 女 子 学院大学

2008 年 文 学 部 現 代 人 間 学 部

帝塚山学院大 学 2009 年 文 学 部 リベラルア ーツ学 部

 

以上の表か ら も分か る通り 、 こ の 20 年 間 だ け で も 、 こ れ だ け多く の 大 学 が

「 文 学 部 」 と い う 名 称 か ら 新 し い 学 部 に改組・ 名 称 変 更 を し て い る 。以上の表

2倉部史記『文学部がなくなる日』を基に筆者が作成。3

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は 一 部 に過ぎず 、 実 際 に は 更 に多く の 日 本 の 大 学 で 「 文 学 部 」 が 減 り 続 け て い

る 。

  そ し て 、 「 文 学 部 」 と い う 新 設 の 学 部 が 置 か れ る こ と も ほ と ん ど と 言 っ て い

い ほ ど な い 。

以下 の表は平成 27 年 度 開 設予定の 大 学 の 学 部等に つ い て ま と め た も の で あ

る 3 。

区分 大 学 名 学 部 名

公立 高知工科大 学 経済・マネ ジ メント 学

私立 い わ き 明星大 学 教 養 学 部

地域 教 養 学科

私立 千葉商科大 学 国 際 教 養 学 部

国 際 教 養 学科

私立 東京工科大 学 工学部機械工学科

電気電子工学科応用化学科

私立 新潟青陵大 学 福祉心理学部社会福祉学科

臨床心理学科

看護学 部

看護学科

私立 名古屋学院大 学 現代社会学部現代社会学科

国際文化学部 国際文化学科  国 際協力学科

私立 京都学園大 学 経済経営学部 経済学科 経営学科人文学部 心理学科 歴史文化学科

私立 大阪国 際 大 学 国 際 教 養 学 部

3 文部科学省「平成 27 年度開設予定の大学の学部等の設置届出について」を参考に筆者が作成。4

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  国 際 コ ミ ュ ニ ケ ー

ション学科

  国 際観光学科

私立 大阪樟蔭女子大 学 健康栄養 学 部

 健康栄養 学科

私立 神戸学院大 学 グロー バル・コミュニ

ケ ーション学 部

 グロー バル・コミュ

ニケ ーション学科

私立 流通科学 大 学 経済学部 経済学科 経済情報学科人間社会学部 人間社会学科 観光学科 人間健康学科

私立 筑紫女学園大 学 現代社会学部 現代社会学科

以上の 12 校 16 学 部 が平成 27 年 度 に 新 設予定の 学 部 で あ る が 、 経済学 部

や 国 際 系 の 学 部 が多く 新 設 さ れ る 中 で 、 文 学 部 の 新 設 は ほ と ん ど な い 。京都学

園大 学 が 人 文 学 部 を 新 設 す る が 、 こ れ は元々 あ っ た 人 間 文 化 学 部(心理学科、

メディ ア 社 会 学科、歴史民俗・ 日 本語日 本 文 化 学科、 国 際ヒューマン・コミュ

ニケ ーション学科)を廃止し 、 人 文 学 部(心理学科、歴史文 化 学科の 2 学科)

に縮小と い う 形 で あ る た め 、 実質的 に 文 学 部 の 新 設 は皆無 と 言 っ て い い だ ろ う 。

ま た 、 文 学 部 の 研 究 対象で あ る 人 文 学 を 専 攻 す る 学 生 も右肩下 が り で 減 少 を

続 け て い る 。

以下 の表 4 は 、 日 本 の 大 学 の 学 部 生 で 、 人 文 学 を 学ぶ学 生 の比率を表に し た

も の で あ る 。

人 文 学 を 専 攻 す る 学 部 生

平成 15 年 度 16.3%平成 20 年 度 15.6%平成 21 年 度 15.4%平成 22 年 度 15.2%平成 23 年 度 15.0%

4 文部科学省「学校基本調査-平成 25 年度(確定値)結果の概要-」を参考に筆者が作成5

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平成 24 年 度 14.8%平成 25 年 度 14.7%

以上の表か ら も分か る通り 、 日 本 の 大 学 の 学 部 生 で 、 人 文 学 を 学ぶ学 生 は

年 々右肩下 が り に 減 り 続 け て い る 。 こ れ は 学 部 生 に限っ た話で は な い 。 大 学院

の 学 生 に も 同 じ こ と が 言 え る 。以下 の表 5 は 、 日 本 の 大 学院の院生 で 、 人 文 学

を 学ぶ学 生 の比率を表に し た も の で あ る 。

大 学院修士課程 大 学 院 博 士 課

平成 15 年 度 8.1% 10.4%平成 20 年 度 7.8% 10.1%平成 21 年 度 7.5% 9.9%平成 22 年 度 7.4% 9.5%平成 23 年 度 7.3% 9.0%平成 24 年 度 7.4% 8.7%平成 25 年 度 7.1% 8.5%

以上の表か ら も分か る通り 、 日 本 の 大 学院の 大 学院生 で も 、 人 文 学 を 専 攻 す

る 学 生 と い う の は 年 々 、右肩下 が り に 減 り 続 け て い る 。 こ れ だ け 人 文 学 を 専 攻

す る 学 生 が右肩下 が り に 減 少 を 続 け て い れ ば 、全国 の 日 本 の 大 学 に お い て 文 学

部 が 減 り 続 け 、 新 設 の 学 部 で 文 学 部 が 創 設 さ れ る こ と が な い の も 無理が な い の

か も し れ な い 。

 以上ま で で 論 じ て き た よ う に 、 日 本 に お い て 人 文 学 を 専 攻 す る 学 生 は右肩下

が り に 減 少 を 続 け て い る 。 そ し て 、 日 本 の 大 学 に お い て 文 学 部 が 新 設 さ れ る こ

と は ほ と ん ど な く 、 文 学 部 は 減 り 続 け て い る 。

  し か し 、 文 学 部 が 減 る こ と の 何 が 問 題 な の か 、 と い う指摘も あ る か も し れ な

い 。 こ れ だ け 文 学 部 の 不 要 論 が唱え ら れ て い る 中 で 、 文 学 部 が 減 少 し て い く こ

と は必然な の で は な い か 、 と い う 意見も あ る か も し れ な い 。 し か し 、 筆 者 は 文

学 部 が 減 少 し て い く こ と は 非 常 に危機的 な 問 題 だ と 考 え て い る 。次節 で は 、 筆

者 の 考 え る 文 学 部 の 存 在 意 義 に つ い て 論 じ て い く 。

第 2 節   文 学 部 の 存 在 意 義 と は

  前 節 で は 、 日 本 の 大 学 に お い て 文 学 部 の数が 減 少 を 続 け て い る こ と に つ い て

述 べ た 。 本 節 で は 、 そ れ を踏ま え た上で 、 文 学 部 の 減 少 が な ぜ 問 題 な の か 、 と

い う こ と に つ い て 論 じ る 。 つ ま り は 、 筆 者 の 考 え る 文 学 部 の 存 在 意 義 に つ い て

論 じ た い と思う 。

  そ も そ も 、 文 学 部 と は ど う い う 学 部 で あ る の か 。多く の 人 は 「 文 学 を 学ぶ学

5 同上6

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部 」 な ど と 何 と な く認識 し て お り 、 正確に 文 学 部 と い う 学 部 の性格に つ い て把

握し て い る 人 は 少 な い よ う に思う 。 そ の た め 、 本 節 で は ま ず 文 学 部 が ど う い う

学 部 で あ る の か を 明瞭に し て お く 。

  第 1 節 で も確認し た が 、 文 学 部 の は じ ま り は東京大 学 で あ る 。 そ の東京大 学

の 文 学 部 は 、 文 学 部 に つ い て以下 の よ う に定義 し て い る 。

  「 文 学 部 の 「 文 」 と は 、 ま ず は 文字で あ り 、 文字で書か れ た 文 章 ・ 文 献 ・書

物の総体 を指し ま し た 。 人 間 は こ と ば を 持 ち 、 そ れ を 文字で 記 し 、伝え 、 文 化

を 生み出 し て き ま し た 。 文 学 部 と は 、 何 よ り も ま ず 、 人 間 に つ い て 考 え る場に

ほ か な り ません 。 そ れ か ら 130 余年 の 間 に 、 文 学 部 の 教 育 研 究 領 域 は拡大 し 、

文字以外 の 文 化 を視野に収め る 考古学 、美術史学 、音楽学 、心理学 、 社 会 学 な

ど を も加え 、 今 日 で は 27 の 専修課程を擁す る に 至 り ま し た 。 6 」

  文 学 部 と は 「 文 学 」 部 で あ り 、 「 文 」 学 部 な の で あ る 。 文字で書か れ た 文

章 ・ 文 献 ・書物を通し て 、 人 間 に つ い て 考 え る 学 部 で あ る 。

  そ し て 、 文 学 部 の 「 文 」 を辞書 7 で引く と 、 「①思っ た こ と や感じ た こ と を

文字で書き表し た も の 。 文 章 。②文 法 で 、思想・感情な ど を こ と ば で表現 す る

際 の 、 一区切り の ま と ま っ た 内 容 を も つ最少 の単位。 」 と定義 さ れ て い る 。 こ

こ か ら も 、 文 学 部 が ど う い っ た 学 部 で あ る の か 、 そ の性格が分か る 。 文 学 部 は

「 文 」 学 部 で あ り 、 文 字資料を通し て 、 人 間 に つ い て 考 え る 学 部 な の だ 。

「 人 」 に つ い て 「 文 」 を通し て 「 学 」ぶ。 こ れ が 、 文 学 部 と い う 学 部 で あ る 。

そ し て 、 そ の 「 人 文 学 」 こ そ が 文 学 部 の 研 究 領 域 な の で あ る 。

  そ れ で は 、 文 学 部 の 研 究 領 域 で あ る 人 文 学 と は 具 体 的 に 何 を指す の だ ろ う か 。

文 部科学省で は 人 文 学 と い う 学 問 の範囲を以下 の表 8 の よ う に定め て い る 。

(本 論 文 で は 学 部 に関す る議論 を行っ て い る た め 、 大 学院に お け る分類に つ い

て は割愛す る)

 ①大学(学部) 大 分 類=人文学

中分類 小分類

文 学関係 文 学 、 日 本 文 学 、 国語国 文 学 、 国

語学 国 文 学 、 文芸学 、 言語学 、語

学 文 学 、英語英文 学 教 育 、 国語中

6東京大学文学部・大学院人文社会系研究科「文学部とは」(http://www.l.u-tokyo.ac.jp/faculty/index.html?phpMyAdmin=c53873f5a43613de1640d5512da37328)2014/12/17 取得。7 大修館書店『明鏡国語辞典』、大修館書店、2002 年。8 文部科学省「平成 17 年度学校基本調査 学部系統分類表」を参考に筆者が作成。

7

Page 11: matsusemi.saloon.jpmatsusemi.saloon.jp/.../2015/01/320b64b5722fa31676… · Web view本章では、本論文の具体的な内容に入る前に、筆者が読者に念頭に置いておいて欲しい事項などを記述する。まず、第1節において筆者の問題意識や本論文の執筆に至った経緯について説明する。そして、第2節において本論文の目的と流れについて説明し、本論文のその後の展開について概説

文 学 、 国 文 学 国語学 、 国 文 学 、語

学 、特設 日 本語学 、 日 本語・ 日 本

文 化 学 、 外 国語学 、 外 国語・ 外 国

文 学 、 外 国 文 学 、比較文 化 、 文 化

史学 、児童文 学 、 日 本語・ 日 本 文

化 学類、 日 本語学 、 文 、 日 本 学 、

日 本 語 教 育 学 、 日 本 語 ・ 日 本 文

学 、英語(・英米)文 化 学 、 外 国

語 文 化 学 、 日 本 ア ジ ア 言 語 文 化

学 、 英 米 言 語 文 化 学 、 国 際 文 化

学 、英語英米文 化 、 中 国語中 国 文

化 学 、ヨーロッパ・ ア メ リ カ 学 、

表 現 文 化 、 実 践 英 語 、 言 語 文 化

学 、英語英米文 学 、東ア ジ ア 言語

文 化 学 、 日 本 文 化 学

史学関係 史学、国史学、東洋史学、西洋史学、史学地理学、地理歴史学、地理学、美術史学、歴史学、文化財学、歴史社会学、日本文化史学、歴史文化(文化歴史)学、歴史遺産学、総合歴史、歴史地理学、文化財歴史学

哲学関係 哲学 、 中 国哲学 、 中 国哲学 文 学 、

心理学 、美学美術史学 、宗教 学 、

宗学 、仏教 学 、基督(キ リ ス ト)

教 学 、神学 、神道学 、禅学 、密教

学 、真宗学 、美学 、東洋哲学 、西

洋哲学 、印度哲学 、臨床心理学 、

人 間心理学 、芸術文 化 学 、 国 際禅

学 、 文 化心理学 、心理臨床学 、 社

会臨床心理学 、総合心理学

そ の他 人 文 学 、 人 文科学 、 文 化 学 、図書

館学 、 人 文 ・ 社 会 ・ 自然、 文 、 社

会 心 理 教 育 学 、 キ リ ス ト 教 文 化

学 、 文 明 学 、図書館・情報学 、 生

活 文 化 学 、 人 間関係学 、欧米文 化

8

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学 、 日 本 文 化 ( 学 ) 、 心 理 社 会

学 、 国 際関係学 、東洋文 化 、 人 文

学類、比較文 化 学類、 人 間科学 、

国 際 学 、ヨーロッパ文 化 学 、マス

コミュニケ ーション学 、総合文 化

学 、 国 際 文 化 学 、行動科学 、地域

科学 、行動科学 課程、 文 化 課程、

英 米 文 化 、 国 際 言 語 文 化 学 、 コ

ミュ ニケ ー シ ョン 学 、 言 語 文 化

(文 化 言語)学 、図書館情報学 、

行 動 学 、 工 芸 文 化 学 、 地 域 文 化

学 、 人 間 文 化 学(課程)、 文 化行

動 学 、心理・ 教 育 学 、英米地域 研

究 、 人 文 社 会 学 、 人 間 学 、情報文

化 学 、知識情報学 、環日 本海文 化

学 、 言語コミュニケ ーション学 、

仏教 文 化 、思想文 化 学 、行動 文 化

学 、 欧 米 第 一 課 程 、 欧 米 第 二 課

程、ロシア ・東欧課程、東ア ジ ア

課程、東南ア ジ ア 課程、南・西ア

ジ ア 課 程 、 日 本 課 程 、 人 間 情 報

学 、 文 化 ・ コ ミュ ニケ ー シ ョン

学 、 国 際 社 会 文 化 学 、 人 間行動科

学 、 日 本 ア ジ ア 文 化 学 、 ア ジ ア 文

化 学 、超域 文 化科学 、地域 文 化 研

究 学 、 人 間 社 会 科 学 、 文 化 人 類

学 、 国 際 交 流 学 、 国 際 言 語 ( コ

ミュニケ ーション)学 、総合言語

文 化 学 、 国 際 地 域 学 、 現 代 中 国

学 、 人 間行動 学 、 国 際 社 会コミュ

ニケ ーション学 、地域情報科学 、

哲 学 歴 史 学 、 英 語 コミ ュニ ケ ー

ション(学)(課程)、 ア ジ ア 言

語 文 化 学 、 文 化 交 流 学 、 社 会 コ

ミュ ニケ ー シ ョン 学 、 人 間 発 達

学 、英語文 化 学 、環境文 化 学 、北

方圏文 化 学 、観光文 化 学 、東ア ジ

ア 地 域 言 語 、 国 際 コミ ュニ ケ ー

9

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ショ ン 学 、 異 文 化 コミ ュニ ケ ー

ション学 、表現 文 化(文 化表現)

学 、 文 化総合学 、 人 間 言語学 、書

道学 、 人類文 化 学 、 人 文情報学 、

総合文芸学 、 人 間環境学 、 ア ジ ア

文 明 学 、ヨーロッパ文 明 学 、 文芸

創 作 学 、 文 化情報メディ ア 学 、多

文 化共生 学 、 現 代 文 化 学 、 現 代 日

本 文 化 学 、 日 本伝統文 化 学 、書道

文 化 学 、英語情報学 、 国 際 人 間 学

科、 ア メ リ カ 文 明 学 、心理コミュ

ニケ ーション、神道文 化 、芸術表

現療法 、心理・ 応用コミュニケ ー

ション、発達臨床心理学 、総合人

文 学 、グロー バル(・)コミュニ

ケ ーション、 言語表現 学 、 国 際 ・

英語学 、未来文 化 創造学 、 現 代英

語学 、 国 際英語学 、 日 本 文 化 創造

学 、 地 域 創 造 学 、 人 間 発 達 心 理

学 、 こ ど も 文 化 学 、 ド キ ュ メン

テ ーション学 、 国 際英語メディ ア

学 、心理こ ど も 学 、 国 際 文 化 ・ 言

語学 、交流 文 化 学 、 国 際 言語表現

学 、 文 学 言語、英語文 化コミュニ

ケ ーション学 、都市教 養 学 、 文 化

創造学 、 社 会 文 化 学 、英米比較文

化 学 、ヨーロッパ比較文 化 学 、 日

本 ・東ア ジ ア比較文 化 学 、 国 際 文

化協力学 、美学芸術学 、心理・行

動科学 、英語メディ ア 学 、子ど も

未来学 、 人 間発達文 化 学類、総合

人 間 学 、コミュニケ ーション情報

学 、心理・ 社 会福祉学 、 外 国語学

   ②学科(専攻)   大 分 類=人文学  

中分類 小分類(学科又は 専 攻)

10

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文 学関係 ①外 国語学

英米(語)学 、英米言語学 、フラ

ンス(語)学 、 イタリ ア語学 、 ド

イツ(語)学 、ロシア(語)学 、

スペイン語学 、ポルト ガル・ ブ ラ

ジル語学 、 中 国(語)学 、モンゴ

ル語 学 、 イン ド ・ パキ スタ ン語

学 、 インドシナ語学 、朝鮮(語)

学 、 ア ラ ビア 語 学 、 タ イ ( 語 )

