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  • - 34ー

    という 4つのサブモデノレからなる空間的相互作用モデノレ族を導いたわ。 ただ

    し, Ttjは出発地 iから到着地jへの相互作用,Mtは iの放射性,MJはj

    の吸引性,ftJは ij閣の分離性,sO・s1・s2はパラメータである。また,

    Ot=~ TlJ , Dj=~Tりであ り , それぞれ各出発地からの流出総量,

    各到着地への流入総量をあらわす制約条件であるo At, Bj は, 均衡因子

    (balancing factor)と呼ばれる。 また,J'Li は距離減衰効果を示 し,dtjをβ3

    4から jへの距離〈コスト)とすると,Jtjは具体的にはパワ ー関数 dtj,β5

    指数関数 exp(s3d心,ガンマ(タナー)関数exp(s4dtj)dtjのいずれかであ

    らわされる乙とが多いo s3・s4・s5はノマラメータである。 なお,発生制約モ

    デノレと集中制約モデノレは一重制約モデノレ,発生集中制約モデノレは二重制約モ

    デノレとも呼ばれるO ニュートン流の重力モデノレは,上式(1)の無制約モデノレに

    あたる乙とから,上記の相互作用モデノレ族は,それを一特殊ケースとするよ

    り包括的なモデノレ体系とみなせる乙とになった。

    空間的相互作用モデノレの研究史からみれば,たしかにウィノレソンの空間的

    相互作用モデノレ族のもつ大きな意義については誰も異論がなかろうし,今 日

    のこのテーマをめぐる活発な動きの基礎に, 彼の業績がある乙 とは明白であ

    る。とはいえ,それが発表されてから既に10数年が経過しているので、あ-って,

    乙の聞にそのモデノレ族さえも特殊ケースとする一層包括的な枠組みが提示さ

    れるに至っている。最小判別情報量 (MinimumDiscriminatiom Informa-

    tion)にも とずく 空間的相互作用モデノレ(石川, 1984; W ebber, 1984, pp.

    44-68)はその一例であるわ。しかし,その他にも既存のモデ、ノレを改良ないし

    包括化する試みが,特lζ英米を中心として,近年積極的に行なわれているO

    その活況をみるとき,現在あるいくつかの空間的相互作用モデノレを,ニュー

    トンの引力法則からの直接的な類推にもとずく素朴な機械論的モデノレと同一

    視して,安直に論難する 乙とが許される時期は,もはや過ぎ去っているよう

    に,筆者には思える。

    本稿は,乙のような問題意識に促されて,空間的相互作用のモデリングを

    めぐる近年の研究動向の一端を紹介することを目的としている。乙乙で,近

    年の, というのは, ウィノレソンの空間的相互作用モデノレ族が定着して以降の

    時期,具体的には1970年代以降今日までの時期をさしているo 第H章では,

    古典的な重力モデノレを改良したポアソンモデノレ,第E章では,上述の空間的相互作用モデノレ族を特殊ケースとして包摂するアロンゾモデノレ,第W章で

    ( 34 )

  • 空間的相互作用のモデリングをめぐる最近の研究動向 - 35ー

    I I は,既往のモデノレよりもすぐれた面をもっ,分割表ないしは多次元表の対数

    ; J I 線型モデノレとしての空間的相互作用モデノレを紹介する。

    I I なお,本稿では,重力モデノレという言い方は,ニュートン法則のアナロジ

    ーに立脚するモデノレを直接的にさす場合にのみ使っている。一方,空間的相

    互作用モデノレという言い方は, 左辺に相互作用が入り , それを右辺の変数

    群,特に出発地の放射性 ・到着地の吸引性・両地区閣の分離性から説明する

    という構造を持つモデノレを全般的にきして,使用している。当然ながら,乙

    の用語法にしたがうと,重力モデノレも ζ のモデノレの中に含まれることにな

    る。乙のような区別は,必ずしも研究者の間で統一されているという訳では

    i I なし、。乙乙でそのような区別をするのは,以下に詳述するモデノレが,たとえ

    izi:モ 11 定式的iζ重力モデノレに類似していても,そのアナロジーから解放されて,導かれているからである。また,本稿中の変数名・パラメータ 名は,以下に紹

    I I 介する原論文のそれと必ずしも同じでなく,意識的に変えたものもある。乙. ・ー

    れは複数の論文で,異なる変数 ・パラメ ータに同じ記号が使用されている乙

    とがあるためである。

    E ポアソンモデル

    1 重力モデノレの問題点

    ニュートンの万有引力の法則のアナロ ジーから導かれた重力モデノレの定式

    は, 出発地 ・到着地についての質量項 Mt,MJ ~ζパラメータを付けて一般

    的にし,距離減衰関数としてパワー関数を用いるとすれば,次のように示さ

    れる。,

    ,, ,,

    β1β2 β3

    (5) T tj == sOMt M j dtj Mt, Mjには,人口規模が指標として使われることが多い。式(5)は,次の

    ように両辺の対数4) をとって,右辺を線型結合とし,通常最小二乗法(Ordi-

    nary Least Squares)でパラメータ の推定を行なう 5)。

    (6) 1nTtj == 1nsO+ sl1nMt + s21nMj + s31ndtj + etj 乙乙で,etjは上記モデノレの回帰分析のさい仮定されるランダムな誤差 項 で

    ある。

    しかし, 乙の方法には次に挙げるような 4つの問題がある (Flowerdew

    and Aitkin, 1982)。 第ーに,相互作用の推定のさいに, Ttj 自体ではなく

    て, Ttjの対数が用いられる乙とである。最小二乗、法による推定は, Tzj の

    く35)

    -1・..

    ,..

    ...,

  • - 36-•

    第 1表 観測値ゼロに加算する値が対数正規モデルの実行に与える影響

    パラメータ

    加算値 lnsO sl s2 s3 R2

    0.01 -28.64 1.472 1.386 -1.471 .420

    0.1 -19.21 1.028 0.959 -1.027 .474

    0.3 -14.73 0.818 0.758 -0.817 .507

    0.5 -12.66 0.723 0.666 -0.721 .521

    0.6 -11.93 0.689 0.634 -0.687 .526

    0.7 -11.31 0.661 0.607 -0.659 .529

    0.9 -10.31 0.615 0.564 -0.613 .534

    1.0 -9.90 0.596 0.546 -0.594 .536

    Flowerdew and Aitkin, 1982, p.195による。

    推定値の対数をはずす乙とによって行なわれるが,その結果大きい相互作用

    を過小に推定し,そのために相互作用の推定値の合計が実際より過小とな

    る6)。 乙れは,最小二乗法によって古典的な重力モデノレを適用するさいの深

    刻な欠点のーっとして, よく知られている (Senior,1979)。第二に, 式(6)

