No.14 2019 年度認定 Ishikawa Historical Heritage 能登の山岳信仰の霊場〜石動山と山麓の歴史遺産〜中能登町お問い合わせ先/ 中能登町教育委員会教育文化課 （ふるさと創修館内）0767-74-2735 旧観坊 旧観坊 ストーリーを愉しむ旅﹁神々のおわ御坐すせきどうさん石動山﹂中能登町の東方に連なる標高564ｍの石動山︒その山系の谷間からは︑しばしば霧が立ち込め︑あたかも神々が宿るかのような幻想的な風景を見せる︒石動山の名は︑天より﹁どうじせき動字石﹂が落下して︑全山が震動したことに由来するという︒古より沖を行き交う船人たちは︑航海神或いは漁労神として崇め︑山系から流れ出る河川が能登最大の穀倉地帯であるおうち邑知平野を潤すことから︑里人からは農耕神として信仰を集めた︒６世紀中頃︑日本に仏教が伝来し︑奈良時代以降︑神が宿る全国の山々は︑仏と融合しながら神仏習合の形態で発展した︒平安時代より伊須流岐比古神社の存在が確認できる石動山も︑鎌倉時代には寺院が建立され︑寺院群は総じて石動寺︵後の石動山てんぴょうじ天平寺︶と呼ばれた︒山内にはごしゃごんげん五社権現が成立し︑神仏習合の世界をつくりだしていった︒﹁石動山信仰と布教活動﹂石動山には︑神仏たちにきえ帰依する僧侶たちのくらしと祈りが営まれたいんぼう院坊が展開され︑最盛期の中世には︑おおみやぼう大宮坊を中心に360余りの院坊を構え︑しゅうと衆徒( 僧侶) ３千人をよう擁したとされる︒その運営は︑７カ国からのちしきまい知識米徴収が大きな財源とされ︑能登・越中・加賀・越後・佐渡・飛騨・信濃で勧進活動が行われた︒﹁泣く子も黙るいするぎ法師﹂と伝承されるほど︑威圧的に諸国の米を徴収する彼らであったが︑家内の安全息災と五穀豊穣を祈禱し︑体に不自由がある者には特性の薬を与えるなどで︑北は青森から南は大阪に至るまで︑実に135社もの分霊社を生みだしたのである︒﹁石動山の盛衰と受け継がれる石動山信仰﹂各時代の権力者や政治にも深く関与し︑中世に最盛期を迎えた石動山だったが︑天正10 年( 1582) ︑反信長勢に味方する石動山僧侶は︑能登国主前田利家との激しい合戦に敗れ︑石動山のどうとうがらん堂塔伽藍はことごとくかいじん灰燼に帰した︒藩政期になって︑徐々に加賀藩前田家の援助を受けて堂舎の建立が成される︒明治の神仏分離令により仏教色は一掃されたが︑堂塔伽藍の痕跡は今なお残り︑山麓の平野部では地域の人々によって石動山ゆかりの遺産が受け継がれている︒いにしえいするぎひこ古より神々が御坐す山として多くの人々を惹きつけた石動山︒最盛期には360余りの院坊を構え︑衆徒３千人を擁した一大霊場︒堂塔伽藍の痕跡と︑不動滝や山麓の歴史遺産がかつての信仰を語り継ぐ︒【伊須流岐比古神社本殿及び拝殿】 本殿は、承応2年（１６５３）、山頂にあった大宮の社 殿として建立され、拝殿は元禄１４年（１７０１）、神興 堂として建立された。明治７年に大宮社殿を神社の 本殿として移築し、神興堂は拝殿とされた。 伊須流岐比古神社拝殿 伊須流岐比古神社拝殿 紙本著色石動山境内古絵図 紙本著色石動山境内古絵図 長楽寺山門 長楽寺山門 石動山五社権現 石動山五社権現 【長楽寺山門】 石動山の入り口に建っていた仁王門を明治時代 初期に移築。近世には長楽寺の男子が石動山僧 坊の住職についていた。 6 5 JR 七尾線JR 七尾線徳田駅 徳田駅 能登二宮駅 能登二宮駅 良川駅 良川駅 能登部駅 能登部駅 金丸駅 金丸駅 上棚矢駄IC のと里山海道のと里山海道中能登町 碁石ヶ峰 ▲ 159 46 2 2 【不動滝】 熊野信仰をよりどころとする石動修験(いするぎしゅ げん)の行場ができ上がり、江戸時代以降は、地域 の名勝としても広く知られるようになった。