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Vol.48(3).Mar.2006291 総説 症性 疾患 の治 と内視 鏡― 内視鏡 所見 準化 と活 性指 の 選 択― 松 井 敏 幸,和 田 陽 子,平 井 郁 仁,宗 祐人 要 旨:炎 症 性 腸 疾 患(IBD)患 者 数 は 増 加 し,通 常 治 療 を 超 え る新 治 療 の 開 発 が 多数 な され て い る点 で,注 日す べ き分 野 で あ る.そ の 診 療 と治 療 評 価 に 内 視 鏡 が 有 用 で あ る.潰 瘍 性 大 腸 炎 で は,診 療 に 果 た す 内視 鏡 の 役 割 は 明 快 で あ るが,い ま だ 定 評 の あ る指 標 が 存 在 し な い よ うで あ る.そ こ で 内 視 鏡 重 症 度 評 価 と治 験 に お け る活 動 性 指 標 の 選 択 に つ い て 述 べ た.Crohn病では,活 動1生を計 る指標 としてCrohn's disease activity index(CDAI)を 世 界 的 に 用 い る.し か し,内 視 鏡 分 類 は,適 切 な もの が 確 立 さ れ て い な い.よ り客 観 的 な 指 標 の 開 発 とそ の 有 効 性 評 価 が 急 務 で あ ろ う.わが 国 のIBDの 臨 床 が 世 界 と伍 して 高 い レ ベルになるには ,こ れ ら の理 解 が 欠 か せ な い.最 後 に,小 腸 内視 鏡 に よ るIBD治療 の 現 況 につ いて も述 べ た. Key words 潰瘍 性大 腸 炎/Crohn病/内視 鏡診 断/治 療 選択/小 腸 内視 鏡 は じめ に 炎 症 性 腸 疾 患(IBD)は 患 者 数 の 急 増 に よ り,難 治 例 が 増 え て い る.そ の 状 況 に 対 処 す る た め 新 た な治療が次々 に登場 している.そ の 際,内 視 鏡 所 見 が 大 き な 治 療 効 果 判 定 の 拠 り所 とな る.ま た, 活 動 性 指 標 の 適 切 な 選 択 も重 要 な 問 題 で あ ろ う. 本 稿 で は,潰 瘍 性 大 腸 炎(UC)とCrohn病(CD) におけ る内視鏡所見の記載方法や分類について述 べ,ま た 活 動 性 指 標 に つ い て,そ の 特 徴 と選 択 の 基 準 に つ い て 述 べ る.科 学 的 な 内 視 鏡 所 見 の 記 載 の 重 要 性 に つ い て 理 解 を得 た い .ま た,小 腸 内視 鏡 が 盛 ん に 用 い ら れ て い る が,IBDへの 応 用 に つ い て も述 べ た い.し た が っ て,本 稿 で は,(1)潰 性 大 腸 炎 に お け る 内 視 鏡 所 見 と重 症 度,(2)潰 瘍性 大 腸 炎 の 活 動 性 指 標 と治 験,(3)Crohn病 の内視鏡 評 価 シ ス テ ム,(4)Crohn病 に対する内視鏡治療と 小 腸 内視鏡,の 順 に述べ る. Ⅰ潰瘍性大腸炎の内視鏡所見と重症度 UCの 治 療 効 果 は 古 くか ら 内 視 鏡 所 見 に よ っ て 評価されてきた.特 に内視鏡が到達する範囲に病 変 が 限 局 す る 直 腸 炎 型 で は,内 視 鏡 検 査 が 絶 対 的 な 価 値 を 有 す る.UCの 重症 度 は,粘 膜 病 変 の 重 症 度 とそ の 罹 患 範 囲 の 積 分 と考 え られ る.し か し, よ り重 症 例 で は 内視 鏡 所 見 が 正 し く得 ら れ な い こ とが 多 くな る た め 限 られ た 範 囲 の 内視 鏡 所 見 の み で は 治 療 効 果 を正 し く評 価 で き な い.そ れ は,炎 症 高 度 の 時 期 に は,検 査 に よ る 患 者 の 苦 痛 が 大 き く,検 査 自体 に よ る増 悪 が 懸 念 さ れ る た め 検 査 範 囲 が 限 定 され るか ら で あ る.さ らに,UCで は しば しば 深 部 大 腸 に 病 変 が 限 局 し た り,直 腸 よ り深 部 大 腸 に 重 篤 な病 変 が 限 局 した りす る.以 上 か ら, 治療指針には内視鏡所 見が重要 な意味 を持つが, 観 察 範 囲 が 不 十 分 で あ れ ば 内 視 鏡 所 見 の み か ら重 症 度 な ら び に 治 療 方 針 を決 定 で き な い こ とが あ ろ う. 深 部 大 腸 の 評 価 は,内 視 鏡 に よ り直 接 観 察 で き な い場 合 に は,低 濃 度 バ リウ ム を 注 腸 し評 価 す る Gastroenterol Endosc 2006 ; 48 : 291-302. Toshiyuki MATSUI Endoscopy in clinics of inflammatory bowel disease. 福岡人学筑紫病院 消化器科 別 刷 請 求 先:〒818-8502福 岡 県筑 紫 野 市 俗 明 院377- 1福岡大学筑紫病院 消 化 器科 松井 敏 幸 Gastroenterological Elldoscopy

