(final)10 minutes (2011 october)vol.15 表紙変更 - pwc › jp › ja › ifrs › knowledge...

12
収益認識10月以降、 リースは2012年へ (再公開草案) ハイライト 最新のWork Planでの 主な変更点 (収益認識) 再公開草案公表時期 は、2011年第3四半期 から第4四半期へ (リース) 2011年 2012年 MoU Joint Q4 上期 下期 金融危機関連プロジェクト IFRS 9号の強制適用の延期 コメント期間 金融商品(減損) 再公開草案 or RD 金融商品(一般ヘッジ) RD Target IFRS 金融商品マクロヘッジED IASB Work Plan (2011年9月30日現在) IFRS 10Minutes PwCが国際財務報告基準に関する最新情報を簡潔にお届けするニュースレター Vol. 15 2011年10月 IASB Work Plan (9月30日版) IASB 公開草案: 投資企業を公表 IFRS Conference 米国 ボストンで開催 ACCA IFRSに関する調査結果を公表 日本企業におけるIFRSプロジェクトの対応 - 【IFRSを巡る状況の変化を受けて】 コラム - ASBJ/FASB定期会合を実施 - IASB 、ESMA向けに提出されたレターを 公表 - 金融庁、連結財務諸表規則等を改正 - 企業会計審議会の開催状況 再公開草案公表時期 は、2011年第4四半期 から2012年上期へ (金融商品) 減損、ヘッジの再公開 草案又はレビュードラ フトの公表時期を延期 (保険契約)修正公開 草案又はレビュードラ フトの公表時期を延期 (その他)複数のプロ ジェクトを追加 (続きは01ページ) 金融商品マクロヘッジED 金融商品 (資産/負債の相殺) Target IFRS 連結(投資企業) コメント期間 MoU プロジェクト リース 再公開 草案 Target IFRS 収益認識 再公開草案 Target IFRS その他のプロジェクト 保険契約 RD or ReED 年次改善(2009-2011) コメント期間 年次改善(2010-2012) ED IFRS 1号の改訂 ED IFRIC 20号 IFRIC 20 3year Public Consultation コメント期間 RD: Review Draft ReED: 修正公開草案 IFRS: 最終基準

Upload: others

Post on 26-Jun-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

収益認識10月以降、リースは2012年へ(再公開草案)

ハイライト

最新のWork Planでの主な変更点

• (収益認識)再公開草案公表時期は、2011年第3四半期から第4四半期へ

• (リース)再公開草案公表時期

XXXXXXX XXXXX

2011年 2012年MoU Joint

Q4 上期 下期

金融危機関連プロジェクト

IFRS 9号の強制適用の延期 コメント期間

金融商品(減損) 再公開草案 or RD ✓ ✓

金融商品(一般ヘッジ) RDTargetIFRS

金融商品(マクロヘッジ) ED

IASB Work Plan(2011年9月30日現在)

IFRS 10MinutesPwCが国際財務報告基準に関する最新情報を簡潔にお届けするニュースレター

Vol. 152011年10月

• IASB Work Plan (9月30日版)

• IASB 公開草案: 投資企業を公表

• IFRS Conference 米国 ボストンで開催

• ACCA IFRSに関する調査結果を公表

• 日本企業におけるIFRSプロジェクトの対応

- 【IFRSを巡る状況の変化を受けて】

• コラム

- ASBJ/FASB定期会合を実施

- IASB 、ESMA向けに提出されたレターを公表

- 金融庁、連結財務諸表規則等を改正

- 企業会計審議会の開催状況

再公開草案公表時期は、2011年第4四半期から2012年上期へ

• (金融商品)減損、ヘッジの再公開草案又はレビュードラフトの公表時期を延期へ

• (保険契約)修正公開草案又はレビュードラフトの公表時期を延期へ

• (その他)複数のプロジェクトを追加

(続きは01ページ)

金融商品(マクロヘッジ) ED

金融商品(資産/負債の相殺)

