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25 Hironori ABE 応用心理学部 臨床心理学科(Department of Clinical Psychology, Faculty of Applied Psychology) ロールシャッハ・テスト用データベースアプリケーションの作成 Development of a Database Application for the Rorschach Test 阿 部  宏 徳 Hironori ABE 要約 ロールシャッハ・テストのデータベースアプリケーションはこれまで高価であり,また直感的操 作を可能にするタッチパネルに対応したものは存在しなかった。本論では,スマートフォン・タブ レットのオペレーションシステムとして世界で最も用いられているAndroid上で動作する新しいアプ リケーションを作成,無料で公開したことを報告する。そのアプリケーションはRAPID νと名付け られ,コードチェックやExcelファイル形式によるサマリーの出力など多彩な機能を有している。 The existing database applications for the Rorschach test have been expensive and were not optimized for use with a touchscreen which enables us to operate the screen intuitively. In this article, it was announced that a new application for Android, which has the largest share of devices in the world, was developed and published free. This application is named “RAPID ν” and contains many functions, such as a coding check and an output of the summary files using the Excel format.

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*HironoriABE 応用心理学部 臨床心理学科(DepartmentofClinicalPsychology,FacultyofAppliedPsychology)

ロールシャッハ・テスト用データベースアプリケーションの作成

Development of a Database Application for the Rorschach Test

阿 部  宏 徳*

Hironori ABE

要約

 ロールシャッハ・テストのデータベースアプリケーションはこれまで高価であり,また直感的操

作を可能にするタッチパネルに対応したものは存在しなかった。本論では,スマートフォン・タブ

レットのオペレーションシステムとして世界で最も用いられているAndroid上で動作する新しいアプ

リケーションを作成,無料で公開したことを報告する。そのアプリケーションはRAPIDνと名付け

られ,コードチェックやExcelファイル形式によるサマリーの出力など多彩な機能を有している。

The existing database applications for the Rorschach test have been expensive and were not optimized for

use with a touchscreen which enables us to operate the screen intuitively. In this article, it was announced that a

new application for Android, which has the largest share of devices in the world, was developed and published

free. This application is named “RAPID ν” and contains many functions, such as a coding check and an output

of the summary files using the Excel format.

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東京成徳大学研究紀要 ―人文学部・応用心理学部― 第 21 号(2014)

接触れることで操作を行うタッチパネル方式が

一般的なものとして使われるようになってき

た。以前よりATM(現金自動預け払い機)な

どで採用され触れる機会は少なくなかったが,

ここ数年のスマートフォンの爆発的普及と共に

誰もが日常的に利用する操作方法と言えるまで

になってきた。2014年現在では,それほどコン

ピューターの扱いを得意としていない人々でも

携帯電話としてApple社のiPhoneなどを所持・

利用していることは至って普通のこととして誰

も驚きはしない段階に達している。

 臨床心理学分野において最も利用されている

アセスメント法の一つであるロールシャッハ・

テスト(以下,ロ・テスト)は抱える変数が膨

大であるためか,コンピューターの発展といく

らか歩調を合わせるようにデータベースや自動

解釈文を作成するためのコンピュータープログ

ラムあるいはアプリケーションが作成されてき

た(Table1)。なお,本論ではプログラムや

ソフトウェア,アプリケーションなどの用語は

特に区別はせず,アプリケーションで統一する

こととする。古いアプリケーションについては

その仕様や操作感などを知る資料が得られな

問題と目的

 近年,電子機器・コンピューターの使用方法

は誰もが用いやすい視覚的・直感的な方向へと

進もうとしている。以前のコンピューター操作

として一般的に用いられていたのは,文字をコ

ンソールに打ち込んでコンピューターに指示を

出すキャラクター・ユーザー・インタフェー

ス(CharacterUserInterface;CUI)あるいは

コマンドライン・インタフェース(Command

Line Interface; CLI)と呼ばれる方法であっ

た。この方法は現在でもサーバー管理などにお

いて頻繁に用いられる基本的なものである一方

で,コンピューターを得意としていない人々に

とっては難解さの象徴とも言える存在であっ

た。時代は進み,マウスなどのポインティング

デバイスを利用するグラフィカル・ユーザー・

インタフェース(GraphicalUser Interface;

GUI)が一般的になると共に多くの人にも理解

しやすい,覚えやすいものと捉えられるように

なり,現在ではコンピューターは文字通りパー

ソナルなものとなっている。

 最近では操作の直感化は更に進み,画面に直

IU法方者著開公

UNIVAC1 1963 Piotrowski Piotrowski CUI?

