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「観点別学習状況の評価」

実施の手引き

平成28年10月

大阪府教育委員会

目 次

Ⅰ はじめに1Ⅱ 高等学校における学習評価について21 学習評価の意義・目的22 高等学校における学習評価の現状43 高等学校における学習評価の改善44 学力の3要素と学習評価における観点との関連55 学習評価における観点66 各教科の評価の観点及びその趣旨7Ⅲ 観点別学習状況の評価の実施について151 観点別学習状況の評価の進め方152 評価規準の設定について163 評価方法について16Ⅳ 指導と評価の年間計画(シラバス)の作成について191 「科目の評価の観点の趣旨」の設定192 指導と評価の年間計画(シラバス)の記入例及び作成上の留意点20Ⅴ 教科別資料(モデルシラバス)251 国語252 地理歴史・公民303 数学344 理科385 保健体育406 芸術(音楽)497 芸術(美術)538 芸術(書道)579 外国語6010 家庭6411 情報6912 農業7213 工業7414 商業7715 福祉80Ⅵ Q&A84Ⅶ 参考資料・参考文献90Ⅷ おわりに91

Ⅰ はじめに

近年、情報化やグローバル化といった社会の変化は、いよいよ加速し、複雑かつ予測困難となり、どのような職業や人生を選択するにせよ、すべての生徒の生き方に影響するものとなっています。このように変化の激しい社会においては、生徒が自信を持って自分の人生を切り拓き、よりよい社会を創り出していくことができるよう、必要となる「生きる力」を育むことが強く求められおり、今後より一層、学校教育を進化させていくことが必要となります。

予測できない未来に立ち向かうには、社会の変化に受け身で対処するのではなく、高い志と意欲を持ち、身に付けた知識を基盤としながら、他者と協働して新たな価値を生み出していく力が求められます。

これまで、学校においては、とりわけ高等学校では、ともすれば、ある事柄に関する知識の伝達に偏りがちでしたが、今後は、学ぶことと社会との関わりをより意識した教育を行うことが必要となります。生徒たちには、そのような教育を通じて、基礎的な知識・技能を習得し、実社会や実生活の中で、自ら問題を発見し、解決に向けて主体的・協働的に探究し、学びの成果等を実践に生かしていくことが求められています。このような力を育むためには、「何を教えるか」という知識の質や量とともに、「どのように学ぶか」という学びの質や深まりを重視した学習・指導方法の改善が必要です。加えて、「何が身に付いたか」という多様な学習成果についての評価を学びの過程を含めて一体的に推進することも必要です。

換言すると、今後より一層、課題の発見と解決に向けて主体的・対話的で深い学び(いわゆる「アクティブ・ラーニング」)の実現をめざした不断の授業改善を行い、そうした学習を通じて育成される資質・能力を的確に評価するために、「関心・意欲・態度」、「思考・判断・表現」、「技能」及び「知識・理解」の4つの観点において評価すること(観点別学習状況の評価)が必要となります。

府教育庁としても、目標に準拠した評価による観点別学習状況の評価を推進するため、英語科については今年度から、各学校が生徒の実態等に応じて「CAN-DOリスト」の形で学習到達目標を設定し、目標に基づいた「指導と評価の年間計画(シラバス)」を作成することとしました。来年度からは英語科以外の教科についても、観点別学習状況の評価を踏まえた「指導と評価の年間計画(シラバス)」を作成することとし、本手引きを作成したところです。

各学校においては、本手引きに示した内容を踏まえて、各教科・科目ごとに「指導と評価の年間計画(シラバス)」の作成を行い、評価を指導の改善に生かすという視点(指導と評価の一体化)を一層重視し、組織的に指導の過程や評価方法を見直すことにより、学校全体の教育力を向上させることを期待しています。

大阪府教育庁 教育振興室 高等学校課 

Ⅱ 高等学校における学習評価について

1 学習評価の意義・目的

  (1) 学習評価を通じた高等学校における教育の質の保証

    高等学校においては多様な興味・関心をもつ生徒が在学するとともに、卒業後の進路も多様になっており、これまで以上に教育の質の向上を図っていくことが求められており、そのため、生徒一人ひとりの希望する進路の実現に向けて、高等学校学習指導要領に示す各教科・科目の目標や内容に基づいた適切な指導が行われることが必要である。

学習指導要領は、各学校において編成される教育課程の基準として、すべての生徒に対して指導すべき内容を示したものであり、指導の面から全国的な教育水準の維持向上を保障するものである。これに対し、学習評価は、生徒の学習状況を検証し、結果の面から教育水準の維持向上を保障する機能を有するものであることから、学習指導要領に示された目標に照らしてその実現状況を適切に評価することにより、教育の質の保証を図ることが求められる。

(2) 指導と評価の一体化

学習評価は、当該教科・科目の目標に向けて、生徒がどのように変容しているのか、その実現状況を見るためのものである。そして、その評価結果については、生徒一人ひとりに当該教科・科目の内容が確実に定着することをめざし、学習指導の改善につなげていく必要がある。

そのため、学習評価を通じて、学習指導の在り方を見直すことや個に応じた指導の充実を図ること、学校における教育活動を組織として改善することが重要である。

学校においては、計画→実践(指導)→評価→改善という一連の活動(PDCAサイクル)が繰り返されながら、生徒のよりよい成長をめざした指導が展開されている。したがって、指導と評価は別物ではなく、評価の結果によって後の指導を改善し、さらに新しい指導の成果を再度評価するという、指導に生かすための評価を充実させることが重要である。

このような「指導と評価の一体化」を進め、評価活動を評価のための評価に終わらせることなく、指導の改善に生かすことによって指導の質を高めることが一層重要となる。

加えて、学習の評価規準や評価方法などを生徒や保護者に十分説明し、生徒や保護者と共有することも大切である。

■指導と評価の一体化

○ 学習指導と学習評価のPDCAサイクルは、日常の授業、単元等の指導、学校における教育活動全体等の様々な段階で繰り返されながら展開することが必要

○ 生徒や保護者にとっても学習評価は重要

【生 徒】自らの学習状況に気付き、その後の学習や発達・成長が促される契機

【保護者】家庭における学習を生徒に促す契機

指導計画等

の作成

Plan

指導計画を踏まえた教育の実施

Do

生徒の学習評価

指導計画の評価

Check

授業や指導計画

等の改善

Action

(3) 目標に準拠した評価による観点別学習状況の評価

きめの細かい学習指導の充実と生徒一人ひとりの学習内容の確実な定着を図るため、学習指導要領では、各教科・科目における生徒の学習状況を分析的に捉える観点別学習状況の評価とそれらを総括的に捉える評定を行うこととされている。

観点別学習状況の評価とは、各教科・科目の目標や内容に照らして、生徒の実現状況がどのようなものであるかを、観点ごとに評価し、生徒の学習状況を分析的に捉えるものである。評価の観点に関しては教科により違いはあるが、基礎的・基本的な知識・技能については「知識・理解」や「技能」において評価し、それらを活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等については「思考・判断・表現」において、また、主体的に学習に取り組む態度については「関心・意欲・態度」において、それぞれ評価を行うことを基本としている(各教科の評価の観点及びその趣旨については、7頁~14頁に掲載)。

また、観点別学習状況の評価を行うにあたっては、目標に準拠した評価により実施することとされており、高等学校における目標に準拠した評価は、学習指導要領に示す各教科・科目の目標に基づき、学校が地域や生徒の実態に即して定めた当該教科・科目の目標や内容に照らしてその実現状況を捉えるものとされている。

■目標に準拠した評価における「目標」

○ 小学校、中学校における観点別学習状況、評定については、

小学校、中学校学習指導要領に示す各教科の目標に照らし、その実現状況を評価する。

○ 高等学校における評定については、

高等学校学習指導要領に示す各教科・科目の目標に基づき、

学校が地域や生徒の実態に即して定めた当該教科・科目の目標や内容に照らし、

その実現状況を評価する。

※高等学校は生徒の多様化への対応により、

昭和56年の通知以降、この文言に変更

全国、どの

学校でも同じ

学校ごとに異なる

ことも予定

2 高等学校における学習評価の現状

高等学校の学習評価については、以下に示した意識調査(平成21年度文部科学省委託調査)の結果においても、ペーパーテストを中心としていわゆる平常点を加味した、成績付けのための評価にとどまっている割合が多く、観点別学習状況の評価が十分に浸透していない状況が見える。

