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「プロセス改善」とは

2012年 3月 2日

研究員倉持俊之

SEC Software Engineering for Mo･No･Zu･Ku･Ri

Software Engineering Center 2012.3.2 ＳＥＣセミナー Copyright © 2012 IPA, All Rights Reserved. 2

本日のセッション内容

１．プロセス改善とは？

２．改善へのアプローチと効果

３．プロセス改善の進め方

４．アセスメントの国際規格 ISO/IEC 15504

５．SECBOOKSとツールのご紹介



１．プロセス改善とは？



改善とは？

改善とは？

物事をよい方に改めること。現状より良い状況にするために、何かを変更すること。

何かとは？

製品品質、サービス、待遇、・・・技術（エンジニアリング、テクノロジー）、プロセス、人、材料、・・・



ソフトウェアを支える三要素

仕事の組み立て方

プロセスを実施する人のスキル、経験、態度

開発支援環境などのプロセスで使用する技術やツール



プロセスとは？



プロセスの詳細記述の仕方（例）

プロセス改善ナビゲーションガイド～なぜなに編～ P17より



JIS X 0160 (ISO/IEC 12207)

ソフトウェアライフサイクルプロセス



プロセス改善の仕組み



プロセス改善が目指すもの



プロセス能力の改善

注７：カーネギーメロン大学ＳＥＩの資料をもとに一部改変した。



２．改善へのアプローチと効果



プロセス改善へのアプローチは多々あり！



改善のアプローチ

失敗を契機とした改善（問題解決型）

現在生じている問題に着目して、その根本原因をなくして再発を防止するアプローチで、原因はプロセスに限定されない。

プロセスアプローチ（目標達成型）

プロセスに着目して目標をブレークダウンしていくアプローチで、プロセスをコントロールできるようにして目標を達成する方法

アセスメントモデルベースの改善

ベストプラクティスモデル（例えば、ＣＭＭＩやＩＳＯ１５５０４など）を参考にしてプロセスを確立していくアプローチで、プロセスアプローチと併用される



失敗を契機とした改善例（問題解決型）

障害発生

障害回復（応急手当）

原因究明／不具合対応

根本原因追究 ex.なぜなぜ分析

プロセス改善

技術に着目した施策 ex.方法論、ツール

人に着目した施策 ex.教育の充実

再発防止策の検討



成果物/プロセス/資源

プロセスアプローチ例（目標達成型）

ビジネス目標

Ｇｏａｌ ↓

Ｑｕｅｓｔｉｏｎ ↓

Ｍｅｔｒｉｃｓ

Ｇｏａｌａｔｔａｉｎｍｅｎｔ ↑

Ａｎｓｗｅｒ ↑

Ｍｅａｓｕｒｅｍｅｎｔ

ＧＱＭ：Goal/Question/Metric Method



アセスメントモデル

アセスメントモデルベースの改善例

あるべき姿

現状

ギャップ

SPEAK-IPA

で現状評価

改善活動

※自分たちで考動する（監査ではない！）



プロセス改善の効果

http://www.sei.cmu.edu/library/abstracts/reports/06tr004.cfm



プロセス改善の事例

ＳＥＣセミナー等での発表

タイトル発表者

設計からはじめる見逃しバグの防止 (株)日立ハイテクノロジーズ

飯泉紀子氏

2008年2月13日

SECセミナー

派生開発による品質および開発効率の向上東京エレクトロンソフトウェアテクノロジーズ(株) 本多慶匡氏

2008年2月13-15日

SECセミナー

高品質ソフトウェア開発管理プロセスの実現 NECシステムテクノロジー(株)

織田巌氏

2008年2月13,15日

SECセミナー

GDD

（Genba Driven Development）

ソニー(株)

小原優氏

2008年2月14日

SECセミナー

生産性原理を具現化するプロセス改善 (株)ジャステック

太田忠雄氏

2008年2月14日

SECセミナー

究極の高品質ソフトウェア開発プロセスをめざして

(独)宇宙航空研究開発機構(JAXA)

