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19
Title フイアカントの社會學論(二) Author(s) 米田, 庄太郎 Citation 經濟論叢 (1924), 19(3): 328-344 Issue Date 1924-09-01 URL https://doi.org/10.14989/128204 Right Type Departmental Bulletin Paper Textversion publisher Kyoto University

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Page 1: Title フイアカントの社會學論(二) 經濟論叢 (1924), 19(3): 328 ......論 叢 ヌイアカ y-PO 砥脅問中前 都十九巻 (第三銃 O ) ハ. フイアカ;/ トの祉曾事論(

Title フイアカントの社會學論(二)

Author(s) 米田, 庄太郎

Citation 經濟論叢 (1924), 19(3): 328-344

Issue Date 1924-09-01

URL https://doi.org/10.14989/128204

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Kyoto University

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春九+芸事き事-.... 司・,読

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ヌイアカ

y-PO砥脅問中前

都十九巻

(第三銃

O )

ハ.

フイアカ;/

トの祉曾事論

(

ー)

夏E

「文化盤動に於ける恒定性」に於ける

形式世曾皐の概念に就て

さきに逃ぺ

L如〈、

フイアカント氏自身の言通によれば本書は形式枇合準上からの枇曾形式、

郎も文化向躍動に於ける恒定性ご一五ふ一枇曾形式を論究するものにして、形式枇曾息干の後生に曲目し

て一貢献をなせるものである。而して現に本書の副題名は「一一肱曾率的研究」(罰百

ZNFZmFnz

印宮島町)芭なって居る。

古れば同氏自身の言述から察す芯吉、

同氏は本書を著述する際仁侠仁形

式祉品目且干の概念を立て、居られわル正考へねばならmHO

しかも同氏は形式枇曾亭の始源及び後生を

論争る-L嘗づて、同氏の著作論文中本書を幅増げて居られるだりであるのを見るご、本書以前の同

氏の著作論文中には、形式肱曾的凡干の概念を論じたもの、ないζ

ごを、暗に認められて居るご推察

されるo

古れば本書の何虞かに同氏の形式枇曾間半の概念は、何等かの形にて読過されて居るであ

らうさ推察されるのである。然るに本書を詳し〈調べて見ても、同氏は何彪にも形式枇曾苧の搬

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b-d凶、

本~書t土明絡白言に

論結 序 主E苛荷主補(ム)唐

墨 iE己主的 O

♂ 苦1¥孟円、宇(II) 二ご iC" 虐理

4 率も 白骨1

::>'r:rr

併肖L 枇官:曾 i龍三すー のの賂概史古主 的1.: 檎

陪剖 '"

す 巧

る (III)同組:氏舎の皐直的接部の門言 1I

惑文

化騒動の機制、

は、只緒言中に見出される左の二つの筒軍なるものにけであるo

「著者は文化稜動の機制を論議するさ同時に、

一の具健的問題に就て、

如何に枇曾皐は康い

解験的基礎に於T一、組織的皐科の仕方で一の桶殊科皐に形成され得るかを示じたい己思ふ0

「枇曾曲明者は一定の粗雑な考案』花立て、

歴史家は之を事費に照らして検査し、

修正されたる

形態に於て立案者に詮り返すo

そ喧}で枇曾事者は一見に之を一層精練苫れたる形式に於て墨山す

るo

ぬくて此鹿に一の連続せる交換作用が行なはれ、而Lて並

(ω交換作用は確かに一の無限的

な過程に於て、共の考案を盆々現賞態の豊宮に近づかせ、盆々完全に形成するのであるo」

右の言越によbてフイアカント氏は、本書をぬにする前に阪に枇曾間半を「経験的に研究される

一の特殊科間半」

t、考ヘて居た事は明らかである。而して叉同氏が後に論じて居る如

r¥1文化盤

動に於ける恒定性」を以て一の一肱舎形式ピ見るに於ては、本書は明らかに特に形式枇曾血中の一問

題を詳論するものご認め得られ5のであるo

併し此頃同氏は阪に枇曾生活の形式ご内容さぜ概念

的一般的に明確に直別

Lて考へて居たかは疑問である。古き仁述べ

L如〈一耽食生活の形式古内容

アイアカント白批合事論

第十九谷

(第三観

)