この調査以降、観点別学習状況の評価の趣旨を踏まえた学習評価を行い、授業の改善につなげるよう努めている学校がある一方で、引き続き「知識・理解」や「技能」を中心に評価を行っている学校があることも想定される。

その原因として、高等学校においては、目標に準拠した評価という考え方が定着していないことが影響しているのではないか、評価は通知表の点数付けや指導要録の評定付けであるという意識が強いのではないかといった指摘もある。

出典:平成21年度文部科学省委託調査 学習指導と学習評価に対する意識調査

3 高等学校における学習評価の改善

 (1) 観点別学習状況の評価の推進

高等学校においても、基礎的・基本的な知識・技能に加え、主体的に学習に取り組む態度に関する観点についても評価を行うなど、観点別学習状況の評価を推進し、きめの細かい学習指導と生徒一人ひとりの学習の確実な定着を図っていく必要がある。

また、学校が地域や生徒の実態を踏まえて設定した観点別学習状況の評価規準や評価方法などを明示するとともに、それらに基づき学校において適切な評価を行うことにより、高等学校教育の質の保証を図ることが求められる。

■観点別学習状況の評価の推進に向けて

○ 知識や技能のみの評価など一部の観点に偏した評定ではなく、思考力・判断力・表現力等、主体的に学習に取り組む態度に関する評価を十分踏まえ、評定を行うことが必要

○ 文部科学省の通知に示された4つの観点の趣旨を踏まえながら、各学校において、具体的な評価規準を設定するなど、評価の在り方を工夫することが必要

○ 教員の主観ではなく、妥当性、信頼性のある評価を行うことが必要

  (2) 組織的・計画的な学習評価の推進

観点別学習状況の評価を推進するためには、学習指導の改善や学校における教育課程全体の改善に向けた取組と効果的に結び付け、学習指導に係るPDCAサイクルの中で適切に実施することが必要である。また、学習評価の妥当性、信頼性の向上を図るとともに、教員の負担感を軽減するため、校長のリーダーシップの下での組織的・計画的な取組が求められる。

各学校において、学習指導要領に対応した評価規準や評価方法の充実を図るとともに、校内においてこれらの一層の共有を促進すること、評価結果について教員同士で検討すること、実践事例を着実に継承すること、また、授業研究等により教員一人ひとりの力量の向上を図ることなどが重要である。さらに、評価に関する仕組みについて事前に説明したり、評価結果についての説明を充実させるなど、保護者の理解の促進に努めることも必要となる。

■学習評価の「妥当性」と「信頼性」について

学習評価については、従前、「客観性」という文言を用いて語られることが多かったが、平成22年5月の学習評価及び指導要録の改善通知では、「妥当性」と「信頼性」いう文言が用いられており、各学校においては、組織的・計画的な取組を推進し、学習評価の「妥当性」、「信頼性」を高めるよう努めることが重要である。

学習評価の「妥当性」を高めるには、評価結果が評価の対象である資質や能力を適切に反映していることが必要であるため、以下のことが求められる。

○ 評価結果と評価しようとした目標の間に適切な関連があること

(学習評価が学習指導の目標に対応するものとして行われていること)

○ 評価方法が評価の対象である資質や能力を適切に把握するものとしてふさわしいものであること

4 学力の3要素と学習評価における観点との関連

これからの時代においては、「何を知っているか」だけでなく、「知っていることを使ってどのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」という観点から、「基礎的・基本的な知識・技能」、「知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等」、「主体的に学習に取り組む態度」が、学力の3要素として学校教育法に規定されている。

これらと学習評価における4つの観点との関連は、以下のとおり整理される。

■学力の3要素と学習評価における観点との関連

学力の3要素                学習評価における4つの観点

「基礎的・基本的な知識・技能の習得」      「技能」及び「知識・理解」で評価

「思考力・判断力・表現力等の育成」       「思考・判断・表現」で評価

「主体的に学習に取り組む態度」         「関心・意欲・態度」で評価

5 学習評価における観点

  「関心・意欲・態度」、「思考・判断・表現」、「技能」及び「知識・理解」の4つの観点を基本としつつ、各教科の評価の観点については教科の特性に応じて設定されている。

■「関心・意欲・態度」

各教科(の各科目)が対象としている学習内容に関心をもち、自ら課題に取り組もうとする意欲や態度を生徒が身に付けているかどうかを評価

授業での観察、面接、確認テスト、ワークシート、振り返りシート、レポート等

※ 授業中の挙手や発言の回数、提出物の状況といった表面的な状況のみに着目するのではなく、獲得した知識や技能を積極的に活用しようとする態度に焦点を当てることが必要

※ 各単元(題材)など、ある程度長い期間の中で、適切な頻度で評価することが必要

■「思考・判断・表現」

各教科(の各科目)の知識・技能を活用して課題を解決するために必要となる思考力・判断力・表現力等を生徒が身に付けているかどうかを評価

  論述、発表や討論、観察・実験とレポート、ワークシート、テスト等

※ 論述、発表や討論、観察・実験とレポートの作成といった学習指導要領において充実が求められている学習活動を積極的に取り入れ、学習指導の目標に照らして実現状況を評価することが必要

※ 思考・判断の結果だけではなく、その過程を含めて評価することが必要

■「技能」

各教科(の各科目)において習得すべき技能を生徒が身に付けているかどうかを評価

[数学]          [理科]

  式やグラフに表すこと    観察・実験の過程や結果を的確に記録し整理すること

■「知識・理解」

各教科(の各科目)において習得すべき知識や重要な概念等を生徒が身に付けているかどうかを評価

※ 習得すべき知識や重要な概念等を単に記憶しているのではなく、理解しているかを評価することが必要

6 各教科の評価の観点及びその趣旨

(1) 各学科に共通する各教科

教科

観点

趣旨

国  語

関心・意欲・態度

国語で伝え合う力を進んで高めるとともに、言語文化に対する関心を深め、国語を尊重してその向上を図ろうとする。

話す・聞く能力

目的や場に応じて効果的に話し的確に聞き取ったり、話し合ったりして、自分の考えをまとめ、深めている。

書く能力

相手や目的、意図に応じた適切な表現による文章を書き、自分の考えをまとめ、深めている。

読む能力

文章を的確に読み取ったり、目的に応じて幅広く読んだりして、自分の考えを深め、発展させている。

知識・理解

伝統的な言語文化及び言葉の特徴やきまり、漢字などについて理解し、知識を身に付けている。

地 理 歴 史

関心・意欲・態度

歴史的・地理的事象に対する関心と課題意識を高め、意欲的に追究するとともに、国際社会に主体的に生き国家・社会を形成する日本国民としての責任を果たそうとする。

思考・判断・表現

歴史的・地理的事象から課題を見いだし、我が国及び世界の形成の歴史的過程と生活・文化の地域的特色を世界的視野に立って多面的・多角的に考察し、国際社会の変化を踏まえ公正に判断して、その過程や結果を適切に表現している。

資料活用の技能

歴史的・地理的事象に関する諸資料を収集し、有用な情報を適切に選択して、効果的に活用している。

知識・理解

我が国及び世界の形成の歴史的過程と生活・文化の地域的特色についての基本的な事柄を理解し、その知識を身に付けている。

公  民

関心・意欲・態度

現代の社会と人間にかかわる事柄に対する関心を高め、意欲的に課題を追究するとともに、平和で民主的なよりよい社会の実現に向けて参加、協力する態度を身に付け人間としての在り方生き方についての自覚を深めようとする。

思考・判断・表現

現代の社会と人間にかかわる事柄から課題を見いだし、社会的事象の本質や人間の存在及び価値などについて広い視野に立って多面的・多角的に考察し、社会の変化や様々な考え方を踏まえ公正に判断して、その過程や結果を適切に表現している。

