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Fluid Data ストレージ柔軟なデータセンターの構築 IT 管理者必携の 8 つのテクノロジー デル テクニカルホワイトペーパー Dell Compellent

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Page 1: Fluid Data ストレージ 柔軟なデータセンターの構築 · 2020-03-15 · Fluid Data ストレージ: 柔軟なデータセンターの構築 ii ページ 本書は、情報提供のみを目的に執筆されており、誤字脱字や技術上の誤りには責任を負いません。

Fluid Data ストレージ:

柔軟なデータセンターの構築 IT管理者必携の 8つのテクノロジー

デル テクニカルホワイトペーパー

Dell Compellent

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Fluid Data ストレージ: 柔軟なデータセンターの構築

ii ページ

本書は、情報提供のみを目的に執筆されており、誤字脱字や技術上の誤りには責任を負いません。 本書の内容は執筆時現在のものであり、明示的または暗黙的を問わず、いかなる内容も保証いたしません。

© 2011 Dell Inc. ©2011 デル株式会社 All rights reserved.(版権所有) デルから書面による許可を得ずに本書を複製、転載することは、いかなる場合も禁止します。 詳細は、デルにお問い合わせください。

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2011 年 2 月

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Fluid Data ストレージ: 柔軟なデータセンターの構築

1 ページ

目次

要旨 ...................................................................................................................................................................................................................................... 2

1. Fluid Data アーキテクチャ: 企業データを然るべき場所に「流す」革新技術 ............................................................. 3

2. ストレージの仮想化: 全サーバから利用できる柔軟なストレージプール .................................................................... 4

3. シン・プロビジョニング: ディスク容量の消費を徹底的に効率化 ..................................................................................... 5

4. 自動階層化ストレージ: データの動的な分類・移行 .................................................................................................................... 6

5. スナップショット:データ保護と高速リカバリ ................................................................................................................................ 7

6. シン・レプリケーション: 同一構成を必要としない、複数拠点間のデータ保護 ...................................................... 8

7. ユニファイドユーザインタフェース: シンプルなストレージリソース管理 ................................................................ 9

8. オープンなハードウェアプラットフォーム: 臨機応変なオンデマンド拡張のサポート ...................................... 9

まとめ ............................................................................................................................................................................................................................. 10

図 図 1. Fluid Data アーキテクチャ: ビルトインインテリジェンスによりデータを「流動」させ、 最小

レベルで管理 ........................................................................................................................................................................................... 3 図 2. ストレージの仮想化: ディスクレベルの仮想化により、いつでも、どのサーバからでも共有で

きる 柔軟なリソースプールを形成 .......................................................................................................................................... 4 図 3. 実際の使用と割り当て量を切り離すシン・プロビジョニング: 容量が消費されるのは、データ

が実際にディスクに書き込まれたときのみ ....................................................................................................................... 5 図 4. 自動階層化ストレージ: アクセス頻度に応じてデータを動的に分類し、最適な階層に移行 ........... 6 図 5. 省スペース型スナップショット: 変更されたデータの増分のみキャプチャするリアルタイムな

保護対策は、どの時点にも瞬時にリカバリ可能 ............................................................................................................ 7 図 6. シン・レプリケーション: 標準の IP 接続とスペース効率の良いスナップショットを活用し、

ローカルとリモート拠点間のデータを保護 ....................................................................................................................... 8 図 7. 使いやすいユーザ インタフェース: ポイント&クリック操作でストレージリソースを容易に一

元管理 .......................................................................................................................................................................................................... 9 図 8. 単一のモジュラー型ハードウェアプラットフォーム: テクノロジー非依存でエントリーレベル

からエンタープライズ規模まで対応.................................................................................................................................... 10

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Fluid Data ストレージ: 柔軟なデータセンターの構築

2 ページ

要旨

ダイナミックに変化する今日のビジネス環境では、拡張性に乏しく複雑で非効率的なストレージシステムの入り込む余地はありません。データへの需要は爆発的に増え続けており、データにすぐにアクセスできる能力がこれまで以上に重視されています。しかし、ほとんどのエンタープライズストレージソリューションは、対応が十分とは言えません。データセンターリソースは活用し切れておらず、ITスタッフの業務時間は無駄に費やされ、不必要なダウンタイムのリスクまで増やしてしまいます。

