m2(327―20)e5%9b%bd%e8%aa%9e%e2%91%a1… · 2020. 5. 14. · 一 次 の 文 章 を 読 ん...
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令
和
二
年
度
学
力
検
査
問
題
国
語
�(教育学部)前期日程
(問題紙
一〜十八ページ
別紙解答用紙枚数
一枚)
解答時間
一〇〇分
注
意
事
項
一、試験開始の合図があるまで、この問題冊子の中を見てはいけません。
二、本冊子のページ数は右に示したとおりである。落丁、乱丁、印刷不鮮明の箇所などがある場合は申
し出ること。
三、解答はすべて別紙解答用紙のそれぞれの解答欄に記入すること。
四、解答用紙の指定された欄(二箇所)に、忘れずに本学の受験番号を記入すること。
五、試験場内で配布された問題冊子は試験終了後持ち帰ること。
◇M2(327―20)
一
次の文章を読んで、後の設問に答えなさい。(*は本文の後に注があることを示す。)
◇M2(327―21)― 1 ―
著作権の関係上︑公表しない︒
◇M2(327―22)― 2 ―
著作権の関係上︑公表しない︒
◇M2(327―23)― 3 ―
著作権の関係上︑公表しない︒
◇M2(327―24)― 4 ―
著作権の関係上︑公表しない︒
(若松英輔『生きる哲学』より。出題に際し原文の一部を省略した。)
〔注〕
*恩寵=
慈しみ。恵み。
*法悦=
うっとりとするような喜び。
*花瓣=
花弁。花びら。
*造化の神=
天地の万物を創り出し、それを育む神。
◇M2(327―25)― 5 ―
著作権の関係上︑公表しない︒
問一
X
に当てはまる最もふさわしい文を、次の選択肢の中から一つ選んで、その記号を記しなさい。
ア
事象は実在してもしなくても必ず認識される
イ
事象は実在することで過不足なく認識される
ウ
事象は認識されなくても実在する
エ
事象は認識されることによってはじめて実在となる
オ
事象は認識されるだけでは実在とはならない
問二
傍線部「ゲーテにとって色は、何事かを語る自然のコトバだった」とあるが、ここで言う「自然のコトバ」を言い換えて
いる語句を、本文中から一〇字以内で抜き出しなさい。
問三
傍線部「手で自然の「声」を聴く」とは具体的にはどのようなことなのか、六〇字以内で述べなさい。
問四
傍線部「仕事が仕事する」とはどういうことか、三五字以内でわかりやすく説明しなさい。
問五
この文章の内容からわかる、ゲーテと志村ふくみの色の認識についての共通点を、五〇字以内で述べなさい。
◇M2(327―26)― 6 ―
二
次の文章は、古井由吉「春の坂道」の一部であり、語り手が同窓会の会場へ続く長い坂をのぼりながら、八十歳前である現在
の視点から、自身が四十代なかばに経験した坂にまつわるエピソードを回想する場面である。これを読んで、後の設問に答え
なさい。(*は本文の後に注があることを示す。)
◇M2(327―27)― 7 ―
著作権の関係上︑公表しない︒
◇M2(327―28)― 8 ―
著作権の関係上︑公表しない︒
◇M2(327―29)― 9 ―
著作権の関係上︑公表しない︒
◇M2(327―30)― 10 ―
著作権の関係上︑公表しない︒
(古井由吉「春の坂道」より)
〔注〕
*面妖=怪しいこと。
*衆生=
仏教の言葉で、一切の生物のこと。ここでは「大勢の生き物」の意。
*諧謔=
面白く気の利いた言葉。
*御破算=
今までのことをすっかり捨てて、元の何もない状態に戻すこと。
*頓狂=
慌てて間が抜けていること。
問一
a
〜
e
のカタカナを漢字に改めなさい。
問二
波線部ア〜オの「老人」のうち、指示している対象が異なるものを一つ選んで、その記号を記しなさい。
問三
傍線部で「追い抜いて行きませんか」と中年の頃の語り手は問いかけているが、この問いに対して現在の語り手はどの
ような答えを見出しているか。本文中の語句を用いて四〇字以内で述べなさい。
問四
傍線部に「一人にして衆生でもある」とあるが、そう言えるのはなぜか、六〇字以内で述べなさい。
◇M2(327―31)― 11 ―
問五
次に示すのは、この文章に対する批評文である。空欄
X
〜
Z
に当てはまる最も適当な語句を、本文中
からそれぞれ五字以内で抜き出しなさい。
この文章における「坂」には、語り手が実際に歩いている「長い坂」や、路上に花びらが散った「
X
」といった
意味のほかに、死者たちが死後の世界へと導く「
Y
」や、青年から中年、初老といった年齢の積み重ねを感じ
ひ
ゆ
させる「
Z
」といった比喩的な意味がある。
◇M2(327―32)― 12 ―
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三
次の文章は、ある男の出家に関する説話である。これを読んで、後の設問に答えなさい。(*は本文の後に注があることを
示す。)
常陸国に、いふかひなきあやしの男ありけり。春にて侍りけるなめり。田耕しになんまかれりけるに、例よりもげに*すきい
め
りぬべく覚えければ、まだ日も暮れなくに、家に帰り来にけり。妻なりける女、「いかに」ととがむれば、「さればこそ。今日
はいかに侍るやらん、物の食ひたくて、弱々しく覚ゆれば来たるなり。何にても物用せよ。食はむ」といふ。この女、思はず
た
に気憎く答へて、「さらば、火吹きて焚きつけよ」といふ。男、火を吹きけるに、えなん吹きつけで煩ひけるを、この女、「あ
か
た
い
は
な憎の*乞丐や。不覚の者は」とて、履物して顔をふみたりける。この男、とばかりためらひて、やをら這ひ隠れぬ。
さて、者してここかしこ尋ねけれど、さらになし。人々も聞きあやしむほどに、年半ばかり経て、隣の里の者、なすべき事
ありて深き山に入りたるに、この男、おのづから行き遇ひぬ。「あなあさまし。いましけるは」といへば、「その事なり。しか
