method vehicle routing problem time windows u keisuke …

10
The Japan Society of Mechanical Engineers NII-Electronic Library Service The Japan Sooiety of Meohanioal Engineers 3220 日本 械学会論 集( C 編) 76 772 号( 2010 12 論文 No 10 0439 時間 不確 実性 を同時 考慮 した 配送 計画 問題 のモ 解法 1 2 AModel and a Method for Vehicle Routing Problem with Time Windows under U certainty KeisUkeMURAKAMI 3 and HiroshiMORITA 3National Institute ot Informatics 2 1 2HitQtsubashi Chiyoda ku Tokyo 101 8430 Japan This paper dscusses the vehicle routing ploblem with time windows and stochastic demands All customers have the penalty functionsof the time to arrlve at them respectively the penalty fortime windows The customers demands are characterized by a known probabnity distribution and a custorner s actual Clernandisonly revealed when the vehicle reaches the customer 1 cation When the total dernands of customers orl a route exceed the capacity of the vehicle extra path to depot for replenishment must occur This problem can be described as e problem of designing east trave cost routes from one depot to a set of customers We express the trave ]cost by the sum of the planned distance the expected distanceof extra path to the depot and the expected penalty fortime windows The planrled dstar ce and the expected distanceof extra path to the depot can be ebtained irnmediate yWhen a rOute iS giVen HOWever the expec ed pena1 y f r irne windows carui be ebtained eVen ifa route is given Because we must determine the time to arrive ateach customer in order to obtain the expected pena t γ forlme windows thatis we must cQllsider the problem of determining the time tQ arrive at each customer in a given route sg that the expected pen lty for time windows is mfnirnized Therefore we propose the ethod for solving the problem of determining the ti e tQ arrive at each customer Then we formulate the vehicle routillg problem as a set covering problem and we prDpose the solution method using column generation approach Ke3 Mords Vehicle Routing Problem Time Window S ochas lc Demand Column Generation Approach 1題と配送車がまわる 順 番 を決 定 型的な配送計画問題 配送 車が拠点あ るデ を出発 顧客 もと 1 訪れ ポに ると もと目的関数を する問題 ある wa 1 のル トに お け る顧 客 要量 合計は配 送 積載容量を超 えな う制 約 条 件 も 考しな れ ば な らな 関数 と ては 距離 配送 用など られ る され る 目的 先的 決定 れる 状況 によ ては 関数 を 1 に限多 目的 問 題 と して さら問題 には 発展在す デポが 複数存在 問題原稿受付 201 6 2 Sl 情報研究所( 1 8430 京都 田区 ke2 1 2 e 大阪大学大学院情報科学研究科( 565 Q851 吹 田市 21 E matl murakam C niLac ip 間枠 が 指 定 され る問 配送車が存問題 な ど本論文では顧客 到着時 枠が設定されて 題を取り顧客 到着時間枠 設 定 され 送計画問 経路 同時 枠 を考顧客 着時間 も決 定 なければな らな 時間 種類 大きく 2 分けられる 1 目は 制約 条件 とし設定 ければ らな 聞枠 ある この 間枠 は ドウ hard time window れる 2 目は時 れた 時間 じて を課す 必ず らなくても この 時間タイ soft time window と呼 また よ り現 実 的 な 配 送 計 問題 を えた場 確実性 問題 数 多 く存 在送計画問題 おける 確実性 配送時 の不 確実 1 顧客 需要量 不確実性 1 不在 確実 3 大きく 分類 され る 1 38 N 工工 Eleotronio Library

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Page 1: Method Vehicle Routing Problem Time Windows U KeisUke …

The Japan Society of Mechanical Engineers

NII-Electronic Library Service

The  Japan  Sooiety  of  Meohanioal  Engineers

3220

日本機械 学会 論 文集 (C 編 )

 76巻 772号 (2010−12)

論文 No.10−0439

時間枠 と不確 実性 を同時 に 考慮 した配送計画問題の モ デル 化 と解法*

村 上 啓 介* 1

, 森 田 浩* 2

AModel  and  a Method  for Vehicle Routing  Problem  with

       Time  Windows  under  U 皿 certainty

KeisUke MURAKAMI * 3 and  Hiroshi MORITA

     *3National

 Institute ot  Informatics,2−1・2HitQtsubashi , Chiyoda .ku, Tokyo ,101−8430 Japan

  This paper d{scusses  the  vehicle  routing  ploblem  with  time  windows  and  stochastic  demands、 Allcustomers  have the penalty  functions of the time  to arrlve  at  them , respectively (the penalty  for timewindows ).  The  customers

’demands  are  characterized  by a  known  probabnity distribution and   a

custorner’s actual  Clernand is only  revealed  when  the vehicle  reaches  the  customer  1  cation . When  the

total dernands of customers  orl.a  route  exceed  the capacity  of the vehicle , extra  path to depot forreplenishment  must  occur  This problem  can  be described as 出e problem   of  designing】east trave亅cost  routes  from  one  depot to a  set  of  customers . We  express  the trave] cost  by the  sum  of  the planneddistance, the expected  distance of  extra  path to the depot and  the  expected  penalty for time  windows .The planrled d童star 〕ce  and  the expected  distance of extra  path  to the  depot can  be ebtained  irnmediate−]yWhen  a rOute  iS giVen .  HOWever  the expec 亡ed  pena1 亡y  f。 r 亡irne windows  carui 。亡be  ebtained  eVen

if a route  is given.  Because we  must  determine the time to arrive  ateach  customer  in order  to obtain

the expected  pena 丘tγfor亡lme windows , thatis , we  must  cQllsider  the problem  of  determining the time

tQ  arrive   at   each   customer  in  a given   route   sg  that the  expected  pen &lty  for time   windows  ismfnirnized .  Therefore we  propose  the 皿 ethod  for solving  the problem  of  determining the ti皿 e tQ

arrive  at  each  customer .  Then we  formulate the vehicle  routillg problem  as  a set  covering  problemand  we  prDpose  the solution  method  using  column  generation  approach .

Ke3 ・ Mords : Vehicle Routing Problem , Time  Window , S亡ochas 亡lc  Demand , Column Generation

            Approach

1.は じ め に

 配 送計画問題 とは配送車がまわる顧客 の 順番 を決定

す る 問題で あ る.最も典型的な配送計画問題 は , 配送

車が拠 点で あ るデ ポ を出発 し,す べ て の 顧客 の もとへ

必 ず 1 度は 訪れ た あ と に 最後に デ ポ に 帰 っ て く る と い

う条件 の も とで 目的関数 を最小化す る問題 で ある.そ

の wa 1 っ の ルー

トにおけ る顧客 の 需要量 の 合計は配送

車 の 積載容量を超 え な い とい う制約条件 も考慮 しな け

れ ばな らな い .目的関数 と し ては,配送距離・配送車

台数 ・配送費用な どが考え られ る が,要求 され る 目的

に 応 じ て優先的 に決定 され る.ま た 状況 に よ っ て は 目

的関数 を 1 つ に限定せ ず,多 目的問題 として取 り扱 う

こ ともある.さらに,配送計画問題に は数 々 の 発展問

題が 存在す る ,例え ば,デポが複数存在す る問題 , 顧

*原稿 受 付  201  年 6 月 2 目,

Sl

国立情報掌 研究所 (  珊1−8430東 京都 千代田 区一

ツke 2−1−

  2).“e

正 員,大 阪 大 学 大 学 院 情 報 科 学 研 究 科 (  565−Q851吹 田市

  山田 丘 21 >.E−matl : murakam {C. niLac .ip

客への 到着時間枠が指定 され て い る問題,複数 の 種類

の 配送車が存在す る 問題 な どで あ る.