PAR 1973 Piotrowski Piotrowski CUI?

RIAP 1986 Exner Exner GUI

自動診断システム 1987 村上・村上 片口 GUI

ROR-SCAN 1988 Caracena Exner GUI

RODS 2004 高瀬・佐藤・

波田野・藤岡

片口 GUI

Sweet Code 2010 大関・中村 Exner GUI

RAPID 2010 阿部 Exner GUI with

touch

Note. 大貫(1993)を元に,それ以降のものを追加

Table 1 ロールシャッハ・テスト用のコンピューターシステム

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ロールシャッハ・テスト用データベースアプリケーションの作成

スコアを一つ一つ(タッチして)入れないとい

けない点やデータの保存を自動的にできない,

スマートフォンと同様に普及し始めているタブ

レットに対応していないなど使いやすさに関し

て課題も多かった。

 そこで本論では,内部の集計処理アルゴリズ

ムの多くは引き継ぎつつも,その操作方法や得

られる情報量,その有用性を大幅に改善すべく

新規にアプリケーションを作成・公開したので

それを報告する。

方法

 アプリケーションの作成はSonyのVGN-

Z92DS上にGoogle社が無料で配布している

AndroidDeveloperToolsをインストールして

開発を行った。旧RAPIDはAndroidのバージョ

ン1.6上などで動作するように作成されていた

が,ユーザーインターフェイスやタブレット

などに最適化するためのFragment機能など,

Androidはバージョン4.0からその仕様などが大

幅に変わっており,かつアプリケーション作

成開始時点で4.0未満の利用者は多くないこと

が確認できていたため,利用可能なAndroidの

バージョンを4.0以上と設定した。

 また,マイクロソフト社Excelのファイル形

式のサマリーを作成するために,ビーブレイク

システムズ社の「ExCellaReports」(http://

excella-core.sourceforge.jp/index.html)をラ

イブラリとしてアプリケーションに取り込ん

だ。

 作成はおおよそ1ヶ月であった。

結果と考察

 新しいアプリケーションはRAPIDνと名付

けられた(νはギリシア語アルファベットの第

13字母で「ニュー」と読まれる)。その外観の

一部はFigure1やFigure2の通りである。

かったため詳細は不明であるが,2010年以前に

はタッチパネル方式を操作方法の前提としたア

プリケーションは存在しなかったと思われる。

また,筆者の知る限りにおいてそのいずれも日

本円にして5万円は軽く超える高価なものばか

りであった。

 そんな中,阿部(2010)は2013年現在ではス

マートフォン・タブレットのオペレーションシ

ステム(以下,OS)として最も使われている

Android(OpenHandsetAlliance)上で動作

する,包括システムのコーディングシステムに

基づいたロ・テストのデータベース作成用集計

アプリケーションを作成した。

 このタッチ操作を利用したアプリケーション

はRAPIDと名付けられ,現GooglePlay(当時

はAndroidMarket)上において無料で公開さ

れた。これによってロ・テストのデータ集積も

これまで以上に直感的な操作で扱うことが可能

となった。また,これまでは高価な既存のアプ

リケーションを購入するか,自作でプログラム

を組んでデータベースを作成するしかなかった

が,これにより安価かつプログラムの専門知識

を必要とせずにロ・テストのデータベースを作

成することが可能となった。

 しかし,このRAPIDは公開時,これまでの

データベース入力ソフトウェアと同様に反応・

2013 年

第 3 四半期

2012 年

第 3 四半期

9.470.18diordnA

4.419.21SOi

Windows Phone 3.6 2.0

BlackBerry 1.7 4.1

5.46.0srehtO

Note. IDC(2013)による調査結果の一部を抜粋

Table 2 OSごとの出荷台数割合(単位:パーセント)

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東京成徳大学研究紀要 ―人文学部・応用心理学部― 第 21 号(2014)

