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TEL
困ったことがあれば、
何でもご相談ください
1. 腎臓について
2. 血液透析について
3. シャントについて
4. 透析患者さんの食事
5. お薬について
6. 透析患者さんの合併症
7. 日常生活での注意点
8. 足を大事にしましょう
9. 糖尿病透析患者さんの血糖管理
10. 検査データーの見方
1.腎臓について
●腎臓はどこにあるの?
①位置は背中側で腰のあたりにあります。
②形はそら豆型で左右に1対あります。
③成人では握りこぶしぐらいの大きさです。
●腎臓の役割は?
①老廃物の排泄…老廃物を尿として排泄。
②体内の環境を調節…水分量・電解質・PHの調節。
③内分泌…赤血球を作る助けとなるエリスロポエチン分泌。
血圧を正常に維持するレニン分泌。
骨を作る助けとなるビタミンD活性化。
●腎不全とは?
腎臓はいわば「ザル」のような働きをしているのですが、
正常機能の30%以下になった状態を腎不全といいます。
慢性腎不全とは数か月から数年以上かけて進行し、腎機能が回復し
ない状態のことをいいます。尿毒症(老廃物が体にたまる)症状と
して頭痛・だるさ・嘔気・嘔吐・呼吸症状・食欲不振・むくみなど
が現れ末期腎不全となります。
●末期腎不全の治療とは?
透析療法には血液透析と腹膜透析とがあります。
①血液透析…血液を体外に取り出し、
ダイアライザーを通して老廃物や
水分を取り除く治療。通常週3回
1回4時間以上で主に病院やクリ
ニックで行います。(在宅でも可)
②腹膜透析…お腹の中に透析液を入れ、
腹膜を介して老廃物や水分を取り
除く治療。通常1日4回程度、
主に自宅や職場(学校)で毎日
行います。
③腎移植・・・腎移植には生体腎移植と献腎移植があります。
・生体腎移植…生きている人(親族)
からの腎臓を移植します。
・献腎移植…脳死・心停止の死者からの
腎臓を移植します。
2.透析について
●血液透析とは?
血液を血液ポンプで体外に引き出し、人工腎臓(ダイアライザ
ー)という装置を通して血液中の老廃物や余分な水分を取り
除き、きれいになった血液を体にもどす治療です。
腎臓は 24 時間フルに働いていますが、透析では時間も効率
も限られており、腎臓の働きを十分に代行することはできま
せん。通常は4~5時間の透析を週3回します。しかし、透
析療法のみでは腎臓の働きすべてを行えません。運動・食事
療法を行い、透析療法・薬物療法について理解し、自己管理
できるようにしていきましょう。始めは分からない事ばかり
だと思います、あせらずゆっくりと理解していきましょう。
●透析中にこんな症状が出たときは?
頭痛とむかつき (透析不均衡症候群)
透析に慣れていない時期は、急速に毒素を抜くために身体の毒素
は抜けても脳だけは毒素の抜けが遅いので脳の方に水が移動し
て、頭が痛くなったり、むかついたりすると言われています。
透析中に起こりやすい症状は、不均衡症候群、血圧下降
などがあります。透析に慣れていない初期は、症状が現れ
やすいのでゆっくりした透析を行いますが、気分が悪かっ
たり痛かったりするときは早めにスタッフに知らせてくだ
さい。症状がひどくなってからでは回復に時間がかかりま
すし透析後も体調がすぐれなかったりします。
冷や汗が出る、あくびが出る、お腹が痛くなる
意識消失や失禁したりすることもあります。血圧が下がりすぎると
回復に時間を要し、重篤な合併症につながる可能性があります。
こむら返り(筋肉のケイレン)
針の周囲が痛い、透析を始めてから腕が痛くなる
わからないことは何でも気軽にきいてください。
血圧が下がってきています。
●ドライウエイト(透析の目標体重)とは?
