避難訓練マニュアル - ehime...
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平成23年度 災害時要援護者支援力強化事業
避難訓練マニュアル (災害時要援護者の方と共に)
(松野町松丸地区住民による訓練風景 平成 23 年 12 月 11 日)
愛媛県南予地方局
愛媛県 イメージアップキャラクター
みきゃん
―目 次― ページ
はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
■ 訓練の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
■ 事前の準備・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
■ 避難訓練実施要領の作成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
■ 訓練シナリオの作成・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
■ 役割の決定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
■ 災 害 時 要 援 護 者 と 支 援 者 の 打 合 せ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 6
■ 避難経路の安全確認・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
■ 資機材の調達・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
■ 住民への広報・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
■ 訓練当日・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
■ 記録を残す・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
■ 課題、改善点の洗い出し・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
■ 避難訓練アンケート結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
■ 新聞記事・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
■ 災害時要援護者避難訓練フローチャート・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
―参考資料―
■避難情報三類型の避難勧告等一覧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25
1
は じ め に
災害時要援護者に対する避難支援の重要性は、平成16年に高齢者が犠牲と
なる豪雨災害が続発したことを契機に、強く認識されることとなりました。
ここ南予地域は県内でも特に高齢化が著しく、その一方で若年層の減少が進
んでおり、災害が発生したときには、近隣住民がお互いに支え合い、高齢の要
援護者をはじめとする災害時要援護者をいかに避難させるかという、地域防災
力の強化が求められています。
この課題に取り組むため、南予地方局では、平成 23・24 年度の2ヵ年で「災
害時要援護者支援力強化事業」を実施しています。
具体的には、市や町で取り組んでいる災害時要援護者避難支援個別プラン(以下「個別プラン」という。)の策定を促進し、その個別プランに基いて、災害時
要援護者やその支援者が参加する避難訓練を実践するなど、日頃から災害時要
援護者の支援に関わっている皆さんが、お互いに連携を強化することによって、
災害時要援護者の支援力の向上を目指そうとするものです。
本冊子は、平成23年12月、松野町松丸地区で行われた災害時要援護者避
難訓練の手順や実施結果を、松野町及び南予地域災害時要援護者支援対策検討
協議会の御協力をいただきながら取りまとめたものです。行政や自主防災組織
等が行う避難訓練の参考としてご活用いただければ幸いです。
最後になりますが、平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、未
曾有の地震・津波災害に見舞われ、尊い多くの命が奪われました。やがて1年
を迎えようとしている現在も、被災地の方々の暮らしに大きな影響を与えてい
ます。被害を受けられた地域の皆様には、心よりお見舞い申し上げますととも
に、一日も早い復旧・復興を心より願っております。
平成24年2月 愛媛県南予地方局長 山本 龍典
2
