処方 生薬解説 294 生薬解説 - jiho.co.jp...漢方294処方_24_序.mcd page 1 16/10/03 09:09...

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漢方294 処方 生薬解説 根本幸夫 横浜薬科大学特任教授 同大学漢方和漢薬調査研究センター長 監修 その基礎から運用まで

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Page 1: 処方 生薬解説 294 生薬解説 - jiho.co.jp...漢方294処方_24_序.mcd Page 1 16/10/03 09:09 v5.50 序 平成13年にじほうより『漢方210処方生薬解説』を上梓したが,その後平成24年8月に出された

漢方294処方生薬解説

生薬解説

漢方294処方

監修 根本幸夫

根本幸夫 横浜薬科大学特任教授同大学漢方和漢薬調査研究センター長監修

その基礎から運用までその基礎から運用まで

漢方294処方生薬解説_カバー.indd 1 16/09/09 10:19

Page 2: 処方 生薬解説 294 生薬解説 - jiho.co.jp...漢方294処方_24_序.mcd Page 1 16/10/03 09:09 v5.50 序 平成13年にじほうより『漢方210処方生薬解説』を上梓したが,その後平成24年8月に出された

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平成 13 年にじほうより『漢方 210 処方生薬解説』を上梓したが,その後平成 24 年 8 月に出された通知により,「一般用漢方製剤承認基準」も大幅に変わり,収載処方数も 294 処方と増えたので,新基準の立場から全処方の生薬を見直し本書を上梓することとした。漢方処方の基となるのは生薬であり,その生薬の薬効をきちんと知ることが,その処方を正しく運用する基本となることは言うまでもないことであるが,生薬の薬効は歴代本草書の記載に見る如く時代経験を経て変わる。例えば柴胡は後漢の『傷寒雑病論』の時代は少陽病の清熱薬の代表として扱われたが,時代が下がるとともに金元時代には昇提(沈滞した気を上昇させる)薬として用いられ,清代の温病学説においては辛涼解表薬として用いられることが多くなった。つまり処方の解析にあたっては,その処方が創作された時代の生薬の薬効に基づかなければ正確な運用はできないということである。また芍薬のように,時代の変遷に伴い,日本と中国で用法が異なるものも出てきているが,それらの相違についても,その違いをできるだけわかりやすく記述編集した。しかし今,別の観点から処方や生薬の基準が変わりつつある。例えば白朮と蒼朮の用法において,

「五苓散」の原典である『傷寒雑病論』では,蒼朮はいまだ登場せず,白朮が用いられているが,「一般用漢方製剤承認基準」では現在の使用頻度からか「蒼朮(白朮も可)」という表記になっている。また蜀椒と山椒については,江戸時代より蜀椒が入手しにくく,しかも日本の山椒のほうが薬効も高いので,「大建中湯」などの処方では代々蜀椒の代わりに山椒を用いてきた。「一般用漢方製剤承認基準」の「大建中湯」でも山椒が用いられている。ところが「一般用漢方製剤承認基準」の「解急蜀椒湯」では,蜀椒が採用され,山椒は認められていない。これらの問題も含めて,生薬の現状について,本書の参訂者である国立医薬品食品衛生研究所の袴塚高志生薬部長に何度か話を伺い,そして最後に次のようなコメントをいただいた。「いつの時代でも,同じようなことが起こっていたと思いますが,それぞれの時代を背景として,伝統的なものも徐々に変遷してゆくものと思います。漢方しかなかった時代と西洋医学が基盤の今とでは違うでしょうし,鎖国状態の時代と今の国際化された時代とでは違うでしょうし,資源の枯渇など心配しなくてよかった時代と今とでは状況がだいぶ違うのかもしれません。すでに失われてしまった記憶・記録が数々あると思いますが,今の時代は記録を半永久的に残すことができる技術が発達しているので,後世のために残しておくことが重要であろうと思います。それは,今現在の状況しか知らない私などではなく,実際はどうであったのか,本来はどうあるべきであったのかをご存じの方々に取り組んでいただくことが理想的なのだと思います」最後に本書を編集執筆した側から希望として,本書が多くの人に,現在用いられている生薬の過去から現在までの用法の集積,成分,そして本来どうあるべきかを知るうえで役立てていただければ編集執筆者一同誠にうれしく思う次第である。今回の生薬解説編纂にあたっては,上記の言葉をいただいた袴塚高志氏に,「一般用漢方製剤承認

基準」の新基準の選定と「第十七改正日本薬局方」および「日本薬局方外生薬規格 2015」の改定のすべてに関わってこられた立場ならではのさまざまなアドバイスをいただいた。選品はじめ産地・流通などの問題では,株式会社栃本天海堂および株式会社ウチダ和漢薬医薬情報部の全面的なご協力を賜った。また,一般社団法人日本漢方連盟,小太郎漢方製薬株式会社ほか漢方関係各社より多くのご協力を賜った。皆様のお力なくしては,本書の上梓はなく,厚く御礼を申し上げる。また,本書の出版にご尽力いただいたじほう出版局の安達さやか氏にこの場を借りて御礼申し上げる。併せて編集執

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漢方294処方_20_執筆者一覧.mcd Page 1 16/10/03 09:09 v5.50

執筆者一覧

監 修 根本 幸夫 横浜薬科大学特任教授,同大学漢方和漢薬調査研究センター長

編集執筆 大石 雅子 横浜薬科大学客員教授,昭和大学薬学部臨床薬学講座西島 啓晃 横浜薬科大学客員教授,昭和大学薬学部社会健康薬学講座羽田 紀康 東京理科大学薬学部教授平井 康昭 昭和大学富士吉田教育部教授川嶋浩一郎 横浜薬科大学客員教授,日本小児東洋医学会運営委員小松 一 横浜薬科大学准教授磯田 進 昭和大学薬学部兼任講師降簱 隆二 日本大学医学部精神医学系

参 訂 袴塚 高志 国立医薬品食品衛生研究所生薬部長黒岩 幸雄 昭和大学名誉教授吉田 武美 昭和大学名誉教授,公益社団法人薬剤師認定制度認証機構代表理事石毛 敦 横浜薬科大学教授金 成俊 横浜薬科大学教授寺林 進 横浜薬科大学教授

執筆協力 青木 浩義 医療法人社団竹山会理事長,青木医院院長根本 安人 日本大学医学部附属板橋病院精神神経科系都築 繁利 横浜薬科大学教授安藤 英広 小太郎漢方製薬株式会社主席研究員奥平 智之 医療法人山口病院精神科部長,東京女子医科大学東洋医学研究所非常勤講師堀 由美子 城西大学薬学部医療栄養学科准教授高松 智 昭和大学薬学部准教授佐藤 和恵 昭和大学薬学部創薬分子薬学講座安藝 竜彦 医療法人山口病院塩原 仁子 昭和大学薬学部生理病態学講師今野 裕之 ブレインケアクリニック院長福村 基徳 昭和大学薬学部講師横浜薬科大学漢方和漢薬調査研究センター学外研究員右近 保,川本寿則,鈴木信弘,外郎 武,木村喜美代,保田智香子,村下逸朗,堀口和彦,阪田泰子,瀬林章仁,山田智裕,青木 満

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漢方294処方_20_執筆者一覧.mcd Page 2 16/10/03 09:09 v5.50

協 力 国立医薬品食品衛生研究所一般社団法人日本漢方連盟株式会社栃本天海堂株式会社ウチダ和漢薬小太郎漢方製薬株式会社三和生薬株式会社横浜薬科大学薬草園昭和大学薬学部薬用植物園

イラスト 岡村 透子堀 由美子

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漢方294処方_15_目次.mcd Page 1 16/10/03 09:11 v5.50