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フイアカン白世脅事諭

第十九巻

(第三掛

一)

O

ごの極別は、同氏は既に「自然人民ご文化人民」の中に少しく論じて屠るo

併し犬れは後に瑳達

せる同氏の形式枇曾問品干の概念に於けるが如言、方法論上最己も線本的な意義を有するものごは考

へられて居ない。而Lて本書「文化愛動に於ける恒定性」の何彪にも、品肌曾生活の形式古内容ご

の概念的医別は論じられて居ない。要するに74ア虫ント氏は、本書に於てもまだ右の概念的医

別者明確に樹立して居ない、殊に其の祉舎島平方法論上の根本的意義を明らかに意識して居ないご

思はれる。随ムて同氏が本書を著逃せる営時の精神に於

τは、本主日を形式枇曾事上の一著作己意

識して居たごは思はれな

γのであるo

備は此慮に特に注意す可きは、本書に於ては同氏は文化愛動に於げる恒定性の原理を、

の経

験的法則ご稽して居るが、併し何慮にも之を枇曾生活り一形式Eは稀して居ないこ古であるo

書を公にせる嘗時の同氏の精神に於ては、文化援勤に於ける恒定性は、

一の経験的法則正考へら

れて居たので、まだ杜曾生活の一形式己は考へられ居ないのであるο

互に注意す可き駄がある。

余の察する虞によれば、同氏が一肱曾生活の形式古内容子伊】ト概念的一般的に明確に医別Lて考へ、

又此の匝別を枇曾聞宇方法論上の根本的一原理吉見るに至ったのは、

ジムj

y

の影響によるのであ

るo郎も同氏はジムメUY

から由宇んで右の見解を確立するに至ったのでゐ品。是れは同氏の著書論

文中諸虞に於て、同氏が形式枇曾間半の概念の始源を論壱られる場合の同氏自身の言惑によ

hて、

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明らかに察知されるのである。然るに本書中同氏は何嘉にもジムメMF

の名を皐げて居ない。叉本

書中に引用されて屠る多数の著書論文中・シムメY

の著書論文は一も暴げられて居ない。是れによ

りて考へるご、同氏は本書を著越せる骨同時に於ては、まにジム

J

Y

の著書論文を讃んで居なか円

たZ思はれるo

少なくもジム

J

Y

の枇曾曲学論は全く知らなかったか吉思はれるのであるo

以上論じ来れる慮を纏括して考へるご、

同氏が後に形式一枇曾準の始源を論争る場合に、

本書

「文化鎚動に於りる恒定性」主主一の中に血中げられて居るのは、同氏の後の枇曾皐論上から考へて、

文化製動に於ける恒定性は偶々一肱曾生活の一形式Z見倣し得られるご一五ム貼から見ての事であり

て、本書著惑の嘗時に於T同氏は既に形式一粧品目息干の概念を立て、居て、

毛うし℃其概念から見

τ

意識的に形式吐曾問中上の一問題を捕、

之を詳し〈論究して以て形式一耽曾率の誕生を資ける古

か、或は其の後建を闘るごhr一五ム主旨で、本書を著逃きれたZ云ふ意味ではない古推断せねばな

らぬo

要するに本書著惑の嘗時に於

τは、同氏は既に経験的に肝先きれる特殊科事ざしての吐曾

出晶子の概念を確立されて居たヨ}さは明白であるが、併しまだ其の封象hT枇曾形式吉見る形式副曾且干

の概念には蓬Lて居なかったのであるo

か〈てさきに述ぺし如く、同氏の最ごも閣熟せる枇食事

概念の三要素中、同氏が先つ最ごも早〈確立されたのは、経験的に研究される特殊科皐ごしての

一脈曾問踊干の概念であって・夫れより同氏は攻に枇曾形式を劃象ごするものZしての形式枇曾皐の概

アイア力

νトの融合皐論

第「九巻

(第三現

一)