学 、ミャンマ語(ビルマ語)学 、

ペルシア語学 、(国 際)英語学 、

デ ン マ ー ク 語 学 、 イ ス パ ニ ア

(語)学 、 イギリ ス語学 、ポルト

ガル語学 、南ア ジ ア語学 、西ア ジ

ア 語 学 、 外 国 語 学 、 ベ トナ ム 語

学 、 タイ ・ ベ トナ ム 語 学 、 デン

マー ク ・ スウェーデン語学 、 ブ ラ

ジル ・ ポ ルト ガル 語 学 、 韓 国 語

学 、 ア ラビア ・ アフリ カ語学 、東

ア ジ ア(語)学 、ゲルマン系 言語

学 、ロマンス 系 言語学 、 ス ラ ブ 系

言語学 、 ア ジ ア 第 一 言語学 、 ア ジ

ア 第 二 言 語 学 、 ア ジ ア 第 三 言 語

学 、 インド ネシア ・マレーシア語

学 、 インド ネシア ・フィ リピン語

学 、ロシヤ(原文ママ)・東欧語

学 、 東 南 ア ジ ア 語 学 、 ブ ラ ジル

学 、 中東語学 、 ア ジ ア 学 、 スペイ

ン・ ラ テンア メ リ カ 学 、北欧、英

米学 、英米語学 、 ア ジ ア語学

②外 国語・ 外 国語文 学

英語(学)(・)英米文 学 、 中 国

語中 国 文 学 、 スペイン語スペイン

文 学 、 英 語 英 米 学 ( 英 語 学 英 文

学 ) 、 イ ギリ ス ・ ア メ リ カ 語 文

学 、フランス 文 学 ・語学 、(仏語

(学)(・)仏文 学)、独語学独

文 学 、 外 国語外 国 文 学 、ロシア語

11

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ロシア 文 学 、梵語学梵文 学 、 イ ス

パニア語イ スパニア 文 学

③外 国 文 学

外 国 文 学 、英(語)文 学 、フラン

ス 文 学 、 英 米 文 学 、 イ ギリ ス 文

学 、 ド イ ツ 文 学 、 イ ス パニ ア 文

学 、北欧文 学 、ロシア 文 学 、 中 国

文 学 、 西 洋 文 学 、 ヨ ー ロッ パ 文

学 、 日 本 ・ 中 国 文 学 、欧米文 学

 以上の表か ら も 読み取 れ る よ う に 、 国 で は 人 文 学 を細か く分類し て い る 。 こ

れ ら 人 文 学 が 文 学 部 に お い て 研 究 さ れ て い る と い う こ と だ 。

  で は 、 こ の 人 文 学 を 学ぶ学 部 で あ る 文 学 部 の 存 在 意 義 は 何 な の だ ろ う か 。

  文 学 部 で行う 学 問(=人 文 学)と い う の は 、 目 に見え る 形 で の 成果が 少 な い 。

そ の た め 、 文 学 部 不 要 論 な ど の議論 が 出 る の だ 。 こ の こ と は 、 文 部科学省も 言

及し て い る こ と だ 。

  「 自然科学 の場合で あ れ ば 、産業 や医療・福祉の 現場か ら多く の 問 題 が 生 ま

れ 、 そ の 解 決 を通じ て 学 問 が 成長し て い る 。 ま た 、 そ の逆のプロセス も多く 、

学 問 か ら 実 社 会 に向け て多く の 成果が還元さ れ て い る と い う 実感を 人 々 は得て

い る 。 こ れ に 対 し て 、 人 文 学及び社 会科学 の場合で あ れ ば 、 社 会 生 活 を送る上

で必要 な 政治や 経済に つ い て の理解 、 文 化 生 活 を送る上で の歴史や芸術に つ い

て の理解 と い っ た 、精神面 で の影響を通じ て 人 々 に 実感を与え て い る 。即ち 、

大 学 に お け る 教 養 教 育 な ど を通じ て 一定の 役割を果た し て い る と 言 っ て よ い 。

こ れ は 、 人 文 学 や 社 会科学 の 成果が 、主に 「ソフト 」 と い う 形 で 人 々 に 示 さ れ

て い る か ら に他な ら な い 。 た だ し 、 人 文 学 や 社 会科学 の場合に は 、 そ の 成果が

「ソフト 」 と し て発信さ れ て お り 、工業製品 と か 、農産物と い っ た 目 に見え る

形 を と っ て い な い た め 、 社 会 の 人 々 が 成果と し て還元さ れ て い る と い う 実感を

得る の が難し い可能性も あ る 。 9 」(下線は 筆 者 に よ る)

  し か し 、 文 学 部 で行う 学 問 で あ る 人 文 学 は 非 常 に重要 な 学 問 で あ る と 筆 者 は

考 え る 。 な ぜ な ら 、 人 文 学 は全て の 学 問 に お け る基礎学 で あ り 、 非 常 に汎用性

の高い 学 問 だ と 考 え る か ら で あ る 。 文 部科学省も 、 人 文 学 の 役割や機能に つ い

て は以下 の よ う に 言及し て い る 。

9文部科学省「第一章 日本の人文学及び社会科学の課題」(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/attach/1246379.htm)2014/12/17 取得。

12

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  「 人 文 学 は 、 「精神価値」 、 「歴史時 間 」 、 「 言語表現 」及び「 メタ知識 」

を 研 究 対象と す る 立場か ら 、 諸 学 の基礎と し て 、個別諸 学 の基礎付け を行う と

い う 役割・機能を有し て い る 。 ま た 、 「『対話』を通じ た『(認識)枠組み』

の共有」 と い う 「共通性」 と し て の 「普遍性」 の獲得への道程と い う 研 究 方 法

上の特性は 、個別諸 学 間 の 「 対話」 を通じ た 「普遍性」 の獲得の可能性を 導 く

と い う 意味で 、 方 法上、個別諸 学 の基礎付け と な り う る と 考 え ら れ る 。 10 」

「 現 在 、情報技術や バ イオテ クノロジ ー と い っ た科学技術の飛躍的 な発展 や 、

産業 の発展 に伴う 生 活 スタイルの 変 化 に伴う 大量消費社 会へと 文 明 社 会 が 展 開

し て い く 中 で 、改め て 現 代 文 明 を基礎付け て い る 人 間 と い う価値そ の も の が 問

い直さ れ て い る 。 11 」

「 ま た 、画一性の 論理を軸と す るグロー バ リゼーションの 潮 流 が 、 政治、 経済、

文 化 と い っ た 文 明 社 会 の あ らゆる 領 域 を覆い つ つ あ る 中 で 、地域 や 社 会 集団等

に お け る個性及びそ れ ら 諸個性の共存 状態と し て の 文 化 の多様性の確保が 大 き

な 課 題 と な っ て い る 。 こ の よ う な 文 明史的 な 課 題 に 対 し て 、精神価値、歴史時

間及び言語表現 と い う ま さ に 文 明 の構成 要素を 研 究 対象と し 、 「他者 」 と の

「 対話」 を通じ て 「共通性」 と し て の 「普遍性」 を獲得す る こ と を 目指す 人 文

学 の果た す 役割は き わ め て 大 き い 。 12 」

「 社 会 に お け る 具 体 的 な 課 題 を 解 決 す る た め に は 、高度 な 専門性の 前 提 と し て

諸価値に つ い て の 判断力、即ち 人 文 学 的 な素養 が必要 と な る 。 こ の た め 、高度

な 専門人 の 育 成 に当た っ て は 、 人 文 学 的 な素養 の 涵 養 と い う視点が 求 め ら れ る 。

一般に 社 会 は 、 問 題 設定や 目 的 が 一 義 的 に与え ら れ る も の で は な く 、 問 題 設定

や 目 的 自 体 を めぐっ て試行錯誤が繰り返さ れ て い る よ う な世界で あ る 。 し た

が っ て 、 こ こ で 涵 養 さ れ る 「高度 な 専門性」 は 、客観的 な知識 を獲得し 、 そ れ

を テ クニカルに適用す れ ば よ い と い う も の で は な く 、 人 文 学 的 な素養 を背景と

し て い な け れ ば な ら な い こ と に留意 し て お く必要 が あ る 。 13 」

  文 部科学省の 文 言 か ら も分か る通り 、 人 文 学 に は多く の 役割や機能が 期待さ

れ て い る 。 ま た 、 2011 年 3 月 11 日 の東日 本 大震災も 文 学 部 で 学ぶ学 問 の

必要性を再認識 す る契機

10文部科学省「第三章 人文学及び社会科学の役割・機能」(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/attach/1246382.htm)2014/12/17 取得。11同上。12同上。13同上

13

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で あ っ た 。 な ぜ な ら 、福島の原子力発電所に お け る 事故や 人 々 の死生 な ど を通

し て 、倫理

的 に物事 を思惟す る こ と が 求 め ら れ た か ら で あ る 。

あ る い は 、昨今 で は脳死と植物状態に つ い て の議論 や安楽死、尊厳死な ど の

議論 が 活発

に な さ れ て い る 。 ど れ だ け科学技術や医療が進歩し て も 、 こ の よ う な倫理的 な

問 題 ま で は 解 決 で き な い の で あ る 。 そ こ で 、 文 学 部 の行う 学 問 が必要 に な る の

だ 。 こ う い っ た 側 面 で も 、 文 学 部 で 学ぶ学 問 は 「 社 会 の た め の 、 社 会 の 中 の 学

術」 と い う観点か ら 、 社 会への貢献 が 求 め ら れ て い る の で あ る 。

確か に 文 学 部 で行う 学 問 は即効性を も っ て 社 会 に貢献 で き る わ け で は な い が 、

人 間 が長く 生 き て い く上で絶対 的 に必要 な 学 問 な の で あ る 。

以上ま で で 論 じ て き た よ う に 、 文 学 部 で 学ぶ学 問 は 社 会 に と っ て必要 不可欠

な 学 問 で あ り 、 人 文 学 を 学ぶ学 部 で あ る 文 学 部 に 不 要 論 な ど が唱え ら れ る こ と

は 非 常 に愚か な こ と な の だ 。 筆 者 と し て は 、 こ の こ と に 対 し て 非 常 に 問 題 意 識

を 持 っ て い る 。 し か し 、 現 実 に 日 本 国 内 に お い て 文 学 部 は 減 少 を 続 け て い る 。

ま た 、 「 文 学 部 」 と い う 学 部 が 新 設 さ れ る こ と も ほ と ん ど と い っ て い い ほ ど な

い 。 文 学 部 で行う 学 問 と い う も の は 、 非 常 に重要 な 学 問 で あ る に も か か わ ら ず 、

な ぜ 現 在 日 本 国 内 に お い て 文 学 部 が 減 り 続 け て い る の だ ろ う か 。次節 に お い て

は 、 文 学 部 が 減 り 続 け る 要因に つ い て 先行研 究 な ど を 参 考 に し 、検討し て い き

た い 。

第 3 節   な ぜ 文 学 部 は 減 り 続 け る の か

  第 1 節 と 第 2 節 で確認し て き た よ う に 、 文 学 部 に は長い歴史が あ り 、 文 学 部

で行う 学 問 と い う も の も 非 常 に重要 で あ る 。 そ れ に も か か わ ら ず 、 人 文 学 を 専

攻 す る 学 生 は右肩下 が り に 減 少 を 続 け て い る 。 そ し て 、 日 本 の 大 学 に お い て 文

学 部 が 新 設 さ れ る こ と は ほ と ん ど な く 、 文 学 部 は 減 り 続 け て い る 。 文 学 部 不 要

論 な ど と い う暴論 さ え ま か り通っ て い る 。 な ぜ 、 こ の よ う な 現 状 に な っ て し

ま っ て い る の か 。 本 節 で は 、 文 学 部 が 減 少 を 続 け て い る 要因に つ い て 、 先行研

究 者 な ど の 研 究 を基に検討し て い き た い 。

  日 本 の 大 学 に お い て 文 学 部 が 減 少 を 続 け て い る 。 こ の 要因に つ い て倉部 14 は

ポジ テ ィ ブ な理由と ネ ガ テ ィ ブ な理由の二通り が あ る と 述 べ る 。

 ポジ テ ィ ブ な理由と し て は 「 学 部 で扱う 学 問 の 領 域 ・ 内 容 が 変 わ っ た か ら 、

誤解 を招か な い よ う 、 そ れ に合わせて 名 称 も 変 え よ う 」 と い う こ と で あ る 。 社

会 は絶え ず 変 化 し て お り 、当然社 会 が 要 請 す る 大 学 教 育 の 在 り 方 も 変 わ っ て く

る 。 1990 年 代 の初頭 に慶應義塾大 学 が 創 設 し た 「総合政 策 学 部 」 「環境情報

学 部 」 は 、 ま さ し く 社 会 や 時 代 の 変 化 に 対 応 す る 大 学 教 育 を 体 現 し た 今 ま で に

は な い 新 し い 学 部 だ と 言 え る 。 文 学 部 も 同 様 で 、 社 会 や 時 代 の 変 化 に 対 応 し て

い く こ と が 求 め ら れ る 。 学術的 な メ リット を 考 え て 、 「 文 学 部 」 と い う 看 板 を

お ろ す 例 で あ る 。

14倉部史記『文学部がなくなる日』、主婦の友社、2011 年、41-81頁。14

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ま た 、多く は な い が 、 教 育 や 研 究 の 内 容 を分か り や す く 社 会 に伝え る た め に 、

「 文 学 部 」 と い う 看 板 を お ろ す 例 も あ る 。 た と え ば 、上智大 学 で あ る 。 2005年 、上智大 学 は 、 そ れ ま で 文 学 部 の 中 に あ っ た 教 育 学科、心理学科、 社 会 学科、

社 会福祉学科の 4 学科を ま と め て独立 させ、総合人 間科学 部 を 創 設 し た 。 そ し

て 、 文 学 部 に属す る 学科は哲学科、史学科、 国 文 学科、 文 学科、 ド イツ文 学科、

フランス 文 学科、 新聞学科、保健体 育 研 究室の 7 学科 1 研 究室と な っ た 。 「 文

学 部 」 と聞く と 、 人 々 は 「 作 家 や 文 学 だ け を 学ぶ学 部 で あ る 」 と い う印象を 抱

く 人 も多く 、 教 育 学 、 社 会 学 、 社 会福祉学 、心理学 も 学ぶこ と が で き る と い う

こ と に 意 外性を感じ る 人 も 少 な く は な い 。 そ の た め 、 社 会(特に 受験生 だ ろ

う)に 対 し て分か り や す い よ う に 、上智大 学 の よ う に 名 称 を 変 更 す る と い う こ

と は 意 義 の あ る こ と な の か も し れ な い 。

  で は 、 日 本 の 大 学 が 「 文 学 部 」 と い う 看 板 を お ろ す ネ ガ テ ィ ブ な理由と は 何

だ ろ う か 。 そ れ を 、倉部 は 「 文 学 部 だ と 学 生 が 集 ま ら な い と 大 学 側 が 考 え る か

ら 」 だ と 述 べ て い る 。 現 在 、全国 に は 100 校以上の 大 学 に 「 文 学 部 」 と い う 名

称 が残っ て い る が 、 こ れ か ら 先 は 減 り 続 け 、 増 え る こ と は殆ど な い と倉部 は 述

べ る 。 そ こ に は 、 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 に な る 」 と い う イ メ ー ジ が

あ る か ら だ と い う 。確か に 、 「 実 学 で は な い 」 と い う点で 、 文 学 部 が 就 職 活 動

に 不 利 に な る と い う話は よ く聞く話で あ る 。 事 実 、 か つ て は 企 業 側 が指定す る

学 部 ・ 学科で な い と 、 そ の 企 業 にエント リ ー が で き な い と い う こ と が あ っ た そ

う だ 。 ア メ リ カ な ど に お い て は 、 今 も そ れ が普通で あ る と い う 。 し か し 、 現 在

の 日 本 に お い て は 、 そ こ ま で極端な採用活 動 を し て い る 企 業 は 少 な い だ ろ う 。

た だ 、 こ こ最近の 流 れ と し て も資格が と れ 、 実 学 に直接的 に結びつ い た こ と が

学 べ る 大 学 が 人 気 に な っ て い る 流 れ が あ る こ と は確か で あ る 。 事 実 、最近に 新

設 さ れ た 大 学 と し て 「千葉県立保健医療大 学 」 「弘前医療福祉大 学 」 「 日 本赤

十字秋田看護大 学 」 「東都医療大 学 」 「東京有明医療大 学 」 「 大阪保健医療大

学 」 「群馬社 会福祉学 部 」 「宝塚医療大 学 」 な ど 「医療」 「福祉」 「保健」 な

ど の 文字が 目 立 つ 。 こ の よ う に 、資格が と れ 、 実 学 を 学 べ る 大 学 が 人 気 と な

り 、次々 と 新 設 さ れ て い る 流 れ を 受 け 、結果と し て 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に 不

利 」 に見え て し ま う 状 況 が 生 ま れ て し ま っ て い る の か も し れ な い 。倉部 は以上

の こ と か ら 、 大 学 側 が 文 学 部 だ と 学 生 が 集 ま ら な い と 判断し 、 「 文 学 部 」 と い

う 看 板 を お ろ す 大 学 が 増 え 、 文 学 部 が 減 り 続 け て い る と結論付け て い る 。

確か に 「 文 学 部 だ と 就 職 活 動 に お い て 不 利 に な る 」 と い う こ と は よ く聞く話

で あ る 。次節 で は 、 こ の よ う な 文 学 部 と 就 職 活 動 の関係に つ い て 、 も う 少 し詳

細に 論 じ て い き た い 。

第 4 節   文 学 部 は “ 就 活 ” に 不 利 な の か

  前 節 で は 、 文 学 部 が 減 少 の 一途を辿る 要因に つ い て 述 べ た 。倉部 は 、 文 学 部

に 学 生 が 集 ま ら ず 、 減 少 の 一途を辿る 要因と し て 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て

不 利 」 と 大 学 側 や 学 生 が 考 え て い る と い う こ と を指摘し た 。 そ れ を踏ま え 、 本

節 で は 文 学 部 と 就 職 活 動 の関係に つ い て 論 じ て い き た い と思う 。

15

Page 19: matsusemi.saloon.jpmatsusemi.saloon.jp/.../2015/01/320b64b5722fa31676… · Web view本章では、本論文の具体的な内容に入る前に、筆者が読者に念頭に置いておいて欲しい事項などを記述する。まず、第1節において筆者の問題意識や本論文の執筆に至った経緯について説明する。そして、第2節において本論文の目的と流れについて説明し、本論文のその後の展開について概説

 確か に倉部 の指摘の よ う に 、 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と い う こ と