これらのすべてが、会社の収支に直接悪影響を及ぼします。IT 部門は、必要以上のハードウェアを購入、設置、通電、冷却することを強要され、システム管理者は、多くの時間と労力を複雑なストレージシステムの管理に割かなければなりません。バックアップ&リカバリは低速なうえ信頼性に欠けるため、生産性が落ち、ビジネストランザクションの停滞を招きます。これでは、エンタープライズデータセンターの管理コストが、瞬く間に膨れ上がってしまいます。

さらに悪いことに、固有仕様のストレージプラットフォーム内に囚われてしまった組織は、簡単に拡張やアップグレードすることもできません。柔軟性と拡張性に欠けるストレージはすぐに陳腐化し、高額なフォークリフト(全取り換え)アップグレードを余儀なくされます。結局、システム管理者は、主要事業のニーズを満たすために、融通の利かないストレージシステムを使い続けなければならず、必然的にシステムの点検を繰り返す羽目になります。

しかし、Dell® Compellent® 製品なら、企業データの活用期間(ライフサイクル)全般を通して、アクティブかつインテリジェントに管理でき、刻々と変わる市況にすぐ順応できます。Fluid Data™ アーキテクチャ、ストレージの仮想化、インテリジェントなソフトウェア、モジュラー型ハードウェアを結集すれば、エンタープライズストレージにかつてないレベルの効率性、シンプル化、セキュリティがもたらされ、データセンターリソースから持ち得る能力が最大限に引き出されます。データを必要なときに、必要な場所ですぐに使えるようにする、ビルトインのインテリジェンス&オートメーションも強みの 1つです。また、オープンで一貫したハードウェアプラットフォームは、業務ニーズに合わせて柔軟に拡張でき、お客様の投資を長期間にわたり守ります。

本書は、Dell Compellent が提供する、8つの必携テクノロジーをご紹介します。これらを組み合わせれば、効率性と柔軟性が格段に向上し、現在のみならず将来までコストを削減し続けることができます。

1. Fluid Data アーキテクチャ: ビルトインのシステムインテリジェンスにより、Fluid(液体、流動の意)の名のとおり、企業データを動的に流し(移行し)、最小レベルのきめ細かさでストレージを管理します。

2. ストレージの仮想化: ストレージをディスクレベルで仮想化し、全サーバから常に共有できる柔軟なストレージリソースプールを作成します。

3. シン・プロビジョニング: 「割り当て」と「使用」を完全に切り離すことで、いつでも、どんなサイズのボリュームでも作成できるようになりました。容量は、データが実際に書き込まれたときのみ消費されます。

4. 自動階層化ストレージ: 実際の使用頻度に従って、データを適切な階層(ティア)に動的に移動します。これにより、高性能ドライブを重要な基幹系アプリケーション用に空けることができます。

5. 省スペース型スナップショット: この連続スナップショット機能は、データが変更されたときのみキャプチャするので、リアルタイムな保護対策となり、どんな時点にも瞬時にリカバリできます。

6. シン・レプリケーション: 省スペース型スナップショット機能と標準の IP接続を使って、データをローカルとリモート拠点間で複製します。高速なデータ回線も必要なければ、双方で同一の構成である必要もありません。

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Fluid Data ストレージ: 柔軟なデータセンターの構築

3 ページ

7. ユニファイドストレージリソース管理: ポイント&クリックで簡単に操作できる単一インタフェースから、すべてのストレージリソースを管理でき、ストレージ環境全体が一元的に見渡せます。

8. オープンで機動的なハードウェアプラットフォーム: テクノロジーに依存しない単一でモジュラー型のハードウェアプラットフォームとして設計されているため、陳腐化せず長く使用できるストレージとなっています。

1. Fluid Data アーキテクチャ: 企業データを然るべき場所に「流す」革新技術

ほとんどのストレージシステムが抱える根本的な問題とは、データをボリューム単位で丸ごと管理している点です。これでは最初から、システムの柔軟性と性能が制限されてしまいます。ストレージを効率化し、データセンターコストを削減するには、ボリューム内のデータをより細かな単位で管理しなければなりません。