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言首

アイアカシト白赴脅串諭

第十九巻

(第三貌

四}

念に達し、夏に最後に現象率的方法を根本的に重要視する見解に達しられたのであるo

それで余

は次に同氏が経験的な特殊科皐ごして枇合間帯論を組織的に概論するZ同時に、枇曾形式を封象ご

するものごしての形式枇曾撃の概念を始めて明白に論述Zれた論文にして、「文化愛読仁於ける

恒定性」の翌年即主千九百九年「祉曾皐月苅雑誌」に誌にされた「経験的に研究される特殊科皐ご

しての枇曾準」を考察するこ正、する。

併[夫れに先にも、「文化幾動仁於ける恨定性」に就て、

品。夫れは同氏が本書の補遺ざして、赴曾撃の研究法に関して論述して居る

--Zに就てい

Y

ある。

向ほ少し〈越ぺて置きたいこごがあ

今同氏が此蕗に特に文化愛勤に於げる恒定性の研究に閥

Lて論述して居る慮によるご、枇曾出品7

問題を詳しく論究するに蛍って特に重要湖きる可き方法は三つある。

量制察法

(EO冨

EZ仏河内凶作吋冨自由ロrgznzZDm)、

一は比較法にlて、

二は大

二は心理事的方法である。

先づ比綾法は歴

史的資料から比較によりて普遍的或は共通的なるものを抽出せん正するものであるo

其の前定正

Lて肝要なるは充分なる歴史的資料である。然るに今日までは重要なる枇曾皐の諸問題、例へば

文化獲勤に於ける恒定性の如き問題に閲して、

一般に其の歴史的資料が充分に蒐集されて居な

レ。きれば験経的な特殊科皐ごしての枇曾向学が健貴仁後遼する潟め仁は、歴史的資料の蒐集及び

研究が甚

r肝要である。次に大量観察法は比較的に狭き丞一間的範囲の文化統一煙、

か〈て一方に

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於ては自然人民に関して、他方に於ては西欧並に東欧に於けるま

r露女的な田舎地域に闘して

適用される。此庖f仁観察者は文化部俊動の機制、指導的佃人の意義、文化輸入の影響、援動の遠

度、文化受容の仕方等を、長年月を通じて注意深〈視察しなければならぬ。終りに心理率的方法

に於ては、

一方に於ては賀線的方法、

他方に於ては例へば言通ゆ心理準

(top清宮一。四一O

L

2

5zmm)に於て用ひられるが如き仕方にて大量翻察法が肝要でゐる。此虞に伺人が新Lき或物を

成就する心理的池程、及び時間の関係が一の重要なる役目を演宇品心理的過程、例へば忘れられ

た或物を回想する

--Zゃ、新しき般態に於げる迫感或は創始なぞの過程等が、資料を奥へるであ

らうo

殊仁大量観察仁劃しては、児重心意の後逮が芸の泡用に有盆なる領域を皇供するであら

o

v

「ノ

今アイアカyト氏が本書に於て祉曾問中の研究上、右に述べしが如き研究方法を軍要淵Zれて居

る-』芭や、又本書委鶴に通じて現はれる同氏の一研究精神から考へる吉、本書に於ける同氏の赴曾

血干の概念は、経験的に研究される特殊科準

ZLての方面を特に強調するものに

Lt、主(の動象が

枇曾生活の形式であるか、又は内容であるがさ云ふ問題には、殆んY」金〈注意を梯ふて居ないさ

思はれるのである。倫は又右仁越ぺ来りし蕗仁よbて知られる如く、

プイアカント氏は本書を会

に3れた頃にも、赴合同学の根本的方法ごして現象率的方法を重要視する見解を、ま

r確立して居

フイアカシト白枇曾皐論

第十九巷

(第三挽

E )