は よ く 言 わ れ る話だ 。 で は 、 実 際 の と こ ろ は ど う な の で あ ろ う か 。

 以下 の表は 筆 者 が独自 に アンケ ー ト を収集 し た結果を 示 し た も の で あ る 。首

都圏の 大 学 出 身 者 を 対象に 、 インター ネット で匿名 アンケ ー ト を収集 し た 。 文

学 部 の 出 身 者 と 文 学 部以外 の 学 部 の 出 身 者 と を分け 、 「 あ な た は 「 文 学 部 は 就

職 活 動 に お い て 不 利 」 と い う こ と に つ い て 、(そ の真偽は 問 わ ず)聞い た こ と

が あ り ま す か?」 と い う 問 い に 対 し て得ら れ た回答の結果が以下 の通り で あ る 。

● あ な た は 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と い う こ と に つ い て 、(そ の真

偽は 問 わ ず)聞い た こ と が あ り ま す か?(文 学 部 出 身 者 を 対 象、回答合計

27 )

聞い た こ と が あ る 88.9%聞い た こ と が な い 11.1%

● あ な た は 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と い う こ と に つ い て 、(そ の真

偽は 問 わ ず)聞い た こ と が あ り ま す か?(文 学 部以外 の 学 部 の 出 身 者 を 対象、

回答合計 35 )

聞い た こ と が あ る 74.3%聞い た こ と が な い 25.7%

 以上の表か ら も分か る通り 、 文 学 部 の 出 身 者 で約 90% 、 文 学 部以外 の 学 部 の

出 身 者 で約 75% が 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と い う こ と に つ い て聞い

た こ と が あ る 、 と答え た 。 こ の結果か ら も分か る通り 、 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に

お い て 不 利 」 と い う こ と は 学 生 の 間 で も認識 さ れ て い る と い う こ と だ 。

ま た 、以下 の表 15 を 参照さ れ た い 。

15文部科学省「平成26年度学校基本調査(速報値)の公表について」より抜粋。(http://www.mext.go.jp/component/b_menu/houdou/__icsFiles/afieldfile/2014/08/07/1350732_01.pdf)2014/12/17 取得。

16

Page 20: matsusemi.saloon.jpmatsusemi.saloon.jp/.../2015/01/320b64b5722fa31676… · Web view本章では、本論文の具体的な内容に入る前に、筆者が読者に念頭に置いておいて欲しい事項などを記述する。まず、第1節において筆者の問題意識や本論文の執筆に至った経緯について説明する。そして、第2節において本論文の目的と流れについて説明し、本論文のその後の展開について概説

  こ れ は 、 文 部科学省が発表し て い る 「平成 26 年 度 学校基本調査(速報値)

の公表に つ い て 」 の 中 の 学 部 出 身 者 の分野別卒 業 生 の 状 況 を 示 し た も の で あ る 。

こ のグラフに よ る と 、 文 学 部 が属す る 人 文 の 項 目 は 「 「 一 時 的 な仕事 に 就 い た

者 」及び「進学 も 就 職 も し て い な い 者 」 」 の割合が単独の 項 目 と し て は最も高

い と い う こ と が分か る 。 ま た 、 「 正規の 職員等で な い 者 」 の割合も単独の 項 目

と し て は 3 番目 に高い 。 こ こ か ら分か る こ と は 、 文 学 部 の属す る 人 文 の 学 生 は

就 職 と い う点に お い て 、 決 し て 良 く な い 状 況 で あ る 、 と い う こ と だ 。 「 正規の

職員等」 の割合で は 、 社 会 系 や 家 政 系 と比較し て約 10% の差を つ け ら れ て し

ま っ て い る 。

 以下 の表も 筆 者 が独自 に アンケ ー ト を収集 し た結果を 示 し た も の で あ る 。首

都圏の 大 学 出 身 者 を 対象に 、 インター ネット で匿名 アンケ ー ト を収集 し た 。 文

学 部 の 出 身 者 と 文 学 部以外 の 学 部 の 出 身 者 と を分け 、 「 あ な た が 就 職 活 動 を し

て い た 時 、 何 社 の 内定を 企 業 か ら も ら い ま し た か?(内定を辞退し た 会 社 も含

め る)」 と い う 問 い に 対 し て得ら れ た回答の結果が以下 の通り で あ る 。

17

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● あ な た が 就 職 活 動 を し て い た 時 、 何 社 の 内定を 企 業 か ら も ら い ま し た か?

(内定を辞退し た 会 社 も含め る)(文 学 部 出 身 者 を 対象、回答合計 27 )

1 社 29.6%2 社 29.6%3 社 22.2%4 社 11.1%5 社 7.4%6 社 0%7 社 0%8 社以上 0%

● あ な た が 就 職 活 動 を し て い た 時 、 何 社 の 内定を 企 業 か ら も ら い ま し た か?

(内定を辞退し た 会 社 も含め る)(文 学 部以外 の 学 部 の 出 身 者 を 対象、回答合

計 35 )

2 社 28.6%1 社 22.9%3 社 22.9%4 社 11.4%5 社 5.7%8 社以上 5.7%6 社 2.9%7 社 0%

 以上の表に よ る と 、 文 学 部 出 身 者 の平均内定獲得数は約 2 社 で あ る 。 一 方 で 、

文 学 部以外 の 学 部 の 出 身 者 の平均内定獲得数は約 3 社 で あ り 、 6 社以上の 内定

を獲得し た割合も 1 割程度 存 在 す る 。

以上ま で で 論 じ て き た よ う に 、 大 学 や 学 生 の 間 に は 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お

い て 不 利 に な る 」 と い う認識 が 存 在 し た 。 文 部科学省の公表し て い る 「平成

26 年 度 学校基本調査(速報値)の公表に つ い て 」 を見て も 、 文 学 部 が属す る

人 文 系 の 学 生 は 「 「 一 時 的 な仕事 に 就 い た 者 」及び「進学 も 就 職 も し て い な い

者 」 」 の割合が単独の 項 目 と し て は最も高い と い う こ と が分か っ た 。 そ し て 、

実 際 に 、 アンケ ー ト を収集 し て も 文 学 部以外 の 学 部 出 身 者 の 方 が 文 学 部 の 出 身

者 よ り も多く の 企 業 か ら 内定を得て い る と い う こ と が分か っ た 。 こ の よ う な こ

と か ら 、 や は り 文 学 部 が 就 職 活 動 に お い て 不 利 に な る 、 と い う こ と は あ る程度

言 え る だ ろ う と推測す る 。

そ れ で は 、次節 で は 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と い う こ と に関し て 、

実 際 の 就 職データを確認す る こ と で 、 そ の真偽に つ い て検討し て い き た い 。

18

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第 5 節   文 学 部 出 身 者 の 実 際 の 就 職 状 況 に つ い て

  前 々 節 、 前 節 で は 、 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と 言 わ れ て い る こ と

に つ い て確認し た 。 大 学 や 学 生 の 間 で も 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と

認識 さ れ て お り 、 学 生 の 内定獲得数も 文 学 部 よ り 文 学 部以外 の 学 部 出 身 で あ る

ほ う が多い と 言 う こ と が分か っ た 。    

ま た 、 文 部科学省が公表し て い る 「平成 26 年 度 学校基本調査(速報値)の

公表に つ い て 」 を見て も 、 文 学 部 が属す る 人 文 系 の 学 生 は 「 「 一 時 的 な仕事 に

就 い た 者 」及び「進学 も 就 職 も し て い な い 者 」 」 の割合が単独の 項 目 と し て は

最も高い と い う こ と が分か っ た 。 先行研 究 者 の見解 か ら 考 え て も 、 や は り 「 文

学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と い う 現 実 が窺え た 。

  本 節 で は 、 大 学 の 文 学 部 の 就 職データを見る こ と で 、 実 際 の 文 学 部 の 就 職 状

況 を確認し 、 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と い う こ と が 現 実 問 題 と し て

ど れ だ け 生 じ て い る の か に つ い て検討し て い く 。

  就 職データを確認す る 大 学 は偏差値 50 を 目安と し た共学 の私立 大 学 の 文 学

部 と す る 。 な ぜ な ら 、偏差値の高い難関大 学 や女子大 学 な ど で あ れ ば 、 文 学 部

で あ る こ と以外 の 要素(ネ ームバ リュー や OBOG 等)が 就 職データに影響し て

く る か ら で あ る 。 ま た 、偏差値の 低 い 大 学 も 同 様 に 文 学 部 で あ る こ と以外 の 要

素が 就 職データに影響し て く る た め で あ る 。 そ し て 、理系 の 学 生 は 大 学院に進

学 す る割合が 文 系 の 学 生 と比較す る と圧倒的 に多い た め 、比較対象と し な い 。

よ っ て 、偏差値の 中 間 で あ る 50 前 後 の 日 本 の 文 学 部 の 就 職データを確認す る 。

な お 、偏差値は 大手予備校で あ る河合塾が編集 し て い る進学情報誌『栄冠めざ

し て』シリ ーズに準ず る 。『栄冠めざし て』に お い て 、偏差値 50 ~ 52.4(ラ

ンク⑦)の 文 学 部 が属す る 大 学 を 対象と し 、 文 学 部 の 1 学科で も こ の範囲に

入 っ て い れ ば 対象と す る 。『栄冠めざし て』に お い て 、偏差値 50 ~ 52.4(ラ

ンク⑦)の 対象と な る 文 学 部 の あ る 大 学 は國學院大學、 国士舘大 学 、駒澤大 学 、

専修大 学 、東洋大 学 、武蔵野大 学 、 明治学院大 学 、 立 正 大 学 、愛知大 学 、愛知

学院大 学 、 中京大 学 、 龍 谷 大 学 、甲南大 学 、西南学院大 学 で あ る 。 そ し て 、 こ

れ ら の 大 学 の 中 か ら 、 学 部別の詳細な 就 職データを 大 学 のホームペー ジ上に 記

載し て い る等の理由か ら 筆 者 が選定し た 専修大 学 、 明治学院大 学 、駒澤大 学 、

愛知学院大 学 、 中京大 学 、甲南大 学 のデータを確認す る 。

 以下 を 参照さ れ た い 。

専修大 学

平成 25 年 度 卒 業 生 の 就 職率 16

経営学 部 71 %

法 学 部 67 %

16・専修大学「就職データ」(http://www.senshu-u.ac.jp/support/emp/employmentdata.html)を基に筆者が作成。

19

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経済学 部 72 %

商学 部 79 %

文 学 部 62 %

ネットワー ク情報学 部 67 %

人 間科学 部 69 %

 上の表か ら も分か る通り 、 専修大 学 で最も 就 職率の高い 学 部 は商学 部 の 79%で あ り 、最も 就 職率の悪い 学 部 は 文 学 部 の 62% で あ っ た 。 そ こ に は 、 20%近く

の差が あ る 。 そ し て 、男女別だ と 、 文 学 部 の男子が 59 %、女子が 64 %と い

う結果だ っ た 。 文 学 部 は進学率も高い が 、 同 じ く進学率の高い 法 学 部 と 5 %以上の差が あ る と い う こ と は 、 文 学 部 の 就 職率の 低 さ は単に進学率が高い か ら 、

と い う理由だ け で は な さ そ う だ 。

明治学院大 学

平成 25 年 度 卒 業 生 の 就 職率 17

文 学 部 66 %

経済学 部 80 %

社 会 学 部 84 %

法 学 部 79 %

国 際 学 部 77 %

心理学 部 68 %

上の表か ら も分か る通り 、 明治学院大 学 に お い て 就 職率が最も高い 学 部 は 社

会 学 部 の 84% で あ り 、最も 低 い 学 部 は 文 学 部 の 66% で あ っ た 。 そ こ に は 、 20%近く の差が あ る 。 明治学院大 学 は 文 学 部 と 法 学 部 の進学率は 1 名 し か 変 わ ら な

い に も か か わ ら ず 、 そ の 法 学 部 は 79 %と い う 就 職率と な っ て い る 。 や は り 、

文 学 部 の 就 職率の 低 さ は単に進学率が高い か ら 、 と い う理由だ け で は な さ そ う

だ 。 ま た 、 「 一 時 的 な仕事 に 就 い た 者(卒 業 後 、パー ト 、 アルバ イ ト な ど の臨

時 的 な収入 を 目 的 と し た仕事 に 就 い た 者)」 の 人数も 文 学 部 が最も多い と い う

結果で あ っ た 。

愛知学院大 学

就 職率( 2014 年 5 月時点) 18

文 学 部 88%

17 明治学院大学「就職・進学者数」(http://www.meijigakuin.ac.jp/office/career/data/number_graduates.html)を基に筆者が作成。18 愛知学院大学「進学・就職状況」(http://www.agu.ac.jp/about/pdf/koukai/graduation2.pdf)を基に筆者が作成。

20

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心身科学 部 91%商学 部 97%経営学 部 95%法 学 部 92%総合政 策 学 部 94%

 上の表か ら も分か る通り 、愛知学院大 学 に お い て 就 職率が最も高い 学 部 は商

学 部 の 97% で あ り 、最も 低 い 学 部 は 文 学 部 の 88% で あ っ た 。 そ こ に は 、 10%近く の差が あ る 。 そ し て 、 文 学 部 だ け が唯一 9 割を切る結果と な っ て い る 。 ま た 、

「 一 時 的 な仕事 に 就 い た 者 」 の割合も 文 学 部 が最も高い と い う結果に な っ た 。

こ こ で 言 う 「 就 職率」 は 就 職希望者 に占め る 就 職 者 の割合を指し 、 就 職 者数を

就 職希望者 で除し た も の と し て い る 。 つ ま り 、進学 す る 者 を除き 、 就 職 す る 者

だ け でデータを算出 し て い る た め 、 や は り 文 学 部 の 就 職率の 低 さ が窺え る 。

中京大 学

平成 25 年 度 卒 業 生 の 就 職率 19

国 際英語学 部 98.9%国 際 教 養 学 部 97.9%文 学 部 94.2%心理学 部 95.2%法 学 部 98.1%経済学 部 95.9%経営学 部 98.6%総合政 策 学 部 98.1%現 代 社 会 学 部 97.7%スポーツ科学 部 99.5%

 上の表か ら も分か る通り 、 中京大 学 に お い て最も 就 職率の高い 学 部 は スポー

ツ科学 部 の 99.5 で あ り 、最も 低 い 学 部 は 文 学 部 の 94.2% で あ っ た 。 そ こ に は 、

5% 近く の差が あ る 。 こ の数値も 、 就 職希望者 に占め る 就 職 者 に割合で あ る た

め 、進学希望者 な ど は含ま れ て い な い 。

中京大 学 は 就 職率が 非 常 に 良 い こ と で知ら れ て お り 、全学 部 を併せた 2013年 度 の平均就 職率は 97.2% と な っ て い る 。 こ の平均就 職率よ り も 、 文 学 部 の 就

職率は 下回る結果と な っ て い る 。

甲南大 学

19 中京大学「就職実績」(http://nc.chukyo-u.ac.jp/shikaku/career_result01.html)を基に筆者が作成。

21

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平成 25 年 度 卒 業 生 の 就 職率 20

文 学 部 95.1%経済学 部 96.1%法 学 部 96.1%経営学 部 98.3%

 

上の表か ら も分か る通り 、甲南大 学 に お い て最も 就 職率の高い 学 部 は 経営学

部 の 98.3% で あ り 、最も 就 職率の 低 い 学 部 は 文 学 部 の 95.1% で あ っ た 。 そ こ に

は 、 3% 以上の差が あ る 。 こ こ で 言 う 「 就 職率」 は 就 職希望者 に占め る 就 職 者

の割合を指し 、 就 職 者数を 就 職希望者 で除し た も の と し て お り 、 「 就 職希望

者 」 は 卒 業 年 度 中 に 就 職 活 動 を行い 、 大 学等卒 業 後速や か に 就 職 す る こ と を希

望す る 者 を い い 、 卒 業 後 の進路と し て 「進学 」 「 家 事手伝い 」 「資格取得」 な

ど を希望す る 者 は含ん で い な い 。

や は り 、甲南大 学 に お い て も 文 学 部 が最も 就 職率が 低 い と い う結果に な っ た 。

駒澤大 学

平成 25 年 度 卒 業 生 の 就 職率 21

仏教 学 部 95%文 学 部 92%経済学 部 96%法 学 部 94%経営学 部 94%

 上の表か ら も分か る通り 、駒澤大 学 に お い て最も 就 職率の高い 学 部 は 経済学

部 の 96% で あ り 、最も 就 職率の 低 い 学 部 は 文 学 部 の 92% で あ っ た 。 そ こ に は 、

4% の差が あ る 。 「 一 時 的 な仕事 に 就 い た 者 」 の割合も 文 学 部 が最も高い と い

う結果に な っ た 。 こ こ で 言 う 「 就 職率」 は 就 職希望者 に占め る 就 職 者 の割合を

指し 、 就 職 者数を 就 職希望者 で除し た も の と し て い る 。

 以上ま で に 、 専修大 学 、 明治学院大 学 、愛知学院大 学 、 中京大 学 、甲南大 学 、

駒澤大 学 の 実 際 の 就 職率のデータを見た 。 そ の結果、他学 部 と比較す る と 文 学

部 の 就 職率は 低 い 、 と い う こ と が分か っ た 。 文 学 部 の 就 職率の 低 さ は進学率の

高さ が理由と い う こ と も よ く 言 わ れ る が 、 実 際 にデータを確認し た と こ ろ 、 同

じ く進学率の高い 法 学 部 に つ い て は 文 学 部 と は異な り高い 就 職率を誇っ て い る

た め 、 文 学 部 の 就 職率の 低 さ が単に進学率の高さ が理由だ と は 言 え な い だ ろ う 。

20甲南大学「就職内定状況」(http://www.adm.konan-u.ac.jp/cs/data/decision/)を基に筆者が作成。21駒澤大学「2013(平成 25)年度卒業生就職状況」(file:///C:/Users/miyashita%20takuya/Downloads/2013shushoku%20(1).pdf)を基に筆者が作成。

22

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ま た 、進学 す る 者 を除き 、 就 職希望者 に占め る 就 職 者 の割合で も 、 文 学 部 は他

学 部 と比較す る と 就 職率が 低 い と い う こ と が分か っ た 。 こ こ か ら も 、 文 学 部 の

就 職率の 低 さ が単に進学率の高さ が理由と は 言 え な い だ ろ う 。

  し か し 、 「 文 学 部 は そ こ ま で 就 職率が 低 い と 言 え る の か 」 と疑問 を 持 つ 読 者

も い る か も し れ な い 。 専修大 学 や 明治学院大 学 の 文 学 部 は他学 部 と比べ て 就 職

率は 明 ら か に 低 い が 、 中京大 学 や甲南大 学 は 文 学 部 が最も 低 い 就 職率で あ る と

は い え 、 そ の差が 大幅な も の と は 言 え な い か も し れ な い 。 し か し 、海老原 22 は

少 な く と も 「 文 学 部 は 人 気 企 業への 就 職 に 不 利 」 と 述 べ る 。 そ の こ と に つ い て

次節 で検討し て い き た い 。

第 6 節   文 学 部 は 人 気 企 業 に 就 職 で き な い

多く の 学 生 や 大 学 側 が 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と 考 え て い る 。 そ

