learning assistant

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01 Kansai University Center for Teaching and Learning 関西大学 教育開発支援センター ニューズレター 27 vol. June 2018 2009年度に本学の『三者協働型アク ティブ・ラーニングの展開-大学院生スタッ フとともに進化する“How to Learn”への誘 い-』が大学教育推進プログラムに採択さ れ、LA(Learning Assistant)制度が本格 的に導入されてから、はや9年が経過しま した。その間、LAの員数は運用開始当時 の9倍ほどの規模にまで増加しましたが、 10年の節目を迎える前に、その活動を振り 返るとともに、このプログラムを通 底する 「学習パラダイム」について再考してみたい と思います。 当初はLA自身もLAを活用する教師も、 その活動は授業における学習支援に限ら れると考えていました。しかしながら、LA の活動を学外者に説明することなどを契 機として、学外の様々な行事への自主的参 加、学内新企画の立案と実施、学内外の講 演会等におけるファシリテーション、国内 外の学会での発表や大会運営支援など、 LAの活動内容は広がっています。この多 岐に亘る活動によって得た知識や自信が 大学の授業において学生の学習を支援す るLAの本務の遂行をさらに充実させてお り、彼ら彼女たちは受講生のロールモデル として、大いなる刺激を与える存在になっ ています。 LA制度を着想したのは、教育パラダイム から学習パラダイムへの移行に伴って学生 が大学の主人公となり、その学生と教師と の距離を埋めるのも、やはり学生に違いな いと考えたからです。今、思い起こすと “from teaching to learning”を「教師から 学生へ」というアングルでのみ捉えていた と、気恥ずかしく反省するばかりです。 From teaching to learning”とは“teachingのみを思量していては肝心の“learning”が 達成されないという危機感あってこその発 想なのです。かつては(もしかしたら今で も)“teaching”と“learning”は対を成すもの として捉えられていましたが、 “teaching”の 向こう側にあるのは “being taught” であり、 したがって学生の“learning”を実現するた めには“teaching”に代わる教師のミッショ ンを考えなくてはならない、それがBarr & Tagg(1995)の高らかな宣言の含意だっ たのです。 日本語の「オシエル」の語義に相当する 英語はshow, teach, admonishですが(講 談社「日本語大辞典」)、ここに“educate” は登場しません。「オシエル」の語源には 諸説ありますが、ここでは日本国語大辞典 (小学館)で第一義とされている「戒める (admonish)」から、これを「オサエル」と 捉えることにします。すると“educe”を語源 とする“educate”と「オサエル」を語源とする 「オシエル」が等号では結ばれないことが わかります。教師が“teaching”から脱する とは「オサエル」から「ヒキダス」へと移行 すること、すなわち学生の“learning”に寄り 添 い 、こ れ を サ ポ ート す る た め に “coaching”、 “assisting”を志向してみるとい うことではないでしょうか。 長らく教育パラダイムに浸ってきた教師 が学生の「力」を引き出すべくサポートする のは、さほど容易なことではありません。し かし、LAとして活動する学生の様子を観 ていると、それは決して荒唐無稽なことで はないのだと思量することができます。学 生が教師の後姿に学ぶだけではなく、教 師が学生に学ぶ、学習パラダイムの醍醐味 はどうやらその辺りにありそうです。 LAは近未来の教師の姿 三浦 真琴 教育推進部教授

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CTL Newsletter vol.27

04

本学の授業支援グループに入職して早4ヶ月。

以前は販売の仕事をしていた私にとって、大学で働くことは新しい発見の連続だった。

前職では、対応する相手がお客様で要望には何でも応える、いわば「お客様、第1主義」の世界であった。

しかし、学校では対人の仕事であることは変わりないが、学生・教員は販売でいうお客様ではなく、共により良い教育・授業を行うパートナーであるということ。

教員は授業を行う立場、職員はそれをサ

ポートする立場、そして学生アルバイト(SA/スチューデントアシスタント)もまた、授業をサポートする立場として重要な役割となっている。

始めは、SAの上の立場としてしっかり業務を把握し、新規のSAには教育も必要であるだろうという考えがあり、正直プレッシャーも感じていたが、いざ新学期が始まり授業が開始すると、そんな私の考えはすぐに払拭された。SAも同じ場所で共に働く仲間であるということ。上も下も関係ない。初めての場所でSAから学ぶことがたくさんある。

日々、たくさんの学生や教員が訪れる窓口

の最前線で対応してくれるSAの背中は大きく、とても頼もしいものに見える。

4月の人事異動により、私が所属する2学舎は多くの人が入れ替わった。

SAにとってはそれが不安要素になっていたと思う。しかし、それを感じさせないほど頼りがいのある先輩SAは新規のSAにとっても、2学舎授業支援グループの職員にとっても大きな存在となっている。

きっとここでの経験はこれから社会に出て行くSAにとって大きな財産となるはず。

私にとってもこの場所での経験は貴重なものになるだろうと感じている。    (悠)

rom FCTL事務局

01

Kansai University Center for Teaching and Learning

関西大学 教育開発支援センターニューズレター 27vol.

