『omens』 - gekirockその後、panic! at the disco他を手掛けたmatt squireに認...

1
時代が3OH!3に追いついた?! 人気のエレクトロ・ポップ・デュオが新作をリリース KE$HAのエロいヴォーカルをフィーチャーしたパーティー・アンセム 「My First Kiss」の大ヒットから3年、コロラドのエレクトロ・ポッ プ・デュオ、3OH!3がついにシーンに帰ってきた!!遅れに遅れ、結 局、最初の予定から半年遅れで3作目となるアルバム『Omens』を 6月19日にリリースする。 記念すべき“3OH!3の日”、つまり2013年3月3日、『Omens』のプ レ・オーダーが始まると、アメリカでは早速、LMFAOやTIMEFLIES を、3OH!3の仮想ライバルと見なしたマスコミが“彼らが王座を奪 還する時がついにやって来た!!”と煽り始めた。 Nathaniel Motte(プログラミング&ビート)とSean Foreman (MC)の2人組、3OH!3のスタートは2004年。コロラド州立大学 の学生だった2人が自宅の地下室で曲作りを始めたことがグループ 結成のきっかけだった。 その後、PANIC! AT THE DISCO他を手掛けたMatt Squireに認 められ、2008年にメジャー・デビューした彼らは若者のパーティー・ ライフを時に享楽的に、時に刹那的に歌った――たとえば“お嬢さ ん、パンティー脱がしていいですか?”(「My First Kiss」)といっ たシモネタ満載のリリックおよび煽情的なダンス・ビートとシンセ・ サウンドが大歓迎され、一躍、人気アーティストになっていった。 「Don’ t Trust Me」、Katy Perryをフィーチャーした「Starstrukk」、 そして前述した「My First Kiss」といったヒット曲が生まれ、2010 年にリリースした2作目のアルバム『Streets Of Gold』は全米7位 に食い込むヒットになった。 因みにNathaniel、Seanともに大学時代は医学、数学を学んでいた インテリである。そういう2人がパーティー三昧の毎日を過ごしている 悪名高き大学の社交クラブからそのまま飛び出してきたようなキャラ を演じているようなところがおもしろい。 今回の『Omens』は前2作を手掛けたMatt Squireの手を離れ、 ボールダーにあるNathanielの自宅スタジオでセルフ・プロデュース で挑んだ意欲作。自分たちが考える“3OH!3らしさ”を一度、白紙 に戻した上で“誰が歌っても、誰が演奏してもいいと思える曲”を作 ることを目標に掲げ、じっくりと時間をかけて作った曲の中から厳選 した11曲(+日本盤ボーナス・トラック6曲)が収録されている。 シンセ使いがより煌びやかな1stシングルの「You’ re Gonna Love This」、ハードコアなエレクトロ・サウンド、あるいは煽情的なラッ プという過激なやり方でインパクトを与える「Black Hole」「Two Girlfriends」といった3OH!3らしさをトゥー・マッチと言えるほど 強調した曲からは、2人の自信がこれでもかと窺える。 また、ハーモニーを含めたゴージャズなサウンドの「Youngblood」、 ピアノ・バラードと言っても差し支えない「Back To Life」という、 彼らがこれまで聴かせたことがない歌心が感じられる2曲は新境地も アピールしている。前作にも参加していたGreg Kurstin(FOSTER THE PEOPLE他)とロサンゼルスでレコーディングしたこの2曲は、 エレクトロ・ポップ路線の曲とは一味違う新作のもう1つの聴きどこ ろと言ってもいい。もちろん、主に映画やテレビのサントラを手掛け ている作曲家、Joseph Trapaneseと作った「Do Or Die」の(本 編の)エンディングを飾るにふさわしい壮大さも聴き逃せない。 “サウンドはさまざまだけど、それらすべてに3OH!3らしさが感じ られると思う。このアルバムは僕らが何者で、どういうタイプの音楽 を作っているかを忠実に反映している”とSeanも自信満々だ。 前作から3年空いてしまったとは言え、EDMのブームや、昨今のロッ クとエレクトロ系のダンス・ミュージックの過激な融合(と、それを 大歓迎している若いリスナー)を思えば、時代がやっと3OH!3に追 いついたなんて言ってもいいかもしれない。そう、ここから彼らの快 進撃が始まるのである。とりあえず、TWENTY|ONE|PILOTSの ファンはチェックしたほうがいい。 山口 智男 3OH!3 『Omens』 [WARNER MUSIC JAPAN] 2013.6.19 ON SALE!! WPCR-15000 \1,980(税込) 3rd Album 『Streets Of Gold』 2nd Album 『Want』

Upload: others

Post on 06-Sep-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 『Omens』 - gekirockその後、PANIC! AT THE DISCO他を手掛けたMatt Squireに認 められ、2008年にメジャー・デビューした彼らは若者のパーティー・

時代が3OH!3に追いついた?!