し て 、 実 際 の 学 生 の 内定数や 国 のデータを見て も 、 そ れ は 明 ら か で あ る 。 そ こ

で 、 大 学 が発表し て い る 就 職率のデータを確認し た と こ ろ 、確か に 文 学 部 は他

学 部 と比較し て 就 職率が 低 く 、 「 一 時 的 な仕事 に 就 い た 者 」 の割合は最も高く 、

「 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と 言 え る 状 況 が浮かび上が っ て き た 。 し か し 、 前 節

の 末尾で も 述 べ た よ う に 、 「 文 学 部 は そ こ ま で 就 職率が 低 い と 言 え る の か 」 と

疑問 を 持 つ 読 者 も い る か も し れ な い 。 専修大 学 や 明治学院大 学 の 文 学 部 は他学

部 と比べ て 就 職率は 明 ら か に 低 い が 、 中京大 学 や甲南大 学 は 文 学 部 が最も 低 い

就 職率で あ る と は い え 、 そ の差が 大幅な も の と は 言 え な い か も し れ な い 。 し か

し 、海老原 23 は 少 な く と も 「 文 学 部 は 人 気 企 業への 就 職 に 不 利 」 と 述 べ る 。

大手メ ー カ ー を 経 て 、 リ クルー トエー ジェント に 入 社 し 、 人 事制度 設計な ど

に携わ っ た 後 、 人 事 ・ 経営誌「 HRmics 」 の編集長な ど を務め て い る海老原 24

は著書の 中 で 「 文 学 部 は 人 気 企 業への 就 職 に 不 利 」 と 述 べ る 。特に 、 文 学 部女

子に多い 一般職 就 職 の道が ほ と ん ど 存 在 し な い 文 学 部男子に関し て は 「 か な り

厳し い 」 と 述 べ て い る 。 一般的 に 、 就 職 活 動 に強い と 言 わ れ て い る慶應義塾大

学 の 文 学 部 の 学 生 で あ っ て も 、 法 学 部 、商学 部 、 経済学 部 な ど の他の 学 部 と比

較す る と 、 「 人 気 企 業 ランキング上位 100 社 」への 就 職率は 社 会科学 系 と比較

し て 6 分の 1 程度 だ 。 さ ら に 、 一般職 が な い 文 学 部 の男子学 生 のみに しぼる と 、

金融系 の 人 気 企 業 で あ れ ば 、 100 分の 1 程度 の 就 職率に な っ て し ま う 。 同 様 の

比較を早稲田大 学 で行う と 、 さ す が に こ こ ま で の 開 き は な い が 、 そ れ で も 文 学

部 の 学 生 は他学 部 の 学 生 に比べ て 、 人 気 企 業への 就 職率が き わ め て 低 い 。早稲

田大 学 と慶應義塾大 学 の 学 生 1000 人当た り の 人 気 企 業 100 社 の 就 職数(男

子)は す べ て の 業界を合わせて も 、 文 学 部 は 8% 程度 し か 就 職 で き て お ら ず 、

文 学 部 の次に数字の悪い 教 育 学 部 と比べ て も 、約半分の数字で あ り 、 非 常 に厳

し い結果と な っ て い る 。

さ ら に 、 「 文 学 部志望者 は 、 一般企 業への 就 職 を そ れ ほ ど 考 え て い な い 。 だ

22 海老原嗣生『偏差値・知名度ではわからない 就職に強い大学・学部』、朝日新聞出版、2012 年。23 同上。24 同上。

23

Page 27: matsusemi.saloon.jpmatsusemi.saloon.jp/.../2015/01/320b64b5722fa31676… · Web view本章では、本論文の具体的な内容に入る前に、筆者が読者に念頭に置いておいて欲しい事項などを記述する。まず、第1節において筆者の問題意識や本論文の執筆に至った経緯について説明する。そして、第2節において本論文の目的と流れについて説明し、本論文のその後の展開について概説

か ら 、 ハ イ テ ク メ ー カ ー や 金融や商社 な ど は志望し な い か ら 、 は な か ら数字が

低 く て当然だ 」 と い う反論 に 対 し て も 、海老原 25 は以下 の よ う に 述 べ る 。

「早稲田大 学 で は 卒 業 生 の最終進路を 、 学 部別・男女別に 、全員分を 業界別

に分類し た上で発表し て い る 。 こ のデータを も と に 、各学 部 の男子の 、最終就

職 先 を 業界別に見れ ば 、果た し て 文 学 部 が 、 金融や ハ イ テ ク メ ー カ ー に 就 職 し

て い な い か ど う か が わ か る 。(中略)確か に 文 学 部(人 文 系)の 就 職 先 と し て 、

金融や ハ イ テ ク メ ー カ ー や商社 は比率が や や 低 い 。 た だ 、 そ の数字は他学 部 と

比べ て異常 に 低 い わ け で は な く 、半分以上の数字と な っ て い る 。 」

こ こ か ら分か る こ と は 、 文 学 部 の 学 生 も 金融や ハ イ テ ク メ ー カ ー や商社 な ど

に 就 職 し よ う と し て い る が 、 人 気 企 業 に は 就 職 で き な い 、 あ る い は 就 職 自 体 で

き な い 、 と い う こ と で あ る 。海老原は 、 文 学 部 は 就 職 で き た と し て も 不 人 気 企

業 に 就 職 す る ケ ー ス が多い と 述 べ て お り 、 こ の よ う な指摘か ら も 、 「 文 学 部 は

就 職 活 動 に お い て 不 利 」 「 文 学 部 は 人 気 企 業 に 就 職 で き な い 」 と い う構図が浮

かび上が っ て き た 。

そ れ で は 、 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 「 文 学 部 は 人 気 企 業 に 就 職 で

き な い 」 と い う 状 況 は ど う し て起こ っ て し ま う の だ ろ う か 。 筆 者 は こ れ に 対 し 、

文 学 部 の 就 職率が 低 い 、 あ る い は 人 気 企 業 に 就 職 しづら い 一 要因は 企 業 が 大 学

に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点を 文 学 部 の 学 生 が達成 で

き て い な い か ら だ と 考 え る 。 そ し て 、 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る た め

に 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育 が必要 な の で は な い か 、 と い う主張を し た い 。

 次章 で は 、 文 学 部 の 就 職率が 低 い 、 あ る い は 人 気 企 業 に 就 職 しづら い 一 要因

は 企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点を 文 学 部 の

学 生 が達成 で き て い な い か ら だ と 考 え 、 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る た

め に 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育 が必要 な の で は な い か 、 と い う 筆 者 の主張に つ

い て検討し て い く 。

● 第 3 章   文 学 部 生 のキャリア意 識

  本 章 で は 、 第 1 章 と 第 2 章 の 内 容 を踏ま え 、 筆 者 は 文 学 部 の 就 職率が 低 い 、

あ る い は 人 気 企 業 に 就 職 しづら い 一 要因は 企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の

キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点を 文 学 部 の 学 生 が達成 で き て い な い か ら だ と 考 え 、

そ し て 、 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る た め に 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育

が必要 な の で は な い か 、 と い う 筆 者 の主張に つ い て検討し て い く 。

第 1 節   こ こ ま で の 流 れ

  筆 者 は 文 学 部 不 要 論 に 対 し て 、 問 題 意 識 を 持 っ て い る 。 実 際 に 、 日 本 の 大 学

で は 文 学 部 の 看 板 を お ろ す 大 学 が 増 え 、 文 学 部 が 新 設 さ れ る こ と も ほ と ん ど な

25 同上。24

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い 。 文 学 部 で行う 学 問 で あ る 人 文 学 を 専 攻 す る 学 生 も右肩下 が り に 減 り 続 け て

い る 。 し か し 、 文 学 部 で行う 学 問 で あ る 人 文 学 は 非 常 に 意 義 の あ る 学 問 で あ る 。

そ れ に も か か わ ら ず 、 文 学 部 不 要 論 に よ っ て 、 文 学 部 が 日 本 か ら姿を消し て い

く こ と は嘆か わ し い 。

そ し て 、 こ の よ う に 文 学 部 が 減 少 の 一途を辿る 要因の 1 つ と し て 先行研 究 者

で あ る倉部 は 大 学 や 学 生 が 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 に な る 」 と 考 え て

い る か ら だ と 述 べ た 。 実 際 に 筆 者 が アンケ ー ト を 取 っ てみて も 、多く の 学 生

(な い し は 卒 業 生)が 「 文 学 部 就 職 活 動 に お い て 不 利 に な る 」 と い う こ と に つ

い て聞い た こ と が あ る 、 と い う こ と が分か っ た 。 実 際 に 、 学 生(な い し は 卒 業

生)の 内定獲得数を アンケ ー ト で調査し た と こ ろ 、 文 学 部 出 身 者 よ り も 文 学 部

以外 の 学 部 出 身 で あ る 方 が多か っ た 。 ま た 、 文 部科学省が発表し て い る 「平成

2 6 年 度 学校基本調査(速報値)の公表に つ い て 」 の 中 の 学 部 出 身 者 の分野別

卒 業 生 の 状 況 を見て も 、 文 学 部 が属す る 人 文 の 項 目 は 「 「 一 時 的 な仕事 に 就 い

た 者 」及び「進学 も 就 職 も し て い な い 者 」 」 の割合が単独の 項 目 と し て は最も

高く 、 「 正規の 職員等で な い 者 」 の割合も単独の 項 目 と し て は 3 番目 に高い 、

と い う こ と が分か っ た 。 そ し て 、 実 際 の 大 学 の 就 職 状 況 を確認し てみて も 、 文

学 部 の 就 職率は他学 部 と比べ て 低 い 、 と い う こ と が分か っ た 。 ま た 、 文 学 部 は

人 気 企 業への 就 職 が しづら い 、 と い う 現 状 も分か っ た 。

筆 者 は こ れ に 対 し て 、 文 学 部 の 就 職率が 低 い 、 あ る い は 人 気 企 業 に 就 職 しづ

ら い 一 要因は 企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点

を 文 学 部 の 学 生 が達成 で き て い な い か ら だ と 考 え る 。 そ し て 、 文 学 部 生 の キ ャ

リ ア 意 識 を 涵 養 す る た め に 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育 が必要 な の で は な い か 、

と い う主張を し た い 。以下 よ り 、 そ の 筆 者 の主張に つ い て検討し て い く 。

第 2 節   企 業 が 大 学 に 求 め る こ と は 何 か

  本 節 で は 筆 者 の 提 言 、主張に つ い て検討し て い く 。 筆 者 は 文 学 部 の 就 職率が

低 い 、 あ る い は 人 気 企 業 に 就 職 しづら い 一 要因は 企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ と

の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点を 文 学 部 の 学 生 が達成 で き て い な い か ら だ

と 考 え る 。 そ し て 、 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る た め に 文 学 部独自 の

キ ャ リ ア 教 育 が必要 な の で は な い か 、 と い う主張を し た い 。

  そ れ で は 、 企 業 が 大 学 の 側 に 求 め て い る こ と と は 何 だ ろ う か 。 企 業 の 側 が ど

の よ う な こ と を 大 学 の 側 に 求 め て い る の か を 示 し た い 。 そ の指標と し て 、平成

1 6 年 度 に 実施さ れ た 日 本 経済団体連合会 の 「 企 業 の 求 め る 人材像アンケ ー ト

結果」 を指標と し て 参 考 に す る 。 こ の アンケ ー ト は平成 2 4 年 3月7日 に行わ

れ た 中央教 育審議会 大 学分科会 大 学 教 育 部 会(第 1 1回)の 参 考資料と し て も

用い ら れ た も の で も あ る 。 本 論 文 で は 、 文 学 部 の 就 職率に関し て議論 を し て い

る 。 そ の た め 、 企 業 が採用時 に 学 生個人 に 求 め る資質を 問 う アンケ ー ト で は な

く 、 企 業 が 大 学 側 に 何 を 求 め て い る の か が調査さ れ た こ の アンケ ー ト を用い る 。

 以下 の表を 参照さ れ た い 26 。

26 日本経済団体連合会「平成 16 年度企業の求める人材像アンケート結果」より抜粋。25

Page 29: matsusemi.saloon.jpmatsusemi.saloon.jp/.../2015/01/320b64b5722fa31676… · Web view本章では、本論文の具体的な内容に入る前に、筆者が読者に念頭に置いておいて欲しい事項などを記述する。まず、第1節において筆者の問題意識や本論文の執筆に至った経緯について説明する。そして、第2節において本論文の目的と流れについて説明し、本論文のその後の展開について概説

   こ れ は 、 日 本 経済団体連合会 に加盟し て い る 1314 社 の う ち の 684 社 が 人材

育 成 の 面 で の 大 学 ・ 大 学院への 期待(文 系)に つ い て回答し た アンケ ー ト結果

で あ る 。 企 業 が最も 大 学 の 側 に 期待し て い る こ と は 「知識 や情報を 集 め て 自分

の 考 え を 導 き 出 す訓練を す る こ と 」 、 2 番目 に 期待し て い る こ と が 「理論 に加

え て 、 実 社 会 と の つ な が り を 意 識 し た 教 育 を行う こ と 」 、 3 番目 に 期待し て い

る こ と が 「 専門分野の知識 を 学 生 に し っ か り 身 に付け させる こ と 」 、 4 番目 に

期待し て い る こ と が 「チームを組ん で特定の 課 題 に 取 り組む経験を させる こ

と 」 、 5 番目 に 期待し て い る こ と が 「 専門分野に関連す る他領 域 の基礎知識 も

身 に付け させる こ と 」 、 6 番目 に 期待し て い る こ と が 「 教 養 教 育(リベラル・

ア ーツ)を通じ て 学 生 の知識 の世界を広げ る こ と 」 、 7 番目 に 期待し て い る こ

と が 「 国 際コミュニケ ーション能力、異文 化理解能力を高め る こ と 」 、 8 番目

に 期待し て い る こ と が 「ディベー ト 、プレゼンテ ーションの訓練を行う こ と 」 、

9 番目 に 期待し て い る こ と が 「 職 業観醸成 に つ な が るプログラムを も つ こ と 」 、

10 番目 に 期待し て い る こ と が 「 実践重視の 実務に 役 立 つ 教 育 を行う こ と 」 、

11 番目 に 期待し て い る こ と が 「 専門知識 を 学ぶ目 的 を理解 させる た め のプロ

グラムを も つ こ と 」 、 12 番目 に 期待し て い る こ と が 「 そ の他」 と い う結果に

な っ た 。

  そ し て 、 筆 者 は 日 本 経済団体連合会 の 「 企 業 の 求 め る 人材像アンケ ー ト結

果」 を 2 つ の観点に独自 に分類し た 。 「 ア カデミック な観点」 と 「 キ ャ リ ア 意

識 を 涵 養 す る観点」 の 2 つ で あ る 。以下 の表 27 を 参照さ れ た い 。

(http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2013/05/30/1335605_001_7.pdf)27 筆者が作成。

26

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 以上を 筆 者 は 企 業 が 大 学 側 に 期待す る ア カデミック な観点で あ る と分類す る 。

学 問 と し て し て の知識 を 学 生 に し っ か り と 身 に つ け させる こ と 、 こ れ を 企 業 が

大 学 側 に 期待す る ア カデミック な観点で あ る と 筆 者 は 考 え る 。

  ま た 、以下 の表 28 を 参照さ れ た い 。

 以上を 筆 者 は 企 業 が 大 学 側 に 期待す る キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点で あ る と

分類す る 。 実 社 会 と の つ な が り を 意 識 し た 実務に 役 立 つ こ と を 教 え 、 学 生 の

キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る こ と 、 こ れ を 企 業 が 大 学 側 に 期待す る キ ャ リ ア 意 識 を

涵 養 す る観点で あ る 、 と 筆 者 は 考 え る 。

  こ の よ う に 、 筆 者 は 日 本 経済団体連合会 の 「 企 業 の 求 め る 人材像アンケ ー ト

結果」 の 中 に お け る 大 学 ・ 大 学院への 期待(文 系)に つ い て回答し た アンケ ー

ト結果を 「 ア カデミック な観点」 と 「 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点」 の 2 つ の

観点に分類し た 。

  そ れ で は 、 実 際 の 文 学 部 の 出 身 者 は こ れ に 応 え ら れ て い る の だ ろ う か 。 す な

わ ち 、 企 業 が 大 学へ期待し て い る こ と に 対 し 、 文 学 部 は 学 生 や 出 身 者 た ち に ど

れ だ け反映させ、 身 に つ け させら れ て い る の だ ろ う か 。 そ の こ と に つ い て 、次

節 で は確認し て い く 。

第 3 節   文 学 部 は 企 業 が 求 め る こ と に 応 え ら れ て い る の か

  筆 者 は 文 学 部 の 就 職率が 低 い 、 あ る い は 人 気 企 業 に 就 職 しづら い 一 要因は 企

28 筆者が作成。27

【アカデミックな観点】・専門分野の知識を学生にしっかり身につけさせること・教養教育(リベラル・アーツ)を通じて学生の知識の世界を広げること・専門分野に関連する他領域の基礎知識も身につけさせること・知識や情報を集めて自分の考えを導き出す訓練をすること・専門知識を学ぶ目的を理解させるためのプログラムをもつこと

【キャリア意識を涵養する観点】・チームを組んで特定の課題に取り組む経験をさせること・ディベート、プレゼンテーションの訓練を行うこと・国際コミュニケーション能力、異文化理解能力を高めること・理論に加えて、実社会とのつながりを意識した教育を行うこと・実践重視の実務に役立つ教育を行うこと・職業観醸成につながるプログラムをもつこと

Page 31: matsusemi.saloon.jpmatsusemi.saloon.jp/.../2015/01/320b64b5722fa31676… · Web view本章では、本論文の具体的な内容に入る前に、筆者が読者に念頭に置いておいて欲しい事項などを記述する。まず、第1節において筆者の問題意識や本論文の執筆に至った経緯について説明する。そして、第2節において本論文の目的と流れについて説明し、本論文のその後の展開について概説

