vol. 57, no. 2, 局所的大変位を伴う地殻変動計測のための ピクセ …

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局所的大変位を伴う地殻変動計測のための ピクセルオフセット解析 小林 知勝 1・飛田 幹男 1・村上 亮 21) 国土交通省 国土地理院 2) 北海道大学 理学研究院 2010 年7月 31 日受付,2011 年4月 19 日改訂,2011 年4月 27 日受理) Pixel Offset Technique for Measuring Local Large Ground Surface Displacement Tomokazu Kobayashi 1, Mikio Tobita 1, and Makoto Murakami 21Geospatial Information Authority of Japan, Kitasato, Tsukuba, Ibaraki 305-0811, Japan 2Graduate of Science, Hokkaido University, Kita 10 Nishi 8, Kita-ku, Sapporo 060-0810, Japan Received July 31, 2010; Revised April 19, 2011; Accepted April 27, 2011Abstract A pixel offset technique is a powerful tool for measurement of local large ground surface displacement. In this technique, a residual offset after coregistration is regarded as an actual surface displacement. Not phase but amplitude is employed for the estimate, which enables us to robustly measure local large displacement of meter order. Here, we review the features of pixel offset method for crustal deformation observation through previous related studies. First we describe the main advantages of this method: the pixel offset analysis 1can measure large displacement of high spatial gradients, 2can measure both of the range and azimuth components of the surface displacement, which allows us to infer a 3-D displacement eld, 3is advantageous over an interferometric SAR InSARin insensitivity to change of scattering characteristics of ground / no need for phase unwrapping, and 4is advantageous over pixel offset using optical sensor in radars all-weather detection capability and measurement of vertical component. We next discuss the disadvantages: 1an artificial range offset correlating with elevation, 2low spatial resolution, and 3low precision of measurement. To suppress these demerits, the following approaches are recommended: 1image coregistration with elevation-dependent correction, 2selection of SAR data pairs of short perpendicular baseline, 3use of high spatial resolution SAR data, and 4cross-correlation calculation using large correlation window size. 1. 人工衛星搭載の合成開口レーダー(Synthetic Aperture RadarSAR)は,衛星からマイクロ波を地面に照射し, その後方散乱波の振幅(強度)と位相を計測する技術である.このうち位相情報を用いる SAR データの応用技術と して干渉合成開口レーダー(Interferometric SARInSAR)が知られている(Massonnet and Feigl, 1998; Bürg- mann et al., 2000).InSAR は,地表の同一地点に対してある一定の期間を挟んだ二時期に SAR 観測を実施し,反 測地学会誌 , 57 巻,第 2 2011),71-81 Journal of the Geodetic Society of Japan Vol. 57, No. 2,2011, pp. 71-81

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Page 1: Vol. 57, No. 2, 局所的大変位を伴う地殻変動計測のための ピクセ …

局所的大変位を伴う地殻変動計測のためのピクセルオフセット解析

小林 知勝 1)・飛田 幹男 1)・村上 亮 2)

1) 国土交通省 国土地理院2) 北海道大学 理学研究院

(2010年7月 31日受付,2011年4月 19日改訂,2011年4月 27日受理)

Pixel Offset Technique for Measuring Local LargeGround Surface Displacement

Tomokazu Kobayashi1), Mikio Tobita1), and Makoto Murakami2)

1)Geospatial Information Authority of Japan,1 Kitasato, Tsukuba, Ibaraki 305-0811, Japan2)Graduate of Science, Hokkaido University,

Kita 10 Nishi 8, Kita-ku, Sapporo 060-0810, Japan(Received July 31, 2010; Revised April 19, 2011; Accepted April 27, 2011)

AbstractA pixel offset technique is a powerful tool for measurement of local large ground surface

displacement. In this technique, a residual offset after coregistration is regarded as an actual surface displacement. Not phase but amplitude is employed for the estimate, which enables us to robustly measure local large displacement of meter order. Here, we review the features of pixel offset method for crustal deformation observation through previous related studies. First we describe the main advantages of this method: the pixel offset analysis 1) can measure large displacement of high spatial gradients, 2) can measure both of the range and azimuth components of the surface displacement, which allows us to infer a 3-D displacement fi eld, 3) is advantageous over an interferometric SAR (InSAR) in insensitivity to change of scattering characteristics of ground / no need for phase unwrapping, and 4) is advantageous over pixel offset using optical sensor in radar’s all-weather detection capability and measurement of vertical component. We next discuss the disadvantages: 1) an artificial range offset correlating with elevation, 2) low spatial resolution, and 3) low precision of measurement. To suppress these demerits, the following approaches are recommended: 1) image coregistration with elevation-dependent correction, 2) selection of SAR data pairs of short perpendicular baseline, 3) use of high spatial resolution SAR data, and 4) cross-correlation calculation using large correlation window size.