腎臓には体内の水分量を調節する働きがありましたね。この
余分な水分が溜まっていない状態の体重をドライウエイトと
言います。
ドライウエイトはつねに一定というわけではありません。
体調が悪くなれば本来の体重は減っているはずです。
しかし、そのままのドライウエイトだと余分な水分が体に
溜まった状態になり、高血圧や心不全などの原因となりま
す。
・
ドライウエイトはどうやって決めるのでしょうか?
●体重増加はどのくらいまで増えていいの?
水分増加が多いと余分な水分が体に溜まった状態になりま
す。透析で一度にたくさんの量の水分を引き出すと血圧が下
がり気分が悪くなったり、透析後も体調が悪かったりします。
また、血管や心臓にも負担がかかり合併症も出やすくなりま
す。
などの症状が出たら生命の危機となりかねません。
すぐに病院へ連絡してください !!!
呼吸が苦しい(横になるとひどくなる)
胸がゼーゼーする
血圧が異常に高い
透析患者さんの体重増加を抑えるためには、水分摂取量を抑
えるとともに、塩分摂取量を抑えることが必要です。1日の
塩分摂取量は 7g 以内に控えることが望ましいとされていま
す。また1日の水分量は、食事以外の水分として1日の尿量
+500mlです。始めは計って飲むようにし、自己管理でき
るようにしましょう。
目標の体重増加量は
中1日→ドライウエイトの 3% 以下
中2日→ドライウエイトの 5% 以下にしましょう。
今現在のあなたのドライウエイトは( ㎏)です。
中1日→ドライウエイト×3%=( ㎏)
中2日→ドライウエイト×5%=( ㎏)
33..シシャャンントトににつついいてて
●シャントとは?
透析に必要な血液の流れを得る為に、手術によって動脈と
静脈をつなぎ合わせたものです。
① 自己血管内シャント
自分の血管を手術でつなぎ合わせた一般的なシャントで
す。
② 人工血管内シャント
シャントが自分の血管で作成できない場合に、人工で作
った血管を手術で植え込んだシャントです。
③ 動脈表在化
心臓の働きが悪い方、血管に原因があってシャントが作
成できない場合などに、動脈血管を皮膚のすぐ下に移動
させる手術を行い、針を刺しやすくしたものです。
●シャントはなぜ必要なのか?
一般的な静脈では、十分な量の血液が得られない為に
シャントが必要となります。シャントを作る事で1分間に
約 200ml前後の血流を得ることができます。
注意すること
*シャントは大切なものです。長持ちさせる為に次の事に
注意しましょう。
① シャント側での採血・血圧測定禁止。
② シャント側に腕時計などをしない。
③ シャント側に重いものを掛けたり、圧迫したりしない。
④ 穿刺部からの出血や感染を防止する為、透析当日の
入浴は避ける。 シャント部を洗う時は、石鹸をよく
泡立てて手の平でやさしく洗いましょう。
⑤できれば同じ場所に穿刺しない。
●シャントのトラブルについて
① 閉塞(シャントがつまる)
長時間の圧迫や低血圧が続くと、シャントがつまる事
があります。
【症状】・シャント音が聞こえなくなります。
・シャント部が硬くなったり
痛みが出たりします。
②感染
【症状】・シャント部が赤く腫れ、熱や痛みを感じます。
・ひどくなると膿が出ることもあります。
③出血
シャントを傷つけると大量出血します。出血した時は、
傷口の周囲を強く圧迫しながら来院されてください。
※ 閉塞・感染・出血などの
症状がありましたら
すぐに病院にご連絡ください。
●その他
①針刺しの痛みが耐えられない場合は、麻酔テープもありま
すので、我慢せずにスタッフに相談して下さい。
②透析後に針穴に貼った止血のテープは、貼ったままにして
おくと感染やテープかぶれの原因になります。翌日には剥