■訓練の目的
「自助」、「共助」、「公助」という言葉を耳にしたことはありますか。 「自助」とは、「自らの命は自らが守る」ことであり、「共助」とは、「自分た
ちの町は自分たちでの手で守る」ことであり、「公助」とは、行政機関等が行う諸活動(堤防の整備、防災行政無線の整備、防災意識向上のための広報・教育など)のことです。
平成7年に発生した阪神・淡路大震災では、地震発生直後は「公助」が十分に
機能せず、自力脱出が困難となった方の8割近くの方が、家族や近隣住民の方に助け出されたとされており、「共助」の大切さが叫ばれるようになりました。
今後30年以内に60パーセント程度の確立で起こるとされている南海地震
※
(マグニチュード8.4)は、南予地域で震度5弱から6弱の地震が発生すると予想され、宇和海沿岸の地域には、約30分から1時間程度の間に第1波が到達するとされています。 また、近年、局地的な集中豪雨により、大規模な河川の氾濫や土砂災害も多発しています。 これらの災害から身を守るためには、自助はもちろんのこと、近隣の人々が
互いに助け合う共助が極めて重要です。(ただし、共助を優先する余り逃げ遅れてしまい命を落とすようなことがあってはなりません。)災害時要援護者が実際に参加して避難訓練を行うことにより、支援者は、災害時要援護者が避難行動時にどのような手助けが必要であるのか、どのくらいの時間が必要なのか、どのような準備が必要になるか、また、安全に介助するにはどうすればよいかなど、実際に確認することができます。
発災直後には誰もがパニックに陥る可能性があります。避難訓練の経験は、
そのパニックの状態から早く抜け出し、適切な行動をとるためのスイッチの働きをしてくれるものではないでしょうか。堤防を高くすること以上に、私たち一人ひとりの防災意識を高くすることこそ大切です。訓練の目的は、正にそこにあります。
※内閣府に設置された「南海トラフの巨大地震モデル検討会」は、南海トラフの巨大地震による最大ク
ラスの震度分布・津波高等の検討を行っています。その中間とりまとめ(平成 23 年 12 月 27 日公表)
によれば、地震の規模はマグニチュード 9.0(暫定値)と推定し、想定震源域・想定津波波源域も拡大し
ていることから、第1波の津波到達までの時間は早まることも予想されます。
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みきゃん
3
■事前の準備をしよう
1 主催者等は誰にしますか
まず主催者、共催者、参加機関を決めなければなりません。自主防災組
織が主催する場合は、避難場所となる施設や防災無線による広報など、市
町の施設等を利用することになりますので、必ず市町にも加わってもらい
ましょう。また、当日訓練に参加してもらいたい機関や団体に対して、参
加してもらうよう協力の依頼をしましょう。 2 訓練実施日時の決定
主催者等がきまれば、日程調整をして訓練実施日時を決定します。 なお、実施日の当日、気象警報が発令された場合など、事前に中止とす
る場合の条件等を決めておきましょう。(例:大雨・洪水警報が発令された
場合は中止する。) 3 実施場所(範囲)をどこにするか
1つの自主防災組織単独で実施するのか、他の自主防災組織も参加した
合同での実施とするか、また、避難場所単位で実施するかなど、参加機関
と協議しながら決めていきます。 4 被害想定を決めておきましょう
災害にもいろいろあります。地震・津波災害を想定するのか、風水害や
土砂災害を想定するかなど、災害の種類や被害の規模により、訓練の中身
が変わってきますので、具体的な被害を想定しましょう。 5 どんな避難訓練をするのか
避難訓練といっても、単に避難場所まで逃げるためだけの訓練もあれば、
情報伝達訓練、安否確認訓練、救出・救護訓練、災害時要援護者避難支援
訓練、防災資材の取扱訓練など、訓練の中身にはいろいろあります。そこ
で、参加人数や実施場所などの条件を考慮しながら、参加機関と協議しな
がら決めていきましょう。
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4
■ 避難訓練実施要領を作ってみよう
事前の準備事項が固まったら、要領としてまとめましょう。
災害時要援護者避難訓練実施要領
1 目的 南海地震の発生を想定し、個別プランに基づき、支援者による災害時要援護者の安否
確認及び情報伝達並びに避難支援、民生委員による災害時要援護者の安否確認及び災害
対策本部への連絡など、実践的な避難訓練を実施することにより、自助の役割、共助の
役割、公助の必要な部分を、災害時要援護者一人ひとりの状況に応じて把握し、今後の
支援体制の充実・強化を図り、誰もが安心して暮らせる地域づくりに資することを目的
とする。
2 主催 愛媛県南予地方局、松野町
共催 南予地域災害時要援護者支援対策検討協議会
3 実施日時 平成23年12月11日 (日) 8時30分~11時30分