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アイ

γカント由一世脅串論

第十九巻

(第三観

プミ)

三一ニ四

なかったのである。

「経験的に研究される特殊事?しての証曾撃」

此論文の後表された「枇曾皐月刊雑誌」は、千九百九年一ヶ年間殺行された

rりで、翌年から

272p目。NUZ一自立ω口EP沖

czmoNEf。-Erに合併されたので、今日之を手に入れるこごは

甚ピ困難であるから、余は我閣の祉曾事研究者の便宜を国るゑめに、比四庭に此の論文に就て梢々

L〈述べて置くO

A赴曾醐宇の謝象及び任務

↓肱曾率の援連は今や一の決定的韓国駄に到蓬した

Z思はれるo枇曾問中は今や一の哲率的曲学科か

一の特殊準に後達せんごして居るのである。而して此の特殊凪干の問題は阪に根本的仁は決定

されて居る

ωで、今主要なる仕事どなって居るのはブ此の新製科の矯めに泊嘗なる方法を見出す

こごでゐ品。此等の主張を確立せんごするは、却も本論文の目的であるo

此慮に枇曾向車干の任務に闘する諸見解の概観から出後するこさが、有益でゐるご忠ふo

Lて最

ごも庚い方針をも看過しない潟めに、先づ枇曾曲学的考へ方ご枇曾率的亭芭を匡別するこさが肝要

でゐる。但L枇曾率的考ヘ方正云ふは、枇曾州中的に事物を考察するこ己に興味を有する総ての人

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ケに共通する最小結吉見倣し得られるもので・其の本質はつまh町宮の重大なる影響を理解せん

ごする事にゐるのである。而して夫れは一営に個人が其の閤境仁依存する事を究明せんごするだけ

でなく、一見に種々なる文化財が相互に依存する-』正、及び各文化財が文化瞳系の全文化肢態に依

存するニピ等をも究明せんごするのである。

余輩は此慮に考察

ω範囲を狭め、只皐Z

[ての枇食品千を考察するに止めるが、術ほ此の場合に

も第一に人種解剖準、人穂生物問中見び人種衛生問中(間宮古EEZEFZ。rumrEιHq四日Eぬ)を除外

せねばならぬ。夫れは杢く特殊な穂類の問題及び方法を取扱ふもの、随ふて又一の濁立なる撃で

ゐるo而して其の皐は寧ゐ一肱曾的人領事

(mSEEPE司OF日。)=稽せらる可きでゐるo

第二に余

輩は倫理事、経済的争及び政治山学等の問題に於げる枇曾準の庭用をも除外する。是れ此等の場合に

於ては路用枇曾挙が取扱はれて居るのであるが、然るに余輩は此慮に純正枇曾皐或は純理論赴曾

ω任務を確定せんごするからでゐる。

以上越べ

Lが加〈に狭められたる祉曾皐の箱域内に入る総てのものは、今や枇曾曲学の任務に闘

寸る三つの相異なれる見解の一に於て整頓され得るo

第一に人々は枇曾皐を、人間生活の身鱒的

方面か、又は精紳的方面炉、又は文化的方面ゲピ専ら研究する一定の諸撃科の一定の諸部分の百

科会主同の一種Z解し得る。此の見解は通俗的叙設や雑誌の殺行及び亭曾の設立等には、有盆であ

フイア方ントり枇骨皐論

第十九各

(第三税

七)

三=一五

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論一

フイアカシトの位令皐諭

第十九巻

(銘三競

/'‘ )