Dell Compellent ストレージは、動的な Fluid Data アーキテクチャにより、データをブロック単位でアクティブかつインテリジェントに管理できます。各ブロックに関する固有情報も、終日、その都度キャプチャされていくため、リアルタイムな情報が得られ、データの動的な格納、移行、復旧を可能にします。これらの利用特性データは、最小限のシステムオーバーヘッドで収集でき、しかも、かなり子細にわたることがあります。 例えば、保存されたデータの種類、使用したディスクドライブ、RAIDレベル、書き込まれた時刻、アクセス頻度などです。

図 1. Fluid Data アーキテクチャ: ビルトインインテリジェンスによりデータを「流動」させ、

最小レベルで管理

強化されたインテリジェンスな機能により、データのライフサイクル全般を通して、ビルトインのストレージ自動化機能はプロビジョニング、配置、保護を最適化します。これにより、ビジネスアプリケーションを素早く実装し、意思決定に必要な情報をいつでも利用でき、新しいテクノロジーを素早く実装し、データを継続的に保護できるようになります。

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Fluid Data ストレージ: 柔軟なデータセンターの構築

4 ページ

2. ストレージの仮想化: 全サーバから利用できる柔軟なストレージプール

ブロック単位でデータを管理できる Dell Compellent だからこそ、ディスク単位でストレージを仮想化することも可能です。ストレージの仮想化は、リソースを統合してディスク費用を削減するだけでなく、システムの柔軟性も飛躍的に向上します。もはや、特定のドライブを特定のサーバに割り当てる必要はありません。それは、先進のストレージ仮想化エンジンが、システム内の全ドライブ間にわたって共有ストレージプールを作成するからです。ストレージはサーバに容量を見せるだけで、ディスクの種類、RAIDレベル、サーバとの接続方法を意識させません。つまり、すべてのストレージリソースが、すべてのサーバからいつでも利用できるようになります。

図 2. ストレージの仮想化: ディスクレベルの仮想化により、いつでも、どのサーバからでも共有できる

柔軟なリソースプールを形成

Dell Compellent なら、ほんの数秒で仮想化ストレージボリュームをプロビジョニングし、サーバにマッピングできます。アプリケーションにより多くのストレージが必要になると、システムは、自動的にボリュームの拡張さえ行います。これにより、システム管理者は、キャパシティプランニングに時間を費やすことも、拡張時にシステムをオフラインにする必要もありません。ストレージをオンデマンドで変更、移行、動的に拡張できるこの能力は、ディスクへの出費を最小限に抑え、スタッフの業務時間を節約し、継続的な可用性を維持します。

読み/書き処理はすべてのドライブ間に分散されるので、複数の I/O 要求を並列処理することが可能です。これで、従来のストレージシステムに発生しがちな「過負荷スポット」を回避し、同時に、データアクセスの高速化と、アプリケーションおよび OS の性能向上を図ります。プールに容量が追加されると、そのとき利用可能な全ドライブにわたってデータが自動的にストライピングし直されるため、負荷分散や性能チューニングを手動で行う必要はありません。

ストレージの仮想化は、サーバの仮想化のメリットも増幅します。実際、ユーザは、どんな仮想サーバ プラットフォームにも対応できる、数百もの仮想ボリュームを素早く作成することができ、時間、費用、ディスクスペースを無駄にせず、仮想アプリケーションを最適な場所に配置することができます。

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Fluid Data ストレージ: 柔軟なデータセンターの構築

5 ページ

3. シン・プロビジョニング: ディスク容量の消費を徹底的に効率化

Dell Compellent は、現在のみならず今後もずっと、購入・管理するディスクドライブ数を節約することができるので、ストレージコストが劇的に減少します。他のストレージシステムでは、ボリュームを作成するときに、物理ディスク容量もあらかじめ割り当てなければなりません。したがって、システム管理者は、使用するアプリケーションに応じて、どれくらいの容量が必要になるか見積り、さらに将来の増加を見越した「予備」スペースも含めて割り当てる必要があります。しかも、500 GB のボリュームを作成したら、その 500 GB すべてが、当該アプリケーション用に確保されてしまいます。この事前に割り当てたディスクスペースは、他のアプリケーションから利用できないので、実際の使用容量が事前の容量見積もりと一致しない場合でも、後から用途を変更することができません。多くの場合、事前に割り当てた容量の一部しか実際に使用されていないため、結局、「買ったはいいが、余ってしまった」残留ストレージが積み上がっていくことになります。