 本論文 では顧客へ の 到着時間枠が設定 されてい る問

題を取 り級 う.顧客 へ の 到着時間枠 が 設定 され て い る

配送計画問題 は ,配送経路を決定する の と 同時 に時問

枠 を考慮 して 各顧客 へ の 到着時間 も決定 しなけれ ばな

らない .時間枠の 種 類 は 大き く 2 つ に 分 けられ る.1

つ 目 は 制約条件と して 設定 して ,必ず守 ら な け れ ば な

らない 時聞枠 で ある.こ の 時間枠 はハー

ドタ イ ム ウ ィ

ン ドウ (hard time  window )と呼 ばれ る.2 っ 目は時間

枠か ら外 れ た 時間に 応 じて ペ ナ ル テ ィ を課す が,必ず

守らな くても よ い 時間枠である.こ の 時間枠は ソ フ ト

タイ ム ウィ ン ドウ(soft  time  window )と呼 ば れ る.’

 また,よ り現実的な配 送計画問題 を考えた場合,不

確実性を含ん だ問題が数多く存在す る.配送計画問題

に おける不確実性 は ,厂配送時間の 不 確実性1 ,

「顧客の

需要量 の 不確実性 1 ,「顧 客の 在 ・不在 の 不 確実 閨 の

3 っ に 大き く分類 され る(1).

一 38 一

N 工工一Eleotronio  Library  

Page 2: Method Vehicle Routing Problem Time Windows U KeisUke …

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時間枠 と不 確実性 を 同時 に 考 慮 した 配送 計 画問題 の モ デ ル 化 と解法 3221

 配送時間 の 不確実性 は ,交通渋滞や道路の 工 事 に よ

る通 行 閉 鎖 な ど に よ っ て 生 じ る.そ の 際,配 送時間 の

遅れ が大 きな問題 とな る.すなわち , 予 定通 りの 時間

に 配送 で きな い こ とで 罰金や損害が生 じて し ま うとい

う問題 で あ る,顧 客 の 需要量が 不 確 実な状況 は ,例え

ば灯油 の 配達問題 

や泥 の 回収 問題(3)

などの 出発前に

需要量が 明確 に 分 か らな い 場合 に 生 じ る.こ の よ うな

揚合に 不確実性を考慮し な い で 配送計画を立て て し ま

うと,予定通 り配送 で きず に 無駄 な時間や ガ ソ リン 代

な ど が か か っ て し ま う可能性が 高くなる.顧客の 在・不

在の 不確実性は,宅配の 際な どに問題 とな る ,例えば,一

人暮 ら しの 家庭や共働 き の 家庭 は 不在で あ る確率 が

高く,何世代も同居 し て い る家庭は家族の 人数が多い

の で 不在で あ る確率は高くない と言える.こ の よ うな

こ と を考慮 しな い で 配送計画 を 立 て て し ま う と,不 在

の 確率が 高い 昼間 の一

人 暮ら しの 家庭に 配達 に行 っ て

しま い 時間やガ ソ リン を無駄 に し て しま う.以 上 の よ

うな こ とか ら不確実性 へ の 対応 は 重 要 な課題 と言え る.

 また , 不確実な状況下 で の 配 送計画 問題 へ の ア プ

ロ ーチ は ,静的 ア プ ロー

チ と動的 ア プ ロー

チ に 大別 さ

れ る(4).静的 ア プ ロ

ーチ と は , 配送 を開始す る前 に 訪

問す る顧客 の 順番 を完全に決 めて しま うア ブ U 一チ で

ある,静的 ア プ ローチ に お い て は ,配送途中で 不確実

性 の 影響 を受 けて 予想 か ら外 れ た 場合で も顧 客 の 訪 問

順番 を変えない の で ,不確実性の 影響を うま く緩和す

るよ うな配送計画 をは じ めか ら求め るア プ ロ ーチ と言

え る.一方,動的ア ブ U 一チ と は ,配 送 を 開始す る 前

に 配送順番 は決め て し まわず に , 1 つ の 顧客を訪れ る

ごとに状況 に応 じて 次の 行動を決 め る ア プ ロー

チで あ

る .こ こ で の 次 の 行動 を決 め る とは,主 に 次 に訪れ る

顧客を決 め る こ とを指す,静的 ア プ ロー

チ の メ リッ ト

は 途 中で 計画 の変更 を し ない の で , 計画 を立 て 直す経

営費用 が 少 な くて す む こ とで あ り,デメ リ ッ トは 配送

途中で 何が起きて も計画 の 変更を行 わな い の で , 動的

ア プ ロー

チ に 比 べ て 配送時間や配送費用 が大 きくなる

可 能性 が 高 い こ とで あ る.また,動的 ア プ ロー

チ の メ

リ ッ トは 配送途 中の 時点 で最も良 い 経路を選択する の

で 配送時間や配送費用を小 さくで きる こ とで あ り,tデ

メ リッ トは 何度も計画 を 立 て 直す の で 経営費用が か か

る こ と で あ る.以 上 の メ リ ッ ト,デ メ リ ッ トを考慮す

る と,静 的 ア プ ロ ーチ が適し て い る状況 は 1度立 て た

計画を長い 期間使 い 続 けるよ うなとき で あ り,動的 ア

プ ロ ーチ が適 して い る状況 は 毎回 違 っ た計画 を立 て る

とき で あ る.

  こ の よ うな時間枠付 の 配送計画 問題や不確実性 を考

慮 し た 配送計画 問題 は個々 の 研究 と して は ,す で に多

くの 研究 が 行 われ て い る(5)(6),と こ ろ が,時 間枠 と不

確実性 を 同時に考慮 した 問題 に 対す る研 究はあま り存

在 しな い .そ こ で,本論文 で は 時間枠と不確実性を 同

時 に考慮 した問題 を取 り扱 う.ま た , 本論文 に お い て

は時間枠は ソ フ トタイ ム ウィ ン ドウと して ,不確実性

は 顧客 の 需要量 が 不確実な状況を想定す る .さらに ア

プ ロ ーチ は,長 い 期間使 い 続 け る配 送 計画 を 立 て る こ

と を想定 して 静的ア プ ロー

チを用 い る.現実社会 に お

い て は,地方自治体な ど が行 っ て い る ゴ ミ回収 の 経路

を決定す る 問題 を想定 して い る.各家庭の ゴ ミ の 排出

量 は毎回不確実で あ り,回収する ゴ ミの 合計量 は 回収

に 出発する 時点 で は 明確で は ないの .ま た ,ゴ ミ を回

収す る 時 間 に は 時 間枠が 設 け られ て い る(8).さ ら に ,

各家庭が出す ゴ ミの 集積所は頻繁に変わ る こ とは ない

の で ,1度立 て た経路 は長い 間使 い 続 け られ る ,

 本 論 文 の よ う に 不 確実 性 と 時 間 枠 を 同 時 に 考慮 した

複雑 な問題設定 の 場合 ,モ デル 化が 難 し く, 解法 もメ

タ ・ヒ ュー

リス テ ィ ッ ク解法な どに頼 りがちで ある(9).

メ タ ・ヒ ュー

リス テ ィ ッ ク 解法 は 速 く解 が 求ま る が,解

の 精度 の 保証 が なく最適解が わ か っ て い な い 問題 に お

い て は解 の 良 し悪 しが 判断 で きな い .一方 ,配送計画

問題 で た び た び 用 い られ る解法で あ る 列生 成法は,最

適解 の 下 界値 を導出 す る の で ,あ る程 度精度 の 高 い 解

が求 ま る こ とが期待 で き る(10).そ こ で , 本論文 で は 時

間枠 と不確実性 を同時 に 考慮 した問題 を,集合被覆問

題 で 定式化 で きるよ うに モ デ ル 化 を行 い ,列生成法 を

応 用 し た解法 を提案す る.