人気のエレクトロ・ポップ・デュオが新

作をリリース

KE$HAのエロいヴォーカルをフィーチャーしたパーティー・アンセム

「My First Kiss」の大ヒットから3年、コロラドのエレクトロ・ポッ

プ・デュオ、3OH!3がついにシーンに帰ってきた!!遅れに遅れ、結

局、最初の予定から半年遅れで3作目となるアルバム『Omens』を

6月19日にリリースする。

記念すべき“3OH!3の日”、つまり2013年3月3日、『Omens』のプ

レ・オーダーが始まると、アメリカでは早速、LMFAOやTIMEFLIES

を、3OH!3の仮想ライバルと見なしたマスコミが“彼らが王座を奪

還する時がついにやって来た!!”と煽り始めた。

Nathaniel Motte(プログラミング&ビート)とSean Foreman

(MC)の2人組、3OH!3のスタートは2004年。コロラド州立大学

の学生だった2人が自宅の地下室で曲作りを始めたことがグループ

結成のきっかけだった。

その後、PANIC! AT THE DISCO他を手掛けたMatt Squireに認

められ、2008年にメジャー・デビューした彼らは若者のパーティー・

ライフを時に享楽的に、時に刹那的に歌った――たとえば“お嬢さ

ん、パンティー脱がしていいですか?”(「My First Kiss」)といっ

たシモネタ満載のリリックおよび煽情的なダンス・ビートとシンセ・

サウンドが大歓迎され、一躍、人気アーティストになっていった。

「Don’t Trust Me」、Katy Perryをフィーチャーした「Starstrukk」、

そして前述した「My First Kiss」といったヒット曲が生まれ、2010

年にリリースした2作目のアルバム『Streets Of Gold』は全米7位

に食い込むヒットになった。

因みにNathaniel、Seanともに大学時代は医学、数学を学んでいた

インテリである。そういう2人がパーティー三昧の毎日を過ごしている

悪名高き大学の社交クラブからそのまま飛び出してきたようなキャラ

を演じているようなところがおもしろい。

今回の『Omens』は前2作を手掛けたMatt Squireの手を離れ、

ボールダーにあるNathanielの自宅スタジオでセルフ・プロデュース

で挑んだ意欲作。自分たちが考える“3OH!3らしさ”を一度、白紙

に戻した上で“誰が歌っても、誰が演奏してもいいと思える曲”を作

ることを目標に掲げ、じっくりと時間をかけて作った曲の中から厳選

した11曲(+日本盤ボーナス・トラック6曲)が収録されている。

シンセ使いがより煌びやかな1stシングルの「You’re Gonna Love

This」、ハードコアなエレクトロ・サウンド、あるいは煽情的なラッ

プという過激なやり方でインパクトを与える「Black Hole」「Two

Girlfriends」といった3OH!3らしさをトゥー・マッチと言えるほど

強調した曲からは、2人の自信がこれでもかと窺える。

また、ハーモニーを含めたゴージャズなサウンドの「Youngblood」、

ピアノ・バラードと言っても差し支えない「Back To Life」という、

彼らがこれまで聴かせたことがない歌心が感じられる2曲は新境地も

アピールしている。前作にも参加していたGreg Kurstin(FOSTER

THE PEOPLE他)とロサンゼルスでレコーディングしたこの2曲は、

エレクトロ・ポップ路線の曲とは一味違う新作のもう1つの聴きどこ

ろと言ってもいい。もちろん、主に映画やテレビのサントラを手掛け

ている作曲家、Joseph Trapaneseと作った「Do Or Die」の(本

編の)エンディングを飾るにふさわしい壮大さも聴き逃せない。

“サウンドはさまざまだけど、それらすべてに3OH!3らしさが感じ

られると思う。このアルバムは僕らが何者で、どういうタイプの音楽

を作っているかを忠実に反映している”とSeanも自信満々だ。

前作から3年空いてしまったとは言え、EDMのブームや、昨今のロッ

クとエレクトロ系のダンス・ミュージックの過激な融合(と、それを

大歓迎している若いリスナー)を思えば、時代がやっと3OH!3に追

いついたなんて言ってもいいかもしれない。そう、ここから彼らの快

進撃が始まるのである。とりあえず、TWENTY|ONE|PILOTSの

ファンはチェックしたほうがいい。 山口 智男

3OH!3『Omens』

[WARNER MUSIC JAPAN]2013.6.19 ON SALE!!WPCR-15000\1,980(税込)

3rd Album『Streets Of Gold』

2nd Album『Want』