堺泉北港港湾計画(改訂) - mlit.go.jppcc船の大型化・バース不足に対応...

5
1 さかい 泉北 せんぼく 港港湾計画(改訂) 1.堺泉北港への要請 【現 況】 堺泉北港は、大阪湾東部沿岸に位置し、堺市・高石市・泉大津市にまたがる港湾で、 昭和44年に特定重要港湾堺港と地方港湾泉北港を統合し特定重要港湾に指定された。 昭和30年代に造成された堺泉北臨海工業地帯を支える近代的な工業港として発展 し、西日本一の中古車輸出及び阪南港と合わせて日本一の合板輸入の取扱量を誇る。近 年の公共埠頭の整備による商港機能の向上により、大阪湾における港湾貨物量の約3割 を担い、近畿の経済・産業・生活等の活動を支えている。 一方、全国で初めて国の「エコポートモデル港」の指定を受け、人工干潟の整備を進 めるなど自然環境の創造に先進的に取り組むとともに、都市再生特別措置法に基づく民 間都市再生事業を推進し、みなとの憩い・にぎわいづくりを進めている。 【計画改訂の背景】 堺泉北港においては、港の独自性を高め、港湾利用者のニーズ及び社会情勢等による 貨物需要に的確に対応し、より一層の物流効率化・利便性の向上を図る必要がある。 また、大阪湾の環境再生を目指した「大阪湾再生行動計画」が策定されるなど、大阪 湾の水質改善、自然環境の創造による生物の生息空間の形成、豊かで快適な海辺環境の 創造が求められている。 また、海との触れ合いへのニーズに対応し、憩い空間としての水際線の開放を図り、 より一層のみなとのにぎわいづくりを進めるため、臨海部での交流施設の連携やレクリ エーション空間の確保が必要である。 さらに、大規模災害に対して、府県境を越えた広域的な災害対策活動を効果的に展開 する必要があるため、広域的な防災機能の確保が求められている。 2.計画の基本方針 物流、交流、環境、安全など、港への様々な分野の要請に対し、適切な施策の推進に より、「大阪再生を支える活力ある‘堺泉北港’」を実現するため、平成20年代後半を 目標年次として、4つの機能別に以下の方針を定め、港湾計画を改訂するものである。 1)物流(特定の貨物に対する拠点港の形成) ・ 中古自動車や砂・砂利などの需要の伸びが見込まれる貨物の拠点港としての機能 拡充。 ・ 循環資源貨物需要に対応した静脈物流の導入。 ・ 物流コスト削減等への対応や環境負荷の低減を図るため、RORO船の就航に対 応した港湾機能の強化。 2)交流(にぎわい・交流拠点の形成) ・ 府営港湾のにぎわい拠点を結ぶ遊覧観光ネットワークの構築を目指した旅客船埠 頭の機能強化。 3)環境(快適な親水空間と生物生息空間の形成) ・ 陸域部と海域部が連携した自然環境の創造や、水質浄化機能の向上。 ・ 人々が憩い、海や生き物と触れ合うことができる水際線の整備。 4)安全(広域的な大規模災害への対応) ・ 大規模地震発生時に府県境を越えた防災活動の拠点となる広域的な防災機能の確 保。 ・ プレジャーボートの適正収容と作業船等小型船の集約。 港湾管理者連絡先:大阪府港湾局企画部計画課 廣瀬 ひろせ 、戸田 TEL 06-6944-4423FAX 06-6941-0609

Upload: others

Post on 04-Mar-2021

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 堺泉北港港湾計画(改訂) - mlit.go.jpPCC船の大型化・バース不足に対応 水深-13m岸壁1バース延長290m (新規計画) 水深-11m岸壁2バース延長520m

1

堺さかい

泉北せんぼく

港港湾計画(改訂)

1.堺泉北港への要請

【現 況】 堺泉北港は、大阪湾東部沿岸に位置し、堺市・高石市・泉大津市にまたがる港湾で、

昭和44年に特定重要港湾堺港と地方港湾泉北港を統合し特定重要港湾に指定された。 昭和30年代に造成された堺泉北臨海工業地帯を支える近代的な工業港として発展

し、西日本一の中古車輸出及び阪南港と合わせて日本一の合板輸入の取扱量を誇る。近

年の公共埠頭の整備による商港機能の向上により、大阪湾における港湾貨物量の約3割

を担い、近畿の経済・産業・生活等の活動を支えている。 一方、全国で初めて国の「エコポートモデル港」の指定を受け、人工干潟の整備を進

めるなど自然環境の創造に先進的に取り組むとともに、都市再生特別措置法に基づく民

間都市再生事業を推進し、みなとの憩い・にぎわいづくりを進めている。 【計画改訂の背景】 堺泉北港においては、港の独自性を高め、港湾利用者のニーズ及び社会情勢等による