2.問  題  定  義

 時間枠と顧客 の 需要量 の 不確実性 を同 時 に考慮 した

問題 を 以下 の よ うに 定義する.ただ し , 以 下 「ル ート」

と はデポを出発 して 予定 して い た 配送を終えて 再び デ

ポ に 戻 っ て くる ま で の 1 つ の 経路を意味する もの とす

る.すな わ ち,最終的に 求め た い 配 送計画 は こ の ル ー

トの 集合か ら成 り立 っ .

 デポ は 1 つ だ け存在す る.1 つ の 顧客へ は 1台 の 配

送車 で 配 送 す る、各顧客 の 需 要量 は過 去 の デ ータ か ら

平均 と標準偏差が 求め られ て 正 規分布に 従 うと仮定す

る.各顧 客には時間枠が設定 され て お り,配 送車 の 到

着 時 間 に 関す る 時間枠ペ ナ ル テ ィ 関数 を 持 つ .配 送車

の 最大積載債容 量は同 じ もの を複数台使用 し て , 最初

に デ ポ を出発 して 最後 もデ ポ に 帰 っ て くる.1 台 の 配

送車は 1 つ の ルー トの み を担当する もの とする.た だ

し,配送 の 途中で 顧客の 需要 量の 合計が 配送車 の 最大

積載容量を超 えた場合は,デ ポ へ 戻 り積荷 を一

杯 に し

た後に配送 の 続 きを行 う.こ の とき,1台 の 配送 車が

一 39 一

N 工工一Eleotronio  Library  

Page 3: Method Vehicle Routing Problem Time Windows U KeisUke …

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3222 .時間 枠 と不 確 実性 を同時 に 考 慮 した 配送 計画 問題 の モ デ ル 化 と解法

何度 もデポ に戻 らなけれ ばな らな い ルー

トを設計す る

こ とは考えに くい の で ,1台 の 配 送車が 配送途中で デ

ポ に 戻 る 回数 の 上 限は 1 回 と し,配送車 が 配送途中 で

デポに戻る確率 は 0.5 以下 とす る.また 目的関数は配

送費用 の 最小化 とす る.配送費用 は 以下 の 3 つ か ら構

成 され る,

1.予定配送距離

2.積荷 を取 りに デポ に 戻る距離の 期 待値

3,時間枠 ペ ナ ル テ ィ 期待値

 予定配送距離とは,静的ア プ ロー

チ に お い て最初に

決 め た 配送経路 の 距離 の こ と で あ る.積荷 を 取 りに デ

ポ に戻る距離 の 期待値 と は ,配送途 中で 配送 車の 積荷

が なくな っ た 場 合にデポ に 取 りに 戻 る距離の 期待値の

こ とで あ る.時間枠ペ ナ ル テ ィ期待値 とは , 配送車 の

顧客 へ の 到 着時 間 に 応 じ て 課 され る罰 金 の 期待値 の こ

とで あ る.

  こ こ で ,本 論文 で 使用す る記号 を定義 し て お く.

   e :

    R :

    N ;

  1>r ;

cost (r):

    Cr  :

    er :

  Pr ;

  哩ポ :

  Si :

f’(τ) :

li,ノ :

ti,j :

配送車の最大積載容量

実行可能ルー

ト集合

顧客集合

ルー

ト r ∈ R 上 の 顧客集合

ル ー トr ∈ R の 配 送費用

ルー

ト r ∈ R の 予定配送距離

ルー

トr ∈ R に お い て 積荷 を取 りにデポ

に 戻 る距離 の 期待値

ルー

ト r ∈ R の 時間枠 ペ ナ ル テ ィ 期待値

顧客 iEN の 需要 量 の 平均

顧 客 i∈ N の 需要 量 の 標準偏差

顧客 i∈ N へ の 到着時間 τ に お け る 時 間枠ペ ナ ル テ ィ 関数

顧客 iiノ∈ N 間の 距離

顧客 ieN で の 作業時間 とWt客 i,ノ∈ N 間

の 移動時間 の 和

 ま た,時間枠ペ ナ ル テ ィ期待値 の 重み を w とお くと

配送費用 は

で 表 され る.

』eost (r)= cr + er + wpr

3.配送費用の計算方法

(1)

 本章 で は ,実行 可能 ルー ト r に お け る 配送費用 (1)

の 具体的な計算方法 を述 べ る.こ こ で ルー

ト r で 訪問

する顧客 の 順番 を σ r =: (Or (0),σ

厂(]),_

,σ r (」N .1+ 1))

とお く.た だ し,σ r(0),ffr(]Nr1+ 1)は 同

一の デ ポ を 表

す.また ,顧 客 σ r(h)で 配送車が積荷を取 りにデポに

戻 る確率を %  とお く と,qσ.(h)は 以下の 式 (2)で 計

算す る こ とが で き る.た だ し,de.(h)は 顧客 ar (h)の

需要量 を意味す る確率変数 で あ り,平均 殴:触伍   ,

騨 偏差 Σ艶 紬 の 正 規分布 に 従 う・

・… (・)一・・(

h−1             h

Σら   ≦ e < Σdk=O             k=O )・h ≦ 1・ ・ 1+ 1・

                        (2)

 次 に ,配送 費用 の 構成 要素 で あ る 予定配送距離,積

荷を取 りに デ ポに戻 る距 離 の 期待値 , 時 間枠 ペ ナ ル

テ ィ期待値 の 計算方法 に つ い て それぞれ述 べ る.

 3・1 予 定 配 送 距離   予 定配送 距離 c . は 顧客間 の

距離か ら以 下 の 式 (3)で 簡 単 に 求め る こ とが で き る .

  ・岡

Cr ;]E].lar  tgr (k+ 1)    k=O

(3)

 3・2 積荷を取 りにデポ に戻 る距離 の 期待値   積

荷 を取 りにデ ポ に戻 る距離 の 期待値 er は,デ ポ と顧

客 間の 距離および 各顧客 か ら積荷を取 りにデポ に 戻 る

確率 (2)よ り,以下 の 式 (4)で 求める こ とが で きる.

    LNrle ・ =  E 21・。.(。〉,・悔  

ψ醇      k=1

(4)

 3・3 時間枠 ペ ナ ル テ ィ 期待値  実行 可能 ルー

r が 決定 して い る場合,予 定配送距離と積荷 を取 り に

デ ポ に 戻 る距離 の 期待値 は 簡単に 求 め る こ と が で き

る,と こ ろ が ,時間枠ペ ナ ル テ ィ の 期待値は,実行可

能ル ー トr が決 定 しただけ で は 求 め る こ とは で きな い .

な ぜ な ら,時間枠ペ ナ ル テ ィ の 期待値を 求 め る た め に

は 実行可能ル ー ト r を決定 し た後に各顧 客 へ の 最適

な到着時間を求 めなれ ばな らない か らで あ る,すなわ

ち,最適到着時間を決 定する問題 を解か なければな ら

な い ,以降で は,まず不確実性がな い 場合の 時間枠ペ

ナル テ ィ の 計算方法 を述 べ た後 で ,不確実 性を含んだ

場合 の 時 間枠 ペ ナ ル テ ィ 期待値 の 計算方法 を述 べ る.

  3・3・1  不 確 実 性 が な い 場 合 の 時 間枠 ペ ナ ル テ ィ

の計算 方法  こ こ で ,顧客 砺  への 到着 時間 を

ak と し て ,ルー

ト r 上 の 顧 客へ の 到着時間 を a =

(ao ,al

,_

,alN

,1,alN .1+ 1)とお く.こ の と き,不確実性 が

な い 場合の 最適到着時間を求め る問題 は 以下の よ うに

お く こ とが で きる.

