クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info ·...

39
2010 クリーン・コール・デー国際会議』関連資料 クリーンコールを巡る最近の動向 2010 平成 22 9 7 ( ) 石炭エネルギーセンター 技術・情報委員会 ( 本資料は、( ) 石炭エネルギーセンターホームページ: http://www.brain-c-jcoal.info/news_images/ccd2010_material.pdf にアップしております。)

Upload: others

Post on 23-Jun-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

『2010 クリーン・コール・デー国際会議』関連資料

クリーンコールを巡る最近の動向 2010

平成 22 年 9 月 7 日

(財)石炭エネルギーセンター

技術・情報委員会

(本資料は、(財)石炭エネルギーセンターホームページ:http://www.brain-c-jcoal.info/news_images/ccd2010_material.pdf にアップしております。)

Page 2: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

目次

Ⅰ世界の石炭消費と生産動向

1.石炭の生産・消費は堅調な伸び・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1

2.石炭の価格は、相対的に安価 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2

3.今後の石炭消費動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3

Ⅱクリーンコールを巡る政策及び技術開発動向

1.CO2 削減シナリオ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

2.火力発電高効率化の状況と今後 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4

3.日本の発電技術は、世界のトップランナー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5

4.日本企業の米国、欧州における石炭火力ビジネスの最新動向・・・・・・・・・・5

5.米国 FutuerGen 最新動向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8

6. IGC C-CCS の施策と投資が世界で進展・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9

7.各国の CCS プロジェクト計画・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10

8.CCS のコスト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11

9.CCS 戦略・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13

10.炭素税と排出権取引・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14

11.CTL・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14

Ⅲ石炭分野における国際協力

1.米国 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

2.カナダ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16

3.中国 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17

4.豪州 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17

5.インドネシア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18

6.ベトナム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18

7.インド ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19

8.ポーランド ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19

9.台湾 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20

Ⅳ主要産炭国の概況

1.豪州 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20

2.米国 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23

3.中国 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27

4.インドネシア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29

5.ベトナム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31

6.インド ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33

7.ポーランド ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34

8.EU ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36

Page 3: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

1

Ⅰ世界の石炭消費と生産動向

1.石炭の生産・消費は堅調な伸び

2009 年における世界の一次エネルギー消費は前年比で 1.1%減少、112 億 toe(石

油換算)となったが、2004 年から 2009 年では年率 1.4%と増加

石炭の消費は、2009 年は前年比では横這いの 32.8 億 toe(68.3 億トン)で、2004 年

から 2009 年での消費量は年率 2.9%/年で増加

この期間で、輸出を主体としているインドネシアの燃料用一般炭の生産は、年率

6.9%と顕著に増加、最大輸出国の豪州は年率 2.1%と漸増

世界の石炭生産は、アジアの経済成長を背景に 2000 年以降、中国・インド・インド

ネシアで急増しており、2009 年には 69.4 億トンに到達

特に中国は 2000 年から 2009 年において 2.35 倍の 30.5 億トンへ増産し、世界の

45%を占める最大生産国

一般炭の生産は、2000 年から 2008 年で中国は 11.1 億トンから 23.3 億トンへ倍増、

インドネシアは 0.6 億トンから 2.1 億トンへと 3.5 倍に増加

原料炭の生産は、鉄鋼需要に連動し増加、2000 年から 2008 年で中国は、1.2 億ト

ンから 4.3 億トンへ 3.4 倍となり世界の 50%

世界の石炭消費は、2008 年後半以降の経済危機において、伸びが鈍化したが、中

国、インドおよび韓国の需要が復調し、米国・日本・EU での減少はあるものの、全

体としては復活基調

2009 年、日本の石炭輸入量は、1.65 億トンと世界の約 2 割を占める最大輸入国で

あるが、中国の石炭輸入が 1.2 億トンと急増

石炭消費量で日本は、4 位ロシア、5 位ドイツにつぐ世界 6 位の消費国

0

1,000,000

2,000,000

3,000,000

4,000,000

5,000,000

6,000,000

7,000,000

2004 2005 2006 2007 2008 2009

1000t

その他

カザフスタン

ポーランド

ドイツ

南アフリカ

インドネシア

ロシア

豪州

インド

米国

中国

出典:IEA, “Coal Information 2010”

【石炭生産の国別推移】

Page 4: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

2

1,886,367 2,098,830 2,305,093 2,454,333 2,683,1793,085,647

1,010,7331,029,721

1,017,0611,027,008

1,021,750

920,808

441,270460,932

490,679534,748

577,206

626,410

0

1,000,000

2,000,000

3,000,000

4,000,000

5,000,000

6,000,000

7,000,000

2004 2005 2006 2007 2008 2009

x1,0

00t

その他

ポーランド

南アフリカ

日本

ドイツ

ロシア

インド

アメリカ

中国

出典:IEA, “Coal Information 2010”

BP “Statistical Review of World Energy June 2010: bp.com/statisticalreview”

【主要国の石炭消費】

2.石炭の価格は、相対的に安価

石炭価格は、スポット価格と長期契約の年度価格の 2 種類

豪州一般炭の FOB スポット価格は 2007 年春頃までは 50~60 ドル/トン程度で推

移したが、中国・アジア中心に需給が逼迫して価格は上昇を続け 2008 年 7 月に約

200 ドル/トンまで高騰。同年 9 月の金融危機以降は世界的に需要が減少し、一旦

50-60 ドルまで急落したが、現状では 90 ドル台で推移

豪州一般炭の長契年度価格はスポット価格急騰の影響を受け、2008 年は過去最

高の 125 ドル/トンまで高騰したが、需要減退により 2009 年は 70.50 ドル/トンに下

落。2010 年はスポット価格回復に伴い、第一四半期は 98 ドル/トン、第 2四半期は

103 ドル/トン

原料炭の年度契約価格は 2008 年に中国を中心とした需給逼迫やスポット価格高

騰の影響を受け 300 ドル/トンまで高騰。その後景気後退に伴い 2009 年度価格は

128-129 ドル/トンへ下落。その後 2010 年度の第一四半期はアジアでの需要回復

を背景に 200 ドル/トン、第 2 四半期は 225 ドル/トンへ上昇

世界のエネルギースポット価格は、中国・インドを中心とした需要増により 2008 年

前半は急騰したが、2008 年 9 月の世界金融危機以降急落、現状は安定

中国では国内需要の拡大により、国際価格よりも国内価格が高く、2009 年は輸入

炭が急増、輸出は激減

2008 年上期の日本の輸入エネルギー価格は、石炭は原油の1/4、天然ガス 2/5

であったが、2009 年 6 月、一般炭は原油の概ね 7/10、LNG の 6/10

長期的にみても、石炭は他の化石燃料に比較し安定して安価

Page 5: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

3

$0.00

$20.00

$40.00

$60.00

$80.00

$100.00

$120.00

$140.00

$160.00

$180.00

$200.00

Mar-00

Sep-00

Mar-01

Sep-01

Mar-02

Sep-02

Mar-03

Sep-03

Mar-04

Sep-04

Mar-05

Sep-05

Mar-06

Sep-06

Mar-07

Sep-07

Mar-08

Sep-08

Mar-09

Sep-09

Mar-10

BJ Spot

Benchmark

API6

出典:ARGUS

豪州一般炭 NSW-Newcastle(6300kcal/kg)FOB 価格(USD/t)の推移

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

10

'65 '67 '69 '71 '73 '75 '77 '79 '81 '83 '85 '87 '89 '91 '93 '95 '97 '99 '01 '03 '05 '07 '09

燃料

価格

(U

S$/1,000kcal)

原 油 LNG 原料炭 一般炭

第二次石油危機

第一次石油危機

湾岸戦争

出典:財務省貿易統計より EDMC 作成/クリーンコール部会資料

【日本の輸入エネルギー源別価格推移】

3.今後の石炭消費動向

世界の石炭消費は 2000 年の 46.4 億トン以来アジアを中心に増加しており、2009

年は 68.3 億トン

特に中国の石炭消費増加が顕著で同期間の年平均伸び率は高く 11.1%

米国 EIA の予測によれば、石炭消費は引き続き、インドを含め中国・アジアを中心

に 2030 年にかけて年平均伸び率 1.6%で増加、2030 年には約 90 億トンまで上昇

消費量増加の主要因は石炭火力発電燃料用で増加量の 8 割以上

Page 6: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

4

Ⅱクリーンコールを巡る政策および技術開発動向

1.CO2 削減シナリオ

IEA のブルーマップシナリオ;2050 年半減のために必要な技術は下図のとおり

ブルーマップ・シナリオによる CO2 排出量削減のための主要な技術

出典:IEA エネルギー技術展望 2010

国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

載されている、2010 年 1 月末までに国連環境計画に各国が提出した温室効果

ガス削減目標数値

2.火力発電高効率化の状況と今後

日本の石炭火力発電の効率は世界第1位

日本・・・・39.7%(送電端、HHV ベース、2010 年での平均、電中研推定)

平成 19 年電中研資料

EU・・・・・38.0%(送電端、LHV ベース、2010 年 VGB ホームページより)

米国・・・・32.5%(発電端、HHV ベース、2008 年での値、2010 年 NETL資料より)