1. は じ め に

 人工衛星搭載の合成開口レーダー(Synthetic Aperture Radar:SAR)は,衛星からマイクロ波を地面に照射し,その後方散乱波の振幅(強度)と位相を計測する技術である.このうち位相情報を用いる SARデータの応用技術として干渉合成開口レーダー(Interferometric SAR:InSAR)が知られている(Massonnet and Feigl, 1998; Bürg-mann et al., 2000).InSARは,地表の同一地点に対してある一定の期間を挟んだ二時期に SAR 観測を実施し,反

測地学会誌 , 第 57巻,第 2号(2011),71-81頁

Journal of the Geodetic Society of JapanVol. 57, No. 2,(2011), pp. 71-81

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射波の位相差を取ること(干渉)によって,衛星と地表を結ぶ直線に沿った方向での地表の変動を捉える技術である.Landers地震への応用以来(Massonnet et al., 1993),地震や火山活動に伴う地殻変動を数 cmの精度でマッピングする技術として使用されるようになってきた.しかしながら,狭い領域内でメートルオーダーの地殻変動を伴う内陸地震や火山噴火活動では,震源断層や噴火口域の近傍で干渉性が著しく劣化し,InSARでの計測が不可能となる場合がある.このように局所的な大変位を抽出するためのデータ解析技術として,ピクセルオフセット法がある.後述するように,ピクセルオフセット法は,2枚の SAR振幅画像間のピクセル間のズレを計測する技術である(Figure 1).InSARでは,マイクロ波の位相差情報を利用することで,cmオーダーの高精度の地表変位計測を行うが,ピクセルオフセット法は振幅情報を利用することでメートルオーダーの計測を可能とする.2005年パキスタン・Kashmir地震,2008年岩手・宮城内陸地震,2008年中国・汶川(四川)地震では,InSARによる計測が困難となった震源断層近傍の地表変位を抽出し,地殻変動分布の全容把握や地震断層の位置の推定などに大きく寄与した.本論文では,SARデータを用いたピクセルオフセット解析について,その特徴を整理することで,本解析技術における現状の総括および課題点の整理を行う.なお,本解析手法の名称は国内外で統一されていないのが現状である.本論文では,“ピクセル”間のズレ量,すなわち“オフセット”量を計測するという意味で「ピクセルオフセット」という名称を採用する.

2. ピクセルオフセット解析の概要

 二時期に取得した SARデータの振幅画像は重なることはなく,両画像間には食い違いがある(Figure 1).その主なものとして,1)データ取得時のセンサの位置や姿勢の違いに起因する画像全体の位置ずれ,回転,大きさの違い,2)地物の位置の変化に起因する画像内の局所的な位置ずれ,が挙げられる.InSARでは,地表の同一地点に対応するピクセルにおいて位相差を計算する必要性があるため,マスター・スレーブ両複素画像間の正確な位置あわせ(画像マッチングや coregistrationと呼ばれる)が必要となる.最小二乗的に得られる,平行移動成分・回転成分・倍率を補正する多項式(一般的にはアフィン変換式)を用いてスレーブ画像を座標変換し,マスター・スレーブ画像間の同一地物を対応させる.上記 1)の食い違いはこの作業において除去される.ピクセルオフセット法は,画像全体の位置あわせ後もなお残る上記 2)の量を,実際の地物の位置変化,すなわち地表変位量として解釈し,対応する各ピクセル間の残差変位量を計測する技術である(Figure 1).ピクセルオフセット法により計測される地殻変動は,いわば InSAR解析過程における副産物とでも言えよう(Figure 2).ピクセル間の残差変位量の計算処理では,複数のピクセルで構成される領域(窓)を設定して,マスターとスレーブ画像間で対応する窓(相関窓)同士の面積相関をその位置を少しずつ変えながら計算し,相互相関係数が最も高くなる位置を探索することで,局所的変位量を算出する.このようにピクセルオフセット法では,ピクセル 1つずつのずれ量を計測するのではなく,相関窓の中の平均的な位置ずれを検出している.複素画像の振幅が利用され,位相情報は使われないことから,後述するように干渉性に影響されることなく変位を計測できる利点を持つ(ただし,本稿では取り扱わないが,相互相関係数の計算に振幅と位相情報の両方を利用した技術も存在する(e.g., Derauw, 1999; Strozzi et al., 2002)). 地震に伴う地表変位抽出に,最初に適用された例は Landers地震(Michel et al., 1999)であろう.その後 10年あまりの間に,地震・火山学の分野で急速にその利用度が増し,地殻変動研究に貢献してきた:1997年中国(チベット)・Manyi地震(Peltzer et al., 1999),2000年有珠山噴火活動(Tobita et al., 2001),1999年アメリカ・Hector Mine地震(Fialko et al., 2001),2003年イラン・Bam地震(Fialko et al., 2005),2005年パキスタン・Kashmir地震(Fujiwara et al., 2006),2005年エチオピア・Afarダイク貫入(Wright et al., 2006),2008年岩手・宮城内陸地震(Takada et al., 2009),2008年中国・汶川(四川)地震(Kobayashi et al., 2009).この手法は,地震・火山分野だけでなく,数十mオーダーの氷河の移動を捉えるための技術として,他分野でも精力的に発展・発達してきた背景がある(Gray et al., 1998; Pritchard et al., 2005).