コード入力および入力後の指標計算・算出に関

係する機能を以下に列挙すると,

◦端末種類によるUIの切り替え

スマートフォンとタブレットでは表示できる

領域に差があるため,それぞれ用に異なる

UIを採用した。スマートフォンでは反応一

覧画面とコード入力画面が分離され,先に反

応一覧画面が表示され,その後にコード入力

画面が表示される。端末の大きさにもよる

が,スマートフォンでは片手で操作できるこ

とが考慮されている。タブレットでは両画面

が同時に展開され,反応一覧を見ながら入力

し,入力の都度間違いがないか確認できる。

◦フリックによるコード入力

コードの多くはアルファベット順に3~8個ず

つまとめられ,それぞれを代表する文字を

タッチされた際に周りに広がるような形で展

開される。入力したいコードの位置に指など

が移動され,離された時に決定・コード化さ

れる。その際,現在選択されているコードは

ボタン群の上にポップアップとして表示さ

れ,コード入力の補助として有用である。ま

た,すでに入力されたコードをもう一度選

択・決定するとそのコードは入力が解除され

る仕組みになっている。

自由反応段階・質疑段階でのやり取り

を入力可能。

よくある反応を一括入力可能。

タッチすると選択肢が開くので,指を

必要な箇所にずらした後に離す。

入力された反応一覧。長押し

によって削除可能。簡易コー

ドチェックによって,明らか

な間違いがあると枠が黄色,

同種類のコードの重複してい

る場合はピンク色になる。

Figure 1 スマートフォン時のUser Interface

Figure 2 タブレット時のUser Interface

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ロールシャッハ・テスト用データベースアプリケーションの作成

Figure 3 コード入力用ボタンそれぞれをタッチした際に展開されるコード一覧

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東京成徳大学研究紀要 ―人文学部・応用心理学部― 第 21 号(2014)