June 2018

2009年度に本学の『三者協働型アクティブ・ラーニングの展開-大学院生スタッフとともに進化する“How to Learn”への誘い-』が大学教育推進プログラムに採択され、LA(Learning Assistant)制度が本格的に導入されてから、はや9年が経過しました。その間、LAの員数は運用開始当時の9倍ほどの規模にまで増加しましたが、10年の節目を迎える前に、その活動を振り返るとともに、このプログラムを通底する「学習パラダイム」について再考してみたいと思います。

当初はLA自身もLAを活用する教師も、その活動は授業における学習支援に限られると考えていました。しかしながら、LAの活動を学外者に説明することなどを契機として、学外の様々な行事への自主的参加、学内新企画の立案と実施、学内外の講演会等におけるファシリテーション、国内外の学会での発表や大会運営支援など、LAの活動内容は広がっています。この多岐に亘る活動によって得た知識や自信が大学の授業において学生の学習を支援するLAの本務の遂行をさらに充実させてお

り、彼ら彼女たちは受講生のロールモデルとして、大いなる刺激を与える存在になっています。

LA制度を着想したのは、教育パラダイムから学習パラダイムへの移行に伴って学生が大学の主人公となり、その学生と教師との距離を埋めるのも、やはり学生に違いないと考えたからです。今、思い起こすと“from teaching to learning”を「教師から学生へ」というアングルでのみ捉えていたと、気恥ずかしく反省するばかりです。“From teaching to learning”とは“teaching”のみを思量していては肝心の“learning”が達成されないという危機感あってこその発想なのです。かつては(もしかしたら今でも)“teaching”と“learning”は対を成すものとして捉えられていましたが、“teaching”の向こう側にあるのは “being taught”であり、したがって学生の“learning”を実現するためには“teaching”に代わる教師のミッションを考えなくてはならない、それがBarr & Tagg(1995)の高らかな宣言の含意だったのです。

日本語の「オシエル」の語義に相当する

英語はshow, teach, admonishですが(講談社「日本語大辞典」)、ここに“educate”は登場しません。「オシエル」の語源には諸説ありますが、ここでは日本国語大辞典(小学館)で第一義とされている「戒める(admonish)」から、これを「オサエル」と捉えることにします。すると“educe”を語源とする“educate”と「オサエル」を語源とする「オシエル」が等号では結ばれないことがわかります。教師が“teaching”から脱するとは「オサエル」から「ヒキダス」へと移行すること、すなわち学生の“learning”に寄り添 い 、こ れ を サ ポ ートす る た め に“coaching”、“assisting”を志向してみるということではないでしょうか。

長らく教育パラダイムに浸ってきた教師が学生の「力」を引き出すべくサポートするのは、さほど容易なことではありません。しかし、LAとして活動する学生の様子を観ていると、それは決して荒唐無稽なことではないのだと思量することができます。学生が教師の後姿に学ぶだけではなく、教師が学生に学ぶ、学習パラダイムの醍醐味はどうやらその辺りにありそうです。

〒564-8680 大阪府吹田市山手町3-3-35  TEL: 06-6368-1513 FAX: 06-6368-1514 http://www.kansai-u.ac.jp/ctl/index.html

関西大学 教育開発支援センター Kansai University Center for Teaching and Learning

発行日/2018年6月29日 編集・発行/関西大学 教育開発支援センター

LAは近未来の教師の姿三浦 真琴教育推進部教授

外国語学部4年 森山真帆 大きな国際学会に参加した経験は今までありませんでしたが、ISGC2018にアシスタントとして参加したことは私にとって貴重な経験であり、想像以上のものでした。仕事内容は参加者の登録や休憩時間の準備、ヘルパーとして発表を聴講することでした。国際会議といわれるだけあって参加者の出身国は多岐に渡り、自分の専攻と全く異なる分野であったことから、彼らと話すことで様々な刺激を受けたと実感しています。日常とかけ離れた環境だったため、身体的に疲れることもありましたが、本当に貴重な経験ができました。

文学部3年 坂谷香月 3月15日から10日間、台湾で開かれたISGCにスタッフとしてインターンシップを行った。その活動を通して、1つのイベントを企画するためには、表には見えない裏方の仕事が支えていることを再認識した。私は主に秘書として休憩ごとのお菓子休憩や昼食準備や小さな会議の設営を行った。その活動の中で清掃員、休憩にかかわる昼食やお菓子を配達してくれた人など小さく思える要素も工程通りにいかないと大きな打撃になることを身近に感じた。今回は周りの状況理解だけで必死だったので次回はほかのスタッフの行動を見て彼らに頼るようにする。

外国語学部4年 森藤麻由 3月の中旬から下旬にかけて台湾の中央研究所という場で学会での学生スタッフとしてインターンシップに参加させていただきました。今回参加して一番強く感じたことは「人の暖かさ」でした。世界各国から参加していた方々や主催者の方々からたくさんの優しさをもらいました。人と人との繋がりは国境なんて関係ないと強く感じた場でした。学会では発表者の方 と々事前に打ち合わせをし、タイムキープなども行い裏方の仕事の大変さと大切さを学びました。今後社会に出る前にこのような機会をいただき大変うれしく思います。今回機会をくださった方々や関係者の方々に心から感謝しています。もっと成長し、今回お会いした方 と々世界のどこかでまたお会いしたいです。

 2018年3月に、台湾で行われた国際学会(International Symposium on Grids and Clouds 2018)に本学LA3名が学会スタッフとしてインターンシップを行った。この国際学会は、最先端のIT/ICTの様々な分野について研究を共有し、未来について考える学会である。本年度は本学のLAに加え、國立台湾大學の学生もインター

ンシップに参加した。例年のように、参加者は世界30カ国から300名程度の参加があった。 業務内容は、学会開催前には学会配布資料・名札等の準備、学会本部・会場設営を行った。学会開催中は、セッションの運営・進行、発表資料の管理、著作権譲渡書類の処理等の業務に加え、セッション間のコーヒーブレイクの準備、受付業務

を分担して行った。学会終了後は撤収・後片付けを行い、国際学会開催の全体を体験することが出来た。閉会式では、インターンシップ参加者全員が感謝状をいただいた。 以下、参加したLAの感想とふりかえりです。