"-J、

h

リ得るo

是れ此の見解は一般に、其等の場合に謝して存在じ得る問中的共同性の最大限を示すから

でゐる。

第二の見解は枇曾間半を一の枇曾哲恩Tt見る。夫れによれば枇曾、文化及び歴史の哲率的諸問題

が、吐曾且干の劃象ぜなるo

所諸国腔史哲鳳干の大部分、殊に歴史的生活の後遺或は因果性の治則を確

立せん古する一切の努力は之れに麗する。他方に於ては、経済ご法律Zの関係に閲するU

タムラ

ーの深奥なる著作は、此の範域に於ける認識論的桝究の一模範であるo

絡hJに第三の見解は、一枇曾率を一の特殊曲学吉見る。

段仁グz

ルケムは此の見地に立って居る。

併し彼が此の見解に基いて枇曾準的問題

ω一例ごして取扱へ乙問題‘即も近世西欧文化図に於り

る自殺の現象は、此虞に通ぶる枇舎曲学の概念に従へば、枇曾撃に麗し得ないものである。而して

か、る特殊出品千の任務を確定した吉一五ふ名選回は、先づ第一仁ジムメ戸に蹄するのでゐる。テ

1v-一

月も亦本質的には問一の見解を越ぺて居る。(フイアカント氏は最逗の論交や著作に於ては、

5タ

yvそも同氏の一耽食中学概念の先魔者の一人に山本げ

τ居るが、此の論文に於ては、共の中にタly

γの名を皐げて屑ないo

多分間氏は此の論文を書かれた時分には、まによくターで「の真意を理

解して居なかったのであらう。賞際に於てタ

1戸Vはジムメ町やグュ戸ケムよりも以前に、純正

枇曾胤T

の概念を確立

Lて居たので、叉穂々の駄に於て、

アイアカy

ト氏の純正枇曾皐の概念に類

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似する余の純正融曾撃の概念は、

1vドから出後して、

同氏に先むもて余が立て、活たもの

であるO)

此彪に其等諸家の所設の主旨を、別々自由に云ひ表はせば左の如〈でゐ品。的も一耽曾附時半

の一般的問題ぜなるも

ωは、諸個人の問の心的関係である。

一唐詳l

(云へば、稀々なる仰人に

於て行なはれる心的過程が、相互に衝突し、又夫れによbて相互に影響される仕方が、枇骨同事の

一般的問題であるo

倫は此廃に問題の二部類が-也別される。

一はよh多〈過程及び開係其物に閲

するもの、他はよh多〈業等の過程及び関係の永鎖的結岡市に閲するものである。か〈て一は右の

関係をより多〈作働的見地の下仁墨出し、他は之をより多〈寅健的見地の下に呈出するの問題の

第二部類じゐhτは、諸倒人の間の心的関係が取扱はれるので、北(等の関係正は例へば一方に於

ては競争、闘争、曾議、結婚等の知きもの、又他方に於ては模倣、共鳴、孤猫等の如きものであ

る。此彪では赴曾血干の任務は其等の心的関係の種々なる類型を確定し、其の特質を究め、又其等

の類型の原因及び夫れより生中る結果を研究する-】ごである。

ゲ切ムトガイス干

問題の第二部類は、会瞳精神及び共の生産物に閲するものであるo比蕗に余輩の会館精紳三式

ふは、会鶴E共にヌ、閲瞭内に於りる共同的意識現象或は過程の夫れ自身に於て結合する個別的

様系の各'qeぜも意味するo

か〈て此躍には意志現象及び戚情現象ゃ、確信ゃ、愛情ゃ、記憶及び

知覚などが取扱はれ得るのである。只此の際左の傑件が加はるを要す。印ち其等の内容が園鶴に

3肯

フイアカ

yトの世骨皐論

第十九巻

(第三披

九)

ーヒ

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官官

アイアカシト白一批骨皐諭

第十九巻

(第三競

O )

