錬金術と不老不死 - mri.co.jp4.iotでユーザーニーズを ......

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MRIマンスリーレビュー 2016 9月号 巻頭言 政策・経済研究センター長 亀井 信一 錬金術と不老不死 巻頭言 錬金術と不老不死 特集 1 ヘルスケアの新時代を拓く トピックス 5 1.大学の新たな価値提供と 産学連携の新段階 2.医療の未来をつくる 新しい番号制度 3.原子力災害と復興を学ぶために 民間発で白書を作ろう 4.IoTでユーザーニーズを 引き出すものづくり 5.アジア新興国の家計債務が 投資リスクを拡大 6.事業性評価力の高め方 知財データの活用 米国大統領選挙に向けた共和党の全国大会が、7月にオハイオ州クリーブ ランドのクイッケン・ローンズ・アリーナで開催された。このアリーナから数百 メートル離れたところに不老不死の噴水(Fountain of Eternal Life)があ る。男が死から復活し神と平和へと向かうさまを示しているといわれる。 古来より人類の見果てぬ夢として、「錬金術」と「不老不死」が挙げられる。 錬金術は一般には安価な金属から高価な金を作り出すことであり、不老不死 は読んで字のごとく永遠に若さを保ち死なないことである。昔から、これら の不可能を追求することの愚かさを多くの賢人たちが戒めてきた。 しかしながら、錬金術に関していえば、現代では核分裂や核融合の技術を 手にしたことにより、理論的には原子番号79の金をほかの元素から作る ことは可能である。例えば、原子番号80の水銀に中性子線を照射し核反応 を起こすことで金を得ることはできる。もっとも、コストや時間の面から見る と経済的にはまったく合わないのだが。 もう一方の不老不死は、長らく神話や伝承の世界のことと考えられてきた。 人間のような多細胞生物には、基本的な性質として老化や寿命がある。一つ ひとつの個体は死を迎えるが、人類は子孫を残すことで生命をつなぐという 戦略を取ってきた。 ところが、こちらの方も科学が新たな世界を拓きつつある。遺伝子解析 技術の進歩により、老化のメカニズムが分かってきたのである。老化遺伝子 の発見は、どうすれば老化を止めることができるのかという問いに直接的な 解を与えつつある。老化の回避が夢物語でなくなる日が来るかもしれない。 人類の飽くなき探究心は、従来あり得ないと考えられていた事象を次々と 可能に変えつつある。そこにタブーはない。しかし、不老不死が実現したとき に人類はこれを幸せと感じるかどうか、この質問に答えることは難しい。

