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2014年 度 卒 業 論 文2015/1/9 (金)提出
「なぜ文 学 部 は就 職 に弱 いのか~ 文 学 部 生 のキャリア形 成 について
~」
慶應義塾大学 文学部人文社会学科 教育学専攻 4 年
学籍番号: 11115825
松 浦 良 充 研 究 会 12 期
宮下拓也目 次 ● 第 1 章 は じ め に
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.1 第 1 節 筆 者 の 問 題 意 識 の 提
示 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.1 第 2 節 本 論 文 の 目 的 と 流
れ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.2
● 第 2 章 文 学 部 を 取 り 巻 く 現
状 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.2 第 1 節 減 り 続 け る 文 学
部 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.2 第 2 節 文 学 部 の 存 在 意 義 と
は ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.6 第 3 節 な ぜ 文 学 部 は 減 り 続 け る の
か ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.12第 4 節 文 学 部 は “ 就 活 ” に 不 利 な の
か ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.13第 5 節 文 学 部 出 身 者 の 実 際 の 就 職 状 況 に つ い
て ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.16第 6 節 文 学 部 は 人 気 企 業 に 就 職 で き な
い ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.20
● 第 3 章 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意
識 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.22 第 1 節 こ こ ま で の 流
れ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.22 第 2 節 企 業 が 大 学 に 求 め る こ と は 何
か ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.23 第 3 節 文 学 部 は 企 業 が 求 め る こ と に 応 え ら れ て い る の
か ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.25
● 第 4 章 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意 識 を い か に し て 涵 養 し て い く の
か ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.29 第 1 節 法 政 大 学 文 学 部 の 事
例 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.30
第 2 節 立 教 大 学 文 学 部 の 事
例 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.31 第 3 節 龍 谷 大 学 文 学 部 の 事
例 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.35 第 4 節 事 例 の ま と
め ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.36
● 第 5 章 お わ り
に ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.37 第 1 節 本 論 文 の ま と
め ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.37 第 2 節 今 後 の 課
題 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.38
● 第 6 章 参 考 文 献 一
覧 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.40
● ア ブ ス ト ラ ク
ト ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ p.49
● 第 1 章 はじめに
本 章 で は 、 本 論 文 の 具 体 的 な 内 容 に 入 る 前 に 、 筆 者 が 読 者 に 念 頭 に 置 い て お
い て 欲 し い 事 項 な ど を 記 述 す る 。 ま ず 、 第 1 節 に お い て 筆 者 の 問 題 意 識 や 本 論
文 の 執 筆 に 至 っ た 経 緯 に つ い て 説 明 す る 。 そ し て 、 第 2 節 に お い て 本 論 文 の 目
的 と 流 れ に つ い て 説 明 し 、 本 論 文 の そ の 後 の 展 開 に つ い て 概 説 す る 。
第 1 節 筆 者 の 問 題 意 識 の 提 示
「 文 学 部 」 と い う 学 部 に ど う い う イ メ ー ジ を 持 つ だ ろ う か 。 文 学 作 品 を 研 究
す る 学 部 、 作 家 に つ い て 研 究 す る 学 部 、 人 文 学 を 研 究 領 域 と す る 学 部 、 な ど で
あ ろ う か 。 そ れ ら の す べ て が 正 解 で あ る 。 人 に よ っ て 文 学 部 に 対 し て 抱 く イ
メ ー ジ は 様 々 で あ る 。 し か し 、 そ う し た イ メ ー ジ の 中 に は 、 「 文 学 部 は 就 職 活
動 に お い て 不 利 に な る 」 「 社 会 の 役 に 立 た な い 」 な ど と い っ た ネ ガ テ ィ ブ な イ
メ ー ジ を 抱 く 人 も 少 な く な い だ ろ う 。 筆 者 自 身 も 文 学 部 に 在 籍 し て い る が 、 こ
の よ う な 文 学 部 に 対 す る ネ ガ テ ィ ブ な 批 判 を 耳 に す る こ と は 決 し て 少 な く な い 。
実 際 に 、 「 文 学 部 」 と い う 看 板 を 取 り 下 げ 、 「 人 間 文 化 学 部 」 「 現 代 文 化 学
部 」 と い っ た 新 し い 名 称 に 変 更 す る 大 学 も 非 常 に 増 え て い る 。 ま た 、 新 設 の 学
部 で 「 文 学 部 」 と い う 学 部 を 創 設 す る 大 学 は ほ と ん ど な い 。 無 論 、 こ れ に は 時
代 の 変 化 と と も に 、 社 会 が 要 請 す る 大 学 教 育 の 在 り 方 も 変 わ り 、 そ れ を 受 け て
名 称 を 変 更 し た と い う こ と も 考 え ら れ る で あ ろ う 。 実 際 に 、 そ う い っ た 社 会 の
要 請 を 受 け て 、 新 し い 形 の 大 学 や 学 部 が 新 設 さ れ て い る ケ ー ス も あ る 。 し か し 、
こ の よ う な 名 称 の 変 更 に は 、 少 な か ら ず 「 文 学 部 」 と い う 名 前 だ と 学 生 が 集 ま
ら な い と 大 学 側 が 考 え た 末 に 講 じ ら れ た 対 策 で あ る と い う 側 面 も あ る と 筆 者 は
考 え て い る 。
こ の よ う な 文 学 部 の 人 気 低 迷 、 す な わ ち 「 文 学 部 不 要 論 」 は 日 本 だ け で 言 わ
れ て い る 問 題 で は な い 。 諸 外 国 に も 同 じ よ う な 潮 流 が あ る 。 た と え ば 、 ア メ リ
カ の 文 系 の キ ャ リ ア を 先 導 し て き た ハ ー バ ー ド 大 学 で は 人 文 学 を 専 攻 す る 学 生
が急激に 減 っ て き て い る そ う だ 。特に 就 職 に関し て 学 生 は 不安に 考 え て い る と
い う 。 つ ま り 、 人 文 学 を 専 攻 し て も仕事 が な い と認識 し て い る 学 生 が 増 え て い
る と い う こ と だ 。
し か し 、 こ の よ う に 文 学 部 が 減 少 し て い く こ と は 問 題 で あ る 、 と 筆 者 は 考 え
る 。 な ぜ な ら 、 文 学 部 で行う 学 問(=人 文 学)は 非 常 に重要 で 、必要 な 学 問 だ
か ら で あ る 。特に 、 大震災や脳死な ど の 問 題 を通し て倫理的 に物事 を思考 す る
こ と が 求 め ら れ る機会 の 増 え た昨今 に お い て 、 文 学 部 の必要性や重要性は 増 す
ば か り で あ る 。 そ れ に も か か わ ら ず 、 文 学 部 が 減 少 の 一途を辿っ て い る こ の 現
状 は 非 常 に危機的 で あ る 。
東京大 学 文 学 部 の 学 部長で あ る小松久男教授(東洋史学)は 、商学 部 や 経済
学 部 が そ の 存 在 意 義 を 問 わ れ な い 中 、 文 学 部 だ け が 社 会 か ら 存 在 意 義 を 問 わ れ
続 け る こ と こ そ 文 学 部 が愛さ れ て い る と い う こ と で あ る と インタビュー 1 で話
1 東京大学「文学部長インタビュー」(http://www.ut-life.net/study/kouki/faculty/lit/)2013/8/29 取得。
1
し て い る が 、 筆 者 も 社 会 か ら そ の 存 在 意 義 や 不 要 論 が 問 わ れ 続 け る 「 文 学 部 」
と い う 学 部 に 非 常 に関心を 持 っ た 。
な ぜ 、 文 学 部 は 不 要 論 を唱え ら れ る の か 。 な ぜ 、 文 学 部 に 学 生 が 集 ま ら な い
の か 。 「 文 学 部 不 要 論 」 の 一 要因を 明 ら か に し 、 文 学 部 の 今 後 の 展望に 何 か し
ら の 示唆を与え る こ と が 本 論 文 の 執 筆 に 至 っ た 経 緯 で あ る 。
第 2 節 本 論 文 の 目 的 と 流 れ
前 節 で は 、 筆 者 の 問 題 意 識 や 本 論 文 の 執 筆 に 至 っ た 経 緯 に つ い て 説 明 を し た 。
本 節 で は 、
本 論 文 の 目 的 と 流 れ に関し て 説 明 を す る 。
現 在 の 日 本 に お い て 、 文 学 部 不 要 論 が唱え ら れ て い る 現 状 が あ る 。 文 学 部 に
学 生 が 集 ま ら な い た め 、 実 際 に 文 学 部 の 看 板 を 取 り 下 げ 、異な る 名 称 に 変 更 す
る 大 学 も 増 え て い る 。 し か し 、 文 学 部 は 非 常 に必要性が高く 、重要 な 学 部 で あ
る 。 そ れ に も か か わ ら ず 、 不 要 論 が唱え ら れ 、 減 少 を 続 け る 要因は 何 か 。 そ の
要因は な ぜ引き起こ さ れ る の か 。 こ れ ら を検討し 、 筆 者 の主張を 提 示 す る こ と
が 本 論 文 の 目 的 で あ る 。
筆 者 の主張を 提 示 し 、検討す る た め に 、 ま ず 第 2 章 に お い て 文 学 部 を 取 り 巻
く 現 状 に つ い て 、 様 々 な観点よ り 言及し て い く 。 そ れ を踏ま え た上で 、 第 3 章
に お い て 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意 識 に つ い て 、 先行研 究 や アンケ ー ト調査な ど を
基に検討し て い く 。 そ し て 、 第 4 章 に お い て 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意 識 を い か に
し て 涵 養 し て い く の か 、 と い う こ と に つ い て検討し て い く 。検討を行う た め に 、
法 政 大 学 、 立 教 大 学 、 龍 谷 大 学 を 例 と し て用い る こ と と す る 。 第 5 章 に お い て
筆 者 の主張や 考 え を ま と め 、結論付け る 。 ま た 、 今 後 の 課 題 に関し て も 言及す
る 。 そ し て 、最後 と な る 第 6 章 で は 、 本 論 文 に用い た 参 考 文 献 を掲載し て い る
の で 、 参照さ れ た い 。
そ れ で は 、次章 に お い て 、 文 学 部 を 取 り 巻 く 現 状 に つ い て 、 様 々 な観点よ り
検討し て い く 。
● 第 2 章 文 学 部 を取 り巻 く現 状
前 章 で は 、 筆 者 の 問 題 意 識 や 本 論 文 の 執 筆 に 至 っ た 経 緯 を 説 明 し 、 本 論 文 の
目 的 と 流 れ に つ い て 言及し た 。 本 章 で は 、 前 章 の 内 容 を踏ま え 、 文 学 部 を 取 り
巻 く 現 状 に つ い て 言及し て い く 。
第 1 節 減 り 続 け る 文 学 部
本 節 で は 、 日 本 国 内 に お い て 文 学 部 が 減 少 を 続 け て い る 現 状 に つ い て 説 明 す
る 。
現 在 、 文 学 部 を 持 つ 大 学 は 日 本 に数多く 存 在 す る 。 文 学 部 は 経済学 部 、 法 学
部 、商学 部 な ど と並ん で 、 日 本 で最も知名 度 の あ る 学 部 だ と 言 っ て も 間違い な
い だ ろ う 。 さ ら に 、 文 学 部 は 非 常 に歴史の あ る 学 部 な の で あ る 。 そ も そ も 、
「 学 部 」 と い う 概 念 が誕生 し た の は 、 1877 年 の東京大 学 の 創 設 が契機で あ っ
た 。 こ の 時 に 、 日 本 に お い て初め て 「 学 部 」 と い う 言葉が使わ れ 、 文 学 部 、理
2
学 部 、 法 学 部 、医学 部 の 4 学 部 が 置 か れ る こ と と な っ た 。 日 本 の 教 育 法令の 中
で最初に 「 学 部 」 と い う 言葉が使わ れ た瞬間 で あ っ た 。 つ ま り 、 文 学 部 は 日 本
で最も古い 学 部 の 1 つ で あ り 、 非 常 に歴史の あ る 学 部 な の で あ る 。
し か し 、 文 学 部 は 「 就 職 活 動 に 不 利 に な る 」 「 社 会 の 役 に 立 た な い 」 と い っ
た よ う な ネ ガ テ ィ ブ な 批 判 や誤解 を 受 け る こ と が あ る 。 筆 者 自 身 、 文 学 部 に 在
籍 を し て い る が 、 こ の よ う な 批 判 や誤解 を 耳 に す る こ と は 決 し て 少 な く は な い 。
そ し て 、 実 際 に 今 そ の 文 学 部 が 日 本 か ら 減 り 続 け て い る 。以下 は 、 こ の 20 年
で 「 文 学 部 」 と い う 看 板 を お ろ し 、改組・ 名 称 変 更 を行っ た主な 大 学 を表に ま
と め た も の で あ る 2 。
改組・ 変 更 年 改 組 ・ 変 更 前 の
名 称
改組・ 変 更 後 の 名 称
山口県立 大 学 1994 年 文 学 部 国際文化学部、社会福祉学部
高知女子大 学 1998 年 文 学 部 文 化 学 部
広 島 文 教 女 子 大
学
2000 年 文 学 部 人 間科学 部
昭和女子大 学 2003 年 文 学 部 人 間 文 化 学 部
大阪大 谷 大 学 2004 年 文 学 部 教 育 福 祉
学科
教 育福祉学 部
文 化女子大 学 2004 年 文 学 部 現 代 文 化 学 部
大阪大 谷 大 学 2005 年 文 学 部 コ ミ ュ ニ
テ ィ関係学科
人 間 社 会 学 部
九州女子大 学 2005 年 文 学 部 人 間科学 部
ル ー テ ル 学 院 大
学
2005 年 文 学 部 総合人 間 学 部
上智大 学 2005 年 文 学 部 教 育 学
科 ・ 心 理 学 科 ・
社 会 学 科 ・ 社 会
福祉学科
総合人 間科学 部(上
智大 学 の場合は 「 文
学 部 」 が な く な っ た
わ け で は な い 。)
神戸山手大 学 2008 年 人 文 学 部 現 代 社 会 学 部
神 戸 海 星 女 子 学院大学
2008 年 文 学 部 現 代 人 間 学 部
帝塚山学院大 学 2009 年 文 学 部 リベラルア ーツ学 部
以上の表か ら も分か る通り 、 こ の 20 年 間 だ け で も 、 こ れ だ け多く の 大 学 が
「 文 学 部 」 と い う 名 称 か ら 新 し い 学 部 に改組・ 名 称 変 更 を し て い る 。以上の表
2倉部史記『文学部がなくなる日』を基に筆者が作成。3
は 一 部 に過ぎず 、 実 際 に は 更 に多く の 日 本 の 大 学 で 「 文 学 部 」 が 減 り 続 け て い
る 。
そ し て 、 「 文 学 部 」 と い う 新 設 の 学 部 が 置 か れ る こ と も ほ と ん ど と 言 っ て い
い ほ ど な い 。
以下 の表は平成 27 年 度 開 設予定の 大 学 の 学 部等に つ い て ま と め た も の で あ
る 3 。
区分 大 学 名 学 部 名
公立 高知工科大 学 経済・マネ ジ メント 学
群
私立 い わ き 明星大 学 教 養 学 部
地域 教 養 学科
私立 千葉商科大 学 国 際 教 養 学 部
国 際 教 養 学科
私立 東京工科大 学 工学部機械工学科
電気電子工学科応用化学科
私立 新潟青陵大 学 福祉心理学部社会福祉学科
臨床心理学科
看護学 部
看護学科
私立 名古屋学院大 学 現代社会学部現代社会学科
国際文化学部 国際文化学科 国 際協力学科
私立 京都学園大 学 経済経営学部 経済学科 経営学科人文学部 心理学科 歴史文化学科
私立 大阪国 際 大 学 国 際 教 養 学 部
3 文部科学省「平成 27 年度開設予定の大学の学部等の設置届出について」を参考に筆者が作成。4
国 際 コ ミ ュ ニ ケ ー
ション学科
国 際観光学科
私立 大阪樟蔭女子大 学 健康栄養 学 部
健康栄養 学科
私立 神戸学院大 学 グロー バル・コミュニ
ケ ーション学 部