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Vol.48(3).Mar.2006291

総説 炎 症 性 腸 疾 患 の 治 療 と 内 視 鏡― 内 視 鏡 所 見 の 標 準 化 と 活 動 性 指

標 の 選 択―

松 井 敏 幸,和 田陽 子,平 井 郁 仁,宗 祐 人

要 旨:炎 症性腸疾患(IBD)患 者数は増加 し,通 常治療 を超える新治療の開発が多数 なされ

ている点で,注 日すべ き分野である.そ の診療 と治療評価 に内視鏡が有用である.潰 瘍性

大腸炎では,診 療に果 たす内視鏡の役割は明快であるが,い まだ定評のある指標が存在 し

ないようである.そ こで内視鏡重症度評価 と治験における活動性指標の選択について述べ

た.Crohn病 では,活 動1生を計 る指標 としてCrohn's disease activity index(CDAI)を

世 界的に用いる.し か し,内 視鏡分類は,適 切 なものが確立 されていない.よ り客観的な

指標の開発 とその有効性評価が急務 であろう.わ が国のIBDの 臨床が世界 と伍 して高 いレ

ベ ルになるには,こ れらの理解が欠かせ ない.最 後に,小 腸 内視鏡によるIBD治 療の現況

につ いて も述べた.

Key words 潰瘍性大腸炎/Crohn病/内 視鏡診断/治 療選択/小 腸内視鏡

は じめ に

 炎症性腸疾患(IBD)は 患者数の急増 により,難

治例が増 えている.そ の状況に対処するため新 た

な治療が次々 に登場 している.そ の際,内 視鏡所

見が大きな治療効果判定の拠 り所 となる.ま た,

活動性指標の適切な選択 も重要な問題 であろう.

本稿 では,潰 瘍性大腸炎(UC)とCrohn病(CD)

におけ る内視鏡所見の記載方法や分類について述

べ,ま た活動性指標について,そ の特徴 と選択の

基準について述べ る.科 学的な内視鏡所見の記載

の重要性 について理解 を得たい.ま た,小 腸内視

鏡が盛んに用いられているが,IBDへ の応用につ

いて も述べたい.し たがって,本 稿では,(1)潰 瘍

性大腸 炎における内視鏡所 見と重症度,(2)潰 瘍性

大腸炎の活動性指標 と治験,(3)Crohn病 の内視鏡

評価 システム,(4)Crohn病 に対する内視鏡治療 と

小腸内視鏡,の 順 に述べ る.

Ⅰ潰 瘍 性 大腸 炎 の 内 視 鏡 所 見 と 重 症 度

  UCの 治療効果は古 くか ら内視鏡所見によって

評価されてきた.特 に内視鏡が到達する範囲に病

変が限局す る直腸炎型では,内 視鏡検査が絶対的

な価値 を有す る.UCの 重症度は,粘 膜病変の重症

度 とその罹患範囲の積分 と考えられ る.し か し,

よ り重症例では内視鏡所見が正 しく得 られないこ

とが 多くなるため限 られた範囲の内視鏡所見のみ

では治療効果 を正 しく評価で きない.そ れは,炎

症高度の時期には,検 査 による患者の苦痛が大き

く,検 査 自体による増悪が懸念されるため検査範

囲が限定 され るか らである.さ らに,UCで はしば

しば深部大腸に病変が限局 した り,直 腸 より深部

大腸に重篤な病変が限局 した りする.以 上か ら,

治療指針には内視鏡所 見が重要 な意味 を持つが,

観察範囲が不十分であれば内視鏡所見のみか ら重

症度ならびに治療方針 を決定できないことがあろ

う.

 深部大腸の評価は,内 視鏡によ り直接観察でき

ない場合には,低 濃度バ リウムを注腸 し評価す る

Gastroenterol Endosc 2006 ; 48 : 291-302.

Toshiyuki MATSUI

Endoscopy in clinics of inflammatory bowel disease.

福岡人学筑紫病 院 消化器科

別刷 請求先:〒818-8502福 岡県筑紫野市 俗明院377-

1福岡大学筑紫病院 消化 器科 松井 敏幸

Gastroenterological Elldoscopy

292日 本消化 器 内視 鏡学会 雑誌Vo1 .48(3),Mar.2006

TablelMattsの 内視鏡 分類.