三=一

λ

よbて因果的に影響されるご一五ムヨ}さである。吾人は夏に会館精耐仰の主観的形式正客観的形式ピ

コ山pfスMJ

イスト

を恒別し得るo

前者は考察される個人的心的生活以上に出でないものに

Lて、例へば園館精神の

総ての種類の如きものでゐる。而して後者にゐhては、先づ第一に堅固なる断結躍にし

τ、共り

活動が外部的構成物に於て表現するが如きもの、例へば最古多〈の組合や協曾、数曾或は岡家な

ぞの如きものが取扱はれる。併し第二には文化財の徳館、例へば慣習、法律、技術、

一定の謀術

様式、

一定の世界観等の如きものが取扱はれるo各倒人の創造は、只夫れが全龍に受付容れら

れ、永縞的に等重吉れ、修養されるご一五ムニ正によbてのみ、

一の文化財ごなh得るので、か〈

て文化財仁於ては、常仁一般的意識内容が現存するのである。

余輩は一耳ふまでもな〈会健精神の現象に謝する枇曾皐の任務を、各例別的特殊的全館精神の現

質的記遁に於て認めんごするのでない。炉、る現質的記遁の任務は寧ろ一方に於ては文化史及び

俗史に麗し、他方に於ては記述心理皐の特殊的部門に属するc

枇曾風干は此彪にも先づ、会憧精

紳の諾類型を比較法によりて確定し、特質附りねばならぬo

此の際特に例へば倒人己会館精紳古

の閥係の如きもの、殊に後者が前者に許す自由の度合の如、きものを研究するこ

tが肝要である。

ヌ例へば円傍的文化財古文書的仁回定きれたる文化財芭の反割、民謡の絡へ宇品盟化L易き性質正

印刷に附ぜられたる欝術的詩歌の固定的体承なぞも重要なる問題である。か〈て夏に甚に重要な

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る一問題部類が存ト仕するo

夫れは文化財及び一般に各金髄精肺の生起、持続及び稜動等の機制に

閲するものである。

以上越ぺしこ古からして、余輩は枇曾醐宇の任務一炉心理且干の任務から明らかに叉銭く分離される

こごは、既に明らかであるこ子炉』望hu。是れ心理事にありでは、研究さる可き現象或は過程の範

域は、個人心生活の限界内に包合されて居るからである。但し人々が此の前定の中に、如何に大

なる抽象が合まれて居るかを意識するこ己は稀である。一一営に現賓が絶へ十其の反調を吾人に示す

のみなら子、又一切の精一脚科卒は反調の前定から出後

Lて居るo

苫はれ人間の心的生活を外部的

影響に依存するがま、に、根本的な或は組織的な研究の釣象ごなすは、今や生成しつ、ある只二

つの曲学あるのみでめる。共の一は人類地理事(〉耳FH。唱。町内。四日目ν目。)にし

τ、夫れは周閏の白然に

人民の依存するこ己、周閣の自然が人口密度、定住関係、交通及び経済、最後に叉全文化の上に

及ぼす影響を研究するものでゐる。其のこはま苫しく枇曾準である。枇曾撃は要するに各桐人に

於て行なはれる種々なる心的因果系列の交叉、或は一園館内の種々なる個人の組み合せを桝究す

可きものさ一五ひ待られる。かくて吾人は枇曾曲学を、偶人心Z個人心ピの聞の因果の撃ごして定義

するこさが出来る。而して此の定義は、祉曾ごは相互に相互作用の関係に立つ人々の総ての結合

を意味するご一首ふ、

よ〈知られて居る祉曾の定義吉一致するであらう。

フイアカシトの枇合皐諭

第十九径

(第三耽

)

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フイアカシト白枇骨革論

第十九巻

(第三披

ー)