    の回帰分析のさい仮定されている,誤差項の正規分布は,実際にはあてはま

    らない。乙の仮定は, T tj の観測値が, T tj の推定値のまわりに対数正規分

    布している乙とを意味している。しかし, T tj の観測値は,明らかに非負で

    しかも多くはゼロかあるいは小さい正の値であるO また,人口の流れなどに

    関しては,Ttj の観測値は必ず整数で離散的分布をとるから,連続的分布で

    ある対数正規分布は期待できないのである7)。第三に,乙 の誤差項はすべて

    の観測体について等しい分散を持つという等分散性 (Homoscedasticity)の

    仮定が,空間的相互作用データに対しては普通あてはまらないoi,jの組み

    合わせごとに分散が異なる,異分散性 (Heteroscedasticity)が認められるの

    である8)。第四に,フロ ーの観測値がゼロのときには,対数がとれないため,

    任意の小さい正の値で置き換えなくてはならなし、。しかし,どの値をとるか

    で,パラメータ推定値や適合度が変わってくるという怒意性を避ける乙とが

    できなし、。第 1表は,後述の彼らが用いた英国の人口移動データに関して,

    乙の影響をみたものであるO

    2 ポアソンモデノレのお導

    式(6)は,eりについての正規分布を仮定しており , さらに対数化された形

    ( 36 )

    ., 〆"

    1.

    寸'

    ....

    -同

    句.-e

    ... ‘ ・・

    喝同,

  • 空間的相互作用のモデリングをめぐる最近の研究動向 - 37ー

    で示されているから,以降では対数正規モデノレと呼ぶo 言うまでもないが,

    ζ れは実質的に重力モデノレに等しい。ポアソンモデノレは,フラワーデュ ーら

    (Flowerdew and Aitkin, 1982)により提案されたものである。彼らによ

    ると,i,j問の人口移動者数の観測j値が非負の整数で,それゆえ変数 T1,jの

    それぞれの値が離散的な碓率分布をもっとの見方をとるならば,上記の第二

    点は問題とならない。もし, iから jへの移動者数を非負とし, i にいる個

    人が j~ζ移動するという一定の小さい確率があり , iの人口が大きく ,個ノ

    の移動は独立的な過程であるとするならば,観察されたフローはポアソン過

    程の結果とみなす乙とができる。つまり ,i,j間の観察される移動者数は,

    ー入l,J‘ TU

    (7) ρ(T1,j) ==竺一六!ーで与えられる。ここで,tltjはポアソン過程の期待値(平均〉である。 TtJの観測値の分散もんであるために,一定とならず, 上記第三の異分散性の問

    題にもうまく対応できる乙とになる。ポアソン分布は,二項分析Jの特別な場

    合で,出現確率のきわめて小さい事象の発生数の分布を考えるときに有効で

    ある。 えりは未知なので,

    (8) んJ== exp(sO + sllnMt + s21nMJ + s31ndLj)

    のようにMt,M), dtJ の関数であると仮定する。これを変形すると,

    (叫 ん=hMflMf2dbが得られる。ただし,k == exp(sO)である。 したがって, ポアソン過程にもとずく相互作用モデノレは,古典的な重力モデノレと構造上同一であるが,そ

    れを改良したものとみなす乙とができる。

    フラワーデュ ーらは,式(8)が繰り返し重み付最小二乗法 (IterativeWeigh-

    ted Least Sq uares)を利用して解ける乙とを示唆している。 乙の方法は,

    まず観測値ゼロのフローを任意の小さな正の値で置き換え,分散の初期推定

    値を求め,ついで、重み付最小二乗法でパラメ ータ sO,sl, s2, s3 を推定

    する。乙うして推定された回帰式から新たな分散を求め,さらにとれを用い

    て, 次のパラメ ータ推定値を算出する。そして,パ ラメータ推定値が収束す

    るまで乙の手順を繰り返す。 乙の方法によると, 観測値ゼロのフローをど

    の正の値で代替しでも,最終的な結果に影響-はないという。ポアソンモデノレ

    は, 元来は上記の諸問題のうち第二 ・第三の問題点を克服するために提案さ

    れたのであるが,以上のようにして第四の問題点も回避する とと になる。ま

    た, 第一の問題点に関 しては,ポアソンモデノレか らのフ ローの推定値の合計

    ( 37 )

  • - 38ー

    は,おおむね観測値の合計と等しくなるという。対数正規モデノレではそれが

    推定値の対数と関連しているのに対し,乙のモデノレでは誤差項が推定値と同

    ーの測度で示されるからである。

    彼 らは, 1970-71年にかけての英国の126標準都市労働閤 (StandardMet-

    ropolitan Labor Area)9)聞の人口移動データ (1096抽出〉によって,ポア

    ソンモデノレの経験的妥当性を検討している。全体では15,750(126ベ126-126)

    の移動流となっており, 最大流はロンドンからブライトンへの681人, 60人

    以上を数える移動流は250ある。一方,約半分にあたる8,150の移劫流は移動

    者数がゼロであり,また数の極めて小さい移動流も多し、。そのため,一移動

    流の平均規校はわずか5.7人にすぎない。上方(フローの規模の大きい方向〉

    に長くすそをひいた正の非対称分布は,相互作用データでは一般的に広く認

    められるが,乙の英国の人口移動データも例外ではない。 彼 らは,乙のデー

    タを使って対数正規モデノレとポアソンモデノレの適合度を比較し,後者が明ら

    かにすぐれており,特に規模の大きい移動流に関してはそうである,との結

    果を得ている。

    しかし,フラワーデューらは, ポアソンモデノレが全く問題を含まないと考

    えているのではなく,以下を欠点として指摘しているo まず第ーに,分析の

    さいに独立変数として採用しているのは,出発地・到着地の規模と両地区間

    の距離のみであり,人口移動の説明に重要な役割を演じている他の変数,例

    えば賃金・雇用・居住条件・人口特性などは考慮されていない。確かに残差

    の分析は,こ のことを示唆している。しかし,既存の重力モデノレとの整合性

    から得られる長所の大きさを考えるならば,筆者は,乙の点は決定的な難点

    とは恩わない。第二に,ポアソン分布で前提となっている移動の独立性,す

    なわち特定の個人の移動は他人の移動から影響されないという点についてで

    ある。しかし,現実には,世帯主の移動にひきずられて,世帯員の移動が生

    じると考えられるから,この前提は厳密には妥当しない乙とになる。

    3 ポアソンモデノレの窓義

    フォザリンガムら (Fotheringhamand Williams, 1983)は,以上の展開

    を受けて,ポアソンモデノレの窓義についてさらに掘り下げている 10)。彼らは

    キャリブレーション(パラメータの推定)に最尤法を利用する乙とによって,

    フラワーデューらが考えた以上の利点が約束されることを示している。

    結論的に,彼らは,ポアソンモデノレが対数正規モデルにまさっている点と

    ( 38 )