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3. ピクセルオフセット法の特長

(1) 局所的大変位の計測 ピクセルオフセットの特長の 1つは,変位勾配の大きな地表変位を計測できる点にある.このことは,断層近傍など局所的に大きく地盤が変動する領域においても,定量的な地殻変動観測が可能となることを意味する.InSARは,マイクロ波の位相差を計測することにより,地表の動きを定量化する技術である.しかしながら,位相情報を使うため,変位勾配の大きな変動には対応できない場合がある.具体的には,隣り合うピクセル間距離で,使用するマイクロ波の半波長より大きい(視線方向の)地殻変動があれば,位相差がπ以上回転してしまい,位相差の空間的な連続性(隣りのピクセルとの間の位相差の連続性)が失われ相関低下を起こす.このように,隣接するピクセル間で,使用するマイクロ波の半波長より大きい変動があれば,正確な変位量を計測することはもはや不可能である.変位勾配と波長の関係式(飛田,2007)に従うと,ALOS(Advanced Land Observing Satellite)/PALSAR(Phased Array type L-band Synthetic Aperture Radar)の FBS(Fine Beam Single polarisation)モードの場合,22.1mm/mが変位勾配の臨界値となる.狭い領域内でメートルオーダーの地表変位が発生して変位勾配がこの臨界値を超えると,InSARでは地表変位を計測できない.一方,ピクセルオフセットは位相情報を用いることなく,ピクセル間のズレ量を直接算出するため,変位勾配が大きい地表変位であっても計測が可能となる.研究事例:InSAR解析では計測困難な局所的大変位を抽出した一例として,中国・四川省で発生した汶川地震(Mw = 7.9)の研究が挙げられる.本地震は長さ 200 km超の龍門山断層帯で発生したが,長大な破壊域全てを網羅した現地調査は困難であり,その全容把握に広域の地表情報を取得できる SARデータの解析が期待された.しかしながら InSAR画像には,検出能力を超える大きな変位勾配などのため干渉性が著しく低い領域が広がり,最も重要な断層帯近傍での地表変位を獲得できない問題が生じた(Figure 3(a)).Kobayashi et al.(2009)は,ピクセルオフセット法を適用し,InSARにおける低干渉領域を補完して断層帯近傍においても地表変位を計測することに成功した(Figure 3(b)).この結果,変位方向が急変する境界(Figure 3(b)実線)を検出し,その位置から断層帯を構成する活断層のうち北川断層(Figure 3(b)点線)で主たる破壊が進行したことを明らかにすることができた.

Fig. 1. Illustration of pixel offset analysis (after Tobita et al., 2001). A local residual offset indicated by a character of “K”, which is still remained even after a coregistraion between a master image and a slave one, is regarded as an actual ground surface displacement.

Fig. 2. Analysis fl ow of pixel offset and InSAR.

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地上観測や InSAR解析では把握が困難であった破壊の全体像を明らかにした汶川地震の研究は,地殻変動観測におけるピクセルオフセット法の有効性を示す好例の 1つと言えよう.