がしましょう。
③エコー下穿刺法
エコー(超音波診断装置)を使用して、針を刺す部位に皮
膚の上から超音波を当てて、血管の状態を画像で確認しな
がら針を刺す方法です。血管が細い、血管が深いところに
あり触れにくい、血管が逃げやすいなどの、理由があると
きに行うことがあります。
4.透析患者さんの食事
透析を始められて、食事療法もだいぶ楽になられたのでは
ないでしょうか? しかし、透析療法をするからと、好きな
ものを好きなだけ食べていると大変なことになりかねません。
また、長期透析患者の合併症が発症しやすくなります。快適
な人工透析ライフが送れるように正しい食事療法を知り、実
行できるようにしましょう。
●バランスよく充分なエネルギーをとりましょう
炭水化物(カラダを動かすエネルギー源)
ご飯、パン、麺類など
脂質(炭水化物と同じくエネルギー源)
サラダ油、バターなど
たんぱく質
脂 質
15%
炭水化物
60%
25%
エネルギー配分 たんぱく質(カラダづくりとエネルギー源)
肉、魚、卵、大豆製品(豆腐、納豆)、乳製品
(チーズ、
ヨーグルト)、練り製品(ちくわ、ハム、ウイ
ンナー)など
●1日の適正エネルギー摂取量
この位の量で 1500~1750kcal になります。
標準体重 1kg 当たり 30~35kcal
体重 50kgの人の場合1日 1500~1750kcal となりま
す。
炭水化物 ご飯:600g(茶碗 3 杯)
ジャガイモ:中 1/2 個
脂質 植物油:大さじ 2 杯
たんぱく質 たまご:1 個(60g)
魚:手のひら半分(50g)
豆腐:1/5 丁
肉:手のひら半分(50g)
充分なエネルギーが
摂れないときは・・・
甘いものやてんぷら、
フライ、炒め物などでエネ
ルギーを摂るなどの工夫
をしてみてはいかがでしょ
うか。
●良質なたんぱく質を適量とりましょう
たんぱく質は、血液や筋肉を構成する重要な栄養素です。
しかし、透析の患者さんが必要以上にたんぱく質を摂取する
と、この老廃物がカラダの中にたまってしまい、尿素窒素
(BUN)やリン(P)、が上昇してしまいます。
ですから、良質のたんぱく質を適量食べましょう。
たんぱく質と聞くと肉や魚を思い
浮かべますが、
などにも含まれます。
この部分で 20g程のたんぱく質を
摂っていることになります。
タンパク質を減らしたご飯やめん
類、低タンパクの小麦粉なども市
販されています。利用されてみて
はいかがでしょうか。
ご飯、パン、きのこ、海草
100gのお肉に 100gのたんぱく質
が含まれているわけではありませ
ん。たんぱく質は 20g程で、他に水
分や脂質が含まれています。
たんぱく質の摂り方で気をつけること!
水分・脂質など たんぱく質
80% 20%
練り製品(ハム、ウインナー、ソー
セイジ、ちくわ)などの加工食品や
干物、塩漬け(塩サバ、塩鮭)類は
塩分も多く好ましくありません。
●塩分と水分をひかえましょう
塩分を多く摂ってしまうと、水分がほしくなります。カラ
ダの中に塩分がたまると水分もたまって体重が増加します。
透析の患者さんにとって体重増加が多いことは、透析療法が
つらいものになります。また、カラダに負担がかかり合併症
を引き起こす原因にもなります。
塩分制限のポイント
塩分を 1 点に集中して使い満足度を得る。
(どの料理も薄味にするのではなく)
酸味や辛味を味方につける。
(唐辛子、コショウ、わさび、しょうが、にんにく、
しその葉)
柑橘類(レモン、ゆず)を使用する。
だし(昆布、かつおぶし、干ししいたけ、鶏がら)の
うま味を利用する。
焦げ目を付けたり、温度を利用しても料理をおいしく
できます。
●1日に摂れる水分量は?