    」醐 + 1

血 n Σ f。r 〔k)(ak )    k=O

s.t呷 ao = 0                                   〔5)

  ak+ 1 ≧ ak + t。 ,(k>ρ ,(婦 〉(k = o

,…

,1N・D

 問題 (5)の 目的 関数は 時間枠ペ ナ ル テ ィ の総和の最

小 化 を意味 し て い て ,制約条件は 各顧 客へ の 到着可 能

時間を意味す る.次に 問題 (5)の 解法 を述 べ る.た だ

一 40 一

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時 間枠 と不 確実 性 を 同時 に 考慮 した 配送計画 問題 の モ デ ル 化 と解法 3223

し,こ こ か らは 時 間枠 ペ ナ ル テ ィ 関数 fo,(k}(ak )は 区

分線形関数 と して 扱 う(12).こ こ で ,訪問順番 が 前 の 顧

客 か ら順番 に時間枠 ペ ナ ル テ ィ 関数 を足 し合わせ て い

く.そ の 際,顧 客 σ厂  に 時間 ak で 到着す る と し て,

それ ま で の 顧客 σ,〔0)か ら σ. (k − 1)まで の 時間枠 ペ

ナル テ ィ の 和 が 最小 に なる よ うに 足 し合わ せ る,こ こ

で の ak は 区分線形 関数の す べ て の 区分点 に 1 回ずっ

設定 され て ,そ の 都度時間枠ペ ナ ル テ ィ の 和 の 最小値

を求め る こ と で , 時間枠ペ ナ ル テ ィ の 和の 最小 値を表

す線形 区分関数 & 梱 (ak )を求 める.さらに,す べ て

の &顧 )(ak)(k = 1,...

,1Nr1+ 1)は 以下 の 漸化式 で 求 め

る こ とが で き る.

{髭膿

爨灘押の

 

こ の と き,問題 (5)は 以下 の よ うに 置 き換え る こ とが

で きる,

         ・ 9 。 r(IN.1+1)(alN .1+ 1)    〔7)

問題 (7)は ル ー ト r (顧客 σ ,(0)か ら σ ,(IN,i+ 1)ま で)

の 時間枠ペ ナ ル テ ィの 和 の 最小 値を表 わ す関数 の 最小

化 問題 で あ る.漸化 式 (6)よ り関数 8(Tr(IN.1+1)(α岡 + 1)

は 求ま っ て い る の で,問題 (7)の 値 は 簡単に求める こ と

がで き る.ま た ,問題 (7)の 解 は,配 送を終 了 して デポ

に 到着す る 最適時間 を 表 わ して い て ,そ れ を,alN.1+ 1

と お く と,

δ岡 + 1 = minarg r血 9a ,([N .1+ 1)(α 岡 +1)  (8)

で 求め られ る,た だ し,式 (8)の右辺 の最初の min は

関数 8 σ ,(LN,[+ 1)(alN .1+1)を最小 に す る 到着 時間 alN,1+1

が 複数存在す る場合 に は 最 も 早 い 到 着時 間を と る

こ と を意味 する .さ ら に , 各 顧 客 へ の 最適 到着時

間を a = (δo,a1,_

,δIN.1,alN.1+1)とお く と,式 (8)と

以 下 の 式 よ り , 後ろ か ら順番に 最適 到 着時 間 ゐ =

(∂O ,δ1,

...,δIN,i,々IN,1+ 1)を求 め る こ とが で き る .

ak=mina 「・噛 1贈照 、+ 1)

9・・(綱 (9)

          (k = 1?〉.1,..., 1,0)

以 上 の 方法を用 い て 不確実性 が な い 場合 の 時間枠 ペ ナ

ル テ ィ の 和 の 最小化 とそ の とき の 各顧客 へ の 到着時間

を求め る こ と が で き る.

 3・3・2 不確実性を含ん だ 場合 の 時間枠ペ ナ ル テ ィ 期

待値の 計算方法  本小節で は , まず時 間枠 ペ ナ ル

テ ィ 期待値を求 め る問題 の 定式化を行い ,そ の 後に そ

の 問題 の 解法 を述 べ る.・時 間枠 ペ ナ ル テ ィ 期 待値 を求め る問題 の 定式化

 不確 実性 を含 ん だ状況 にお い て は,各顧客 へ の”予

定’到着時間 を a = (ao ,

al,…

,a[N ,1,a1N .i+ 1)で 表 す・時

間枠 ペ ナル テ ィ 期待値 を求める問題は,こ の 予定到着

時間 a を決定す る問題 と も言 え る.こ こ か らは,定 式

化 を行 う上 で,積荷を 取 りに デ ポ に戻 る前 と後 で 分 け

て考える.具体的に は,顧客 Or (u)で 積荷 を取 りにデ

ポ に 戻 る と仮定 し て , 配 送開始か ら顧客 σ r (”− 1)ま

で と , 顧客 σ. (u)か ら配送終 了 ま で に分けて 考 える .

 配 送開始か ら顧 客 Or (u − 1)ま で は 不確実性 の 影響

を受けな い の で , 時間枠ペ ナル テ ィ は 不 確実性 がない

場合 と同様 に 以下 の よ うに 表 され る.

ロ−1

Σ鳥   (ak )k=0

(10)

 一

方,顧客 σ r(の か ら配送終 了 ま で の 時間枠 ペ ナ

ル テ ィ は ,積 荷 を取 りに デ ポ に 戻 る顧 客 の 地点 に 影

響 を受 ける.こ こ で ,以下 の よ うに記号 を定義す る.

顧 客 Or (u)で積荷を取 りに デポ に 戻 っ た 場合 の 顧客

砺   (k == 彦,配 十 1

}_

,[Nrl 十 1)へ の 到着 時間 を 聯 顧

客 σ r(u )か ら 砺   まで の 時間枠ペ ナ ル テ ィ の 和 の 最

小値を表す関数を 8客  (α診 とす る.特に ド 配送終了

で の デポ へ の 到 着時間 を 鮖 で表わ し,顧客 σ r (の か

ら配送終 了 ま で の 時間枠ペ ナ ル テ ィ の 和 の 最小値を表

す 関数 を gU(bu)で 表 わす.

 次 に ,具体的 に 関数 8霧  (α診’と gu(bu)を求 め る方

法 を示 す ,問題 定義よ り,積荷 を 取 り に デ ポ に 戻 る 回

数 の 上 限 は 1回 なの で ,1度積荷を取 りに デポ に 戻 る

と今後途中で デポ に 戻 るこ と は考慮 しな くて よい .し

た が っ て,g告  (a#)お よ び gU(bu)は 式 (6)を 用 い る と

以下 の 式 (11)で求め られ る.

8客(u )(a髪)= f・ r(の 

9霧(k+1)(曜+1)= 騒 1  + ・〕(αZ+1)

     +

御 ぺ曝睡 隅

9姻 (a:) (11)

       (k = κ,u + 1…

,IN,1)ガ(わの=8各,(iN,1+1〕(

α侮1+1)

 式 (ID よ り gu(bu)が 求ま り,式 (7)と 同様に時間枠

ペ ナ ル テ ィ は 以 下 の よ う に お く こ とが で き る,

min’8

μ

(b. ) (12)

 ま た,式 (8)と 同様 に 8齠

侮 )の 最 小値 を求 め ると

bu(= α勧+ 1)の 値 が 決定し,さ ら に (9)と 同様 の 処理 を

行 うこ とで 自動 的 に す べ て の a廷(k ・= INrl, [N .1− 1_

,u )

の 値は 決定す る.した が っ て , 各顧客 へ の 到着時間 α躄を求 め る に は配送終 了 時間 buの み を決 め れ ば よ い .た

4工一

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k、

3224 時 間枠 と不確 実性 を同 時 に 考慮 した 配送 計 画 問題 の モ デル 化 と解法

だ し,恥 に は 範囲 の 制約 が あ り,そ の 制約 は 式 (13)で

表 され る.こ こ で の te,(u )

は顧客 Or (u)で積荷を取 り

にデポ に 戻 る場合の ロ ス する 時 間を表し て い る .