(2) 変位 2成分の計測 InSARによる地殻変動検出において,計測可能な地表変位成分が 1成分(一般的には,衛星-地表間の距離変化)のみであることが,弱点の 1つとして挙げられる.一方,ピクセルオフセットでは,衛星-地表間の成分(レンジ成分)に加え,衛星の飛行方向に平行な地表面上の変位成分(アジマス成分)が計測可能である(Figure 4).これらオフセット量は,しばしば,レンジオフセット(Range Offset),アジマスオフセット(Azimuth Offset)と呼ばれる.InSARでは,北行・南行軌道のみの 2方向からのデータでは,東西および準上下の 2成分で構成される,いわゆる 2.5次元変位場(Fujiwara et al., 2000)までしか得られない.一方,ピクセルオフセット法では,北行・南行両軌道データがあれば,2方向から計測された計 4成分の変位を用いて,最小二乗的に 3次元変位場を推定することが可能となる. 以下,簡単に 3次元成分を推定する処理について述べる.地表変位成分 u = [ue un uu]Tは,レンジ・アジマスオフセット成分 d = [dr da]Tと地表変位成分をレンジ,アジマス成分へ変換する単位ベクトル vとの内積として表現される.下添字の e,n,uおよび r,aはそれぞれ東西,南北,上下動成分およびレンジ,アジマスオフセット成分を示す.ここで Figure 4に示す座標系に準拠するものとすると,衛星の飛行方向θ(北から時計回りに正),入射角δをもつ軌道において vは

   (1)

で表される.2方向以上の観測により,観測量が解くべきパラメータ数より多くなるので,観測方程式 d= v・u+ε(ε:観測誤差)を解く問題は優決定問題となり,地表変位 uを最小二乗的なアプローチにより推定できる(正規方程式:u=(vTv)-1vTd).研究事例:SAR画像を用いて地殻変動の 3次元成分を計測した例は,2000年有珠山噴火活動が初めてである(Tobita, et al., 2001).彼らは,RADARSAT衛星の北行・南行軌道の SAR画像を利用することで,噴火口域の膨張性地殻

−−=0cossin

cossinsinsincosδδ

θδθδθv

Fig. 3. Ground surface displacement for the 2008 Wenchuan (Sichuan) earthquake in China. (a) Mosaic of interferograms. Black-colored regions stand for incoherent areas. (b) Range offset field. Warm and cold colors represent displacements away from and toward the satellite, respectively. A sharp color discontinuity is recognized to be just along the Beichuan fault trace.

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変動を捉えることに成功した.以降,地震性の地殻変動においても適用され,Kashmir地震はその代表例として挙げられる(Figure 5)(藤原ほか,2007).ピクセルオフセット解析の結果からは,既知の活断層に沿った変位の不連続が読み取れるだけではなく,3次元化により,断層より北東側が隆起し南西~南南西方向に変位したことが明瞭に読み取れる.これにより,北東側を上盤としたやや右横ずれを含んだ逆断層型の破壊が起きたことが推定できる.変位 3成分の抽出により,力源の深さ,向き,大きさ,体積変化量などの推定が可能となり,より正確な地殻変動力源モデルの構築に資する. 上記の有珠,Kashmir地震の例では,ピクセルオフセット解析から得られたレンジ・アジマス方向の変位量を用いて 3次元変位場を推定している.これとは別に,変則的ではあるが,レンジオフセット量と InSARによる衛星-地表間距離変化量が原理的に等価であることから,レンジ方向の成分として InSAR解析により得られた変位を適用して地殻変動を 3次元化した研究事例もある(Fialko et al., 2001; Fialko et al., 2005).

(3) 他の解析手法との比較からみる長所1) InSAR解析との比較 InSAR法の主な干渉条件として,変位勾配が小さいこと(3章(1))の他に,地表の散乱特性に大きな変化がないことが挙げられる.散乱特性の変化により二時期の反射波の相関が低下すると干渉性が劣化し,InSARでの地表変位の計測は困難となる.散乱特性の変化は散乱強度にも変化をもたらすが,面積相関により対応する地物を追跡できれば,干渉性が悪くなった領域でもピクセルオフセット法により変位計算が可能である (Simons and Rosen, 2007).InSARでは,特に植生に覆われた領域で,C-bandのような短波長帯のデータは L-band帯のデータと比べて時間的な干渉劣化が顕著に発生するため,観測期間の長いペアの解析が困難な場合がある.しかし,短波長帯のデータでも,ピクセルオフセット解析を適用することにより地表変位を計測できる場合がある (Levy et al., 2005; Si-mons and Rosen, 2007). InSARで観測される位相差は-πから+πの範囲に折り畳まれており,この位相 2πの任意性のため変位量分布は一般的に不連続であり,変位量の絶対値にも任意性がある.そのため変位量の絶対値を得るためには,折り畳まれた位相を空間的に積分して位相の絶対値を求める,いわゆる位相アンラッピング処理が必要となる(Figure 2).地形起伏が大きい場合やコヒーレンスが低い場合,位相アンラッピング処理には手間がかかることが多い.また,通常,連続した位相を安定的に取り出すために,ノイズ(短波長の位相変化)を低減して位相変化を強調するフィルタを適