資料活用の技能

現代の社会と人間にかかわる事柄に関する諸資料を収集し、有用な情報を適切に選択して、効果的に活用している。

知識・理解

現代の社会的事象と人間としての在り方生き方とにかかわる基本的な事柄を理解し、その知識を身に付けている。

教科

観点

趣旨

数  学

関心・意欲・態度

数学の論理や体系に関心をもつとともに、数学のよさを認識し、それらを事象の考察に積極的に活用して数学的論拠に基づいて判断しようとする。

数学的な見方や考え方

事象を数学的に考察し表現したり、思考の過程を振り返り多面的・発展的に考えたりすることなどを通して、数学的な見方や考え方を身に付けている。

数学的な技能

事象を数学的に表現・処理する仕方や推論の方法などの技能を身に付けている。

知識・理解

数学における基本的な概念、原理・法則などを体系的に理解し、知識を身に付けている。

理  科

関心・意欲・態度

自然の事物・現象に関心や探究心をもち、意欲的にそれらを探究しようとするとともに、科学的態度を身に付けている。

思考・判断・表現

自然の事物・現象の中に問題を見いだし、探究する過程を通して、事象を科学的に考察し、導き出した考えを的確に表現している。

観察・実験の技能

観察、実験を行い、基本操作を習得するとともに、それらの過程や結果を的確に記録、整理し、自然の事物・現象を科学的に探究する技能を身に付けている。

知識・理解

自然の事物・現象について、基本的な概念や原理・法則を理解し、知識を身に付けている。

保 健 体 育

関心・意欲・態度

運動の楽しさや喜びを深く味わうことができるよう、運動の合理的、計画的な実践に主体的に取り組もうとする。また、個人生活及び社会生活における健康・安全について関心をもち、意欲的に学習に取り組もうとする。

思考・判断

生涯にわたる豊かなスポーツライフの実現を目指して、自己や仲間の課題に応じた運動の取り組み方や健康の保持及び体力を高めるための運動の計画を工夫している。また、個人生活及び社会生活における健康・安全について、課題の解決を目指して考え、判断し、それらを表している。

運動の技能

運動の合理的な実践を通して、運動の特性に応じた段階的な技能を身に付けている。

知識・理解

運動の合理的、計画的な実践に関する具体的な事項及び生涯にわたって豊かなスポーツライフを継続するための理論について理解している。また、個人生活及び社会生活における健康・安全について、課題の解決に役立つ基礎的な事項を理解している。

教科

観点

趣旨

芸  術

音  楽

音楽への関心・意欲・態度

音楽活動の喜びを味わい、音楽や音楽文化に関心をもち、主体的に音楽表現や鑑賞の学習に取り組もうとする。

音楽表現の創意工夫

音楽を形づくっている要素を知覚し、それらの働きを感受しながら、音楽表現を工夫し、表現意図をもっている。

音楽表現の技能

創意工夫を生かした音楽表現をするための技能を身に付け、創造的に表している。

鑑賞の能力

音楽を形づくっている要素を知覚し、それらの働きを感受しながら、解釈したり価値を考えたりして、音楽に対する理解を深め、よさや美しさを創造的に味わっている。

美  術

美術への関心・意欲・態度

美術の創造活動の喜びを味わい、美術や美術文化に関心をもち、主体的に表現や鑑賞の創造活動に取り組もうとする。

発想や構想の能力

感性や想像力を働かせて、主題を生成し、創造的な表現の構想を練っている。

創造的な技能

創造的な美術の表現をするために必要な技能を身に付け、表現方法を工夫して表している。

鑑賞の能力

美術や美術文化を幅広く理解し、そのよさや美しさを創造的に味わっている。

工  芸

工芸への関心・意欲・態度

工芸の創造活動の喜びを味わい、工芸や工芸の伝統と文化に関心をもち、主体的に表現や鑑賞の創造活動に取り組もうとする。

発想や構想の能力

感性や想像力を働かせて、心豊かな発想をし、よさや美しさなどを考え制作の構想を練っている。

創造的な技能

創造的な工芸の制作をするために必要な技能を身に付け、表現方法を工夫して表している。

鑑賞の能力

工芸や工芸の伝統と文化を幅広く理解し、そのよさや美しさを創造的に味わっている。

書  道

書への関心・意欲・態度

書の創造的活動の喜びを味わい、書の伝統と文化に関心をもって、主体的に表現や鑑賞の創造的活動に取り組もうとする。

書表現の構想と工夫

書表現の諸要素を感受し、感性を働かせながら、自らの意図に基づいて構想し、表現を工夫している。

創造的な書表現の技能

創造的な書表現をするために、書の効果的な表現の技能を身に付け表している。

鑑賞の能力

文字や書の伝統と文化について幅広く理解し、その価値を考え、書のよさや美しさを創造的に味わっている。

教科

観点

趣旨

外 国 語

コミュニケーションへの関心・意欲・態度

コミュニケーションに関心をもち、積極的に言語活動を行い、コミュニケーションを図ろうとする。

外国語表現の能力

外国語で話したり書いたりして、情報や考えなどを適切に伝えている。

外国語理解の能力

外国語を聞いたり読んだりして、情報や考えなどを的確に理解している。

言語や文化についての知識・理解

外国語の学習を通して、言語やその運用についての知識を身に付けているとともに、その背景にある文化などを理解している。

家  庭

関心・意欲・態度

家庭や地域の生活について関心をもち、その充実向上を目指して主体的に取り組もうとするとともに、実践的な態度を身に付けている。

思考・判断・表現

家庭や地域の生活について課題を見いだし、その解決を目指して思考を深め、適切に判断し工夫し創造する能力を身に付けている。

技能

家庭や地域の生活を充実向上するために必要な基礎的・基本的な技術を身に付けている。

知識・理解

家庭生活の意義や役割を理解し、家庭や地域の生活を充実向上するために必要な基礎的・基本的な知識を身に付けている。

情  報

関心・意欲・態度

情報や情報社会に関心をもち、身のまわりの問題を解決するために、自ら進んで情報及び情報技術を活用し、社会の情報化の進展に主体的に対応しようとする。

思考・判断・表現

情報や情報社会における身のまわりの問題を解決するために、情報に関する科学的な見方や考え方を活かすとともに情報モラルを踏まえて、思考を深め、適切に判断し表現している。

技能

情報及び情報技術を活用するための基礎的・基本的な技能を身に付け、目的に応じて情報及び情報技術を適切に扱っている。

知識・理解

情報及び情報技術を活用するための基礎的・基本的な知識を身に付け、社会における情報及び情報技術の意義や役割を理解している。

(2) 主として専門学科において開設される各教科

教科

観点

趣旨

農  業

関心・意欲・態度

農業に関する諸課題について関心をもち、その改善・向上を目指して主体的に取り組もうとするとともに、実践的な態度を身に付けている。

思考・判断・表現

農業に関する諸課題の解決を目指して思考を深め、基礎的・基本的な知識と技術を基に、農業に携わる者として適切に判断し、表現する創造的な能力を身に付けている。

技能

農業の各分野に関する基礎的・基本的な技術を身に付け、農業に関する諸活動を合理的に計画し、その技術を適切に活用している。

知識・理解

農業の各分野に関する基礎的・基本的な知識を身に付け、農業の意義や役割を理解している。

工  業

関心・意欲・態度

工業技術に関する諸課題について関心をもち、その改善・向上を目指して主体的に取り組もうとするとともに、実践的な態度を身に付けている。

思考・判断・表現

工業技術に関する諸課題の解決を目指して思考を深め、基礎的・基本的な知識と技術を基に、技術者として適切に判断し、表現する創造的な能力を身に付けている。

技能

工業の各分野に関する基礎的・基本的な技術を身に付け、環境に配慮し、ものづくりを合理的に計画し、その技術を適切に活用している。

知識・理解

工業の各分野に関する基礎的・基本的な知識を身に付け、現代社会における工業の意義や役割を理解している。

商  業

関心・意欲・態度

ビジネスの諸活動に関する諸課題について関心をもち、その改善・向上を目指して主体的に取り組もうとするとともに、実践的な態度を身に付けている。

思考・判断・表現

ビジネスの諸活動に関する諸課題の解決を目指して思考を深め、基礎的・基本的な知識と技術を基に、ビジネスの諸活動に携わる者として適切に判断し、表現する創造的な能力を身に付けている。