目 次

第 1部 漢方 294 処方生薬解説

*印の生薬は,他の項目に掲載されていることを示す。

Ⅰ 発汗解表薬㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀3(1) 辛温発表薬㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀3

羌活(きょうかつ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀3荊芥(けいがい)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀5桂皮(けいひ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀6藁本(こうほん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀9細辛(さいしん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀10生姜(しょうきょう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀11辛夷(しんい)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀15葱白(そうはく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀16蘇葉(そよう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀17白芷(びゃくし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀18防風(ぼうふう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀20麻黄(まおう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀21

(2) 辛涼発表薬㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀23葛根(かっこん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀23菊花(きくか)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀25香鼓(こうし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀26牛蒡子(ごぼうし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀27升麻(しょうま)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀28蝉退(せんたい)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀29薄荷(はっか)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀30白彊蚕(びゃっきょうさん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀31蔓荊子(まんけいし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀32

Ⅱ 瀉下薬㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀34牽牛子(けんごし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀34大黄(だいおう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀35芒硝(ぼうしょう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀37麻子仁(ましにん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀39*決明子(けつめいし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀48

Ⅲ 清熱薬㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀41黄芩(おうごん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀41黄柏(おうばく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀43黄連(おうれん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀44

金銀花(きんぎんか)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀46苦参(くじん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀47決明子(けつめいし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀48玄参(げんじん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀49柴胡(さいこ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀50山帰来(さんきらい)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀53山梔子(さんしし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀54地骨皮(じこっぴ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀55紫根(しこん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀56十薬(じゅうやく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀57地竜(じりゅう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀58石膏(せっこう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀59竹葉(ちくよう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀61知母(ちも)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀62忍冬(にんどう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀63敗醤(はいしょう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀64白薇(びゃくび)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀65竜胆(りゅうたん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀66連翹(れんぎょう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀67*大黄(だいおう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀35*白彊蚕(びゃっきょうさん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀31*芒硝(ぼうしょう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀37

Ⅳ 健胃・止瀉薬㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀70粟(あわ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀70烏梅(うばい)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀70山査子(さんざし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀71神麹(しんきく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀72麦芽(ばくが)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀73扁豆(へんず)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀74楊梅皮(ようばいひ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀75*黄芩(おうごん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀41*黄柏(おうばく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀43*黄連(おうれん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀44*甘草(かんぞう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀102*生姜(しょうきょう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀11

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漢方294処方_15_目次.mcd Page 2 16/10/03 09:11 v5.50

*大棗(たいそう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀113*人参(にんじん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀116*伏竜肝(ぶくりゅうかん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀161

Ⅴ 温補薬㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀76茴香(ういきょう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀76乾姜(かんきょう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀77呉茱萸(ごしゅゆ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀79山椒(さんしょう)〈犬山椒〉㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀80蜀椒(しょくしょう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀82丁子(ちょうじ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀82附子(ぶし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀83良姜(りょうきょう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀87

Ⅵ 温病補陰薬㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀89粳米(こうべい)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀89地黄(じおう)/乾地黄(かんじおう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀90石斛(せっこく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀93天門冬(てんもんどう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀94土別甲(どべっこう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀95麦門冬(ばくもんどう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀96百合(びゃくごう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀98*阿膠(あきょう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀150*竹葉(ちくよう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀61

Ⅶ 気薬㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀100(1) 補気強壮薬㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀100

黄耆(おうぎ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀100甘草(かんぞう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀102枸杞子(くこし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀107鶏肝(けいかん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀108膠飴(こうい)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀108山茱萸(さんしゅゆ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀109山薬(さんやく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀111蛇床子(じゃしょうし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀112大棗(たいそう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀113杜仲(とちゅう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀114韮(にら)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀115人参(にんじん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀116竹節人参(ちくせつにんじん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀119蜂蜜(はちみつ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀120卵黄(らんおう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀121蓮肉(れんにく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀122

(2) 行気薬㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀123烏薬(うやく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀123薤白(がいはく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀124

枳殻(きこく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀125枳実(きじつ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀126香附子(こうぶし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀128柿蒂(してい)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀130沈香(じんこう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀130青皮(せいひ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀131石菖根(せきしょうこん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀132大腹皮(だいふくひ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀133陳皮(ちんぴ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀134橘皮(きっぴ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀136白酒(はくしゅ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀137木香(もっこう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀138*鬱金(うこん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀162*栝楼実(かろじつ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀210

(3) 鎮静薬㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀140遠志(おんじ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀140酸棗仁(さんそうにん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀141蒺䔧子(しつりし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀142小麦(しょうばく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀142釣藤鈎(ちょうとうこう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀143天麻(てんま)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀144牡蛎(ぼれい)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀145李根皮(りこんぴ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀146竜骨(りゅうこつ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀147*山梔子(さんしし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀54*百合(びゃくごう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀98

Ⅷ 血薬㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀150(1) 補血薬㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀150

阿膠(あきょう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀150艾葉(がいよう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀151何首烏(かしゅう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀152胡麻(ごま)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀153芍薬(しゃくやく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀154熟地黄(じゅくじおう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀157当帰(とうき)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀158伏竜肝(ぶくりゅうかん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀161竜眼肉(りゅうがんにく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀161

(2) 駆瘀血薬㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀162鬱金(うこん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀162延胡索(えんごさく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀163紅花(こうか)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀165牛膝(ごしつ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀166川芎(せんきゅう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀167川骨(せんこつ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀169蘇木(そぼく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀169桃仁(とうにん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀170乳香(にゅうこう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀172

ii

Page 7: 処方 生薬解説 294 生薬解説 - jiho.co.jp...漢方294処方_24_序.mcd Page 1 16/10/03 09:09 v5.50 序 平成13年にじほうより『漢方210処方生薬解説』を上梓したが,その後平成24年8月に出された

漢方294処方_15_目次.mcd Page 3 16/10/03 09:11 v5.50

樸樕(ぼくそく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀172牡丹皮(ぼたんぴ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀173益母草(やくもそう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀175*冬瓜子(とうがし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀232

Ⅸ 水薬㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀177(1) 利水薬㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀177

茵陳蒿(いんちんこう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀177滑石(かっせき)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀178黒豆(くろまめ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀180細茶(さいちゃ)/茶葉(ちゃよう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀180車前子(しゃぜんし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀181蒼朮(そうじゅつ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀182沢瀉(たくしゃ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀185猪苓(ちょれい)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀187燈心草(とうしんそう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀188白朮(びゃくじゅつ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀189茯苓(ぶくりょう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀191防已(ぼうい)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀193木通(もくつう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀195薏苡仁(よくいにん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀196

(2) 去湿健胃薬㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀197藿香(かっこう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀198縮砂(しゅくしゃ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀199草豆蔲(そうずく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀200白豆蔲(びゃくずく)〈小豆蔲〉㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀201*橘皮(きっぴ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀136*厚朴(こうぼく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀216*蒼朮(そうじゅつ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀182*陳皮(ちんぴ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀134*白朮(びゃくじゅつ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀189*扁豆(へんず)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀74

(3) 去湿止痛薬㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀202威霊仙(いれいせん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀202松脂(しょうし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀203秦艽(じんぎょう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀203独活(どくかつ)・唐独活(とうどくかつ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀204木瓜(もっか)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀206

(4) 鎮咳去痰薬㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀207阿仙薬(あせんやく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀207訶子(かし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀208栝楼根(かろこん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀208栝楼実(かろじつ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀210栝楼仁(かろにん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀211款冬花(かんとうか)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀212桔梗(ききょう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀213