入力ミスがある場合には反応一覧画面の枠が

黄色に変化し,ミスの存在に警告を発するよ

うに設計された。また,FrとrFなど,同種

のコードが同一反応に併存している場合(か

つ先述の明らかなミスがない場合)には同枠

がピンク色に変化する。

ただし,このチェックは明らかなもののみを

対象としており,すべてのミスをチェックで

きるわけでも,珍しい反応に対する注意喚起

を行うものでもないことに留意が必要であ

る。

◦ユーザー定義による反応の有無に関する入力

研究および実践のコード入力においては包括

システムで設定されているもの以外のコード

や分類を用いることが少なくないため,ユー

ザー自身が設定可能なボタン・分類を4種類

設置した。設定画面から入力するコード名が

設定可能である。

注意すべき点としては,コード名は決定する

度に上書きされるため,設定においてユー

ザー定義を変更した後に入力済みの反応に修

正を加えると元のコード名は消えてしまう

点,逆に言うと設定においてユーザー定義を

変更しても過去のものが一括して修正される

わけではない点が挙げられる。

◦Google音声認識と過去の記録を利用したや

り取りの入力

被検査者との自由反応段階および質疑段階

におけるやり取りをキーボードだけでなく

Googleの音声認識を利用しつつ入力可能と

なった。また,句読点などをボタンクリック

でも行えるようになった。加えて,すべての

テキストボックスはオートコンプリート式の

ものが採用されており,各カードにおいて過

去に入力したテキストが再利用できる。被検

査者とのやり取りを逐語録として記入するこ

とは大変労力(場合によっては苦痛)を伴う

なお,一部の反応群,具体的には色彩反応

(FC・CF・pure C),材質反応(FT・

TF・T)・鏡映反応(Fr・rF)などはそれ

ぞれ「Color」,「Ts」,「rs」などのボタ

ンにまとめられている。また中央やや下の

(GOTO)ボタンはカード間移動やカード内

(反応間)移動に用いられる。

これらにより,RAPIDやこれまでのアプリ

ケーションでは「⑴各カテゴリー用のボタン

等を探す,⑵該当のボタン等をタッチ(ク

リック),⑶一覧やダイアログをスクロール

等,⑷入力したいコードをタッチ」という4

工程が必要であったところが,「⑴特定の

ボタン等をタッチ,⑵指などを該当箇所に

移動,⑶離す」という3工程で入力が可能と

なった。

◦頻出反応の一括入力

各カードでしばしば産出される反応のコード

群を一括して入力することが可能となった。

一括入力後に修正することも可能なので,比

較的近いコード群を選択した後に一部を追

加・修正・削除することで望む反応に変更す

ることも可能であり,コード入力の意欲を削

ぎがちな「いつもの単純作業を何度も何度も

繰り返す」必要が無くなった。

◦GHRなど自動分類

コード入力で忘れがちなGHR(G o o d

HumanResponse)やPHR(PoorHuman

Response)の入力が自動に行われる。関連

するコードが入力される度に判別が行われる

ため,コード修正が行われても直後にGHR

やPHRも自動的に修正される。

◦簡易コードチェック

先述のGHR・PHR入力ミスだけでなく,Z

スコアの入力忘れなどのミスもまた人間の

注意機能のみに頼った場合に頻出するが,

RAPIDνでは簡易なものであるが明らかな

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ロールシャッハ・テスト用データベースアプリケーションの作成

ID: 1234 AGE: 36 GENDER: M GROUP: テスト 2013/12/4

edoCesahPyriuqnIesahPnoitaicossAeerFseRdraC1 1 Wo Fo A P 1.01 2 WSo Fo Ad 3.52 1 Wv CFo Xy2 2 W+ Mao 2 H 4.5 GHR

ID: 1234 AGE: 36 GENDER: M GROUP: テスト

snoitalletsnoCecnalaBlatnemirepxE5noC-S1L4R

EB 1 : 1.0 EA 2 EBper N/A PTI 0eb 0 : 0 es 0 D 0 DEPI 3

Adj es 0 Adj D 0 CDI 4FM 0 Sum C' 0 Sum V 0 HVI 2m 0 Sum T 0 Sum Y 0 OBS 0

Ideation Mediation AffectSum 6 0 1:0001%AXLvl 2 0 WDA% 100 0

WSum6 0 0.1:0001%+XM- 0 Xu% 00

Mnone 0 X-% 00a : p 1 : 0 M- 00

Ma:Mp 1 : 0 S- 0 1Intel 0 FQnone 00MOR 0 P 1

Interpersonal1noitpecreP-fleSgnissecorP

0 100

1 000

0:152.00 0 : 0

0:111 : 0 0

1H1aMsrotcaf+ o u - none Total Mp 0 (H) 0

paM4W 0 Hd 0aMF0D 0 (Hd) 0pMF0dD 0 Hx 0

S 0 1 0 0 0 1 FMap 0 A 1MQ 0 1 0 0 0 1 ma 0 (A) 0FQ 0 4 0 0 0 4 mp 0 Ad 1

map 0 (Ad) 0rFvQD+/vQDoQD+QD 0 An 0

FQ- 0 0 0 0 rF 0 Art 0Total 1 2 0 DF1 0 Ay 0

F 2 Bl 0Wv 1 DV1 0 INC1 0 FC 0 Bt 0Zf 3 DV2 0 INC2 0 CF 1 Cg 0

ZSum 9 DR1 0 FAB1 0 C 0 Cl 0Zd 3.0 DR2 0 FAB2 0 Cn 0 Ex 0

ALOG 0 CON 0 FC' 0 Fd 0UD1 0 AG 0 CP 0 C'F 0 Fi 0UD2 0 COP 0 PER 0 C' 0 Ge 0UD3 0 AB 0 MOR 0 FT 0 Hh 0UD4 0 PSV 0 TF 0 Ls 0

T 0 Na 0FV 0 Sc 0VF 0 Sx 0V 0 Xy 1FY 0 Id 0YF 0Y 0 P 1

PER

CSB

S

SumVFD

Isolate / R

COP : AGGHR : PHR

3r+(2)/R

Sum T

FC : CF+CPure C

Afr

Fr + rFPair

CP

4 : 1

SumC':WSumC

3

0

0 4

MOR

H : (H)+Hd+(Hd)