おこ
しか妻の女の当たり侍りしに、*道心の発りて。物欲しと思ひて頼みて来たるかひもなく、*はけはけと当たりしに、まして、*し
のが
たる事もなくて、あの世にて鬼に面ふまれん事こそ、悲しくあぢきなけれ。しかじ、早くかかるうき世の中を遁れて、*後世と
らむと思ひて、やがてなん走り出でにしなり。さて、鎌を腰に差したりしをもちて、てづから髪を切り捨てて侍る。僧に会ひ
かんぞり
そ
て、剃刀して剃らばやと思ふなり。必ず僧具し聞こえておはせ」とぞ言ひける。さて、「食ひ物は、折にふれて木草の実ある
たた
を、石などにて打ち叩きて食へば、全く飢ゑに臨む事なし。折にふれつつ、風の吹き、木の葉の変はり行くを時にて、楽しみ
身に余りて覚ゆるなり」とぞ言ひける。
さて、里に行きて、そのよしを言ひければ、人々集まりて、僧あひ具して行きぬ。頭剃り、戒たもちなどして、麻の衣、や
け
さ
うやうの物、袈裟など用意したりければ、よよと装束きて、やがて奥ざまに行き隠れぬ。さまざま食ひ物など持たせて行きた
りけれども、ふつに目も見入れず、人にもなにくれと言ふ事なし。
◇M2(327―33)― 13 ―
その後、年ごろありて、人に一二度遇ひたりけれども、鳥などのやうにて、近くも寄らねば、ものなど言ひ語らふにも及ば
つい
ずとなん。終にはいかがなり侍りにけん。あはれにおぼつかなくこそ。
(『閑居友』より)
〔注〕
*すきいる=
非常に腹が減ってどうにもならなくなる
*乞丐=乞食。ここでは、強く罵る言葉。
*道心=
仏道を志す気持ち。
*はけはけと=つっけんどんに
*したる事もなくて=来世のために功徳になることもしないままで
*後世とらむ=
来世に極楽往生しよう
問一
波線部「僧具し聞こえておはせ」の「聞こえて」「おはせ」について、それぞれ誰から誰への敬意が表されているか。次の選
択肢の中から適当なものを選んで記号で答えなさい。
a
あやしの男
b
妻なりける女
c
隣の里の者
d
僧
e
人々
f
作者
g
読者
問二
傍線部「えなん吹きつけで」、「やがてなん走り出でにしなり」を現代語訳しなさい。
問三
主人公の男が家を出て仏道に入ったのは、どのような出来事からどのようなことを連想したためか、解答欄の形式にあ
わせて説明しなさい。
◇M2(327―34)― 14 ―
ひ
ゆ
問四
傍線部「鳥などのやうにて」という比喩は、主人公の男のどのような状態を表現したものか、四〇字以内で説明しなさ
い。
◇M2(327―35)― 15 ―
��
��
��
四
次の文章は、唐の太宗(第二代皇帝の李世民)が、文徳皇后との間に生まれた子どもを嫁に出す時のものである。これを読ん
で、後の設問に答えなさい。(*は本文の後に注があることを示す。また、設問の都合で、送り仮名を省いたところがある。)
ハ
ノ
ニシテ
ム
フ
しょう
あいヲ
ニ
長
楽
公
主、文
徳
皇
后
所�生、太
宗a
尤
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愛�*貞
観
中、将ス�*出
セント
ニ
シテ
ニ
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ニ
スルニ
ノ
ス
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降�特
勅�*所
司�*資
送
倍�於
長
公
主�*魏
徴
奏
言、「昔
*漢
明
帝
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ノ
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ハク
ノ
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よう
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王�』前史
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ス
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ノ
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ト
ハ
ス
ト
ニ
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ノ
以
為�美
談�天
子
姉
妹、為�長
公
主�天
子
之b
女
為�公
主�既
加�長
ヲ
まことニ
テ
キヲ
ヨリモ
ハ
ドモ
リト
ナル
ハ
カラ
ゆ
えつス
メバ
字�良
以�尊�於
公
主�也。情
雖�有�殊、礼
法
不�可�*逾
越�c
若
令�公
主
ヲシテ
ラ
グルコト
ニ
ハ
ラクハ
ナラン
ハクハ
ヲ
ス
よシト
之
礼、有�過�長
公
主�理
恐
不
可。願
陛
下ハンコトヲト
思�之。」太
宗
称�善。
(呉兢『貞観政要』より)
◇M2(327―37)― 17 ―
〔注〕
*貞観=
太宗の時の元号。六二七年〜六四九年。
*出降=
皇族の子どもを臣下に嫁がせること。
*所司=
係りの役人。
*資送=
出降の支度。
*魏徴=
唐代初期の政治家。
*漢明帝=後漢の第二代皇帝。
*封=
ここでは、領地を与えて王とすること。
*楚・淮陽王=楚王と淮陽王。二人とも漢明帝の兄弟。
*逾越=
越える
問一
二重傍線部a〜cの読みを、送り仮名を含めて答えなさい。(現代仮名遣いでよい。)
問二
傍線部を現代語訳しなさい。
問三
この文章では、魏徴は太宗に、(�)どのような理由から、(�)どういう事をするべきでない、と進言したのか。
(�)は二〇字以内、(�)は二五字以内で具体的に説明しなさい。
◇M2(327―38)― 18 ―