杏仁(きょうにん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀215厚朴(こうぼく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀216五味子(ごみし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀218紫菀(しおん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀219紫蘇子(しそし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀220鐘乳(しょうにゅう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀221前胡(ぜんこ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀221桑白皮(そうはくひ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀222竹茹(ちくじょ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀223竹瀝(ちくれき)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀224天南星(てんなんしょう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀225貝母(ばいも)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀225白芥子(はくがいし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀227半夏(はんげ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀228枇杷葉(びわよう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀230*竹節人参(ちくせつにんじん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀119*麦門冬(ばくもんどう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀96*百合(びゃくごう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀98

Ⅹ 排膿薬㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀232桜皮(おうひ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀232冬瓜子(とうがし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀232*黄耆(おうぎ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀100*甘草(かんぞう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀102*桔梗(ききょう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀213*枳実(きじつ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀126*芍薬(しゃくやく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀154*十薬(じゅうやく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀57*川芎(せんきゅう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀167*敗醤(はいしょう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀64*連翹(れんぎょう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀67

Ⅺ 駆虫薬㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀234海人草(まくり)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀234川楝子(せんれんし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀235檳榔子(びんろうじ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀235

Ⅻ 外用薬㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀237黄蝋(おうろう)/ミツロウ㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀237ゴマ油(ごまゆ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀238豚脂(とんし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀238白礬(はくばん)/明礬(みょうばん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀239*阿仙薬(あせんやく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀207*犬山椒(いぬざんしょう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀81*威霊仙(いれいせん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀202*鬱金(うこん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀162*黄柏(おうばく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀43

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Page 8: 処方 生薬解説 294 生薬解説 - jiho.co.jp...漢方294処方_24_序.mcd Page 1 16/10/03 09:09 v5.50 序 平成13年にじほうより『漢方210処方生薬解説』を上梓したが,その後平成24年8月に出された

漢方294処方_15_目次.mcd Page 4 16/10/03 09:11 v5.50

*黄連(おうれん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀44*艾葉(がいよう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀151*甘草(かんぞう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀102*苦参(くじん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀47*紅花(こうか)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀165*山梔子(さんしし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀54*紫根(しこん)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀56*蛇床子(じゃしょうし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀112

*松脂(しょうし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀203*当帰(とうき)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀158*乳香(にゅうこう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀172*白芥子(はくがいし)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀227*薄荷(はっか)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀30*樸樕(ぼくそく)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀172*楊梅皮(ようばいひ)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀75*卵黄(らんおう)㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀121

第 2部 漢方概論第1章 漢方とは何か㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀2431 多くの側面を持つ漢方㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀243湯液療法㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀243鍼灸療法㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀243按摩療法㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀243気功療法㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀243薬膳療法㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀244

2 西洋医学との違い㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀2443 民間薬との違い㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀244

第 2章 漢方の考え方㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀2451 漢方の病因㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀2452 証とは何か㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀245(1) 随証療法―日本漢方における証のつ

かみ方― 246(2) 弁証論治―中医学における証のつか

み方― 2463 日本漢方と中医学㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀247(1) 日本漢方の成り立ち 247(2) 中医学の成り立ち 2484 漢方における薬物学㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀249

第 3章 漢方理論㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀2501 現代漢方に影響を与えた歴史的理論㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀2502 基礎理論㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀250(1) 陰陽論 251

陰陽論の発生と発展 251陰陽とは 251広義の陰陽 251狭義の陰陽 251

(2) 五行説 252五行説の発生と発展 252五行説の法則 252五行色体表 254

3 弁証理論㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀255(1) 総論 255八綱弁証論 2551.陰陽 255 2.虚実 2553.表裏 255 4.寒熱 256

(2) 各論 256三陰三陽論 2561.太陽病 256 2.陽明病 2573.少陽病 257 4.太陰病 2585.少陰病 258 6.厥陰病 258気血水(痰・津液)論 2581.気 259 2.血 2603.水(津液) 261臓腑経絡論 2631.五臓 263 2.六腑 271六淫理論 276風・寒・熱(火)・暑・湿・燥

温病学説 282

〈附〉一般用漢方 294 処方「生薬分類表」および「処方効能分類表」凡例㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀286

一般用漢方 294 処方「生薬分類表」㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀288一般用漢方 294 処方「処方効能分類表その 1(古方処方)」㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀290一般用漢方 294 処方「処方効能分類表その 2(後世方処方他)」㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀292

一般用漢方製剤承認基準収載 294 処方の出典分類表㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀294

一般用漢方製剤承認基準収載 294 処方一覧㌀㌀㌀㌀315参考文献㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀329生薬名索引㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀335処方名索引㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀㌀343

iv

Page 9: 処方 生薬解説 294 生薬解説 - jiho.co.jp...漢方294処方_24_序.mcd Page 1 16/10/03 09:09 v5.50 序 平成13年にじほうより『漢方210処方生薬解説』を上梓したが,その後平成24年8月に出された

漢方294処方_27_凡例.mcd Page 1 16/10/03 09:09 v5.50

凡 例

第 1部漢方 294 処方生薬解説

【本書に収載した生薬について】厚生労働省通知「一般用漢方製剤承認基準の改正について」(平成 24 年 8 月 30 日付薬食審査発

0830 第 1 号)に基づき,従来のいわゆる「一般用漢方処方 210 処方」に新たに処方が追加され,計294 処方が一般用漢方処方として収載された。(以下 294 処方と記載)本書は,294 処方に配合されているすべての生薬について収載した。なお,294 処方中に配合されていない生薬であっても,その処方の異方もしくは変方として一部の文献に配合がみられる次の生薬についても収載した。黒豆,山帰来,鐘乳,石菖根,葱白,竹瀝,白薇/総収載品目は 184 生薬*生薬の基原は,原則として,「第十七改正日本薬局方」,「日本薬局方外生薬規格 2015」を優先,それ以外のものについては,日本において現在流通しているものを優先した。

*同効または同類の生薬で同一項目に掲載した生薬は以下の通り。独活・唐独活:唐独活は,294 処方には含まれていないが,歴史的にも同効・類似の生薬であるため,独活の項に掲載犬山椒:山椒の項に附記小豆蔲:白豆蔲の項に附記炙甘草:甘草の項目中で解説

* 294 処方では区別されていないが,効能に違いが認められるため,項目を分けて掲載。地黄※(乾地黄)と熟地黄。※乾地黄は一般的に地黄の名称で流通している。

【294処方生薬分類について】本書では臨床の便を図るべく,収載生薬を,三陰三陽論,温病論,気血水論に基づき,発汗解表

薬,瀉下薬,清熱薬,健胃・止瀉薬,温補薬,温病補陰薬,気薬,血薬,水薬,排膿薬,駆虫薬,外用薬に分類。すべてを完全に分類することはできないが,おおよその配慮をした。また別項では 294 処方を生薬分類に合わせて分類した方剤分類表を作成して付記した。

【各生薬の項目について】1.生薬名

生薬名,ラテン名ともに「第十七改正日本薬局方」,「日本薬局方外生薬規格 2015」に準拠。上記に収載以外のものについては,生薬名は,『新一般用漢方処方の手引き』合田幸広・袴塚高志監修 日本漢方生薬製剤協会編(2013),『中葯大辞典』江蘇新醫学院編 上海科学技術出版社(1979),『中葯大辞典第二版』南京中医葯大学編著 上海科学技術出版社(2012),ほかを参照。

2.基原1)「第十七改正日本薬局方」,「日本薬局方外生薬規格 2015」に準拠。

上記に収載以外のものについては,現在流通しているものを優先し,『中華人民共和国葯典2015 年版』中国医薬科技出版社(2015),『中葯大辞典』,『中葯大辞典第二版』,『新訂 和漢薬』赤松金芳著 医歯薬出版(1980),ほかを参照。