日本の石炭火力は USC の比率が高いこともあり、平均効率は世界で最も高い数

値になっている。

参考:2010 年時点での運転中 USC ユニット数(2010 年以前に運転開始された

ユニットのみを算入)

Page 7: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

5

日本:21 ユニット 中国:12 ユニット EU:7ユニット 米国:1 ユニット

3.日本の発電技術は、世界のトップランナー

(1)最新の新磯子 2 号は世界トップの効率

新磯子 2 号 600MW 蒸気温度 600/620℃ プラント効率:44~46%(LHV)程度

(新磯子 1 号 600MW は蒸気温度 600/610℃)

建設中の舞鶴 2 号(900MW2010 年 8 月に運転開始予定)も含め、日本には約

24 基の USC があり、更に 2 基の USC が 2013 年度運転開始の計画

(2)EU では現在は USC の導入時期

イタリア、スペイン、ポーランドに 2008 年から運転中の USC が7基、2010 年に

運転開始予定が2基、その他計画中は 21 基

ドイツでは下記2基が建設中、運転中は無し

・Walsum10 790 MW 蒸気温度 600/620℃・・・・・・・2010 年運転開始予定

・Neurath F,G 1050MW 蒸気温度 600/605℃・・・2011 年運転開始予定

なお、2014 年建設を目指して A-USC700℃石炭火力を開発中

開発目標:デモプラント 540MW 主蒸気温度 700℃ プラント効率 50%(LHV)

NRW PP700 計画、EON 社 Wilhelmshaven 計画(ドイツ)

(3)中国の状況

最近の運転開始プラントは日本の技術による USC が増加しており、中国でも USC

時代到来

最近の例:外高橋 1,000MW 蒸気温度 605/603℃

北倫港 1,000MW 蒸気温度 605/603℃

4.日本企業の米国、欧州における石炭火力ビジネスの最新動向

(1)石炭ボイラの場合(McCoy Power Reports 2010 による)

過去 10 年を見ると、世界のボイラの発注は 2007 年 179,209MWe がピークであ

った。また 2008 年は 167,665MWe、2009 年の発注は前年の 2008 年から 53%

ダウンの 92,279MWe であった。

中国が世界ボイラ市場を席巻しているが、2009年は中国よりインドの案件が多

い。中国での発注は 2008 年 104,861MWe で世界の 63%、2009 年は

31,900MWe でこれは世界の 40%。中国のボイラ発注ピークは 2003 年で

139,131MWe で世界の 63%。

2009 年の中国とインドでの発注は世界の 82%であり、3 番目に多い国はベトナ

ムの 5%、次にサウジアラビアの 2%。

2009 年のボイラ受注のリーディングカンパニーは BHEL、東方ボイラ、ハルピン

ボイラ、上海ボイラであり、その他のメーカーの受注は少ないものである。

過去 10 年間の世界のボイラ発注量は第 1 位中国 68%、第 2 位インド 14%、

第 3 位米国 3%、第 4 位ドイツ 2%であった。

2008 年及び 2009 年のボイラ発注量(容量)、過去 10 年の発注量、米国市場で

の過去 10 年の発注量のシェアは下図の通り。

Page 8: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

6

(2)欧州、米国の最近の市場の傾向についての日本メーカーの見解

欧米の石炭火力市場は、CCS を導入した場合のコスト増、原子力への回帰、風

力、太陽光など再生エネルギーの投入などにより、石炭火力市場は冷えてい

る。

欧米では経年火力が多いが、延命策がとられ、リプレースについての投資意欲

が少ない。市場はアジアに移動しており、韓国も参入

欧州、米国における重視点・・・需要家が自分でプロジェクトをマネージする

・高効率(高い蒸気条件)×高稼働率

・正確なプロジェクトスケジュールをキープ

・優れた環境対策

・予防保全メンテナンス

アジア市場における重視点

需要家に建設経験がないので、メーカーがプロジェクト作りをサポートする必要

がある⇒この点で中国・韓国メーカーと差別化を図る

・低コスト

・稼働率の維持

2008 年世界のボイラ発注量 379 缶

/167,665MWe(数値は容量比)

2009 年世界のボイラ発注量 229 缶

/78,902MWe(数値は容量比)

BHEL, 24.2%

東方ボイ

ラ, 19.3%

ハルピン

ボイラ, 16.9%

上海ボイ

ラ, 16.0%

B & W, 5.8%

MHI-L & T, 4.2%

Alstom, 1.9%

日立ヨー

ロッパ, 1.0%

Foster Wheeler,

0.6%その他,

10.1%

上海ボイラ, 27.3%

東方ボイラ, 24.4%

ハルピンボ

イラ, 18.9%

BHEL, 6.7%B & W, 5.4%

Alstom, 3.6%

日立ヨー

ロッパ, 2.8%

Foster Wheeler,

1.3%

三菱重

工, 0.8%

バブコック日

立, 0.6%IHI-AE & E,

1.0%

その他, 7.2%

世界全体での過去 10 年の発注量

922,794MWe(数値は容量比)

米国市場での過去 10 年の発注量

24,601MWe(数値は容量比)

上海ボイ

ラ, 21.5%

東方ボイ

ラ, 19.4%

ハルピンボ

イラ, 18.0%

BHEL, 7.2%

B & W, 6.1%

無錫ボイ

ラ, 2.6%

Alstom, 2.4%

日立ヨー

ロッパ, 2.4%

IHI, 1.2%

バブコック

日立, 0.8%

三菱重工, 0.8% MHI-L & T,

0.4%

その他, 17.2%

B & W, 24.7%

Alstom, 24.5%

Foster Wheeler,

20.0%

バブコック

日立, 12.0%

IHI, 9.0%

その他, 9.8%

Page 9: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

7

・プロジェクトの品質を高め、計画通り進める

(3)日本メーカーの強み

欧州メーカーとの比較 米国メーカーとの比較 中国メーカーとの比較 韓国メーカーとの比較

品質・技術面

欧州メーカーは自工場

以 外 に も 分 散 し て製

作。自工場以外での品

質管理が問題がある。

長期間製作から遠ざか

っていた(受注がないた

め)ので、時には単純ミ

スを繰り返す。しかし規

格化がしっかりしてお

り、いずれは強い競争

相手になる可能性あ

り。

100 万 kWSCは連続生

産に入っている。USC

も生産してきているが

重要部は外部からの購

入で中国での調達は今

後の課題。2015 以降に

海外進出する可能性あ

り。

DOOSAN―バブは中

小型が中心であるが、

ようやく700MWクラスの

超臨界を手掛けてい

る。まだ USC には手が

届いていないが、開発

に努力してきている。

価格面

日本メーカーよりやや

高めの印象

日本メーカーに価格競

争力があるので、最近

進出できた。

日本メーカーより圧倒

的に安い。材料費が数

分の1であることが原

因であるが、現段階で

は材料の品質が極めて

良くないのでトラブルを

起こすことが多い。

安い中国製造ボイラを

欧州、アジアに持ち込

んで大きなトラブルを出

している。

韓国勢は国際市場に出

てきて間がないが、競

争力がある。

(4)日本メーカーの弱みと今後の対応

世界最高を誇る日本の技術を追随メーカーも徐々に身につけてきており、いず

れは技術的な差別化が難しくなるものと予測される。

現在中国メーカーは自国のニーズに対応してきているが、将来は自国のニーズ

も鈍くなってくるであろう。その時に海外マーケットに出てくることが非常に懸念さ

れる。中国メーカーと価格競争に入ってしまっては、現状ではとても太刀打ちで

きないと危惧される。

韓国メーカーはすでに国際市場に出てきつつあり、USC の受注競争にも加わっ

てきている。現に、あるプロジェクトは日本メーカーは敗退したケースとなったこと

もある。李大統領自らが原子力と同様に高効率石炭火力についても受注懇請し

てきている。

もはや USC では勝負できなくなる時期が来るであろうから、次の高い技術での

展開が必要である。高い技術とは A-USC あるいは IGCC であり、迅速な商用化

が必要である。この機を逃すと日本のクリーンコール技術の世界的な優位性は

薄らいでいく。

(5)蒸気タービンの場合

海外の市場動向の見通し(国内を代表するタービンメーカーによる)

(数字は 2006 年⇒2030 年での年平均の設備容量増分を示す。)