Target IFRS ✓ ✓

連結(投資企業) コメント期間 ✓

MoU プロジェクト

リース再公開草案

TargetIFRS

✓ ✓

収益認識 再公開草案TargetIFRS

✓ ✓

その他のプロジェクト

保険契約RD orReED

年次改善(2009-2011) コメント期間

年次改善(2010-2012) ED

IFRS 1号の改訂 ED

IFRIC 20号 IFRIC 20

3year Public Consultation コメント期間

RD: Review Draft ReED: 修正公開草案 IFRS: 最終基準

発行日

What’s New8/18-19

発行主体 発行物

ASBJ / FASB 定期会合を実施 【ページ 8】

9/5 金融庁 国際会計基準審議会の議論内容及び討議資料等の調査分析等(平成22年度)の成果物を公表

9/8-9 IFRSIC 会議: IFRS Interpretations Committee Meeting

8/25 金融庁 企業会計審議会開催 【ページ 8】

連結財務諸表規則等を改正 【ページ 8】8/31

公開草案:投資企業を公表 【ページ 2】IASB / IFRSF8/25

モニタリングボード 市中協議文書へのコメントの要訳を公表IASB / IFRSF9/9

8/30

金融庁

IASB / IFRSF 売却可能有価証券(ソブリン債)の会計処理に関するESMAに対するレター(8月4日付)を公表 【ページ 8】

9/19-23

9/15-16

IASB

IASB World Standard Setters Meeting

会議: ボードミーティング September 2011

9/14 IASB / IFRSF Work Planを更新 【表紙、ページ 1】

10/19-20 IASB 会議: ボードミーティング October 2010

9/30 IASB / IFRSF Work Planを更新 【表紙、ページ 1】

10/17 金融庁 企業会計審議会開催 【ページ 8】

10/5-7 AICPA / IASB IFRS Conference 米国 ボストンで開催 【ページ 3】

モニタリングボード 市中協議文書へのコメントの要訳を公表IASB / IFRSF9/9

10/19 IFRSIC IFRIC解釈指針: IFRIC 20号 露天掘り鉱山の生産段階における剥土費用 【ページ 2】

公開草案: IFRS 1号の改訂(政府補助金) 【ページ 2】IASB / IFRSF10/20

01IASBWork Plan(9月30日版)

その他のプロジェクト追加項目②(IFRIC 20号 露天掘り鉱山の生産段階における剥土費用)

• IFRIC 20号「露天掘り鉱山の生産段階における剥土費用」を2011年10月19日に公表済

• 露天掘り鉱山の生産段階での剥土活動から生じる2種類の便益(棚卸資産を生産するのに使用可能な鉱石の獲得と、将来の期間に採掘される原料へのアクセスの改善)が企業に生じる場合の当該活動のコストの会計処理に関するガイダンスを提供

• 2013年1月1日以降開始事業年度から適用(早期適用も可能)

• IFRIC 20号の公表に併せて、IFRS 1号の規定も修正

その他のプロジェクト追加項目③(年次改善 2010-2012)

• IFRS解釈指針委員会が、2011年11月に公表を予定している

IASBは、2011年9月30日にWork Planを更新(同9月14日に更新後、再度更新)しました。最新のWork Planでは、7月26日版WorkPlan(2011年8月発行 10 Minutes Vol. 14で解説)に比べ、主要プロジェクトの多くの検討項目について、再公開草案、修正公開草案、レビュードラフト、最終基準の公表目標が、それぞれ3カ月から6カ月延期されるスケジュールが示されています。

また、最新のWork Planでは、その他のプロジェクトとして、「年次改善(2010年-2012年)」、「IFRS 1号の改訂」、「IFRIC 20号 露天掘り鉱山の生産段階における剥土費用」が、新たに追加されています(表紙: IASB Work Plan (2011年9月30日現在) 参照)。

主要プロジェクトの変更(金融商品、収益認識、リース、保険契約)

(金融商品)

• 減損について、再公開草案またはレビュードラフトの公表時期 • IFRS解釈指針委員会が、2011年11月に公表を予定しているIFRSの改善(2010年-2012年)の公開草案を追加

• 2011年9月のボードミーティングでは、以下の項目を含めることを仮決定済み

- IFRS 2号 「株式報酬」‐権利確定条件および権利確定条件以外の条件

- IFRS 8号 「事業セグメント」‐セグメント資産の調整表

- IAS 1号 「財務諸表の表示」 ‐負債の流動/非流動区分

- IAS 7号「キャッシュ・フロー計算書」‐資産化された支払利息の分類

- IAS 12号 「法人所得税 」‐売却可能負債証券の未実現損失に対する繰延税金資産の認識

- IAS 16号 「有形固定資産」- 再評価モデル ‐減価償却累計額の比例的再表示

- IAS 36号 「資産の減損」 - 使用価値と売却費用控除後の公正価値の開示の調和

• 減損について、再公開草案またはレビュードラフトの公表時期が、2011年第4四半期から2012年上期に延期

• 一般ヘッジについて、2011年第4四半期にレビュードラフトを公表し、2012年に最終基準化を目標に延期

(収益認識)

• 再公開草案の公表予定を2011年第4四半期に延期(10月のボードミーティングでの審議(期中報告での開示の検討)をもって、審議は終了しているため、間もなくの公表を想定)