●カリウム(K)摂取量をひかえましょう
カリウムは腎臓で排泄されます。高カリウム血症は、とき
に重大な不整脈を引き起こし、死に至ることがあるので、カ
リウム摂取は制限しなければなりません。カリウムはいも類、
野菜、果物、海草などに多く含まれます。
食事に含まれる水分以外に 500ml(ペットボトル 1本分)の
水分がとれます。
アルコールも水分量に含めて考えます。(なるべく禁酒にしましょ
う。)
・ 水分を摂る前にうがいをする。
・ いつも使うコップの容量を量り、飲む量を決めておく。
・ 野菜・果物の 80~90%は水分です、摂り過ぎないように。
・ 1 回/日は体重を測りどれだけ体重増加しているか確認する。
水分摂取を少なくする工夫
ひい日
こんな症状には要注意!
ひい日
「口のまわりがしびれる」 「胸が苦しい」 「体がだるい」
・ゆでて、汁をこぼしましょう!
・生野菜を食べるときは細かく切って水に
さらしましょう!
・果物の缶詰はカリウム少なめです!
※汁は飲まないようにしましょう!
(カリウムが多く含まれるため)
カリウム摂取を少なくする工夫
ひい日
野菜類
果物
K= 5.5 mEq/l 以下になるようにします。
5.5 ~ 6.4 mEq/lでは「注意」 6.5 mEq/l以上は「危険」
●リン(P)を上手にコントロールしましょう
P(リン)の過剰な摂取は、動脈硬化や骨が
弱くなる、皮膚のかゆみを起こすだけでなく、
生命予後にも影響を及ぼします。しかし、リンはカルシウム
やビタミンDと一緒に健康な骨を作るために必要不可欠です。
リンの値をコントロールして合併症を防ぎましょう。
1. リン(P)とカルシウム(Ca)のコントロール範囲を知り
ましょう。
Pは 3.5~6.0以内 、補正Caは 8.4~10.0以内
2. リンを多く含む食品を摂り過ぎないようにしましょう。
・ 加工食品やインスタント食品に多く含まれます。
(練り製品・ハム・ベーコン・コンビニ弁当・・・など)
・ 乳製品(牛乳・チーズ)、肉、魚類、
豆類に多く含まれます。
5.お薬について
●カリウムを下げるお薬
腎臓の機能が低下すると、カリウムを十分に尿に排泄する
ことが難しくなり、体内に蓄積されます。
血液中のカリウム濃度が高くなりすぎると非常に危険で、
不整脈が起きたり、心臓が止まって突然死に至ることさえ
あります。
カリウム抑制薬
注意点
便秘の副作用が出ることがあります。普段から
排便コントロールに留意して下さい。
●リンを下げるお薬
腎臓の機能が低下すると、不要なリンを尿中に排泄すること
が難しくなり、血液中にリンがたまりやすくなります。血中
のリンが高い状態が続くと骨からカルシウムが溶け出し骨が
もろくなります。またリンとカルシウムが体のいろいろなと
ころ(血管・腱・肺など)に沈着して、動脈硬化や異所性石
灰化を起こすこともあります。
リン吸着薬
注意点
1.便秘の副作用が出ることがあります。
2. 食物に含まれるリンを吸着するので空腹時に服用しても
効果がありません。食直前や食直後に服用してください。
(処方された際の用法・用量を必ず守ってください。)
●カルシウム、PTH を調整するお薬
PTH(副甲状腺ホルモン):副甲状腺から分泌されるホルモン
で、骨に含まれるカルシウムを血液中へ放出させ、腎臓に作
用してリンの再吸収を抑制し、カルシウムの再吸収を促しま
す。
二次制服甲状腺機能亢進症:血中のカルシウムが低かったり、
リンが高い状態が続くことにより PTH の分泌が高まり、カル
シウムが溶け出して骨がもろくなり、骨変形・骨折などの原
因となります。
① 活性型ビタミン D3製剤
血中の PTH(副甲状腺ホルモン)を下げ、二次性副甲状腺機
能亢進症の進行を防ぐために用います。また腸管でのカルシ
ウムの吸収を助けます。
②カルシウム受容体作動薬