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2)基原植物が複数存在しそれぞれ産地や選品が異なる場合は,必要に応じて番号(①,②,③…)を振り,産地や選品についても同一の番号で分類。

3.産地1)現在流通しているものを中心に産地を選定。2)中国および日本については,紛らわしい場合を除き,国名を記載せず,省名,県名にて記

載。3)次に挙げる産地については,以下の通り略記。

新疆ウイグル自治区→新疆寧夏回族自治区→寧夏内モンゴル自治区→内蒙古広西壮族自治区→広西

4)国内産生薬については,国内生産量が 1,000 kg 以上,もしくは全流通量に対して,1% 以上の生産があるものについては,できる限り国内生産ありとして記載することとした。

4.異名別名日本で見ることの多いものを中心に記載。『中葯大辞典』および『中葯大辞典第二版』と生薬名の異なるものについては,『中葯大辞典』および『中葯大辞典第二版』での生薬名を本欄に記載。

5.選品現状の選品の基準を重視して作成。

6.成分・薬理*薬理に関して1)引用文献に対象物質または成分名が明記されているものについては,それらを太字で表

記。なお,浸水液,抽出液などは抽出液に統一。水エキス,エタノールエキスなどは,抽出物に統一。

2)薬理作用中実験動物の種類についての記載は削除。7.性味・帰経・効能・主治

漢方特有の用語に関しては,可能な限り平易な表現を用いた。なお,繁用生薬 70 種類程度については,特に「現代における運用のポイント」を付記。

8.引用文献「神農本草経」,「重校薬徴」,「古方薬品考」,「古方薬議」,「本草綱目」を中心に,必要に応じて他の文献より引用。1)「神農本草経」,「名医別録」,「雷公炮炙論」,「新修本草」,「薬性論」,「本草拾遺」,「開宝本草」,「本草図経」,「日華子諸家本草」,「本草綱目」以上の文献に関しては,『神農本草経』台湾中華書局(中華民国 76 年),『経史證類大観本草』廣川書店(1970),『本草綱目』商務印書館(1967),『本草品彙精要』人民衛生出版社(1964),『新註校訂國譯本草綱目』春陽堂書店(1977)を典拠とした。※なお,『神農本草経』,『経史證類大観本草』,『本草綱目』,『國譯本草綱目』の間で矛盾がある場合は,『経史證類大観本草』に従う。

2)「重校薬徴」は『和訓類聚方広義 重校薬徴』吉益東洞原著 尾台榕堂校註 西山英雄訓訳創元社(1975),「古方薬品考」は『古方薬品考』内藤焦薗著 燎原(1974),「古方薬議」は『和訓古方薬議』浅田宗伯著 木村長久校訓 日本漢方醫學會出版部(1975)より引用。

3)「草木本草」,「国薬提要」,「貴州民間薬物」

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以上の文献に関しては,『中葯大辞典第二版』より引用。9.配合応用

1)294 処方中の配合応用を主に解説。特に重要と思われる配合応用については,294 処方以外のものについても言及。

2)配合応用の解説の最後に,その配合が該当する主な処方を付記。なお,その配合の効果をよく示す処方については 294 処方収載以外の処方でも参考として処方名を付記した。その際294 処方以外の処方であるとわかりやすくするため処方名の頭に※を記した。

10.使用注意生薬の副作用情報が確認されているもの,類似生薬に副作用事例があり注意すべきもの,『中葯大辞典第二版』効能欄に有毒の記載あるもののうち現代的に意味があると考えられるもの,その他使用上注意すべき点があると考えられるものについては本項目に記載。

11.配合処方各生薬ごとに 294 処方の配合処方をすべて整理,網羅して掲載。なお,294 処方に該当生薬の

配合についてただし書きがある場合は,以下のカッコ書きを付記している。1)該当する生薬が,294 処方中に配合の記載があるが,類似生薬または別生薬の代用として記

載されている場合。(○○の代用として)と付記2)該当する生薬が,294 処方中に配合の記載があるが,類似生薬または別生薬の代用が可と記

載されている場合。(○○の代用可)と付記3)該当する生薬が,294 処方中に配合の記載があるが,変方の場合に配合される場合。(変方として)と付記

4)294 処方中に含まれない生薬の場合は,該当生薬が含まれる処方の出典を備考欄に明記し,本欄では,処方名自体をカッコ書きにして,該当生薬が 294 処方には配合されていないことが一目でわかるようにしている。※なお,蒼朮・白朮,陳皮・橘皮,枳実・枳殻など同効・同類の生薬で,294 処方中でも「蒼朮(白朮も可)」,「白朮(蒼朮も可)」,「白朮あるいは蒼朮」など該当 2 種の生薬の代替が認められている処方が多いものについては,まとめて記載した。

12.備考基原,産地,成分などの各項目のうち,特に意見のあるものについては備考欄に項目ごとに記載した。記載にあたっては,できる限り現況に則した情報を盛り込んだ。また,近年の研究により生薬の効能について特筆すべき事項が加わったものについても記載している

13.コラムについて生姜・乾姜,山椒・蜀椒,乾地黄・熟地黄,人参・竹節人参,枳実・枳殻,陳皮・橘皮,栝楼根・栝楼実など,下記のような理由で特に解説の必要があると思われたものについては,別項としてコラムにあげた。1)基原植物を同じくする生薬で修治や部位の違いにより別生薬として扱われているが,歴史的

経緯の中で,同じ生薬として扱われたことがあるもの2)時代によって生薬名とその本質が変遷しており,注意を要するもの3)日本と中国で基原が異なるもの

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発汗解表薬

果実

N. incisum Ting ex H. T. Chang

花序

Ⅰ 発汗解表薬

発汗解表薬とは,発汗させ表部にある邪を排除させる薬物のことを言う。発汗解表薬の多くは辛みがあり,辛みはよく発散させる作用を有する。発汗解表薬の具体的な応用は以下の通りである。● 悪寒,発熱,頭痛などの表証*1 のあるもの。● 水腫*2 で表証を兼ねるもの,筋肉・関節などに腫れがあり,発汗させる必要のあるもの。● 皮膚深部にある,斑疹を起こす病邪を表部に押し出し,発散させる。● 風湿*3 による疼痛のあるもの。発汗解表薬は,多汗のもの,津液

しんえき*4 を消耗しているもの,慢性の化膿性疾患,排尿異常,

出血性疾患のものには忌用である。なお,発汗解表薬は発表薬・解表薬と表記されることもあるが,いずれも同意である。中国では,発汗解表薬はその性により,温と涼の 2種に分類される。

(1)辛温発表薬性味は辛温で風邪*5・寒邪*6 を発散させる作用があり,急性熱性病で無汗の表実証*7 に適用する。また発汗力は比較的強力なので一般的禁忌を十分に守り,特に,熱の甚だしいものや,津液不足のもの,血熱*8 のあるものには慎重に使用せねばならない。

羌活(キョウカツ)Notopterygii Rhizoma〈日局17〉

基 原 セリ科(Umbelliferae)Notopterygium incisumTing ex H. T. Chang または N. forbesii Boissieuの根茎および根産地:四川省

異名別名 羌青きょうせい

,羗活きょうかつ

,唐羗活からきょうかつ

選 品 根茎部が大きく,隆起した環紋は明瞭で,表面が暗褐色で,断面の質が緊密で朱砂点(油管)が多く,中心部に菊花状の芯があり,香りの高いものを良品とする貯蔵:虫害・精油の揮散を防ぐため,低温で湿度の低い場所で気密保存するのが望ましい

羌活(キョウカツ) 3

辛温発表薬

(1)