(リース)

• 再公開草案の公表予定を2012年上期に延期(9月、10月のボードミーティングでは、適用範囲や、貸手の処理を審議)

(保険契約)

• レビュードラフトまたは修正再公開草案の公表予定を2012年上期に延期

その他のプロジェクト追加項目①(IFRS 1号の改訂)

• IFRSを初度適用する際、IAS 20号の10A項(市場金利よりも低利の政府からの借入金を当初の公正価値で測定することを要求する規定)の適用を遡及適用(現在の規定)から、将来に向かって適用するよう改訂することを提案

• 2011年10月20日に公開草案を公表済(2012年1月5日までコメントを募集

2011年8月25日、IASBは、公開草案「投資企業」を公表し、一定の要件を満たすことで投資企業と定義された企業が、支配する投資先を連結する代わりに、純損益を通じて公正価値で評価する例外を設ける提案を行っています。これは、本来の投資企業の目的を考慮した際、投資先を公正価値評価することによって、投資企業の業績に関してより有用な情報が提供されると考えられることによります。

公開草案は、2012年1月5日までのコメント募集後、IFRS 10号、 IFRS 12号等(原則として2013年1月1日以降開始事業年度より適用)を改訂する形での最終基準化が想定されています。

02IASB 公開草案:投資企業を公表

投資企業およびその親会社がある場合の会計処理(イメージ図)

投資企業に要求される主な開示項目

1. 投資企業が支配する投資に関する情報

参考:IASBスタッフ公表「スナップショット」(2011年8月25日)公開草案「投資企業」の主なポイント

• 投資企業の定義を明確化(下記参照)• 投資企業が支配する投資先をIFRS10号の原則(支配の有無を

規準)に従って連結する代わりに、公正価値で評価する例外を

投資先A 子会社Eジョイント

ベンチャーD投資先B 関連会社C

非投資企業

投資企業

IASB: 連結FASB: 公正価値

純損益を通じて公正価値評価

1. 投資企業が支配する投資に関する情報(投資先の名称、設立された国又は所在地、投資先に対する比例的所有持分、議決権の割合(異なる場合))

2. 投資企業の投資活動の内容及び財務的影響の評価を可能にするための情報(例:各種1株当たり情報等)

3. 既存の基準(IFRS 7号、IFRS 12号、IFRS 13号)で求められている開示に加えて開示される項目

- 企業の状態の変更及びその影響(例えば変更の旨・変更理由等)

- 契約上の義務を有さずに、財務その他の支援を投資先に提供したか否か

- 支配している投資先への財務その他支援の現在の意図

- 投資先が投資企業に配当等によって資金を移転する能力に対する著しい制限とその程度

米国基準とのコンバージェンスの状況

• 共同プロジェクトを進めているFASBの公開草案が公表されています。

• FASBの提案では、最上位の親会社が非投資企業であっても、間接的に支配する子会社を公正価値評価するとして、IASBの提案と異なる提案を行っています。

規準)に従って連結する代わりに、公正価値で評価する例外を規定

• 投資先が子会社、関連会社、ジョイントベンチャーのいずれであっても、それぞれ公正価値で評価

• 投資先の子会社の公正価値評価を引き継ぐ場合には、最上位の親会社が投資企業である必要がある(右イメージ図にて、投資企業は、子会社を公正価値で評価するが、投資企業に該当しない非投資企業においては、子会社を連結する)

• 開示の規定(IFRS 12号)も併せて改訂予定

投資企業と定義されるための6つの要件(全てを満たすことが必要)

• 実質的な活動が、複数の企業に対する投資活動のみで、資本の増価と投資収益(配当や利息)のいずれかもしくは双方の獲得を目的としている

• 企業の事業目的が、増価と投資収益(配当や利息)のいずれかもしくは双方の獲得を目的としている明示的なコミットメントがある

• 企業の所有が、投資単位(例:株式やパートナーシップ)で表され、純資産が所有単位に比例して、所有者に帰属する

• 投資家からの資金がプールされており、投資家が、専門的な投資管理によるベネフィットを得ることができる

• 企業が、実質的に全ての投資を、公正価値によって管理しており、業績も公正価値で評価されている

• 企業が、投資活動の財務情報を投資家に提供している

IASBは、AICPAと共同で、2011年10月5日から7日に、米国、ボストンにてAICPA/IFRS Foundation Conferenceを実施しました。会議では、IASBのハンス フーヘルフォルト議長をはじめ、IASB/FASBボードメンバー、IFRS財団トラスティメンバー等によるスピーチやパネルディスカッションがありました。フーヘルフォルト氏がIASB議長として米国でスピーチするのは初めてであり、米国のIFRSの適用(取り込み)についての見解が示されました。