  • -

    ー-

    空間的相互作用のモデリングをめぐる最近の研究動向 - 39ー

    して,次の 3つを挙げている。第ーに,モデノレのキャリ プレー ショ ンのさい,

    観測値ゼロの相互作用は,後者のモデノレではプラスの小さい値で置き換えな

    くてはならないが,その値次第でパラメータ推定値や適合度が変化するとい

    う問題がある。しかし,ポアソンモデノレは最尤法で解けるために,乙の問題

    に悩まされる乙とがなし、。第二~r , 無制約モデノレ(フ ラワーデュ ー らのいう

    対数正規モデノレにあたる) ・発生制約モデノレ ・集中制約モデノレ ・発生集中制

    約モデ、ノレからなるいわゆる空間的相互作用モデノレ族の 4モデノレのうち,伝統

    的には無制約モデノレのみが通常最小二乗法から解かれてきたのに対し,他の

    3モデノレは最尤法に依拠してきた。したがって,同じ体系内にあっても,無

    制約モデノレのみがノマラメ ータ推定法が異なっており,乙のモデノレの適合度の

    低さが,はたして制約条件の有無によるのか,推定法の差異によるのかの峻

    別を難しくしていた。最尤法という共通のパラメ ータ推定法が,無制約モデ

    ノレと構造上同ーのポアソンモデノレにも適用される乙とが示され,それによっ

    て,乙の無制約モテ、ノレが他の 3つの制約型モデノレとの結びつきを強める,と

    期待される。フォザリンガムらは,対数正規モデノレとポアソンモデノレに加え

    て,発生制約モデノレも比較の対象としている。その結果,ポアソンモデノレの

    パラメ ータ推定値の方が,対数正規モデノレのそれよりも,発生制約モデノレの

    それにより近い値をとっている。乙れは,上述の期待を支える有力な一証左

    である。そして第三に,フラワ ーデュー らは,対数正規モデノレでは,相互作

    用の観測値の合計と推定値の合計がおおむね同ーの レベノレにある としてい

    た。しかし,両者が完全に等しい,いわゆる全体フロ ーの制約を満足させよ

    うとするならば,繰り返し重み付最小二乗法によるフロ ーの各推定値に,

    〈観測値の合計/推定値の合計〉を事後的に掛けなくてはならない。 乙れに

    対し彼らは,最尤法による推定は乙の全体フ ローの制約が自動的に達成され

    る乙 とを示した。もし,ζ の制約をとりいれた対数正規モデノレを使うなら,

    ポアソンモデノレの対数正規モデノレに対する優位は,フラ ワーデュー らが強調

    したほど大きくはならない,という。フォザリンガムらは との点を,米国の

    1970年における SMSA聞の航空旅客流動の分析から確認している。

    結局のと乙 ろ, i全体的にみれば,対数正規モデノレをポア ソン ・モデノレで

    置き換える ことによって, 空間的相互作用モデノレ族がより同質的になるJ(Fotheringham and Williams, 1983, p. 347),という。

    ( 39 )

  • - 40ー

    E アロンゾモデ、ル

    1 アロンゾによる流動理論の提案

    今日の空間的相互作用モデノレの基礎をなしているのが,ウィノレソンによる

    空間的相互作用モデノレ族であることについては,既に冒頭で触れた。乙れに

    対し,アロンゾ (Alonso,1978)は,次の 5つの方程式群から構成される,

    流動現象に関する一般モデノレを提示した。彼は ζ れらを,元来は都市聞のノ

    口流動をモデノレ化するために示したらしいが,後lζ様々な流動現象のモデノレ

    を表現する一般的枠組とみなせると考えた。

    AW

    九r

    f

    h

    v

    k

    v

    (1c) Tt.1 == VtEt W.1C.1 f 1,.1

    (11) E 1, == ~ W.1 C.1 f 1,.1

    ;

    ;

    j

    i

    -

    -

    -aa

    ,, ••

    ωC.1 == ~ V 1, E t f 1,.1

    (l~ ~ T 1,) == V t E 1,

    (l~ ~ T 1,.1 == W.1 C .1

    ただし, Vtは iからの放射性, Wj はjへの吸引性, Et, Cj は組織変数

    (systemic variable), b T 1,.1 は iからの流出総量, bTtjはjへの流入総

    量, α,γ は経験的に決定されるパラメータである。 Vt, W.1, ft.1 は外生的

    に決定され,Et, Cjは式ω,ωから内生的iζ求められる。式(1C)-ωの体系をさして,以降アロンゾモデノレと呼ぶ。

    アロンソ守は, α,γ とも一応 Oから 1の間の値をとると考えているが,α

    の変域については O以下, 1以上の値もとりうるのではないかと示唆してい

    る。乙乙で,α==0,γ==1, W.1 == 1 のときには, フローの出発地について

    の条件のみが考慮され,その流出先については何の条件も認されないプッシ

    ュモデノレとなり,人口移動に関していえば具体的にはマノレコフモデルといっ

    たJ性格を帯びる。 α==1,γ== 0, V t == 1のときには,フノレモデノレとなり,

    経済基盤モデノレに相当する。また, α= γ==0のときには,エントロピー最

    大化型モデノレに等しくなる。さらに,α= γ==1のときには,出発地 ・到着

    地のいずれにも固定的な条件を持たない,弾力的なモデノレとなり,これはロ

    ーリー・ タイプの重力モデノレに相当するこ とになるという。しかし,現実に

    ( 40 )

  • 空間的相互作用のモデリングをめぐる最近の研究動向 - 41ー

    みられる流動現象は, 必ずしも,α,γの値が Oか 1で決定される極端なも

    のではなく,それらの中間的な値を持つ多様な姿をとっているのではない

    か,と述べている。もっとも,アロ ンゾの乙の論文は,方程式の体系を整え

    るζ とを主要な眼目としており,上記の 4ケース以外の,すなわち 0

  • - 42-.