このようにディスクを非効率的に使っていると、設備投資額も運用費もかさんでいき、最終的には、総所有コスト (TCO) も増大してしまいます。GB 単価がいずれ確実に下がっていくのに、システム管理者は、必要以上の容量を先に買わざるを得ません。時の経過と共に容量を消費(または残留)していくと、結局また容量を増やすためにディスクを追加購入するので、データセンターの設置面積はどんどん拡張していきます。しかも、これらのストレージをすべて手作業でプロビジョニングしなければなりませんし、この時間のかかるプロセスは、往々にしてダウンタイムを伴います。結局、実際に格納されているデータ量にかかわらず、すべてのディスクに対して電力を供給し、冷却し続けなければなりません。

一方、Dell Compellent のシン・プロビジョニングソフトウェア、Dynamic Capacity™ (ダイナミック キャパシティ)は、使用と割り当てを完全に切り離すことができるため、事前に容量を割り当てたが、使用されなかったということはありません。システム管理者は、どんなサイズの仮想ボリュームでも事前にプロビジョニングできますが、物理容量が消費されるのは、データが実際にディスクに書き込まれたときのみです。つまり、現時点で購入しなければならない容量は、現在のデータを格納する分だけです。将来、業務ニーズが変わったら、その都度、必要な量を買い足せば良いので、ずっと経費を節約し続けられます。これにより多くの組織で、事前割り当て方式により無駄になっていたディスクスペースの 40~60 %を取り戻すことができます。さらに、Thin Import(シン・インポート)機能を使えば、従来のシステムでプロビジョニングしたボリュームの容量でさえ、有効活用できます。

図 3. 実際の使用と割り当て量を切り離すシン・プロビジョニング: 容量が消費されるのは、データが実際に

ディスクに書き込まれたときのみ

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Fluid Data ストレージ: 柔軟なデータセンターの構築

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4. 自動階層化ストレージ: データの動的な分類・移行

Dell Compellent は、企業データのライフサイクル全般を通してコストを抑え続けるために、革新的なデータ移動エンジンを採用しており、これには、高度な仮想化とインテリジェントなティアリング(階層化)技術が統合されています。これまで情報ライフサイクル管理 (ILM) は手動で行われてきましたが、面倒なうえ、際限なく続く作業となります。データの分類作業には終わりがありませんし、一度分類したデータでも、組織内の勢力分布の変化など、組織にとっての「重要度」が変われば、分類し直さなければなりません。

図 4. 自動階層化ストレージ: アクセス頻度に応じてデータを動的に分類し、最適な階層に移行

組織の力関係はさておき、高性能ドライブと低価格・大容量ドライブとの間で、データを手動で移動するのは複雑で時間もかかります。アドオンの移行エンジンは助けになりますが、全体的なソフトウェア費用が増えてしまいますし、スタッフの貴重な業務時間をシステム統合に費やさなければなりません。たとえ、データによってアクセス頻度がまったく異なっていたとしても、各ボリュームを丸ごと移動する必要があるため、システム管理者は、データの配置先を細かく調整し続けなければなりません。代替案として、すべての企業データを、高性能ドライブ上に保存し続ける、という手段もありますが、ディスク費用が膨大になるばかりか、エネルギーの無駄遣いになりますし、データセンターの限られたスペースを無駄に占有してしまいます。

一方、Dell Compellent は、データをブロック単位でアクティブかつインテリジェントに管理するので、データを別階層に手動で移動していた時代はもはや過去のものとなります。Dell Compellent の場合、「Data Progression(データプログレッション)」と呼ばれる独自の自動階層化ストレージソフトウェアが、実際の利用率に応じてデータを動的に分類し、最適な階層に移行します。データの「重要度」は実際の利用率が基準となるので、データ配置もビジネスニーズの変化に合わせて体系的に調整されます。