Fig. 4. Observation geometry between a platform and a ground target, and confi guration of range and azimuth offset components.

Fig. 5. A 3-D surface displacement field inferred from pixel offset data for the 2005 Kashmir earthquake (after Fujiwara et al., 2007). Arrows indicate horizontal displacement and a background color map shows vertical displacement. Solid lines stand for active fault traces.

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用するなどの中間処理も介在し,処理は複雑となる.一方,ピクセルオフセットでは変位量が直接算出されるため,簡便なアプローチで変位を獲得できる.

2)光学センサを用いた解析との比較 ピクセルオフセットによる地表変位の計測は,光学センサを用いても可能である(e.g., Crippen, 1992).SPOTや ASTERなどによる光学センサデータを用いて地震に伴う地表変位の計測を行った研究例も存在し,地殻変動観測で成果を挙げている(Van Puymbroeck et al., 2000; Avouac et al., 2006).光学センサは,一般に空間分解能が高く,また,衛星数や観測頻度などの関係からSARセンサよりもデータの蓄積が多いという利点が存在する.しかしながら,光学センサは,太陽光を受けた観測対象物からの反射や散乱などを得る受動センサのため,雲などで地表が覆われてしまうと計測できない欠点を持つ.特に火山などを対象とした観測では,噴火活動が活発化した際に,噴煙の影響で火口周辺の計測が著しく困難になる.一方,SARセンサが照射するマイクロ波は,雲,噴煙などを透過するため,確実に地表情報を獲得することが出来る. 光学画像では,撮像の方向に依存した地物の倒れ込みなどの画像の歪みが生じる.このような歪がある状態では計測が困難なため,光学画像を用いたピクセルオフセット解析では,この歪みを補正(オルソ補正)した画像を使用する.2枚の視差の異なる画像から数値標高モデル(DEM: Digital Elevation Model)を作成し,その標高情報をもとに原画像をオルソ画像に変換する.しかしながら,オルソ画像には上下方向の情報が含まれておらず,したがって光学画像を用いたピクセルオフセット解析では変位の水平成分の計測に限られる.オルソ化の過程で標高が得られるので,対応する地物におけるイベント前後の標高の差分をとり,上下動変位として計測することも一案であろう.しかしながら,光学画像を用いて作成した DEMは,一般的に,精度は高くても数mにとどまり(ALOS/PRISMでは5 m程度),実際の地殻変動観測への適用の範囲は極めて限られてしまう.これに対して,SARデータを用いたピクセルオフセット解析では,前述のように,2方向からの計測データがあれば 3次元化処理を通じて上下成分の変位を推定することができる.

4. ピクセルオフセット解析における注意点および現状の課題

(1)地形の影響 InSARは長基線長になるほど干渉しにくくなり,臨界基線長(Critical baseline)を超えると原理上干渉自体不可能になる.ピクセルオフセットは,画像同士のマッチングさえできれば,変位の計測は可能である.しかしながら,基線長が長い場合には,この手法は実際上適用が困難な場合が多い.基線長の違いにより,フォアショートニング(Foreshortening)によって生じる位置のズレと標高との間に相関が現れ,見かけ上のオフセットをレンジ成分に作り出してしまうからである. SAR画像の再生では,標高が高い所が低い所よりニアレンジ側に記録されるフォアショートニングと呼ばれる現象が起きる(Curlander and McDonough, 1991).地震前後でプラットフォーム(衛星)の位置が異なると入射角が変化し,それに伴いフォアショートニングの量も異なる.フォアショートニング差 ΔFSは,以下の式で表される.

