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オーガニックをブームで 終わらせないために 平成28年度 有機農業の推進に関する全国会議にて 2017年2月24日 株式会社マルタ 代表取締役 佐伯昌彦 1

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Page 1: ~GO ORGANIC!~ 有機農産物拡大の方向性①自己紹介 2 •北海道虻田郡洞爺湖町にて営農。 香川県から入植して代目。 •総面積 haでミニトマトやセル

オーガニックをブームで終わらせないために

平成28年度

有機農業の推進に関する全国会議にて

2017年2月24日

株式会社マルタ 代表取締役 佐伯昌彦

1

Page 2: ~GO ORGANIC!~ 有機農産物拡大の方向性①自己紹介 2 •北海道虻田郡洞爺湖町にて営農。 香川県から入植して代目。 •総面積 haでミニトマトやセル

①自己紹介

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•北海道虻田郡洞爺湖町にて営農。香川県から入植して3代目。

•総面積10haでミニトマトやセルリなどを栽培。96年北海道指導農業士に。

•ミニトマトで2000年から有機JASの認証を取得。

•農場としては2009年、国際的な農業生産工程管理の認証であるGLOBALG.A.P.認証取得。

• 2000年地元農産物を加工する食品加工会社の代表取締役に就任し現職。

• 2005年株式会社マルタの代表取締役に就任し現職。

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株式会社マルタの紹介■【会社概要】

•名称 株式会社 マ ル タ (旧:㈱マルタ有機農業生産組合)

•本社(事業本部):東京都千代田区外神田

•設立 1975年1月(有限会社)、1977年2月(株式会社)

•資本金 1億7,700万円 、株主数 125名(産地/個人)

•年商 74.1億円【16年3月期】

マルタは、全国の契約生産者が出資して作った株式会社で、北海道から沖縄まで全国1,600名超のプロ農家が集まるネットワーク型組織になります。

•事業としては出資生産者/産地のつくった農産物を販売する青果物卸売事業が主で、事業本部/販売の窓口として東京神田に事務所があります。

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土づくりと味にこだわる生産者の集団です

•1975年組織設立以来のスローガンは「有機農業を農業の主流に」

•参加する農家は土づくりと味にこだわり、有機農業あるいは環境保全型農業をはじめとした持続的な農業経営を目指すという理念を共有しております。

•経営主の平均年齢は50歳代前半と若く、比較的大規模な家族経営体・農業生産法人等が集まり、地域JAも巻き込んでこれらがネットワークを組んでいるのが組織の特徴です。

•取締役から監査役まで役員は産地代表者で構成され民主的な運営を行っております。

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有機農産物の取り扱い実績の推移

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• 青果物中心だが15年から130%程度の前年からの伸び。19年までに取扱い金額10億円、構成比10%を達成したい

4.9% 4.6% 5.0%

6.2%7.1%

0.0%

1.0%

2.0%

3.0%

4.0%

5.0%

6.0%

7.0%

8.0%

100

150

200

250

300

350

400

450

500

12年 13年 14年 15年 16年

有機農産物取扱金額 構成比(青果物内)単位:百万円

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②圧倒的な米国のオーガニック売り場米国は歴史あるEUを追い越し今

や世界最大のオーガニック食品市

場であり、しかも年率10%以上の

成長が続き、現在食品の総売上の

5% (青果物だけでは13%!)

がオーガニックだという。

有名なホールフーズなどアッパー

層に対するオーガニック主体の専

門店の急成長を見て、従来のスー

パーマーケットでも他店との差別

化商品としてオーガニックに力を

入れており、どの階層の店舗でも

オーガニック花盛りであった。

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SAFEWAY

SPROUTS

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商業主義的な米国オーガニックの伸長【消費者はオーガニック農産物をなぜ求めるのか】

•富裕層(+中間層):健康+美味しさ ライフスタイル

•中間層以下:健康(医療費の高さ)例:ケールが人気

【圧倒的な売り場は、実は整った供給体制が下支え】

•慣行栽培となんら変わらない生産構造ができている(規模・収量・選果/パッケージ・流通構造等)

•というよりも、むしろ大規模なグローワーが従来の商品に付加価値をつけるためにオーガニックに取り組んでいるような印象を受けた ⇒これを実現するための「気候(立地選定)」や「農業関連産業の集積」など

•青果よりも加工度を上げた、カット野菜や冷凍・乾燥・加工食品などへの拡がり⇒バリューチェーンの構築

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例えば気象条件、特に雨の問題

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■サリナス(カリフォルニア州) の 気象条件

月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

最高気温 16℃ 17℃ 18℃ 19℃ 20℃ 21℃ 22℃ 22℃ 23℃ 23℃ 19℃ 16℃

最低気温 5℃ 6℃ 7℃ 8℃ 10℃ 12℃ 13℃ 13℃ 12℃ 10℃ 7℃ 5℃

降水量mm 67.4 64.3 54.4 22.2 9.5 0.6 0.0 0.0 5.1 15.9 33.9 48.8

■ユマ(アリゾナ州) の 気象条件

月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

最高気温 21℃ 23℃ 27℃ 31℃ 35℃ 40℃ 42℃ 41℃ 38℃ 32℃ 25℃ 21℃

最低気温 8℃ 10℃ 12℃ 15℃ 19℃ 23℃ 27℃ 27℃ 24℃ 18℃ 12℃ 8℃

降水量mm 10.1 8.7 9.3 4.5 0.0 0.0 8.9 15.5 10.8 9.3 9.0 13.5

全米のサラダボウルと言われるカリフォルニアのサリナスやアリゾナのユマは「ほぼ砂漠地帯」で作っている現実!

