化学工学iii - oukahp3 ページ!3 等モル向流拡散と一方拡散 教科書p.120...

20
1 講義時間:火曜4限/木曜2場所 :C-2A/C-3C 担当 :山村 化学工学III

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  • 1

    講義時間:火曜4限/木曜2限場所 :C-2A/C-3C担当 :山村

    化学工学III

  • 講義資料公開のお知らせ

    http://www.che.kyutech.ac.jp/chem22/

    レポート返却

    N

    応化棟1F

    S102 化工研

    WC

    8-1A講義室印刷した資料(25部限定)

    2

  • 3

    等モル向流拡散と一方拡散

    教科書 p.120

    等モル向流拡散

    一方拡散

    0A BN N

    0

    ( 0)

    B

    A

    N

    N

    または

  • 4

    基本手順

    (1)シェルバランス(物質収支)を取る

    (2)境界条件を定める

    (3)微分方程式を解く

    (4)解が条件を満たすことを確認する

    L

    z

    A

    A

    A

    A

    x

    x

    x

    x

    1

    2

    1 1

    1

    1

    1濃度分布 一方拡散

  • 5

    フィルム内の一方拡散(1) -シェルバランス-

    z

    フィルム

    L

    0

    z+Dz Dz

    簡単のため平板上にA, Bからなる2成分系フィルムを考える。

    モル流束NA

    モル分率xA2

    モル分率xA1

    NB=0

    仮定1)一方拡散(NB=0)2)濃度分布はフィルム厚み方向(z方向)のみに存在3)Fickの法則が成立4)定常状態5)全モル濃度(Ct)と拡散係数(DAB)はそれぞれ一定

  • 6

    厚みDz、面積Sのシェルを考える。固定座標系でのモル流束をNAとすれば単位時間にシェルへ流入するモル数は

    (NAS)| z単位時間にシェルから流出するモル数は

    (NAS)| z+Dz

    フィルム内の一方拡散(2) -シェルバランス-

    フィルム内では物質収支が成り立つ。定常状態を仮定するとシェルへ出入りするモル数は保存されるから

    0 = (NAS)| z - (NAS)| z+Dz

  • 7

    フィルム内の一方拡散(3) -シェルバランスつづき-

    シェル厚みDzで両辺を除すと

    (NAS)| z - (NAS)| z+Dz0 =

    Dz

    無限に薄いシェル(Dz0)を考えれば

    d(NAS)0 =

    dz

    シェル面積は一定だからSで両辺を除して

    dNA0 =

    dz(Eq.1)

  • 8

    Fickの法則が成り立つと仮定すると

    )( BAAA

    ABA NNxdz

    dCDN

    フィルム内の一方拡散(5) -微分方程式の解-

    B成分は静止している(NB=0)ので

    AAA

    ABA Nxdz

    dCDN

    右辺第2項を左辺へ移項しNAでまとめると

    dz

    dCDNx AABAA )1(

    (Report-1))( BAAAA NNxNJ

    モル流束は

    dz

    dCDJ AABA

  • 9

    フィルム内の一方拡散(6) -微分方程式の解-

    従ってdz

    dC

    x

    DN A

    A

    ABA

    1

    ここでCAの定義CA=CtxAを代入すれば

    dz

    dx

    x

    DC

    dz

    xCd

    x

    DN A

    A

    ABtAt

    A

    ABA

    1

    )(

    1(Eq.2)

    対数の微分に関する次式が成り立つ

    dz

    xd

    dz

    dx

    x

    AA

    A

    )1ln(

    1

    1

    これを用いると

    dz

    xdDC

    dz

    dx

    x

    DCN AABt

    A

    A

    ABtA

    )1ln(

    1

    (Eq.3)

    (注(fg)’=f’g+fg’)