貨物需要に的確に対応し、より一層の物流効率化・利便性の向上を図る必要がある。

また、大阪湾の環境再生を目指した「大阪湾再生行動計画」が策定されるなど、大阪

湾の水質改善、自然環境の創造による生物の生息空間の形成、豊かで快適な海辺環境の

創造が求められている。

また、海との触れ合いへのニーズに対応し、憩い空間としての水際線の開放を図り、

より一層のみなとのにぎわいづくりを進めるため、臨海部での交流施設の連携やレクリ

エーション空間の確保が必要である。

さらに、大規模災害に対して、府県境を越えた広域的な災害対策活動を効果的に展開

する必要があるため、広域的な防災機能の確保が求められている。

2.計画の基本方針

物流、交流、環境、安全など、港への様々な分野の要請に対し、適切な施策の推進に

より、「大阪再生を支える活力ある‘堺泉北港’」を実現するため、平成20年代後半を

目標年次として、4つの機能別に以下の方針を定め、港湾計画を改訂するものである。 1)物流(特定の貨物に対する拠点港の形成) ・ 中古自動車や砂・砂利などの需要の伸びが見込まれる貨物の拠点港としての機能

拡充。

・ 循環資源貨物需要に対応した静脈物流の導入。

・ 物流コスト削減等への対応や環境負荷の低減を図るため、RORO船の就航に対

応した港湾機能の強化。

2)交流(にぎわい・交流拠点の形成)

・ 府営港湾のにぎわい拠点を結ぶ遊覧観光ネットワークの構築を目指した旅客船埠

頭の機能強化。

3)環境(快適な親水空間と生物生息空間の形成)

・ 陸域部と海域部が連携した自然環境の創造や、水質浄化機能の向上。

・ 人々が憩い、海や生き物と触れ合うことができる水際線の整備。

4)安全(広域的な大規模災害への対応)

・ 大規模地震発生時に府県境を越えた防災活動の拠点となる広域的な防災機能の確

保。

・ プレジャーボートの適正収容と作業船等小型船の集約。

港湾管理者連絡先:大阪府港湾局企画部計画課 廣瀬ひ ろ せ

、戸田と だ

(TEL 06-6944-4423、FAX 06-6941-0609)

Page 2: 堺泉北港港湾計画(改訂) - mlit.go.jpPCC船の大型化・バース不足に対応 水深-13m岸壁1バース延長290m (新規計画) 水深-11m岸壁2バース延長520m

2

3.堺泉北港の位置

4.計画の概要

【物流:特定の貨物に対する拠点港の形成】

・ 西日本一の取扱貨物量をもつ中古車輸出について、保管ヤードの不足や湾奥部で

散在している荷役形態の効率化を図るとともに、船舶の大型化に対応するため、

汐見し お み

沖おき

地区において、中古車輸出機能の拡充・強化を図る。

堺泉北港現況写真 堺泉北港位置図

大型船舶対応岸壁不足

中古自動車輸出拠点(新規計画)○PCC船の大型化・バース不足に対応水深-13m 岸壁1バース 延長290m (新規計画)水深-11m 岸壁2バース 延長520m (新規計画)○一体的な保管ヤード整備

埠頭用地20.5ha

今回計画図 (汐見沖地区)

汐見沖地区

横持ち

中古自動車の拠点港としての機能拡充を図る

大水深バース一体的ヤードへの集約

PCC船

中古自動車

ヤード(助松地区)

港湾奥部における保管ヤードの散在

Page 3: 堺泉北港港湾計画(改訂) - mlit.go.jpPCC船の大型化・バース不足に対応 水深-13m岸壁1バース延長290m (新規計画) 水深-11m岸壁2バース延長520m

3

・ 瀬戸内での海砂採取禁止に伴う大阪湾内での輸入砂等建設資材の取扱機能を確保

するとともに、リサイクル貨物需要に対応するため、堺7区及び汐見沖地区にお

いて、建設資材等特定貨物の機能の拡充を図る。

【交流:にぎわい・交流拠点の形成】

・ 商業・住宅等の施設立地が進む堺2区や堺7区、 堺さかい

旧 港きゅうこう

地区、泉大津旧港地区

において、一層のにぎわい・交流空間の形成を図るため、遊覧ネットワーク構築

のための旅客船埠頭を計画する。

・ 海洋性レクリエーション需要への対応や適正な水域利用を図るため、堺2区、汐

見沖地区において、交流施設の連携を図るマリーナを計画する。

遊覧観光ネットワーク湾内クルーズネットワーク

海洋性レクリエーション需要への対応○マリーナ

【汐見沖地区】小型桟橋4基

プレジャーボートの散在 港のにぎわい

づくり

堺旧港地区

海洋性レクリエーション需要への対応○マリーナ

【堺2区】小型桟橋7基

【堺旧港地区】水深-2m物揚場 延長80m

【堺2区】水深-2m物揚場 延長40m

【堺7区】水深-2m物揚場 延長40m

【泉大津旧港地区】水深-2m物揚場 延長40m

泉大津旧港地区海洋性

レクリエーション需要

汐見沖地区

輸入砂対応岸壁不足

静脈物流貨物の増加

周辺環境への影響

砂・砂利取扱の拠点化及び循環型資源取扱対応○輸入砂運搬船及びフィーダーに対応

水深-12m 岸壁1バース 延長240m水深-7.5m 岸壁2バース 延長260m

○静脈物流貨物取扱に対応水深-7.5m 岸壁1バース 延長130m

○一体的な保管ヤード整備埠頭用地29.6ha

今回計画図 (堺7区)