業 が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点を 文 学 部 の 学 生

が達成 で き て い な い か ら だ と 考 え る 。 そ し て 、 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養

す る た め に 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育 が必要 な の で は な い か 、 と い う主張を検

討す る た め に 、 企 業 が 大 学 側 に 求 め て い る こ と は 何 か を 示 し た 。 そ の指標と し

て 、平成 1 6 年 度 に 実施さ れ た 日 本 経済団体連合会 の 「 企 業 の 求 め る 人材像ア

ンケ ー ト結果」 を用い た 。 そ の結果は 、 企 業 が最も 大 学 の 側 に 期待し て い る こ

と は 「知識 や情報を 集 め て 自分の 考 え を 導 き 出 す訓練を す る こ と 」 、 2 番目 に

期待し て い る こ と が 「理論 に加え て 、 実 社 会 と の つ な が り を 意 識 し た 教 育 を行

う こ と 」 、 3 番目 に 期待し て い る こ と が 「 専門分野の知識 を 学 生 に し っ か り 身

に付け させる こ と 」 、 4 番目 に 期待し て い る こ と が 「チームを組ん で特定の 課

題 に 取 り組む経験を させる こ と 」 、 5 番目 に 期待し て い る こ と が 「 専門分野に

関連す る他領 域 の基礎知識 も 身 に付け させる こ と 」 、 6 番目 に 期待し て い る こ

と が 「 教 養 教 育(リベラル・ ア ーツ)を通じ て 学 生 の知識 の世界を広げ る こ

と 」 、 7 番目 に 期待し て い る こ と が 「 国 際コミュニケ ーション能力、異文 化理

解能力を高め る こ と 」 、 8 番目 に 期待し て い る こ と が 「ディベー ト 、プレゼン

テ ーションの訓練を行う こ と 」 、 9 番目 に 期待し て い る こ と が 「 職 業観醸成 に

つ な が るプログラムを も つ こ と 」 、 10 番目 に 期待し て い る こ と が 「 実践重視

の 実務に 役 立 つ 教 育 を行う こ と 」 、 11 番目 に 期待し て い る こ と が 「 専門知識

を 学ぶ目 的 を理解 させる た め のプログラムを も つ こ と 」 、 12 番目 に 期待し て

い る こ と が 「 そ の他」 と い う結果に な っ た 。 そ し て 、 筆 者 は そ の結果を 「 ア カ

デミック な観点」 と 「 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点」 の 2 つ の観点に独自 に分

類し た 。 学 問 と し て の知識 を 学 生 に し っ か り と 身 に つ け させる こ と を 求 め た

「 ア カデミック な観点」 と 実 社 会 と の つ な が り を 意 識 し た 実務に 役 立 つ こ と を

教 え 、 学 生 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る こ と を 求 め た 「 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る

観点」 の 2 つ の観点で あ る 。

  そ れ で は 、 実 際 の 文 学 部 の 出 身 者 は こ れ に 応 え ら れ て い る の だ ろ う か 。 す な

わ ち 、 企 業 が 大 学へ期待し て い る こ と に 対 し 、 文 学 部 は 学 生 や 出 身 者 た ち に ど

れ だ け反映させ、 身 に つ け させら れ て い る の だ ろ う か 。 そ の こ と に つ い て 、 本

節 で は検討し て い く 。

 以下 のグラフは 筆 者 が独自 に行っ た アンケ ー ト調査の結果で あ る 。全国 の 文

学 部 出 身 者 に 対 し て インター ネット を通し た匿名 の アンケ ー ト調査を行っ た 。

「 あ な た が 文 学 部 の 学 生 と し て 、最も 「 出来た 」 と 考 え る こ と は 何 で す か 」 と

い う 問 い に 対 し て 、回答の選択肢は 日 本 経済団体連合会 の 「 企 業 の 求 め る 人材

像アンケ ー ト結果」 の 大 学 ・ 大 学院への 期待(文 系)に つ い て回答し た アン

ケ ー ト結果を基に 「 専門分野の知識 を 学 生 に し っ か り 身 に つ け る こ と 」 「 教 養

教 育(リベラル・ ア ーツ)を通じ て知識 の世界を広げ る こ と 」 「 専門分野に関

連す る他領 域 の基礎知識 も 身 に つ け る こ と 」 「知識 や情報を 集 め て 自分の 考 え

を 導 き 出 す訓練を す る こ と 」 「チームで特定の 課 題 に 取 り組む経験を す る こ

と 」 「ディベー ト やプレゼンテ ーションの訓練を す る こ と 」 「 国 際コミュニ

28

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ケ ーション能力、異文 化理解 を高め る こ と 」 「理論 に加え て 、 実 社 会 と の つ な

が り を 意 識 す る こ と 」 「 実践重視の 実務に 役 立 つ こ と を 学ぶこ と 」 「 専門知識

を 学ぶ目 的 を理解 させるプログラムを 受 け る こ と 」 「 職 業観醸成 に つ な が るプ

ログラムを 受 け る こ と 」 と い う選択肢を用い る 。 前 節 で 筆 者 が分類し た ア カデ

ミック な観点、 あ る い は キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点の そ れぞれ に ど れ だ け 文

学 部 、 そ し て 文 学 部 の 出 身 者 は 応 え ら れ て い る の だ ろ う か 。

  こ の アンケ ー ト の結果が以下 の通り で あ る 29 。

29 アンケートの結果を基に筆者が作成。29

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専門分野の知識をしっかりと身につけること

知識や情報を集めて自分の考えを導き出す訓練をすること

教養教育(リベラル・アーツ)を通じて知識の世界を広げること

専門分野に関連する他領域の基礎知識も身につけること

ディベートやプレゼンテーションの訓練をすること

チームで特定の課題に取り組む経験をすること

その他

国際コミュニケーション能力、異文化理解能力を高めること

理論に加えて実社会とのつながりを意識すること

実践重視の実務に役立つことを学ぶこと

専門知識を学ぶ目的を理解させるプログラムを受けること

職業観醸成につながるプログラムを受けること

0 5 101520253035

あなたは文学部の学生として、最も「出来た」と考えることは何ですか。

あなたは文学部の学生として、最も「出来た」と考えることは何ですか。

 (回答合計:1 47人)

  アンケ ー ト の結果は以上の通り で あ る 。 文 学 部 出 身 者 が最も 「 出来た 」 と 考

え て い る こ と は 「 専門分野の知識 を し っ か り と 身 に つ け る こ と( 30.6% )」 で

30

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あ る 。 文 学 部 出 身 者 が 「 出来た 」 と 考 え て い る こ と の 中 で 2 番目 に多い こ と が

「知識 や情報を 集 め て 自分の 考 え を 導 き 出 す訓練を す る こ と( 16.3% )」 で あ

る 。 3 番目 に多い の が 「 教 養 教 育(リベラル・ ア ーツ)を通じ て知識 の世界を

広げ る こ と( 14.3% )」 で あ る 。 そ し て 、 「 専門分野に関連す る他領 域 の基礎

知識 も 身 に つ け る こ と( 8.2% )」 「ディベー ト やプレゼンテ ーションの訓練

を す る こ と( 8.2% )」 「チームで特 定の 課 題 に 取 り組む経 験を す る こ と

( 6.8% )」 「 そ の他( 4.1% )」 「 国 際コミュニケ ーション能力、異文 化理

解能力を高め る こ と( 3.4% )」 「理論 に加え て 実 社 会 と の つ な が り を 意 識 す

る こ と( 3.4% )」 「 実践重視の 実務に 役 立 つ こ と を 学ぶこ と( 2.7% )」

「 専門知識 を 学ぶ目 的 を理解 させるプログラムを 受 け る こ と( 1.4% )」 「 職

業観醸成 に つ な が るプログラムを 受 け る こ と( 0.7% )」 と 続 く 。

  こ こ か ら分か る こ と は上位4位(「 専門分野の知識 を し っ か り と 身 に つ け る

こ と( 30.6% )」 「知識 や情報を 集 め て 自分の 考 え を 導 き 出 す訓練を す る こ と

( 16.3% )」 「 教 養 教 育(リベラル・ ア ーツ)を通じ て知識 の世界を広げ る こ

と( 14.3% )」 「 専 門分 野に関連す る他領 域 の基礎 知識 も 身 に つ け る こ と

( 8.2% )」)が 「 ア カデミック な観点」 の選択肢で あ る 、 と い う こ と だ 。上

位4位だ け で約7割を占め る 。特に 、 「 企 業 の 求 め る 人材像アンケ ー ト結果」

の 中 で 2 番目 に数値の高い 「理論 に加え て 実 社 会 と の つ な が り を 意 識 す る こ

と 」 や 4 番目 に数値の高い 「チームで特定の 課 題 に 取 り組む経験を す る こ と 」

に関し て は 、 実 際 の 文 学 部 出 身 者への アンケ ー ト結果と 大 き なギャップが あ る

と い う こ と が分か っ た 。

畢竟す る に 、 日 本 経済団体連合会 の 「 企 業 の 求 め る 人材像アンケ ー ト結果」

の 中 に お け る 大 学 ・ 大 学院への 期待(文 系)に つ い て回答し た アンケ ー ト結果

を 「 ア カデミック な観点」 と 「 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点」 の 2 つ の観点に

筆 者 は分類し た が 、 「 ア カデミック な観点」 を 「 出来た 」 と 考 え る 文 学 部 出 身

者 が合計で 70.8% で あ る の に 対 し 、 「 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点」 を 「 出来

た 」 と 考 え る 文 学 部 出 身 者 は合計で 25.2% と 3 割を切る と い う結果に な っ た 。

  こ の結果を ま と め た も の 30 が以下 の通り で あ る 。

【「 ア カデミック な観点」 を最も 出来た と 考 え る 文 学 部 出 身 者】

30 筆者がアンケート結果を基に作成。31

「専門分野の知識をしっかりと身につけること(30.6%)」「知識や情報を集めて自分の考えを導き出す訓練をすること(16.3%)」

「教養教育(リベラル・アーツ)を通じて知識の世界を広げること(14.3%)」「専門分野に関連する他領域の基礎知識も身につけること(8.2%)」

「専門知識を学ぶ目的を理解させるプログラムを受けること(1.4%)」

⇒ 合計 70.8 %

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【「 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点」 を最も 出来た と 考 え る 文 学 部 出 身 者】

【「 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点」 を最も 出来た と 考 え る 文 学 部 出 身 者】

 

こ こ か ら分か る こ と は 、 企 業 が 大 学 側 に 期待し て い る こ と に 対 し 、 文 学 部 は

学 問 と し て の知識 を 学 生 に し っ か り と 身 に つ け させる ア カデミック観点を 文 学

部 出 身 者 に 対 し て 身 に つ け させら れ て い る 一 方 で 、 実 社 会 と の つ な が り を 意 識

し た 実務に 役 立 つ 、 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点は 文 学 部 出 身 者 に 対 し て あ ま

り 身 に つ け させら れ て い な い 、 と い う こ と で あ る 。 企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ

と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点を 文 学 部 の 学 生 が達成 で き て い な い と い

う こ と だ 。延い て は 、 文 学 部 の 学 生 は キ ャ リ ア 意 識 が 低 い 、 と い う こ と に も な

る 。 筆 者 は こ れ が 文 学 部 の 就 職率が 低 い 、 あ る い は 人 気 企 業 に 就 職 しづら い 一

要因で あ る と 考 え る 。 こ れ に 対 し 、 筆 者 は 文 学 部 の 学 生 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養

す る た め に 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育 が必要 な の で は な い か 、 と 考 え る 。 キ ャ

リ ア 意 識 の 低 い 文 学 部 の 学 生 に は キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る独自 の 取 り組み、

キ ャ リ ア 教 育 が必要 で あ る と 筆 者 は 考 え る 。

 次章 に お い て は 、 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意 識 を い か に し て 涵 養 し て い く の か 、

と い う こ と に つ い て検討し て い く 。

● 第 4 章   文 学 部 生 のキャリア意 識 をいかにして涵 養 していくのか

  本 章 で は 、 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意 識 を い か に し て 涵 養 し て い く の か 、 と い う

こ と に つ い て検討し て い く 。

  前 章 で は 、 文 学 部 の 就 職率が 低 い 、 あ る い は 人 気 企 業 に 就 職 しづら い 一 要因

は 企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点を 文 学 部 の

学 生 が達成 で き て い な い か ら だ と 考 え る 筆 者 の主張に基づき アンケ ー ト調査を

行っ た 。 そ の結果、 企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の ア カデミック な観点を

32

「ディベートやプレゼンテーションの訓練をすること(8.2%)」「チームで特定の課題に取り組む経験をすること(6.8%)」

「国際コミュニケーション能力、異文化理解能力を高めること(3.4%)」「理論に加えて実社会とのつながりを意識すること(3.4%)」

「実践重視の実務に役立つことを学ぶこと(2.7%)」「職業観醸成につながるプログラムを受けること(0.7%)」

⇒合計25.2%

Page 36: matsusemi.saloon.jpmatsusemi.saloon.jp/.../2015/01/320b64b5722fa31676… · Web view本章では、本論文の具体的な内容に入る前に、筆者が読者に念頭に置いておいて欲しい事項などを記述する。まず、第1節において筆者の問題意識や本論文の執筆に至った経緯について説明する。そして、第2節において本論文の目的と流れについて説明し、本論文のその後の展開について概説

最も 「 出来た 」 と 考 え る 文 学 部 の 学 生 は約7割存 在 す る に も か か わ ら ず 、 企 業

が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点を最も 「 出来た 」

と 考 え る 文 学 部 の 学 生 は 3 割を切る 、 と い う結果に な っ た 。 つ ま り は 、 企 業 が

大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点を 文 学 部 の 学 生 が達

成 で き て い な い 、 と い う こ と に な る 。延い て は 、 文 学 部 の 学 生 は キ ャ リ ア 意 識

が 低 い 、 と い う こ と に も な る 。 こ の こ と が 文 学 部 の 就 職率の 低 さ と 人 気 企 業へ

の 就 職 の しづら さ の 一 要因に な っ て い る と 筆 者 は 考 え る 。 こ れ に 対 し 、 筆 者 は

文 学 部 の 学 生 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る た め に 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育 が必

要 な の で は な い か 、 と 考 え る 。

  本 章 で は 、 日 本 国 内 に お い て 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育 、 文 学 部 の 学 生 の

キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る た め の 教 育 を行っ て い る 文 学 部 に つ い て 、 そ の 取 り組

みを紹介し 、 参 考 に し て い く 。

第 1 節   法 政 大 学 文 学 部 の 事 例

  本 節 で は 法 政 大 学 文 学 部 の行っ て い る 取 り組みに つ い て紹介し て い く 。

  日 本 で も有数の規模を誇る 法 政 大 学 。 そ の 法 政 大 学 が 2011 年 度 か ら 「 文 学

部 生 の キ ャ リ ア 形 成 」 と い う授業 を 文 学 部共通科目 の 中 に 設 置 し て い る 。 こ の

講 義 は 、他学 部 に比べ て 就 職への 意 識 が薄く 、 キ ャ リ ア 意 識 が 低 い と 言 わ れ る

文 学 部 生 の た め に 、 社 会 に 出 て働く こ と の 意 義 を 学ぶと共に 、 大 学 生 の 間 に 何

を す べ き か に つ い て 考 え る機会 と す る た め に 設 置 さ れ た も の で あ る 。 法 政 大 学

の 文 学 部 を 卒 業 し 、 社 会 で 活躍し て い る 社 会 人 をゲス ト 講師と し て迎え 、 そ の

業界の 動向や仕事 に関す る 様 々 な 体験談を話し て も ら う 。 そ の よ う な話を通し

て 、 文 学 部 の 学 生 が 自 ら の 人 生 の 中 で の 「働く こ と 」 の 意 義 ・位置づけ( =キ ャ リ ア)を熟考 し 、 大 学 生 の 間 に 何 を す べ き か に つ い て 考 え る機会 と す る の

が 、 こ の 「 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 形 成 」 と い う授業 で あ る 。 ま た 、 こ の授業 は 事

前 に そ れぞれ の 業種や資格の 概 要 に つ い て調べ て く る こ と(い わゆる 業界研

究)を促し て お り 、 そ う い っ た 意味で も 、 文 学 部 の 学 生 の キ ャ リ ア 意 識 を 育 て

る効果が あ る 。 こ の授業 は 、 就 業力に関連す る 「総合的 」 な能力、 キ ャ リ ア

意 識 を 涵 養 す る効果が あ る 。他学 部 の 学 生 の 受 講 は認め ら れ ず 、 文 学 部 の 学 生

の た め だ け に 開 か れ た 講 義 で あ る 。

「 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 形 成 」 で は 、毎回、 文 学 部 の 学 生 た ち は授業 内 に小レ

ポー ト を 提 出 す る 。 ま た,学 期 末 に は全体 の テ ーマに関わ るレポー ト を 提 出 す

る 。 法 政 大 学 の 文 学 部 の 中 で も 非 常 に 人 気 の 講 義 と な っ て お り 、 2012 年 度 に

は 140 名 の 受 講 者 を 集 め た 。

  こ の 「 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 形 成 」 で は 、授業 の到達目標を以下 の よ う に定め

て い る 。

 ①人 生 の 中 で 「働く こ と 」 の 意 義 に つ い て 、多角的 な視点か ら 考 え る こ と が

で き る 。

 ②自 ら の 目指す 「働き 方 」 を達成 す る た め に 、 ど の よ う な力が必要 に な る か

33

Page 37: matsusemi.saloon.jpmatsusemi.saloon.jp/.../2015/01/320b64b5722fa31676… · Web view本章では、本論文の具体的な内容に入る前に、筆者が読者に念頭に置いておいて欲しい事項などを記述する。まず、第1節において筆者の問題意識や本論文の執筆に至った経緯について説明する。そして、第2節において本論文の目的と流れについて説明し、本論文のその後の展開について概説

を理解 す る 。

 ③将来の ラ イフプランを描く こ と が で き る 。

 毎回、 様 々 な 卒 業 生 がゲス ト 講師と し て 文 学 部 の 学 生 た ち に 講 義 を行っ て い

る 。 実 際 の 法 政 大 学 文 学 部 の 卒 業 生 がゲス ト 講師と し て招聘す る こ と で 、 受 講

生 の 中 に は 、 「将来、 こ の 講 義 にゲス ト 講師と し て呼ば れ 、 後輩の た め に 自分

が得た 経験を話し て あ げ ら れ る よ う頑張り た い 」 と 述 べ る 学 生 も お り 、 非 常 に

刺激的 な 時 間 に な っ て い る 様子だ 。

 以下 の表 31 は 「 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 形 成 」 の 、 と あ る 年 度 の授業計画で あ る 。