03IFRS Conference米国ボストンで開催

IASB ハンス フーヘルフォルト議長のスピーチの要点

(イントロダクション)• 金融危機の結果、透明性と投資家保護の必要性を認識• 透明性を高めるために、高品質な財務報告基準が不可欠(グローバル会計基準の重要性)• 単一の「会計言語」の利用により、国際的に事業を営む企業の

作業の重複や翻訳によるリスクの低減が可能となる(フォード社

(実際のIFRSの利用)• IFRSを完全に適用している国は少ない、また、EU圏では、IAS

39号のカーブアウトによってIFRSを完全に適用していないと言われるが、実際にはカーブアウトの事例は限定的(EU圏の上場会社約8,000社の1%未満の30社程度に過ぎず、その他の上場会社はIFRSを完全に適用している)

• G20の多くの主要各国は、IFRSを完全に適用している(適用)• IFRSの基準の不整合な適用によって比較可能性が困難との批

判があげられる(例えば、ギリシャのソブリン債の会計処理等)が、異なる会計基準を利用していても不整合は生じる

• 世界でIFRSの基準が整合的に適用されるために、証券当局や会計専門家と作業を進めており、SECの豊富な経験と積極的な参加は、IFRSの強化に大きな便益がある

(準備とコスト)作業の重複や翻訳によるリスクの低減が可能となる(フォード社のケースを具体例として説明)

• 投資家にとっても得られる便益は、大きな意味がある• 米国市場の時価総額は世界の30%を僅かに上回る程度だが、

これは、米国市場の縮小によるのでなく、アジア他の地域の著しい成長による相対的な結果であり、今後もこの傾向は続く

(SECによるIFRS(適用)の検討)• SECのIFRSに関連する決定は、米国のみならず、IFRSの適用

を正式に決定していないその他の国にも重要な意味がある• IFRSを米国の財務報告システムに取り込むことへは賛否両論

あるが、多くは有効な議論である(品質)• IFRS適用の決定において品質の比較は重要な要素ではない

- すでにコンバージェンスを進めてきており、IFRSと米国基準の品質の相対的な優劣の議論は有意義ではない

- 学術的にも、両基準は共に高品質な基準であると結論付けられており、これまでの改善の結果、両者は、かなり近づいた内容になってきている

- 両基準とも、すでに大規模な資本市場で利用されており、それぞれに相対的な強みと弱みがある

(準備とコスト)• 多くの米国企業が適用コストを懸念しているが、すでにコン

バージェンス等を通じて、IFRSの豊富な知識や経験がある• 他国(ブラジルや韓国等)でもIFRSの導入は短期間で可能で

あったため、米国でも十分に可能と考えられる((米国の)主権)• 米国基準がIFRSに向かうか否かに関わらず、FASBとSECが会

計基準に最終的な責任を有することは明らか• 米国の主権は、他の国や地域と同様、エンドースメントのメカニ

ズムを利用することで維持できる(IASBの独立性)• FASBのモデルを参考に、デュープロセスを改善し続けている• 政治的な圧力の存在は否めず、IASB、FASBともに金融危機

の中で会計基準を一部緩和した事実がある(結論)• 10年にわたるコンバージェンスの結果、米国が、IFRSに対して

の消極的な結論を下す、もしくは、国際的なリーダーシップを放棄するとは考え難い。仮に米国が、コンバージェンスを中止すれば、多様化につながってしまう

• SECが積極的な方向に向けた決定をすると考えている

注: 上記のスピーチの要点は、スピーチ全文の完全な翻訳ではありません。スピーチの原文は、リンク先のIASBウェブサイトをご参照ください。http://www.ifrs.org/NR/rdonlyres/511C82B8-02F4-4E93-93B8-B84534E590C9/0/HHoogervorstBostonOctober2011.pdf

2011年10月、ACCA(the Association of Chartered CertifiedAccountants、ロンドン)は、企業のCFOなどのシニアエグゼクティブ(以下企業のCFO)と投資家を対象に2011年8月に実施した調査の結果を要約した「Towards greater convergence」を公表しました。この調査報告では、世界各地域から選定された163人を対象とした、グローバルスタンダード(IFRS)の導入についての各種質問への回答結果が要約されています。

04

1. IFRSの導入の利点は、IFRS導入費用を上回るか?

3. IFRSの浸透は、企業のクロスボーダーでの事業活動の展開にどのような影響があるか?ACCA IFRSに

関する調査結果を公表

18%

43%

39%

7%

62%

31%

導入費用が利点より大きい

分からない

利点が導入費用より大きい

0%

6%

42%

46%

6%

2%

9%

33%

48%

7%

非常に悪い影響がある

悪い影響がある

あまり影響しない

良い影響がある

非常に良い影響がある

投資家 CFO

企業のCFO、投資家ともに、IFRSの導入の利点はIFRS導入費用よりも大きいと考える回答者が、その逆よりも多くなっています。

2. 金融危機により、IFRS導入に対する見解が変わったか?