北米:1200 万 kW/年・・・CO2 分離回収義務化の方向

リハビリ需要が旺盛

Page 10: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

8

ガス火力、再生エネルギーが増加見込み

EU :1300 万 kW/年・・・CO2 分離回収義務化の方向

ガス火力、再生エネルギーが増加の見込み

中国:3800 万 kW/年・・・世界の半分を占める巨大市場

石炭火力が増加見込み

インド:600 万 kW/年・・・大型石炭火力ニーズが拡大

石炭をベースに燃料種別によらず増加見込み

アジア:800 万 kW/年・・・石炭火力・ガス火力がベース電源として増加見込み

中南米:900 万 kW/年・・・化石燃料火力の市場は小さい

水力を中心とした再生エネルギーがベース

国内で培われた技術基盤をもって世界最高レベルの技術を提供し、発電分野で

性能の向上をはかり、先進火力発電システム(USC など)の展開を図る。

海外での生産能力を拡大する。納入実績の多いエリアは以下の通り。

北米(米国、カナダ、メキシコ)、アジア(中国、韓国、フィリピン、インドネシア、

マレーシア、インド)、オセアニア(豪州)、中近東(クエート)等で、ヨーロッパ(西

欧、東欧)、アフリカ、ロシア等への実績は少ない。

5.米国 FutuerGen 最新動向

米国 FutureGen2.0 の発表

2010 年 8 月 5 日に米国 DOE チュー長官から、FutureGen プロジェクトについて

酸素燃焼による CCS に決定したことが発表された。新たなプロジェクトは

FutureGen2.0 としている。DOE NETL はCO2 の地中貯留に対し、酸素燃焼が最

もコストが低いと判断。FutureGen2.0はFutureGenの基本方針を受け継いでおり、

これにより米国は CCS 分野で世界のリーダーと成ることができると、チュー長官

は述べている。

FutureGen2.0 の予算は、10 億米ドル。

Alliance メンバーに、以下の 3 社が加わる。

・Ameren Energy Resources(プラントオーナー)

・Babcock & Wilcox(ボイラーメーカー)

・Air Liquide(酸素設備、CO2 液化設備メーカー)

プロジェクトは世界最初の商用スケール酸素燃焼石炭発電所となり、クリーンエ

ネルギー経済の牽引者となる。

・対象発電所:イリノイ州 Meredosia4 号ユニット(200MW)

・対象設備:ボイラーの新設(地元紙による)、ASU、CO2 の洗浄・加圧・液化

ユニット(90%のCO2 を回収)の新設

・SOx、NOx、水銀、ダストもほとんど排出させない

プロジェクトの意義

・将来の商用プラントでの保証条件となる実プラントベースの性能値や排煙デ

ータが取得できる

Page 11: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

9

・将来の大規模商用プラントの運転性能やメンテナンス経験が得られる

・FutureGen Alliance メンバーは広範囲の炭種の使用確認や酸素燃焼市場を

拡大させるためのテストプログラムを計画することになる

・プロジェクトパートナーは Mattoon(イリノイ州)での CO2 貯留サイト確立のた

めに、イリノイ州とも一緒に各種検討を行う。Meredosia から Mattoon までの

CO2 パイプラインネットワークも建設し、年間 100 万トンの CO2 を貯留する。

6.IGCC-CCS の施策と投資が世界で進展

(1)日本の場合

日本 CCS 調査㈱が日本の CCS 可能性を調査

実証試験候補地は次の 3 か所

・苫小牧沖

・常磐沖

・北九州

大崎クールジェンプロジェクト

170MW:IGCC+CO2回収を計画。まず IGCCシステムとしての信頼性・経済性・

運用性等を検証し,その後引き続き最新の CO2 分離回収技術の適用試験によ

る検証を実施

(2)中国 GreenGen

華能集団が主導で進めるプロジェクト 250MW:IGCC+CCS

石炭ガス化・水素製造、水素タービン発電、CO2 隔離貯留の統合システムの確

第一期として 250MW のプラントを建設中、2011 年完成予定

2020 年までに発電効率 55~60% 400MW の大型実証プラントを建設予定

参加企業は、華能集団、神華集団や電力から4集団、そのほか石炭エネルギー

集団。

(3)豪州 ZeroGen

ZeroGen 社が進めるプロジェクト 530MW:IGCC+CCS

現在プロジェクトは連邦政府によりクリーンエナジーイニシアチブの CCS フラグ

シッププロジェクトにショートリストされた。

プロジェクトは 2015 年に商用ベース IGCC+CCS を建設する事を提案している。

費用はクイーンズランド州政府、石炭協会、三菱商事・重工が負担。

CO2 テスト注入実施、大容量貯留可能が確認され、2010 年にプレFSが終了し、

セントラルハイランド地区へのプラント建設の可能性が調査される。環境影響調

査も行われており、2011 年 9 月にはすべて終了予定。

(4)EU の場合

RWE 社の計画

Page 12: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

10

・450MW:IGCC+CCS

・建設コスト(ガス化設備、発電設備、パイプライン、貯留設備):21 億 2000 万ユ

ーロ(2800 億円程度)±25%の精度

・建設サイト: ゴールドバーグ(ドイツ)

・運転開始: 2014 年末を予定

NUON 社計画

・1300MW:IGCC+CCS

・建設コスト:開示なし

・建設サイト:イームシャーベン(北オランダ)

・運転開始: IGCC 設備:2011 年

地中貯留 :2013 年

7.各国の CCS プロジェクト計画

世界各国で様々な CCS プロジェクトが計画され、政府による実証支援が具体化

各国とも 2020-2030 頃には CCS 商用機の本格的普及実現を目指す

ECBM については現在大規模プロジェクト計画はない

(1)計画中の CCS

豪州、GCCSIによると、分離から貯留まで CCS 全体をカバーする実証規模プロ

ジェクトは 62 件あり、その内訳は次の通りと報告されている。

・段階1(公表されたもの/Identify) 18 件

・段階2(評価されたもの) 20 件

・段階3(定義されたもの) 15 件

・段階4(断念されたもの) 2件

・段階5(稼働しているもの) 7件

Page 13: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

11

(2)現在稼動している CCS プロジェクト

国名 プロジェクト CO2ソース 開始年 年間注入量(MT)

Norway Sleipner Gas.Proc. 1996 9-18

Norway Snohvit/Statoilhydro Gas.Proc. 2008 2-5

Algeria In Salah Gas.Proc. 2004 2-12

US salt creek Gas.Proc. 2004 500-600tpd

Canada Weyburn Coal 2000 5-17

発電企業における運転中の CCS プロジェクト(出典:GCCSI 報告書(2010))

8.CCS のコスト

(1)日本の「低炭素社会づくり行動計画」(2007)革新的技術開発ロードマップによれ

ば CCS のコストについて、国内での回収コストを 2015 年には 2,000 円/t-CO2、

2020 年には 1,000 円/t-CO2、を目標に設定

(2)CCS を行う場合の発電コストを JCOAL が独自に予測

基本的な予測条件は次のとおりとした(詳しくは下記 JCOAL Journal をご参照願

いたい)

・燃料価格(石炭、天然ガス):公表されているEIAの予測数値

・設備建設費や運転コスト:米国 NETL から公表されている数値

・2050年への外挿:学習曲線(ラーニングカーブ)を使用

CCS を行う場合は CCS を行わない場合に比べ、2050 年時点で A-USC で約

25%、IGCC で約 16%の設備費上昇

天然ガスの価格が将来的に上昇すると予測され、2030 年以降、USC、A-USC や

IGCC は天然ガス複合発電より低い発電コストになると予測

2030 年以降は石炭火力の中で、A-USC、IGCC が最も低い発電コストとなると予

CCS なしの場合で、実証段階である IGCC が商用機が普及する成熟技術になる

時点では建設費が 30%低減できると仮定して予測を行った結果では、IGCC が他

の USC、A-USC を凌駕して、IGCC のみがほぼ全面的に建設される。

Page 14: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

12

0.00

10.00

20.00

30.00

40.00

50.00

60.00

70.00

80.00

90.00

100.00

2020

2030

2040

2050

2020

2030

2040

2050

2020

2030

2040

2050

2020

2030

2040

2050

2020

2030

2040

2050

SC USC A-USC IGCC NGCC

均等

化発

電コ

スト

($/M

Wh)

システム

均等化発電コストの内訳(炭素税ゼロ、CCSなし)

Carbon

O &M

Capital

Fuel

0.00

20.00

40.00

60.00

80.00

100.00

120.00

140.00

2020

2030

2040

2050

2020

2030

2040

2050

2020

2030

2040

2050

2020

2030

2040

2050

2020

2030

2040

2050

SC USC A-USC IGCC NGCC

均等

化発

電コ

スト

($/M

Wh)

システム

均等化発電コストの内訳(炭素税ゼロ、CCSあり)

Carbon

O &M

Capital

Fuel

高効率発電システムの将来予測

7.日本の発電技術は、世界のトップランナー

出典:JCOAL Journal 平成21年9月発行 Vol.14「石炭焚高効率発電システムの将来予測」

http://www.jcoal.or.jp/publication/jcoaljournal/dlfiles/JCOAL_Journal-14.pdf

西暦(年) (IGCC 建設費をベースから 30%減とした場合の年ごとの各プラント建設予測)

年ごとの導入容量(GW)

Page 15: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

13

9.CCS 戦略

分離技術の開発に加えて貯留の安全面及び環境面の遵守すべき法的基準の確

立が各国とも重要なテーマ

更に CCS 導入は多くの場合コストが増加し効率が低下するが、その費用を賄うた

めに様々な政策支援検討が必須

(1)EU の CCS 戦略

「エネルギー及び気候変動に関する政策パッケージ」

CCS に関する EU 指令;CCS の法的枠組みを規定

EU-ETS 指令;2015 年までに最大 12 の実証プロジェクトを推進

関連する EU 指令の改正;300MW 以上の燃焼施設に CCR 評価の義務付

助成金:約 30 億ユーロ

(2)米国の CCS 戦略

CCS 技術ならびに法的/社会的の両項目について、Carbon Sequestration

Program として検討を進めている。

DOE では効率向上、コスト低減、低炭素化、CCS のキーワードの下にプログラ

ムを実施

・既設石炭火力:効率改善ならびに CO2 分離設備の追加

・新設石炭火力:高効率微粉炭火力ならびに IGCC

CCS 関連予算は下図のように増加してきており、その内訳は多くが地域での実

証試験(Regional Partnership)に使われている。

DOE の CCT プログラム予算

Clean Coal Power Initiative Round3-6 Projects:

