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『工場現場の機器・設備等の生産ラインと業務系アプリケーションとの 情報をやり取りするのに必要なSI業務プロセスの標準仕様の設定』 2017530Copyright 2017 Mitsuiwa Corporation 平成28年度スマート工場実証事業 成果報告 ミツイワ株式会社

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Page 1: Fujitsu Standard Tool...全体を統合できるインテグレータの不足。 仕様定義(要求仕様)が曖昧で、本来の「何のために自動化したいのか」が明確になっていない。

『工場現場の機器・設備等の生産ラインと業務系アプリケーションとの 情報をやり取りするのに必要なSI業務プロセスの標準仕様の設定』

2017年 5月30日

Copyright 2017 Mitsuiwa Corporation

平成28年度スマート工場実証事業 成果報告

ミツイワ株式会社

Page 2: Fujitsu Standard Tool...全体を統合できるインテグレータの不足。 仕様定義(要求仕様)が曖昧で、本来の「何のために自動化したいのか」が明確になっていない。

1.目的と背景

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目 的

背 景

「SI業務プロセス標準」の整備

中小製造業・三品産業向けの生産現場の機器と、基幹ITシステムをつなぐ、全体統合型システムインテグ レーションを拡大するため、システムインテグテータが利用できるプロセス標準を作成し、その導入を促進する。

今までの工場自動化システム構築作業では、FAシステムとITシステムの統合構築において、標準的な構築 プロセスを管理する手法が存在していなかった。 そのため、それぞれが独自の構築プロセスに則ってシステム構築を行っていた。

⇒ その結果、プロジェクト後半で関係者間の食い違いが発覚。 顧客を含め、大きなリスクとなっていた。

システム導入における現状の問題点

全体を統合できるインテグレータの不足。 仕様定義(要求仕様)が曖昧で、本来の「何のために自動化したいのか」が明確になっていない。 ERPなどからの計画情報をダイレクトに生産に連携できない。 各設備から取得した情報が上手く活用できていない。

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2.導入プロセス標準「MIPS」の策定

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これを 『MIPS』 として定義しています!

FA(ロボットシステム・自動化システム)及びIT(情報システム)の導入において、最適な手順でシステム 導入できるSI業務プロセス標準メソッドが存在していなかった。

これらを統合した 『SI(システムインテグレーション)業務プロセス標準』 を策定

システム導入プロセス(作業工程)/レイヤー(FA・IT)を定義し、それぞれの作業概要及び、 連携の「のりしろ」を整理。 顧客/FA-SIer/IT-SIer間の認識の食い違いを防ぎ、スムーズな自動化システム導入を目指す。

■『MIPS』とは。。。

『マルチレイヤー(FA-IT連携)システム インテグレーション 業務プロセス標準』 Multi-layer system Integration Process Standard

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3.「MIPS」の考え方

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■適用範囲(想定ユーザー) 新たにFA-IT連携システムを導入するユーザー。中でも中小製造業及び、三品産業。 これらのユーザーは、具体的な導入後のシステム運用をイメージ、うまく伝える事が不得手な場合が多く、実際に運用して みてから問題が発生する事が多い。 ■仕様変更の考え方 安易な仕様変更は行うべきでない。しかしどうしても 対応せざるを得ない場合には、適切な変更管理を行い、影響を 最小限に抑えるよう努力する。 ■リスクアセスメントの考え方 事故を絶対に起こさない為に、ユーザー・ インテグレータが協力の上、リスクアセスメント を必ず実施する。 ■セキュリティの考え方 FA-IT連携をはじめ、IoTの普及や不用意 なPCの接続によるリスクの認識と対策を実施 する。

テスト計画・ ユーザーテスト仕様

総合テスト 計画・仕様

内部テスト 計画・仕様

搬入・据付・調整

仕様定義

基本設計

詳細設計 製造

ユーザー引渡し

総合テスト実施

内部テスト実施

ユーザーテスト実施

設計・製造 テスト

運用計画 企画構想 本稼働 運用サポート

Wモデル型プロセス体系

顧客/ロボットインテグレータ/システムインテグレータ が、正確にコミュニケーションでき、食い違いないこと。 工程毎の作業内容と完了基準が明確で、進捗が見えること。 運用の妥当性をユーザー視点で検証できる仕組みであること。 設計段階で検証内容を定義。 分割検収の仕組みづくりによる手戻りの軽減及び、インテグレータ/顧客の資金的負担の軽減。

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4.「MIPS」の適用のベネフィット

№ 項目 1 プロセス毎の成果物確認による完了基準の明確化(手戻り軽減) 2 顧客視点での運用妥当性検証(手戻りの軽減) 3 上流工程でテスト計画・仕様明確化 ⇒ 顧客との稼働イメージの共有 4 作業分担(役割り)の明確化 5 インテグレータ間(FA ⇔ IT)での作業進捗の見える化 6 仕様変更の際の追加費用交渉材料 7 作成ドキュメントの明確化・体系化 8 ドキュメントの保守性(更新、横展開) 9 プロジェクトリスク管理・要員計画 10 分割検収による資金負担の軽減

インテグレータに対するベネフィット

顧客に対するベネフィット

№ 項目

1 初めてでも導入イメージがしやすい

2 プロセス毎の成果物確認による食い違い防止

3 稼働イメージ共有による食い違い防止

4 確認のポイントがわかりやすい

5 作業分担(役割り)の明確化

6 作業進捗の見える化

7 分割検収による見積精度向上(リスク上乗せ分の軽減)