          [N ,[+ 1

b・ ≧au −1÷ Σ ・

。r(k−・),。 r (k)+ も(。) (13),          k=u

式 (13)の 右 辺 は ,顧 客 σ r(u)で 積 荷 を取 りにデポ に

戻 っ た場合 に おけ る 可 能な最短の 配送終了時間を意味

し て い る .

 以 上 の 式 (10),(12)よ り,時間枠 ペ ナ ル テ ィ 全体は

以 下 の 式 (14)で 表 され る,

u −1

Σ鳶   (ak )+ min8”

(b 。)k;O

(正4)

 ま た,同様 の こ と を積荷を取 り に デポ に戻 っ た地点

で あ る 顧客 σ .(u)(u = 1,2

,一.

,囚.1+ 1)ごとに 考 え る ,.こ の と き , 時間枠 ペ ナ ル テ ィ期待値を求 め る 問題 は ,

式 (13),(14)と問題 (5)の 制約条件 よ り以下の 問題 (15)

と し て 定式化 され る.

  智{呵 磊蘇 ・(・・)・ … g・

(・・))}s.t.α0 = ・ Oak

+ 1 ≧ak + t(Tr  ,σ.(k+1)

(k = 0,1

,_

,11Wl)          岡 + l

bu≧au− 1+ Σ (t。 ,(・−1),e,(k))+t3.(。)

          k=a

(u =1,2

,_,INr[十 1)

σ1醐 + 1=b「醐 + 1

(15)

た だ し,blN,i+1 は 1度 も積荷を取 り に戻 らな い 場合

の 配 送終 了 時間 を意味 し て,alN,1+1 = blN

,F+ 1 が成 り立

っ ,さ らに , u : i1W1+ 1の とき min81 醐 +1(blN.1+1)=

fer(1醐 +1>(aiN,i+ 1)が成 り立っ .問題 (15)の 変数 は a =

(ae ,al

・…

,alN

,1・alN,1+ 1)と b ニ (bl,…

,み1醐 + 1)で ある が ・

変数 4 が決ま る と制約式 (13)よ り, b の 範囲が決ま り,

Mingu (bu)(u = 1,2,...,INrl十 1)の 値が求ま る の で ,  b

の 値も自動 的 に 定ま る.し た が っ て , 実質の 変 数 は a

の み で あ る と考え られ る.次で , 時 間枠ペ ナル テ ィ期

待値 を求 める問題 (15)の 解 法を述 べ る.

  ・時悶枠ペ ナ ル テ ィ 期待値を求める問題 の解法

 問 題 (15) 中 の 関数 ノ や gu に は 凸 性 な ど の

特 有 の 性 質 が あ る とは 限 らな い 上 に ,変数 a =

(ao ,al

,_ialN

,1、alN ,1+ 1)は互 い に独立な変数で は ない の

で,こ の 問題を厳密 に解 く こ とは難 しい .そ こ で ,こ

こ で は探索範囲を絞 り込み,局所探索をする こ とで 近

似解を求め る方法を示す.

 まず,探 索範 囲 を絞 り込 む 方法 に つ い て 説 明す る.

こ こ で , 問題 (15)の 目的関数を

P ・・a ・−

1

響{r・・.・・)(磊紬 … i・ gU・bu・)}                      (16)

とお く と,不確実性 が な い と仮定 した揚合 の 解で あ る

最適到着時間 a = (偽,a・,…,alN.1,alN.1+ 1)を用 い た以下

の 2 っ の 条件 に よっ て a の 探索範囲を大幅 に 絞 り込む

こ とが で きる.

 ・ 条件 1 :Pr(a)は問題 (15)の 目的関数 の 小 さな上

   界値 とな りうる.

 ・ 条件 2 : Σ26f(ak )≧環;af(δk)の と き,  au _1 ≧

  妬一1 とな る au _1(u = 1,_,}Nrl十 1)は探索範 囲か

   ら除外 され る.

 条件 1 は 問題定義 の 「配送車が 配送途 中で デ ポ に 戻

る確率 は 0.5 以下 とする」 よ り導か れ る.「配送車が 配

送途中 で デポに戻る確率 は 0.5 以下 とする」 は,逆に 言

うと 「配 送車 が積荷を 取 りに 1 度 も デポ に 戻 らな い 確

率は O.5以上 」 とな る,す なわち ,「積荷を取 りに 1度 も

デポ に 戻 らない 」 とい う事象 は 高 い 確率 で 起 こ る の で ,「積荷 を取 り に 1度 もデ ポ に 戻 らな い 」 場合 の 結果 は ,

式 (16)の 値にかな り影響を与える.つ ま り,「積荷を取

りに 1度 もデポ に戻らない 」 場合 の 時間枠 ペ ナ ル テ ィ

が小 さい とき,式 (16)の 値 も小 さ くなる可 能性 が高

い .こ こ で ,「積荷 を取 りに 1度 もデ ポ に戻 らな い 」 場

合 と不確実性 がな い と仮 定 した場 合 とは同 じ意味な の

で ,そ の とき の 最適解 a = (∂O ,∂1,

_,∂IN.1,∂」醐 + 1)を用

い た場合 の Pr(a)は,小 さくなる可能性 が 高 い こ とを

意味 して い る.こ の と き,a = (ao,∂1,_

,∂IN,L,∂IN,1+1)

は 暫定解と見なす こ とがで き る の で ,p 厂(a )≧pr(a)を

満 た す a は探索範囲 か ら除くこ とが で き る,以上 よ り,

条件 1 が言 える.

 条件 2 は,式 (16)よ り,£ ::if

(ak )≧Σ琵:6f(ak)か

つ au_1 ≧ δ. _1 の と き Pr(a)≧ Pr(a)が 成 り 立 っ こ と

を証 明すれ ば よ い .こ こ で ,顧客 a ,(u − 1)へ の 到着

時間が a。− 1 か ら a 。_1 へ 変更 した と仮 定する .条件 2

の 前提 よ り,式 (16)の 括弧中 の 前項は 環=1f (ak_1)≧

Σ:=if (ak_1)を満たす.ま た , 式 (16)の括弧中の 後項

に つ い て 考 え る.au_1 ≧ ∂。 _1 が成 り立 つ とき , 顧 客

σ r (u − 1)へ の 到着時間が 亀_1 か らau _1へ 変更した と

きの buの 範囲 は , 明らか に 狭 くな る こ とが式 (13)よ り

わか る。こ の こ とは ∂._1 を au −1 に 変更 した とき,式

(16)の 括弧 中の 後項 は 小 さくな らな い こ とを意味 して

い る.さらに,au−1 ≧a.−1 の ときは , 次 の 顧客 σ ア(u)へ の 到着時 間 au の 範 囲 も狭 くな る の で ,顧 客 ar (u)

以降に訪れ る顧客に お い て も結果が 良くな る こ とは

一 42 一

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時 間枠 と不 確実 性 を「司時 に 考慮 した配 送 計 画問題 の モ デル 化 と解 法 3Z25

あ り えな い .す な わ ち,£ X_if (ak _1)≧環=if (δ胴 )か っ a

。_1 ≧ ∂.

− 1 の とき Pr(a )≧ Pr(a)が成 り立 っ

こ とがわ か る,以 上 よ り,条件 2 が成 り立 っ ,ただ

し,条件 2 は探 索範 囲を絞 り込 む顧客 以前 の 顧客 の

到着時間 が 求ま らな い と使用 で きな い .なぜ な ら,

環:δf(ak )≧環:6 f(δk)の 判定が で きない か らである.

すな わ ち ,条件 2 は探 索 の 過程 で の み 有効な条件 で

あ る.

 こ こか らは ,実際 の 探索法 を述べ る.まず,条件 1よ

り,変ta ak の 探索範囲を以下 の よ うに して 絞 り込む.

こ こ で 、式 (16)に お い て ming”

(bu)= O (u = 1,...