    雇用機会といった,予測の正確さという点では劣る指標を代替的に使わざる

    を得ないときには,アロンゾモデノレは無制約モデノレになる。乙のときには,

    流出総量 ・ 流入総量は式(1~, ωから求めなく てはならない。流出総量が既知

    〈α==0)で,それを V." ~r採用できるが, 流入総量が未知〈γ宇 0)で代替

    指標を使わざるを得ないときには,発生制約モデノレになる。このときには,

    流入総量は式ωから求めるととになる。との逆の場合,すなわち,流出総量未知,流入総量既知〈αヰ 0,γ==0)のときには, 集中制約モデノレになる。

    流出総量,流入総量の双方が既知 (α=γ==0) のときには, 二重制約モデ

    ノレになる。 乙のようにして, レデントも, アロンゾモデノレとウィノレソンの空

    間的相互作用モデノレ族が全面的に対応しうる乙とを強調したのである。

    3 アロンゾモデノレの合意の解明

    と乙ろで,モデノレは一般的に,論理的一貫性と,経験的文脈からみた実質

    的な意味あいの 2つの役割から評価される。乙の点から,アロンゾモデノレの

    意義の解明を試みたのが,ホァ (Hua,1980)であった。彼は, アロンゾモ

    デノレが,式ω-ωのフローの構造にかかわる定式をあらわす (structural-for-lnal)サブモデノレと,式ω,~~の , それに実質的な意味を付与する,フロー形成のための原因を示す (producing -ca usal)サブモデノレからなってお り,

    両者が統合して全体のモデノレをつくっていると述べた。乙の統合の鍵を握っ

    ているのが,双方のサブモデノレに含まれている組織変数 Et,Cj であるo こ

    の両変数は,前者のサブモデノレにおいては,空間的相互作用モデノレ族におけ

    る均衡因子と同様な役割をはたすと解釈される。すなわち,乙の変数は,ア

    クセシビリティを反映しており,アクセシビリティの高い出発地(到着地)

    の Et(Cj) は大きくなるし,それの低い出発地(到着地)の Et(Cj) は小さ

    くなる。 また, 後者のサブモデノレからみると,Et, Cjは流出総量,流入総

    量の説明変数として働いている,というものである。

    さらに,フォザリンガムら (Fotheringhamand Dignan, 1984)も,アロ

    ンゾモデノレの窓義の掘り下げに力を注いでいる。彼らによると ,V.", Wjは,

    その地区に属している情報という点からのみ当該地区の放射性・吸引性を定

    義しているので,場所 (site)変数とみなせる。一方,Et, Cj はその地区

    の属性を他の諸地区との相対的な関係、から定義しているので,関係 (situat-

    ion)変数とみなせよう。 V.",Wj は, 人口規校・失業水準・売り場面積・

    自家用車保有率・所得水準などの様々な指標を取り得る。どの指標を採用す

    ( 42 )

    ~

    t1r

    ,,,"

    .. ‘~... ..

    'i

    ,-

    ーー

    F・

    • ‘・

    十.

    '9

  • 空間的相互作用のモデリングをめぐる最近の研究動向 - 43-

    るかは,扱われる相互作用の種類や分析目的次第である。また, 関係変数

    Et, CJは,当該地区のアクセシビリティに関連している,というホァ (Hua,

    1980)の見解を受け継いでいる。

    α,γ は, 流出総量,流入総量を決定するさいの場所変数および関係変数

    の相対的重要性を反映している。場所変数が実際の流出総量,流入総量の正

    確な代都指標であるときには,α= γ==0が,フロ ーパターンの予測という

    点からいうと,最適のパラメ ータ の組み合わせとなろう。乙の場合には,二

    霊11ilJ約モデノレが導かれる乙とになる。一方,場所変数が不正確な代替指標

    で, 流出総量,流入総量が関係変数にも関連しているさいには,αヰ0,γヰ

    Oがノマラメ ータ の最適の組み合わせとなろう。そのようなノマラメータの組み

    合わせを持つモデノレを,ウィノレソンの空間的相互作用モデノレ族における制約

    モデノレと区別するために,フォザ リンガムらは準制約(q uasi -cons trained)モ

    デノレと呼んでいる。伝統的なモデノレ族では,流出総量, 流入総量は,~TtJ

    == Ot, b TtJ == Dj とい う形で単に Ot,Dj,すなわちここでの場所変数

    Vt, Wj とのみ関連するが, 準制約モデノレでは場所変数 ・関係変数の双方

    の関数である。 α,γの値が小さい時には,対象としてのシステムが,各地

    区の流出総量,流入総量に場所変数が強く関連しており ,他方,同値が大き

    いときにはそれに関係変数も大きくかかわっている乙とを窓味する。

    また,現実の相互作用ノマターンにおいては, α,γ とも実際にとりうる範

    囲は, 0から 1の間である乙とが示された。彼らは,ア ロンゾモデノレが,乙

    の 2つのパラメ ータの変化にどのように反応するのかを,α,γを 0.0から

    1.0まで 0.02間隔で増加させていったとき,相互作用の予測値と観測値が

    どの程度一致するのか, を通じて検討している。なお,Et, C Jは式ω,ωから反復計算によって求め,推定値は式(lQから算出したものである。乙乙で

    観測値として利用しているのは, 1965-70年における米国の 9センサス地域

    間人口移動である。適合度には,獲得情報量 (InformationGain)・流出指

    数 ・流入指数の 3統計量がとられている 11)0 Vt==~ T'LJ, WJ==~ TtJ と定

    義した場合,及びそれらが未知で代替指標を使用せざるを得ない場合の 2系

    列の分析が試みられた。双方の系列とも,伝統的な空間的相互作用モデノレ族

    は,各統計量が形成する連続面における 4すみの点をなしており,それがア

    ロンゾモデノレに含まれることを端的に物語っている。第 1図に掲げるのは,

    そのうち前者の系列の獲得情報量

    ( 43 )

  • - 44- ,

    (1$ G = ~~ρtjln (ρ~j/ qtj)

    ^ ^ がつくる面である。 ただし, ρtj = Ttj/ ~~ Ttj, qtj = Ttj / ~~ Ttj, /

    の記号は推定値 である 乙とを示すO もし, 観測値と推定値が全く等しくな

    る,換言すれば,適合が完全であれば,G = 0となる。乙の統計量が大きい

    ほど, 適合度が悪 くなる乙とを窓味する。図では,水平方向は α,γを表わ

    し, 垂直方向が適合度を表わしている。 乙のGの形成する面が低いほ ど適合

    度は良く ,逆に高いほど適合度は悪く なる。

    .1006

    INfORMATION CAIN

    .0239 0.0

    発生制約

    集中制約

    α

    第 1図 Vt, WJが既知の場合のアロンゾモデノレの適合度

    Fotheringham and Dignan, 1984, p.626による。

    第 1図をみると,二重制約モデノレのときに適合度が最良で G= 0.0239であり, α=γ=0が最適のパラメータの組み合わせとなっている。 αとγを

    次第に増加させ制約の程度を弱めていくにつれて,フローの正確な推定から

    遠ざかっていく様子が明らかである。興味深いのは, α=γ=0.5のアロン

    ゾモデノレが, α=0,γ=1の発生制約モデノレ, ないし α=1,γ=0の集

    中制約モデノレより,適合度がすぐれていることである。これは,流出総量・

    ( 44 )