【インテグレータの声】 ・バラつきをなくす為に、スタンダードは必要。 ・手戻りを考えるとドキュメントの大切さを痛感している。 ・今までは最後まで持ち出しであったため、資金負担が 軽減されるのはありがたい。

・やらなければいけないのは分かっているが、その費用を アドオンできない。 ・顧客との食い違いによる費用負担との兼ね合い。 (MIPSと手戻り対応とで、どちらが費用がかかるか)

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5.準備フェーズアプローチ

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C : 要件・仕様決定

B : 概略提案

A : 基本情報(新規顧客・ロボット未導入)

顧客の要求を整理し、仕様を決定する

【合意形成事項】 ・サポート体制 ・自動化とは ・リスクの考え方 ・役割分担 ・構築工程 ・投資対効果 ・仕様定義の重要性 ・導入事例 ・定性効果/定量効果深耕

【ヒアリング事項】 ・顧客基礎情報 ・導入希望スケジュール ・現在の課題 (現行運用) ・設置スペース ・導入の背景 ・投資回収目安 ・構想イメージ ・ロボット導入実績 ・予算規模 ・情報システム導入実績 ・ワーク対象・種類 ・導入体制(案)

【合意形成事項】 ・会社案内 ・自動化の考え方 ・FA-IT連携とは ・導入体制の考え方 ・定性効果と定量効果

【ヒアリング事項】 ・要求品質 ・ワーク詳細 ・要求タクト ・設置スペース ・稼動時間

・運用体制 ・ライン切替頻度 ・資料開示可否(図面など) ・前後工程の情報

ア プ

ロ ー

顧客の自動化システム(ロボット)導入背景・経験によるアプローチの多様化。 ⇒ パターン化し、仕様定義する上での要件に漏れがないようにする。

引合

企画構想

仕様定義

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6.分割検収の商習慣化

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【基本方針】 ■実作業に伴った検収タイミングとする。(工事進行基準ではない) ■着手金・前受金は行わない。 ⇒ 全てドキュメント及び購入品等の成果物を以って検収とする。

SIerの資金的負担の軽減及びユーザーのリスク軽減を目的に、分割検収の仕組みを提案し、 商習慣化を目指す。

回数 フェーズ 概要 主要成果物 推奨

契約形態

1 仕様定義 ・3Dモデル等を活用し、ロボットシステムのイメージを検討する。 ⇒要件に対する実現方法を納入仕様書としてまとめ、合意を得る。 ・ユーザー視点での要求達成条件を合意する。

・納入仕様書 ・ユーザーテスト仕様書 準委任

2 機械設計/ 購入品

・全体レイアウト図・全体組立図を基に、具体的なロボットシステムの 仕様を明確にする。 ・購入品に対しては、実物の確認を以って検収とする。 ・IT、FA-IT連携では、基本設計にて具体的なシステム機能設計を行う。

・全体レイアウト図/図面一式 ・購入品 ・基本設計書(IT)

一括請負

3 製造/テスト ・電気・制御設計及び、各種製造(装置、プログラミング)を行う。 ・内部テストを経て、実稼働環境に据付・調整し、総合確認を行う。 ・ユーザー検証(支援)完了を以って、最終検収とする。

・電気/制御設計書(FA) ・詳細設計書(IT) ・ロボット/自動機一式 ・プログラム一式 ・完成図書

一括請負

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7.要件の網羅性と合意形成

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見積仕様書・納入仕様書による要件の明確化(機能面・運用面)と運用面での実現性を 検証する為のユーザーテスト仕様書。

ユーザーテスト仕様

(運

用面

見積仕様書

納入仕様書

FA-SIer 製作仕様書

IT-SIer 開発仕様書

ユーザー インテグレータ

見積仕様書による合意形成 ユーザーテスト仕様書による運用面での合意形成 納入仕様書による要件の深耕 製作仕様書,開発仕様書による作業指示

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8.ドキュメントイメージ①

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9.ドキュメントイメージ②

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10.まとめ

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成 果 物

マルチレイヤーシステム導入プロセス標準(MIPS)の策定 ①ガイドライン MIPSの考え方、目的、適用ターゲット等、MIPSの目指す所を解説。 ②ドキュメントMAP 作業プロセス/レイヤー毎で作成・定義するべきドキュメントをマトリクスとしている。 どのタイミングでどのドキュメントを作成しなければいけないのかを可視化。 ③ドキュメント作成要領 各ドキュメントの作成要領。 ドキュメント毎に何を定義するのか、記載項目について解説。 ④その他付帯資料 導入アプローチ注意点や、MIPS適用のベネフィット、分割検収の考え方の説明など。

最後に。。。(今後の課題)

「FA-IT連携システム」導入の際の現状の課題やその対策を検討する事によって、導入プロセス標準を策定する事ができた。 また、これを適用する為の課題(ユーザーの理解/インテグレータの理解)も明確になった。 今後は、平成29年度のロボット導入実証事業や、スマートものづくり応援隊事業等を活用しつつ、独自セミナーにて、MIPSの 考え方を普及していく。 これにより、SIer・顧客ともに利益を享受でき、ロボットシステム導入の裾野が広がっていくよう引き続き取り組んでいく。