【授業計画】

回 テ ーマ 内 容

第 1 回 導 入 ガ イダンス(授業 の 目

的 と進め 方 、評価方 法

な ど の 説 明)と 「 ラ イ

フプラン」

第 2回 ゲ ス ト 講 師 の 講 演

(1)

宿泊業(ホテル、 事務

部門)

第 3回 ゲ ス ト 講 師 の 講 演

(2)

NPO・地域団体 の運営

マネ ジ メント支援

第 4回 ゲ ス ト 講 師 の 講 演

(3)

人材派遣

第 5回 ゲ ス ト 講 師 の 講 演

(4)

中高校教師

第 6回 中 間 セ ッ シ ョ ン

(1)

キ ャ リ アセンター 職員

に よ るワー クショップ

第7回 ゲ ス ト 講 師 の 講 演

(5)

健康体操インス ト ラ ク

ター

第8回 ゲ ス ト 講 師 の 講 演

(6)

シス テムエンジニア

第9回 ゲ ス ト 講 師 の 講 演

(7)

金融業(銀行)

第 10回 ゲ ス ト 講 師 の 講 演

(8)

地方公務員(市町村機

関、総合職)

31法政大学シラバス「文学部生のキャリア形成」(http://syllabus.hosei.ac.jp/web/preview.php?no_id=1408579&nendo=2014&gakubu_id=%E6%96%87%E5%AD%A6%E9%83%A8&radd=500)を基に筆者が作成。

34

Page 38: matsusemi.saloon.jpmatsusemi.saloon.jp/.../2015/01/320b64b5722fa31676… · Web view本章では、本論文の具体的な内容に入る前に、筆者が読者に念頭に置いておいて欲しい事項などを記述する。まず、第1節において筆者の問題意識や本論文の執筆に至った経緯について説明する。そして、第2節において本論文の目的と流れについて説明し、本論文のその後の展開について概説

第 1 1回 中 間 セ ッ シ ョ ン

(2)

学 内 講師に よ るワー ク

ショップ

第 1 2回 ゲ ス ト 講 師 の 講 演

(9)

人 事担当

第 1 3回 ゲ ス ト 講 師 の 講 演

(10)

民間放送業(総合職)

第 1 4回 授業総括 授業総括と 期 末レポー

ト 提 出

第 1 5回 ま と め レポー ト の 講評

 以上の授業計画を 参照し て も分か る よ う に 、 様 々 な 業界の 卒 業 生 の話を聞く

こ と が で き 、 自 ら の キ ャ リ ア に つ い て 考 え 、 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る よ う な 取

り組みが多く組み込ま れ て い る 。

  筆 者 は 、 文 学 部 の 就 職率が 低 い 、 あ る い は 人 気 企 業 に 就 職 しづら い 一 要因は

企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点を 文 学 部 の 学

生 が達成 で き て い な い か ら だ と 考 え て い る 。 そ の た め に は 、 文 学 部独自 の 文 学

部 の 学 生 に 対 す る 、 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る よ う な 教 育(キ ャ リ ア 教 育)が必

要 だ と 考 え て お り 、 そ う い っ た 意味で こ の 法 政 大 学 の 「 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 形

成 」 は 非 常 に有意 義 な 活 動 だ と 考 え る 。

  こ の よ う な 文 学 部独自 の 文 学 部 の 学 生 に 対 す る 、 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る よ

う な 教 育(キ ャ リ ア 教 育)を行っ て い る の は 法 政 大 学 の 文 学 部 だ け で は な い 。

次節 で は 、 立 教 大 学 の 文 学 部 の 取 り組みに つ い て紹介し て い き た い 。

第 2 節   立 教 大 学 文 学 部 の 事 例

  前 節 で は 、 法 政 大 学 文 学 部 の 文 学 部独自 の 文 学 部 の 学 生 に 対 す る 、 キ ャ リ ア

意 識 を 涵 養 す る よ う な 教 育(キ ャ リ ア 教 育)の 一環で あ る 「 文 学 部 生 の キ ャ リ

ア 形 成 」 に つ い て紹介し た 。

  本 節 で は 、 立 教 大 学 文 学 部 の行っ て い る 取 り組みに つ い て紹介し て い き た い 。

そ れ が 、 文 学 部基幹科目A「 職 業 と 人 文 学 」 で あ る 。 こ の科目 は 、 2006 年 度

の 文 学 部 カ リ キュラムの改編に伴い 、 2007 年 度 よ り 開 講 さ れ た 。 キ ャ リ ア 教

育 の 一翼を担う こ と を 目 的 に 、 2 年次後 期 の必修科目 と な っ て い る 。 こ の授業

のねら い は 、 文 学 部 の 学 生 が 自分自 身 と 人 文 学 と の関わ り あ い を 問 う 中 で 、 人

文 学 を 学ぶ意味や価値を改め て見い だ し 、 そ れ ら を 自 身 の 今 後 の 人 生 設計や 職

業選択に繋げ て 考 え て い く機会 を 提供す る こ と で あ る 。毎回、各分野で 活躍す

るゲス ト を 講師と し て招聘し 、 そ れぞれ の仕事 や 職 業 に つ い て語っ て も ら う 、

と い う の が 「 職 業 と 人 文 学 」 の基本 的 な授業 の 形式で あ る 。 出席・コメント

カ ー ド の 内 容 と 3 回の 提 出 が 義務付け ら れ て い る小レポー ト の 内 容 で 成績評価

さ れ る 。

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Page 39: matsusemi.saloon.jpmatsusemi.saloon.jp/.../2015/01/320b64b5722fa31676… · Web view本章では、本論文の具体的な内容に入る前に、筆者が読者に念頭に置いておいて欲しい事項などを記述する。まず、第1節において筆者の問題意識や本論文の執筆に至った経緯について説明する。そして、第2節において本論文の目的と流れについて説明し、本論文のその後の展開について概説

 以下 の表 32 は 、 2012 年 度 の 「 職 業 と 人 文 学 」 の授業計画で あ る 。

【授業計画】

回 担当講師

第 1回 オリエンテ ーション(文 学 部:加

藤睦・湯本浩之)

第 2回 講師A:黒崎一 成(株式会 社牧野

フラ イ ス製作所)

講師B:北沢聡子(公益財団法 人

東京都歴史文 化財団・東京芸術劇

場)

第 3回 講師A:北沢聡子(公益財団法 人

東京都歴史文 化財団・東京芸術劇

場)

講師B:黒崎一 成(株式会 社牧野

フラ イ ス製作所)

第 4回 番組視聴「 無縁社 会:新 た な つ な

が り を 求 め て 」(制作:NHK)

第 5回 講師:板垣淑子(日 本放送協会報

道局)

第 6回 講師:加藤睦(文 学 部)

第7回 講師A:須子喜彦(BADO株式

会 社)

講師B:市原信太郎(立 教池袋中

学校・高等学校)

第8回 講師A:田澤儀高( connection of the children 共同 代表)

講師A:加藤功甫( connection of the children 共同 代表)

講師B:須子喜彦(BADO株式

会 社)

第9回 講師A:市橋祐介(立 教池袋中 学

32宇都宮大学留学生・国際交流センター 准教授 湯本 浩之「「職業と人文学」の企画運営におけるメディアセンターとの共働作業について」(https://spirit.rikkyo.ac.jp/annual/2012/017.pdf)を基に筆者が作成。

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Page 40: matsusemi.saloon.jpmatsusemi.saloon.jp/.../2015/01/320b64b5722fa31676… · Web view本章では、本論文の具体的な内容に入る前に、筆者が読者に念頭に置いておいて欲しい事項などを記述する。まず、第1節において筆者の問題意識や本論文の執筆に至った経緯について説明する。そして、第2節において本論文の目的と流れについて説明し、本論文のその後の展開について概説

校・高等学校)

講師B:田澤儀高( connection of the children 共同 代表)

講師B:加藤功甫( connection of the children 共同 代表)

第 10回 講師A:藤巻 明(文 学 部)・沼尻

晃伸(文 学 部)

講師B:沼尻晃伸(文 学 部)・藤

巻 明(文 学 部)

第 1 1回 講師A:佐藤久恵(千代田区神保

町出張所地域情報主査)

講師B:佐伯美佳(立 教 大 学 新座

キ ャンパス 事務部 しょう が い 学 生

支援室)

第 1 2回 講師A:板倉和世(立 教 大 学 新座

キ ャンパス 事務部 学 生 課)

講師B:佐藤久恵(千代田区神保

町出張所地域情報主査)

第 1 3回 講師A:原田英治(英治出版株式

会 社 代表取締役)

講師B:伊藤靖(株式会 社 リ トル

ウイングス 代表取締役)

第 1 4回 講師:小澤実(文 学 部准教授)

 以上の表か ら も分か る よ う に 、多く のフィ ールド で 活躍す る 社 会 人 がゲス ト

講師と し て 、 文 学 部 の 学 生 に 講 義 を行う 。他に も 、 2007 年 度 に は株式会 社ベ

ネッセコーポレーションの伊藤正 明氏、富士ゼロック ス株式会 社 の 中川愼一氏

な ど 、 2008 年 度 に は元フィギュア ス ケ ー ト選手の伊藤みど り氏、映画監督の

熊坂出氏、朝日 新聞出版「 AERA 」編集 部 の 常井健一氏な ど 、 2009 年 度 に は

芥川賞作 家 の磯崎憲一郎氏、コピー ラ イター の秋山晶氏、 立 教 大 学 学 生 部 の佐

藤一宏氏な ど 、 2010 年 度 に は編集 者 の長谷川華氏、環境プロデューサー の森

高一氏な ど 、 2011 年 度 に は NHK 「 クローズアップ現 代 」ディレクター の石

田涼太郎氏、 立 教 大 学 キ ャ リ アセンター の西澤朋泰氏、助産師の荒井英恵氏な

ど が 講 義 を行っ た 。 文 学 部 に 在 籍 す る 学 生 た ち は 、 こ れ ら の幅広い 業界、 職 業

の 社 会 人 の話を聞く こ と で 自 身 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 し 、 今 後 の キ ャ リ ア や 職

業選択に つ い て熟考 す る こ と が で き る の で あ る 。

  ま た 、 立 教 大 学 文 学 部 は 、 こ の 「 職 業 と 人 文 学 」 の単位取得者 を 対象に 「 イ

ンターンシップ」 と い う 2 単位の 講 義 を 設 置 し て い る 。 こ れ は 、 就 業 体験を通

し て 文 学 部 で の 学習を よ り深く す る機会 を得る の と 同 時 に 、 自 ら の キ ャ リ アデ

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ザインに つ い て深く 考 え る こ と を 目 的 と し て い る 。授業 の 内 容 と し て は 、春学

期 中 に 事 前 研修等を通じ て 、 インターンシップへの 参加目 的 を 明確に し 、必要

な知識 や ス キルを 体得す る 。夏季休暇中 も し く は秋学 期 中 に派遣先 で 実 際 に 就

業 体験を積ん だ上、秋学 期 に 事 後 研修、レポー ト 作 成 、 体験報告会 な ど を通し

て 、 インターンシップ研修の 成果や 今 後 の 課 題等を確認す る 、 と い う も の で あ

る 。

 以下 の表 33 が 、 「 インターンシップ」 の と あ る 年 度 の授業計画で あ る 。

【授業計画】

回 授業 内 容

第 1回 インターンシップガ イダンス

第 2回 履修希望届提 出

第 3回 履修登録予定者発表

履修登録予定者 ガ イダンス

第 4回 事 前 研修①

第 5回 事 前 研修②

第 6回 事 前 研修③

第7回 事 前 研修④

第8回 派遣前 ガ イダンス

第9回 夏期 インターンシップ(実質10

日 間以上)

第 10回 履修登録届提 出

履修登録者発表

自 動登録

第 1 1回 秋期 インターンシップ(実質10

日 間以上)

第 1 2回 事 後 研修①

夏期 インターンシップ報告会 ・レ

ポー ト 提 出

第 1 3回 事 後 研修②

第 1 4回 事 後 研修③

秋期 インターンシップ報告会 ・レ

ポー ト 提 出

  文 学 部 側 が 講 義 と し て インターンシップを 設 置 し 、単位と し て も認め て い る

33立教大学シラバス「文学部 基幹科目/共通科目」(https://sy.rikkyo.ac.jp/timetable/slbsscmr.do?value(setti)=1&value(nendo)=2014&value(crclm)=X01001&buttonName=searchKougi&methodname=crclmSearch)を基に筆者が作成。

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と い う こ と は 非 常 に興味深い 。 文 学 部 側 が インターンシップを 講 義 と し て 設 置

し 、 学 生への インターンシップ活 動への 参加を促す こ と は 文 学 部 の 学 生 の キ ャ

リ ア 意 識 を 涵 養 す る こ と に 大 き く寄与し て い る と 筆 者 は 考 え る 。

  前 節 で も 述 べ た よ う に 、 筆 者 は 、 文 学 部 の 就 職率が 低 い 、 あ る い は 人 気 企 業

に 就 職 しづら い 一 要因は 企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵

養 す る観点を 文 学 部 の 学 生 が達成 で き て い な い か ら だ と 考 え て い る 。 そ の た め

に は 、 文 学 部独自 の 文 学 部 の 学 生 に 対 す る 、 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る よ う な 教

育(キ ャ リ ア 教 育)が必要 だ と 考 え て お り 、 立 教 大 学 文 学 部 の こ れ ら の 取 り組

みは 非 常 に有意 義 な も の で あ る と 考 え る 。特に 、 文 学 部 の 側 が 講 義 と し て イン

ターンシップを 設 置 し 、 そ の インターンシップ活 動への 参加を単位と し て認め

る 「 インターンシップ」 は 文 学 部 の 学 生 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る上で 非 常 に

興味深い も の で あ る 。

  こ の よ う に 文 学 部独自 の 文 学 部 の 学 生 に 対 す る 、 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る よ

う な 教 育(キ ャ リ ア 教 育)を行っ て い る 文 学 部 は 法 政 大 学 や 立 教 大 学 だ け で は

な い 。次節 で は 、 中堅レベルの 大 学 で あ る 龍 谷 大 学 の 文 学 部 の 取 り組みに つ い

て紹介し た い 。

第 3 節   龍 谷 大 学 文 学 部 の 事 例

  前 節 で は 、 立 教 大 学 文 学 部 の 文 学 部独自 の 文 学 部 の 学 生 に 対 す る 、 キ ャ リ ア

意 識 を 涵 養 す る よ う な 教 育(キ ャ リ ア 教 育)の 一環で あ る 「 職 業 と 人 文 学 」

「 インターンシップ」 に つ い て紹介し た 。

  本 節 で は 、 中堅大 学 の 龍 谷 大 学 文 学 部 の 取 り組みに つ い て紹介し て い き た い 。

  龍 谷 大 学 で は 、 文 学 部独自 の キ ャ リ アサポー ト を行っ て い る 。 学 生 の キ ャ リ

ア 形 成 や 就 職 活 動 の 充 実 を 目 的 と し た独自 の 講 義 ・ 講座を 同窓会 の協力を得な

が ら 開 講 し て い る の で あ る 。

 以下 の表 34 は 、 龍 谷 大 学 文 学 部 の独自 の キ ャ リ ア 教 育 に つ い て 筆 者 が ま と め

た も の で あ る 。

【文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育(龍 谷 大 学 文 学 部 の 事 例)】

学 年 講 義 名 内 容

1 ・ 2 年 生 キ ャ リ ア 形 成 論 キ ャ リ ア 形 成 の土台と

な る授業 。

3 年 生 キ ャ リ ア 開発論 社 会 人 感 覚 、 経 済 感

覚、独創性、ビジ ネ ス

体験、ビジ ネ ス に必要

なコミュニケ ーション

能力な ど 、従来の 学校

34 龍谷大学「文学部独自のキャリアサポート」(http://www.let.ryukoku.ac.jp/support/career.html)を基に筆者が作成。

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教 育 で は カ バ ー し き れ

な い能力分野を総合的

に 開発す る こ と に よ っ

て 、 企 業 か ら 求 め ら れ

る 人材像の 形 成 を 目指

し て い く 。

3 年 生 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン

論( a )国 内 外 の 出来事 を伝え

るマスコミに よ る情報

を 正 し く認識 し 、 そ れ

に 対 す る 自分の 意思を

文 章 、 言葉で分か り や

す く伝え る能力を 養 う

こ と を 目 的 と し て い

る 。

3 年 生 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン

論( b )出版社 の雑誌編集 者 、

書籍編集 者 に 求 め ら れ

る 実践的 な 「 取材力、

文 章力、 企画力」 の基

礎を 養 う こ と を 目 的 と

し て い る 。

 以上の表か ら も分か る よ う に 、 文 学 部 の 学 生 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る よ う

な 実践的 か つビジ ネ ス に直接的 に結びつ く よ う な 講 義 の 内 容 と な っ て い る 。

 再三前 述 し て い る が 、 筆 者 は 、 文 学 部 の 就 職率が 低 い 、 あ る い は 人 気 企 業 に

就 職 しづら い 一 要因は 企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養

す る観点を 文 学 部 の 学 生 が達成 で き て い な い か ら だ と 考 え て い る 。 そ の た め に

は 、 文 学 部独自 の 文 学 部 の 学 生 に 対 す る 、 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る よ う な 教 育

(キ ャ リ ア 教 育)が必要 だ と 考 え て お り 、 龍 谷 大 学 文 学 部 の行っ て い る 取 り組

みは 非 常 に有意 義 な も の で あ る 、 と 考 え る 。

第 4 節   事 例 の ま と め

  筆 者 は 、 文 学 部 の 就 職率が 低 い 、 あ る い は 人 気 企 業 に 就 職 しづら い 一 要因は

企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点を 文 学 部 の 学

生 が達成 で き て い な い か ら だ と 考 え て い る 。 そ の た め に は 、 文 学 部独自 の 文 学

部 の 学 生 に 対 す る 、 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る よ う な 教 育(キ ャ リ ア 教 育)が必

要 だ と 考 え て い る 。 こ の主張を基に 、 第 4 章 で は 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意 識 を い