  • 空間的相互作用のモデリングをめ ぐる最近の研究動向 - 45一

    流入総量について正確な制約条件がない場合でも,そのいずれか一方に正確

    な制約条件がある場合よりも,適合度上良好なモデノレになりうる 乙とを物語

    っている。

    乙れに対して, 後者の系列の場合には, 前者の系列に比較して,Vt, WJ

    の指標は意識的に不正確にしている。乙の状況において, トリ ップ分布を最

    もよく説明するのは, α=1, s=0.15のときであり, 獲得情報量は 0.0900

    となっている。 乙れは,Vt, WJ ~ζ流出総量 ・ 流入総量が利用できないと

    き,換言すれば流出総量 ・流入総量の決定因について正確な情報が得られな

    いときには, α,γの非ゼロの値が最適のパラメータの組み合わせとなるこ

    とを意味している。乙のように,Vt, WJ ~r不正確な代替指標を使えば, α

    とγの値の最適な組み合わせは,Vt, Wj の定義,ならびに流出総量 ・流入

    総墨とアクセシピリティの関連から決定される乙とになる。

    4 アロンゾモデノレの意義

    以上にその骨子を紹介したアロンゾモデノレは,フォザリンガムら (Fothe-

    rinham and Dignan, 1984)のまとめによれば,次のような 5つの利用方法

    が考えられるという。まず第ーに, α,γ の 2つのパラメ ータの存在が,多

    様な相互作用モデノレの相互関係を検討するさいに,便宜を与えてくれる。第

    二に,一つの枠組の中で, トリップの分布 ・発生 ・集中に関する 3つのモデ

    ルを関連づける乙とができる。また第三~r , 流出総量 ・ 流入総量の決定因に

    ついての情報がほとんど得られないときにも,既存のモデノレよりも正確な予

    測を期待できる。さらに第四点として,Et, CJ という変数にかかるパラメ

    ータ α,γは,相互作用と,出発地 ・到着地の相対的位置関係との聞の関連

    を巧みに反映している。第五には,α,γの 2パラメ ータは流出総量,流入

    総量に関する不確実性の目安とみなせる乙とである。すなわち, 乙のパラメ

    ータが Oの値をとれば,流出総量,流入総量について完全な確実性が得られ

    るこ とになるし,一方 1という値をとれば,それについての情報が全く得ら

    れない乙とを意味する。

    以上,アロンゾモデノレをめぐる研究の概略を紹介してきた。乙のモデルの

    一般性は,αとγという 2つのパラメータの存在によってもたらされている。

    両パラメータの変化によって無数の相互作用モデノレが導かれ, ウィノレソンの

    空間的相互作用モデノレ族はその中の特殊ケースにすぎなし、。しかし, ζ れま

    では,モテソレのぷ義や合怠の検社を主要な目的とする tj命文が多く ,本絡的な

    ( 45 )

  • - 46-

    経験的分析は今後の課題となっているo最後に,アロンゾモデノレの問題点と

    して指摘されている乙とをあげれば,次のようになろう。第ーに, 5つの方

    程式が相互関連しているために,論理的な整合性の高さという点では,乙の

    モデノレは従来の諸モデノレよりすぐれているものの, 乙のことは,同時に変数

    の規定に関して循環論法に陥らざるを得ない乙とを意味している。 乙の欠点

    は,さらに因果分析という点からみた乙のモデノレの弱さをきわだたせている

    (Hua, 1980; Hua and Porell, 1979)。第二に,キャリプレーションの十

    分な方法が確立されておらず,操作性という点でも問題がある。ポーレノレら

    (Porell and Hua, 1981)は,計量経済学的推定法の利用を提案し,1965-70

    年における米国の都市間人口移動への適用を試みているO しかし,その方法

    は,必ずしも成功しているとはいえない (Fotherighamand Dignan, 1984,

    p.629)。 また,アンセリン (Anselin,1982)は, 組織変数問lζ特別の関係

    を想定する乙とによって,アロンゾモデノレを通常最小二乗法で、解く乙とがで

    きる,としている。しかし,その方法をカナダの州間 (interprovincial)ノ

    口移動に適用した結果によると, αとγの推定値が Oと1の聞に収まってい

    ないし, 他にも多くの問題点のある 乙とを, 彼自身が認めている。 ともあ

    れ,満足できる推定法の樹立が待たれる。

    W 対数線型モデル

    1 対数線型モデノレとしての空間的相互作用モデノレ

    本章で紹介する空間的相互作用モデノレは,分割表 (contingencytable)に

    関する対数線型モデノレ (log-linearmodel)に基ずいている 12)。分割表とは,

    2つの属性がそれぞれ f個と c個のカテゴリーを持っときつくられる rxc

    の度数表をさすO 分割表分析は,もともと質的データの構造を扱う方法であ

    るが,近年の研究の進展により 3つ以上の属性を含む,大規模なデータに関

    する多次元表の処理も可能になってきた。このような分割表ないし多次元表

    におけるデータ間の関連を分析するために開発されてきたのが,対数線型モ

    デノレである。乙れは,変数の対数に線型構造を仮定することから,このよう

    に呼ばれる。カテゴリーデータを扱うこのような分析法は,地理学でもポピ

    ュラーとなりつつある 13)。本章で紹介するモデノレは,以上のような分析法の

    発展を背景にして現われているのであるが, 乙乙では,紙幅の制約から,対

    数線型モデノレとしての空間的相互作用モデノレのみを扱っている。そのため,

    ( 46 )

    " ,;園陸

    .. 雪

    a---e

    • 1

    .. , e圃・,.

    44-

    -

  • 空間的相互作用のモデリングをめぐる最近の研究動向 - 47ー

    とれに密接に関連するモデノレ,例えばロジッ トモデノレなどについては,言及

    する余裕がない乙とをあらかじめお乙 とわりしておきたい。

    分割表の対数線型モデノレとしての空間的相互作用モデルの有用性を強調し

    ているウィレケンス('月Til1ekens,1983a,b) によると,集計レベノレの空間的

    相互作用についての 2次元の対数線型モデノレは,第2表のような形で示すこ

    とができる。乙乙で言う 2次元とは,出発地 ・到着地であらわされる 2つの

    次元であるo 表中のα,bは,それぞれ出発地 ・到着地にかかることを示し,

    t , Jはそれらの具体的な地区番号を示す添字である。モデノレの定式には,

    乗法 ・加法の2種類が考えられるが,両式ともに 4つの項からなり,それぞ

    れ全体平均効果 ・主効果(出発地)・主効果(到着地)・一次交互作用(first.

    order interaction)効果をあらわすノマラメ ータである。一次交互作用効果

    は,出発地 ・到着地の結び、つきをさす。こ乙で,r, C は,それぞれ出発地,

    到着地の地区数を意味している。 2つの式のうち,乙れまでの重力モデノレな

    いし空間的相互作用モデノレとの整合性という点から考えると,乗法の形をと

    るモデノレの方が,われわれにはなじみやすい。

    第2表 集計レベルの空間的相互作用についての対数線型モデル

    乗法型モデノレ 加法型モデノレ

    T1.J =ωW1. (α)ωJ(b、ω1,J(ab) lnTtJ = u+Ut(α) + UJ (b) + U1,j (ab)

