血管指標 avi apiを用いた動脈硬化の定量化...学術資料...

学術資料 血管指標 AVIAPI を用いた動脈硬化の定量化 健康館 鈴木クリニック 鈴木 和郎 先生 *本研究結果をもとに、当院ではAVI API の測定値を「血管いきいき度」として層別化し、 健診受診者に対する血管状態の把握と健康管理に役立てている(裏面参照)。 当院健診受診者対象に、 上腕カフにより られる 血管指標AV I、AP Iを測定 し、 受診者背景およ 同時測定 した健診結果をコホート 研究であるN I P P O N DATA 80にづく 健康度評価システム らし わせ、 両指標循環器疾患 リスク 判定する 有用性検討 した。 健診受診者 (2012 101 ~2014 96 )において、 判定可能なデータのられた年齢 2182 までの1,126 男性 :857 女性 :269 平均年齢 48.9 )。 対象より られた古典的 リスクマーカーである 患者特性 性別年齢喫煙有無収縮期血圧血糖値血清総コレステロール)をN I P P O N DATA 80 循環器疾患健康度評価チャートにはめ、 られた10 年以内循環器疾患死亡確率 以下疾患 リスク)を4 段階 ( 1%未満、1 3% 未満、3 7%未満、7%以上)に層別化 した。 に、 測定 した血管指標 AV I、AP I(以下判定値)の各階層分布調べ、 両指標循環器疾患 リスク判定する 有用性検討 した。 1. 層別化 された疾患 リスクとAV I、A P Iの分布はいずれも 比例傾向し、AV Iではリスク において良好感度られ、AP Iではリスク において良好感度られた。 2.さらに判定能基準るために、どちらの指標判定いるのが適切かを検討 した。その 結果被検者が60 歳未満場合はAV I 、60 歳以上場合はAPIを判定指標 とした場合に、 リスクと 関連性られた。 循環器疾患 リスクを層別化する 場合、AV I、AP Iの利用有効であると われた。今後 このような たな指標健診分野れられる 可能性示唆 された。

Upload: others

Post on 30-Mar-2020

9 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

学術資料

血管指標AVI、APIを用いた動脈硬化の定量化

健康館 鈴木クリニック

鈴木 和郎 先生

*本研究結果をもとに、当院ではAVI・APIの測定値を「血管いきいき度」として層別化し、 健診受診者に対する血管状態の把握と健康管理に役立てている(裏面参照)。

目 的

当院健診受診者を対象に、上腕カフにより得られる血管指標AVI、APIを測定し、受診者背景および同時に測定した健診結果をコホート研究であるNIPPON DATA80に基づく健康度評価システムに照らし合わせ、両指標の循環器疾患リスク判定に関する有用性を検討した。

対 象

健診受診者(2012年10月1日~2014年9月6日)において、判定可能なデータの得られた年齢21―82歳までの1,126名(男性:857名、女性:269名、平均年齢48.9歳)。

方 法

対象より得られた古典的リスクマーカーである患者特性(性別、年齢、喫煙の有無、収縮期血圧、血糖値、血清総コレステロール)をNIPPON DATA80循環器疾患健康度評価チャートに当てはめ、得られた10年以内の循環器疾患死亡確率(以下、疾患リスク)を4段階(1%未満、1― 3%未満、3― 7%未満、7%以上)に層別化した。次に、測定した血管指標AVI、API(以下、判定値)の各階層分布を調べ、両指標の循環器疾患リスク判定に関する有用性を検討した。

結 果

1.層別化された疾患リスクとAVI、APIの分布はいずれも比例傾向を示し、AVIでは低~中リスク群において良好な感度が得られ、APIでは高リスク群において良好な感度が得られた。

2.さらに判定能の高い基準を得るために、どちらの指標を判定に用いるのが適切かを検討した。その結果、被検者が60歳未満の場合はAVI、60歳以上の場合はAPIを判定指標とした場合に、疾患リスクと最も高い関連性が得られた。

考 察

循環器疾患リスクを層別化する場合、AVI、APIの利用が有効であると思われた。今後このような新たな指標が健診分野に取り入れられる可能性が示唆された。

資料No. SP65-049 ’16.3. SCR. E. 8648

AVI・APIは、(独)産業技術総合研究所、(独)理化学研究所、(株)志成データムの共同研究開発により提示された新たな血管指標です。

東京都新宿区西落合1-31-4 〒161-856003-5996-8000(代表) Fax 03-5996-8091

http://www.nihonkohden.co.jp/

この印刷物は、「植物油インキ」「水なし印刷」を使用しています。

本資料は、日本総合健診医学会第43回大会における発表内容を再編集したものです。(出典:「総合健診」Vol.42(2015)No.1 p.139)

発行

これらは血管が老化すると起きる怖い病気です。日頃からの予防が何より大切です。

●心臓の動脈が詰まる心筋梗塞

あなたの血管いきいき度を見てみましょう!

●脳動脈が詰まる脳梗塞 ●脳の血管が破裂する脳出血

59歳までの方は AVI、60歳以上の方は APIの数値を参考にしてください。

●本層別化は NIPPON DATA80のリスクチャートに準拠しています※。●本検査のみで病気の診断を行うものではありません。 ご自身の健康状態については、かかりつけ医の先生にご相談ください。※NIPPON DATA80 Research Group. Risk Assessment Chart for Death From Cardiovascular Disease Based on a 19 -Year Follow-up Study   of a Japanese Representative Population NIPPON DATA80. Circ J 2006 ; 70 : 1249 –1255

AVI・API測定結果から見る“血管いきいき度”

40

30

20

10

ちょっと心配な血管状態です。現在通院中でない方は、念のためお医者さんに診ていただくことをお勧めします。

血管に衰えがみえます。良い生活習慣を心がけるとともに、心配があればお医者さんに診ていただくことをお勧めします。

わずかですが、血管に衰えがみえます。良い生活習慣を心がけて、血管をいたわりましょう。

若々しい血管です。でも油断は禁物。良い生活習慣を続けて、いつまでも若い血管状態を保ちましょう。