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Title 不規則表面による波動散乱理論( Dissertation_全文 ) Author(s) 中山, 純一 Citation Kyoto University (京都大学) Issue Date 1982-09-24 URL https://doi.org/10.14989/doctor.r4780 Right Type Thesis or Dissertation Textversion author Kyoto University

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Title 不規則表面による波動散乱理論( Dissertation_全文 )

Author(s) 中山, 純一

Citation Kyoto University (京都大学)

Issue Date 1982-09-24

URL https://doi.org/10.14989/doctor.r4780

Right

Type Thesis or Dissertation

Textversion author

Kyoto University

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不規則表面による波動散乱理論

1982年 3 月

中 山純

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日 次

第 1章 序 目命

1. 1 まえがき

1. 2 不規則表面Kよる波動散乱(小史) 一…・・一一一……ー…… 4

1. 3 不規則表面Kよる波動散乱(従来の理論)

A. Raすleighの粗さパラメータ ー一 …一一一・一一…-… 8

B. キノレヒホッフ近似 -ー……・一一一一…一一…一…・・・・・…一一. 9

C. S h a d ow i n g f u n c t i 0 n …....・…...一'..一…一一……一....一一. 12

D. 積分方程式法 ……......・ーー……一-一…ドい・...…- … 13

E. Woodの異常国折と Rayleighの回折理論 ....一一・ー-… 14

F. Ri ceの電磁波散乱理論…一 一一-一……一一-一一-一一" 19

G. Bass-Fuksの方法 …一回・一...........………・ ・・・・… ., ••. 21

H. 不規則表面の統計モデル ー一一…・一一一.....・ E・...一-……ー 24

第 2章 不規則表面Kよる波動散乱の確率理論

2. 1 ま え が き 一・..…-………・・・一一一-…-一一・………… 26

2. 2 散乱波の形 ー…ーー・ーー…-…・・ーー……ー・…-一一ー…・・-…… 27

2. 3 波動関数の表現 ........……………ー………・一 一....…一一・・… 32

2. 4 近似解の計算 ...........・…....・ーー…・・一 一…-…… ……・ー….. 36

2. 5 散乱の統計的性質 ..一ー・・…-…一一一一一一一- 一一 …・・......・ 41

2. 6 ダイアグラム法 Kよる多重散乱の説明… ー …・…… ….. 51

2. 7 ま と め …一-一...………・・-一一-…一一 一一一………ー……日 59

第 3章 一次元不規則表面Kよるスカラー波の散乱(ノイマン条件)

3. 1 ま え が き ・…一一・一一......…..…...・・…-…ー・………・ー….61

3. 2 問題の定式化 …・……・・ー・・……・・…・ー・・…・……・..・ e・.61

3. 3 展開係数の近似解………・・-……ー…一………一一・……ー….... 65

3. 4 散乱特性の計算 一...……・……・……...・H ・-…・………一一一一 70

3. 5 表面波モード 一…・…・・・・…-………・・……・…・・…・…・・…… 78

3. 6 考 察…………-……...ー…....一一一……-….....・H ・-…….84

第 4章 二次元不規則表面Kよるスカラー波の散乱

4. 1 ま え が き …・・…....…・・・.....・.....…・・…・・.....…・…・…・…....86

4. 2 波動関数の形 ……..………....・H ・....……・・…・...・H ・........一….87

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4. 3 ガウス不規則表面K対する近似解 ………………・・ 0 ・…....... 89

4. 4 散乱の統計的性質 …… 一.................. 一一....…・ 6 ・ 93

4. 5 解析上白問題点 … ・一一 一・……-一・・ …...............・一一 101

第 5章 不規則表面 Kよる電磁波の散乱一水平偏波入射

5. 1 ま え が き ー・ー.................一一一-…・…・一一一一ーーー・ 102

5. 2 平面電磁波の散乱 一…… …・・一一 …....一一一.....•...•. 103

5. 3 電磁界の表現 108

1 1 1

117

123

5. 4 散乱特性の定式化

5. 5 展開係数の計算一水平偏波入射

5. 6 散乱特性の計算

第 6章 不規則表面Kよる電磁波の散乱一垂直偏波入射

6. 1 ま え が き …・・ー…ー・...…・一 ..... 一ーーー.•. •. ••... 130

6. 2 散乱問題の定式化 …一一一一.........一一一一…・ ・..... ....… 130

6. 3 展開係数の近似解 一一ー ーー 一一・一一一..".... ・ 134

6. 4 散乱特性の計算 139

147 6. 5 補足

第 7章結 言命 …ー……一一....... ・e ・ーー ー ...........… …一 149

(謝辞)

付録 A

A 1.

A 2.

A 3.

A 4.

A 5.

A 6

A 7.

文 献

ウィナー展開 Kついて ー…………-・…............•.. • ••. 154

ま えがき…ー……・……・・…・・……-一…… 154

エノレミット多項式 Kよる展開(準備) ••• ...,..…一一一... 155

エノレミット多項式の積 Kよる汎函展開 1,57

多変数のエノレミット多項式 Kよる汎函数展開 一 . 158

プj ウスランダム~I]度とウィナー展開 一・ぃ…局一一一 163

複素ガウスランダム担IJ度十てよる表現 …………・........ 170

確率場のウィナー展開 ……・…....・ a・.....・………・ 174

179

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第一章 序 論

1. 1 まえがき

周知のよう(rC,平坦な二媒質境界面(rC:t~ける平面波の屈折と反射はスネノレの

法則(J) (rC従う o 屈折波と反射波の振幅と位相は入射波長と入射角,入射偏波K

依存するが,反射角は単一で入射角Kよb一意的K定まる。しかし,境界面が

変形し平坦でなくなれば,反射角はもはや単ーではない。周期的K変形した境

界面は,入射の角度と波長,変形の周期で定まる離散的角度方向へ入射平面波

を回折する。とれが,分光・フィルタ・交差偏波の分離などK用いられる回折

格子の原理である。周期性が失なわれ境界面が不規則なれば,全ての方向への

散乱が生じ,いわゆる乱反射の状態Kなる(2)。実在する物質表面は不規則であ

ることが多いため,この様な乱反射特性の解析は,理論的K興味があるばか b

ではなく,レーダ(ソーナ)信号の不規則海面Kよる散舌L,レーダ高度計のた

めの地表面の反射特性(3),反射鏡のランダムな変形Kよるパラボラアンテナの

特性の劣化(4),海面状態や海上風の電波Kよるリモートセンシング(5)など,工

学の種々の問題と密接な関係があるので,実際的K も重要である。

不規則表面は空間的K ランダムであるばか bではなく時間的KもランダムK

変形することが多い。従って受信した散乱波は時間的・空間的K ランダムK変

動するので,意味のある情報を得るためKは,統計的手法が必要である。統計

的見地から,散乱波の平均値部分はコヒーレント波とよばれ,平均値からのず

れはインコヒーレント波とよばれる。不規則表面が平面の変形と見なされ,そ

の平均値が平坦面である場合Kは,コヒーレント反射波は平均値平面Kよる鏡

面反射成分のみをもっO 一方,インコヒーレント伎は,あらゆる方向への散乱

波を含み,乱反射を表現する。このため,インコヒーレント散乱は,しばしば

拡散散乱 (diffuse scattering) ともよばれる(6)。

実測した乱反射特性の解析と予測,散乱のメカニズムの考察のためKは,理

論的検討が不可欠である。このため, 1 9 5 0年以後,不規則表面Kよる波動

散乱の統計的理論が研究された。統計的散乱理論の方法は,不規則表面の数学

的モデノレ(確率モデル)を想定し,これKよる回折・散乱を波動方程式の境界

値問題として確率論的K取扱うものである。現実の不規則表面の時間的変動は

電波の位相速度(光速)(rC比較して遅いので,理論解析のモデルとしては時間

的K変動しない不規則表面のアンサンプノレを想定し,空間的不規則性はガウス

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分布をもっ定常確率過程(一様確率場)であると,通常,仮定される。

ζ のよう左不 ~Ji員u 性が入った境界値問題の特徴は,以下の三点K要約される。

(a)波動方程式と境界条件は波動関数K関して線形であるが,不規則表面の凹凸

の高きが 2倍K左ったとしても散乱波は 2倍K左らまいという意味で,非線形

の問題である。 (b)散乱波の位相と振幅は,表面の形状(見本過程 )(rc依存して

定まるので,散乱波は表面形状の汎関数である。 (C)不規則表面と散乱波は,と

もK ランダム関数であるので,波動方程式の理論と確率(統計)理論の双方K

立脚した解析が必要と在る。上の(a)(b)は,回折格子の理論と共通であ 9,解析

手法VC:.l託ける類似点も多い。また,歴史的Kも,不規則表面iVCよる散乱理論は

回折理論の延長線上K構築されている。しかし,回折格子が離散的スペクトノレ

をもつのに対し,不規則表面は連続スペクトノレをもち,かっ 3 ランダムである

ので,理論のあ b方は,違ったものK左る。 (a)(b)(c)の三点は,ランダム媒質 rjl

の波動伝搬理論とも共通する。し沙か込し, ランタ.ム媒質中の波説動!伝搬

方方.向の多重散百凱乱lしaが問題となるのK対し,不規則表面の散乱間関では 3 二次元の

表面内K於ける多重散乱を取扱う ζ とK左るので,波動問題としての性格は両

者で大きく異なる。両者K共通する困難さは(a)の非組形性であり s とも K厳?白

解を求めるととは困難で,本質的K近似解析によらざるを得ない。

不規則表面による波動散乱の解析法としては,キルヒホップ近似 C1. :3 B節)

と Ri ceの摂動法 C1. 3 F節)が有名で 3 他K有力左解法がない ζ ともあって,

実用的計算K しばしば用いられる。キ Jレヒホッフ近似では 3 表面問山の変化が

ゆるやかで,変化の曲率半径が入射波長K比べて十分大きいとと(短波民極限)

を仮定する。 ζ のとき,不規則表面は局所的K平坦であるとみなしうるので,

全表面、からの散乱波は,局所的平坦面からの鏡面反射波の波動論的合成として

計算される。従って,散乱のメカニズムは,統計的な:鏡面反射である口 一方,

R i ceの摂動法では,不規則表面の凹凸の高さが入射波長に比較して十分小ざ

い場合(長波長極限)を考える。不規則左凹凸を微小量と見 1]: 摂rlVJ展開Kよ

b境界条件を解き,散乱波を計算する。 ζ のとき,散乱のメカニズムは 2 表面

のフーリエ成分(プラッグ・ペクトル)VCよるプラッグ散乱と在る。とれらの

方法を用いれば散乱波を簡便K求める ζ とができるが,キノレヒホップ近似は境

界条件を解かず境界値を仮定するので信頼性が低(,一方摂草!J法Kよる解は,

完全導体表面K対しては発散するという欠点がある。このため,解析の信頼性

が高(,近似解析の誤差が明らかKでき,かつ,種々の散乱の性質が計算でき

-2-

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(7) る体系的・組織的左解析法が要請されていた 。

本論文は,この様左要請K答えるためK筆者が小倉教授の指導の下で行った

研究(8)~(16) をまとめたものである。応用数学K立脚する従来の散乱理論とは異

在る確率過程の考えを背景とする新しい解析法を導入して,微小左不規則性を

もっ表面 (slightly rough surface) VCよる波動散乱を論じたものであ l?,

解析の基礎と在る新しい概念、を提案するととも VC,従来未解決であった問題の

一部Kも解答を与えている。

本論文は,序論の他VC6章及び付録KよD構成される。次節( 1. 2節)では,

この問題の歴史的・技術的背景Kついて述べる。1.3節では,新しい解析法の

意義を明らかKするため,従来の散乱理論の概要を紹介する。この問題Kつい

て邦文で書かれたレビューが左いことを考慮し,今後の筆者自身の研究の参考

Kすることを目的として,理論の要点を詳しく書いた。しかし,記述方法・表

現式は原論文Kよらず全て書き直しであり,その結論・評価も筆者Kよるもの

K在っている。第二章は,スカラー平面波の一次元不規則表面(ディリクレ条

件 )VCよる散乱を解析する。人工的左回折格子が一次元構造をもつのK対し,

一次元の不規則表面は自然界K実在し左い。しかし,一次元のモデルは,単純

であるため,新しい解析法の開発や方法の本質を理解するのK都合がよいとい

う利点がある。実際,この章は,確率過程の理論を用いる新しい方法のプロト

タイプとしての位置を本論文中でしめるものであるO ガウス強定常確率過程で

記述される無限の不規則表面Kよる波動散乱を定式化し,従来の方法では得ら

れ左い種々の新しい結果を導〈。さら VC,コヒーレント散乱(前方散乱)握幅,

エネルギ一保存則(光学定理),インコヒーレント散乱の指向性,表面波の平

均電力流左どを具体的K計算し,結果を図示している。第三章は,第二章の続

きとしてノイマン条件の場合を解析している。通常の摂動論は,ディリクレ条

件K対しては有効K働くが,ノイマン条件K対しては発散する解を生じる。

この様念発散は,回折格子VC;þ~ける Wood の異常回折( 1. 3 E節)の解析と

共通したものである。本論文では摂動展開ではなく,ウィナー展開を用いて計

算するので,この様左発散の困難性を容易K克服することができ,全ての統計

量を合理的K計算することができる。実際,第二章で求めた諸量以外VC,散乱

波のゆらぎ強度(分散)をも具体的 K求め,また異常散乱現象が発生すること

を明らかKしている。第四章では,スカラー平面波の二次元不規則表面(ディ

リクレ条件 )VCよる散乱を定式化している。とれは,第二章の方法を二次元表

-3-

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面の場合K拡張したものである。電磁波の散乱を論じる準備であると同時K、

現実の音波散乱の問題への一つの解答とも在っている。第 5,第 6章では,平

面電磁波の散乱を論じている。との問題は, Rice VCよb摂動法を用いて論じ

られたものであるが (1951),一次摂動解は発散するととが知られ?具体

的K解かれるととが左かった。しかし,確率論的方法を用いればとの機左困難

は解決するととができ,種々の散乱特性を有限値で合理的K求めうるととを示

す。同時十て 2 散乱特性の数値計算例をも図示している口第七章表は 7 結言であり?

本論文で得られた成果を要約するととも VC,未解決の問題十て‘ついて若干の私見

を述べている口

本論文では,解析の手段として,ガウス確率過程の非線形理論〈ウィナー展

開)を用いている。との展開Kついては, Wiener自身Kよゐ講義緑川以外K7

村(18),小倉(1到のテキストがあ_!;J,二,三の解説(96)(!開も出)択されている口しか

し,との様な展開は?電波工学・電磁界理論の分野ではほとんど知られてい吸

いので?必要左概念と諸公式を付録Aとしてまとめるとと Kしたり

本論文では,単色波の場合だけを考え,時間因子 e-1ωo tはすべて省略し 1

いる。立た, MKS単位系を用いて物理量を表すとと Kする。

1.2 不規則表面による波動散乱(小史)

実用的左回折格子が発見され,フレネノレーキノレヒホッアの同折理論が 月比 L

が実際的たのは, 1 8 0 0年代のととである舗が,不規則表面Kよる波動

問題として提起されたのは,か左 b遅く, 1 9 4 0年代である。とれは 3

次世界大戦中K開発されたマイクロ波レーダKよ9,不規則なうね Pや

ノレをもっ海面からのエコーが観測されたとと Kよる。海面エコーは J 船舶 ε

空機左どの海面上の標的の識別@同定を困難Kするため,う!そ 匡iにおふいて

多くの測定が行なわれた。当時のレーダーは,モノスタテック" /~.)レ λ 方式で

あるので,海面の散乱特性を規定する量としてレーダー断荷積(単位雨明あた

bの後方散乱断面積)が導入された。とれは,時間関数としてランダム{IC

する受信エコー電力を時間平均し,さらに,レーダーピームが照射する海市面

積で規格化するととによ b得られる無次元量である。測定されたレーダ

積は 9 レーダーの周波数,ビームの偏波 3 海面条件左どK依存するととが明ら

かKされ,受信エコー電力の確率分布やレーダー断面積のピーム入射角依存性

白1)左どの詳しい測定結果は 1951年K出版された 。

との様に実測されたデータの解析と散乱特性の予測のためKは,散乱のメカ

-4-

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ニズムを明らかKしうる理論が必要である。研究の初期K沿いては,海面散乱

白1)の理論モデルとして,高さと周期がガウス分布する正弦波状表面Kよる回折

及び海面上K存在する霧 (spray)と水滴 (droplet) (tLよる散乱(盟),が検討

されたが,いずれも実担Ijデータを説明しうるものでは左かった。との意味で,

194 0年代は,不規則海面Kよる散乱の発見と後方散乱の測定法が確立した

時期と考えるととができる。

1 9 5 0年代Kは,道路左どの地表面の散乱特性がマイクロ波・ミリ波領域

で実測され白3)(24),一方では,海面の後方散乱断面積が風速の関数として測定さ

れた。とれらは, 1 9 6 5年以後の合成開口レーダー, 1 9 7 0年代の風速@

風向のレーダ-(tLよるリモートセンシングの基礎となった。

1 9 5 0年代は,不規則表面K よる波動散乱理論が,波動方程式の境界値問

(25) 題として定式化された時期でもあるo Rice(1951) は,電磁波散乱の境

界値問題のー解法として,摂動法を導入した。完全導体の不規則表面K対して

は,一次摂動解が発散するという欠点があるKもかかわらず,損失のある導体

表面や誘電体境界面K対しては,発散し左い解が求められるため Ri ceの方法

はその後広〈用いられている働問。一方, Da v i s ( 1 9 5 4 )間)は,キルヒホ

ップ近似Kより海面の散乱特性を解析し,実視IJ値と比較している。とれは,通

常の状態(tLi>~ける海面の凹凸の高さは 10~30cm で凹凸の周期は 1 ~ 10m

あ t,波長 1~ 3 cmのマイクロ波K対しては,凹凸の曲率半径が十分大きいと

考えられたためであるO キルヒホップ近似Kよる後方散乱電力の理論値は,レ

ーダーピームの入射角(鉛直線から測った角度)が小さいととろでは実視1]値と

比較的よく一致するが,入射角が大きいととろでは全く一致せず,実測値は理

論値かりもはるかK大きいものであった。との様左不一致は, 1 9 6 0年代後

半の複合不規則表面モデルKより克服された。

1 9 6 0年代Kは,モノスタテックレーダ-(tLよる後方散乱特性の測定ばか

りではなく,前方散乱(コヒーレント散乱)特性が測定される様Kなった(290

とれは,マイクロ波通信回線への海面散乱の影響や,水面付近でのソーナ信号

のダクト伝搬の解明を意図したものである。一方,水槽を利用したモデル実験

が始められたのもとの頃である(抑制。地球物理学K共通したととであるが,自

然条件を制御するととはでき左いので,実験データは再現性K欠ける難点があ

る。しかし,ファンKよる風や振動板Kよって水面1:(tL凹凸を作れば,再現性

の高い散乱実験が可能となるo Wright等間2)(却は,との方法Kより水面上K表

-5-

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面張力波(波長 1インチ以下の放で ca p i 1 1 a r y wa ve とよばれる)を発生さ

せ,マイクロ波の後方散乱が表面凹凸のプラッグベクトルKよb生ずるととを

実験Kよb検証し,同時K一次摂動解が与える後方散乱断面積が実演Ij値とよ〈

一致するととを見い出した。また, Valenzue1a ( 196 7)は, R i c eのご

(34) 次摂動解を用いて,後方散百しになける交差偏波の発生を検討した 。

1 968午どろから,実際の海面は,振幅が大きく波長も長いうねり (swe11)

成分と振!隔が小さく波長も短かい表面張力波のリップノレ成介の複合であるとと

が認識される様K左 b,との様な複合表面モデノレK基づく解析がなされる様K

在った(35)(38)。との解析法の特徴を簡単K述べれば,キノレヒホップ近似(!c:j;~ける

局所的平坦面の仮定を細いワップルをもっ局所的表面tて:置きかえるものである。

従って,散乱波の計算は,細いリップノレをもっ局所的平面K対する摂!助解をキ

ルヒホッフ積分Kよb波動論的K合成するとと Kまる(甜)(3no この様方:散乱開論

によ b後方散乱断面積の角度依存性がほぼ解明された。 しかし 7 散乱断面桔の

計算K必要左海面の凹凸のスベクトノレは 9 完全Kは知られてからず?現在VC::j;~

(3日いても研究の対象とをっている 。

197 0年どろから,後方散乱を用いた風速のリモートセンシングの実用化

が行 7まわれ始めた。その方法の一つは,海面の散乱断面積は風向及び風速の関

数と在るととを利用して,マイクロ波帯で測定したレーダー断面積から, J並K

( 5 )(39) "tr -海面Kむける風速・風向を求めるものである 口第占の方法は,後方散乱波

Kは海面の運動によるドップラシフトが含まれているのマ,エコーのドップラ

成分を解析するとと Kよb海面の運動を求めるものである。さらvc,風速 c海

面のスペクトル,海面重力波の分散関係を用いるとと Kより? ドップラーシフ

トが風速K換算される(40)。との様な実験は, HF/VHF帯 (1O'~5 OMHz)の

パルス・ドップラレーダを用いて行左われ,電離層反射を利用するとと κより,

半径 1000~3000 Kmの距離K わたって風速・風向のワモートセ y シング

が可能であるととが報告されているほ1)(420

一方,散乱の基礎研究としては,超音波の前方散乱の詳しい実験が行左われ

た(43)一(45)。とれは,人工的な不規則水面による超音波の散乱を調べるものであ

る。実測された鏡面反射波の強度は不規則性が弱いとき Kはキノレヒホッフ近似

とよく一致するが,表面の凹凸が波長以上K大とをるときには全〈一致し左い。

そとで, C1 ay等は,不規則水面の凹凸の確率分布がガウス分布とわずかK異

在るとと,幾荷光学的影の効果を考慮するととによlJ,キルヒホッフ近似を修

-6-

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正しようと試みている。しかし,との様な修正は,全ての入射角K対して一様

Kは成立しをい(44)。

多重散乱理論の立場から,キノレヒホップ近似を改良しようとする研究が

DeS an t 0 (7)(46)叩 Kよb試みられた。とれは,キノレヒホップ近似では本来解く

べき境界値を仮定すること K無理があると考え,境界値K関する積分方程式を

解いて,精度の高い近似解を得ょうとするものである( 1. 3 D節)。しかし,

不規則表面上の積分方程式であるため,解法は複雑とな 9,現在までKコヒー

レント散乱強度の近似解が求められているKすぎない。一方, Fung等(48)佃)は,

不規則表面Kよる波動散乱Kモーメント法Kよる数値解法を適用している。一

次元不規則表面(ディリクレ条件)vc:対する散乱断面積の数値解が報告されて

いる。

不規則表面Kよる散百LVL関係した問題としては,との他K天体表面の性質

(誘電率,不規則左凹凸の分布)をレーダーのエコ -VLより検出・探知する

Radar Astronomy, ホログラフィ VLj;~けるスペックル雑音,路面状態を探

¥;., (50)一(53)知する赤外線検出器,左ど枚挙Kいとまが左 。

との分野の特徴は,実用を目的とする実験研究が多い反面,波動散乱理論の

研究は比較的少<,理論自身も回折格子の理論ほどKは整理されてい左いとと

である。

h= 4 ~a-cos8 入 ---v

図1.1 RAYLE 1 GH' S ROUGHNES S PARAMETER h

一7-

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Z ,

J , , , 守, ,

J ,

(a) SLIGHTLY ROUGH CASE hくく 2π

Z

, , ,

U1/

山川

G

OHM門

戸ヒ

la

rl門円

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~/"~~

(b) VERY ROUGH CASE h))27t

図1.2 不規則性の大きさ hによる散乱特性の変化

1.3 不規則表面による波動散乱(従来の理論〕

本節では,不規則表面tてよる波動散乱K関する従来の理論を紹介するととも

VC::: ,後K必要と左る概念を述べ,本論への準備としたい。〔以下では,単色波

のみを考え,時間因子を exp(一iωot )とする。〕

A. Rayleighのキ宜さノfラメータ

不規則表面による波動散乱では,不規則性の大きさを表すととが重要である。

不規則性の大きさは?通常, Rayleighの粗さノf ラメータ (Rayleigh's rou

ghness parameter)

-8-

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h=牛 cos(}o= 2kO'cos(}o ーノ4EE4

• 4Ei

,rt

Kよb記述される。ととで, (}。は入射角 ,0'は不規則表面の凹凸の大きさ,入

は波長, kは波数である(図1.1 )。図よ b明らかVC, hは凹凸の山と谷から

の鏡面反射波の位相差である。 hくく2π では入射ピームはほとんど鏡面反射

(specular reflection)される(図1.2a)o hが増大すれば,表面の各

部分かちの鏡面反射波は,その位相差のため,相互K打消し合うので,全体と

して鏡面反射方向への反射波は減少し,他の方向への散乱波が増大する(図 b)

個別の不規則表面VCj;~いては,場所どと K 凹凸の大きさが異なる。とのとき,

( 1. 1 )式の uは,凹凸の実効値(自乗確率平均の平方根)であると定義され

る。 Rayleighの粗さパラメータは,物理光学の考えを背景とするので,不規

則表面の変化がゆるやかで,局所的K平坦である場合Kは有効である。しかし,

ζ のパラメータは,表面の変化が急峻である場合Kは意味をもた左い。

実際,水平方向へのインコヒーレン卜散乱特性K鋭いピークが現われる ζ と

がある(図1.2 a )。とれが,第 3章以後で述べる異常散乱 (anomalous

scattering)であり,筆者らの理論解析Kよb始めて明らかにされた。

B. キノレヒホッフ近似

図 1.3VC示す不規則表面 SVCよるスカラー平面波の散乱を考える。 ζ 乙で,

不規則表面 Sは,台が 2L x 2 Lの xy平面上の関数 f(x,y) VCより

z=f(x,y) , -L:::;::x, y三L ( 1.2 )

で与えられるとする。三次元空間の座標を R, R'で表わし,入射平面波を

ψi (R) = e x p { i K'・ R}

と書く。 ζζ でK'は入射波動ベクト Jレである。グリーンの定理を S,S' 及び

半球 Sρ で囲まれた体積K適用すれば,散乱波ψs( R )は

れ (R)= , {勺G(RIR')れ (R')--G(RI Rつごへ(R)}dSrθ

一, Un" -n S+S'十Sρ

( 1.3 )

と表現される。ただし,

のグリーン関数

θ は内向きの法線徴分, G (R I R' )は自由空間

θn'

G (R I R') =でL4π

iklR-R'1 e

IR -R' I ( 1.4)

-9-

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であ 9,R'は S十 S'十S 上白座標を表すベクトルである。ρ

Z

Sr

P

三J_~xド一一2L一一一!

図1.3 不規則表面 SVLよる平面波の散舌L

( 1. 3 )は,境界値ゆS'θゆs/8n' VLよb散乱波を表す口従って p 散乱波を

計算する Kは境界値を求めねばi.l:らず, ζ れを求めるため Vとは p 摂助法や積分

方程式法K よb境界条件を解く必要がある。しかし,キルヒホッブ近似では p

物理光学の近似法Kよb境界値を推定する。すなわち,

(1 ) 不規則表面 Sは波長 λK比べて十分大きい(L>>λ)ので) S' 1ニでは散

乱波は小さく無視できる。つま!J,

θφs (R') ゆ"CR')::::=Q, _:_T~ τ一.:_ ::::: Q, (R'E三S')v υn

C 1.5)

との仮定の下では(1.3 )は S卜Sρ 上の積分K左る。さら VL,半球の半径 ρ→ιゅ

の極限をとれば, (1.4 )が放射条件を満たすので Sρ 七の積分は零K収束する ζ

とK左 9,結 局(1.3)は S上白積分で近似できること K をる。

(2) Sの凹凸白変化がゆるやかで,凹凸の曲率半径は波長 λK比べて十分大

きいので, sは局所的Kは平面と見なすととができる。従って, s上の点 p忙

なける境界ii査は, p K接する平面上での境界値で近似できる。との様な近 J似の

ため,キルヒホッフ近似はしばしば接平面近似 (tangential pl品ne app-

roximation)とよばれる。

nHU

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S上の境界条件として同次ディリクレ条件

ψ(R ') =ψi (R') +ψ5 (R' ) = 0 , R 'ES

を仮定すれば,接平面近似Kよb境界値

ψs (R')てこー ψi(R ')

θゆs(R') 一五一7一二(iK'・n') ψi (R' )

υu

が定まる。(1.5) (1. 7 )を用いれば(1.3) は簡単化され

九間24£{G(RIRWi(RF)}dS

( 1.6)

( 1.7 )

( 1.8)

と書ける(問。乙の式の特徴は,不規則表面 S上の積分であるととで, n', R f

はいずれもランダムベクト Jレである。また, ζ の積分を Sの近傍で評価すると

とは困難であるため,通常,遠方での散乱特性だけが議論される。一様かっ等

方のガウス分布をする不規則表面K対しては,散乱波の平均値(コヒーレント

波)く ψs(R) )は,不規則性が左い平坦面Kよる散乱波 ψ50(R) VCより

くψs(R) > =ρψ50 (R) ( 1.9 )

と書かれる。乙 ζで,記号く

対する係数 ρは

〉は(アンサンプル)平均を表し,鏡面反射K

但しρ= exp {一2ぜ 11

2COS

2 eO },

112 =くf2(X,y) > (1.10)

(1.11 )

で与えられる。(1.10)の特徴は, Rayleighの粗さパラメータ 2kl1cos()。

の関数と左っているととであり,平坦左表面がガウス分布K従って上下すると

きの,散乱波の平均値と解釈できる(7)。

実用上,重要左レーダ断面積(単位面積あたりの後方散乱断面積 )I1Bは,

( 1.8)よ!?,

4πR2

I1B( e 0) =一一ーっく 1<Ts(R) 一くψs(R))12

) (1.12) v- (2L) 2

tarr免官 tan2e

r・cos4九

exp{一五言写},(kl1))l) (1.13)

と計算される(6)。 ζζ で er は不規則表面の自乗平均勾配であり,

t anzor= く(g r a df (x , y) ) 2 > (1.14)

で定義される。(1.13) の特徴は波数 kVC依存し左いととであ 9,幾荷光学領

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域での球Kよる散乱と類似している。

境界条件が,ノイマン条件

θψ(R' )ハ

θn' ..." R' ES (1.15)

の場合Kは,散乱波の位相が 900変化するが , (1.9) ( 1.1 0)( 1.1 3 )の関係式

(56) は不変である。電磁波の散乱は, (1.3) VC対応する Strattonの公式 ,また

はダイアディクグリーン関数Kよる表現(55)を用いるとと Kよb,同様K論じら

れる。キルヒホップ近似では,境界値を接平面近似を用いて評価するので,完

全導体の不規則表面K対しては散乱波の振幅は入射偏波K依存寸ず,後方散乱

は交差偏波を含ま左い(56)一(58)。

C. Sh昌dowing func t i on

平面波が斜め入射する場合,不規則表面上K影が生ずる(図1.4 )。影領域

の表間部分は,ほとんど散乱波を生じ左いと考えられるので, (1.8 )を全表面

Sで積分せず日向部分K限定して積分すれば?より正確K散乱波が評価できる。

しかし,不規則表面K対して,日向部分を具体的K求め積分を実行するととは

現実的では左い。そとで, Beckmannは?入射角が 0。であるとき表面の単位

面積が日向である確率 8(θ。)を導入して,等価的K影の効果を取 D入れると

Z

I Xn

S(80) ==ιL1714τ一見+∞

図1.4 shadowing function

X

とを提案し, 8(()0)を Shadowing functionと呼んだ(59)。コヒーレント散

-1 2-

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乱強度は不規則表面の面積(台の面積)の二乗K比例するので ,S2(θ。)を乗

じ,一方,インコヒーレント散乱の全電力は面積K比例するので S(θ。)を乗ず

るとと Kなる。Z

同様の考えKより, bistatic

shadowing functionS(8o,8)

が定義される。とれは,入射角 θO

K対して日向であり,かつ散乱角

θKある観測j点K直接一次散乱波

が到達する確率である。ガウス分

布をもっ 1次元不規則表面K対し

ては,計算機シミュレーションK

⑧Y ちυi(R)

v+/f(R)

V

図1.5 不規則表面 Sと上の領域 V十

間)より詳しい shadowing functionが求められている 。

D. 積分方程式法

キルヒホップ近似では,接平面近似を用いて境界値を推定するが,本来,境

界値や影の効果,多重散乱の効果左どは,境界値問題を解くとと Kより自動的

K得るべきものである。境界値問題の解法としては,積分方程式Kよる方法と

境界整合法(E節)が知られている。 DeSanto 等は,前者の方法Kより不規

則表面Kよる波動散乱を定式化している(7)(制(叩。

無限不規則表面 Sが三次元空間を上部v+と下部 y-vc.分けるとする(図1.5)。

波源が y+vc.あるとすると,グリーンの定理Kより波動関数ゆ(R)は,

似R)サ i(R)+必需同糾G(RI R')響)}ds,舵V十, R'εs (1.16)

=0 , Rεv

と書ける。ととで ψi は入射波, Gは自由空間のグリーン関数(1.4)であるD

ノイマン条件(1.1 5 )を仮定すれば,被積分関数中での第二項は消えるので

(1.16)は

rθG ( R I R') .,_".- -_..+ ψ(R ) = <t i (R) +1 ゆ(R' ) d S, REY T

1 ち θn'( 1.1 7)

=0 , Rεv

となる。 Rが S上Kあるとき,グリーン関数の特異性のため右辺の積分はリー

マン積分としては存在し左い。しかし, R=R'の一点を除いた広義積分(主値

制限)積分) としては定義でき,境界値の関係式

-13-

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fθGCRIR') ~ <t(R)=<TiCR)+J -~~;-- / <tCR')dS, RES

JshF

が得られる。 ζ れを解いて境界値ゆCR)を求めれば ,(1.17)V(よTV十内での

波動関数少を得る ζ とができる。

(1.18)の積分項を無視すれば,境界値の零次近似として

( 1.18)

ゆ(R)224yi (R), RES 、、,ノnHU

4EA

• 4E'A

/t

、が得られる。 ζ れは,キノレヒホッフ近似が与える近似境界{直K等しい。 ζの意

味で,キノレヒホップ近似は単一散乱解であり,多重散乱を含ま右:い口(1.18)を

逐次近似で解けば,多重散乱解が得られる。しかし,境界値のとの級数表示は,

Rと R'がとも K不規則表面上のランダムベクトノレである光め?煩雑で見通し

の悪いものである口そとで,級数の図形表示法(ダイアグラム法)を用いると

とによ.9,コヒーレント波く ψ(R)>,散乱強度く I<t(R) 12 >が満たす近似積分

方程式が導かれる。現在,コヒーレント波K対する数値計算結果が得られてい

るが,インコヒーレント散乱K対する具体的な結果は得られてい左い(46)。 ζ の

方法の欠点は,近似方程式の導出過程が極めて複雑で見通しが悪い?とめ,用い

られた近似方法の有効範囲が見K くいととである。また?遂次近似級数の収束

K関する保障が?をいという欠点もある(叩(81)口

E. Wo odの異常回折と Rayleighの回折理論

1 902年, Woodは反射形エシュレット格子を用いた介うそl実験Vてかい切で宇

今日 Woodの異常回折 (Wood's anomaly)とよばれる新しい現象を発見した

側 。それは,回折波の強度がある狭い入射波長内Kないて急激K変化する現象

で,白色光の分光スペクトル分布vc$~ける明るいバンドと暗いノミンドとして観(64)

担IJ~された 。との現象は,入射電界が格子K平行(T E波)であるとき Kは生

ぜず, T M波入射K対して発生する。との様左偏波依存性 3 及び問折強度の急

激な変化は,キルヒホッフ近似では説明でき在い現象であるので, anのmaly

とよばれる。

Woodのエシュレット格子は光の波長K近い格子寸法(ピッチ1.7μ,) をも

つので,もはやキルヒホッフ近似は成立せず s 格子上での境界条件を正確K解

〈必要がある。 ζ の観点から, Rayleighは摂動法を用いる新しいi司折理論を(65) _ . . . __~

提案した(1 9 0 4 ) wV'o R a y I e i g h の理論は,次項の Ri c eの理論の出発点で

あるばかりでは左<,重要左問題を提起しているのでその概要をスケッチして

-14-

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ま?とう O

Rayleighは,無限の周期的表面(完全導体)(rLよる平面波の回折を考えた

(図1.6参照)。簡単のため,角が念い格子を考え,格子形状がフーリエ級数

z=f(x)= ~ Fn exp (i 27l'nx/a), (九=0,Fn*=Ln) (1.20)

で表現されるものとする。ととでホは,複素共役を表し, aは格子の周期,

(27l'n/a) はプラッグ・ベクトルである。表面の周期性Kより,平面波入射K

対する波動関数ゆ (z, x)を Floquetの形

ゆ(z,x)=eikox{e-ikzzd叩 XP〔izpx十 ikz(n)z)}, ( 1.2 1 )

{k2 > (竿+Ko) 2 } ( 1.22 a)

ニ iパ2;h。)2-kZ {(272十Ko)2 >川 ( 1.22 b)

K書く(問。(1.21 )右辺の指数因子は, x方向への位相推移を表わし,括弧内の

第 1項は入射平面波,級数部は x(rL関する周期関数で,回折波を表すo Koと

Kz は,それぞれ入射波数ベクトノレの x成分, z成分であり, (Ko+27l'n/a)

x

図1.6 周期的表面Kよる平面波の回折(谷の領域 Iと外部領域n)

とkz(n) はそれぞれ n次回折波の波数ベクトルの x成分 I Z成分である。正

数の kz(n)は z方向K伝搬する回折波K対応し,純虚数の kz(n)はエパネセン

-15-

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ト左表面波を意味する。

T E波入射のとき ψは電界の y成分 Eyであるので,境界条件は,

(TE) 件(z, x) = 0, (z = f(x) ) ( 1.23 )

である。 TM波入射K対しては ψは磁界の y成分 Hyを表すので,境界条件は,

(TM)

と左る o

立止-11θn - V

( z = f (x) ) (1.24)

Y;(z,x)を求める ζ とは, (1.2 1 )の未知展開係数 Un を境界条件によ打定め

る ζ とK帰着する。表面 f(x)が余弦状K変化する場合, U IIは,ベッセノレ関数を

係数にもつ無限次元代数方程式により定まる(問。一般の周期的表凶JV(対しては?

Rayleighは摂動法を用いている。

表面の凹凸の高き dが波長に比べて十分小さい(係数 Fn は σのオ ダの微

小量)と仮定して, un及び exp{ i kz(n)f(x)}を摂動展開する。

Un = un(o)+ 0 uri1)ー卜 02 Un(2) + ・… ,

巴xp { i k z (n) f(x) } = 1 + i k Z(n) f(x)一yzk z 2 (11) f(x)2 +一 ( 1.25 )

(1.20) (1.21)を TE波の境界条件(1. 23)へ代入し,展開(1.25)を用いれば,

摂動解が求められる。摂動の零次解, 1次解はそれぞれ

(TE) Un(O) = - ono

Un(l) = -2 iKzF n

となる。同様VC,TM波の(1.24)(rC対しては,

(TM) Un(O) = ono

( 1.26)

つiFn /..? I 27(n Un(l) =一一-A〔K Z-K (←一一)J ( 1.27 )

kz(n)z o a

と在る。 TE波の場合,一次摂動 un(l) は全ての次数 n(rC対して有界であるが?

TM波の場合には一次摂動解 uJ1)は, (1.27)より明らかに p

k z(ゆ= j~2 ー (23旦+ Ko ) 2 =。 ( 1.28)

と左る入射波数 K'=CKo;-Kz)(rC対して発散する。(1.28)は x方向K伝搬す

る回折波を意味する。一次摂動解が発散すれば高次摂動解も発散するため 2 あ

る次数 n(rC対して(1.28)が成立すれば全ての係数 Unが発散するとと (rC;をる臼

〔との特異性のため, (1.28)を満たす波数ペクトノレ k=(Ko+2πn/a,kz (n))

は Rayleigh波数とよばれる J0 Woodの実験結果との比較Kより, Rayleigh

一 16

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は(1.28)を満たすとき Anoma1 yが発生するととを指摘した。(68)

との様VL,Ra y 1 e i ghは, Woodの異常回折が発生する条件を明らかKした

が,回折波の振幅を定量的K解析するとと Kは成功し左かった。異常回折の定

量的左解析が左されたのは,比較的最近のととで,周期的左リアクタンス平面

の場合 (1965)(69),平板状格子の場合(1 9 68)側 K解析的K解かれた。

との結果, Rayleigh波数K対する係数 Unは発散するととは左いが非常K大

きい値をとるととが明らかK され,同時VL,Anoma 1 y 発生の物理的原因は,

周期的表面K沿って伝搬する自由モード(表面波モード,リーキィ波)である

ととが指摘された。

Rayleighの解法の特徴は, (1.21) の様K波動関数を回折モードK展開し,

次K境界条件を満たすよう K回折モードの係数 Unを定めるととである。との

方法は,円筒散乱の問題VLi.~いて円筒内部の場をベッセル関数で,外部の場を

ハンケル関数でそれぞれ展開し,とれら二つの場を境界上で接続する方法と同

じ考えKよるもので,境界整合法問)とよばれるo 積分方程式法では,先ず境界

値を解き,次K境界値を用いて外部の波動場を求めるというこ段階の処理が必

要であるのK対して,境界整合法では,展開したモード振幅(展開係数)を決

めるだけで波動場が求められる利点がある。

Rayl e i ghの境界整合法K対して重要左疑問が提起された問。それは,格子

の山と谷の間(図1.6の領域 1)では,外向き K伝搬する回折波だけでは左く,

内向きの反射波が存在するはずであり,したがって, (1.2 1 )のよう K外向きの

回折波(及び表面波)だけで波動場を表現するのは誤りでは左いか,というも

のである。(1.21)の展開が図の領域Eで成立するととは明らかであるが,領域

I及び表面 S上でも成立するとするのは一つの仮説Kすぎ左い。との仮説は,

今日, Rayleighの仮説 (RayleigWs hypothesis)とよばれる。

Rayleighの仮説Kは,種々の議論があったが,今日次の二つの考え方が有

力と左っている。第一の考え方は, (1.21)の一様収束性K着目するものであ

り,第二の考え方は nの部分和をとるものである。

もし, (1.21)が境界 Sを含む領域VLi.~いて一様収束し,かつ境界条件及び

波動方程式を満たせば,散乱問題の一意性の定理Kより, (1.21)は回折問題

の一意的左解である。従って, (1.21)が一様収束する(X, z)領域を求め,

との領域が表面 Sを含む左らは Rayleighの仮説は成立すると言える。との考

えK基づいて,角をもっ表面K対しては Rayleighの仮説は成立し左いが,

-17-

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余弦状の表面

(1.29) bCOSKX z=fCx)=

では,傾きが小さく

( 1.30 )

であれば Rayl巴ighの仮説が成立するととが証明された(730 最近,種々の反射

型格子に対してとの仮説の成立条件が求められている(7ao

KbくO.4 4 8

E X P ( i z子x 十 kz川王匂Z

(1.21)の部分和を,

KnX _ -lKヲ z ~ ψNCμ)ニ e'HU~ C e "'Z トミ un(N)

第二の考えは,

(1.3 )

ナるものでJ:克界条件の自乗平均誤差を最小と在る様に展開係数をとかさ 3

が最小では,境界上の自たとえば,

eb2 CN)イ!内(jω,x) 1

2

と在る様IK(2Nート 1)個の係数 Unを定める。

ds =最小

ディリクレ条件(1.23)ある。

11

kg1 ドひグ〕C .:1 ) ととで Unは 2

めるとき 3k との様VCUn (N) 数 K依存して定まるので unCN)と書かれる。

N叩令∞I[)Z束の意味での Rayle i ghの仮説が成立するか否かKかかわら

11>(

オ4:vよる Kす

P

一ν相、ぴ〉Eでは

は白ψN

の極flR(rcないて部分京1~戸N は境界を除く領域 1 ,

するととが証明きれる。(しかし,境界 S上では p

町田町田ぎない)。 fF[lとj

HhhレRaylc ghの

よばれ 3 散乱・ 18:1折問題の数値解析Kしばしば用いられている 。

との様な部分和(1. 3 1 )の性質は,

しlJミ L。不

V乙間以の仮説は検討されてむらRayleigh 規則表面K対 Lては 9

決である。

~亡:1111 )十エネルギー一保存則(Floquetの解(1.21)を用いれば 3

..;"

3:' 句、 ~i _~ ;"、

一、jgra ヘルムホノレツ方 J陸式の保存則 div(Im(ψくととができる。

¥ J ガウスの定理Kよりセ積分し,図1.6の領域 CABCDEA)

kて書き換えれば,

ra ホ θ K", 1 -. I Im((T"τ一位)dx =一一羊+~ _J; し (n). I U n I 2 ,=cc () a k JO

a z . . k k n L. ,-, 11 ( 1.32)

でま。との右辺の級数和は突の kzCn)を生ずる nVてつい

回折波電力の総和(級

が得られる。

しいと)にが,

-1 8

入射電力 (Kz/k)

とを表している。

(1.32)は,

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(25) F. R 1 C Eの電磁波散乱理論

確率場のフーリエ級数表現と Rayleighの回折埋論とを組合せて, R i c eは

不規則表面Kよる電磁波散乱を定式化した。先ず,不規則表面を x,y 方向と

もK周期 Lをもっ周期関数と見なしてフーリエ級数

z = f (x, y)ニ I bmnexp{2πi(mx+ ny)/L} m,n .一一

( 1.33 )

K展開する。ととでフーリエ係数 bmn は次の性質をもっ複素ガウスランダム

変数である。

bmn = b *-m-n

くbmn)=O,くbmn-bVnf〉=8mmF8nnIlFIrmlz(子)2

従って, f(x,y)の平均値と相関関数は

くf(x,y))=O,

くf(以 下)f(x+x',y+y'))=(竿)zZlFmn12exp{竿Cmx+ny) } ..... mn ..... L

( 1.34 )

( 1.35 )

と左る。ととで,周期 Lを無限大とすれば, (1.35 )の和は積分K左り,

4∞ 2 i (X¥'+Vλ) くf(X', Y , ) f (x + x " y+ Y ') )ニIII F(λx,VleIY Y dhdλy

ー-00

( 1.36 )

と左る。とれが, RICEの確率場の表現法であり,その特徴は,先ず周期関数

と見在してフーリエ級数で表現し,次V<:,平均値,相関々数左どを計算I__...,最

後K周期を無限大として,無限K広い確率場の統計量を導出するという三つの

間段階から組立てられているととである 。

Riceの散乱理論も,との三段階K従って組立てられる。先ず周期的不規則

表面(1.33) v<:対して,電界 E= ( Ex, Ey, Ez)をFloquetの形

(Exl(Aj C) Ey i=eikoX〔(Bo e-ikzd;nj exp{221hhり+ikz加,n) z} ) J ¥ J m,n¥ J

EzI ¥Co' ¥Cmnl (1.37)

K書く水口とれは(1.21)の拡張版であって, C J内の第一項は入射平面波,

級数部は散乱(回折)波K対応する。但し, (1.37)では入射面を(x, z )面

K取り,入射波動ペクトル K'を

ホ)原論文(25)では,離散的左入射角を考えている。

Qυ 414

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K' =(Ko, O,-Kz)=(ksinOo, 0, -kcosOo)

と置いた(図1.7参照)。回折波の z方向への波数 kz (m, n)は,

山, n)=jk2ー (Ko十 22E)2-(苧 )2,Imkz(m,n)ミ0

( 1.38)

( 1.39 )

で与えられる。未知の係数 (Amn,Bmn, Cmn)は,横波の条件

d I v Eニ OZ

( 1.40 )