    全体平均効果

    主効果(出発地)

    (到着地)

    1

    ω= I nTtJ I rc

    1 Irw'r I c Wt (a) =引?Ttj

    1 I~ ~ I r 初J(b) = ~ I V T tJ

    一次交互作用効果 ωtJ (ab) = 三笠WWt

    ?Wt(G)=?ωJ(b) = 1

    制約条 件

    u=hMtj

    Ut (a) =士?Mり

    Uj(b)=hlnTtパ

    utJ(ab) =lnTtJ-u-ut(a) -uJ(b)

    put(a)=?uj(b)=0

    ?ωt1(ab)=?wtJ(ab)=1 ?utj(ab)=玄utj(ab)= 0

    一一Willekens, 1983a, p.243を一部改変。

    ( 47 )

  • - 48-•

    分割表分析では, 全ての項が揃っている場合を飽和モデノレ (saturated

    model) ,項が 1つ以上欠けている場合には不飽和モデノレ(unsaturatedmodel)

    という。また,もし交互作用をさす項が欠落しているときには,出発地 ・到

    着地の 2変数聞の独立性を仮定することになる乙とから ,独立モデノレ (model

    of independence) と呼ばれる乙とになる。なお, 飽和モデノレにおけるパラ

    メータ(項)の数は, 2次元のときには 4個, 3次元のときには 8個, 4次

    元のときには16個,という 具合に増加していき ,一般に n次元のとき 2n個の

    パラメ ータ(項〉を持つ。例えば, 3次元の乗法型の対数線型モデノレの場合,

    第 3次元を c,そのカテゴリ一番号を hであらわせば,

    ~~ T tJk == WWt(α)ωJ(b)ωk(C)ω1,J(ab) Wtk (ac)ωJk (bc) WtJk (abc) となる。 ωtJk(abc)は 3つの変数に関する二次交互作用効果 (second-order

    interaction effect)である。また,モデノレの中に高次の交互作用効果が含ま

    れるとき,それに関連する低次の効果もまた常に含まれるモデノレを,階層モ

    デノレ (hierarchicalmodel)と呼ぶ。式帥を例に とると,WtJk (abc)がモデ

    ノレ中にあるから,ω1,(α),wJ(b), Wk(C), wtJ(ab), Wω(ac) , W Jk ( bc )もま

    た必ず包含されることになる。

    なお,ウィレケンス (Willekens,1983b)は,不完全な相互作用行列の扱

    いに関しでも,一章をさいてその処理について説明している。現実に生-じ得

    ないセノレ,観測不可能なセノレ,あるいは行列から除かれる乙とが望まれるセ

    ノレなどには,対数線型モデノレでは,ゼロ の値が与えられる。乙のような性格

    のゼロは, i構造的ゼロJあるいは「先験的ゼロ」と呼ばれる。 しばしば行

    なわれる,地区内相互作用を除外し,地区間相互作用のみを対象とするとい

    う操作は,行列の対角要素に「構造的ゼロ」を入れる例である。一方,標本

    抽出の変動の結果としてのゼロは, i標本ゼ、ロ」あるいは「ランダムゼロJ

    と呼ばれる。同じゼロでも両者は,異なる意味を持っており,分析方法も当

    然ながら違ってくる。「構造的ゼロJは, パラメータの推定と解釈を複雑に

    するという。

    2 対数線型モデノレの適用事例

    ウィレケンス (Willekens,1983a)は,1973年におけるロ ッテノレダムの都

    市内人口移動に乙のモデノレを適用している。理解を容易にするために,今そ

    のデータをここに掲げたし、。対象地域は 7地区からなり, 第 3表は観測され

    た人口移動数を示したものである。第 3表の右端の列は各地区からの流出総

    ( 48 )

  • 空間的相互作用のモデリングをめぐる最近の研究動向 - 49-

    量,最下段は各地区への流入総量を示す。第 2表の乗法モデノレを用いた場合

    のパラメ ータ ω,ω1,(α),ωJ(b) ,ωり(ab)をまとめたのが第 4表である。 ω

    は向表の右下~L,似〈α〉は右端の列 ~L , ωj(b) は最下段に , さらに ωt;(ab)

    は 7x 7の行列の形で示している。パラメー タ値の算出は, 第 2表にみる

    ように簡単である。ちなみに,第 1地区から第 3地区への人口移動は,

    T13 =ωω1(α)ω3(b)ω13(ab)

    = 184.242 x 5.187 x 0.354 x 0.573 キ 194

    となる。乙乙で,第 1項は全体幾何平均であり,第 2項は第 1地区からの流

    出が全体平均から期待される移動数の約 5倍の水準にある乙とを怠味してい

    る。また,第 3項は,第 3地区への流入が全体平均から期待される移動数の

    約 13である乙とを示している。さらに, 第 4項は,以上の 3パラメ ータ ω,

    lV1 (α), W3(めから期待される移動数の何倍にあたるかを物語っている。飽

    和モデノレでは,乙 の例のように,観測値を正確に推定する乙とになる。 乙の

    ように,対数線型モデノレは,結局,フローを推定する問題を,パラメ ータで

    もある 4つの項の推定,すなわち相互作用の様々な効果を測る問題に変換し

    ているのである。

    ただい以上に示した対数線型モデノレは,既往の空間的相互作用モデノレと

    の笠合性を維持するために,出発地・ 到着地を 2変数とする分割表に意識的

    に依拠している。しかし,乙 のモデノレは,定式の左辺に相互作用を入れ,右

    辺には出発地 ・到着地以外の要因を配置することも ,当然ながら可能である。

    第 3表 ロッテルダムにおける都市内人口移動 〈観測値〉

    出発地¥到着地 1 2 3 4 5 6 7 合計

    1 10,867 5,105 194 284 1,698 2,191 64 20,403

    2 2,429 7,945 228 131 501 772 64 12,070 .