Matts SGF. The value of rectal biopsy in the diagnosis of

ulcerative colitis. Quart J Med 30 ; 393-407, 1961

Table2 Baronの 内視鏡 分類.

Baron JH, Connell AM, Lennard-Jones JE. Variation between observers in describing mucosal appearances in proctocolitis. Br Med J 1964 ; 89-923.

Table3 Rachmilewitzの 内 視 鏡 分 類.

Rachmilewitz D. Coated mesalazine (5-aminosalicylic acid) versus sulphasalazine in the treatment of active ulcerative colitis: a randomised trial. Br Med J 1989 ; 298: 82-86.

Table4 BIackstoneの 内 視 鏡 分 類.

Blackstone MO. Differentiation of ulcerative colitis from Crohn's disease . In Blackstone MO, ed. Endoscopic interpretation : normal and pathologic appearance of the gastrointesitnal tract . New York, Raven 1984 ; 464-965 .

こ ともできる.わ れわれは,深 部大腸 の評価には

EPBE(ex-preparation bariumenema)を 用い

ることが 多い.そ の手技は,S状 結腸内視鏡検査 の

直後 に50%バ リウムに水溶性 ステロイ ド剤 を混

入 して,空 気 を追加することな く充盈像 を中心に

撮影す る.下 掘れ潰瘍や辺縁像 か ら容易に病変範

囲 を知 り,合 わせ て重症度 を安全 に知 ることがで

き る.

UCの 内視 鏡 所 見 は 古 くか ら分 類 さ れ て き た 。

Matts分 類(Table1)2)で は,所 見 を3分 類 し分 か

りや す い た め 最 も広 く用 い られ,さ らにBaron分

類(Table2)3)が あ る.最 近 で は 複 雑 なRachmzl

ewitz分 類(Table3)な ど が 用 い られ て い るが,

記 載 方 法 が 十 分 に 理 解 さ れ て い る と は い い が た

Gastroenterological Endoscopy

Vol.48(3),Mar.2006総 説■ 炎症性 腸疾 患の治 療 と内視 鏡一 内視鏡 所見 の標 準化 と活動 性指標 の選択―293

Table 5 Disease Activity Index Score*. (ˆÈ‰º, DAI Score)

Sutherland LR. 5-Aminosalicylic enema in the treat

ment of distal colitis, proctosigmioditis, and proctitis.

Gastroenterology 1987 ; 92 : 1894-8

Table 6 SeoのUC活 動 性指 標*.(以 下,UCAI)

Seo M. An index of disease activity in patients with ulcerative colitis. Am J Gastroenterol1992 ; 87 : 971-6

Table 7 Simple Clinical Colitis Activity Index. (ˆÈ‰º, Simple CCAI)

Walmsley RS. A simple clinical colitis activity index. Gut 1998 43 : 29-32

Table 8 Tacrolimusの 効果(2週 後,n=12)

活 動指数 に よる有効性 評価 の違 い.

Table 9 Tacrolimusの 効 果(4-8週 後,n=12)

活動指 数 による有効 性評価 の違 い.

*DAIscoreをgold standardと した 場 合

文 献 よ り引 用

文献 燭よ り引用

い.わ れ わ れ は,Matts分 類 を細 か く分 け た

Blackstone分 類(Table4)を 用いてきた.各 内

視鏡分類の特徴 を理解 していただきたい.今 後,

各分類 に相 当す るア トラスが班会議 より出版 され

る予定 である.ま た,技 術的には,大 腸内視鏡 に

て粘膜所見 を記載す る際,粘 液 を適切に洗浄する

ことが車要である.し ば しば,粘 液 を潰瘍 と診断

す る初心者がある.ま た,顆 粒像 などは,慢 性の

変化 を表すので,治 療前後では変化が少ない と思

われる.急 性潰瘍や浮腫 などは治療に より容易に

変化す るが,管 腔の狭小化な どの慢性病変は変化

す るのに時間 を要す る.ま た,臨 床症状の変化に

Gastroenterological Endoscopy

294日 本 消化器 内視鏡 学会雑誌Vol .48(3),Mar.2006

Table10 薬物療 法 と粘 膜病変 治療.

1):GCS:glucocorticoidsteroidRutgeertsP.AGA2005よ り改 変 し て 引 用

Table 11 CDEIS (Crohn's disease endoscopic index of severity) .

1)病 変:偽 ポ リー プ,潰 瘍瘢痕,発 赤,腫 脹,ア フタ様 潰瘍,浅 い潰瘍,深 い潰瘍,狭 窄(潰 瘍 を伴 うもの,伴 わない もの)2)潰 瘍:ア フタ様潰瘍,浅 い潰瘍,深 い潰瘍,潰 瘍 を伴 う狭 窄

Modigliani R. Gastroenterology 1990

伴 い多 くの所見は改善す るが,下 掘れ潰瘍などは

症状に遅れて改善す る.Disease activity index

(DAI)score(Table5)な どの内視鏡所見 を含む

指標は,改 善が遅れ る可能性があろう.