グロー バル・コミュ
ニケ ーション学科
私立 流通科学 大 学 経済学部 経済学科 経済情報学科人間社会学部 人間社会学科 観光学科 人間健康学科
私立 筑紫女学園大 学 現代社会学部 現代社会学科
以上の 12 校 16 学 部 が平成 27 年 度 に 新 設予定の 学 部 で あ る が 、 経済学 部
や 国 際 系 の 学 部 が多く 新 設 さ れ る 中 で 、 文 学 部 の 新 設 は ほ と ん ど な い 。京都学
園大 学 が 人 文 学 部 を 新 設 す る が 、 こ れ は元々 あ っ た 人 間 文 化 学 部(心理学科、
メディ ア 社 会 学科、歴史民俗・ 日 本語日 本 文 化 学科、 国 際ヒューマン・コミュ
ニケ ーション学科)を廃止し 、 人 文 学 部(心理学科、歴史文 化 学科の 2 学科)
に縮小と い う 形 で あ る た め 、 実質的 に 文 学 部 の 新 設 は皆無 と 言 っ て い い だ ろ う 。
ま た 、 文 学 部 の 研 究 対象で あ る 人 文 学 を 専 攻 す る 学 生 も右肩下 が り で 減 少 を
続 け て い る 。
以下 の表 4 は 、 日 本 の 大 学 の 学 部 生 で 、 人 文 学 を 学ぶ学 生 の比率を表に し た
も の で あ る 。
人 文 学 を 専 攻 す る 学 部 生
平成 15 年 度 16.3%平成 20 年 度 15.6%平成 21 年 度 15.4%平成 22 年 度 15.2%平成 23 年 度 15.0%
4 文部科学省「学校基本調査-平成 25 年度(確定値)結果の概要-」を参考に筆者が作成5
平成 24 年 度 14.8%平成 25 年 度 14.7%
以上の表か ら も分か る通り 、 日 本 の 大 学 の 学 部 生 で 、 人 文 学 を 学ぶ学 生 は
年 々右肩下 が り に 減 り 続 け て い る 。 こ れ は 学 部 生 に限っ た話で は な い 。 大 学院
の 学 生 に も 同 じ こ と が 言 え る 。以下 の表 5 は 、 日 本 の 大 学院の院生 で 、 人 文 学
を 学ぶ学 生 の比率を表に し た も の で あ る 。
大 学院修士課程 大 学 院 博 士 課
程
平成 15 年 度 8.1% 10.4%平成 20 年 度 7.8% 10.1%平成 21 年 度 7.5% 9.9%平成 22 年 度 7.4% 9.5%平成 23 年 度 7.3% 9.0%平成 24 年 度 7.4% 8.7%平成 25 年 度 7.1% 8.5%
以上の表か ら も分か る通り 、 日 本 の 大 学院の 大 学院生 で も 、 人 文 学 を 専 攻 す
る 学 生 と い う の は 年 々 、右肩下 が り に 減 り 続 け て い る 。 こ れ だ け 人 文 学 を 専 攻
す る 学 生 が右肩下 が り に 減 少 を 続 け て い れ ば 、全国 の 日 本 の 大 学 に お い て 文 学
部 が 減 り 続 け 、 新 設 の 学 部 で 文 学 部 が 創 設 さ れ る こ と が な い の も 無理が な い の
か も し れ な い 。
以上ま で で 論 じ て き た よ う に 、 日 本 に お い て 人 文 学 を 専 攻 す る 学 生 は右肩下
が り に 減 少 を 続 け て い る 。 そ し て 、 日 本 の 大 学 に お い て 文 学 部 が 新 設 さ れ る こ
と は ほ と ん ど な く 、 文 学 部 は 減 り 続 け て い る 。
し か し 、 文 学 部 が 減 る こ と の 何 が 問 題 な の か 、 と い う指摘も あ る か も し れ な
い 。 こ れ だ け 文 学 部 の 不 要 論 が唱え ら れ て い る 中 で 、 文 学 部 が 減 少 し て い く こ
と は必然な の で は な い か 、 と い う 意見も あ る か も し れ な い 。 し か し 、 筆 者 は 文
学 部 が 減 少 し て い く こ と は 非 常 に危機的 な 問 題 だ と 考 え て い る 。次節 で は 、 筆
者 の 考 え る 文 学 部 の 存 在 意 義 に つ い て 論 じ て い く 。
第 2 節 文 学 部 の 存 在 意 義 と は
前 節 で は 、 日 本 の 大 学 に お い て 文 学 部 の数が 減 少 を 続 け て い る こ と に つ い て
述 べ た 。 本 節 で は 、 そ れ を踏ま え た上で 、 文 学 部 の 減 少 が な ぜ 問 題 な の か 、 と
い う こ と に つ い て 論 じ る 。 つ ま り は 、 筆 者 の 考 え る 文 学 部 の 存 在 意 義 に つ い て
論 じ た い と思う 。
そ も そ も 、 文 学 部 と は ど う い う 学 部 で あ る の か 。多く の 人 は 「 文 学 を 学ぶ学
5 同上6
部 」 な ど と 何 と な く認識 し て お り 、 正確に 文 学 部 と い う 学 部 の性格に つ い て把
握し て い る 人 は 少 な い よ う に思う 。 そ の た め 、 本 節 で は ま ず 文 学 部 が ど う い う
学 部 で あ る の か を 明瞭に し て お く 。
第 1 節 で も確認し た が 、 文 学 部 の は じ ま り は東京大 学 で あ る 。 そ の東京大 学
の 文 学 部 は 、 文 学 部 に つ い て以下 の よ う に定義 し て い る 。
「 文 学 部 の 「 文 」 と は 、 ま ず は 文字で あ り 、 文字で書か れ た 文 章 ・ 文 献 ・書
物の総体 を指し ま し た 。 人 間 は こ と ば を 持 ち 、 そ れ を 文字で 記 し 、伝え 、 文 化
を 生み出 し て き ま し た 。 文 学 部 と は 、 何 よ り も ま ず 、 人 間 に つ い て 考 え る場に
ほ か な り ません 。 そ れ か ら 130 余年 の 間 に 、 文 学 部 の 教 育 研 究 領 域 は拡大 し 、
文字以外 の 文 化 を視野に収め る 考古学 、美術史学 、音楽学 、心理学 、 社 会 学 な
ど を も加え 、 今 日 で は 27 の 専修課程を擁す る に 至 り ま し た 。 6 」
文 学 部 と は 「 文 学 」 部 で あ り 、 「 文 」 学 部 な の で あ る 。 文字で書か れ た 文
章 ・ 文 献 ・書物を通し て 、 人 間 に つ い て 考 え る 学 部 で あ る 。
そ し て 、 文 学 部 の 「 文 」 を辞書 7 で引く と 、 「①思っ た こ と や感じ た こ と を
文字で書き表し た も の 。 文 章 。②文 法 で 、思想・感情な ど を こ と ば で表現 す る
際 の 、 一区切り の ま と ま っ た 内 容 を も つ最少 の単位。 」 と定義 さ れ て い る 。 こ
こ か ら も 、 文 学 部 が ど う い っ た 学 部 で あ る の か 、 そ の性格が分か る 。 文 学 部 は
「 文 」 学 部 で あ り 、 文 字資料を通し て 、 人 間 に つ い て 考 え る 学 部 な の だ 。
「 人 」 に つ い て 「 文 」 を通し て 「 学 」ぶ。 こ れ が 、 文 学 部 と い う 学 部 で あ る 。
そ し て 、 そ の 「 人 文 学 」 こ そ が 文 学 部 の 研 究 領 域 な の で あ る 。
そ れ で は 、 文 学 部 の 研 究 領 域 で あ る 人 文 学 と は 具 体 的 に 何 を指す の だ ろ う か 。
文 部科学省で は 人 文 学 と い う 学 問 の範囲を以下 の表 8 の よ う に定め て い る 。
(本 論 文 で は 学 部 に関す る議論 を行っ て い る た め 、 大 学院に お け る分類に つ い
て は割愛す る)
①大学(学部) 大 分 類=人文学
中分類 小分類
文 学関係 文 学 、 日 本 文 学 、 国語国 文 学 、 国
語学 国 文 学 、 文芸学 、 言語学 、語
学 文 学 、英語英文 学 教 育 、 国語中
6東京大学文学部・大学院人文社会系研究科「文学部とは」(http://www.l.u-tokyo.ac.jp/faculty/index.html?phpMyAdmin=c53873f5a43613de1640d5512da37328)2014/12/17 取得。7 大修館書店『明鏡国語辞典』、大修館書店、2002 年。8 文部科学省「平成 17 年度学校基本調査 学部系統分類表」を参考に筆者が作成。
7
文 学 、 国 文 学 国語学 、 国 文 学 、語
学 、特設 日 本語学 、 日 本語・ 日 本
文 化 学 、 外 国語学 、 外 国語・ 外 国
文 学 、 外 国 文 学 、比較文 化 、 文 化
史学 、児童文 学 、 日 本語・ 日 本 文
化 学類、 日 本語学 、 文 、 日 本 学 、
日 本 語 教 育 学 、 日 本 語 ・ 日 本 文
学 、英語(・英米)文 化 学 、 外 国
語 文 化 学 、 日 本 ア ジ ア 言 語 文 化
学 、 英 米 言 語 文 化 学 、 国 際 文 化
学 、英語英米文 化 、 中 国語中 国 文
化 学 、ヨーロッパ・ ア メ リ カ 学 、
表 現 文 化 、 実 践 英 語 、 言 語 文 化
学 、英語英米文 学 、東ア ジ ア 言語
文 化 学 、 日 本 文 化 学
史学関係 史学、国史学、東洋史学、西洋史学、史学地理学、地理歴史学、地理学、美術史学、歴史学、文化財学、歴史社会学、日本文化史学、歴史文化(文化歴史)学、歴史遺産学、総合歴史、歴史地理学、文化財歴史学
哲学関係 哲学 、 中 国哲学 、 中 国哲学 文 学 、
心理学 、美学美術史学 、宗教 学 、
宗学 、仏教 学 、基督(キ リ ス ト)
教 学 、神学 、神道学 、禅学 、密教
学 、真宗学 、美学 、東洋哲学 、西
洋哲学 、印度哲学 、臨床心理学 、
人 間心理学 、芸術文 化 学 、 国 際禅
学 、 文 化心理学 、心理臨床学 、 社
会臨床心理学 、総合心理学
そ の他 人 文 学 、 人 文科学 、 文 化 学 、図書
館学 、 人 文 ・ 社 会 ・ 自然、 文 、 社
会 心 理 教 育 学 、 キ リ ス ト 教 文 化
学 、 文 明 学 、図書館・情報学 、 生
活 文 化 学 、 人 間関係学 、欧米文 化
8
学 、 日 本 文 化 ( 学 ) 、 心 理 社 会
学 、 国 際関係学 、東洋文 化 、 人 文
学類、比較文 化 学類、 人 間科学 、
国 際 学 、ヨーロッパ文 化 学 、マス
コミュニケ ーション学 、総合文 化
学 、 国 際 文 化 学 、行動科学 、地域
科学 、行動科学 課程、 文 化 課程、
英 米 文 化 、 国 際 言 語 文 化 学 、 コ
ミュ ニケ ー シ ョン 学 、 言 語 文 化
(文 化 言語)学 、図書館情報学 、
行 動 学 、 工 芸 文 化 学 、 地 域 文 化
学 、 人 間 文 化 学(課程)、 文 化行
動 学 、心理・ 教 育 学 、英米地域 研
究 、 人 文 社 会 学 、 人 間 学 、情報文
化 学 、知識情報学 、環日 本海文 化
学 、 言語コミュニケ ーション学 、
仏教 文 化 、思想文 化 学 、行動 文 化
学 、 欧 米 第 一 課 程 、 欧 米 第 二 課
程、ロシア ・東欧課程、東ア ジ ア
課程、東南ア ジ ア 課程、南・西ア
ジ ア 課 程 、 日 本 課 程 、 人 間 情 報
学 、 文 化 ・ コ ミュ ニケ ー シ ョン
学 、 国 際 社 会 文 化 学 、 人 間行動科
学 、 日 本 ア ジ ア 文 化 学 、 ア ジ ア 文
化 学 、超域 文 化科学 、地域 文 化 研
究 学 、 人 間 社 会 科 学 、 文 化 人 類
学 、 国 際 交 流 学 、 国 際 言 語 ( コ
ミュニケ ーション)学 、総合言語
文 化 学 、 国 際 地 域 学 、 現 代 中 国
学 、 人 間行動 学 、 国 際 社 会コミュ
ニケ ーション学 、地域情報科学 、
哲 学 歴 史 学 、 英 語 コミ ュニ ケ ー
ション(学)(課程)、 ア ジ ア 言
語 文 化 学 、 文 化 交 流 学 、 社 会 コ
ミュ ニケ ー シ ョン 学 、 人 間 発 達
学 、英語文 化 学 、環境文 化 学 、北
方圏文 化 学 、観光文 化 学 、東ア ジ
ア 地 域 言 語 、 国 際 コミ ュニ ケ ー
9
ショ ン 学 、 異 文 化 コミ ュニ ケ ー
ション学 、表現 文 化(文 化表現)
学 、 文 化総合学 、 人 間 言語学 、書
道学 、 人類文 化 学 、 人 文情報学 、
総合文芸学 、 人 間環境学 、 ア ジ ア
文 明 学 、ヨーロッパ文 明 学 、 文芸
創 作 学 、 文 化情報メディ ア 学 、多
文 化共生 学 、 現 代 文 化 学 、 現 代 日
本 文 化 学 、 日 本伝統文 化 学 、書道
文 化 学 、英語情報学 、 国 際 人 間 学
科、 ア メ リ カ 文 明 学 、心理コミュ
ニケ ーション、神道文 化 、芸術表
現療法 、心理・ 応用コミュニケ ー
ション、発達臨床心理学 、総合人
文 学 、グロー バル(・)コミュニ
ケ ーション、 言語表現 学 、 国 際 ・
英語学 、未来文 化 創造学 、 現 代英
語学 、 国 際英語学 、 日 本 文 化 創造
学 、 地 域 創 造 学 、 人 間 発 達 心 理
学 、 こ ど も 文 化 学 、 ド キ ュ メン
テ ーション学 、 国 際英語メディ ア
学 、心理こ ど も 学 、 国 際 文 化 ・ 言
語学 、交流 文 化 学 、 国 際 言語表現
学 、 文 学 言語、英語文 化コミュニ
ケ ーション学 、都市教 養 学 、 文 化
創造学 、 社 会 文 化 学 、英米比較文
化 学 、ヨーロッパ比較文 化 学 、 日
本 ・東ア ジ ア比較文 化 学 、 国 際 文
化協力学 、美学芸術学 、心理・行
動科学 、英語メディ ア 学 、子ど も
未来学 、 人 間発達文 化 学類、総合
人 間 学 、コミュニケ ーション情報
学 、心理・ 社 会福祉学 、 外 国語学
②学科(専攻) 大 分 類=人文学
中分類 小分類(学科又は 専 攻)
10
文 学関係 ①外 国語学
英米(語)学 、英米言語学 、フラ
ンス(語)学 、 イタリ ア語学 、 ド
イツ(語)学 、ロシア(語)学 、
スペイン語学 、ポルト ガル・ ブ ラ
ジル語学 、 中 国(語)学 、モンゴ
ル語 学 、 イン ド ・ パキ スタ ン語
学 、 インドシナ語学 、朝鮮(語)
学 、 ア ラ ビア 語 学 、 タ イ ( 語 )
学 、ミャンマ語(ビルマ語)学 、
ペルシア語学 、(国 際)英語学 、
デ ン マ ー ク 語 学 、 イ ス パ ニ ア
(語)学 、 イギリ ス語学 、ポルト
ガル語学 、南ア ジ ア語学 、西ア ジ
ア 語 学 、 外 国 語 学 、 ベ トナ ム 語
学 、 タイ ・ ベ トナ ム 語 学 、 デン
マー ク ・ スウェーデン語学 、 ブ ラ
ジル ・ ポ ルト ガル 語 学 、 韓 国 語
学 、 ア ラビア ・ アフリ カ語学 、東
ア ジ ア(語)学 、ゲルマン系 言語
学 、ロマンス 系 言語学 、 ス ラ ブ 系
言語学 、 ア ジ ア 第 一 言語学 、 ア ジ
ア 第 二 言 語 学 、 ア ジ ア 第 三 言 語
学 、 インド ネシア ・マレーシア語
学 、 インド ネシア ・フィ リピン語
学 、ロシヤ(原文ママ)・東欧語
学 、 東 南 ア ジ ア 語 学 、 ブ ラ ジル
学 、 中東語学 、 ア ジ ア 学 、 スペイ
ン・ ラ テンア メ リ カ 学 、北欧、英
米学 、英米語学 、 ア ジ ア語学
②外 国語・ 外 国語文 学
英語(学)(・)英米文 学 、 中 国
語中 国 文 学 、 スペイン語スペイン
文 学 、 英 語 英 米 学 ( 英 語 学 英 文
学 ) 、 イ ギリ ス ・ ア メ リ カ 語 文
学 、フランス 文 学 ・語学 、(仏語
(学)(・)仏文 学)、独語学独
文 学 、 外 国語外 国 文 学 、ロシア語
11
ロシア 文 学 、梵語学梵文 学 、 イ ス
パニア語イ スパニア 文 学
③外 国 文 学
外 国 文 学 、英(語)文 学 、フラン
ス 文 学 、 英 米 文 学 、 イ ギリ ス 文
学 、 ド イ ツ 文 学 、 イ ス パニ ア 文
学 、北欧文 学 、ロシア 文 学 、 中 国
文 学 、 西 洋 文 学 、 ヨ ー ロッ パ 文
学 、 日 本 ・ 中 国 文 学 、欧米文 学
以上の表か ら も 読み取 れ る よ う に 、 国 で は 人 文 学 を細か く分類し て い る 。 こ
れ ら 人 文 学 が 文 学 部 に お い て 研 究 さ れ て い る と い う こ と だ 。
で は 、 こ の 人 文 学 を 学ぶ学 部 で あ る 文 学 部 の 存 在 意 義 は 何 な の だ ろ う か 。
文 学 部 で行う 学 問(=人 文 学)と い う の は 、 目 に見え る 形 で の 成果が 少 な い 。
そ の た め 、 文 学 部 不 要 論 な ど の議論 が 出 る の だ 。 こ の こ と は 、 文 部科学省も 言
及し て い る こ と だ 。
「 自然科学 の場合で あ れ ば 、産業 や医療・福祉の 現場か ら多く の 問 題 が 生 ま
れ 、 そ の 解 決 を通じ て 学 問 が 成長し て い る 。 ま た 、 そ の逆のプロセス も多く 、
学 問 か ら 実 社 会 に向け て多く の 成果が還元さ れ て い る と い う 実感を 人 々 は得て
い る 。 こ れ に 対 し て 、 人 文 学及び社 会科学 の場合で あ れ ば 、 社 会 生 活 を送る上
で必要 な 政治や 経済に つ い て の理解 、 文 化 生 活 を送る上で の歴史や芸術に つ い
て の理解 と い っ た 、精神面 で の影響を通じ て 人 々 に 実感を与え て い る 。即ち 、
大 学 に お け る 教 養 教 育 な ど を通じ て 一定の 役割を果た し て い る と 言 っ て よ い 。
こ れ は 、 人 文 学 や 社 会科学 の 成果が 、主に 「ソフト 」 と い う 形 で 人 々 に 示 さ れ
て い る か ら に他な ら な い 。 た だ し 、 人 文 学 や 社 会科学 の場合に は 、 そ の 成果が
「ソフト 」 と し て発信さ れ て お り 、工業製品 と か 、農産物と い っ た 目 に見え る
形 を と っ て い な い た め 、 社 会 の 人 々 が 成果と し て還元さ れ て い る と い う 実感を
得る の が難し い可能性も あ る 。 9 」(下線は 筆 者 に よ る)
し か し 、 文 学 部 で行う 学 問 で あ る 人 文 学 は 非 常 に重要 な 学 問 で あ る と 筆 者 は
考 え る 。 な ぜ な ら 、 人 文 学 は全て の 学 問 に お け る基礎学 で あ り 、 非 常 に汎用性
の高い 学 問 だ と 考 え る か ら で あ る 。 文 部科学省も 、 人 文 学 の 役割や機能に つ い