,1Nr l)で ある と仮定 した ときの Pr(a )を pl(a )とお くと,ρ二(a )は

    炸1

誓(      u −1

qar(。)Σ鳶 (k)(ak)      k=O ) (17・

で 表 され る.こ の とき実 際 は ,minge.(IN,1+1)(

bu)≧

O (u = 1,_

,1”,1)な の で ,p;(a )≦ Pr(a )が成 り立 っ .

ま た ,式 (17)は 以下 の よ うに 変形 で きる .

・1ω 一想(f・.・(…(ak ・装1殉 (18)

こ こで ,顧客 σ r (め で の 時間枠ペ ナ ル テ ィfa,  (ak・)の

項 の み を式 (18)か ら抜 き出す.抜き出 し た項を ρ尹(akF )

とす る と, 式 (18)の 項 は すべ て 非負 なの で , p;i

(ald )≦

拷(a )が 成 り立 っ .また,上 述 よ り p;(a )≦ Pr(a),条

件 1 よ り Pr(a )≦ Pr(a)が 成 り立 つ の で ,ρダ(ak ’)≦

Pr(a)が 成 り立 っ .した が っ て ,  p ;’

〔αの ≦ Pr(a)(ld;

0,1,_,iNrl)を満 たす akt が探索範囲となり,それ以外

の 範囲 は 探索範囲 か ら除外す る こ と が で き る.こ の

と き,α岡 + 1 の 探 索範 囲 は 小 さ く な ら な い が ,前 か

ら ao,al

,_,alN.1の 順番 で 局所探索に よ り解を求めて

い けば,alN,1+ 1 の 値 は最後 に 自動的に決 ま るの で 範 囲

を絞 り込む必要 は ない ,次 に,絞 り込 ま れ た 範 囲内で

ao ,al ,_,alN .1+1 の 順番 で 到着時間を決 め る.こ の とき,

変数 ak (k = O,1

,...

,alN

,1+1)は そ れ ぞ れ離散的 に 取 り扱

い ,制 約 条件 ak ≧ ak− 1 + t6,(k_1),(η 

と 条件 2 を満 た

す ak を 1 っ 決定す る.こ れ を k =1,_,12>ll+ 1の 順番

で 行 うこ とで ,1 っ の 解 を求める こ とが で きる.こ の

と き,探索前に探索範囲 を 十分 に絞 り込 ん で い る の で

局所探索で も十分小 さな解が求ま る可能性 は高 い ,そ

こ で,こ こ で は制約条件 ak ≧ ak _1+ t(碓 _1),

o.(k)と条

件 2 を満た す よ うに 局所探索を行 うこ と で い くつ か解

を求め て,そ の 中 で 目的関数値が 一番小 さな もの を解

とす る.これ に よ っ て , 時間枠ペ ナ ル テ ィ期待値を求

め る こ とが で き る.

 以 上 よ り ,ル ー ト r の 予定配送距離,積荷を取 りに

デポ に 戻 る距離の 期待値 , 時間枠 ペ ナル テ ィ 期待値を

求め る こ と が で き,配送費用を計算す る こ とが で き る,

 次 章 で は,実 際 に 配 送 計 画 を 求 め る 方 法 に つ い て 述

べ る.

4.配送計画問題の 解法

  4・1 配送計画 問題 の 定式化   配 送計画 問題 は し

ば しば集合被覆問題 で 定式 化 され る(11).本 論文 に おけ

る集合被覆問題 は、実行可能なルー

トとそ の ルー

トの

配送 費用が与 え られ たとき,すべ て の 顧客をカ バ ーす

る よ うに い くつ か ルー トを 選 び ,選 ば れ た ル

ー トの 配

送費用 の 総和 を最小 に す る 問題 で ある.こ こ で ,ai,r

は ルー トr が 顧 客 ゴを通 る と き 1,通 らない と き 0 を

とる.Xr は 決定変数を 表 して い て,ルー ト r が 実行 さ

れ る 配送計画 に採用 され る と き 1,採用 され な い とき

0 を とる もの とする .こ の とき,本論文 に お け る 配送

計画 問題 は 以 下 の よ うに 定式化 され る .

min ΣC・訂 (・)X ,

    r∈R

・・t・Σ偽 両 ≧ 1 ∀’∈ N    r∈ R

  Xr ∈ {0,1}  ∀r ∈ R

(19)

 問 題 (19)の 目的関数 は 配 送費用 の 合計 の 最 小 化 を

意味 し て い て , 制約条件は 配送車は各顧客を少な く と

も 1度は訪れ る こ とを意 味 して い る.

 4・2 列生成法 を用 い た解法   集合被覆 問題 (19)

をそ の ま ま解 こ う と し た 場合 に は , 事前 に 全 て の 実行

可能 ルー

ト r ∈ R (oc’、r)を列挙 し なけれ ばな ら な い .だ

が ,全て の 実行 可 能 ルー

トの 列挙 は 手 間が か か る 上 ,

実行 可能 ルー トの 数 が 莫大 に なっ た 場合 に は ,集合被

覆 問題 (19)を解 く こ とも困難 にな る.そ こ で ,本論文

で は 列生成法 に よっ て有望な実行 可 能ルー

トの み を効

率的 に 見っ け る 方法を用 い る〔13).

 まず,い くつ か の 実行 可 能 ルー

トの集合 Ro を生成

し て ,R ’= Ro とす る ,こ の とき,集合被覆 問題 (19)

の R を R ’

に 置き代 え た 問題 を (19’)と す る と,問題

(19’)が 実行可能解 を持 っ よ うに Ro は与 え なけれ ばな

らな い .列 生成法 は,こ の 実行可能ルー ト集合R ’

を効

率的 に拡張 して い く方法 で ある,次 に,そ の 問題 (19’)

に対 し て線形緩和問題 (19”)を作成す る,そ し て , そ

の 線形緩和問題 (19”

)か ら以下 の 双対 問題 を導 く,こ

の とき,Zi は双対変数 を表す.

m ・x ]E) ”i    i∈N

・・t’Σ偽 西 ≦ c・ st (・) ∀・ ∈ R ’

    i∈N

   乃 ≧ 0       ∀i∈ N

(20)

一 43 一

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3226 時間枠 と不確実性 を 同時に 考慮 した 配送計画問題 の モ デ ル 化 と解法

 問題 (20)の 最適解を 毎 とする と,有望な実行可能

ル ートを 見 つ け る た め に 次 の 問題 を解 く.

      卿 {c ・st (r )一景幅 }  ・21・

 以後,閙題 (2D は ルー

ト生成問題 と呼ぶ.ルー

生成 問題 にお い て 最適解 i が求ま っ た とす る.こ の と

き ,ルー

ト生成問題 の 目的関数値 cost の一Σ偽 西 は

                                    i∈N

線形緩和問題 (19”)に おけ る ル

ートf(変ta x ア)の 被 約

費用 を意味 して い る.すなわち,cost (」) 一

Σ αら轟 が                                    i∈N

負 の 値に な る揚合は ,線形緩和問題 (19”

)の ル ー ト集

合 R’

に ルー

ト F を追加 し て解き 直す と解が改善 され

る こ とを意味 して い る .さらに , 線形緩和問題 (1g”)

の 解が改善 され る とい うこ とは,集合被覆 問題 (19’)

の 解 もルー

トア を追加す る こ とで 改 善 され る 可 能性が

あ る こ と を 意 味 して い る.した が っ て ,ルート生 成問

題 の 目的関数値が 負に なる よ うなルー

トf を見つ けれ

ば,その ルー トは集合被覆問題 (19

’)を改善 し うる有

望 な ルー トで あ る と言 え る.以 上 の よ うに し て 見 っ け

たル ー ト f を線形緩和問題 (19”

)の ル ート集合 R に 加

え て 同 じ工程を繰 り返 すこ とで有望なルー トを発見 し

て い く.そ して ,ル ート生成問題 の 目的関数値が 負に

な る ル ートが見つ か ら なくな っ た 時点 で繰 り返 し を止

め て ,そ れ ま で に 拡 張 したルー

ト集合 R ’で集合被覆

問題 (19’)を解 く こ とで解 を求 め る.こ の 一連 の 流 れ

を図 1 に示す.