¥ア ov

(AoJs,Co) ~eo-

及び完全導体表面(1.33 )での境界条件

nxE==O, z=f(x,y)

を解いて求めるととになる。不規則表面の凹凸が波長K比べて十仔小であると

仮定し, Rayleigh の摂動法を適用すれば,以下の様K係数が定まる。

(水平偏波入射, Ao=Co=O, Bo= 1 )

Amn = 0 + 0トー

Bmn = --0 noomo -2 i Kzbmn-ト,

( 1.4 1) 2 iKヴ(27tn/L)

Cmn= 0 +一一一一一一一一一一一 bmr. +・山口

kz (m,ロ)山 U

(垂直偏波入射, Ao=-Kz/k, Bo=O, Co=-Ko/k)

Amn=ぞ8 d o n J〔KZ2h(ヤ)J b mn +

27tn Bmn = 0 -2 i (一了)Ko bmn +…… ( 1.4 2 )

K" _ _ Ko(仮〆子Y+(そ旦?Jーピ (Ko+守!lJ,

Cmn=-fJoJi 一一 一 bmnk'kz(m, n)

-20-

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(1.41) (1.42) 右辺の第一項は零次の摂動解を,第二項は 1次の摂動解

を表す。との解は, Rayleighの回折理論と同じ欠点をもっ。す左わち,

Rayleigh波数 f了て十一一宮五五一一一2nn,,,

k z (m, n ) =.; k2ー{Ko+ヤ2 _ ( τ)2 =0 (1削

を与える m,n,KoVC対して Cmnが発散する。回折格子の場合 Kは,周期 Lが有

界であるので,との様左発散は ,(1.43)を満たす特別の入射角 K対してのみ

発生する。しかし,不規則表面の場合Kは, L→∞の極限をとるので,あらゆ

る入射角 K対して Ez の分散が発散するとと K在る。

(54) G. Bass-Fuksの方法

(印)Rayleigh-Riceの摂動法や Marshの逐次近似止 は系統的で理解しやすい

が,実用的な 1次, 2 i欠摂動解が発散するという欠点をもっ。との欠点は摂動

級数の収束が極めて悪いととを示唆しているので,何らかの工夫Kより収束の

早い展開方法を得るととが望ましい。ソビエトの Bass-Fuksは,摂動法とは

異在る展開法を導入して,簡単な計算Kより多重散乱効果を含む散乱波動解を

求めた。本論文と関係が深いので,彼等の方法の概要を以下K述べる。

Bass -Fuksは,先ず,不規則表面

z=!(x),

くz> =く !(x)>=o, くZ2 >ニく J2 (x)>=a2 ( 1.44)

の粗きが,波長K比べて十分小さい (k aくく 27Z')と仮定して,境界条件を近似

する。たとえば,ディリクレ条件

ψ( z, x)ニ 0, (z=!(x))

K対しては,テイラー展開Kよる一次近似の境界条件

θψ( Z, x) I

ψ(O,x)+!(x)一一三一一I = o z z=。

( 1.45 )

( 1.46)

から出発する。との近似境界条件は, effective boundary conditionと

よばれるととがある。第二章では, (1.46)をランダム境界条件のモデルとし

て用いている。

次VC,波動関数を摂動展開するのでは左<,コヒーレント波く ψ(z, x) > とインコヒーレント波 ψs(z,x)VC分ける。

ゆ(z, x) =くψ(z,x) > +ψs (z, x) ( 1.47 )

とれを近似境界条件K代入し,平均値と変動部分K分割すれば,

-21-

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θ くφ(O,x))+くf(x)ョ-yJ只 (z,x)1 )=0,

リ Z ・ z=o( 1.48)

θくψ(z,x)),yJs(O, x)+f(x)一一一一一一一 i

u Z z=o

{仰 fぺ)θφ~~!_:~I f(X)-TSす一一| ーく fCx)一一一一 I )}ニOυZ z=o 0 z z=o

( 1.4 9 )

高次項であるので無視すれば,

θくψ(z,x)) I φ,, (0, x) +fCx)一一一一方で一一一ー l- υL, z=o

(1.49)左辺第三項は,が得られる。

( 1.50) 。とインコヒーレンx ) > との式と(1.48)をコヒーレント波くψ(Z, となる口

との連立方程式と見なして解くことができる。ト散乱波 ψS(z, x)

のみをもつからもコヒーレント反射波は鏡苗l反射成るとき 3平面波が入射

、lJ

11

Rd

-AA

,fl

、くψ(z,x)〉z eikox〔-f-ikzz+(1十Ao)e iKzz J

z> 0 lfzz庁 2て可)0,

り;コヒし3ここで?右辺括弧内のm-項は入射平面波Kと書ける。

/(瓦)が ijiflJEは未知の定数である。一万 3A 。ーレント反射波であり,

スペクトノレ表現する。

寸〈わ

f(x)=J eiλx

程であると仮定して 3

( .52) db(λ)

db(λ)はランダムスペクトル測度であり,性質ととで,

db者(ーA.)d b (λ) =

( 1.53 ) 。くdb (λ) )

くdb(A.)db持(入'))=/F(λ) 12 O Cλ一入 1)dλdλf

f (x)のスIF(λ) I 2は 2 不規則表面のパワースペクトルである。をもっ。但し,

インコヒーレント波が平面波K分解できるものと{反

IA.x+i/k2- A.2 Z

+てXコ

f e Cわ

インコヒーレント波は,

ペクトノレ表現に対応して,

定し,

( 1.54 ) dφ(λ) yJs(z,x)=

z方向へ伝搬する部分波と表面波の和であると書く。

( 1.55 )

-22-

平方根の分岐は,

Im(ri{Zて京)二三 O

から,

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で左ければ左ら左い。

以上の仮定により,求めるべき量は A。と dφ(λ)と在った。(1.51) と

(1.54)を(1.50) へ代入すれば,十分条件として

dφ(λ+ Ko)二エー iKzC 2 + Ao J d b (λ) ( 1.56)

が得られる。従って, (1.54)よりやs(z, x)は次式と在る。

iKox r怖 jA,x+iR苛む+A,)2 z 九(z,x)=-iKzC2+AoJ e"'U"J e ...•.. V'U J ~ db(λ) ふて幻

( 1.57)

( 1.57 ) ( 1.5 1 ) ( 1.5 2 )を(1.48)へ代入し, (1.53)を用いれば, A。が求まる。

AA= ー 2~U - 1十 Zs

-to:コ

Zsニ KzJ /0←(Ko+λ)2 I F(λ) Il dλ 一-()(コ

( 1.5 8)

( 1.59 )

( 1.5 7) ~ ( 1.5 9) (rL:h~いて, Z s = 0 (Ao = 0 )とかけば,コヒーレント波(1.51)

は摂動の零次解と一致し,また(1.57)は一次摂動解と一致するO 次(rL(1.58)

A。 竺 ー 2Zs ( 1.60 )

と近似すれば,二次の摂動解が与えるコヒーレント反射振幅

-to:コ

ー (1+Ao)竺 1+2Zs=-1+2KzfN 寸む五ア IF(λ) 12 dλ ( 1.6 1 ) -00

が得られる。とのととより,ポ オーダーの微小量である Zsは,二次摂動の効

果,す左わち,二重散乱の効果を表しているととが分かる。(1.58)は分子と

分母(rL,との Zsをもつので, Aoは無限回散乱をも含んだ多重散乱効果を含む

ととに在る。との事実は,後の 2.6節Kかいて別の方法Kより明らかKする。

また, (1.57)は,とのよう左 A。を含むので,多重散乱効果を含んだ解と左っ

ている。

同様の方法で,ノイマン条件

θψ1 {θψdfθψ 、~- . -(一一一一一)=0, (z=1 (x) ) θn /l+(df/dx戸、 θz dxθX I

( 1.62 )

の場合も解析される。とのとき,平面 (z= 0)上の近似境界条件として,

d fθct . L' θ 2 ψ n 一一 一 一 一d x θ x θ Z 2 -

-23-

( 1.63)

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が用いられる口乙の境界条件の場合Kは,二次摂動解が与えるコヒーレント散

乱振l隔は水平入射のとき発散するが, Bass-Fuksの方法では発散するととな

く有限である。しかし 3 インコヒーレント散乱K関しては,一次摂動解と全く

同じ欠点をもっ。す左わち, Rayleigh波数をもっ部分波の振幅が発散するた

め,散乱波の分散や空間相関々数が発散する。

このような欠点のため, Bass-Fuksのテキストの記述は,論理的一貫性を

欠くものと左っている。す左わち,コヒーレント散乱K関しでは 3 無限K広い

不規則表簡による散乱を定式化するのに対し,インコヒーレント散乱K関しで

は,有限の広さをもっ不規則表面(及び不規則境界面 )VC 限定 L,散乱断面積

を導出するK とどまっている。とのときインコヒーレント散乱波はグリーンの

定理を)!-]いて導出される口

H. 不規則表面の統計モデル

散乱肢の統計的性質を理論的ドζ評価するため(rLtt ,不規則表面の統計的性質

を与える必要がある。表面の統計モデルとしては,ガウス 5':;トをもっ一時確

場が共通して用いられている。

地表面K関しては,表面の相関関数 Cf ( r )として指数出

Cf(r)=o2 expC一 1r 1/κ), rニ(X, y)

及びガウス型

C 1.64 )

Cf(r)=σ2 exp C一r2 /κ2 ) ( 1.65 )

が仮定されることが多い。ととで ,(jは不規則表面の粗ざ ,l-r;は相関距離であ

る。月の表面では?ガウス型よりも指数型K近し逆Kアスフアルト路市では

汀ウス型K近いとの報告がある。しかし 9 現実の地表面は恨めて複雑で必るの

で 3 どの様左相関関数のモデルを用いても適切K表現するととは悶難マあると

の指摘もある。

不規則海面のパワースペクトル IFCkx,ky)12としては) Ph i ! 1 i ps

spectrtim

IFCkx, ky) 12 =6.6XI0-3Ckx2+k/)-2, kX2+ky>g2/U1

= 0 , kX2十kyよく g2/U4

( 1.66)

及び Neumann spectrum

-3(,- 2 ,,- 2 ¥-4-_____ ( 19.6 IFCkx, ky) 12 =8 X 10

i) (k~ トky)-Texp(-~~;:) , (1.67)

がよく用いられる。ここで, I F I 2 の次元は Cm4 )であり, gは重力加速度

-24-

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( 9. 8 1 m/ s e c 2 ), uは平均風速 (m/sec) , kは海面の重力波の波数 (m-1)

で,角周波数 ω。と

一山川町一一

KHb

ω

( 1.68)

の関係にある。一般に,海面状態は,風の吹く時間と範囲,潮流左どK依存す

る。しかし,十分長い時間,十分広い範囲K風が吹き続けたとすれば,海面重

力波の発達は飽和状態、K達するととが知られ,との飽和状態tてがけるノf ワース

ペクトノレが(1. 6 6 ) ( 1. 6 7 )で記述されると考えられている。

尚,ガウス形スペクトル(1.65) を除いて,他のバワースペクトルでは,不

規則表面の勾配が発散する。とのため,表面上での法線微分が定義でき左いこ

とを指摘してまFきたい。

Fhd

q'臼

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第二章不規則表面による波動散乱の確率理論

2. 1 まえがき

本章では,新しい確率理論Kより一次元不規則表面によるスカラー波の散乱

を解析する。新しい確率理論は, Riceの摂動法やキルヒホッフ近似とは基本

的な考え方に於いて異なる反面,回折格子の理論と類似点が多い。回j)r格子K

平田波が入射するとき,波動関数はよく知られた Floquetの形〔たとえば,

(1.21) Jをもち,格子と同じ周期をもっ未知の周期関数と指数関数の積K

ける。来知の周期間数はブーリエ級数で表現できるので,問題は結局, 12]-肝格

子面上の j党界条件Kよりブーワエ係数を決定するとと K帰着する口

とこで述べる確率理論は ?ζ の様左目折理論の確率過程版であり, ~j夜間 J:売界

の周期性K代勺て 3 不規則表面の確率的一様性とエノレゴード性を仮定する。無

限VC:[l~ い不規則表面が強義の定常確率過程(一様確率場)であれば ?λJL 交入

射vc立すする波動解は末知の一様確率場と指数関数の積K書けることを次節で示

すD この様子ま波動解の形は, Floquetの形のアナ口ヅ…であり,確率的vc_,

械な不規則表面lVCよる波動散乱へ一般的K適用できるものである口

波動解にかける指数関数は入射平面波Kより一;音、的K定まるので?問閣は

規則表面上の境界条件を解いて,未知の一様確率場を決定することに帰着ナる。

回折格子ーの場合とは異なりアーリエ級数は一様確率場を表現するKは〆自さず?

摂動法では前主主1.3 Eで述べた様VCWoodの異常回折と関係して発散の問題が

ある口モ司とて了, 2.3節では,ガウス確率過程の非線形理論(ウィナー混同)な

泊いて未知の一様確率場及び不規則表面を表現する。〔ウィナー展開Kついで

は 9 付録 Aを参照されたい。〕不規則表面が複素ガウスラ:ノダム狽iJy瓦K上り導

かれるガウス確率過程であると仮定し 3 未知の a様確~I:場を複素がウスラン夕、、

ム測度lて関係した直交確率汎関数K展開する。その結果?境界条件は?との様

な汎関数展開の係数vc関する関数方程式K変換される D との関数方程式は p

面の粗きが小さい場合,よい近似で解くことができる口

2. 5節では,展開係数の近似解をもと K散乱の統計的性質を計算する。不規

則表面が有理型スペクトノレをもっ場合,光学定理とコヒーレント散乱振幅,イ

ンコヒーレント散乱の角度分布,表面波電力の流れを計算し 2 結果を図示して

いる口

2. 6節は,ダイアグラム法によりコヒーレント反射振I隔を導出し,その結果

-26-

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との比較Kより,ウィナー展開Kよる近似解がどの様左多重散乱効果を含むか

を検討する。

2. 7節は,本章のまとめである。回折理論と確率論を用いる本章の解析法と

を比較し,類似点と相異点を表にまとめる。同時に解析上の問題点をも指摘す

る。

2.2 散乱 j皮の形

Z

Zごf(xω)

X

図 2.1 不規則表面Kよる波動散乱(入射角。。と散乱角

。は z軸K関して互いに逆方向に測る)

ー墾ill!<Q不規則表一南ts__J.;る主た莞プ平面波の散乱を考える(図 2.1 )。人工の

回折格子とは異って,一次元の不規則表面は自然、界K実在しない。同様VC,無

限の不規則表面も実在しないが,との様なモデノレを取り上げるのは解析方法の

本質が見やすいためであり,有限の表面の場合にある端点の効果が左〈走るの

で不規則性の効果が純粋K表れるためでもある。

本論文では,不規則表面が x軸上の強定常確率過程であると考える。確率過

程とは,確率が定義された関数 fCx)の集合(アンサンプル)であるので,そ

の要素である個々の関数K 目印 ωを付け,不規則表面を表す式を,

z=fCx, ω ) , C 一∞三 x三二∞ ) C 2.1 )

と書く。確率論では, ωを見本点 Csample point)といい,見本点全体から

走る集合Oを見本空間 Csample space)という。 ωを固定するとき, C 2. 1 )

は 1つの実関数を表すので,とれを見本過程または見本関数という。逆VLxを

固定するとき, C 2. 1 )右辺は lつの確率変数である(図 A2参照)。

強定常過程は,その確率分布が移動不変であるので, CA60)の様VL,

-27-

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z =!( X,ω)=!(O,TXω ) =!CTxω) ( 2.2 )

と書くととができる。ととで, TX は見本空間Q 内の保視IJ変換であり, 1パラ

メータ群の性質

TO= 1 (恒等式),

TaTb = Ta+b, ( 一∞豆 a, b 三三∞ ) ( 2.3)

をもっO 以,下では?見本空間Q上の平均(アンサンプノレ平均)を記号く 〉で

表し,

く!(Txω) >ニ 0,く fZ (Txω))=σ2 ( 2.4)

とする口第 I式は不規則表面の平均値が x軸と一致するととを l/ヲ ~ itの

d は不規目iJ表面の凹凸の実効値で長さの次元をもっ口

散乱波は不規則表面の形状?つまり見本関数 !(TXω )vc依存して定まるの

波到関数をゆ(Z, X,ω) のよう Kω を明示して書くとと忙「る。 i手色波のi時

間依存性を CXp(-jωo t)(ω。:角周波数)とするとヲ z>f(Txoけである白 111

空間K沿いて,ゆ(Z, X勺的〉はへ Jレムホ)(.ツの方程式

C ¥J2 + k2 Jψ( z, X,ω)=0 ( 2.5 )

。一z

一3

7hu

由旬十

一X

d

一↑。x

e

v

を満たす。とこで, kは波数, exとezはそれぞれ x方iち], z:.らA 向を iF寸単位

ベクトノレである。さらに 3 不規則表面上の境界条件として?ディリクレ条件

砂(z,X,ω)==0; zニ!(TXω) C 2.6 )

を仮定する。不規則表面が y方向 vC-一様であるとすると v;よTE波の

(の y成卦)でありフ ( 2. 6 )は完全導体の不規則表面忙かける堵界条件勺あ

ると解釈できる口本:章では,不規則表面の粗きが波長に 比較して

合(k d くく 27t )を考えるので, ( 2. 6 )を z= 0でティヲー展開し 3

無視して得られる近似式

グd士

Iθゆ(z,x,ω) I ψ(0, X)ω) +! (ドω) 司一|

o Z I Zニ o( 2.7)

をランダム境界条件のモデルとする。( 2. 7 )は,直線(z = 0)上でのリアク

タンス境界条件であり,実効境界条件(e f f日ctive bounda y condition)

とよばれるととがある。との特徴は, 1次の摂動項のみを含むので,計算結果

K現われる多重散乱効果が見やすいととである。

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波動方程式(2. 5 )及び境界条件(2. 7 )を満たす波動関数を求めれば,問

題が解けたとと Kなるが,具体的を計算K立入る前K波動関数 ψ(z,X,ω) の

可能な形を定めるとと Kしょう。 (2.2)VCより, f (Txω)は xとωの移動

x一-+x+a、1ノ

口O

内〆U

rt

、、与tJω→T-aω

K関して不変である。との事実K着目して,移動変換の作用素 Dを次式で定義

する。

D act (z, x,ω) =ct( z, x + a, T-aω) ,ー∞壬a壬∞ (2.9 )

との定義と(2. 3 ) VCより,移動変換の作用素 Daは群の性質

DOニ 1(恒等式), D a D b = D a + b, ( ∞壬 a,b豆∞) (2.10)

をもっ。また, Daは,マ2と可換であり ,f (Txω)を不変にするので, φ(z,X,

ω)が (2.5)(2.7)を満たせば, na ct( z, X,ω) もとれらの方程式を満た

す。そとで,以下では,

Dact (z, X,ω) = C( a,ω)ψ(z, x,ω) ( 2.11)

を満たす場合を考え, ψ(z, x,ω)をランダム固有関数, C (a,ω)をランダ

ム固有値とよぶとと Kする。(2. 1 1 )の両辺VCDbを作用し ,(2. 1 0 ) ( 2. 9 )

を用いれば, C ( a,ω)は次式を満たす。

C( 0,ω)ニ1, C (a+b,ω) = C (a,ω) C( b, T-aω) ( 2.12 )

小倉問斗84)は,ランダム媒質中の波動伝搬理論Kないで,とのようを C(a,曲)

を一般的 K研究し,ある強定常過程α(Taω) VCより,

C ( a,ω) ニ ex p〔faα(TXω) d x) 。 ( 2.13 )

と表現できるととを導いた。しかし,不規則表面Kよる波動散乱の問題では,

C ( a,ω)はωK依存しない確定値関数となる。との事実を示すため,

ゆ(z, x,ω) は入射波 ψi(z, x)と散乱波九(z,X,ω)の和

ψ(z, X,ω) =ψ: (z, x) +ψ(z, x,帥) (2.14) 1 '" ~1 ~-", I S

であると仮定し,さら VC,ψiとψsは個月IJVC ( 2. 1 1 )を満たすものとする。

Daψi ( z, X) = C ( a,ω)ゆi(z,x)(2.15a)

naψs (z, X,ω) = C (a,ω)ゆ (z,X,ω) (2.15 b) s

入射波 ψi( Z, x)はωを含まないから (2.15a)より C(a,ω)もωを含ま

ないとと Kなる。そとで, C (a,ω)をC(a)と書けば, (2.12) より

C(O)= l, C(a+b)=C(a)C(b)

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と左り,

C (a) = exp (iKoa) ( 2.16 )

と書ける。ととで K。は任意の複素数である。

( 2. 9 )と( 2. 1 4 ) ( 2. 1 5 ) ( 2. 1 6 ) VLより,関係式

φ(z,x+a,T一司ω) - Daψ(z, x,ω)

式日xp(iKoa)(ゆi (z, x)+φs (z, X,ω) )

が得られる。ととで,先ず x= 0と書き,次VLaをxと書換え, ωを TXω と

置換えると

iK...x ,.可ψ(z, X,ω) 二 eEOful(z)+115(z,TXω) J U i (Z) = l' i (Z, 0) ( 2.1 7 )

Us( z, TXω) =: l' s (z, 0, TXω)

とをる。さら (rL, (]i(Z)の関数形は,入射波ゆ i(Z, x)が (2. 5 )を満たすの

切で ?

U i (Z) ニ exp (-iKzz), KZ = Jk2で王Jで1'1:ければ走らず,結局,入射波は平面波であることがわかる。

i(Kox-K7.z) ゆi (z, x) = e .,..U" ".6 ( 2.1 8)

{[IL, (2.18)が物理的K入射平面波であるためKは, K 。は実数であり 3

Kヮは正の教である必要がある。図 2.]の入射角。oVCより?とれらは

Ko - k s iげ 0' Kz =kcosOo = .Jk2てむ"2> 0

と善かれる。

以上Kより,波動関数の可能左形は

ゆ(z, X,ω):e ikox〔合←iKzz+us(z,TXω))

( 2.1 9 )

( 2.20 )

であるととがわかる口ことで, Us (z,けは,保担1]変換 TX (rcより記述され

るから, x VC関して強定常過程(一様確率場)である口(2. 2 0 )が,周期的

回折格子VL:1~ける FJoquet の形

K円 x,.一iK., z .... ψ(z, X) = e "'U" l e 'H :t;~ + Us (z, x) J (2.21)

K類似しているとと K注目されたい。(2. 2 1 )では,格子の周期性を反映し

て us (z, x)は xの周期関数であるが, (2.20)では不規則表面が強定常過

程であるので, Us(z, TXω)が xの強定常過程となっている訳である口

-30-

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ととでは, (2.11)及び(2. 1 5 )の仮定の Fで,入射波が平面波であり,

散乱波が指数関数と強定常過程の積であるととを導いた。他の入射モード(球

面波, ピーム波)VC対する解の形Vてついては後K述べる。

( 2. 2 0 )の波動関数の形は,筆者らの研究Kより始めて見い出されたもの

である。(2. 2 0 )から導かれる一つの結論は,コヒーレント反射波(反射波

のアンサンプル平均)は,鏡面反射波のみを含む乙とである口実際, Usは x

方向K強定常過程であるから,その平均値 <U s ( z, TXω) )は xVC依存せず z

のみの関数である。そとで,とれを

Uc(z) エニく Us (z, TXω) > と書くと,コヒーレント波は

iK"x" -iKryz 、くψ(z,x,ω))=e u--le ---L-+UC(Z)J

(2.22)

( 2.23)

となる。これが波動方程式(2. 5 )を満たすとと,及び Uc(z) が外向きの反

射波であるととから,

Uc(z) = Const. e iKzz (2.24)

と走る。(2. 2 4 )は,コヒーレント反射波が鏡面反射成分のみをもっととを

示している。

同様VC, Usが強義の定常過程であるので , Usの確率分布は xの移動K依

存せず zのみK依存する。従って Us の任意次数の統計モーメントは a もし存

在すれば , zのみの関数となる。

次K計算結果の検討K便利左性質を述べたい。(2. 4 )のよう VCf( x,ω)の

i平均値が零であり,かつ,f(x,ω)と {-f(x,ω) }とは同じ確率分布K従うも

のとする九 乙のとき g 確率の意味では ,f(x,ω〉と {-f(x事 ω)} とは区

別でき左いので, φ(z,x,ω) の統計的性質は,反転 f(x,ω)→{-l( x,ω) }

K関して不変でなければ走ら左い。との結果,波動関数のあらゆる統計量Kは

d の偶数巾のみが表れ ,dの奇数巾は表れ左い。との性質は,計算結果の検討

K便利である。

上では,平面波入射を考えた。次K平面波以外の入射モードの場合を考えよ

う。ビーム波や球面波左どの入射モードはスペクトル関数φ(Ko)を重みとす

る平面披の和

りたとえば,f(x,ω)が平均値零をもっ強定常ガウス過程であれば,との性

質をもっ。

内ペ

υ

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r _ i (Kox-,Jk2てむ2z ) φi (z, X) = J e φ(Ko) dKO

K分解できるから,各部分波K対する解(2. 2 0 )を重ね合せることにより,

波動関数は,

iKox(" -iR士王手ψ(z, x,ω)ニ fe

l1¥.ox(巴 Z+U5(zffXω

1Ko) )φ(KoJdKo

( 2.25 )

と書ける口乙とで, (2. 2 0 )の UsはKoVL 依存するので Us(z, TXω lKo) と

書いた。平面波以外の入射波K対しては, (2.25)のψ(z,x,ω)は xVL関す

る非定常確率過程である口(2. 2 5 )の様vc,非定常過程が強定常過程 u日の

線形結合として書かれるととは,確率過程の表現論K沿いて興味深い ζ とであ

る。との様左非定常過程の表現方法は,筆者等が以前K開発したものでヲ 一様

ランダム媒質中の波動関数の表現K応用した(田)一制。

( 2. 2 5 )を実際の計算K応用するためには,逆変換の公式が必要と左る。

逝変換は,移動作用素 DaVC関するアーリェ積分

J ff-iい叫(z,x, lJ))d a =川市仰の叫,TX(dIKo')),t,7r ん -00

(2.26)

K より与えられる。これは, Us (z, TXω IK 。つがD旦不変であるとと?及ひ:O関

数の積分公式を用いれば,容易に証明できる。

2. 3 波動関数の表現

不規則表面の分散 02 が小さい場合を考えるので , ( 2. 2 0 )を次の形K書

き直す。

ハX"一 iK7'Z iK"z y ,-.. ψ(z, x,ω)= e

り [-e '''" "+e'--"'-+U(z, TAω) J ( 2.27)

u (z, TXω) = _

e iKz' Z十Us(z, TXω) ( 2.28)

C 2. 2 7 )右辺活弧内の第一項は入射平面波,第二項は分散 σ2 が零の平坦面

( Z = 0 )からの反射波,第三項は求めるべき散乱波K対応する口以下では,

( 2. 5 )と( 2. 7 )を解いて強定常過程 U(z, TXω)を求めるが,その前K注意

すべき考え方を述べる。

ランダム関数 UCz, TXω)の計算・表現方法Kは二つの考え方がある。通常の

考え方は, ωを固定し Uを座標 (X,z) の関数(見本関数)と見るもので,

Rice(2S)の摂動展開や Marsh(31lの逐次近似法の背景と在っている口との考えを

-32-

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用いれば,座標 (X,z) の関数としては見やすい形でランダム関数が表現でき

るが,その反面,得られた表現式から平均値・分散在どの統計量を計算するK

は不便である。そとで,以下では第二の考え方を用いる。

とれは,座標(X,z)を固定し u(z, TXω) をωの関数 g す左わちランダム変

数と見るもので,確率論でよく用いられる考え方である。確率変数の直交性

(無相関)の概念をもと Kして,通常の摂動展開・遂次近似Kよる展開とは違

った直交展開を考えるととができる。とれは展開の各項が,確率平均の意味で

直交(無相関)するもので,平均値・分散・相関々数の計算K便利である。

以下ではガウス過程の汎関数K対するとの様左直交展開(ウイナー展開)を用

いる。ウイナー展開を用いると多重散乱を含む波動関数が簡単左計算Kより得

られる利,売もある。

具体的VLU( z, TXω)を計算するため ,!(Txω)はλ軸土の複素ガウスランダ

ム測度 dB(λ,ω)VLより生成された実のガウス過程で,ウィナ 積分 C(A115)

参照〕

-f∞ iλx !(Tλω) = I e F(λ) dB (λ,ω)

一〈ヨコ

( 2.29)

F (λ) = F本(ーλ) (~30)

で記述されるものとする口と ζ で,キは複素共役を示す記号であり,複素ガウ

スランダム測度 dB(λ,ω)は,性質

dB (λ,ω)ニ dB本(ーA,ω)

くdB(λ,ω))= 0,くdB(λ1,ω)dB*(λゎω))=o(λ1一A2)dA, dA 2

( 2.3 1 )

(2.32)

をもっ複素ガウスランダム変数である。但し ,oはディラックのデルタ関数で

あり ,o(λ1 -A 2) d -1 d A 2は, A1 = )¥,2のとき徴小長さ dA2VL等しく, A,ヂ A2

のとき零に等しいものと考える。 (2. 3 0 )は(2. 2 9 )右辺が実と在る条件

である。(2. 2 9 ) ~ ( 2. 3 2 )により, !(TXω)の相関関数 Cfは,

+てわ

C f (a)ニく f(Tx+aω)!(TXω))ニ feIAalF(λ) 12 dλ ー〈お

(2.33)

と左る。従って, Wiener-Khinchinの定理Kより .1F(λ) 12 は f(Txω)

のパワースペクトノレである。また , (2. 4 ) VLより ,Cf(0)=112 であるから,

F(λ)は d のオーダーの徴小量である。後Kエルゴード定理を用いるので,

ワースペクトル IF(λ)1 2 は,連続関数であると仮定する。確率過程論でよく

-33ー

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知られている様VC,ガウス過程のパワースペクトル IF(λ)12 が 8関数成分を

もた念ければ ,!(Txω)はエノレゴード性をもつばかりではな (, !(Txw)の任

意の定常汎函数もエルゴード性をもっ(88)(89)。従って !(TXω)の任意次数のモー

メントは,アンサンプル平均Kよらず空間平均Kより得るととができ ,!(Txω)

の定常確率汎函数である U(z, TXω)の任意次数のモーメントも , zを同定すれ

ば, X VC関する空間平均Kより得るととができる。との様なエルゴード性は 9

後の 2.5 B節で光学定理の導出に用いる。

散乱波は,不規則表面の形状K依存して定まるので,波動関数ゆ (Z,X,ω)

は !(TXω)の汎関数である。ととろが ,!(1'xω)は (2. 2 9 ) vcより dB(λ,ω)

の汎函数であるから(2. 2 7 )の強定常過程 U(z, TXω)を dB(入ω)の確率汎

関数と考える。このとき 3 住i]定した zvC対して U(z, TXw)はウィナー展開

(A123)を用いて, (以下では, dB(λ,曲)を dB(λ)と略記する。〕

十∞十∞r i(Jl.j十 λz十べ入n)X

U( z, TXω )'=aA(z)+); ["... ..[" an(z, -I,λh…,入円 )t nノり nニ 1" ., Ii 11 _.= -= ( 2.34)

(n) x 11 ¥llJ( dB(λj), dBC-2),…一, dB(λn) J

の様K表現できる。ととで, (A123)の Fn(入b ...入n)を an(z,λh "', λn)

と書いた。 an (z, AJ, .…ーヲ λη)は変数 At.…."~ ,λn VC関して対材、な関数である。

複素ウイナーエノレミット徴分式 h(n)(dB(λ1),・…", dB(λn) Jは展開(2.3 4 )

の直交ペースであり, (Al 1) ~(AIJ4) の性質をもう。ととで注意すべ

きととは, h(n)の直交性 (A114)vCより(2.3 4 )右辺の各項はランダム変数

として相互K直交する(無相関である)ととである。との直交性κより Uの平

均値と分散は 3

くu( z, TXω ) >,=司。 (2) ( 2.35 )

+c丈) +cxコ

くIU(z, TXω) 1日〉ニ Ia 0 (z) I Z + J I 31 ( Z,λ) 12 dλ十2!f f I a2(z, A.1, )¥.2) 12 d-1 dλ2 一αコ -=

+ ...・ ( 2.3 6)

と見やすい形K書ける ((A118),(A120)参照 )0(2.35)VCより g 展開

( 2.3 4 )の第一項は平均値(コヒーレント部分)を表~,第二項(級数音lí )が

ゆらぎ部分(インコヒーレント部分)を示す。(2.3 6 )右辺は,非負の数の和

であるから, U( z, TXω)の分散が零であるととと全ての係数 anが零であると

ととは等価である。との性質は以下の計算K しばしば用いる。

-34-

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次VC,係数 anの z依存性を定めよう。 (2.27)の散乱波 eikox U

は波動方程式 C2. 5 )を満たすから, uの方程式は,

〔θ2θ:of¥一一+一一二+2 iKnア +(k2_K~2)iU( z, TXω) = 0 θX2 ぴZ2 --..0 ax ,-- ..0 ノ(2.37)

と在る。 ζ の方程式を左辺の分散が零であると解釈すると,左辺のウィナー展

開の係数は,上K述べた性質Kよりウィナー展開の各次数どと K零でなければ

走ら左い。そこで(2. 3 7) VC (2. 3 4) を代入して,ウィナー展開の各係数を零

とすれば, an の方程式

;;)2

{ fiuZ2

+( k2一円札1+ 品川 }an(z, )¥,1, )¥,2' ......, )¥,n)=O,

n=O, 1,2, ( 2.38)

が得られる。散乱波 eiKoxU (z, TXω) が z方向へ伝搬する散乱波と z方向へ

減衰する表面波(エパネセント波)のみを含むので, 且nの z依存性は

)

nu λ

96

入、九

ft

、n

A

qb

、lノ

n

λ

+

+

ー、九

ft

、ヲムULMH

・1ρし一一、1eノ

n

入9u

λ

、九

z

ft

、n

a

( 2.39 )

kzC入1十λ2+・+)¥,11)=/kτ(KO+)¥,I+.・1守二三0,(k2> Cい 1十十λn)2)

ニ i!aもはけー+λn)2て子, (k2< (九+λ1十日十λn)2) (2.40)

でなければなら左い。(2.3 9 )を C2.3 4 ) VC 代入すれば, U( z, TXω)は,

U( z, TXω同 oeikZ1711仙i)¥,x+ikz(λ)zh(1) CdB(λ) J

-00

てあi)¥,t.)¥,2)e i (At+)¥,2)x+iい

十… ( 2.41)

と表現される。従って, (2.2 7 )の散乱波部分は,

eiKOxU(z, TXw)=Ao 日i TM + i k z Z

+ 71 1 仙i(K 州 Xけ刊+汁i比k z仰(仏ω仙λ川)z~山仙lり代)C柑

一00

一十ト i弘λi)¥,J,)¥,2ρ山〆)eνeJi附川2ρ山加川)川加X肘H十刊ikz伏加1州+叫叫λ何 2)CdB陥川(仏仇ωλ)¥,1)ふ川),

一cx沿コ

+ ........ . C 2.42 )

と書ける。右辺の第一項は鏡面反射されるコヒ レント散乱波である。第 2項

は,波数ベクトル k=(K。+入 kz(λ))をもっ平面波(部分波)の和であり,

-35-

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kz(λ)

一一ー+Ko+入

図 2.2 散乱波の波数とプラッグペクト Jレ入の関係〔双曲線部分では

kz(入)は純虚数で,ヱパネセントな表面波Vて女、Hι する〕

その部分波のラン〆ム在振幅が A1(入)h(l) CdB(λ) )であるoζ の λは,

( 2. 2 9) (!Lより不規則表面のブラッグベクトノレである。 K。と λ,k = (Ko +λ ,

kz(λ) )の関係は,図 2.2 VC示される。右辺第三項は,二つのブラッグベクト

ノレ h とh で散乱された部分平面波の和である。各部分波の波数ベクト jレは,

k = (Ko+入r+-入2,k z (入1十入2))であり,その振幅が Az(A!, A2) h(2)である。

( 2. 2 7 )の両辺を平均し, h (n)の直交性 (A1 1 4 )を JFlいれば,

I¥."X〆 -II¥."Z 11'弘、、くψ(z, X,ω)〉=eHU 〔-e uz+(l+Ao)e uz'〕 ( 2.43 )

となる。とれより明らかVC,{--(1十Ao)}は入射波とコヒ レント反射波の関

係会与える反射係数である。 ζ の反射係数は,後K表面の等佃iインピーダンス

z s kより表現する。

2. 4 近似解の計算

もし,展開係数 Ao.Al,… '"00" ーが定まれば, (2.41)Kより uC z, Tλω) が

求められ, C 2.2 7) VCより逆VC<t ( Z, X,ω)が定まる。そこで展開係数を境界

条件(2.7 ) vcより求めよう。(2.27 )を(2.7 )へ代入すれば,

。U(z, TXω ) I

U (0, TXω )+2iKzf(T五ω)+ f(Txω)一一ァー:"':1 = υz z=O

( 2.4 4)

を得る。との左辺の各項は全て保祖IJ変換Kより生成される強定常過程であるか

-36-

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ら3 左辺全体の統計的性質は xV<:依存し左い。そとで (2.44)を確率方程式と

考えて, x=O とないて解くとと Kする。との性質は,回折格子の理論と類似

のものである。す左わち 9 回折格子では周期性のため,任意の一周期K関して

方程式(境界条件)を解けばよかった。不規則表面の場合Kは,不規則性の確

率的性質が xV<:依存しないので,任意の一点 xV<:対して境界条件を解けばよい

とと K在る。

( 2.4 1 )を(2.4 4 )へ代入して, (2.44) 左辺のウィナー展開を導とう。

まず,左辺第三項を計算する。(2.2 9 )と (2.41)V<:より,

。UCz,ω)。fCω)ーっ一一一|

υz z=o

+<わ ポヨD

= f FCλ) dBC入). C iKzAo + i f Aρ) k z (λ)dB (λ) -00 -(l(コ

+i fAih,入内休刊 ~2)Cd叫), dB(A2) J +......... ) 一α3

である。複素ウィナーエルミット微分式の漸化式 (A112)を用いてとの右

辺を再びウィナー展開すれば,

θu( z,ω) , f(ω)ーコ一一一|

uz z=o

+aコ tco +aコ

= i I kz (めA1(めF*(めdλ+i f CKzAoFC入)+2fkzCλ+λl)Ai)",¥)ず(λ1)仇 )dB(入〕-00 ー亡。-0コ

+00 "

+i JJ {す(kzC凡)A1(A,)F(λ2)十kz(吋 Aρz)F(A,)) ー吋ヌコ

+3fL(川崎z)A3(¥., A2, A)戸(λ)品}h(勺 叫 ) , dB九)J 色刷〈ヨコ

+… (2.45 )

となる。ととで 9 第 3項内の係数祐は, hとA.2V<:関して対称KするためK出る

因子である。一方, C 2.2 9 )と (2.41)VCより, (2.4 4 )の最初のこ項は

+αコ

U( 0,ω)+2iKzfGω)=Ao+ f C九(λ)+2ikzF(λ)J dB(λ) -00

+庁Az(Vz)h(川叫), dB(λ2))+......... (2.46) 一〈沿

と書ける。(2.4 5 )と(2.4 6 )の和をとれば,

-37-

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。U(z,ω) I u C 0,ω)+2iKzf(ω) + f(ω) ~ ~ ~二一一|

V u I z=o

+∞ ェ (Ao+if kz(λ)A1 (λ) F'(λ) dλ)

-00

+∞+∞ + f (A1(λ)+i(2+Ao)KzF(λ)+2ifkz(λ内 )A2(い )F恥)d-l)dB(λ)

-00 -cわ

+α3

+ff{AzCρλ h山λ-2叶 kzC川λ-1川 λり1)川 ) + ; kUz ( hM山)池州A一Cむ

+∞ +3ifkz(λ1+沿+λ3)Ai -j,¥, -3)ず(λ3)dA3}h(2)CdB(入), dB(λ2) )

-00

+… ( 2.4 7 )

となる o 複素ウィナーエノレミット徴舟式 h(n)の直交性 CA113)を用いて?と

の分散を計算すれば,

θU( z,ω) くIU( 0,ω)十2iKzf(ω)+fCω)ーゴ十一一 1 1

V L., z=O

+∞ ニ iAo+i7kz(λ)A1(λ)戸川州 2+ 1! f 1 A1 (λ)十 i(2+Ao)Kz市)

ベヨコ ーベヌコ

+ ∞+ ∞ +2ifkzCλ+入l)Az(λ'-1) F本(λ州入j1

2 dλ+2! f f 1 A2 (λ1 , -2)

一〈沿 -(Xコ

+土 kz(入1)AjC入1)F(入2)+LKヲ (λ2)Al (入)F(入1)2 . z

ート∞

十 3ifkz(λj+入2十λ3)A3 (λ1, -2, i¥3 ) F * (λ3) di¥3 12 di¥j d凡

Cわ

+一

である。との右辺は,非負の数で和であるから,境界条件(2. 4 4 )が自乗平均

の意味で成立するためKは,右辺の各項が項別K零で 7をければならない。右辺

の各積分は,絶対値の自乗の積分であるから,被積分関数自体が零でなければ

まら左いとと K左る。従って,

+∞ A。ート i.r k

Z(λ) Aj (λ) F* (λ) d入口 O

-(Xコ

-38-

(2.48)

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+αコ

A1(λ)+iKz(2+Ao)F(λ)+2ifkz(λ+λI)A2 (λ,'l) F*(入1)d入1=0 (2.49)

一-0:コ

Az (λ川→ kz(入1)A1 (入1)川 )+fh(λ2)A1 (λ2) F(入1)

寸∞

+3 i f kz (入1+λ2+川 )A3(入1(z,h)F*(入3)d入3ニ O

一-a)

( 2.50 )

等々が,同時K成立する必要がある。方程式(2. 4 8 ) ~ ( 2. 5 0 )は, Ao, A1, Aゐ

. VCついての無限連立方程式であるので,とれらを解くためKは,適当左

次数 n以上の係数 Anを無視する必要がある。もしん以上を無視すれば,

( 2.5 0 ) VCより A2が A1の関数として定まる。との A2を (2.49 ) VC代入すれ

ば, Alの積分方程式になり 3 との積分方程式を解いてんを求め,との A1をさ

らVC(2.4 8 ) VC代入すると未知量 Aoが求められる。との AoVCより, Al (λ) が

決定され,きら VCA2(λ1, '2 )が求まるととに在る。との様Kウィナー展開の係

数の方程式では,低次の解から順番K高次の解が決まる摂動法や遂次近似法と

は全〈異左り,高次の係数から低次の係数が決まる。

( 2. 4 ) ( 2. 2 9 ) VCより F(λ)が σのオーダーの徴小量であるから, (2.4 8 )

~ ( 2.5 0 ) VCより, A1(λ)は高々 σのオーダーであり, Aoは高々 d のオーダ

ー, An(n二三2)は高々I1nのオーダーと在るo Cしかし含(2. 4 1 )は摂動級数

では左いので, An(n二三 1)は正確VC11 nのオーダーでは左<, nより大きいオ

ーダ -l1m(m二三n)の寄与を含むとと K注意されたい J0 11が十分小さい場合

Kは,との様左理由で,適当な次数以上の係数 An を無視するとと Kより連立

方程式 (2.48)~(2.50) を近似的K解くととができる。以下では, A。と Aj

のみを含む一次近似解を求めるととにしよう。しかし,多重散乱を含む解を得

るため,まず n二三 3vC対して An= 0と置く。

( 2圃 50 )で A3ニ Oとすれば,

A 2 (^'I.^'2)竺 -1L(〉Ll)A1(〉Ll)F(〉Lz) 一工 k~ ('2) AI ('2) F('I) z' .' --.' .. -, "' 2

を得る。とれを(2.4 9 ) VC代入して A2を消去すれば,

( 2.5 1 )

+00

( 1十九(λ)f kz (λ+λ1) I F(入1)I 2 dλ1) Al (λ)+iK/2+Ao)F(入)

-DO

+00

+ F(λ) f kz (λ1+λ)見(II.JAI (入1)Fホ(入1)dλ1 = 0 一-a)

(2.52)

Qd

qベu

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のオーダーの第二項K比べて。1との第三項は (}3のオーダーであり,と:なる。

Aj(λ)の近似解

iKz (2+Ao) F(λ)

1 +M (λ) ,

とれを無視すれば,小さいから,

( 2.53 ) Aj(λ)三一

+c<コ

見(λ)I k" (λ+λ') I F(λ, ) 1 2 一てわ 】

( 2.5 4)

K京Iしてが得られる。(2. 5 4 )の積分は,任意のパワースペクトル IF(λ)I 2

( 2.55)

とれは !(TXω)が自乗平均の意味で 1回微分可能であるための条

dλF M(λ) =

そこで条件は存在し左い。

-1-<:沿

jλZ -aコ

く∞dλ IF(-)12

を仮定する。

件である。

A。を求めると,( 2. 5 3 )を(2.48 ) K代入して?

Lzs

n一+

( 2.5 6 )

λ

λ

一)

町一作

)一M

、ん一十

J∞

K

A。

(2.57) z s

( 2. 4 3 )にかけるコヒーレント波の反射係数は, (2目 56 ) vとより

( 2.58) 三五一12s+1

Zsを等価表面インげーダンスとよぶとと Kする。

ー(1 + Ao)

となる。

Zsの実部

インコヒーレント散乱Kよるコヒーレント反射電力の散逸を表

と書けるので,

(抵抗分)は,

Z5の虚部(リアクタンス分)は表面波の存在を示唆するものである。わし,

( 2.4 0 ) Kより次式となる。

ZJKzjd2ー (Koは )2I F ( -) I 2 d -+ i K z f /CK 0 + -) 2 -k 2" I F (λ) 12 dλ

k2 > (KO+λ)2 k 2く(Ko+λ)2

( 2.5 7 )分母の M(λ)を無視すれば,

の抵抗介は表面変動の低域成分Kより生Zs 積丹範囲を示すので,不等号ーは?