技能

商業の各分野に関する基礎的・基本的な技術を身に付け、ビジネスの諸活動を合理的に計画し、その技術を適切に活用している。

知識・理解

商業の各分野に関する基礎的・基本的な知識を身に付け、ビジネスの意義や役割を理解している。

教科

観点

趣旨

水  産

関心・意欲・態度

水産や海洋に関する諸課題について関心をもち、その改善・向上を目指して主体的に取り組もうとするとともに、実践的な態度を身に付けている。

思考・判断・表現

水産や海洋に関する諸課題の解決を目指して思考を深め、基礎的・基本的な知識と技術を基に、水産業や海洋関連産業に携わる者として適切に判断し、表現する創造的な能力を身に付けている。

技能

水産や海洋の各分野に関する基礎的・基本的な技術を身に付け、水産や海洋に関する諸活動を合理的に計画し、その技術を適切に活用している。

知識・理解

水産や海洋の各分野に関する基礎的・基本的な知識を身に付け、水産業や海洋関連産業の意義や役割を理解している。

家  庭

関心・意欲・態度

生活産業を取り巻く諸課題について関心をもち、その改善・向上を目指して主体的に取り組もうとするとともに、実践的な態度を身に付けている。

思考・判断・表現

生活産業を取り巻く諸課題の解決を目指して思考を深め、基礎的・基本的な知識と技術を基に、生活産業に携わる者として適切に判断し、表現する創造的な能力を身に付けている。

技能

生活産業に関する基礎的・基本的な技術を身に付け、生活産業に関する諸活動を合理的に計画し、その技術を適切に活用している。

知識・理解

生活産業に関する基礎的・基本的な知識を身に付け、生活産業の社会的な意義や役割を理解している。

看  護

関心・意欲・態度

看護に関する諸課題について関心をもち、その改善・向上を目指して主体的に取り組もうとするとともに、実践的な態度を身に付けている。

思考・判断・表現

看護に関する諸課題の解決を目指して思考を深め、基礎的・基本的な知識と技術を基に、看護に携わる者として適切に判断し、表現する創造的な能力を身に付けている。

技能

看護の各分野に関する基礎的・基本的な技術を身に付け、看護に関する諸活動を合理的に計画し、その技術を適切に活用している。

知識・理解

看護の各分野に関する基礎的・基本的な知識を身に付け、看護の意義や役割を理解している。

教科

観点

趣旨

情  報

関心・意欲・態度

情報の各分野に関する諸課題について関心をもち、その改善・向上を目指して主体的に取り組もうとするとともに、実践的な態度を身に付けている。

思考・判断・表現

情報の各分野に関する諸課題の解決を目指して思考を深め、基礎的・基本的な知識と技術を基に、情報産業に携わる者として適切に判断し、表現する創造的な能力を身に付けている。

技能

情報の各分野に関する基礎的・基本的な技術を身に付け、情報の各分野に関する諸活動を合理的に計画し、その技術を適切に活用している。

知識・理解

情報の各分野に関する基礎的・基本的な知識を身に付け、現代社会における情報及び情報産業の意義や役割を理解している。

福  祉

関心・意欲・態度

社会福祉に関する諸課題について関心をもち、その改善・向上を目指して主体的に取り組もうとするとともに、実践的な態度を身に付けている。

思考・判断・表現

社会福祉に関する諸課題の解決を目指して思考を深め、基礎的な知識と技術を基に、福祉に携わる者として適切に判断し、表現する創造的な能力を身に付けている。

技能

社会福祉の各分野に関する基礎的・基本的な技術を身に付け、福祉に関する諸活動を合理的に計画し、その技術を適切に活用している。

知識・理解

社会福祉の各分野に関する基礎的・基本的な知識を身に付け、社会福祉の意義や役割を理解している。

理  数

関心・意欲・態度

自然の事物・現象や数学的事象に関心をもち、積極的にそれらを探究しようとするとともに、事象を科学的・数学的に考察し表現する態度を身に付けている。

思考・判断・表現

自然の事物・現象の中に問題を見いだし探究する過程を通して、事象を科学的、創造的に考察し、導き出した考えを的確に表現している。また、数学的な見方や考え方を身に付け、事象を数学的、創造的に考察し的確に表現している。

技能

観察、実験の基本操作及び自然の事物・現象を探究する技能を身に付けている。また、事象を数学的に表現・処理する仕方や推論の方法などの技能を身に付けている。

知識・理解

科学や数学における基本的な概念や原理・法則などを系統的に理解し、知識を身に付けている。

教科

観点

趣旨

体  育

関心・意欲・態度

スポーツ文化を尊重し、主体的、合理的、計画的に、各科目の学習に取り組もうとする。

思考・判断

生涯を通してスポーツの振興発展に寄与することを目指して、各科目の課題に応じた運動や学習の取り組み方、健やかな心身の高め方や維持の仕方を工夫している。

運動の技能

高度な技能の習得を目指して、各科目の運動の特性に応じた段階的な技能を身に付けている。

知識・理解

スポーツの専門的な実践に関する具体的な事項及びスポーツの振興発展に寄与するための理論について理解している。

音  楽

音楽への関心・意欲・態度

音楽文化を尊重し、主体的、創造的に音楽の学習に取り組もうとする。

音楽表現の創意工夫

音楽を形づくっている要素を知覚し、それらの働きを感受しながら、音楽表現を工夫し、表現意図をもっている。

音楽表現の技能

創意工夫を生かした音楽表現をするための技能を身に付け、創造的に表している。

鑑賞の能力

音楽を形づくっている要素を知覚し、それらの働きを感受しながら、価値判断し、音楽に対する理解を深め、よさや美しさを創造的に味わっている。

美  術

美術への関心・意欲・態度

美術文化を尊重し、主体的、創造的に美術の学習に取り組もうとする。

発想や構想の能力

感性や想像力を働かせて感じ取ったことや考えたことなどを基に豊かに発想し、よさや美しさなどを考え、創造的・機能的で個性豊かな表現の構想を練っている。

創造的な技能

創造的な表現活動をするために必要な造形感覚や専門的な技能を身に付け、表現方法を創意工夫して表現している。

鑑賞の能力

美術作品や文化遺産、美術文化などについて理解を深め、感性や想像力を働かせて価値や美意識を感じ取り、創造的に味わっている。

英  語

コミュニケーションへの関心・意欲・態度

コミュニケーションに関心をもち、積極的に言語活動を行い、コミュニケーションを図ろうとする。

英語表現の能力

英語で話したり書いたりして、情報や考えなどを適切に伝えている。

英語理解の能力

英語を聞いたり読んだりして、情報や考えなどを的確に理解している。

言語や文化についての知識・理解

英語の学習を通して、言語やその運用についての知識を身に付けているとともに、その背景にある文化などを理解している。

Ⅲ 観点別学習状況の評価の実施について

1 観点別学習状況の評価の進め方

観点別学習状況の評価を進めるにあたっては、以下の流れのとおり、最初に各教科・科目の学習到達目標、評価の観点の趣旨と評価方法を設定する。その上で、単元(題材)ごとの学習内容、その学習に対する観点ごとの評価規準と、それぞれの場面に応じて生徒の学習状況を的確に把握できる評価方法を設定し、指導と評価の年間計画(シラバス)に位置付ける。

そして、作成した指導と評価の年間計画(シラバス)に基づき授業を実施し、生徒一人ひとりの変容や教科の目標に対する実現状況を把握し評価を行うとともに、評価結果を分析し、学習指導の見直しや個に応じた指導の改善・充実を図ること(評価結果によるフィードバック)が重要である。