    3 150 239 390 29 19 75 17 919

    4 362 229 17 377 123 187 6 1,301

    5 1,192 671 34 90 1,819 535 21 4,362

    6 2,694 1,476 101 193 684 3,833 13 8,994

    7 49 55 5 2 11 13 265 400

    合計 17,743 15,720 969 1,106 4,855 7,606 450 48,449

    Willekens, 1983a, p.248による。

    ( 49 )

  • - 50-

    第4表 ロッテルダムの都市内人口移動から得たパラメータ値

    出発地¥到着地 1 2 3 4 5 6 7 主効果(出発地〉

    1 2.592 1.331 0.573 0.724 1.470 1.210 0.393 5.187

    2 1.016 3.633 1.181 0.586 0.761 0.748 0.689 2.958

    3 0.476 0.829 15.341 0.984 0.219 0.551 1.389 0.390

    4 0.862 0.596 0.502 9.603 1.063 1.032 0.368 0.519

    5 1.118 0.688 0.395 0.903 6.192 1.162 0.507 1.319

    6 1.434 0.859 0.666 1.098 1.321 4.723 0.178 2.324

    7 0.577 0.708 0.729 0.252 0.470 0.354 80.245 0.105

    主効果(到着地)4.387 4.014 0.354 0.410 1.209 1.895 0.171 184.242*

    *全体平均効果

    Willekens, 1983a, p.248による。

    米国の結婚データを用いて,早い時期に地理学における対数線型モデノレの効

    用を訴えたレイノノレズ (Reynolds,1974)は, 4大地域区分,花嫁の居住州,

    花婿の居住州を 3変数とする 3次元の対数線型モデノレを使っている。乙れ

    は,出発地 ・到着地に,新たに 4大地域間の差異を第 3の次元に追加したモ

    デノレである。彼は様々の階層モデノレの比較や,飽和モデノレにおける各ノミラメ

    ータの寄与の強さなどを,平易に論じているo 米国では伝統的に,花嫁の家

    族が結婚式の手はずを整えるので,花嫁の居住州にかかる主効果が,大きな

    予測力を持っている乙とを,指摘している。また,ホ イットニー ら(Whitney

    and Boots, 1978)は,住宅の質,独立・半独立・ 集合といった住宅の類型,

    所有 ・賃貸といった住宅の保有状況,およびその他の共変数 (covariate)と

    いう 4つの説明変数を想定した,都市内の住居移動に関する対数線型モデノレ

    の理論を展開している。

    3 対数線型モデノレの意義

    ウィレケンス (Willekens,1983a, b)は,重力モデノレ ・エントロピー最大

    化モデノレ ・双比例調整モデノレ (biproportionaladjustment model) 14)・情報

    最小化モデノレなどの既存のモデノレと対数線型モデノレが,定式上同ーのもので

    ある乙とを指摘している。しかし,以上のような既存の諸モデルと比較した

    さいの,対数線型モデノレの意義に関する彼の論点を筆者なりにまとめると,

    およそ次のようになる。

    ( 50 )

    .;

    o c.

    ,画F

    ~~

    t-

    、.

    圃...

    • _.

    ."

    .#;

    -・

    ...

    、‘、同

    ‘h 、

  • 空間的相互作用のモデリングをめぐる最近の研究動向 - 51-

    第ーに,従来の空間的相互作用モデノレでは,キ ャリプレーションが主要な

    関心事で,多くの場合,最尤法による機械的な繰り返し計算が重要な眼目で

    あった。それに対し,対数線型モデノレでは,相互作用の推定は,第 2表の各

    効果の算出式をみてわかるように容易である(キャリプレーションを最尤法

    によって行なう場合も,勿論あるが〉。 乙の新しいモデノレでは, むしろデー

    タの締造分析ないしは適切なモデルの選択,より具体的に言えば各効果の特

    定化 ・定量化や仮説の検定が,中心的な作業となっている。

    第二に,対数線型モデノレのパラメ ータは,直接的には,全体効果 ・出発地

    効果 ・到着地効果 ・交互作用効果をあらわしているが, ウィレケンスはさら

    に,そのうちの出発地効果 ・到着地効果をあらわすノマラメータが,エン トロ

    ピー最大化モデノレの均衡因子や,情報最小化モデノレにおける流山総呈 ・流入

    総量についての制約条件を反映する双対変数(d ual variables) , すなわち

    ラグランジュ乗数に関連している乙とを明らかにしている。乙のように,/..f{

    ラメータが,明瞭な統計的解釈を持っている乙とも,対数線型モデノレの強み

    である。

    第三~r,対数線型モデノレは,集計レベノレの細分化(disaggrega tion)が簡単

    だという点でも,既存の空間的相互作用モデノレよりすぐれている。人口移動

    を例にとれば,集計レベノレの分析は,2次元の分割表で処理される。しかし,

    人口移動は,移動者の年齢 ・性 ・所得階層などの属性に応じて,異なる トリ

    ップ ・パタ ーンとな るζ とはよく知られている。 乙の場合には,そ ういった

    属性を第 3,第 4の次元につけくわえた, 多次元表にもとづく空間的相互作

    用モデノレが導かれると とになる。 乙のように,集計 レベノレを細分していって

    も,多次元表の概念にも とづくかぎり ,モデノレの拡張が容易である 15)。もし,

    ホイ ッ トニー ら (Whitneyand Boots, 1978, p.172)が示唆するように,第

    3の次元として時聞を採用するならば,その対数線型モデノレはダイナ ミック

    な空間的相互作用モデノレとしての意義を持つ 乙と になる。

    第四iと,対数線型モデノレでは,距離関数を明示する必要がない。従来の空

    間的相互作用モデノレでは, 距離関数として,パワー関数 ・指数関数 ・ガンマ

    関数のいずれかが採用されてきたが,ウィレケンスによれば,モデノレの実行

    という点か らいえば,どの関数をとるかは, ほとんど重要な乙とではなかっ

    た。 従来使われてきた距離関数は,出発地・ 到着地の結び、つきをあらわす交

    互作用効果の一つの内容ではあれ,その全てではないからである。別な言い

    方をすれば,相互作用パターンは,距離やコスト の差から直接的に形成され

    ( 51 )