データはまず、「ティア 1」(第 1 階層)ストレージである高性能なソリッド ステート (SDD) かファイバチャネル (FC) ドライブに書き込まれます。次に、アクセス頻度が落ちてくると、活動量の少なくなったデータブロックを「ティア 2」(第 2階層)ストレージである FC か SAS ドライブに移行します。その後、まったくアクセスされなくなったデータは、「ティア 3」(第 3階層)である大容量 SAS または SATA ドライブへ移行されます。さらに、スナップショットも自動的に低価格で省エネなドライブへと「流れて」いくので、高性能ドライブの貴重なスペースが基幹系アプリケーションのために解放されます。さらに画期的なのは、最も活動量の多いデータが、性能向上を図るために、各ドライブの外縁トラックに動的に配置されることです。一般に、企業データの大半はアクセスされていないため、平均的な組織では、この自動階層化ストレージを使うことで、ディスクへの出費を 80 % も削減することができます。

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Fluid Data ストレージ: 柔軟なデータセンターの構築

7 ページ

Dell Compellent ストレージが優れているのは、どの階層にある企業データでも、いつでもすぐに利用できることです。たとえ、一度アクセスが途切れたデータでも、再び恒常的に使われるようになれば、上位層へと昇格します。システム管理者は、組織固有のニーズに合わせて階層化アルゴリズムをカスタマイズすることも、現在の業界ベストプラクティスに合わせて調整されたデフォルト設定をそのまま使い続けることもできます。

5. スナップショット:データ保護と高速リカバリ

企業データをサーバ障害、ウィルス、停電、人為的ミス、その他の不可抗力から守ることは、継続的にビジネスを成功に導くことにとって必要不可欠です。今日の厳しい市況では、「失った」または誤って削除されたデータを迅速かつ正確に復旧できないと、競争力を保つことはできません。

しかし、従来のバックアップテクノロジーは低速なうえ、信頼性に欠け、ストレージスペースを過剰に消費します。スナップショットを連続して作成すれば、データをより確実に保護できますが、ほとんどのスナップショット機能は、依然としてイメージの完全ミラーリングと、それに続くボリューム全体のクローンが必要です。RAID も保護対策の 1つですが、そのオーバーヘッドは事態の改善になりません。ディスクリソースにこのような重い負荷をかけると、システム性能の妨げになりますし、フルボリュームクローンからの復旧は時間がかかり過ぎます。ほとんどのシステムは、効率的にディスクスペースをプロビジョニングすることができないため、スナップショット数を制限するケースも多く、通常、ボリュームあたり 10 個ほどです。スナップショット数が少なくなると、その分、リカバリポイントの間隔が広がってしまい、基幹系アプリケーションのダウンタイムが長引く恐れがあります。

一方、Dell Compellent の Data Instant Replay™(データインスタントリプレイ)ソフトウェアは、完全なミラーイメージも、それに続くフルボリュームクローンも必要ないので、省スペース型のスナップショットとなります。実際にキャプチャされるのは前回のスナップショット(リプレイ)から変更のあったデータのみのため、必要なディスク容量が劇的に減ります。複数の仮想ボリューム間にわたって配置されるエンタープライズアプリケーションデータの整合性は、「Consistency Group」(一貫性グループ)を使うことで守られます。そのうえ、Dell Compellent ストレージでは、取得できるリプレイ数に制限がありません。つまり、短い間隔でデータの変更をキャプチャし続けられるため、使用する容量を最小限に抑えた、最大限の保護対策となります。

図 5. 省スペース型スナップショット: 変更されたデータの増分のみキャプチャするリアルタイムな

保護対策は、どの時点にも瞬時にリカバリ可能

リプレイは、スペース効率が非常に良いため、リカバリにわずか 10 秒ほどしかかかりません。しかも、ボリュームは、どのサーバにも中断なしでマッピングできます。作業手順も非常にシンプルで、リプレイのスケジュールも、ポイント&クリック操作のわかりやすいインタフェースから設定できます。リプレイをうまく活用すれば、新しいアプリケーションやサービスパックを実データ上でリスクなしにテストできますし、SAN からの起動も効率良くサポートできます。もうこれからは、業務システムのバックアップ時間を特別に確保する必要はありません。