①582MW トランスポートガス化

Page 16: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

14

②770MWConocoPHillips E-Gas IGCC

③257MW 水素 タービン IGCC+CCS

④235MW AEP Mountaineer PC ポストコンパッション

⑤Parish 発電所商用スケール EOR 用ポストコンバッショ

⑥Siemens400MWIGCC+CCS

10.炭素税と排出権取引

CO2 削減の有力な方法として炭素税の課税や排出権取引の導入が計画

炭素税の導入は、国によって様々

EU USA 豪州 日本

炭素税 (フィンランド、スエーデン、ノルウエー、デンマーク、オランダ、ドイツ、イタリア、イギリス、フランス、スイスなど)で導入

ボールダー市のみ導入

導入されていない (カーボンプライスとしていくらに設定するかが議論されている)

環境税が検討されている(平成21年10月総理から諮問された)

排出権取引 EU域内排出量取引制度(EU ETS)を2005年に開始

企業 ,業界 ,自治体などが協力して自主的に導入

2012 年から排出権取引制度の導入することで議論中

自主参加型排出権取引制度が試用中

11.CTL

(1)CTL

最近の間接液化の技術の中で Exxon Mobil が新型 MTG(石炭をガス化してメタノー

ル合成からガソリン製造)を発表した。1985年に生産開始したNew Zealand の経験を

反映して、ガソリン生産量 2,500bbl/d の MTG 製造プラントを中国山西省に建設して

2009 年 6 月に生産を開始。MTG プロセスは従来の FT 合成と比較してガソリン精製

が不要であり、製造コスト、生産効率及び CO2 発生量において優位。

(2)ECOPRO の化学原料製造への展開

ECOPRO は高効率で合成ガスを製造できる石炭ガス化システムであり、化学原料・

燃料製造に向いた技術である。また、高温下で分解して油・ガスとなる揮発分が多

い亜瀝青炭や褐炭等の低品位炭は、熱分解プロセスを特徴とする ECOPRO に適し

ている。

豪州ビクトリア州と、新日鉄エンジニアリング㈱は同州内で実施予定の ECOPRO 実証プ

ロジェクトのFSを、6 百万豪ドルで実施予定(豪州 2/3、日本 1/3)

Page 17: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

15

Ⅲ.石炭分野における国際協力

(1)多国間協力

APEC化石エネルギー専門家会合:APEC域内の主要石炭生産地域及び消費地域

の官民関係者を集め、石炭政策と需給及び CCT 等について情報交換を行い、

石炭需給の安定化及び CCT普及促進を図るため、1994年にアジア太平洋石炭

セミナー(当初は APECコールフローセミナー)として東京で開催し、その後

毎年 APEC域内の国・地域で開催している。APEC 組織傘下のエネルギーワー

キンググループの中の化石エネルギー専門家会合(議長:米国)として位置づ

けられている

クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ(APP):京都メカ

ニズムを補完するスキームとして、 米国のイニシアチブにより 2006年創設。

クリーンで効率的な技術の開発、普及、移転を行うことによって、GHG 排出

削減等を効果的に実施するため、官民による 8 つの部門別タスクフォースを

通じた協力を推進。8部門は、よりクリーンな化石エネルギー、石炭鉱業、

発電及び送電、再生可能エネルギーと分散型電源、鉄鋼、アルミニウム、セ

メント、建物及び電気機器。加盟国は、日本、豪州、カナダ、中国、インド、

韓国、米国の7ヵ国。

東アジア・ASEAN経済研究センター(ERIA):2006年 8月に日本から「東アジ

ア版 OECD構想」として提唱し、2007年 11月の第 3回東アジアサミットの議

長声明等を受け、2008 年 6 月 3 日に ASEAN 事務局における ERIA 設立総会に

て設立。ERIAは、東アジア経済統合推進に向けた政策研究・政策提言を行う

国際的機関として、政策研究の成果を東アジアサミット、大臣会合等に報告

する。

(2)二国間協力

石炭資源確保の観点での二国間協力

オーストラリア:日豪エネルギーHLG

インドネシア:日尼石炭政策対話

ベトナム:日越石炭・鉱物資源政策対話

モンゴル:日モンゴル鉱物資源開発官民合同協議会

クリーンな石炭利用の観点での二国間協力

中国:日中省エネ・環境総合フォーラム

インド:日印エネルギー政策対話、日印エネルギーフォーラム

ポーランド:日ポーランドエネルギー政策対話

CCSの観点での二国間協力

オーストラリア:日豪石炭技術ワークショップ

米国:日米クリーンコール及び CCS協力会議

カナダ:日加クリーンコール及び CCS協力会議

Page 18: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

16

1.米国

【日米クリーンコール及び CCS協力】

2009 年 5月二階経済産業大臣が DOEチュー長官と会談し、CCS を含む低炭素

技術、多国間の国際協力などの分野での協力について意見交換を行い、その

促進に関する共同声明に署名。

2009年 7月に共同声明における CCS協力の一環として、日米両国における石

炭火力発電からの CO2分離回収・貯留技術をはじめ、石炭利用における低炭

素化技術について情報交換を行った。その後、両国で共同研究協力の可能性

のある具体的なテーマについて研究機関レベルで意見交換を実施した。

2010年 7月、第 2回日米 CCS政策対話を実施し、研究協力テーマ及び日米双

方の機関の具体的な MOU 締結の方法について協議した。また、同時に日本の

電力会社及び研究機関による米国の CCS実施サイト視察が行われた。

JCOALは、NETL と酸素燃焼における材料開発について情報交換を主体とした

共同研究を本年度から実施する予定である。

2.カナダ

【日加クリーンコール及び CCS協力】

2009年 9月に経済産業省石炭課は、日加間のクリーンコール及び CCS協力に

ついて協議する政府間対話ミッションをカナダに派遣した。

訪問先:カナダ天然資源省、CANMET、サスカチワン州政府、アルバータ州政

府、サスクパワー社、エンカナ社、バウンダリーダム発電所、ジェネシー第

3発電所、リジャイナ大学、カルガリー地域の大学及び研究所

参加者:経済産業省、NEDO、AIST、クリーンコール及び CCS 等研究・調査機

関 4機関(JCOAL、RITE、電中研、エネ総研)、民間企業 13社(電源開発、中

国電力、日立、バブコック日立、東芝、三菱重工、日揮、東洋エンジニアリ

ング、新日鐵エンジニアリング、双日、双日カナダ、カナダ三菱、カナダ三

井物産)

日本側から、官民 11機関が CCSへの取り組む状況やカナダとの協力の可能性

を説明し、以下のような提案等があった。

①カナダ天然資源省及び外務省と両国が推進する CCS の現状について情報

交換を行い、カナダ側から 2010 年にカナダがホスト国を努める G8 首脳

会合に対する協力要請と、2010 年はカナダ側が日本に CCSミッションを

派遣し、CCS分野での協力の推進。

②サスカチュワン州(州都リジャイナ)からは CO2-EOR(ワイバーンプロジ

ェクト)、地下帯水層 CO2貯留、リジャイナ大学が進める既存石炭火力へ

の CCS付設試験等の概要説明があり、日本との CCS協力を拡大するため、

JCOALとの協力協定の締結。

③アルバータ州(州都エドモントン)では、アルバータエネルギー研究所

が中心となって推進している CCSの 20億ドルプロジェクトの推進状況の

概要説明があり、CO2による ECBM(炭層メタンガスの回収)に係る協力。

Page 19: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

17

JCOALは、2010 年にアルバータ州、サスカチワン州、ブリティッシュ・コロ

ンビア州とクリーンコール及び CCS 分野における情報交換協定を締結し、カ

ナダとの協力プロジェクトについて協議していく予定。

3.中国

【2 国間協力の枠組み】

・ 日中省エネルギー・環境総合フォーラム(2006~)

・ 日中ハイレベル経済対話(2008~)

発電分科会において既設石炭火力発電所の効率化に向けた取組み等の推進が

確認。

JCOAL はクリーン・コール・フォー・ジ・アース(CCfE)事業において、2009 年度中

国の既設石炭火力発電所 8 設備の設備診断を実行。

2010 年度はビジネスモデル構築及び、ワークショップ等、ビジネスマッチングを推

進。

2009 年 11 月、中国建築材料聯合会(CBMF)と JCOAL が「石炭火力発電所から

の副産物の総合利用に関する協力合意書」を締結。本年 7 月に中国現地調査を

実施。

2009 年 11 月、中国石炭工業協会(CNCA)と JCOAL が「日中の石炭関連分野に

おける合作強化に係る覚書」を締結。エコ・コール・タウン構想を検討する事で合

意。

エコ・コール・タウンとは炭鉱地域における資源として、石炭、炭層メタン、炭鉱メタ

ン、ボタ、石炭灰等の廃棄物の有効利用を図るもので、日本の優れたクリーンコ

ールテクノロジーとその運用システムを最適に組み合わせることで、中国の炭鉱

地域の省エネ・環境改善を図るものである。

エコ・コール・タウン事業の検討対象候補について CNCA と意見交換し、具体的な

調査内容の策定、本年 6 月に 3 候補地の現地調査を実施。

4.豪州

【2 国間協力の枠組み】

・ 日豪エネルギー高級事務レベル協議( 2009~ )