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MRIマンスリーレビュー

2016

9月号

巻頭言 政策・経済研究センター長 亀 井 信 一

錬金術と不 老不 死

巻頭言

錬金術と不老不死

特集 1

ヘルスケアの新時代を拓く

トピックス 5

1. 大学の新たな価値提供と 産学連携の新段階

2. 医療の未来をつくる 新しい番号制度

3. 原子力災害と復興を学ぶために 民間発で白書を作ろう

4. IoTでユーザーニーズを 引き出すものづくり

5. アジア新興国の家計債務が 投資リスクを拡大

6. 事業性評価力の高め方 ─知財データの活用

 米国大統領選挙に向けた共和党の全国大会が、7月にオハイオ州クリーブ

ランドのクイッケン・ローンズ・アリーナで開催された。このアリーナから数百

メートル離れたところに不老不死の噴水(Fountain of Eternal Life)があ

る。男が死から復活し神と平和へと向かうさまを示しているといわれる。

 古来より人類の見果てぬ夢として、「錬金術」と「不老不死」が挙げられる。

錬金術は一般には安価な金属から高価な金を作り出すことであり、不老不死

は読んで字のごとく永遠に若さを保ち死なないことである。昔から、これら

の不可能を追求することの愚かさを多くの賢人たちが戒めてきた。

 しかしながら、錬金術に関していえば、現代では核分裂や核融合の技術を

手にしたことにより、理論的には原子番号79の金をほかの元素から作る

ことは可能である。例えば、原子番号80の水銀に中性子線を照射し核反応

を起こすことで金を得ることはできる。もっとも、コストや時間の面から見る

と経済的にはまったく合わないのだが。

 もう一方の不老不死は、長らく神話や伝承の世界のことと考えられてきた。

人間のような多細胞生物には、基本的な性質として老化や寿命がある。一つ

ひとつの個体は死を迎えるが、人類は子孫を残すことで生命をつなぐという

戦略を取ってきた。

 ところが、こちらの方も科学が新たな世界を拓きつつある。遺伝子解析

技術の進歩により、老化のメカニズムが分かってきたのである。老化遺伝子

の発見は、どうすれば老化を止めることができるのかという問いに直接的な

解を与えつつある。老化の回避が夢物語でなくなる日が来るかもしれない。

 人類の飽くなき探究心は、従来あり得ないと考えられていた事象を次々と

可能に変えつつある。そこにタブーはない。しかし、不老不死が実現したとき

に人類はこれを幸せと感じるかどうか、この質問に答えることは難しい。

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特 集

医療・介護費用の削減・適

正化には個別化予防・医

療のアプローチが有効。

個別化予防・医療は、ID

活用を通じて社会的・経

済的効果の創出に寄与。

データ利活用のインセン

ティブ強化、他分野からの

参入促進などが成功の鍵。

1.医療・介護分野における新たな取り組みの必要性 少子高齢化、人口減少に伴い、2025年の医療・介護費用は、現在の2倍以上の100兆

円に迫る勢いにある。今年6月に閣議決定された「日本再興戦略2016」では「世界最先端

の健康立国」が施策目標の一つとして掲げられ、健康寿命延伸、メタボ人口減少、医薬品

の審査期間短縮などがKPI(重要業績評価指標)として設定された。この社会課題の解決

に向けて、産・官・学による取り組みが進展しつつある。具体的には、PHR(パーソナル

ヘルスレコード)の構築など、省庁・自治体による医療・健康分野のデータ活用や実証

事業、大学・研究機関によるゲノム解析やバイオバンク事業、健康保険組合によるデータ

ヘルス計画策定、民間企業によるウェアラブル端末の新商品開発などが挙げられる。

 しかし、限られた公的財源への依存度が高く、地域で閉じた取り組みが多いため、

全国展開に至るような成功事例は少なく、医療・介護費用の削減・適正化という目標に

対して十分成果を出していない。また、国民医療費約40兆円のうち2割程度を薬剤費が

占めている。疾病別の薬剤有効率は、「がん」約25%、「アルツハイマー」約30%、「鎮痛」

約80%といわれ、必ずしも有効な治療・投薬が実施されているわけではない。

 健康・医療・介護分野において、データ活用はサービスや事業の基盤となるが、民間

事業者、保険者、自治体、医療機関などで十分に情報が共有されておらず、個人のライフ

ステージや健康状態の変化に対して、必要なデータや情報が引き継がれないという問題

が発生しているのが現状である。こうした問題の打開策の一つとして期待されるのが、

個人属性に対応したきめ細かい予防・医療対策である「個別化予防・医療」というアプ

ローチである。

2.個別化対応への期待① 個別化予防による医療・介護費用の削減

 「予防」は、一般に三つの段階で整理される。「1次予防」は健常者に対して病気の

発生を防ぐための予防措置、「2次予防」は早期発見・早期治療を通じて重症化を抑える

措置、「3次予防」は病気が進行した後の後遺症治療・再発防止・リハビリ・社会復帰で

ある。このうち、最も重要な対策は「1次予防」にある。わが国では、学校、企業、自治体

などで必ず健康診断が実施されており、国際的に見ても充実した取り組みとして評価

されている。では、なぜその取り組みが医療・介護費用の削減に寄与しないのか。健康

診断の受診率、検査精度、検査結果の活用方法などに問題があることに加え、ある一時点

ヘルスケアの新時代を拓く

1 | MRI MONTHLY REVIEW

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の計測だけで健康状態を評価している点、日頃のライフスタイルに合った検査・指導・