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Fluid Data ストレージ: 柔軟なデータセンターの構築

8 ページ

6. シン・レプリケーション: 同一構成を必要としない、複数拠点間のデータ保護

従来のオフサイトバックアップ方式は、複雑で高額なため、リモートレプリケーションは多くの組織にとっていまだに低いプライオリティであり続けています。その理由は、拠点間でデータを複製するのに、双方でまったく同じ構成を構築する必要があり、しかも、高額なハイスピードデータ回線でリンクする必要もあるからです。これだけの投資をしたとしても、依然として低速で信頼性に劣るレプリケーションもあります。特に、フルボリューム クローンを転送しなければならないときは、なおさらです。

Dell Compellent の Thin Replication™(シン・レプリケーション)テクノロジーと Remote Instant Replay(リモートインスタントリプレイ)は、省スペース型リプレイを応用した、シンプルかつ経済的で検証可能なマルチサイト対応のデータ保護機能です。最初に拠点間の同期を取ったら、以降は、データの変更部分(増分データ)だけが複製されます。これにより、ハードウェア費用も必要なバンド幅も低減でき、しかも、リカバリ時間が大幅に短縮されます。Dell Compellent ストレージは、システム性能に支障を与えず、無制限のリプレイ数を維持することができますし、リプレイはどのサーバにも簡単にマッピングできるので、どの時点へもほとんど瞬時に復旧できます。

Dell Compellent ストレージは、変更されたデータブロックのみをインテリジェントに転送し、バンド幅の使用を最小限に抑えるため、高速回線は必ずしも必要ありません。また、ビルトインのバンド幅シミュレーションとシェーピング機能が、プロセスをさらに合理化します。転送速度は、リンクスピード、時刻、レプリケーション優先度に応じてカスタマイズ可能です。

シン・レプリケーションのもう 1つの強みは、各拠点で同一のシステム構成を構築する必要がないことです。つまり、リモート拠点では、低価格な SAS や SATA ドライブが選択可能となります。さらに効率性を最大化するために、Dell Compellent ストレージには、ファイバ チャネルから iSCSI に変換するコンバータが組み込まれていることです。これを利用して、既存の IPネットワーク経由でデータを複製できます。また、初回のレプリケーション同期を高速化するために、「ポータブルボリューム」を利用できます。これは、Dell Compellent ストレージ向けに事前構成された、エンタープライズクラスの安全な外部ハードドライブです。

図 6. シン・レプリケーション: 標準の IP 接続とスペース効率の良いスナップショットを活用し、

ローカルとリモート拠点間のデータを保護

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9 ページ

7. ユニファイドユーザインタフェース: シンプルなストレージリソース管理

従来のストレージシステムの管理は、複雑で時間のかかる業務でした。実際、ITスタッフの人件費が、ストレージプラットフォームそのもののコストを超えることも珍しくありません。システム管理者は、変わり続ける容量ニーズを監視し、階層から階層へとデータを手動で移行し、バックアップ手順を構成し、その他にも様々な責務を負っています。しかも、ほとんどの場合、これらの業務は、複数の独立したユーザインタフェースを使用する必要があります。

図 7. 使いやすいユーザ インタフェース: ポイント&クリック操作でストレージリソースを容易に一元管理

しかし、Dell Compellent ストレージは、システム管理者が、より多くのデータをより短時間で管理できるように設計されています。その主な理由は、本ストレージに、効率的でインテリジェントな自動化機能が組み込まれているからです。また、ストレージ環境全体が一元的に見渡せる、ポイント&クリック操作のわかりやすいインタフェースも理由の 1つです。