リアクタンス成分は高域成分Kよることがわかる。成され,

コヒーレント反射波の振幅が 1を超えるととは物理的にありえまいから,不

( 2.59)

との不等式‘が成立するためには,

-40-

三三 1

等式

1 1 + AO 12

が常K成立し左ければ走ら左い。

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Re (Ao)豆 o (2.60)

でなければならない。との様K負。 Re(Ao)はコヒーレント反射波を減少させ

るが,同時(rC(2. 5 3 ) (rCよりインコヒーレント散乱の振幅 Al(λ)をも減少させ

るよう K作用する口

( 2.5 4 )の M(入)と(2.57 )θZsは,共VCIJ 2のオーダーであるので,二重

散乱の効果を表す。(2. 5 3 ) ( 2. 5 6 )の AlとA。は,との様な二重散乱の効

果を分母K もつので,後の 2.6節で示すよう VC,いずれも無限回散乱をも含む

多重散乱効果を含んでいる。との様な多重散乱解は,通常の摂動法では得られ

在いものである。

( 2.5 3 ) VC於いて, Ao =M (λ) = 0 となけは,一次摂動解と一致し,

C C 1.2 6 )と比較されたい J, C 2.5 6 )の分母の Zsを無視すれば, A。は二次

の摂動解と一致する。また, (2.53)(2.57)(rCないて, M Cλ) = 0とすれば,

Bass-Fuksの解 C1. 5 6 ) ( 1. 5 9 )と一致する。とのことより,我々の解は,

従来の解の拡張であることがわかる。

2.5 散乱の統計的性質

前節で計算した近似展開係数 Ao,A1を (2. 4 1 ) (rC代入すれば, C2.27)(rC

より波動関数ゆ (z,X,ω)が確率過程として近似的K定まるので,散乱波K関

する任意の統計量を平均操作Kより求めるととができる。以下では,コヒーレ

ント散乱振幅,光学定理(エネルギ一保存員Ij) ,インコヒーレント散乱の角度

分布 3 表面波の流れ左どを計算する口とのような散乱特性を具体的@数倍的K

得る Kは,不規則表面のバワースペクト Jレが必要であるので,以下では次の有

理型スペクトルを仮定して数値計算を行った。

I F(λ) I 2

2 (j 2 κ3

n:(λ2 +1l2 )2

( 2. 3 3 ) (rCより,不規則表面の相関々数 Cfは,

- Il I a I Cf (a) エ 112 e ._, ~, C 1 +κI a I J

(2.61 )

(2.62)

である。(2.6 1 )は,条件(2.55 )を満たす。ととで,パラメータ κは,不規

則表面の相関長の逆数である。

A. コヒーレント散乱張幅

( 2.54) ( 2.56) C 2.57) ( 2.6 1 )を用いて, A。を計算した口入射角の関

数として A。をプロットしたものが,図 2.3である。 C2.57)(rCより, Zsは

-41-

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Kz=kcos{}oVc::比例するから, {} 0 = 7(/2のとき A。は零と在る。 また, 図よ

りA。の実部は負であるので, (2. 6 0 )の要請を満たしている。

九 I kσ=τTI5

0.41 lm(ん)

0.2 πno

叩 06ヒー_j_一一L一一J一一一-'----....L一一.....L_--,,--_

。口 3rt 6げ弘 900

図 2.3 A。の入射角。。依存性 ("/kニ 2)

B 光学定理

波動散乱問題Kなけるエネルギ…の保存則は,通常,光学定理(Op t i 仁川

t h e 0 r em ) とよばれる。有限の散乱体の場合,光学定理は前方散乱握幅と全

散乱断面積の関係を与える(制。1)口不規則表面Kよる散乱の場合,光学定理はコ

ヒーレント散乱とインコヒーレント散乱との電力関係を記述するものである。

とこでは,強定常過程 u(z, TXω) のエルゴード性をもちいて,光学定理を系

統的K導く。

波動方程式 (2. 5 )の保存~!IJ

div(Im(ψ本 gr adψ/k) J = 0

を図 '2.4の箱状領域で積分し,ガウスの定.f1]VCより表面積分に

1 rf_ ,, *8ψ 1 r 本 θtt-!-J ImC</,'I'-:'"'-1 )dx+-!-L ImCゆす一)dz = 0 K こf! ---, az 'zニ Zo kJSn an

( 2.63)

きi直ぜli予

( 2.64)

を得る。ここで, 1mは虚部を表わす記号, Sn は箱の側而であり, nは, So

上の外向法線でるる。(2. 6 4 )の第一項は長さ 2.e vc::比例するが 3 第二項は

f!Vc::無関係である。ぞとで,両辺を底部の長さ 2tで割り ,f!→∞の極限をと

れば,

1 im

E→∞

戸 *θψ 、

--j I叫ψγ1 ) dx = 0 2 f!k J n " a z ヮー / -f! _ ~ z~c:z 。 ( 2.65 )

円ノU

A4A

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が成立する口とれは,

単位長きあたり K換

算したとき, z方向

への電力の流れがな

いとと,つまり,不

規則表面K損失がな

いので入射電力は全

て散乱波の電力と左

ることを意味してい

る。一方?波動関数

Z

図 2.4 箱状積分領域

n

X

(2.27)は指数因子 exp(iKox) を除いて強定常過程であるから, (2.65)の

被積分関数は強定常確率過程である。従って p エルゴード定理により, (2.65)

の空間平均を 0上の確率平均K置き換えるととができる。すなわち,

*θゆ|、了く 1m( o'l'τ:!:_I ) >ニ OK (J Z I Z=ニZo

( 2.66)

とれは?不規則表面Kよる散乱問題について一般的K成立するエネルギ一保存

則である。 ζ とで重要左ととは?統計量としての保存則(2.66 )が成立すれば,

個別の(見本過程としての)保存則(2. 6 5)が逆K成立するととである本。

( 2.6 6 )の左辺ifL(2.27) (2.41) を代入して,ウィナ 展開の係数 Ao,Ah

A2,…… K よる光学定理を求めよう。(2. 6 6) VC (2. 2 7 )を代入すれば g

tIm〈〔 JKZZO卜E-ikzzv〕[ikzE ikzZO寸 iKzeiKzzo苧J>寸νZ

( 2.67 )

と左る。との左辺は,強定常過程の平均値であるから, x Vc依存しない。

そこで, x = 0とかいて以下の計算を進める。(2. 6 7 )へ(2.4 1 ) を代入す

れば,次式となる口

り とれは 3 次の様な例がありえないととを意味する。

1 wの電力が入射するとき,ある見本表面では 2wの散乱波があり, 55IJの

見本表面では Owの散乱披があって,とれらを平均すれば散乱波は 1wであ

り,統計的Kは保存則が成立する!。

43-

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一 00

bmく{JikzZO山 ば)iikzzoJJ J~勺 1,I¥.z, "', I¥.山 i山内+内)zon=lー∞

Xh(n)* [dB(入1),dB(λ2 ),・" dB(入h)J}・{+iKze一ikzZO+ikz(l+AJ)E+iIfzZo

∞寸∞ I I ! • _! ... ! _!, + i kry (ギ1++λ~ ) Zo +iJj j kz(入1+λ2+・+仏)An (札芯, ,λi)e

n=l ーくわ

X h(n) [dB(ズ1),dBC込),・", dB(仏)J } >ニ O C 2.68)

(Al14)VCより次数の異在るウィナーエノレミット多項式は i直交するから,各

i欠数ごとに平均値を計算すればよい。 0次 1次, 2次についての計算を以下

K示す。

、l〉』

「iJ

AU

7LM 7LM

Y

、もAI

+

aし、、,J

nu A

E「l

rtt

、ヲムU

K

+

〕勾ゐ

7U

K E

ヲLU

K

+

fIL

--ノハU7LM ク

ιuk

0

・u、3ノ

*

O

Aι +

4.,ムfik

B寸。

ヲLU

z

k

・1+

e

flk

、JJr

j

al、m

I

o

l一k

〆t

K'7 K'7の

ご一~+ ~ !l+Aハ IZ

k k II

C 2.69 )

( 1次)

7ぺ -iJ4'Cλ)Zo .~*ア'\ 1 I .......! ¥ト ikdX)z。、て 1mく(I A~( λ) e U " dB'f'Cλ) ) ( i J Al C入)kz (λ)e'!. VdB(X)) > 山由ベヌコ 一00

→D:)

=~ Re I f A:Cλ州 CXhz Cど )ei(kz(入')一時代)) Zo O Cλ-X)品川

一一D:)

入Ju

nv

qb 、I

J、3ノλ

/t

、、ヲムU

LMH

「Lm

ymA

ワム

OL

。L、JJ

、ん/dh

、A

、h

,Jλ

Frt

・、qb

k

piJ切

ρL

R

l一k一一

=tikz(λ) IAl (λ) ! 2 dλ

(Ko+λ)2くk2( 2.7 0 )

ととで, kz C入)が実である条件(2.4 0 )を用いた。〔不等号は積分範囲〕

( 2次)

;Imく(ffAf(h山一 ikz* (い2)Zo h(2)* CdB(λ1) ,日(λ2)J ) ー 「ヨコ

X州(μiJ庁;7O:ユ、、kzμいE匂μZ〆(川λ川川:い+X記2 川一亡x幻コ

8q

s斗品

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+∞ 本 i C句作;+λ~)一ぜ(λ1+入2)JZO 記号ニReff f fA:Cλ1,λZ)A2 CX1, A.{) kzCλi+λ~) e 一一-00

xo(λ1--λ'1) O (λ2-λDd入1dλ2 dλi d叫

引 4∞ -2 ImCkry (A'l十恥)J z" ニヰRefJk

z(入1+λ2) I A2(λけ2)12 e - -L, -" "- - - U d)¥,1 d)¥,2

ー- ー〈主コ

4fJh(川)I山内)12 出 1 仇

CKo+λ1トλ2)2くk2

とζ で,A2()¥,L A2)が)¥,1とλ2 Vc関して対称であるととを用いた。

同様の計算Kより, (2. 6 8 )は結局,

K'7 K'7 .0

~ニーム! l+A" 1" k k U

」 仁ロ

( 2.71)

(2.72)

+f匂1:n! j---f kz (λ1十ーはn)I An Cλ1, )¥, 2,・ 0 …, )¥,n) 12 d)¥,j d)¥,2….. dλn

" n=l CKO十)¥,1+…入日)2くk2

となる。とれは,展開係数 Ao,Al,……・で書かれた光学定理である。左辺は単

位表面長K入射する電力であり,一方 3 右辺第一項はコヒーレント反射電力,

級数部はインコヒーレント散乱電力である。右辺全体は全散乱電力であり,と

れが左辺の入射電力と等しい。級数部の各積分は, (2.40)より, z方向へ伝

離する部分散乱波の電力の和であり,表面波成分の影響を含ま左い。

(2.7 2 )の右辺各項は全て非負であるから,不等式

R e (Ao) < 0 ( 2.7 3 )

が成立し左ければ左らない。とれは, (2,5 9 ) vc沿いて物理的考察K より予想

したものであるが,光学定理Kよれば 3 コヒーレント反射電力の減少がインコ

ヒーレント電力の増加となるものと解釈できる。

光学定理(2. 7 2 )は近似を用いずK導いた厳密式であるので,前節で計算し

た近似解の精度の検討K用いることができる。

図 2.5は,有理型スペクトノレ (2.61)VC対して光学定理の関係を計算したも

のである。ととで,コヒーレント反射電力は(2. 5 7 ) ( 2. 5 8 ) VCより計算し,

インコヒーレント散乱電力は (2.53)の A1(λ) のみで評価した。表面の粗さ

パラメータ kO'が増加するとき,コヒーレント反射(図の曲線 a)は減少し,

逆Kインコヒーレント散乱電力(曲線 b)が増加する。全散乱電力(曲線 c)

-45-

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は,ほほ入射電力K

等しく,光学定理が

近似的K成立すると

とがわかる。しかし,

ko > 317:/16 では,

全散乱電力は入射電

力よりも小さくなり,

前節の近似解は,も

はや光学定理を満た

さ左い。この様な領

域では, Az, A3左ど

を含んだ高次の近似

解が検討されi1:けれ

ば左:ら左い。

1次摂動解では,インコヒーレント散乱電力が,,2 02 VC比例して増加するの

K対して 3 図 2.5では k202 VL正確Kは比例しない。とれは, ( 2.53 )の Al

(λ)が多重散乱効果を含むためであり z 問題の非融形性の表現とも見るにとが

フ.oDプ云'úlコ lマゲ~t'.'ð司、).

↓ ユの幽 i詩集 I}

民dn明

記一

ω30仏凶

〉 ti=O トヨ出

常図 2.5 光学定理の表面組さ依存性 (κ/k=2)

a コヒーレント励4電力, b インコヒーレント棚、電力

c 全散乱電力(aとbの和), d :λ身1電力

できる。

C. インコヒーレント散百しの角度:舟布

散乱波の平均値部分(コヒーレント反射波)は鏡面反射成分のみをもち,平

均値を差引いた変動部分(インコヒーレント散乱波)が全ての方向への散乱波

を含んでいる。入射角を 0。とするとき,。方向へ散乱された部丹波の電力ブ

ラックス(ポインテング電力)の平均値を入射波の電力フラックスで正規化し

た量をインコヒーレント散乱の角度分布 (angu!ar distribution of

incoherent scattering) とよぶとととし, S ( 0, 00)で表す。

す左わち, dtJを徴小角とするとき,

dO方向K散乱された部分波の平均電力フラックスS(O, 0,,) dtJ= 一一一一一一一一一一一一 一一一一 (2.74)

。 入射平面波の電力フラックス

である o との定義Kより , S(tJ, (0

)の次元は(ラグアン)一1 と在る。とれは,

単位開口長をもっレンズKより焦点 F0 VL収束されるインコヒーレント散乱電

力の平均値K等しい(図 2.6参照)。図より明らかVL.焦点 F。で受信される

電力は,長さ (costJ)-1 をもっ表面部分が散乱する電力の一部である。散乱

46-

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Z

」キレ X

図 2.6 インコヒーレント散乱の角度分布の説明

角。が π/2VC漸近するとき,長さ(c 0 s O)-}は発散するので, s ((), ()o)は無限

K広い表面からの散乱の場合Kは合理的左概念である。

きて, ( 2. 7 2 )は単位表面長あたりの関係式であるから,上の定義Kより,

7(/2

f S((), ()o) cos () dO →v2

仁D 目?

= .sとf-..f九kz(λhい1

n=l k

CKo+λ1+…+λn) 2くk2

( 2.7 5)

が成立する。との右辺は λの積分であるから,角度 θへ変換するため,

Ko+A.1+……+λn=ksinO

kz (λ1+λ2+ …・・+λn) ニ kcos θ

dλ1 - kcosO dO

と置き,図 2.2の関係を用いれば,

+0:コ

( 2.76)

S({}, {}o)=kcos{} {IAρ) I 2 + 2! f I A2 (λ,λ-A.) 12 dλz.....}, (2.77) -00

λ= k s i nO -k s i n O.。

となる。(2. 5 3 )を用いて,とれを近似的K評価すれば,

47-

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k3 cosθcos20ハ 12+An12IFCksinO-ksi nO凸)12

SCO, (),,)ごと一一一一一一一二一一一 v 二 一 一 ( 2.78) U 11+M(ks id-ksi nt)|2

である。ととで, Fの変数は,入射角。。の平面波を散乱角。をもっ平面波へ

変換するプラッグ・ペクトノレである。但し,。と 0。は z軸/(C関して相互K逆

方向K測るものとする(図 2.1参照)。

図 2.7は?インコヒーレント散乱の角度分布を描いたものである D 不規則表

面のノf ワースペクトル C2.6 1)が原点 (λ=0)で最大と在るので, s (0, (0)

は鏡面反射方向 (θ ささ 00) で強〈在るはずである。しかし, I 0 Iが大きいと

とろでは悶子 cosOが効くので, θ。よりも小さい Oで Sは最大値をとる。

5(8,も)

0.10

( r-1)

0_05

図 2.7 インコヒーレント散乱の角度分布 (ka=7(/10, IC/k = 2)

( (} 0 入射角 o 散乱角)

日 単位面積あたりの散乱断面積(レーダー断面積ゾ

S({), ()o)は長さ (COSO)-l をもっ表面部分からの散乱電力K関する量であ

り, (ラジアン)-1 の次元をもっO そとで,とれを単位表面長(単位面積)

あたり K換算するととも K無次元とした量

単位衷面長より dO方向へ散乱される部社波の平均竜力フラックスσo (() I 00 )d{)=27τ一一一一一

入射波の電力フラックス

( 2.79)

を定義し,単位長さ(単位面積)あたりの散乱断面積という。等方散乱の場合,

す左わち, (2.7 9 )の分子が恒等的VC(1/27()VC等しい場合 ,ao({)IOo)=l

-48-

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となる。〔ととで g 単位長とは凹凸のある表面Kそって調IJった長きでは左<,

x軸の長きである。二次元表面の場合,孫数 27(は 47t{1C, df}は徴小立体角

dfl !iL変更する必要がある Jo (2.74)と(2.? 9 )を比較すれば,

a 0 ((} I () 0) = 27( C 0 S () S ( {}, () 0 ) (2.80)

である ζ とが容易Kわかるo S (0, f)o)は?あらゆる散乱角 O!iL対して有限で

あるので 2

lim (10(0100) = 0

0ー》士7(/2

(2.81 )

が成立し左ければなら念い。本論文で求めた解は 3 との性質を満足するが,一

次摂動解の場合kては,しばしば (2.81 )右辺は正の数Kなる。とれは, s (8, 80)

が 9→士7(/2の極限で発散するためで苦物理的K誤った結果である。

( 2.8 0 )の関係を用いると?光学定理(2. 7 2 )は

{1-I 1十AolZ}cosOo出会Joo(t)IOo) dtJ

と書くととができる。とれは 2 コヒーレント散乱電力の誠少が,全散乱断面積

K等しいととを表す。

( 2.7 8 )と(2.80 )を用いれば ,0"0(0100)の近似評価式として,

。o(sI IF(ksInO-ks nOo)12

)ご27(k3coS20coszlJ.凸 12トAnlZ一一一一一一一一一一一一V'- --U' 11十MCksinO-ksinθ。)12

(2.82)

が得られる。容易K分かるよう!iL,とれは (2凶 81)を満た y 0

E。表面波電力の流れ

入射平面波は, z方向K指数関数的K減衰する表面波を励振する。この表面

波の平均電力流を計算しよう。表面波野ら (z,X,ω) は Al のみを用いる近似

では, C2.42)VCより,

、、lJ

λ

J'色、、B

d

qL

)

λ

frL、、η

L

WK

・-pu x

、んρャ

、、『Jノλ

/a

‘、、-A d

k

¥〉〆?白、ーノλ

品目dro

f

X

/

L

O

K

;a ρし~一

、、『Jノ

hu vA

qb

〆Fil

‘、、Qd

v

(2.83)

と書ける。右辺の積分は, kz Cめが純虚と走る A 領域上Vてとられる。位置一一一一一 ι (訂一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一り筆者の初期の口同文 では, (2.74)の Sを散乱断面積とよんでいるoPe昌keの

論文闘では, 41rsを散乱断面積とよんでいる(但し 3 二次元表面)。とれら

は s 通常の定義 (2.79)とは異在っている。また, Ground echo K関しで

は ,(J 0ではなく,散乱係数(ffO/coslJがよく用いられる開。

-49-

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c X, Z ) VLかける x方向への表面波の電力フラックスは,

x (ぐ(Z, X,ω)θ 貯、p~ (z, T ω) = 1πl一一一一一一時cz, X,ω) ト

l kθX ~,-, .-, J ( 2.84)

であるが,とれは X VC関して強定常確率過程である。(2. 8 3 )を用いて,右辺

の平均値を求めると?

1 r. ... '. -2JCKo+λ)2_k2・z

く見 Cz, TXw))コ~ I (Koト入)IAl川 |2e dλ C 2.85 )

(Ko十入 )2)k2

と走り,高さ zの増加ととも K表面波の電力フラックスが減少するととを示す。

そとで , (2. 8 5 )を zVLついて債分した量

∞~ r (Ko+λ) I Al (λ) I 2 PS

ニ Jく見(z,TXω ))dz:':::: I 一 一 一 一 一 ー で dλ C 2.86) 2 2k/eKa王訂てk2。 (Ko+λ)2)k2 ~.-. '''u

1f:定義する。とれは, z軸の正の部分を通過する表面波電力流の平均値である口

但し, X 方向への流れを正とする。

C 2. 5 3 )を(2.8 6 )に 代入して, p を数値計算した。その結果を図 2.8 VL s

示す。垂直入射 C{}o=O)では?幾何学的対称性Kより x方向への流れと -x

方向への流れが等し

いので,全体として

PS

は零と左る。ま

た水平入射 C{}O=

7t/2 )では,表面の

単位長K入射する電

力が零と左るため,

PS

は零となる。 ζ

の結果 {}o竺 450付

近で,表面波の流れ

は最大と左っている。

引 X/k=~ ko-:;:TT/l0

02

0.1

60" 900

図 2.8 表面波電力流の平均値 c{} 0 :入射角?縦

軸:入射平面波の電力フラックスで正規し

た量であるため,長さの次元をもっo J

-50-

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2.6 ダイアクeラムi去による多重散乱の説明

ウィナー展開の利点は,複素ウィナーエノレミット徴分式の直交性と漸化式が

既知であるので,計算が系統的⑩組識的に進めうるととであり,また多重散乱

を含む近制解ーが容易に得られるととである。しかし,ウィナー展開は,確率平

均の意味での直変性K基づく展開であるので,得られた結果が,どの様な散乱

のプロセスKよっているかという物理的意味は見K くい口との様な欠点は,波

動散乱の論理よりも確率的・統計的性質を優先させる計算法一ーたとえば,ラ

ンダム媒質中の波動伝搬理論I'Lj.;~ける Fokker-PI 呂 nck方程式側,モ メント

方程式, C P A近似一ーがもっ共通の欠点である口一方,摂動法のよう¥'L,波

動散乱の論理を優先する計算法では,計算を系統的K進める Kは不利であるが,

多重散乱の物理的プロセスを素直に表現するので,得られた結果の解釈が容易

とまる。

そ ζ で?との節では, Frεilikher-Fuks のダイアグラムによる摂動級数

表示(部,)(iLより,コヒーレント散乱波を導出 l,ζれと比較する ζ とVとより 2.4

節の近制解がどの様な多重散乱を含むかを検討しよう。

( 2. '7 )は平面(z口 o)上での境界条件であるので,鏡像法Kより平面のグ

リーン関数 G。を作るととができる。すなわち, RIとR/を図 2.9の距離とす

るとき,第 2種ハンケノレ関数 HJ2) を用いて

i fn(2)(I.n ¥ ,,(2)(,-,.,1¥) Go (R)zz{Ifo(kR1)Ho (kRf)} ( 2.81)

Z

~ (Z,X)

R, I I ' I

(Z" x, )

R =.;子工子

と置けば, ZIニ O のとき

Go(R)=O, (ZI=O) ( 2.88)

一ー-X

Rlj,. 。G内 (R) iθ 一二斗二斗=一一:-Ho (kR1), (ZI = 0) θZI 2θZ I i

(2.89 )

(-Z,x)

図2同 9 距離 Rl, RI2の定義

を満たす。

r内U

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( 2. 8 7 )を用いれば,グリーンの定理Kより,波動関数 ψ(z,X)は

?00ι(R,) I ゆ(z,X) =九 (z,x)+ljt7よ |ψ(0,X1) dXj

一∞. Iz 1= 0

(2.90)

と書ける。ととで ,ct(z,X,ω)をωを落としてや (z,x)と書いた口約。 (z,X)

は平坦面(z = 0 )上の解で,

iK"x _ -iK.,.z iKヲ Z九(Z,x) = e‘一U"C-e ---"'--+e---'"

である。(2. 7 )と(2.8 9 )を用いれば, (2_90)は,

+0:コ

( 2.91 )

I r θHo(kR1) θy tt (z,x)=ψ。(z,x)- j 一一一一 l一一Cf(TX!u))ψ(0, X 1)) d X J ( 2.92 )

U'~'''/ 2:!..∞ aZj

I aZ1

Z)=o

と書き直せる。これを p 逐次近似Kより解けば,ノイマン級数

戸同(kRj) a (.,"'X. _.¥.1. (n •• ¥i ψ(Z , X)司人 (z , X) 一~ I 一一一一一一 (f(TXjω)れ (0,X 2) J d X 1 o '~'''/ 2二コ0 8Z1 8Z1L U J

I-CO斗v:.コ合同 (kRj) θ x θHo(kR1Z) θ x

+(j)工す7Z1{KTIt127df(Th)唱(川

十 ...・..・・ ( 2.93)

が得られる。右辺第 2項の i重積分は,表面の不規則性Kよる単一散乱を表し,

第 3項は二重散乱を表現している。一般VC,ノイマン級数 (2.93) vcがける n

重積分項は n重散乱を表す口(2.4 ) VCより !(TXω)は 01 のオーダーであるの

で,単一散乱はどのオーダー“であり , n 重散乱は σn のオーダーと~るとと

がわかる。このよう VCI1のオーダーと多重散乱の次数が一致する ζ とは,近似

境界条件( 2. '7 )の利点である。

( 2. 9 3)の一般項は複雑であるので g 図形(ダイアグラム)で表現しよう。

そとで,

ψ(z, x) = =一一, くψ(z,x) >コ一一一一

( 0) 九 (z,X) ニ一一一

oHo(kRー可 θ (-t ) f dxzウzfGf (TXlω) -1

( 2.94)

(2.95)

( 2.96)

(2.97)

と右辺の図形で表現すれば, (2.93)はダイアグラム (bare diagram)

-52-

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+…ー・・(0)

十--<1>

1

(0) +

(0)

(2.98) 3 2

多重散乱のプロセスが見やすいととでζ の表現の利点は,Kより表示される口

で再散乱で散乱された波が位置 Xl位置 Xzたとえば,右辺第 3項は,ある。

されるととを表現している。

の右辺の平均値を計算しよう。右辺のランダム関数は黒丸で(2. 9 8) 次VC,

!(TXω)の統計モーメントが計算できればよ示した !(TXω)のみであるので,

の公式(A 24) !(TXω)が平均値零の定常ガウス過程とすれば,Lぺ。

( nが奇数)

= ~ T丁く!(TXJω)!(TXkω)> all . (1, k)

palf

。く!(TXlω)!(TxZω)…… !CTxnω) > =

(nが偶数)

C 2.9 9)

さらK平均をとる対を破線で結

.. . I k

の記号を用い,( 2. 9 'l) とこで,が成立する口

び,

(2.100) :〉Clk=く!(TXjω)!(TXkω)>ニく?

あらゆる対分割Kついての和であるから s

-一三〈戸--旬、、、,-、、、、、"、、、ふ.. ~ +.. .. ~ ~ + ~⑤@、⑩3 4 123 4 1 234

(2.9 9 )は,

.. .. 1 2

と書くこと Kすると,

たとえば,

(2.101) く.. .. .. .. > 1 234

C14 C23 + C13 C24 + C12 C34

( 2. 9 9 ) ~ ( 2. 1 0 1 )を用いれば,を平均し,(2.9 8) きて,と書ける。

戸、、 fヘ (0)十--<トー__.__.ト一一@一一一一

1 2 3 4

くゆ (z,X) >

(0) ,'--'. (0) エ一一一+

1 2

+~つよえぐ\、 (0) ーー‘ル一回一四@山一一一。ーー-4俳句一一一一ーー1 234

,ノ,ヘ-", ". (0) 』一一噛」一一@ー_._一一@一一一@一一一一一 +・・@日砂1 234 5 6

(0) -ー骨

3 4

.'、、舎一_..1 2

(0)

田町、一 、、、..、F一山市吋俊一一.....,........_吋1 2 3 4

〆¥J 、

L-4J¥bJ¥¥ 1 2 3 4 5 6

(0) +

(2.102) 十+

さらVC<φ(z,X) > vcついての積分方程式 (Dyson方程式)

(2.103) 一一 一 一 暢 一 一 一

円。rD

+ (0)

これは,となる。

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K書き直すととができる。 ζζ で大きい黒丸は, Mass operatorとよばれ,

〆....-....." ...、/占-;-......~--...,

• = ふ一一一ゐ + ムーふトーゐ + ふーふ一、トーゐ +一ー一12 1234 1234

( 2.1 04)

で与えられる。との右辺は, Connected diagramの和であって,切断でき

左いダイアグラムのみの和である。(2. 1 0 3 )が (2.102) と等しいととは p

(2. 1 0 4 )を用いて, (2. 1 0 3 )を逐次近似の意味で級数展開すゐ ζ とKより

証明される(94)。

( 2. 1 0 4 )または(2. 1 0 2 )の総和を求めれば,コヒ レント波〈件(Z, x) > の厳宿解が得られるととになるが,これは不可能である。そこで, (2. 1 0 4 )

の右辺第一項のみを用いてコヒ…レント波を近似的K計算するととが多い。

ζ の様左近似は, Bourret近似または first order smoothing 司ppro-

x ima t i onとよばれる口

( 2. 1 0 4 )の第 4 項のみを用いる Bourret近似ではヲ(2. 1 0 3 )は,

(0) 、白一四国由一:二 一一同一一 + 一一一一@一一一一一一一骨-園田田町四 ( 2.1 05 )

1 2

と在る。この右辺を逐次近似級数K展開すれば,次の級数の総キ[]v<:等しいとと

がわかる。

(0) , 、 (0) " ヘ¥frヘ " (0) 十 一一一@一一---"が一一一一一一 + ---<ト一一--'e一 一φ一一一--<歩一一 一一

1 2 1 2 3 4

¥ノ ¥ 〆" (0) 十 一 4ト一一噌一一一一←一一+一一一一@一一一十一一一一一 +・・

1 2 34 5 6 ( 2.1 06)

とれは, (2. 1 0 2 )の部分和であり,特別の形をした偶数回散乱の和である。

( 2. 9 4 ) ~ ( 2. 9 7 ) , (2. 1 0 0 )を用いれば, ( 2. 1 0 5 )は逆K積分方程式

K書き直すことができる。すをわら,

くい(z,x) >サo(z,x)+'寸E3172型記jiT21くf門)げ川

×よくψ(い 2)> dXl dX2 υZ2

( 2.1 07)

である。 ζ こで, Rl2は (XJ, z)と(x~ , Z 2)との距離であり,微分は Zlニ Z2 =~ 0で

の徴係数を表すものとする。

( 2. 1 0 7 )を解いて,コヒーレン卜波く ψ(Z,X)> を求めよう。 ζ のため,

-54-

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限v'to. _ ". - "". ....".

くφ(Z,x) > = e 山o~c一日山Z'"+ ( 1 +Ao) e lK z Z ) ( 2.4 3)

1 ∞ i )¥,(XI-X2) iN-)¥,2 (2J -Z2)

日。(kR12)=てー j立一一一一立一一一一一一一 d入, (ZI-Z之 0)

品切 JlZ2で)¥,2- (2.108)

と置き, C形式的左)関係式

件。 (0,x) = 0 ,

くφ(0,X) >ニ εikoxA09

去くφ(0,X) >ニ iKz(2+1¥0 J官 iKox

(kRJ l i T∞iλ(X-X, ) 一一 i t--je i dλ=-2io(x-xj)

Z1 2 1 z i rふ

-to:コ竺也生~12)I ニ~ f JlZ2=i'2 ~ i λ(Xj-X2) iJZ, aZo __ _A 7t 一

回 ム一 一…

7002iMXl-xJ TX]ω)!(TX2ω) > = r I F(入~ I巴

叫i)(コ

を用いて, (2. 1 0 7 )を計算する。その結果,

dA

( 2.1 09)

( 2.11 0)

( 2.1 11 )

(2.112)

( 2.11 3)

( 2.33)

Aeikox o

一1JO

( kR2) 玉一一一一"く!(Tx liU)! (TX2ω)〉e oX2dX2

z (} Z 2

サ'UJ -Yr -t∞

=一(合トAo剛志)hxzeikoX2jlF九 )!2e (XZ-Xl)勺 λz

- -00 ---{)(コ

i入1(XI-X2)1 '" ~"'.L ~~[., _. dλ1

ーべコo

+∞ =一台 l.I¥.oXKzC2+Ao)f IF(λ)12kzCλ) dλ

ベXJ

が得られる口とれを解いて Aoを計算すれば?

2Z~ “一-4σ l ート Z~

oつfzECz J kz川 !FCλ12 d入

-=

C 2.11 4)

( 2.115 )

(2.116)

となる。とれは, B品ss-Fuksの解(1.58) (1. 59)~: 同じ式である。もし分

-55ー

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母 の M(λ)を無視すれば,我々の解(2. 5 7)は (2.116)と一致する。

従って(2. 5 7 )は,級数(2. 1 0 6 )よりも多くの項を含むとと Vてなる。実際

(2. 5 7 )は, Mass operatorとして無限級数

924二ぃム三ム+s三ふーらト +.…・・

( 2.11 7 )

用いたものと一致するととを次K示す。(2. 1 1 7 )と(2. 1 0 3 ) ( 2. 1 0 9 )

Kより, z -0 vてかける Dyson方程式は 3

寸 一一@一一←品一一-3---一一一一- - _,ーー,一, 一、

一、--、、、,一、、一'十一 一 向 @ 一 一 一 + 一 一 一 場 一 一 一 @ 一 一 一 一 秒 一 一 一 帯由世間 十 ・・・・・・・・ ( 2.1 18)

と書ける口との右辺の第 2J頁を(2. 9 4 ) ~, ( 2. 9 7 ), (2. 1 0 9 ) ~ ( 2. 1 1 3 )

を用いて計賞すれば?

E

斗{)コiK

一「べXコ 一〈立冶コ

となる。同様の計算Kよりヲ右辺第 3項は,

一 W.:> 斗αコ

( 2.119 )

ニ ε内 XKz(2+Ao) I (λ) I F 0') I 2 ( -_ kz仏)f kz (λ1十入)1 F(入J)12 dAj Y dλ 一--ctコ ー〈わ

C 2.120 )

と;去るので,一般の場合

」一一一一ーn個の対

日→ 〈 わ が 〉。

ニ=-e ll'lcoXKzC 2+Ao) fkz{λ)1 2(-kzCA)JkzCλj山)1 F (λ¥ ) 12 dλ1〕11dλ

一〈氾 〈ヌコ

( 2.121)

となることが予想される。従って (2.118)右辺の総和は 3

-56-

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f kzCλ) I FCλ) 12

一 寸eJi汀出K川t

J 1 +kzCλ川)f kz Cλ+λ1) I F (λ1) Iド2 d品i仇λlー-<x)

ox jTOO L(λ)IF()¥,)12

=-e - --V-

Kz C2+A凸)I ..=_,一一一一一ーで一一 dλU40 1+M{九

(2.122)

で与えられる。乙とで M(λ)は (2.54 )で定義された関数である。(2. 1 1 8 )

の左辺は, C2.110Hcより AoeiKox VL等しいから,結局,

Ao =ー2Zs

l+Zs (2.123)

7∞ k",Cλ) I F(λ) I 2

Z" = K~ I -丘一一一一一一 一一一 dλb L401+M(λ)

( 2.1 24)

となる。とれは,我々の解 (2.56)(2.57 と同じ式である。

(2.117)をMass Operatorとする多重散乱を 9 遂次近似級数で書けば,

( 2. 1 1 7 )の各項のあらゆる積からなる多重散乱を含む ζ とが容易Kわかる。

従って, (2.56) (2岨 57)は,そのよう在多重散乱を含んだ解であるととが結

論できる。

ts

「「

υ

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表 2.1 回折格子の理論と不規則表面Kよる波動散乱理論との比較

不 規 制 表 面

表面 l周期性( a 周期)

Zエ f(x)=f( x+呂), (一∞三二x豆∞)

f(x)は周期関数

解の形

(Floguetのj杉)

iK円 x.... ~-iKワ「e'''U''r e .,.乙 +u(z, x) J

U(z, x)=U(z, x+a)

x VC関する周期関数

確率的一様性(D:見本君間2ω:一昨ド点)

z =f (Txω) , (一∞三二x三三∞)

f(Txω)は強定常確率過程

iK円I{ /一 iKヴ z ~, e ーリー fe L-+U(z,T ω) I

u ( z, TXω)

x¥iL関する強定常確率過程

解法 I0 フーリエ級数

oフーリエ振幅を求める口

。任意の l周期Kついて解〈口

。ゥィナ 展開

。展開係数(関数)を求める口

。任意の l点 x(rCついて確率変数

として解〈。

思 想 I1.連続関数として境界条件を満た I0 自乗(確率)平均の意味で 2 境

す。 I 界条件を満たすよう K展開係数

(Rayleighの仮説) I (関数)を決める。

2.境界条件K関ナる自乗平均誤差

を最小と左るよう K部丹和のフ

ーリエ揺幅を決める口

(R昌yleighの展開定理)

光 学 I(完全導体表面)

定理

nu 一一x

d

「』l/

φ'

o一月内*

φa一k

/ーにm

y--

a「110

1一a

( 1周期の平均)

乙 松本 θm-J IIn(一ーや)dx

2tt tt kOz

ゆ本 θ ニく 1m(一一一ゆ)> = 0

kθz

(エルゴード性,任意の l点で 1

の確率平均 /

円。Fhu

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2.7 まとめ

A. @1折理論との比較

との章で展開した散乱の確率理論は,回折格子になける周期的表面の仮定を

確率的K一様な不規則表面K置きかえたものであるので,回折理論のアナログ

ーとして容易に理解するととができる。表 2.1は,回折理論と対比したもので

ある。

B. 成果

この章の第一の成果は,不規則表面が強義の定常確率過程であれば,散乱波

の形は指数関数と一様確率場の積K書けるととを導出したことである。とのと

とより,コヒーレント反射波が鏡面反射成分のみをもっととが直ちK導けた。

コヒーレント波のこの性質は,従来,計算Kより経験的K知られていたが,不

規則表面の確率的一様性の論理的帰結であるととがわかった訳である。第二の

成果は,ウィナー展開を用いて未知の一様確率場を計算すれば?簡単左計算に

より多重散乱を含む解が得られるととを明らかにしたととである。実際,我々

の解は,従来の方法では導きえ 7まいものであり 3 摸動解, Bass-Fuksの解を

拡張したものであった。第三の成果は,新しい光学定理を導いたととである。

とれは,入射電力とコヒーレント反射電力,インコヒーレント散乱電力K関す

る厳密式であるので,近似解の精度の検討K用いた口数{直計算Kより 9 我々の

解は,表面粗きが小さい場合Kは光学定理を近似的K満たすととを確かめたり

C. 問題点

散乱波が外向伝搬波と表面波の和で書けるとする Rayleigh の仮設をもと

vc,散乱波のウィナー展開を与えた。平面上のリアクタンス境界条件( 2. 7 )

K対しては?とのような展開は無条件K成立すると考えられるが 2 ー般の境界

条件に対しては,ウィナー展開が不規則表面をも含む領域で収束するとと,少

なくとも自乗平均収束するととを仮定する必要がるる。しかし, ζ のような

Ra y 1εigh の仮説の確率関数への拡張は,未検討の事項であり 9 今後の検討

Kよらなければならない。

不規則表面Kよる波動散乱は,非綿形の問題であるので,将来K沿いても厳

密解を得るととは困難であり》近似解析Kよら?をければならないと考えられる。

解析の近似誤差は?光学定理及び第 4主主で述べる j境界条件K関する誤差vt:よっ

て定性的K推定できるが,これらは直接的ではないので,厳密解ψと近似解φa

との差を何らかの方法で評価することが望企れる。有限の散乱体の場合や回折

-59-

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格子の場合Kは,差 IO-CTaIを評価する方法が知られているが(76),無限の不

規則表面K対しては,とのような評価法は確立してい左い口たとえば,自乗平

均誤差く lct CTa 12 >を定式化するととができれば 3 種々の解法の有効性を論

ずる重要左手段と在ると思われる。

UFO

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第三章一次元不規則表面によるスカラー波の

散乱(ノイマン条件)

3. 1 まえ が き

前章では 3 一次元不規則表面Kよるスカラー波の散乱を,確率過程の考えを

もとに定式化し 9 統計的散乱特性を解析した。表面の粗さが波長K比べて小さ

いと仮定し,ディリクレ条件を展開して得られる近似境界条件をモデルとした。

との章では?ノイマン条件を展開・近似して得られるモデル境界条件K対して,

同様の解析を行う口

ディリクレ条件の場合Kは通常の;摂動論を用いても近似解が得られる口しか

し,ノイマン条件K対しては摂動法は有効左解析手段では左い口これは,

Rayleighの回折理論(1. 3 E節)と同様,一次摂動解が発散するためである口

さら(rC,二次の摂動から得られるコヒーレント反射披の振幅は 3 水平入射(図

3. 1 VCて()0 ,= n/2) VCかいて発散する。

このよう念発散の困難をさけるため, Bass-Fuks(却は,波動関数を平均値

(コヒーレント波)と変動分(インコヒーレント波 )VC分割する計算法を用い

た(1. 3 G節)。この方法Kよれば,コヒーレント散乱振幅はあらゆる入射角

K対して有限で発散することは念いが,インコヒーレント波の発散は解決でき

ない口

この章の問題は,外見上の簡単さ Kもかかわらず,現在K至るまで未解決で

あり,この意味で新しい問題と言えよう口本章では,ウィナー展開を用いる波

動関数の計算法を用いて,コヒーレント反射とインコヒーレント散乱VCJ,~ける

発散の困難を解決 L,散乱K関する種々の統計量を統一的@合理的K導〈。

ノイマン条件K対する散乱の特徴は, a) インコヒーレント散乱の指向性が,

水平方向(図 3.1で O三士n'/2となる方向 )VC異常K強〈念ること, b) 水平入

射 (() 0 = 71:/2 ) VC近いある入射角のとき,コヒーレント反射がほとんど消波し,

インコヒーレント散乱が逆K支配的Kまることでおる口このよう念異常散乱の

原因及び不規則表面上を伝搬する自由モードとしての表面披モードについて,

3. 5節で考察する 0

3.2 問題の定式化

無限の 1次元不規則表面Kよるスカラー平面波の散乱を考える(図 3.1 )口

不規則表面は,ガウス強定常過程でおり, (2.2 9 )と同じウィナー積分

-61-

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--kX:l : '>. v r' -- 1凡 x

z =1 (Tλω) ェ I e '.F (λ) dB(入), (一∞壬x:s;!∞) (3.1) -00

F(λ)ニ F本(一入)

で記述されるものとする。複素ガウスランダム測度 dB(入)の性質(2. 3 1 )

( 2.3 2 ) vcより, !CTxω)の平均と分散は,

くz)=く1(TXω ) ) = 0

寸D:コ

ヴ2_くf2(TXω))= f IF(λ) I 2 d入一〈わ

(3.2 )

( 3.3 )

と;/J-:る。ととで d は表面粗きの実効他で,長さの次元をもう。波動回数ψ(Z,

X,ω) は自由空間Kかいて予波動方程式

〔マ2十 k2J砂(z,X,ω)ニ 0, (z > ! CrXω) )

な満たし?不規則表面(3. 1 )の上でノイマン条件

δゆ/、τご = O , (zzf(TXω)) un

Z

色。♂θ

(3.4 )

(3冒[j)

国 3.1 不規則表面による平面波の散乱 (tJo:入射角, ()散乱角)

を満たす。但しヲ θ/θn 仕法線微分である。法締ペクトル n は,座標~iill 方向の

単位ベクトノレを DX,e z と書けば,

df 、n cι i一一-e +e_ )

、 dx X Z'

であるから,境界条件(3. 5 )は

df aif; aifJ ~ 一ー ャ ー -..

dxθxθz u,

(3.6 )

(z=!(TXω) ) (3.7 )

x とも書ける。 ζ の条件が意味をもっためKは, ! (Tω) の微分が存在しなけ

-62

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れば~ら左い。そこで,条件

4亡。

jλ2 I F(λ) 12 dλ く∞べIコ

C 3.8)

を仮定するロこれは, f (Txω)の微分が自乗平均の意味で存在する条件である。

以下では,表面粗き d が十分小さい (k 0'くく 27t)場合を取扱うので, C 3. 7 )

を展開して得られる近似境界条件

dfθtt . att . r a 2 tt 一一一 一一+一一 +f一一一=O. ( zニ o)

dxθX a z - a Z2 (3.9 )

をランダム境界条件のモデルとする。これは,平面(z = 0 )上の境界条件であ

る。

( 3. 1 )が y方向K一様左完全導体の不規則表面の式であるとすれば,波動

関数 ψ(z,X,ω) は磁界の y成分, Hy, であると見なせるo す左わち,

TM波の散乱を論ずること K左る。

不規則表面が強定常確率過程であるから,平面波

ψi (z, x) = exp(iKox--iKzz)

が入射するとき,波動関数は強定常過程 U( z, Txω)VCより

( 3.1 0)

ハ/一 iKryz iKryZ v , 。(z,x,ω)=e---U--le 乙 +e---<'-+U(z,Tω)l ( 3.11 )

と書ける(2. 2節)。ここで, K。と(-K z )は入射波数ベクトルの x成分と

z成分であり,図 3.1の入射角。。と次式の関係Kある。

Ko = k s i n {}o, K zニ R 士KJニ kcos{}o > 0 ( 3.12 )

(3. 1 1 )右辺Kかいて,括弧内の第一項は入射平面波,第二項は平坦面 (aニ 0)

からの鏡面反射波,第三項は表面粗き Kよって生ずる散乱波である。この第三

項の U(z, TXω) を以下で計算する。

強定常過程 U(z, Txω) は,不規則表面 f(TXω)の汎函数であり,または.1)

Kより複素ガウスランダム測度 dB(λ) の汎函数でもあるので,前章と同横K

ウィナー展開Kより表現できる。散乱波 exp(iKox) U (z, Txω)は,波動方程

式 C3.4 )及び遠方 Cz→∞)での放射条件を満たすから,

U(z,T b A o e i h jtNeiMiゆ )Zh(l) C dB(λ) J べIコ

+庁Aん似2〆(川山〆i(い2ρ)川X一-0沿コ

十........ ( 3.13)

つdρnυ

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と書く。とれは, (2.41)と同じ方程式であり,入や λ1,-2は不規則表面のプ

ラッグベクトノレである。 kz(入)は,波数ベクトルの z成分を表す関数で,

kz(入)ニベど百五日二三 0,{k2註(Ko十入)2 )

=i イ(Ko十入)2-k2 , (k2:豆CKo+λ)z )

( 3.14 a)

(3.14 b)

である。(3. 1 4 a )は伝搬する平面部分波VC,(3. 1 4 b )は表面波(z→∞で

減衰するヱパネセント波)~C ,それぞれ対応している。 A。は定数 p んや Az

はランダムでは左い通常の関数であり, Anは n個の変数K関して対称左関数

である o また, h (n)は付録 Aで定義した複素ウィナーエノレミット微分式で,

(Al11)~(A114) の性質をもっ。

( 3. 1 1 ) (3. 1 3 ) (A 1 1 4 ) {rCより,コヒーレント波は,

jK~x/ -íK~z iK~z くψ(z,X,ω) > = e ,ao A C e '''z 十(1+Ao)e'''z'') ( 3.1 5 )

と?をる。明らかVC( 1十 Ao)はコヒーレント波の反射係数である七複素ウィナ

ーエ Jレミット微分式の直交性 (A114)により, U C z, TX(U)の自乗平均値は,

次式で」与えられる。

ート-00

くIU(z,TXω )12)=IAoI2+.(-IA1(A) 12e-2ImCkz0.)zJ dλ

--00

+∞ L -2 ImCkz (入1十λ2)Z) 十 2!Jf lAzC入1,)¥'2) 12 e ------,L - . "- - -d:λ1 dλ2ート ・ C 3.1 6 )

一-aコ

被積分関数中の指数因子は,表面波の影響を表している。また, ζ の右辺(rJ非

負の数の和であるから, u (z, TXω) が自乗平均の意味で存在すゐためKは

(有限であるためKは ),右辺の各項が有限値を取る必要がある。従って,任

意の z(二三 o) VC対して左辺が存在するための必要条件として

1 Ao 1 く∞ (3.17)

00

n! f-..f IAnC入1,-2, "', λn ) I 2 d -1 d -2 ... d入nく∞, (n=l, 2,"') (3.18) --00

が得られる。次節では,との条件を満たす A。と Alを求める。

(3.16)VCむける指数因子は, zが大きいとき, ImCkz(λ) ) > 0と走る λ

K対して急激K誠衰ずる。つまり, z→∞では表面波の寄与が無視できるとと

VCj去る。従って,波動関数の分散は, zが大きいとき

り前章(2. 4 3 )では, Ey成分の反射係数であったが,とれは HyVC対する

反射係数であるので,位相が zだけ異在る。

-64-

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くiψ(z,X,ω) 一くゆ(z,X,ω))12) , (z→∞)

=く 1U( z, TXω) ーく U(z, TXω)) 12 )

ニ fl日)12 dλ + 2!ff 1川 λ2) 12品 1d '2 + ...... (3.1 9 )

(Ko+λ)2くk2 (Ko+λ汁λ2)2くk2

K漸近する。後の 3.4節では,との右辺第一項を近似的K求める 0

3.3 展開係数の近似解

ウィナー展開 (3.1 3)の展開係数 Ao,A19 -…,が定められれば, ( 3. 1 1) VC

より波動関数ψ(z,X,ω)が逆K求まる。本節では,境界条件( 3. 9 )を!日いて2

展開係数の近似解を計算する。

( 3. 'gJ VC ( 3. 1 1 )を代入すれば, U(z,TXω)VC対する境界条件

θU d f θUθ2U 百一孟(iKo (2+U)ト石)+f(-2Ki-十五γ〕ニ0,(z = 0) ( 3.20)