治療ができていない点などが指摘される。

 こうした課題への対応として有効なのが「0次予防(=個別化予防)」というアプローチ

である。年に1度の健康診断に加え、遺伝的体質の把握、体質に合わせた生活習慣の

改善と記録、記録内容を踏まえた予防対策の実施が、中長期的な医療・介護費用の削減

を可能にする。これまでは技術的な障壁があったが、ゲノム解析技術やウェアラブル装置

の技術革新によって、この0次予防が実現されつつある。例えば、健康診断の検査結果と

遺伝体質やライフログデータを使うことによって、将来の疾病発生を予測・予見し、疾病

への先制的な対応が可能となってきた。

 治療が困難な疾病として挙げられる認知症の患者数は、わが国では2025年に730

万人(厚生労働省資料)、全世界では2030年に6,750万人、2050年には1億1,540万人

(WHO推計値)になると予測される。現在開発されている認知症の薬は、進行を遅ら

せる効果しかなく、完治させるものではない。こうした治療が困難で患者数が増大する

疾病には、特に「先制的な対応」が有効な手段となり得る。

② ID活用による予防と医療の一体化

 これまでの医療は、診療情報(問診、検査結果など)に基づいて病名を確定し、病名に

応じた標準的な治療や投薬を提供するのが一般的であり、患者の遺伝的体質などは

考慮されないことが多い。そのため、治療や投薬の効果は限定的な場合が多く、副作用

も生じ得る。これに対して、個別化医療は、個人の遺伝子情報や健康状態、生活環境

などから、最適な治療法を選択し、治療・投薬の効果を最大限に高める方法である。

現在、最も先行しているのは薬剤の分野で、遺伝子に適合した医薬品の開発(ゲノム

創薬)によって、個別化医療による治療・投薬の効果は高まりつつある。

個別化対応<個別化予防+医療>

患者(有病者)治療の最適化

治療法の選択

薬剤の選択

健常者0次予防/予測・予見

病気発症への先制対応

個人データ

(遺伝子・検査結果・ライフログなど)の活用/

医療・介護連携によるID管理

生活者生活改善

ライフスタイルなどに合う商品・サービスの選択

予防と医療の一体化

生活関連産業への広がり

出所:三菱総合研究所

[図1] 個別化予防・医療の概念

2 | MRI MONTHLY REVIEW

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 しかし、健康・医療・介護の全てに関わる社会的なコスト削減のためには、個別化予防