・ グローバルCCSイニシアチブ(GCCSI)( 2009~ )

・ 日豪石炭政策対話(2009~)

JCOAL は、日本企業と連合して、豪州と協力して実施している酸素燃焼技術を活

用した大規模なCO2回収実証プロジェクト(カライドAプロジェクト)を推進中。現在

改造工事中、2011 年燃焼試験開始予定。

JCOAL は、日本企業と連合して高効率熱分解石炭ガス化(エコプロ)の国際共同

実証事業の豪州連邦政府・ビクトリア州政府関係者と共同Pre-FS を実施する。本

FS では、ビクトリア州での事業化シナリオと実証設備の有効活用策の検討を行

う。

Page 20: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

18

豪州 CSIRO と中国 CUCBM 間で、ECBM の中国トライアルに関する実施契約を締

結。JCOAL は、中国トライアルの目標達成に協力する目的で CSIRO との技術協

力契約を締結予定。CSIRO 、CUCBM、JCOAL3 者のワークショップを 9 月に東京

で開催する予定。

2010 年 5 月第 2 回経済産業省-ビクトリア州政府石炭政策対話(東京)、8 月日

本-豪州エネルギー関連高級官僚会議、日豪石炭 WS 開催(福岡)。

昨年 7 月、豪州連邦政府の主導により設立された GCCSI(Global Carbon Capture

and Storage Institute)に対し、日本からの参加は日本国政府他 21 団体。参加者

が最大の国となっており、CCS 技術開発に関し両国間の関係の強化を目指す。

5.インドネシア

【2 国間協力の枠組み】

・ 日尼石炭政策対話(2009~)

・ 日尼エネルギーラウンドテーブル(2000~)

2010年3月の政策対話では、今後埋蔵量が膨大で開発が進んでいない低品位炭

のクリーンな利用促進にむけて、日尼両政府が協力して行くことを確認された。

JCOAL は低品位炭の有効活用に向けてインドネシア石炭協会と協力協定を締結。

今後事業化へ向けての基盤整備と関係機関とのネットワーク形成に努める。

石炭改質に関しては石炭改質技術開発実証プロジェクト(UBC)が順調に進行。燃

焼試験、生産からエンドユーザーまでの経済的価値の FS を実施中であり実用化

を目指す。

低品位炭から SNG を製造する技術調査、及び低品位炭の高度利用に向けた利

用モデル調査が東カリマンタン、南スマトラを対象地域として実施。

JCOALは 3月ジャカルタで開催された CCTセミナーに参加し、石炭利用技術に関

して生産者である炭鉱関係者やユーザーとなる電力、肥料、石油などの会社幹部

と環境にやさしい石炭利用促進についての意見交換。

HWT、TIGAR など低品炭のクリーンな利用に向けての実証・普及事業が進行中。

6.ベトナム

【2 国間協力の枠組み】

・ 日越石炭協議(1998~2003)

・ 日越石炭政策対話(2004~2006)

・ 日越石炭・鉱物資源政策対話(2007~)

日本とベトナムは、年に1回程度、副大臣出席により政策対話を実施。

2009 年の政策対話では、クリーンコールに関してベトナム側から「環境に優しい選

炭技術移転」の要望。JCOAL は VINACOMIN と「石炭分野での技術協力」に関し

て MOU を調印し、その中で協力。

CCT研修事業は、今年度から「技術交流」という形に変更。日本のSC, USC設備・

Page 21: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

19

技術をベトナムに導入してもらう事を目標とした日本企業の活動の側面支援を実

施する予定。

7.インド

【2 国間協力の枠組み】

・ 日印エネルギー対話(2007~)

・ 日印エネルギーフォーラム(2006~)

2010 年 4 月、インド中央電力庁(CEA)と JCOAL の間で「石炭火力発電所の環

境・効率改善予備調査に関する日印協力覚書」に調印。

本事業は、JCOAL が CEA との間で合意する国有及び州有の石炭火力発電設

備の効率改善及び環境負荷低減のための設備診断・助言を行うための共同調査

を実施。

2010 年度は、2011 年度からの本格設備診断のための予備調査を 3 発電設備で

MOU に基づいて実施。

2008 年 10 月、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とインド財務省

(MOF)、石炭省(MOC)、モネットイスパット社(MIEL)間で締結した「基本締結書」

に基づき、JCOAL、MIEL 社、永田エンジニアリング株式会社との間で「高効率選

炭技術実証事業」を実施中。

本事業は新設される発電所に合せて建設される新規選炭工場であり、日本が開

発した高効率の選炭技術をインドで実証することにより、インドへの本モデル事業

の普及を図る。

2009 年度は、選炭機器のインド現地製作、日本製機器の製造を完了、2010 年度

の実証試験へ実施。

8.ポーランド

2009 年 11 月、経済産業省石炭課はポーランドとのクリーンコール及び CCS

協力について協議する政府間対話官民合同ミッションを派遣。

訪問先:ポーランド経済省、ベルハトフ発電所、ワギシャ発電所、中央石炭

研究所、Barbara試験炭鉱

参加者:経済産業省、NEDO、クリーンコール及び CCS 等研究・調査機関 2 機

関(JCOAL、RITE)、民間企業 10社(電源開発、中国電力、日立、バブコック

日立、東芝、三菱重工、IHI、千代田加工建設、新日鐵エンジニアリング、出

光興産)

CCTについての先進国である日本の協力が必要であるとし、CCT分野における

日本との R&D協力として、以下の項目について要請があった。

(1)原料炭の事前処理

(2)タールの触媒による分解

(3)コークス炉の延命技術

(4)ガスタービンの燃焼排ガス処理技術

Page 22: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

20

(5)石炭の加圧酸素燃焼技術

(6)ケミカルループ(石炭ガス化の方法の一種)プロセスの開発

(7)加圧 CFBガス化炉の開発

(8)CO2分離回収の新技術開発

(9)石炭と原子力の融合技術(原子力発電の熱を利用して石炭のガス化等

を行なう)

2010 年 9月の CCD国際会議の際に、JCOALとポーランドの中央石炭研究所及

び石炭化学処理研究所と CCT 及び CCS に関する情報交換の実施に関する MOU

を締結する予定。

また、JCOALは 2010年度経済産業省の委託により、ポーランドにおける石炭

火力の現状調査及び CCT研修を実施中。

9.台湾

日本と台湾との石炭分野における交流は、2008 年 12月、METI 石炭課及び台

湾経済部の指導により、台湾工業技術研究院エネルギー・環境研究所と JCOAL

が、「CCT及び CCS分野における情報交換の実施」に関して MOUを締結したこ

とにより開始。

本情報交換は、相互の国において交互に実施することとしており、第1回目

は 2009年 7月 27~30日に日本で開催。

2010年 7月 27日~31 日において、台湾側の要請により、中垣 JCOAL 会長を

団長とする METI、電力会社及びメーカーから成る、台湾の石炭火力の効率向

上に係るミッション派遣。

台湾のエネルギー事情は、わが国と極めてよく似ており、今後台湾の石炭火

力には USCや IGCCを導入してく考えであり、この分野における日台交流を深

めていく予定。

Ⅳ主要産炭国の概況

1.豪州

世界最大の石炭輸出国であり日本への石炭最大供給国として極めて重要

世界の CCS 実用化に貢献するため豪州政府は「GCCSI」を設立

将来的に生産拠点の内陸部進行にともなう輸送インフラの整備が課題

(1)生産と消費

2009 年の豪州の石炭生産量は、中国、米国、インドに次ぐ第 4 位

石炭輸出量は 2.6 億トン、世界の石炭貿易量の 28%を占め、第1位

日本の輸入量の 6 割以上を占め、第 1 位

我が国への主要な石炭供給はクイーンズランド州とニューサウスウェールズ州

であるが、ヴィクトリア州には褐炭が豊富に存在しており発電用に使用

Page 23: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

21

2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 生産量 352.2 367.3 367.5 390.2 397.8 399.2 原料炭 116.9 128.3 124.0 142.6 140.1 130.6 一般炭 168.9 171.9 175.7 181.9 185.3 204.6 褐炭 66.3 67.2 67.7 65.6 72.4 64.0 輸出量 218.4 231.3 231.3 243.6 252.2 261.7 原料炭 110.8 123.9 119.3 131.2 136.9 125.2 一般炭 107.6 107.4 112.0 112.4 115.3 136.5