て は以下 の よ う に 言及し て い る 。
9文部科学省「第一章 日本の人文学及び社会科学の課題」(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/attach/1246379.htm)2014/12/17 取得。
12
「 人 文 学 は 、 「精神価値」 、 「歴史時 間 」 、 「 言語表現 」及び「 メタ知識 」
を 研 究 対象と す る 立場か ら 、 諸 学 の基礎と し て 、個別諸 学 の基礎付け を行う と
い う 役割・機能を有し て い る 。 ま た 、 「『対話』を通じ た『(認識)枠組み』
の共有」 と い う 「共通性」 と し て の 「普遍性」 の獲得への道程と い う 研 究 方 法
上の特性は 、個別諸 学 間 の 「 対話」 を通じ た 「普遍性」 の獲得の可能性を 導 く
と い う 意味で 、 方 法上、個別諸 学 の基礎付け と な り う る と 考 え ら れ る 。 10 」
「 現 在 、情報技術や バ イオテ クノロジ ー と い っ た科学技術の飛躍的 な発展 や 、
産業 の発展 に伴う 生 活 スタイルの 変 化 に伴う 大量消費社 会へと 文 明 社 会 が 展 開
し て い く 中 で 、改め て 現 代 文 明 を基礎付け て い る 人 間 と い う価値そ の も の が 問
い直さ れ て い る 。 11 」
「 ま た 、画一性の 論理を軸と す るグロー バ リゼーションの 潮 流 が 、 政治、 経済、
文 化 と い っ た 文 明 社 会 の あ らゆる 領 域 を覆い つ つ あ る 中 で 、地域 や 社 会 集団等
に お け る個性及びそ れ ら 諸個性の共存 状態と し て の 文 化 の多様性の確保が 大 き
な 課 題 と な っ て い る 。 こ の よ う な 文 明史的 な 課 題 に 対 し て 、精神価値、歴史時
間及び言語表現 と い う ま さ に 文 明 の構成 要素を 研 究 対象と し 、 「他者 」 と の
「 対話」 を通じ て 「共通性」 と し て の 「普遍性」 を獲得す る こ と を 目指す 人 文
学 の果た す 役割は き わ め て 大 き い 。 12 」
「 社 会 に お け る 具 体 的 な 課 題 を 解 決 す る た め に は 、高度 な 専門性の 前 提 と し て
諸価値に つ い て の 判断力、即ち 人 文 学 的 な素養 が必要 と な る 。 こ の た め 、高度
な 専門人 の 育 成 に当た っ て は 、 人 文 学 的 な素養 の 涵 養 と い う視点が 求 め ら れ る 。
一般に 社 会 は 、 問 題 設定や 目 的 が 一 義 的 に与え ら れ る も の で は な く 、 問 題 設定
や 目 的 自 体 を めぐっ て試行錯誤が繰り返さ れ て い る よ う な世界で あ る 。 し た
が っ て 、 こ こ で 涵 養 さ れ る 「高度 な 専門性」 は 、客観的 な知識 を獲得し 、 そ れ
を テ クニカルに適用す れ ば よ い と い う も の で は な く 、 人 文 学 的 な素養 を背景と
し て い な け れ ば な ら な い こ と に留意 し て お く必要 が あ る 。 13 」
文 部科学省の 文 言 か ら も分か る通り 、 人 文 学 に は多く の 役割や機能が 期待さ
れ て い る 。 ま た 、 2011 年 3 月 11 日 の東日 本 大震災も 文 学 部 で 学ぶ学 問 の
必要性を再認識 す る契機
10文部科学省「第三章 人文学及び社会科学の役割・機能」(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/attach/1246382.htm)2014/12/17 取得。11同上。12同上。13同上
13
で あ っ た 。 な ぜ な ら 、福島の原子力発電所に お け る 事故や 人 々 の死生 な ど を通
し て 、倫理
的 に物事 を思惟す る こ と が 求 め ら れ た か ら で あ る 。
あ る い は 、昨今 で は脳死と植物状態に つ い て の議論 や安楽死、尊厳死な ど の
議論 が 活発
に な さ れ て い る 。 ど れ だ け科学技術や医療が進歩し て も 、 こ の よ う な倫理的 な
問 題 ま で は 解 決 で き な い の で あ る 。 そ こ で 、 文 学 部 の行う 学 問 が必要 に な る の
だ 。 こ う い っ た 側 面 で も 、 文 学 部 で 学ぶ学 問 は 「 社 会 の た め の 、 社 会 の 中 の 学
術」 と い う観点か ら 、 社 会への貢献 が 求 め ら れ て い る の で あ る 。
確か に 文 学 部 で行う 学 問 は即効性を も っ て 社 会 に貢献 で き る わ け で は な い が 、
人 間 が長く 生 き て い く上で絶対 的 に必要 な 学 問 な の で あ る 。
以上ま で で 論 じ て き た よ う に 、 文 学 部 で 学ぶ学 問 は 社 会 に と っ て必要 不可欠
な 学 問 で あ り 、 人 文 学 を 学ぶ学 部 で あ る 文 学 部 に 不 要 論 な ど が唱え ら れ る こ と
は 非 常 に愚か な こ と な の だ 。 筆 者 と し て は 、 こ の こ と に 対 し て 非 常 に 問 題 意 識
を 持 っ て い る 。 し か し 、 現 実 に 日 本 国 内 に お い て 文 学 部 は 減 少 を 続 け て い る 。
ま た 、 「 文 学 部 」 と い う 学 部 が 新 設 さ れ る こ と も ほ と ん ど と い っ て い い ほ ど な
い 。 文 学 部 で行う 学 問 と い う も の は 、 非 常 に重要 な 学 問 で あ る に も か か わ ら ず 、
な ぜ 現 在 日 本 国 内 に お い て 文 学 部 が 減 り 続 け て い る の だ ろ う か 。次節 に お い て
は 、 文 学 部 が 減 り 続 け る 要因に つ い て 先行研 究 な ど を 参 考 に し 、検討し て い き
た い 。
第 3 節 な ぜ 文 学 部 は 減 り 続 け る の か
第 1 節 と 第 2 節 で確認し て き た よ う に 、 文 学 部 に は長い歴史が あ り 、 文 学 部
で行う 学 問 と い う も の も 非 常 に重要 で あ る 。 そ れ に も か か わ ら ず 、 人 文 学 を 専
攻 す る 学 生 は右肩下 が り に 減 少 を 続 け て い る 。 そ し て 、 日 本 の 大 学 に お い て 文
学 部 が 新 設 さ れ る こ と は ほ と ん ど な く 、 文 学 部 は 減 り 続 け て い る 。 文 学 部 不 要
論 な ど と い う暴論 さ え ま か り通っ て い る 。 な ぜ 、 こ の よ う な 現 状 に な っ て し
ま っ て い る の か 。 本 節 で は 、 文 学 部 が 減 少 を 続 け て い る 要因に つ い て 、 先行研
究 者 な ど の 研 究 を基に検討し て い き た い 。
日 本 の 大 学 に お い て 文 学 部 が 減 少 を 続 け て い る 。 こ の 要因に つ い て倉部 14 は
ポジ テ ィ ブ な理由と ネ ガ テ ィ ブ な理由の二通り が あ る と 述 べ る 。
ポジ テ ィ ブ な理由と し て は 「 学 部 で扱う 学 問 の 領 域 ・ 内 容 が 変 わ っ た か ら 、
誤解 を招か な い よ う 、 そ れ に合わせて 名 称 も 変 え よ う 」 と い う こ と で あ る 。 社
会 は絶え ず 変 化 し て お り 、当然社 会 が 要 請 す る 大 学 教 育 の 在 り 方 も 変 わ っ て く
る 。 1990 年 代 の初頭 に慶應義塾大 学 が 創 設 し た 「総合政 策 学 部 」 「環境情報
学 部 」 は 、 ま さ し く 社 会 や 時 代 の 変 化 に 対 応 す る 大 学 教 育 を 体 現 し た 今 ま で に
は な い 新 し い 学 部 だ と 言 え る 。 文 学 部 も 同 様 で 、 社 会 や 時 代 の 変 化 に 対 応 し て
い く こ と が 求 め ら れ る 。 学術的 な メ リット を 考 え て 、 「 文 学 部 」 と い う 看 板 を
お ろ す 例 で あ る 。
14倉部史記『文学部がなくなる日』、主婦の友社、2011 年、41-81頁。14
ま た 、多く は な い が 、 教 育 や 研 究 の 内 容 を分か り や す く 社 会 に伝え る た め に 、
「 文 学 部 」 と い う 看 板 を お ろ す 例 も あ る 。 た と え ば 、上智大 学 で あ る 。 2005年 、上智大 学 は 、 そ れ ま で 文 学 部 の 中 に あ っ た 教 育 学科、心理学科、 社 会 学科、
社 会福祉学科の 4 学科を ま と め て独立 させ、総合人 間科学 部 を 創 設 し た 。 そ し
て 、 文 学 部 に属す る 学科は哲学科、史学科、 国 文 学科、 文 学科、 ド イツ文 学科、
フランス 文 学科、 新聞学科、保健体 育 研 究室の 7 学科 1 研 究室と な っ た 。 「 文
学 部 」 と聞く と 、 人 々 は 「 作 家 や 文 学 だ け を 学ぶ学 部 で あ る 」 と い う印象を 抱
く 人 も多く 、 教 育 学 、 社 会 学 、 社 会福祉学 、心理学 も 学ぶこ と が で き る と い う
こ と に 意 外性を感じ る 人 も 少 な く は な い 。 そ の た め 、 社 会(特に 受験生 だ ろ
う)に 対 し て分か り や す い よ う に 、上智大 学 の よ う に 名 称 を 変 更 す る と い う こ
と は 意 義 の あ る こ と な の か も し れ な い 。
で は 、 日 本 の 大 学 が 「 文 学 部 」 と い う 看 板 を お ろ す ネ ガ テ ィ ブ な理由と は 何
だ ろ う か 。 そ れ を 、倉部 は 「 文 学 部 だ と 学 生 が 集 ま ら な い と 大 学 側 が 考 え る か
ら 」 だ と 述 べ て い る 。 現 在 、全国 に は 100 校以上の 大 学 に 「 文 学 部 」 と い う 名
称 が残っ て い る が 、 こ れ か ら 先 は 減 り 続 け 、 増 え る こ と は殆ど な い と倉部 は 述
べ る 。 そ こ に は 、 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 に な る 」 と い う イ メ ー ジ が
あ る か ら だ と い う 。確か に 、 「 実 学 で は な い 」 と い う点で 、 文 学 部 が 就 職 活 動
に 不 利 に な る と い う話は よ く聞く話で あ る 。 事 実 、 か つ て は 企 業 側 が指定す る
学 部 ・ 学科で な い と 、 そ の 企 業 にエント リ ー が で き な い と い う こ と が あ っ た そ
う だ 。 ア メ リ カ な ど に お い て は 、 今 も そ れ が普通で あ る と い う 。 し か し 、 現 在
の 日 本 に お い て は 、 そ こ ま で極端な採用活 動 を し て い る 企 業 は 少 な い だ ろ う 。
た だ 、 こ こ最近の 流 れ と し て も資格が と れ 、 実 学 に直接的 に結びつ い た こ と が
学 べ る 大 学 が 人 気 に な っ て い る 流 れ が あ る こ と は確か で あ る 。 事 実 、最近に 新
設 さ れ た 大 学 と し て 「千葉県立保健医療大 学 」 「弘前医療福祉大 学 」 「 日 本赤
十字秋田看護大 学 」 「東都医療大 学 」 「東京有明医療大 学 」 「 大阪保健医療大
学 」 「群馬社 会福祉学 部 」 「宝塚医療大 学 」 な ど 「医療」 「福祉」 「保健」 な
ど の 文字が 目 立 つ 。 こ の よ う に 、資格が と れ 、 実 学 を 学 べ る 大 学 が 人 気 と な
り 、次々 と 新 設 さ れ て い る 流 れ を 受 け 、結果と し て 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に 不
利 」 に見え て し ま う 状 況 が 生 ま れ て し ま っ て い る の か も し れ な い 。倉部 は以上
の こ と か ら 、 大 学 側 が 文 学 部 だ と 学 生 が 集 ま ら な い と 判断し 、 「 文 学 部 」 と い
う 看 板 を お ろ す 大 学 が 増 え 、 文 学 部 が 減 り 続 け て い る と結論付け て い る 。
確か に 「 文 学 部 だ と 就 職 活 動 に お い て 不 利 に な る 」 と い う こ と は よ く聞く話
で あ る 。次節 で は 、 こ の よ う な 文 学 部 と 就 職 活 動 の関係に つ い て 、 も う 少 し詳
細に 論 じ て い き た い 。
第 4 節 文 学 部 は “ 就 活 ” に 不 利 な の か
前 節 で は 、 文 学 部 が 減 少 の 一途を辿る 要因に つ い て 述 べ た 。倉部 は 、 文 学 部
に 学 生 が 集 ま ら ず 、 減 少 の 一途を辿る 要因と し て 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て
不 利 」 と 大 学 側 や 学 生 が 考 え て い る と い う こ と を指摘し た 。 そ れ を踏ま え 、 本
節 で は 文 学 部 と 就 職 活 動 の関係に つ い て 論 じ て い き た い と思う 。
15
確か に倉部 の指摘の よ う に 、 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と い う こ と
は よ く 言 わ れ る話だ 。 で は 、 実 際 の と こ ろ は ど う な の で あ ろ う か 。
以下 の表は 筆 者 が独自 に アンケ ー ト を収集 し た結果を 示 し た も の で あ る 。首
都圏の 大 学 出 身 者 を 対象に 、 インター ネット で匿名 アンケ ー ト を収集 し た 。 文
学 部 の 出 身 者 と 文 学 部以外 の 学 部 の 出 身 者 と を分け 、 「 あ な た は 「 文 学 部 は 就
職 活 動 に お い て 不 利 」 と い う こ と に つ い て 、(そ の真偽は 問 わ ず)聞い た こ と
が あ り ま す か?」 と い う 問 い に 対 し て得ら れ た回答の結果が以下 の通り で あ る 。
● あ な た は 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と い う こ と に つ い て 、(そ の真
偽は 問 わ ず)聞い た こ と が あ り ま す か?(文 学 部 出 身 者 を 対 象、回答合計
27 )
聞い た こ と が あ る 88.9%聞い た こ と が な い 11.1%
● あ な た は 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と い う こ と に つ い て 、(そ の真
偽は 問 わ ず)聞い た こ と が あ り ま す か?(文 学 部以外 の 学 部 の 出 身 者 を 対象、
回答合計 35 )
聞い た こ と が あ る 74.3%聞い た こ と が な い 25.7%
以上の表か ら も分か る通り 、 文 学 部 の 出 身 者 で約 90% 、 文 学 部以外 の 学 部 の
出 身 者 で約 75% が 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と い う こ と に つ い て聞い
た こ と が あ る 、 と答え た 。 こ の結果か ら も分か る通り 、 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に
お い て 不 利 」 と い う こ と は 学 生 の 間 で も認識 さ れ て い る と い う こ と だ 。
ま た 、以下 の表 15 を 参照さ れ た い 。
15文部科学省「平成26年度学校基本調査(速報値)の公表について」より抜粋。(http://www.mext.go.jp/component/b_menu/houdou/__icsFiles/afieldfile/2014/08/07/1350732_01.pdf)2014/12/17 取得。
16
こ れ は 、 文 部科学省が発表し て い る 「平成 26 年 度 学校基本調査(速報値)
の公表に つ い て 」 の 中 の 学 部 出 身 者 の分野別卒 業 生 の 状 況 を 示 し た も の で あ る 。
こ のグラフに よ る と 、 文 学 部 が属す る 人 文 の 項 目 は 「 「 一 時 的 な仕事 に 就 い た
者 」及び「進学 も 就 職 も し て い な い 者 」 」 の割合が単独の 項 目 と し て は最も高
い と い う こ と が分か る 。 ま た 、 「 正規の 職員等で な い 者 」 の割合も単独の 項 目
と し て は 3 番目 に高い 。 こ こ か ら分か る こ と は 、 文 学 部 の属す る 人 文 の 学 生 は
就 職 と い う点に お い て 、 決 し て 良 く な い 状 況 で あ る 、 と い う こ と だ 。 「 正規の
職員等」 の割合で は 、 社 会 系 や 家 政 系 と比較し て約 10% の差を つ け ら れ て し
ま っ て い る 。
以下 の表も 筆 者 が独自 に アンケ ー ト を収集 し た結果を 示 し た も の で あ る 。首
都圏の 大 学 出 身 者 を 対象に 、 インター ネット で匿名 アンケ ー ト を収集 し た 。 文
学 部 の 出 身 者 と 文 学 部以外 の 学 部 の 出 身 者 と を分け 、 「 あ な た が 就 職 活 動 を し
て い た 時 、 何 社 の 内定を 企 業 か ら も ら い ま し た か?(内定を辞退し た 会 社 も含
め る)」 と い う 問 い に 対 し て得ら れ た回答の結果が以下 の通り で あ る 。
17
● あ な た が 就 職 活 動 を し て い た 時 、 何 社 の 内定を 企 業 か ら も ら い ま し た か?
(内定を辞退し た 会 社 も含め る)(文 学 部 出 身 者 を 対象、回答合計 27 )
1 社 29.6%2 社 29.6%3 社 22.2%4 社 11.1%5 社 7.4%6 社 0%7 社 0%8 社以上 0%
● あ な た が 就 職 活 動 を し て い た 時 、 何 社 の 内定を 企 業 か ら も ら い ま し た か?