を得る。とれは,強定常過程 f(TXω), U( z, TXω) のみを含む方程式であるの

で, X 0と置いて確率方程式と見なして解くととができる。

( 3. 1) ( 3. 1 3 )を(3.2 0 ) VC代入し,複素ウィナーエノレミット徴分式の漸

化式 (A112)を用いて g 左辺全体を再びウィナー展開し,各次数どとに展開

係数を零とかけば,

( 0次)+=

iKzAo -f (k; (λ)+λ(λ+Ko) ) Al (λ)F本 (λ)dλ-0, 一-<JO

(3.21)

( 1次)

ikz(λ)A1 (λ)一(2+ Ao) (Ki -λKo) F (λ)

+00

-2 f cλCKo+λ+入1)+k~ (λ+λ1) JF*(入1)A2(λ,'l)dλ1 = 0, (3.22) -00

、、,ノ内時

υ

ruqd

fi、、

、、,ノλ

/l

lノ

F

λ

rlk

、‘,ノIR

A

)

f

μ

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A

f

u

、J

A、J1J

、ん

)J

f‘

、F

。,U/

,E・、

LLzz

LM品

、,ノ一

唱目晶、、,ノ

+

+

h

r吋

ft

ft

冒A

λ

λ

「L

f

L

1一21

一2

+

、‘f'

'A

λ

入/

1

、9L

A

、、,ノT・4

λ

+

λ

〆d

‘、ヲLμω

,‘

、‘eJ

.咽且

次qL

F'es

-I-<::xコ

-3 f CkZ2(λ+λrト入2)+λl(Ko+入+入1十λ2)JA3(λ九月2)F*(入2)dλ2 = 0,

一てわ

等々を得る。 ζれらは g 展開係数K関する無限連立方程式であるので,解く K

は適当な次数 n以上の係数 Anを無視する必要がある。(3. 3 ) VCより F(λ)

が d のオーダーの関数である ζ とK注意すると, (3.22) VCより kz(λ)A1 (λ)

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は高々 a1のオーダーであり , (3. 2 1 ) (3. 2 3 ) VLより KzA。と Kz(λ+λI)X

A2 Cλ, i¥ 1 )は共に高々ポのオーダーの微小量であることがわかる口とのことか

ら,十分小さい (J V[対しては, んを無視することができる。しかし, A。は

ポ/Kz のオーダーであるので, KZが零K近いとき Kは,かならずしも微小

量では左<, A1 (λ)は(J/kz(λ)のオーダーであるので, kZ(i¥)三 O のと

きKは異常K大きくなりうる。

方程式を簡単Kするため,先ずんこん =0と置けば, (3.2 2 )より

~. i (2+Ao) CλKo-Kz2 ) A, (λ)一一一一 F (λ) (124)

l' / k z (λ)

-I~ ~,-+- _.= 0EJ i" l~, .." _.J /T'.._倒を得る。これは B昌 SS-Fllks のh法で得られるものごあゐ o :また Aoニ O

となけば一次摂動解と一致ナる。との右辺は, σのオーダーの微小量であるが,

RJyleighの摂動解(1. 2 7 )と同様, Rayleigh波数

kzCλ) ニ.(kττT瓦;工巧2'= 0,

Ko + -=士 k ( 3.25 )

K対応する λで発散し,かつ,条件 (3.1 8 )を満足し左い。従って 7 散乱波の

分散 (3.1 6 )は発散すること K在る口しかし,とのよう左発散は物理的Kはあ

りえ左いので, (3.2 4 )の近似精度が R品yleigh波 数 (3. 2 5 )κ 対しては思い

ことを意味する。

近似精度を上げる Kはヲ先K無視した A2 の効果を取入れる必要がある。

そ ζ で ,A3ニ O と置き, ( 3. 2 3 )からんを求めれば,

i Cλ(K()+入l)-k/(λ1)J A2 (λ,λ1 )二一一一一一旦一一_::l,一二一一一 A1(λ,) F (λ)

" 2 kz (λ+λ1 ) .". ,

i Cλ(Ko+λ) -k; (λ) J 十一一ーム~~一一一一ι一一一一 Al(λ) F(λ1 )

2kz (λ+-1)

を得る。これを (3.22) VC代入し, A2を消去すれば,

( 3.26)

f yo〔K2(Ko+入1+入)(Ko+λ)〕2-1Hkク (λ)+I 一一一一一一一一一一一一一 IF(入1)1

2 dλ1 } A¥ (λ) l"Z' / ~ k

Z (λ+λ1 ) .i"'" I 1 J

+ ( 2 + AO) (λKo-Ki ) F (λ)

F Ck2ー (Ko山 1)(Koは +λ1)f .~* +iF(川 i 一一一一一一一一一 F~(λl)A, (λl)dλ1 C.-= 0 ( 3.27 ) 40 1Ez(λ+λ1 ) .... '¥. . -J../ ~ ~l

を得る。ととで,{ }の中の積分項は, んから生じる補正項である O 左辺

第三項はポの オ ー ダ ー で , 第 二 項K対する補正であるので,これを無視する

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と, Aj Cλ)の近似解

i C2+Aο) CλKn-K7.2

) A]Cλ)三日ー り り ~FCλ) ,

kz Cλ)+krCλ)

1 -1団Ck2ー CKo+λ+λj)CKo+λ)J2 rCλ) =~ I ← 一一一一一一 IFCλ1) 1

2 dλ1

k ~ kZCλ+λ1)

C 3.28)

C 3.2 9)

を得る o r Cλ)は σ2 のオーダ の複素数(無次元の数)であるので, C 3.28)

右辺は Rayleigh波数 C3.2 5) VL対しでも有限で発散し左い。しかし RayJ-

eigh波数K対しては,分子が d のオーダーで分母が a2のオーダーであるので

I A1 Cλ) 1は l/a のオーダーとをるとと K注意する必要がある。一方,

kz Cλ)戸 Oでは,分母の krCλ)は無視できるから, I A1 Cλ) Iは σのオーダー

である。とのため, I A1 Cλ) 1

は Rayleigh 波数を与える

λK対して鋭いピークをもっ

(図 3.2 )。

波動関数の分散が有限であ

るため Kは, A1 Cλ)は C3.1 8)

の条件を満たさ左ければ左ら

左い。そとで,図 3.2のピー 0.1

クが C3. 1 8 )の積分K与える

影響を簡単K見てなとう。

I Al (λ) Iの半値幅を 8λ と

むけば,

IA(A)II一 kK= 2

kσ=刊110

300

10

Lk

q司日'h

LK

吋〆色

0.01

-3k

岳、 図 3.2 関数 1A] Cλ) I Koト入ニ土 k+ぷλ

1 kz Cλ)I=IR寸瓦石ず|竺J五 118王I~ a2 C 3.3 0 )

Vとより,

8λ.~ a 4 C 3.3 1 )

である口そとで,との様左ピークの 1A]Cλ) 12の積分への寄与は , C高さ l/(

2)

x C幅ポ)であるから,a2のオーダーである。つまり,近似解 C3. 2 8 )は,条

件 C3. 1 8 )を満たすととが確かめられた口

後K数値計算例を示すが,散乱波の分散は a2VL比例し, ポ → 0のとき零K

左る。とのととは,表面粗さが消厳していけば散乱波は平坦面からの反射波K

収束するととを意味するので,物理的Kは当然のととである。しかし,との収

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束は自乗平均の意味Kすぎない口実際,a→0の極限Kないて, I Al Cλ) Iは,

kz C入)メ Oでは零、K収束し, kzCλ)=0では発散する。

ζ の事実は,摂動法の欠点を明らかK している。即ち ,l/a VC比例する鋭い

ピークをもっ解は ,aの正巾のみで展開する通常の摂動法では得られ左いもの

である*。別の見方をすれば,摂動展開は λに関して一様な近似を与えないと

も考えられる。

ウィナ 展開の利点は,波動関数の発散という解析上の困難を高次項からの

補正を取入れるととによって容易K解決できるととである。1::TC,補正量は,

導出のための特別の考察を必要とせず,機械的lと計算するだけで得られる。

次VC,定数A。を計算しよう。 C3.2 8 )を C3.21)VC代入してん(λ)を消去

すれば,?Ck2_ CKo+入)Ko J2

K7Aハ+(2+An)||F( λ) 12 dλ=0 Z-..U '_..U' J

∞ kzC入)+kr (入)

とれを解いて A。を求めれば,

2L Ao =一一一一_i2_

1 + Zs

とi.tる。ととで, Zs は不規則表面の等価インピーダンスで

1 r∞ C k2ー CK。+A)KOJ2一一一|一一一一 1 FCλ) 1

2 dλ S KZ J_

∞ kzC入)+krCλ)

C 3.3 3)

C 3.3 4)

C 3.3 5 )

である。 C3. 1 5 )にかけるコヒーレント波の反射係数は, C 3. 3 4 ) VCより,

1 _ Zc

1 + An =二一一ι.>l..り 1+ Zs

C 3.3 6)

となる。 C3.3 4 )は,前章 C2. 5 6 )と全く同じ形であるが, Zsは前章 C2.57 )

と異なっている。 C3. 3 5 )の特徴は, Kz=kcosOoCOo 入射角 )VC逆比例す

るととである。

C 3. 3 6 )より, Zs = 0はコヒーレント波の反射係数 1VC対応し, Zs =∞ は

逆相反射 C1 + Ao ) = _ 1 VC対応する。もし Zs= 1であれば,コヒーレントな

反射波が全くない状態Kなる。ととろで, C 3.3 5 ) vcより Zsは高々 02のオ一

本) しかし,摂動級数の総和(または部分和)を解析接続すれば ,l/a VC比例

する解が得られる。 C3.2 8 )の分母を kn Cλ)メ Oと仮定して展開すれば,z

C 3. 2 8 )は aVC関する高次の項(無限個の項)の総和である。従って C3.28)

は摂動級数の部分和を解析接続するとと Kより得られるはずである。

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ダーであるから,通常 (l+:Ao)~l である。ととろが, Zsは KzVC逆比例す

るので,入射角。。が土 n/2 VC近ず〈とき発散し,との結果, ( 1 +: Ao) = - 1

と左る。との状態では(2 +: Ao)= 0と左るので,(3.28)VCより Al(入)ニ Oと

なり,インコヒーレント散乱が消践するとと Kなる。 Zs自身は複素数であるか

ら, Zs = 1と在るととはありえ念い。しかし, ()oご n/2 のとき,近似的K

Zs::::= 1と在るととはありえる。とのよう左入射角。oVC対しては,コヒーレン

ト反射がほとんど消載する。

との現象が 3 誘電体一真空の平面境界Kなけるプリユースター角と類似して

いるととを指摘したい。プリユースター角Kないては,誘電体境界からの反射

がほとんど消蹴し,入射電力はほとんど透過するO 不規則表面の場合Kは,あ

る入射角。。でコヒーレント反射がほとんど左〈念り,入射電力はほとんどイ

ンコヒーレント散乱電力と在る。両者K共通するととは,との様念特異現象は

入射電界が入射面内Kある TM披の場合K発生するととである。

( 3. 3 5 ) ( 3. 2 8 )は分母K関数 r(入)をもっため,後の数値計算がやや複雑

と在る。そ ζ で,とれらを近似して簡単化するととを考えよう。先ず, (3.35)

では, r (λ) = 0としても右辺の積分は収束するので,

Z" ::::: _l__ f+= C k2ー (Ko+λ)KoJ2

-=-Y;:-J 一一一一一一一一一一一 1F(入)12 d入 (3.37) 且z ニ∞ kz(λ)

と近似する。(3.2 8 ) VC拾いては, kz ()¥.)〆 Oでは, r (λ)の寄与は小さいの

で, Rayleigh波数K対する補正

戸∞ νIF(λ) 12

r'=r(k-Ko) =r(k+:Ko)ニ kJ r.ワハ、、rdλ (3.38) -00

を定数として取入れるKとどめ

i (2寸A凸)(λK白 -Kl)A,(λ)こーニニニ立三二 U, 孟 F(X)

l' J kz(λ)+: kr' (3.39)

と近似して次節の数値計算を行う。また, (3.26)のん(λ,A.J)は条件(3. 18)

を満足し念いので無視する必要がある。(3.1 8 )を満たすんは,んからの補

正を取入れれば得られるが,ととでは省略するo

Zsを (}2 のオーダーの徴小量とみ在して (3.36)を近似し. (3.37)を用い

れば,

• ~ 1 ')'7 _1 _ 2 1∞C k2-(九州)K。〕2

1+:ん、21-2ZJI--l a二一 I F(刈 12 dλ 4 勺 s ~ Kz土∞ k

z(λ)

(3.40)

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と左る口とれは,通常の二次の摂動より得られるものである。との右辺は,

Kz=kcosOO=Oで発散する。とのため,入射角。。が大きいとき Kは,正し

いコヒーレント散乱握幅を与えず, I 1 +Ao I > 1と左るという物理的K も誤っ

た結ー果を導く。

3.4 散乱特性の計算

前節で展開係数の近似解を得たので,本節では,それを用いて散乱の統計的

特性を計算する。数値計算のため,前章では有理型スペクトノレ(2. 6 1 )を用い

たが,ことではガウス型スペクトル

I F(λ) 12 =とz f x p (JM)も7(

( 3.4 1 )

をもっと仮定する。(2. 3 3 ) ( 3. 4 1 ) Kより,不規則表面の相関関数は,

判 ( 3.4 2 )

と在る。ととで, κは相関距離を表すノf ラメータで,長さの元をもっ。不規則

表面の傾きの実効値は, (3.4 2 )を用いて

Hf~手;Lρミ戸I _~ニマヂI一一り t

( 3.43)

と左り,表面の高さ u と相関距離 κ との比と在る。(3.4 2 )にむいて κ 》∞と

すれば?

1 im 1(-→CXJ

02 IC - κ2 )¥,2

一一=-e イす02 O (λ) ( 3.4 4 )

である o IC -∞は p 見本過程としての表面K凹凸が左<,表面の位置 zがガウ

ス分布K従うとと K対応するので 9 物理的意味はない。しかし?との性質は数

f直計算プログラムのデバッグK便利である。

A. コヒーレント散乱

( 3. 3 6 ) (rCより,コヒーレント波の反射係数は(1 + Ao)である。(3.4 1 )

と(3.3 7 )を用いて,数値積分Kより Zsを求め,さら K ( 3. 3 4 )を使って Aa

を計算した。図 3.3は, Aoの入射角。。への依存性を示す口 θ。ζ600 のとき,

A。の実部はほぼ 2k2 02 で小さいが ,()。が 90

0(rC近づくとき,急K変化して

- 2 (rC近づく。とれは, Zsが Kz=k co s 00 (rC逆比例するためである口図 3.4

は,反射係数 (l+Aa)の振幅と位相を入射角 K対して示したものである。入

射角が 900近傍で位相が急激 K変化し,振!幅 Kディプを生ずる。との振幅・位

一70

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0.5 kK205 ,,J/'¥¥

一-ed--J//1/角---------ニ-/201 一一一一一一一一一一一一一一一一一 一一

Ao

-1.0 kCT=π"/10

却し←十一」ー___ .1. o 30

一一一一 Re{A.,)

ーーー一一 Im(A.,)

印El..(DEG)

図 3.3 A。の入射角。。への依存性 (κ は相関距離)

90

相特性は.誘電体平面境界 K名、けるプコースター角と見かけ上よく似ている。

(たとえば?文献(1)の P3 8 ,図 L2 2と比較されたい〕口

1.0

100

jいA..I

塁間} kσ=TT!IO

Q5 40 90 +

F

)

0>

kσz明10 ゐ 45

。 。。 30 60 80 1!5 90 。 JO 60 関

9.(OEGl 9.(OEG)

図 3.4 反射係数(1 +Ao )の張幅と位相

-7 1-

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B. 補正量 r'

近似解(3.3 9 )は,分母K補正量 7'を含む口表 3.1は, C 3.3 8 )を数髄積分

K より求めたものである。相関距離のノf ラメ タ kf(.が大きく左るにつれ, r'

の値は実部・虚音1Iとも K小さく在る。 ζ れは,被積分関数が因子 ν をもつの

で? κが大となりスペクトルが原点(入ニ 0)(rC集中する Kつれて積分値が小と

在るためである o f(.→∞の極限にないては, (3.44)の性情Kより, .=c 0と

左る o r'の虚部が負であるのは, k z (λ)の定義(3. I 4 b ) VCよる。

表 3.1 補正量]"' (式(J 3 8 ) ( 3. 4 1 ) (rCよる)

kκ ザ/C k2 (

2)

O. 5 Q 6 5 9 8 --Q 9 9 4 8

1.0 O. 2 8 3 2 _. O. 1 6 9 8

1.5 立 12 4 5 --Q 0 8 5 6

2. 0 Q 0 7 4 7 --Q 0 5 7 2

C側散乱波の分散

摂動解では,散乱波の分散は発散する。 Lかし,前節の近似解では発散 l1:-ず予

散乱波の牙散は有限Kなる口(3. :3 9 ) ( 3. 1 9 ) VCより zニ∞での分散v;l:,

似的K

2 ", r-.._, ! q [!I. !2 f (λko kiJ)2 くiφ(z,X,ω)一くψCz,X,ω))12):::::::12ト 1" I “一一一一一一 IF作)12 dA J Ikz川十kγIi 2

(Ko十λ y く k~ ( 3.45 )

と7士る。(3. 4 1 )を用いて,との右辺を数値権分し?その結果を図 3. ~ï vc示す。

k u が小であるとき 9 分散はほぼ 1;:2 02 t!C比例するが, kσ二どだ/ノ8 引では?分‘散

の増加の割合が減少している。とれは kびが増えれば, H (/¥0)が減少し?

ーまた γFが増加するためである。さらvc図 3町 5bでは kaの増大ととも vc牙散が減

少することを示している。とのような分、散の減少は物理的にありえ在いので 3

A1Cλ) の近似解が ko 二三万/8 では近似が;~< ;J:るととを示唆し七いる口

D. 光学定理

2. 5 B節と全く同様の計算?とより光学定理が導ける口実際, (3. fJ )を仮定

れは、, (2.7 2 )と全〈同じ

IL 0 Kー∞ f" r 17zz l l+Ao i2τz.+ .In! J ….J kZ Cλ1一向+ー + 'n) I An (入 ・? 入n)1

2 d ・ d'n s s nニ 1

(Ko十 'J+':rl-… 'n)2くk2( 3.4 6)

L可

i

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Jヘ

N4三VA3みk1.0トrkJ<=2

a〆1ぷ 1.0丈 i kK = 1.0 モヨ」、、,

三;}..

v 0.5ト // 4 0.5

n/8 ττ14 ,---'一一一-'--.A一一

kcr

。。 11/8 kσ

-rr/4

a) kK = 2 b) kK = 1

図 3.5 散乱波の分散 ({}o .入射角, κ 相関距離)

が成立するととがわかる。 ζ の左辺は単位表面K入射する電力 3 右辺第一項は

コヒーレント反射電力,級数部はインコヒーレント散乱の電力である。図 3.6

と図 3.7は s 光学定理を描いたものである。と ζ では,インコヒーレント散乱

の電力は Al(λ)のみKよって求め, A2以上り高次項を無視した。図 3.6は,電

力の関係を表面粗さ kd の関数として書いたものである。 kdが増加すると,

コヒーレント散乱電力(図の曲線呂)は減少し,逆K インコヒーレント散乱電

力(曲線 b)は増加する。全散乱電力(曲線 c,旦と bの和)と入射電力(直

線 d)との差は,近似Kよる電力誤差を示す。 ζ の誤差は,相関距離が大きい

k /(ニ 2では,入射電力の約 3~ぢと小であるが, k!'C = 1では kdの増加とと

もVCj!曽力目している。

図 3.7は,電力の相対値を入射角。。の関数として書いたものである。コヒ

ーレント散乱電力(曲線 a)とインコヒーレント散乱電力(曲綿 b)は歩入射

角ととも K大きく変化するが,全散乱電力(曲線 c)の変化は比較的少ないO

k !'C = 2の図 aでは,電力誤差は 3%以内で小さいが, k!'C = 1 (図 b)では

約 10 %と大きくなっている。とれは, Al (λ)のみを用い,高次項を無視した

ため,インコヒーレント散乱電力が過小K評価されている ζ とを示す。本来A2

からの寄与である r' を考慮してんを補正したKもかかわらず,インコヒ一

一73-

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レント散乱電力の A2 項を無視したととが直接の原因と考えられる。実際,表

3. 1が示す様VCk Kが小であるほど r'が増加し p 電力誤差も増加している。

以上:のことからヲ前節の近似解は,表面の粗きが小さく (koくが/8), かっ,

表面の傾きも小さい (1,,<>2)ではよい近似解を与えるものと言えよう。

出凶

30a比』

:>

Fhd

ハu

日ト〈」凶ぽ

1.0

町比一己点。

ι

只M

ハU

U〉日ト《」凶ぽ

1.0 d

日。コcf

kKコ20

a

G O 廿18 Tτ!ι

a)kK =2 kσ

d

由。=d'

kK:コ1.0

b

。吋8 吋4

b) kK = 1 ~ kσ

図 3.6 光学定理(表 面粗さ依存性)

a コヒーレント周す電力, b'インコヒーレント散乱電力,

c 全 髄L電力(aとbの和) d:入射電力

一74-

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d C

1.0

Eピ弘」

3:

~ 0.5 w ココ・

}ーc:c .....J

w cr:

90

9o(OEG)

85 日330 。。

kK =: 2

d

Rd

nu

t凶

30止

凶〉目白F〈」凶ぽ

ヨ08o(DEG)

85 60 30 。。

kK

光 学 定 理 ( 入射角依存性)図 3.7

b :インコヒーレント散乱電力

d :入射電力c .全散乱電力(aとbの和),

rD

i

a コヒーレント威す電力,

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E. インコヒーレント散乱の角度分布

( 2. 7 7 )と(3.3 9 ) vr:より,インコヒーレ Y ト散乱の角度分布は,

SCO,(0):::::k312+AoI2 co竺旦二虫色主弘主 IF ( k s i n 0 -k s i n e 0) 1 2 ( 3.4 7 ) 1 cosO+r' 12

となる。 C3. 4 1 )を用いてとの右辺を計算した結果が図 3.8である。この図の

大き左特徴は, () ::::::n/2 (rc ないて鋭いピークが現われるととであ。 IAtCλ)1は,

Relyleigh 波数 kz(λ)=kcos(}=Ovr:かいて異常K大きく:なるが, dλ から

dOへの視Ij度の変換(2. 7 6 )が因子 C0 S 0をもうので, s (0, (}o)は θニ7(/2

で零と左り?ピークは 0::::::7(/2 で現われるとと K在る口

1.2 凶く'"2.0

kcr二 打110I f rf' 1" ~. I

0.2

{radT

r V_~.J Iこ己主室長二ゴ長40_6

80 90 。(DEG)

(~剖)1

。台6

0.4

明 80 ヨ0O -9{)時80 o e (DEG)ぽ) 90

図 3.8 イ Y コヒーレント散乱の角度分布 (θ:散乱角 ,p! 相関距離)

F. 単位面積あたりの散乱断面積

単位面積あたりの散乱断面積は, ( 2.8 0 )と(3.47 ) VLより

coff 0 C 1---sinO sinθ J2 ポ ((}IOo)二 27(12+AvI2ピ一一一一一一一.VO--'_1 F(ksinO-ksinOO) 12

I co sO+r' 12

( 3.4 8)

-76-

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と書ける。後方 ((}=-{}O)での散乱断面積を aB({})と書けば, (3.48)!tCよ

りaB ({}) = aO ({) I-{})

0IS2 {} (1+sirt {} J2 竺~ 2πI 2+A

O 121♂ IF(2ksin{})!2 (3.49)

Icos{}+r'12

となる。ととで, I FC¥,) 12は A !tC関して偶関数である ζ と,あるいは(3. 1 )

を用いた。図 3.9は,a B ({})を書いたものである。定義Kより(}B ({})は無次元

の数であるから,図の縦軸は対数(デシペノレ)で表示した。。が小さいととろ

では, 0 d Bをとえるととがある。とれは,等方散乱のとき od Bとなる様!tC,

散乱断面積を定義したためである。

1次摂動解は, (3.39) !tC:h~いて Ao ニ r' = 0 !tC対応するので, 散乱波の分

散やインコヒーレント散乱の角度分布念どは発散する。しかし,散乱断面積だ

けは,摂動解Kよっても発散するとと左〈有限{直で求められる口

実際 ,(3.49)VCかいて Ao=r'=Oとすれば,

a B(θ):::::: 8πk3 c1 + sin2 {} J2 IF(2ksin{}) 12

10

{①}白む

ー10

(08)

-20

一一一一一陀RTURBAIDN

kσ=π110

世 3% 60 90 e (DEG)

図 3.9 後方散乱断面積

〔実線:(3.49),破線:(3.50) J

-77-

(3.50)

1.01'

kσ=rr110

p s

(m)

四 0.5

流』

力。

電均

平の波

O

3

表nU

U

q

4

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となる。入射角。。が小さいとき Kは, A。はノトさく?介母の r'の影響も少

ないので,我々の(3.4 9 )と(3.5 0 )との差は少左い口しかし, (3.5 0 )では,

o B ( n/2) > 0であり, C 2.8 1 )の要請を満たさないが) (3. 4 9 )では,

I 2十Ao12 と cos2{) がいずれも零と左るため,常(r(0 B ( 71.'/2 )二Oとなる o

G. 表面波の流れ

( 2. 8 6 ) I([ (3. 3 9)を代入すれば,表面波電力流の平均値

1" (Kn十λ)()"K" --Kヲ )2 IFC¥) 12

士三:.I 2+A" i 2 I こー ーと 二 一一一一一一一一一一一 d)¥.り J 2k v'~KO+λ.)2-k 2 Ik z Cλ)+'kγF! 日

( 3.5 1 )

(Ko十i¥)2 > k?

が得られる o p s は z軸の正の部:牙を通過する表[I)官波の王F' 電力であ1., 0 数

計算の結果そ図 3.1 0 vc示す。相関距離が小ざい(k K ニ 0.5,1) とき人射

と逆のブ]ftiJへ表面波軍力が流れ, k ''C = 2では入射の;方向へわることを示す口

とのよう K逆方向へ表面波が流れることの物理的理由は明らか Tは:をい。

。。二 0,n/2のとき, P s 0 と立まるのは前章の結果(図 2.8 )と同じである 0

3.5 表面波モード

第 2'1章のディリクレ条件の場合 CT E波の場合)とは異なり Jイマン条件

( T M波)の場合には異常1散乱が生ずるととを導いた。この節ごは?呉常散苫し

のは閃となる表面、波モー F(r(ついて考察する。自i]節までの表面波(エパネセン

ト波〉は?入射平面波で励振された結果として現われたが,この貨ii'で考える

面波モー Fは?不規則表面 tのfti]有イ云搬モ…ドである。

通常 3 完全導体平面I([上る平面電槌波の反射は,入射乎四校と反射平田肢の

線形結合によ「て解かれる。 しかし R呂yleigh波数をもっ波(定界)

正=ezexp C士ik'xJ, (3.52)

は?波動方 と=0での境界条{牛

Exez 1=0 ,(Z=O)

を満たす自由伝搬モートーである。 ζ の章での波動関数 oc Z, ω) は航界の y

成分 Hy である;から, (3.5 2 )は,

o (z, x)ニ expC士ik x J, ( 3.5 3 )

に対Jじする。(図 3.1 1参照)

表面が変形し平坦でなくなれば, (J)Rayleigh波数をもっ自由伝権モード

(3. 5 3) と他の波数をもっ散乱波との結合 a 相互作用が発生し, (;n白山伝搬ょ壬

ードは,表面の凹凸により散乱されるので,伝搬ととも K減衰する不安定左モ

~78~

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ード(表面波モード)

K左る,と予想される。

とのととから, (3)散乱

問題Kかける Rayleigh

波数をもっ波は,表面

波モードの影響のため

異常K大きな振幅をも

ち,結果として

Z

い似+

f z

e Anornaly を生じる,

(4)入射電界が Ey成分

のみをもっ TE波入射

の場合には?表面波モ

ードとの結合を生じ左

いので, An orna 1 y は現われ左い,と推定される。

図 3.1 1 完全導体平面上の自由伝搬モード

以上の予想の下で,表面波モードを求めよう。表面波モードを φCz, X,ω)

と書〈。散乱問題の場合とは異なり入射波は存在し左いので, C 3. 1 3 )を変形

して,

φC z, X,ω)=e i koX U(z,TXω)

-t<:わiK"x+ iK'7z iK"x r 、 i'x+ i k '7 (,)z

=Aoe り乙 +e り JA1(,¥.)e- -- ---,,' 'dBCλ)

C 3.5 4)

一00

JOXf庁広広;五λ:L2川)e i C“(川川)比)x+計+i山叫

一00

+..・・H C 3.5 5)

と書〈とと Kする。 ζ の右辺が波動方程式を満たすので,

KJ+KJ=kZ

CKo+λ)2+k;(λ) = kZ C 3.5 6)

等が成立する。散乱問題の場合とは異左り,波数 CKo,Kz) は求めるべき未知

数である。 C3.5 5) を C3. 1 )ととも K境界条件(3.9 )へ代入し, CAl12)

CA 1 1 3)を用いると係数 Ao,AlCλ), AZC'b 'Z)等K関する連立方程式が得られ

る。す左わち,-t<:わ

iKzAo-f CkzーCKo+λ)KoJFホ(λ)A1Cλ) d '=O, 一-Q(コ

C 3.5 7 )

-79-

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i kz (λ)A1 (λ)-Ao(K~-λKo) F(λ)

+cxコ

2f ο(Ka+A+Aj)+ザ(入山1)JF*c入品2(入¥, A)dA1=0,一〈む

i k_(入+入1)A2(入入1)十1〔入(K十入1)-k_2 (λ1) JAI (入1)F (λ) 乙 2'--". O' l, "z

( 3.58)

十;仇(い)九2(λ)川 山λ1) ( 3.5 9)

+cxコー3JCk

Z

2(λ十入1十λ2)十λ1(KO十入1は 2十入 )J A3(λ,λ¥1 AZ) F竹川)d入ヮニ=0

一-()(コ

等である口とれらを(3. 2 1) ~ (3. 2 3 )と比較ナると, (3. 5 g )の A。を(2十

A() ) とすれば?同じ式であるととがわかる。とのため, (3.2 8)にないて

( 2十Ao)を A。と書き換えれば, A] (川の近似解が惇られつ

A..CλKハ-K;)A, (À) 三 i~ ニユ~-ニιニ F(λ) = -iA"

l' , • kz (.¥.) + k r (A,) ., / • "0 k z (λ

( 3.60 )

と1J:る。ととでヲ γ(λ)は(3. 2 9 )で与えられる。(3. 6 0 )を(:i.57)へ代入

すれば,f 戸C 一CKn+λ)KnJ 2、

An iK..,+ I ~-一一一一一一一一一 IF(λ) I 2 dλ トニ 00 、Z J∞ kzCA)+kr(λ) , '. " - ) ( 3.6 1 )

を得る。係数A。が零で?をい解をもっためKは,

十∞CkLCKo+λ)Ko]2 iし=- 1 _2.:: 立一一一二 IF(入)12 dλ

J k z(λ)+kr(λ) ( 3.6 2 )

ゼなければ衣らをい。とれは p を定 め る 分 散 方 程 式 で あ る 。 一 方 , は ?

同有値問題であるため不定である。

C 3.6 2) と C3. 3 5) を比較すればヲ

Zs = -1 (3.63)

であるととがわかる。散乱問題の見方をすれば, (3.6 3)は反射係数 C3令 36)

が発散する条件である。すなわち,入射平面波が存在しなくとも?コヒーレン

ト反射波が存在する条件と在っている。 C3.6 2)は逆(tC,入射波が存在すると

き,コヒーレント反射波が消える条件とも解釈できる。このとき, (3. 5 5 )右

辺第一項の Kzを -Kzと書くのでう (3. 6 2)右辺の負の符号は消え, Zs = 1

となる。これが,図 3.4 VCかけるコヒーレント反射振幅のディプの原因である。

C 3.6 2) を近似的K解いて伝搬定数 (Ko,Kz)を求めよう。徴小量 r(A)を

-80-

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無視すれば, (3.62)は次式で近似される。

f∞Ck2-Ko (Koは ))2I ._.. "0'::0, /~ IF(λ) 12 dλ Z4。 kz(λ)

(3.64)

この右辺は 02オーダーの微小量であるので , (3.5 6) VCより K02士kである。

そこで, Ko=土 k と置いて右辺の積分を評価すれば,

j∞入2 1 F (λ) I 2

Kn ::::::-k2 I dAニー kr'L401/K2(k士λ)2

( 3.65 )

となる。ここで r'は (3.38)で定義された複素数である。計算を見やすくする

ため,

r' -α ー is (α) 0, s) 0 ) (3.66 )

と置けば, αと3はとも K正数である(表 3.1参照)。以上より,伝搬定数

(Ko,Kz)の近似値は,

K02士k{ 1一(α2_s2)/ 2 + iαs }

Kz:::::: -kα+iks } (3.67)

と念る。この複号は士 x方向へ伝搬する波に対応する。次VC,コヒーレント部

分くφ(z, x,ω))の等位相面,等振幅面を求めよう。(3. 5 5)を平均して?

(3. 6 7) を用いれば, (x方向へ伝搬するとして)

くφ(z,X,ω))ニ Aoexp{i k c1一(α2_s2)/2+ iαsJx-ik(α-i s ) z } ( 3.68 )

となり, z方向K減衰し x方向へも減衰することがわかる。 (3.68) より

等位相面の方程式は,

2-<<十 s2 27l' n x 27l' n z=一一一一一一一 x十一一一ごご一一十一一一屯

2αkααkα'

(n= 0,士1,士2,……....・H ・-ー)

と左り,右上がりの直線群と左る。一方,等振幅面は 3

z = -αx+Const

となり,等位相面K直交する(図 3.1 2参照)。

(3.69 )

(3.70)

次VC,表面波モードのインコヒーレント部分について考えよう。(3. 6 0 )の

極は,

kz(λ) + kr(λ) = 0

によって決まる。これを解けば,近似的k

kz(A) :::::: -kr' =-kα+isk

Ko+λ コ:i=kc1一(α2_s2) /2+ iαsJ

-81-

( 3.7 1 )

(3.72)

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となる。これは, (3.6 '7)

と物理的には全く同じ式で

あり?いず2れも Rayleigh

波数 Kz~""O , kzCλ)=0 と

わずかに異在る位置K表面

波モードの極ができること

を示 t0 (3. '7 2)りふ C3.28 )

の極でもあるから 3 インコ

ヒ…レント散乱が図 3.8の

よう K異常性をもつのは?

Iお波モードの影響である

と考えられるむ

Z

図 3.1 2 表面波モ四ドの平均値

(実縮:等位相商?破締:等振i隔[巧〉

コヒーレント部分の等位相国が z軸に平行ではないので? 日ij表面への

カのれが する(ほJ3. 1 )口表面Kは損失がないのでうとの入射電力は

インコビ叩レント散舌LVCより z方向への電力に変換されるはずである。このこ

とを見る 7そめに 9 図 :l1 Bの箱領域を考える。箱の左辺から -_fる電力を

P il1?i:辺から出ていく電力を Psc呂 tt,右辺から出る電力を Poutと書きヲぞ

れぞれ次式で定義する口

n

j

o

i

JJpqusJnu

11一

kl

IHA

u

n

-

-

1

1

mHι包

O

d月1

d

k

q

N

d

f

-一k

l

一kfL

L

-

U

C

C

S

P

A

P

A

( Z, 0,ω)竺I } dz x x=。 ( 3.73 )

。φ 、(ぶム ω〉一一! }d z

θx xニー,t'(3. 4)

x, 手!一円 }dx日 Z ;:;-"'0

( 3, '7 [j )

これらは?いずれもランダム量であるため,各電力の平均値を計算すーるとと K

する。 C3.5 5 )を用いれば,

+∞ くPiI1〉21Ao12Ji-2khcl トRef~監ぞき21A1れ)!ze--2Imkz判zdν]d z C 3,7 6)

k o _.= A つ 2αsk,t

くPout>でこ'IAaI" e _....... <Pin) ( 3,77)

が成立する口(3.7 6 ) vてなける λK関する積分仕 1VL比べて小さいので, ζ れ

--82-

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を無視すれば,近似的K

1 i rn 旦正くPi n>竺 ι二.!L.:._Z。→∞ 1'" 2ks

1 irn /0 . '-. ~ ~~ n -2αsk乙<P白I1t) 士三一一一一 ez 0 --KXJ VUL" 2 ks

が成立する。同様VC,

! -2αskx( _. _ -2ksZo <Pscatt>竺 IAol2f e-taPKxc一αeo

アobω-21rnk7(A,)Z

Re I "~"IA舟)1 2 e ~ -.....z' '-0 dλ)dx 〈ヱコ 山

となる。 Z。→∞では,右辺〔 〕内の第一項は消えるから

寸-0刃コ

Z4:2《 印叫tt>':':::品Fが引{いl一jJy2 吋仇k乙勺勺}げfR弘却い仇ek山kzω陥e一21m州m

一〈わ

~

~国/、w〆句、4

図 3.1 3 P i n, P 0 u t, P s c a t tの定義

と左る。(丘 60)を代入すれば,右辺の積牙項は,

lA012fze明]ピー(い)Kol2!F附附例一∞ Ikz (λ)+kr(λ) 1

2

( 3.78)

( 3.79 )

(3.80)

( 3.8 1 )

X

(3.82 )

と左る。ととで, Ko= k となき,牙母の r~) を無視すれば, (3.8 2 )は,

近似的K次式K等しい。

-83-

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f 入.2 IFC¥)12

k2 I AO 12 I 一一一一一一一一~dλ= k I AO 12 Re Cr') = k I AO 12α、J~ゴ(k+X-Y U'"一

( k+A)2くk2

従って?結局 C3.8 1 )は,

I A" 12 ( " --2αβkL,

くP".."tt>竺二二止-:-1 1 -e -. ---~ z。一歩∞ 呂仁司 ι1./ 2Sk l~

となる。(3.78) ( 3.79 )と(3.8 4 ) VCより,

( 3.83 )

(3.84)

(p i n >ニ (Pout>十く ps c a t t > ( 3.8 5 )

が成立することがわかるのす念わら, x方向へのゴヒー 1ノント i伎の減衰は,イ

コヒーレン ト波によるエネノレギーの散逸 Uてよって起こる。

_..L-~ 士ム の不規則表面ーとの表面波モート守は,以下の様K考えるとともでき

ンコヒーレント i散乱Kよりコヒーレント波のエネノレギーは搬とともに消

る。これをコヒ…レ γ ト部分から見れば,完全導体の表面はコネノレギーをち

ばう不完全導体平板として働くこと(rL:左りラ Zenneck の表面波と類似の表面

波としτ存在しうる臼

V( ~表面i 波ごと…ドを定 ることの困難性Kついて述べる口(3.82 )の

企評(出J';rるためK行った近似は(3.6 0 )分母の r(λ)を無視、ずることに等し

い。とのとき, (3“60 )は i次の摂動解と一致するとと VCti:り?インコヒーレ

ント 1ftの分散が発散するにと vcなる。そとで ?γ(λ)を無視せずvc,(3.8 2 )を

れば,エネルギー保存則(3. 8 5 )が成立し左いととになる。全 it,百似

るためヲ(3.67 )で求めた複素数の K。を用いてく3.8 評仰すれば

り…円わとともVe:,指数因子が雫となるか?発散することが千金!される口との

ような困難を解決するためKは 3 新しい解析上の工夫が必要であるよう K思わ

才L/る。

の理論K よりは.6ら)と等価な分散方程式が導かれた例はあるが g

波モードをインコヒーレント部分をも含めて計算できた例はないようである

(5心

五る考 察

市iJ章 2.2節では,表向面の確率論的一様性を仮定して?解の形 (2.20)を滋い

た。との解の形は,表面粗さびが存在するときのみ有効マヲ(}→ Oとなり不規

則表面が平坦面と在る極限K沿いては成立する保障は方:い。同様vc,表面の

ヘU

期的凹凸が零となる極限VC:むいては, Floquet の解も有効である保障は左い。

-84-

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何故左ら,表面の確率論的一様性や周期性の仮定そのものが,との極限にかい

て消誠するからである口とのため ,(j→ 0 にかける波動関数の収束は,特異左

ものと左りうる口

たとえば,コヒ レント反射係数(1 + Ao) に対しては,極限をとる順序が

問題と左る口(3. 3 6) (3. 3 7 )から容易に導けるよう VC,

1 i m 1 j m Ao二一 2

6→o {}o→π/2

1 i m 1 i m Ao --0

0。→π/2IJ→0

が成立し, 2つの極限は可換では左い。入射角。。が n/2となるとき, K。→ k,

( 3.86)

( 3.87 )

Kz→ Oと左るから, (3.86)の場合

i KA X. -i K ~ z i KηZ 1 im 1 im くゆ(z,X,ω)) = 1 im 1 im e V [e ~ 十(1 +Ao) e ~ J

d→o {}o-m:/2 (j→o {}。→n/2

= 0 (188)

となり,一方, (3.8 7 )の場合ikx

1 i m 1 i m くゆ (z,x,ω) ) = 2 e

{}o一切/2 (j→0

( 3.89 )

と左る。〔第 2章のディリクレ条件の場合,収束は一意的である。〕

とのよう K解の一意性が極限に かいて成立し左い原因を,次に考えよう。数

学的には,体積と表面積がとも K有界右:散乱体K対しては散乱問題の一意性の

定理が証明されているが,無限平面の問題に対しては証明は与えられてい左い。

〔しかし,多くの無限平面の問題では解は一意的K定まるという経験的事実が

ある〕白とれは,有限の散乱体では遠方の概念が明確であるのに対し,図 3.1

の無限平面の場合には, I x I→∞での遠方の概念が不明確で,一意性を保障

する放射条件の使用法があいまいであるためである白実際, Rayleighの仮説

の場合 z→∞にかける放射条件は用いるが, I x 1→∞ vc :b~ける放射条件は考慮されてい 7まいととを指摘してなきたい。

Fhu

no

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第四章 二次元不規則表面によるスカラー波の散乱

4. 1 まえがき

第二主主及び第三章では?確率論を背景とする解析法Kより 1次元不規則表HU

kよるスカラー波の散乱を定式化した口強定常確率過程である 1次元不規則表

tご平間伎が入射するとき?波動関数が指数関数と未知の強定常過程の積ぞ

できるととを示した。次vc,不規則表面がガウス過程であると;仮定して?

仙の強定常過程をウィナ…展開 Kーより表現し 3 境界条件を解いてその展開係

た波動関数は,確率過程として表現されているの」予

散乱特性を平均操作により定式イtできる利点がある。

ヒーレント散乱振幅ヲ光学定理? インコヒーレント散乱の角度介、布などをとの

(f[より定式化 L,表町粗きが小さい場合の数値仔Ijをも示し先日

この械を定式化は,二次元不規則表面の場合K容易K拡張することができ心 o

"-r_'はう二次元不規則表面が無限K広く,かつ強義の 'j様確てら拐であふと

すれば》平面波入射~![対する散乱波が指数関数と未知の一間滞率拐の

けゐ fにことを示:すすO 従つて, I問1宵司題は未知の

て求める乙と K帰:渇蒲詰皆ニする O 第二:章と同機 3 表面粗きが十分小ざい jjウス

を仮定し g 求めるべき一様確率場をウィナ…展開Vとより長;現ずる。

のウィナー展開が l次元の:複素ガウスランダム測度Uてより展開されていたのい-

し("と,~ -(はご;;:;て ガウスラ〆ム担1)度Kより される。

関する自乗平均誤差が零となる条件より?ウィナ

たすへき方程式を導き?との方程式を近似的K解いて展開

4. 4詰iでは,に必ょう K求めた近似解を用い μ亡?種々の

を::>jとめる ο

λ〆戸川 t

f る。コピーレエノト散乱tt~幅や光学定理? インこì:~~ - 1/

イTi,表面波の平均電力流についての数値例を国示している。本章での近似解性宅

光学定理をi満足するので p 近似解析む有効性を見るため境界条件κ関

を計算している。その結果,表面粗きが入射波長打:比べて

界条件K関する誤差は小さいととが明らかKまった。

本章で求めた近似解は. Bass-Fuks(54), Freilikher (闘が汚IJの方法で求め

た近似解と一致している。との意味で新しいものでは左いが?稀々の

を具体的κ得ている点vr.,本章の結果は意義がある。

ノトーさけれ (rf,

ρ0

00

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4.2 波動関数の形

無限K広い不規則表面Kスカラー平面波が入射するものとする(図 4.1 )。

二次元平面 R2= (ー∞豆 X,Y三三∞)上の位置ベクトルを『エ (x,y)と書き,確

率を定義する見本空間Q 内の見本点を ωで表わサ。不規則表面は,強義の一様

・等方確率場 1(r,ω) Kより

zニ f( r,ω) ( 4. 1 )

と表現されるものとする。一様確率場は,移動 1(f,ω)→1 ( r+a,ω)により確

率分布は変化しないから, ( 2. 2 )と同様。内の保担Ij変換 Trにより

zニ 1(r,ω)ェ 1(0, Trω) =1 (Tfω) ( 4.2 )

と書くことができる。ととで ,Trは lパラメータ群の性質

TO ニ 1 (恒等式)

TaTb = T a + b , (a, bεR2 ) ( 4.3 )

をもっ。さらに ,1 (Trω)はエノレゴード性をもっと仮定し?

く1( Tfω) > = 0

く12( Trω) > = a2 ( 4.4 )

INClDENT WAVE

図 4.1 二次元不規則表面によるスカラー波の散乱

( f)o :入射角, ( {}, φ) :散乱角)

87-

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とする。 とこ T7,く 〉は確率平均を す記号である。 σは表面粗きの実効値

で長さの次元をもっ。

波動関数 ψ(z,れ ω)は, 自由空間 z> f (Trω)にがいて?波動方程式

をず前たし?

〔マ2+ k? Jゆ(z,r,ω) = 0 ,

マ2__. iJ2

θx2 +

32 f)2

一一--十一 τ θy己 θz"

不規則表|五j( 4. 1 )の上でディリクレ条件

ゆCz, r, w) = 0 (z=/(れ ω))

を: たすとする。 商:附きが波長K比べてト分小であると台? とじう

寸? 似マきる。

山 (ιLω)

YJ (0, r宅在))十 T'ω〉一一一一J 二二二一一 I c= [) f) z ' Z二 O

とれ(r;:]:フ (2. '7 ) を一 元へ拡張したものである。

規則表面(4. 2 )が? 「と ωの戸j 移動

( r ,ω〉→ Cr +a雪 a iU)

K関して であるとと K注目して,移 変換の作用 りを次式で

ψCz,r,iU)ニゆ(z, r十1:1,1'-81ω)ヲ aモミ

( 4. 2 ) ( 4. 8 ) vcより? Daは力11法群の性質

DOつ二 1( 等式), 一一Da→b (81ヲ bεR2

)

C 4. 5 )

( 4.6 )

は?