(検査など)と個別化医療(治療・投薬など)とが一体化されることが不可欠である。これら

二つを結び付けるために必要なものが、個人別のID管理である(図1)。これにより診療・

介護情報の共有・相互運用、健康保険の切り替え時のデータ連携・移行が容易になり、

個人のライフステージを通じた健康管理が可能となる。さらに異なる医療機関における

重複検査・投薬も回避される。なお、地域医療連携用ID(仮称。以下、医療ID)導入に

ついては、2018年度の試験運用、2020年度の本格運用を目指して、2017年度から

システム開発が予定されている※1。

③ 社会的・経済的効果の可能性

 個別化対応は、患者(国民)に対して健康寿命の延伸、副作用リスクの減少、QOL

(クオリティ・オブ・ライフ)の向上などのメリットを提供するとともに、医療機関・医師に

対しては、適切かつ効率的な治療方法の選択を手助けし、試行錯誤による手間や医療

過誤などのリスク軽減にも寄与する。また、国に対しては、社会コスト削減や健康寿命

延伸による労働生産性の向上といった社会的な効果をもたらすとともに、医薬品・医療

機器の製品化プロセスの効率化(コスト削減、期間短縮、成功確率向上など)、革新的な

医薬品・医療機器の研究開発の促進、さらには、他分野の産業への波及効果といった

経済活性化への貢献も期待される。

3.個別化予防・医療の実現と持続可能な仕組みづくり① データ利活用の普及促進に向けたインセンティブ付与

 ヒトゲノムが完全解読された2003年以降、遺伝子解析速度は飛躍的に向上し、従来

の100~1,000倍の速度で配列を読む装置も開発されている。個別化予防・医療の実現

に向けた取り組みは、解析技術などの開発からID管理やデータ活用に移行しつつあり、

データ更新の仕組みや体制づくりが重要な鍵を握る。

 医療・健康情報の電子化による効率的・効果的な医療に取り組んでいる先進事例と

して、エストニアの「e-Health」がある。エストニアでは、2008年に国内の全医療機関

の診断・検診結果が、2010年には処方箋が電子化された。その結果、医師は担当患者

の既往歴や過去の診断・投薬履歴の追跡が可能となり、患者は自身の診断・検診結果が

閲覧できるとともに、IDカードの提示のみで薬の入手が可能となった。エストニアの

仕組みが有効に稼働しているのは、患者、医療従事者の双方がe-Healthの利便性を

認識・理解しており、関係者が主体的に必要なデータを電子的に登録している点にある。

 わが国における個別化予防・医療の実現に向けては、同一のデータ利活用の仕組み

を全国規模で普及促進する必要がある。そのためには、患者や生活者、医療従事者など

の関係者が、積極的にデータ提供・更新に取り組めるように、各立場に応じたインセン

ティブ(保険料負担の減免、診療報酬上の加算など)の付与について検討する必要が

ある。※1: 医療IDの動向についてはトピックス2(6ペー

ジ)を参照。

3 | MRI MONTHLY REVIEW

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② 生活関連産業からの参入促進

 e-Healthは、もともとは確定申告の電子版、電子投票システムといった公的サービス

が基礎となっており、医療分野以外でも、運転免許証やEU域内でのパスポート、ネット

バンキングや店舗の会員証としても利用可能など、さまざまな生活関連サービスと結び

ついている。

 個別化予防・医療を持続的かつ全国的な仕組みとしていくためには、医療IDの活用

範囲を狭い意味での予防・医療に限定するのではなく、関連産業における新製品・

新サービスの開発が可能となるよう、より広く設定し、多様な生活関連産業・事業者が

容易に参入できるようにしておくことが重要である。医療IDを活用した新製品・新サー

ビスとしては、例えば、個人別・属性別のデータと連動した健康食品や化粧品、遺伝子

情報・ライフログと連動した保険商品開発や保健・生活指導(現物給付サービス)などが

考えられる(図2)。

③ 法規制などの課題解決

 医療IDをより広く活用し、生活関連産業からの参入を促進していくためには、医療・

介護分野で想定されている法的課題とは別の視点からの検討が必要となる。医療ID、

個人情報保護法の改定(匿名化データ利用の制限緩和)、NDB(ナショナルデータ