Blends

0

0

0 0

Ambi

All HZf

W : MPSV

An+XyDQ+

W : D : Dd

3.0

4 : 0 : 0

Pure H

ZdFood

p:avQD

2013/12/4

11

ZSum 9

0123

Ma

Mp

Map

FMa

FMp

FMap m

am

pm

ap Fr rF FD F FC CF C Cn FC'

C'F C' FT TF T FV VF V FY YF Y

0

1

2

3

4

5

S MQ FQ

+

o

u

-

none

Figure 4 Excelファイル形式の出力サマリー例

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東京成徳大学研究紀要 ―人文学部・応用心理学部― 第 21 号(2014)

り(テキスト情報)などをそれぞれ一つのま

とまりとしてタグ付けしたテキストファイル

として出力する機能を追加した。ただし,こ

の機能は実装したばかりで今後の検証やアッ

プデートが必要かもしれないことを付言して

おく。

◦各IDへの目印

各記録・IDに対して目印が付けられるよう

になった。各IDの情報設定画面に存在する

星の形をしたアイコンをタッチすることで,

そのIDの背景色が水色に変わるように設定

されている。黒地に水色という高コントラス

トの存在によって,後で入力し直す必要があ

る記録や重要な記録などをチェックしてお

き,後で見つけることが容易となっている。

などがあげられる。

 以上のような機能を持つRAPIDνはGoogle

Play(https://play.google.com/store/apps/

details?id=com.qreap.rapidnu)において無料

公開されている。

 以上のように多くの機能を有したRAPIDν

ではあるが,その機能の多さ故,あるいはロ・

テスト用のアプリケーションとして初めてフ

リック入力が採用されたこと,そのボタン配置

にいくらかの癖があることなどから,その操作

には慣れが必要であるなどの課題も存在する。

また,旧RAPIDとの間にデータベースの互換

性はないことには留意が必要である。

付記

 本アプリケーションおよび論文は科学研究費補助金若手研究(B)21730570の一部として作成され,公開された。

引用文献

阿部宏徳(2010) . And r o i d 上で動作するRorschach集計・データベースアプリケーショ

作業であるが,ICレコーダーによる録音と

優れたGoogle音声認識を利用することでそ

の労力と所用時間を大幅に軽減できる可能性

がある。

◦年齢による基準値も自動変更

包括システムでは被検査者の年齢によって基

準値が変わる指標が存在するが,(ID作成

時の)年齢設定がなされていた場合にはその

年齢に基づき自動的に基準値が変更される。

なお,年齢が入力されていない場合は成人の

基準が適用される。

などが挙げられる。

 その他のシステムやサマリー作成に関連する

機能としては,

◦起動時パスワードロック

◦端末のスリープ防止

◦反応一覧およびサマリーのExcelファイル出力

被検査者の各種指標はコードが保存される度

に自動的に算出・保存され,被検査者一覧の

画面において出力したいIDを長押しし,そ

の中の出力関連選択肢を選ぶとExcelファイ

ル形式のサマリー図表を作成することが可能

となった。

◦KH Coder用ファイルの出力(実験段階)

樋口(2004)が作成・公開しているKH

Coderは,新聞記事・質問紙調査における自

由回答項目・インタビュー記録など様々なテ

キスト型データを計量的に分析する,内容分

析(計量テキスト分析)やテキストマイニン

グを実施するためのフリーソフトウェアであ

り,近年非常に多くの研究に利用されてい

る。ロ・テストもまたテキスト型データを多

く産出する研究対象であり,今後その利用が

見込まれる。

そこでRAPIDνでは各種のコードややり取

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ロールシャッハ・テスト用データベースアプリケーションの作成

ンの作成.日本ロールシャッハ学会第14回大会発表論文集,45.

樋口耕一(2004).テキスト型データの計量的分析―2つのアプローチの峻別と統合―.理論と方法,19(1),101-115.

InternationalDataCorporation(2013). IDCWorldwideMobilePhoneTracker,November12,2013.

カンタージャパン(2013).カンター・ワールドパネル・コムテック調査(2013年6月から8月)<http://kantar.jp/whatsnew/2013/10/kantarjapan_pr_1002.html>(2013年12月1日)

大貫敬一(1993).コンピューターによるロールシャッハ・テスト解釈-その現状と将来の方向性.共立女子大学文芸学部紀要,39,91-120.