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科研費改革の動向 平成29年7月26日 文部科学省研究振興局 学術研究助成課 0

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Page 1: 科研費改革の動向 - promotion-research.ctg.u-toyama ... · 予算規模は2,284億円(平成29年度予算) 科研費全体で ・新規応募約10万件に対し、採択は約2.7万件。継続課題と併せて、年間約7.5万件の研究課題を支援(平成28年度)

科研費改革の動向

平成29年7月26日

文部科学省研究振興局

学術研究助成課

0

Page 2: 科研費改革の動向 - promotion-research.ctg.u-toyama ... · 予算規模は2,284億円(平成29年度予算) 科研費全体で ・新規応募約10万件に対し、採択は約2.7万件。継続課題と併せて、年間約7.5万件の研究課題を支援(平成28年度)

~目次~

• 1. 科研費制度の概要等 • 2. 科研費改革の動向について

• 3. 柔軟かつ適正な研究費使用の促進 • 4. その他関連事項

• 5. 参考資料

1

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科研費制度の概要 ◇ 科学研究費助成事業(科研費)は、人文学・社会科学から自然科学まで全ての分野にわたり、基礎から応用までのあらゆる「学術研究」(大学等の

研究者の自由な発想に基づく研究)を対象とする唯一の競争的資金 ◇ 大学等の研究者に対し広く公募の上、応募課題について複数の研究者(延べ7,000人以上)が審査するピアレビューにより厳正に審査を行い、

研究費を支給 ◇ 予算規模は2,284億円(平成29年度予算) ◇ 科研費全体で ・新規応募約10万件に対し、採択は約2.7万件。継続課題と併せて、年間約7.5万件の研究課題を支援(平成28年度)

研究の性格

資金の性格

研究者の自由な発想に基づく研究 (学術研究)

【curiosity-driven research】

政策課題対応型研究開発 【mission-oriented research】

科研費による研究の推進

府省がそれぞれ定める 目的のための公募型研究

の実施

政府主導の 国家プロジェクトの実施

研究開発法人等における 戦略的な研究開発の推進

大学・大学共同利用機関等 における研究の推進

競争的資金等 (公募・審査による

課題選定)

基盤的経費等 (運営費の交付等)

科研費の位置付け

予算額 91,737 88,808 93,888 96,528 99,475 101,234

26,170 25,118 25,643 26,003 26,382 26,676

28.5% 28.3%

27.3% 26.9%

26.5% 26.4%

25.0%

26.0%

27.0%

28.0%

29.0%

30.0%

31.0%

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

H23年度 H24年度 H25年度 H26年度 H27年度 H28年度

新規応募件数 新規採択件数 新規採択率

(採択率) (件数)

※「科学研究費」:特別推進研究、特定領域研究、新学術領域研究、基盤研究、挑戦的萌芽研究、若手研究及び研究活動スタート支援について分類

科研費の応募・採択件数、採択率の推移

科研費の各研究種目の役割及び全体構成等

基盤研究(A)

特別推進研究

挑戦的研究 (開拓・萌芽)

新学術領域研究

基盤研究(B)

基盤研究(C)

若手研究(A)

若手研究(B)

基盤研究(S)

若手研究者の 自立支援 基盤研究の支援 新領域の形成

挑戦的研究

2,633 2,566

2,381 2,276

2,273 2,273 2,284

1,0001,2001,4001,6001,8002,0002,2002,4002,6002,800

億円

年度

科研費の予算額の推移

※H23年度から基金制度の導入。

H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 3

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億円

大学等の基盤的経費の推移

12,415 12,317 12,215 12,044 11,813 11,695 11,585 11,586 11,604 10,792 11,123 11,006 10,945

3,263 3,293 3,313 3,281 3,248 3,218 3,222 3,394 3,238

3,175 3,184 3,153 3,153

15,678 15,610 15,528 15,325 15,061 14,913 14,807 14,980 14,842

13,967 14,307 14,159 14,098

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28

国立大学法人運営費交付金 私立大学等経常費補助金

科研費の応募が増加している原因として、大学等の研究機関における運営費交付金等の基盤的経費の減少が背景。

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個人研究費等の実態について<アンケート結果の骨子>

■年間の個人研究費は、国公私大の別によらず、50万円未満が約6割、100万円未満が約8割。 ・ 分野や研究形態の別では理工系・生物系や実験系の約5割、人文社会系や非実験系の約8割が50万円未満。 ・ PIクラス(教授・准教授)についても、同様の傾向。

■10年前との比較では、個人研究費が減少した者は4割超、半減以下となった者も約2割。増加した者は約1割。 ・ 国立大学においては約6割が減少。 ・ 分野の別では理工系の減少傾向が顕著。

■科研費などのボトムアップ型研究費の予算増や採択率向上を求める声が強い。 ・ 競争的研究費の改革の方向性については、科研費採択率30%達成、科研費の基金化、ボトムアップ型研究費の予算増 を求める意見が多数。 ・ 科研費の予算規模の現状を「小さい」とする者が6割に対し、「大きい」とする者はわずか(2%)。

(n=3,646)

平成27年度に所属機関から配分を受けた「個人研究費」

14%

21%

25%

19%

18% 3% ~10万円

10~30万円

30~50万円

50~100万円

100万円以上

その他(分からない等)

調査の概要:科研費採択上位200大学等(国立:76、公立:26、私立:90、その他:11)に所属する研究者約1万名へのアンケート(平成28年7月実施、回答者3,646名)

「個人研究費」の定義 :所属機関から、当該研究者に対し、自由な研究活

動の実施及び研究室等の運営のために支給される資金(科研費等の外部資金や所属機関によって共通的に控除される経費を除く)。

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○第5期科学技術基本計画 (平成28年1月22日 閣議決定)

第4章 科学技術イノベーションの基盤的な力の強化 (2)知の基盤の強化 ① イノベーションの源泉としての学術研究と基礎研究の推進 ⅰ)学術研究の推進に向けた改革と強化 知のフロンティアが急速な拡大と革新を遂げている中で、研究者の内在的動機に基づく学術

研究は、新たな学際的・分野融合的領域を創出するとともに、幅広い分野でのイノベーション創出の可能性を有しており、イノベーションの源泉となっている。

このため、学術研究の推進に向けて、挑戦性、総合性、融合性及び国際性の観点から改革と強化を進め、学術研究に対する社会からの負託に応えていく。

具体的には、科学研究費助成事業(以下「科研費」という。)について、審査システムの見直し、研究種目・枠組みの見直し、柔軟かつ適正な研究費使用の促進を行う。その際、国際共同研究等の促進を図るとともに、研究者が新たな課題を積極的に探索し、挑戦することを可能とする支援を強化する。さらに、研究者が独立するための研究基盤の形成に寄与する取組を進める。加えて、研究成果の一層の可視化と活用に向けて、科研費成果等を含むデータベースの構築等に取り組む。このような改革を進め、新規採択率30%の目標を目指しつつ、科研費の充実強化を図る。

(後略)

政府の方針(学術研究・科研費関連部分)

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科研費改革が求められる背景・構造

グローバルな研究力競争の激化

(日本の存在感の低下)

大学の経営環境 …安定的な収入の減少(特に地方)

個人の研究環境 …カネ・スペース・時間の不足

→科研費が「命綱」に

科研費へのニーズの著増 ※応募件数 年率3.9%増加

科研費改革 量の充実

質の向上

採択率30%達成+充足率確保

①審査システムの見直し ②研究種目・枠組みの見直し ③柔軟かつ適正な研究費使用の促進

日本の学術研究への現代的要請 挑戦性、総合性、融合性、国際性

→ 分野・国境等のカベを超えた知の融合によるブレークスルーの創出

研究者のリスク回避傾向

短期的・内向き志向

負の影響

環境の劣化

第4期計画 第5期計画 (実績) (目標) 23兆円 26兆円 論文生産性の向上

研究資金の需要拡大

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◎学術研究が「国力の源泉」としての役割を果たすためには、次の4点への 対応が強く要請されている。

◆ 挑戦性 (研究者の知を基盤にして独創的な探究力により新たな知の開拓に挑戦すること)

◆ 総合性 (学術研究の多様性を重視し、伝統的に体系化された学問分野の専門知識を前提としつつも、 細分化された知を俯瞰し総合的な観点から捉えること)

◆ 融合性 (異分野の研究者や国内外の様々な関係者との連携・協働によって、新たな学問領域を生 み出すこと)