Fig. 1  The  flow。f colu   gcnemdon

 図 1 の 列生成法 の 流れ の 中で , 線形緩和問題 , 双 対

問題 ,集合被覆 問題 は 比 較 的扱 い や す い 問題 なの で ,

ソ ル バ ーな どで 解 を求 め る こ とが で き る 問題 で あ る

が,ルー

ト生成 問題だ けは , ソル バ ーな どを適用する

こ とが 難 し く解きに くい 問題 で ある.そ こ で ,次節 で

は ルー

ト生 成問題 の 解法 につ い て 述 べ る.

 4・3 ルー ト生成問題の 解法   ルー ト生成問題 は,

ルー

トを見 つ け る問題 なの で , あ る種の 最短経路問題

  と見 なす こ とが で きる,とこ ろが,ルー

ト生成問題 は

  負 の 閉路を作 る 可 能性 が あ る の で ,容易 に 解 くこ と は

  で きない .そ こ で , 最短経路問題 で 用 い る ラ ベ リン グ

  法 を応用 した近似解法 を提案す る.提案解法にお い て ,

  ノー

ド(顧客)はそ の ノー ドに 至 るまで の ル ー トを複数

  保持す る,こ こ で,ノー

ドiに お い て 複数保持 した 々番

  目の ルー

トを鍔とする.こ の とき,ルー

ト鍔の 目的関

  数 (21)を ノー

ドiの 北番 目の ラベ ル F (酵)と し て 保持

  す る.目的関数 (21)の 前項は,3章で述 べ た 「配送費用

  の 計算方法 」 で 計算で き,後項はルー

トが 決まっ た時点

  で 計算 で きるの で ,ラベ ル F (跨)は ルート酵が決ま る

  とす ぐに 求 め る こ とが で きる.また ,k 1,まラベ ル の 小 さ

  い 順に割 り振られ て,1つ の ノードが 保持す るルート数

  を 1 とす る と,必 ず F (錯)≦F (部+ 1

)(k = 1,2

,_

,1− 1)

  が成 り立 っ て い る とする.以上 の 条件 の 下 で,ル ー ト

  を伸 ば して ノー ドの ラ ベ ル を更新す る こ とで 最短経路

  を求 める,ただ し,ルー

トを伸ばす際 に す で に ルー

  に含まれて い る ノードへ は 行 か な い よ うに す る ,また ,

  ノー

ド番号を 1,2,_,n とす ると , ノー

ド番 号 1は ソー

  ス ノー

ド,n は シ ン ク ノー

ドを意味す る.以 下にルー

  ト生 成 問題 の 解法 の ア ル ゴ リズ ム を示す,

   ルー

ト生成問題 の 解法 ア ル ゴ リズム

StepO : 各 ノー

ドが 保持す るルー

トの 数 」を設定す る.

    51 = (1,り, σ= 2,3,_

,n )と し て ,

 F (sl)を求 め る,

    また,それぞれ以下 の よ うに設定す る,

    F (StT )= co ,(i= 2,3

,_7n ,k = 2

,3

,._

,1)

    ’= 2,ノ= 2 ,k = 1

Stepl: も し ,ル ー ト StJに ノー ド 〜が 含ま れ て い れ ば ,

    Step4へ そ うで なけれ ば,  Step2へ

Step2: ルー

ト 31 が ノ ー ド i に 伸 び た 場 合 の ラ ベ ル

    F ’

(S,e

,i)を計算する .も し , F ’

(琢りく F (31)な

    ら Step3へ そ うで ない な けれ ば,  Step4へ

Step3: ノー

ド ’の ラ ベ ル か ら F (31)を外 し て ,新た に

    F ’

(SJe,i)を加 え 6..ノー

ド ’に おけ る ラ ベ ル の 順

    番 々をラベ ル の 小 さい 順 に振 りなお して Step4へ

Step4 : も し,ノく n − 1 な ら,ノ=ノ+ 1 と し て Steplへ

    そ うで な ければ , ノ=2 と し て Step5へ ,

Step5 : も し,  k 〈 tな ら,k =   k+ 1 と して Step1.そ うで

    なければ,k =1 と し て Step6へ ..Step6: も し,  i〈 n な ら,

i=i+ 1 と して Step工.そ うで な

    ければ,i ・ 2 として Stcp7へ.

Step7 : ラ ベ ル F (31)が 1 っ も更新され て い なければ,ア

    ル ゴ リ ズ ム を終了す る.そ うで なけれ ば , Step1

      へ ,

以 上 の ア ル ゴ リズ ム 終了後 の ラベ ル F (sl)が ルー

一 44 一

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時 間枠 と不 確 実性 を同時 に 考慮 し た 配送計画 問題の モ デ ル 化 と解法 3227

生成問題 の 目的関数値を表 し て い て ,sAが そ の ルー

を 表 し て い る .すなわち,図 1 の 流れ に 従 っ て ,F (sA)

が負 の 揚合には ,ルー

トsLをルー

ト集合 R ,に加えて ,

線形緩和 問題 (19’)に戻 る.また,F (S鳬)が 非負 の 場

合 に は,繰 り返 し を止 め て ,それ ま で に 列挙 し た ルー

ド集合 Rt で 集合被 覆問題 を解 く こ とで 最終的な配送

計画 を求 める こ とが で きる.

Table l Travel cost (Type  C )

5.数  値  実  験

ProblemAverage  modelProposed  mode1

C101 1214.72 1054.29C102 1120.92 1028.76ClO3 1097 .34 1068.29

C104 1080.45 1063.96C105 1080 .19 1023 .70

Table 2 Travel cost (Type R)

 数値 実 験 に は ソ ロ モ ン の ベ ン チ マーク問 題

(14)の タ イ

プ C の 5 題 と タ イ プ R の 5題 を使用す る.特に タ イ プ

C の すべ て の 問題 は時問枠以外は 全 く同 じ問題設定 と

な っ て い る.ま た ,ソ ロ モ ン の ベ ン チ マ ーク 問題 は 顧

客の 需要 量 が確定 して い る場合の 問題 で あ る.そ こ で ,

本実験 に お け る 各顧客の 平均需要量をベ ン チ マー

ク問

題 の 需要量 とす る.さらに,各顧 客 の 需要量 の 標準偏

差は , 平均需要量 の 0 か ら 3分 の 1倍 の 範 囲で一

様乱

数によ り発生 させ る.また ,ソ ロ モ ン の ベ ン チ マーク

問題 は 顧客 ご とにハー

ドタ イ ム ウィ ン ド ウ [βi,別 が 設

定 され て い る の で,本実験 で は そ の タイ ム ウィ ン ドウ

を用 い て 以下 の よ うな ソ フ トタ イ ム ウ ィ ン ドウを設定

す る.

据 一 {1:1:灘 ・ li (22)

式 (22)の ω は傾き の 大き さを意 味 し て お り,本実験

で は ω = 10 と設 定す る .また , 到 着時 間 τ の 上限 は

7i+ 50,下限は β,− 50 とする.さらに ,実際に 列生成

法の 流れ (図 1)に従い 解を求め る際に解か なければな

らな い 双 対問題 お よび最後 の 集 合被覆問題 は 数理計画

ソル バ ー GLPK (GNU  Linear Prograrr皿 ing Kit)

(15>を 用

い て 解 を求 め る.