  • 10

    dz

    xd

    dz

    dx

    x

    AA

    A

    )1ln(

    1

    1

    補足

    証明

    dz

    dx

    xdz

    xd

    xXdX

    Xd

    dz

    dx

    dz

    dx

    dz

    xd

    dz

    dX

    dz

    dX

    dX

    Xd

    dz

    Xd

    dz

    xd

    xX

    A

    A

    A

    A

    AAA

    A

    A

    1

    1)1ln(

    1

    11ln

    0)1(

    lnln)1ln(

    1

    従って

    ここで

    とおくと

  • 11

    フィルム内の一方拡散(7) -微分方程式の解つづき-

    これらの連立式を解く。Eq.3をEq.1に代入すると

    0)1ln(

    dz

    xdDC

    dz

    d AABt

    全モル濃度Ct, 拡散係数DABが定数なら

    0)1ln(

    2

    2

    dz

    xd A

    z方向に1度積分すると

    1

    )1ln(C

    dz

    xd A

  • 12

    フィルム内の一方拡散(8) -微分方程式の解つづき-

    境界条件 z=0 : xA=xA1 より積分定数C2は

    1

    2121

    1

    1ln

    1/)1ln()1ln(

    A

    AAA

    x

    x

    LLxxC

    )1ln( 12 AxC

    もう1度積分すると

    21)1ln( CzCxA

    もう一つの境界条件z=L : xA=xA2 より積分定数は

    従ってモル分率は次のように書ける

    )1ln(1

    1ln)1ln( 1

    1

    2A

    A

    AA x

    x

    x

    L

    zx

  • 13

    フィルム内の一方拡散(9) -微分方程式の解つづき-

    変形すると

    1

    21

    1

    1ln)1ln()1ln(

    A

    AAA

    x

    x

    L

    zxx

    L

    z

    A

    A

    A

    A

    x

    x

    x

    x

    1

    2

    1 1

    1ln)

    1

    1ln(

    従ってL

    z

    A

    A

    A

    A

    x

    x

    x

    x

    1

    2

    1 1

    1

    1

    1

    境界条件チェック

  • 14

    フィルム内の一方拡散(10)

    0.0

    0.1

    0.2

    0.3

    0.4

    0.5

    0.6

    0.7

    0.8

    0.9

    1.0

    0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

    z/L

    xA

    xA1 xA2

    0.95 0.7

    0.5 0.25

    0.1 0

    濃度勾配は距離zの関数

    モル分率XAが小さければ濃度勾配はほぼ一定

    フィルム底面 フィルム表面

    L

    z

    A

    A

    A

    A

    x

    x

    x

    x

    1

    2

    1 1

    1

    1

    1

  • 15

    1

    2

    1

    1ln

    A

    AABtA

    x

    x

    L

    DCN

    dz

    xdDC

    dz

    dx

    x

    DCN AABt

    A

    A

    ABtA

    )1ln(

    1

    フィルム内の一方拡散(11) -微分方程式の解つづき-

    モル流束NAを求めよう。 Eq.3より

    濃度分布は Lz

    A

    A

    A

    A

    x

    x

    x

    x

    1

    2

    1 1

    1

    1

    1 だから

    1

    2

    1

    21

    1

    1ln

    1)1ln(

    1

    1ln)1ln()1ln(

    A

    AA

    A

    AAA

    x

    x

    Ldz

    xd

    x

    x

    L

    zxx

    これを代入すればモル流束は

  • 16

    フィルム内の一方拡散(12)

    )()(

    )/ln()()1()1(

    )(

    )()/ln(

    )1(ln

    1

    1ln

    21

    12

    1212

    12

    12

    12

    11

    1

    2

    1

    2

    AA

    lmB

    ABtA

    BB

    BBlmBAA

    lmB

    ABt

    BB

    BB

    BBABt

    BA

    B

    BABt

    A

    AABtA

    xxxL

    DCN

    xx

    xxxxx

    xL

    DC

    xxxx

    xx

    L

    DC

    xxx

    x

    L

    DC

    x

    x

    L

    DCN

    モル分率xBの対数平均(xB)lmを用いてモル流束を表すこともできる

    (lm=logarithmic mean)