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発汗解表薬

成 分 精油〔ポリアセチレン系化合物,フロクマリン類,クマリン類(ノトプテロール),リモネン,ピネン〕など

薬 理 抽出物:鎮痛。ノトプテロール:鎮痛,抗炎症効能主治 性味:辛苦,温

帰経:膀胱,腎効能:発汗により寒邪*6 を除く,風湿*3 を除く,関節痛を治す主治:強い悪寒を伴う感冒,無汗で頭痛するもの,風寒湿痺*9,首肩のこり,関節の痺しび

れ痛み,風水*10 による浮腫,化膿性のできもの引用文献 神農本草経:風寒の撃つ所,金瘡,止痛,奔豚

ほんとん

,癇痓かんし

,女人の疝瘕せんか

を 主つかさど

る(獨活の項)※『神農本草経』では羌活は獨活の別名として収載されている

本草綱目:時珍じちん

曰く,羌活,独活は,いづれも能よ

く風ふう

を逐お

い,湿に勝ち,関かん

を透とお

し,節を利す(羌活の発明の項)

配合応用 羌活+威霊仙:風寒湿による痺証・関節疼痛,特に上半身の麻痺疼痛を治す(疎経活血湯,二朮湯)

羌活+秦艽:湿熱を除き,炎症を鎮め,止痛する(秦艽羌活湯)羌活+川芎:感冒などによって起こる関節痛,風寒湿による麻痺疼痛,および頭

痛・片頭痛を治す(疎経活血湯)羌活+独活(唐独活):風寒湿による痺証を治す(独活湯)羌活+白芷:1)腰部および四肢の風湿の邪を除き,腰痛・関節痛・神経痛を治す

(疎経活血湯)。2)頭部の風湿の邪を除き,鼻づまり,嗅覚異常などの鼻症状を改善する(麗沢通気湯)

羌活+防風:風湿による関節痛・神経痛・リウマチを治す,ならびに頭痛,感冒,鼻づまりを治す(疎経活血湯,清上蠲痛湯,大防風湯,麗沢通気湯)

配合処方 駆風解毒散(湯),荊防敗毒散,秦艽羌活湯,清湿化痰湯,清上蠲痛湯(駆風触痛湯),洗肝明目湯,川芎茶調散,疎経活血湯,大防風湯,独活湯,二朮湯,麗沢通気湯,麗沢通気湯加辛夷▷294 処方中 13 処方(4.4%)

備 考 基原:1.和羌活としてウコギ科(Araliaceae)のウド(Aralia cordata Thunb.)の根がある。江戸時代に中国産のものが入手困難であったために,羌活の代用とされた時期があるが,その後,羌活と和羌活ははっきりと区別されるようになった。羌活は日局 17 に,和羌活は局外生規 2015 に,それぞれ有効な生薬として収載されている。なお,日局 17 に収載されている独活はウドの根茎で,和羌活とは同一植物を基原とするので,その点に留意されたい。2.和羌活の産地は,長野,韓国である。

異名別名:『神農本草経』では羌活を独活(唐独活:独活の項 p. 204 参照)の別名として,両者を区別していなかったが,唐代にはそれぞれを区別して用いるようになっていた。

4 羌活(キョウカツ)

辛温発表薬

(1)

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発汗解表薬

荊芥(ケイガイ) Schizonepetae Spica〈日局17〉

基 原 シソ科(Labiatae)ケイガイ Schizonepeta tenui-folia Briquet の花穂産地:河北省,四川省,山東省,山西省

異名別名 荊芥穂けいがいほ

,假蘇か そ

,仮蘇か そ

,姜芥きょうがい

,伏荊芥ふくけいがい

,秋荊芥しゅうけいがい

,鼠実そじつ

選 品 全体に緑色味を帯び,芳香の強いもの,青くさくなく,茎葉混入の少ないものが良い。また,古いものほど良いとも言われるが,香りが揮散しやすいので注意して保存する貯蔵:香気を保つため,気密保存が望ましい

成 分 精油(d-メントン,ℓ-プレゴン),モノテルペン配糖体,フラボン配糖体など

薬 理 抽出物:鎮痛(d-メントンが作用成分),血管透過性抑制(ℓ-プレゴンが作用成分)

フラボノイド:ステロイド代謝に関与効能主治 性味:辛,温

帰経:肺,肝効能:発汗により風邪

ふうじゃ*5 を除く,血行を促す

主治:感冒による発熱,頭痛,化膿性の腫れ物,咽喉腫痛,顔面神経麻痺,吐血,鼻出血,血便,不正子宮出血,産後のめまい,湿疹,るいれき*12

引用文献 神農本草経:寒熱,鼠瘻そろう

,瘰癧るいれき

,生瘡せいそう

を 主つかさど

り,結聚けつじゅ

の氣を破り,瘀血おけつ

を下くだ

し,湿痺を除く(假蘇の項)

現代における運用のポイント●辛温発表作用感冒による頭痛・発熱を治す。そのほか鼻炎に用いる。

●治咽痛作用感冒初期などの咽喉腫痛を治す。

●透疹作用できもの・じんましんなどの初期に用いて発斑を促す。

配合応用 荊芥+牛蒡子:1)咽痛を治す(駆風解毒散(湯)),2)発表により透疹作用を促す(消風散)

荊芥+独活(唐独活):風湿*3 を除く,透疹作用を持つ(十味敗毒湯,荊防敗毒散)

荊芥+薄荷:温病うんびょう

*11 系の感冒の初期に見られる頭痛・発熱・咽痛・口乾を治す,鼻炎を治す(荊芥連翹湯,※銀翹散

ぎんぎょうさん

)荊芥+防風:風湿の邪による頭痛・発熱を治す,鼻炎,湿疹,腫れを治す(荊芥連

翹湯,十味敗毒湯,治頭瘡一方,洗肝明目湯)

荊芥(ケイガイ) 5

辛温発表薬

(1)

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発汗解表薬

樹皮

配合処方 駆風解毒散(湯),荊芥連翹湯,荊防敗毒散,五物解毒散,十味敗毒湯,消風散,清上防風湯,洗肝明目湯,川芎茶調散,治頭瘡一方,治頭瘡一方去大黄,当帰飲子,防風通聖散▷294 処方中 13 処方(4.4%)

桂皮(ケイヒ)Cinnamomi Cortex〈日局17〉

基 原 クスノキ科(Lauraceae)Cinnamomum cassiaBlume の樹皮または周皮の一部を除いたもの産地:広東省,広西,ベトナム

異名別名 桂枝けいし

,肉桂にっけい

,桂心けいしん

,牡桂ぼけい

,紫桂しけい

,玉桂ぎょくけい

選 品 皮の大小,厚薄にかかわらず,特異の芳香と辛味があり,後に甘味のあるもの,精油成分に富んでいるものを良品とする。細い枝を桂枝として賞用するむきもある。去皮とあるのは,外側のコルク層を去ることで薬効部分を増量するためと言われている貯蔵:本品は揮発性の精油を含むので,揮散しないよう,低温の場所に気密保存するのが望ましい

成 分 精油(ケイアルデヒド),ジテルペノイド,カテキン類,タンニンなど薬 理 抽出物:解熱,抗アレルギー

精油:胃腸管の運動亢進・緊張上昇ケイアルデヒド:血中カテコールアミンを上昇,血圧降下,心拍数減少,血糖上昇,末梢血管拡張,緩和な中枢刺激作用(少量で覚醒的,大量で抑制的),鎮痙,局所刺激,局所麻酔,抗カビ