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9③日本でも:有機/オーガニックへの追い風が

特にスーパーマーケットの有機農産物コーナーが拡大 差別化戦略としての小売りの挑戦(再挑戦) 確かに置くと売れていく、目的買いが起こる、客単価が上がる これが積もり積もると大きな需要拡大に

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生産者側には、いつか来た道(ブームの終焉)を辿らないかという不安も大きい

よって小売側からの増産要請にも動きは鈍い逆に加工食品中心にオーガニックの輸入は伸長⇒ブームに終わらせないように、地に足つけた生産量の拡大を図るためにはどうすればいいのか?

しかし、必ずしも中身は伴っていないのが現状

生産者側 小ロットで物流費の負担大きい

有機資材コスト↑ 天候異変のリスク↑ 価格を抑えられる(高くても〇〇円までだな)

売り場 利益が出ない(原価が高い/値入を抑える/ロスが大きいなど)

価値以上の売価になってしまう場合もあるのでは 等

果たしてお客様は満足?

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有機生産量拡大のために生産者が望むことは?1. 安心して作れる販路の確保(取引への安心感)2. 無理なく作る(有機本来の旬への回帰)3. 無駄なく売り切る(販売先数より販売チャネル数)4. 安定した価格(手取りの安定)5. 技術的なアシスト

*特に1は大きく、取引への安心感があって初めて生産者は拡大できる=投資できる。有機を先駆的に広めた専門流通事業体や生協との取り組みは特にこれが大きなインセンティブになっている。

米国との違い:結局、規模拡大を実現するバリューチェーンが作られていないことが問題では?⇒バリューチェーンの構築が生産の拡大を後押しする

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米国の事例:米国の売り場を見ると冷凍食品・ドライ・カット・惣菜など加工度を上げた(寿命を長くした)商品のバリエーションが充実している。

ベビーフードの原料農産物におけるオーガニックのプレミアムは4倍と聞いたことがあるが、そこまで無くとも、青果売り場だけでなく有機加工食品の分野と連携した面積拡大を図れないか(ロスが少ない分バリューチェーンは構築しやすい)

輸入加工食品の伸びは著しい: H25年/24年比:有機農産物+10%、有機加工食品+35%!⇒需要は間違いなくあるはずだが。

一方で国内ではまだまだ対応できる工場が少なく、この分野における商品開発は遅れている。

例えば・・・青果だけでの完結を目指すのではなく食品加工との連携

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バリューチェーン構築 成功させるポイント①

旬の時期の生産 無理ない時期に 収量面、栄養価

安定した生産力の確保

高い単価(売価)だけに支えられた世界は長続きしない(拡大や根付かせることができない)

有機生産者こそ収量と品質のアップ(特に味)に真摯に向き合わなければ経営が成り立たない

「有機だから高い」を打破する。重要なのは無駄なコスト削減と手取りのアップのはず。

優良農場との連携 優れた技術力とコスト意識を持った経営感覚

優良農場に投資を!

最新技術の導入 適正品種の選択 行政とも連携した新技術の導入

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ポイント②

しっかりした協業先の確保

販売先(契約概念をもった取組先)

製造工場(有機の認定)

販売先/メーカー/産地と一緒に価値を造り上げていく、顧客を作っていく

商品開発力 有機・オーガニックだけに留まらない美味しさ・楽しさ・商品価値⇒企画と仕組みの構築

表現力と消費者教育も重要

• バリューチェーンの構築は必須で、まだまだやることは多い。

• 最終的には、単なる差別化アイテムの位置づけからライフスタイルの提案(地位の確立)にどうつなげられるか が重要

コーディネーター機能 畑丸ごとの契約につなげるできたものを買い切る仕組

販売チャネルの確保 旬のリレー構築 など

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最後に、これからの有機農業への期待

拡大するマーケットへの期待⇒オリパラ東京2020へ向けての国民的関心の増加も追い風

科学的に進化する有機農法への期待⇒ 特に微生物関連研究の長足な進歩。連作障害など近代農業の限界を本当に解決するかも?という期待

何より、最大の生産資源である自然環境と調和した有機農業が、今後の食糧生産も持続可能なものとするであろうとの期待。日本では余りこの価値観について議論されないが大切な視点。

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御清聴ありがとうございました。

【株式会社マルタ】

http://www.maruta-mogura.co.jp/

代表取締役 佐伯昌彦

[email protected]

〒101-0021

東京都千代田区外神田6丁目5-12

偕楽ビル(新末広)3F

TEL:03(5818)6961(代表)

FAX:03(5818)6966

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