内視鏡分類 を正 し く理解す ると,治 療法選択 と

治療効果評価 が正 し くで きる.軽 症例 と重症例 で

はその理解は大 き くこ となる.軽 症例では,緩 解

の規定が難 しい.易 再発例の特徴 も重要 な問題 で

ある.最 近では,よ り微細な所見 を取 り上げ る目

的で拡大観察が されている.し か し,観 察範囲が

限 られることに難点がある.重 症例 では,治 療法

を選択す る基準に内視鏡所見を用いる.す なわち,

下掘れ潰瘍が広範囲にあれば手術か最 も強力な免

疫抑制剤 を用 いるか,考 慮することになろう.そ

の点で正 しく内視鏡所見を理解す ることも重要で

あ る.さ ら に,難 治 例 で はcytomegalovirus

(CMV)感 染 を知 ることも重要であ るが,そ の

際内視鏡所見が重要 な手掛か りとなる。

Ⅱ潰瘍性 大腸炎 の活動性 指標 と治験

 1)内 視鏡所見 と治療指 針

  UCの 治療 目標 は,主 として薬物療法 によ り緩

解の導入をはか り,緩 解 を長期に維持す るこ とで

ある.本 症 の治療指針改訂案6)によれば治療 法の

選択 は重症度 と罹患範囲に応 じて異な り,さ らに

合併症の有無や治療歴などを参考 にして治療薬剤

と投与量を決め る.内 視鏡 的に重症 と判断され,

臨床指標 も重篤な場合 には,強 力な治療 を選択す

る.シ クロスポ リンは本邦 で使用 される機会が多

くはないが,欧 米の治療指針では重症例の治療選

択肢 として重要視 されてい る.本 邦で も持続静注

療法(2-4mg/Kg/日)が 治療指針に取 り入れ られ

Gastroenterological Endoscopy

Vo1.48(3),Mar.2006総 説 ■炎症性 腸疾 患 の治療 と内視鏡― 内視鏡 所見 の標準化 と活動 性指標 の選択―295

Table 12 Simple endoscopic score for Crohn's disease (SES-CD), Daperno M, Gastrointest Endosc 2004

1)潰 瘍 の 大 き さ

0:な し1:ア フ タ様 潰 瘍(φ0.1~0.5cm)2:潰 瘍(φ0.5~2cm)3:大 潰 瘍(φ>2cm)

2)潰 瘍 面 積

0:な し1:<10%2:10~30%3:>30%

3)病 変 面 積

0:な し1:50%2:50~75%3:75%

4)狭 窄 の 存 在

0:な し1:1個 所,通 過2:多 発,通 過3:通 過 しな い

た.ま た,白 血球 除去療法 はステロイ ド抵抗性

UCに 対する治療法 として登場 し,そ の有効性 が

臨床の場 で証 明されつつある.さ らに,頻 回の治

療(2回 以上/週)が よ り有効 とされ,ま たステロ

イ ド非使用例への適応 も検討 されつつある.両 者

の使 い分 けは,内 視鏡所見に よる.す なわち,深

掘れ潰瘍や重症例 ではシクロスポ リンが適応 とな

る6).

2)UCの 治療効果判定

  DAI score, Mayo indexはTable5に 示す.

本法は,TrueloveとWittsの 指標 とBaronの 内

視鏡スコアを組み合 わせた ものである.前 者は3

日間の平均 を,後 者は1日 の値 を用いる点が異な

る.こ の指標は最 も使用頻度が高 く,今 後主要 な

指標 と位置づけ られ よう.Seo's AI(UCAI)は

Table6に,Simple CCAIはTable7に 示す.

これ らの指標 を用 いて臨床効果を評価す ることに

なるが,そ れぞれの指標は概ね相関があることは

当然である.し か し,緩 解導入や その速度 に関 し

ては各指標で差異がある.例 として,Tacrolimus

を用いた例 における各指標(DAI (Mayoindex),

Seo's AI (UCAI),Simple CCAI)の 差異 を示す.