   (2)

 ここで θは入射角,Hは基準面からの高さ,Bpは垂直軌道間距離,Rはスラントレンジ距離,下添字のM,Sはそれぞれマスター画像,スレーブ画像を示す.この効果は,視差を利用して画像を立体視する原理によく似ている.式からも明らかなように,二時期の軌道が全く同一の場合(Bp=0m)は,フォアショートニングの差はない.しかし,少しでも軌道間の位置にズレがあると,地表変位がない場合でも,標高に相関するレンジオフセットが現れてしまう.垂直軌道間距離 Bpが大きいほどこの効果は大きい.Figure 6は,(2)式の関係を図示したものである.地形起伏の

−−=

−=

RBp

θtan

1tan

1H

FSFSΔFS

M

θM

SM

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ほとんどない平坦な領域であれば,地形の影響を考慮することなくオフセット量を算出しても深刻な影響は現れない.しかし Bpが 200m程度でも,2,000~ 3,000m級の山岳地帯を含む画像を対象に処理を行うと,2 m程度の見かけ上のオフセットが現れてしまう.通常,地震などで地表に現れる地殻変動量は,大きくてもせいぜい数mであることを考慮すると,この標高相関のオフセットは,無視することのできない誤差となる.この問題を克服するには,標高を考慮して(通常,既存の DEMを使用)スレーブ画像を座標変換し,マスターとスレーブ画像の同一地物を対応させる位置合わせが必要となる(Figure 2).Kobayashi et al.(2009)は,この標高補正処理の効果を中国・汶川地震に対して示した.Figure 7は汶川地震発生前に撮像された画像を用いたピクセルオフセット解析の結果で,Fig-ure 7(a)は標高補正なし,Figure 7(b)は標高補正ありの結果である.標高 4,000mにも及ぶ山岳領域では 3 m超のオフセットが計測されたが(Figure 7(a)),補正後は数十 cmに低減された(Figure 7(b)).しかしながら,補正処理を施しても,DEMの誤差や急峻な地形領域での位置あわせの精度不足,レイオーバーの出現などにより,山岳地帯の一部でなお数十 cmのオフセットが残る場合がある.それゆえ,地形の影響の少ない垂直軌道間距離が小さなペアを選択することが,この問題を回避し精度よく地殻変動の抽出を可能とする条件となる.以上のことは,ピクセルオフセットにおいても,InSAR同様,短基線長のペアの解析が有利であることを意味する.

(2)空間分解能 ピクセルオフセットの変位計算では,適当な大きさの相関窓を設定して,対応するウィンドウ間の面積相関から変位量を見積もる.原理上,この相関窓の大きさが,計測の空間解像度に直結する.現在のところ,どのようなウィンドウサイズを設定するのがよいのか,解析者の主観にゆだねられている.小さな相関窓サイズでの計算は,短波長の変動が捉えられ,相互相関係数も高く,かつ計算負荷も小さい利点がある.大きな相関窓では計測の空間分解能が落ち,変動の詳細な位置の把握などには不利となる.しかしながら,一般的に大きめの相関窓サイズを採用することが望ましいとの報告がある.それは,大きな相関窓サイズを使用することにより,計測の信頼性が向上するためである. SAR画像には,スペックルノイズなどの影響で,仮に地表変位がない場合でも,同じ場所のデータは毎回異なる性質がある.SAR画像における同一地物の形状は毎回異なり,相互相関係数は 1にはならない.そして時として,同一地物より類似地物との相互相関係数が高くなる.飛田ほか(1999)は,類似データによる間違った画像マッチング,すなわち間違ったオフセット算出を低減するには,大きな相関窓サイズを用いた計算が必須であることを主張

Fig. 6. Difference of foreshortening effect as a function of topographic height. Bp stands for a perpendicular baseline. Slant range (distance between sensor and ground target) and incident angle are assumed as 870 km and 39 degrees, respectively.

Fig. 7. Preseismic range pixel offset fields calculated with no elevation-dependent correction (a), and with an elevation-dependent correction (b). The SAR data pairs are acquired on 19 January 2008 and 5 March 2008 for the path 474. The perpendicular baseline is 589 m. Copyright (2009) American Geophysical Union.

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している.彼らは指標の 1つとして,128ピクセルの窓サイズが,類似データの影響を効果的に低減する目安であることを提案している.現行の SAR衛星のピクセルスペーシングは数mのオーダーであることを考慮すると,結果的に,数百mから 1 km程度のサイズが,計算に適切な相関窓となる.例えば ALOS/PALSAR(FBSモード)の場合,レンジ,アジマス方向でそれぞれ~ 960m,~ 400mのサイズに相当する.一般的な InSAR処理では数十mの空間解像度であることを考えると,その 10分の 1程度の解像度にとどまることとなる.