    教科書 120p, Eq. (4.18)

  • 17

    フィルム内の一方拡散(13) -特別な場合-

    拡散成分Aのモル分率が十分に小さければ(xA

  • 18

    フィルム内の一方拡散(14) -特別な場合つづき-

    1

    21

    1

    21

    1

    2

    11

    11

    1

    1

    A

    AAL

    z

    A

    AAL

    z

    A

    A

    x

    xx

    L

    z

    x

    xx

    x

    x

    この近似を用いれば

    従って濃度分布は

    1

    21

    1 11

    1

    1

    A

    AA

    A

    A

    x

    xx

    L

    z

    x

    x

    112 )/)(( AAAA xLzxxx

    整理すれば

    となり、成分Aのモル分率は厚み方向距離zの一次関数となる。

  • 19

    ミッション:

    □ 質量平均速度とモル平均速度を質量分率とモル分率の関数として記述することができる□ 質量流束とモル流束を固定座標系および質量(モル)平均速度基準で記述することができる□ 濃度場のシェルバランスを取ることができる□ フィルム中への等モル相互拡散の濃度分布を求めることができる□ フィルム中への一方拡散の濃度分布を求めることができる□ 均一反応を伴う拡散の濃度分布を求めることができる□ 表面反応を伴う拡散の濃度分布を求めることができる□ 円柱面上における拡散の濃度分布を求めることができる□ 球面上における拡散の濃度分布を求めることができる□ 物質移動係数の物理的意味を述べることができる□ 等モル相互拡散および一方拡散の物質移動係数を記述することができる□ 異相界面を横切る質量流束を記述することができる□ 総括物質移動係数を用いて質量流束を記述することができる□ ガス吸収装置内の物質収支を取ることができる□ 設計条件を満たすガス吸収装置の高さを求めることができる□ 吸着装置内の物質収支を取ることができる□ 設計条件を満たす吸着装置の高さを求めることができる□ 膜分離装置内の物質収支を取ることができる□ 設計条件を満たす膜分離装置の長さを求めることができる□ 乾燥装置内の物質収支を取ることができる

  • 20

    平板上フィルム内の等モル向流拡散 –report2-

    [問1] フィルムの厚み方向(z方向)にシェルバランスをとり固定座標系における成分Aのモル流束NAについて次式を導出せよ。ただし定常状態を仮定してよい。

    氏名

    )2()( BAAA

    ABA NNxdz

    dCDN

    )1(0dz

    dN A

    [問2] Fickの法則が成り立つなら固定座標系における成分Aのモル流束NAは一般に次式で表される。ただしDABは拡散係数、CAおよびxAはそれぞれ成分Aのモル濃度、モル分率であり、モル分率の定義から全モル濃度Ctを用いてxA=CA/Ctが成り立つ。

    等モル向流拡散(NA+NB=0)の場合、モル流束は次のように書けることを示せ。ただし全モル濃度Ctはzによらず一定と仮定する。

    [問3]式(1)(3)を連立し次の微分方程式を導け。ただし拡散係数DAB,全モル濃度Ctは一定と仮定する。

    [問4]式(4)を解き、モル分率xAが次式で表されることを示せ。ただし境界条件はz=0 : xA=xA1 、z=L : xA=xA2とする。

    )5()/)(( 112 AAAA xLzxxx

    [問5] モル流束が次式で表されることを示せ。

    )6(21

    L

    xxCDN AAtABA

    )3(dz

    dxCDN AtABA

    )4(02

    2

    dz

    xd A

    [問6]全モル濃度Ct=50mol/m3の高分子膜がある。

    膜中の溶媒の拡散係数DAB=2.0×10-9m2/s、厚み方向の

    モル分率差xA1-xA2=0.10の場合、モル流束を1.2×10-3mol/(m2s)

    以上とするには厚みLは何mm以下でなければならないか。ただし1mm=10-6 mである。