4 実施場所
(1) 本部会場 松野町総務課 災害対策本部
(2) 現地会場 メイン会場(避難収容施設A) コミュニティーセンター
サブ会場(避難収容施設B) 森の国ふれあいセンター
5 参加機関 松丸地区自主防災会、松丸地区住民、松野町消防団第1分団第1部
6 訓練想定
12月11日、午前8時30分、南海トラフを震源とする地震(マグニチュード 8.4、震度6
弱)が突然発生し、松丸地区の2割程度の家屋が全・半壊した。また地区内の道路のいたると
ころで、家屋・ブロック塀の倒壊、道路の陥没等により、通行ができない状況となっている。
引き続き余震が頻発しており、余震の規模によっては、更なる家屋の倒壊等、被害の拡大が予
測される。
7 訓練内容
① 本部・メイン会場
○ 情報伝達・収集訓練、避難支援・安否確認訓練、備蓄食料試食、
避難訓練結果講評
② サブ会場
○ 避難支援・安否確認訓練
※ 個別プランの策定が完了している災害時要援護者本人が参加することとし(代
役可)、支援者2名で避難場所まで搬送する。
※ 障害等の区分に応じて支援方法が異なる災害時要援護者(5名程度)をあらかじめ定
めておき、それぞれスタッフを配置し、事後の検討に役立てるための記録・撮影等を行
う。
愛媛県 みきゃん
5
■訓練シナリオを作ってみよう
訓練の実施要領ができれば、各参加機関が訓練開始から終了までにどういった
行動をとっていくのかについて、時系列に整理してみましょう。
松丸地区自主防災会 避難訓練シナリオ
参加機関の対応状況 時間
災害の発生
状況 町 消防団
松丸地区住民
松丸地区自主防災会
8:30
9:00
9:30
10:00
地震発生
火災発生
火災鎮火
・自動警報システム作
動(防災無線放送)
・職員が登庁し始める
・災害対策本部設置
・被害情報収集
・第1回災害対策本部
会議
・避難収容施設へ職員
派遣
・避難収容施設での住
民避難状況の確認
・第2回災害対策本部
会議
・安全確認
後、詰所に自
主的に参集
・団長指示の
元、避難誘導
①地域の安全確認
②連絡網により、各組長へ住
民の安否確認、一時避難場所
へ避難を指示
③支援者は災害時要援護者
を搬送⇒一時避難場所へ避
難開始
④台帳、名簿等で安否確認
⑤避難収容施設へ避難開始
避難収容施設到着
・民生委員は、避難収容施設
で災害時要援護者の安否確
認を行う。
・自主防災会役員は避難収容
施設に到着した役場職員に
避難者の人数等を報告する。
・報告を受けた役場職員は、
速やかに地区住民や災害時
要援護者の避難状況につい
て災害対策本部に報告する。
10:30 避難収容施設での安否確認の訓練後、講師により講評を行う。
(注意事項) ①災害時要援護者は支援者2名が一時避難場所⇒避難収容施設までの支援を行う。
②民生委員は個別台帳で、災害時要援護者の安否確認を行う。
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■役割を決定しましょう 避難訓練の中で、安否確認や避難者の情報を市町の災害対策本部へ伝達する
訓練をする場合は、伝達者を誰にするか、伝達方法手段をどうするか、誰に対
してどの時点で伝達するかなどの事項について、市町と相談のうえ、役割分担
をしなければなりません。特に災害時要援護者の支援者となっている方の役割
は重要です。しっかりと訓練の流れや方法について説明しておきましょう。
■災害時要援護者と支援者は打合せをしておきましょう
災害時要援護者の支援者になっている方は、災害時要援護者やその家族の方
と事前に次の事項について打合せを行いましょう。
なお、民生委員さんは、市町で作成した災害時要援護者の支援方法をまとめ
た個別プランという台帳を持っていますので、できれば打合せ時に同行しても
らうとよいでしょう。(※市町により、台帳の整理状況や台帳の共有範囲は異
なりますので事前に市町に確認してください。)
(打合せ事項)
● 災害時要援護者の健康状態(避難訓練に耐え得るかどうか)
● 避難場所までの安全な経路
● 災害時要援護者の搬送方法(車椅子、担架、おんぶ等)
● 持ち出し物(服用している薬、入れ歯、老眼鏡、補聴器など)
■避難経路を実際に歩いて、安全を確認してみよう
自主防災会・消防団・市町の防災担当者など、できるだけ多くの人の目で、
避難経路や避難場所の周辺を歩いて見てみましょう。普段何気なく歩いている
道や、塀・建物など、実際に避難するとなると危険な箇所が結構あることに気
付くはずです。 なお、建物や塀などが倒壊して通行不能となる箇所をあらかじめ決めておき、
訓練当日にその箇所を通行止めにするなどの方法を取り入れることで、より実
際に近い訓練にすることができます。 市町や公民館などが作っている防災マップには、避難場所の位置や避難経路、
また、危険箇所などのさまざまな情報があり、活用すると便利です。
愛媛県 みきゃん