(教育推進部 山本敏幸)

台湾での国際学会でLAが活躍しました

国際学会の様子③国際学会の様子① 国際学会の様子②

LA活動報告Learning Assistant

インターンシップ後のふりかえり

Center for Teaching and Learning CTL Newsletter vol.27

02 03

フォーラム・セミナー報告

 3月17日、本学を会場に『PALを盛り上げよう PALで盛り上がろう』というタイトルでAP Forumを開催しました。PAL(Peer Assisted Learning)とは、現在、初等・中等から高等教育の現場に亘って普く見られるようになってきている「学び」のかたちです。読んで字の如く、児童・生徒・学生が仲間の学びを支援するのですが、その起源をソクラテスやプラトンの時代にまで遡ることができるとする考え方もあります。つまり人間の学びにとって、それは自然なすがた・かたちである、ということです。高等教育機関においては、支援された学生(主として初年次

学生)は新しいキャンパスライフへの適応が促され、授業内容の理解が深まり、アカデミック・スキルが向上するのみならず、支援する学生においては、自身の知識が更新され、リーダーシップやファシリテーション能力あるいはコミュニケーション力が涵養されるなど、広範囲に亘る長所・魅力が耳目を集めています。このたびのForumでは、本学のLA(Learning Assistant)と同様に、学生の学びを同じく学生が支援する取り組みをしている大学のうち5校(金沢大学・聖路加国際大学・摂南大学・園田学園女子大学・桃山学院大学、以上、五十音順)をPAL拠点

校として位置づけ、それぞれ活動報告をしていただきました。その後のセッションでは少人数のグループにわかれてWorld Caféをおこない、PALに関する情報や意見を活発に交換しました。参加大学は13校、参加者は教職員・学生あわせて60名(本学を含む)でしたが、事後のアンケートでは継続的開催を望む声が多く、次回は摂南大学を会場に開催することが決まりました。参加校が少しずつ増え、PALの裾野が広がっていくことを心より願っています。

(教育推進部 三浦真琴)

 2018年4月21日、新任教員を対象としたFD Caféを実施いたしました。 参加者は3名でした。例年15名程度のご参加がありますが、今年度は関西大学に来られた先生の数が少なかったこともあり、こじんまりとしながらも先生方とじっくり対話

をする形式でのFD Caféとなりました。 教育開発支援センターからは、高等教育の現状、関西大学における学びの様相・学習支援や学習環境に関するお話を伝えました。これに対して参加者の先生方からご意見をいただきミニディスカッ

ションを行いました。また先生方が関西大学に来られて疑問に感じておられることなどについて意見を交わしました。アットホームなFD Caféとなりました。

(教育推進部 岩﨑千晶)

昨年度にもお伝えしましたように、文部科学省は2017年からSD(スタッフデベロップメント)を義務化しました。これに伴い、関西大学では2017年度からは体系的なプログラムを提供するべく全5回の大学教育に関するプログラムを立ち上げています。(下記参照)

本プログラムの特徴は、職員・教員に加えて、学生も参加していることです。大学の主役は学生たちです。学生からの意見を聞くことができるこのSDプログラムはほかの大学にはなく関西大学ならではの取り組みだといえます。

加えて、LMS上に提示された映像を授

業前に視聴し、提示された課題に解答するという事前学習の機会を設けていることです。このプロセスを経ることで、職員、教員、学生がある一定の理解のもとで対面授業での意見交換をしやすいようにしています。

また、全5回のプログラムを実施する場所を変えることで、キャンパス内の様々な学習環境に体験的に触れられることができるようにしています。第1回目は、通常の可動式椅子机がある教室、第2回目は、ラーニングコモンズ、そのほかにもITセンターや梅田キャンパスなど学内で工夫が凝らされている学舎を実際に使いながら

学ぶことができる仕組みとなっています。1回からでも参加可能ですので、ご参加お待ちしています!

(教育推進部 岩﨑千晶)

ラーニングcaféは、コラボレーションコモンズ開設とともにスタートした学習支援イベントです。毎回、基礎的なアカデミックスキルを身につけるミニワークショップとして開催されます。今学期も「文章を読むコツ―速読と要約」から始まりました。

速読というと、テクニックの側面が強調されがちで、そうした書籍や教材、講座などが散見されます(中には誇大広告と思

えるものもあります)。しかしこの講座では、単なるテクニックではなく文章を読むときの考え方を学び、その中に速読を位置づけることを重視します。つまり、文章を読むとはどういうことかを考え、文章との関わり方のひとつとして速読の工夫の例を知り、目的に応じて読み方を変えられるようになることを目標とします。

参加者アンケートの回答には「速読は

テクニックの事ばかりだとイメージしていたが、思考から行わなければならないのだと教えてもらえたのでとても参考になりました」との声があり、この講座のポイントが伝わっていることがうかがえます。今後もさまざまなテーマで展開して参りますのでご期待下さい。(教育開発支援センターアドバイザリースタッフ

佐々木知彦)

SD研修の様子

【学生・教員・職員三者協働型研修プログラム シラバス】第1回 カリキュラムと大学教育 ―内部質保証システムの構築とは―(講師:森朋子)第2回 教育から学習へ(講師:三浦真琴)第3回 教育評価と大学教育(講師:多田泰紘)第4回 ICTと大学教育(講師:山本敏幸)第5回 学習環境と大学教育(講師:岩﨑千晶)