◆ 国際性 (自然科学のみならず人文学・社会科学を含め分野を問わず、世界の学術コミュニティにおけ る議論や検証を通じて研究を相対化することにより、世界に通用する卓越性を獲得したり新 しい研究枠組みを提唱したりして、世界に貢献すること)

出典:「学術研究の総合的な推進方策について(最終報告)」(平成27年1月科学技術・学術審議会学術分科会)

学術研究の現代的要請

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科研費改革の沿革

平成26年8月 研究費部会「我が国の学術研究の振興と科研費改革について」 →科研費改革の基本的な方向性を提言 平成27年1月 学術分科会「学術研究の総合的な推進方策について(最終報告)」 →学術研究を「国力の源」と位置づけ、現代的要請「挑戦性、総合性、融合性、国際性」を提唱 平成27年4月 「国際共同研究加速基金」創設 平成27年9月 文部科学省「科研費改革の実施方針」策定 →科研費改革の基本的な考え方・工程表を取りまとめ 平成28年1月 第5期科学技術基本計画(28~32年度)決定 →「学術研究の推進」を主要な柱として位置付け、新規採択率30%の目標設定 平成28年4月~5月 「科研費審査システム改革2018」に関する意見募集・説明会の開催 →審査区分を中心に1,600件以上の意見提出、改革の方向性については概ね賛同との意見。 平成28年12月 研究費部会「科研費による挑戦的な研究に対する支援強化について」 →種目体系の在り方、「挑戦的研究」の新設、若手研究者支援の充実、「特別推進研究」の見直し等を提言 平成29年1月 学術分科会「科学研究費助成事業の審査システム改革について」 →審査システムの抜本的な見直し(審査区分の大括り化、「総合審査」の導入等)を提言 平成29年1月 文部科学省「科研費改革の実施方針」の改定 10

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1.改革の基本的な考え方 ○ これまでの累次の制度改善の成果と課題を踏まえ、学術の現代的要請(挑戦性、総合性、融合性、国際性)により的確に対応し、政策目標に留意しつつ成果創出の最大化を図るため、科研費の基本的な構造をはじめとする抜本的な改革を行う。

○ 学術研究の多様性の確保、研究者の自由な発想に基づく研究を尊重する観点から、それらを担保する公正・透明なピアレビューについて、その信頼性の維持・向上のため不断の改善を図る。

○ 審査システムについては、各研究種目の性質に応じて審査区分の大括り化及び総合審査方式の導入などを実施することを通じ、より競争的な環境の下、多角的な観点から優れた研究課題を見いだせるようにする。併せて審査の質を確保しつつ、審査方式の合理化等を図る。

○ 研究種目・枠組みについては、学術の現代的要請やイノベーションをめぐる動向に対応し、研究者が、学術研究を継続的に深化・発展させることができるよう、それぞれの役割・機能分担を一層明確化する観点から、所要の見直し・改善を行う。その際、制度の簡素化について併せ検討を行う。

○ 研究種目・枠組みの再構築に当たっては、学術の変革に向けて、あらゆる研究者が新たな課題を積極的に探索し、それに挑戦することができるよう支援を強化する。また、適切な時期における研究者の流動・独立を促進し、安定的な研究基盤の形成に寄与する。その際、若手研究者への支援を総合的に推進する。

○ オープンサイエンスの動向に適切に対応し、研究成果及びそれに係る評価結果を積極的に発信し、その可視化を進める。併せて、他の公的研究費制度との適切な連携に留意する。

○ 研究費の使い勝手の改善やアワードイヤーの実現等により研究成果を最大化するため、各研究種目の性質に応じて基金化を促進するとともに、競争的研究費改革の動向を踏まえ、使途の柔軟化や研究設備・機器の共用促進などについて適切に対応する。併せて研究費の取扱いルールを徹底し、不正の防止と不正に対する厳正な対応を期す。

○ 科研費の規模については、「イノベーションの源泉」としての学術研究の今日的意義、研究機関内で措置される個人研究費の縮減傾向、市場原理の下での学術研究に対する民間投資の限界等を踏まえ、公的研究費における比重を堅持し、その充実・強化を図る。

○ 科研費の充実・強化に当たっては、それぞれの研究種目の性質や個々の計画への適切な配分(充足率等)に留意しつつ、新規採択率の全体目標(30%)の達成を目指す。

科研費改革の実施方針 (1/2)

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科学技術・学術審議会学術分科会 平成27年9月29日 了承 平成29年1月27日 改定

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2.改革の工程・進め方 ○ 平成30年度助成(平成29年9月公募)から新たな審査システムへ円滑に移行することを目指し、各種の先導的取組を含め系統的な取組を進める。その際、研究機関・研究者の十分な理解が得られるよう、適切な時期・方法により説明を行うなど必要な配慮を行う。

○ 各研究種目の現況を点検・評価の上、新たな審査システムへの移行と同期させて確実に実行すべきもの、それ以降第5期科学技術基本計画の期間中に対応するもの等を整理し、適切な優先順位の下、順次取組を進める。

○ 科研費改革の効果が十分に発揮されるよう、競争的研究費改革及び大学改革の全体状況を踏まえ、適時適切な対応をとる。 ○ 科研費改革に対する各界の理解と支持が得られるよう、科研費の成果を広く発信していく。また、学術コミュニティをはじめとする各界の意見・要望を受け止め、科研費改革のPDCAサイクルが十分に機能するような体制をとる。

○ 以上を前提とし、①審査システムの見直し、②研究種目・枠組みの見直し、③柔軟かつ適正な研究費使用の促進、の柱の下、諸課題について工程表に基づき計画的・総合的に取組を推進する。

3.その他 ○ 本実施方針については、諸般の情勢変化や科研費改革の進捗状況に応じ、適当な時期に改定する。 ○ 本実施方針の改定に当たっては、科学技術・学術審議会学術分科会の議を経るものとする。

科研費改革の実施方針 (2/2)

(参考)科研費改革の実施方針:文部科学省ホームページに掲載http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/02/16/1362788_03.pdf

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科研費改革の工程表(1/3) 平成30年度~32年度

審査単位・区分の見直し ・創造性に富む競争的環境の形成 ・学問分野の多様性・広がりへの柔軟な対応

1.審査システムの見直し

「分科細目表」の見直し(大括り化等) 「科研費審査システム改革2018」の実施準備

新たな「審査区分表」の定着、不断の見直し

審査方式の見直し ・より丁寧な審査方式の導入

新たな審査方式の定着

一部種目における本格実施

一部種目における総合審査方式の先行実施

・審査方式の合理化

・審査結果の取扱いの改善

「特設分野研究」における審査結果のフィードバックの試行

応募プロセスの見直し ・重複制限の改善

重複制限の検証、新種目体系への移行に向けた検討

・応募件数の増加への対応

審査体制の充実・強化

審査単位・区分や審査方式の見直しに合わせた体制の構築 (適格な審査員の持続的な育成・確保方策の検討と実施)

新たな審査方式に即した体制強化

第5期科学技術基本計画(平成28~32年度)

「特設分野研究」「時限付分科細目」「複数細目審査」の見直し

2段階書面審査方式の検討

「新学術領域研究」審査業務の一元化の検討

一部種目におけるプレスクリーニングの試行

~平成29年度

プレスクリーニングの本格実施

改善策の検討、実施

新制度に よる審査

(平成32年度助成)

新制度における応募プロセスの検証 (重複緩和の可能性、審査負担の変化等)

平成30年度助成

(平成29年9月公募)

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平成30年度~32年度

第5期科学技術基本計画(平成28~32年度)

~平成29年度

研究種目の再構築 ・研究種目の相互関係の再整理

・大規模研究種目の改善

新たな体系の本格実施 (種目の性質に応じた採択率・充足率の改善)

・若手研究種目の改善

・挑戦的研究への支援の強化

国際化への対応 ・国際共同研究の加速

「国際共同研究加速基金」プログラムの推進・フォローアップ (①国際共同研究強化、②国際活動支援班、③帰国発展研究)

プログラムの検証、改善策 (応募要件の見直し等)の検討・実施

一部種目における試行

・審査・評価の国際化

「新学術領域研究」の検証・改善策の検討

新制度への移行

公募

種目体系の見直し (「学術変革研究」種目群の創設等)