(内定を辞退し た 会 社 も含め る)(文 学 部以外 の 学 部 の 出 身 者 を 対象、回答合
計 35 )
2 社 28.6%1 社 22.9%3 社 22.9%4 社 11.4%5 社 5.7%8 社以上 5.7%6 社 2.9%7 社 0%
以上の表に よ る と 、 文 学 部 出 身 者 の平均内定獲得数は約 2 社 で あ る 。 一 方 で 、
文 学 部以外 の 学 部 の 出 身 者 の平均内定獲得数は約 3 社 で あ り 、 6 社以上の 内定
を獲得し た割合も 1 割程度 存 在 す る 。
以上ま で で 論 じ て き た よ う に 、 大 学 や 学 生 の 間 に は 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お
い て 不 利 に な る 」 と い う認識 が 存 在 し た 。 文 部科学省の公表し て い る 「平成
26 年 度 学校基本調査(速報値)の公表に つ い て 」 を見て も 、 文 学 部 が属す る
人 文 系 の 学 生 は 「 「 一 時 的 な仕事 に 就 い た 者 」及び「進学 も 就 職 も し て い な い
者 」 」 の割合が単独の 項 目 と し て は最も高い と い う こ と が分か っ た 。 そ し て 、
実 際 に 、 アンケ ー ト を収集 し て も 文 学 部以外 の 学 部 出 身 者 の 方 が 文 学 部 の 出 身
者 よ り も多く の 企 業 か ら 内定を得て い る と い う こ と が分か っ た 。 こ の よ う な こ
と か ら 、 や は り 文 学 部 が 就 職 活 動 に お い て 不 利 に な る 、 と い う こ と は あ る程度
言 え る だ ろ う と推測す る 。
そ れ で は 、次節 で は 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と い う こ と に関し て 、
実 際 の 就 職データを確認す る こ と で 、 そ の真偽に つ い て検討し て い き た い 。
18
第 5 節 文 学 部 出 身 者 の 実 際 の 就 職 状 況 に つ い て
前 々 節 、 前 節 で は 、 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と 言 わ れ て い る こ と
に つ い て確認し た 。 大 学 や 学 生 の 間 で も 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と
認識 さ れ て お り 、 学 生 の 内定獲得数も 文 学 部 よ り 文 学 部以外 の 学 部 出 身 で あ る
ほ う が多い と 言 う こ と が分か っ た 。
ま た 、 文 部科学省が公表し て い る 「平成 26 年 度 学校基本調査(速報値)の
公表に つ い て 」 を見て も 、 文 学 部 が属す る 人 文 系 の 学 生 は 「 「 一 時 的 な仕事 に
就 い た 者 」及び「進学 も 就 職 も し て い な い 者 」 」 の割合が単独の 項 目 と し て は
最も高い と い う こ と が分か っ た 。 先行研 究 者 の見解 か ら 考 え て も 、 や は り 「 文
学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と い う 現 実 が窺え た 。
本 節 で は 、 大 学 の 文 学 部 の 就 職データを見る こ と で 、 実 際 の 文 学 部 の 就 職 状
況 を確認し 、 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と い う こ と が 現 実 問 題 と し て
ど れ だ け 生 じ て い る の か に つ い て検討し て い く 。
就 職データを確認す る 大 学 は偏差値 50 を 目安と し た共学 の私立 大 学 の 文 学
部 と す る 。 な ぜ な ら 、偏差値の高い難関大 学 や女子大 学 な ど で あ れ ば 、 文 学 部
で あ る こ と以外 の 要素(ネ ームバ リュー や OBOG 等)が 就 職データに影響し て
く る か ら で あ る 。 ま た 、偏差値の 低 い 大 学 も 同 様 に 文 学 部 で あ る こ と以外 の 要
素が 就 職データに影響し て く る た め で あ る 。 そ し て 、理系 の 学 生 は 大 学院に進
学 す る割合が 文 系 の 学 生 と比較す る と圧倒的 に多い た め 、比較対象と し な い 。
よ っ て 、偏差値の 中 間 で あ る 50 前 後 の 日 本 の 文 学 部 の 就 職データを確認す る 。
な お 、偏差値は 大手予備校で あ る河合塾が編集 し て い る進学情報誌『栄冠めざ
し て』シリ ーズに準ず る 。『栄冠めざし て』に お い て 、偏差値 50 ~ 52.4(ラ
ンク⑦)の 文 学 部 が属す る 大 学 を 対象と し 、 文 学 部 の 1 学科で も こ の範囲に
入 っ て い れ ば 対象と す る 。『栄冠めざし て』に お い て 、偏差値 50 ~ 52.4(ラ
ンク⑦)の 対象と な る 文 学 部 の あ る 大 学 は國學院大學、 国士舘大 学 、駒澤大 学 、
専修大 学 、東洋大 学 、武蔵野大 学 、 明治学院大 学 、 立 正 大 学 、愛知大 学 、愛知
学院大 学 、 中京大 学 、 龍 谷 大 学 、甲南大 学 、西南学院大 学 で あ る 。 そ し て 、 こ
れ ら の 大 学 の 中 か ら 、 学 部別の詳細な 就 職データを 大 学 のホームペー ジ上に 記
載し て い る等の理由か ら 筆 者 が選定し た 専修大 学 、 明治学院大 学 、駒澤大 学 、
愛知学院大 学 、 中京大 学 、甲南大 学 のデータを確認す る 。
以下 を 参照さ れ た い 。
専修大 学
平成 25 年 度 卒 業 生 の 就 職率 16
経営学 部 71 %
法 学 部 67 %
16・専修大学「就職データ」(http://www.senshu-u.ac.jp/support/emp/employmentdata.html)を基に筆者が作成。
19
経済学 部 72 %
商学 部 79 %
文 学 部 62 %
ネットワー ク情報学 部 67 %
人 間科学 部 69 %
上の表か ら も分か る通り 、 専修大 学 で最も 就 職率の高い 学 部 は商学 部 の 79%で あ り 、最も 就 職率の悪い 学 部 は 文 学 部 の 62% で あ っ た 。 そ こ に は 、 20%近く
の差が あ る 。 そ し て 、男女別だ と 、 文 学 部 の男子が 59 %、女子が 64 %と い
う結果だ っ た 。 文 学 部 は進学率も高い が 、 同 じ く進学率の高い 法 学 部 と 5 %以上の差が あ る と い う こ と は 、 文 学 部 の 就 職率の 低 さ は単に進学率が高い か ら 、
と い う理由だ け で は な さ そ う だ 。
明治学院大 学
平成 25 年 度 卒 業 生 の 就 職率 17
文 学 部 66 %
経済学 部 80 %
社 会 学 部 84 %
法 学 部 79 %
国 際 学 部 77 %
心理学 部 68 %
上の表か ら も分か る通り 、 明治学院大 学 に お い て 就 職率が最も高い 学 部 は 社
会 学 部 の 84% で あ り 、最も 低 い 学 部 は 文 学 部 の 66% で あ っ た 。 そ こ に は 、 20%近く の差が あ る 。 明治学院大 学 は 文 学 部 と 法 学 部 の進学率は 1 名 し か 変 わ ら な
い に も か か わ ら ず 、 そ の 法 学 部 は 79 %と い う 就 職率と な っ て い る 。 や は り 、
文 学 部 の 就 職率の 低 さ は単に進学率が高い か ら 、 と い う理由だ け で は な さ そ う
だ 。 ま た 、 「 一 時 的 な仕事 に 就 い た 者(卒 業 後 、パー ト 、 アルバ イ ト な ど の臨
時 的 な収入 を 目 的 と し た仕事 に 就 い た 者)」 の 人数も 文 学 部 が最も多い と い う
結果で あ っ た 。
愛知学院大 学
就 職率( 2014 年 5 月時点) 18
文 学 部 88%
17 明治学院大学「就職・進学者数」(http://www.meijigakuin.ac.jp/office/career/data/number_graduates.html)を基に筆者が作成。18 愛知学院大学「進学・就職状況」(http://www.agu.ac.jp/about/pdf/koukai/graduation2.pdf)を基に筆者が作成。
20
心身科学 部 91%商学 部 97%経営学 部 95%法 学 部 92%総合政 策 学 部 94%
上の表か ら も分か る通り 、愛知学院大 学 に お い て 就 職率が最も高い 学 部 は商
学 部 の 97% で あ り 、最も 低 い 学 部 は 文 学 部 の 88% で あ っ た 。 そ こ に は 、 10%近く の差が あ る 。 そ し て 、 文 学 部 だ け が唯一 9 割を切る結果と な っ て い る 。 ま た 、
「 一 時 的 な仕事 に 就 い た 者 」 の割合も 文 学 部 が最も高い と い う結果に な っ た 。
こ こ で 言 う 「 就 職率」 は 就 職希望者 に占め る 就 職 者 の割合を指し 、 就 職 者数を
就 職希望者 で除し た も の と し て い る 。 つ ま り 、進学 す る 者 を除き 、 就 職 す る 者
だ け でデータを算出 し て い る た め 、 や は り 文 学 部 の 就 職率の 低 さ が窺え る 。
中京大 学
平成 25 年 度 卒 業 生 の 就 職率 19
国 際英語学 部 98.9%国 際 教 養 学 部 97.9%文 学 部 94.2%心理学 部 95.2%法 学 部 98.1%経済学 部 95.9%経営学 部 98.6%総合政 策 学 部 98.1%現 代 社 会 学 部 97.7%スポーツ科学 部 99.5%
上の表か ら も分か る通り 、 中京大 学 に お い て最も 就 職率の高い 学 部 は スポー
ツ科学 部 の 99.5 で あ り 、最も 低 い 学 部 は 文 学 部 の 94.2% で あ っ た 。 そ こ に は 、
5% 近く の差が あ る 。 こ の数値も 、 就 職希望者 に占め る 就 職 者 に割合で あ る た
め 、進学希望者 な ど は含ま れ て い な い 。
中京大 学 は 就 職率が 非 常 に 良 い こ と で知ら れ て お り 、全学 部 を併せた 2013年 度 の平均就 職率は 97.2% と な っ て い る 。 こ の平均就 職率よ り も 、 文 学 部 の 就
職率は 下回る結果と な っ て い る 。
甲南大 学
19 中京大学「就職実績」(http://nc.chukyo-u.ac.jp/shikaku/career_result01.html)を基に筆者が作成。
21
平成 25 年 度 卒 業 生 の 就 職率 20
文 学 部 95.1%経済学 部 96.1%法 学 部 96.1%経営学 部 98.3%
上の表か ら も分か る通り 、甲南大 学 に お い て最も 就 職率の高い 学 部 は 経営学
部 の 98.3% で あ り 、最も 就 職率の 低 い 学 部 は 文 学 部 の 95.1% で あ っ た 。 そ こ に
は 、 3% 以上の差が あ る 。 こ こ で 言 う 「 就 職率」 は 就 職希望者 に占め る 就 職 者
の割合を指し 、 就 職 者数を 就 職希望者 で除し た も の と し て お り 、 「 就 職希望
者 」 は 卒 業 年 度 中 に 就 職 活 動 を行い 、 大 学等卒 業 後速や か に 就 職 す る こ と を希
望す る 者 を い い 、 卒 業 後 の進路と し て 「進学 」 「 家 事手伝い 」 「資格取得」 な
ど を希望す る 者 は含ん で い な い 。
や は り 、甲南大 学 に お い て も 文 学 部 が最も 就 職率が 低 い と い う結果に な っ た 。
駒澤大 学
平成 25 年 度 卒 業 生 の 就 職率 21
仏教 学 部 95%文 学 部 92%経済学 部 96%法 学 部 94%経営学 部 94%
上の表か ら も分か る通り 、駒澤大 学 に お い て最も 就 職率の高い 学 部 は 経済学
部 の 96% で あ り 、最も 就 職率の 低 い 学 部 は 文 学 部 の 92% で あ っ た 。 そ こ に は 、
4% の差が あ る 。 「 一 時 的 な仕事 に 就 い た 者 」 の割合も 文 学 部 が最も高い と い
う結果に な っ た 。 こ こ で 言 う 「 就 職率」 は 就 職希望者 に占め る 就 職 者 の割合を
指し 、 就 職 者数を 就 職希望者 で除し た も の と し て い る 。
以上ま で に 、 専修大 学 、 明治学院大 学 、愛知学院大 学 、 中京大 学 、甲南大 学 、
駒澤大 学 の 実 際 の 就 職率のデータを見た 。 そ の結果、他学 部 と比較す る と 文 学
部 の 就 職率は 低 い 、 と い う こ と が分か っ た 。 文 学 部 の 就 職率の 低 さ は進学率の
高さ が理由と い う こ と も よ く 言 わ れ る が 、 実 際 にデータを確認し た と こ ろ 、 同
じ く進学率の高い 法 学 部 に つ い て は 文 学 部 と は異な り高い 就 職率を誇っ て い る
た め 、 文 学 部 の 就 職率の 低 さ が単に進学率の高さ が理由だ と は 言 え な い だ ろ う 。
20甲南大学「就職内定状況」(http://www.adm.konan-u.ac.jp/cs/data/decision/)を基に筆者が作成。21駒澤大学「2013(平成 25)年度卒業生就職状況」(file:///C:/Users/miyashita%20takuya/Downloads/2013shushoku%20(1).pdf)を基に筆者が作成。
22
ま た 、進学 す る 者 を除き 、 就 職希望者 に占め る 就 職 者 の割合で も 、 文 学 部 は他
学 部 と比較す る と 就 職率が 低 い と い う こ と が分か っ た 。 こ こ か ら も 、 文 学 部 の
就 職率の 低 さ が単に進学率の高さ が理由と は 言 え な い だ ろ う 。
し か し 、 「 文 学 部 は そ こ ま で 就 職率が 低 い と 言 え る の か 」 と疑問 を 持 つ 読 者
も い る か も し れ な い 。 専修大 学 や 明治学院大 学 の 文 学 部 は他学 部 と比べ て 就 職
率は 明 ら か に 低 い が 、 中京大 学 や甲南大 学 は 文 学 部 が最も 低 い 就 職率で あ る と
は い え 、 そ の差が 大幅な も の と は 言 え な い か も し れ な い 。 し か し 、海老原 22 は
少 な く と も 「 文 学 部 は 人 気 企 業への 就 職 に 不 利 」 と 述 べ る 。 そ の こ と に つ い て
次節 で検討し て い き た い 。
第 6 節 文 学 部 は 人 気 企 業 に 就 職 で き な い
多く の 学 生 や 大 学 側 が 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と 考 え て い る 。 そ
し て 、 実 際 の 学 生 の 内定数や 国 のデータを見て も 、 そ れ は 明 ら か で あ る 。 そ こ
で 、 大 学 が発表し て い る 就 職率のデータを確認し た と こ ろ 、確か に 文 学 部 は他
学 部 と比較し て 就 職率が 低 く 、 「 一 時 的 な仕事 に 就 い た 者 」 の割合は最も高く 、
「 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と 言 え る 状 況 が浮かび上が っ て き た 。 し か し 、 前 節
の 末尾で も 述 べ た よ う に 、 「 文 学 部 は そ こ ま で 就 職率が 低 い と 言 え る の か 」 と
疑問 を 持 つ 読 者 も い る か も し れ な い 。 専修大 学 や 明治学院大 学 の 文 学 部 は他学
部 と比べ て 就 職率は 明 ら か に 低 い が 、 中京大 学 や甲南大 学 は 文 学 部 が最も 低 い
就 職率で あ る と は い え 、 そ の差が 大幅な も の と は 言 え な い か も し れ な い 。 し か
し 、海老原 23 は 少 な く と も 「 文 学 部 は 人 気 企 業への 就 職 に 不 利 」 と 述 べ る 。
大手メ ー カ ー を 経 て 、 リ クルー トエー ジェント に 入 社 し 、 人 事制度 設計な ど
に携わ っ た 後 、 人 事 ・ 経営誌「 HRmics 」 の編集長な ど を務め て い る海老原 24
は著書の 中 で 「 文 学 部 は 人 気 企 業への 就 職 に 不 利 」 と 述 べ る 。特に 、 文 学 部女
子に多い 一般職 就 職 の道が ほ と ん ど 存 在 し な い 文 学 部男子に関し て は 「 か な り
厳し い 」 と 述 べ て い る 。 一般的 に 、 就 職 活 動 に強い と 言 わ れ て い る慶應義塾大
学 の 文 学 部 の 学 生 で あ っ て も 、 法 学 部 、商学 部 、 経済学 部 な ど の他の 学 部 と比
較す る と 、 「 人 気 企 業 ランキング上位 100 社 」への 就 職率は 社 会科学 系 と比較
し て 6 分の 1 程度 だ 。 さ ら に 、 一般職 が な い 文 学 部 の男子学 生 のみに しぼる と 、
金融系 の 人 気 企 業 で あ れ ば 、 100 分の 1 程度 の 就 職率に な っ て し ま う 。 同 様 の
比較を早稲田大 学 で行う と 、 さ す が に こ こ ま で の 開 き は な い が 、 そ れ で も 文 学
部 の 学 生 は他学 部 の 学 生 に比べ て 、 人 気 企 業への 就 職率が き わ め て 低 い 。早稲
田大 学 と慶應義塾大 学 の 学 生 1000 人当た り の 人 気 企 業 100 社 の 就 職数(男
子)は す べ て の 業界を合わせて も 、 文 学 部 は 8% 程度 し か 就 職 で き て お ら ず 、
文 学 部 の次に数字の悪い 教 育 学 部 と比べ て も 、約半分の数字で あ り 、 非 常 に厳
し い結果と な っ て い る 。
さ ら に 、 「 文 学 部志望者 は 、 一般企 業への 就 職 を そ れ ほ ど 考 え て い な い 。 だ
22 海老原嗣生『偏差値・知名度ではわからない 就職に強い大学・学部』、朝日新聞出版、2012 年。23 同上。24 同上。
23
か ら 、 ハ イ テ ク メ ー カ ー や 金融や商社 な ど は志望し な い か ら 、 は な か ら数字が
低 く て当然だ 」 と い う反論 に 対 し て も 、海老原 25 は以下 の よ う に 述 べ る 。
「早稲田大 学 で は 卒 業 生 の最終進路を 、 学 部別・男女別に 、全員分を 業界別
に分類し た上で発表し て い る 。 こ のデータを も と に 、各学 部 の男子の 、最終就
職 先 を 業界別に見れ ば 、果た し て 文 学 部 が 、 金融や ハ イ テ ク メ ー カ ー に 就 職 し
て い な い か ど う か が わ か る 。(中略)確か に 文 学 部(人 文 系)の 就 職 先 と し て 、
金融や ハ イ テ ク メ ー カ ー や商社 は比率が や や 低 い 。 た だ 、 そ の数字は他学 部 と
比べ て異常 に 低 い わ け で は な く 、半分以上の数字と な っ て い る 。 」
こ こ か ら分か る こ と は 、 文 学 部 の 学 生 も 金融や ハ イ テ ク メ ー カ ー や商社 な ど
に 就 職 し よ う と し て い る が 、 人 気 企 業 に は 就 職 で き な い 、 あ る い は 就 職 自 体 で
き な い 、 と い う こ と で あ る 。海老原は 、 文 学 部 は 就 職 で き た と し て も 不 人 気 企