関西大学AP Forumを開催しました 日程:3月17日(土)場所:第2学舎1号館 A503

FD Caféを開催しました 日時:4月21日(土)13:00~16:00場所:第2学舎1号館 教育開発支援センター

 今年も学期の開始前に、全学のTA、ライティングチューターを対象とした研修を開催しました。TAに対しては、高等教育における教育の現状、学習支援の動向、TAの基本的な業務態度や事務的な手続きについて確認をしました。その後、「グループワークにおいて、学生の考えを引き

出したり、学生の合意形成を支えたりする工夫」「ミニッツペーパーやCEASへの投稿へのまとめやコメント提示における工夫」等の6つのテーマに分かれてTA同士での意見交換会を開催しました。 ライティングチューター研修では、ライティングラボ利用の現状、ICTを活用し

たライティング支 援についてミニレクチャーを行いました。その後、チューターとの意見交換会を開催しました。いずれの研修においても積極的な意見交換が行われました。

(教育推進部 岩﨑千晶)

TA・ライティングチューター研修 日時:3月29日(木)14:30~16:00場所:第2学舎2号館 C301

今年度もSDプログラムがスタートしました!

春学期第一回ラーニングcaféを開催しました 日時:5月9日(月)14:50~15:50場所:凜風館1階 コラボレーションコモンズ

ラーニングエリア2

ライティングラボの活動のご案内

ライティングラボは文章作成の相談を受け付けていますライティングラボ(以下ラボ)では、学部学生

のレポートや授業資料(レジュメやスライド)、卒業論文などの書き方に関する個別相談を受け付けています。授業でレポートを課す時や、ゼミ・研究室で卒業論文指導に当たる場合に、ぜひ学生にラボをご紹介ください。大学院生のチューターが対面での会話を通して、文章の問

題個所の気づきを促し、修正方法のアドバイスを行います。授業外学習や自律的な学びの促進につながります。なお、ラボは文章の添削(その場での朱入れ、一方向的な修正指示)は行っておりません。

ラボは右記の4つのキャンパスで開室しており、学生は所属学部に寄らずどのキャンパスの

ラボでも相談可能です。また、ラボでは個別相談以外に、文章作成に

関する出前講義、小冊子(レポートの書き方ガイド)の配付、日本語ライティングに関するeラーニング教材の公開を行っています。学生へのライティング指導・支援に関するご質問・ご希望は右記までお問い合わせください。

・ライティングラボ web サイト:http://www.kansai-u.ac.jp/ctl/labo/index.html・問い合わせ先:(メール)[email protected] (内線)(千里山以外のキャンパスから+72)3837 (教育推進部 多田泰紘)

キャンパス 場所 開室曜日・時間

千里山キャンパス第1学舎1号館5階 月~金/11:30-17:00

総合図書館 ラーニング・コモンズ 月~金/11:30-17:00第4学舎1号館1階 協同学習室 月/13:50-17:00 金/12:15-15:20

高槻キャンパス C棟1階 学生サービスステーション 木/11:30-14:30高槻ミューズキャンパス 西館2階 ミューズカフェ 火/12:15-15:20 金/13:50-17:00

堺キャンパス A棟3階 ラーニング・コモンズ 月/11:30-14:30 火/13:00-15:20

Center for Teaching and Learning CTL Newsletter vol.27

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フォーラム・セミナー報告

3月17日、本学を会場に『PALを盛り上げよう PALで盛り上がろう』というタイトルでAP Forumを開催しました。PAL(Peer Assisted Learning)とは、現在、初等・中等から高等教育の現場に亘って普く見られるようになってきている「学び」のかたちです。読んで字の如く、児童・生徒・学生が仲間の学びを支援するのですが、その起源をソクラテスやプラトンの時代にまで遡ることができるとする考え方もあります。つまり人間の学びにとって、それは自然なすがた・かたちである、ということです。高等教育機関においては、支援された学生(主として初年次

学生)は新しいキャンパスライフへの適応が促され、授業内容の理解が深まり、アカデミック・スキルが向上するのみならず、支援する学生においては、自身の知識が更新され、リーダーシップやファシリテーション能力あるいはコミュニケーション力が涵養されるなど、広範囲に亘る長所・魅力が耳目を集めています。このたびのForumでは、本学のLA(LearningAssistant)と同様に、学生の学びを同じく学生が支援する取り組みをしている大学のうち5校(金沢大学・聖路加国際大学・摂南大学・園田学園女子大学・桃山学院大学、以上、五十音順)をPAL拠点

校として位置づけ、それぞれ活動報告をしていただきました。その後のセッションでは少人数のグループにわかれてWorldCaféをおこない、PALに関する情報や意見を活発に交換しました。参加大学は13校、参加者は教職員・学生あわせて60名(本学を含む)でしたが、事後のアンケートでは継続的開催を望む声が多く、次回は摂南大学を会場に開催することが決まりました。参加校が少しずつ増え、PALの裾野が広がっていくことを心より願っています。

(教育推進部 三浦真琴)

2018年4月21日、新任教員を対象としたFD Caféを実施いたしました。 参加者は3名でした。例年15名程度のご参加がありますが、今年度は関西大学に来られた先生の数が少なかったこともあり、こじんまりとしながらも先生方とじっくり対話

をする形式でのFD Caféとなりました。教育開発支援センターからは、高等教

育の現状、関西大学における学びの様相・学習支援や学習環境に関するお話を伝えました。これに対して参加者の先生方からご意見をいただきミニディスカッ

ションを行いました。また先生方が関西大学に来られて疑問に感じておられることなどについて意見を交わしました。アットホームなFD Caféとなりました。

(教育推進部 岩﨑千晶)