Table8に12例 のTacrolimus使 用例 の2週 間

目の有効率 を示 した.Seoの 指標(UCAI)で は,

この時点で他の指標 に比 し有効率が低 く評価 され

る.Table9に は,4週 目の有効率 を示 した.各 指

標 で有効率 に大 きな差がないことがわかる.こ の

ように,指 標間に微妙 な差があるため,治 験 に際

し,活 動 性指標の選択 には注意が必要である.ま

た,有 効率 と緩解の定義は,各 指標 の低下で示す

が,そ の絶対的定義 もなされていない.そ の点で

も慎重な取 り決めが必要である.い ずれにし

て も,治 験 を正 しく導 くためには対象の設定 とそ

の評価が重要であるが,UCで は臨床症状 と内視

鏡所見 を含めた評価が必須 と考 えられている

.3)CMV感 染合併

UCに は,種 々の感染症が合併 し病像 を悪化 さ

せ るこ とが知 られている.細 菌感染 であれば適

切な抗生物質が必要 である.ウ ィルス感染 も合併

す るこ とがある.特 にステロイ ド抵抗性UCに は

CMV(cytomegalovirus)感 染が合併す ることが

多い.本 ウィルスは,日 本人の多 くが既感染状態

で,免 疫抑制状態で回帰感染す ると推測されてい

る.本 感染 の診断には,こ れ まで内視鏡 的重症例

Gastroenterological Endoscopy

296日 本 消化器 内視鏡 学会雑誌Vol .48(3),Mar.2006

古川 ら(日 消誌1997)のX線 スコアを改変

Figure1腸 病変 の内視 鏡的評 価方法.

古川 らの方法(古 川 尚志,山 田美加,櫻 井 俊弘 ほか.Crohn病 に対 す る栄 養療 法の短期 緩解 率 とその影 響因子 に関す る研 究.日消誌1997;94:813-825)文 献24)よ り引用.

(A)隆起 ス コア を1-4段 階に分類,(B)潰 瘍ス コア を4段 階 に分類,(C)狭 窄ス コア を3段 階 に分類 し,小 腸6分 節 と大腸 の5分

節の合 計 をその時 点の活動 性ス コア と定 義.治 療 による変化 を点数 の低下 で表示 す る.

を目安に生検 で巨細胞封入体 を証明す ることが重

要 視 され て きた.し か し,血 中 のCMV抗 原

(C7HRP抗 原)に よる診断法により,本 症の診断

は早 く確実になった.CMV感 染症合併例 は,ス テ

ロイ ド抵抗例 とな りやす く,そ の治療に難渋す る

ことが多い.自 験例では,本 ウィルスに対す る治

療薬であるガンシグロビルが奏功 し,緩 解導入す

る例が少な くなか った7)・8).今後は強力な免疫抑制

剤や 白血球除去療法 を使用す る際に本症の合併 に

注意を払 う必要があ る.

Ⅲ Crohn病 の 内視鏡所 見評価 システム

1)CD診 断 とindeterminatecolitis基 準

 2002年 厚生省の班研究 に よ り診断基準案 が改

定 された.な お,こ の基準で重要視 されているア

フタ様潰瘍は早期 のCDに 現れるが,こ のアフタ

様潰瘍のみ を有する例 は徐々に典型的CDに 進展

す ることが確認 されている16).CDの 診断には鑑

別すべ き多 くの疾 患が知 られている.す なわち,

(1)虚血性大腸炎,(2)潰 瘍性大腸炎(UC),(3)腸 結

核,(4)エル シニア腸炎,(5)単純性潰瘍,腸 型Behcet

病,(6)リ ンパ濾:胞増殖症,(7)粘 膜脱症候群,(8)閉

塞 性大腸炎,(9)腸 管脂肪織炎などの炎症 性あるい

は腫瘍性疾患である.

大腸型CDの 頻度は低 いが,全CDに 占め る大

腸型の比率 は増加傾 向にある.大 腸型CDの 診

断に際 し,と きに典型的病変(敷 石像,縦 走潰瘍

など)を 欠 き,確 診に至 らない.そ の頻度は10-25

%と 見積 もられている.CDとUCの 鑑別の

要点は,内 視鏡的連続性病変の有無(正 常介在粘

膜),敷 石像,肛 門病変 などであろう.さ らに,

び まん性潰瘍性病変 を有す る場合 にはUCと の鑑

別が難 しい.CDとUCの 鑑別不能例 はindeter-

minate colitis(IND)と 称 される .INDの 頻度,

UCと の画像上 の鑑別点,病 像 の推移,治 療上の留

意点 などの報告が少ない.

2002年 の診断基準(案)はINDの 定義 を付記 し

ている.す なわち,INDと は,「Crohn病 と潰瘍

性大腸炎の両疾患の臨床的,病 理組織学的特徴 を

合 わせ持つ,鑑 別困難例.以 前は急性の 重症~劇

Gastroenterological Endoscopy

Vol.48(3),Mar.2006総 説 ■炎症性 腸疾 患の治療 と内視 鏡― 内視鏡所 見の標 準化 と活 動性 指標 の選択―297

Figure2経 腸栄 養療法 前後 のX線 ス コアの変 化(山 田の報 告199525)).

小腸 のX線 ス コア は,潰 瘍 ス コアは有意 に低下 した.敷 石 像ス コア も低 下 したが有意 で はなか った.一 方,大 腸で は,潰 瘍 ス

コア と敷石像 ス コア は,両 者 ともに有 意 に低 下 した.