業 に 就 職 す る ケ ー ス が多い と 述 べ て お り 、 こ の よ う な指摘か ら も 、 「 文 学 部 は
就 職 活 動 に お い て 不 利 」 「 文 学 部 は 人 気 企 業 に 就 職 で き な い 」 と い う構図が浮
かび上が っ て き た 。
そ れ で は 、 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 「 文 学 部 は 人 気 企 業 に 就 職 で
き な い 」 と い う 状 況 は ど う し て起こ っ て し ま う の だ ろ う か 。 筆 者 は こ れ に 対 し 、
文 学 部 の 就 職率が 低 い 、 あ る い は 人 気 企 業 に 就 職 しづら い 一 要因は 企 業 が 大 学
に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点を 文 学 部 の 学 生 が達成 で
き て い な い か ら だ と 考 え る 。 そ し て 、 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る た め
に 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育 が必要 な の で は な い か 、 と い う主張を し た い 。
次章 で は 、 文 学 部 の 就 職率が 低 い 、 あ る い は 人 気 企 業 に 就 職 しづら い 一 要因
は 企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点を 文 学 部 の
学 生 が達成 で き て い な い か ら だ と 考 え 、 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る た
め に 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育 が必要 な の で は な い か 、 と い う 筆 者 の主張に つ
い て検討し て い く 。
● 第 3 章 文 学 部 生 のキャリア意 識
本 章 で は 、 第 1 章 と 第 2 章 の 内 容 を踏ま え 、 筆 者 は 文 学 部 の 就 職率が 低 い 、
あ る い は 人 気 企 業 に 就 職 しづら い 一 要因は 企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の
キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点を 文 学 部 の 学 生 が達成 で き て い な い か ら だ と 考 え 、
そ し て 、 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る た め に 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育
が必要 な の で は な い か 、 と い う 筆 者 の主張に つ い て検討し て い く 。
第 1 節 こ こ ま で の 流 れ
筆 者 は 文 学 部 不 要 論 に 対 し て 、 問 題 意 識 を 持 っ て い る 。 実 際 に 、 日 本 の 大 学
で は 文 学 部 の 看 板 を お ろ す 大 学 が 増 え 、 文 学 部 が 新 設 さ れ る こ と も ほ と ん ど な
25 同上。24
い 。 文 学 部 で行う 学 問 で あ る 人 文 学 を 専 攻 す る 学 生 も右肩下 が り に 減 り 続 け て
い る 。 し か し 、 文 学 部 で行う 学 問 で あ る 人 文 学 は 非 常 に 意 義 の あ る 学 問 で あ る 。
そ れ に も か か わ ら ず 、 文 学 部 不 要 論 に よ っ て 、 文 学 部 が 日 本 か ら姿を消し て い
く こ と は嘆か わ し い 。
そ し て 、 こ の よ う に 文 学 部 が 減 少 の 一途を辿る 要因の 1 つ と し て 先行研 究 者
で あ る倉部 は 大 学 や 学 生 が 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 に な る 」 と 考 え て
い る か ら だ と 述 べ た 。 実 際 に 筆 者 が アンケ ー ト を 取 っ てみて も 、多く の 学 生
(な い し は 卒 業 生)が 「 文 学 部 就 職 活 動 に お い て 不 利 に な る 」 と い う こ と に つ
い て聞い た こ と が あ る 、 と い う こ と が分か っ た 。 実 際 に 、 学 生(な い し は 卒 業
生)の 内定獲得数を アンケ ー ト で調査し た と こ ろ 、 文 学 部 出 身 者 よ り も 文 学 部
以外 の 学 部 出 身 で あ る 方 が多か っ た 。 ま た 、 文 部科学省が発表し て い る 「平成
2 6 年 度 学校基本調査(速報値)の公表に つ い て 」 の 中 の 学 部 出 身 者 の分野別
卒 業 生 の 状 況 を見て も 、 文 学 部 が属す る 人 文 の 項 目 は 「 「 一 時 的 な仕事 に 就 い
た 者 」及び「進学 も 就 職 も し て い な い 者 」 」 の割合が単独の 項 目 と し て は最も
高く 、 「 正規の 職員等で な い 者 」 の割合も単独の 項 目 と し て は 3 番目 に高い 、
と い う こ と が分か っ た 。 そ し て 、 実 際 の 大 学 の 就 職 状 況 を確認し てみて も 、 文
学 部 の 就 職率は他学 部 と比べ て 低 い 、 と い う こ と が分か っ た 。 ま た 、 文 学 部 は
人 気 企 業への 就 職 が しづら い 、 と い う 現 状 も分か っ た 。
筆 者 は こ れ に 対 し て 、 文 学 部 の 就 職率が 低 い 、 あ る い は 人 気 企 業 に 就 職 しづ
ら い 一 要因は 企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点
を 文 学 部 の 学 生 が達成 で き て い な い か ら だ と 考 え る 。 そ し て 、 文 学 部 生 の キ ャ
リ ア 意 識 を 涵 養 す る た め に 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育 が必要 な の で は な い か 、
と い う主張を し た い 。以下 よ り 、 そ の 筆 者 の主張に つ い て検討し て い く 。
第 2 節 企 業 が 大 学 に 求 め る こ と は 何 か
本 節 で は 筆 者 の 提 言 、主張に つ い て検討し て い く 。 筆 者 は 文 学 部 の 就 職率が
低 い 、 あ る い は 人 気 企 業 に 就 職 しづら い 一 要因は 企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ と
の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点を 文 学 部 の 学 生 が達成 で き て い な い か ら だ
と 考 え る 。 そ し て 、 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る た め に 文 学 部独自 の
キ ャ リ ア 教 育 が必要 な の で は な い か 、 と い う主張を し た い 。
そ れ で は 、 企 業 が 大 学 の 側 に 求 め て い る こ と と は 何 だ ろ う か 。 企 業 の 側 が ど
の よ う な こ と を 大 学 の 側 に 求 め て い る の か を 示 し た い 。 そ の指標と し て 、平成
1 6 年 度 に 実施さ れ た 日 本 経済団体連合会 の 「 企 業 の 求 め る 人材像アンケ ー ト
結果」 を指標と し て 参 考 に す る 。 こ の アンケ ー ト は平成 2 4 年 3月7日 に行わ
れ た 中央教 育審議会 大 学分科会 大 学 教 育 部 会(第 1 1回)の 参 考資料と し て も
用い ら れ た も の で も あ る 。 本 論 文 で は 、 文 学 部 の 就 職率に関し て議論 を し て い
る 。 そ の た め 、 企 業 が採用時 に 学 生個人 に 求 め る資質を 問 う アンケ ー ト で は な
く 、 企 業 が 大 学 側 に 何 を 求 め て い る の か が調査さ れ た こ の アンケ ー ト を用い る 。
以下 の表を 参照さ れ た い 26 。
26 日本経済団体連合会「平成 16 年度企業の求める人材像アンケート結果」より抜粋。25
こ れ は 、 日 本 経済団体連合会 に加盟し て い る 1314 社 の う ち の 684 社 が 人材
育 成 の 面 で の 大 学 ・ 大 学院への 期待(文 系)に つ い て回答し た アンケ ー ト結果
で あ る 。 企 業 が最も 大 学 の 側 に 期待し て い る こ と は 「知識 や情報を 集 め て 自分
の 考 え を 導 き 出 す訓練を す る こ と 」 、 2 番目 に 期待し て い る こ と が 「理論 に加
え て 、 実 社 会 と の つ な が り を 意 識 し た 教 育 を行う こ と 」 、 3 番目 に 期待し て い
る こ と が 「 専門分野の知識 を 学 生 に し っ か り 身 に付け させる こ と 」 、 4 番目 に
期待し て い る こ と が 「チームを組ん で特定の 課 題 に 取 り組む経験を させる こ
と 」 、 5 番目 に 期待し て い る こ と が 「 専門分野に関連す る他領 域 の基礎知識 も
身 に付け させる こ と 」 、 6 番目 に 期待し て い る こ と が 「 教 養 教 育(リベラル・
ア ーツ)を通じ て 学 生 の知識 の世界を広げ る こ と 」 、 7 番目 に 期待し て い る こ
と が 「 国 際コミュニケ ーション能力、異文 化理解能力を高め る こ と 」 、 8 番目
に 期待し て い る こ と が 「ディベー ト 、プレゼンテ ーションの訓練を行う こ と 」 、
9 番目 に 期待し て い る こ と が 「 職 業観醸成 に つ な が るプログラムを も つ こ と 」 、
10 番目 に 期待し て い る こ と が 「 実践重視の 実務に 役 立 つ 教 育 を行う こ と 」 、
11 番目 に 期待し て い る こ と が 「 専門知識 を 学ぶ目 的 を理解 させる た め のプロ
グラムを も つ こ と 」 、 12 番目 に 期待し て い る こ と が 「 そ の他」 と い う結果に
な っ た 。
そ し て 、 筆 者 は 日 本 経済団体連合会 の 「 企 業 の 求 め る 人材像アンケ ー ト結
果」 を 2 つ の観点に独自 に分類し た 。 「 ア カデミック な観点」 と 「 キ ャ リ ア 意
識 を 涵 養 す る観点」 の 2 つ で あ る 。以下 の表 27 を 参照さ れ た い 。
(http://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2013/05/30/1335605_001_7.pdf)27 筆者が作成。
26
以上を 筆 者 は 企 業 が 大 学 側 に 期待す る ア カデミック な観点で あ る と分類す る 。
学 問 と し て し て の知識 を 学 生 に し っ か り と 身 に つ け させる こ と 、 こ れ を 企 業 が
大 学 側 に 期待す る ア カデミック な観点で あ る と 筆 者 は 考 え る 。
ま た 、以下 の表 28 を 参照さ れ た い 。
以上を 筆 者 は 企 業 が 大 学 側 に 期待す る キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点で あ る と
分類す る 。 実 社 会 と の つ な が り を 意 識 し た 実務に 役 立 つ こ と を 教 え 、 学 生 の
キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る こ と 、 こ れ を 企 業 が 大 学 側 に 期待す る キ ャ リ ア 意 識 を
涵 養 す る観点で あ る 、 と 筆 者 は 考 え る 。
こ の よ う に 、 筆 者 は 日 本 経済団体連合会 の 「 企 業 の 求 め る 人材像アンケ ー ト
結果」 の 中 に お け る 大 学 ・ 大 学院への 期待(文 系)に つ い て回答し た アンケ ー
ト結果を 「 ア カデミック な観点」 と 「 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点」 の 2 つ の
観点に分類し た 。
そ れ で は 、 実 際 の 文 学 部 の 出 身 者 は こ れ に 応 え ら れ て い る の だ ろ う か 。 す な
わ ち 、 企 業 が 大 学へ期待し て い る こ と に 対 し 、 文 学 部 は 学 生 や 出 身 者 た ち に ど
れ だ け反映させ、 身 に つ け させら れ て い る の だ ろ う か 。 そ の こ と に つ い て 、次
節 で は確認し て い く 。
第 3 節 文 学 部 は 企 業 が 求 め る こ と に 応 え ら れ て い る の か
筆 者 は 文 学 部 の 就 職率が 低 い 、 あ る い は 人 気 企 業 に 就 職 しづら い 一 要因は 企
28 筆者が作成。27
【アカデミックな観点】・専門分野の知識を学生にしっかり身につけさせること・教養教育(リベラル・アーツ)を通じて学生の知識の世界を広げること・専門分野に関連する他領域の基礎知識も身につけさせること・知識や情報を集めて自分の考えを導き出す訓練をすること・専門知識を学ぶ目的を理解させるためのプログラムをもつこと
【キャリア意識を涵養する観点】・チームを組んで特定の課題に取り組む経験をさせること・ディベート、プレゼンテーションの訓練を行うこと・国際コミュニケーション能力、異文化理解能力を高めること・理論に加えて、実社会とのつながりを意識した教育を行うこと・実践重視の実務に役立つ教育を行うこと・職業観醸成につながるプログラムをもつこと
業 が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点を 文 学 部 の 学 生
が達成 で き て い な い か ら だ と 考 え る 。 そ し て 、 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養
す る た め に 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育 が必要 な の で は な い か 、 と い う主張を検
討す る た め に 、 企 業 が 大 学 側 に 求 め て い る こ と は 何 か を 示 し た 。 そ の指標と し
て 、平成 1 6 年 度 に 実施さ れ た 日 本 経済団体連合会 の 「 企 業 の 求 め る 人材像ア
ンケ ー ト結果」 を用い た 。 そ の結果は 、 企 業 が最も 大 学 の 側 に 期待し て い る こ
と は 「知識 や情報を 集 め て 自分の 考 え を 導 き 出 す訓練を す る こ と 」 、 2 番目 に
期待し て い る こ と が 「理論 に加え て 、 実 社 会 と の つ な が り を 意 識 し た 教 育 を行
う こ と 」 、 3 番目 に 期待し て い る こ と が 「 専門分野の知識 を 学 生 に し っ か り 身
に付け させる こ と 」 、 4 番目 に 期待し て い る こ と が 「チームを組ん で特定の 課
題 に 取 り組む経験を させる こ と 」 、 5 番目 に 期待し て い る こ と が 「 専門分野に
関連す る他領 域 の基礎知識 も 身 に付け させる こ と 」 、 6 番目 に 期待し て い る こ
と が 「 教 養 教 育(リベラル・ ア ーツ)を通じ て 学 生 の知識 の世界を広げ る こ
と 」 、 7 番目 に 期待し て い る こ と が 「 国 際コミュニケ ーション能力、異文 化理
解能力を高め る こ と 」 、 8 番目 に 期待し て い る こ と が 「ディベー ト 、プレゼン
テ ーションの訓練を行う こ と 」 、 9 番目 に 期待し て い る こ と が 「 職 業観醸成 に
つ な が るプログラムを も つ こ と 」 、 10 番目 に 期待し て い る こ と が 「 実践重視
の 実務に 役 立 つ 教 育 を行う こ と 」 、 11 番目 に 期待し て い る こ と が 「 専門知識
を 学ぶ目 的 を理解 させる た め のプログラムを も つ こ と 」 、 12 番目 に 期待し て
い る こ と が 「 そ の他」 と い う結果に な っ た 。 そ し て 、 筆 者 は そ の結果を 「 ア カ
デミック な観点」 と 「 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点」 の 2 つ の観点に独自 に分
類し た 。 学 問 と し て の知識 を 学 生 に し っ か り と 身 に つ け させる こ と を 求 め た
「 ア カデミック な観点」 と 実 社 会 と の つ な が り を 意 識 し た 実務に 役 立 つ こ と を
教 え 、 学 生 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る こ と を 求 め た 「 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る
観点」 の 2 つ の観点で あ る 。
そ れ で は 、 実 際 の 文 学 部 の 出 身 者 は こ れ に 応 え ら れ て い る の だ ろ う か 。 す な
わ ち 、 企 業 が 大 学へ期待し て い る こ と に 対 し 、 文 学 部 は 学 生 や 出 身 者 た ち に ど
れ だ け反映させ、 身 に つ け させら れ て い る の だ ろ う か 。 そ の こ と に つ い て 、 本
節 で は検討し て い く 。
以下 のグラフは 筆 者 が独自 に行っ た アンケ ー ト調査の結果で あ る 。全国 の 文
学 部 出 身 者 に 対 し て インター ネット を通し た匿名 の アンケ ー ト調査を行っ た 。
「 あ な た が 文 学 部 の 学 生 と し て 、最も 「 出来た 」 と 考 え る こ と は 何 で す か 」 と
い う 問 い に 対 し て 、回答の選択肢は 日 本 経済団体連合会 の 「 企 業 の 求 め る 人材
像アンケ ー ト結果」 の 大 学 ・ 大 学院への 期待(文 系)に つ い て回答し た アン
ケ ー ト結果を基に 「 専門分野の知識 を 学 生 に し っ か り 身 に つ け る こ と 」 「 教 養
教 育(リベラル・ ア ーツ)を通じ て知識 の世界を広げ る こ と 」 「 専門分野に関
連す る他領 域 の基礎知識 も 身 に つ け る こ と 」 「知識 や情報を 集 め て 自分の 考 え
を 導 き 出 す訓練を す る こ と 」 「チームで特定の 課 題 に 取 り組む経験を す る こ
と 」 「ディベー ト やプレゼンテ ーションの訓練を す る こ と 」 「 国 際コミュニ
28
ケ ーション能力、異文 化理解 を高め る こ と 」 「理論 に加え て 、 実 社 会 と の つ な
が り を 意 識 す る こ と 」 「 実践重視の 実務に 役 立 つ こ と を 学ぶこ と 」 「 専門知識
を 学ぶ目 的 を理解 させるプログラムを 受 け る こ と 」 「 職 業観醸成 に つ な が るプ
ログラムを 受 け る こ と 」 と い う選択肢を用い る 。 前 節 で 筆 者 が分類し た ア カデ
ミック な観点、 あ る い は キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点の そ れぞれ に ど れ だ け 文
学 部 、 そ し て 文 学 部 の 出 身 者 は 応 え ら れ て い る の だ ろ う か 。