副甲状腺に直接はたらきかけ PTH の分泌を抑制することに
より二次性副甲状腺機能亢進症を治療します。
注意点
1. 副作用として、悪心や嘔吐などの消化器症状がおきる
ことがあります。
2. 1 日 1 回ほぼ同じ時間に服用してください。
●貧血を改善するお薬
① ESA 製剤(赤血球造血刺激因子製剤)
腎臓ではエリスロポエチンという赤血球を増やすホルモンが
作られます。透析患者さんは腎臓の機能が低下しているため
にエリスロポエチンの産生量が減るのでお薬で補います。
② 鉄剤
鉄欠乏があれば適切に鉄補充を行う必要があります。
注意点
鉄剤使用中は、便が黒くなります。ESA 製剤や鉄剤での治療中にも
かかわらず、急激なヘモグロビン値の下降があった場合は、多くの場
合消化管出血の可能性があります。
●血圧をコントロールするお薬
① 降圧薬
血圧を正常範囲まで下げるために使用される治療薬が降圧薬
です。
②昇圧薬
正しくドライウエイトを設定したり、緩徐な時間除水を設定
しても、透析前や透析中、透析後に低血圧になる場合、注射
や内服によって昇圧剤が使用される場合があります。
●市販のお薬について
日常のちょっとした症状に対しては、市販薬を購入して飲む
こともあるのではないでしょうか。しかし、透析患者さんが
飲んではいけない成分が含まれていることもあるので注意が
必要です。
透析患者さんが服用を避けたほうがよいお薬
①アルミニウムを含むお薬
アルミニウムは体内に蓄積しやすく、アルミニウム脳症や骨
軟化症を引き起こします。(胃薬など)
②マグネシウムを含むお薬
マグネシウムもアルミニウム同様に体内に蓄積しやすく、蓄
積により呼吸障害や、心停止、脱力感などの症状が現れるこ
とがあります。(下剤など)
注意点
市販薬の風邪薬や胃薬などについては、服用する前に医師、
看護師、薬剤師などに必ず相談してください。
6.長期透析患者さんの合併症
医療が進歩してきましたが、健康な腎臓の
人と透析を行っている人がまったく同じとは
いきません。快適な人工透析ライフを送る
ために、合併症に対して正しい知識を知り、その予防に心が
けましょう。
●心不全(しんふぜん)
心臓のポンプ機能が低下して体に必要な血液を送り出せない
状態。
症状・・・むなぐるしさ・息切れなど
体重増加が多い、血圧の管理が悪い、と心臓に負担が
かかり心不全になってしまう可能性があります。
予防・・塩分・水分の制限をする。
体重増加を 3~5%に抑える。
血圧のコントロールを良くする。
●感染症(かんせんしょう)
透析患者さんは、一般に感染に対する抵抗力が低下している
ため、感染症にかかりやすい状態です。また、症状が出にく
い場合があるため重症化することもあります。
●閉塞動脈硬化症(へいそくどうみゃくこうかしょう)
予防・・血圧や体重の変動を少なくする。
足のしびれが強い時は、足のケガに注意すること
(毎日、足にケガをしていないかチェックする)
毎日、適度な運動をする。(20 分以上・散歩など)
予防 : 毎日の体調管理・食事管理・手洗い
うがい・排泄後のシャワー洗浄など。
●二次性副甲状腺機能亢進症
*リン(P)、カルシウム(Ca)のコントロール不良が原因
*PTH(副甲状腺ホルモン)、P(リン)、Ca(カルシウム)値の上昇
症状:初期は症状はほとんどありません。数年~10 数年後に、
関節・骨や血管・臓器・皮膚などにCaがつき、関節痛
や骨がもろくなったり、血管の石灰化を引き起こします。
予防・治療 PとCaをコントロールする
Pを多く含む食品(乳製品・肉、魚類・豆類)
を摂りすぎない
食事に含まれるPを体の外に排泄させる薬を
服用する
活性化ビタミンDを内服する
副甲状腺摘出術(手術)をうける
十分な透析をおこなう
●手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)