 本 実験 で は ,本論文 の 提案モ デル と需要量を平均値

に 固定 した モ デ ル (以下,平均 値 モ デル )の 結果 を 比較

す る.さら に ,時間枠ペ ナ ル テ ィ期待値を求め る際に

用 い た 条件 1 と条件 2 に よ っ て 除くこ とが で き る探索

範囲 の 割合を 問 題 ごと に 求 め て,探索範囲 が 大幅 に 小

さくな っ て い る こ と を確認する,

 5・1 平 均値モ デ ル と提案 モ ヂ ル の 比較結果   そ

れ ぞ れ の モ デル に お け る配送費用 の 比 較結果 をタイ プ

C,R ご とに 以下 に 示す.ただ し,配送費用 にお ける

時 間枠 ペ ナル テ ィ 期待値 の 重みは w =1 とす る,

 表 1 の タイ プ C の 問題 に お い で は ,すべ て の 問題 で

提案 モ デル の 配送費用 の 方 が 小 さ くな っ た ,ま た,平

均値モ デル で 求め られ た配送計画はすべ て の 問題 に お

い て 同 じ配送計画 とな っ た.表 2 の タイプ R の 問題に

ProblemAverage  mode 互 Proposed  mode1

RlOl 1644.82 1645,38

R102 1477.48 1477.48

R 正03 1232.95 1233,22

R104 1059.08 1053.81

R105 1387.90 1372.88

お い て は ,問題 R101,  R103 は平均値モ デ ル の 配送費

用が小 さく,問題 RIO4,  RlO5 は 提案 モ デ ル の 配送費

用が小 さくな っ たが,各問題 に お い て モ デ ル 間 で 配送

費用 に 大 きな差 は 出な か っ た .

 次に,配送距離 と時間枠 ペ ナ ル テ ィ の 予定か らの 増

加 量をモ デル 間 で 比較す る.配送距離 と時間枠 ペ ナ ル

テ ィ の 予定 か ら の 増加 量 と は,積荷 を 取 り に 1度 もデ

ポ に 戻 らな っ た 場合の配送距離と時間枠ペ ナ ル テ ィ か

ら の 増加量 を意味 して い て ,配送計画全体 が不確 実性

の 影響を ど の 程度受け た か の 指標 に な る.まず,表 3,

表 4 で 問題 タイプ C にお い て 比較す る,

Table 3  The increment of  the travel distance  and  the

     time window  penalty〔Type C :Average model )

ProblcmTravel  distancc  T  ewindow  penaltyC101 175.34 210.45C102 175.34 116.64C103 175.34 93.06

C104 175.34 76,17C105 175.34 75.91

Table 4  皿 1e increment  of  the travel  distance  and  the

     time  window  penalty(][ンpe C :Proposed  model )

ProblemTravel  distanceTime  window  penaltyC101 050 5.49

C102 14.36 0.05

C103 15,84 3.63C104 13.96 0.05

C105 0.37 0。00

 表 3 よ り,平均値モ デ ル は 配送距離 時間枠ペ ナ ル

テ ィ とも に 大き く増加 して い る の で ,不確実性 の影響

を大 き く受 け て い る こ とが わ か る.一方,表 4 よ り,

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3228 時間枠 と不確 実性 を同時 に 考慮 した配送 計 画 問題 の モ デル 化 と解法

提案モ デル は 平均値 モ デ ル に比 べ て 配送距離,時間枠

ペ ナ ル テ ィ ともに大 幅に小 さい の で ,不確 実性 の 影響

は あま り受け て い な い こ と が わ か る,次に,表 5,表

6 で 問題 タイ プ R にお い て比較す る,

Table 7  The rate  of  elimination  of  search  space

Table s  The  increment  of  the travei  distance  and   the

     恒me  window  penalty(丁ソpe R :Average mode1 )

ProblemTravel  distanceTime  window  penalty

R101 0,00 0,00

R102 0.00 0.00R103 0.00 0.00RlO4 0.38 0.80

R105 α00 0.00

Table 6  The  increment of  the travel distance  and  the

     time window  penalty(Type R :Proposed model )

ProblemTravel  distanceTime  window  penaltyRlOI 0.00 0.00RlO2 0.00 0.00

R103 0,07 2.02RlO4 0.40 0.99

R105 0.00 0.00

 表 5,表 6の 両方に お い て , 配送距離 , 時間枠ペ ナ

ル テ ィ とも に 小 さな値に なっ たの で , どち らの モ デ ル

も不 確実性 の 影響は あ ま り受 け て い ない こ とがわか る .

 以上よ り,不確実性 の 影響を大 きく受 け る よ うな問

題 に 対 して は提案 モ デル が有効 に 働 くが , も ともとあ

ま り不 確 実性 の 影響を 受 けな い 問題 に 対 して , 提案 モ

デ ル はあま り効果がな い こ とがわか っ た.

 5・2 時間枠ペ ナ ル テ ィ 期待値最小化問題に おける条

件 1,「条件 2 の 検証   こ こ で は,3・3・2 節 の 時間枠ペ

ナ ル テ ィ 期待値 を求 める際 に用 い た条件 1, 2 によ っ

て 探索範 囲をどの 程度小 さくす る こ とが で きるの かを

検証する.具体的に は,条件 1 に よ っ て 探索範囲全体

の うち何割を探索範囲 か ら除外 で きるか を求め て ,さ

らに,探索 の 過程で条件 2 を用 い て,残 っ た探索範囲

うち何割 を除外 で き る か を求め る.最後に条件 1 と条

件 2 の 両方を用い た 場 合に 全体の 何割を探索範囲 か ら

除外 で き る か を求 め る.

 表 7 よ り,条件 1 に よっ て 探索範囲の 4 割か ら 9 割

程度除外 で き て い る こ と が わ か る.ま た ,条件 2 で は

残 っ た探索範囲 の 5割か ら 8割程度除外 で き て い る こ

とがわか る.さ らに,条件 1 と条件 2 を用 い た場合 に

全体 で は,8割 か ら 9割程度 は探索範囲 か ら除外 され

た.こ の 結果 よ り, 条件 1 と条件 2 を用 い る と探索範

囲を 1 割 か ら 2割程度に絞 り込む こ とが で き , 探索が

よ り容易 に な る こ とが 確 か め られ た,

6.お  わ  り  に

 本論 文で は,時間枠 と不確実性 を同時に考慮 した配

送計画問題の モ デル 化 と解法を提案し た ,そ の 際,目

的関数 を 配 送費用 の 最小 化 と した .配送費 用 の 構成要

素は 「予 定配 送距離」,「積荷を取 りにデポ に 戻 る距離

の 期待値」,「時間枠ペ ナ ル テ ィ 期待値」 と し て ,そ れ

ぞれ の 計算方法 を示 した.特 に,時 間 枠 ペ ナ ル テ ィ 期

待値の計算 に お い て は , 優れた到着時間を求 め る た め

に定式化 を行 い, そ の 解法 を示 した,また,解法 の 中

で 新たな条件 を提案 して ,解 の 探索範囲を大幅 に小 さ

くする こ とが で きた.さらに , 配送計画問題 を集合被

覆問題 で 定式化 して,列生成法 を用 い て解を求めた.

そ の 際,列生成法 における部分問題 で あ るルー

ト生成

問題 にお ける解法 を提案 し た.数値 実験に お い て は ,

提 案モ デル と需 要量 を平均値 に固定 した モ デル を比較

して ,不確実性 の 影響 を受 け る 問題 に対 して 提案 モ デ

ル が より有効である こ とを調 べ た,さらに,時間枠 ペ

ナ ル テ ィ 期待値を求 め る際 に新 た なに提案 し た条件 に

よっ て解の探索範囲を大幅に 小 さくで きる こ と を確認

した .

文 献

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時 間枠 と 不確 実性 を同時 に 考 慮 し た 配送 計 画.問題 の モ デ ル 化 と解法

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