こ の アンケ ー ト の結果が以下 の通り で あ る 29 。
29 アンケートの結果を基に筆者が作成。29
専門分野の知識をしっかりと身につけること
知識や情報を集めて自分の考えを導き出す訓練をすること
教養教育(リベラル・アーツ)を通じて知識の世界を広げること
専門分野に関連する他領域の基礎知識も身につけること
ディベートやプレゼンテーションの訓練をすること
チームで特定の課題に取り組む経験をすること
その他
国際コミュニケーション能力、異文化理解能力を高めること
理論に加えて実社会とのつながりを意識すること
実践重視の実務に役立つことを学ぶこと
専門知識を学ぶ目的を理解させるプログラムを受けること
職業観醸成につながるプログラムを受けること
0 5 101520253035
あなたは文学部の学生として、最も「出来た」と考えることは何ですか。
あなたは文学部の学生として、最も「出来た」と考えることは何ですか。
(回答合計:1 47人)
アンケ ー ト の結果は以上の通り で あ る 。 文 学 部 出 身 者 が最も 「 出来た 」 と 考
え て い る こ と は 「 専門分野の知識 を し っ か り と 身 に つ け る こ と( 30.6% )」 で
30
あ る 。 文 学 部 出 身 者 が 「 出来た 」 と 考 え て い る こ と の 中 で 2 番目 に多い こ と が
「知識 や情報を 集 め て 自分の 考 え を 導 き 出 す訓練を す る こ と( 16.3% )」 で あ
る 。 3 番目 に多い の が 「 教 養 教 育(リベラル・ ア ーツ)を通じ て知識 の世界を
広げ る こ と( 14.3% )」 で あ る 。 そ し て 、 「 専門分野に関連す る他領 域 の基礎
知識 も 身 に つ け る こ と( 8.2% )」 「ディベー ト やプレゼンテ ーションの訓練
を す る こ と( 8.2% )」 「チームで特 定の 課 題 に 取 り組む経 験を す る こ と
( 6.8% )」 「 そ の他( 4.1% )」 「 国 際コミュニケ ーション能力、異文 化理
解能力を高め る こ と( 3.4% )」 「理論 に加え て 実 社 会 と の つ な が り を 意 識 す
る こ と( 3.4% )」 「 実践重視の 実務に 役 立 つ こ と を 学ぶこ と( 2.7% )」
「 専門知識 を 学ぶ目 的 を理解 させるプログラムを 受 け る こ と( 1.4% )」 「 職
業観醸成 に つ な が るプログラムを 受 け る こ と( 0.7% )」 と 続 く 。
こ こ か ら分か る こ と は上位4位(「 専門分野の知識 を し っ か り と 身 に つ け る
こ と( 30.6% )」 「知識 や情報を 集 め て 自分の 考 え を 導 き 出 す訓練を す る こ と
( 16.3% )」 「 教 養 教 育(リベラル・ ア ーツ)を通じ て知識 の世界を広げ る こ
と( 14.3% )」 「 専 門分 野に関連す る他領 域 の基礎 知識 も 身 に つ け る こ と
( 8.2% )」)が 「 ア カデミック な観点」 の選択肢で あ る 、 と い う こ と だ 。上
位4位だ け で約7割を占め る 。特に 、 「 企 業 の 求 め る 人材像アンケ ー ト結果」
の 中 で 2 番目 に数値の高い 「理論 に加え て 実 社 会 と の つ な が り を 意 識 す る こ
と 」 や 4 番目 に数値の高い 「チームで特定の 課 題 に 取 り組む経験を す る こ と 」
に関し て は 、 実 際 の 文 学 部 出 身 者への アンケ ー ト結果と 大 き なギャップが あ る
と い う こ と が分か っ た 。
畢竟す る に 、 日 本 経済団体連合会 の 「 企 業 の 求 め る 人材像アンケ ー ト結果」
の 中 に お け る 大 学 ・ 大 学院への 期待(文 系)に つ い て回答し た アンケ ー ト結果
を 「 ア カデミック な観点」 と 「 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点」 の 2 つ の観点に
筆 者 は分類し た が 、 「 ア カデミック な観点」 を 「 出来た 」 と 考 え る 文 学 部 出 身
者 が合計で 70.8% で あ る の に 対 し 、 「 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点」 を 「 出来
た 」 と 考 え る 文 学 部 出 身 者 は合計で 25.2% と 3 割を切る と い う結果に な っ た 。
こ の結果を ま と め た も の 30 が以下 の通り で あ る 。
【「 ア カデミック な観点」 を最も 出来た と 考 え る 文 学 部 出 身 者】
30 筆者がアンケート結果を基に作成。31
「専門分野の知識をしっかりと身につけること(30.6%)」「知識や情報を集めて自分の考えを導き出す訓練をすること(16.3%)」
「教養教育(リベラル・アーツ)を通じて知識の世界を広げること(14.3%)」「専門分野に関連する他領域の基礎知識も身につけること(8.2%)」
「専門知識を学ぶ目的を理解させるプログラムを受けること(1.4%)」
⇒ 合計 70.8 %
【「 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点」 を最も 出来た と 考 え る 文 学 部 出 身 者】
【「 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点」 を最も 出来た と 考 え る 文 学 部 出 身 者】
こ こ か ら分か る こ と は 、 企 業 が 大 学 側 に 期待し て い る こ と に 対 し 、 文 学 部 は
学 問 と し て の知識 を 学 生 に し っ か り と 身 に つ け させる ア カデミック観点を 文 学
部 出 身 者 に 対 し て 身 に つ け させら れ て い る 一 方 で 、 実 社 会 と の つ な が り を 意 識
し た 実務に 役 立 つ 、 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点は 文 学 部 出 身 者 に 対 し て あ ま
り 身 に つ け させら れ て い な い 、 と い う こ と で あ る 。 企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ
と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点を 文 学 部 の 学 生 が達成 で き て い な い と い
う こ と だ 。延い て は 、 文 学 部 の 学 生 は キ ャ リ ア 意 識 が 低 い 、 と い う こ と に も な
る 。 筆 者 は こ れ が 文 学 部 の 就 職率が 低 い 、 あ る い は 人 気 企 業 に 就 職 しづら い 一
要因で あ る と 考 え る 。 こ れ に 対 し 、 筆 者 は 文 学 部 の 学 生 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養
す る た め に 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育 が必要 な の で は な い か 、 と 考 え る 。 キ ャ
リ ア 意 識 の 低 い 文 学 部 の 学 生 に は キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る独自 の 取 り組み、
キ ャ リ ア 教 育 が必要 で あ る と 筆 者 は 考 え る 。
次章 に お い て は 、 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意 識 を い か に し て 涵 養 し て い く の か 、
と い う こ と に つ い て検討し て い く 。
● 第 4 章 文 学 部 生 のキャリア意 識 をいかにして涵 養 していくのか
本 章 で は 、 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意 識 を い か に し て 涵 養 し て い く の か 、 と い う
こ と に つ い て検討し て い く 。
前 章 で は 、 文 学 部 の 就 職率が 低 い 、 あ る い は 人 気 企 業 に 就 職 しづら い 一 要因
は 企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点を 文 学 部 の
学 生 が達成 で き て い な い か ら だ と 考 え る 筆 者 の主張に基づき アンケ ー ト調査を
行っ た 。 そ の結果、 企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の ア カデミック な観点を
32
「ディベートやプレゼンテーションの訓練をすること(8.2%)」「チームで特定の課題に取り組む経験をすること(6.8%)」
「国際コミュニケーション能力、異文化理解能力を高めること(3.4%)」「理論に加えて実社会とのつながりを意識すること(3.4%)」
「実践重視の実務に役立つことを学ぶこと(2.7%)」「職業観醸成につながるプログラムを受けること(0.7%)」
⇒合計25.2%
最も 「 出来た 」 と 考 え る 文 学 部 の 学 生 は約7割存 在 す る に も か か わ ら ず 、 企 業
が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点を最も 「 出来た 」
と 考 え る 文 学 部 の 学 生 は 3 割を切る 、 と い う結果に な っ た 。 つ ま り は 、 企 業 が
大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点を 文 学 部 の 学 生 が達
成 で き て い な い 、 と い う こ と に な る 。延い て は 、 文 学 部 の 学 生 は キ ャ リ ア 意 識
が 低 い 、 と い う こ と に も な る 。 こ の こ と が 文 学 部 の 就 職率の 低 さ と 人 気 企 業へ
の 就 職 の しづら さ の 一 要因に な っ て い る と 筆 者 は 考 え る 。 こ れ に 対 し 、 筆 者 は
文 学 部 の 学 生 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る た め に 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育 が必
要 な の で は な い か 、 と 考 え る 。
本 章 で は 、 日 本 国 内 に お い て 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育 、 文 学 部 の 学 生 の
キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る た め の 教 育 を行っ て い る 文 学 部 に つ い て 、 そ の 取 り組
みを紹介し 、 参 考 に し て い く 。
第 1 節 法 政 大 学 文 学 部 の 事 例
本 節 で は 法 政 大 学 文 学 部 の行っ て い る 取 り組みに つ い て紹介し て い く 。
日 本 で も有数の規模を誇る 法 政 大 学 。 そ の 法 政 大 学 が 2011 年 度 か ら 「 文 学
部 生 の キ ャ リ ア 形 成 」 と い う授業 を 文 学 部共通科目 の 中 に 設 置 し て い る 。 こ の
講 義 は 、他学 部 に比べ て 就 職への 意 識 が薄く 、 キ ャ リ ア 意 識 が 低 い と 言 わ れ る
文 学 部 生 の た め に 、 社 会 に 出 て働く こ と の 意 義 を 学ぶと共に 、 大 学 生 の 間 に 何
を す べ き か に つ い て 考 え る機会 と す る た め に 設 置 さ れ た も の で あ る 。 法 政 大 学
の 文 学 部 を 卒 業 し 、 社 会 で 活躍し て い る 社 会 人 をゲス ト 講師と し て迎え 、 そ の
業界の 動向や仕事 に関す る 様 々 な 体験談を話し て も ら う 。 そ の よ う な話を通し
て 、 文 学 部 の 学 生 が 自 ら の 人 生 の 中 で の 「働く こ と 」 の 意 義 ・位置づけ( =キ ャ リ ア)を熟考 し 、 大 学 生 の 間 に 何 を す べ き か に つ い て 考 え る機会 と す る の
が 、 こ の 「 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 形 成 」 と い う授業 で あ る 。 ま た 、 こ の授業 は 事
前 に そ れぞれ の 業種や資格の 概 要 に つ い て調べ て く る こ と(い わゆる 業界研
究)を促し て お り 、 そ う い っ た 意味で も 、 文 学 部 の 学 生 の キ ャ リ ア 意 識 を 育 て
る効果が あ る 。 こ の授業 は 、 就 業力に関連す る 「総合的 」 な能力、 キ ャ リ ア
意 識 を 涵 養 す る効果が あ る 。他学 部 の 学 生 の 受 講 は認め ら れ ず 、 文 学 部 の 学 生
の た め だ け に 開 か れ た 講 義 で あ る 。
「 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 形 成 」 で は 、毎回、 文 学 部 の 学 生 た ち は授業 内 に小レ
ポー ト を 提 出 す る 。 ま た,学 期 末 に は全体 の テ ーマに関わ るレポー ト を 提 出 す
る 。 法 政 大 学 の 文 学 部 の 中 で も 非 常 に 人 気 の 講 義 と な っ て お り 、 2012 年 度 に
は 140 名 の 受 講 者 を 集 め た 。
こ の 「 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 形 成 」 で は 、授業 の到達目標を以下 の よ う に定め
て い る 。
①人 生 の 中 で 「働く こ と 」 の 意 義 に つ い て 、多角的 な視点か ら 考 え る こ と が
で き る 。
②自 ら の 目指す 「働き 方 」 を達成 す る た め に 、 ど の よ う な力が必要 に な る か
33
を理解 す る 。
③将来の ラ イフプランを描く こ と が で き る 。
毎回、 様 々 な 卒 業 生 がゲス ト 講師と し て 文 学 部 の 学 生 た ち に 講 義 を行っ て い
る 。 実 際 の 法 政 大 学 文 学 部 の 卒 業 生 がゲス ト 講師と し て招聘す る こ と で 、 受 講
生 の 中 に は 、 「将来、 こ の 講 義 にゲス ト 講師と し て呼ば れ 、 後輩の た め に 自分
が得た 経験を話し て あ げ ら れ る よ う頑張り た い 」 と 述 べ る 学 生 も お り 、 非 常 に
刺激的 な 時 間 に な っ て い る 様子だ 。
以下 の表 31 は 「 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 形 成 」 の 、 と あ る 年 度 の授業計画で あ る 。
【授業計画】
回 テ ーマ 内 容
第 1 回 導 入 ガ イダンス(授業 の 目
的 と進め 方 、評価方 法
な ど の 説 明)と 「 ラ イ
フプラン」
第 2回 ゲ ス ト 講 師 の 講 演
(1)
宿泊業(ホテル、 事務
部門)
第 3回 ゲ ス ト 講 師 の 講 演
(2)
NPO・地域団体 の運営
マネ ジ メント支援
第 4回 ゲ ス ト 講 師 の 講 演
(3)
人材派遣
第 5回 ゲ ス ト 講 師 の 講 演
(4)
中高校教師
第 6回 中 間 セ ッ シ ョ ン
(1)
キ ャ リ アセンター 職員
に よ るワー クショップ
第7回 ゲ ス ト 講 師 の 講 演
(5)
健康体操インス ト ラ ク
ター
第8回 ゲ ス ト 講 師 の 講 演
(6)
シス テムエンジニア
第9回 ゲ ス ト 講 師 の 講 演
(7)
金融業(銀行)
第 10回 ゲ ス ト 講 師 の 講 演
(8)
地方公務員(市町村機
関、総合職)
31法政大学シラバス「文学部生のキャリア形成」(http://syllabus.hosei.ac.jp/web/preview.php?no_id=1408579&nendo=2014&gakubu_id=%E6%96%87%E5%AD%A6%E9%83%A8&radd=500)を基に筆者が作成。
34
第 1 1回 中 間 セ ッ シ ョ ン
(2)
学 内 講師に よ るワー ク
ショップ
第 1 2回 ゲ ス ト 講 師 の 講 演
(9)
人 事担当
第 1 3回 ゲ ス ト 講 師 の 講 演
(10)
民間放送業(総合職)
第 1 4回 授業総括 授業総括と 期 末レポー
ト 提 出
第 1 5回 ま と め レポー ト の 講評
以上の授業計画を 参照し て も分か る よ う に 、 様 々 な 業界の 卒 業 生 の話を聞く
こ と が で き 、 自 ら の キ ャ リ ア に つ い て 考 え 、 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る よ う な 取
り組みが多く組み込ま れ て い る 。
筆 者 は 、 文 学 部 の 就 職率が 低 い 、 あ る い は 人 気 企 業 に 就 職 しづら い 一 要因は
企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点を 文 学 部 の 学
生 が達成 で き て い な い か ら だ と 考 え て い る 。 そ の た め に は 、 文 学 部独自 の 文 学
部 の 学 生 に 対 す る 、 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る よ う な 教 育(キ ャ リ ア 教 育)が必
要 だ と 考 え て お り 、 そ う い っ た 意味で こ の 法 政 大 学 の 「 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 形
成 」 は 非 常 に有意 義 な 活 動 だ と 考 え る 。
こ の よ う な 文 学 部独自 の 文 学 部 の 学 生 に 対 す る 、 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る よ
う な 教 育(キ ャ リ ア 教 育)を行っ て い る の は 法 政 大 学 の 文 学 部 だ け で は な い 。
次節 で は 、 立 教 大 学 の 文 学 部 の 取 り組みに つ い て紹介し て い き た い 。
第 2 節 立 教 大 学 文 学 部 の 事 例
前 節 で は 、 法 政 大 学 文 学 部 の 文 学 部独自 の 文 学 部 の 学 生 に 対 す る 、 キ ャ リ ア
意 識 を 涵 養 す る よ う な 教 育(キ ャ リ ア 教 育)の 一環で あ る 「 文 学 部 生 の キ ャ リ
ア 形 成 」 に つ い て紹介し た 。
本 節 で は 、 立 教 大 学 文 学 部 の行っ て い る 取 り組みに つ い て紹介し て い き た い 。
そ れ が 、 文 学 部基幹科目A「 職 業 と 人 文 学 」 で あ る 。 こ の科目 は 、 2006 年 度
の 文 学 部 カ リ キュラムの改編に伴い 、 2007 年 度 よ り 開 講 さ れ た 。 キ ャ リ ア 教
育 の 一翼を担う こ と を 目 的 に 、 2 年次後 期 の必修科目 と な っ て い る 。 こ の授業
のねら い は 、 文 学 部 の 学 生 が 自分自 身 と 人 文 学 と の関わ り あ い を 問 う 中 で 、 人
文 学 を 学ぶ意味や価値を改め て見い だ し 、 そ れ ら を 自 身 の 今 後 の 人 生 設計や 職
業選択に繋げ て 考 え て い く機会 を 提供す る こ と で あ る 。毎回、各分野で 活躍す
るゲス ト を 講師と し て招聘し 、 そ れぞれ の仕事 や 職 業 に つ い て語っ て も ら う 、