ベース)の構築・民間開放などにおいて、課題解決に向けた道は徐々に開きつつある。

これを追い風にして、遺伝子情報に基づく商品・サービスに関連した訴訟対応、差別や

人権問題、生命倫理上の問題など、より広範な視点から省庁横断的に制度の見直し・

制定に取り組むことが望まれる。

[図2] 個別化予防・医療への参入が期待される産業の例

出所:三菱総合研究所

製薬・化学⃝遺伝子と疾患との関係の詳細化(遺伝子診療)⃝特定分子を狙った標的薬⃝治療効果・副作用の事前予測(コンパニオン診断薬)⃝新たな診断薬(バイオマーカー)

医療機器 ⃝新たな診断薬とセットになった医療機器開発⃝個別化ニーズに応じた在宅医療機器

IT⃝医療用・研究用データベース構築⃝ビッグデータ解析・画像処理⃝セキュリティー対策

電機・電子 ⃝半導体チップの活用(カプセル内視鏡など)⃝新たなシーケンサー機器、周辺機器の開発(部品などを含む)

保険 ⃝遺伝子情報・ライフログと連動した保険商品開発⃝個人に応じた保健・生活指導(現物給付サービス)

食品・化粧品 ⃝新たな有効成分を活用した健康食品・サプリメント⃝アンチエイジング化粧品

流通 ⃝在庫管理・保管・運搬(試料・成分・検体など)

小売・飲食 ⃝食事療法・栄養管理の個別化⃝簡易健康診断などを通じた販売促進・マーケティング

教育・人材派遣 ⃝専門人材(ライフサイエンス+インフォマティクス)の育成⃝専門人材の確保・派遣サービス(国内・海外)

4 | MRI MONTHLY REVIEW

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トピックス

大学は環境変化を受けて

新たな方法による価値提

供の取り組みを開始。

非従来的領域・手法での

コンサルティング・人材交

流に注力する大学も。

産業界は、大学を多様な

価値提供の場として捉え

直すことが必要。

共 創大学の新たな価値提供と産学連携の新段階

科学・安全政策研究本部 山 野 宏 太 郎

 イノベーション創出やそれに関わる人材の育成・輩出が求められるなどの期待が高ま

る中、大学はこれまでにない形で社会への価値提供に取り組み始めている。こうした

動きの中に、以下の三つの注目すべき方向性を見いだすことができる。

 一つ目は、大学がコンサルタントとして企業の課題解決へ直接関与する事例である

(コンサルティング型)。技術面・経営面での助言などは従来から行われていたが、慶應

義塾大学ストレス研究センターでは、メンタルヘルス不調者や職場(企業)に対して医学

的視点から一歩踏み込んだコンサルティングをしている点が特徴的である。

 二つ目は、社会がまだ十分に認識できていない重要課題を先取りして解決策を検討・

提言する事例である(社会課題先取り型)。研究センターを大学が設置することは珍しく

ないが、その中でも多摩大学ルール形成戦略研究所は、社会課題解決に向けた市場の

「ルール形成」という非技術的テーマに絞り研究・提言活動を行っていること、外部有識者

を主要メンバーとして積極的に取り込んでいることなどが注目される。

 三つ目は、教育の場を社会人が交流する機会としても提供している事例である(コミュ

ニティ−提供型)。一般的な市民向け公開講座などとは異なって、組織リーダークラス

(またはその候補者)を主な受講対象としている点が特徴であり、東京大学エグゼクティブ・

マネジメント・プログラムなどが該当するといえよう。

 多くの大学・企業で「産学連携」といえば、共同・受託研究に代表されるような「技術

開発・移転に関わる活動」という認識にとどまっているが、新たな産学連携事例では

企業における人材育成、健康管理、新事業創出・展開、社外人脈形成といった多様かつ

重要な問題と密接に結びついている。企業や大学が有する知的資源を最大限に活用

するには、産学連携をR&D部門に限定せず企業の全社的な課題解決の「場」と捉えること

が必要である。さらに、企業が、大学のサービスに対して適切な対価を支払う一方で、

その質を厳しく評価して大学にフィードバックするという仕組みが構築できれば、双方の

実力強化につなげることも可能となる。

※:イノベーション創出に関連した各種プレーヤー(民間企業、大学・公的研究機関、政府など)の活動やプレーヤー間の関係性、  それらに影響を与える社会制度などの総体を、国全体の「システム」として捉えた概念。