( 4. 7 )

寸るの

C 4.8 )

( 4.9 )

をもっ。 とれは 3 元の(2.10 )を二次 へ拡張したものである。 K

付、マ2とf(1' )と可換である口従って 3

を満fi七社ばヲ D8Iφ(z, r, {I)) もとれらを たすの

ψC ぅ r,ω〉が C4.5 ) ( 4.ワ)

そとでや(z. r,ω)と D羽 φ

( Zj r,ω)はう締形の関係

Daφ(z、r,ω)ニ C(払 ω)φ(あれ ω) ( 4.1 0 )

をもっと仮定する口

( 4.9 ) ~てより C (8,ω)は次の関係式を満たす。

C( 0,ω)=1ヲ CCa+bラω)= C (a,ω) C (bヲ T-aω) ( 4.11)

さら VC,YJ C z, r,ω)が, 入射平面波 φi(z, r )と散乱波九 Z,r 1ω) の和

ゆ(ふれ ω)c.=φi (z, 11' ) +やs(zヲム ω) ( 4.1 2 )

であると依定し予

8 8一一

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ψi (z, r) = e x p ( i Ko r -i K Z Z ),

Ko = fらex-ks inOo ex ,

もニ~二可= kcosOo> 0, (4.13)

と置く。但し,入射面を xz面とし,入射角を 0。と書いた(図 4.1)0(4.12)

が(4. 1 0)を満たすためKは, D8の下で φs(z, r,ω)はψi(z, r) と同じ変換

性をもた左ければをらない。すをわち,

ー iKハ aDUψi(z,r)=e vψi (z, r)

D8φs ( z, r,ω)ニ eiko aJs(z,Lω) ,

C( a,ω) _

eiKo8

で左ければ左らない。このととから, ψ(z,r,ω)が次の形をもっととが容易K

導ける。

iK~r".. iK'7z ,. ."-. ψ( z, r,ω)=e.'.U

' [e 乙 +Us(z, 1'1ω)J

Us(z,1'fω)=ψs(z,O,1'rω)

( 4,14)

(4,15 )

乙れは, (2.2 0 )を二次元表面へ拡張したものである。(4固 14)の指数因子は

Df の固有値 C(r,ω)で位相を表すO 括弧の因子は, zを固定したとき,保測

変換1'rvc.より生成された一様確率場 U(z, 1'r的)と定数 exp(iKzz)との和で

ある。従って, (4.14)は,波動関数が指数関数と一様確率場の積K書けるこ

とを示す。これは,不規則表面の確率的一様性の反映であると考えるととがで

きる。

4.3 ガウス不規則表面に対する近似解

前節では,波動関数が指数関数と一様確率場の積K喜けるととを導いた。と

のことから,波動関数を決定するととは一様確率場を求めるとと Kをる。しか

しヲ一般の不規則表面K対して,とのような確率場を求めることは困難である。

そとで本節では,第二章と同様ガウス不規則表面を仮定し,ウィナー展開Kよ

り一様確率場を計算すること K しよう。

A. 波動関数の表現

ことでは,境界条件(4. 7 )を解くので (4圃 14)を書き換えて

lK._r/ 一1.1¥.'7Z ;K _ '7

ψ( z, r,ω)=巴…0・

l-e---,u

+e山 z,u

+U(z, Trω)J ( 4.16 )

と置く。右辺括弧内の第一項は入射平面波vc.,第二項は平坦面 (a= 0 )からの

-89-

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に対応する。支え F争 干しよる 1jL L‘ lf !I亡 して

4う ゐロ

ノ、 吋/ t, 定 dB(λ¥(tc上

で〉ウ 、/斗

l ーパ、 ミ

(4,1 7) ε(入) B (λ) 1~~~

むこ で 1 ( 3 )VCより 9 二次元複素ガ

iて停同庁てと

りとt:された;ザウス

r (' r 、J ¥,.. 1 )

子をま与さ l~l ;_sと

j ♂~.

,ベブン戸ム

d

/ ¥

タ噂ム 布、

、二τお〔λJd~2 dス2

4、。これは l

ト 4.18 ) 主¥ハ!、一-" ,/ 一戸

ノ"一』山ヘG白 C心} ごにフ ifウスラン;ダム

"であ n "'; ) t/[ ~L

一一令 d九二土 d ( !l i ), " '企, J )

_,ι、J 〆ず、、し γc ノ c 1,

〉心 〉 tT3ミのぎ方 とするえめ,

) -;:γ 〈百三

F(九〉ドー( --λi二ご (4,20)

そc ( 1 1') o ¥'主同 i 42G〉 り(1~ の 正之

C I設 I)ニく 百九)ω)> 伺

マ f凡ゐ;了〔コ

1号 d J 3 4η( !怨 i

n

(iJ. 21 )

九六九~-、ノ町 ジコ Jム トパ(1) によらをし、(., W ener

i n仁 ncひ i !~; r戸ト のパワースペクトル るむ

設 fと(4, ) ( 2 1 により下 (λ) は cのオー夕、の である。

用いるのです i (λ) 12 は 8関 の線スペクトパ〆

もたでEい ゼ急三〕

ω〕む

ゐ。とのとき ,f )はエノレゴ…ド性を

もち凡さらに》 である む (z,T'ω)も rv'L関してこE

令、守 f.J~~..} -J、._J ._,.- '!i 旬、-,口

lJ; iω〉は f rω) の マるが, ( 1?

より B(入)の下町 と見なし ナー展開する。固定した zの

関をもつが 3 散乱波 ei r U (z, )が波動てむ (z,Trl.o)は(11, 1 fS )の

ハUn川町一》

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方程式を満たすように,ととでは

U( zι,Tr ω ) 二二二:ご二叫:こ:

Rぜ2

十 ffA2Pl,)l 2)eí( )l lH2)r+í~( 入 1+)l 2 )z h(2t dB(入1),dB()l2) J R2R_2

+一 ( 4.22 )

と展開する。ととで, h(n)は複素ウィナーエルミット微分式で,性質 (A138)

~(A141) をもっ。 An は,確定値をとる展開係数で,その変数K 関して対

称友関数である。九と )1¥, )12は,不土U11J表面のプラッグ・ペクトルである。

kz (λ) は,散乱波数ベクトルの z成分で, z→∞での放射条件を満たすように,

kz(λ)= ;-0ヨ伊予ニ JITC己九)2ごV209

( k2二三 (Ko+λ )2)

i行記五下平, (k2く(Ko巾

(4.23 a)

(4.23 b)

と定義する。 (4.23a)は伝搬する平面波K対応し, (4.2 3 b )は zニ∞で消

滅する表面波(エバネセント波)VL対応する。

複素ウィナーエルミット微分式の直交性 (A141)を用いれば, (4. 1 6 )

(4.22) VLより,コヒーレント波は

K~r .....一 iKn7. IKn7. '-くゆ(z, r,ω) > = e "'0' ( -e 山z"+ (1+Ao)巴山z"J ( 4.24)

と左る。明らかVL{一(1 + Ao )}は, コヒーレント反射の反射係数である。

B。 展開係数の近似解

Anが得られると (4.22)VLより u(z, Tfω)が決まり ,(4.16)(rCより逆に

ゆ(z, r,ω)が得られる。ととでは,展開係数の近似解を計算する。

近似解析の観点から,境界条件K関する誤差 ebを次式で定義する。

eb(Tf川コe一i偽凡rc似ゆ似州州(ω川O仏れ,

vz I比Zエ O(4.25)

( 4. 1 6) VLより, ebは一様確率場と左るから, eb(Tfw)の平均値,分散左ど

の統計量は fVL依存し左い定数である。そとで r= 0とないて,

くIeb(Tfω) 12 >を計算する。(4. 1 6 ) ( 4. 1 7 ) ( 4. 2 2 )を (4.25)VL代入し,

複素ウィナーエルミット微分式の直交性 (A141)と漸化式 (A139)を用い

て計算すれば,

円ロ

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くIeh (Tf

(1)) 12)ニ IAo+iL2 kZC入)A1(]I, )F*C別抗 12

日R

川 (九)十iKz(2+Ao)F9'}+2iI l~ 山 I)Aρ ,)1 1)F'C )11)伯 112d)¥f{2

ト21J J IAρ1AJ4Lkz(九品J()¥ 1) F (九2)+LlMh)AρZ)F(Ill)

R2 R2 ム ふ

十 3i .f kz (I¥ ["1-)12+)1 3)A3P 2,)1 3) F* (7I3)dλ312 dλ1 d)¥ 2

R2

十向日明日・一… (4.26)

となる。右辺の各項は非負であるから?く leb(T~ω)1 2 )=0 であるため Kは p

が全て零でなければならない。乙のととから 2 展開係数 Anvc.悶ナる

AoトiJ 1いλ)A,(:I¥ ) F * (丸)dλ= 0司 ( 4,27)

/¥1 ¥λ)十 iKz( )附)-+-2i J kヲ(れλl)AzCにλ1)dλ1で o, ( 4.28

λu丸 J) JF川十z川 Al川 F百

jノ

r14MJ

1、J4

(話トh 10 ~\ z,九3)F* (Ji 3) dλ3 =, 0 ( 4.29 )

を得るりとれらは, (2. 1[ 8 ).~ ( 2. 5 0 )を二次元....-'-..拡張したものであろo

仇)が引のオーダーの機小量であるからラ (4.28)vc.よりん)は志;々 a1

のーイ…となり 3 と(入1>A z)は C4時 27 ) ( 4.2 9 ) ({(とよりミなグ2 のオ

去しョ

々がねのオ切ダーとなゐ が道ける)巳ーとラ:ゐむ(

長岡山 十、、4〉山F〆

J06

4Mp t

を無視 L

〉の近似解

をオ~めよう。

() とおおくと (4.28 (rcより Al

) :::::: - (2十Ao)

を1-与るりとれを (4.;), 7) vc代入して?

:F(;¥) 4.30 )

A。を求めれば,

L .An = --2 -:-~.

り 1 ート Zs ( 4.31 )

Zs "" Kz J kz(λ) I F (為)12 d入

R2

となる口 (4. 3 1 )は (2.5s)(3図 34 )と同じ形である。 (4.~ì2) は (2.116)

と同じ形であるため, (2.106)と類似の多重散乱効果をもっO

イ凶表面インピーダンス Zs の実部(抵抗分〉は,インコヒ ω レント散乱vc

( 4.32)

守山

ud

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よりコヒーレント反射電力が失7をわれるととを表し,一方, Zs の虚部(リア

タ担ンス分)は表問波の存在を示唆するものである。(4.3 0) ~~ ( 4. a 2 ) は 9

sass--Fuksの解(1. 5 6 ) ~~ ( 5 9 ) の 2次元版でありヲ記号の違いを除け

ば官同じ解ぐある。

次節ではヲ近似解 (4.30) 432)を用いて散乱の統計的性質を計算する 0

4.4 散乱の統計的性質

散乱の統計的性質を具体的κ計算ナるため 9 不規則表面のパワースペクトノレ

が,ガウス7f*正12 g,2

I F (λ) ! 2ニーキーωex p (--/(2 A 2 ) (4.33)

であると仮定 Fる。ととで κ は相関距離を表すパラメータである口

A。 コヒーレント散乱

(4.2 4 {rCよりコヒー vント散乱心係数は, { (1ト)}である。図 4.2

tl:, C4.a C 4.3 3 )を用いて, を入射向。。の関数として求めたもの

部は共(rC正℃あるから ,C4.31)VCよである。 (4 2)(tcより z の実部と

り) Aりの実部は常K負である。 Zsが=k 0 s V-c比例するので p 水平入

射(ご二7τ/2)のときは Zsニけとなり?従って A内は零と在る。

f

ι

u

o

hu

E -

W I

A

明日 2

持 k::2 ェπ110

ーは1

図 4.2 A。の入射角依存性( :入射角)

B. 境界条件K関する誤差

前節の以 解 は , 波 動 方 程 式 (4.5 )を満たすが p 境界条件(4.7 )を近倒的

可 93-

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に満たすにすぎ左い。 そこで, 近似解の精度を見るため,境界条件に関する誤

差 eb(Tfω) の自乗平均値を計算しよう。

( 4. 3 0 ) ~ ( 4. 3 2)を(4. 2 6 ) VC代入し, Azニ A3= 0 とお画けば

くIeb (Tfω ) 12 >

= 12十A012K1d2f

R2

I kz (λ) F(λ) j2 d)¥十 IJ kz(λ) I F(λ) 12 d)¥ 12

}

R2 ( 4.34)

となる。 これは,表面粗さ d とパワースベクトノレ IF(λ)1 2 の形状, 入射角。。

に依存する。 との右辺は高々ポのオーダーでるるから, J寸記すす

前節の近似解は,境界条件を σoのオーダーである口 とのこと上り,

ダーでは満たすととがわかる。

は高々 σ2

Olのオー

!羽 4網 3は, ガウス形ノf ワ スペクトル (4.33 )を用いて (4.34)を計算した

もので,最も誤差が大きく在る垂直入射((jo = 0 ) の場合を示す口図より,誤

は koく7t/8 では小さいが, k 0 > 7t/8 では急激K増加するととがわかる。

^ 守、』

iコω v

0.5

、1'" 1 [h 011 t ~~

。 kσ

図 4.3 境界条件に関する誤差

(κ:相関距離, (}表面の粗さ)

C. 光学定理

波動方程式(4. 5 )の保存則

div{Im(fgra付)} =。--94-

π14

( 4.35 )

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を図 4, 4の円筒で体積分し?ガウスの定理lだ上り表 いζ変換すれ

、WAノ

ハhv

守パU

A性

/fL

ハリ

F

ハ3$G

11/

φ一日。一。

キeF 「't,

(

F1Jn

m

Ii

14一k

sr vg

JU

、jo

z

一一qL

AY

一Z

3

一3や小

φ'

J'a'a吐、

今企

nvu

fJ館

ーI

f

vi

ー一k

と念る。ととで Scは円筒の側面, nは外向法線である(図 4, 4 )口 Zoは円

の高さ ,I!はその半径である。左辺第一項は,底面積 n:f2 1'(比例 l,第二:買は

円聞の長さ 2n:f!vc比例するから p

* ...... ~ I

lim …L f Imパ笠I ) d r = 0 ( 4,3 n E→∞ n:f2土川 、k f) z Iに qf

yι Z. I A..s ""'0

となる。とれは, (単位面

あたりの) z方向への電

力流が零であることを表し,

入射電力が無損失の表面K

より定全に反射される己と

を意味する。乙 ζ で?

φ(あれ ω)が (4.16)のよう

K一様確率場で書けるとと

を用いると, (4,37)の被

;積分関教はl'trc関して強義

のー樺確率場であるととが

わかる。そこで, (4,37)

の空間平均は?ヱルゴード

により品上の確率平均

に置換えるじとができる。

乙む

図 4 理 J草出のための

ァ〈 Im(J3と I ) >ヰ oK uz ごニ Zo

( 4,~18 )

が u ほとんど全ての見本表面/(Tfω)に対して成立する。 (4. 3 7) (4, 8 ) !才、多

別表面Kよる波動散吉LKかけるエネノレギー一保存出jの一般形を与えるもので

ある。

(4.8 1'(:(4.16)(4.22) をイ円:入しラ複素ウィ少ーニ)レ~ト徽ィD~ :r:亡の

を用いて計質:すれば s 接関係数 -c書かれた光学定理

ロUA叫

υ

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十 iIW23ζ(4.39)

00

+寸t主f戸!f..-J~(作λM汁爪州λ"2汁+ 十品 n副〕汁1AnC内λIl1'II九九Il2', λ"n)ρ)汁12d品札1札 品

(Ko +Il1+.一.→λn)2くk2

を得る。この左辺は単位面積K入射する電力を表し,右辺第一項は単位面積あ

たりのコヒーレント反射電力でありヲ第二項(級数部)はインコヒーレント散

乱電力である。 (4. 3 9 )は, 1次元の場合の (2.72)を二次元へ拡張したもので

ある。

光学定理 (4.39)は厳密式であるので?近似解の精度を測る つの尺度とし

て用いるととができる。注意すべきととは?光学定理は電力の入力と出力を記

述するにすぎ左いので 3 近似解が厳密に境界条件を満たすか否かにかかわら

光学窓理が成立しうるととごある。さらに, (4.3 9 )では伝搬する部分波が

として寄与し 2 表面波は A。を通して間接的K寄与するKすぎない ζ とに注意

されたい。 一方?境界条件K関する誤差 eb(Tfω) には,表面波と伝搬波の両

方が直接影響を与える。

図 4.5はヲ (4.30)~C4.33) を用いて光学定理を計算したものである。

ととで q インコヒーレント散乱電力は AlCλ〕のみKよって評価している口

1.0ト古平て-2L-一 一 一 一一一一一一一一一I ~'ì_o 一一一一-k}( = 2 iべ ¥i¥ …一一一/才 /

帥 I'~ / ま i 、¥と 一一一司一一 1 0 1'、、'- / Q. I ,、ー" ,./

3104¥:¥¥¥/r J/

の I ,、/¥'一/COI I 、、ゾノ¥ー./

'-0.5

~-三。 π18 kσ π/4

図 4.5 光 学定理

-96

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表面の粗さ kaが増加すると p コヒーレント散乱(曲線 b)は減少し,逆にイ

ンコヒーレント散乱(曲綜 c)は増加する。全散乱電力(直線 a)は,入射電

力に等しい・定値をもっ。これは 3 容易に確かめられるよう VC,前節の近似解

が光学定理を満たすためである。

D。 インコヒー vント散乱の角度分布

入射角が品。ニ({}o,φ。)であるとき ,n-=~(O , φ)方向の単位立体角ヘインコ

ヒ叫レント散乱された部分、波の平均電力ブラックスを入射平面波のブラックス

で正規化した量をインコヒーレント散乱の角度分布といい,記号 S(,0, 1 [1,0)

二 s(0,φ1 {j (),や。〉で表す。これは, (2.7 4 )の定義を拡張したのである。

( 4. 3 9) の級数部は g 単位面積あたりのインコヒーレント散乱電力であるから,

関係式

J cosfi'S(fll臼0)dD. 2.7t

kゐ171AA)12品川

(λ1十九。1豆一二一 1A2(瓦]Ji;z)jZ d話1f1:% 2

(Ko +II)2くk2 (KO-lしλrl-λ くk2

+ ...・・・ a・・ (4.4 0)

が成立する。 φは x軸から, φ。は叩 X軸から測るとと lイすれば雪国 4.1は

φ。=0 を表す。そとで φ。=0 となき,さらに

cos品=cos ()

d品 si n8 dO dφ

iく。- (ksin{}o, 0)

iく。+為エ CksinOcos札 ksinOsinψ)

kz (入) = kcos8

dI¥ = cos{}日inOd{I dφ---cosf} dD.

等の閣係を用いると

但し,

S (,(21 flo )ヨ S( 0,φ|θ0,ψ。)

エピ ωs{}{IAdλ) 12 +2! J RZ

I Az (λλ --A) ! Z dA十.... }

( 4.4 1 )

( 4,42)

瓦 =k C sin{} cosφ-sin f}o Jex十ksin{}sinφBy ({43)

と在る。 ζζ で,九は,入射角 (f}o,O)と散乱角({), φ)によって定まるブラッ

クベクトノレである。(4. 4 2 ) VC (4. 3 0 )を代入し, A2 以との項を無視すれば,

~97~

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s (0,φI 00,φ。)二k412+Ao I 2 COS2 0

0 cosO I F(kムin20+sin200-2 sinO sinOocosφ) 1 2

( 4.4 4)

パワースベクトルの等方性(4. 2 0 )を使った。

( (), φ! 00,φ。)ガウスJf~パワースペクトル(4. 3 3)を用いて S

ζ こで,

4. 6は,

と在る。

i “ !!J"",I ',1

}('k=2 kO-=lτ110

ぺ8.=0.

01-L一一一一一-1

0 e (deg)

80::: 300

伊0'" 00

。四 90

了(』噛〉

(

O

Bい@

空 0.13・むD}

(f")

インコヒーレント散乱の角度分布c(~φ) :入射角, ((), φ) :散乱角〕0, . 0

98-

図4.6

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計算したものである o IF削 I2が原点()I=O)でピークをもので,前方散乱

(8ニ (}o,φニ o)の方向K インコヒーレント散乱が強〈左るが,実際Kは,

( 4. 1 4)の悶子 COS{} も効くので, ()。よりも小さい (jVC対して Sのピークが現

われている。

K 散乱披の空間柱11克々

高iさ zが一定の町内「己主Jゐける散乱波の空間相関々数は,複素ウィナ ヱノレミ

リト多頂式の在宅ご性 (A 4. 1 Hとより容易K計貨できる。(4, 2 2) を用いて

hH、

cs(おお)=く九(z, r十-Ei,的) * (ふれ ω))

iiC月 r -←;型企e ..'"()日くlJ(z, T' -ω)Uャ (z,Tω))

fikoa〔|1+Ao12十Je i }I a e -2 1 mkz仏)zI Al仏)12 dλ+…。〕R2

(4.4 5)

~:: :なる() :lが大きいとき g 表面波の効果は無視できるから

,1(舟,

cs(ふ a ""0 III 、iノ

ar 、Ad

qb

、‘',r,

凡川W「l

A

aqA弘

/

¥

ai ρU

F自14J

LH

(4.46 )

となるり れていゐから?不規則表面のノf ワースペクトルの高

からは求めるととはでき在い。:法は 3

相 vミ Jくきととはき ( z雫れ ω)tt.#i直

¥

ヂ叫 山))ifL と 2(Jう

Cはないととである。だと

る。このため 3

平 ゐコ}ノレブード性tt成立しない。

F¥ 表面伎の

4. 2 に が純虚数となる入領域上。積丹は,表面波を表す。

ば~ i¥l (入〉のみを丹jいる近世iではとれを )

(z, r,ω〕ごてe$JJRr l b f為)

eι 一切 e 比 z,司 J主l()I)dB(λ)

u凡ート為)五 )l~

( 4.4 7)

と書ける o Ko方向への電力ブラックス Psfは

P"f ( z, Tr川口一よ… 1m CW.,*Kn' gradW,,) ::.,.-'- klKal -" Uδ

と左る。(4.4 7 )を用いて,右辺の平均値を計算すれば,

(4.48)

-99-

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f (Ko+λ).Ko, ",,¥, 2 -21e瓦五戸F・zくP"f(Z, Tfω))士三 I "".0 : :~ / ,-"0 I A,Cゆ1"e J k I KO I '--1

(Kp十九l) k2 (4.49)

とまる。右辺の指数因子は, zとともに表面波の強度が減少するととを表す。

不規則表面が等方である場合Kは?対称性より Ko V-c垂直左方向への表面波の

電力アラックスは零と左る。(4.49 )は zK依存するので,とれを KoK垂直

左面をもっ単位幅ストリップで積分して表面波の平均電力流 PS を定義するo

Ko が x方向にあるとすれば?

地∞PS = J dx I dz くPsf(ム Tfω ))

弛 o

_1<0 (Ko+7I ) .ー]生()¥) 12

2k IKpl "Ka+汗弓2

ct;礼 ( 4.5 0 )

(K。十為)2 ) k2

と左る口 (113 0 ) ~ ( 4.33 )を用いてヲとの右辺を数値積分した結果を図 4.7K

示す。不規則表面が一様等方であるのでヲ垂直入射 (00=0)では PS は零とな

り9 水平入射 (()o=π/2)では単位面積K入射する電力が零と在るので PS も

消滅する。との結果ヲ。0=400付近で PSが最大値をとる。尚,図 4.7の PSは

入射アラックスで正規化した量を措いているので,その次元は面積である。

,¥ WUh(1U( ~

0.08 kσ=π'110

P s

30 '" 60 90 a.,(deg)

NE」

0.04

図 4.7 表面波の平均電力流 c00

:入射角〕

100-

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4.5 解析上の問題点

4. 3 B節では, A2 (九), )12)を無視して A](入)の近似解(4.3 0 )を導いたり

んの効果を取り入れて AlC入)を求めれば, 2.4節と同様の近似VC:J示いて

Al Cλ 112当Q2_~ム巴)1 )

l+M(A)

M (入)ニ kz(λ) J kz ()¥ 1十λ)IF(i;1)12 d/¥)

R2

( 4.51)

(4.52)

と宏之〉口とれらは, ( 2. 5 3) (2. 5 4) K Jjきいて λを五でj互換えたものに等しい。

( 4. 5 1)は (4.:30) よりも精度の高い近似解であると考えられるが令散乱特性

の数値計算にたいて問題点が現われた。それは 3 同 1--J>CX)のとき 7

Re CMC九)Jα: --02 I KO十λ12,(1 )i I日歩ω)

とをるので, (4.5 1 )が n

( 4.53 )

IK ハート λI~ ヴー 1 1 k 7 (λ) I'~σ 1 (154) O' .' I .. U_ Z

と:まる λlと対して鋭いピークをもっととである。とのピ クは, (4.5 1 )が複

素数の λK対して極をもつことを示唆 L,その極は, 3. 5節と同様?表面波司王

ートゃを表すものと考えられる。

しかし?明効境界条件(4.7 )が(4.6 )の良い近似であるのは, (4.2:3 a)が

成立する場合 p すをわら,伝搬する散乱部介波に限られる。逆vc,

d' IkzC五)12 > > k2 (}2 C 4.5 5 )

となる表面波の部分vC対しては, C 4.7 )は誤差が大きい。とのため s 表面波の

i盃(4. 5 4)に物理的意味を与えるには,厳密左:境界条件(4. 6) ~ともどって再検

討する必要がある。

パワー λ ペクトノレ IF()¥)12が原点〈五ニコ o)K集中している場合VCは, C 4.5 4)

の極は,散乱特性Kほとんど影響を与え左い。とのことから 7 実効境界条件は 9

表面粗きが小さく 3 かっ?表面が滑らかで高域振動成分をもたをい場合Vては,

ランダム境界条件の良いモデノレと在ることが結論できる口

-101--

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第五章不規則表面による電磁波の散乱-水平偏波入射

5. 1 まえがき

前章までK述べた確率論を用いる方法Kより,電磁波の散乱を解析する。不

規則表面は,完全導体で,ガウス分布をもち,表面粗きが波長に比べて十分小

さいものとする。 ζ の章では水平偏波入射の場合を取扱い,次の第 6章では垂

直偏波入射の場合を解析する。

次節では,問題の定式化を述べる。不規則表面の粗きが波長K比べて十分小

さい場合を解析するので,境界条件をテイラー展開し?高次項を無視して得ら

れる近似境界条件をランダム境界条件のモデルとする。散乱波をベクトノレ平面

波の重ね合せKより表現するので,その準備としてペクトル平面波の垂直・水

平偏波ベクトルを定義する(5. 2 B節)。次K散乱波の解の形を不規員Ij表面の

確率的一様性Kよって定め?波動関数が指数関数と一様ぺクトノレ確率場の積K

書けることを導く。との結果は,前章のスカラー平面波入射に対する解の形を

ベクトノレK拡張したものと念っている。

5. 3節では,完全導体の不規則表面が,複素ガウスランダム測度Kより生成

されるガウス一様確率場と仮定して事電磁界をウィナー展開を用いて表現する。

この表現の特徴は,展開の各項が確率平均の意味で直交する ζ との他VL,毘開

の各項が水平偏波@垂直偏波の二つのペクトノレ平面波の重ね合せであるととで

ある。とのため,ウィナー展開の展開係数は,水平偏波の平面波の振幅を表す

係数と垂直偏波のそれを表現する係数の二つの系列をもっととになる。

5. 4節では,ウィナー展開の展開係数と散乱の統計量との関係を導く。コヒ

ーレント反射振幅,電界の分散が発散し左い条件及び電界の分散,光学定理,

インコヒーレント散乱の角度分布,単位面積あたりの散乱断面積,表面波の平

均電力流を定式化している。

5. 5節では,水平偏波の入射に対して,未知の展開係数を近似的K解き,電

磁界の分散が有界と左る新しい波動解を導いている。同時VL,Riceの摂動法

の欠点をも明らかKしているO

5. 6節では,展開係数の近似解を用いて,種々の散乱特性を具体的K計算し,

結果を図示している。

との問題は, Rice(1951)闘が以前 K摂動Kよる解法を試みたが,一次

摂動解が発散するため具体的Kは解かれ左かった。損失のある誘電体境界面K

-102-

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対しては一次摂動解は発散しないとと,及び,完全導体の場合でも単位面積あ

たりの散乱断面積は例外的K発散し左いことに着目して, R i ce以後の研究は,

種々のパワースペクト Jレをもっ不規則境界面K対して散乱断面積を計算するK

とどまっていた。奇妙なことであるが s この分野の専門書は 9 摂動解の発散の

困難を指摘していない。 (2)(6) (54)

ζ の章の結果は,摂動法では解けなかった問題K解容を与え,同時K摂動法

の欠点を明らかKしている点で散乱理論に寄与するものである。また?との章

の新しい波動解は,散乱断面積のみならず任意の統計量を合理的K導けるもの

uであるから g 種々の測定法の理論的背景となりうるものでもある口

5.2 平面電磁波の散乱

A. 問題の定式化

不規則表面Kよる平面電磁波の散乱を考える(図 5.1 )。二次元 xy平面

R2ェ(一∞<x,y三∞)内の位置ペクトノレを『ロ cX, y)で表し?三三次元空間

内の座標ペクトルを対(r, z)で表す。 xy z軸方向の単位ベクトノレを(ex,

Dy, 6z )と書き,前章と同様,確率を定義する見本空間 8内の見本点を ω

す。

完全導体の不規則表面は,強義の実一様等方確率場 flfとより 9

INCIDENT WAVE IK・

Z

図 5.1 不規則表面Kよる平面電敵波の散乱 c00 :入射角, ({), φ)

散乱角,句.,水平偏波ベクトル, ev.垂直偏波ベクトノレ〕

円吋

unu

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z=f(Tfω) , rεR2 ( 5.1 )

と表現されるとする。 ζ こで, Trは見本空間Q 内の保視IJ変換である。不規則

表面の平均値と分散は

くz) =く f (Trω) ) = 0

くZ2 ) =く f2CTrω) ) = 02

( 5.2 )

とする o 0 は不規則表面の粗さを表すノf ラメーターで,波長K比べて十分小さ

いものとする。

マックスウェルの方程式より,電界 E(z, r,ω)は,自由空間 (z)1)VC ない

て.,

C ¥72 + k2 J E ( z, r,ω) = 0

d i v E (z, r,ω) ハU

( 5. 3 )

( 5.4 )

を満たし?完全導体表面(5. 1 )の上で境界条件

llxE=O; (zニ f(TWω) )

を満足ずる。ととで nは不規則表面上の単位法線ベクトル

-gradf('rrω: 十 e"i1 - 一一一一一一一一一一一一一一一一一一_.._

v'i+扇子adf(Trω)]2

( 5.5 a)

( 5.5 b )

である。以下では,三次元》のベクトノレの xy平面への射影を添字 0で表し, z

成分いこは添字 zを付けるものとする。電界 Eを

E = (Eo, Ez) = Eo+ez Ez

と書けば,境界条件(5.4 )は?

Eo +gradf(Tfω) • Ez = 0, C z = f (T rω) ) ( 5. 7 )

とをる九 不規則表面の粗さ d と傾き gradf(Trω) がとも K小さい場合を考

えるので, (5.7)を zCC=: 0で展開して得られる近似境界条件

( 5.6 )

a 1

Eo (0, r , ω )+f(τ匂)ー~Eo(z , r,ú)) I +gradf(Trω)・ち(0,r,ω) = 0, ( 5.8 ) 2=0

をランダム境界条件のそデノレとして以下で用いる o Bass等は, ζ の境界条件

を effective boundary conditionと呼んでいる。さらVC,散乱電界は遠

方 (z =∞)で放射条件を満たすものとする。

( 5. 2 ) ( 5. 3)及び(5.8)を満たす電界 E( z, r,ω)が求められると,磁界

*)直角座標成分で書けば, (5.5 a)は次の三方程式となるo Ey = ny Ez

Ex=nxEz, l1x円T=nyち. ζ の第 3の方程式は,第 1.第 2の方程式より導かれ

るので,結局独立を式は二うである。 ζ れらをベクトル形で書けば (5.7)とをるO

-104-

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H (z, r,ω)は,

H (z, r,ω)= ーと-c u r 1 E (z, r,ω) ω。μ ( 5. 9 )

K より計算できる。ここで, ω。は角周波数?μ は目白空間の透磁率であり,

間因子 ex p ( -iω。t)を仮定している。

B. ベクトル平面波の偏波ベクトルの定義

この節では,ぺクトノレ記号及び水エド偏波ペクト jレ@長i江偏i皮べクトルを定義

し?後の準備とする。

|盟波の波数ベクトルを kと書き,

k = (k 0, k z) = k 0 十 ezkz

k4二 k2 , kJ=kJ ( 5.1 0 )

L る口とと -t, k zは kの z成分でヲ Eの実数であるか,正の純虚数である。

k z )kZ-KJ>0 ( k 2 > kO~ ) ( 5.11 a)

( 5.11 b ) iイkJ-K2 , (k2 くk(;)

J欠vc,波数ベクトル kをもっベクトノレ平llil波の水平偏波ペクトノレ 8H(k) と

垂直偏波ベクトル ey (k) を,それぞれ次式で定義する(図 5.2参 照 )

8H(k)= kxez/ko=koxez/ko (5.12)

L k.. k 8,, (k)= kxe日(k ) /k = ~ _:.:o_ ._. '::.0_ eワ

V' U k ko k " ( 5.1 3)

この定義Kより, kとeH(k ), 6y (k )は互い VCl~交する三つのベクトノレである。

すなわち,

8H(k) .ey(k) ニ k.eH(k) エ k.ey(k) ニニ O

kxeH(k) = kev(k)

kX8V(k) = -keH(k)

8H(k)xey(k) = k/k

( 5.1 4 )

( 5.1 5 )

( 5. 1 2 )により, eH (k)は xy平面内の実ベクトノレで,単位,提幅

。H(k).eH(k) = 1 ( 5.1 6)

をもっ。一方, (5. 1 1 b )により kzは複素数Kなりうるので , (5. 1 3 )の Sv

(k)は一般に複素ベクトノレである。す左わち,

e v( k)・6y(k) = 1 , (5.17)

onU

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eyCk)・ey*Ck)

を満たす。とこでホは

複素共役を示す記号で

ある。

以上の定義Kより,

水平偏波のベクトル平

面波 6H(k)exp

C i C ko r + kz z ) J及び,

垂直偏波のベクトル平

面波 eyCk)exp

C k~ く k2)

C 2尚一k2)/k2,Ck~>k2) C 5.18 )

Z

V

Ci Cko r+kzz)Jは以下

の関係を満たす口 図 5.2 水平偏波・垂直偏波ペクトノレの定義

CeH(k)は xy平面上のベクトノレ, e y(k.)の z

成介は負である]

i CkOf +九z) i d i y{ eH(k)exp C i Ckor +kzz ) J}= eH(kトk. e ニ

i Ckor+ k~z ) i d i y{ e y(k) e x p C i C 1<.0 r + kz z ) J} = e y(k.).k • e • '''0' . "'z'" J = 0

i CkA r+ k~z ) --i c url { eH(k)e x p C j (1<0 r + kz Z )Jドk><6J-I(k)e ノ

M i(ko『+kzz)= k ey (k) e

、 iC k.Ar+k~z) --i curl {9y(k)exp C i C 1<0 r +kzz ) J r = k xey(k)e' '''0 ノ

i Ckor+kzz) = -keH(k.)e 。

( 5.1 9 )

C 5.20 )

C 5.2 1 )

( 5.2 2)

上では,偏波ベクトノレの一般形を定義した。この定義を入射波と鏡面反射波

K適用しよう。入射波数ベクト Jレを K'と書き

ピ =CKo,-Kz) = Ko-ez 九

Ko =fらex, Ko = k s i n f)o,

Kz = jk2-=疋=kcos{}o > 0 ( 5.23 )

と置く。ととで,入射面を xZ面Kとり,入射角を 0。とした(図 5.1参照)。

との定義Kより,鏡面反射波の波数ペクトル Kは

K ニ CKo, Kz ) = Ko + ez も (5.24)

と左る。 C5固 23 ) C 5.2 4 )を C& 1 2 ) ( & 1 3 )へ代入すれば,

-106-

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eH (K)

ev (K')

句 (K')=-ey

一一C0 S 0" e" -S 1 n U" e ~O-X ~'''~O~Z ( 5.25 )

ev (K) ニ C0 S {}o ~ - S i n (}O ez

と7をるo Kとiくに eH(K'), ev(K'), eH(K), ev(K) の幾何学的関係を図丘 lVC

社主している口

C. 波動関数の形

不規則表面を平坦面 (d2=O)からの摂動と見なし,電界 Eを平坦[町の場合

の電界(非摂勤電界)EOが摂動を受けたものと

E ( z, r,ω)ニ EO( z, r) + E S ( z, r,ω)

る口そこで,

( 5.26 )

と書く。非摂動部分 E O は,完全導体平面 (Z~~O) のとで境界条件

ez

X E 0 (0, r) = 0 ( 5.2 7 )

を満たすので?水平偏波入射K対しては,

iK~x 〆 iK.z iK.z" E 0 ( z, r )ニイ可ιl-eH(K')e 一γ 十eH(K)e"T J (5.28)

と書け,垂直偏波入射K吋しては

E 0 ( z, r )二日 ihx〔ev(10e-ikzhEev(K)e1kzz〕

と書ける口一般の入射偏波K対しては, (5.2 8 )と(5.2 9 )の線形結合で

( 5.29 )

s E V (z, r) が表現される。また,摂動部分 E は,不規則表面の凹凸がなぐな

るとき,零K収束すべきものである。

ランダム電界 E(z, r,ω)の形を決めるため, j~守章( 4. 8 )と同様 9 移動変換

Dを次式で定義する。

D8 E ( z, r,ω) = E (ゐ『十払 T aω) ( 5.30 )

ことで, aは xy平田内のペクトルである。移動変換 DC!は,波動方程式

(5.3)の演算子¥72+ k2, (5.4)の演賢一子 cliv,境界条件 (5.8)の演算子と可換

であるから, Eが境界値問題の解であれば Eもまた解で、なければならな

い。そとで, E ~ D8 E は,線形関係

D8E (z, r,ω) =C( a,ω) E ( z, r,ω) ( 5.31)

をもっと仮定する口一一方, (5. 3 0 )と(5. 2 8 ) ( 5. 2 9 )により, EOは

8_0, ll'i.,, 8_O D四 E0 ( z, r )ニ e"'O-EU(z,r),CKo=Koelx) (5.32)

と変換される o Eが(5.3 1 )を満たすためKは, (5. 2 6 )の ES (z, r,ω) が

E 0 (z, r) とi司じ変換性

inU

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DaEs(z, r,ω)=e iko a E S(z,Lω)

をも?とをければ左らをいから,

C(a,ω)ニ eikoa, (ko 二凡~)

と左る。(5. 2 6 )及び(5. 3 0 ) ~ ( 5. 3 4 ) VCより p 波動関数の形は,

E (z, r,ω)二 eiko『〔UO(z)+US(z,TFω)J

であることが容易K導ける口とこで,

USCz,Trω) = E S ( z, 0, T rω)

( 5.33 )

( 5.34)

( 5.35 )

( 5.3 6 )

は保損Ij変換 TrVC上り生成される一様ぺクトル確率場で,吉」さ zvc依存する D

UO (z) は,水平偏波入射(5.2 8 ) VC対しては p

UO(z)=E O(z,O)=-e(KF)E-ikz Z+e(K)e i kz Z H

と書け,垂直偏波入射(5.2 9 ) VC対しては

-ÎK~ z . .. iK u 0 ( z ) = E 0 ( z, 0 ) = e.. (K' ) e I !¥.z ;t, + ev (K ) e 1 H.Z

V' v

で与えられる口

( 5.3 7 )

( 5.38)

( 5.3 5 )は,電界 E(z, r,ω)が指数関数と一様ベクトル確率場の積で書ける

ととを示-:t0 従って,散乱問題はヲ未知の一様ベクトノレ確率場を定めるとと K

帰着する。次節ではヲガウス分布をする不規則表面K対して電磁界の確率関数

としての表現を述べる。

5. 3 電磁界の表現

不規則表面を表す !(Trω)は,ウィナー積分

! (Trω)=J e ih『

F(λ)dB(瓦)

R2

( 5.39 )

により表現される一様ガウス確率場であるとする。ととで dB(九)は,二次元複

素ガウスランダム損Ij度であり,性質 (A131)~(A134) をもっO 関数 F (J¥)

は, ! CTrω)を実の等方確率場とする条件

F(λ)=F*(-I¥), IF(λ) 12 = I F(A)F ( A = Iλ1 ) ( 5.40)

を満?とすものとする口 (A1 3 1)と(5. 3 9) VC上り, !(Trω)の相関々数 Cfは

Cf(!al)ニく!(Tf+aω )!(Trω)> 、 00

=j e IAalF(λ)12dIl=2n-f Jo(Alal)IF(A)12AdA ( 5.41) R" 0

-108

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となる口 げは)! 2 は,不規則表面のノf ワースペクトルである。また( 5. 2 )

により, F(λ)は uのオーダーの関数である。

未知の一様ペクトル確率場 USを (5. 3 9) (rcより dB(λ)の汎関数と見なして,

ウィナー展開することができる。ととでは,散乱波 ES(z,r,ω)ニ ei 1<0 xUs(z,Tω)

が,波動方程式( 5. 3 )と零発散の条件( 5. 4 )を満たすよう VC,次式の形に

書く口

ES ( z, r,ω)ニeliくor US (z, Trω) , (KaニKoex)

日 ifい CeH(K)Ao十 ey(lく)Bo ) iKnz

t 】

; v ., CXJ

十 e t句 λ}; f f "'''.f {eH (λiーは乙十 。.十λnJ An (瓦1>::¥2' ...... n) nニ 1R2 ~ R2

) i (λ1十瓦2十……十瓦 ) r + ey (λ1十・・十λ11J Bn (λ],瓦 h …ー, λn) } e

x e i kZ (λl十λz十一一・+)n)z h(n)(dB(瓦1),dB(入2),・…", dB(λn) J (5.42)

ととで, kz (入)は,プラックペクトル λKより作られた波動ベクトル k()¥)の z

成分であり 2 正の実数または正の純虚数である。す在わち

k(λ) ニ ko(入 )+8Zk z (入) ; k2 (λ)= k2

koCλ)ニ Ko+)¥= (Ko+ 沿)~+入yey , ko (瓦)= !ko(II ) !

kz (λ)=v'lc'-ミ瓦弓予二三0; (k2二三時()))

i J(Ko十九 )2-k2 ; (k2くkO()¥) )

( 5.4 3 )

( 5.4 4)

( 5.45 )

(図 5.3参照 )0実の kz(λ)は手伝蹴する部分波K対応し,純虚数の kz()¥ )は表

面肢に対応する口 θn()¥Jと 8yOJは,波動ぺクトノレ k(λ)(rC I:白:吏する水平偏波ペ

クトルと垂直偏波ぺクトルである本。(5.4 3 )と(5. 1 2) (5. 1 3 )を用いて,

)..H K +A.. 8H()¥ J=eH(k(;¥)) = 一一-e -J-3 8 HC,"' -' ~li' ''\''I/ ko(il) ~x ko(il) ~y

8y(川ニev(kO))zh型当主主)eιAyey _ koCりek ko供)

( 5.4 6 )

( 5.47)

と定義する。(5. 4 3 ) ~ ( 5. 4 7 ) VCより eHO.Jと 6y(JtJ及び k(λ)は (5.14 )

( 5.15 )の直交関係を満足し,かつ(5. 1 9 ) ~ ( 5. 2 2 )と類似の関係

nHU

、aLPJ

qiu 、tJ'、A

/{‘、q

L

LM品・1+

FE

、lJ'、A

/tL ハU・K・-a

L

「iJ、円

flL H

白U

fz

、目、V

・1・d ( 5.48)

* ) (5. 1 2 ) ( 5. 1 3 )の en(k),eyCk) と区別するため角括弧を用い en(Jt J,

ey(λ]と書いている口

-109-

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tE'H(IK')

Z

Y

X

[;s] 5.:3 K'とK,Ko,λの関係(K。と k。とがなす角が φである口 )

( _, _ i k~ (λ)r+ik,,(.iI)z、div{evCλJe り乙}

( ~_ _ i k()(五)r+ik7(λ)z、 ikハ仏)r十ik7仏)z curl{ eHCλJ e ' .. 0' ,. . "2" ,-}ニikey CλJe "'U' ,. "'L.

( ,_ -, i k内側r+ i k7険)Z 1 . • C-~ -, i kn仏)r + i k7伶)zcurl { ey Cλ〕eO 乙}=-i keHCλJe り乙

( 5.49 )

( 5.50 )

( 5.51 )

を満たす口図 5.3は,入射波数ベクトノレ iどとブラッグペクトノレ λ,及び k(入)

の関係を;示している。

Anと Bnは 3 それぞれ水平偏放の部分波の振幅と垂直偏波の部分波の出幅を

表すもので,いずれもその変数K関して対称な関数である。とれらの未知関数

は境界条件を解き 5.5節で求める口複素ウィナ エルミット償分式 h(n)は,展

開(5. 4 2) のi直交完備な基底である。

( 5. 4 2) は,電界の確率場としての表現を与えるもので 3 スカラー肢の表現

( 4. 2 2)をベクトルK拡張したものである。スカラー波の場合との違いは?