か に し て 涵 養 し て い く の か 、 と い う こ と を 念 頭 に 、 実 際 の 文 学 部 が行っ て い る

取 り組みに つ い て 参 考 に し た 。

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Page 44: matsusemi.saloon.jpmatsusemi.saloon.jp/.../2015/01/320b64b5722fa31676… · Web view本章では、本論文の具体的な内容に入る前に、筆者が読者に念頭に置いておいて欲しい事項などを記述する。まず、第1節において筆者の問題意識や本論文の執筆に至った経緯について説明する。そして、第2節において本論文の目的と流れについて説明し、本論文のその後の展開について概説

  法 政 大 学 文 学 部 は 、他学 部 に比べ て 就 職への 意 識 が薄く 、 キ ャ リ ア 意 識 が 低

い と 言 わ れ る 文 学 部 生 の た め に 、 社 会 に 出 て働く こ と の 意 義 を 学ぶと共に 、 大

学 生 の 間 に 何 を す べ き か に つ い て 考 え る機会 と す る た め に 2011 年 度 よ り 「 文

学 部 生 の キ ャ リ ア 形 成 」 と い う 講 義 を 設 置 し て い る 。 法 政 大 学 の 文 学 部 を 卒 業

し 、 社 会 で 活躍し て い る 社 会 人 をゲス ト 講師と し て迎え 、 そ の 業界の 動向や仕

事 に関す る 様 々 な 体験談を話し て も ら う 。 そ の よ う な話を通し て 、 文 学 部 の 学

生 が 自 ら の 人 生 の 中 で の 「働く こ と 」 の 意 義 ・位置づけ(= キ ャ リ ア)を熟考

し 、 大 学 生 の 間 に 何 を す べ き か に つ い て 考 え る機会 を 持 ち 、 就 業力に関連す る

「総合的 」 な能力、 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る効果が あ る 。他学 部 の 学 生 の 受 講

は認め ら れ ず 、 文 学 部 の 学 生 の た め だ け に 開 か れ た 講 義 で あ る 。

  立 教 大 学 文 学 部 は 、 キ ャ リ ア 教 育 の 一翼を担う こ と を 目 的 に 2007 年 度 よ り

「 職 業 と 人 文 学 」 と い う 講 義 を必修科目 と し て 設 置 し て い る 。 こ の授業 のねら

い は 、 文 学 部 の 学 生 が 自分自 身 と 人 文 学 と の関わ り あ い を 問 う 中 で 、 人 文 学 を

学ぶ意味や価値を改め て見い だ し 、 そ れ ら を 自 身 の 今 後 の 人 生 設計や 職 業選択

に繋げ て 考 え て い く機会 を 提供す る こ と で あ り 、毎回、各分野で 活躍す るゲス

ト を 講師と し て招聘し 、 そ れぞれ の仕事 や 職 業 に つ い て語る 。 ま た 、 こ の 「 職

業 と 人 文 学 」 の単位取得者 を 対象に 「 インターンシップ」 と い う 2単位の 講 義

を 設 置 し て い る 。 こ れ は 、 就 業 体験を通し て 文 学 部 で の 学習を よ り深く す る機

会 を得る の と 同 時 に 、 自 ら の キ ャ リ アデザインに つ い て深く 考 え る こ と を 目 的

と し て い る 。 文 学 部 の 側 が インターンシップを 設 置 し 、 そ れ を単位と し て認め

て い る と い う 非 常 に興味深い 取 り組みで あ り 、 キ ャ リ ア 意 識 の 低 い 文 学 部 の 学

生 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る上で 非 常 に効果的 で あ る 、 と 筆 者 は 考 え る 。

  龍 谷 大 学 文 学 部 は 、 文 学 部独自 の キ ャ リ アサポー ト を行っ て お り 、 学 生 の

キ ャ リ ア 形 成 や 就 職 活 動 の 充 実 を 目 的 と し た独自 の 講 義 ・ 講座を 同窓会 の協力

を得な が ら 開 講 し て い る 。 講 義 内 容 は 社 会 人感覚やビジ ネ ス感覚を 養 う 実践的

な 内 容 と な っ て い る 。

  こ の よ う な 、 文 学 部 の 学 生 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る よ う な 文 学 部独自 の 取

り組みが 筆 者 は必要 で あ る 、 と 考 え て い る 。 こ う し た 取 り組みを通し 、 文 学 部

の 学 生 が キ ャ リ ア 意 識 を 育 て 、 自 ら の キ ャ リ ア や 職 業選択に つ い て 考 え る こ と

が 、 文 学 部 の 就 職率の 低 さ の改善への 一助に な る 、 と 筆 者 は 考 え て い る の で あ

る 。

● 第 5 章   おわりに

  本 章 で は 、 本 論 文 に つ い て ま と め 、 筆 者 の主張を結論付け る 。

第 1 節   本 論 文 の ま と め

  本 論 文 は 、 現 在 の 日 本 に お い て 言 わ れ て い る 文 学 部 不 要 論 に 対 し て 、 筆 者 が

疑問 を 抱 い た こ と よ り端を発し た 。 実 際 に 、 日 本 国 内 に お い て 文 学 部 は 減 少 の

一途を辿っ て お り 、 文 学 部 と い う 学 部 が 新 設 さ れ る こ と は ほ と ん ど と 言 っ て い

い ほ ど 、 な い 。 こ の 一 要因は 先行研 究検討や 筆 者 に よ る アンケ ー ト調査で 「 文

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Page 45: matsusemi.saloon.jpmatsusemi.saloon.jp/.../2015/01/320b64b5722fa31676… · Web view本章では、本論文の具体的な内容に入る前に、筆者が読者に念頭に置いておいて欲しい事項などを記述する。まず、第1節において筆者の問題意識や本論文の執筆に至った経緯について説明する。そして、第2節において本論文の目的と流れについて説明し、本論文のその後の展開について概説

学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と 大 学 や 学 生 が 考 え て い る か ら 、 と い う こ と が

分か っ た 。 こ の た め 、 学 生 は 文 学 部 を敬遠し 、 大 学 側 も 「 文 学 部 だ と 学 生 が 集

ま ら な い 」 と 考 え 、 文 学 部 の 看 板 を お ろ し 、異な る 名 称 に 変 更 す る と い う ケ ー

ス が 増 え て い る 。結果と し て 、 文 学 部 が 減 少 の 一途を辿っ て い る 、 と い う わ け

で あ る 。 そ こ で 、 筆 者 は 実 際 に 文 学 部 と 就 職 活 動 の関係性に つ い て 、 先行研 究

検討や 筆 者 に よ る アンケ ー ト調査を通し て検討し た 。 そ の結果、確か に 文 学 部

の 就 職率は他学 部 と比較し た 時 に 低 く 、獲得内定数も 少 な く 、 人 気 企 業 に 就 職

しづら い と い う こ と が分か っ た 。

  そ こ で 筆 者 は 、 文 学 部 の 就 職率が 低 い 、 あ る い は 人 気 企 業 に 就 職 しづら い 一

要因は 企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点を 文 学

部 の 学 生 が達成 で き て い な い か ら だ と 考 え た 。 そ し て 、 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意

識 を 涵 養 す る た め に 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育 が必要 な の で は な い か 、 と い う

提 言 を行っ た 。 企 業 が 大 学 側 に 求 め て い る こ と の指標と し て 、 日 本 経済団体連

合会 の 「 企 業 の 求 め る 人材像アンケ ー ト結果」 を用い 、 こ の指標を 「 ア カデ

ミック な観点」 と 「 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点」 の 2 つ の観点に分類し 、 文

学 部 出 身 者 に 対 し て アンケ ー ト調査を行っ た 。 そ の結果、 ア カデミック な観点

を最も 「 出来た 」 と 考 え る 文 学 部 出 身 者 が 7 割近く 存 在 す る の に 対 し 、 キ ャ リ

ア 意 識 を 涵 養 す る観点を最も 「 出来た 」 と 考 え る 文 学 部 出 身 者 は 3 割を切る 、

と い う結果に な っ た 。 つ ま り 、 文 学 部 出 身 者 は総じ て キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る

観点を最も 「 出来た 」 と 考 え る 者 が 少 な く 、延い て は 文 学 部 出 身 者 は キ ャ リ ア

意 識 が 低 い 、 と い う こ と が 明 ら か に な っ た 。 そ こ で 、 筆 者 は 文 学 部 生 の キ ャ リ

ア 意 識 を 涵 養 す る た め に 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育 が必要 な の で は な い か 、 と

い う 提 言 を行っ た 。 そ し て 、 文 学 部 生 に 対 し て 、 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育 を

行っ て い る 事 例 と し て 法 政 大 学 文 学 部 、 立 教 大 学 文 学 部 、 龍 谷 大 学 文 学 部 を紹

介し た 。 こ う し た 取 り組みを通し 、 文 学 部 の 学 生 が キ ャ リ ア 意 識 を 育 て 、 自 ら

の キ ャ リ ア や 職 業選択に つ い て 考 え る こ と が 、 文 学 部 の 就 職率の 低 さ の改善へ

の 一助に な る 、 と 筆 者 は 考 え て い る の で あ る 。

第 2 節   今 後 の 課 題

  現 在 、 法 政 大 学 、 立 教 大 学 、 龍 谷 大 学 の 文 学 部 の よ う に 、 文 学 部 の 学 生 に 対

し て 、 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育 を行っ て い る よ う な 大 学 は 少 な い 。 無 論 、 大

学 は 研 究機関で あ り 、 就 職予備校で は な い 。 就 職率の 良 し悪し が 、 そ の 大 学 、

そ の 学 部 の質的 な価値を 下 げ る も の で も な い 。 文 学 部 の 学 生 に は し っ か り と 文

学 部 生 と し て の 人 文 学 な ど の知識 を し っ か り と 身 に つ け させれ ば 良 い で は な い

か 、 い わゆる 「 ア カデミック な観点」 が 身 に つ い て い れ ば 良 い で は な い か 、 と

い う 読 者 の指摘も あ る か も し れ な い 。 し か し 、 本 論 文 は 就 職率の振る わ な さ か

ら 「 文 学 部 不 要 論 」 が唱え ら れ 、 実 際 に 文 学 部 が 減 少 の 一途を辿っ て い る こ と

に 対 し て 筆 者 が 問 題視し 、 そ の こ と の 一 要因を分析し 何 か し ら の 示唆や改善策

を得よ う と し た も の で あ る 。 筆 者 は 、 企 業 が 大 学 に 求 め る こ と と 文 学 部 の 学 生

が達成 で き て い る こ と に 一 部 大 き なギャップが あ る こ と や 、 文 学 部 の 学 生 が極

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Page 46: matsusemi.saloon.jpmatsusemi.saloon.jp/.../2015/01/320b64b5722fa31676… · Web view本章では、本論文の具体的な内容に入る前に、筆者が読者に念頭に置いておいて欲しい事項などを記述する。まず、第1節において筆者の問題意識や本論文の執筆に至った経緯について説明する。そして、第2節において本論文の目的と流れについて説明し、本論文のその後の展開について概説

端に 「 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点」 を達成 で き て い な い 現 状 は 問 題 だ と 考 え

る 。

  ま た 、 本 論 文 で は 、 文 学 部 を 中心に議論 を 展 開 し て お り 、他学 部 と の比較を

通し た相対 的 な議論 が あ ま り で き な か っ た 。 こ れ は 、 筆 者 の 今 後 の 課 題 と し た

い 。

以上ま で で 論 じ て き た が 、 文 学 部 は他学 部 と比較し て 、 就 職率が 低 い 、 あ る

い は 人 気 企 業 に 就 職 しづら い と い う こ と は や は り 問 題 で あ る 、 と 筆 者 は 考 え る 。

文 学 部 の 就 職 状 況 が他学 部 と比較し た 時 に振る わ な い と い う 状 況 が あ る こ と に

よ り 、 文 学 部 を敬遠す る 学 生 や 文 学 部 の 看 板 を 下 げ る 大 学 が 増 え 、 文 学 部 が 減

り 続 け て い る 。 こ の こ と は 、 本当は 文 学 部への進学 し た い の に も か か わ ら ず 、

将来の キ ャ リ ア や 就 職 活 動 の こ と を配慮し 、他学 部へ泣く泣く進学 す る高校生

が 出 て き て し ま う可能性も あ る 。 こ の よ う な 事態を防ぐた め に も 、 文 学 部独自

の キ ャ リ ア 教 育 を行う こ と は 決 し て悪い こ と で は な い 。むし ろ 、 文 学 部 の 学 生

た ち が 自 ら の将来の キ ャ リ ア や 職 業選択に つ い て 大 学 生 の 間 に熟慮す る こ と は

非 常 に有意 義 な こ と で あ る し 、 文 学 部 の 学 生 に と っ て も絶対 に価値あ る こ と で

あ る は ず だ 。

本 論 文 が 、 文 学 部 の 学 生 の キ ャ リ ア 形 成 に つ い て 考 え る 1 つ の契機に な れ ば 、

筆 者 と し て は 非 常 に幸い で あ る 。

● 第 6 章   参 考 文 献 一 覧

【書籍】

・ アルヴィン・ カ ーナン(木村武史訳)『人 文科学 に 何 が起き た か─ア メ リ カ

の 経験』、玉川大 学 出版部 、 2001 年 。

・石原千秋『近代 と い う 教 養―文 学 が背負っ た 課 題』、筑摩書房、 2013 年 。

・石渡嶺司『アホ大 学 の バ カ 学 生  グロー バル人材と 就 活 迷子の あ い だ』、光

文 社 、 2012 年 。

・市川須美子、 浦野東洋一 、小田野正 利 、窪田眞二、 中嶋哲彦、 成嶋隆『教 育

小六法』、 学陽書房、 2013 年 。

・上西充子、伊藤文男、小玉小百合、川喜多喬『大 学 の キ ャ リ ア支援―実践事

例 と省察』、 経営書院、 2007 年 。

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Page 47: matsusemi.saloon.jpmatsusemi.saloon.jp/.../2015/01/320b64b5722fa31676… · Web view本章では、本論文の具体的な内容に入る前に、筆者が読者に念頭に置いておいて欲しい事項などを記述する。まず、第1節において筆者の問題意識や本論文の執筆に至った経緯について説明する。そして、第2節において本論文の目的と流れについて説明し、本論文のその後の展開について概説

・エドワー ド . W . サイ ー ド(村山敏勝、三宅敦子訳)『人 文 学 と 批評の使命

─デモク ラシー の た め に』、岩波書店、 2013 年 。

・ 愛 媛 大 学 法 文 学 部   新 潟 大 学 人 文 学 部 『 人 文 学 の 現 在 』 、 創 風 社 出 版 、

2012 年 。

・海老原嗣生『偏差値・知名 度 で は わ か ら な い 就 職 に強い 大 学 ・ 学 部』、朝

日 新聞出版、 2012 年 。

・ 大沢仁、石渡嶺司『就 活 の バ カヤロー』、光文 社 、 2008 年 。

・尾木直樹、 諸星裕『危機の 大 学 論』、角川書店 ( 角川グループパブ リッシン

グ ) 、 2011 年 。

・河合塾『栄冠めざし て Vo.1 』、河合塾教 育情報部 栄冠めざし て編集 部 、

2014 年 。

・河合塾『栄冠めざし て Vo.2 』、河合塾教 育情報部 栄冠めざし て編集 部 、

2014 年 。

・河合塾『栄冠めざし て Vo.3 』、河合塾教 育情報部 栄冠めざし て編集 部 、

2014 年 。

・河合塾『ガ イ ド ラ イン シリ ーズ』、河合塾教 育情報部 ガ イ ド ラ イン編集 部 、

2014 年 。

・木村誠『消え る 大 学   生 き残る 大 学』、朝日 新聞出版、 2011 年 。

・木村誠『危な い私立 大 学  残る私立 大 学』、朝日 新聞出版、 2012 年 。

・木村誠『就 職力で見抜く!沈む大 学  伸びる 大 学』、朝日 新聞出版、 2014年 。

・共生倫理研 究 会『共生 の 人 文 学-グロー バル時 代 と多様 な 文 化』、神戸大 学 、

2008 年 。

・倉部史記『文 学 部 が な く な る 日』、主婦の友社 、 2011 年 。

・小杉礼子『大 学 生 の 就 職 と キ ャ リ ア―「普通」 の 就 活 ・個別の支援』、勁草

書房、 2007 年 。

・斎藤知也『教室でひら か れ る < 語り >─ 文 学 教 育 の根拠を 求 め て』、 教 育 出

版、 2009 年 。

・坂口京子『戦後 新 教 育 に お け る 経験主義 国語教 育 の 研 究―経験主義 教 育観の

摂取 と 実践的理解 の過程』、風間書房、 2009 年 。

・渋谷孝『国語科教 育 は な ぜ 言葉の 教 育 に な り切れ な か っ た の か』、 明治図書

出版、 2008 年 。

・ 大修館書店『明鏡国語辞典』、 大修館書店、 2002 年 。

・田近洵一『戦後 国語教 育 問 題史』、 大修館書店、 1999 年 。

・田中 実 、須貝千里『こ れ か ら の 文 学 教 育 のゆく え』、右文書院、 2005 年 。

・田中 実 、須貝千里『文 学 が 教 育 に で き る こ と - 「 読むこ と 」 の秘鑰』、 教 育

出版、 2012 年 。

・堤輝男『文 学 と 教 育 の か け橋―芥川賞作 家 ・長谷健の 文 学 と 生涯』、 文芸社 、

2002 年 。

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Page 48: matsusemi.saloon.jpmatsusemi.saloon.jp/.../2015/01/320b64b5722fa31676… · Web view本章では、本論文の具体的な内容に入る前に、筆者が読者に念頭に置いておいて欲しい事項などを記述する。まず、第1節において筆者の問題意識や本論文の執筆に至った経緯について説明する。そして、第2節において本論文の目的と流れについて説明し、本論文のその後の展開について概説