(3)計測精度 ピクセルオフセットの精度は画像の位置あわせの精度に強く依存する.2次元 FFTオーバーサンプリング法を適用したサブピクセルオーダーでの画像マッチング技術により,位置あわせは 0.1ピクセル以下の分解能で可能である(飛田ほか,1999).オーバーサンプリングの倍率を上げれば,理論上,際限なく解像度を上げることはできるが,相互相関係数のピークが不明瞭な場合には効果が薄く,32倍が適当な値であることを彼らは報告している.1/32(0.03125)ピクセル分解能は,ALOS/PALSAR(FBSモード)の場合,レンジ方向で~ 15cmの精度を持つことに相当する.さらに,前述の標高との相関による見かけ上の誤差や様々なノイズが重畳して,最終的に得られるピクセルオフセット変位場には,さらに別の要因の誤差が加わることになる.Kobayashi et al.(2009)は,地震前データペアにピクセルオフセット法を適用し,解析手法に内在する潜在的な誤差を見積もった(例えば Figure 7(b)).彼らは,地形起伏の少ない平坦な領域では,オフセット量の残差二乗和(RMS)が~ 10cmと見積もられる一方,山岳地帯においては地形起伏などに関係する誤差が含まれて 40~ 50cmとなることを報告している.ピクセルオフセットの計測精度は InSARのそれと比べて劣り,両者の変位量を同等の精度で連続的に接続することは困難である. データが高空間分解能であることは,ピクセルオフセット解析にとって,高精度での計測を可能にする重要な要素である.2013年度に打ち上げ予定の ALOS-2では,空間分解能が 3倍ほど向上した高分解能モードやスポットライトモードが運用される予定であり,それに伴い画像マッチングの位置あわせ精度も同様な倍率で向上すると思われる.次期衛星における高分解能化は,ピクセルオフセット解析の計測精度の向上に資することが期待されよう.

(4)電離層起源と考えられるノイズ L-band帯の観測の普及により,近年注目されているのが,電離層の問題である.ピクセルオフセットや InSAR解析の結果に,時おり長波長のノイズが重畳し,地殻変動観測において大きな障壁となっている.電離層の影響と思われるノイズが顕在化した解析事例として中国・汶川(四川)地震が挙げられる.アジマスオフセット(Figure 8(a))に,北西-南東方向の縞状のノイズが,最大 4-5mの規模で現れ,地殻変動観測に致命的な影響を与えた(以降,Gray et al.,(2000)に従ってアジマス縞(Azimuth streak)と呼ぶ). SAR観測における電離層の影響としては,電磁波が電離層を通過する際の位相伝播遅延が知られている.遅延量は TEC(Total electric content)の変化量に比例し,マイクロ波の波長の二乗に比例する(e.g., Hanssen, 2001).それゆえ,同等の TEC変化量でも,長周期の波長帯を使用する L-bandセンサには,C-bandセンサより電離層の影響が強く現れる.汶川地震の InSAR解析では,断層周辺の地殻変動性の位相変化に加えて,断層運動によるものとは思われない長波長の位相変化も目立って現われた(Figure 3(a)).しかし汶川地震の解析事例でさらに着目すべき点は,ピクセルオフセットにおいてもノイズが見られ,それがレンジ成分よりむしろアジマス成分に顕著に含まれたことである. レンジ方向の位相遅延量には TECの変化量が関係する一方,アジマス縞の発生には,TEC変化量そのものではなく,アジマス方向の空間微分(勾配)量が効いていると考えられている(Gray et al., 2000; Meyer et al., 2006; Raucoules and Michele, 2009).単純な例を考えてみよう.ターゲットに対しマイクロ波を照射しながら軌道上を衛星が一定の速度で移動する場合を考える.各種の誤差を無視すると,レンジ圧縮後のターゲットからのエコーはFigure 9(a)の実線のように分布する.この放物線上に分布したエコーを一点に集中させる処理がアジマス圧縮である.もし TECが空間的に一様に変化したとすると,TEC変化量に比例したズレがレンジ方向に一様に発生し,レンジ成分にオフセットが生じる(Figure 9(a)点線).このとき,アジマス方向における焦点(圧縮)位置は変わらないので,アジマス方向にズレは生じない(Figure 9(a)).次に,TEC変化量の大きさがアジマス方向に変化する状況,