• 非従来的な産学連携に よる価値提供・課題解決

• R&D部門に限らない 課題・ニーズ相談•価値提供の対価

価値提供による社会的プレゼンスの強化価値提供の対価確保による、財源の多様化推進

「大学」という知的資産の活用チャネルの強化経営課題解決のための新たなパートナー確保

ナショナル・イノベーションシステム※における大学の役割強化日本全体の産業競争力向上、社会課題の解決

大学 企業

[図] 大学による新たな価値提供の取り組みとその波及効果

出所: 三菱総合研究所

5 | MRI MONTHLY REVIEW

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2018年度に医療・介護

間で個人の診療情報など

を連携するID制度が創設

される。

医療・介護高度化、ウェル

ネス市場活性化など幅広

い波及効果が期待できる。

普及促進には、国・自治体・

関連企業の一体的な取り

組みが鍵。

ヘルスケア医療の未来をつくる新しい番号制度

 医療分野では、電子カルテの導入、地域医療ネットワークの構築、診療情報や介護

情報のデータベース化などの取り組みが進められている。しかし、医療・介護などの

関係者間の相互運用性が十分確保されておらず、総合的な情報活用には限界がある。

こうした状況のもと、国は、情報を異なる組織間で連携・活用するため、2018年度を

めどに地域医療連携用ID(仮称。以下、医療ID)の運用を開始する予定である。

 医療IDが導入されると、別々に管理されていた情報を照合でき、検査・投薬の重複

防止や医療・介護連携の効率化などにより、医療費の抑制に資する。救急時のアレル

ギーや疾患情報の共有、介護度を上げない効果的なサービスの提供、慢性疾患の重篤

化予防などの効果も期待できる。さらに、集約したデータを匿名化した上でビッグデータ

として利用することも可能だ。これらのデータは、国・地域における医療政策の立案や、

医療機関・製薬会社における研究・創薬・治験、介護施設や医療・介護機器メーカー・

物流・食品など幅広い利用と、業際連携による新市場創出も加速させるだろう。

 こうした医療IDの導入効果の大きさを考えると、個人情報保護、不正利用防止、運用

コストの低廉化など、今ある課題の検討を進めながら、同時に全国展開に向けた普及

促進のための取り組みを急ぐ必要がある。

 医療IDは、あらかじめ地域に合った最適な利用方法が提示されるのではなく、手探り

の状態から始めるため、ほかの自治体・医療機関の現場起点での医療ID活用の成功

事例が貴重な情報となる。まずは、地域包括ケアシステムの効果、関連企業の新商品・

サービス、住民が享受する便益などについて、各関係者がおのおのの立場で積極的に

情報発信することが重要である。次に、これらの情報を集約し関係者で共有できる仕組み

の構築が求められる。これらの情報は、民間企業にとっても、新しく自由な発想に基づく

サービスや製品開発という点で有用なものとなる。

 こうして国・自治体・医療機関・関連企業が一体感を醸成することが、医療IDの普及を

促進し、新規ビジネス開発などを通じて関連産業の活性化にも寄与する。

[図] 医療IDの活用イメージ

個人

企業などの研究

行政機関

研究機関

自治体

介護事業所

介護施設

薬局診療所

病院

健診施設

健保組合

医療IDによる情報連携ネットワーク

匿名化したビッグデータの利活用

健康・医療・介護情報

社会ICT事業本部 堀 江 晴 彦

出所: 三菱総合研究所

6 | MRI MONTHLY REVIEW

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原子力災害と復興の記憶

を将来の世代に確実に伝

えることが求められている。

復興への取り組みに加え

てそこからの学びを記録

することも重要。

復興の全体像を若い世代

とともに学び伝える民間

発の白書をまとめる。

復 興原子力災害と復興を学ぶために民間発で白書を作ろう

原子力安全研究本部 義 澤 宣 明

 1000年に1度といわれる東日本の超巨大地震とそれにより発生した原子力災害は、

今世紀最大の出来事の一つだ。30年、40年先を見据えた復興や福島第一原発の廃炉

への道のりは、世代を超えて永く語り継がなければならない。その内容は、「復興への

道筋」と「廃炉に向けた道筋」を中心に、いくつかのテーマに整理できる。テーマが多岐

にわたることで、復興の全体像が見えにくくなる面もある。ぼやけた全体像は震災復興

の記憶を風化させる。

 風化を防ぐには、震災、原子力災害および復興の全体像をコンパクトに把握できる

資料集と、将来の世代に語り継ぐべきことを広く継続的に国民に紹介していく記録集を

整備する必要がある。国による大規模で継続的な事業の成果や課題を定期的に公表

するものとして白書※1の形式が一般的だが、国まかせの姿勢のみでは震災復興の風化

に歯止めをかけられない。国民が復興から何を学んだかを記録することも重要であり、

その部分は従来の白書の枠には収まらない。

 そこで、民間主導の新たな試みとして若い世代の学びにも利用できる学習支援型の

白書(「民間発 福島復興白書」)の発行を提言する。全体の構成案は図に示したとおり

である。「帰還促進」「復旧対応」「不安との向き合い」「求められる支援」などを背景と

したさまざまな復興事業が、「どこを目指して、どこから始められ、今どこまで進んだのか」

を明確にして、復興がどのように進められているのかを目に見える形でまとめていく。

さらに若い世代が学び取ったことも記録として残していく。中学・高校の授業や課外

活動に学びや議論の機会を設定することも有効であろう※2。震災の教訓や復興の苦労

とその成果の定期的なまとめは、年代的な記録として次の世代にも伝えられていく。

もちろん国や自治体の復興事業全体のフォローアップの参考にもなる。

 現在の復興事業に加え、さまざまな白書の作成や教育支援事業に関わってきた当社は、

この試みに自ら取り組むことで、原子力災害からの復興と地域の再生に、これまで以上

に貢献したいと考えている。

[図] 「民間発 福島復興白書」の構成案(1~8章)

2章 帰還に向けた歩みを知る

3章 復旧の取り組みを学ぶ 6章 被災者・被災地の声を聴く 7章 求められる支援を考える

8章 自分たちにできること、次の世代に伝えることを考える4章 不安に向き合う

5章 廃炉までの道のりを確かめる

帰還支援 新生活支援復興復旧

長期避難による課題厳しい事業環境見えない道筋

長期的な将来像福島12市町村将来像実現ロードマップ2020 など

廃止措置などに向けた中長期ロードマップ

復興に向けた道筋へ

1章 復興の道筋をみつめる

生活再建・再構築地域の再生放射能汚染 - 除染 - 避難指示解除 - 帰還

帰還から再生へ

自立支援とは雇用創出支援 風評被害低減営農再開支援

インフラ  商業機能  医療・介護施設学校    生活関連サービス   など

地元の実情や意向地元の多様なニーズ

放射線の健康影響避難による健康問題

県民健康調査賠償

福島第一原発の状況 廃炉に向けた道筋へ

帰還に向けた対策

出所:三菱総合研究所

※1: 国がまとめる白書には法律により国から国会に報告されるもの、各省庁から閣議に提出されるものなどがあるが、近年は民間発の白書の発行も盛んになってきている。

※2: 被災地域と全国の学校をネットワークで結んだテレビ会議などの取り組みも期待される。

7 | MRI MONTHLY REVIEW

Page 9: 錬金術と不老不死 - mri.co.jp4.IoTでユーザーニーズを ... は読んで字のごとく永遠に若さを保ち死なないことである。 ... 人類の飽くなき探究心は、従来あり得ないと考えられていた事象を次々と