■「観点別学習状況の評価」実施の流れ

フィードバック

指導と評価の年間計画(シラバス)に位置付ける

       (1) 各教科・科目の学習到達目標を設定する。

        ・各学校が「めざす学校像」や「教育目標」を踏まえ、学習指導要領に

示す各教科・科目の目標に基づき、地域や生徒の実態等に即して設定

(2) 各教科・科目の評価の観点の趣旨と評価方法を設定する。

        ・各学校が学習指導要領に示されている「科目の目標」及び「各教科の

評価の観点及びその趣旨」に基づき、各科目の評価の観点の趣旨を設定

・評価の観点ごとに生徒の学習状況を的確に評価できる方法を設定

(3) 単元(題材)ごとの学習内容と評価規準・評価方法を設定する。

        ・評価基準は、設定した目標に対して生徒がどのような学習状況を実現

すればよいのかを具体的に想定しながら、4つの観点ごとに設定

・それぞれの場面に応じて生徒の学習状況を的確に評価できる方法を設定

(4) 作成した指導と評価の年間計画(シラバス)に基づき、授業を実施する。

        ・設定した評価規準に基づき、観点ごとに評価結果を記録に残す。

(5) 生徒の評価を行うとともに、評価結果を授業や指導計画の改善に生かす。

・生徒一人ひとりの変容や教科の目標に対する実現状況により評価を行う。

        ・評価結果を分析し、学習指導の見直しや個に応じた指導の充実を図る。

・生徒一人ひとりの学習内容の確実な定着をめざす。

(6) 評価結果を観点別に総括し、評定に結び付ける。

2 評価規準の設定について

学習評価を適切に実施するためには、各教科・科目の学習到達目標だけでなく、単元(題材)ごとの学習指導のねらいを明確にした上で、生徒の学習状況としてどのような場合にそのねらいが実現された(おおむね満足する)とするのかをあらかじめ設定しておくことが必要である。このように、「どんな点がどのようになっていればよい」など、ある観点において生徒に付けたい力をより具体的な生徒の成長の姿として文章表記したものが評価規準である。

そのため、評価規準は各教科の評価の観点ごとに設定することが必要である。また、学習指導のねらいと整合性があり、その達成を判断する基準として適していることに加え、何らかの方法(評価方法)で実際に確認できるものでなければならない。

評価規準の設定にあたっては、それぞれの単元(題材)で固有の学習内容と教材、そして生徒に身に付けさせたい力を関連づけて、具体的な活動場面やその場面に応じた評価方法を想定しながら、文章表現を工夫することが重要である。

評価規準を設定することは、毎時間の授業や単元(題材)の学習を通して、生徒にどのような力を身に付けさせたいのかを具体的に想定することでもある。したがって、教科等の組織で検討するなど、学校として適切に設定することが求められる。また、評価規準を設定することは、生徒の学習状況を判断する際のめやすが明らかになり、指導と評価を着実に実施することにもつながる。

3 評価方法について

評価方法には、観察、生徒との対話、ノート、学習カード、作品、レポート、ペーパーテスト、質問紙、面接など様々な方法が考えられるが、各学校において、各教科・科目の学習活動の特質、評価の観点や評価規準、評価の場面に応じて、生徒の学習状況を的確に評価できる方法を選択することが必要である。また、生徒による自己評価や生徒同士の相互評価など、生徒による評価を取り入れることは生徒の参画意識を高めることにもつながり、とても有効である。

評価を適切に行うという点でいえば、できるだけ多様な評価を行い、多くの情報を得ることは重要であるが、評価に追われ、十分な指導ができなくなれば意味がない。そのため、生徒の学習状況を適切に評価し、その評価を指導に生かすということに留意する必要がある。

【例】学習状況の観察、発表等のパフォーマンスの評価、報告会での発表内容、ノート、

ワークシート、作品、ポスター、レポート、小論文、実習記録表、振り返りシート、

確認テスト、単元テスト、実技テスト、小テスト、インタビューテスト、定期考査

■評価方法を検討する上での留意点

○ ペーパーテストは評価方法の一つとして有効であるが、ペーパーテストにおいて得られる結果は、目標に準拠した評価における学習状況のすべてを表すものではない。

○ 「関心・意欲・態度」については、授業中の挙手や発言の回数といった表面的な状況のみに着目しないよう、また、ある程度長い区切りの中で評価するよう留意が必要である。

○ 評価方法を評価規準と組み合わせて設定することが必要であり、評価規準と対応した評価方法を準備することが、評価方法の妥当性、信頼性を高める。

   (1) 「関心・意欲・態度」を評価する方法について

「関心・意欲・態度」は、各教科・科目における学習内容に関心をもち、自ら課題に取り組もうとする意欲や態度を生徒が身に付けているかどうかを評価するものであり、獲得した知識や技能を積極的に活用しようとする「態度」に焦点を当てる必要がある。

「関心・意欲・態度」は教員の主観が入りやすく、評価が難しいと受け止められていることもある。したがって、評価にあたっては、教科・科目のどの目標に対する関心・意欲・態度なのかという評価の対象(評価規準)を明確にし、どういった生徒の学習状況が観察された場合に「おおむね満足できる」状況にあると判断するのか(評価基準)を明確にした上で、取り組むことが必要である。

具体的な評価方法としては、授業中の挙手や発言の回数といった表面的な状況のみに着目することにならないよう留意し、授業や面談における発言や行動等を観察するほか、ワークシートや授業の振り返りシート、レポートの作成、発表といった様々な学習活動を通して評価することが考えられる。また、生徒の自己評価や相互評価、予習・復習の状況の評価など多様な評価方法により継続的・総合的に行うとともに、ポートフォリオ評価やパフォーマンス評価などによる質的な方法による評価を取り入れるなどの工夫改善が望まれる。

さらに、教科の特性や学習指導の内容等も踏まえつつ、ある程度長い区切りの中で適切な頻度で「おおむね満足できる」状況にあるかどうかを評価するなどの工夫を行うことも重要である。時には1か月や学期を通して長期的に評価することも考えられる。

   (2) 「思考・判断・表現」を評価する方法について

「思考・判断・表現」は、それぞれの教科の知識・技能を活用して課題を解決することに求められる思考力・判断力・表現力等を生徒が身に付けているかどうかを評価するものであり、各教科・科目の基礎的・基本的な知識・技能を活用する学習活動において、思考・判断したことと、その内容を表現する活動を一体的に評価することが重要である。

具体的な評価方法としては、単に文章、表や図といった表面的に表されている現象や思考・判断の結果のみで評価するのではなく、基礎的・基本的な知識・技能を活用しつつ、各教科・科目の内容に即して考えたり、判断したりしたことを、生徒の記録、要約、説明、論述、討論といった言語活動の成果により評価することが考えられる。さらに、言語だけでなく、教科の特性に応じた表現に係る活動を通じて学習過程を評価することも必要であり、例えば、観察・実験の分析や解釈を通じ規則性を式や図、グラフ等を用いて表現していることを評価したり、生徒の作品を通じて構想や設計に係る工夫を評価することなどが考えられる。このように、評価にあたっては、各教科・科目の知識・技能を活用する、論述、発表や討論、観察・実験とレポートの作成といった学習活動を積極的に取り入れることが大切であり、学習指導の目標に照らして実現状況を評価することが求められる。

その他の評価方法として、ワークシート、レポート、スピーチ、プレゼンテーションなどの内容について、※ルーブリックを用いて評価することや、キーワードとなる単語を利用して物事を説明する記述式の考査問題などにおいて「思考・判断・表現」を測ることが考えられる。

※ルーブリック:絶対評価のための判断基準表のこと。評価の観点と評価基準(尺度)を表にしたもので、表中には各観点における各尺度の典型となる文章表記がはめ込まれている。

ルーブリックを活用することにより、ペーパーテストでは評価しにくい「思考・判断・表現」などの観点を客観的に評価することができる。また、その評価基準の文章表記やレベル分けの仕方について継続的な改善と修正を行うことで、より高い妥当性と信頼性をもちながら評価することができるようになる。

また、あらかじめ生徒にルーブリックを示し評価の観点を伝えること、ルーブリックによる評価結果を生徒にフィードバックすること、ルーブリックを活用し生徒が相互評価することは、高い教育効果が見込まれる。