愛媛県 みきゃん
愛媛県 みきゃん
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●防災マップを準備しましょう。
●急傾斜地崩壊危険区域を確認しておきましょう。
●細い路地など、実際に歩いてみて危険箇所を確認しましょう。
各家庭になければ、役場
の防災担当課で手に入れ
ましょう。ただし、細い
路地など、地図に記載さ
れてない箇所がありま
す。
大地震や豪雨によっては
崩壊する危険がありま
す。避難経路の近くにこ
ういった場所がないかを
確認しておくことが大切
です。
コンクリートブロック塀と建
物にはさまれた細い路地。避
難する際に余震があれば、逃
げ場所がなく、ブロック塀の
下敷きになったり、頭の上か
ら瓦が落下することがありま
す。
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●石積みの上に築かれたコンクリートブロック塀
●電信柱の電線や住宅に引き込まれている様々な配線
■ 避難訓練に必要な資機材を調達しましょう
災害時要援護者を避難させるための資機材には、車椅子、担架、リヤカー、
おんぶ紐などがあります。車椅子は、公共施設・福祉施設・ショッピングセ
ンターなどでよく目にしていますが、リヤカーやおんぶ紐などは、ほとんど目
にすることはありません。いざという時のために、それらの資機材が身近なと
ころにあるかなど、事前に調べておくことも大切です。
もし、それらの資機材がない場合は、応急担架を作ってみましょう。応急担
架は、物干し竿2本と、毛布があれば簡単に作ることができますので実践して
みましょう。
石積みの上にあるコン
クリートブロック塀。鉄
筋の入った基礎がなく、
倒壊し落下してくるこ
とがあり危険です。
電柱には、電線だけでなく、
いろいろな配線が複雑に交叉
しています。もし電柱が倒れ
ると、配線などが邪魔をして
通行ができなくなることがあ
ります。
愛媛県 みきゃん
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(参考)応急担架の作り方 (毛布1枚と物干し竿2本で作ります) ①毛布の1/3に竿を置く ②1/3を折り返す ③折り返しが終わる
④返した毛布の上(端から 20cm ⑤毛布のもう一方を折り返す ⑥折り返しが終わる 程度内側)に竿を置く
⑦応急担架の出来上がり
■ 避難訓練の住民への広報
避難訓練実施の広報は、早めに市町の広報誌や地域の回覧板、自治会の会合、
また、地域の防災行政無線など様々な方法を活用して、隅々まで伝えましょう。
そして、できるだけ多くの住民に積極的に参加してもらいましょう。
また、災害時要援護者の方は、ご本人に是非参加してもらいましょう。ご本
人が参加することで、支え合い、支えられているという共助の意識が、みんな
に伝わっていくでしょう。
あっという間に
完 成
愛媛県 みきゃん
愛媛県 みきゃん
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■さあ、訓練当日 1 防災行政無線による災害発生及び訓練開始の放送開始
2 近隣に声を掛けあい、お互いに安否確認をしながら一時避難場所へ避難
支援者は災害時要援
護者の安否確認や避
難に必要なリヤカー
の用意を始めました。
ご近所どうし
声を掛け合っ
て、一緒に行動
をしましょう。
お年寄りに寄り添
って行動している
支援者の方。
愛媛県 みきゃん
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3 支援者が災害時要援護者のお宅に行き、安否確認
4 自宅から救出し、玄関先の階段を降りる
4-②石段を降り車椅子に
支援者になっている2名
が、災害時要援護者宅を訪
問し、安否状況を確認し、
避難するよう伝えます。ま
た、火の始末、戸締りも確
認します。
急な階段は特に危
険です。支援者は必
ず2人以上で介助
をするようにして
ください。
急いでいても、災害時要
援護者の方は素早く行
動することはできませ
ん。災害時要援護者のス
ピードで歩いてくださ
い。
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5 子供を担架に乗せる
5―② 自宅前でリヤカーに乗る
5―③ 自宅前で車椅子に乗る
担架に横になっている
のは、代役で訓練に参
加してもらった子供さ
んです。担架に乗せら
れた時の気持ちを味わ
うのも訓練では大事な
ことです。
折りたたみ式リヤカ
ーです。慣れていな
ければ、組立には時
間がかかります。
舗装をしていない所
は車椅子のタイヤが
転がりにくくなるの
で移動が大変です。
13
6 車椅子に乗って、一時避難場所への避難を開始
6-② リヤカーに乗って、一時避難場所への避難を開始
7 自主防災会のメンバーによる一時避難場所で住民の安否確認