今後はどれだけユーザー

の希望、使い方を推し量れ

るかが競争を勝ち抜く鍵。

IoTで得られるユーザーの

使用状況が総合的・重層

的に分析される時代に。

ユーザーニーズを即座に

製品仕様に反映できるバ

リューチェーンが重要。

産 業IoTでユーザーニーズを引き出すものづくり

企業・経営部門 細 川 卓 也

 「心を込めて良いものを作れば必ず誰かが評価してくれる(売れるはずだ)」という

日本の伝統的なものづくりの考え方は、グローバル競争社会の中では消極的と受け

止められ、なかなか通用しない局面も多くある。

 今や、ユーザーが匠の技を理解してくれることを期待するのではなく、「作り手がどれ

だけユーザーの心を推し量れるか」が競争を勝ち抜く鍵となっており、そのためのIoT

の活用が進んでいる。ユーザーサイドからも、自らの希望に最も適合する製品を世界中

から探し出し、新しい使い方を提案し、それをSNSで発信するなど、積極的なものづくり

への働きかけが見られるようになってきた。

 建設機械大手のコマツはこうした変化にいち早く反応した例で、建機にセンサーを

取り付け、得られたユーザーごとの詳細な使用状況に合った最適な仕様を個別に提案し、

製品仕様にも反映している。GEもIoTを使った同様の環境をあらゆる産業機械メーカー

が活用できるように拡大した共通のプラットフォーム(Predix)の提供を開始した。そこ

では把握されたユーザーごとの情報がメーカーの枠を超えて複合的かつ重層的に組み

合わせられるような新しい形の付加価値の創出が計画されている。

 IoTによるこうした新しい技術は、ものづくり企業のバリューチェーンにも急速な変化

を求めつつある。例えば、顧客の使用状況、用途に最も合う仕様の組み合わせを即時に

作成・提案できるシステムが知識ベースコンフィグレータ※1というAIを活用した技術で

整いつつある。GEではこれを「Bid in a Day(即日見積)」と称して複雑なプラント装置

にまで展開している。またSNSなどでユーザーが発信している潜在ニーズをそのまま

製品開発につなげる仕組みづくりも進んでいる。さらに今後は、顧客と企業が共同で

その新しいユーザーニーズとものづくりを結合していく動きが一層活発になるだろう。

 ものづくり企業を取り巻く環境の変化は激しい。しかし、いつの時代もユーザーニーズ

にあった製品をいかに迅速に提供できるかが重要であることに変わりはない。

※1: 人工知能の応用研究分野で、複雑な製品構成を制約充足問題として解くソリューション。マスカスタマイゼーション実現への重要なツールと見なされている。

[図] ものづくり企業のバリューチェーン改革のイメージ

販売

製造

開発

ユーザー使用環境ユーザーニーズ

AI

直結

Co-Lab

共同開発

IoT、SNS

Design Thinking

センサー情報ユーザー使用状況

使用環境の再現

AI

直結

製造ノウハウ(生産技術)

直結

設計仕様 製品機能特性構造情報 品質基準

出所:三菱総合研究所

8 | MRI MONTHLY REVIEW

Page 10: 錬金術と不老不死 - mri.co.jp4.IoTでユーザーニーズを ... は読んで字のごとく永遠に若さを保ち死なないことである。 ... 人類の飽くなき探究心は、従来あり得ないと考えられていた事象を次々と

アジア新興国において、

家計債務の対GDP比率

が上昇。

債務圧縮の過程で、消費

が落ち込むリスクを認識

することが必要。

日本企業は、影響が少な

い高所得者にターゲット

を絞った商品展開を。

海 外アジア新興国の家計債務が投資リスクを拡大

 アジア新興国において、家計債務の対GDP比率が上昇している(図)。2015年には

タイで対GDP比67.9%、マレーシアで同68.3%と、すでに日本やドイツなど先進国の

水準を上回っているほか、中国やインドネシアでも水準こそ低いが上昇ペースは速い。

 もっとも状況は各国で異なる。中国の家計負債の大半は住宅ローンだ。中国では結婚

の際に不動産を購入する風習があり、不動産購入資金を住宅ローンで賄う世帯は多い。

中国の一部大都市では、昨年来、住宅価格が高騰しており、家計債務拡大に拍車が

かかっている可能性がある。一方、インドネシアやタイでは住宅向け以外の債務が増加

している。これらの国では、過去の高いインフレ期待から実物資産を選好する傾向が

強く、多少無理をしてでも自動車や二輪車など耐久消費財を購入する側面があった。

しかし、近年は物価上昇率や経済成長率が減速しており、過去に積み上げたローンが

消費の重石となっている。

 今後、資産価格の急落や雇用・所得環境の急速な悪化を招けば、家計は債務圧縮の

必要性に迫られる。アジア新興国に進出している日本企業としては、調整局面において

消費が大きく落ち込みかねないことは、リスクとして十分に認識する必要がある。

 このような中、日本企業にできることは何か。高所得者向けに商品のターゲットを絞る

ことは、一つの選択肢となろう。債務が家計を圧迫しているのは主に中低所得者であり、

高所得者層は相対的に影響を受けにくいと考えられる。国連の統計などをもとに所得

階層別の人口を推計すると、アジア新興国において、1日当たりの消費額が20ドルを

超える高所得者層は、2014年の2億人から2030年には10億人と、15年間で5倍に

膨れ上がると推計される。

 アジア新興国で増え続ける中間所得者層向けのビジネスは、大きな規模を狙える

半面、競争が激しく高い利益率の実現が難しい。消費者の将来の所得増加を見込み、

より高所得者向けの商品展開が成功すれば、高い利益率を確保しつつ、家計債務上昇

による消費の落ち込みを回避することが可能だ。

政策・経済研究センター 坂 本 貴 志

[図] 家計債務の対GDP比率と1人当たりGDPとの関係

100

80

60

40

20

0

(%)

(万ドル)5 43210

● 日本

● 米国

● 中国

● 韓国

● インドネシア

● タイ

● マレーシア

●ドイツ

家計債務の対GDP比率

1人当たりGDP出所:三菱総合研究所

9 | MRI MONTHLY REVIEW

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※1: 金融庁「地域金融機関の地域密着型金融の取組み等に対する利用者等の評価に関するアンケート調査結果等の概要」   

(2015年8月)

※2: 『下町ロケット』では、技術力に強みをもつ中小ものづくり企業「佃製作所」が主取引先銀行「白水銀行」に足元の業績悪化を嫌われ取引解消を迫られる。その後、特許を武器に佃製作所は再生を達成するが、白水銀行は一度崩れた関係性を取り戻すことはできなかった。