昨年度にもお伝えしましたように、文部科学省は2017年からSD(スタッフデベロップメント)を義務化しました。これに伴い、関西大学では2017年度からは体系的なプログラムを提供するべく全5回の大学教育に関するプログラムを立ち上げています。(下記参照)

本プログラムの特徴は、職員・教員に加えて、学生も参加していることです。大学の主役は学生たちです。学生からの意見を聞くことができるこのSDプログラムはほかの大学にはなく関西大学ならではの取り組みだといえます。

加えて、LMS上に提示された映像を授

業前に視聴し、提示された課題に解答するという事前学習の機会を設けていることです。このプロセスを経ることで、職員、教員、学生がある一定の理解のもとで対面授業での意見交換をしやすいようにしています。

また、全5回のプログラムを実施する場所を変えることで、キャンパス内の様々な学習環境に体験的に触れられることができるようにしています。第1回目は、通常の可動式椅子机がある教室、第2回目は、ラーニングコモンズ、そのほかにもITセンターや梅田キャンパスなど学内で工夫が凝らされている学舎を実際に使いながら

学ぶことができる仕組みとなっています。1回からでも参加可能ですので、ご参加お待ちしています!

(教育推進部 岩﨑千晶)

ラーニングcaféは、コラボレーションコモンズ開設とともにスタートした学習支援イベントです。毎回、基礎的なアカデミックスキルを身につけるミニワークショップとして開催されます。今学期も「文章を読むコツ―速読と要約」から始まりました。

速読というと、テクニックの側面が強調されがちで、そうした書籍や教材、講座などが散見されます(中には誇大広告と思

えるものもあります)。しかしこの講座では、単なるテクニックではなく文章を読むときの考え方を学び、その中に速読を位置づけることを重視します。つまり、文章を読むとはどういうことかを考え、文章との関わり方のひとつとして速読の工夫の例を知り、目的に応じて読み方を変えられるようになることを目標とします。

参加者アンケートの回答には「速読は

テクニックの事ばかりだとイメージしていたが、思考から行わなければならないのだと教えてもらえたのでとても参考になりました」との声があり、この講座のポイントが伝わっていることがうかがえます。今後もさまざまなテーマで展開して参りますのでご期待下さい。(教育開発支援センターアドバイザリースタッフ

佐々木知彦)

SD研修の様子

【学生・教員・職員三者協働型研修プログラム シラバス】第1回 カリキュラムと大学教育 ―内部質保証システムの構築とは―(講師:森朋子)第2回 教育から学習へ(講師:三浦真琴)第3回 教育評価と大学教育(講師:多田泰紘)第4回 ICTと大学教育(講師:山本敏幸)第5回 学習環境と大学教育(講師:岩﨑千晶)

関西大学AP Forumを開催しました 日程:3月17日(土)場所:第2学舎1号館 A503

FD Caféを開催しました 日時:4月21日(土)13:00~16:00場所:第2学舎1号館 教育開発支援センター

今年も学期の開始前に、全学のTA、ライティングチューターを対象とした研修を開催しました。TAに対しては、高等教育における教育の現状、学習支援の動向、TAの基本的な業務態度や事務的な手続きについて確認をしました。その後、「グループワークにおいて、学生の考えを引き

出したり、学生の合意形成を支えたりする工夫」「ミニッツペーパーやCEASへの投稿へのまとめやコメント提示における工夫」等の6つのテーマに分かれてTA同士での意見交換会を開催しました。

ライティングチューター研修では、ライティングラボ利用の現状、ICTを活用し

たライティング支 援についてミニレクチャーを行いました。その後、チューターとの意見交換会を開催しました。いずれの研修においても積極的な意見交換が行われました。

(教育推進部 岩﨑千晶)

TA・ライティングチューター研修 日時:3月29日(木)14:30~16:00場所:第2学舎2号館 C301

今年度もSDプログラムがスタートしました!

春学期第一回ラーニングcaféを開催しました 日時:5月9日(月)14:50~15:50場所:凜風館1階 コラボレーションコモンズ

ラーニングエリア2

ライティングラボの活動のご案内

ライティングラボは文章作成の相談を受け付けていますライティングラボ(以下ラボ)では、学部学生

のレポートや授業資料(レジュメやスライド)、卒業論文などの書き方に関する個別相談を受け付けています。授業でレポートを課す時や、ゼミ・研究室で卒業論文指導に当たる場合に、ぜひ学生にラボをご紹介ください。大学院生のチューターが対面での会話を通して、文章の問

題個所の気づきを促し、修正方法のアドバイスを行います。授業外学習や自律的な学びの促進につながります。なお、ラボは文章の添削(その場での朱入れ、一方向的な修正指示)は行っておりません。

ラボは右記の4つのキャンパスで開室しており、学生は所属学部に寄らずどのキャンパスの

ラボでも相談可能です。また、ラボでは個別相談以外に、文章作成に

関する出前講義、小冊子(レポートの書き方ガイド)の配付、日本語ライティングに関するeラーニング教材の公開を行っています。学生へのライティング指導・支援に関するご質問・ご希望は右記までお問い合わせください。

・ライティングラボ web サイト:http://www.kansai-u.ac.jp/ctl/labo/index.html・問い合わせ先:(メール)[email protected] (内線)(千里山以外のキャンパスから+72)3837 (教育推進部 多田泰紘)

キャンパス 場所 開室曜日・時間

千里山キャンパス第1学舎1号館5階 月~金/11:30-17:00

総合図書館 ラーニング・コモンズ 月~金/11:30-17:00第4学舎1号館1階 協同学習室 月/13:50-17:00 金/12:15-15:20

高槻キャンパス C棟1階 学生サービスステーション 木/11:30-14:30高槻ミューズキャンパス 西館2階 ミューズカフェ 火/12:15-15:20 金/13:50-17:00