「若手支援プラン」の本格実施 新たな種目体系・制度の定着、重点種目の採択率向上等 ※応募要件の見直し、「若手研究(A)」の新規公募停止に

関しては、平成31年度助成までは経過措置を適用

「挑戦的研究」の新設 新種目の定着、フォローアップ

「特別推進研究」における海外レフェリー制度の改善

2.研究種目・枠組みの見直し

「特別推進研究」の見直し

独立支援策の検討

「若手研究(B)」の充実策の検討

応募要件の見直し

「若手支援プラン」の策定、実施準備 ・新応募要件の決定・

周知 ・「若手研究(A)」の新

規公募停止 ・独立支援策の試行 ・「若手研究(B)」の充

実、基盤研究種目へのステップアップ促進

新制度への定着、他の研究費制度との連携等に係る検討

新体系への移行

新種目による助成

科研費改革の工程表(2/3)

平成30年度助成

(平成29年9月公募)

(平成32年度助成)

「若手研究(A)」の見直し

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平成30年度~32年度

第5期科学技術基本計画(平成28~32年度)

~平成29年度

「学術研究助成基金」等の充実 3.柔軟かつ適正な研究費使用の促進

競争的研究費改革への対応

研究不正・研究費不正への厳正な対応

基金の充実に向けた検討・実施 使い勝手の検証

基金対象種目の見直し (「国際共同研究加速基金」「特設分野研究基金」「挑戦的研究」の創設)

全体方針を踏まえた科研費制度としての取組の検討・実施 (政府内のルールの共通化、研究費の使途柔軟化、設備等の共用

促進等)

取組の定着

調整金制度等の活用促進

2.研究種目・枠組みの見直し

研究成果・評価の可視化 ・オープンアクセスの動向への対応

全体方針を踏まえた改善策の検討・実施 JSPSにおけるポリシー策定

・他の研究費とのシームレスな連携 一部種目での重複制限ルールの 実施

FMDBとの連携、改善策の検討・実施

審査・評価の改善策の検討

改善策の実施 KAKEN DBの充実、改善策の検討・実施

論文オープンアクセスの推奨

ガイドラインを踏まえた不正防止策の実施・改善 (実地検査、研究倫理教育の推進等)

科研費改革の工程表(3/3)

平成30年度助成

(平成29年9月公募)

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科研費改革の三本柱

1 審査システムの見直し (平成30年度助成~) 大括り化した新「審査区分表」の適用、「総合審査」等の本格実施

2 研究種目・枠組みの見直し (平成29年度助成~) 「挑戦的萌芽研究」の発展的見直し

(平成30年度助成~) 「特別推進研究」、「若手研究(A)」の見直し・新制度の実施等

3 柔軟かつ適正な研究費使用の促進

【参考】 「科研費改革の動向」 について 文部科学省 科研費ホームページ 科研費改革の動向 http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/1362786.htm

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審査システムの見直し

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「科研費審査システム改革2018」の概要

「総合審査」方式-より多角的に-

個別の小区分にとらわれることなく審査委員全員が書面審査を行ったうえで、同一の審査委員が幅広い視点から合議により審査。 ※基盤研究(S)については、「審査意見書」を活用。 ・特定の分野だけでなく関連する分野からみ て、その提案内容を多角的に見極めること により、優れた応募研究課題を見出すこと ができる。 ・改善点(審査コメント)をフィードバック し、研究 計画の見直しをサポート。

最大400余の細目等で 公募・審査

中区分(65)で公募 小区分を複数集めた審査区分

小区分(306)で公募 これまで醸成されてきた多様な

学術に対応する審査区分

大区分(11)で公募 中区分を複数集めた審査区分

科研費の公募・審査の在り方を抜本的に見直し、 多様かつ独創的な学術研究を振興する

細目数は321、応募件数が最多の 「基盤研究(C)」はキーワードにより さらに細分化した432の審査区分で審査。

若手研究(A) (B)

基盤研究(S) 基盤研究(A) (B) (C)

若手研究

基盤研究(B) (C)

基盤研究(S)

・ほとんどの研究種目で、細目ごとに同 様の審査を実施。 ・書面審査と合議審査を異なる審査委員 が実施する2段審査方式。 ※「挑戦的萌芽研究」を発展・見直し、平成29年度公募から新設した「挑戦的研究」では、「中区分」を使用すると ともに「総合審査」を先行実施。

「2段階書面審査」方式-より効率的に-

同一の審査委員が電子システム上で2段階にわたり書面審査を実施し、採否を決定。 ・他の審査委員の評価を踏まえ、自身の評 価結果の再検討。 ・会議体としての合議審査を実施しないため 審査の効率化。

現行の審査システム(平成29年度助成)

新たな審査システムへ移行

「分科細目表」 を廃止

新たな審査区分と審査方式 平成30年度助成(平成29年9月公募予定)~

基盤研究(A)

挑戦的研究

注)人文社会・理工・生物等の「系」単位で審査を行っている大規模研究種目(「特別推進研究」、「新学術領域研究」)の審査区分は基本的に現行 どおり実施する。審査方式については、当該種目の見直しの進捗を踏まえて逐次改善する予定。 18

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科学研究費助成事業の審査システム改革について【抜粋】(1/3) (平成29年1月17日科学技術・学術審議会学術分科会)

3 審査システム改革の内容等 (1)改革の内容 現行の「分科細目表」は、本来科研費の審査区分を示すものであり、学問分野の体系化を趣旨としたものではなく、また、大学の学科・専攻や学会の分野などに基づいているものでもない。この点を明瞭にするために、現行

の「分科細目表」を廃止し、新たに「審査区分表」を作成することとした。

「審査区分表」は、応募者が審査を希望する関連分野を柔軟に選択できるよう、研究種目に応じた審査区分(「小区分・中区分・大区分」)を設定し、また、審査区分と一体的に運用している審査方式についても研究種目の特性に応じた新しい方式を採用することとした。以下、これら審査区分および審査方式の見直しや関連措置を含め、平成30 年度助成以降の新審査システムへの移行に係る取組全体を「科研費審査システム改革2018」と呼び、その内容を示す。 なお、「審査区分表」は、学術研究の動向を把握して、5年程度での定期的な見直しを念頭に置きつつ、軽微な内容については柔軟に対応を進めていくこととする。

-「科研費審査システム改革2018」の要諦- 個人の自由な発想に基づく多様な学術研究の一層の振興を図るために、学術の特性を踏まえ、以下のように科研費の審査システムの見直しを行った。 〇 平成30 年度助成(平成29 年9月公募予定)からの審査は、「小区分・中区分・大区分」で構成される新しい審査区分で行う。それに伴い、現行の「系・分野・分科・細目表」は廃止し、新しく「審査区分表」を設定する。 〇 「基盤研究(B・C)」、「若手研究」の審査は306 の「小区分」で行い、「2段階書面審査」により採否を決定する。 〇 「基盤研究(A)」及び「挑戦的研究(開拓・萌芽)」の審査は65 の「中区分」で行い、「総合審査」により採否を決定する。 〇 「基盤研究(S)」の審査は11 の「大区分」で行い、「総合審査」により採否を決定する。

19

文科省HP掲載箇所 http://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/detail/__icsFiles/afieldfile/2017/01/19/1367698_01.pdf

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科学研究費助成事業の審査システム改革について【抜粋】(2/3) (平成29年1月17日科学技術・学術審議会学術分科会)

① 「基盤研究(B・C)」等の審査区分(小区分)及び審査方式について ○ 「基盤研究(B・C)」、「若手研究」のように現行の審査システムにおいて、1細目当たりの応募件数が多い研究種目については、学術研究の多様性に配慮し、これまでに醸成されてきた多様な学術研究に対応する審査区分として306の小区分を設定する。その際、小区分が固定化されたものではなく、学術研究の新たな展開や多様な広がりにも柔軟に対応できるよう、それぞれの小区分は、「○○関連」とし、応募者の選択の自由を確保する。 ○ 小区分には、応募者が小区分の内容を理解する助けとなるよう、「内容の例」を付す。各小区分の「内容の例」は、概ね10個程度とするが、本来的には各小区分の内容は今回の「内容の例」として列記されたものに限定されるものではなく、そのことを示すため、「内容の例」として列記された事項の後に「など」を加える。 ○ 小区分では「2段階書面審査」により採否を決定する。「2段階書面審査」においては、電子システムを利用して、書面審査を2段階にわたって行う。1段階目においては、審査委員全員が全ての応募研究課題を審査する。この1段階目の審査結果に基づき採否のボーダーライン付近となった研究課題のみを対象として、同一の審査委員が2段階目の審査を行い、改めて評点を付す。その際、当該小区分の全ての審査委員の1段階目の審査意見等を参考とする。 ○ 「2段階書面審査」では、採択候補研究課題の選定までの審査すべてを電子システムにより実施することに鑑み、審査結果を確認する委員会の設置を検討する。