(出典: IEA Coal Information 2010,単位:百万トン )、

【豪州石炭需給推移】

【豪州石炭需給推移】

(2)資源

WEC による埋蔵量は 762 億トンと世界第 4 位

埋蔵量の内訳は瀝青炭・無煙炭が 371 億トン(48.4%)、亜瀝青炭 21 億トン(2.7%)、

褐炭 374 億トン(48.8%)

(3)需給と価格

一次エネルギー消費の 43.6%が石炭

国内消費は約 8 千万トン、電力用炭が 62 百万トンで国内消費の 86%

(4)政策

石炭資源産業発展に重点を置いて国益優先・産業保護政策が根幹

ラッド政権はギラード政権へ交代、資源超過利潤税政策を変更、資源利用税

に見直したが、排出量取引制度導入は今後の課題

ギラード新政権の下で資源・エネルギー・観光省(DRET)人事に変更なし

資源産業での課題はコスト上昇、投資環境、気候変動への対応政策、技能労

働者不足とインフラ整備

豪州メディアは環境保護派が多数、強力な自然保護団体も存在

(5)貿易動向

石炭は 2008 年原料炭 136.9 百万トン、一般炭 115.3 百万トンを輸出し、世界貿

易量の約 30%を占める世界最大の輸出国

Page 24: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

22

日本は豪州炭 1.18 億トン(約 1 兆 871 億円)を輸入し、依存度は 60.8%、豪州に

とっても輸出量の 45%は日本向けで最大相手国

(単位:百万トン)

一般炭 原料炭 合計

日本 67.90 50.10 118.00

韓国 22.85 16.64 39.49

欧州 3.10 25.69 28.79

台湾 19.87 7.14 27.01

インド 0.98 23.54 24.53

合計 124.41 137.81 262.21

内アジア地域 119.80 100.29 220.08

【豪州石炭貿易相手国】

(6)インフラ整備

石炭の輸出需要増大に伴い、主要な輸出港における滞船問題や輸送インフラ

不足が顕在化

特にクイーンズランド州ではボーエン炭田の中部と北部のアボットポイント港を

接続する鉄道路線及びスラット炭田とグラッドストン港を接続する鉄道路線の

未整備が課題

これら対処するため、州政府などにより輸送インフラ整備計画が策定され、滞

船問題の解消、インフラ整備・拡充に向け取組中

(7)CCT の取組概況

①火力発電の状況

送電端平均発電効率は 33%(HHV ベース)で米国と同程度

2050 年までに 2000 年比で CO2 排出を 60%削減することが目標

②CCT への取り組み

USC:現在は SC が導入された段階であり、USC は未導入

IGCC:ZeroGen プロジェクト

・ゼロジェン社が進める 530MW 石炭火力 CO2 回収貯留プロジェクト

・クイーンズランド州の帯水層に CO2 を貯留

・三菱重工と三菱商事が共同で建設プロジェクトに参画することで合意。その一

環としてフィージビリティースタディーを受注

・商業レベルのプレコンバッション建設は世界初で、2015 年運転開始が目標

三菱商事:プロジェクト全体の調整

三菱重工:IGCC 設備製作・供給・建設

ゼロジェン:IGCC 建設地および CO2 輸送・貯留地選定、インフラ

整備、石炭供給、関係先折衝、環境関連。(株式は QLD 州政府保有)

③CCS について

CCS は、将来の GHG 排出量削減の有効手段であり、また将来の石炭需要に

応えるために、ハイレベルな CCS 活動を実施

Page 25: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

23

2005 年に CCS を促進するために「CCS に関する規制ガイド原則」を制定。評価、

所有権、輸送、モニタリング、責任および財産など制定

現在下記の CCS プログラムが存在

・ Zerogen (既出)

・ Otway 天然ガス随伴ガス

・ Gorgon CCS 天然ガス随伴ガス

・ Moomba 天然ガス随伴ガス

・ Callide A 既設石炭火力の酸素燃焼

・ Coolimba 新設 400MW 酸素燃焼

・ Monash CTL 合成軽油製造から CO2

Callide A 酸素燃焼プロジェクト

・クイーンズランド州 Callide A 発電所で行われる酸素燃焼プロジェクト

・1965 年に建設され、2002 年に運転休止された石炭火力設備(容量 30MW

e)に酸素燃焼技術を適用し発電時の CO2 排出量を地中貯留することにより

ほぼゼロに削減する技術の世界初の CCS 実証プロジェクト

・2011 年から 2015 年で酸素燃焼・CO2 地中貯留の実証運転を実施予定

参加企業 豪州:CS Energy、Xstrata 、Schlumberger

日本:JPOWER、IHI、三井物産、JCOAL

CO2 回収量は最大 75t/日でタンクローリーにて貯蔵サイトまで輸送

2.米国

生産、消費量ともに、世界第 2 位の石炭生産・利用大国

石炭は一次エネルギー供給の24.3%を占め、石炭火力による発電電力量は総

発電量の約 5 割

オバマ政権のエネルギー政策においては、国産エネルギー及び石油代替エネ

ルギーとしての石炭の重要性を踏まえ CCT 開発・展開を推進

(1)生産と消費

2009 年の生産・消費量は 9.7 億トン(世界 2 位)で石炭消費の 9 割は電力用

一般炭生産の中心はワイオミング州からモンタナ州に広がるパウダーリバー

炭田(PRB)で全米の石炭生産量の約 4 割を生産

2005 年 2007 年 2008 年 2009 実績 2010 年予 2011 年予 石炭生産 (Mt) 1,026.48 1,040.18 1,063.04 973.23 943.47 994.27 石炭消費 (Mt) 1,021.49 1,023.30 1,016.50 907.55 939.57 968.96 輸入 (Mt) 27.67 32.93 31.03 20.50 19.69 23.50 輸出 (Mt) 45.27 53.71 73.94 53.61 64.50 63.32 原料炭 (Mt) 26.04 29.21 38.56 33.84 48.17 43.00 一般炭 (Mt) 19.32 24.49 35.38 19.78 16.33 20.32 電力向消費(Mt) 941.20 948.10 944.02 849.58 882.69 908.00 生産能率(t/h) 5.770 5.688 5.407 5.443 5.498 5.498

(出典: EIA Short Term Energy Outlook 2010, 単位:百万トン )

Page 26: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

24

【米国石炭需給推移】

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011

Total U.S. Western region Appalachian region Interior region

Source: Short-Term Energy Outlook, May 2010

Forecast

million tonnes

出典:EIA ホームページ

(2)資源

可採埋蔵量は世界最大の 2,383 億トン、既存の稼働炭鉱のみの可採炭量でも

168.6 億トン

(3)需給と価格

石炭火力発電が総発電量の約 5 割を占める主要電源となっており、今後もその

役割を大きく減じることはないと予測

(USD/t) 出典:EIA ホームページ

(4)政策

米国は京都議定書に代わる独自政策として経済成長の維持を前提に自主的努

力、技術開発等により 2002 年から 2012 年の 10 年間で GDP 当りの GHG 排出

量を 18%削減することを目標とする気候変動イニシアティブを発表

オバマ政権の環境エネルギー政策の1つとして、クリーンな石炭火力発電の支

援を挙げており、上院公聴会においてエネルギー省 Chu 長官は石炭を「偉大な

国家資源」と呼びクリーン・コール・テクノロジーの開発促進に努めると弁明

Page 27: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

25

また大統領選中に当時のオバマ候補が掲げたエネルギー公約の中にクリーン

コール技術の開発と普及促進として、商業規模のCO2

(5)貿易動向

を分離・回収する石炭火

力発電への投資インセンティブの提供、CCSを適用した石炭火力発電の商業化

を加速するため、DOEが官民パートナーシップにより最初の5基の建設を目指す

ことを表明

2009 年の輸出はカナダ向けを主に 53.6 百万トン、輸入量は 33.8 百万トン

(6)我が国との関係

APEC、APP における情報交換のほか、二国間で CCS に係るワークショップを開

(7)特徴

非在来型資源では CBM 生産が 1982 年から促進され、天然ガス生産の約 1割を

占めており将来的にも米国の有望なガス資源との評価

(8)CCT の状況

①火力発電の状況

現在の石炭火力発電容量は 332GW あり、電力の約半分を賄っており、5 つの州

に石炭火力の 3 分の 1 が集中

容量 500-700MW 級ユニットが多く、300MW 以上の設備が全体の 71%

経年発電設備が多く、平均運転年数は 35 年で、30 年以上経過している発電設

備は 60%

石炭火力は亜臨界圧あるいは超臨界圧ユニットの両方が使われているが、循

環流動層ユニットも 8,800MW

亜臨界圧ユニットは一般的に蒸気温度 552℃で発電効率は 32%(HHV ベース)前

近年、新規の石炭火力発電所の建設計画の多くがキャンセルされているが、そ

の原因は環境規制によるものである。2007 年に DOE は計画段階の 151 の石炭

Page 28: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

26

火力の復活に言及したが、実際には 59 の石炭火力の建設計画は政府の許可

が得られなかった。さらに、建設計画の石炭火力には訴訟問題に直面している

もにおもある。2007 年には、50の石炭火力計画が訴訟問題に直面し、2008 年に

は 24 の石炭火力計画がキャンセルされている。

しかし、今後数年間に建設が予定されている石炭火力の発電容量は、かなりの

レベルに達する。

2010~2018 年に追加予定の石炭火力発電容量 (単位:GW)