と い う の が 「 職 業 と 人 文 学 」 の基本 的 な授業 の 形式で あ る 。 出席・コメント
カ ー ド の 内 容 と 3 回の 提 出 が 義務付け ら れ て い る小レポー ト の 内 容 で 成績評価
さ れ る 。
35
以下 の表 32 は 、 2012 年 度 の 「 職 業 と 人 文 学 」 の授業計画で あ る 。
【授業計画】
回 担当講師
第 1回 オリエンテ ーション(文 学 部:加
藤睦・湯本浩之)
第 2回 講師A:黒崎一 成(株式会 社牧野
フラ イ ス製作所)
講師B:北沢聡子(公益財団法 人
東京都歴史文 化財団・東京芸術劇
場)
第 3回 講師A:北沢聡子(公益財団法 人
東京都歴史文 化財団・東京芸術劇
場)
講師B:黒崎一 成(株式会 社牧野
フラ イ ス製作所)
第 4回 番組視聴「 無縁社 会:新 た な つ な
が り を 求 め て 」(制作:NHK)
第 5回 講師:板垣淑子(日 本放送協会報
道局)
第 6回 講師:加藤睦(文 学 部)
第7回 講師A:須子喜彦(BADO株式
会 社)
講師B:市原信太郎(立 教池袋中
学校・高等学校)
第8回 講師A:田澤儀高( connection of the children 共同 代表)
講師A:加藤功甫( connection of the children 共同 代表)
講師B:須子喜彦(BADO株式
会 社)
第9回 講師A:市橋祐介(立 教池袋中 学
32宇都宮大学留学生・国際交流センター 准教授 湯本 浩之「「職業と人文学」の企画運営におけるメディアセンターとの共働作業について」(https://spirit.rikkyo.ac.jp/annual/2012/017.pdf)を基に筆者が作成。
36
校・高等学校)
講師B:田澤儀高( connection of the children 共同 代表)
講師B:加藤功甫( connection of the children 共同 代表)
第 10回 講師A:藤巻 明(文 学 部)・沼尻
晃伸(文 学 部)
講師B:沼尻晃伸(文 学 部)・藤
巻 明(文 学 部)
第 1 1回 講師A:佐藤久恵(千代田区神保
町出張所地域情報主査)
講師B:佐伯美佳(立 教 大 学 新座
キ ャンパス 事務部 しょう が い 学 生
支援室)
第 1 2回 講師A:板倉和世(立 教 大 学 新座
キ ャンパス 事務部 学 生 課)
講師B:佐藤久恵(千代田区神保
町出張所地域情報主査)
第 1 3回 講師A:原田英治(英治出版株式
会 社 代表取締役)
講師B:伊藤靖(株式会 社 リ トル
ウイングス 代表取締役)
第 1 4回 講師:小澤実(文 学 部准教授)
以上の表か ら も分か る よ う に 、多く のフィ ールド で 活躍す る 社 会 人 がゲス ト
講師と し て 、 文 学 部 の 学 生 に 講 義 を行う 。他に も 、 2007 年 度 に は株式会 社ベ
ネッセコーポレーションの伊藤正 明氏、富士ゼロック ス株式会 社 の 中川愼一氏
な ど 、 2008 年 度 に は元フィギュア ス ケ ー ト選手の伊藤みど り氏、映画監督の
熊坂出氏、朝日 新聞出版「 AERA 」編集 部 の 常井健一氏な ど 、 2009 年 度 に は
芥川賞作 家 の磯崎憲一郎氏、コピー ラ イター の秋山晶氏、 立 教 大 学 学 生 部 の佐
藤一宏氏な ど 、 2010 年 度 に は編集 者 の長谷川華氏、環境プロデューサー の森
高一氏な ど 、 2011 年 度 に は NHK 「 クローズアップ現 代 」ディレクター の石
田涼太郎氏、 立 教 大 学 キ ャ リ アセンター の西澤朋泰氏、助産師の荒井英恵氏な
ど が 講 義 を行っ た 。 文 学 部 に 在 籍 す る 学 生 た ち は 、 こ れ ら の幅広い 業界、 職 業
の 社 会 人 の話を聞く こ と で 自 身 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 し 、 今 後 の キ ャ リ ア や 職
業選択に つ い て熟考 す る こ と が で き る の で あ る 。
ま た 、 立 教 大 学 文 学 部 は 、 こ の 「 職 業 と 人 文 学 」 の単位取得者 を 対象に 「 イ
ンターンシップ」 と い う 2 単位の 講 義 を 設 置 し て い る 。 こ れ は 、 就 業 体験を通
し て 文 学 部 で の 学習を よ り深く す る機会 を得る の と 同 時 に 、 自 ら の キ ャ リ アデ
37
ザインに つ い て深く 考 え る こ と を 目 的 と し て い る 。授業 の 内 容 と し て は 、春学
期 中 に 事 前 研修等を通じ て 、 インターンシップへの 参加目 的 を 明確に し 、必要
な知識 や ス キルを 体得す る 。夏季休暇中 も し く は秋学 期 中 に派遣先 で 実 際 に 就
業 体験を積ん だ上、秋学 期 に 事 後 研修、レポー ト 作 成 、 体験報告会 な ど を通し
て 、 インターンシップ研修の 成果や 今 後 の 課 題等を確認す る 、 と い う も の で あ
る 。
以下 の表 33 が 、 「 インターンシップ」 の と あ る 年 度 の授業計画で あ る 。
【授業計画】
回 授業 内 容
第 1回 インターンシップガ イダンス
第 2回 履修希望届提 出
第 3回 履修登録予定者発表
履修登録予定者 ガ イダンス
第 4回 事 前 研修①
第 5回 事 前 研修②
第 6回 事 前 研修③
第7回 事 前 研修④
第8回 派遣前 ガ イダンス
第9回 夏期 インターンシップ(実質10
日 間以上)
第 10回 履修登録届提 出
履修登録者発表
自 動登録
第 1 1回 秋期 インターンシップ(実質10
日 間以上)
第 1 2回 事 後 研修①
夏期 インターンシップ報告会 ・レ
ポー ト 提 出
第 1 3回 事 後 研修②
第 1 4回 事 後 研修③
秋期 インターンシップ報告会 ・レ
ポー ト 提 出
文 学 部 側 が 講 義 と し て インターンシップを 設 置 し 、単位と し て も認め て い る
33立教大学シラバス「文学部 基幹科目/共通科目」(https://sy.rikkyo.ac.jp/timetable/slbsscmr.do?value(setti)=1&value(nendo)=2014&value(crclm)=X01001&buttonName=searchKougi&methodname=crclmSearch)を基に筆者が作成。
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と い う こ と は 非 常 に興味深い 。 文 学 部 側 が インターンシップを 講 義 と し て 設 置
し 、 学 生への インターンシップ活 動への 参加を促す こ と は 文 学 部 の 学 生 の キ ャ
リ ア 意 識 を 涵 養 す る こ と に 大 き く寄与し て い る と 筆 者 は 考 え る 。
前 節 で も 述 べ た よ う に 、 筆 者 は 、 文 学 部 の 就 職率が 低 い 、 あ る い は 人 気 企 業
に 就 職 しづら い 一 要因は 企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵
養 す る観点を 文 学 部 の 学 生 が達成 で き て い な い か ら だ と 考 え て い る 。 そ の た め
に は 、 文 学 部独自 の 文 学 部 の 学 生 に 対 す る 、 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る よ う な 教
育(キ ャ リ ア 教 育)が必要 だ と 考 え て お り 、 立 教 大 学 文 学 部 の こ れ ら の 取 り組
みは 非 常 に有意 義 な も の で あ る と 考 え る 。特に 、 文 学 部 の 側 が 講 義 と し て イン
ターンシップを 設 置 し 、 そ の インターンシップ活 動への 参加を単位と し て認め
る 「 インターンシップ」 は 文 学 部 の 学 生 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る上で 非 常 に
興味深い も の で あ る 。
こ の よ う に 文 学 部独自 の 文 学 部 の 学 生 に 対 す る 、 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る よ
う な 教 育(キ ャ リ ア 教 育)を行っ て い る 文 学 部 は 法 政 大 学 や 立 教 大 学 だ け で は
な い 。次節 で は 、 中堅レベルの 大 学 で あ る 龍 谷 大 学 の 文 学 部 の 取 り組みに つ い
て紹介し た い 。
第 3 節 龍 谷 大 学 文 学 部 の 事 例
前 節 で は 、 立 教 大 学 文 学 部 の 文 学 部独自 の 文 学 部 の 学 生 に 対 す る 、 キ ャ リ ア
意 識 を 涵 養 す る よ う な 教 育(キ ャ リ ア 教 育)の 一環で あ る 「 職 業 と 人 文 学 」
「 インターンシップ」 に つ い て紹介し た 。
本 節 で は 、 中堅大 学 の 龍 谷 大 学 文 学 部 の 取 り組みに つ い て紹介し て い き た い 。
龍 谷 大 学 で は 、 文 学 部独自 の キ ャ リ アサポー ト を行っ て い る 。 学 生 の キ ャ リ
ア 形 成 や 就 職 活 動 の 充 実 を 目 的 と し た独自 の 講 義 ・ 講座を 同窓会 の協力を得な
が ら 開 講 し て い る の で あ る 。
以下 の表 34 は 、 龍 谷 大 学 文 学 部 の独自 の キ ャ リ ア 教 育 に つ い て 筆 者 が ま と め
た も の で あ る 。
【文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育(龍 谷 大 学 文 学 部 の 事 例)】
学 年 講 義 名 内 容
1 ・ 2 年 生 キ ャ リ ア 形 成 論 キ ャ リ ア 形 成 の土台と
な る授業 。
3 年 生 キ ャ リ ア 開発論 社 会 人 感 覚 、 経 済 感
覚、独創性、ビジ ネ ス
体験、ビジ ネ ス に必要
なコミュニケ ーション
能力な ど 、従来の 学校
34 龍谷大学「文学部独自のキャリアサポート」(http://www.let.ryukoku.ac.jp/support/career.html)を基に筆者が作成。
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教 育 で は カ バ ー し き れ
な い能力分野を総合的
に 開発す る こ と に よ っ
て 、 企 業 か ら 求 め ら れ
る 人材像の 形 成 を 目指
し て い く 。
3 年 生 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン
論( a )国 内 外 の 出来事 を伝え
るマスコミに よ る情報
を 正 し く認識 し 、 そ れ
に 対 す る 自分の 意思を
文 章 、 言葉で分か り や
す く伝え る能力を 養 う
こ と を 目 的 と し て い
る 。
3 年 生 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン
論( b )出版社 の雑誌編集 者 、
書籍編集 者 に 求 め ら れ
る 実践的 な 「 取材力、
文 章力、 企画力」 の基
礎を 養 う こ と を 目 的 と
し て い る 。
以上の表か ら も分か る よ う に 、 文 学 部 の 学 生 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る よ う
な 実践的 か つビジ ネ ス に直接的 に結びつ く よ う な 講 義 の 内 容 と な っ て い る 。
再三前 述 し て い る が 、 筆 者 は 、 文 学 部 の 就 職率が 低 い 、 あ る い は 人 気 企 業 に
就 職 しづら い 一 要因は 企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養
す る観点を 文 学 部 の 学 生 が達成 で き て い な い か ら だ と 考 え て い る 。 そ の た め に
は 、 文 学 部独自 の 文 学 部 の 学 生 に 対 す る 、 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る よ う な 教 育
(キ ャ リ ア 教 育)が必要 だ と 考 え て お り 、 龍 谷 大 学 文 学 部 の行っ て い る 取 り組
みは 非 常 に有意 義 な も の で あ る 、 と 考 え る 。
第 4 節 事 例 の ま と め
筆 者 は 、 文 学 部 の 就 職率が 低 い 、 あ る い は 人 気 企 業 に 就 職 しづら い 一 要因は
企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点を 文 学 部 の 学
生 が達成 で き て い な い か ら だ と 考 え て い る 。 そ の た め に は 、 文 学 部独自 の 文 学
部 の 学 生 に 対 す る 、 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る よ う な 教 育(キ ャ リ ア 教 育)が必
要 だ と 考 え て い る 。 こ の主張を基に 、 第 4 章 で は 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意 識 を い
か に し て 涵 養 し て い く の か 、 と い う こ と を 念 頭 に 、 実 際 の 文 学 部 が行っ て い る
取 り組みに つ い て 参 考 に し た 。
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法 政 大 学 文 学 部 は 、他学 部 に比べ て 就 職への 意 識 が薄く 、 キ ャ リ ア 意 識 が 低
い と 言 わ れ る 文 学 部 生 の た め に 、 社 会 に 出 て働く こ と の 意 義 を 学ぶと共に 、 大
学 生 の 間 に 何 を す べ き か に つ い て 考 え る機会 と す る た め に 2011 年 度 よ り 「 文
学 部 生 の キ ャ リ ア 形 成 」 と い う 講 義 を 設 置 し て い る 。 法 政 大 学 の 文 学 部 を 卒 業
し 、 社 会 で 活躍し て い る 社 会 人 をゲス ト 講師と し て迎え 、 そ の 業界の 動向や仕
事 に関す る 様 々 な 体験談を話し て も ら う 。 そ の よ う な話を通し て 、 文 学 部 の 学
生 が 自 ら の 人 生 の 中 で の 「働く こ と 」 の 意 義 ・位置づけ(= キ ャ リ ア)を熟考
し 、 大 学 生 の 間 に 何 を す べ き か に つ い て 考 え る機会 を 持 ち 、 就 業力に関連す る
「総合的 」 な能力、 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る効果が あ る 。他学 部 の 学 生 の 受 講
は認め ら れ ず 、 文 学 部 の 学 生 の た め だ け に 開 か れ た 講 義 で あ る 。
立 教 大 学 文 学 部 は 、 キ ャ リ ア 教 育 の 一翼を担う こ と を 目 的 に 2007 年 度 よ り
「 職 業 と 人 文 学 」 と い う 講 義 を必修科目 と し て 設 置 し て い る 。 こ の授業 のねら
い は 、 文 学 部 の 学 生 が 自分自 身 と 人 文 学 と の関わ り あ い を 問 う 中 で 、 人 文 学 を
学ぶ意味や価値を改め て見い だ し 、 そ れ ら を 自 身 の 今 後 の 人 生 設計や 職 業選択
に繋げ て 考 え て い く機会 を 提供す る こ と で あ り 、毎回、各分野で 活躍す るゲス
ト を 講師と し て招聘し 、 そ れぞれ の仕事 や 職 業 に つ い て語る 。 ま た 、 こ の 「 職
業 と 人 文 学 」 の単位取得者 を 対象に 「 インターンシップ」 と い う 2単位の 講 義
を 設 置 し て い る 。 こ れ は 、 就 業 体験を通し て 文 学 部 で の 学習を よ り深く す る機
会 を得る の と 同 時 に 、 自 ら の キ ャ リ アデザインに つ い て深く 考 え る こ と を 目 的
と し て い る 。 文 学 部 の 側 が インターンシップを 設 置 し 、 そ れ を単位と し て認め
て い る と い う 非 常 に興味深い 取 り組みで あ り 、 キ ャ リ ア 意 識 の 低 い 文 学 部 の 学
生 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る上で 非 常 に効果的 で あ る 、 と 筆 者 は 考 え る 。
龍 谷 大 学 文 学 部 は 、 文 学 部独自 の キ ャ リ アサポー ト を行っ て お り 、 学 生 の
キ ャ リ ア 形 成 や 就 職 活 動 の 充 実 を 目 的 と し た独自 の 講 義 ・ 講座を 同窓会 の協力
を得な が ら 開 講 し て い る 。 講 義 内 容 は 社 会 人感覚やビジ ネ ス感覚を 養 う 実践的
な 内 容 と な っ て い る 。
こ の よ う な 、 文 学 部 の 学 生 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る よ う な 文 学 部独自 の 取
り組みが 筆 者 は必要 で あ る 、 と 考 え て い る 。 こ う し た 取 り組みを通し 、 文 学 部
の 学 生 が キ ャ リ ア 意 識 を 育 て 、 自 ら の キ ャ リ ア や 職 業選択に つ い て 考 え る こ と
が 、 文 学 部 の 就 職率の 低 さ の改善への 一助に な る 、 と 筆 者 は 考 え て い る の で あ
る 。
● 第 5 章 おわりに
本 章 で は 、 本 論 文 に つ い て ま と め 、 筆 者 の主張を結論付け る 。
第 1 節 本 論 文 の ま と め
本 論 文 は 、 現 在 の 日 本 に お い て 言 わ れ て い る 文 学 部 不 要 論 に 対 し て 、 筆 者 が
疑問 を 抱 い た こ と よ り端を発し た 。 実 際 に 、 日 本 国 内 に お い て 文 学 部 は 減 少 の
一途を辿っ て お り 、 文 学 部 と い う 学 部 が 新 設 さ れ る こ と は ほ と ん ど と 言 っ て い
い ほ ど 、 な い 。 こ の 一 要因は 先行研 究検討や 筆 者 に よ る アンケ ー ト調査で 「 文
41
学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と 大 学 や 学 生 が 考 え て い る か ら 、 と い う こ と が
分か っ た 。 こ の た め 、 学 生 は 文 学 部 を敬遠し 、 大 学 側 も 「 文 学 部 だ と 学 生 が 集
ま ら な い 」 と 考 え 、 文 学 部 の 看 板 を お ろ し 、異な る 名 称 に 変 更 す る と い う ケ ー
ス が 増 え て い る 。結果と し て 、 文 学 部 が 減 少 の 一途を辿っ て い る 、 と い う わ け
で あ る 。 そ こ で 、 筆 者 は 実 際 に 文 学 部 と 就 職 活 動 の関係性に つ い て 、 先行研 究
検討や 筆 者 に よ る アンケ ー ト調査を通し て検討し た 。 そ の結果、確か に 文 学 部
の 就 職率は他学 部 と比較し た 時 に 低 く 、獲得内定数も 少 な く 、 人 気 企 業 に 就 職
しづら い と い う こ と が分か っ た 。
そ こ で 筆 者 は 、 文 学 部 の 就 職率が 低 い 、 あ る い は 人 気 企 業 に 就 職 しづら い 一
要因は 企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点を 文 学
部 の 学 生 が達成 で き て い な い か ら だ と 考 え た 。 そ し て 、 文 学 部 生 の キ ャ リ ア 意