毎年７月５ 日は滝開きが行われ、滝行参加者で賑う。 ※石動山五社 ●大宮(おおみや) 祭神伊弉諾命(いざなぎのみこと)＝本地仏虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ) ●相殿の客人宮(あいどののまろうどのみや) 祭神伊弉冉命(いざなみのみこと)＝本地仏十一面観音) ●火宮(ひのみや) 祭神大物主命(おおものぬしのみこと)＝本地仏聖観音(しょうかんのん) ●梅宮(うめのみや) 祭神天目一箇命(あめのまひとつのみこと)＝本地仏勝軍地蔵(しょうぐんじぞう) ●剣宮(つるぎのみや) 祭神市杵島媛命(いちきしまひめのみこと)＝本地仏倶利伽羅不動(くりからふどう) 【石動山五社権現】 石動山に祀られている神仏の総称。明治初期まで 石動山内には五つの社が鎮座し、それぞれに祀られ ている神仏たちを五社権現と呼んでいた。現在は、 伊須流岐比古神社本殿に安置されている。 【旧観坊】 江戸時代にあった58坊の院坊の内、現存する唯 一の建物。 【紙本著色石動山境内古絵図（しほんちゃくしょくせきどうさんけいだいこえず）】 16世紀末から17世紀初頭頃に作製された石動山の境内絵図。石動山曼荼羅の性格を 持つ。石動山資料館蔵。 石動山二宮口道標 ／中能登町二宮 石動山二宮口道標 ／中能登町二宮 ／中能登町二宮 天日陰比咩神社 ／中能登町二宮 天日陰比咩神社 ／中能登町二宮 ／中能登町二宮 勝山城跡 （中能登町指定史跡） ／中能登町芹川 勝山城跡 （中能登町指定史跡） ／中能登町芹川 （中能登町指定史跡） ／中能登町芹川 石動山 （国指定史跡） ／中能登町石動山 石動山 （国指定史跡） ／中能登町石動山 （国指定史跡） ／中能登町石動山 荒山城跡 （中能登町指定史跡） ／中能登町芹川 荒山城跡 （中能登町指定史跡） ／中能登町芹川 （中能登町指定史跡） ／中能登町芹川 円光寺 ／中能登町井田 円光寺 ／中能登町井田 ／中能登町井田 不動滝 （中能登町指定名勝） ／中能登町井田 不動滝 （中能登町指定名勝） ／中能登町井田 （中能登町指定名勝） ／中能登町井田 念仏碑 ／中能登町東馬場 念仏碑 ／中能登町東馬場 ／中能登町東馬場 本土寺仁王像 （中能登町指定有形文化財） ／中能登町西馬場 本土寺仁王像 （中能登町指定有形文化財） ／中能登町西馬場 （中能登町指定有形文化財） ／中能登町西馬場 能登部神社本殿 （中能登町指定有形文化財） ／中能登町能登部上 能登部神社本殿 （中能登町指定有形文化財） ／中能登町能登部上 （中能登町指定有形文化財） ／中能登町能登部上 長楽寺山門 （中能登町指定有形文化財） ／中能登町能登部下 長楽寺山門 （中能登町指定有形文化財） ／中能登町能登部下 （中能登町指定有形文化財） ／中能登町能登部下 乗念寺 ／中能登町能登部下 乗念寺 ／中能登町能登部下 ／中能登町能登部下 能登生国玉比古神社 ／中能登町金丸 能登生国玉比古神社 ／中能登町金丸 ／中能登町金丸 ●伊須流岐比古神社本殿及び拝殿 （石川県指定有形文化財） ●旧観坊（石川県指定有形文化財） ●平沢道大日板碑（中能登町指定 有形文化財） ●荒山口阿弥陀三尊板碑（中能登 町指定有形文化財） ●天平太鼓（中能登町指定無形民 俗文化財） ●石動山五社権現 ●大窪道大日真言板碑 ●開山祭 ●石動山資料館