過去数年間の金融危機のなかで、グローバルスタンダードとしてのIFRSの導入を、より肯定的に考える回答者が、企業のCFO(52%)、投資家(58%)それぞれで、過半数を超えています。

企業のCFO、投資家それぞれ約半数の回答者が、IFRSが世界各国に浸透することで、企業のクロスボーダーでの事業活動に良い影響があるとの回答をしています。

4. IFRSの浸透によって、資金調達が容易になるという影響があるか?

企業のCFOの約40%、投資家の約50%の回答者が、IFRSの導入によって、資金調達が容易になったと回答しています。

18%

投資家 CFO

5%

13%

30%

36%

16%

2%

11%

29%

43%

15%

消極的になった

やや消極的になった

変わらない

やや肯定的になった

肯定的になった

投資家 CFO

0%

13%

48%

36%

3%

1%

15%

35%

47%

2%

悪い影響がある

やや悪い影響がある

あまり影響しない

良い影響がある

非常に良い影響がある

投資家 CFO

05ACCA IFRSに関する調査結果を公表(続き)

7. 調査結果報告でのその他のコメントの抜粋

(金融危機の影響について)

• 多くの回答者は、IFRSや国際監査基準導入の投資をしないことで発生するコストは、いかなるコンバージェンスのコストよりも大きいと考えている。

(資金調達について)

• 多くの回答者は、国内、海外双方に単一の業績測定基準を利用する利点があると考えている。

• 約25%の回答者が、実際のIFRSの適用によって、資金調達コストが削減されたと回答している。

(リスクマネジメントについて)

• 多くの回答者は、IFRSの導入は、企業のリスクマネジメントにも

5. 国際監査基準への移行が、監査の品質と監査実施の費用についてどのような影響があるか?

国際的な会計基準とともに国際的な監査基準への移行の利点に

17%

32%

24%

27%

0%

3%

26%

26%

42%

3%

利点はない

明確な利点はない

違いはない

ある程度の利点がある

多くの利点がある

投資家 CFO

• 多くの回答者は、IFRSの導入は、企業のリスクマネジメントにも何らかの利点があると考えている。

• 多くの回答者は、財務、非財務それぞれで企業の業績を測定する統一のモデルの開発に賛成している。

• 多くの回答者は、非財務報告のグローバルな基準が、企業の環境リスクの管理にも大きく貢献すると考えている。

(統合報告について)

• 多くの回答者は、グローバルな基準の導入で、財務報告以外(CSRや環境リスクなど)の報告も改善されると考えている。

• 多くの回答者は、財務報告以外の報告によってグローバルなベンチマークを形成することが、企業の投資家や顧客からの評判を高めると考えている。

• 地域別に分析するとIFRSを導入していない米国でも62%、EU圏では70%以上、中東では約80%の回答者が、統合報告に利点があると考えている。

• 約70%の回答者が、コーポレートガバナンスのスタンダードやベンチマークの策定が、企業のより長期的な思考を助長すると考えている。

6. 非財務情報を統合する報告は、投資家や企業にとって有用か?

企業のCFO、投資家ともに、約3分の2の回答者は、財務報告と非財務報告の情報の統合報告が有用とであると回答しています。多くの回答者は、より良い意思決定、より正確な業績の策定の双方の観点から、統合報告される財務、ガバナンス、サステナビリティの情報は非常に有用であると回答しています。

参考:ACCA survey, August, 2011 “Towards greater convergence”

国際的な会計基準とともに国際的な監査基準への移行の利点にも一定の理解がされています(企業のCFO 27%、投資家45%)。

8%

6%

19%

30%

37%

12%

6%

15%

45%

22%

分からない

明確な利点はない

煩雑なため個別に報告すべき

企業の意思決定に有用

業績が明瞭になり有用

投資家 CFO

現在、日本におけるIFRSの適用については、その強制適用の時期、および適用の方法が未確定な状況にあります。2009年6月11日に金融庁企業会計審議会から公表された「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)」において、日本におけるIFRSの強制適用は2012年を目途に決定され、少なくとも3年間の準備期間が必要とされたことから、多くの日本企業では、早ければ2015年3月期(3月決算会社の場合)からIFRSが強制適用される可能性があることを前提に適用の準備が進められてきました。しかしながら、現時点では、2015年3月期からの強制適用がないことが明らかとなり、かつ強制適用の時期と適用方法が決定されていない状況にあります。