識 を 涵 養 す る た め に 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育 が必要 な の で は な い か 、 と い う
提 言 を行っ た 。 企 業 が 大 学 側 に 求 め て い る こ と の指標と し て 、 日 本 経済団体連
合会 の 「 企 業 の 求 め る 人材像アンケ ー ト結果」 を用い 、 こ の指標を 「 ア カデ
ミック な観点」 と 「 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点」 の 2 つ の観点に分類し 、 文
学 部 出 身 者 に 対 し て アンケ ー ト調査を行っ た 。 そ の結果、 ア カデミック な観点
を最も 「 出来た 」 と 考 え る 文 学 部 出 身 者 が 7 割近く 存 在 す る の に 対 し 、 キ ャ リ
ア 意 識 を 涵 養 す る観点を最も 「 出来た 」 と 考 え る 文 学 部 出 身 者 は 3 割を切る 、
と い う結果に な っ た 。 つ ま り 、 文 学 部 出 身 者 は総じ て キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る
観点を最も 「 出来た 」 と 考 え る 者 が 少 な く 、延い て は 文 学 部 出 身 者 は キ ャ リ ア
意 識 が 低 い 、 と い う こ と が 明 ら か に な っ た 。 そ こ で 、 筆 者 は 文 学 部 生 の キ ャ リ
ア 意 識 を 涵 養 す る た め に 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育 が必要 な の で は な い か 、 と
い う 提 言 を行っ た 。 そ し て 、 文 学 部 生 に 対 し て 、 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育 を
行っ て い る 事 例 と し て 法 政 大 学 文 学 部 、 立 教 大 学 文 学 部 、 龍 谷 大 学 文 学 部 を紹
介し た 。 こ う し た 取 り組みを通し 、 文 学 部 の 学 生 が キ ャ リ ア 意 識 を 育 て 、 自 ら
の キ ャ リ ア や 職 業選択に つ い て 考 え る こ と が 、 文 学 部 の 就 職率の 低 さ の改善へ
の 一助に な る 、 と 筆 者 は 考 え て い る の で あ る 。
第 2 節 今 後 の 課 題
現 在 、 法 政 大 学 、 立 教 大 学 、 龍 谷 大 学 の 文 学 部 の よ う に 、 文 学 部 の 学 生 に 対
し て 、 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育 を行っ て い る よ う な 大 学 は 少 な い 。 無 論 、 大
学 は 研 究機関で あ り 、 就 職予備校で は な い 。 就 職率の 良 し悪し が 、 そ の 大 学 、
そ の 学 部 の質的 な価値を 下 げ る も の で も な い 。 文 学 部 の 学 生 に は し っ か り と 文
学 部 生 と し て の 人 文 学 な ど の知識 を し っ か り と 身 に つ け させれ ば 良 い で は な い
か 、 い わゆる 「 ア カデミック な観点」 が 身 に つ い て い れ ば 良 い で は な い か 、 と
い う 読 者 の指摘も あ る か も し れ な い 。 し か し 、 本 論 文 は 就 職率の振る わ な さ か
ら 「 文 学 部 不 要 論 」 が唱え ら れ 、 実 際 に 文 学 部 が 減 少 の 一途を辿っ て い る こ と
に 対 し て 筆 者 が 問 題視し 、 そ の こ と の 一 要因を分析し 何 か し ら の 示唆や改善策
を得よ う と し た も の で あ る 。 筆 者 は 、 企 業 が 大 学 に 求 め る こ と と 文 学 部 の 学 生
が達成 で き て い る こ と に 一 部 大 き なギャップが あ る こ と や 、 文 学 部 の 学 生 が極
42
端に 「 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点」 を達成 で き て い な い 現 状 は 問 題 だ と 考 え
る 。
ま た 、 本 論 文 で は 、 文 学 部 を 中心に議論 を 展 開 し て お り 、他学 部 と の比較を
通し た相対 的 な議論 が あ ま り で き な か っ た 。 こ れ は 、 筆 者 の 今 後 の 課 題 と し た
い 。
以上ま で で 論 じ て き た が 、 文 学 部 は他学 部 と比較し て 、 就 職率が 低 い 、 あ る
い は 人 気 企 業 に 就 職 しづら い と い う こ と は や は り 問 題 で あ る 、 と 筆 者 は 考 え る 。
文 学 部 の 就 職 状 況 が他学 部 と比較し た 時 に振る わ な い と い う 状 況 が あ る こ と に
よ り 、 文 学 部 を敬遠す る 学 生 や 文 学 部 の 看 板 を 下 げ る 大 学 が 増 え 、 文 学 部 が 減
り 続 け て い る 。 こ の こ と は 、 本当は 文 学 部への進学 し た い の に も か か わ ら ず 、
将来の キ ャ リ ア や 就 職 活 動 の こ と を配慮し 、他学 部へ泣く泣く進学 す る高校生
が 出 て き て し ま う可能性も あ る 。 こ の よ う な 事態を防ぐた め に も 、 文 学 部独自
の キ ャ リ ア 教 育 を行う こ と は 決 し て悪い こ と で は な い 。むし ろ 、 文 学 部 の 学 生
た ち が 自 ら の将来の キ ャ リ ア や 職 業選択に つ い て 大 学 生 の 間 に熟慮す る こ と は
非 常 に有意 義 な こ と で あ る し 、 文 学 部 の 学 生 に と っ て も絶対 に価値あ る こ と で
あ る は ず だ 。
本 論 文 が 、 文 学 部 の 学 生 の キ ャ リ ア 形 成 に つ い て 考 え る 1 つ の契機に な れ ば 、
筆 者 と し て は 非 常 に幸い で あ る 。
● 第 6 章 参 考 文 献 一 覧
【書籍】
・ アルヴィン・ カ ーナン(木村武史訳)『人 文科学 に 何 が起き た か─ア メ リ カ
の 経験』、玉川大 学 出版部 、 2001 年 。
・石原千秋『近代 と い う 教 養―文 学 が背負っ た 課 題』、筑摩書房、 2013 年 。
・石渡嶺司『アホ大 学 の バ カ 学 生 グロー バル人材と 就 活 迷子の あ い だ』、光
文 社 、 2012 年 。
・市川須美子、 浦野東洋一 、小田野正 利 、窪田眞二、 中嶋哲彦、 成嶋隆『教 育
小六法』、 学陽書房、 2013 年 。
・上西充子、伊藤文男、小玉小百合、川喜多喬『大 学 の キ ャ リ ア支援―実践事
例 と省察』、 経営書院、 2007 年 。
43
・エドワー ド . W . サイ ー ド(村山敏勝、三宅敦子訳)『人 文 学 と 批評の使命
─デモク ラシー の た め に』、岩波書店、 2013 年 。
・ 愛 媛 大 学 法 文 学 部 新 潟 大 学 人 文 学 部 『 人 文 学 の 現 在 』 、 創 風 社 出 版 、
2012 年 。
・海老原嗣生『偏差値・知名 度 で は わ か ら な い 就 職 に強い 大 学 ・ 学 部』、朝
日 新聞出版、 2012 年 。
・ 大沢仁、石渡嶺司『就 活 の バ カヤロー』、光文 社 、 2008 年 。
・尾木直樹、 諸星裕『危機の 大 学 論』、角川書店 ( 角川グループパブ リッシン
グ ) 、 2011 年 。
・河合塾『栄冠めざし て Vo.1 』、河合塾教 育情報部 栄冠めざし て編集 部 、
2014 年 。
・河合塾『栄冠めざし て Vo.2 』、河合塾教 育情報部 栄冠めざし て編集 部 、
2014 年 。
・河合塾『栄冠めざし て Vo.3 』、河合塾教 育情報部 栄冠めざし て編集 部 、
2014 年 。
・河合塾『ガ イ ド ラ イン シリ ーズ』、河合塾教 育情報部 ガ イ ド ラ イン編集 部 、
2014 年 。
・木村誠『消え る 大 学 生 き残る 大 学』、朝日 新聞出版、 2011 年 。
・木村誠『危な い私立 大 学 残る私立 大 学』、朝日 新聞出版、 2012 年 。
・木村誠『就 職力で見抜く!沈む大 学 伸びる 大 学』、朝日 新聞出版、 2014年 。
・共生倫理研 究 会『共生 の 人 文 学-グロー バル時 代 と多様 な 文 化』、神戸大 学 、
2008 年 。
・倉部史記『文 学 部 が な く な る 日』、主婦の友社 、 2011 年 。
・小杉礼子『大 学 生 の 就 職 と キ ャ リ ア―「普通」 の 就 活 ・個別の支援』、勁草
書房、 2007 年 。
・斎藤知也『教室でひら か れ る < 語り >─ 文 学 教 育 の根拠を 求 め て』、 教 育 出
版、 2009 年 。
・坂口京子『戦後 新 教 育 に お け る 経験主義 国語教 育 の 研 究―経験主義 教 育観の
摂取 と 実践的理解 の過程』、風間書房、 2009 年 。
・渋谷孝『国語科教 育 は な ぜ 言葉の 教 育 に な り切れ な か っ た の か』、 明治図書
出版、 2008 年 。
・ 大修館書店『明鏡国語辞典』、 大修館書店、 2002 年 。
・田近洵一『戦後 国語教 育 問 題史』、 大修館書店、 1999 年 。
・田中 実 、須貝千里『こ れ か ら の 文 学 教 育 のゆく え』、右文書院、 2005 年 。
・田中 実 、須貝千里『文 学 が 教 育 に で き る こ と - 「 読むこ と 」 の秘鑰』、 教 育
出版、 2012 年 。
・堤輝男『文 学 と 教 育 の か け橋―芥川賞作 家 ・長谷健の 文 学 と 生涯』、 文芸社 、
2002 年 。
44
・寺崎昌男『東京大 学 の歴史』、 講談社 、 2007 年 。
・東洋経済新報社『就 職四季報 2015 年版』、東洋経済新報社 、 2013 年 。
・東洋経済新報社『会 社四季報 業界地図 2014 年版』、東洋経済新報社 、
2013 年 。
・飛田多喜雄『国語教 育 方 法 論史』、 明治図書出版、 1974 年 。
・ 中西光雄『「蛍の光」 と稲垣千頴―国民的唱歌と 作詞者 の数奇な運命―』、
ぎょうせい 、 2012 年 。
・西尾実 、田辺洵一『現 代 国語教 育 論 集 成 西尾実』、 明治図書出版、 1993年 。
・西山雄二『人 文 学 と制度』、未来社 、 2013 年 。
・浜本純逸『戦後 文 学 教 育 方 法 論史』、 明治図書出版、 1978 年 。
・浜本純逸『文 学 教 育 の歩みと理論』、東洋館出版社 、 2001 年 。
・藤原和好『語り合う 文 学 教 育─子ど も の 中 に 文 学 が 生 ま れ る─』、三重大 学
出版会 、 2010 年 。
・山内太地『大 学 のウソ 偏差値 60 以上の 大 学 は い ら な い』、角川書店、
2013 年 。
・ 読売新聞社『就 職 に強い 大 学 2015 』、 読売新聞社 、 2014 年 。
【雑誌論 文】
・足立悦男「 こ れ か ら の 文 学 教 育 : 比較文 学 教 育 の試み ( 韓国 と 日 本 ) 」 、
『国語科教 育 54 』、 2003 年 、 5-6 頁。
・ 鮎 澤 浩 二 「 『 羅 生 門 』 文 学 教 育 の 起 点 と し て 」 、 『 日 本 文 學 誌 要
48 』、 1993 年 、 35-44 頁。
・井筒満「 文 学 教 育 の必要性」 、『文 学 と 教 育 (213) 』、 2011 年 、 3-15頁。
・井筒満「 文 学 教 育 の 課 題 を めぐっ て 」 、『文 学 と 教 育 (217) 』、 2012 年 、
17-26 頁。
・ 稲 田 繁 夫 「 言 語 過 程 説 に お け る 文 学 教 育 論 」 、 『 人 文 科 学 研 究 報 告 , 8 』、 1958 年 、 35-40 頁。
・井上尚美「 ア メ リ カ の 国語教 育 」 、『学芸国語国 文 学 15 』、 1979 年 、
110-111 頁。
・岩脇千裕「 大 学 新 卒 者 に 求 め る 「能力」 の構造と 変 容―企 業 は 「即戦力」 を
求 め て い る の か ー 」 、『Works Review 2006 Vol.1 』、 2006 年 、 1-14頁。
・ 大島光「 国語教 育史に お け る 論争の再検討 : 「 言語教 育 か 文 学 教 育 か 」 論
争」 、『全国 大 学 国語教 育 学 会発表要旨集 119 』、 2010 年 、 202-205 頁。
・ 大島光「 国分・石田論争の再検討」 、『創 大 教 育 研 究 22 』、 2013 年 、
35-50 頁。
・ 岡 真 理 「 思 想 の 言 葉 「 戦 争 」 の 対 義 語 と し て の 文 学 」 、 『 思 想
(989) 』、 2006 年 、 1-3 頁。
・荻原桂子「 国語教 育 と 文 学 : こ と ば と心」 、『九州女子大 学紀要 . 人 文 ・
45
社 会科学編 45(3) 』、 2009 年 、 86-96 頁。
・角谷有一 「 教室で小説 を 読むと い う こ と -- 文 学 教材と し て の『少 年 の 日 の思
い 出』を 読む」 、『日 本 文 学 57(8) 』、 2008 年 、 21-30 頁。
・角谷有一 「 中 学校新指導 要 領 の全面 実施を 前 に 文 学 教 育 の可能性を探る -- 復活 教材『トロッコ』を 読み直す 」 、『日 本 文 学 60(8) 』、 2011 年 、 24-32頁。
・菅田浩一 「 文 学 教 育 の 意 義 -- 『不思議の 国 の ア リ ス』を 読む」 、『四国 学院
大 学 大 学院文 学 研 究科紀要 9 』、 2011 年 、 1-15頁。
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( http://toyokeizai.net/articles/-/55655 )2014/12/30 取得。
・東洋経済ONLINE 「 新 入 社員に優し い ホワイ ト 企 業 トップ「 」 300 」
( http://toyokeizai.net/articles/-/33957 )2014/12/30 取得。
・マイナビニュー ス 「 文 学 部 は 本当に 就 職 に 弱 い の か ?( 前 ) - 「 会 社 が わ た し
に合わせろ ! 」 と思っ て し ま う と こ ろ は…あ る 」
( http://news.mynavi.jp/articles/2015/01/05/bungakubu/ )2015/1/8 取得。
・マイナビニュー ス 「 文 学 部 は 本当に 就 職 に 弱 い の か ?( 後 ) - 「 言葉」 を操る
ス キルを も っ と 活 かせる は ず 」
( http://news.mynavi.jp/articles/2015/01/07/bungakubu2/ )2015/1/8 取得。
ア ブ ス ト ラ ク ト
本 論 文 は 、 現 在 の 日 本 に お い て 言 わ れ て い る 文 学 部 不 要 論 に 対 し て 、 筆 者 が
疑問 を 抱 い た こ と よ り端を発す る 。 実 際 に 、 日 本 国 内 に お い て 文 学 部 は 減 少 の
一途を辿っ て お り 、 文 学 部 と い う 学 部 が 新 設 さ れ る こ と は ほ と ん ど と 言 っ て い
い ほ ど な い 。
先行研 究検討や 筆 者 に よ る アンケ ー ト調査の結果、分か っ た こ と は 、 大 学 や
学 生 が 「 文 学 部 は 就 職 活 動 に お い て 不 利 」 と 考 え て い る と い う こ と で あ る 。 そ
し て 、 先行研 究検討や 実 際 のデータを確認し て分か っ た こ と は 、確か に 文 学 部
54
の 就 職率は他学 部 と比較す る と 、振る わ な い 状 況 が あ る 、 と い う こ と だ 。 ま た 、
文 学 部 は 人 気 企 業 に 就 職 しづら い 、 と い う こ と で あ っ た 。
筆 者 は こ の 一 要因を 企 業 が 大 学 に 求 め て い る こ と の 中 の キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養
す る観点を 文 学 部 の 学 生 が達成 で き て い な い か ら だ と 考 え 、 文 学 部 生 の キ ャ リ
ア 意 識 を 養 う た め に 文 学 部独自 の キ ャ リ ア 教 育 が必要 な の で は な い か 、 と い う
提 言 を し た 。 そ し て 、平成 1 6 年 度 に 実施さ れ た 日 本 経済団体連合会 の 「 企 業
の 求 め る 人材像アンケ ー ト結果」 を指標と し て 、 実 際 の 文 学 部 出 身 者 に アン
ケ ー ト調査を行っ た と こ ろ 、 企 業 が 大 学 側 に 期待し て い る こ と に 対 し 、 文 学 部
は 学 問 と し て の知識 を 学 生 に し っ か り と 身 に つ け させる 「 ア カデミック観点」
を 文 学 部 出 身 者 に 対 し て 身 に つ け させら れ て い る 一 方 で 、 実 社 会 と の つ な が り
を 意 識 し た 実務に 役 立 つ 「 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点」 は 文 学 部 出 身 者 に 対
し て あ ま り 身 に つ け させら れ て い な い 、 と い う こ と が分か っ た 。延い て は 、 文
学 部 の 出 身 者 は キ ャ リ ア 意 識 が 低 い 、 と い う こ と に も な る 。 筆 者 は 、 こ れ が 文
学 部 の 就 職 状 況 が芳し く な い こ と の 一 要因だ と 考 え た 。
そ し て 、 文 学 部 が 実 社 会 と の つ な が り を 意 識 し た 実務に 役 立 つ 「 キ ャ リ ア 意
識 を 涵 養 す る観点」 を 文 学 部 出 身 者 に 対 し て あ ま り 身 に つ け させら れ て お ら ず 、
文 学 部 の 出 身 者 の キ ャ リ ア 意 識 が 低 い こ と を改善す る た め に 、 文 学 部独自 の
キ ャ リ ア 教 育 が必要 な の で は な い か 、 と い う 提 言 を行っ た 。 文 学 部独自 の キ ャ
リ ア 教 育 を推進し て い る 例 と し て 、 法 政 大 学 文 学 部 、 立 教 大 学 文 学 部 、 龍 谷 大
学 文 学 部 を紹介し た 。
無 論 、 大 学 は 研 究機関で あ り 、 就 職予備校で は な い 。 就 職率の 良 し悪し が 、
そ の 大 学 、 そ の 学 部 の質的 な価値を 下 げ る も の で も な い 。 文 学 部 の 学 生 に は
し っ か り と 文 学 部 生 と し て の 人 文 学 な ど の知識 を し っ か り と 身 に つ け させれ ば
良 い で は な い か 、 い わゆる 「 ア カデミック 」 な観点を 身 に つ け させら れ て い れ
ば 良 い で は な い か 、 と い う 読 者 の指摘も あ る か も し れ な い 。 し か し 、 本 論 文 は
就 職率の振る わ な さ か ら 「 文 学 部 不 要 論 」 が唱え ら れ 、 実 際 に 文 学 部 が 減 少 の
一途を辿っ て い る こ と に 対 し て 筆 者 が 問 題視し 、 そ の こ と の 一 要因を分析し 、
何 か し ら の 示唆や改善策 を得よ う と し た も の で あ る 。 や は り 、 文 学 部 の 学 生 が
極端に 「 キ ャ リ ア 意 識 を 涵 養 す る観点」 を達成 で き て い な い 現 状 は 問 題 だ と 筆
者 は 考 え る 。 そ の こ と を 、 お承知置 き頂き た い 。
本 論 文 が 、 文 学 部 の 学 生 の キ ャ リ ア 形 成 に つ い て 考 え る 1 つ の契機に な れ ば 、
筆 者 と し て は 非 常 に幸い で あ る 。
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