( 5. 4 2) では偏波成分の振幅を表現する二つの展開係数 AnとBnをもっとと,

及び, ( 5. 4 8) (5. 4 9) VLよりベクトル部分波が(5.4 ) を満たすととである。

上の電界の表現を用いて次K磁界の表現を求めよう口(5. 2 6) と同じよう K磁

界 H (z, r,ω)を非摂動部介 HOと摂動部分 H

SとK分解する。

H ( z, r,ω) =Ho(z, r) +Hs (z, r,ω) , ( 5.5 2 )

110

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HO(z,『 )=-L-cu r l E o(z,r) ω。μ

HS(z,r,ω)=一一土ー cu r 1 E S (z, r,ω) ω。μ

水平偏波入射(5. 2 8) VL対しては, (5. 5 3) (5. 2 1)を用いて,

HO(z,t )Z 1t iT4バ {ev(K)e1kzz ev(iぐ)e-iKzz

( 5.5 3 )

( 5.5 4)

( 5.55)

となる。とこで ηは自由空間の固有インピーダンスである。(5. 4 2)を(5. 5 4)

K代入して, (5. 2 1 ) ( 5. 2 2 ) ( 5. 5 0 ) ( 5. 5 1 )を用いれば, HS(z,r,ω) の

表現

ぽ(z, r, w)十i凡X{ev(K)九 en州

1 iKハxi?f f r 十士 E りよ J... J {evO 1+λ2十…日十AnJ An (入1>λ2,…", λn)

可 11=1R2 R2

、 i (λ1+入ヌ+…ー+λ11) r Dn[λ1十入2十 …・十瓦nJ Bn 01,λ2, ・...', λn)}e"" O

i kZ(九I十瓦2十..・ e・.+λn) z ,.(11)

h¥IJ![ dB(II ¥), dB(λ2), ...…, dB(λn)Jー

( 5.5 6) が得られる。

以とで,電磁界の確率場としての表現が得られた。次節では,この表現K基

づき,種々の散乱特性を定式化する。

5. 4 散乱特性の定式化

A. コヒーレント波

( 5. 4 2 )を平ー均し, (A140)の直交性を用いれば,コヒーレント波は

くE(ムム ω))ニ EO(z,r)+くES ( z, r,ω))

ハ ICxr 、ニ EU(z, r )+e "'0"' {Ao DH(K)+Bo Dv(K)} e '''Z

と書ける。水平偏波の場合, C 5.2 8 ) VLより

くE(z,ム ω))ニeiKoX{-Dn(K/)e一iIらz+(( 1十九)D1iK)+ Bo ev (K)) e i Kzz }

( 5.57 )

となる口後K示すよう vc,一様等方確率場である不規則表面K対してはコヒー

レント散舌LVc交差偏波を生じない口す左わち, BOニ OとなるO

B. 電界の分散

Riceの一次摂動解では,ExとEyの分散は有限であったが, Ezの分散は

-1 1 1-

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発散した。そ ζ で Ezの分散を(5.4 2)を用いて定式化し,分散が有界である

ための必要条件を導 ζ う。

( 5. 2 6 ) ( 5. 4 2 ) VCより

E (z, r,ω)ーく E(z, r,ω)〉=ES(z,r,ω)一く ES(z, r,ω) )

と在る。 ζ の右辺は, (5.4 2 )の級数部分K等しいとと K庄意する。そこで,

( 5.4 2)級数部分の z成分をとるとと Kより

Ez く民〉ニeik行 J{¥rzC7I JB/λ)e ihfeiiEρ) z h (1) C d B()I) J

R"

+ J J {¥rz C戸十川島(h,X)ti(九+)1' ) r e i kz ()¥ H' ) z h (2) C d B(叫 ds(i¥')JRZ l{2

十 )

が梶られる口ことで、 e"r7Cλ 〕は e_.Cλ 〕の z成分で, (5.4 7 )より可z-. -.---v

eJhH Ito (λ)/k =~ J(k+長刀訂正子/k ( 5.58 )

で与えられる。複素ワィナーエルミット徴分式の直交性 (A1 4 1 )を!日いれば,

EZ の分散は容易K計算でき 7

r 1.2",¥ I n h. ¥ I 2 ~ ~2 ImCkZ(λ) J z くIE くK)12 >ニ 77j k仇i1 B 1 ()I ) 1 2 e ~.." , "z ,. . I ' ._ dλ I} J -'0' 品 R"

~2 IrnC kz (九十.lI')Jz十JすJJ k~ ()I +X ) 1 82 (λ, )1' ) 1 2 e ~. ''', "Z ,. •.. / _. ~ d)l d)l'十

" R2 R2

( 5.59 )

と在る。右辺被積分関数になける指数因子は表面波の効果を与える。(5. 4 5 )

の定義Kより zが小であるほど Ezの分散が増加すること K在るから?左辺

が有限であるため K は,右辺の各積分が z ニ O で有 [lJ~ であることが必要である。

つまり, Bn VC対する必要条件として

J kl~ (A) 1 B! (λ) 12 d)lく∞,R2

J J k~ ()I凶)1 B 1 (入)1') 12 d71 dX く∞

R2 R2

( 5.6 0 )

( 5.6 1 )

等が得られる。 ζ れらは,スカラー波の場合の条件(3. 1 8) VC対応するもので

ある。

zが大きいとき,表面波の影響が無視できる。す左わち, (5. 5 9 )の各積分

領域を kz(λ),kz (λ十)1')等が実である h領域K制限する ζ とができる。従って,

-1 12-

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くl見く巳>12 >ニdf kJN)lm)12品日 CK。十 λ)2くk

2

ト~Iffk叫~ C 入川山+叫州X引)ハIB恥川肌己〆ρ山(什仇λλ川川,X川川ν川州川)汁げ|ド2

(Kくo十 λ+λν(yくk王d2

と書ける011xとEyの分散も全く同様K定式化できるが,

c 光学定 tm

パzー》∞) ( 5.62 )

ことでは省略する。

屯磁界が(5. :1 5) のよう κ一様確率場と指数関数の積で書けるから,複素ポ

インテングベクトノレ

p ( z, T rω)zj(E(Z 『3ω)イ (z,r,川 ( 5.6 :1)

は r(tc関して一様ペクトル確率J易である。周知のよう vc,Pは関係式

divCRepJ=O

を満たす。とれを半径 e,高さ z。をもっ円柱領域て?体積分し,ガウスの定理

Kより表而積分K変換すれば,条件( 5. 5 a )の下で,

Iu r e .P( z Trω)dxdv十Reln.p(z,Tfω )d Sハニ Oz 0, ‘ し

( 5.64) 7l' f/ 6

OJC

となる口ととで7l'i! 2は円柱上部の表面積, Scは円柱の側町,れは Sc の単

位法線である。との積分の第一項は I面積 7l'f2VC比例し,一一方,第二二項は円柱の

半径/!Vc比例jするにすぎ左い。従って,

l 山i川川m 土ιコ R恥e rい87 '(ぽExH本勺)dωx引吋叫E口吋向d尚1竹yニ

E→ ∞ 27;花主凶/!"J

7l'π/!2 主L

( 5.65 )

となる。との:被積分関数は一棟確率場であるので,エルゴート'定理Kより 3

( 5. 6 5 )は,

JRr く ez(EXH) 〉ニ o ( 5.66)

K等しい。この関係式は z方向への電力の流れがまいととを表 L.,入射電力

が完全導体表mlVCより完全K反射されるととを意味している。

( 5. 6 6) vc電磁界の表現(5. 2 6 ) ( 5. 2 8 ) ( 5. 4 2 ) ( 5. 5 2 ) ( 5. 5 5 ) ([i 5 6 )

を代入し,複素ウィナー工 jレミット徴介式の直変性(,-¥141)と偏波ペクトJ!.

の直交性(5. 1 5) を用いれば,展開係数 A...B で書いた光学定理が得られる口n, "'n

-t左わち,

-1 1 :1-

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十{I 1吋 2十 IBo 12 }ぞ

唱 C幻

+fJn!JJ kz(hI+入2+一一・+λn){IAn(λ1')¥2'......,)¥n)12

" nニ 1(KJL+…十九n)2くk2

n

、A円

AU

つL、AJU

1

、AH

AU

、らtJ

2 、‘,

J

n

、AHつ,旬、AI

、A

H

frt

・、同+

( 5.67 )

との左辺は(入射電力密度(2万)-1 で正規化した)単位面積あたりの入射電

力 3 右辺の第一項はゴヒーレント散乱電力,右辺級数部はインコヒーレント散

乱電力をそれぞれ表現している。 (5.67)は,入射電力と全散乱電力とが等し

いことを意味する。とれは s スカラー技の場合の (2.75) (4.39)を拡張した

ものと在っている。コヒーレント散乱とインコヒーレント散乱が二つの偏波成

分の振幅 An,Bn で書かれている点がスカラーの場合とは異在っている口

( 5. 6 7 )右辺は非負の数の和であるから?ごうの不等式

1 1十九 12 豆 1

Re ( Aa ) 壬 O

( 5.68 )

( 5.69 )

が成立する口(5. 6 8 )は 3 水平偏波のコヒーレント反射振幅が入射波の振 111高よ

り小であることを示す c( 5. .5 7 )参照コ。これらの不等式は,コヒ レント散

乱振幅の減少K より g インコヒ…レソト散乱が生成されることを意味している口

D. インコヒーレント散乱の角度分布

前章 4.4 D節と同様,インコヒーレント散乱の角度分布を S(.o.lilo)ささ S(s,

φ!θ0, cpo) と書く口これは,入射角が白。ニ(() 0,φ。)であるとき,,nニ((), φ)

}j向の単位立体向ヘインコヒー vント散乱された部分波の平均電力ブラックス

を入射平而波の電力ブラックスで割ったものである。従って S(0, 1.0,0) の次元

は立体角の逆数 (5r)1であゐ。光学定理 (5.6 7 )の級数部は,単位面積から

散乱されるインコヒーレント電力の平均値であるから,関係式

f cos{} S(.0. lD.o)dilニ ;fkz(λ){IA1()¥) 12+IBj()¥) 12}的

2π 一(1<0+λ)2くk2

+子f汀Jkいt(Ko+λ1+λ2) 2くk2

十一一一一 ( 5.70 )

が成立する。図 5.3の散乱角((),φ)とko(λ), 1<0 (λ1+)¥2)等の関係

一 11 4-

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(第一項)

(第二項)

ko(λ) =Ko+瓦ニ (ksinOcosφ,ksinOsinφ)

kz (λ) =kcosO, d瓦ニc0 sO d.o. ko (入 1-1λ2)立 K。十入 1十入z=CksinOcosφ,ksinOsinφ)

kz (i'I 1十九 2)=kcosO,d入1= C 0 S 0 d.o. ( 5.7 1 )

等を用いると

S( 0,φ100,φ。)=号fy(0,φ100,九)十SH!I(0,φ100,φ。) ( 5.7 2)

SH日(0,ψ1()0,0)エピ C0 sO { I A1(λ)12十2!L IAρ一入2,i'l2)12 d瓦2+・},

R" ( 5.73)

SH V C 0,φ100, 0) =ぜ cosO{IB1(λ)12 +2! f ,> 1 B2(iI-i'I2' i'l2) 12 d i¥2+一}Rム

C 5.7 4) となる。但し,

λ= ko --1く。ニ!ζCsinOcosφ-sin80)ex十 ksinO sinφey

は,図 5.3が示すよう K入射角 C00, 0 )と散乱角(0,φ) vcより定まるプラッグ

ぺクトノレである。 sの添子 HHは水平偏波入射一水平偏波散乱を示し,添字 HV

は水平偏波入射一垂直偏波散乱を示すO

E. 単位面積あたりの散乱断面積

図 2.6及び 2.5 C節で定義したよう VC, S (.a 1 .0.0 )は (cod)-1K比例する

表面面積部分からの散乱電力K関する量であるので,とれを単位面積あたり K

換算するととも K無次元とした量

00 ((),φ1 () 0, CTO) = 47l" C 0 S {} S ( 0,φ1 00,φ。) ( 5.7 5)

を単位面積あたりの散乱断面積という。 C5. 7 2 )の散乱偏波Kもとづく分割K

対応して

σo C 0,φI 00, CTO ) = dHH( 0,φ1 (}o,(To)十市v(0,φ100, CTO )

今回 C(),φ1 00,も)ニ47l"cosOSUH(O,φ100,φ。) ( 5.7 6 )

OHV (0,φ100, CTO )芯 4πcosOSHV(O,φI 00,φ。)

を定義し,後K計算する。 S((), φ100,φ。)は全ての散乱角 (0,φ) vc対して有

F艮値をとるから, (5.75) より

1 im 00 (0,φI 0,。φ。) = 0 ( 5.77)

O→知合

が成立し左ければ左ら左い。次節で求める我々の解は,との性質を満足するが,

l次摂動解は (5.77)を満たさ左い。

F. 表面波の平均電力流

( 5. 4 2) (5. 5 6) Vc j:,~いて,不等式

一 115-

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(Ko+入1+λ2+……・+入n)2 > k2

を満たす入領域上の積分は,表面波を与える。表面波の電界を Esfと書き,融

界を Hsfと書けば ,(5. 4 2 ) ( 5. 5 6 ) K より

i Knx ,. ( ,_, _ ,_, ._ _ _, iλr +i k'7(λ) z E sf ( z, r,ω)ニ εoX・f{A1(λ)eH C九J+Bj(λ)ey(入 J}e iJq -rlKZ¥JZ dB(入)

(1く。+入 )2> k2

i (λ1+入2)r +E o j j{Adh,瓦2) ell C瓦1十)¥2 J + B2 ()ll, A2 ) ey ()Il + 71 2 J } e I ¥ " 1 ' "2

(Kol-九 1+λ2)2 > k2

i kZ (入 1+瓦2)z 1.(2) Z" o'-. h¥LJCdB(λ1), dB (λ2) J 卜日……・・, ( 5.78 )

1 i K" X r , ~ • _ _ _ _ ,_,' i入r+ i kz(λ) z Hsf(z,r,ω)二 ZE O j{evO〕A1仏)-SHCλJB1(λ) } e .", , , "Zl" J U d B(7I)

(Ka+入)2 > k2

i (瓦1+入2)r 十万日 i1いff{eyCλI+A 2 J Az(λ1')¥2}-eIlC瓦1+)l2JB2(711, 2 )}e

(1く。+λ1+九2)2> k2

i kZ 0.¥+瓦2)Z,(2) Z" o'- h¥U, CdB(入1),dB(瓦2)J +…-・…一(5.79 )

と;去る。表面波Kよる複素ポインテングベクト Jレ Psfの実部

Re Psfニー ReCL. xHネ J/2 sf "1 'sf

が表面波の電力流密度を与える。との平均値を(5. 7 8 ) ( 5. 7 9 ) ( A 1 4 1 ) vc より計算すれば

frv.L,¥f, (-,,¥, 2 'in {-,, \12L~-2ImCkZ(九) J z くRePS戸~J (Kρ) {IAl CA) 1

2 +IBj(λ) 12 }ε

( Iく。+λ)2> k2

-2ImCkz (λ1+λ2) J Z + Y J日J、(K凡E+入)¥1一+ト山入)¥2川 IAんz(λ)11,71丸712)ρ) 1戸2斗十什IB払2(作瓦)11>山,

Z (はKo+←λ1汁+瓦2ρ)2> kν

十...リ・ E ( 5.81 )

とJj:る。但し,との右辺は入射電力密度(2可) で正規化した量である。図5.1

のように-x方向から平面波が入射するとき, y方向K単位I隔をもち z方向K

半無限長のストリップを通過する表面波の平均電力流 PSは,

ャ f dz r dy ~くRePsf > 一 一一 一

エ寸ヰf 赤 h持吉 {μi凶A1川+什!払…(伶川川λ川州)汁|

(1<0ら十λ川)2 > 11:2

-1 16-

( 5.82 )

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と在る。 ζ れは定義Kより面積の次元をもっ。

5.5 展開係数の計算ー水平偏;皮入射

展開係数 An,Bnが得られると,電磁界が(5.42 ) ( 5.56 )より定まり,散

乱の統計量が前節の式Kより計算できる。そ ζ で, ζ の節では展開係数を求め

る ζ とK しょう。

( 5. 3 5)のよう VL,電磁界は一様ペクトル確率場と指数関数の積であるから,

共通の指数因子を除外すれば境界条件( 5. 8 )は一様確率場K関する方程式と

考える ζ とができる。 ζ のため,以下では r= 0と置き, (5. 8 )を確率方程

式と見なして解〈。具体的K計算を進めるため,まず zニ r= 0 VLがける

!(Trω ), grad!(Trω ), E θE/θz. E の表現を書 ζ う。(5: 3 9) より,0, ~ -0' ~ u , ~ Z

!(ω)= I FO)dB(入)= I FホO)dBホ(λ), ( 5.83 )

V ぜ

grad!(ω)= i I河 (λ)dB(λ)ニーiI河本(λ)dBホ(λ), R2 J.?

但し,左辺は grad!(Trω)の r=Oでの値を示す。(5.26) ( 5.28 ) ( 5.42 )

Kより,

E 0 (0, 0,ω)ニ {eyA。十exBoKz/k}

十L2{eH山 A1川十句oCλ)B10)}h(1)C山 ))

十 II {eHCλ汁λ2)Az(:.¥l> ~ 2)十鳥oC旬:.¥2)B2(λt:'¥2)}h(2)CdB(λ山 dB(λ2)) R2 l("l

+ ・・・・・・… ,

之たかEo川 ωω山…)=ト円ニ一「一寸iω(ω2針川川川+叫叫Ao州Oρ)川 +i4与九

+ i Lレいkzぷ(λ川){何凶e内HCλ川 川)A池山A九1

(5.84)

+ i I I kz (λ+λν') {eH Cλ1+λ:.¥ 2)ρ) A2 (入1,入h川2ρ)+eyOC入1+λ2)B2 (λl'λL川2ρ)}

l("l R2

x h(2) C dBO 1), dB(入2))+……( 5.85)

Ez (0,い)二一平 Bo+I eYZO)B10)h(1)C伯作))

民If

+ I I eyZ Cλ1+λ2) B2 (λ1, :'¥2) h(2)CdB(入1),dB(2))+

R2 R2

ζζ で, eyO Cλ 〕は eyCλ 〕の xy面への射影であり, (5.4 7 )より,

-1 17-

( 5.86 )

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ey C入〕ニ eyoCλJ+ ez eyZ CλJ ,

k" (λ) /.. _, ___ k,, (λ) yo C入J=一一ι一一一一 (Ko+λ), eyZ CλJ=一 二立ムーニーU~ ~ k.k

o(λ) ,.. U /, -Vl ( 5.87 )

と在る。とれらの表現式を境界条件(5. 8 ) (iL代入し,漸化式 (A1 3 g) と直

交性 (A1 4 1 )を用いれば, An, Bn (iL関する一連のペク卜ノレ方程式が得られ

る。低次の方程式を書けば,

ILB 8yAO十ex-4」十iJ kZ (λ) {8 H CA JA1 (λ)十eyOCλJBk;¥)} F*(入)dλ

l¥ R2

-iJλFホ(入)eyZ C入JBj(入)d入=0 , ( 5.88)

~ v 2

e町内H以〔λ川川〕川池川A九似山iパ川(はλ)+十ey何V叩oC刊λ川〕市BJ伶λ川)+十 iべ{一(ω2引→十-Ao)KいE

十2i J kz ( λλ一十ト山λνFり)Fγ汗ぺ*ぺ(九){eHCλ+λν灼F勺JA九iλ,)1λν') 十8y叩oC臼瓦十γJ B札~ ( λλ3 ν ) } dγ

R2

一ihFN)Bo-2if げ川yZCλ十約九 (λ,A') d入'=0, 民 R2

8 II Cλ+一入'JA2 (λ , 入, ) 十 8yO Cλ +一入'JB2 (λ , ν)

十 JF(λ)kz(ν){ell川 A10')十eyOCν〕山')}

+fF川 {z(λ) { e H C i¥ J A1 ( 川町o川 山 )}

十 1λF(入)eyZ C入JBj(入')十三λ'F(入')eyZ CλJB1 (i¥)十一ーニ 0,2

( 5.8 9 )

( 5.90 )

等である。(5. 2 ) ( 5目 39)より F(i¥ )は d のオーダーの徴小量であるととを用

いれば, (5.8 9 )より A1(λ)とeyOCλJ B1 (九)は高々 d の二オーダーである ζ

とがわかる。同様 VC( 5. 8 8 ) ( 5. 8 9 )から, A。と KzBo, A2 (A,γ) ,

8yO C入品'JB2 (λ,ν)は高々 02のオーダーの徴小量でおる。ととで注意ずるべ

きととは ,KzBoは微小量であるが, Kzでご Oと在る場合Kは Boは微小量とは

限ら右:いととである。同様(iL, i eyZ CλJ 1-:::= 0と左る λK関しては Bj(λ)は

か左らずしも微小量では左い。

十分小さい o(iL対して,展開係数 Ao,Bo, Aj (λ), B1 (λ) を求めよう。まず,

Anニ Bnニ o (n > 2 )

と置けば, (5.8 9 )は,

-1 18-

( 5.9 1 )

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eH(λJ A1 (入)+ e YO (71 J B1 (入)

= i {(2十Ao)KZey一__KZ2Bo ex/k}F(λ)一+ぽdト

と簡単K 左る o eH (IIλ 〕と ey,刊o(λ〕は直交するカかミら' ζ の 9H(λ 〕成分より

A1(λ)の近似解

F(λ) r

A1 (五)=-j -:一一~', ~ ( 2 + A() ) K" (K" +λ )+kÀ"B,,~ (5.93) i k。(λ)l' W • "0 / .. z ". 0 . . -x / . ... -y ~ 0 J

を得る。 ζの右辺は, Iko(λ) I = I Ko+λl ニffK~石訂弓王子 =0 と在る λ K

対しでも有界で発散しない。次trc( 5凶 92 )と eyO(71 Jとの内積をとり,

e品〔瓦〕 =k;(λ)/ k2 で両辺を割れば s

iF(λ) ( , ~ , -- .." (" Bl (λ)= 一一一一一一 {(2+A{))Kλk+Bo(HOk~(λ)-k2 (Ko+Àx))} ,ko(入)k

z (λ) l' W • "0 "'Z . -Y" -~o 1....

( 5.94)

と在る。これは, I ko (瓦)1=0 と念る入 K対しては有限であるが, l?ayleigh

波数

kz(入)=Jk2'寸に干支Y= 0, IKo+λI = k (5.95)

を与える λK対しては発散すること K走る。物理的Kは電界の分散が発散する

ことは左いので, (5.9 4 )は BlC II )の近似解とは左りえない。

良い近似解 B1(λ)を得るため Kは,先K無視した A2'B2からの補正を取り入

れる必要がある。 ζ の補正項は ,A3= B3ニ Oと置いて(5. 9 0 )を A2'B2につい

て解き ,(5.8 9) VCζれらを代入すれば得られる。この計算は煩雑であり,

( 5. 9 4 )は Rayleigh 波数以外では近相解と左りうるので,補正量の計算は,

(5 9 5 )を満たす λK対してのみ行うこと Kする。 ζ の場合, (5.87) (5.95)

Kより,

kz(九)立 0, ko 0) = 11<0時 1::::k

6yO

(瓦 J:::: 0, eyZ ()I J亡ニー 1 ( 5.96 )

と置〈 ζ とができる。この条件の下では, (5.9 0 )の第四項は無視でき,また 3

第三項と第五項は(5. 8 9) trc代入した際VCF (λ)trc対する補正を与える Kすぎ左

いので無視すること Kする。とのとき, (5.9 0 )は近似的K

9I-10+)¥'J九 ( 5.97)

と書ける。 ζ の 8yO(λ+ν〕成分を計算すれば,

-119-

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k [(1くハ+λ ) .:¥つ , B20,ν)士二一一一一一一一一ーコL....:.:_ムーム F(ν)B I Cλ)

2 kz (λ+ν) ko (λ+ν) ., - ,-1

C 5.98 )

となる。(5. 9 7 )を(5.8 9 )の第四項VC, C 5.9 8 )を C5. 8 9 )の第六項K代

入して A2とB2 を消去すれば,

eHCλJ Aj Cλ) + evo CλJ B 1 Cλ)

((凡+入+λ')・λ勺-BJ ()I )主的z(川)+守戸F「〕 lmr)|2dν}

R っロ i(2-トAA)K~F(λ)e ,,+ iー♀ CK,, )¥-K; e~ ]F(λ) Y. • k (5.99 )

を得る。とれを(5. 9 2 )と比較すれば?との左辺第 3項K補正項が現われてい

ることがわかる。(5.99 )の 9VO刊〕成分を計算すれば , Bj(:iI)の近似解

i F(瓦) ( B1 (λ)二一一一一一~ '/-,' ¥ ,J .., {(2+Ao)kKλ +B"CKr. kも(川 k2(九十入x.)J}, koCλ)(k

z (λ)ーkr勺 L¥.i.J..J.A.U/HJ.>.Z'...y.-"-JUl......i.:t..On.O¥"J J1. \,..I. ~"""X~/ _.J J

( 5.1 00 )

TF=-1J 笠Q222Ei二竺FHKo+入)~ 1 F (iI , ) 12 d I¥ ' ( 5.1 0 1 ) k主2 kZ (λ+ν)

が得られる。次VC, C 5.9 6 )を用いて(5. 1 0 1 )右辺を計算する。二つのベク

トノレ A=Ko十 λ+ν とKo十入 とのなす角を φrとすれば

(Ko+九十ν)CK。十九)ニ (Ko+λ)2十九'(1く。十九);;; A k c 0 sct'ヘ

(Koト入 )ν ~ Akcosφr一(ko+h)22Ak c o sφ I _ k2 ,11.= 1 Ko十入 +λ'1

であるから,

T, FF(A〕 14113F〔A〕1 τ -k I 一一一一一一;.,.AdA十 Ik I … Fヰ F話回守 AdA

もバピヂ L

r(A)= rCAc岬 仁k)2 1 F( .JA2+k2-一五五高寸 12dφF

ー。

C 5.1 02)

( 5.1 03)

と~.る。とこで,パワースペクトノレ IF(λ) 12 の等方性 (5.4 0 )を用いた。

B l(λ)の近似解(5.1 00)では, R昌yleigh波数(5. 9 5 ) を与える)lVC関し

てのみ補正量ずを求めた。このため(5.1 00)は p 一般の I¥VC対しては近似が劣

化すると考えられる。しかし, r'はポオーダーの徴小量にすぎ左いので,

kz (λ)キ 0と1.tる一般の λに対しては r'の効果は無視しうる。そこで?以下で

は(5.1 00)を全ての λに対する近似解として用いる。

( 5. 1 0 2) (5. 1 0 3 )により, r'は複素数であるので, ( 5.1 0 0 )は Rayleigh

-1 20-

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波数(5.95 )のときでも発散するとと左〈有限である。さら VC(5.100)は条件

( 5.60 )を満たすので,後に示すよう VCEzの分散は有限で, (1→0 と在れば零

K収束する。とれは物理的予想と一致するものである。

(5“100)の特徴は, σ→ Oの極限Kむいて不連続関数K収束するととである。

とれは, kz (入)キ 0では r'が無視できるので, B1 (λ) は σのオーダーである

が, kz (λ)ニ Oでは(1-1のオーダーであるためである。 ζ のととは, 3. 3節の

スカラー波K対する近似解と類似の特異性であり,摂動法の欠点を明らかK

るものでもある。即ち, 1/(1 VC比例する解は, (1の正巾のみで展開する通常の

摂動法では得られない。また, A1(A)はとの様な特異性をもたないので,垂直

偏波の部分波だけが異常K大きい振幅をもちうるとと Kなる口

上では, A1 (λ) , B1 (λ) を求めたので,次VCAo, Bo を計算しょう。 (5.88)

の x成分, y成分を取れば,次の二つの方程式が得られる。

主ぇBo+i.L F*(λ) { ~y Al (λ)+ 恒三よ包土~~} k ρ ) dλ ~2 • '" / l k H 1'" / ' k • kO (λ)

r 'x k内 (λ) キ+ i I ___i'L千L.:.:_'F"" (λ) B

1 (λ) dλ= 0 , (5.104)

'R2 k

K ↓ 'v ._, k. (A )λv ーい VN){-汁 'X

A1 (入)+τ日 B1(λ)} kz (λ)品

r 'y ko (λ) -* +i i ~一一_:"F 本 (λ) B1 (λ) dλ ニ O" R2 k

( 5.1 05)

ととで, ( 5.9 3) (5.1 0 0 )を(5.104) VC代入して整理すれば,

QB Bo = QA ( 2 + Ao ) ( 5.1 06)

QA ニ~J ご~ IF(λ) 12 {弘(λ)(KA+λ)-wh吋 (λ)51}

k JR2 kO (:)t)

l ' ". / I l"Z ,.. / ".0' ovX / 1句作)Ckz(λ)一1fT')

( 5.1 07)

QBキ+tL2守前中z(λ)+お可主宰〕}品 (5.108)

となる。(5.40 )を満たす等方性スペクトル IF(λ)12 VC対しては, (5. 1 0 7 )

の被積分関数は λyの寄関数である。従って Q,= 0 であり, (5. 1 0 6 )よりA

Bo = 0 ( 5.1 09)

と左る口とれは,コヒーレント反射波K交差偏波が生じないととを意味する口

( 5. 1 0 9 )を用いると, (5. 9 3) ( 5. 1 0 0 )は,

-121-

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FO) A1(入)=ー i(2+A(l) Kク (K(l+入x)一一一

U'--:O---U A' ko(λ)

k Kry Av F(λ 〕B, (入)= i (2+AA) 一一一一~一一一一,

1" -, - "0' kO (λ) C kZ (λ)-kr' J

と簡単K左る。とれらを (5.105) fC代入して, A。を求めると

(5.110)

( 5.111 )

ん =-2~ U 1 + Zs

と左る。ととで,等価表面インピーダンス Zsは

IF(i'I)12r. ,_,'__ _ ,0 k2λ与、

Zs=Kz.f 一一一一{kz(九 )(Ko+λY+一一二, } R

2 k~ (J\) l"Z'''/'''O''-X/ kzC瓦)-'kr' J

で与えられる。右辺の微小量 fを無視すれば,とれは

や kzJ2!印F附(ω川λRζ

と近似できる。次節では,との近似式を用いて数値計算を行う。

( 5.112 )

dλ , ( 5.11 3 )

( 5.1 J 4 )

コヒーレン卜反射波の振幅{一(1 + Ao ) }は, C 5. 112 )より

Z~ -1 -( 1 +九)= 一ーしー

U Z5+l ( 5.11 5 )

と書ける。(5. 11 4 )では, Zsの実部が常K正であるので,不等式

, 1 + Aol乏し Re( Ao)豆o C 5.11 6 )

が成り立つととに左り,光学定理からの要請を満足する。

もし, I Zs Iくく!であれば, (5.115 )の近似式として

ー Cl+Ao)← l十九一山 IF()I ) 12{kzC九)+品川(5.11 7 )

一 位回が得られる。とれは, Riceの一次摂動解〔分献 の (3.2 6 )式〕と一致して

いる。

以上K より, Ao, Bo, A10), B10 )の近似解が得られたので,次節ではこれ

らを用いて散乱の統計的性質を計算する。尚, C 5.9 8 )の B2(入,ν)は条件

( 5.6 1 )を満たさ左いので以下の数値計算では用い左い。 CB2の良い近似解は,

A3' B3からの補正を取り入れるとと Kより得られるが,ととでは議論し左い。〕

ru

向ノ臼

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5.6 散乱特性の計算

不規則表面のパワースベクトルとして,前章と同じガウス形スペクトノレ

IF(Ii)12=ヂ叫 (-n?A2), (A = I I ) ( 5.118)

を仮定して,以下の数値計算を行う口ととで ?κ は相関距離を示すノf ラメータ

である。不規則表面の傾きの分散は,

θL>. ,af く(gradf(Trω)r >ニく(石)2十(石r>

ェr)¥2 I F(入)12dド q}_n!_r A2 e x p ( _/12 ,,2 ) d入口 02/1'1:2, "R2 7t "R2

(5.119)

とをるので 0/κ は表面の傾きの実効値である。

A. r' の値

( 5. 111 )の B1(λ)が含む補正量 r'を I (~102)(~103)(~118) を用いて計

算した。その結果が表 5.1である。相関距離のノf ラメータ klCが大き〈在れば s

r'の実部・虚部の絶対値がともに小さく左るととがわかる。との傾向は,第 3

章の r'の場合(表 3.1 )と同じである。〔但し予定義が異在るため,第 3章の

r'とは符号は逆である。 Jr'はA2,Bz lfCよる効果を表わす量であるから, kκ

が大きい程,高次展開係数 A21 Bzの影響が小さ〈在るものと推定される口

表 5.1 r'の値

kκ r' / ( k a )2

O. 5 I -O. 3 4 8 9 + O. 9 9 6 8

1. 0 I -O. 2 9 3 9十 O.2 5 9 8

1. 5 I -O. 1 4 4 2十 O.1 0 0 0

2. 0 I - O. 0 8 4 3 + O. 0 5 9 9

2. 5 I -O. 0 5 6 7 + O. 0 4 2 2

B. コヒーレント反射振幅

コヒーレント反射波の振幅は, ( 5.5 7) ( 5.1 0 9) lfCより{一(1 + Ao) }である口

(~112)(~114)(~118) を用いて A。を入射角。。の関数として計算した。その

結果を図 5.4 lfC示す。明らかVCRe (Ao )は常K負で,垂直入射 (00=0) では

絶対値が大きく, {}o二万/2 の水平入射では零となる。とれは, (5.114 )の Zs

が Kz口 kC 0 S 80 VC比例するためである。とれより,水平入射では入射電力の全

--123-

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てがコヒーレン卜反射され,従って光学定理K よりインコヒーレン卜散乱は発

生し念いとと K在る。

。A。

-0.1

一0.20

C. Ezの分散

kσ=π/10

30 60 8o(OEG) 90

図 5.4 A。の入射角依存性

( 5.111 )を C5β2 )に代入し,高次項を無視すれば,近似評価式

2 TT 2 r吟 IF(λ)12

くIEZ一<Ez)12):::::12+AoI2K; l'l~-~~~"'~~;'2 -d~ 0' "z J 1 k

Z C入)-kr'12

CKo+)I )2くk2

C 5回120)

が得られる。これは 3 入射角。0,表面粗さ o,パワースベクトノレ IFCλ)12の形

状K 依存する。ガウス形 /'~ワースベクトル(5.118 )を用いて p 右辺を数値積分

した結果を図 5.5 VC示す。表面粗さのパラメータ koが小さいとき Kは, Ezの

分散が CkO)2vc比例して増加している。しかし ,koが 71'/8 をとえると, Ez

の分散の増加はゆるやかKなり, ooニ O の場合Kは飽和ゅ減少の傾向すらみ

られる。とれは, C 5.12 0 )のザと{-Re CAo )}が , kaの増加ととも K大き

くなるためである。しかし,物理的 Kは,このような分散の減少はありえ左い

と予想される。従って, k 0二三 71'/8の領域K沿いて,良い近似解を得るためkて

は, B1 C入)のみでは不十分で, B2 左どの高次展開係数を取り入れる必要があ

る。

一 方, kσ → 0の極限vci>~いて, Ezの分散は零と在る。同様vc,Ex,Ey

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の分散も零K収束するH

0.3 ととも示される。結局,

不規則表面の凹凸がなk}くヱ 2

c寸 0.2令 4比J、、/

J 0.1 、..._".,

くなれば,電界の分散

が消践し,散乱波は平

坦面からの反射波に収

し,電界の分散は,従

しか

とれは,物理的Kは当

束するととになる。

然のととである。

。。来ーの摂動法では計算で

TI/4 kσ 廿78きず,筆者の方法Kよ

Ezの分散 (κ:相関距離,a 表面の粗さ)図 5.5り初めて具体的K計算

できたととを指摘してお通きたい。

光学定理D.

コヒーレント散乱電力は B節の

のみを用いてA。を用いて計算し,一方,インコヒーレント散乱電力はんと B1

評価した。表面粗さのパラメータ

ととで宮図 5岨 6は,光学定理の関係を示す。

コヒーレント散乱(図の

コ〉

kaが増加すれば,

1.0 庄一U

主O止

b kK= 2 80二げ0.5

凶〉一・「《

JU庄

。。 Ti/4 kσ

打18

b :インコヒーレント散乱電力,

d :入射電力)

-125-

光学定理 Ca :コヒーレント反射電力,

c 全散乱電力(且と bの和),

図 5.6

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曲糠 a)は減少し?逆Kインコヒ レント散乱(曲綿 b)は増加する。 ζ の結

果?全散乱電力(曲線 c)は p 入身、I電力(直線 d)にほぼ一致するととに左り 3

近似的K光学定理が成立するととがわかる。全散乱電力と入射電力との差は,

近似解析Uてよる電力誤差を表す。 k1} n/8では電力誤差が増加するのぜ,前

首iの近似解は,表面粗さが大きいときには近似が患い。

この電力誤差は,表面粗さ k1} VL依存するだけではなく,入射角。0,表面の

相関距離 kκKも依存する。(5. 1 1 0 ) ( 5.1 11 ) ( 5. 11 4 )より, ZS, Al> Bl はい

ずれも Kz=kcosOOVL比例するので,垂直入射 (00 = 0 )のとき,電力誤差は

最大Kなる口電力誤差の kκ 依存性を 00=0,kO'=n/l0の条件で評価すれば,

4目。匂(k必=O. 5 ), 5. 5 % ( k IC = 1. 0 ) , 1. 1 ~ぢ ( I{lC = 2 ) と在る。とのと

とから 3 表面の勾配が小さくなれば(kκが大きく左れぼれ一般K電力誤差は

小さくなると推定される。

以上のことから 9 前節の近似解は?表面粗ざと表面の傾きがとも K小さけれ

ば?よい近似解K 左るものと推定できる。

E. インコヒーレント散乱の角度分布

( 5.11 0 ) ( 5.111 )を(5.7 3 )( 5.7 4) VL代入して 9 整理すれば,

s (u,φ1 (}o,rto)ニ Sl-IH(O,φ180,φ。)+ s肝((J, φ100,φ。), ,

日(θJφI 0 k4 I 12 C 0 S () C 0 S2 {)ハ C0 S2φIF(A) 12 , ( 5.121)

si112ゐSHV (川 I(}o, 0 )ニ k~ I 2十九12cosO co代日示才12I F(A) 12, (5.1 22)

但し 2

A=k J三in2 0十 sin200-2sinOsinOocosφ9 ゆ。 =0

である o SlfHは c0 S2φK比例するので 3 入射波動ペクト JレK。から見て横方向

(図 5.1では,土 y方向)VLは,水平偏波の散乱波が生じず,前方 (φ=0 )

と後方 (φ=π )VC強い。逆VL, SIWは si n2φK比例するので,垂I直偏波の散

乱波は,横方向Kは強いが,前方・後方Kは生じない ζ とがわかる。従って,

前節の一次近似解では B 後方散乱K交差偏波は生じない。後方散乱Kかける交

差偏波は 3 高次の展開係数 A27 B2 VLより生ずる効果である。

i(C, Sの 3依存性を見るとと trrすする o Hは因子 C052()をもっK ず~(な

いので ,(j vc対する変化はゆるやかであるが p 一方,ーは,分、母:VC[耳

1 C 0 S {} -7! 1 2 をもつので? 。てこn/2で大きな値をもち?異常散乱特性を示すと

-126-

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とKなる。図 5.7は,イ

ンコヒーレント散乱の角

度依存性を示す。

() :::: 7l/2 での鋭いピー

クは, ζ の異常散舌LVCよ

るものである。

AozTFニニ Oとかけば,

( 5.11 0 ) C 5.1 11 )は一次

摂動解と一致する。

C 5.1 2 1 )( 5.1 2 2 )で

Ao= r'= 0と置けば,

SHHは有限であるが,

08

寸 0.6ul

。モヨト030.4

。。

kκニ2 80=300

kστπ110 中。=00

30 60 85 。(DEG)図 5.7 インコヒーレント散乱の角度分布

90

S肝は ,(cosO) lVC比

{71Jするので,0 =71/2の

とき発散するとと K左る。

c (()o,φ。):入射角, c (), φ) :散乱角,但 L,

ゆ。は -x軸から, φは x軸から測る〕

F. 後方散乱断面積

単位面積あたりの散乱断面積は, (5.7 5 )c 5.7 6 )c 5.1 2 1 )( 5.1 2 2 )より

(JO C 0,φ100,φ。) = (J:出 (0,φ100,φ。)+ (J町((),φ100,φ。)

(JHH CO,φ! 00, 0) = 41tk41 2+Ao12 co!:f!Ocos2(}OCOS2φ I F ( A) 12 , ( 5.1 2 3 )

σ肝 C0,φ100,0) =41t1t 12+AoI2COS2(}CO S- 00~ i n2φ

2IFCA)12, 。 o!cosO-r'l

A=k/訂n20 + s i n2 00 - 2 s i nO s i nOo c 0 sφ

となるO 後方 (0 = 00,φ=1t)への散乱断面積を aB と書けば,

σ品(θ )= 41tk412+AoI2 CO付 IFC2ksIn(})12

dιCO)ニ O

( 5.12 4)

( 5.1 25)

( 5.126)

となり,後方散乱は交差偏波を含まない ζ とがわかるo 図 5.8は(5.1 25)を用

いて,後方散乱断面積を計算したものである。 klCが大きいと不規則表面の勾

配は小さいので ,a品C0 )砥 Oの小さいととろで大きい値をとるo 逆vcklCが

B O. 5とノトさい場合Kは,a田 (0)の変化は比較的ゆるやかである。

他の統計的散乱特性と異走り,散乱断面積だけは Ao= r' = 0 としても発散

しない。実際(5.1 2 3) ~ C 5.1 2 5 )より,

-127-

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6}旧({},や l{}o,O)ニ 167rk4 co~ ticos2 (}o COS2φ IF(A)1

2

11m (e,φI th, 0) = 16ガピ C0 S2 {} 0 s i n2φ IF(A)12

ぴ晶 (0)ニ 16叫 4 C 0 S4 s I F ( 2 k s i n () ) 12

( 5.1 27 )

( 5.1 28 )

( 5町129)

と在る。とれらの結果は一次摂動解より得られるものと一致する口図 5噌 8の破

線は, (5.1 2 9) (fCよるものである。表面粗さ kaが小ざい場合Kは図 5.4のよ

うVCA。は徴小量であるからヲ摂動解による(5.1 29)と我々の印刷125)との差

は少ない口実際?図 5.8 VCかける両者の差は高々 O.7 d B VC すぎ~い。 しかし 3

( 5.12 8)では (j 7t/2のとき d貯が零とならないのでヲ{},= 7t/2 方向への散

乱波の電力ブラックスは発散しているとと K注意されたい口

-10

ヱヱ〉∞l ど吟町、

ニ-20

町田300 30 60 e (DE:G) 90

図 5.8 後方散乱断面積(水平偏波入射句水平偏波散乱)

-1 28

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G. 表面波の平均電力流

C 5. 1 1 0) C 5.111 )を(5.8 2) VL代入すれば,表面波平均電力流の近似式

12十九 12ピ f CKo十A.x)IFCλ)12 k2 P~= 一二Lーム i 一一一一一一一{CI\)はX)2+ .. y ,"}ctλ

J 同(入)灯時訂てk2L"'U A' IkZO)-kr'12

CKo+λ)2 > k2 ( 5.13 0)

が得られる。因子 K;=kcosO。をもっため,とれは水平入射 (00="π/2) で零

となる。垂直入射 (00=0,KO=O)のとき Kは,被積丹関数が λxの斎関数と

なるので, PS =0 と~る。とれは,幾何学的対称性K より x 方向への流れが

逆方向への流れKよって打ち消されるためである。従って PSは,入射角が 300

近傍で最大値をとるとと K左る。図 5.9は, 1次元の場合(図 2.8 )と類似し

た結果である。

3 kσヱ打110

P コ

2

、、sJ

「,

ιm

''『也、

人60 ~ Inrr¥ 90 8o(DEG)

図 5.9 表面波の平均電力流 (κ:相関距離, {}o 入射角)

。。 30

'-129--

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第六章 不規期表面による電磁波の髄L一一唾直偏波入射

6. 1 まえ力i き

前章では平面電磁波の散乱を定式化し,水平偏波入射の場合の新しい波動解

を導いた。との波動解を用いて種々の統計的散乱特性を具体的K計算するとと

ができた。この章では昔前章の続きとして,垂直偏波入射θ場合を解析する。

垂直偏波入射の場合, Riceの摂動解は,限定された特別θ場合を除いて,コ

ヒーレント反射とインコヒーレント散乱の双方K発散を生ずるため,散乱の統

量が正しく求められない。とれK対して,本章で導〈波動関数は発散すると

とが左いので 3 散乱の統計的性質をフ具体的K計算することができる。 しかし,

られた波動関数は?インコヒーレント散乱のみ左ら γコヒーレント散乱K対

しでも異常を生ずる。すなわち,7l<乎偏披の場合と同様, Rayleigh波数をも

コ部分散乱波の揺i揺は?異常収;大きくなる。さら(1[,水;王子K近い入射角 K対し

ては?コヒーレント散乱がほとんど消滅し,インコヒーレント散乱が逆K大き

く支配的とをゐ。この械左異常散乱特性はヲ第 3主主の結果と類似したものであ

る口

この章は前章の統きであるので,同じ記号制定義を用いる。次節では?解析

の慈蹄方程式(fCついて述べゐ。 6守 3節では?垂直偏波入射K対するウィナーf寝

間の展開係数を近似的K求める。 6.4節では,近似的Vζ 求めた展開係数を用い

て 9 散乱の統計的性質-a具体的に計算する口コピーレント散乱の複素振幅とも

の分散,光学定理?インコヒーレ:/ト散乱の角度分布,散乱断面積雪表面波の

平均電力流を求め,図示している。とれらの統計量は?従来の理論では導け右:

いものであるむ

6.2 散乱問題の定式化

無限vCrLい不規則表面K よる平面電磁波の散乱を考える。(図 6.1参 照 )0

ms章と同じ記号と定義を用いるが,簡単 K記号の説明を繰り返す。二次元 xy

平面 R2= (…∞三三 x,y三二∞) I乃の位置ベクトノレを r=Cx,y) と書き,三次

元空間の座標は対 Cr, z)で表す。直交座標系 (x,y, z)の座標軸方向の単

位ベクト jレを C8X,ey,ez) と書き,確率を定義する見本空間。内の見本点を

ωで示す。簡単のため,記号 ωをしばしば落として式を書〈ととがある口完全

導体の不規則表面は, ---1議等方ガウス確率場で, (5.3 9 )と同じワイフー積

---130--

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INClDENT WAVE

IK'

z 11-eV(K)

Y

REFLECTED a,,(IK) / RANDOM WA VE ' I / 5URFACE

L一一一一戸

図 6桐 1 不規則表面Kよる平面電酪波の散乱

({}o :入射角, ((), φ) :散乱角)

z = f(Trω)= f eDrF(7I)dB(λ)

R2

F本(λ)二 F(λ),I F(λ )12 = I F ( A) 12 , (A = 1 II I )

( 6. 1 )

( 6.2 )

Kより表現されるものと仮定する口ことで, Trは見本空間。内Kかける保温IJ

変換を表わし, d B (λ) は二次元複素ガウスランダム ~JJ度である。( 6. 2 ) は

1 (Trω)を実の等方確率場とするための条件である。 dB(λ)の性質 (A131)

Kより, I(Trω)の平均値と分散は,

く1(Tfω )) = 0

a2ニく12(1'rω))= f IF(λ)12 dIl

R2

( 6.3 )

となる。ととで,記号く 〉は0上の平均を示し, I F(λ) 12 は I(Trω) のパ

ワースペクトルである o IJは,不規則表面の粗さを表すパラメータでちり,波

長K比べて十分小さいものとする。

マックスウェルの方程式より,電界 E(z, r,ω)は自由空間(z ) 1 (Trω) )

中で次の方程式を満たす。

〔マ2+k2JE (z, r,ω)=0

d i v E (z, r,ω) = 0

( 6.4 )

( 6. 5 )

'i

tu

'i

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C 6. 1 )で表現される完全導体表面の粗さが小さく C(fが徴小量わかっ表面

白勾配が小さいと仮定して, C 5.8)と同じ近似境界条件

D _, , I Eo(o, r,w)+f f(u)τ 即日ω)I +g rad!CTrw)毘(0,r,ω)=0

vμIz=O ( 6.6 )

を用いる。とこで, Eo(z, r,ω)は E C z, r,ω)の xy平面への射影であり, Ez

(ふれ ω)は z成分である。

不規則表面を平坦面(z = 0 )からの摂動と考え,電界 Eを平坦面の場合の

電界(無摂動電界)EOが摂動を受けたものと見在して

E C z, r,ω) = E 0 C z, r ) + E S (ふれ ω)

と書く。こ ζ で EOは 3 平面 (zニ o)の上で境界条件

ezxEO(z,r)=Q, (z=O) (6.8)

を満たす。-方 ES(z,r,ω)は表面の凹凸K よる摂動電界を表わす。

入射波数ベクトノレをと書き,鏡面反射の波数ベクト jレを Kとすると無摂動

( 6. 7 )

電界 E0 ( z, r )は, (5.23) ~ C 5.29) VLより

1;:0 ( z, r )ニ tlkox{81r(lくf)e IEもZトev(K)eiKzz}

ev (K')口一(KZ6X

トKo )/k, 9v(K)ニ(島町-K09Z)/k

( 6.9 )

( 6.1 0 )

1(1=1私一@zkz,K=ko+ez I主一一一 } ( 6.11 )

凡=Koex=ksindo6X,Kz = Ik2_~ =kcosOo> 0

と書ける。但t___,入射面を xz面とし s 入射角を 0。とした(図 6.1 )。

。vCK')と9V(K) は g それぞれ波動ペクトル K' とK K直更する垂直偏波ベク

トノレでるる。

不規則表面が一様確率場であるので?摂動電界 ES( z, r,ω) は次の形をもっ

( 5. 2 C節参照)。

ES(z,r,ω)=e iKox U (z, Trω) ( 6.1 2 )

とこで, U(z,Tfw) は rVC関する一様ベクトノレ確率場であり, z trc依存する。

とれは,不規則表面 f(Tfω)の汎函数として求めるべきものであるが ,(6. 1 )

の関係K より dB(λ)の確率汎函数と見なして,ウィナー展開K より表現する。

とのとき,竜界 ES ( z, r,ω)は前章(5. 4 2 ) trcより,

円Jb

nべU

44'