症の手術例に多かったが,最 近は初診時あるいは

経過観察中に肛 門側 にび まん性の浅 い炎症,口 側

に全層性炎症やskip lesion,非 乾酪1生肉芽腫 を認

め,敷 石様病変の鑑別が困難な例 がある.こ の よ

うな症例 に対 しては,小 腸/上 部消化管病変の有無

と生検 による肉芽腫 の検 索やCD68陽 性細 胞の

分布の検討 を行 う.p-ANCAやASCA(anti-Sac-

charomyces cerevisiae antibody)の 測定が鑑別

に役立つか もしれない.さ らに経過観察 により,

より特徴的所見出現 を待つ.治 療は,よ り疑わ し

い疾患の治療方針 に従 う.腸 切除が必要な場合,

潰瘍 性大腸炎 を疑 っている症例以外は,回 腸嚢 を

形成す る術式は避 ける.」この定義 は極めて妥当な

もの と思われる.

最近,自 施設におけ るINDの 頻度 とその病型

を分 析 した.735名 のIBD患 者 の う ち23名

(3.1%)がINDと 考え られた.大 腸型CDに 占め

るINDの 頻度 は,24.5%か ら43%と 推定 され

る.さ らに,CD確 診例に中にUC様 の臨床症状が

現れることがある.臨 床上,そ の様 な病態の存在

を熟知 し,慎 重に経過観察すれば大 きな問題 には

ならない と思われ る.

2)CDの 治療効果判定

本症 の治療 目標 はUCと 同様 に緩解 導入 を行

い,さ らにその維持 を計 ることである.そ の際,

特定疾患調査研究班が定めた治療指針改訂案21)に

従 うことになる.活 動度によ り治療法選択,薬 物

療・法 と他の治療法 との関係 について理解す る必要

がある.CDの 活動1生の評価にはCrohn's disease

activity index(CDAI)が 用い られ,そ の安定 し

た評価機能は高 く評価 されている.し か し,実 際

には,150点 以下の臨床的緩解期にある患者 とい

えども,内 視鏡検査 を行 うと活動性潰瘍がしば し

ばみ られ,臨 床 と内視鏡 との乖離 は明 らかである.

また,再 発 し内視鏡的(あ るいはX線 学的)に 病

変が出現 して も,臨 床症状が伴わないことはしば

しば経験され る.

最近,CDの 粘膜治癒 に興味が もたれるように

なった(Table 10).ModiglianiはCDの 腸管病変

を評価す るために内視鏡重症度 を記載す るシステ

ムCDEISを 完成 させた(Table11).し か し,

このシステムは複雑であ り,そ の当時腸管病変 を

治癒 させ る手段がなかったためにほ とん ど実用化

されなか った.最 近にな り,Infliximab(INF)を

Gastroenterological Endoscopy

298日 本消化 器内視 鏡学会雑 誌Vo1 .48(3),Mar.2006

Figure 3 1nfliximab投 与 後 の 短 期 治 療 効 果(内 視 鏡 ス コ ア ー の 推 移).

12例 の 投 与 前 後 の 内 視 鏡 ス コ ア の 推 移 を み た .潰 瘍 ス コ ア は 低 下 し,狭 窄 ス コ ア は上 昇 し,隆 起 ス コ ア は 変 化 しな か っ た .(Sou S, Matsui T, Yao T, etal. Clinical and endoscopic healing after infliximab treatment in patients with Crohn's disease .

Digest Endosc 2006;18:29-33).

初め として薬物療法 により,腸 管病変が治癒す る

ことがわか り,こ れを評価ずるシステムの実用化

が計 られた.Dapernoら は,前 述 したCDEISを 改

良 して,modified CDEIS(Table 12)を 作 り上

げた.こ の方法は,ま だ実用化 されていないが,

今後の評価 が期待 されてい る。

 これに先立 ちわれわれは,す でに腸管病変 をX

線学的あるいは内視鏡的に評価す るシステム を確

立 した24).そ の方法は,Figure 1に 示すが,縦 走

潰瘍 などの潰瘍 と敷石像 と狭窄の評価か らなる.

その重症度 を腸管の各区域(小 腸では4区 域(上

部,中 部,下 部,回 腸末端)大 腸では6区 域(盲

腸,上 行,横 行,下 行,S状,直 腸))ご とに求め,

それ を積算す るもので,Dapernoら のシステムに

近 い.わ れわれはこのシステム を用いて既に,栄

養療法 による腸病変の治癒 をX線 学的に評価 し

てきた24).すなわち,山 田は栄養療法前後の治療評

価 を,同 指標 を用 いて行い,各X線 所見(潰 瘍 と

敷石像)が 異 な った改善 を示す ことを報告 した

(Figure2).ま た,最 近SouはINF治 療効

果 をこのシステムで内視鏡 的に評価 した(Figure

3).す なわち,INF治 療前後で内視鏡所見が改

善す るが,潰 瘍 と敷石像 は改善するが,狭 窄はむ

しろ悪化すると報告 した.こ の ようにすべ ての腸

病変 を治療前後 で比較 しうる利点は大 きい.