本稿では、現在のIFRSの適用を巡る状況の変化を受けての、日本企業のIFRSプロジェクトの対応例をご紹介します。

日本企業が置かれている状況

現在の状況のきっかけは、6月21日の金融担当大臣談話でした。

06日本企業におけるIFRSプロジェクトの対応〔IFRSを巡る状況の変化を受けて〕 IFRSの適用を巡る状況

• 日本での強制適用時期が不明確(2017年3月期以降と

① IFRS適用を法制度対応とだけ捉える企業⇒ プロジェクトを休止また

は延期

二極化

検討の結果、IFRSプロジェクトの対応は二極化していると言えます。すなわち、IFRSプロジェクトを休止するケース(右図①)と継続するケース(右図②、③)の二極化です。

日本企業の対応は二極化

現在の状況のきっかけは、6月21日の金融担当大臣談話でした。

談話の骨子(2011年6月発行 10 Minutes Vol. 13で解説)

• 少なくとも2015年3月期の強制適用は考えていない

• 仮に強制適用する場合でも、決定から5~7年程度の準備期間が必要である

• 2016年3月期で使用終了とされている米国基準での開示は使用期限を撤廃する

仮に2012年に強制適用が決定されるとすると、日本でのIFRS強制適用は、5~7年程度の準備を経て2017年以降ということになります。

一方で、上記の通り、日本企業におけるIFRSプロジェクトの多くは、これまで2015年3月期にIFRSを適用することをターゲットにしていたと思われます。それらの企業にとって、当初の想定より少なくとも2年の時間的余裕ができたことになり、この2年間をどう利用するのかについて、日本企業、特にIFRSプロジェクトを推進していた企業ではターゲットの再検討が必要となりました。

日本企業の対応

PwCが関与している多くのIFRSプロジェクトでも、ターゲットの再設定が検討されました。

上図の①と②、③の割合について正確な調査結果はありませんが、PwCが関与しているプロジェクト等から得られた情報を総合すると①のケースは少数派なのではないかと分析しています。

休止(①)と継続(②、③)の判断根拠として、複数の要素が考えられます。要素の1つは、上図の通りIFRS適用の目的を「法制度対応」とだけ認識しているか、あるいはIFRS適用に併せて他の課題への取り組みを進めようとしているかの違いです。その他の大きな要素はコストであり、プロジェクトを休止するまでに費やした時間的、金額的コストがどれくらいか、休止することでそれが無駄になるかどうかという点です。

また、②と③はIFRSプロジェクトの目的がプロジェクト開始の段階から明確に意識されていたか否かの違いです。興味深いのは、今回のターゲットの再検討の過程で、それまで明示的に意識されていなかったIFRSプロジェクトの目的、特に「法制度対応」以外の目的があらためて認識されるケース(ケース③)があることです。

想定される) ② IFRS適用をグループ企業改革の契機と捉えている企業

③ IFRS適用の意義を改めて見直し目的を明確化した企業

⇒ プロジェクトを継続

07日本企業におけるIFRSプロジェクトの対応〔IFRSを巡る状況の変化を受けて〕(続き)

「統合」には様々な意味がありますが、企業再編やグローバル化により、商習慣や歴史が異なり、地理的な隔たりがある複数の事業体を一体して運営し、成果を出すには、全体にまたがる統合された経営管理の仕組みが必要です。また、その経営管理を、低コストで、かつ、スピーディーに実現しなければなりません。その有効な手法が、経営管理、業務オペレーション、およびシステムの統合、標準化です。

迅速かつ正確に財務会計を行うためだけでなく、事業や拠点の業績管理を行う管理会計に際しても、会計処理方針が統一されていることは非常に有用です。また、日本基準を採用していた日本企業がIFRSベースの財務情報を開示するために、勘定科目の見直しが必要になる場合がありますが、これを契機に、グループ会社全体に共通の勘定科目を導入することが、情報の管理軸や詳細度の揃ったデータを適時に収集することに有用です。