※松丸地区は全部で11の「組」に分かれていて、それぞれの「組」が
一時避難場所を設けています。
民家前に指定され
た一時避難場所に
は、すでに避難して
来た住民が集まっ
ています。
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8 避難収容施設へ移動を開始
大人も子供も一緒に行
動しましょう。訓練なの
で、交通の妨げにならな
いように。
15
9 避難収容施設に到着
避難収容施設に次々に
避難してくる住民のみ
なさんです。
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10 自主防災会メンバーによる避難収容施設で住民の安否確認
11 避難収容施設において、民生委員さんから災害時要援護者の安否の報告
を受ける災害対策本部から派遣された職員。この後、無線機を使い災害対
策本部へ避難状況報告。
12 非常袋を背負って訓練に参加
手にしているのは役場との連絡に
使用する防災無線機です。
非常袋
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13 避難訓練終了後の講評会場に集まった参加者
訓練の講評が始まるまでの間、防災関係のDVDを視聴
子供たちもた
くさん参加し
ていました。
ダンボールの小
部屋の中に設置
された簡易トイ
レの展示。
非常食のソ
フ ト パ ン
(5年間保
存可能)
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14 講評会場(町長及び講師による訓練の講評)
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■記録を残しておこう 次回の避難訓練に活かすためには、記録を残しておくことが大切です。訓練
に参加される住民の中から、数名の記録者を定めておき、訓練中の写真を撮影
してもらいましょう。また、避難にかかった時間、避難に使ったルート、避難 時のトラブル、その他なんでも気付いたことなどを記録してもらってください。 訓練後にそれらの記録をみんなで確認し合うことによって、次回の避難訓練
に活かしましょう。 【記録例】
災害時要援護者避難訓練 行動記録表
時 分 場 所 取った行動又は会話の内容(簡潔に)
8:33
災害時要援護者宅 ・ 防災行政無線から訓練開始放送が流れる
・ 災害時要援護者自宅に支援者2名到着
・ 災害時要援護者に火元、戸締りの確認⇒確認済み
と回答
・ 災害時要援護者を車椅子に乗せる
8:35
災害時要援護者宅⇒
一時避難場所(駅前
広場)
・ 一時避難場所への移動開始
・ 車椅子の操作不慣れなため出発に手間取る。
・ 玄関通路の土の部分に車椅子の車輪が沈み込み、
一時動けなくなる。
8:38 一時避難場所(駅前
広場)
・一時避難場所に到着
8:40 一時避難場所(駅前
広場)
・一時避難場所の責任者が、火元、避難者の戸締りに
ついて確認する。
8:42 一時避難場所(駅前
広場)
・各班の班長が点呼により安否確認実施
8:48 一時避難場所⇒避難
収容施設
・一時避難場所(駅前広場)から避難収容施設(コミセ
ン)へ移動
8:52 避難収容施設通用門 ・車椅子の車輪がグレーチング(水路の蓋)に引っかか
り一時動けなくなる。
8:54 避難収容施設玄関 ・避難収容施設玄関に到着
9:00 避難収容施設の室内 ・ 車椅子用スロープを使い、建物内に入室。
愛媛県 みきゃん
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■課題、改善点を洗い出しましょう
避難訓練が終われば、行動記録や訓練に参加した方の意見をもとに、失敗し
たこと、戸惑ったこと、また、逆にうまく行ったことなどを参加機関の皆さん
で話し合ってみましょう。そして、次の避難訓練の時には、こうしよう、ああ
しようという意見を記録に残しておきます。そして、その記録を次回の避難訓
練を計画するときに役立てましょう。 避難訓練は、うまく行かなくて当たり前です。うまく行かないからこそ訓練
が必要なのです。改善したり、工夫をしながら次の訓練につなげて行ってくだ
さい。訓練は継続してこそ身に付くものです。
(参考)
今回行われました松野町松丸地区災害時要援護者避難訓練の講評におい
て、講師からあったお話(抜粋)
● 災害時要援護者の中には、避難することによって逆に体調が悪化す
る場合があるので注意する必要があります。
● 災害時要援護者は、日頃からコミュニティー活動にできる限り参加
し、地域とのコミュニケーションを通して、自身の状況を周りに見
てもらっておくことが大切です。(例:私は、こういう所に補助が必
要なんです。)
● 避難準備情報が出されて避難する場合、避難場所の鍵は誰が持って
いて、誰が開けるのかなどの情報をみなさんは知っていますか?