2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2018 2019

建設中 5.5 2.0 3.9

建設予定 0.1 1.0

認可 0.3 0.5 0.3 0.5

計画 5.0 6.7 7.0 4.5 1.5 2.1 0.2

合計 5.8 2.1 10.4 7.0 7.5 4.5 1.5 2.1 0.2

(出典:DOE NETL 及び Fuji-Kaizei USA)

②CCT への取り組み

USC

・ 超臨界及び亜臨界の計画が先行

・ 現時点で超々臨界火力としては 2007 年に運転開始の 870MW、566/593℃ユ

ニットのみ。

IGCC

・ 稼働中の IGCC

・ Wabash River (262MW) EGAS 炉 現在商用運転中

・ Tampa(250MW) GE 炉 現在商用運転中

・ 新規 IGCC 計画(いずれも今後の運開時期は不透明)

・ Erora Group(777MW) 2010 年

・ Excelsior Energy(606MW) 2011 年

・ AEP(629MW) 2012 年

・ Apparachian Power(629MW) 2012 年

・ Duke Energy(630MW) 2012 年

・ Mountain Island Energy(250MW) 2013 年

技術別新規石炭火力計画 (単位:基)

技術 2000 年以降運開 進行中 計画 合計

(進行中+計画)

亜臨界 19 14 13 27

CFB 9 8 10 18

超臨界/超々臨界 2 8 9 17

IGCC 1 6 15 21

(出典:NETL 及び Fuiji-Kaizei USA)

Page 29: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

27

米国土地管理局によれば、IGCC 石炭火力プラントのコストは、PC または CFB

石炭火力プラントのコストよりも高くなる。ウエストバージニア州 Waldoの IGCC 石

炭火力プラントの建設費の見積額は、約 22.3 億ドル(3,545 ドル/kW)で、アーカ

ンソー州の PC 石炭火力プラントの建設費の見積額は、約 13.43 億ドル(2,175 ド

ル/kW)となっており、IGCC 石炭火力プラントの方が約 60%高い(Fuiji-Kaizei

USA)。

③CCS

Dakota Gasification Companyが運転している商用の合成天然ガス製造用の

石炭ガス化プラントからアミン法で CO2 を分離して EOR に利用する Weyburn

商用プロジェクト、2000 年 9 月から商用運転中。

American Electric Power の Mouintaineer 石炭火力発電所(1300MW)にお

ける CCSプロジェクト、2009年 10月から排ガスの 1.5%を処理して CO2を

分離回収し、10 万トン/年の CO2 を帯水層に貯留。CO2 の分離回収技術は、

Alstom社によるチルドアンモニア法。

3.中国

世界最大の石炭生産・消費国で、世界の約 4 割以上を占める

一次エネルギー消費の 7 割を石炭に依存、電力構成は約 8 割が石炭火力であ

るが、電力需要は今後堅調に増加すると見られ、発電効率は 32%と低く、石炭

需要の抑制を図るためには CCT の普及が不可欠

日本にとり主要石炭供給国であるが、最近は国内の需要拡大と国際市場との価

格差により輸出は大幅に鈍化

輸出用石炭に対する増値税の還付廃止、石炭輸出許可数量の縮小、石炭輸出

税の改訂等、国内需要優先の施策を実施

11・5 計画のもと、13 基地建設・大企業化と産業構造調整をすすめているが、保

安上で問題がある中小炭鉱の統合・閉鎖と地域対策が課題

(1)生産と消費

生産地と消費地の輸送距離が課題、輸送インフラの整備が急務

国内石炭資源は可採年数 R/P が 41、大慶原油は衰退傾向にあり、天然ガスに

も輸送上の制約があり、大規模需要地のピーク対応に制限されていることから、

今後も石炭火力が電源構成の中心

2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年

生産量 1,956.0 2,158.9 2,320.2 2,466.4 2,734.4 3,050 3,300

〃原料炭 225.7 280.6 339.0 379.1 385.0 412.4

〃一般炭 1,730.3 1,878.3 1,981.3 2,087.3 2349.5 2,559.0

消費量 1,886.4 2,098.8 2,305.1 2,454.3 2,683.2 3,085.6

輸出量 86.6 71.7 63.2 53.1 45.3 22.8

輸入量 18.6 26.2 38.1 51.0 40.3 137.0

(出典: IEA Coal Information 2010, 単位:百万トン )/2009 年生産は煤炭工業協会資料

Page 30: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

28

【中国石炭需給推移】

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

3,500

'00 '01 '02 '03 '04 '05 '06 '07 '08 '09

石炭

生産

量・消

費量

(百

万ト

ン)

-150

-100

-50

0

50

100

150

200

石炭

輸入

・輸

出量

(百

万ト

ン)

 生産量

 消費量

 輸入量

 輸出量

 純輸出量

【中国石炭需給推移】 (2)資源 1,145 億トンと世界 3 位の埋蔵量

(3)需給と価格

電力向けを中心に国内需要が急増しており、2009 年は 1 億トン以上の石炭純輸

入国 国内輸送インフラの制約や旺盛な国内需要を背景に国内価格は国際価格より

高い水準にあり、輸入は拡大する予測

(4)政策

第 12 次 5 ヶ年規画は 2010 年後半に公表される見込み、現在は第 11 次 5 ヶ年

規画(2006-2010)により省資源、省エネに重点

(5)貿易動向

国内需要の増加に合わせて、輸出用石炭に対する増値税の還付廃止、石炭輸出許可 EL 数量の縮小、石炭輸出税の改訂等、国内需要を優先する施策を実施

(6)日本との関係

LT 貿易で石炭貿易主要相手国であるが、最近では輸入量が減少

(7)特徴

国内輸送インフラが未整備で、景気対策からも鉄道整備を推進

(8)CCT の状況

①CCT への取り組み

石炭燃焼技術

日本をはじめとする海外からの技術導入により、世界最先端の USC(超々臨界

圧)のボイラ技術が導入されているとともに、大型流動床燃焼技術について

も、海外技術を導入し 600MW級の FBCボイラが建設されている。

USC

ここ数年の運開は USC が増加しており、大容量及び高効率化を求めて USC時

代に突入

石炭ガス化技術

Page 31: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

29

中国独自の技術開発による石炭ガス化炉を使った 250MWの IGCCプラントが

建設されているとともに、石炭ガス化炉については海外の Shell、GE 及び

Siemensの技術導入と中国華東理工大学により開発されたOMBガス化炉の導

入により、石炭ガス化によるアンモニア、尿素肥料及びメタノール製造等

が既に商業化されている。

計画中の IGCC プラントは次の通り

・ GreenGen(華能集団) 250MW

・ 天津 IGCC(大唐集団) 400MW-2 基

・ 東莞 IGCC(大唐集団) 400MW-4 基

・ 瀋陽 IGCC(大唐集団) 400MW-4 基ポリジェネレーション

・ 半山 IGCC(華電集団) 200MW-1 基ポリジェネレーション

・ 海南 IGCC(国電集団) FS 中?

・ 廊坊 IGCC(電力投資集団) 400MW-2 基

・ 内蒙古 IGCC(米 CME、GE と共同)等 他に数プロジェクトを公表

(ポリジェネレーションは、発電と化学原料の併産)

②グリーンジェンプロジェクト

石炭ガス化・水素製造、水素発電、CCSの統合システムの確立

英国の支援を受けながら、GreenGen Programを実施

2020年までに発電効率55~60%、SOx、NOx排出20mg/Nm3未満の400MWの大

型実証プラントの完成を計画

③CCS

吉林油田CCS・EORプロジェクト(日本と共同)

豪州、中国及び日本によるECBM共同研究

④石炭液化技術

石炭直接液化については、神華集団公司が商業プラントを建設し、現在運転が

行われており、また間接液化については神華集団公司をはじめいくつかの

企業がパイロット規模の開発を進めている。

4.インドネシア

(1)生産と消費

2009 年の一次エネルギー消費構成において、石炭は、石油(48.4%)、天然ガス

(25.7%)に次いで 3 位の 23.8%

政府は 2025 年に 33%まで代替国産燃料として石炭利用を拡大する政策

石炭は外貨獲得の資源とも位置づけられ生産が急拡大、一般炭に限ればインド

ネシアは世界最大の石炭輸出国

エネルギー政策(2004)では輸送インフラの重要性が指摘されているが、河川輸

送や積出設備など輸送インフラが供給制約要因

WEC による埋蔵量は 43.3 億トン(無煙炭・瀝青炭 17.2 億トン、亜瀝青炭・褐炭

26.1 億トン)と生産に比して少

エネルギー統計(2009)や地質局によれば、埋蔵量は 53 億トン、推定埋蔵量を

Page 32: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

30

含め 187 億トンとしているが、資源量では褐炭の割合が 58.7%と多く、低品位炭

の有効利用技術がエネルギー安定供給上で重要

(単位:百万トン)