堺キャンパス A棟3階 ラーニング・コモンズ 月/11:30-14:30 火/13:00-15:20

Center for Teaching and Learning CTL Newsletter vol.27

02 03

フォーラム・セミナー報告

3月17日、本学を会場に『PALを盛り上げよう PALで盛り上がろう』というタイトルでAP Forumを開催しました。PAL(Peer Assisted Learning)とは、現在、初等・中等から高等教育の現場に亘って普く見られるようになってきている「学び」のかたちです。読んで字の如く、児童・生徒・学生が仲間の学びを支援するのですが、その起源をソクラテスやプラトンの時代にまで遡ることができるとする考え方もあります。つまり人間の学びにとって、それは自然なすがた・かたちである、ということです。高等教育機関においては、支援された学生(主として初年次

学生)は新しいキャンパスライフへの適応が促され、授業内容の理解が深まり、アカデミック・スキルが向上するのみならず、支援する学生においては、自身の知識が更新され、リーダーシップやファシリテーション能力あるいはコミュニケーション力が涵養されるなど、広範囲に亘る長所・魅力が耳目を集めています。このたびのForumでは、本学のLA(LearningAssistant)と同様に、学生の学びを同じく学生が支援する取り組みをしている大学のうち5校(金沢大学・聖路加国際大学・摂南大学・園田学園女子大学・桃山学院大学、以上、五十音順)をPAL拠点

校として位置づけ、それぞれ活動報告をしていただきました。その後のセッションでは少人数のグループにわかれてWorldCaféをおこない、PALに関する情報や意見を活発に交換しました。参加大学は13校、参加者は教職員・学生あわせて60名(本学を含む)でしたが、事後のアンケートでは継続的開催を望む声が多く、次回は摂南大学を会場に開催することが決まりました。参加校が少しずつ増え、PALの裾野が広がっていくことを心より願っています。

(教育推進部 三浦真琴)

2018年4月21日、新任教員を対象としたFD Caféを実施いたしました。 参加者は3名でした。例年15名程度のご参加がありますが、今年度は関西大学に来られた先生の数が少なかったこともあり、こじんまりとしながらも先生方とじっくり対話

をする形式でのFD Caféとなりました。教育開発支援センターからは、高等教

育の現状、関西大学における学びの様相・学習支援や学習環境に関するお話を伝えました。これに対して参加者の先生方からご意見をいただきミニディスカッ

ションを行いました。また先生方が関西大学に来られて疑問に感じておられることなどについて意見を交わしました。アットホームなFD Caféとなりました。

(教育推進部 岩﨑千晶)

 昨年度にもお伝えしましたように、文部科学省は2017年からSD(スタッフデベロップメント)を義務化しました。これに伴い、関西大学では2017年度からは体系的なプログラムを提供するべく全5回の大学教育に関するプログラムを立ち上げています。(下記参照) 本プログラムの特徴は、職員・教員に加えて、学生も参加していることです。大学の主役は学生たちです。学生からの意見を聞くことができるこのSDプログラムはほかの大学にはなく関西大学ならではの取り組みだといえます。 加えて、LMS上に提示された映像を授

業前に視聴し、提示された課題に解答するという事前学習の機会を設けていることです。このプロセスを経ることで、職員、教員、学生がある一定の理解のもとで対面授業での意見交換をしやすいようにしています。 また、全5回のプログラムを実施する場所を変えることで、キャンパス内の様々な学習環境に体験的に触れられることができるようにしています。第1回目は、通常の可動式椅子机がある教室、第2回目は、ラーニングコモンズ、そのほかにもITセンターや梅田キャンパスなど学内で工夫が凝らされている学舎を実際に使いながら

学ぶことができる仕組みとなっています。1回からでも参加可能ですので、ご参加お待ちしています!

(教育推進部 岩﨑千晶)

 ラーニングcaféは、コラボレーションコモンズ開設とともにスタートした学習支援イベントです。毎回、基礎的なアカデミックスキルを身につけるミニワークショップとして開催されます。今学期も「文章を読むコツ―速読と要約」から始まりました。 速読というと、テクニックの側面が強調されがちで、そうした書籍や教材、講座などが散見されます(中には誇大広告と思

えるものもあります)。しかしこの講座では、単なるテクニックではなく文章を読むときの考え方を学び、その中に速読を位置づけることを重視します。つまり、文章を読むとはどういうことかを考え、文章との関わり方のひとつとして速読の工夫の例を知り、目的に応じて読み方を変えられるようになることを目標とします。 参加者アンケートの回答には「速読は

テクニックの事ばかりだとイメージしていたが、思考から行わなければならないのだと教えてもらえたのでとても参考になりました」との声があり、この講座のポイントが伝わっていることがうかがえます。今後もさまざまなテーマで展開して参りますのでご期待下さい。(教育開発支援センターアドバイザリースタッフ

 佐々木知彦)

SD研修の様子

【学生・教員・職員三者協働型研修プログラム シラバス】第1回 カリキュラムと大学教育 ―内部質保証システムの構築とは―(講師:森朋子)第2回 教育から学習へ(講師:三浦真琴)第3回 教育評価と大学教育(講師:多田泰紘)第4回 ICTと大学教育(講師:山本敏幸)第5回 学習環境と大学教育(講師:岩﨑千晶)