効能主治 性味:辛甘,温帰経:膀胱,心,肺効能:発汗し解肌

げ き*13 する,上 衝

じょうしょう*14 した気を下げる,温補し経脈*15 の流通を良

くする主治:感冒による頭部・肩背部・四肢・関節の疼痛,胸痺*16,月経不順

引用文献 神農本草経:上氣欬逆がいぎゃく

,結氣,喉痺こうひ

,吐吸ときゅう

を 主つかさど

り,関節を利し,中ちゅう

を補い氣を益す(牡桂の項)

古方薬品考:桂枝は前鋒ぜんぼう

発表の宰宗さいしゅう

,肉桂は中を温め,百功を宣導せんどう

す(桂枝の項)重校薬徴:上衝を主治す。故に奔豚

ほんとん

,頭痛,冒悸ぼうき

を治す。発熱,悪風おふう

,自汗,身体疼煩とうはん

,骨節疼痛,経水の変を兼治す(桂枝の項)

古方薬議:関節を利し,筋脈を温め,煩を止め,汗を出し,月経を通じ,奔豚を泄し,諸薬の先聘通使

せんべいつうし

と為る(桂枝の項)

6 桂皮(ケイヒ)

辛温発表薬

(1)

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発汗解表薬

現代における運用のポイント●発汗解表作用軽い発汗作用があるので,虚証のかぜに用いる。

●降気こうき

作用気の上衝による精神不安・不眠・めまいなどに用い,気を降ろすことによってそれらの症状を緩和する。

●駆瘀血くおけ つ

作用他の駆瘀血剤と配合し,瘀血*17 を除く。

●鎮痛作用発汗によって,関節・筋肉の痛みを緩解させる。また,冷えによる腹痛に用い,温補することにより腹痛を治す。

【参考】肉桂の効能主治性味:辛甘,熱 帰経:腎,脾,膀胱 効能:腎の陽気*18 を補う 脾胃を温める,慢性の冷えを除く,血流を促す 主治:命門火衰

めいもんかすい*19,四肢の冷えと脈の衰弱,亡陽

ぼうよう*20 と虚脱*21,腹痛,各種下痢,寒疝

かんせん*22,

奔豚ほんとん

*23,腰膝の冷えと痛み,無月経,癥瘕ちょうか

*24,熱や痛みを伴わない瘡瘍そうよう

,冷えのぼせ配合応用 桂皮+延胡索:瘀血を除き,血行を促して,腹痛・月経痛などの痛みを止める(安

中散,折衝飲,八味疝気方)桂皮+黄耆:1)表虚*25 による自汗の甚だしい者を治す(黄蓍建中湯,帰耆建中

湯,桂枝加黄耆湯)。2)体表の気をめぐらせて,風痺(麻痺やしびれを伴う病変)を治す(黄耆桂枝五物湯)

桂皮+葛根:寒邪による項背および肩背部の筋肉のこり・痛みをとり,軽い発表作用も兼ねる(葛根湯,桂枝加葛根湯)

桂皮+甘草:気の上衝を下げ精神安定をはかる(栝楼薤白湯,定悸飲,奔豚湯(肘後方),苓桂朮甘湯,連珠飲,※桂枝甘草湯

けいしかんぞうとう

)桂皮(肉桂)+地黄:造血し,気を充実させ,強壮をはかる(十全大補湯)

※この場合は桂皮より肉桂のほうが効果が良い。桂皮+芍薬:1)体表の衛気*26 を調え,発汗を抑制する。また,衛気をめぐらせて

麻痺などの機能回復を図る(桂枝湯,桂枝黄耆五物湯,小続命湯)。2)芍薬を倍量にすると,腹痛を治す効果が現れる(桂枝加芍薬湯,小建中湯)

桂皮+生姜:1)表虚で自汗*27 するものに対する軽い発表作用を有す(桂枝湯)。2)表の陽気をめぐらせて風湿によるしびれや麻痺を除く(黄耆桂枝五物湯,小続命湯)

桂皮+白朮(または蒼朮):体表の湿を除き,神経痛・リウマチを治す(甘草附子湯,桂枝加朮附湯)

桂皮+当帰:腹部の血行を促し,腹痛および冷えをとる(当帰建中湯)桂皮+桃仁(または牡丹皮):瘀血により生ずる冷え症・月経不順・月経痛・血行

不順を治す(桂枝茯苓丸)桂皮+茯苓:気の上衝に伴って生ずるめまい・頭痛・動悸・不安感・のぼせを治す

(桂枝茯苓丸,苓桂朮甘湯,定悸飲,抑肝散,苓桂味甘湯,連珠飲,明朗

桂皮(ケイヒ) 7

辛温発表薬

(1)

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発汗解表薬

飲)桂皮+附子:1)寒湿*28 の邪による神経痛・リウマチ・関節痛を治す(桂枝加朮附

湯,甘草附子湯)。2)体を温め,陽気を補い,強壮し,冷えによる腰膝の痛みを治す(八味地黄丸)

桂皮+防已:体表部や胸膈に停まる水滞を除き,痛みや浮腫を治す(栝楼薤白湯,防已茯苓湯,木防已湯)

桂皮+防風:発表して,風寒の邪を除き,関節痛・神経痛を治す(桂枝芍薬知母湯,小続命湯)

桂皮+牡蛎(または竜骨):気の上衝・不調和により起こる煩躁*29・動悸・不眠を治す(桂枝加竜骨牡蛎湯,定悸飲)

桂皮+麻黄:1)強い発汗作用によって感冒を治す。『傷寒論』における発汗法の基本配合である(葛根湯,麻黄湯,桂姜棗草黄辛附湯)。2)強い発汗により筋緊張を緩める(続命湯)

配合処方 安中散,安中散加茯芩,胃風湯,胃苓湯,茵陳五苓散,温経湯,黄耆桂枝五物湯,黄耆建中湯,黄連湯,葛根湯,葛根湯加川芎辛夷,栝楼薤白湯,甘草附子湯,帰耆建中湯,芎帰調血飲第一加減,九味檳榔湯,桂姜棗草黄辛附湯,桂枝越婢湯,桂枝加黄耆湯,桂枝加葛根湯,桂枝加厚朴杏仁湯,桂枝加芍薬生姜人参湯,桂枝加芍薬大黄湯,桂枝加芍薬湯,桂枝加朮附湯,桂枝加竜骨牡蛎湯,桂枝加苓朮附湯,桂枝芍薬知母湯,桂枝湯,桂枝二越婢一湯,桂枝二越婢一湯加朮附,桂枝人参湯,桂枝茯苓丸,桂枝茯苓丸料加薏苡仁,桂麻各半湯,堅中湯,甲字湯,牛膝散,五積散,牛車腎気丸,五苓散,柴葛解肌湯,柴葛湯加川芎辛夷,柴胡加竜骨牡蛎湯,柴胡桂枝乾姜湯,柴胡桂枝湯,柴苓湯,炙甘草湯,十全大補湯,小建中湯,小青竜湯,小青竜湯加杏仁石膏(小青竜湯合麻杏甘石湯),小青竜湯加石膏,小続命湯,椒梅湯,神仙太乙膏,折衝飲,千金内托散,続命湯,蘇子降気湯,治打撲一方,中建中湯,丁香柿蒂湯,定悸飲,桃核承気湯,当帰建中湯,当帰四逆加呉茱萸生姜湯,当帰四逆湯,当帰湯,独活葛根湯,独活湯,女神散(安栄湯),人参養栄湯,八味地黄丸,八味疝気方,半夏散及湯,白虎加桂枝湯,茯苓沢瀉湯,防已茯苓湯,補肺湯,奔豚湯(肘後方),麻黄湯,明朗飲,木防已湯,薏苡仁湯,苓桂甘棗湯,苓桂朮甘湯,苓桂味甘草,連珠飲▷294 処方中 89 処方(30.3%)