片平真史氏

2008年2月15日

SECセミナー

プロセス改善の８つのポイント住生コンピューターサービス(株)小浜耕己氏

2008年5月28日

IPAX/事例紹介

プロセス改善実践事例

松下電器産業(株)パナソニック株式会社梶本一夫氏

2008年5月28日

IPAX/事例紹介

詳細は、プロセス改善ナビゲーションガイド（ベストプラクティス編、虎の巻編）参照

../2009年度/20091209_ＳＥＣセミナー（広島）/20091201広報提出/20080213-15プロセス改善セミナー資料（本多氏).pdf



３．プロセス改善の進め方



プロセス改善の進め方【８ＳＴＥＰ】

SEC BOOKS プロセス改善ナビゲーションガイド<虎の巻編> 図1-1 （ISO/IEC 15504-4での改善サイクル）

ｻﾝﾌﾟﾙ

ｻﾝﾌﾟﾙ

../2009年度/20091209_ＳＥＣセミナー（広島）/20091201広報提出/サンプル１．プロセスマップ_20091209.xls

../2009年度/20091209_ＳＥＣセミナー（広島）/20091201広報提出/サンプル２．.SPEAK-Interview-Ver104.xls




STEP1 検討：プロセス改善目標の設定

事業目標（組織目標）達成のためにプロセス改善目標を決定する。

→問題解決型／事業目標達成型

STEP2 開始：プロセス改善サイクルの開始

組織でプロセス改善をどのように進めるのかを検討し、「プロセス改善プログラム」を作成する。

→改善対象範囲、関係者の役割・責任の明確化、マイルストン設定、予算計画、進捗管理方法、改善支援体制などを含む

STEP3 診断：現状の把握

アセスメント実施、現状分析などにより現在のプロセス状況を把握する。→SPEAK-IPAなどの活用

STEP4 計画：行動計画の開発

診断結果により改善対象プロセスを明確にし、改善目標を詳細化、ターゲットとなる改善領域を設定、詳細な改善実行計画（行動計画）を立案（開発）し、組織として承認する。




STEP5 実装：改善の実施

行動計画に従い、改善策を実施する。

→小さな領域で試験的に実施してから拡げるなどの対応も有効

STEP6 確認：改善効果の確認

設定済マイルストンで期待した効果が獲得され、改善目標が達成できたかを確認する。

STEP7 維持：プロセスの維持

改善したプロセスを制度化し、必要な場合は教育訓練を実施してから組織内に（必要な範囲まで）水平展開する。

STEP8 定着：実行結果の監視

改善したプロセスが事業目標の達成に向けて適切に実施されているかを継続的に確認する。

定着の意味：

×同じ状態に留まること。

◎目標達成に向けて改善が繰り返し（当たり前のこととして）実施されること。



①できる範囲から取り組む ②順番を変える ③改善ステップの適用方法も改善

プロセス改善８stepの適用は柔軟に

～障害発生をきっかけにしたケース～



４．アセスメントの国際規格 ISO/IEC 15504



（参考）プロセス改善活動動向

１９９５２０００２００５２０１０

▲ISO 9000：1994 ▲ISO 9000：2000 ▲ISO 9000：2008

▲ISO/IEC 12207：1995 ▲ISO/IEC 12207：2008

▲ISO/IEC 15288：2008

▲Automotive-SPICE：2005

▲CMMI Ver.1.1 ▲CMMI Ver.1.2 ▲CMMI Ver.1.3

▲TSP/PSP(TSPi)

■国内及び海外でのＳＰＩ活動動向調査

■我が国のＳＰＩ状況調査

▲ISO/IEC TR15504-2

▲ISO/IEC 92110 （VSE)

★ソフトウェアエンジニアリングセンター設立

★プロセス改善研究部会発足 ○JASPIC設立

▲SW-CMM Ver.1.1 ■CMMI Ver.1.2翻訳 (IPA)

■CMMI Ver.1.1翻訳 (IPA)

▲ISO/IEC 15504-2：2003

▼JIS X0160：1996

’92～アセスメント標準化への取組み

▼JIS X0170：2004 ▼JIS X0160：1996

▼JIS X0145：2008

※2008/4よりプロセス改善ＷＧに名称変更

▲Amd1 ▲Amd2

▲ISO/IEC 15504-1,3,4：2004

▲ISO/IEC 15504-5：2006 ▲ISO/IEC 15504-6,7：2008

○SEA-SPIN活動開始

○’80～日科技連/SQIP

●JISA-SPA軽量化モデル：SPINACH ●NSSOL-15504準拠アセスメントモデル：SPEAK

●15504準拠アセスメントモデル：

SPEAK-IPA 公開

●共通フレーム９４ ●共通フレーム９８

▲ISO/IEC 15288：2003

●共通フレーム２００７



ISO/IEC 15504 の規定要素

プロセス参照モデル・対象領域と適用範囲

・プロセスの目的

・プロセスの成果

測定の枠組み・能力水準

・プロセス属性

・評定尺度

プロセスアセスメントモデル・適用範囲

・指標

・対応付け

・変換

アセスメントプロセス・計画

・データ収集

・データ妥当性確認

・プロセス属性評定

・報告

役割と責任・依頼者

・適格なアセッサ

・アセッサ

初期入力・目的

・適用範囲

・制約条件

・識別情報

・進め方

・アセッサの適格性判断基準

・追加情報

出力・日付

・アセスメント入力

・証拠の特定

・使用したアセスメント

プロセス

・プロセスプロファイル

・追加情報



ISO/IEC 15504準拠モデルの構成

適合したプロセス

アセスメントモデル

プロセス（活動）

プロセス参照モデル

・領域及び適用範囲

・プロセス（目的及び成果を含む）

測定の枠組み

・能力水準

・プロセス属性

・評定尺度

能力の尺度

ISO/IEC12207/AMD.1,AMD.2

(Software life cycle processes)

ISO/IEC15288

(System life cycle processes)