● 自主防災活動は、大人だけ参加するのでよいか?
子供たちも活動できることがあります。
● 私たち大人は訓練に参加して、具体的なイメージを子供たちに伝え
ていきましょう。
愛媛県 みきゃん
愛媛県 みきゃん
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■アンケート結果
今回実際に避難訓練に参加された災害時要援護者、その支援者の声を紹介
します。
【災害時要援護者】
質問1 普段の話し相手は誰ですか?
質問2 避難訓練をした感想はいかがですか?
避難準備情報とは
避難勧告とは
● 耳が聞こえにくいため、妻を介して近隣住民と話す。(90 歳代男性:妻と二
人暮らし:難聴) ● 昼間はデイケア(通所)、近所の人と顔を合わせれば世間話をする。息子夫婦
が時々来るのでその時に話す。(80 歳代女性:独居:杖歩行) ● 毎日近隣住民と話している。日中は一人暮らし。(70 歳代男性:妻と二人暮
らし:自立) ● 家族(妻・子ども)や近隣住民(70 歳代男性:妻と二人暮らし:足が少し不自
由)
● 災害はいつ起こるか分からないので、訓練の重要性を改めて認識した。(90歳代男性:妻と二人暮らし:難聴)
● 一時避難場所は家の前の駐車場になっており、ブロック塀もあり家も密集
していて崩壊の危険性もある。 (80 歳代女性:独居:杖歩行) ● このような訓練をこれまでにした経験がなかったが、繰り返し訓練を実施
することが大切であると思った。(70 歳代男性:妻と二人暮らし:足が少し
不自由) ● 元気なので特にしんどくなかった。リヤカーは、座ったら足が出て、下が
固い。(80 歳代男性:三男と同居:難聴)
愛媛県 みきゃん
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【支 援 者】
質問1 避難ルートは適切でしたか?
質問2 災害時要援護者の避難支援訓練をした感想はいかがですか?