   (参考)課題研究発表に対する評価シート(ルーブリック)の例

観点

得点

課題設定力

研究の

意義

研究の意義を極めて明確に説明できており、その価値は高い。

研究の意義を説明できている。

研究の意義を説明しているが、不十分である

研究の意義を、説明できていない。

問いの

設定

研究対象を正しく理解し、深い問いを設定している。

研究対象を理解し、問いを設定している。

研究対象を理解しているが、問いの設定が浅い。

研究対象への理解が不足もしくは誤解している。そのため設定された問いが浅い、もしくは明確でない。

オリジナリティ

高校生として、発想や着眼点が比類ないものであり、研究のオリジナリティは極めて高い。

高校生として研究のオリジナリティが高い。

研究にはオリジナリティが若干認められる。

研究のオリジナリティが認められず、既視感がある。

研究基礎力

研究

方法

新たな研究方法を開発しようとするなど、極めて斬新な研究方法を追求しようとしている。

高校生として適切な研究方法を用いている。

研究方法がやや不適切である。

研究方法が不適切である。

先行研究との関連づけ

先行研究の知見が適切に整理されており、本研究を極めて的確に位置づけている。

先行研究の知見を整理した上で、本研究を位置づけている。

先行研究にあたっているが、量が不足しており、本研究の位置づけが不明確である。

先行研究をあたっていると考えられない。

資料やデータとの収集と典拠の明示

実際に周到な調査を行っている、もしくは正確な資料を収集している。また典拠が極めて明確に示されている。

実際に調査を行っている、もしくは正確な資料を収集している。また典拠が示されている。

調査は行われていない、もしくは資料を収集しているものの不正確である。また典拠が示されているが、やや不正確である。

調査は行われていない、もしくは資料の収集もされておらず、独りよがりな主張となっている。また典拠も示せていない。

研究開発力

分析と

検証

収集した資料やデータを十分に解釈・分析したうえで、結論を導くために極めて適切に活用できている。

収集した資料やデータを解釈・分析して、結論を導くために活用している。

収集した資料やデータを十分に解釈・分析しきれておらず、結論を導きだすために活用できていない。

収集した資料やデータの解釈・分析に誤りがある。そのため結論を導きだすために活用できていない。

論理的な構成

結論や結果が揺るぎない根拠に基づいて示されており、理路整然と論理的に主張が展開できている。

結論や結果が根拠に基づいて示されており、論理的に主張が展開できている。

結論や結果が示されているものの、根拠が不十分である。主張の展開の論理性が弱い。

結論や結果が示されているものの、根拠がない。もしくは結論や結果が明確に示されていない。

表現力

発表の

技法

発表は自信に満ちており、聴衆を魅了するほどの卓越した発表技法を持っている。

発表は、周到な準備に裏付けされたものであり、優れた発表技法を持っている。

発表は、やや準備不足を感じさせるものであるが、一定の発表技法は持っている。

発表は、準備が不足しており、発表技法の向上が望まれる。

発表の

態度

聴衆に十分配慮した言動で発表ができており、集中力を途切れさせない優れた工夫がみられる。

聴衆に配慮した言動で発表ができており、集中力を途切れさせない工夫がみられる。

聴衆への配慮にやや欠ける言動で発表がなされている。もしくはやや単調で集中力を持続しにくい。

聴衆への配慮に欠けた言動の発表がなされている。もしくは非常に単調で集中力の持続が困難である。

応答力

質疑に

対する

応答

質疑の主旨を十分に理解して、シンプルかつストレートに応答ができている。応答には余裕が感じられる。

質疑の主旨を理解して適切な応答ができている。

質疑の主旨を理解しているものの、十分に応答ができていない。

質疑の主旨を理解できていない、もしくは誤解しているため、応答ができていない。

コメント

合計

63

Ⅳ 指導と評価の年間計画(シラバス)の作成について

1 「科目の評価の観点の趣旨」の設定

指導と評価の年間計画(シラバス)の作成にあたっては、学習指導要領に示されている「科目の目標(※ア)」、及び本手引きⅡ6に示した「各教科の評価の観点及びその趣旨(※イ)」に基づき、以下の設定方法を参考に、各学校において「科目の評価の観点の趣旨」を設定する必要がある。

なお、必履修科目などについては、国立教育政策研究所「評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料」に掲載されている例示を参考とすること。

■「科目の評価の観点の趣旨」の設定について

※ア 学習指導要領の「科目の目標」

     例)数学I

数と式、図形と計量、二次関数及びデータの分析について理解させ、基礎的な知識の習得と技能の習熟を図り、事象を数学的に考察する能力を培い、数学のよさを認識できるようにするとともに、それらを活用する態度を育てる。

     ※イ 「各教科の評価の観点及びその趣旨」 

     例)数学

関心・意欲・態度

数学的な

見方や考え方

数学的な技能

知識・理解

数学の理論や体系に関心をもつとともに、数学のよさを認識し、それらを事象の考察に積極的に活用して数学的論拠に基づいて判断しようとする。

事象を数学的に考察し表現したり、思考の過程を振り返り多面的・発展的に考えたりすることなどを通して、数学的な見方や考え方を身に付けている。

事象を数学的に表現・処理する仕方や推論の方法などの技能を身に付けている。

数学における基本的な概念、原理・法則などを体系的に理解し、知識を身に付けている。     

ゴシック及び網掛けは抜き出した箇所を表す。

「科目の評価の観点の趣旨(数学Ⅰ)」

関心・意欲・態度

数学的な見方や考え方

数学的な技能

知識・理解

数と式、図形と計量、二次関数及びデータの分析の考え方に関心をもつとともに、数学のよさを認識し、それらを事象の考察に活用しようとする。

事象を数学的に考察し表現したり、思考の過程を振り返り多面的・発展的に考えたりすることなどを通して、数と式、図形と計量、二次関数及びデータの分析における数学的な見方や考え方を身に付けている。

数と式、図形と計量、二次関数及びデータの分析において、事象を数学的に表現・処理する仕方や推論の方法などの技能を身に付けている。

数と式、図形と計量、二次関数及びデータの分析における基本的な概念、原理・法則などを体系的に理解し、知識を身に付けている。

2 指導と評価の年間計画(シラバス)の記入例及び作成上の留意点

(1) 記入例及び作成上の留意点(数学)

学校番号

平成○○年度 数学科

教科

数学科

科目

数学Ⅰ

単位数

3単位

年次

1年次

使用教科書

○○○○「○○○○○」 (○○出版)

副教材等

○○○○ (○○出版)

授業の進め方、学習方法、生徒が注意すべきことについて記入します。

1 担当者からのメッセージ(学習方法等)

・授業では、課題に対して、自ら考え、周りの人と協働で考える活動を行います。

・「課題を理解する → 結果を予想する → 解決の方向を構想する → 解決する → 解決の過程を振り返ってよりよい解決を考える」といった一連の過程で、自分の考えを発表したり、議論したりする活動を行います。

・問題集用のノートを用意してください。

問題集の問題をまず自分で解いてみましょう。ただ答えを求めるだけでなく、途中の式や考え方も書くようにしましょう。また、各自答え合わせをしてください。答え合わせは、自分がどこでつまずいたかを知るための大切なものです。

・家庭学習における課題は定期的に提出してもらいます。最後まであきらめずに取り組みましょう。

2 学習の到達目標

学習指導要領を参考に作成してください。

数と式、図形と計量、二次関数及びデータの分析についての基礎的な知識や技能を習得します。

また、事象を数学的に考察する能力を培い、数学のよさを認識できるようにします。さらに、それらを活用する態度を身に付けることを目標とします。

3 学習評価(評価規準と評価方法)

観点

a:関心・意欲・態度

b:数学的な見方や考え方

c:数学的な技能

d:知識・理解

観点の趣旨

数と式、図形と計量、二次関数及びデータの分析の考え方に関心をもつとともに、数学のよさを認識し、それらを事象の考察に活用しようとする。

事象を数学的に考察し表現したり、思考の過程を振り返り多面的・発展的に考えたりすることなどを通して、数と式、図形と計量、二次関数及びデータの分析における数学的な見方や考え方を身に付けている。

数と式、図形と計量、二次関数及びデータの分析において、事象を数学的に表現・処理する仕方や推論の方法などの技能を身に付けている。

数と式、図形と計量、二次関数及びデータの分析における基本的な概念、原理・法則などを体系的に理解し、知識を身に付けている。

評価

方法

確認テスト

単元テスト

ワークシート

レポート

観察等

単元テスト

定期テスト

ワークシート

レポート

観察等

確認テスト

単元テスト

定期テスト

観察等

確認テスト

単元テスト

定期テスト

レポート

観察等

上に示す観点に基づいて、学習のまとまりごとに評価し、学年末に5段階の評定にまとめます。

学習内容に応じて、それぞれの観点を適切に配分し、評価します。

4 学習の活動

学期

内容

単元

(題材)