3)新 しい治療 と粘膜治癒

 INFは 遺伝 子 組 み換 え操作 に よ り作 られ た

TNFα に対する抗体である.点 滴投与す ることに

よ り比較的長 く炎症 を治め患者の病勢 を抑 える効

果がある.ま た,瘻 孔や痔瘻 に対 して も高い効

果があ る.連 投によ り長期的効果があるこ とが知

られ,良 好な成績が報告 されている .本 治療 で

は難治であるCDの 腸管病変の治癒が期待 で きる

ことが報告されている.Rutgeertsは,本 剤

が もた らすCrohn病 の粘膜病変 を治癒 させ る力

が自然史 を変 えうるか否か考察 している35).す な

わち,粘 膜治癒 の導入 と維持 の条件 として,(1)粘

膜治癒は内科的治療 で可能で維持 できるのか?(2)

粘膜病変がCrohn病 の 自然 史を変 え うるのか?

(3)再燃は粘膜治癒 の破綻 によるのか?な どが問題

になる.

Gastroenterological Endoscopy

Vo1.48(3),Mar.2006総 説 圏炎症性腸 疾患 の治療 と内視鏡一 内視 鏡所 見の標準 化 と活 動性指標 の選択 一299

観察期間

Figure 4 Crohn病 の 狭 窄 に対 す る 内視 鏡 的 拡 張 術 の 累 積 手 術 回 避 率(Matsui T,Tsuda S, Matake

H, et al. Long-term outcome of endoscopic balloon dilation in obstructivegastrointestinal

Crohn's disease. Digest Endosc 2004;16(Supply:S27-S30).

狭 窄 性 病 変 を拡 張 し,そ の 後 の 手 術 回 避 率 を 経 時 的 に 示 した.1年 後86%,2年 後71%で3年 後 は

58%で あ っ た.

 5-ASA,ス テロイ ド剤や抗生剤 では粘膜病変 は

治 らな い.Modiglianiは 副 腎皮 質 ス テ ロ イ ド

(GCS)投 与によ り臨床的活動指数判定 に よ り緩

解 となった例 のうち,29%の みが粘膜治癒が得 ら

れた と報告 した22).内 視鏡的治癒 にならなか った

例の9%は 悪化 した.こ の研究に よって,ス テロ

イ ド剤は臨床的には極めて有用 と思われるが,粘

膜治癒 をもたらさないことがわかった.免 疫抑制

薬 は さらに 有効 であ る.D'Haensら はAzathio

prine(AZP)を6カ 月間投与 し,GCSに 抵抗す る

吻合部 回腸病変 を治療 した36).そ の結果,15例 中

6例 が完全緩解 で5例 が治癒傾 向を示 し,3例 が

一部治癒 した.さ らに,同 じ著者が20例 のCD患

者に対 し2年 間のAZP投 与成績 を報告 した37).

その内容は,大 腸病変の内視鏡的治癒 は70%に 見

られ,10%は 治癒傾向があ り,部 分的治癒 は15%

であった とい う.同 様 に,回 腸病変 は完全治癒54

%,治 癒傾 向15%で 部分 的治癒8%と い う.さ ら

にAZPは,術 後 の再 燃 も抑制す ることがわかっ

ている.

 INF投 与例 における粘膜治癒 の成績 も少数 な

が ら存在す る.そ して,INFに よる内視鏡的治癒

はより早い.Targan研 究(1997)に おける内視鏡

的追跡成績 を報告 したD'Haens(1999)は,CD患

者 にお け る粘 膜治癒 が 高率 であ った こ と示 し

た.こ の ようINFに よる粘膜治癒 が極め て高

く,AZPな どの免疫抑制剤 より早いことが示 され

た31).そ の後INFを8週 間ごとに投与されたCD

例 の粘膜 治癒 が約50%に 起 こるこ とが示 され

た32).そのような例 は,粘 膜治癒が十分 でなかった

例 に比 し,長 期経過中に入院や手術の比率 が低 い

ことが分 った.さ らに,こ の ような粘 膜治癒 が

Crohn病 患者の長期 予後 に良 い影響 を及 ぼす こ

とが示 された33).