20

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科学研究費助成事業の審査システム改革について【抜粋】(3/3) (平成29年1月17日科学技術・学術審議会学術分科会)

②「基盤研究(A)」等の審査区分(中区分)及び審査方式について ○ 「基盤研究(A)」や「挑戦的研究(開拓・萌芽)」については、その研究種目の目的や性格に応じてより広い分野において競争的環境下で優れた研究課題の選定ができるよう、いくつかの小区分を集めた広さの65の中区分を設定する。なお、中区分の設定に当たっては、学術研究の多様性に配慮しつつ、相対評価ができることを基本とし、総合的な観点からの適切な審査ができることに留意する。 ○ 各中区分にはいくつかの小区分を付しているが、その内容は当該中区分に含まれている小区分の内容だけに縛られない。そのことを示すために、各中区分には「〇〇及びその関連分野」との説明を付し、応募者が自らの判断により、小区分にとらわれず中区分を選択できるようにする。 ○ 中区分においては、「総合審査」を実施し、応募件数が多い場合には、「総合審査」が実施可能な件数となるよう、応募研究課題の概要版によるプレスクリーニング(事前の選考)や応募研究課題の機械的分割を活用し、審査を行う。 ○ 審査委員は、各中区分に含まれている小区分の個別内容にとらわれることなく、研究計画調書に基づき、総合的な観点から当該区分の審査を行う者とする。また、審査委員の人数は、そうした審査が適切に行えるよう設定する。 ○ 審査委員は、全ての応募研究課題について書面審査を行った上で、同一の審査委員が合議審査の場で各応募研究課題について幅広い視点から議論し、審査する。これにより、特定の分野だけでなく、関連する分野から見て、その提案の創造性、独自性、実行可能性を多角的に見極めることにより、優れた研究課題を見出すことができると期待される。 ○ 審査終了後には、応募者に対し、「総合審査」の特質を活かして、研究計画に係る具体的な審査結果の所見のフィードバックを行う。これにより、応募者の今後の研究に資することが期待される。 21

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大区分A

中区分1:思想、芸術およびその関連分野

小区分 内容の例

01010 〔哲学および倫理学関連〕

哲学一般、倫理学一般、西洋哲学、西洋倫理学、日本哲学、日本倫理学、応用倫理学

01020 〔中国哲学、印度哲学および仏教学関連〕

中国哲学思想、インド哲学思想、仏教思想、書誌学、文献学

審査区分表(中区分・大区分一覧 抜粋)

審査区分表(小区分一覧 抜粋)

小区分 内容の例 対応する中・大区

分 中区分 大区分

01010 〔哲学および倫理学関連〕

1 A 哲学一般、倫理学一般、西洋哲学、西洋倫理学、日本哲学、日本倫理学、応用倫理学

01020 〔中国哲学、印度哲学および仏教学関連〕

1 A 中国哲学思想、インド哲学思想、仏教思想、書誌学、文献学

平成30年度助成(平成29年9月に公募予定)からは、「分科細目表」に代わって新たな「審査区分表」に基づき審査を実施します。 審査区分は、研究種目に応じて、小区分、中区分、大区分の3つの区分からなりますが、審査区分表は、審査区分表(総表)、審査区分表(小区分一覧)、審査区分表(中区分・大区分一覧)からなり、総表を基に、審査区分の全体像を把握することができます。 さらに詳しい内容については、小区分一覧、中区分・大区分一覧を確認の上、応募する審査区分を選択することになります。

※一部の小区分は複数の中区分に属しており、応募者は自らの研究計画に応じて最も相応しいと思われる中区分を選択できます。 (一部中区分も、複数の大区分に属しています。)

中区分は基盤研究(A)、

挑戦的研究の審査区分です。

小区分には内容の例が付してありますが、応募者が小区分の内容を理解する助けとするためのものです。

大区分A

中区分1 :思想、芸術およびその関連分野

小区分

01010 哲学および倫理学関連

01020 中国哲学、インド哲学および仏教学関連

01030 宗教学関連

01040 思想史関連

審査区分表(総表 抜粋)

小区分は審査区分の基本単位であり、基盤研究(B、C)、若手研究の審査区分です。

大区分は基盤研究(S)の審査区分です。

「審査区分の見直し(科研費審査システム改革2018)」について

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【現 行】 【改革後】 分科 細目名

脳科学 基盤・社会脳科学

脳計測科学

人間情報学 認知科学

神経科学 神経解剖学・神経病理学

境界医学 疼痛学

内科系臨床医学 神経内科学

小区分

中区分

ブレインサイエンス およびその関連分野

基盤脳科学関連

認知脳科学関連

病態神経科学関連

「細目」を選択して応募 (全種目共通)

応募者 応募者

大括り

「小区分」を選択して応募 (小型種目(2000万円以下)等)

「中区分」を選択して応募 (大型種目(2000万円以上)等)

審査区分の大括り化のイメージ(「脳科学」分野の例)

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P Q

○ 書面審査、合議審査による二段審査制(書面審査、合議審査は別の審査委員が実施)。 ○ 書面審査は、細目毎に4名又は6名の審査委員が専門的見地から個別に審査。 (※電子システム上で実施し、他の委員の評価を参照不可。)

○ 合議審査は、より幅広い分野から細目ごとに実施された第1段審査結果(評点、審査意見等)を基にして、3~5 名程度の審査委員が実施(※細目毎に集計された書面審査結果を尊重し、採否のボーダーラインを中心に審査。)。

※書面審査とは別の審査委員

書面審査(細目等432) 合議審査(細目を複数束ねた分科ごと(79))

【H29年度公募まで適用(旧)】 現行方式(二段審査制)の概要 -基盤研究の例-

書面審査 集計結果

A B C 応募 書類

応募 書類

応募 書類

細目①

H I J 応募 書類

応募 書類

応募 書類

細目②

細目③

細目④

D

K 応募 書類

応募 書類

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別紙2

「総合審査」の概要

1課題あたり、より幅広い分野にわたって(「中区分」ごと)配置された複数名の審査委員が電子システム上で書面審査(相対評価)を実施。

書面審査の集計結果をもとに、書面審査と同一の審査委員が合議によって多角的な審査を実施し、採否を決定。

<審査委員>

A B C

D

E F G

H

書面審査 結果

採否を決定

<審査委員>

A B C D

E F G H

応募 書類

応募 書類

応募 書類

応募 書類

応募 書類 応募

書類

応募 書類

応募 書類

書面審査(中区分、大区分ごと) 合議審査(中区分、大区分ごと)

「基盤研究(S)」、 「基盤研究(A)」、「挑戦的研究」については、幅広い分野の審査委員が、電子システム上で書面審査を行った上で合議審査を行う「総合審査」を実施する予定。 (「挑戦的研究」については、平成29年度助成において先行実施)

【「総合審査」のイメージ】

具体的な運営方法については、引き続き検討。 25

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1課題あたり、「小区分」ごとに配置された複数名の審査委員が電子システム上で書面審査を(相対評価)を実施。

1段階目の書面審査の集計結果をもとに、他の委員の審査意見も参考に電子システム上で2段階目の評点を付し、採否を決定(審査委員は1段階目と同一)。

A B C D

応募 書類

応募 書類

応募 書類

応募 書類

A B C D

<電子システム>

採否を決定

(1段階目の書面審査の結果) ・ボーダーライン付近の研究課題 ・他の審査委員の審査意見

別紙2 「2段階書面審査方式」(変更後)の概要

「基盤研究(B・C)」、「若手研究」については、同一の審査委員が電子システム上で2段階にわたって書面審査を実施する「2段階書面審査」により審査を実施する予定。

1段階目の書面審査(小区分ごと) 2段階目の書面審査(小区分ごと)

【「2段階書面審査方式」のイメージ】

別途、審査結果を確認する委員会の設置を検討。 具体的な運営方法については、引き続き検討。 26

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新たな応募書類(研究計画調書)について 新たな審査システムへの移行に伴い、できるだけ、応募書類(研究計画調書)や審査基準の見直しも行いました。平成30年度公募からは新たな応募書類を使用することになりますので、詳しくは、9月頃に公開される公募要領をご確認ください。 ※平成30年度公募で使用する研究計画調書は、枠線・罫線等を削除するとともに、電子システムでの入力項目を増やすことで作成の手間を削減する予定です。