Dell Compellent なら、特殊なスキルセットも、継続的なシステムトレーニングも必要ありません。ウィザードがシステムセットアップやアプリケーション構成をガイドしてくれるため、高度な処理でさえ、シンプルに進められます。通常、長時間かかる共通の反復作業は完全に自動化されているので、ユーザは他のもっと重要なプロジェクトに専念できます。ストレージの消費および利用傾向は自動的にモニタリングおよび表示されるため、手動でのキャパシティプランニングは必要ありません。独自のPhoneHome機能は、リアルタイムなアラートと通知を自動発信するもので、リモートでの診断やモニタリングに使用されます。Dell Compellent ストレージは、ほんの数クリックで、エグゼクティブサマリ、コスト削減額の計算、使用量に応じた課金レポートまで生成することができます。

8. オープンなハードウェアプラットフォーム: 臨機応変なオンデマンド拡張のサポート

ビジネスニーズが変わるたびにハードウェアを廃棄交換しなければならないシステムとは違い、Dell Compellent は、単一のモジュラー型プラットフォーム上で最新テクノロジーを採用し続けられます。ドライブの種類からサーバのインターコネクトまでのすべておいて、作為的な制限がまかり通ってきた現状から、Dell Compellent は決別します。もっと分かりやすく言えば、ほとんどのストレージシステムは、早々に陳腐化するよう設計されているので、組織に高額なフォークリフト式アップグレードを強要しています。

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Fluid Data ストレージ: 柔軟なデータセンターの構築

10 ページ

Dell Compellent ストレージは、長期間にわたり使用できるように設計されています。システム管理者は、同じプラットフォーム上で、エントリー レベルからエンタープライズ規模まで、ビジネスニーズに合わせて徐々に拡張できます(2 TB から 1,000 TB まで同一システム内で対応可能)。サーバインタフェースは FC と iSCSI を組み合わせることができ、さらに、SSD、FC、SAS、SATA ドライブも同一システム内で自在に組み合わせることができます。たとえ、容量や回転速度の異なる SAS ドライブであっても、同じエンクロージャ内で利用でき、登場したばかりの新しいテクノロジーも利用可能になり次第、すぐに採用できます。また、アップグレード、ポート変更、その他の構成上の変更もシステムを中断することなくオンデマンドで実行できます。

図 8. 単一のモジュラー型ハードウェアプラットフォーム:

テクノロジー非依存でエントリーレベルからエンタープライズ規模まで対応

Dell Compellent ストレージは、完全な冗長ハードウェアと先進のフェールオーバー機能も提供可能です。クラスタ化されたコントローラは、それぞれに冗長ファンと電源装置が搭載され、互いに連携して最適なシステム性能を発揮します。それにもかかわらず、各コントローラはエンクロージャとドライブにそれぞれ独立して接続されているため、単一障害点にはなりません。仮想化されたコントローラポートと、サーバからディスクドライブへのデュアルパスも可用性の向上に貢献し、また、マルチパス I/O のフェールオーバー機能も既に組み込まれているため、カスタムソフトウェアは不要です。

Dell Compellent なら、現在使用している ITインフラストラクチャをサポートするテクノロジーを自由に選択できるうえ、将来、変更の必要性が生じても、中断なしですぐに対応できます。さらに、新技術を取り入れるため、コントローラをアップグレードするとき、ベースのソフトウェアライセンスを買い直す必要はありません。

まとめ

Dell Compellent を採用した組織は、融通の利かない制約や、従来のストレージシステムで繰り返し発生していた無駄な出費からも、逃れることができます。データをきめ細かくアクティブに管理できる Dell Compellent は、絶え間ない変化に即応できる、動的な仮想化ストレージです。これにより、コストを削減することによって、現在のみならず将来までにわたり、ストレージリソースを最適化することができます。ビルトインのインテリジェンスと自動化により、データ管理やスタッフの業務時間の節約と、人為的ミスの最小化を簡素化し、合理化することができます。先進の省スペーススナップショット技術は、ストレージリソースを節約しながらダウンタイムを回避し、連続した可用性を実現します。オープンで機動的なハードウェアプラットフォームは、テクノロジー非依存を貫き、中断なしの拡張をサポートすることで、ストレージへの投資を末永く守ります。このように、データセンターで Fluid Data テクノロジーを活用することにより、企業データのライフサイクル全般にわたり、管理コストを大幅に削減し続けることができます。