・寺崎昌男『東京大 学 の歴史』、 講談社 、 2007 年 。

・東洋経済新報社『就 職四季報 2015 年版』、東洋経済新報社 、 2013 年 。

・東洋経済新報社『会 社四季報 業界地図 2014 年版』、東洋経済新報社 、

2013 年 。

・飛田多喜雄『国語教 育 方 法 論史』、 明治図書出版、 1974 年 。

・ 中西光雄『「蛍の光」 と稲垣千頴―国民的唱歌と 作詞者 の数奇な運命―』、

ぎょうせい 、 2012 年 。

・西尾実 、田辺洵一『現 代 国語教 育 論 集 成  西尾実』、 明治図書出版、 1993年 。

・西山雄二『人 文 学 と制度』、未来社 、 2013 年 。

・浜本純逸『戦後 文 学 教 育 方 法 論史』、 明治図書出版、 1978 年 。

・浜本純逸『文 学 教 育 の歩みと理論』、東洋館出版社 、 2001 年 。

・藤原和好『語り合う 文 学 教 育─子ど も の 中 に 文 学 が 生 ま れ る─』、三重大 学

出版会 、 2010 年 。

・山内太地『大 学 のウソ 偏差値 60 以上の 大 学 は い ら な い』、角川書店、

2013 年 。

・ 読売新聞社『就 職 に強い 大 学 2015 』、 読売新聞社 、 2014 年 。

【雑誌論 文】

・足立悦男「 こ れ か ら の 文 学 教 育 : 比較文 学 教 育 の試み ( 韓国 と 日 本 ) 」 、

『国語科教 育 54 』、 2003 年 、 5-6 頁。

・ 鮎 澤 浩 二 「 『 羅 生 門 』 文 学 教 育 の 起 点 と し て 」 、 『 日 本 文 學 誌 要

48 』、 1993 年 、 35-44 頁。

・井筒満「 文 学 教 育 の必要性」 、『文 学 と 教 育 (213) 』、 2011 年 、 3-15頁。

・井筒満「 文 学 教 育 の 課 題 を めぐっ て 」 、『文 学 と 教 育 (217) 』、 2012 年 、

17-26 頁。

・ 稲 田 繁 夫 「 言 語 過 程 説 に お け る 文 学 教 育 論 」 、 『 人 文 科 学 研 究 報 告 , 8 』、 1958 年 、 35-40 頁。

・井上尚美「 ア メ リ カ の 国語教 育 」 、『学芸国語国 文 学 15 』、 1979 年 、

110-111 頁。

・岩脇千裕「 大 学 新 卒 者 に 求 め る 「能力」 の構造と 変 容―企 業 は 「即戦力」 を

求 め て い る の か ー 」 、『Works Review 2006 Vol.1 』、 2006 年 、 1-14頁。

・ 大島光「 国語教 育史に お け る 論争の再検討 : 「 言語教 育 か 文 学 教 育 か 」 論

争」 、『全国 大 学 国語教 育 学 会発表要旨集 119 』、 2010 年 、 202-205 頁。

・ 大島光「 国分・石田論争の再検討」 、『創 大 教 育 研 究 22 』、 2013 年 、

35-50 頁。

・ 岡 真 理 「 思 想 の 言 葉 「 戦 争 」 の 対 義 語 と し て の 文 学 」 、 『 思 想

(989) 』、 2006 年 、 1-3 頁。

・荻原桂子「 国語教 育 と 文 学 : こ と ば と心」 、『九州女子大 学紀要 . 人 文 ・

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社 会科学編 45(3) 』、 2009 年 、 86-96 頁。

・角谷有一 「 教室で小説 を 読むと い う こ と -- 文 学 教材と し て の『少 年 の 日 の思

い 出』を 読む」 、『日 本 文 学 57(8) 』、 2008 年 、 21-30 頁。

・角谷有一 「 中 学校新指導 要 領 の全面 実施を 前 に 文 学 教 育 の可能性を探る -- 復活 教材『トロッコ』を 読み直す 」 、『日 本 文 学 60(8) 』、 2011 年 、 24-32頁。

・菅田浩一 「 文 学 教 育 の 意 義 -- 『不思議の 国 の ア リ ス』を 読む」 、『四国 学院

大 学 大 学院文 学 研 究科紀要 9 』、 2011 年 、 1-15頁。

・小林傳司「科学技術に踏み込む人 文 社 会科学 」 、『学術の 動向』、 2007 年 、

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・佐藤学 「 人 文 社 会科学 の危機に 対峙し て 」 、『学術の 動向』、 2007 年 、 8-9 頁。

・白井宏「 中 学校文 学 教 育 に つ い て の若干の基本 的 考察」 、『名古屋大 学 教 育

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・鈴木愛理「芸術の媒材と し て の 言葉を 教 育 す る授業像の探究 : 北村薫「 ス

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・ 丹 藤 博 文 「 文 学 教 育 に お け る < 感 動 体 験 > と は 何 か 」 、 『 読 書 科 学

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Page 50: matsusemi.saloon.jpmatsusemi.saloon.jp/.../2015/01/320b64b5722fa31676… · Web view本章では、本論文の具体的な内容に入る前に、筆者が読者に念頭に置いておいて欲しい事項などを記述する。まず、第1節において筆者の問題意識や本論文の執筆に至った経緯について説明する。そして、第2節において本論文の目的と流れについて説明し、本論文のその後の展開について概説

35(1) 』、 1991 年 、 25-33 頁。

・近嵐靖子「『奴隷』か ら アフリ カ 系『ア メ リ カ市民』へ : 解放民教 育 に見

る黒人 の 自助・誇り ・ 自己実 現 ( 西洋史学 専 攻 , 一九九三年 度修士論 文 要旨 ,彙報 ) 」 、『史学 63(4) 』、 1994 年 、 451-452 頁。

・ 中野登志美「 学習指導 要 領 に お い て 文 学 は ど の よ う に扱わ れ て き た か : 中

学校学習指導 要 領 の 中 の 文 学 の位置づけ に着目 し て 」 、 『論叢国語教 育 学

( 復刊 3)』、 2012 年 、 26-36 頁。

・夏目武子「 文 学 教 育 と は 何 か 」 、『文 学 と 教 育 (122) 』、 1982 年 、 5-12頁。

・ 日 本 学術振興会 学術シス テム研 究センター 「 人 文 学分野の 研 究 動向」 、『特

集 : 我が 国 に お け る 学 術 研 究 の 動 向に つ い てⅢ   vol.60 no.9 』 、 2007 年 、

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Page 51: matsusemi.saloon.jpmatsusemi.saloon.jp/.../2015/01/320b64b5722fa31676… · Web view本章では、本論文の具体的な内容に入る前に、筆者が読者に念頭に置いておいて欲しい事項などを記述する。まず、第1節において筆者の問題意識や本論文の執筆に至った経緯について説明する。そして、第2節において本論文の目的と流れについて説明し、本論文のその後の展開について概説

を 中心に - 」 、『教 育 学雑誌 (37) 』、 2002 年 、 32-48 頁。

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・ 文 化 学園大 学 「歴史・沿革」

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・ FRENCH BLOOM NET 「 教 養 や 文 系 の 活路は ど こ に あ る の か?─ア メ リ カ の

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Page 52: matsusemi.saloon.jpmatsusemi.saloon.jp/.../2015/01/320b64b5722fa31676… · Web view本章では、本論文の具体的な内容に入る前に、筆者が読者に念頭に置いておいて欲しい事項などを記述する。まず、第1節において筆者の問題意識や本論文の執筆に至った経緯について説明する。そして、第2節において本論文の目的と流れについて説明し、本論文のその後の展開について概説

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・ 文 部科学省「 新 設 大 学等の情報」

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2014/4/20 取得。

・ 文 部科学省「資料 2   「 人 文 学及び社 会科学 の振興に関す る委員会 」 に お け

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( http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/015/siryo/attach/1343346.htm )

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・ 文 部科学省「資料 1-4-1 人 文 学 ・ 社 会科学 の振興に関す る審議事 項 例 [ 人 文

学及び社 会科学 の振興に関す る特別委員会 ] 」

( http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/siryo/attach/1310493.htm )

2014/8/26 取得。

・早稲田塾「 GOOD PROFESSOR 早稲田塾が選ん だ 大 学 教授を紹介!「 一 生モ

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( http://www.wasedajuku.com/channel/good-professor/detail.php?professorid=236)2014/8/26 取得。

・ 実用日 本語表現辞典「 人 文 学 」( http://www.weblio.jp/content/%E4%BA%BA%E6%96%87%E5%AD%A6 )

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・ 文 部科学省「平成 17 年 度 学校基本調査  学 部 系統分類表」

( http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/05122201/006/004.htm )2014/9/3 取得。

・ 文 部科学省「 参 考資料 1 人 文 学 ・ 社 会科学 関連データ」

( http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/023/siryo/__icsFiles/afieldfile/2012/05/23/1320809_2.pdf#search='%E4%BA%BA%E6%96%87%E5%AD%A6+%E6%96%87%E9%83%A8%E7%A7%91%E5%AD%A6%E7%9C%81+

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%E4%BA%88%E7%AE%97' )2014/9/4 取得。

・ 文 部科学省「 3 .人 文 学及び社 会科学 の特性に つ い て 」

( http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/015/siryo/attach/1343261.htm )2014/9/7 取得。

・ 文 部科学省「 人 文 学及び社 会科学 の 意 義 ・ 役割・ 目 的 に つ い て 」

( http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/015/siryo/attach/1343163.htm )2014/9/8 取得。

・ 文 部科学省「 新 た な未来を築く た め の 大 学 教 育 の質的転換に向け て ~ 生涯学

び続 け 、主体 的 に 考 え る力を 育 成 す る 大 学へ~(答申)」

( http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2012/10/04/1325048_1.pdf )2014/9/10 取得。

・ 文 部科学省「 リ ス ク 社 会 の克服と知的 社 会 の 成熟に向け た 人 文 学及び社 会科

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( http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/__icsFiles/afieldfile/2012/09/06/1325061_1.pdf )2014/9/10 取得。

・ 金沢大 学 人 文 学類長 岩田礼「躍動 す る 「 人 文 学類」 」

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・産経 新聞社  駿台教 育 研 究所「 「 時 代 が 求 め る 人材像」 に関す る調査結果」

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・ 法 政 大 学 「 文 学 部ニュー ス トピック ス   「 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 形 成 」   設 置

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( http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ninka/1348950.htm )2014/12/13 取得。

・ 就 活塾で 学ぶ大手内定 100 の 方 法 「 就 職 活 動 に お い て 「 文 学 部 」 は や は り 不

利 な の か 」

( http://naitei-lab.com/blog/syukatsu-bungakubu-furi/ )2014/12/13 取得。

・ 文 部科学省「平成 24 年 度 大 学等卒 業 者 の 就 職 状 況調査( 4 月 1 日 現 在)」

( http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/25/05/1335098.htm )2014/12/16 取得。

・厚生労働省「平成 25 年 度 「 大 学等卒 業 者 の 就 職 状 況調査」 」

( http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000044078.html )2014/12/16 取得。

・東京大 学 文 学 部 ・ 大 学院人 文 社 会 系 研 究科「 文 学 部 と は 」

( http://www.l.u-tokyo.ac.jp/faculty/index.html?phpMyAdmin=c53873f5a43613de1640d5512da37328 )2014/12/17 取得。

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( http://www.mext.go.jp/component/b_menu/houdou/__icsFiles/afieldfile/2014/08/07/1350732_01.pdf )2014/12/17 取得。

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・ 文 部科学省「 第三章   人 文 学及び社 会科学 の 役割・機能」

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・ 日 本 経済団体連合会 「平成 16 年 度 企 業 の 求 め る 人材像アンケ ー ト結果」

( http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2013/05/30/1335605_001_7.pdf )2014/12/26 取得。

・ 法 政 大 学シラ バ ス 「 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 形 成 」

( http://syllabus.hosei.ac.jp/web/preview.php?no_id=1408579&nendo=2014&gakubu_id=%E6%96%87%E5%AD%A6%E9%83%A8&radd=500 )2014/12/27 取得。

・宇都宮大 学留学 生 ・ 国 際交流センター 准教授 湯本 浩之「 「 職 業 と 人 文

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( https://spirit.rikkyo.ac.jp/annual/2012/017.pdf )2014/12/27 取得。

・ 大 学 受験パスナビ「 学長メッセー ジ 「 文 学 部 の魅力っ て 何 ? 」 」

( https://passnavi.evidus.com/dept_research/201305/teacher01/html/1 )2014/12/27 取得。

・ 立 教 大 学シラ バ ス 「 文 学 部  基幹科目/共通科目 」

( https://sy.rikkyo.ac.jp/timetable/slbsscmr.do?value(setti)=1&value(nendo)=2014&value(crclm)=X01001&buttonName=searchKougi&methodname=crclmSearch )2014/12/27 取得。

・ Goo 辞書「 文 」

( http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/197131/m0u/ )2014/12/27 取得。

・ 中 部 大 学 「 キ ャ リ ア 形 成支援プログラム(経営情報学 部 ・ 国 際関係学 部 ・ 人

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( http://www.sophia.ac.jp/jpn/program/UG/UG_Human )2014/12/27 取得。

・信州大 学 「 就 職 実績」

( http://www.shinshu-u.ac.jp/campus_life/career/results.html )2014/12/27 取得。

・ 文 部科学省「 キ ャ リ ア 教 育 」

( http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/career/)2014/12/27 取得。

・ 文 部科学省「 キ ャ リ ア 教 育 と は 何 か 」

( http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/06/16/1306818_04.pdf )2014/12/27 取得

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( http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/career-education/ )2014/12/27 取得。

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( http://toyokeizai.net/articles/-/55655 )2014/12/30 取得。

・東洋経済ONLINE 「 新 入 社員に優し い ホワイ ト 企 業 トップ「 」 300 」

( http://toyokeizai.net/articles/-/33957 )2014/12/30 取得。

・マイナビニュー ス 「 文 学 部 は 本当に 就 職 に 弱 い の か ?( 前 ) - 「 会 社 が わ た し

に合わせろ ! 」 と思っ て し ま う と こ ろ は…あ る 」

( http://news.mynavi.jp/articles/2015/01/05/bungakubu/ )2015/1/8 取得。

・マイナビニュー ス 「 文 学 部 は 本当に 就 職 に 弱 い の か ?( 後 ) - 「 言葉」 を操る

ス キルを も っ と 活 かせる は ず 」

( http://news.mynavi.jp/articles/2015/01/07/bungakubu2/ )2015/1/8 取得。

ア ブ ス ト ラ ク ト

本 論 文 は 、 現 在 の 日 本 に お い て 言 わ れ て い る 文 学 部 不 要 論 に 対 し て 、 筆 者 が

疑問 を 抱 い た こ と よ り端を発す る 。 実 際 に 、 日 本 国 内 に お い て 文 学 部 は 減 少 の

一途を辿っ て お り 、 文 学 部 と い う 学 部 が 新 設 さ れ る こ と は ほ と ん ど と 言 っ て い

い ほ ど な い 。

先行研 究検討や 筆 者 に よ る アンケ ー ト調査の結果、分か っ た こ と は 、 大 学 や

学 生 が 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と 考 え て い る と い う こ と で あ る 。 そ

し て 、 先行研 究検討や 実 際 のデータを確認し て分か っ た こ と は 、確か に 文 学 部

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の 就 職率は他学 部 と比較す る と 、振る わ な い 状 況 が あ る 、 と い う こ と だ 。 ま た 、

文 学 部 は 人 気 企 業 に 就 職 しづら い 、 と い う こ と で あ っ た 。

  筆 者 は こ の 一 要因を 企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養

す る観点を 文 学 部 の 学 生 が達成 で き て い な い か ら だ と 考 え 、 文 学 部 生 の キ ャ リ

ア 意 識 を 養 う た め に 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育 が必要 な の で は な い か 、 と い う

提 言 を し た 。 そ し て 、平成 1 6 年 度 に 実施さ れ た 日 本 経済団体連合会 の 「 企 業

の 求 め る 人材像アンケ ー ト結果」 を指標と し て 、 実 際 の 文 学 部 出 身 者 に アン

ケ ー ト調査を行っ た と こ ろ 、 企 業 が 大 学 側 に 期待し て い る こ と に 対 し 、 文 学 部

は 学 問 と し て の知識 を 学 生 に し っ か り と 身 に つ け させる 「 ア カデミック観点」

を 文 学 部 出 身 者 に 対 し て 身 に つ け させら れ て い る 一 方 で 、 実 社 会 と の つ な が り

を 意 識 し た 実務に 役 立 つ 「 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点」 は 文 学 部 出 身 者 に 対

し て あ ま り 身 に つ け させら れ て い な い 、 と い う こ と が分か っ た 。延い て は 、 文

学 部 の 出 身 者 は キ ャ リ ア 意 識 が 低 い 、 と い う こ と に も な る 。 筆 者 は 、 こ れ が 文

学 部 の 就 職 状 況 が芳し く な い こ と の 一 要因だ と 考 え た 。

  そ し て 、 文 学 部 が 実 社 会 と の つ な が り を 意 識 し た 実務に 役 立 つ 「 キ ャ リ ア 意

識 を 涵 養 す る観点」 を 文 学 部 出 身 者 に 対 し て あ ま り 身 に つ け させら れ て お ら ず 、

文 学 部 の 出 身 者 の キ ャ リ ア 意 識 が 低 い こ と を改善す る た め に 、 文 学 部独自 の

キ ャ リ ア 教 育 が必要 な の で は な い か 、 と い う 提 言 を行っ た 。 文 学 部独自 の キ ャ

リ ア 教 育 を推進し て い る 例 と し て 、 法 政 大 学 文 学 部 、 立 教 大 学 文 学 部 、 龍 谷 大

学 文 学 部 を紹介し た 。

  無 論 、 大 学 は 研 究機関で あ り 、 就 職予備校で は な い 。 就 職率の 良 し悪し が 、

そ の 大 学 、 そ の 学 部 の質的 な価値を 下 げ る も の で も な い 。 文 学 部 の 学 生 に は

し っ か り と 文 学 部 生 と し て の 人 文 学 な ど の知識 を し っ か り と 身 に つ け させれ ば

良 い で は な い か 、 い わゆる 「 ア カデミック 」 な観点を 身 に つ け させら れ て い れ

ば 良 い で は な い か 、 と い う 読 者 の指摘も あ る か も し れ な い 。 し か し 、 本 論 文 は

就 職率の振る わ な さ か ら 「 文 学 部 不 要 論 」 が唱え ら れ 、 実 際 に 文 学 部 が 減 少 の

一途を辿っ て い る こ と に 対 し て 筆 者 が 問 題視し 、 そ の こ と の 一 要因を分析し 、

何 か し ら の 示唆や改善策 を得よ う と し た も の で あ る 。 や は り 、 文 学 部 の 学 生 が

極端に 「 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点」 を達成 で き て い な い 現 状 は 問 題 だ と 筆

者 は 考 え る 。 そ の こ と を 、 お承知置 き頂き た い 。

  本 論 文 が 、 文 学 部 の 学 生 の キ ャ リ ア 形 成 に つ い て 考 え る 1 つ の契機に な れ ば 、

筆 者 と し て は 非 常 に幸い で あ る 。

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