 INFな どで十分治癒 した粘膜は,細 胞レベ ルで

炎症 を再燃 させ るであろうか.一 旦得 られた粘膜

病変の治癒例 では,投 与 中止後病変の再 燃が起 こ

りうるのであろうか.こ の事実は残念ながら確認

されていない.Modigliani(1990)の 研究では,

グル ココルチ コイ ド(GCS)に よる治癒後 に再燃

率が低 いことはない とされている.免 疫抑制薬

で も同様 に再燃率 が低 くは ないこ とが指摘 され

た.最 近の研究では,INF投 与 により得 られた粘

膜治癒例では再燃は20カ 月後に起こ り,治癒 して

いなかった例ではわずかに4カ 月後に再燃 した と

い う.INF治 療 は長期的に有効 な例が増加 して

Gastroenterological Endoscopy

300日 本消化 器 内視 鏡学会 雑誌Vol .48(3),Mar.2006

いるが,永 久治癒 はまだ得 られない と考 えるべ き

であろ う.完 全 ヒ ト型抗TNFα 抗体CDP-

870(certolizumab pego1)な どのINFの 治療効

果に匹敵する薬剤 も開発されてお り,同 様に粘膜

治癒 が望めることが分かっている.

Ⅳ Crohn病 に対する内視鏡治療と小腸内視鏡

1)Capsule endoscopy

  CDの 小腸病変の診断に有用 との報告がある.X

線検査 との有用度比較は難 しい.現 時点では,炎

症性疾患の小腸病変のスク リーニングをカプセル

内視鏡 で行 い,診 断 を確 定 させ るこ とにな る.

Push式 小腸 内視鏡 よ り,カ プセル内視鏡 の方が

CDの 診断能に優れてい ると考 え られているが,

よ り詳細 な所見は後述す るダブルバルー ン内視鏡

の方が得やすいとの報告がある41).わが国では,小

腸X線 検査方法 が優れ ていることも考 え合 わせ

るとカプセル内視鏡 に よるIBD診 断はそれ ほど

必要度が高 くないか もしれない.

2) Double balloon endoscopyに よるIBDの 診

断 と治療

 小腸 ダブルバルーン法内視鏡検査(DBE)は,

山本 によって開発 され,臨 床的応用が急速に進ん

でいる.IBDの 診断面はこれまでX線 検査が中

心であった.特 にCDで は,狭 窄や瘻孔などの合併

例が 多 く,内 視鏡検査 の適応例は少 なか った.今

後 は狭窄 などの合併症が ない例で早期診断や他疾

患 との鑑別 に関す る研究 が進 む こ とが期 待 され

る.わ れわれの炎症性腸疾患 に対す るDBE診 断

の検討では,CDで は,深 部への挿入成績が他疾患

よ り良 くなか った43).そ のためX線 検査のほ うが

小腸全体 の病変把握に有用 である例 が多かった.

また,小 腸に深 い潰瘍がある場合には,検 査 中に

穿孔な どの危険が伴 うこ とに も注意 が必要 であ

る.IBDの 小腸病変の うち出血性病変には内視鏡

的止血操作が有効 なことがある.ま た,CDで 頻発

す る狭窄に も上記拡張術が応用可能である.手 術

操作に依存 しない手技の確立が望 まれる.

3)内 視鏡的拡張術

  CDで は しば しば腸管 の狭窄が生 じる.そ の多

くは外科的治療の対象 と考 えられて きた.し か し,

狭窄が内視鏡が到達する範囲に存在 し,瘻 孔や屈

曲などがな く,狭 窄長が3cm程 度であれば内視

鏡治療が成功す る確率が高い44),45).自施設で本法

が行われたCD60例 での治療成功率(累 積手術 回

避率)は,1年 で86%,3年 で71%で あ っ た

(Figure 4).幽 門部狭窄を呈す る例,大 腸の分

節的狭窄,回 盲部狭窄 に加 え回腸の狭窄にも本法

は 適 応 が あ り,十 分 対 応 が で き て い る.

Yamamotoは す でに9例 の小 腸狭 窄 に対 して

DBEに よる拡張術 を行 っている .わ れわれ も数

例の成功例 を経験 しているが,こ の手技が完成す

れば小腸狭窄 をしば しば伴 うCDに 光明が もたら

され ることになろう.

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ENDOSCOPY IN CLINICS OF INFLAMMATORY BOWEL DISEASE

Toshiyuki MATSUI, Yoko WADA, Fumihito HIRAI

AND Suketo SOU

Department of Gastroenterology, Fukuoka University Chikushi Hospital.

Treatments of inflammatory bowel disease (IBD) are changing remarkably because the

number of patients with inflammatory bowel disease is increasing rapidly in Japan . Newer treatments are mandatory and are emerging because number of intractable cases is increasing . Treatment are planned upon clinical and endoscopic findings and also evaluation of treatment

is based upon the endoscopic findings especially in ulcerative colitis (UC) . However, established evaluation index is not approved in UC. Reviewing contents of indices and validation of indices

is important issue in this review. In Crohn's disease (CD) Crohn' s disease activity index (CDAI)

has been the sole established index in the world, however , correlation with endoscopic findings is poor. Based on these context to establish a scientific classification of endoscopic findings in

CD is mandatory. Finally, endoscopic treatment in IBD using enteroscopy is reviewed .

Gastroenterological Endoscopy