日本におけるIFRSの強制適用は、事実上延期になりました。しかし、依然、近い将来、何らかの形で、IFRSが強制適用となる可能性は

ケース 対応例

① a. 強制適用に対応すること以外に、IFRSを適用する理由はない(目的)

b. IFRS対応プロジェクトを開始したばかりであり中断する障害がない(コスト)

a. 企業活動のグローバル化を予定しており、IFRSにはグローバル単位の経営管理体制を構築するツールとしての意義がある(目的)

• 効果的・効率的グローバル経営管理を行うためにIFRSは有用(⇔日本基準では困難)

b. 組織、人材のグローバル化へ対応する必要がある(目的)

IFRSプロジェクトの対応決定理由

し、依然、近い将来、何らかの形で、IFRSが強制適用となる可能性は高いと言えます。そのような環境下にある企業が、上記のような会計関連の「統合」を課題として認識していた場合、IFRSの適用と課題への取り組みを別々に行う二重投資を避け、両者を併せて取り組もうとするのは自然なことです。しかも、従前に比べてIFRS適用までの準備期間に余裕ができました。以前は、IFRSの強制適用を必要最小限の対応で乗り切ろうとしていた企業が、強制適用の延期によって、プロジェクト検討対象の拡大を検討しているという例もあります。

IFRSプロジェクトの目的(例)

IFRS適用(IFRSプロジェクト)の目的

ケース②や③を選択した企業は、IFRS適用、あるいはIFRSプロジェクトの目的をどのように捉えているのでしょうか。意識されている目的は企業によって様々ですが、多くの企業に共通するキーワードが「統合」です。

昨今、多くの日本企業は従来以上にグローバルな経営に目を向けざるを得ない環境にあります。あるいは、企業活動において強みとなる事業領域を絞り込み、かつ一定の事業規模を持たなければ競争に勝てないケースも多く、国内外を問わず様々な形で企業再編が行われています。さらには、一層のコスト低減と共に、財務報告については連結ベースでの適時な報告が求められています。すなわち、従来以上に「グローバル化」、「スピード」、「コスト」という3つの課題に取り組む必要がある状況です。

この3つの課題を解決する重要なキーワードの一つが「統合」です。

※ 毎号連載している「IFRSプロジェクト事例紹介」は、本号では休載させていただきます。

(目的)

• IFRSは世界共通言語であり、グローバルでの人材活用を行いやすい

c. IFRS対応プロジェクトがすでに進んでおり、中断に伴うデメリットが大きい(コスト)

• 近年中にIFRSが強制適用され可能性は高いと思われる

• 強制適用時期の延期により適用準備期間に余裕がある

• グローバルでの会計処理標準化は「統合」実現に有用

二重投資を避けるため

取り組みを統合

IFRSへの対応

経営課題の解決

もちろん、上記の「IFRSプロジェクトの目的」はすべての企業にあてはまる訳ではありません。しかし、IFRSプロジェクトのターゲット再検討の際に、長期的な視点で企業が抱える課題を併せて検討することは、その結論の如何を問わず意義のあることと言えるでしょう。

ASBJ/FASB 定期会合を実施

ASBJとFASBの代表者は、2011年8月18日、19日に、11回目となる定期会合を東京で開催(ASBJとFASBが年に2回実施)しました。 両者は、双方のプロジェクトの最新状況を確認し、FASB とIASB が取り組む、以下の個別プロジェクトについての意見交換を行いました。

(金融商品)

• FASBとIASBにおいて直近で議論されている金融資産の信用減損モデル、及びFASB において議論が継続されている分類と測定

(収益認識)

• FASB とIASB より公表予定の再公開草案に向けた検討状況

(リース)

• FASB とIASB より公表予定の再公開草案に向けた検討状況

金融庁、連結財務諸表規則等を改正

金融庁は、2011年8月31日、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則等」の一部を改正(2011年8月3日に改正案を公表後、同16日までコメントを募集)しました。

これにより米国基準に従って連結財務諸表を作成している日本企業が、金融商品取引法上の連結財務諸表の作成基準として、米国基準を使用できる規定の使用期限(2016年(平成28年)3月31日まで)が撤廃されました(中間連結財務諸表規則及び四半期連結財務諸表規則についても同様)。

企業会計審議会の開催状況

金融庁 企業審議会総会・企画調整部会合同会議が、2011年8月25日、10月17日の両日に開催され、国際会計基準(IFRS)に関する

08コラム

• FASB とIASB より公表予定の再公開草案に向けた検討状況

(保険契約)