備 考 基原:1.桂皮は地域によりそれぞれ異なる学名がつけられているが,すべて C.cassia Blume の地域変異と考えられ,局方の基原は 1 種類となっている。ただ,類似した植物が多く,分類的にも 1種ではないという説もある。現在流通しているものとしては,中国産とベトナム産が中心であるが,それぞれ成分や味に特徴があり両者の区別は容易である。処方に用いる場合には,それぞれの特徴をつかんで利用するとよい。2.肉桂は桂皮の肉厚のものを言うが,作用は発表効果よりも強壮効果に力点が置かれ,利用上,桂皮とは区別されている。なお,それ以外に別の植物(ニホンニッケイ C. sieboldii Meisn)の根皮を指す場合があるが,こちらは製菓用などに利用され,薬用には用いられない。

近年の研究報告:1.桂皮には,従来から鎮痛,発汗解熱,抗アレルギー作用などが報告されているが,その作用は炎症性サイトカイン1)の産生抑制によるもので,ウイルス感染の重症化要因となるサイトカインストーム2)を制御できる可能

8 桂皮(ケイヒ)

辛温発表薬

(1)

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発汗解表薬

根茎および根

花序

性が高いことを示している。桂皮を含む葛根湯に T細胞の分化を促進してウイルス肺炎を軽減する作用が報告されている3)。臨床的に,桂皮を含む漢方薬を服用していると感冒に罹りにくく,罹っても軽症で済み,治りが早いという経験を裏づけるものである。2.桂皮は,炎症によって局所のアクアポリン4)が活性化して炎症性浮腫を来している部分だけに選択的に働いて,炎症性ケモカイン5)分泌を抑制して,炎症を鎮静化することが報告されている6)。これは,五苓散の脳浮腫,脳炎改善効果を裏づける基礎的エビデンスになるものと考えられる。

藁本(コウホン) Ligustici Rhizoma〈局外生規2015〉

基 原 セ リ 科(Umbelliferae)Ligusticum sinenseOliver または L. jeholense Nakai et Kitagawa の根茎および根産地:湖北省,安徽省

異名別名 川藁本せんこうほん

,鬼卿きけい

,地新ちしん

,稾本こうほん

,唐藁本からこうほん

選 品 十分乾燥し,形が整い,香味の強いものが良品とされている貯蔵:虫害を防ぎ,香気を保つため,低温で湿度の低い場所に気密保存するのが望ましい

成 分 精油(ブチリデンフタライド,クニジライド)など

薬 理 抽出液:鎮痙,抗真菌効能主治 性味:辛,温

帰経:膀胱効能:風寒湿の三邪を除く主治:風寒*30 による頭痛・頭頂痛,寒湿*28 による腹痛・下痢・疥癬

かいせん

・下腹部の炎症痛およびそれに伴う小便不利

引用文献 神農本草経:婦人の疝瘕せんか

,陰中の寒腫痛,腹中の急を 主つかさど

る。風頭痛を除き,肌膚き ふ

を長じ顔色を悦にす

配合応用 藁本+細辛:風寒湿の邪による頭痛・頭頂痛・項のこわばり・歯痛が頬部に及ぶものを治す(清上蠲痛湯)

藁本+蒼朮:寒湿の邪を除いて止痛する(清上蠲痛湯)配合処方 清上蠲痛湯(駆風触痛湯),秦艽羌活湯

▷294 処方中 2処方(0.7%)備 考 基原:和藁本としてセリ科のヤブニンジン Osmorhiza aristata Makino et Yabe が

ある。藁本と和藁本は類似しているが,現在,和藁本の生産はほとんどない。

藁本(コウホン) 9

辛温発表薬

(1)

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漢方理論

第 3章 漢方理論

1 現代漢方に影響を与えた歴史的理論

現代漢方の背景には,歴史的に体系化された理論がいくつか存在している。これらの理論間では共通の認識に基づくものも多いが,逆に同一の用語を用いながらまったく別の意味として使用されている場合も少なくない。したがって,個々の処方がどういった立場や理論に基づいているかについて十分理解する必要がある。本項では現在の日本漢方に影響を与えた 4つの理論について概説する。①『素問』における理論:鍼灸を含めた今日の日本漢方と中医学を通してすべての基礎とされ,治療理論というより,漢方の根底に流れる事物の認識論や漢方独自の生理学といえるものである。その中心をなす理論の 1つは陰陽五行説であり,もう 1つは臓腑経絡論である。②『傷寒論』における理論:日本漢方の中でも特に古方派グループの根幹をなすもので,急性病の病から死に至る過程を細かに分析し,その病位(現在の病がその過程のどこにあるか)に応じた療法を示すものである。その中心をなす理論は三陰三陽論で,これに虚実論や気血水論が加わる。③金元医学における理論:日本漢方の後世派グループの基礎とされるものである。中国の金・元時代の劉完素

りゅうかんそ

(河間かかん

),張従正ちょうじゅうせい

(子和し か

),李杲りこう

(東垣とうえん

),朱震亨しゅしんこう

(丹渓たんけい

)らは,それまでの医学を見直してそれぞれに新しい学派(寒涼派・攻下派・補土派

ほ ど は

・養陰派)を興した。これらの学説は,中国の医学界の空気を一新するとともに,その理論的研究を促進し,その後種々の学術流派が形成される基礎となった。日本では桃山時代に曲直瀬道三

まなせ ど う さ ん

らによって受け継がれ,後世派の基礎が作られた。④現代中医学における理論:八綱弁証・臓腑経絡弁証・気血津液(痰)弁証・六淫

りくいん

弁証・六経弁証・温病

うんびょう

学説など,いくつかの弁証法がある。個々の弁証法はそれぞれ理論体系を異にし,どの弁証が適用されるかは,病が急性病であるか慢性病であるかや,急性病でも傷寒(悪寒を伴う病)であるか温病

うんびょう

(悪寒を伴わない熱性疾患)であるかなどによって異なる。複数の理論が組み合わされることもある。なお,これらの理論のうちには,日本に取り入れられて独自の発展をみたものもある。

2 基礎理論

漢方の基礎理論としては陰陽論と五行説がある。

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漢方理論

(1) 陰陽論

陰陽論の発生と発展陰陽論はその発生の端源を『詩経

しきょう

』や『易経えききょう

』の本文に見ることができるが,現在のような陰陽論としての展開はなく,単に日向

ひなた

・日陰ひかげ

の意味しかない。この陰陽が陰陽論としての発展を示し始めるのは,孟子(BC372~289)とほぼ同時代に活躍した,孫臏

そんぴん

の著した『孫臏の兵法』からである。そして陰陽論としてほぼ体系ができ上がるのは,『易経』の「十翼

じゅうよく

」(BC221~202)においてであり,さらに『淮南子えなん じ

』(BC139)において完成する。陰陽とは陰陽思想は古代中国思想の要であって,広範囲にわたる意味を持つが,ここでは主に医学領域に絞って考えてみたい。陰陽の基本は万物の「質」と「能」を意味するが,同時に万物の持つ正反両面の相対性を示す術語でもある。その意味は広義に用いられる場合と狭義に用いられる場合とがある。広義の陰陽万物はすべて陰陽 2種の側面を持っている。例えば,天を陽となし,地を陰となす。昼を陽となし,夜を陰となす。太陽を陽となし,月を陰となす。火を陽となし,水を陰となす。動を陽となし,静を陰となす。男を陽となし,女を陰となす。これらは互いに相対的に存在している陰陽であるが,同一物中にも陰陽は存在する。人体についていえば背は陽であり,腹は陰である。また左半身は陽であり,右半身は陰である。上部は陽であり,下部は陰である。すなわちこれらは同一物内の陰陽である。また万物の本体は陰であり,機能は陽である。心臓を例に挙げれば,心臓そのものは陰であり,拍動は陽となる。また陽中の陰,陰中の陽ということがある。例を挙げて説明すれば,本の表表紙は陽で,