研究計画調書の主な記載内容(「基盤研究A」)の抜粋 ※検討イメージ

本研究計画調書は「中区分」の審査区分で審査されます。記述に当たっては、「科学研究費助成事業における審査及び評価に関する規程」(公募要領●頁参照)を参考にしてください。 本欄には、本研究の目的と方法などについて記述してください。 冒頭にその概要を簡潔にまとめて記述し、本文には、(1)本研究の学術的背景、研究課題の核心をなす学術的「問い」、 (2)本研究の目的および学術的独自性と創造性、 (3)本研究をどのように、どこまで明らかにしようとするのか、 について具体的かつ明確に記述してください。 本研究を研究分担者とともに行う場合は、研究代表者、研究分担者の具体的な役割を記述してください。

1 研究目的、研究方法など

2 本研究の着想に至った経緯など

本欄には、 (1)本研究の着想に至った経緯 (2)関連する国内外の研究動向と本研究の位置づけ (3)これまでの研究活動 (4)準備状況と実行可能性、 について記述してください。 なお、「(3)これまでの研究活動」の記述は、研究活動を中断していた期間がある場合にはその経緯等についての説明などを含めても構いません。

※上記の他、記載内容については以下の変更等を行う予定です。

3 研究代表者および研究分担者の研究業績

<変更点> ・ 従前の様式では、過去5年の業績を中心に応募課題に関連するものについて記載を求めていたことを改め、応募課題に関連するものに限らず、また発表年に関わらず、応募者にとって重要と考える業績を自由に記入できるように変更 ・ 従前の様式では、必要に応じて記入できるとしていた連携研究者は記入の対象から外す

4 人権の保護および法令等の順守への対応 5 研究計画最終年度前年度応募を行う場合の記入事項

6 研究費とその必要性 7 研究費の応募・受入等の状況

→ 特段の変更なし

<変更点> ・ 記入内容に基本的に変更はないが、応募者の利便性向上を図るため、電子申請システム上で入力するように変更

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研究種目・枠組みの見直し (1)「挑戦的萌芽研究の見直し (2)「若手研究」の見直し等 (3)「特別推進研究」の見直し

文科省HP掲載箇所 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/037/houkoku/1381248.htm

「科研費による挑戦的な研究に対する支援強化について」 (平成28年12月20日科学技術・学術審議会学術分科会研究費部会)

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(1)「挑戦的萌芽研究」の見直し (2)「若手研究」の見直し等

1.日本の研究をめぐる危機

2.研究種目の見直し

3.今後の検討課題

○ 我が国の学術研究にとって、新たな知の開拓に挑む「挑戦性」の追求が最重要課題。 ○ しかし、近年、以下のような問題が顕在化。 ・研究者の自由なボトムアップ研究をめぐる環境が劣化(基盤的経費の縮減、研究時間の減少など)。 ・短期的な成果を目指した研究が増加する一方、長期的視点に立った挑戦的な研究が減退。 ・軌を一にして、日本の論文生産の順位などにおける存在感の低下(過去10年でTop10%論文数 4位→10位)。 ⇒ 学術研究を支える唯一の競争的資金である科研費により、学術の枠組みの変革・転換を志向する挑戦的な研究を積極的に支援。学問の「たこつぼ化」を是正する審査システム改革との一体的な見直しを推進。

○ 「基盤研究」種目群を基幹としつつ、相補的な「学術変革研究」種目群等を再編・強化し、新たな体系へ。

○ 各種目の性格に応じた採択率・充足率のバランスを確保。

○ 学術に変革をもたらす大胆な挑戦を促すため、現行の「挑戦的萌芽研究」(~500万円)を発展させ、より長期的かつ大規模な支援を可能化。

⇒ 新種目「挑戦的研究」(~2000万円)を創設。【平成29年度助成から】

…論文等の実績よりもアイディアの斬新性等を重視。

…大括り化した審査区分の下、合議を重視した「総合審査」を先行実施。

…真に挑戦的な研究課題を厳選、その実行を担保する十分な資金を配分。

…計画の柔軟な変更を可能とするため、基金制度を適用。

○ オープンな場での切磋琢磨を促すた

め、大型の「若手研究(A)」を「基盤研究」に統合。【平成30年度助成から】

○ 若手の基盤形成を幅広く支援するため、小型の「若手研究(B)」を充実。

○ 研究者としての独立に必要な研究基盤整備のため、所属機関と連携した重点支援の仕組みを新設。

○ 「若手研究」の応募要件を博士号取得後8年未満の者に変更。

○ 上記の取組を中心に「若手支援プラン」を策定。

○ 分野間の資源配分や審査負担の在り方について検討。 ○ 「新学術領域研究」の見直しについて平成32年度助成を目標に検討。

(3)「特別推進研究」の見直し ○ 「挑戦性」を一層重視し、助成対象

の新陳代謝を促進(同一研究者の複数回受給を不可に)。【平成30年度助成から】

「学術変革研究」 種目群

特別推進研究

「若手研究」種目群

「基盤研究」 種目群

科研費による挑戦的な研究に対する支援強化について (平成28年12月20日科学技術・学術審議会学術分科会研究費部会)

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文科省HP掲載箇所 http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/037/houkoku/1381248.htm

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名称 「挑戦的研究(開拓)」 「挑戦的研究(萌芽)」 対象 一人又は複数の研究者で組織する研究計画であって、斬新

な発想に基づき、これまでにない新たな方式の創出など、学術の体系・方向の大きな変革・転換(トランスフォーマティブ・リサーチ)を志向し、飛躍的に発展する潜在性を有する研究計画。

(同 左) ※ 探索的性質の強いもの、あるいは芽生え期のものを含む。

助成総額 500万円~2,000万円 ~500万円 研究期間 3~6年間 2~3年間 採択件数・採択率

科研費全体の目標(採択率30%)にこだわらず、質を重視して件数を絞り込む。

(同左)

充足率 応募額を最大限尊重して配分(「基盤研究」種目群との相違を明確化)。

(同 左) ※ 応募額の100%を基本。

実績の扱い 論文等の実績よりも発想の斬新性等を重視。ただし、所要の研究遂行能力の確認のため、関連情報の提供を要請。

(同 左)

審査方式 「中区分」に準じた区分による総合審査とする。(開拓)と(萌芽)の審査委員は同一。 ※ 応募件数が多くなることが見込まれるため、プレスクリーニングが必要。

(同 左)

重複制限 当面、現行の「挑戦的萌芽研究」の重複制限に準じて措置 ※ 新審査システムへの移行後、「基盤研究」種目群との役割・機能分担を適切に反映したものに見直し。

(同 左)

○ 「挑戦的萌芽研究」を発展的に見直し、「挑戦的研究(開拓・萌芽)」の公募を平成29年度助成(平成28年9月公募)から開始。

【参考】平成27年度「挑戦的萌芽研究」の助成実績 3,952件(108億円 ※直接経費) ○ 本年4月時点では、引き続き審査継続中。(7月中旬頃交付内定予定)

「挑戦的萌芽研究」の見直し

「挑戦的研究」の基本的枠組み(研究費部会提言)

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「若手研究」の見直し等について(研究費部会提言より)

科研費による挑戦的な研究に対する支援強化について(平成28年12月20日科学技術・学術審議会学術分科会研究費部会)(抄) (3)「若手研究」の見直し等 ①「若手研究」の目的・意義の再確認 ・若手研究者の支援については、ポストの確保など大学等の研究機関による取組をはじめとし、若手研究者向けの研究費支援や、特別研究員事業等による経済的支援などの取組を総合的に推進していくことが必要である。 ・科研費においては、昭和43 年度以降、「奨励研究(A)」によって若手研究者を支援してきたが、平成14 年度に「奨励研究(A)」を改組する形で、「若手研究(A・B)」が創設された。平成28 年度においては39 歳以下の研究者を対象とし、継続課題を含め、1万6,116 件に対して約218 億円(直接経費)の助成を行っている。 ・「若手研究」の目的・意義は「経験の少ない若手研究者に研究費を得る機会を与え、研究者として良いスタートを切れるように支援すること」、そして、「若手研究者が十分に力を蓄えていない段階であっても、支援をすることにより、多様な試みの中から本当に育つべきものがしっかりとした足掛かりを得、将来の斬新な研究につながっていくようにすること」にあり、科研費の中でも若手研究者に限定した一定期間の特別な支援である。 ・この考え方は第5期研究費部会による「科学研究費補助金に関し当面講ずべき措置について(これまでの審議のまとめ)」(平成21 年7月16 日)に示されていたものであるが、「若手研究」による若手研究者支援を考える上で極めて重要な視点である。 ・今回の見直しに当たっては、こうした「若手研究」の目的・意義を再確認した上で、若手研究者に対する支援策について、科研費の制度全体として、他の関連諸施策との関係にも留意しつつ、パッケージとして打ち出していくことが重要である。こうした取組が可視化され、若手研究者の十分な理解を得て進められること、さらには、彼ら彼女らの励ましとなることを期待したい。 ・一方、若手研究者に対しては、「若手研究」が若手研究者に限定した一定期間の特別な支援であることを改めて認識するとともに、採択時には当該種目の目的・意義を最大限生かし、将来の斬新な研究につなげるべく不断の努力を怠らないよう求めたい。 31