関西大学AP Forumを開催しました 日程:3月17日(土)場所:第2学舎1号館 A503

FD Caféを開催しました 日時:4月21日(土)13:00~16:00場所:第2学舎1号館 教育開発支援センター

今年も学期の開始前に、全学のTA、ライティングチューターを対象とした研修を開催しました。TAに対しては、高等教育における教育の現状、学習支援の動向、TAの基本的な業務態度や事務的な手続きについて確認をしました。その後、「グループワークにおいて、学生の考えを引き

出したり、学生の合意形成を支えたりする工夫」「ミニッツペーパーやCEASへの投稿へのまとめやコメント提示における工夫」等の6つのテーマに分かれてTA同士での意見交換会を開催しました。

ライティングチューター研修では、ライティングラボ利用の現状、ICTを活用し

たライティング支 援についてミニレクチャーを行いました。その後、チューターとの意見交換会を開催しました。いずれの研修においても積極的な意見交換が行われました。

(教育推進部 岩﨑千晶)

TA・ライティングチューター研修 日時:3月29日(木)14:30~16:00場所:第2学舎2号館 C301

今年度もSDプログラムがスタートしました!

春学期第一回ラーニングcaféを開催しました 日時:5月9日(月)14:50~15:50場所:凜風館1階 コラボレーションコモンズ   ラーニングエリア2

ライティングラボの活動のご案内

ライティングラボは文章作成の相談を受け付けていますライティングラボ(以下ラボ)では、学部学生

のレポートや授業資料(レジュメやスライド)、卒業論文などの書き方に関する個別相談を受け付けています。授業でレポートを課す時や、ゼミ・研究室で卒業論文指導に当たる場合に、ぜひ学生にラボをご紹介ください。大学院生のチューターが対面での会話を通して、文章の問

題個所の気づきを促し、修正方法のアドバイスを行います。授業外学習や自律的な学びの促進につながります。なお、ラボは文章の添削(その場での朱入れ、一方向的な修正指示)は行っておりません。

ラボは右記の4つのキャンパスで開室しており、学生は所属学部に寄らずどのキャンパスの

ラボでも相談可能です。また、ラボでは個別相談以外に、文章作成に

関する出前講義、小冊子(レポートの書き方ガイド)の配付、日本語ライティングに関するeラーニング教材の公開を行っています。学生へのライティング指導・支援に関するご質問・ご希望は右記までお問い合わせください。

・ライティングラボ web サイト:http://www.kansai-u.ac.jp/ctl/labo/index.html・問い合わせ先:(メール)[email protected] (内線)(千里山以外のキャンパスから+72)3837 (教育推進部 多田泰紘)

キャンパス 場所 開室曜日・時間

千里山キャンパス第1学舎1号館5階 月~金/11:30-17:00

総合図書館 ラーニング・コモンズ 月~金/11:30-17:00第4学舎1号館1階 協同学習室 月/13:50-17:00 金/12:15-15:20

高槻キャンパス C棟1階 学生サービスステーション 木/11:30-14:30高槻ミューズキャンパス 西館2階 ミューズカフェ 火/12:15-15:20 金/13:50-17:00

堺キャンパス A棟3階 ラーニング・コモンズ 月/11:30-14:30 火/13:00-15:20

CTL Newsletter vol.27

04

本学の授業支援グループに入職して早4ヶ月。

以前は販売の仕事をしていた私にとって、大学で働くことは新しい発見の連続だった。

前職では、対応する相手がお客様で要望には何でも応える、いわば「お客様、第1主義」の世界であった。

しかし、学校では対人の仕事であることは変わりないが、学生・教員は販売でいうお客様ではなく、共により良い教育・授業を行うパートナーであるということ。

教員は授業を行う立場、職員はそれをサ

ポートする立場、そして学生アルバイト(SA/スチューデントアシスタント)もまた、授業をサポートする立場として重要な役割となっている。

始めは、SAの上の立場としてしっかり業務を把握し、新規のSAには教育も必要であるだろうという考えがあり、正直プレッシャーも感じていたが、いざ新学期が始まり授業が開始すると、そんな私の考えはすぐに払拭された。SAも同じ場所で共に働く仲間であるということ。上も下も関係ない。初めての場所でSAから学ぶことがたくさんある。

日々、たくさんの学生や教員が訪れる窓口

の最前線で対応してくれるSAの背中は大きく、とても頼もしいものに見える。

4月の人事異動により、私が所属する2学舎は多くの人が入れ替わった。

SAにとってはそれが不安要素になっていたと思う。しかし、それを感じさせないほど頼りがいのある先輩SAは新規のSAにとっても、2学舎授業支援グループの職員にとっても大きな存在となっている。

きっとここでの経験はこれから社会に出て行くSAにとって大きな財産となるはず。

私にとってもこの場所での経験は貴重なものになるだろうと感じている。    (悠)

romFCTL事務局

01

Kansai University Center for Teaching and Learning

関西大学 教育開発支援センターニューズレター 27vol.

June 2018

2009年度に本学の『三者協働型アクティブ・ラーニングの展開-大学院生スタッフとともに進化する“How to Learn”への誘い-』が大学教育推進プログラムに採択され、LA(LearningAssistant)制度が本格的に導入されてから、はや9年が経過しました。その間、LAの員数は運用開始当時の9倍ほどの規模にまで増加しましたが、10年の節目を迎える前に、その活動を振り返るとともに、このプログラムを通底する「学習パラダイム」について再考してみたいと思います。

当初はLA自身もLAを活用する教師も、その活動は授業における学習支援に限られると考えていました。しかしながら、LAの活動を学外者に説明することなどを契機として、学外の様々な行事への自主的参加、学内新企画の立案と実施、学内外の講演会等におけるファシリテーション、国内外の学会での発表や大会運営支援など、LAの活動内容は広がっています。この多岐に亘る活動によって得た知識や自信が大学の授業において学生の学習を支援するLAの本務の遂行をさらに充実させてお