裏表紙は陰となるが,表表紙だけで見れば表表紙が陽となり,見返しの部分は陽中の陰となる。また夜明け前の薄明は陰中の陽であり,夕焼けは陽中の陰である。このようにすべて陰陽は相対的なものである。このような観点に立てば中医学の基礎である八綱(陰陽,虚実,表裏,寒熱)もすべて,陰陽を置き換えたものに過ぎないことがわかる。実・表・熱は陽であり,虚・裏・寒は陰である。狭義の陰陽①人体生理としての陰陽人体の構成成分である,骨・血液・津液・臓腑などを陰(陰分)とし,人体の生理機能

(活動エネルギー)を陽(陽気)とする。陰陽にはそれぞれ虚実(不足もしくは過剰な状態)があり,病証と深く関わっている。陰虚とは,全身および各臓器,各器官,それぞれの場所における陰分(津液や血液など)

の不足したものをいう。血液が不足したものを血虚,津液が不足したものを津液不足と慣例的にいう場合もある。肝陰虚,肺陰虚などの場合では,肝における血の不足や肺における津液の不足を示している。なお,このように陰分が不足した状態は,ちょうど湿度が低い時に火事が起きやすいのと同じで,極めて発熱や炎症を起こしやすいか,また実際に起こしていることを意味する。ただ,陰には実という概念はなく,非生理的に血や津液がうっ滞している場合には瘀血,水毒(痰飲)などの語が用いられる。陽虚とは陽気(活動エネルギー)不足の状態を意味している。軽いものを気虚,重いもの

第 3章 漢方理論 251

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漢方理論

を陽虚と言う。気虚は無気力で疲れやすく,自汗*1 を伴い,息切れする状態であり,陽虚は気虚にさらに冷えが加わった状態である。腎陽虚,脾陽虚などという場合は腎や脾の機能が弱っていることを示している。陽実とは,上記とは逆に機能が亢進し過ぎている場合である。陽実証の場合は熱証を呈するので,腎火盛とか肝火上炎などという場合もある。また病変が機能亢進と同時に津液不足を呈しているような場合では陽盛陰虚という。②病勢分野における陰陽『傷寒論』の六病弁証がこれに当たる。病勢が亢進し熱証を呈しているものを陽病または陽証といい,病勢が消沈し,寒に属するものを陰病または陰証という。③病巣部位の陰陽病巣部位が体内にあるものを陰証といい,体表にあるものを陽証というが,ほかの陰陽と紛らわしいので,通常は裏証,表証の語をもって陰証,陽証の代わりとする。同様に体表に熱感があっても体の芯に強い悪寒のあるものは陰中の陽証もしくは裏寒外熱という。ただし,これらの用語は単一の理論から導き出されたものではなく,歴史的に異なる流派の理論における慣用的な用語をまとめたものであるので,用語間で整合性の取れない場合もある。

(2) 五行説ごぎょうせつ

五行説の発生と発展五行説の基となった五材は,『書経

しょきょう

』の「洪範篇こうはんへん

」に見ることができるが,ここでは自然界にある素材としての木(き)・火(ひ)・土(つち)・金(金属)・水(みず)に過ぎない。次に五星または五風というものが登場し,その影響を受けて,万物を構成する 5つのエレメントとしての木

もく

・火か

・土ど

・金こん

・水すい

が考えられるようになる。さらに,これら 5つのエレメントが相互に影響し合うという考え方が成立し,五行という名称が登場した。また,あらゆる物はこの五行に分類され,その性質や相互関係に五行の影響が及ぶとされたのである。これらを総称して五行説と呼び,その相互関係を示すものとして相剋

そうこく

説・相生そうせい

説・土王どおう

説の 3説がある。五行説展開の片鱗は,孫武

そんぶ

(BC6 世紀ごろ)の著した『孫子の兵法』に見られ,相剋説の萌芽は,『墨子

ぼくし

』(BC403 ごろ)中の鄧陵とりょう

派の文献に見られる。そして五行説の相剋説と土王説の完成は,陰陽家の鄒衍

すうえん

(BC305~240)において見られる。相生説の登場はずっと遅れ,董仲舒

とうちゅうじょ

(BC179~104)の『春秋繁露しゅんじゅうはんろ

』,劉安りゅうあん

(BC179~122)の『淮南子えなん じ

』のころからで,その完成は劉向

りゅうこう

(BC79~18)・劉歆りゅうきん

父子による。また,五行説そのものが医学と関わりを持つようになるのは,文献的には,戦国末から秦代ごろの成立といわれている馬王堆

まおうたい

出土の医薬文献をはじめとする。以上のように,陰陽論と五行説は別々に生まれ発展してきたのであるが,これら 2つの理論の結合は戦国時代末葉の呂不韋

ろ ふ い

(BC290~235)の『呂氏春秋ろししゅんじゅう

』において,十干じっかん

の解説に陰陽論と五行説を導入したのが記録上のはじめとされる。五行説の法則五行には,次のような意味づけがある。木:草木が芽を出し,万物が生じる時期であり,季節は春を象徴している。五臓では肝が

252

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漢方理論

これに当てられる。火:火が燃えているさまを示し,その性質は熱であり,万物が長じる時期であり,季節は夏を象徴している。五臓では心がこれに当てられる。

土:万物を育てる母なる大地を意味している。四季のすべてに関わりを持つ。五臓では脾がこれに当てられる。

金:金属の示す堅固・鋭さ・輝きを意味するが,金属は人が作り出したものであるので,秋の豊穣・収穫を象徴している。五臓では肺がこれに当てられる。

水:わき出て流れる水を意味し,これは地の中にあって生命の水となり,やがて万物を生み出す源となる。季節は冬を象徴し,秋の実りを蔵する時期である。五臓では腎がこれに当てられる。

さらに,これら五行間の相互関係と一定の秩序を示すものとして,相剋説・土王説・相生説の 3 つの説がある。厳密にいえば,相剋説・相生説の種類も,『素問』の中ではそれぞれさらにいくつかの説に分かれている。しかし,ここでは後世に影響を与えた代表的な説について述べる。①相剋説:五行間で一方が他方を制約し,けん制するという説。具体的には以下のようになる。

木剋土(木は土を剋す):木は土の中に根を張り土の養分を吸収して成長する。土剋水(土は水を剋す):土は水を吸い取り,また土の堤防によって水の流れを支配する。水剋火(水は火を剋す):水は火を消す。火剋金(火は金を剋す):火の作り出す高温は金属を溶かし自由にその形をコントロールする。金剋木(金は木を剋す):金属でできた斧や刀によってどんな木も切り倒される。

②相生説:五行間で母子関係のように各要素が親和・協調し合うという説。この場合,母から子が生まれるように,常にエネルギーは母から子へと流れる。具体的には以下のようになる。木生火(木は火を生ず):木と木の摩擦によって火が生じ,木の増量によって火勢は強まる。火生土(火は土を生ず):木が火によって燃え尽きれば灰すなわち土となる。土生金(土は金を生ず):人は土の中から金属を得る。金生水(金は水を生ず):金属の鉱脈のあるところからは常に水が流れ出ている。また金属の表面は湿度により水を呼ぶ。水生木(水は木を生ず):木はすべて地中の水によって

養われる。このエネルギーを与える側が母であり,受け取る側が子となる。それゆえこの関係を,母子関係ともいう。

第 3章 漢方理論 253