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○ 39歳以下の研究者の採択率は、全研究者の採択率に比して高く、若手研究者は他の世代の研究者と十分に競っている状況。

⇒ よりよい競争的な環境を形成するため、平成30年度助成(平成29年9月)から「若手研究(A)」(~2000万円)の新規公募を停止し、「基盤研究」種目群等による支援に移行。

⇒ 経過措置(3年程度)として「基盤研究(B)」の審査において、若手研究者を優先的に採択する仕組みを導入。

「若手研究(A)」の見直し

○ 「若手研究(B) 」(~500万円)は、若手研究者が「基盤研究」等へ円滑にステップアップするために、実績と経験を積み、研究者としての基盤の形成を促進する種目という位置付けを明確化しつつ、他の種目に優先して採択率の確保・向上を図る(30%超)。

○ 規模の大きい「基盤研究(B)」等への移行を促進するため、最終年度前年度応募の仕組みを弾力化。

「若手研究(B)」の充実

○ 研究室を主宰する研究者として研究活動を行おうとする際の当該所属機関による研究環境の整備が困難となっている状況。

⇒ 所属機関による研究基盤整備計画の実施を条件とした、独立支援の仕組みを科研費の中に導入。 ※ 科研費の新規採択・交付を受ける者のうち、研究室の主宰者となる直前・直後の研究者に対して、所属機関が

研究基盤整備を主体的に実施した後に、科研費の追加交付を可能とする制度。

若手研究者等の独立支援

○ 年齢基準(39歳以下)から、若手研究者のキャリア形成に係る多様なニーズに的確に応え、博士人材育成に資する観点から、「若手研究」の応募要件を博士号取得後8年未満の者に変更。

※ 育児休業等の期間を特例として不算入。39歳以下の博士号未取得者も当面は対象(3年程度の経過措置)。

支援対象の在り方

【参考】平成28年度助成実績 1,407件(65億円 ※直接経費)

【参考】平成28年度助成実績 14,709件(153億円 ※直接経費)

以下の取組を中心とする「科研費若手支援プラン」を策定、実行

「若手研究」の見直し等

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科研費若手支援プラン(CIO) -次代の学術・イノベーションの担い手のために-

【基本的な考え方】 博士人材育成と軌を一つにして、研究者のキャリアに応じた効果的な支援策を切れ目無く展開 → 目指す研究者・研究環境のイメージ:「より挑戦的に、より自律的に、より開放的に」”More Challenging ,More Independent, More Open” ※若手のロールモデルとなる中堅層への支援を含め、科研費を改革・強化

ポスドク 助教 准教授 教授 博士号取得

「研究活動スタート支援」 (~150万円/

年)

(10年程度経過)

「若手研究」(~500万円) ◆採択率30%超化 ◆充足率向上 ◆「基盤研究」への移行促進 (応募制限緩和) ◆重点的な独立支援

「挑戦的研究」【新設】(~2000万円) ◆新審査基準の導入(実績よりアイディアの斬新性を重視) ◆新審査システムの導入(分野の大括り化、合議重視)

「国際共同研究強化」(~1200万円)

「基盤研究」 基盤B (500~2000万円) ◆採択率30%達成 ◆若手を優先的に採択する枠組み

導入※「若手研究A」統合に伴う経過措置

基盤C (~500万円) ◆採択率30%超化 ◆重点的な独立支援

「特別研究員」 → 研究者の資質能力向上

「卓越研究員」 → 安定的ポスト確保

機関所属なし 機関所属あり

特色に応じた支援の大型化

研 究 費 政 策

人 材 育 成 政 策

挑戦的アイディアの涵養 オープンな場での切磋琢磨

研究室主宰者としての 円滑な独立

<

最大種目における新陳代謝の促進 >

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○「新しい学術を切り拓く真に優れた独自性のある研究」を重点的に支援するよう明確化。 ※「最先端の研究」の単なる継続・発展は対象外。 ○ 研究者の一世一代の挑戦を支援し、助成対象の新陳代謝を促進。 ※ 同一研究者による複数回の受給は不可(研究テーマが全く異なる場合は例外的に可)。 ○ より多様で幅広い評価を行うために審査方式を改善。 ※ 合議審査の更なる活性化(審査委員の少人数化、専門的な審査意見書の充実等)。 ※ 海外研究機関に所属する研究者(海外レフェリー)の活用を推進。

対象:国際的に高評価を得ている研究の一層の推進 研究期間:3~5年間 応募総額:5億円程度まで 助成規模:73件・56億円(平成28年度新規+継続) Top10%論文割合(H8-H22平均): 25% 複数回受給者の割合(H21-H27):25%

「特別推進研究」の概要

科研費の最大種目「特別推進研究」を、「挑戦性」を重視する観点から抜本的に見直し、成果創出の最大化を目指す(「基盤研究」種目群、「学術変革研究」種目群双方の性質を併せ持つ種目として位置付け)。

見直しのポイント

【今後の検討課題】 ○ 研究者・評価者の双方に過度な負担のかからないように配慮しつつ、採択後の評価の検討。 ○ 受給回数の制限を導入することから、所属機関又は他の公的研究費による措置に切れ目なくつなげる方策等の検討。

【平成30年度助成(平成29年度9月)から】

「特別推進研究」の見直し

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科研費改革の見通し -審査システム・研究種目の見直し等-

助成年度 研究種目

平成28年度 (平成27年9月公募)

平成29年度 (平成28年9月公募)

平成30年度 (平成29年9月公募予定)

平成31年度 (平成30年9月公募予定)

特別推進研究

新学術領域研究

基盤研究(S)

基盤研究(A)

挑戦的萌芽研究

基盤研究(B)

基盤研究(C)

若手研究(A)

若手研究(B)

注)人文社会・理工・生物等の「系」単位で審査を行っている大規模研究種目(「特別推進研究」、「新学術領域研究」)の審査区分は基本的に現行どおり。

新制度へ移行

新審査システムの詳細設計

平成31年度以降の制度改革に向け、研究種目の見直し

研究種目の見直し (挑戦性の重視、受給回数制限 等)

発展的見直し

「挑戦的研究」へ移行 (中区分・総合審査の先行実施)

研究種目の見直し (キャリア形成に即した適切な支援の在り方 等)

「若手研究」(※名称変更) (量的充実、独立支援の本格化 等)

大区分 +

総合審査

小区分

2段階 書面審査

中区分 +

総合審査

「科研費若手支援プラン」の推進 (重点種目の採択率向上等)

独立支援の試行

「基盤研究」へ統合

「科研費審査システム改革2018」

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採択率

必要な水準の確保 (最低70%以上)

採択率と充足率の関係(イメージ)

充足率

基盤研究(B) (71%, 25%)

基盤研究(A) (72%, 24%)

基盤研究(S) (84%, 15%)

特別推進研究 (98%, 13%)

応募額を最大限尊重

30% 若手研究(B) (62%, 30%)

新学術領域研究 (78%, 17%)

挑戦的研究

70%

括弧内左側:充足率、右側:採択率 ※採択率・充足率は平成28年度配分 結果に基づく

基盤研究(C) (73%, 30%)

採択率30%超, 最低限の充足率の確保

採択率30%の達成

挑戦的萌芽研究 (55%, 20%)

【廃止】

若手研究(A) (68%, 25%)

【統合】

【新設】

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■年度にとらわれずに研究の進展に合わせて研究費を使用できる制度の創設(平成23年度)