り、彼ら彼女たちは受講生のロールモデルとして、大いなる刺激を与える存在になっています。

LA制度を着想したのは、教育パラダイムから学習パラダイムへの移行に伴って学生が大学の主人公となり、その学生と教師との距離を埋めるのも、やはり学生に違いないと考えたからです。今、思い起こすと“from teaching to learning”を「教師から学生へ」というアングルでのみ捉えていたと、気恥ずかしく反省するばかりです。“From teaching to learning”とは“teaching”のみを思量していては肝心の“learning”が達成されないという危機感あってこその発想なのです。かつては(もしかしたら今でも)“teaching”と“learning”は対を成すものとして捉えられていましたが、“teaching”の向こう側にあるのは “being taught”であり、したがって学生の“learning”を実現するためには“teaching”に代わる教師のミッションを考えなくてはならない、それがBarr &Tagg(1995)の高らかな宣言の含意だったのです。

日本語の「オシエル」の語義に相当する

英語はshow, teach, admonishですが(講談社「日本語大辞典」)、ここに“educate”は登場しません。「オシエル」の語源には諸説ありますが、ここでは日本国語大辞典(小学館)で第一義とされている「戒める(admonish)」から、これを「オサエル」と捉えることにします。すると“educe”を語源とする“educate”と「オサエル」を語源とする「オシエル」が等号では結ばれないことがわかります。教師が“teaching”から脱するとは「オサエル」から「ヒキダス」へと移行すること、すなわち学生の“learning”に寄り添 い 、こ れ を サ ポ ートす る た め に“coaching”、“assisting”を志向してみるということではないでしょうか。

長らく教育パラダイムに浸ってきた教師が学生の「力」を引き出すべくサポートするのは、さほど容易なことではありません。しかし、LAとして活動する学生の様子を観ていると、それは決して荒唐無稽なことではないのだと思量することができます。学生が教師の後姿に学ぶだけではなく、教師が学生に学ぶ、学習パラダイムの醍醐味はどうやらその辺りにありそうです。

〒564-8680 大阪府吹田市山手町3-3-35  TEL: 06-6368-1513 FAX: 06-6368-1514 http://www.kansai-u.ac.jp/ctl/index.html

関西大学 教育開発支援センター Kansai University Center for Teaching and Learning

発行日/2018年6月29日 編集・発行/関西大学 教育開発支援センター

LAは近未来の教師の姿三浦 真琴教育推進部教授

外国語学部4年 森山真帆 大きな国際学会に参加した経験は今までありませんでしたが、ISGC2018にアシスタントとして参加したことは私にとって貴重な経験であり、想像以上のものでした。仕事内容は参加者の登録や休憩時間の準備、ヘルパーとして発表を聴講することでした。国際会議といわれるだけあって参加者の出身国は多岐に渡り、自分の専攻と全く異なる分野であったことから、彼らと話すことで様々な刺激を受けたと実感しています。日常とかけ離れた環境だったため、身体的に疲れることもありましたが、本当に貴重な経験ができました。

文学部3年 坂谷香月 3月15日から10日間、台湾で開かれたISGCにスタッフとしてインターンシップを行った。その活動を通して、1つのイベントを企画するためには、表には見えない裏方の仕事が支えていることを再認識した。私は主に秘書として休憩ごとのお菓子休憩や昼食準備や小さな会議の設営を行った。その活動の中で清掃員、休憩にかかわる昼食やお菓子を配達してくれた人など小さく思える要素も工程通りにいかないと大きな打撃になることを身近に感じた。今回は周りの状況理解だけで必死だったので次回はほかのスタッフの行動を見て彼らに頼るようにする。

外国語学部4年 森藤麻由 3月の中旬から下旬にかけて台湾の中央研究所という場で学会での学生スタッフとしてインターンシップに参加させていただきました。今回参加して一番強く感じたことは「人の暖かさ」でした。世界各国から参加していた方々や主催者の方々からたくさんの優しさをもらいました。人と人との繋がりは国境なんて関係ないと強く感じた場でした。学会では発表者の方 と々事前に打ち合わせをし、タイムキープなども行い裏方の仕事の大変さと大切さを学びました。今後社会に出る前にこのような機会をいただき大変うれしく思います。今回機会をくださった方々や関係者の方々に心から感謝しています。もっと成長し、今回お会いした方 と々世界のどこかでまたお会いしたいです。

 2018年3月に、台湾で行われた国際学会(International Symposium on Grids and Clouds 2018)に本学LA3名が学会スタッフとしてインターンシップを行った。この国際学会は、最先端のIT/ICTの様々な分野について研究を共有し、未来について考える学会である。本年度は本学のLAに加え、國立台湾大學の学生もインター

ンシップに参加した。例年のように、参加者は世界30カ国から300名程度の参加があった。 業務内容は、学会開催前には学会配布資料・名札等の準備、学会本部・会場設営を行った。学会開催中は、セッションの運営・進行、発表資料の管理、著作権譲渡書類の処理等の業務に加え、セッション間のコーヒーブレイクの準備、受付業務

を分担して行った。学会終了後は撤収・後片付けを行い、国際学会開催の全体を体験することが出来た。閉会式では、インターンシップ参加者全員が感謝状をいただいた。 以下、参加したLAの感想とふりかえりです。

(教育推進部 山本敏幸)

台湾での国際学会でLAが活躍しました

国際学会の様子③国際学会の様子① 国際学会の様子②

LA活動報告Learning Assistant

インターンシップ後のふりかえり