三四

O

却設以上遁ぺ来

hL如〈、赴曾皐の任務に閲する第三の見解は、枇舎町中を一の特殊閣宇ごな3ん

Zするものである。併し此の見解は他の二つの見解を、無用調せん

Zするのでない。夫れは只他

の二つの見解Z並び存し、又確かに大な毛部分に於て其の上に立たんごするだけである。而[て

第一一一鬼解が右の優位を要求するのは、夫れは特殊準の佐賀仁従ひ、多方面的展開に最古も聾官な

る眺望を閲〈正一五ふ理由による。同様に夫れは枇曾間半の曲学的現肢のみ{健、内部的諸傾向が特殊皐

への其の後逮を迫一まるE一古ふこさを理由ごなし得る。一耽曾問中的問題の構想的取扱ひ、殊に奮歴山民

哲皐が屡々企だてしが如きものは、常に失敗した。是れ炉、る取扱ひはゐまりに高〈飛ぴ上った

からであるo

夫れは其の材料

ι只はんの概観を投守る

rりで、直も仁後港及び因果の一般的法則

を樹立せんごしたのである。然るに今日では、自然科卒は郎防に吾人に左の事買を教へて居る。郎

も各科曲学は其の材料を最古も車純な要素に分祈し得るほど、愈々異質なる法則俊見の理想に返づ

〈古云ふ事である。此〈て余輩は文化、歴史及び枇舎の現象の機制を詳しく研究する以前に、随

ふて此彪に問題ごする結合及び関係を、

歴史的世骨目的生活の金鍾から引き出

L、人銭的に切り離

L、出来るだり軍純なる要素に分析する以前に、敢て並(等の現象の異髄を深〈究明せんごは企・た

てないであらうo

而して夫れがまさし(、特殊皐ご

Lての枇曾問中の目標であるのであか。

B

( 世曾血干の方法

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枇曾血干の任務は今や特殊事に後遣するこごである芭すれば、夫れが錦めに新しき方法が必要ご

なる。峰山L新しき方法は在来の奮方法を会〈排尿して、之れ仁取り代はる可きでな〈、補充的じ

之れご併用古る可きである。而して在来の奮方法に就て、吾人は殊に二つを匝別し得る。其の一

デイアレグチフセションスト

μグ7ヨ子ン

一方に於ては奮歴史哲且干の弊設的構想が之れに扇し、他

は概念的論先の方法にして、

方に於てはV

ユタムラ

1波の認識論的研究が之れに属する。立(のこは日常生活の観察(自己観察

を合む)及び一般的な歴史的知識に基づいて行なはれるものである。夫れは一方に於ては、奥へ

られたる材料から命題或は判定を引き出すので、

一部分蹄納法を用いるもの、而して他方に於て

は類型の設定及び其の中に個別現象を概取するこ己を主ごするものでゐる。此の第二

ω方法は従

帝都の方法中最芭も重要なる弘のにして、最古も立探な結果を生守可きものであ品。五口人はジムメ

y、タ1YF、キノ

1yユ且等の著作によhて、此の事を間半ぶのでゐ品。併L此方法の作業協力に

は限界があるo此の方法は比稜的に複雑なる事賃及び構成物以上には進huを得争、深き分析に進

入し得ないのである。而して此の障壁は只新しき方法り構成によりてのみ、打破され得るのであ

る。今其の新しき方法は如何にして構成さる可きやご一玄ふ問題に就て、吾人に解決の指示を奥へ得

るものは、

心理事の援連である。心理率の後蓮は一般に吐曾亭の後述ピ

一の内部的親線を有す

フイアカントの枇脅且申請

第十九巻

(第三競

)

= 四

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フイアカシト白枇曾皐論

第十九巻

(第三蹴

四)