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E S( z, r,ω)=eifもx(8H (K)Ao + ey(1く)Bo)εifらZ

~ TT CX:コ

+e lI¥.OλX f f...f {町内l十九z+ ・+λnJ An (瓦1'Il2'......,Iln)

n=l R2 R2 R2

、 i (λ,+瓦只十一 ー十九円)r +ey C九1+Il2ト υ ・+λnJ Bn ()¥ l' II 2' …・・, λn)}e-- > 白 H

x e i kZ (九1+)¥2十…十九n)Zh(n)CdBOtJ),dB(λ2)' '"・ a・, d B CiI n) J, ( 6.1 3)

と表現できる。 ζ とで, kz (瓦)は,プラッグ。ペクト lレ入 K関係して定まる波

動ベクトル k(λ)の z成分であり,関係式

k(瓦)ニ ko(五)+kz(瓦)ez , k 2 (λ) = k2

ko(瓦)ニko+λko (五)= I kρ) Iニパ瓦石戸17kz ( 九 )=~CKa立)2 注 0 , (k2>(凡+入 )2)

エ i行EZX予て1<2 , ( k2く(Ko+II )2 )

、』ノ

凋斗4

6

・inhu

/t‘、

、目、sJ

( 6.15 )

Kより定義される o 8H Cλ 〕と evC九〕は, k (λ)V<:直交する水平偏波ベクトル

と垂直偏波ベクトノレであり, (5.46) (5.47) で定義した。未知の展開係数An

とBnは,それぞれ,水平偏波む部分波散乱振幅と垂直偏波の部分波散乱握幅であ

り,次節で求める o h (n)は,複素ウィナーエ jレミット微分式で,汎函数展開

( 6.1 3 )の直交完備左展開基底である。

とのよう左定義により, (6.1 3 )は項5.l1Jv<:波動方程式(6. 4)と (6.5)を満た

す。

(コヒーレント波)

(A141)V<:より,複素ウィナーエルミット徴介式の平均は, 0次を除いて

零であるから, (6. 7 ) ( 6. 9 ) ( 6. 1 3) v<:より,コヒーレント電界は,

くE(z, r,ω) )~-=Eo ( z, r) +くES(z,r,ω))

= e i Ko x { e y (K ') e -i Kzz + ( e H (K ) A 0 +e y (K ) ( 1十Bo))eiKzz} (6.16)

となる。一様で等方な不規則表面K対しては,後K示すようv<:A。が零と左る

ので,コヒーレント散乱は交差偏波を含まず,コヒーレント波K対する反射係

数は(1 + Bo )と左る。

( E zの分散)

Ezの分散は, ( 6. 1 3)と (A141)(rCより容易K定式化できる。 5.4 B節と

同様の言j-算Kより, Ezの分散が有限であるためKは, Bnが次む条件

1 33-

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I n k~ (λ) I B1 Cλ) 12 dλ く∞, (&17)

1(2 0

J Jぐり1+Ii2)182 (九1'Il2)12 <∞, (6.18) R2 R2

c'

を満たす必要があるととがわかる。との条件の下では 3 遠方(z =∞)での Ez

の分散は,

くIEZ-(EZ> 12寸fい 1B1 (II ) 12 山

CKo十九戸くk2

吋(λi十九2)1 B2 01, )¥2) 12 dI¥l dJi2+… 胡 ( 6.1 9 )

で与えられる。この左辺は, xとzVC依存し左い定数である 0

6. 3 展開係数の近似解

( 6. 1 3)にかける未知展開係数An,Bnが得られると,電界匠(z, r,ω)が

C 6. 7) (6. 9 ) vcより逆K定まる口境界条件 (6.6)を用いて,展開係数をとの節

では近似的VC求める。

展開係数 An,Bn VC潤する方程式は, 5. 5節と同様の方法Kよって導くとと

ができる口す左わち, C 6句 1) C 6. 7 ) ( 6. 9 ) ( 6. 1 3 )を(6. 6 )へ代入し,複素

ウィナーヱルミット多項式の漸化式 CA13 9)と直交.性 CA1 4 1 )を用いれば,

-A09y+B,。平Elx+iJ内)ザ){判別Al(入)十日)B1C川}品K R2

-j I河本(λ)

Rt

〔λJB1C九)dλ ご=0

{enC?I JA1C瓦)十 o)B1Cλ)}+ iKzFCλ){C2+Bo)九円/k-Ao ey}

C 6.20 )

ート2i.fkzCλ+ν){ eH(A+叫ん(入 3約十eyO(λ+νJ Bz( II , )1 ')} Fキ(II') dν

R2

-jJlF(λ)(2+Ib)KO/k-2iI II'F本()I')Bρ, II') e yz (λ+川 dX=Q,R2

C 6.20

{A2Cλズ)eH(II+約十 B2(λν)eyO (瓦+約}

十ikzo. ){A1 C五)eH(入J+B1(λ) eyO (λJ}FC;>.f)/2

+ i kzCν){A! Cν)SH(約 +B1Cν)6yO (λ叫F(II)/2

十 iλFCλ)B1Cν) eyZ (λ勺/2+iIl'FO') B1 C五)e yz CλJ/2+…ニ0,C 6.22 )

-1 3 4-

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等々が得られる。

(6.3)により F(λ)は d のオーダーの徴小量であるので,とれらの方程式より,

A。とKzB,。は高々 aZ のオーダーの徴小量であり ,Alと IeyO (~J B1 (λ) Iは高

々がのオーダーであるととがわかる。同様VC,A2と leYO(;¥l+瓦2JBz(:i¥ l' ;¥ 2) I

は高々 aZ オーダーの関数である。十分小さい d を仮定して,以下では ,Ao,

Bo, AI (λ), B1 (λ) のみを含む近似解を求める。しかし,ととで注意するべき

ととは, Kz B,。は 02オーダーで徴小量であるが,Kz = 0となる場合Kは B。が

異常K大き〈左りうるととである。同様VC,Ray I e i gh波数

I k eyO (川 1=kz (λ) = J k2 -(Ko可下=u (6.23)

を与える^vc対しては, I BI (λ) Iは 01 オーダーとは限らず異常K大きな{直を

もっ可能性がある。

連立方程式 (6. 2 0) ~ (6. 2 2 )は, 5. 5節と全く同じ方法Kより近似的K解

〈ととができる口しかし, (6.21) VC j;~いて,置換え,

( 2 + Bo )→ Bo (6.24)

A。→(2 + Ao)

をすれば, (6岨 20) ~ (6.2 2)は前章の(5. 8 8) ~ (5. 9 0)と全〈同じ方程式と

なる。とのとと K着目すれば,前章の近住l解(5. 9 3) (5. 1 0 0) VC (6. 2 4)と通

の置換を施すとと Kより,近似解 Al(入), B1 (入)が得られる。す 1i:わち,

F(~) ( Aρ)= 一i~百~ {Kz(Ko+λx) Ao+ kλy (2十Bo)} (6.25)

Bρ)zi E22.主主主主主出竺弘)(Kak~(λ)-kZ (I矢内x)JL句作) kz (λ) -kr'

(6.26)

乙乙で, r'は A宮とBzからの補正量であり, (5.1 0 2) (5.1 0 3 )で定義した。(r'

の数値例は,表 5.1参照〕口(6. 2 5) (6. 2 6) VCないて A。=Bo=TFz O と置け

ば,表現と記号の差を除いて Riceの一次摂動解と一致する口との場合Kは,

A10 )はあらゆる ~VC 関して有限で発散するととがないが,一方, B1(入)は

Rayleigh波数 (6.23) VC j;~いて発散するとと K 左る。とのため,摂動解では,

単位面積あたりの徴分散乱断面積を除いて散乱の統計諸量が全て発散すること

Kなる。しかし, r' は擾素数であるから, (6.26)は Rayleigh波数 (6.23)

VC j;...いても発散するととが左〈有界である。さらVC, (6.26)は Ezの分散が有

限であるための条件(6. 1 7) を満たす。後の図が示すよう VC,ちの分散は,

koくく 1では kZ02 VC比例し, k 0→ Oの極限で零K収束する。との結果,表面

-135-

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の不規則性が消賦するとき,波動関数 E(z, r,ω)は,平坦面上の無摂動電界

EO (z, r) VC収束すること忙なる。しかし, ζ の収束は,第 3章のノイマン条

件の場合や前章の場合と同様,自乗確率平均J[)Z.束Kすぎない ζ とK注目すべき

である。実際 kz(II )キ 0のとき K仕 Bl伺)は高々 σのオーダーであるが, kz (入)

=0 と走る )¥VC関しては, Bj (λ)は 11-1 オーダーとなる。 ζ のため, Rayleigh

波 数 (6.23 )をもっ垂直偏波の部分波は異常K大きい握i隔をもっとと Vてなる。

上では, A1(λ),Bj(]¥)を求めたので 9 次VCAo, B。を計算する o (6.2 0)の x

成分 y成分を取れば, A。と BoVC関する連立方程式

r _*,_, kヮ(九)十一 IF・(五)-::-:-:乙 ー

k九百 k" ()¥ ) 為)( ) k--B

1(λ) 〉λy}d入

L JλyF*(九) (A) (九)凶=0 !

民 R2

( 6.27 )

丸〉 )+巴)二!ら!並立2.Bt¥)}dI¥ = 0, k. (九) "'_"J.¥"' J J

( 6.28 )

を得ゐ。近似解(6. 2 5) (6. 2 6 を (6.27) trc代入して,整理すれば,

hJO2QB(2+Bo ) ( 6.29)

)(陀ト (6.30 )

FHノ、EL

羽)一)

、A門

/'t

‘、門川よ

)(-ト入正)ート }d瓦(6.3 1 )

と方:る。ととで, IF休日zは等方性の条件 (6.2) を満たすとと K注意すれば?

(6② 3 1 )の被積介関数は λyK 関する奇関数であるととがわかる。従って, QB

は零であるから, ( 6.2 9) vCより,

= 0 ( 6.32 )

となる口とれは g コヒーレント反射κは交差偏波が生じ左いことを示すもので

ある。( ( 6. 1 6 )参照〕。

( 6. 3 2)を用いれば, ( 6. 2 5) (6. 2 6 )は次式のよう K簡単K左る。

F(五)A,c入)= -j 一一一~ k '" ( 2 + B...) ,

1" -" • kO (λ 可 V り事( 6.33)

B,(川口;王山 (2+監1lKo_自とピC )工 ( 6.34 ) p. .. koC入) kzCλ) -kr'

--1 3 6ー

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ζ れらを(6. 2 8) (rC代入して, Bo (rCついて解けば,

B~= -2一三L , (635) lJ - 1 + Zs

吋Lz告す{kWz(h)+22T立炉型f}仇(6.36)

となる。ここで, Zsは不規則表面の等価表面インピーダンスであるo r'こ= 0

としても右辺の積分は収束するので, ( 6. 3 6)は,

ZstJR2iF(入)12 {廿)+川)川 ( 6.37 )

で近似できる。次節では,簡単のため,この近似式を用いて数値的(rCBoを求

めている。

( 6. 3 5) (rCより,コヒーレント反射の振幅(1 + Bo)は

1 -Zp ( 1 + B,,) =ふ 二 泣

り 1+ Zs (6.38)

となる。これは,位相がだ異なること, Zsの定義が異在ることを除けば,前

章の(5.11 5 )と全く同じである。 (6.37)では, Zsの実部は非負であるから s

( 6. 3 8) より不等式

11+Bol<1, Re (Bo)ζ0 (6.39)

が得られる。 ζ れは,コヒーレント反射振幅が入射波の振幅よりも小である ζ

とを意味している。

( 6. 3 7 )の特徴は, Zsが Kz= k C 0 s tI 0

(rC反比例するととである。 ζ のため,

Kzキ0では, Zsは 02のオーダーの微小量と左り , (6.3 5) (rcより B。も σ2オ

ーダーの徴小量である。しかし,入射角。。が n/2のとき Kは, Kz = 0 (:在る

ので, Zsは発散し, Boは -2(rC在る。さら K、注意するべきことは ,I}o ::::n/2

で Zs二 1となるので,コヒーレント反射振l幅(1 + Bo)が非常K小さく左りうる

ことである。このため,後の図が示すように, B。は入射角。o vc対して大きく

変化するとと K在る。

との様左 B。の変化は,コヒーレント散乱握幅(1 + Bo )を変動させるばか

りではなく,インコヒーレント散乱へも陽K影響を与える。これは(6. 3 3)

( 6. 3 4)の A)(λ), B) (入)がとも K共 通因子(2 + Bo )を含んでいるためであ

る。とく VC,水平入射({} 0

ニ7(/2)では, ζ の共通因子(2 + Bo )が零となる

ため,インコヒーレント散乱が消蹴するとと K在る。 ζ の様左 B。のインコヒ

137-

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ーレント散乱へのフィードパック効果は 3 多重散乱Kよるものと考えられ,通

常の摂動法では神られ友いものである口

入射角。。が小さく, 1 Zs 1くく l のとき Kは, ( 6. 3 8 )の近似式として

1 + BA '::::e 1 -2 ZC' = 1一三f 1 F(九)12 {主主え +K2?:k?: ()¥ ) } dλ , (6.40) Kz J R

2 ,., • /, l l'z ~) .. z "Z

が得られる口これは, Rice闘の二次摂動解と一致している口との式は,水平

入射( =71:/2) では発散するので,正しいコヒーレント散乱振幅を与え 7をい。

また ,(Jが大きく, ()。二:7t/2では, Re ( 1 + Bo ) が容易vc-1をとえるので,

不等式 (6.3 9 )を満たさ 1まい口

との様右:摂動解の難点は, (6.3 8)では起 ζ ら左い口 (6.38) vc於いては発散

る量はインピー〆ンスであるので,物理的 K無理念〈理解できる利点もある口

特別の場合として垂直入射({}o = 0 )の場合を考えよう口との場合Kは,垂直

偏波の入射は幾何学的Kありえず,水平偏波入射と在る。但し, Kz - 0 ,

= k とかけば, (6. 1 0) より ev(KF)=-exであり?一方, (5. 2 5) VCよ

り16H(K') = --eyであるから,前章の解ととの章の解とは z軸のまわりの 7t/2

の回転を除けば一致するはずである。次Kとのととを確かめよう口

垂直偏波の場合の展開係数Kは?添字 vを,水平偏波K対しては添字 H を付

けるととにする o Ko = 0, Kz = k, ko C I¥ ) = Iλ1,とお戸けば, (6.33), (6.34)

(6.36)は,

廿 .F(五).. /A ~V A} (λ) = -j 一一~kλ" ( 2 + B: ) , . , I I¥ I -- Y

F(λ) ( 2 + B~) k2λx B; (五)ニ二一 1 一一一一1 " • I II I kz (λ) -kr'

十 ijziFN)12{合 + 1匂川 dλ

となる。一方, ( 5. 1 1 0) (5.11 1) (5.1 1 4 )は,

H(2+AT 〕ifんA~(入)ニー i よニー」二J.L二ーニ__lL_F(λ) ,. ,

I I¥ I

k2 A B~(λ) = i (2十九)一一一一一上-, __-,.::;-FO)

o' 1 I¥ I (kz

(瓦)-k r'J

zizk J21川 2{kz (九)十ポプ}d I¥ R

( 6.4 1 )

( 6.42 )

( 6.43 )

( 6.44)

(6.45 )

( 6.4 6 )

n6

qJ

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と左る o 7.1<平偏波から垂直偏波へ移る Kは, z軸のまわりを反時計方向Kn'/2

回転すればよい(図 6.2 ) 0 (6. 4 4) ~ (6. 4 6) K j:,~いて,との様な回転

(H→V) A.x -~

λy →

を施せば, (6.41)~(6.43) と

一致することが容易Kわかる。

但し, F (~)自身が等方で,

FO)=F(.f疋Z写) であると

仮定する。

との様vc,垂直入射の;場合Kは,

前章の解ととの章の解とは一致す

るので,全ての散乱特性も一致す

ること Kなる。

6.4 散乱特性の計算

一λy

λ X

( 6.4 7 )

y

Hべ。::0

Q?v(1ば)二-if'x

(x-y plane)

X

My

e --

JHい凶ハe

図 6.2 垂直入射((}oニ 0)の場合の

入射偏波ベクトル

前節で近似解を求めたので,とこでは (5.118) と同じガウス形ノf ワースペ

クトノレ

IF(λ) I 2 芯午!日p( -JC2 A2) ; (A = l)l I ) ( 6.4 8)

を仮定して,散乱特性を計算する。ここで M は相関距離を表すノf ラメータである。

A. コヒーレント散乱

( 6.35 )( 6.37 ) より 0.5 kK=O.雪--'\~

2ιし-一一一一← 占 _......-ノ.'

O宣三三三三主豆主ニぷ孟斗-て~¥寸2 lニエニエエニニ広三--ヰ;:::----- --",-:=----------ニ----ー

係数 B。を入射角。。の

関数として計算し,図

6.3 K結果を示す。入

射角。。が小さく 600

以下であれば ,B。は

k2 <12のオーダーの徴ノj、

量である。しかし,九

がn'/2K近づくとき,

Boは急激K減少して一一2.0~

2K収束する。との機 ー

ko-二廿110一一一-Re(Eb)

--[m(弘)

80

.'--唱四四--'-ー畑町由

30 60 ~(DEG)

90

左B。の急激左変化は, 図 6.3 係数 B。の入射角。。依存性

-139-

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水平偏波入射の場合(図 5.4参照)vrは起らず 3 垂直偏波入射K固有の現象で

ある。

図 6.4は?コヒーレント反射振幅 C1 + Bo )の絶対値と位相をプロットした

ものである。(比較のため 2 水平偏波入射のときのコヒーレント反射振幅と位

相を同時K図示した)。入射角 θ。が 900 vr近いところで,コヒーレント散乱

振i隔が最小となり反射位

相が急激に変化すること

が分かる。 ζ れは,

図 3“ 4と類似の性質であ

る。

Lt.1 ζ1内 「

二コ LJ0:j トー-J n. T ~

<{,'{

一一一'VERT!CAL一…岨-'HomZONTAL

円叫

門リ

30 。10(0忘G) 90

{の凶い〕}

VERTICAL

山山川,吐工仏

。官三30

批 1出IHORIZONTAし一一i 一一一一一一一一つ

れOFt-←ラァイ17サ一一一寸ニこすて諸声。

図 6.4 コヒーレント反射係数(振幅と位相)

-140-

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B. Ezの分散

遠方 (z=∞)V<:於けるもの分散を評価しよう。 (6.34)を (6.19)v<:代入

すれば,近似評価式

く!ちくい斗ザ〔官民鼎立IF州 2 dλ( 6.49)

(Ko+λ)2くk2

が得られる。 C6. 4 8)のガウス形ノf ワースペクトルを仮定して,右辺を数値積

分した結果が図 6.5である。

表面の組さノf ラメーター

kaとともv<:, Ezの分散

が増加し,逆v<:k aが零と

左るとき Kは,分散も零と

在るととがわかる。垂直入

射((}oニ o) v<:対する結果

は,前章の図 5.5と全〈一

致する。図 5.5との比較K

よれば, ()。が 300 では,

垂直偏波入射の場合v<:Ez

の分散がやや大きく,

。0=600 では逆K水平偏

波入射K対する分散がやや

0.4 kK二 2

_,..、E、4

μト~、J

占0.2一、、"

『LK

QU

可ハυ

ハU

図 6.5 Ezの分散(垂直偏波入射)

c 00 :入射角 ,a 表面の粗さ〕大きいととがわかる。

C. 光学定理

散乱電界が C6. 1 2 )のよう K一様ペクトル確率場と指数関数の積K書けるか

ら,複素ポインチングベクトノレ (ExHホ)/2は一様ペクトル確率場になる口

との複素ポインチングベクトルの表面積分Kエノレゴード定理を適用すれば,前

章 5.4C節と同様の計算Kより光学定理を導くととができる。す1.i:わち,

モ子立ベ{Iけ川1什+見干Vいpt12+ 1戸内州z斗川+刊IAo州|ド2}干子刊+寸;三n!f...f kZ(い(仇(;¥1 +)¥

CKo+λ1汁+λz汁+.…+)¥n)2くk2

{1An_Ol>)l2, ....., n) 12 +IBn()¥1'2'"・", n) 12 }d)lld)l2'" 一品n

( 6.50)

一 14 1 -

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A。を(1卜Ao)で, (1 + Bo )を B。で置き換えた

との左辺は 3 単位面積K入射する電力であり,

との右辺Kないて,を得る。

一方右辺である。式が(5凶 67 )

(6.32)VCより A。は零で

ある。右辺の級数部は単位面積から散乱されるインコヒーレント散乱電力であ

第一項はコヒーレント反射波の電力である。但し,

( 6. 3 3 )の A1(~ )と(6.3 4 )の Bl(λ)のみによって近似的K評以下では,

価する。

kaの関数と計算した結果である。垂i直入射図 6.6は,光学定理を表面粗さ

。0=20 0の;場合前章の図 5.6と全〈同じに左るので,の場合Kは,( (}o = 0 )

コヒーレント反射(曲線 a)がが増加すれば 9ko を示した。図 5.6と同様 3

全散乱ζ の結果,減少し,逆K インコピーレント散乱(曲綿 b)が増加する。

入ka二三 n/8では,電力( l~tl 椋 c )は入射電力(直線 d ) VCほほ一致するが 2

射電力と全散乱電力の差である電力誤差が大きくなり近似が劣化するととがわ

かる。

江川出主JO仏

。。ェ2dJ

"'l =L

。勾5

い出〉一トバ刊JUU庄

。。 ττ!ムko-TI/8

光学定理(表面粗さ依存性)図 6.6

b :インコヒーレント散乱電力,a ゴヒ レント反射電力,

d :入射電力

の関数として計算した結果である。

コヒ

図 6.7は,電力の相対関係を入射角。。

垂直偏波入射に回有の興味ある特徴を示している。す左わち,

c 全散乱電力(aとbの和),

-, 142-

との図は,

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d c C

a 庄一凶〉〉

oa kσェ打110比J>

~O.5 _J

比J庄

kKご 2

85 80 (DEG) 国」泊四国一時

ハu

nu 90 60 30

光学定理(入射角依存性)図 6.7

b:インコヒーレント散乱電力a コヒーレント反射電力,

d :入射電力c 全散乱電力(昌と bの和),

ーレント散乱電力とインコヒーレント散乱電力が入射角ととも K急激K変動 L,

コヒーレント散乱がほとんど消践し,逆K イン入射角。。が 900 vc 近いとき,

1 ;/コヒーレでは,fJ C= 7(/2 しかし,コヒーレント散乱が異常に大きくなる。

からのフィード・パックによるものである。o

uu とれは,ント散乱が消甑する。

との撮左コヒーレンの図 6.7の場合,不規則表面の相関距離が大きい kκ=2

ト散乱とインコヒーレント散乱の急激な変動Kもかかわらず,電力誤差は全て

kKが小さ〈なればしかし,電力誤差は,の入射角 K対して 396以下である。

1 % )である。1. 0 ( 0.5 )では,約 9匁 (klC たとえば,増加する。

kι く 2でπ, くくka 以上のととより,表面の粗さと勾配がとも K小さい

前節の近似解は十分上い近似を与えるものと推定できる。は,

インコヒーレント散乱の角度分布D.

前章のインコヒーレント散乱の角度分布を s( () ,φI 80,φ。)と書く。

を代入して整理すれば,

( 6.51)

(6.52)

C 6. 3 3) (6. 3 4 )

S( 0,φ100, cf>o )=s四 (0,φI 00,も)十Svv( 0,φI 00,手。),

SVH (0,φ1610, 0):::::k4 12+Bol2cos(jsin2φIF(A)12,

-143-

tζ , ( 5. '1 2) ~ (5. 7 5)

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(6.53) (sint1 sint1(¥ -cosφ)2

Svv(帥 l{}o,O)ご k4I 2+Bo12 cos t1 つτ3守|γ~1 F(A)12

但し,

( 6.54) .;; i n2 o+s i ~2 O~ -2 s i nO s i nOo c 0 Sφ A=k

垂直偏波入射一水平偏波散乱を表し,添字 VVととで,添字 VHは 3と在る。

水平偏波のSV11のφ依存性より,は垂直偏波入射一垂直偏波散乱を意味するO

散乱波は φニ士 n/2の横方向(土 y方向 )vl:強いが,前方::kよび後方Kは生じ

垂直偏波の散乱波は,横Svvのφ依存性により,同様Vl:,ないとと 7う:わかる。

方向 Kはやや弱い。 後

前方K方 Kは強いが B

九三300

中。::00

kK = 2 kσ=π"110

は零点をもワので,水, .司m

Ul 平偏波入射の場合(5.6

。β(。?J山一?の)的

E酎i)とはやや事情が

具っている。0.6

0.4

ガウス型ス

ベクトル (6.48)を仮

定して, インコヒ レ

ユノト散乱の角度分布を

計算したものである。

図 6.8は,

90 (6.53)の分母 IcosO--r' 1

2 。(OEG)K鋭1}:::::7t/2 のため,

インコヒーレント散乱の角度分布図 6砂 8いピークが現われてい

る。

単位面積あたりの後方散乱断面積

後方({} = 00,φ=π,φu=O){r(は,前節の近似解は交差偏波を生じさせ左い。

垂直偏波入射 垂直偏波散乱の後方散乱断面積 (J~ (())は, と(5.75 ) ( 6.5 3 )

E.

K より,

d品((} )エ収c0 s (j Svv ( (})則。, 0)

(sirt(}+l)2 1 F ( 2 k s in {} ) 12 :::::47t12+B,, 12k4 cos2(j一一一一一一一一 F ワ。 1coso-r'12

( 6.55 )

( 6.56 )

1次摂動解による結果

IF(2kslnO) 12

-144-

r'ニニ Bo=0となけば,

d品((j )ご l似 k4 ( s i山+1)2

ととで,と在る。

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と一致する。

図 6.9は本論文の結果(6. 5 5) と一次摂動解Kよる結果 (6.56) とを比較す

るものであるo0200豆 600 では ,B.。が微小量であるため,本論文の結果は,

摂動の結果K比べてわずかKノトさい散乱断面積を与える。しかし, 020。二三 600

白〉一10b> (Jl

0 _.J

o

的 20

一一一一一-PERTURBATION

(08) I kσ=町10

-300 30 60 90 e (OEG)

図 6.9 単位面積あたりの後方散乱断面積(実綿:本論文の結果,破線:

1次摂動解Kよる結果)

では,両者は全く異 7まってかり, (6.55)は,はるかK小さい散乱断面積を与

える o これは,図 6.3が示す様V<:, B。が徴小量ではないためである o {}ニ{}o=7V2

のとき Kは,摂動法では u品が零と左ら左いのK対し,我々の結果は,

12日。 12 と C0 S2 {}の二つの因子が零と;なるため,零と在る。

F. 表面波の平均電力流

A1とB1のみを用いる近似では,表面波の x方向への平均電力流 Psは

( 5. 8 2) V<:より,

1 r (Ko+入() r 、--i --L一一一=1 1 A, 0.) 12 + I B, (λ)12~d)\

s 2k J /ëï長可)2てぜ l'--~'" J ' '-.1'" J ( 6.57 )

(Ko+λ)2 >ピ

-145ー

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と書ける。とれVC, ( 6. 3 3) (6. 3 4) を代入して,整理すれば,

ド 12+担~ f -:= (Ka+~L 旦竺!2fピ ν+Em)一川+弘)J2M ,~ 2k J v'CKa+瓦)2-k2 k~ 仇) ...... -y 1 kZ仇ト kr' 12 ノ

(Ko十九 )2> k2 ( 6.58 )

と在る。図 6.1 0は,との右辺を数値積分K より〉止めたものである。図より,

kκ 豆 lでは,表面波の電力は-x方向K流れ, kκ ニ 2では x方向K流れる

ととがわかる。とれは,第三章のノイマン条件の場合(図 3.1 0 )と類似の結

果である口

1jilll-

内σ

LR

(m2) kK:: 2

05

-46 30 60 90 8o(DEG)

図 6.1 0 表面波の平均電力流 ({}o:入射角, κ:相関距離)

-146-

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6.5 補足

A. 摂動法Kよるコヒーレント散乱振幅

2次の摂動を含むコヒーレント散乱振幅は,水平偏波入射の場合,

À,~, ,_ " • _ f 5.1 1 7 一(1十九)コー1+2もら21F川 2{dh+kz(九)}仇 (再掲)

で与えられ,全ての入射角。o vc対して発散するととが左い。しかし,垂直偏

波入射の場合,

( 1吋 :::=1一品21 F(入)|2{E去)トKikZ(入)} d~ ( 6.4 0再掲)

と左り, KZ=kcos(jO=O のとき発散する。そとで) Riceは,相関距離 κが

無限大で,パワースペクト Jレが原点(九二 o) vc集中している場合,すなわち,

1 F (入)12 = (}20 (入) (a59)

の場合を考えた口 ζのパワースペクトルは,見本表面K凹凸がなく,平坦な平

面がガウス分布K従って t下しているととに対応するりで,物理的意味は少左

い。との特別の場合Kは,右辺白積分は容易K実行できて,

一(l+A()==ー(1 -2 (}2 Ki )ニー(卜2kZd2C08200)

( 1十九)ご 1-2a2Ki = 1-2k2(}2 cos2 {}o

と左り,符号ーを除いて入射偏波依存性が左い口(6. 6 0 )は,

reflecti on coefficientとよばれるととがあるotoo

} (6.60)

effective

とれは,摂動法K

bける発散の困難をさける手法として導入されたものであるが,興味深いのは,

キルヒホッフ近似K よるコヒーレント反射係数(1.10) とり関係である口

(1.10)を展開すれば,

p= exp{-2k2(J2 cos2 (jo}=1-2k2 (}2 cos2 {jo十一日必 ( 6.61)

となり) (6.6 0 )はこの展開の最初の 2項と一致している。

B.表面波モード

6. 4節では,第 3章の結果と類似した異常散乱が生ずることを明らかK した。

とれは事不規則表面上を伝搬する表商政モードの存在を示唆するものである。

3. 5節の議論Kよれば,表面波モードの存在条件は,コヒーレント反射振幅

( 1 + Bo) が発散する条件K等しいから, (o. 3 8) ( 6. 3 7) VCより,

1.2、2

kzzーら2IF(iI)12

{計十時 kz(九)}品, ( 6.62 )

BO z ∞

-147ー

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と在る口入射波が存在するとき,コヒーレント反射波が消える条件が,表面波

モードの存在条件であるとも解釈できる。とのとき Kは, C 6. 6 2 )右辺の負の

符号が消えて,

k2 ::¥:

r L2lm

Bo = -1

(6.63)

が条件と友る。(6. 6 3 )の積分ーは 02 オーダーの微小量であるから ,Kz-=::: 0

のときコヒーレント反射振幅が消えるとと K在る口とれが,図 6.7 VC ;b~ ¥Aて,

コヒーレント反射電力が弘之 900 vcて最ノトと在る原因である。

( 6.6 2 )右辺の積分を Ko= k e x, Kz = 0と仮定して近似的K評価すれば,

C -k r' ) VC等しいので, (6.6 2 )は,

Kz - k r' = 0 (6.64 )

となる。 ζζ で r'は(5. 1 0 2 ) ・で定義した定数である。垂直偏波成分の係数

B1CX)の極は,水平偏波入射の (5.111),垂直偏波入射の (6.34)VC共通し

て 3

kzCλ) -k = 0 ( 6.65 )

の根である。 ζれは, (6.64)と物理的Kは同じ条件で 9 とも VCRayleigh

波数の近傍K表面波モードの極ができるととを表す。 ζ の極のため, Raylei gh

波数近傍で垂直偏波成分の振幅が大きく左り 3 図 5.7や図 6.8で見たよう VC,

インコヒーレント散乱の角度舟布K鋭いピークが現われると解釈できる口

-148-

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第七章結 論

不規則表面Kよる波動散乱を波動方程式のランダム境界値問題として取扱い,

統計的散乱特性Kついての理論解析を行った。それらの研究方法と成果は以下

のよう K要約される。

第 2章Kかいては,確率過程の理論を背景とする新しい解析法を導入して,

スカラー平面波の l次元不規則表面(ディリクレ条件 )VCよる散乱を論じた。

まず,強義の一様確率場(強定常確率過程)で記述される無限の不規則表面K

平面波が入射するとき,波動関数の形は指数関数と未知の一様確率場との積と

なるととを導いた。とれは,回折格子の理論Kかける Floquetの解K対応す

るもので,解析の出発点となるものである。との解の形から,コヒーレント反

射波は平均値平面からの鏡面反射成分のみをもっととを明らかKするととがで

き,また,波動関数を求めるととは,未知の一様確率場を求めるととに帰着す

ること Kなった口次VC,未知の一様確率場を具体的K解くため,ガウス過程の

不規則表面を仮定し,ウィナー展開を用いた。表面粗さが微小である場合K成

立する実効境界条件を自乗(確率)平均の意味で満たすととより,ウィナー展

開の展開係数(関数 )VC関する連立方程式を導き,とれを近似的K解いて波動

関数を求めた。とのよう K求めた近似波動関数は,従来の理論による波動関数

を拡張したものであり,また,確率過程として表現されているので,任意の統

計的散乱特性が平均操作K より得られる利点があった。コヒーレント散乱振幅

やインコヒーレント散乱の角度分布,表面波の平均電力流などの統計量を定式

化し,数値計算例を求めた口また,エノレゴード定理を用いて光学定理を導出す

るととができた。これは,従来の理論では得られないものであり,確率過程の

理論を用いる解析法Kより始めて得られたものである。表面の粗きが波長K比

べて十分小であれば 3 近似波動関数が光学定理をほぼ満たすととを数値計算K

より確かめた口

と白ような理論の定式化は,第 3章以後の解析の基礎となるものである。本

論文の特徴は,ウィナー展開を用いて波動関数を表現し,計算するとと Kある。

ウィナー一展開を用いる利点・欠点は以下の諸点Kある。

1)波動関数が確率過程として表現できる口

2) 解くべき展開係数はランダムで念い通常の関数であるので,計算は容易で

ある。

-149-

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3) ウィナーエルミット徴分式の直交性と漸化式が既知であるので,計算を系

統的K進めるととができる。

4) 代数的左計算Kより,多重散乱を含む解が得られる。

5) ウィナー展開は統計的直交性(無相関であるとと)をもと K した展開であ

るので,多重散乱のメカニズムは見vc<い。

6) 摂動法では展開の各オーダーごと K光学定理をみたすが,ウィナー展開K

よる解は光学定理を満たすとは限らない。

第 3章は,第 2章の解析方法を/イマン条件から導かれる近似境界条件へ適

用したものである。との問題は,従来の理論では水平方向への散乱波

CRayleigh波数をもっ散乱波)の振幅が発散するため,未解決であった。

しかし,ウィナー展開を用いれば,高次の展開係数からの補正を容易K取入れ

るととができるので 2 発散し左い波動関数を求めるととができた。 ζ の波動関

数を用いて,コヒーレント散乱振幅と光学定理,波動関数の分散,インコヒー

レント散乱の角度分布,散乱断面積,表面波の平均電力流を計算した。その結

果,以下の事が新し〈わかった。

7) 波動関数の分散は,表面粗きが十分小であるとき,粗さの自乗K比例する 0

8) 表面粗さが零K近づ〈とき,波動関数は平坦面上の波動関数K収束する。

しかし?との収束は自乗平均の意味Kすぎず,インコヒーレント散乱の展開

係数自身は零K一様収束しない。

9) 水平方向へのインコヒ レント散乱が異常K大と在る。

10) 入射角が大き<,水平入射K近いとき,コヒーレント散乱がほとんど消滅

し,インコヒーレント散乱が支配的と左る。

11 ) 1次摂動解で求めた後方散乱断面積の値は,入射角が小であるとき Kは正

しい値K近い。しかし,入射角が大き〈水平入射K近いとき Kは正しぐない。

以上の 9) 10) は,回折格子vc;t,~ける W0 0 d I s' a n oma I y と類似点がある

ので,異常散乱とよび,その原因は表面波モードの存在K関係するととを示唆

した。また,表面波モード自身を求める試みを行ったが,との部分は未完成であ

る。

第 4章は,第 2章の解析方法を 2次元不規則表面の場合K拡張したものであ

る。一様確率場で記述される不規則表面Kスカラー平面波が入射するとき,波

動関数の形は指数関数と一様確率場の積Kなるととを導いた。ウィナー展開を

用いて求めた近似波動関数は,従来の理論K よるものと一致した。コヒーレン

-150-

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ト散乱揺幅とインコヒーレント散乱の角度分布,光学定理,表面波の平均電力

流の計算例を得た。との章の波動関数は光学定理を満たすので,近似の精度を

見るため境界条件に関する自乗平均誤差を計算した。その結果,不規則表面の

粗さが波長に比べて十分小であれば,誤差も小であるととが確かめられた。

次 ~C ,完全導体の不規則表面Kよる平面電磁波の散乱を取り上げ,第 5章で

は水平偏波入射の場合を,第 6章では垂直偏波入射の場合を解析した。第 3章

の場合と同様,従来の摂動法では, Rayl e igh波数をもっ部分波の振幅が発散

するため散乱断面積以外の統計的散乱特性を求めるととができ左かった口

しかし,摂動展開では左〈ウィナー展開を用いたので,発散しない解を求める

ととができ,種々の散乱特性を具体的K計揮するととができた。その結果 3 水

平即垂直の両偏波入射K共通して,電界の分散は表面粗きの自乗K比例すると

と,インコヒーレント散乱の垂直偏波成分は,水平方向K鋭いピークをもっと

とが新しくわかった。垂直偏波入射の場合,入射角が大きく水平入射K近いと

き,コヒーレント散乱がほとんど消え 9 インコヒーレント散乱が支配的と在る

ととがわかった口

以上のよう vc,不規則表面Kよる波動散乱の新しい定式化を行い B 従来の理

論では解決でき左い波動関数の発散の問題K具体的に解答を与えたとと K本;論

文の意義があり,散乱理論の発展に寄与するものである。

最後V<:,本論文で用いた仮定を要約し,理論の拡張並びに今後の課題Kつい

て私見を述べたい。本論文で用いた仮定は以下の 4点Kほほ要約される。

a) 平面波の散乱

b) 完全導体の不規則表面

c) 厳密な境界条件を用いず?不規則表面の局所的勾配がゆるやかで,かっ,

表面粗さが波長に比べて十介小さいとの仮定の下で,近似境界条件を用いた

こと。

d) 散乱特性を具体的,数値的K計算するため,不規則表面のノf ワースペクト

ルとして,有理型(第 2章),ガウス型(第 3章 ),等方のガウス型(第 4,

5, 6章)をI仮定したとと。

理論を球面波・ピーム波の散乱の場合K拡張するととは,実験との比較もあ

るので重要である。との拡張は, (2.25)式の積分を実行するとと Kより,容

易K行える。種々のパワースペクトルをもっ誘電体不規則表面Kよる散乱を解

析するととは,リモートセンジングへの応用もあるので重要であろう。本論文

-1 5 1-

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の方法を誘電体不規則表面の場合へ適用するととは容易である。しかし, c)の

の仮定をとらず,表面粗さが波長と同程度の場合を解析するととは,原理的K

は可能であるが?ウィナー展開の計算が煩雑になるので,実際には困難である。

とのため,ウィナー展開の計算K沿いて,近似方法を新しく考案する必要があ

ると思われる。また, 3. 5節で述べた表面波モードを合理的K定義し,その存

在形態を明確にするととは p 理論的K興味がある。表面波モードの存在形態を

明確K出来れば,不規則表面Kよる波動散乱理論を体系的Kまとめるととがで

きる可能性がある。さらVC,ランダム系のリーキィ波の問題を考える手がかり

とも左りうるととを指摘したい。

とれらの問題は,今後の研究課題としたいと考えている。

〔本論文脱稿後,第三章の異常散乱と表面波モードKついて更K検討ーした

(104)ー(l(お)ー。その結果,伝送線等価回路を導入すれば異常散乱を物理的 K見や

すい形で表現できることが判明している。〕

ワω

D

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謝辞

本研究は小倉久直教授の御指導の下K行ったものである。問題を提起される

ととも VL,終始適切な御指導を下さった同教授K厚く御礼申し上げます。

てまた,日どろ御鞭撞を下さるとともに,論文をまとめる Kあたって御指導御助

をいただいた池上淳一教授に心から感謝しますO 論文の内見をしていただい

た木村磐根教授ならび K中島将光助教授K御礼申し上げますO

さらに,日どろ b 世話 VLJI:っている吉田靖夫助教授ならびK池上(淳)研究

室の各位K御礼申しとげます。在学中に研究K協力していただいた松本文平,

坂田稔 3 青木正窟の諸氏K感謝します。

qo phU

4aA

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付録 A.ウィナー展開について

A 1.まえがき

工学・物理学Kかけるランダム現象の解析法Kは,ごつの考え方がある。

第一の考え方は,ランダム?を物理量を直接解析するのではなく?平均値・分散

m スペクトノレ e 相関々数,確率分布などの統計量が従う方程式を導き 9 これを

解くものである。とれは,統計力学Kかけるポノレツマン方程式をはじめ,ラン

ダム媒質中の波動伝搬Kがける多くの理論の背景と在っている。たとえば,ダ

イアグラム法では,波動場の平均値と強度が満たすこつの方程式(叫 (Dyson方

程式と Bat hε--Salpeter方程式)を導き,モーメント方程式の方法では波動

関数の統計モーメントが満たす方程式を各次数のモーメントどと K導き?輸送

方程式ーでは波動の平均強度が満たす時空間運動方程式を導いている叩)。とれら

の統計量は,ランダムではない通常の関数であるので,応用数学の種々の解法

を利用できる利点がある。しかし,得られる結果は,すでに平均されたマクロ

な統計量であるので p 結果の物理的意味が見K くいばかりでは左<,統計と無

関係K個別K成立するエネルギ一保存則も統計的諸量の関係として記述される

Kすぎ7まい等の欠点がある。

第二の考え方は,ランダムな物理量そのものをランダム関数として解析する

ものであり 3 雑音。信号などの確率過程の予測。 j戸波などの線形理論でしばし

日部ば用いられる方法である 。との方法の利点を列挙すれば,ランダム関数とし

ての入力一出力関係(原因ー結果の関係)が記述されるので,物理的意味が見

やすい,必要な統計量は平均操作Kよって得られる?個別K成立する性質と統

計的(平均的)(r(成立する性質とを分離することができ 3 逆Kとれらをエルゴ

ートe定理Kより結びつける ζ ともできる,解くべき方程式は唯一である,なと

である。しかし,との考えを非綿形の問題K適用するKは,ランダム関数の非

綿形理論が必要である。

との様左数学的問題は,基本的な確率過程としてのブラワン運動とその非線

形汎函数の理論K より, N. Wi ener(r(より解決された(問。 Wienerの考えを紹

介するため,簡単な例を考えよう。ある非線形回路Kサンプノレ化した定常⑨独

立の確率系列(図 A 1参照)

In=X(nT), n=O,士1,士2,……含 T:周期 ( A 1 )

が入力されるとき,出力 Onは,入力系列の関数となる。つまり 3

onzf(I n,I n-1, I nーに ……一) ( A 2 )

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(もし,回路K記情が左ければ, Onは現在の入力 Inのみの関数である。)

NONLINEAR CIRCUIT WITH MEMORY

。nニf(In,In-l'In_2 >ーー)o n

図 A.1. 非線回路の応答(入力 1n,出力 On)

無限個の変数の関数 (A2)を以下では汎函数とよぶ。入力 1nがガウス分布K

従う場合Kは,fをエノレミット多項式で展開すれば,展開の各項はガウス分布

を重みとする積分(平均)VLより互いK直交する。つまり,各項が無相関とな

る口とれを非線形確率汎函数fの直交展開(ウィナー展開)という。同様の展

開は,時間的K連続した白色雑音入力K対しても可能である。 Wiener自身は,

入力としてブラウン運動 B(t)ーガウス白色雑音を時間 (0,t)で積分したものー

を考えた。 B(t)の怪意の非綿形汎函数は,多項式汎函数

f ... f Kn ( t 1, t 2, ......, t n) dB( tl ) dB(ω.... dB( tn)

(n=O, 1, 2, ...・H ・.. ) ( A 3 )

の綿形結合で近似できるとと K注目し, (A 3)の多項式汎函数全体をシュミッ

トの方法で直変化すること Kよりエノレミット多項式K類似した直交展開の基底

を作った。

伊藤(89)は, Wienerの理論を Wiene r積分の名の下で数学的K整理した。ブ

ラウン運動K代って,ガウスランダム浪Ij度を導入すること Kより多次元確率場

の表現を与えるととも VL,ヱルゴード性などを論じている。

Wienerの理論は,工学@物理学Kかける不規則現象の解析K しばしば用い

られる。そのfflJとしては, Wi ener VCよる非綿形回路のパラメータ推定,脳波

のスベクトノレ・ FM変調のスペクトルの解析(mgBar rtt t k よる非線形シス

テムの白色雑音K対する応答の計算(98)(99,今村等Kよる乱流理論(J8)への適用左

どがある。また,小倉@中山等は,ランダム謀質中の波動伝搬理論へ応用して

いる(82)一(問。

(101) A 2. エルミ'"ト多項式による展開(準備)

よく知られている様VL,条件

-155-

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1 ::∞ て二:=-1 I/(x)12 exp(-x2/2)dx く∞ C A 4 ) 、27t ::_∞

を満たす関数 I(x)は,エルミ y ト多項式{Hn(x) } VLよりフーリェ式展開できる。

す左わち,

00

I(x) = よ InHnCx) n=O

とこで, xを平均値が零で分散が 1のガウス確率密度関数

p (x) =つごはp (ー写〕イ ヱπ L

C A 5 )

C A 6 )

?と従うガウスランダム変数であると解釈する。このとき,条件 CA4)は p ラン

ダム変数 I(x)の自乗平均値が有界

く I1 (X) 12 > <∞

であることを表 L,一方?昼間式 CA5)は, ランダム変数 I(x)がランダム変数

{ Hn (x) }の和で記述できるととを表している。但し?記号く 〉は平均を表

一(102) すものとする口エルミット多項式を〔支献 の 93頁参照〕

日0=1,H1(x)=x, H2(x)=x2-1,

Hl(X) Hn(x) = Hn+ 1 (x) + n Hn-l (X)

で定義すれば,二つのランダム変数 Hn(x)とHm(x)は無相関であるo

1 -_!-∞ 一言くHn(xlHrr/x)) =つミご JHn(x)Hm(x)e 己 dx=n! onm

令 ~7t 二∞

C A 7 )

( A 8 )

( A 9 )

とこで, onmはクロネッカーのデ Jレタである。 従って CA5)の両辺VCHn(x)

を乗じて平均すれば,

く1(x) Hn (x)) = n ! 1 n (A 10 )

と左り,展開係数 Inは相関く I(x)Hn(x)) VLより求められる。 n= 0となけば,

CA 1 0 )より,

10 = くI(x))

と左るので,展開 CA5)の初項は平均値K等しい。また I(x)の自乗平均値は,

直交性 CA9) VLより,

くII(x) 12 ) = 1/0 12 + 1 1 1/112 + 2! 1ん12+…

と友る。とれは,バルセパ jレの定理である。

CA11)

n変数の関数 fC Xl, X2,…・・・, Xn) のエルミット多項式Kよる展開Kむいて,

-156--

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x), Xz,…一, Xn がガウス変数とすれば,同様の直交展開(無相関展開)が得

られる。ただし,通常の関数では変数 Xt""",Xnは独立変数であるが,とれら

をガウスランダム変数と見ると変数相互に相関がある場合もあるので注意が必

要である。ガウス変数 Xnは相互に統計的独立であると考えると,との様左エ

ルミット展開は無限個の変数をもっ関数(汎函数 )VL直ちK拡張できる。無限

変数の場合を考えるために,先ず二二,三の概念を準備しよう。

A 3. エルミヴト多項式の積による汎函数展開

ランダム変数の系列

,Xn-1, Xn, Xn+l, (A12 )