学習内容

主な評価の観点

単元(題材)の評価規準

評価方法

a

b

c

d

1学期

数と式

式の計算

整式の加法と減法

a:具体的な事象の考察に式の展開や因数分解などを活用しようとしている。

b:一つの文字に着目したり、一つの文字に置き換えたりするなどして、いろいろな式の見方をすることや、目的に応じて、的確に式を変形する方法を考察することができる。

c:式を用いて事象を適切に表現することや見通しをもって式を扱うこと、そして、乗法公式や因数分解の公式などを用いて、式を目的に応じて変形することができる。

d:乗法公式及び因数分解の公式の意味や複雑な式が簡単な式に帰着できることを理解している。

確認テスト

単元テスト

ワークシート

観察等

整式の乗法

因数分解

2学期

二次関数

二次関数の値の変化

二次関数の最大・最小

a:二次関数の値の変化に関心をもち、具体的な事象の考察に二次関数の最大・最小を活用しようとしている。

b:二次関数の値の変化の様子について、グラフを用いて考察することができる。

c:二次関数のグラフや式を用いて、二次関数の最大値・最小値を求めることができる。

d:二次関数の最大値・最小値とその求め方について理解している。

確認テスト

単元テスト

ワークシート

レポート

観察等

二次関数の決定

3学期

データの分析

データの散らばりと四分位数

a:四分位数、四分位偏差、分散及び標準偏差などを用いてデータの傾向を把握し、それらを事象の考察に活用しようとしている。

b:四分位数、四分位偏差、分散及び標準偏差などを用いてデータの傾向を捉え、それらを的確に表現することができる。

c:四分位数、四分位偏差、分散及び標準偏差などを求めることができる。

d:四分位数、四分位偏差、分散及び標準偏差などの意味を理解している。

確認テスト

単元テスト

ワークシート

レポート

観察等

<指導と評価の年間計画 作成上の留意点について>

①… 単元の評価規準作成の基になるものです。Ⅳ指導と評価の年間計画(シラバス)の作成についての1「科目の評価の観点の趣旨」の設定を参照して下さい。

②… それぞれの場面に応じて、生徒の学習状況を的確に評価できる方法を選択します。学習状況の観察、確認テスト、単元テスト、ワークシート、レポートなどが考えられます。Ⅲ 3 評価方法についてを参照して下さい。

③… 当該教科のすべての学習内容におけるバランスを考え、単元(題材)を設定します。

④… 学習内容の欄には、小単元(単元を構成する小さな単元)を記載する場合もあります。

⑤… 原則として、一つの単元(題材)で、すべての観点について評価することとなりますが、学習内容(小単元)の各項目において、特に重点的に評価を行う観点(もしくは重み付けを行う観点)に○を付けます。

注)内容のまとまり・単元(題材)・学習内容等の区分けは、教科によって異なります。

⑥… 「評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料(高等学校 数学)」に掲載の「評価規準に盛り込むべき事項」、「評価規準の設定例」を参考に作成しますが、基本的には学習指導要領の各教科の目標・各科目の目標及び内容並びに当該部分の学習指導要領解説の記述、当該教科の評価の観点の趣旨などを基に作成します。

注)1単位時間の中で4つの観点すべてについて評価基準を設定し、そのすべてを評価し学習指導の改善に生かしていくことは現実的に困難ですが、1単元(題材)の中では、各観点をバランスよく評価できるようにします。

(2) 記入例及び作成上の留意点(地理歴史)

学校番号

平成○○年度 地理歴史科

教科

地理歴史

科目

世界史A

単位数

2単位

年次

2年次

使用教科書

○○○○「○○○○○」 (○○出版)

副教材等

○○○○ (○○出版)

1 担当者からのメッセージ(学習方法等)

・歴史という時間軸を感じる。

・歴史的事象に「なぜ」の視点を持つ。

・歴史を背景とした世界の国の諸事情を踏まえ、現在の日本の在り方を考える。

2 学習の到達目標

・諸資料に親しみ、歴史的思考力を培う。

・現代の諸課題を近現代史を中心とする歴史と結び付け歴史的観点から考察することができる。

・世界の歴史を地理的条件や日本の歴史と関連付けながら理解し、 国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚と資質を養う。

3 学習評価(評価規準と評価方法)

観点

a:関心・意欲・態度

b:思考・判断・表現

c:資料活用の技能

d:知識・理解

観点の趣旨

近現代史を中心とする世界の歴史に対する関心と課題意識を高め、意欲的に追究するとともに、国際社会に主体的に生き国家・社会を形成する日本国民としての責務を果たそうとする。

現代世界の諸課題を歴史的観点から考察し、国際社会の変化を踏まえ公正に判断して、その過程や結果を適切に表現している。

近現代史を中心とする世界の歴史に関する諸資料を収集し、有用な情報を選択して、読み取ったり図表などにまとめたりしている。

近現代史を中心とする世界の歴史についての基本的な事柄を地理的条件や日本の歴史と関連付けながら理解し、その知識を身に付けている。

評価方法

ワークシート

レポート

定期考査

ワークシート

定期考査

ワークシート

定期考査

〔主題学習〕

振り返りシート

※「主題学習」とは主題を設定して行う学習活動で、適切な時間を確保して行う。

〔主題学習〕

レポート

報告会での発表内容

〔主題学習〕

ポスター

〔主題学習〕

内容のまとまり

上に示す観点に基づいて、学習のまとまりごとに評価し、学年末に5段階の評定にまとめます。

学習内容に応じて、それぞれの観点を適切に配分し、評価します。

4 学習の活動

学 期

単元名

学習内容

主な評価の観点

単元(題材)の評価規準

評価方法

a

b

c

d

1学期

世界史へのいざない

・風土がはぐくむ人々のくらし

・妙なる楽の音 日本列島へ

a:自然環境と歴史、日本の歴史と世界の歴史のつながりに関わる主題を意欲的に考察し、地理と歴史への関心を高めようとしている。

b:設定された主題について、多面的・多角的に考察し、その過程や結果を適切に表現している。

c:設定された主題について、事例の考察に必要な諸資料を収集し、有用な情報を選択して、読み取ったり図表などにまとめたりしている。

d:設定された主題について、地理的条件や日本の歴史と関連付けながら理解し、その知識を身に付けている。

ワークシート

2学期

ユーラシアの諸文明と交流

・文明のはじまり

・ユーラシア諸文明の特質

・ユーラシアの交流

a:ユーラシア各地に形成された諸文明の特質と、ユーラシアの交流について関心を高め、意欲的に追究しようとしている。

b:ユーラシア諸文明と交流の特質を見いだし、地域世界相互の文化変容などと関連付けながら多面的・多角的に考察し、その過程や結果を適切に表現している。

c:必要な諸資料を収集し、有用な情報を選択して、読み取ったり図表などにまとめたりしている。

d:ユーラシア各地に形成された諸文明と交流の特質について理解し、その知識を身に付けている。

定期考査

ワークシート

<指導と評価の年間計画 作成上の留意点について>

① … ・基本的には学習指導要領の各教科の目標・各科目の目標及び内容並びに当該部分の学習指導要領解説の記述、当該科目の評価の観点の趣旨などを基に作成します。

・単元(題材)全体を見渡し、指導の流れなども踏まえ適切に設定します。

例えば、まず、「関心・意欲・態度」及び「思考・判断・表現」をどの学習内容に設定するかを考え、その他を「資料活用の技能」及び「知識・理解」で配分するという方法もあります。あるいは、「資料活用の技能」について最も重みをつけて評価を行う学習内容を選択し、その他の観点をバランス良く配分する、という方法もあります。

Ⅴ 教科別資料(モデルシラバス)

1 国語

学校番号

平成○○年度 国語科

教科

国語科

科目

国語総合

単位数

年次

使用教科書

○○○○「○○○○○」 (○○出版)

副教材等

○○○○ (○○出版)