対応付け

対応付け



能力水準

国際規格15504ではプロセス能力を6段階の順序付けられた尺度として決めている。

各段階のプロセス能力は、『不完全な』から『最適化している』という能力(すなわち、『プロセスの成果を達成する能力がない』から『組織のビジネスゴールから明示的に導き出した適切なプロセス及び改善目標を満たすことができ、改善できる』能力)にいたる段達成の段階を示している。



水準0 未実施

不完全なプロセス

ISO/IEC 15504で定める能力水準

水準1 実施

実施されたプロセス・プロセス実施

水準2 管理

管理されたプロセス・実施管理・作業生産物管理

水準3 確立

確立されたプロセス •プロセス定義 •プロセス展開

水準4 予測可能

予測可能なプロセス・プロセス測定・プロセス制御

水準5 最適化

最適化しているプロセス・プロセス革新・プロセス最適化



プロセス属性

ISO/IEC 15504では、能力水準をさらに詳細化し、各能力水準に対応して、全部で９つのプロセス属性を定義している。



評定（レイティング）

プロセス成果の達成度合いを4段階評価する。

十分達成しているＦ：Fully

おおむね達成しているＬ：Largely

部分的に達成しているＰ：Partially

達成していないＮ：Not

評定していないＮＲ：Not Rated

プロセス成果の達成度合いからプロセス属性、プロセス能力を判定する



アセスメント指標

アセスメントにおいて、プロセス属性を判定するために使用する指標で、以下の種類がある。

作業成果物

プラクティス基本プラクティス

共通プラクティス

プラクティス実施特性

資源／環境特性



評定ルール

ISO/IEC 15504では、プロセス属性評定からプロセス能力評定への変換ルールを定めている。



アセスメント手法

アセスメントを実施するために必要な手順を定めたもの

アセスメント指標に基づいてデータを収集して、プロセス属性や能力の達成状況を判断するための方法を含む

ＳＰＥＡＫ－ＩＰＡでは、第2部が相当する

プラクティス指標プロセス属性

能力水準

ＸＸＸプロセス：０～５

ＸＸＸプロセス_PA_x.x ：F/L/P/N

エビデンス：インタビュー結果ドキュメント観察結果など



５．SECBOOKSとツールのご紹介



これまでのプロセス改善に関する活動成果

プロセス改善ナビゲーションガイド

なぜなに編

プロセス診断活用編

虎の巻編

ベストプラクティス編

国際規格準拠アセスメントモデル：SPEAK-IPA

標準モデル

軽量モデル（SPINACH）

SPINA3CH自律改善メソッド

当事者の取組みを促進するプロセス改善ツール



これまでの主な部会成果物

編者：（独）情報処理推進機構ソフトウェア・エンジニアリング・センター

執筆者：経済産業省プロセス改善研究部会WG

（現ＩＰＡ／ＳＥＣプロセス改善ＷＧ）



プロセス改善ナビゲーションガイドの概要

ガイド名概要主なコンテンツ

なぜなに編そもそもプロセス改善とは何か？、何を目指すのか？、どのようなアプローチがあるのか？等、プロセス改善の概念や概要を整理し、まとめたもの

・なぜプロセス改善か

・プロセス改善の姿・形

・プロセス改善の留意点と実施体制

プロセス診断

活用編

アセスメントモデルベースのプロセス改善を推進しようとしたときに、道具として必要となる、アセスメントモデルの活用方法についてエッセンスをまとめたもの

・プロセスアセスメントの活用

・アセスメントモデルを活用するにあたって理解しておきたいこと

・組織の能力を測る道具

・国際規格15504への適合性検証

・アセスメントの実施

虎の巻編プロセス改善を推進する上で抱く実務的な疑問に答える形式でとりまとめた、実務者向けガイドブック

・プロセス改善における10の勘所

・プロセス改善８ステップ

・プロセス改善８ステップ一問一答

・プロセス改善事例

ベスト

プラクティス編

実際のソフトウェア開発現場で実施されたプロセス改善事例の中から、参考となる事例：ベストプラクティスを統一した様式でまとめたもの

・効果的プロセス改善のための情報共有の必要性

・プロセス改善とベストプラクティス

・ベストプラクティス集



提供ツールの位置付け

モデルベース

客観的

主観的

課題ベース

CMMI/SPICE

SPINA3CH

自律改善メソッド

SPEAK-IPA

ソフトウェアプロセス・アセスメントキット



プロセス関連の活動成果と予定



プロセス改善を組織能力の向上手段の一つとして活用してみてください！

最後に

まとめ仕事の仕方を工夫して、パフォーマンス向上を目指す

改善へのアプローチは状況に合わせて

アセスメント＝健康診断！→直すのは自分の意思で！共通の基準（国際規格準拠）を使うメリット

IPA/SECの成果＝活用フリー！

IPA/SECホームページ

http://sec.ipa.go.jp/

SECBOOKS（書籍PDF版） http://sec.ipa.go.jp/publish/index.html#ent

ご清聴ありがとうございました。

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