を確率系列という。個々の系列K 目印ωをつけ{xn (ω), nニ 0,土 1, '00 } の

様K 書き, ω を見本li~ ~ω 全体からなる集合K空集合を付け加えた集合を見本

空間と呼びQ で表わす。見本点 ωを固定したとき{Xn(ω) }はつの系列(見

本系列)である。逆VLnを間定したとき Xn(ω) は的の関数,すなわらランダ

ム変数である口 ωは物理的lては種々 K解釈される。たとえば, ωを実験,系列

{Xn (ω)}を実験結果と解釈できる。 ωを偶然を表す隠れたノfラメータ,系列

{Xn (ω) }を偶然 ωによる結果とも考えるとともできる。しかし,以下では,

ωを系列 {Xn(ω) }自身と見なすととにしよう。 (ζ の様左見本空間。は関数

空間形とよばれる。)C103)

Xn を無限次元ベクトル ωの第 nVL座標成分 ωn

ωn = Xn, n = 1, 2, (A13 )

ω = ('0'00', Xn, Xn+1,ー……)

と考えると, ω全体から左る見本空間。は可算無限次元のコークリッド空間

R∞( Rで車線(一∞,∞)を表す)である。系列 (A1 2)がランダム K変動す

るとき,ベクトノレ ωは方向と長さがランダム K変化するととに在る。ランダム

ペクトノレ ωの取る確率 p(ω)を定義する Kは,先ず n次元区間

al くXh三二 b1,

Kω ペクトルがある n次元確率

an くXjI1三二 bn (A14 )

b) .% J… f U P(Xjl, Xj2' 一-XjI1)dXjldXj2・ ..d有n (A15)

aj an

を定義するo (A14)VLかけるあらゆるサンプノレ点 (jl,j29・…・, jn)' サンプ

ノレ数 nVL対して有限次元確率 (A1 5)を定めれば,ある条件の下で無限次元の

--157-

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確率 p仰)が一意的K存在するととが証明される(コルモゴロフの定理)。以下

では,無限次元の確率 p(,ω)V<::関する平均を記号く〉で表す。

任意のサンプル数 n,任意のサンプ Jレ点{jn}V<::対して,確率分布が移動不変,

つまり,

pCXjj+m,有2+m,…ー, Xjn斗 m) = p CXjb Xj2'…ー, Xjn) C A 16)

C mは任意の整数)

が成立するとき,確率系列{Xn}を強定常という。強定常系列K対しては,平

均値は定数であり,相関関数は座標の差のみの関数である口

キャメロン・マーチンの定理

{ Xn}を平均値が零,分散が 1の独力ガウス変数列であるとする。

くXn> = 0,く XnXm> -onm ' CA17 )

Cn,m=O,士 1,士 2,…一一)

系 列{Xn}の関数を, CA 1 3)の記号を用いて

fCω) = f C ...・H ・", Xo' Xj,……一) CA18)

と書くとき,ランダム変数 f¥ω)が I}CD,) V<::属する左らば,すなわち自乗平均値

が有界

く 1 f(ω) 12 >く∞ C A19)

左らば,エルミット多項式の積Kより自乗平均の意味で展開できる。

∞ np n2,"・,nkf(ω)ニ1:}" .1:.. (";"'...".'''HnjCXj)'''HnkCXjk)

n=O nj斗 n2+…十~ニ11 i j, i2, ・・ ik lj' 12' "', ik

CA20)

との様t..:エ Jレミット展開は,キャメロン・マーチンの定理とよばれる。

A 4. 多変数のエルミヴト多項式による汎函数展開

CA 2 0 )の展開は,通常のエノレミット多項式の積Kよる展開であるため,完

備性の証明が見やすく直観的K理解しやすいが,実際の計算Kは不便である。

しかし,多変数のエルミット多項式を導入すれば,計算K便利で見通しの良い

展開が得られる。以下では,先ず多変数のエノレミット多項式 {H(n)}を定義し

よう。

通常のエノレミット多項式 HnCX)は, 1次独立で完備な関数系

1, X, X2, X3 ,

をガウス分布を重みとして直交化すれば得られる。とのアナログーとして多変

(18) 数のエ Jレミット多項式を定義しよう。〔演算子による定義については,今村

-158-

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を,母関数K よる定義Kういては小倉(19)を参照されたい口 J(A 1 7) を満たす

独立ガウス変数列{Xn}が作る多項式

1, {Xj}, {XiXj}, {XiXjXk}' …… (A21 )

(i, j,k,"・ E・'=0,士 1,士 2,……一)

全体は, If(Q)K卦ける完備衣関数系である。そとで, (A21) を多変数ガウ

ス分布を重みとして直交化するととを考える。先ず, 0 i欠の多項式を

H(O)= 1 (A22)

と卦〈口次vcn(l)CXi)=Xj+<ljとかくと,とれが (A2 2) と誼買するとと K

より

くn(O)H(l)CXj)>口く Xj>+ai=aj =0

従ってョ 1 次の多項式は以下のよう VL~まる。

n(l)cXj) ニ Xi (A23)

- .UJ::.の多項式を定義するためKは,ガウス変数の積の平均値K関する次の

公式が必要である〔文献(19)の 30頁参照 J0

L弘pto

Fし

、、,J

HMA

ρvu

rea

‘、rA a

U

n

y

zu

a

¥/

X

9u

x

x

/¥、 ( nが奇数)(A24)

( nが偶数)

ととで,積IIは添字(jl' jz,……, j n )を n/2個の対 ce,k)VC分割したもので

あり,和は,との様な対分割の全ての組合せについてとる口(組合せの数は

(n-1)(0-3)…..3.2・1個である。)をた CPkは,相関

Ctk =く XfXk> (A2S)

K等しい口 (A24)の性質は, {Xn}の平均値が零であれば個数 nVC無関係K

成立する。

2次の多項式K対しては, H(2)(Xi,Xj)tXi Xj+a i X i+b j Xj+C i j とがき,

とれが n(O)と直交するとと,すなわち

くn(2)(Xj, Xj) > =0・;+c;; ロ 0I J . '" I ]

より Cjj=-Oij を得るo また H(l)(Xk)との直交条件より,

くH(l)(Xk)H(2)(Xi, Xj) >

くXi Xj XK〉 + aiくXkXj> + a jくXkXj>

- o ij くXk>

= ajOik + aj Okj = 0 (A26)

ととで, (A 24)を用いた。 (A2 6)が全ての kVL関して成立するので

-159ー

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(A27 )

a izaj=O と念り,結局

H (2) (Xj , Xj ) = X i X j -0・J ~I J

と在る。直交条件を用いた同様の計算Kより

H (3) (Xi' X j' X k ) = Xj X j Xk -X i 0 j k -X j O i k -Xk 0 i j (A28 )

=XiXjXkXg-XjXjOkL'-XjXkO jg

-XjXgo jk -XjXgo jk -XkXgo i j

十 oj j 0 kg + 0 j k 0 j f + 0 if 0 j k

この様K定義した多変数エノレミット多項式は以下の性質をもっ。

(A29)

H(4) (Xj' Xj, Xk, Xg)

等が得られる。

(直交性)

(n)rv. v. ...... v, ¥um) くH(Xil,XjP9X111)H(Xjl,Xj29 ・…Xjm ) > = On m 0 U (A30 )

から 1ケずう取り、』Jn

・1、‘,Jm

j = ( j l' j2' ここで8Uは,

ζ の様1.1:n個の積をすべての組合を{乍り,出した対 (j'J1 i" ) VC対して 8・ 111 Jyμ1μJν

(A31)

これは (A9)の拡張として

たとえば,

8・・ 8・11 J2

ul2 J[

このよう左 n !個の項の和である。

せについて加えたものである。

十。08

o

nりる

j

s

ぷル

l

k

解一

(漸化式)

H(l) (Xg) H(n) (X1, X2, ・・ , (A32) Xn)

n =H(n十1¥X1,X2,… X X)+Z H(n-1)(X-1・_, X; … X

n )0.

n'if-- 1 l ' I

エノレミット多項式の漸化式 (A8)VC類似の性質である。とれは,

多変数のエルミット多項式は,変数の入れ換えに関して不変であ

(A33 ) H (2) (Xj, Xj ) =H(2) (X j' Xj)

多変数のエルミット多項式は,

たとえば,

(対称性)

る。

1変数のエノレミット多項式の積(因子分解)

K因子分割するo

H(3) (X1,X2, X3)=H3(X1),

たとえば,

(A34) (X1= X2= X3のとき)

=H1 (X1) H2(X2), (X1気X2=X3のとき)

=Hl(Xl)Hl(X2)Hl(X), (X1,X2,X3が全て異在るとき)

多変数エノレミット多項式 H(n)を用を満たす汎函数 (A1 8)は,

-160-

多変数エノレミット多項式による汎函数展開

条件 (A1 9)

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次式の様K自乗平均の意味でウィナー展開(ウィナーエノレミット展開)

できる。

いて,

(A35 )

Xo, X1, ……・・・ー )

、h

,、AX

つ心X

X

ft

、n

H n

n・l

kdl 、‘,J、且

zt川

r'h

‘、

∞Z寸

一一

I(ω) =/(…

がそれぞれ一∞から∞の任意の整数、il

-1 ,

• 噛,,

ワb

.1 '

1

・1iVC関する和は,ことで,

すなわち

(A36)

値をとるととを表す。

直交性 (A3 0)を用いれば, 0次と 1次の係数は一意的K定まる。

くf(ω)>ニ 1(0)

く1(ω)H(1)(Xi )〉 =fj1)

しかし,対称性 (A3 3)のため, 2次以上の係数は一意的Kは決まらない。

たとえば

くI(ω)H( 2 ) ( X i' X j ) > =な+

(A 3 0) を用いれば,

(A3 G) f(i)

ょ(,~)+ I!~~ 十 f(~). + I(~) 十 _A3九 f,( 千)iik' Jiki "'iki' Jiik' Jkii 'Jkii く1(ω) H( 3) ( X i' X j' X k ) > = (A3 7)

係数は添字K関

して対称であると以下では仮定する。この仮定の下で,係数は一意的K定まり,

く1(ωH川

そーとで,であり,係数が対称化された形で定まる Kすぎ左い。

(A38)

(A39)

直交性 (A30) を用いれば,

Cわ

くI/(ω)12 > = 2: n! 2: 1 f(n} 12

nニ o h, i2,一, 1n 且1'2 勺

これはバノレセパノレの定理 (A1 1) と同じ性質である。

と在る。

と在る。

移動Kより導かれる強定常系列

ガウス強定常系列{Xn}のmステップの移動{Xn}→{ Xn+m}を(A 1 3 )

とれをの見方Kより Q空間内Kなける ωベクトノレの移動と考える。

ω={Xn}→ ω'=Tmω= { Xn+m (A40)

Tmはと書くと,

(A41) (n,m=O,土1,土2,……)

を満たす加法群であり,保温1]変換とよばれる。

TnTm=Tn+m TO= 1 (恒等式),

とのとき ωペクトルの成分の意

味で,

(A4 2)

mステップの移動 (A40)VCより,汎函数 I(ω)は f(Tm,ω)

-161--

= Xo (Tnω)

と書くととができる。

Xn (ω)

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へ移動するととになるが,とれは (A35)VLより

f(内)= 1 x ;;(~) ...: H(n) (Xi,+m, Xi?+m,'" ", Xi均]) nニ oij, i2, ..・, In lj 12…ln ...~ ---, ~G ---, -Jl

∞ (n) .Jn) = X Z /H} .. H¥H}(XI"Xiっ一" Xin) n=O i], Iz, …, i

n lj-m, 12-m,・・., 1n-m -J.I -t:..' -AJ.

(A43 )

で表現される。移動 (A4 0 ) VLより, {Xn}の確率分布は不変であるから,

H(n)の確率分布も移動不変であり,その和の f(Tmω)の確率分布も mVLよらな

い。従って f(Tmω)は,一つの強定常過程であるととがわかる口とれを保浪Ij変

換 K より作られた強定常過程とよぶ。

複素ガウスランダム測度Kよる表現

後K定義する複素ランダム視IJ度 dB(λ)と複素ウィナーエルミット多項式 h(n) 卦

Cd B Cλj) ,一, d B (λn) Jを用いると," (A35) (A43)はスペクトル領域

での表現K書き換えるととができる。

強定常系列{Xn}のスペクトル表現

1 7{、

Xn =古と J e1んndB(λω)

、J乙7{ -7{

K対応して,

7{ 7{

fCω)=九+J Fj (λ) dBCλ)+JJ F2C入1>-2)h(2)CdBCλ1),dB(-2)J -7{ -π

十一.........,

(A44)

(A45)

7{

f(Tmω)二九+J Fj(λ)eI:¥mdB(λ)+ JJ F2(λl' -2) e i (入1+-2)mh(2)CdB(川 dB(:¥z)J -7{ -7{

+・・ ……・ (A46)

ととで,

F。ニ f。

-L n i(λtI1+λ2 1け…+弘 in)(n)凡(λj'λ2'…, λn)=( 「ー) X e' '''1'l'''Z'Z' "11 '11' l' (A47)

.L& ....イ27{ I], iz,…, in l! 12…ln

であるo f(Tmjω)の平均値と相関々数は,直交性 (A113)により

くf(ω))=くf(TI11ω)) = fo = F,。

卦) (A105)~(Al14) , (A117)~(A124) 参照

-162-

(A48)

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くf(Tmjω)f*Cωト|九12+tI F1(X)12e

iXmdX+2 1庁l巳川 山i(-!+X川 山2

-~ -~

(A49) +…・…

(1) (1)* _ (2) (2)長

= I f. 12 + ~ f' ' /.十2!X f". f. + V I一m 1 i, j 1叫 J-m1]

(A50)

と左る。

ガウスランダム;J!ll度とウィナー鹿開A 5.

上では,離散パラメータ nをもっ確率系列{Xn(ω)} とその汎函数のウィナ

以下ではそれらを連続パラメータをもっ場合K拡張する。一展開を考えたが,

理想先ず,連続ノf ラメータをもっ確率過程の定義と記号法を説明する口次VL,

そガウスランダム担IJ度を導入し,化された確率過程としてのガウス白色雑音,

の汎函数のウィナー展開を述べる。主夏素ガウスランダム視IJ度によるウィナー展

聞についても簡単に述べる。

波連続ノf ラメータ xをもっ確率変数の系を確率過程とよぶ。確率過程では,

とf ( x,ω) 図 A2の様K各波形K自印ωを付けて,形の集合を考えるから,

が対応するととに在る。1つの ωK対して一つの関数 f(x)ニ==f (x,ω) 書〈。

ωの全体K より構成される集合を見本空間と呼びQでとの ωを見本点といい,

n a

・44'as--'RIBa-ai

とれを見本関数と

いう。逆VLXを固定したとき f(九 ω)は一つの確率変数である。

ωを回定したとき f(x,ω)仕一つの関数であるので,

品管内a

liz--ittE'i

司、BaJω

x

'''E、、r守』+

ll

表す。

確率過 程 の 定 義

-163-

図 A.2

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(A 1 3)では確率系列を無限次元空間.n=R∞内のペクトルと考えた。同様

-rt+T.BEI ,.....R の考えKより,以下では ωを一連続無限次7c空間 R 内のペクトノレと見なす。

見本空問。を RR と考え, ωをO内のベクトルで,その x座標 ωxが

ωX = f (X,ω) (A51)

ω = {f( x, ω), 一∞三三 x豆∞ }

であるとすると,波形 {f(x,ω) ,一∞云 X<∞}と ωベクトノレとは 1対 1vc対

応する。とのとき,図 A2VC於ける n個のグー卜

( X1 くX2くX3...く Xn),

bi くf(Xi'ω)豆町; (i = 1, 2,………n) (A5 2)

を通る確率

J 1 ・・Janb1 bn

p (f., j二,一…,f日 ) df..….. df" λ1 11.2 ~ Al An

(A5 3)

但し, Ai z f(xi,ω)

を考える。 (A5 2)は,.nの部分集合としての ωベクトノレの集合を規定する。

との集合を事象と考え,その確率が (A5 3) であると見なす。とのとき,あら

ゆる有限個のサンプノレ点 (Xi) の取り方,あらゆるグート (A5 2)の取り方K

対する確率 (A5 3)が定義されれば,波形ωK対する確率 p(ω)が一意的K存在

するととが証明される。との確率 p(w)vcよる平均を上と同様く 〉で示す。

確率過程の移動

f (X,ω)→ f(x十 a,ω),一∞く aく∞ (A54)

K対して, (A 5 2)のグー卜

b iくf(Xj十a,ω)<aj ; (i = 1, 2,

を通る確率 (A5 3)が不変であるとき,すなわち

n)

a, a~

f…f .. p( fX1十a'んzトa'一…・, fxn+a) dfx1十adfx2+a…・… dfxn十ab1 bn

a 可 a~

= f .~. f .. P(fX1

' fX2' ..…・, fxn

) dfx1…....dfxn

b1 bn

(A55 )

(A56)

であるとき ,f(x,ω)を強定常過程という。確率分布の移動不変性Kより強定

常過程の平均値

くf( X,ω) > = M

は定数であり,相関々数

-164-

(A5 7)

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くf(x+a,ω)f ( x,ω) ) = Cf ( I a 1 ) ( A5 8 )

は,座標の差 1a 1 のみの関数と左る。

移動 (A5 4)を (A51) vcより見本空間0内の移動 ω→〆と見左して,

ωI = T a ω(A59)

ωL=(Taω)x = f ( x + a,ω)

と書くと, Taは,

TOニ 1(恒等式), TaTb=T a+b (一∞豆 a,b豆∞)

を満たす力n法群でるる。強定常過程 f(x,ω) vc対して, Taは確率(浪Ij度)を

(A 5 6)の様に不変[ぞーするので,保演Ij変換とよばれる。保iftlj変換 T3 vcより,

ωペクトルの成分 (A5 1)の意味で,強定常過程は

f ( x,ω)ェ f( 0, TXω ) == f (Txω ) (A60)

と書くことができる口逆Kこの右辺の形をもっ確率過程は 2 常K強定常過程と

(103)ー

7去るととが知られてなり , 1:5f!:品Ij変換により生成された強定常過程とよばれ

る。

ガウスランダム測度

実のガウス過程w(X,ω), (ー∞三三 X<∞)が性質

くw(X,ω)) = 0,く W(X1,ω)・W(X2,ω))ニ O(x1 - X2 ) (A61 )

〔右辺の 8はディラックのデルタ関数〕をもてば,ガウス白色雑音とよばれる。

ガウス白色雑音は,力学VC.$-ける質点や電磁気学にかける点電荷と同様 3 理想

化されたモデルとして重要である反面,明確に定義することは困難である。

たとえば 3 固定した X VC対して,ランダム変数w(x, (け の確率分布を定義す

るととはでき左い。

乙の様な困難の解決策として,区間 d上での積卦

B ( LI ,ω)= んw(x,ω) d X (A6 2 )

を導入する。 Xvc関する積分と平均とが可換であると見在す形式的;J:計算をす

れば ,(A61)VCより B ( LI ,ω)は性質

1. (零平均値) くB( LI ,ω))=0

IT. (長さ K等しい分散) くB2( LI ,ω))=1,11

ill. (異左る区間では独立)くB(,11>ω)B(,j2'ω))ニ o(悶b,,11と,12が重左ら

左いとき)

(A63)

をもつことがわかる。さらVC,共通部分をもたない区間,jn(n=O, 1,……)

の可算和K対して

-165-

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00 cxコ

!V. (完全加法性 ) B(J; dn,ω)= J; B(dn,ω) (A64) n=O n=O

が成立する。 (A6 4)は, }レペーグ測度のもつ完全力日法性と類似しているので,

B ( d,ω)はガウスランダム損Ij度とよばれる。

微小区間 d=(x+dx,x)VC対して

B ( dx,ω) = dB (X,ω)三 dB(x) (A65)

とωを落として書くととにすれば,ガウスランダム担Ij度の徴卦 dB(x)は性質

くdB(x))=O,くdB(xj)dB(xz))=o(Xj-xz)dxj dX2 (A66)

をもっガウス確率過程である。但し , o (Xj -xz) dXj dxzは, Xj = Xz のとき

長さ dX2を表し , XjキXz のとき零を表すものとする。

ウィナーエノレミット t放卦王¥:(Wiener-Hermite differentials)

ガウスランダム測度の微分 dB(x)は,性質(A 6 6 )をもっ強定常過程であ

るから, (A 5 1 )と同様K とれを見本空間Q 内のペクトノレと見在して

ωニ {dB(x),一∞豆 x豆∞} (A67)

と書き, dB(x)の汎函数を ωの関数とみなして

φ(ω)= φ CdB(x), ∞三二 X<∞J (A68)

と書く。ただし,との右辺は,連続無限個の変数 Cd B (x),一∞豆x三二∞〕の関

数を表すものと理解する。との節の目的は, φゆ)の直吏展開を論じるととであ

るが,その準備として,展開の直交基底としてのウィナーエノレミット徴介式を

定義する。

各 xどとに独立なガウス変数 dB ( X )の関数 φ(ω)は, dB (X)のあらゆる

多項式全体

1, {dB(xj)}, {dB(xj)dB(xz)}, {dB(xl)dB(xz)dB(X3)}, …… ・・ (A69)

KよりI}(D,)の意味で展開できるから, (A 69) を直交化するとと Kよりウィ

ナーエノレミット微分式 h(n)を定義する。 (A22)~ (A29)を導いたのと全く

同じ方法Kより,

h(O) = 1

h(l)CdB(x)J = dB(x)

(2) 一h\~'CdB(Xj) , dB(xz)J=dB(xj)dB(xz) -o(xj-xz)dxj dX2

-166-

(A70)

(A71)

(A72)

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h(3)CdB(Xl), dB(X2), dB(X3)) = dB(Xl)dB(x2)dB(XJ

-dB(X1) 0 (X2 -X3) dX2 dX3

-dB(x2) 0 (XI-X3) d Xl d X3

-dB(xJO(XI-X2)dXldxz (A73)

等々が得られる。 ζ れらは,多変数のエノレミット多項式Irn1Ifc j;~いて,置換え

Xi一歩 dB(Xi), Oij…1>- o(Xi -Xj) dXj dXj

をしたものである。

(漸化式)

h(l) CdB(X1)) h(n) CdB(x2), dB(X3),…・, dB(xn+l))

= l/n十 1)CdB(x1),dB(x2),......, dB(xn+l))

(A74)

n+l +〉211(日)(dB(叫, dB(Xj_l)' dB(xj十1),, dB(XnH)〕

X o (X1-Xi) dX1 dXj (A7S)

(直受性)

くh(n)CdB(Xi1),dB(Xi

2),…… dB(Xi

n))

X11h)〔dB(xjILdB(Xj2L-hdB(Xjm)〕〉

-_ dnmOn( i-j )dXi1 dXi2……dxi n dxj1…一 dXjm (A'l6)

ととで, P(i j)は, (A 3 0)の 8;K拾いて 8iμjν を o(Xjμ-Xjll) VC置換

えたものである。たとえば,

SZCi--j)ニ 8(X1-xj)8(x・-x・)+o(x・-x・)0 (Xo -Xi_) 1 .-h' ---12 --J2" "-J2 -]1" ---11"J (A77)

ウィナー積分

直綿 R-= (一∞,∞)上で自乗可積分である関数をクラスピ(R)(rC属するとい

うo C(R)に属する関数"(rC対して,ウィナ 積分

11(,,) = f ~(X) dB(x) (A78) R

を定義しよう。

先ず,有界な積分区間(a, b )を考える。(a, b)上で自乗可積分である関

数 Fは,階段関数 ;}N(X)

~N(X) = .]'N ; XεL1n, n=l, 2,……, N n

(但し, Nは分割の数)

-167-

(A79)

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Kより, 13ノルムの意味で近似できる。つまり,

'hM

Fd

・-,J一一N

穿U

穿U 19(x)FN(x)12dx→ 0, (N→∞) (A80)

a

(A 7 9)に対して,

'" _b~ , N >., 11 ( i1川)= I i1川(x)dB(x) = }; i1ケ B(dn,ω)

a n=l .. (A81)

と置けば,右辺は独立ガウス変数の和であるから,左辺もガウス変数である。

その平均値と分散は (A63)(iCより

く11(内)=0,く |I1(FN)|Z〉=ZlFJ124=ilpN ii (A82)

と左り,分散は i1Nのピノノレム K等しい。

別の分割の数 M をもっ階段関数 ~(x) を考えると,同様の計算K 上り,

く1I1

(i1M) --I1(i1N)12) = 11 ,?M_i1N 11 (A83)

とiiる。 (A80)の条件の下では, M, N→∞ (d n ,dm → o )のとき,との右

辺は零K収束するので, Il(i1M)と 11(i1N)とは自乗平均の意味で同ーの極限

値K収束する。そとでとの極限を

b 1 im I1(i1N) = I1(i1) = f i1(x) dB(x) (A84 ) N一五わ a

と書き,ウィナー積分と上 ~o 通常のリーマン積分(スチィルチェス積分)が

数列の極限として定義されるのK対し,ウィナー積分はランダム変数列の自乗

平均極限として定義されるとと K注意されたい。ランタ・ム変数としてのウィナ

ー積分は,以下の性質をもっ。

(綿形性) 11 ( i1+ f) = 11 ( i1 ) + 11 (1 ) (A 8 5 )

(零平均値) く Ij (i1))=O (A86)

(内積) く1:(i1) 11 (1)) = f f(x) i1* (x) dx (A87)

(分散) くII1(i1)12) = J 1i1(x)j2 dx= 1Ii111 (A88)

n次元コ クリッド空間 Rn(iC沿いて自乗可積分である関数をピ(Rn) (iC属

するという。ピ (Rn)(iC属する関数 i1( xj' X2'…・ー, xn)が,階段関数Kより

ピ (Rn) ノノレムの意味で近似できるととを用いると,上と全く同様の方法K よ

り多重ウィナー積分

In(i1)= f i1(x1, x2' ......, xn) h(n)CdB(x1), dB(x2),・, dB(xn

)J n

R (A89)

-168-

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が定義できる。ととで関数 Fは,変数 (X1,X2'…, Xn) VC関し対称であるとす

る。(対称でない場合Kは,対称化することにする。)多重ウィナー積介 In(&')

は,ウィナ エルミット徴介式の性質 (A76)Vcより,以下の性質をもっ。

(線形性 )

(零平均値)

I n ( &'+ f ) = 1 n ( &' ) + 1 n ( f)

くIn(&,) >ニ O

(A90)

(A91)

(内 積) くIn仰 :ω>= n ! 1n &' (Xl' .., Xn) /*eXl' "',弘)dx1"'dxn

(A92)

(直交性 ) く1n (&,) 1m (f) > = 0, (n主~m ) (A93 )

(ウィナー積介の応用)

ピ(R)V<ζ むける正規直交関数系を {φn(x), nニ 0,::1:: 1, ::1:: 2, .・}とするとき,

Xn(ω)ニ J九(x)dB(x), (n=O,::I::l,士 2,一一) (A9 4) R ー

は独立ガウス系列となる。実際,右辺は独立ガウス変数の和(積分)であるか

らXn(ω) もガウス変数である。 (A86), (A87)により,

くXn(ω) >ニ O (A94)

く Xn (ω)~(ω))= I九ω《(x)dx=8nII1 (A95)

ウィナ 積介K よる汎函数展開(ウィナー展開)

ガウスランダム担Ij度 dB (x) の汎函数 (A68)が, 1: (il) VC属するならば,

つまり,

く|φ(ω)12 >く∞ (A96)

であるならば,多重ウィナー積分Kより自乗平均の意味で直交展開できる。

φ似仲い(ωωωω)= 4 十z J -4い(仕X山 2' ,内叫~ν)川h州(nニ 1 RIl

(A97)

との展開は,ウィナーエルミット展開,ウィナー展開とよばれる。ここで,展開

係数 fnは変数K関して対称な関数であるo ウィナーエルミット徴介式の直交性

(A76)VCより,

くφ(ω)h(n)CdB(x1), dB(X2),……, dB(xn)J>

= n! fn (xνx2'…ー・, xn) dX1 dX2… --dxI1 (A98)

とく VCn = 0 では,

くφ(ω)〉 24 (A99)

169-

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が成立する。多重ウィナー積分の直交性 (A93)と (A92) vcより,

(x)

く!φ(ω)12〉:1412+Zn!J J4(xバ 2,ー, xn)12dXl dX2・…dXn (AI00)

n=l R""

と在る。右辺は非負の数の和であるから,左辺が有界であるためには関数ら

がピ (Rn)Vc属する必要がある。

ガウスランダム測度の移動

dB (x)→ dB(x+a )=dB( x, Taω) ; (一∞く aく∞ ) (AI0l)

を (A5 9)の様K見本空間nvcなける ωベクトノレの移動 ω→ Taω と見在す。

ζ の移動により汎函数φ仰)は, φ(Taω)へ移動するが, ζ れは

φ(1,aω)=ら十 Ff G(XI,xh ,xn)h(n)〔dB(X1+a),., dB(「1凡)J n=l -Rn

= らヤ← 里むfn ι (比xl一刊 a払 ,ι九一a心山川)川川h(n)Cd n二Zニ 1 R日

(AI02)

と書ける。 φ(Taω)は,保演IJ変換 TaVCより生成された強定常過程で,その相

関関数は (A93)vcより

くφ(Taω)φ特(ω))=

(x)

=1412+Z n!f nG(X1-a,X2-a, ・ 7 九一 a)「(Xl , xz , v 九)dXldx2'''d~n=l Rn

(AI03) と在る。

A 6. 複素ガウスランダム測度による表現

よく知られている様VC,ヘルムホノレツ方程式左どの綿形微分方程式を解くに

は,フーリエ変換により波数領域(空間周波数領域)で解を表現するのが便利

で計算の見通しがよい。そ ζ で,ウィナー展開 (A97)をフーリェ変換を用い

て表現するととを考えよう口以下では,ガウスランダム測度のフーリエ変換と

して複素ガウスランダム狽1]度を導入し,次K ウィナーエノレミット微分式のフー

リエ変換により複素ウィナーエノレミット微分式を定義する。

ガウスランダム祖IJ度 dB(x)のフーリエ変換

1 +∞-i .v 一=I e 駒 山 dB(x,ω)、/27t 二∞

は,核開数 e-iλxがピ (R) の元では左いので,ウィナー積分として定義でき

左い。しかし, ζ れを区間 dλ=(λ+,jA,λ)で積分した

-170-

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1 +∞ -ixJA .、一B (JA,ω)立つ云 f !_二土---e …A dB(x,ω)

一 -V ム 崎 一αコ lX

(AI04)

はウィナー積分として存在する。〔右辺の Bと左辺の Bとは,異なるランダム

関数であるが,同じ記号 Bを用い,両者を変数 λとxで区別する。〕

dB (x)が実であるから ,(AI04)VCより

ぜ(.JA,ω) = B(一ρ ,ω)

ウィナー積分の性質 (A86)と (A88)VCより

くB(Jλ,ω)> = 0, く IB(Jλ,ω)12>=Jλ

であり, JA1とLlA2 が共通部分をもたないとき

(A105)

(AI06)

くB(.dλuω)Itト(Jλ2'ω)>=0 (AI07)

となる o B (.d A,ω)は,ガウスランダム測度 (A63) と類似した性質をもっ複

素ガウス変数であるので,複素ガウスランダム担IJ度とよばれる。

徴小区間 dλ=dλ=(λ+dλ3λ)上の複素ガウスランダム担IJ度を

B(Jλ,ω) ニエ B(dλ?ω)= dB(λ,ω)三 dB(λ)

と徴分の形K書けば, dB(λ,ω)は性質

dB長(λω)= dB(ーλ,ω)

くdB(λω)>=0

くdB(λ1> ω)dB(λ2,ω)>=8(λ1+λ2) dA1 dλ2

くdB(Al>ω)dB持(Az,ω)>=8(A1ー Az)dA1 dA z (AI08)

をもっ。乙乙で, 8 (λ1ー A2)dλ'1 dA2は λ1=A2のとき dA2を表 L,λ1:'.s;;: AZで

は零K等しいもりとする。この様VC8関数を自由 K使うとと Kすれば,積分

(AI04)は形式的 VC,

dA ^ -;)¥.v

dB(λ,ω)エー-;==- 1 e ・ "dB(x)司I2n- 匂 R

(AI09)

と書くととができるo ウィナーエ Jレミット徴分式 h(n)の形式的なフーリエ変換

h(n)C dB(A¥) , dB(λ2),…・, dB(λn)J

n

コ川u 6'J叫ゐ n

白山 R (AI10)

(n) K より,複素ウィナーエルミット多項式 h¥11) (dB(λ1), dB(A2),…・・, dB(λn)J

を定義する。〔右辺の h(n)と左辺の h(n)とは異なるものであるが,とれらも変

数 xとλで区別すること Kする Jo (A70)~(A76) を用いて計算すれば,

-171-

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左辺の具体的左形は,

h(O)ーニ 1

h(l)CdB(入)J = dB(入)

h(2)CdB(入1)'dB(λ2)J=dB(入1)dB (入2)-8(入1+入2)d入ld入2

h(3)CdB(入1),dB(弘), dB(入3)J=dB(À1)dB(À2 )dB( 入3)-dB(À1 )ö(λ'2+À3)d~dÀ3-dB(A2) 8 (A1+A3) dAl dλ3-dB(A3) 8 (At+入2)dAl dA2

(A111)

等となり,以下の性質をもっ。

(漸化式)

(直交性)

h(l)C dB(λ1) J h(n)CdB(入2),dB(λ3)'…ー, dB(λn+l) J

ニ h(n+1) C dB(A1), dB(入2),………, dB(λn+ 1) J

n+1

+ '1; h(n-1)CdB(入1),"', dB(λi-l)' dB(λi十 1)'... dB(λn十 1) J Iニ 2

X O (A1+λi) d入1dλi (Al12)

くh(n)CdB(入i),dB(入I2),…ー, dB(入in ) J

X h(m)C dB(入jl)'dB(入j2),…・, dB(λim) J >

= 8nm on( i+j) di1 dAi2…ー dI¥'in d入ij・一一 dλjm

(A113)

くh(n)C dB(入i)'dB(入h),…ー, dB(入in ) J

Xh&n)*CdB(入jl)'dB(入i2), … …・・, dB(入jm)J >

ニ 8I}msn(i-j)d〉LiId〉Liz--d〉Lin d〉LJI…… dAjm

(Al14)

ととで, 8n(i-j) C8n(i+j)Jは, (A30)の 81jkむいて ~ j pを

8 (Ajμ一〉Ljv)lて C8 (Ajμ+Aj) VC J置換えたものであるo C(A77)参照〕

複素ウィナーエ jレミット多項式を用いると,多重ウィナー積分 (A89)は,

In(~)=I n

~(Xl' X2,......, xn )h(n)CdB(x1), dB(X2)'・…・, dB(xn)J R"

= I G(入]lλ2 , λn) h(n)C dB(入ム dB(入2),......, dB(入n)J

Rn (A11S)

-172-

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と書くととができる。ただし Gは Fのフーリエ変換

1 あ iC¥'lX1+…Hnxn)GCλl' -2' "', -n)ニ (-) J e F(xbXu , 苅1)dx1 ・・ dXn21l" J

R~ CAl16)

である。 2が変数 CX1' Xz'…・, Xn) VC関して対称な関数であるので, Gもその

変数K関して対称である。

ガウスランダム担1]度の汎函数 φ(ω)は,展開 CA97)の各項が CAl15)の様K

複素ウィナーエルミット徴分式で表現できるから,

φ(ω)1F+Z J 1(λド入2,•.. -n) h(n)C dBC入1),dBC-2), "', dBC入n)Jnニ 1Rn ~ー

CA117)

と展開できる。ととで,係数 Fnは fnの n次元フーリエ変換であり , CA114)

K上り,

くφ(ω)〉24エ FO

くφ(ω)h(n)持 CdBC入1), dBC入2),…"', dBCλn) J )

= n! F n C -1' -2,…ー, -n) d-1 d-2…….. d-n

となる。同様vc,パノレセパルの定理 CAl00)は,

co

CA118)

CA119)

く1φ(ω)12)エ |ι12+.E n! J 1 Fn C入1>-2, .…ー?入n)12 d-1 d-2'…一 dA'nn=l Rn

CA120 )

となる。

ガウスランダム ~IJ度の移動 CAI01) VC対して,複素ガウスランダム測度

dB Cλ,ω)は, CAI09) VCより

dBC入 Taω):ei〉La

dB(〉L,ω) CA121)

と変換するととがわかる。従って, CAI10)VC上り,複素ウィナーエノレミット

徴分式の変換則は,

h(n)C dBC入l'Taω), dBC入2'T

aω),…", dB(入n,Taω ) J CA122)

=e i(入1+凡+…+λn)a

h(n)CdBC-1,ω),… υ , dBCλn'ω) J

と左る。との関係、を CAl17)VC適用すれば, φCTaω)のウィナー展開は,

φ似CTγaU)ω)汗=九+z f F九nCい 2'"., n弘)比ei伽 λ汁 +内州λ-n)ρ)a九h(凶叫n)Cdはd組似BCλh川1ρ) 叩

n=1 Rn

CA123)

-173-

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となる。 (A114)VCより φCTaω)の相関々数は

くφCTaω)φ長(ω)>

00

r lD (" '\12~jC 入1+…+入n )a=1九12+};n!.1 1見(入l'A2'…, n) 12 e ., • i 11' -d A1 d A2…d入n

nニ 1 R" (A124)

と書ける。

CAl17)~CA124) VC於いて,積分領域 Rnを C-7(, 7() n vc置き換えたものが,

(A45)~CA50) である。

A 7. 確率場のウィナー展開

確率過程の一般化Kは,二つの方向がある。その一つはベクトル値をとる確

率過程であって,たとえば,不規則な電圧 V(t)と電流 1(t)との組である。

XCt) = C v(t), I(t)J

である。との様在確率過程は,多次元確率過程 CMulti-dimension呂l

stochastic process) とよばれる。

第二の方向は,複数のパラメータをもっ確率過程である。たとえば,画像信

号 Iは,二次元ベクトノレ r=Cx,y) をパラメータとする確率過程である。

との様VC,空間座標をパラメータにもつ確率過程を確率場 Crandom f i叶 d)

という。確率場 1(r)の確率分布が,移動(並進) 1 (r)→ 1 Cr+a)VC関して不

変であるとき, 1 (r)を一様確率場 Chomogeneous random fieJd)といい,

r = 0のまわりの回転:rVC関して確率分布が不変であるとき 2 等方確率場

Cisotropic random field) という。

本節では,一次元のガウスランダム担Ij度・複素ガウスランダム視Ij度を二次元

確率場へ拡張し,二次元ガウスランダム測度の汎函数のウィナー展開Kついて

述べる口

二次元ガウスランダム浪Ij度#

一次元のガウスランダム測度 CA63,A64)の拡張として, 二次元ガウス

ランダム ~IJ度を定義する。二次元平面 R2 = C一∞ζx,y豆∞)中の位置ベクト

ルを r=Cx,y)で表し, R2 vc沿ける面積要素を dと書〈。

R2 上の実ガウス変数の系 {BCL1, ω)}が,条件持

持)以下では 1次元のガウスランダム測度・複素ガウスランダム測度と同じ記

号 Bを用い,変数 x,入 r,入 K よりとれを区別する。

-1 74-

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1. (零平均値)

II. (分散が面積K等しい)

くB( J,ω) ) = 0

くB2( J,ω) ) = I J I

} (A125)

(但し, I L1 Iは dの面積である)

ill. L1]とL12 が共通部分をもたないとき , B(L1], ω)とB ( L12,ω)は独立,

くB( L1], ω) B ( L12,ω))=0 (A126)

lV. L1n(n=O, 1,2,… )が相互K共通部分をもたなければ,

00 Cゎ

B( J: L1n,ω)= J: B(L1n>ω) n=O nニ O

(A127)

を満たすとき , {B(L1, ω) }を二次元ガウスランダム担IJ度という。

位置 rVCなける微小面積 L1=dxdy Vc対して

B( dr,ω)=dB(r,ω)三 dB(r)

と書けば,微分 dB(r)は次の性質をもっガウス過程である。

くdB(r))ニ 0,く dB(r]) dB( r2))ニ o(r1-r2)dr1 drZ

(A12S)

(A129)

ととで, o ( rl-r2) d r] d r2は, r] = rzのとき drl' r]キ r2 のとき零であると

解釈する。

8関数を自由K使うこととし,二次元複素ガウスランダム測庄の微分 dB(λ)

をフーリエ変換d)l r -iλr

dB(入)=EZj e dB(r,ω) ,)1=(λx,λy) (A130) {,Tl R2

Kより定義する口 (A129)VCより, dB(λ)は性質

dB長()I, ω)=dB(-)l, ω)

くdB(入, ω))=0, くdBPj,ω)dB長()12'ω))ニ o()lC)l2) d)lld)l2

くdB()lj,ω)dB( O2,ω)) = o (入 f十九2)d)lld)lz

(A131 )

をもっ口

(AI01)と同様, d B (r)の移動K より保淑Ij変換 Taを定義する。

dB (r十a,ω) = dB( r, Taω)

との定義Kより ,Taは,

、b ~a+b T

V = 1 (恒等式), T....Tu = T

(A132)

(A133)

を満たす加法群である。 (A132)VCより,二次元複素ガウスランダム測度の変

換員Ijは,

dBP, Taω)=e1ha dB(h,ω) (A134)

と~る口

FKU

i

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二次元ガウスランタ・ム測度 dB(r)VC関するウィナーエノレミット徴分式むよび

二次元複素ガウスランダム祖IJ度K関する複素ウィナーエルミット微分式は,前

節と同じ方法で定義できる。 (A66)と (A129) を比較すれば,一次元の

o (X1-X2) dx) dX2が二次元では o(r1-r2) dr) dr2 VC置き代わるととが分か

る。そとで (A70)~ (A76) VCとの様左置換えをすれば,二次元の場合のウィ

ナーエルミット徴分式 h(n)が得られる。

h(U) = 1

h(1)CdB(r)J = dB(r)

h(2) C dB( r)), dB( r2 ) J = dB(r1) dB(rz) -O (r)-r2) d r) d r2

(漸化式)

11(1)〔dB(『l)〕h(n)〔dB(rz),dB(『3),…"', dB(rn+1)J

= h(n+l) CdB(r1), dB(r2),………, dB(rn+1)J

(A13S)

+芦いCd B (f Z), "', d B (r i _ 1 ), d叫 +1),"', dB(rn+1)Jo(rj-ri) df)dri 1=2

(A136)

(直交性)

くh(n)CdB(r.),dB(r;), 一一・, dB(r, )J 11 .1.2 且 n

xhh)〔dB(『jI),dB(rjz),…", dB( 11m)] > 28nm8n(i一j)dkdriz… -drin dril……… d rjm (A137)

(AI08)と (A131)とを比較すれば,一次元の o(-)+-2) d-ld-2が二次元で

は o(λIト~2) d~ ld~2 VC 置換わるとと K 左るので, (A11 1) ~(A114) VCその様

な置換えをするとと Kより, dB (:~) VC関する複素ウィナーエルミット徴分式が

得られる。

h(U) = 1

( 1) h¥LJ CdB(ス))=dB (~ )

h(2) CdB(~)) , dB(~2))=dBOl)dBP2)-0(λ汁~2) d ~ 1 d ~ 2 ( A 1 38 )

(漸化式)

h(1)CdB(λ1) J h(n)C dBP2), dBP3), …・・, dB(~n)J (n+1)

= h ¥11 , LJ C dB (λ)), ……・・, dB(λn+1)J

n+1(n-1) + 1: h'" "'CdB()¥2),…, dB(九i-1)'dB()¥ i+1)' …,dBNIT十1)Jo()\r十弘 )d~)d~n

i=2 (A139)

-176-

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(直交性)

くh(n)CdBC~ i), dB(:¥i 2)' …, dBOin)J

X h(m)CdB(:¥j), dB(λjz),…"一, dB(:¥jm)J>

二 onm 0 n ( i + j ) dλi1 dλiz…… dλ In dλi1…… dλim ' (A140)

くh(n)CdB(iI I1), ...... dB(λin) J ・ h(n~ 持 C dB(Iijt)'…一, dB(九jm)J >

=Onmon( i-j)dλi1 d;¥j 2…ーd:¥in d:¥i1……… d::¥ im (A14 1)

二次元ガウスランダム泊IJ度の汎函数とウィナー展開

dB(r)= dB (r,ω)は,強義の一様確率場であるから, (A67)と同じ考えK

よって,見本空間。内の無限次元ベクトノレ ωとみなし

ω={dB(r,ω), r E R2 } (A142)

ωrニ dB ( r,ω)

と書く。ことで ωrは ωの『座標成分を表す。{dB( r ) } の汎函数を ωの関数

とみて

φ(ω)=φCdB(r), rεR2J (A143)

と書く口との右辺は,連続無限個の変数 dB (r)の関数を表すものとする。

φ(ω)の分散が有界

く 1φ(ω)12 >く∞ (A144)

であれば, φ仰)は自乗平均の意味で以下の様K ウィナー展開できる。

φゆ)ニん十 ZJ A(rI,ι ,rn) h(n)CdB(r1), ......, dB(rn)J (A145) n=1 R"ll

二九十 ifj n 九(λ1>:¥2, ''', :¥n) h(n)C dB(λ1), dB(以 dBOn) J V nニ 1R211 ..

(A146)

ととで,らと R1はそれぞれ変数の入れ換えK関して対称左関数であり,相互

Kフーリエ変換の関係、Kある。すなわち,

九州1>:¥ 2, "', }.n)エ(会)nLzn ji(瓦lrl+ +hrn)/(『I,~ ,h)drl drn,

(A147) 直交性 (A137)と (A141)vcより,係数 fn,Fnは,

くφ(ω)>ニ f。=F5くφ(ω)h(n)CdB(r1),......dB(rn)J >

(A148)

= n iA(rI,r23 ,ω dr1 dr2 ......drn (A149)

門,

s門,

s

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くφ(ω)h(n)-*CdB(ス)), dB(λ仏 -…・・, dB()In)J>

=n !Fn(入), )¥ 2,…, )¥ n ) d)¥ 1 d)¥ 2...... d ). n

で与えられ,

(A150)

Cわ

く!φ (w)12 > = 1仁12+2: n!I ~ n=1 R2n

1 fn ( r], r 2, "', r n ) 12 d r] d r 2・drn

(A151) Cわ

= 1 F" 12十

}; n! I v n=1 R2n

i九('], 2,"', )ln) 12 d)l) d)¥2".dλn

(A152) が成立する口

(A145)(A146)に保m_iJ変換 (A132)(A134)を施すととに上り

φ(Taω )=も十 YJ /(『1-a,rra, ,r a)dh)〔dB(い dB(rn)J n-~1JR2n-n-" " n

ニ 1+ZJ R(λI,hzfjn)e i(何百オ十九 n)ah (n) C dB()\~ , "', dB~n ) J v n=1 R2n "

(A153)

が得られる。 φ(T8ω) は強義の一様確率場であって,その相関関数は

くφ(T8ω)φ持(ω )>

cxコf 封印

=1ん12十 Z n!J141(『la,rz-a,・" r n

~ a ) f;' ( r l' r 2'・1 『n)MI---drII

nニ 1 R2

Cわ

= 1 F" 12十 }; n! I

v n=1 R2fi 、1ノ

n

弘司

A斗

L

YG

にリ1

i

A

/a

‘、

9色、ρd

l 、Ad

a

、BJ〆n

、a

H十ιa f

、血円

/rk、

・I白L

nL 、B

J〆n

、A9旬、A1

、《

/rk、

n

官A

で与えられる。

-1 78-

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