1 担当者からのメッセージ

・1年生では社会人に必要となる基礎的な国語の力を身に付けることを心がけましょう。

・話し合いや文章記述、発表など、アクティブな活動を取り入れた授業を行います。

・様々な文章を「読む能力」を向上させるとともに、コミュニケーションのための「話す・聞く能力」や意思を伝えるための「書く能力」をしっかりと身に付けてください。

・古典の時間では、有名な古文と漢文の作品に親しむとともに、正しく心情等を理解するために語彙力や文法の知識をしっかりと身に付けてください。

・予習として必ず本文を読んでおきましょう。授業の後には内容を振り返って復習してください。

・提出物の期限は守りましょう。定期考査は学習計画を立てて臨んでください。

2 学習の到達目標

・目的や場にふさわしい語句を選んで、適切に思いや考えを表現することができる。

・目的や場に応じて的確に文章の内容や構成、登場人物の心情を理解することができる。

・人間関係において、互いを尊重し、相互理解を深め、正しく意思を伝え合うことができる。

・言語感覚を磨き、論理的な思考力、豊かな想像力を場面に応じて活用することができる。

・伝統的な言語文化に対する関心を持ち、国語を尊重する態度を育んでいる。

3 学習評価(評価規準と評価方法)

観点

a:関心・意欲

・態度

b:話す・聞く能力

c:書く能力

d:読む能力

e:知識・理解

観点の趣旨

国語で伝え合う力を進んで高めるとともに、言語文化に対する関心を深め、国語を尊重してその向上を図ろうとする。

目的や場に応じて効果的に話し、的確に聞き取ったり、話し合ったりして、自分の考えをまとめ、深めている。

相手や目的、意図に応じた適切な表現による文章を書き、自分の考えをまとめ、深めている。

文章を的確に読み取ったり、目的に応じて幅広く読んだりして、自分の考えを深め、発展させている。

伝統的な言語文化及び言葉の特徴やきまり、漢字などについて理解し、知識を身に付けている。

主たる評価方法

行動の観察

記述の点検

(ノート、ワークシート等)

行動の観察

(発表等のパフォーマンスの評価)

記述の確認及び分析

(ワークシート、原稿用紙)

記述の確認及び分析(ワークシート)

定期考査

行動の観察

記述の確認

(ノート、ワークシート等)

定期考査

小テスト

上に示す観点に基づいて、学習のまとまりごとに評価し、学年末に5段階の評定にまとめます。

学習内容に応じて、それぞれの観点を適切に配分し、評価します。

4 学習の活動

学期

単元名

学習内容

主な評価の観点

単元(題材)の評価規準

評価方法

a

b

c

d

e

1学期

自分について語る

【近代以降】

〈自己紹介をしあって、話し方聞き方を学ぶ〉

教材:

「話し方聞き方の基礎」

ワークシート

a:何のために、誰に向かって、どのような条件で話すのかを考えようとしている。

b:何のために、誰に向かって、どのような条件で話すのかを考えている。

e:話すこと・聞くことに必要な文の組立てについて理解している。

a、b、e:

行動の観察と確認

評論の内容を理解するⅠ

【近代以降】

教材:

「水の東西」

「やっぱり」

a:考えの進め方や、情景や心情の推移など、文章の筋道を的確にとらえようとしている。

d:考えの進め方や、情景や心情の推移など、文章の筋道を的確にとらえている。

e:正しく理解し、使いこなせる言葉の数を増やしている。

a:行動の観察及び記述の点検

d:記述の確認及び定期考査

e:小テスト

意見文を書く

【近代以降】

〈評論についての意見文を書くことで、文章の書き方を学ぶ〉

教材:「小論文を書こう 」

ワークシート

a:文章の形態や文体、語句などに合った適切な表現の仕方で書こうとしている。

c:文章の形態や文体、語句などに合った適切な表現の仕方で書いている。

e:書くことに必要な、文章の形態や文体の違いによる特色について理解している。

a、c、e:

記述の点検と確認

古文入門

【古典】

教材:

説話『宇治拾遺物語』

「児のそら寝」

随筆『徒然草』「高名の木登り」

文法等…歴史的仮名遣い、文語の動詞の基礎

a:文章に描かれている人物の心情を表現に即して読み、異なる立場から読み深めようとしている。

d:文章に描かれている人物の心情を表現に即して読み、異なる立場から読み深めている。

e:古文を読むことに役立つ、文語のきまりを身に付けている。

a:行動の観察

d:記述の確認及び定期考査

e:小テスト及び定期考査

2学期

本を紹介する

【近代以降】

〈本を紹介しあうことで、話し方聞き方を学ぶ〉

教材:「ブックトークをしよう」

ワークシート

a:話す内容について幅広く資料などに当たって調べようとしている。

b:話す内容について幅広く資料などに当たって調べている。

e:話すこと・聞くことに必要な文章の形態や文体の違いによる特色について理解している。

a、b、e:

行動の観察と確認

小説の内容を理解するⅠ

【近代以降】

教材:

「羅生門」

「ナイン」

a:人物、情景、心情などを、どうして書き手がこのように描いているのかを捉え、象徴、予兆などに果たしている効果に気付こうとしている。

d:人物、情景、心情などを、どうして書き手がこのように描いているのかを捉え、象徴、予兆などに果たしている効果に気付いている。

e:文章の形態や文体の違いによる特色について理解している。

a:行動の観察及び記述の点検

d、e:

記述の確認及び定期考査

文学を創作する

【近代以降】

〈羅生門」に基づいて、小説を書くことを学ぶ〉

教材:

ワークシート、

原稿用紙

a:物事の様子や場面などを、読み手が言葉を通してありありと想像できるよう描こうとしている。

c:物事の様子や場面などを、読み手が言葉を通してありありと想像できるよう描いている。

e:書くことに必要な、文の組立てについて理解している。

a、c、e:

記述の点検と確認及び分析

評論の内容を理解するⅡ

【近代以降】

教材:

「仮想化する現実世界」

「ものと記号」

a:文章の構成や展開を確かめ、文章の内容にふさわしい文体や語句、表現の技法が用いられているかどうかを考察しようとしている。

d:文章の構成や展開を確かめ、文章の内容にふさわしい文体や語句、表現の技法が用いられているかどうかを考察している。

e:言語が個人や社会の中で果たしている役割について理解している。

a:行動の観察及び記述の点検

d、e:

記述の確認と分析及び定期考査

2学期

短詩形文学を味わう

【近代以降】

〈俳句と短歌の代表的な作品を鑑賞する〉

教材:教科書に掲載された俳句と短歌、

a:人物、情景、心情などを、どのように書き手が描いているのかを捉え、言葉の美しさや深さに気付こうとしている。

d:人物、情景、心情などを、どのように書き手が描いているのかを捉え、言葉の美しさや深さに気付いている。

e:文章の形態や文体の違いによる特色について理解している。

a:行動の観察及び記述の点検

d、e:

記述の確認と分析及び定期考査

漢文入門

【古典】

教材:

故事成語「矛盾」

句法等…訓点、再読文字

a:我が国の言語文化は、中国をはじめとする外国の文化の受容とその変容を繰り返しつつ築かれてきたことに気付こうとしている。

d:文章の組立てや骨組みを的確に捉えている。

e:漢文を読むことに役立つ、訓読のきまりを身に付けている。

a:行動の観察及び記述の点検

d:記述の確認及び定期考査

e:小テスト及び定期考査

古文の物語を読む

【古典】

教材:

『伊勢物語』

「筒井筒」

「東下り」

『平家物語』

「木曾の最期」「敦盛の最期」

文法等…文語の用言の活用

a:文章に描かれている情景を、文や文章、語句などから離れないようにして読み、人物の言動や状況を捉える手掛かりとしようとしている。

d:文章に描かれている情景を、文や文章、語句などから離れないようにして読み、人物の言動や状況を捉える手掛かりとしている。

e:古文を読むことに役立つ、文語のきまりを身に付けている。

a:行動の観察及び記述の点検

d:記述の確認及び定期考査

e:小テスト及び定期考査

3学期

ディベートを行う

【近代以降】

〈ディベートを通して、互いの考えを深めながら、話し方聞き方について学ぶ。〉

教材:

「ディベートをしてみよう」、

ワークシート