= 四

る。而して哲率的皐科から一の特殊事への特移ご云ふ一今H枇曾間半にE

hて最Eも重大なる仕事

は、枇曾撃に先

rもて践に心理由宇の成就せるものである。心理問宇の蕉方法は従来枇曾撃に於て行

はれたものご同一日しして、而して其の特殊事への輯移は、

一の新しき方法郎も貸駿訟の後建吉結

ぴ附

τ居た。か〈の如(にして成立せる賞駿心理事は、確かに初めは、其の研究を車純な一苅素的

な現象に限らねばならない偏局性を具有して居たが、併し今日では段々之を枕して来た。

一方で

は記越心理拳への後達が認められるが、街ほ賞験心理拳其の物の内部に於ても、近頃は質験室の

研究がより高等なる意識過程の研究に向けられて居品。亘らに今日では大量観察及び蒐集研究

(呂田ω何回『

gznEE口町ロロ仏

mEM自己

FEnED問)が後遺して居る。

時前来の一肱曾曲学的特殊事が後遼させる可き方法も亦、右に遮ぺし特殊拳

tLての心理事が畿逮き

せたものご同様に、構成されねばならないであ色う。

一方仁於ては落仁現象

ω組織的観察が肝要

であるo

而して夫れはつま

b吾人が偶然に奥へられたる材料を以て満足せ宇、真に之を計畜的に

探求する二子

用ひらる可きであるo真に叉歴史的比較的方法が概念的基礎の上に構成され得る。夫れは歴史的

及び土俗率的或は民族率的諸事科に於

τ貯臓3れて居る豊富なる材料を、

一定の一肱曾率的問題に

劃して、吐曾拳によbて夫れ夫れの目的の銭めに投壱られたる概念網の助りを以て、研究す可き

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ものである。

フイアカント氏は夫より某等の方法の性質を質例によりて明らかに説明する怨めに、結婚の関

題、園僅,関係の性質に於ける人類の影響の問題、了解(巳E〈内百円

ORロ)の問題、国憶精紳の問題、

指導的個人の問題、

成功或は著名になるこご(弓室町)

の問題、文化鞠説(同E22包EZ)の問

題、文化愛訪(関口

-EZEι己)

の問題等的研究に於げる此等

ω方法の適用に就て遁べて居る。叉

伯仲

19に枇曾事が特殊皐ごして畿達する勉めに、一枇曾血平曾宇一耽曾事研究所の設立の必要なる

-3斗を

も論じて居るo

併し此蕗には此等の鮎に関する同氏の論述を紹介する暇がないから省略して置

。以上越べ来hし彪によbて知られる如〈、本論文は枇曾皐は祉曾形式を封象Zなし、経験的仁

研究される特殊事である芭云ムアイアカy

ト氏の形式枇曾皐の概念を、始めて簡明に論遮せるも

のにして、此虞に同氏の園熟せる枇曾事概念の三要素中の始めの二要素は完成3れて居る。而L

て第三の要素郎ち現象率的方法を重要鵡する思想はまに述べられて居なVが、

Lかも同氏が枇曾

率の今後援蓬す可き愈を践に大成して、枇曾息T

の鵬首遠の模範Zなる可きもの古認める心理由学の晩

抵の一畿達を訪越する際仁、現今の心理拳に於ける記述心理皐吋方訟の後建を遮べて居るこ己は、

或意味にては同氏が失に現象事的方法を重要脱するに至る可善運命を指示するもの己考へ得られ

74・ァカシト田一位管事繭

第十九巻

(第三統

五)

四=

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フイアカントの枇合事論

第十九巻

(第三暁

,、)

三四四

る。此蕗に記遁心理血千E現象事正の関係を詳論するこごは出来ないが、記惑心理撃は臆用現象皐

の一種である吉見倣すこ芭が出来れば(例へば同E25♂印

ONE-。mzm釦

-mt〈

~EgRE沖・同司自)、又

記述心理事の立場から現象事を其の中に掻取する-』ども出来るので

(例へば

mHUEDmop円。『ηロω

PEgGNH)、両者の関係は甚だ親密でゐる。而して両者の関係を詳し〈研究するこごは今日の

文化科撃或は精紳科皐の方法論上甚だ肝要なる問題である。併し此慮に之を論争るこどは出来な

、.〉、

EW一ゐ

μ

己にか〈アイアカント氏は祉曾山山干の併究上先づ記越心理皐の重要なるを魔h二而して共の

見解を精練せんピするに嘗て、現象事

ω思想に到達し、此虎に現象率的方法を重要視する思想を

確立するに歪ったものご思はれる。