●皮膚のかゆみ
二次性甲状腺機能亢進症(リン・カルシウムのコント
ロール不良)や皮膚の保湿機能低下などによる。
症状・・ここの部分がへこんだようになる。
手の親指から中指にかけて痛みやしびれがでる。
指で「OK」が作れない。ぞうきんがしぼれない。
手首(正中神経)にアミロイドが沈着して神経を圧迫しま
す。透析開始後12年では 50%に、20年後では 100%の
患者さんに出現しているとされています。
予防 十分量の透析の施行。
手根管部分を手術すると、症状は改善します。
対策 : 抗ヒスタミン剤などの内服。皮膚の保湿を保つよ
うな外用薬の使用。清潔にする。刺激の少ないせっけんを
使用する。P・Caのコントロールを良くする。
7.日常生活での注意点
●自己管理を行い身体の状態を把握する事が大事です
①体重を測る
体の調子を見る為の大切な指標の一つです
・1 日 1 回は決まった時間に体重測定を行い必ず記録する
・体重増加の目安は基礎体重から中 1 日で 3%、中 2 日で
5%です
・便秘は体重増加につながるので毎日排便の有無を確認する
・便秘であれば下剤等の内服が必要です。便通の調整を行う
②血圧を測る
血圧測定のポイント
・起床後、就寝前に血圧測定し、記録しましょう。
・座位で 1~2分以内安静にしてから腕を心臓と同じ高さに
して測りましょう。
・血圧の調整を行うことで心臓や脳、
足の病気を防ぐことができます。
③薬の飲み方
・血圧の薬や血液をサラサラにする薬等腎臓や体の臓器を
保護する働きがあります。処方された薬、量・時間をきち
んと守りましょう。
・市販の薬や、健康食品は服用しないようにしましょう
(カルシウム・アルミニウムが含まれているものもあり、
腎臓に悪影響を及ぼす場合あります)
・リン吸着剤は食前や食直後など内服方法に違いがあります
ので十分に確認を行いましょう
④旅行
透析があるので“旅行できない“ということはありません。
透析終了後、週末を利用して2泊3日の旅行も可能です。
それ以上の宿泊や海外での透析も可能ですので、医師・
スタッフへ御相談ください
⑤感染予防
腎不全の人は、抵抗力が衰えている為感染しやすくなって
います。清潔にし、手洗い・うがいの励行を心掛けましょ
う。インフルエンザ流行の時期は人混みをさけましょう。
⑥緊急時の連絡方法
こんな症状見られたら・・・。直ぐに病院へ電話をして
下さい!シャント肢が痛む、腫れている、手で触って血流
を感じない。高熱、手足がだるい、痺れる、胸が痛い、重
苦しい等、家族の方がインフルエンザ等罹患した場合も病
院へ連絡して下さい。
病院の電話番号:
●透析患者さんの運動
透析治療を開始しても安静の必要はありません。
透析を始めたら適度な運動を行いましょう。透析を受けられ
ている患者さんは、週 3 回の透析で運動不足に
なりがちです。健康的で活動的な生活が送れる
ように、日頃から体を動かしましょう。
8.足を大事にしましょう
透析患者さんは、足観察を定期的に行うことが必要です。
なぜなら、透析患者さんの 12~15%に PAD(末梢動脈疾患)
があるからです。
PAD =末梢動脈(主に手足に血液を届ける動脈)の動脈
硬化が原因です。動脈硬化により、血管が細くなって血液
の循環が悪くなり、手足にしびれや痛みが起こる病気で
す。悪化すると血管が詰まって、ひどい場合には壊死した
りすることもあります。
PAD は、気づかない間に進行します。
初期症状:冷えやしびれを感じる程度です。
その後:間欠性跛行(歩行時、足に痛みを感じ、
しばらく休むと痛みが治まる。)になります。
症状が進むと:じっとしていても、足が痛くなる。
悪化すると:足の皮膚がただれたり(潰瘍)、壊死した
りする。広い範囲の壊死や、重症感染を合併した足潰瘍
では足を切断しなければなくなります。
●足のチェックポイント
⑦ケガやヤケドは?