避難準備情報とは 避難勧告とは
● 落下物の心配があるので、避難ルートの検討が必要だと感じた。 ● 車が通る道は危険。車の通らないところがよかった。 ● ルートとしてはよいと思うが、グレーチングで車椅子のタイヤが取られそう
になった。 ● 余り選択の余地はないが、一番広い道を通ったので適切だと思う。
● 現実に地震が起きた場合どうなるのか、また、その対応について日頃
から考えておく必要がある。 ● 担架の使い方が分からずに戸惑ってしまった。また、運びにくかった。 ● 担架の運び方が分からなかった。使い方についての説明をしてほしい。
緊張感や危機感がなかった。子どもがはしゃいでしまうので、その対
策がいる。 ● リヤカーの敷物が必要だと感じた。リヤカーの組立など、練習をして
いないといけない。天候、災害発生時間等にも左右されると思った。 ● これまでにこのような避難訓練をした経験がなく、避難の手順が分か
るなど非常に勉強になった。 ● 訓練を実施することで、近所の人と連携しながら避難することができ
るようになると思う。 ● 避難ルートに坂道を下る箇所があり、災害時要援護者が前のめりにな
らないか心配しながら移動した。車椅子に安全ベルトがあればよい。 ● 車椅子がない場合の災害時要援護者の運搬方法も検討しておくべきで
ある。 ● リヤカーが軽いので1人でも大丈夫。多少の坂道も苦にならなかった。 ● 訓練に参加したのは初めてだったが、近隣の人の協力は欠かせない。 ● 避難収容施設が狭い。 ● 訓練なので歩道を通ったが、狭くなっている場所もあってリヤカーが
通りにくかった。実際の避難のときは、車道を通ると思う。
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■新聞記事「平成 23 年 12 月 13 日付け愛媛新聞」
○松丸地区関係データ
組名 世帯数 男 女 人口 要援護者数
新 町 23 27 31 58 8
駅 前 23 32 30 62 4
本町1 19 12 18 30 5
本町2 24 28 30 58 0
本町3 27 28 26 54 3
東新町 15 17 27 44 1
西天満 19 17 26 43 1
東天満 26 11 22 33 6
礁 崎 35 33 44 77 4
向 井 98 93 111 204 8
祝 井 25 29 37 66 7
計 334 327 402 729 47
愛媛県
みきゃん
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■ 災害時要援護者避難訓練フローチャート
事前の準備
主催者 訓練日時 実施場所
(範囲) 被害想定 訓練内容
災害時要援護者避難訓練実施要領
役割の
決定
訓練シナリオの作成
要援護者・支
援者の打合
避難経路の確
認(歩いて)
資機材の
調達
住民への
広報
訓 練 当 日
災害発生
訓練開始
放送
要援護者へ情報
伝達・安否確認
一時避難場所
へ避難開始
避難収容施設
へ避難開始
避難収容施設到着⇒安否報告⇒訓練終了⇒講評
写真・記録を残し整理 問題点・改善点の洗い出し
次回開催の災害時要援護者避難訓練に反映
愛媛県 みきゃん
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【参 考 資 料】
■避難情報三類型の避難勧告等一覧
避難情報の種類 発令時の状況 住民に求める行動
避難準備情報
・ 要援護者等、特に避難行
動に時間を要する者が避
難行動を開始しなければ
ならない段階であり、人
的被害の発生する可能性
が高まった状況
・ 要援護者等、特に避難行動
に時間を要する者は、計画
された避難場所への避難
行動を開始(避難支援者は
支援行動を開始)
・ 上記以外の者は、家族等と
の連絡、非常用持出品の用
意等、避難準備を開始
避難勧告
・ 通常の避難行動ができる
者が避難行動を開始しな
ければならない段階であ
り、人的被害の発生する
可能性が明らかに高まっ
た状況
・ 通常の避難行動ができる
者は、計画された避難場所
等への避難行動を開始
避難指示
・ 前兆現象の発生や、現在
の切迫した状況から、人
的被害の発生する危険性
が非常に高いと判断され
た状況
・ 堤防の隣接地等、地域の
特性等から人的被害の発
生する危険性が非常に高
いと判断された状況
・ 人的被害の発生した状況
・ 避難勧告等の発令後で避
難中の住民は、確実な避難
行動を直ちに完了
・ 未だ避難していない対象
住民は、直ちに避難行動に
移るとともに、そのいとま
がない場合は生命を守る
最低限の行動
※ 自然現象のため不測の事態等も想定されることから、避難行動は、計画
された避難場所等に避難することが必ずしも適切ではなく、事態の切迫
した状況等に応じて、自宅や隣接建物の2階等に避難することもある。
出典:「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」(平成 17 年3月 集
中豪雨時等における情報伝達及び高齢者等の避難支援に関する検討会)
愛媛県 みきゃん
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実践避難訓練マニュアル
(災害時要援護者の方と共に)
平成24年2月 作成
(問い合わせ先)
愛媛県南予地方局総務県民課消防防災安全室
〒 798-8511 宇和島市天神町7番1号
電話 0895-28-6103
FAX 0895-22-0576