• 保険契約負債の再測定から生じる変動の影響等の会計処理

次回の会合は2012 年第1 四半期にノーウォークで開催する予定です。

IASB、ESMA向けに提出されたレターを公表

IASBは、2011年8月30日に、ESMA(European Securities andMarket Authority <欧州証券市場監督局>)向けに同8月4日に発行されたレターをウェブサイトにて公表しました。このレターでは、欧州の複数の会社の財務諸表において、売却可能有価証券(特にギリシャ国債を含むソブリン債)の減損の判定について、IAS 39号の本来意図する公正価値測定とは異なる考え方によって会計処理がされていることについて大きな懸念が示されています。

具体的には、ギリシャ国債に関して未だ取引が行われている状況で、市場価格を考慮せず、内部の評価技法(ソブリン債に対して予定されているリストラクチャリングの結果を反映した将来のキャッシュフローの現在価値を反映)のみを利用して減損額を算定していることなどが懸念されています。

25日、10月17日の両日に開催され、国際会計基準(IFRS)に関する討議が実施されました。各回とも、各委員、専門委員の意見が収集された上で議論がされましたが、特段の決定事項はありませんでした。

1. 研修サービス

IFRSの規定の解説に加え、業種特有の論点や欧州での適用事例などを豊富に取り上げた研修会を実施いたします。また、貴社固有の論点についてのディスカッションも行います。

2. 予備調査・コンバージョン支援サービス

(1) IFRSクイックレビュー

企業がIFRS適用にあたって解決すべき課題を6つの観点(業務プロセス、システム、組織、内部統制、教育制度、管理会計)から整理し、これらの課題について、解決の方向性とコストの概算等を提示します。本格的な予備調査を実施せず、簡易的にIFRS適用の影響を把握したい会社へのサービスです。

3. 会計基準適用アドバイザリー・サービス

新会計基準の適用方法や新規取引、特定案件への会計基準の適用について技術的支援を行います。IFRS適用前においては、IFRS導入を見据えたアドバイスを提供します。

4. 財務報告プロセス改善支援サービス

グループ会計マニュアルの作成・導入や決算早期化、決算プロセス効率化・標準化など、グループレベルでの財務報告体制の改善について、J-SOX対応を図りつつ支援します。

5. 業務プロセス改善支援サービス

IFRS適用により影響を受ける広範なシステム・業務プロセスについて、IFRS適用の実現を図る取組を支援します。また、IFRS適用を

PwCがお手伝いできること

How PwC can help

を把握したい会社へのサービスです。

(2) 予備調査

IFRSの適用を検討するために必要な調査を行います。財務数値への影響のみならず、業務プロセスやシステム、事業計画などIFRS適用がもたらす影響の概要を把握し、IFRS適用までの実行計画案を策定します。

(3) IFRSコンバージョン支援サービス

IFRSの適用プロセスをいくつかのサブフェーズに区切り、IFRS適用後の会計処理方針策定、グループ会計マニュアル作成、必要な業務プロセス改革、システム改修/構築等、貴社のIFRS適用を全面的に支援します。

て、IFRS適用の実現を図る取組を支援します。また、IFRS適用を好機に行うさまざまな業務改革についても全面的に支援します。

6. 連結システム・会計システム等導入支援サービス

IFRS適用後の業務を効率的に運用するために必要な連結システム・会計システム及び様々な業務システムの導入を構想立案・要件定義から実際の導入運用までを全面的に支援します。

7. IASBの動向についての情報提供サービス

IASBの公表するディスカッションペーパー、公開草案等の情報およびその解説をいち早く提供します。

予備調査IFRSの適用

会計/業務プロセス/情報システム定着化

Phase 1 Phase 2 Phase 3

3~6ヶ月 6~12ヶ月12~30ヶ月

PwCの3フェーズ・アプローチ

IFRSクイックレビュー

1週間

PwC Japan

あらた監査法人

プライスウォーターハウスクーパース株式会社

税理士法人プライスウォーターハウスクーパース

PwC Japan IFRS情報提供ウェブサイト:

Contact us

PwC Japan IFRS情報提供ウェブサイト:

www.pwc.com/jp/ifrs

PwC Japan IFRS プロジェクト室:

電話: 03-3546-8192

E-mail: [email protected]

©2011 PwC. All rights reserved. Not for further distribution without the permission of PwC. “PwC” refers to the network of member firms of PricewaterhouseCoopers International Limited (PwCIL), or, as thecontext requires, individual member firms of the PwC network. Each member firm is a separate legal entity and does not act as agent of PwCIL or any other member firm. PwCIL does not provide any servicesto clients. PwCIL is not responsible or liable for the acts or omissions of any of its member firms nor can it control the exercise of their professional judgment or bind them in any way. No member firm isresponsible or liable for the acts or omissions of any other member firm nor can it control the exercise of another member firm’s professional judgment or bind another member firm or PwCIL in any way.