○ 小型種目(研究費500万円以下)を中心に基金化(その他は補助金で助成)。 →「基盤研究(C)」、「若手研究(B)」、「挑戦的萌芽研究」

○ 平成27年度より、国際共同研究の加速、挑戦的な研究の推進のため、基金化の対象を拡大。 →「国際共同研究加速基金」、「特設分野研究基金」

○ 平成29年度より、学術の枠組みの変革・転換を志向する研究を支援するため、基金化の対象を拡大。

→「挑戦的研究(萌芽)」

-基金化による効果-

◆ 研究の進展に合わせた研究費の柔軟な執行による、研究活動の活性化

◆ 「予算の使い切り」がなくなるなど、予算のより効果的・効率的な活用

◆ 研究者がより研究に専念しやすい環境の醸成

◆NISTEP定点調査2015◆ 「研究費の基金化」は、充分度に関する指数値が最大(2011年度から2015年度まで連続1位)。

出典「科学技術の状況に係る総合的意識調査(NISTEP 定点調査2015)報告書」(2016年3月 文部科学省科学技術・学術政策研究所) ※ 1500名の研究者等を対象に、研究人材、研究環境等の状況について質問調査を行ったもの(平成23年~27年度の5年間にわたって実施)。

基金化の意義と進展

質問 指数 理由

研究費の基金化は、研究開発を効果的・効率的に実施するのに役立っているか

・ 自由度が増し、不測の事態に対応できる ・ 過去3年の経験から、基金化による年度末の無駄な出費・労力を軽減できることを経験 ・ 年度ごとの予算の使い切りを気にしなくてよいため、研究期間内でフレキシブルな運用ができる 等

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■制度のルールを理解した柔軟な研究費の使用 ⇒基金種目や調整金制度のルールに沿った柔軟な研究費使用を可能にすることで、研究成果の最大化や研究費の無駄 な使いきりや不正使用の防止にもつながります。

■合算使用による共用設備の購入 ⇒複数の研究費資金や科研費同士を合算して共用設備を購入することで、当初の計画よりも高機能な設備を導入する ことが可能になるなど、より効果的な研究費の使用が可能になります。

■科研費により購入した設備の学内外の研究者への共用 ⇒保有している設備について、他の必要としている研究者の使用が可能とすることで設備の有効活用が期待できます。

「科学研究費補助金等の適正な使用の確保に関する行政評価・監視結果に基づく勧告」(平成25年11月 総務省)(※)においては、大学等において、基金化の導入の趣旨に則った運用が行われていない事例が報告されています。 <参考> (http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/hyouka/hyouka_kansi_n/ketsuka.html)

各研究機関の事務担当者の方にお願いしたいこと(まとめ) (公募要領等説明会配付資料より抜粋)

研究者に、より優れた研究成果を上げていただくためには、制度についてのご理解を深めていただくとともに、研究機関の経理管理の体制整備など、事務担当者の方のご協力が不可欠ですので、ご協力をよろしくお願いします。

科研費制度では、以下のような取組により、研究費の使い勝手を向上させることで、研究者が研究により専念でき、優れた研究成果が創出されることを目指しています。

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本年3月24日付け、文科省高等教育局、研究振興局事務連絡として、研究費の管理・使用に係る「大学等における過度の“ローカルルール”の改善」に向けた事務連絡を発出

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「科研費に関するご意見・ご要望受付窓口」の設置

独立行政法人日本学術振興会において、科研費関連業務について研究者等 の意見・要望を取り入れた改善を進めるため 、科研費ホームページ上に「科研費に関するご意見・ご要望受付窓口」を設置。

(参考)科研費を含む競争的資金全般に関する意見・要望については、内閣府において受付窓口を開設しています。

内閣府URL:https://form.cao.go.jp/cstp/opinion-0098.html

日本学術振興会科研費ホームページ: https://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/index.html (日本学術振興会科研費ホームページに設置した受付 窓口のバナーから、専用フォームにリンク)

科研費に関するご意見・ご要望受付窓口

*意見フォームサンプル

受け付けた意見への回答も日本学術振興会の科研費ホームページで公開し、制度改善につなげていく予定。

意見区分 内容

1 科研費制度について

2 公募について(公募要領、研究計画調書の様式等)

3 審査・評価について

4 科研費の使用、各種手続きについて

5 その他

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研究計画調書の改善について 審査システムの見直しに加え、日本学術振興会の窓口への提出意見をも踏まえ、研究計画調書の様式・構成を逐次改善する予定。

【平成29年3月~】 「研究活動スタート支援」について、調書の様式中の罫線・枠線(※)を削除。 【平成29年9月~】 「基盤研究」等の種目全般について、調書の構成を新審査システムの趣旨を踏まえて整理(罫線・枠線の扱いは上記種目と同様)。 ※日本学術振興会に提出された意見の例 ・研究計画調書の記入時に罫線や枠線の調整に手間がかかる。

・記入すると罫線や枠線がずれて正しく表示されない。

*平成29年度「研究活動スタート支援」の 研究計画調書(イメージ)

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若手研究の応募要件の変更について

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・応募要件を博士号取得後8年未満の者とする。 なお、博士号未取得者(博士課程満期退学者を含む。)は、応募要件を充たさないこととする。 なお、応募時においては取得見込の者も可とする。 ・育児休業等(産前・産後休業・育児休業)を取得した者などについては、休業期間を考慮し、特例として取り扱う。 ・「若手研究」への応募要件見直しによる激変が生じないよう、39歳以下の博士号未取得者については、当面は応募を認める経過措置を設けることとする。 ・経過措置の期間については、新要件導入後3年程度とし、応募・採択の状況を踏まえて改めて検討(分野の特質を勘案する適否を含む)することとする。 ・同一研究者の受給回数は2回までとする。

平成30年度公募から「若手研究」の応募要件を変更。 それに伴い、e-Rad上の研究者登録手続きにおいて、「学位取得年月日(博士のみ)」の入力欄が新たに設けられる予定。登録手続きの詳細は研究機関宛7月頃にお知らせする予定。

○e-Radの研究者情報登録画面イメージ

○平成30年度公募以降の「若手研究」の応募要件

※「科研費による挑戦的な研究に対する支援強化について」 (平成28年12月20日 科学技術・学術審議会学術分科会研究費部会)

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研究者情報のresearchmapへの登録について

researchmap(旧称Read&Resarchmap)は日本の研究者総覧として国内最大級の研究者情報データベースで、登録した業績情報は、インターネットを通して公開することもできます。 また、researchmapは、e-Radや多くの大学の教員データベースとも連携しており、登録した情報を他のシステムでも利用することができるため、研究者の方が様々な申請書やデータベースに何度も同じ業績を登録する必要がなくなります。 現在、競争的資金制度全体でも応募・審査等において活用する方向で検討が進んでおりますので、researchmapに登録くださるよう、ご協力をお願いします。

<問い合わせ先> 国立研究開発法人科学技術振興機構 知識基盤情報部サービス支援センター(researchmap担当) Web問い合わせフォーム:https:researchmap.jp/public/inquiry/ 電話による問い合わせ:03-5214-8490 (受付時間:9:30~12:00、13:00~17:00)

○researchmapの画面イメージ

競争的資金の応募・審査等において使用する研究業績について、入力の手間を合理化するため、reaearchmapに登録された情報を活用していく予定ですので、研究者情報について登録いただくようお願いします。

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【日本の基礎科学力の揺らぎ - 三つの危機】

・論文数の伸びは停滞し、国際的なシェア・ 順位は大幅に低下 ・世界トップレベルの研究拠点を形成し、研究 成果はあがっているが、我が国全体に与える 影響は限定的 ・我が国全体の研究力強化のためには、「知の 集積」の場となる研究拠点群の厚みが不十分 ・基礎科学力の強化に向けて研究情報基盤等の 整備・充実が不可欠

「知の集積」をめぐる危機

・若手研究者の雇用が不安定化 ・研究者が短期の業績づくりや事務作業に追わ れ、独創性を発揮しづらい ・キャリアパスの不透明さ、経済負担などへの 不安 ・優秀な学生が研究者の道を躊躇・断念

次代を担う研究者をめぐる危機

・基盤的経費や自主的・自立的な研究を支え る研究費が減少 ・長期的な視野に立った独創的な研究への挑 戦や自主的・自立的な研究に専念すること が困難 ・研究者の研究時間の減少 ・競争的資金への依存が高まることによる、 研究費の途絶、研究の中断のリスク