今回計画図 (汐見沖地区)

砂・砂利取扱の拠点化及び

金属くず取扱への機能拡充

周辺環境に配慮

堺7区

循環型資源取扱対応○公共埠頭の整備

(新規計画)水深-7.5m 岸壁1バース延長130m 埠頭用地2.2ha

Page 4: 堺泉北港港湾計画(改訂) - mlit.go.jpPCC船の大型化・バース不足に対応 水深-13m岸壁1バース延長290m (新規計画) 水深-11m岸壁2バース延長520m

4

【環境:快適な親水空間と生物生息空間の形成】

・ 大阪湾における水質改善を図るとともに、人が海に近づき眺め触れ合うことので

きる水際線を確保し、また自然環境の創造による生物の生息空間の形成、豊かで

快適な海辺環境の創造を図るため、緑地・海浜等により港湾環境整備を進める。

【安全:広域的な大規模災害への対応】

・ 東南海・南海地震をはじめとする府県境を越え広範囲に被害が及ぶような大規模

地震が発生した場合に、物資の緊急輸送等に供するため、堺2区において大規模

地震対策施設を計画する。

臨港道路○岸壁と緑地との連絡

臨港道路 堺北1・2号線

今回計画図 (堺2区)

耐震強化岸壁○緊急物資の輸送等

水深-10m 岸壁1バース 延長170m (改良)水深-7.5m 岸壁1バース 延長130m (改良)

府県境を越えた広域的な

防災機能の確保耐震強化岸壁

臨港道路緑地

大規模地震発生の切迫

緑地○物資保管ヤードとして

の活用緑地 30.8ha

防災拠点の必要性

防災拠点イメージ図

東海・東南海・東海地震の予想震度分布

臨港道路○岸壁と緑地との連絡

臨港道路 堺北1・2号線

今回計画図 (堺2区)

耐震強化岸壁○緊急物資の輸送等

水深-10m 岸壁1バース 延長170m (改良)水深-7.5m 岸壁1バース 延長130m (改良)

府県境を越えた広域的な

防災機能の確保耐震強化岸壁

臨港道路緑地

大規模地震発生の切迫

緑地○物資保管ヤードとして

の活用緑地 30.8ha

防災拠点の必要性

防災拠点イメージ図

東海・東南海・東海地震の予想震度分布

大阪湾の水質・環境改善

○海浜の整備【泉大津旧港地区】 210m

○緑地の整備【堺旧港地区】 1.5ha

○緑地の整備【堺7区】 120.5ha

(うち71.4ha工事中)

○緑地の整備【汐見沖地区】 71.8ha

○海浜、緑地の整備【堺2区】 海浜1,300m、950m

3,000m(人工干潟等)緑地52.7ha

シンボル緑地

修景緑地

シンボル緑地

「共生の森」

海浜

海浜

海浜

干潟

大阪湾の水質・環境改善

○海浜の整備【泉大津旧港地区】 210m

○緑地の整備【堺旧港地区】 1.5ha

○緑地の整備【堺7区】 120.5ha

(うち71.4ha工事中)

○緑地の整備【汐見沖地区】 71.8ha

○海浜、緑地の整備【堺2区】 海浜1,300m、950m

3,000m(人工干潟等)緑地52.7ha

シンボル緑地

修景緑地

シンボル緑地

「共生の森」

海浜

海浜

海浜

干潟

Page 5: 堺泉北港港湾計画(改訂) - mlit.go.jpPCC船の大型化・バース不足に対応 水深-13m岸壁1バース延長290m (新規計画) 水深-11m岸壁2バース延長520m

5

【その他:開発空間の留保】

・ 神戸港・大阪港がスーパー中枢港湾阪神港に指定されたことを踏まえ、大阪湾に

おける国際コンテナ貨物輸送の機能分担を図るとともに、将来の貨物需要・土地

需要に対応するため、助松すけまつ

沖おき

地区において開発空間を留保する。

開発空間の留保

今回計画図 (助松沖地区)

C10

C11

PC-17

PC-16

PC-15

PC-18

将来増強を図る空間の確保

埋立計画削除

大阪湾における物流機能分担 開発空間

の留保