  • - 52-

    ているわけではなし1。距離関数のかわりに,過去の相互作用ノマターンを使用

    した方が,モデノレの実行がうまくいくという例16)があるのは,過去のパター

    ンが,交互作用効果を巧みに内蔵しているからである。出発地効果・到着地

    効果は, 当該地区のみの情報であるのに対し, 出発地・到着地聞の結びつ

    き乙そが空間的要因であるとすれば,対数線型モデノレにおける交互作用効果

    が, I真の」空間的効果を表現している乙とになるO つまり,対数線型モデ

    ノレが既往の空間的相互作用モデノレにまさっている点として,後者の距離関数

    を前者ではより一般的な交互作用効果に置き換えている乙とを,指摘でき る

    という訳である。

    以上のように, 乙の新しいモデノレは,従来の空間的相互作用モデノレに比較

    して,明らかにより魅力的な面をいくつか備えている。特に,クロス集計さ

    れたカテゴリーデータの基本構造を表現するには,簡便である。しかし,手

    法として強力であるだけ,利用者は洗練された高度な統計学的理解力を要求

    されることになる (Stapleton,1980)。 また, 乙のモデノレをめぐっては, 次

    のような問題点も指摘できるであろう。第ーに,集計レベソレの細分化が容易

    になるという長所と表裏一体なのであるが,飽和モデノレで仮定される交互作

    用効果の解釈が,次元数が高まるとともに,困難になるという問題がある。

    第二に,次元を増して相互作用行列を細分していく場合, I標本ゼロ」があら

    われる乙とは,ゼロの対数がマイナス無限大となるために,不都合である。

    それを処理する確かな方法は, 標本数を増してこのゼロをなくす乙とであ

    る。しかし,細分化が可能でしかも大規模な相互作用データを入手する乙と

    は,必ずしも,容易ではない。乙のような処置ができないときには,小さな

    定数,例えば 0.5を分析の前に加えるという便宜的な手続きをとらなくては

    ならない〈エヴェリット, 1980, p.93)。

    V むすびにかえて

    以上に紹介してきた空間的相互作用モデノレは,相互作用が,出発地の放射

    性・到着地の吸引性・両地区間の分離性の関数であることを恕定している点

    では,同ーの構造を持っているo 確かに,この点のみに注目すれば,最近新

    たに提案されたモデノレも,古典的重力モデノレと大同小異に見えるかもしれな

    い。また,そのことが,空間的相互作用モデノレ研究の全般に対して,単純な

    機械論という印象をなお払拭しきれなくしているかもしれない。しかし,そ

    ( 52 )

  • 空間的相互作用のモデリングをめぐる最近の研究動向 - 53一

    れは,古典的な重力モデノレ以来の研究史を意識して,窓図的iζ,構造上の同

    形性を追及してきた結果である。今日では一口に空間的相互作用モデノレとい

    っても,その内容や基盤は以上にみたように多様であり,また統計学的な精

    密さも,少な くとも20年前の水準から大きく抜け出ている。

    付記) 乙の拙論を,今春退任されます春日茂男教授に献呈いたしますO

    1)重力モデルないし空間的相互作用モデルのレビューとしては, Carrothers (1956)・

    小森 (1966)• Tocalis (1978)・Senior(1979)・杉浦 (1985)などが参考になる。乙

    のうち,前二者はニュートン流の重力モデルを主として扱っているのに対し,後二者

    はそれか らエントロピー最大化法への流れを中心的にまとめている。また,Tocalis

    のレヒューは,19世紀における前史からウィノレソンの業績までを広く紹介している。

    2)この点については,高阪 (1979)・フット (1984, pp.67-97)も, 詳しい紹介を行

    なっている。

    3)乙れは,最小情報モデノレ,あるいは情報最小化モデルと呼ばれる乙ともある。

    4) 自然、対数 ・常用対数のいずれでも,本質的に変わりはない。

    5)仮設的な農村 ・都市間人口移動データを使った乙のモデノレの適用例としては,石川

    (1985)を参照されたい。

    6) ちなみに,フラワーデューらが用いている,後述の英国の標準都市労働圏間人口移

    動データの場合,フローの合計は89,101人で、あるが,通常最小二乗j去による推定値の

    合計は45,467人となり,乙の問題が明白である。

    7) もっとも 例えば物流などでは,相互作用の単位はトンとか出向額などで測られ,

    整数となるとは限らないから,そのさいには誤差項の連続的分布の仮定は成立しやす

    いとみなせるかもしれない (Flowerdew,1982)。

    8)ζの点については,ストロンジら (Strongeand Schultz, 1978) も,同様の指摘

    をしている。彼らは, 1965-70年における米国の507~と及ぶ州経済区域(State Econo-

    mic Area)からフロリダ州南東部への人口移動データに即して, との傾向の存在を

    Ji1652している。9)設定基準が,米国の標準都市統計圏 (StandardI¥1etropolitan Statistical Area)

    に類似した,英国の都市閣の単位である。

    10)ただし,彼らが扱っているのは,フラワーデューらが論じた対数正規モデルやポア

    ソンモテノレと全く同じではなく,地図ノマターンないしは空間借造の影響によって距離

    ノぞラメ ータ推定値が偏ってしまうという問題を克服するために, フォザリンガム

    ( 53 )

  • - 54-

    (Fotheringham, 1983)によって提案された競合着地モデノレ(Competingdestination

    model) である。具体的にいうと,上記のモデノレにアクセシビリティの変数が加わっ

    たものである。彼はこの論文において,上記の問題の影響を考慮して,空間的相互作

    用モデル族を再定式化している。

    11)空間的相互作用データの観測値と推定値の適合度をみるさいには,従来は R2や

    x2 などが使われて来た。しかし, ζれらの両統計量はいくつかの間題点を抱えている。その他の統計量もいくつか提案されてきたが,決定的にすぐれた単一の統計量は

    まだ存在しなし、。そのため,乙の場合のように,複数の統計量を使う乙とが望ましい。

    適合度統計量をめぐる論議は,今日の空間的相互作用モデル研究のー焦点である。な

    お,各統計量の長所短所のレビ、ューとしては,筆者の知る限りでは,クヌードセンら

    (Knudsen and Fotheringham, 1983)が最も便利である。

    12)前述の重力モデノレをあらわす式(6)も,対数の線型構造を持っているが,本稿で対

    数線型モデルというときには,あくまでも分割表あるいは多次元表を基礎とするモデ

    ノレをさしている。名称が,両モデルの混同を招きがちなので,ことであらかじめとと

    わっておく。

    13)カテゴリーデータの分析をめぐる論議をみるには, リグリー (Wrigley, 1985)の

    近著が恐らく最も包括的で,しかも事例が豊富である。なお,本章のテーマに関して

    は,心理学教室の生沢雅夫・辻本英夫両先生から貴重な御教示をいただいた。乙とに

    記して,感謝します。

    14)相互作用を,出発地の放射性・到着地の吸引性という 2変数の繰り返し計算という

    調整によって推定するモデルのとと。相互作用がとれらの 2変数を介して,分離性の

    変数に対して,二重の比例関係を持つとみなせる乙とから,とう呼ばれるらしい。

    15)ホイットニーら (Whitneyand Boots, 1979)による,カナダのオンタリオ州内の

    キッチェナー・ウォータノレー都市圏における住居移動の詳細な分析は,その一例であ

    る。彼らは, 1972年における住所〈出発地), 73年における住所〈到着地), 72年にお

    ける住宅保有状況, 73年における住宅保有状況, 72年における年齢構成からなる 5次

    元表に基づく対数線型モデルを適用している。次元数がとれほど高くなると,飽和モ

    デノレはもはや非効率的であり,彼らの関心は,数ある不飽和モデノレの比較,ないしは

    適切なモデ、ノレの選択の問題に移っている。

    16) ストックホノレム・カウンティ内の12地区間の通勤流動を分析した,スニッカースら

    (Snickars and Weibull, 1977)の報告を挙げる乙とができる。

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