研究の挑戦性・継続性をめぐる危機

○論文数の伸びは停滞し、国際的なシェア・順位は 大幅に低下 Top10%補正論文数 日本:4位→10位 Top1%補正論文数 日本:5位→12位

○新たな学際領域への参画の遅れや、国際共著論文数 の割合も小さく、日本の存在感が低下

○研究の価値を、すぐに役に立つか否かで考える価値観が根強く、真理探究の営みそのものに十分な価値を認めるには 至っていない ○基礎科学への関心も、日本人研究者のノーベル賞受賞時等の一時的な高まりに止まっている ⇒ 科学を「文化」として位置づけ、日常的な関心の対象とするとともに、社会・国民が基礎科学の発展を支援して いく機運の醸成が課題

○Top10%補正論文数及び共著形態の比較 英国 ドイツ 日本

国内論文

国際共著論文(2国間)

国際共著論文(多国間)

➤ 研究拠点群の劣化 ➤ 若手研究者の雇用・研究環境の劣化 ➤ 研究費・研究時間の劣化

【科学は「文化」として根付いているか?】

基礎科学は、新たな知を創出、蓄積し持続的なイノベーションによる社会経済の発展の源泉となるものであり、その振興が極めて重要であることは論を俟たない

研究者の目線に立って、学術研究・基礎研究の振興や若手研究者支援の強化に向けて、具体的な対応策を検討

【経緯】

基礎科学力の強化に向けて - 「三つの危機」を乗り越え、科学を文化に - (概要)

(平成29年4月24日 文部科学省 基礎科学力の強化に関するタスクフォース)

出典:「科学研究のベンチマーキング2015」 (平成27年8月、科学技術・学術政策研究所)

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基礎科学力の強化に向けて - 「三つの危機」を乗り越え、科学を文化に - (概要)

(平成29年4月24日 文部科学省 基礎科学力の強化に関するタスクフォース)

基盤的研究費の適切な措置に向けた基盤的経費の拡充や、研究者の自由かつ大胆な挑戦への支援を図る科研費改革の推進

●新規採択率30%達成、●「科研費若手支援プラン」の実行、 ○若手を支援する「グローバルチャレンジファンド(仮称)」の創設の検討

イノベーションの創出に向けた戦略的な基礎研究の推進 ○民間投資を呼び込む産業界との連携、 ○指導的立場にある優れた研究者との協働等を通じて若手研究者等の活躍を促進

研究をめぐる制度やルールの見直し

世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)の充実 ●強い基礎科学力により産業界から大規模投資の呼び込み、●WPI発の成果の波及 特定の研究分野で我が国をリードし、世界と競争できる研究拠点の形成 ○次世代の研究者を養成 研究情報基盤等の充実 ●ビッグデータに対応した情報ネットワークの強化

研究の挑戦性・継続性をめぐる危機 -研究費・研究時間の劣化-

次世代を担う研究者をめぐる危機 -若手研究者の雇用・研究環境の劣化-

知の集積をめぐる危機 -研究拠点群の劣化-

優秀な者が研究者を目指すための支援の充実 ●「若手研究者海外挑戦プログラム」の実施、○「特別研究員事業」の支援対象者の見直し

優れた若手研究者が安定かつ自立して研究できる環境の創出 ●若手研究者へのポスト振替の支援、○設備・機器の共用化と技術スタッフの一元化

○「卓越研究員制度」の改善・拡充(クロスアポイントメントの奨励)

人材システム全体に係る取組 ○科学技術・学術審議会と中央教育審議会の連携による「研究人材育成総合プラン(仮称)」策定

○シニア教員も含めた人材の流動化促進

対応策

対応策

対応策

対応策

【科学は「文化」として根付いているか?】

科学に関する国民意識の向上のための機運の醸成 ○「科学の名所100選(仮称)」創設、○科学コミュニケーション活動を表彰 科学に関する国民との対話等を支える人材の育成・支援 ○地域に根ざした科学コミュニケーションを牽引できる人材の活動支援 寄附の促進 ●「文部科学省寄附フォーラム」、●ポータルサイトなどの先行事例の紹介

研究の挑戦性・継続性をめぐる危機

次代を担う研究者をめぐる危機

「知の集積」をめぐる危機

●直ちに取り組むべき事項 ○平成30年度以降速やかに取り組むべき事項

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基礎科学力の強化に向けて - 「三つの危機」を乗り越え、科学を文化に - (概要)

(平成29年4月24日 文部科学省 基礎科学力の強化に関するタスクフォース)

9% 28% 28% 15% 20%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

回答

全体

増えている

概ね同じ

減っている(概ね5割未満の減)

大きく減っている(概ね5割以上の減)

その他(わからない等)

出典:「「個人研究費等の実態に関するアンケート」について(調査結果の概要)」(平成28年8月、文部科学省)

○RU11における任期付教員の雇用状況の推移

※学術研究懇談会(RU11)を構成する11大学において、大学教員の雇用状況に関する調査を実施したもの。 出典:「大学教員の雇用状況に関する調査」(平成27年9月、科学技術・学術政策研究所)

○日本とドイツの個別大学のTop10%補正論文数の分布の比較

出典:「研究論文に着目した日本とドイツの大学システムの定量的比較分析」 (平成26年12月、科学技術・学術政策研究所) ※ 英国との比較分析でも類似の調査結果あり

「知の集積」を強化 トップを伸ばす 厚みを増す

○個人研究費の規模の比較(10年前と現在)

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基礎科学力TF報告書抜粋-科研費関連施策-

4.基礎科学力強化に向けた対応策 (1)研究費の安定的な確保・充実 (取組の方向性) 学術研究・基礎研究の活動にあたって、若手をはじめ、個々の研究者が、国境や分野の壁を越えて、より自由かつ大胆な挑戦を行うことができるよう、関連事業の質的な改革を進める。また、学術研究・基礎研究について、公的部門の役割・責任の大きさを踏まえ、基盤的研究費の適切な措置に向けた基盤的経費や、科研費をはじめとする競争的研究費の助成規模の拡充に努める。 (具体的施策) ①知のブレークスルーを目指した科研費改革の推進 「科研費改革の実施方針」に基づく総合的な取組を推進する。特に、学術の多様性を確保する観点から、基本計画の目標である新規採択率30%の達成に向けて、充足率等に留意しつつ量的な充実を図るとともに、学術の挑戦性や国際性、若手支援などを重視した質的な見直しを進める。その際、我が国の論文生産の質・量を牽引する科研費の役割に留意し、基本計画における関連目標の達成に寄与するようにする。 【直ちに取り組むべき事項】 ○若手研究者の挑戦を促す「科研費若手支援プラン」の実行に着手する(論文等の実績よりもアイデアの斬新性を重視する新種目「挑戦的研究」による助成、研究室を主宰しようとする若手研究者の独立支援など)。

○「科研費審査システム改革2018」(自由な発想に基づくテーマ設定及び分野間の競争・連携の進展を促すための審査区分の大括り化、多角的な合議審査を行う「総合審査」の導入等)を全面的に実施する。

【平成30年度以降速やかに取り組むべき事項】 ○「科研費若手支援プラン」を本格的に実施する。併せて、学術研究の多様性を支え、裾野を広げていく要となる種目(「基盤研究(B・C)」、「若手研究」)を採択率向上の重点種目として位置づけ、その充実を図る。

○若手研究者による海外での新たな課題探索を支援する「グローバルチャレンジファンド(仮称)」の創設(国際共同研究加速基金の発展的見直し)について検討する。その際、在外日本人研究者への支援の可能性を併せて検討する。

○現行の種目体系の下、研究上の挑戦を促進する観点から、種目の性質に応じ、応募機会の多様化・柔軟化を図る。その一環として、所定の要件を充たす優れた研究の継続性に配慮した、助成水準の激変を緩和する仕組みを検討する。さらに、科研費改革の進捗状況を踏まえ、種目間の重複制限の緩和の可能性を検討する。

【中長期的な課題として取り組むべき事項】 ○将来的な研究者の量的規模に関する検討状況を踏まえ、科研費の投資目標・適正規模の明確化を図るとともに、研究種目全体のポートフォリオの見直しについて検討する。

○研究機関内の個人研究費の実態や科研費への応募動向等を踏まえ、制度の将来像(基盤研究種目の枠組み、助成対象の範囲・要件、より少額・高採択率の種目創設や若手研究者育成に資する機能拡大の可能性等)について検討する。

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Page 51: 科研費改革の動向 - promotion-research.ctg.u-toyama ... · 予算規模は2,284億円(平成29年度予算) 科研費全体で ・新規応募約10万件に対し、採択は約2.7万件。継続課題と併せて、年間約7.5万件の研究課題を支援(平成28年度)

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科研費改革の動向等