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つまり遅延量がアジマス方向に勾配をもつ場合を考える(Figure 9(b)).ターゲットに衛星が最近接した場合を原点として,衛星の原点からの距離に比例して TECが変化しているとする.なお単純化のため,時間変化はないと考える.この場合,TECの変化量に比例した遅延がレンジ方向に発生し,観測された同一ターゲットからのエコーは,遅延のない場合の放物線(実線)から点線のようにずれる.このずれを生じたまま 1点に集中させてアジマス圧縮を行うと,アジマス方向に沿った見かけ上のシフト量が発生する(Figure 9(b)). アジマス縞の低減を試みた研究に Kobayashi et al. (2009)がある.彼らは,空間周波数領域の画像データから,アジマス縞の振動方向に相当する周波数成分をカットするフィルタリング操作により,アジマス縞を低減することに成功した(Figure 8(b)).このアプローチは電離層におけるノイズ発生源をモデル化することなく,信号処理レベルでノイズ低減ができ大変簡便である.しかしながら,ノイズの振動方向と地殻変動性シグナルの振動方向が同じ場合には,両者を分離することは困難なため,適用範囲には限界がある.残念ながら,本質的なノイズ低減・除去の解決方法が提示されていない現段階では,このような実践的なアプローチが有効である.L-band帯の SARデータを用いた地殻変動解析において,この電離層の問題の克服は今後の重要な課題の 1つと言えよう.

Fig. 8. Azimuth offset fi elds for (a) original and (b) fi ltered images. Solid and dotted lines indicate displacement boundaries across which the ground motion is in the opposite direction and a trace of the Beichuan fault, respectively.

Fig. 9. Received echo signals after range compression (solid/dotted lines) and a focus position for ground target after azimuth compression (gray-colored circles). (a) Focus shift of when the amount of TEC change is uniform spatially. Pulses after range compression are delayed/advanced due to the TEC change. The focus position of target shifts toward the range direction, while there is no shift along the azimuth direction. (b) Focus shift of when the TEC linearly changes along the azimuth direction. A shift of focus position is produced along the azimuth direction after the azimuth compression.

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5. ま   と   め

 ピクセルオフセット解析を適用したこれまでの地殻変動観測研究のレビューを通じて,その長所・短所を整理し,本解析技術における現状の総括および課題点の整理を試みた. ピクセルオフセット解析の代表的な長所として次のような点が挙げられる. 1)変位勾配の大きな局所的大変位の計測が可能 2)変位 2成分(レンジ・アジマス成分)の計測が可能 3)InSARとの比較:地表の散乱特性の変化に影響を受けにくい,位相アンラッピング処理が不要 4)光学データとの比較:全天候型,上下動が計測可能 特に,1),2)の特徴は,狭い領域内で発生したメートルオーダーの大規模変位の抽出や 3次元変位場の獲得を可能とし,InSAR解析では計測困難な変位量・変位成分が取得できる長所を持つ.このような特徴を有して面的に地表変位を計測できる代替手段はなく,ピクセルオフセット法は地殻変動観測技術として重要な位置を占めていると言えよう. 一方,ピクセルオフセット解析がもつ弱点も議論された.ピクセルオフセット解析には以下の短所がある. 1)標高に相関したレンジオフセット 2)低空間解像度 3)低計測精度 1)の標高に相関したレンジオフセットを低減するためには,DEMを利用してフォアショートニングの影響を考慮した画像マッチングを行うことが有効である.また,これら短所を抑えて,より効果的な地殻変動観測を行うための条件として次の点が挙げられる:イ)標高相関のレンジオフセット量を低減するために,短基線長ペアを選択.ロ)計測精度を向上させるために,高空間解像度のデータを使用.ハ)画像マッチング精度を向上させるために,大きめの相関窓サイズを採用. 現状におけるピクセルオフセット解析の問題の1つとして,電離層起因と考えられるノイズが挙げられる.時にメートルオーダーに達するこのノイズを除去・低減する方法の開発・発展が,地殻変動観測研究において本解析手法の活躍の場を広げるための今後の主要な課題といえよう.

謝     辞 本研究で解析に用いた PALSARデータは地震・地盤変動データ流通及び解析ワーキンググループ(地震WG)を通じて提供を受けた.PALSARデータの所有権は経済産業省及び宇宙航空研究開発機構(JAXA)にある.高田陽一郎博士と匿名の査読者には,原稿の改訂に向けて貴重なご指摘やご意見を頂きました.感謝申し上げます.

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