金 融事業性評価力の高め方─知財データの活用

金融イノベーション事業本部 吉 田 まほ ろ

 地域金融機関には、財務データや担保・保証に必要以上に依存することなく、企業の

事業内容や成長可能性に着目した事業性評価に基づく融資が求められている。事業性

評価の取り組みは始まっているが、金融庁が地域金融機関の監督指針に基づき毎年

行っているアンケートによると、目利き能力を発揮し、顧客企業の事業性を評価する

能力が十分あると答えた金融機関は3割強にとどまる※1。

 事業性評価には、財務データのみならず、企業の成長可能性を推し量ることができる

非財務データの入手・分析が必要である。しかし、経営者の資質や技術力などを含む

非財務データには、入手も定量的な比較分析も困難なものが多い。

 その中で知財データは、特許庁が一元的に管理している公開データであり、非財務

データの中では入手や定量分析が容易である。わが国には技術力に強みを有する企業

が多く存在するが、知財データの分析により、顧客企業が保有する技術力を定量的に

他社と比較しつつ把握することが可能である。フィクションではあるが、『下町ロケット』

(池井戸潤著)※2では、白水銀行が佃製作所の虎の子の特許を分析していれば、佃製作所

の起死回生を予見でき、取引解消を選択するには至らなかっただろう。

 実例では、千葉銀行や山口銀行をはじめとして、事業性評価に基づく融資に知財データ

を活用する事例が続々と登場している。知財は公開情報であるため、顧客との関係性や

行員の力量に依存せずに一定の情報を迅速に収集することが可能で、かつ他社との

比較もできる。当社が提供する「企業特許レポート」を活用し、財務データに表れない

技術力に着目し、無担保での融資に至った案件もあるという。

 技術力に強みをもつ企業の事業性評価にあたっては、知財データを活用した分析

ないし理解が、企業の事業性や成長性を判断するために実効的な方法であると考えら

れる。ただし、知財データで把握可能な範囲は事業の一部であり、最終的には総合的な

視点での評価が欠かせない。まずは財務データと知財データで企業概況を把握して、

その他の非財務データで補完していく方法が有効である。

[図] 事業性評価項目の入手および定量分析の難易度のイメージ

容易 困難

容易

困難

定量分析

財務データ 非財務データ

販売力

経営者

内部管理体制企業および事業沿革

技術力(知財)

企業を取り巻く環境・関係者

技術力(ノウハウ)

財務データ

入手

出所:経済産業省ローカルベンチマークを基に三菱総合研究所作成

地域金融機関は事業性評

価に基づいた融資を開始

したが取り組みは道半ば。

事業性評価の最大の課題

は非財務データの入手と

定量分析。

入手が容易かつ他社との

定量比較が容易な知財

データの活用が有効。

10 | MRI MONTHLY REVIEW

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主要経済統計データ

MRI マンスリーレビュー株式会社三菱総合研究所 広報部〒 100-8141 東京都千代田区永田町二丁目 10 番 3 号TEL:03-6705-6000URL http://www.mri.co.jp/

(2010年=100) (2010年=100)

鉱工業生産指数(左軸)第三次産業活動指数(右軸)

出所:経済産業省「鉱工業指数」「第三次産業活動指数」

105

100

95

90

85

105

103

101

99

97

951 4 7

2010 2011 2012 2013

101 4 7101 4 7101 4 710

2014 2015

1 4 7101 4 7

2016

1 4 710

(2010年=100)

出所:総務省「家計調査報告(家計収支編)」

110

105

100

95

90

851 4 7

2010 2011 2012 2013

101 4 7101 4 7101 4 710

2014 2015

1 4 7101 4 7

2016

1 4 710

(億円)

出所:内閣府「機械受注統計調査報告」

10,000

9,500

9,000

8,500

8,000

7,500

7,000

6,500

6,0001 4 7

2010 2011 2012 2013

101 4 7101 4 7101 4 710

2014 2015

1 4 7101 4 7

2016

1 4 710

(万戸)

注: 季節調整済年率換算値の推移出所:国土交通省「建築着工統計調査報告」

105

100

95

90

85

80

75

701 4 7

2010 2011 2012 2013

10 1 4 7 10 1 4 7 10 1 4 7 10

2014 2015

1 4 7 10 1 4 7

2016

1 4 710

(前年比%)

出所:総務省「消費者物価指数」

4.0

3.0

2.0

1.0

0

-1.0

-2.01 4 7

2010 2011 2012 2013

101 4 7101 4 7101 4 710

2014 2015

1 4 7101 4 7

2016

1 4 710

(2010年=100)

輸出輸入

出所:日本銀行「実質輸出入」

125

120

115

110

105

100

95

90

851 4 7

2010 2011 2012 2013

101 4 7101 4 7101 4 710

2014 2015

1 4 7101 4 7

2016

1 4 710

2016年9月(Vol.60)

生産 鉱工業生産指数、第三次産業活動指数

消費 実質消費指数(除く住居等)

住宅 新設住宅着工戸数

輸出入 実質輸出入

設備投資 機械受注額[民需(船舶・電力除く)]

物価 消費者物価指数(生鮮食品除く総合)