④皮膚の乾燥やひび割れ?
⑥タコやウオノメは?
⑤足が冷たい、
色が悪くはないか?
②足のしびれや痛みは?
③水虫は?
⑧不潔になっていませんか?
①深爪、巻き爪、変形・割れはありませんか?
足のチェックポイントに当てはまるものがあったら改善する。
足の血行を良くする。(ウォーキングなどの適度な運動をする。)
保温・けがの予防といった面から必ず靴下をはく。
足に合った靴を選ぶ。(靴づれしない、蒸れない。)
足を清潔に保つ。(きれいにあらい、保湿クリームを使用する。)
つめは長すぎず、切りすぎず。
低温火傷に注意する。(電気毛布や電気カーペットを高温で長時
間使用しない。ストーブの前で寝ない。湯たんぽや使い捨てカイ
ロを長時間同じ場所にあてない。)
予防と治療(自分で自分の足を守りましょう。)
9.糖尿病透析患者さんの血糖管理
●透析導入後の糖尿病の治療は?
透析患者さんは、インスリンの分解が遅延し、透析で余分
な糖が体の外に除去されるので、透析日の内服薬・インスリ
ン量が減量になります。今まで通り、他の合併症予防のため
に食事・運動・薬物療法を続けていきましょう。
●透析患者さんの血糖目標値
HbA1c 6.0 未満
グリコアルブミン 20%以下
空腹時血糖値 130 未満
食後 2 時間血糖値 200 未満
●糖尿病による合併症
①糖尿病性網膜症
糖尿病の患者さんの約 30~60%にみられます。
網膜症は視力の低下だけではなく、失明に至ることもあり
ます。
②糖尿病性神経症
糖尿病3大合併症のなかで最も早い時期から出やすい合
併症です。熱い・冷たい・痛いなどを感じないために、ケ
ガや火傷に気付かず悪化させ、場合によっては切断を余儀
なくされます。
下痢や便秘をくりかえす。
心筋梗塞、狭心症になっても、胸痛を感じない。
そのため、治療が遅れて、大きな発作に突然みまわれる
危険がある。
●シックデイとは?
体調不良で、通常の食事が摂れない場合をいいます。風邪をひいた
り怪我をしたり、糖尿病以外の病気にかかった時の特別なルールが
あります。
①温かく、安静にする。
②早めに主治医と連絡をとる。
・全く食事が摂れない。
・下痢や嘔吐が続く。
・38 度以上の熱が続く。
・高血糖が続く。(250mg/dl以上)
こんな時は迷わず主治医に連絡し、早めに受診するように
お願いします。
③食事・水分・電解質を摂る。
発熱・嘔吐・下痢などの症状がある時は、体を温めて
できるだけ消化が良いものを摂取しましょう。
水分・電解質が補給できるものをできるだけ摂るように
してください。
水分は、体重を測定 しながら取りましょう
基礎体重より体重が減らないよう に注意しましょう
10. 検査データの見方
●透析が効率的に行なわれているかを確認する検査
①尿素窒素(BUN):60~90mg/dl
*たんぱく質の老廃物の量 高値に注意する
②クレアチニン(Cr):男性 10~15mg/dl
:女性 8~13mg/dl
*筋肉から作られる老廃物の量
●栄養状態を確認する検査
①カリウム(K):3.5~5.5mEg/L
*血液中のカリウム量 高値に注意する
②アルブミン(ALB):4~5g/dl
*栄養状態を示す血液中の蛋白の量
●貧血の状態をみる検査
①ヘマトクリット(Ht):30~33%
②ヘモグロビン(Hb):10~11g/dl
低値に注意する!
●骨の代謝異常の有無をみる検査
①カルシウム(Ca):8.4~10.0mg/dl
*骨の代謝を示す値 低値も高値も注意する!
②リン(P)3.5~6.0mg/dl