年 2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年

生産量 142.6 170.7 226.5 260.6 273.6 301.5

原料炭 9.2 10.7 24.5 29.3 29.5 29.5

一般炭 104.6 127.4 171.4 197.0 205.6 233.9

褐炭 24.3 27.1 30.7 36.7 38.5 38.2

輸出量 105.5 129.2 171.6 202.2 202.6 229.7

原料炭 9.3 10.8 24.6 29.3 29.6 29.5

一般炭 95.3 116.6 146.9 167.7 173.0 200.2

(出典: IEA Coal Information 2010)

【インドネシア石炭需給推移】

今後は 5,100kcal/kg 以下の低発熱量炭の利用が 2010 年の 10,000MW 石炭火

力発電所(クラッシュプログラム)運開により急増する計画

改質、液化・ガス化、低品位炭コークス製造、CWM などが技術課題

また、資源量 12.8 兆m3

0

50

100

150

200

250

300

350

0

50

100

150

200

250

300

350

'00 '01 '02 '03 '04 '05 '06 '07 '08 '09

石炭

輸入

・輸

出量

(百

万ト

ン)

石炭

生産

量・消

費量

(百

万ト

ン)

生産量

消費量

輸入量

輸出量

とも推定されるCBM開発も期待

【インドネシア石炭需給推移】

(2)政策と課題

地方分権策と資源ナショナリズムのなか、2005 年に国会上程された新鉱物石炭

鉱業法(№4/2009)が 2009 年 1 月に成立。(№.11/1967)法に替わるもので、国

内供給義務(DMO)が強化され,鉱業事業許可(探鉱・生産)IUP 制度へ移行

DMO は内需を充足した場合のみ輸出が可能となるものであり、予測に基づき国

内需要を決め、生産量から国内販売比率を決定し、石炭企業に割り当

価格も国際的価格指標(Argus API-Index,GlobalCoal 等)を参考にした石炭価

格基準(ICPR)が政府により設定

採掘の深部・奥部化に伴い露天採掘では不安定な残壁と残壁周辺に未採掘炭

Page 33: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

31

が放置されており、斜面崩壊や排水汚濁等の問題を引き起こすおそれもあり、

環境調和型石炭開発(坑内掘を含む)モデル構築を現地は要望

資源開発は森林保護法での規制があり、環境制約から坑内移行が急速に進む

可能性があり、坑内掘技術の基盤形成が急務

(3)CCT の状況

インドネシアは褐炭の埋蔵量が多いことから、褐炭を利用する技術開発が

活発に行われている。

UBC(Upgrading Brown Coal)の技術開発の実証試験が、日本とインドネシア

の協力において実施されているが、そのほかにも下図に示したように、褐

炭を使った CWM(Coal Water Mixture)の技術開発のほか、褐炭ガス化による

アンモニア及び肥料の製造技術の開発や、褐炭の液化技術の開発が実施さ

れている。

褐炭を利用した CWM(Coal Water Mixture)の製造技術フロー

5.ベトナム

(1)生産と消費

2006年度の原炭生産量は 40 百万トンであった。2025年度の生産量は無煙炭が

44 百万トン、その他が 15 百万トン、合計 59 百万トンと予測されている。

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

2006 2010 2015 2020 2025

年度

原炭

生産

量(千

トン

Cam Pha地域

Hon Gai地域

Uong Bi地域

その他地域

合計

【地域別生産計画(出典:VINACOMIN)】

Page 34: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

32

1995 年から 2007 年の国内の石炭消費の増加は 553 万トンから 1124 万トン(平

均年間伸び率 6.1%)であった。一方、2007 年、国内消費 1124 万トンに対し輸出

は 3195 万トンであり、石炭輸出は国内消費に比べて大きく伸びた。その結果、

国内と輸出の比率は 66:34 から 26:74 へと逆転した。

電力、建設材料およびセメント工業が国内石炭需要の大部分を占める。将来、

電力用の石炭需要が劇的に伸びると予想され、次いでセメントおよび建設材料

用の需要も増加する。

石炭輸出は2002年以降大幅に増加したが、それは中国向けの輸出が急速に増

加したからである。現在の石炭輸出の主な仕向け先は中国と日本であるが、ベ

トナムは中国の石炭火力発電用に低品位の石炭を、また日本の鉄鋼および一

般産業用に高品位の石炭を輸出している。

需要量は 2006 年度の 18 百万トンから急増し 2015 年度には 2.6 倍の 47 百万ト

ン、2025 年度には 6.1 倍の 112 百万トンに達する見込みである。特に、電力用炭

の増加が顕著であり、2006 年度の 5 百万トンから、2025 年度には 15 倍の 76 百

万トンに達する見込みである。

112,278

71,465

47,346

29,395

18,440

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

2006 2010 2015 2020 2025

年度

石炭

需要

量(千

トン

泥炭需要

暖厨房、その他

その他工業

冶金

繊維

紙・パ、硝石

肥料・化学薬品

建材

セメント

電力

【国内産業の石炭需要見通し】

(2)資源

ベトナムの石炭は主にベトナム北東部に埋蔵され、炭種は無煙炭、半無煙炭、

瀝青炭および褐炭である。

2005年末時点で確定埋蔵量として、60億680万トンである。石炭の種類としては

埋蔵量の 66.7%が無煙炭で、主な産炭地であるベトナム北東部の Quang Ninh

省に鉱床がある。残りは Red River デルタの Khoai Chau 地方にある亜瀝青炭が

15億 8100 万トン(26.5%)、その他(泥炭、脂肪炭、褐炭)が4億 3700 万トン(7.2%)

である。

石炭の可採年数(R/P)は、埋蔵量を 2007 年の生産量で割ると約 145 年となる。

(3)電力事情

ベトナムの電力事業体制はベトナム商工省(MOI)の管轄下にある国営のベトナ

Page 35: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

33

ム電力公社(EVN:The Electricity of Vietnam)が発送電事業を行い、傘下の地域

配電会社 7 社に電力を卸売りしている。ベトナムは現在、降水量により発電量が影

響される水力発電から火力発電(天然ガス、石炭)への転換を推進している。

431,653

294,016

190,050

112,650

51,770

0

50,000

100,000

150,000

200,000

250,000

300,000

350,000

400,000

450,000

500,000

2005実績 2010 2015 2020 2025

年度

発電

量 (

GW

h)輸入

原子力

油・ガス火力

石炭火力

水力

図 5.9.4-1 電源別発電計画

発電計画によれば、2005 年度の 51,770GWhから、2015 年には 3.7 倍の 190,050GWh

に、2025 年には 8.3 倍の 431,653GWh に達する見通しである。全ての電源とも増加し

ているが、特に石炭火力の増加率が際だっている。

6.インド

世界第 3 位の石炭生産量であるが、国内炭生産量だけでは国内需要を賄えず、

石炭輸入量も 2009 年には世界第 4 位

豊富な国内石炭資源を有するが、高灰分の石炭が多く、コークス用原料炭や高い

発熱量の一般炭は輸入依存

現在は大規模電源開発計画(UMPP)が進捗中であり、石炭需給ギャップ(国内需

要と国内供給量の差)はいっそう拡大、今後石炭輸入が増加する予想

(単位:百万トン )

2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年 2009 年

生産量 410.5 434.7 459.6 488.3 521.0 560.8

〃原料炭 22.4 23.6 23.7 25.6 25.3 32.2

〃一般炭 357.7 380.9 404.6 428.8 463.2 494.0

〃褐炭 30.4 30.2 31.3 34.0 32.4 34.7

消費量 441.3 460.9 490.7 534.7 577.2 626.4

輸入量 28.5 38.6 43.1 49.8 59.0 67.7

〃原料炭 16.9 16.9 17.9 22.0 21.1 23.5

〃一般炭 11.6 21.7 25.2 27.8 37.9 44.3

(出所: IEA Coal Information 2009/BP 統計 2010)

【インド石炭需給推移】

(1)生産と消費

1992 年以降、国内消費は国内炭生産を上回り、2000 年の 3.6 億トンから堅調に

Page 36: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

34

増加し、2007 年に約 1.5 倍に拡大、2009 年は 6 億トン弱

生産は国営インド石炭公社(CIL)が 8 割を占める寡占状態

輸入量は 2000 年の 0.21 億トンから大きく増加、2007 年は 2.4 倍、2009 年には

0.6 億トンと 3 倍となり、拡大する需給ギャップを輸入量の増加で補填

発電電力量の約 7 割を石炭火力に依存しており、2006 年の電力分野における

石炭消費量だけで我が国の総石炭消費量のほぼ 2 倍に相当

4,000MW 級の超臨界圧石炭火力発電所 9 か所の建設計画(Ultra Mega Power

Projects,UMPP)が進められており、電力需要は今後も堅調に増加するとみら

れることから、発電用の石炭需要も拡大

UMPP は高効率の操業を目指しており、沿海部に建設される発電所では輸入炭

を利用する予定

(2)資源

国内に賦存する石炭は粘結性の高い瀝青炭(原料炭)が乏しく、高灰分のため

に低発熱量であるが、埋蔵量は 586 億トンと世界 5 位 (3)CCT 政策

海外炭への依存度を抑制し、エネルギー自給率を高めるためには、選炭技術の

普及や低品位炭の改質技術の導入が必要

石炭需要抑制と地球環境対策のために石炭火力発電の高効率化や省電力技

術、電源の多様化等が課題

7.ポーランド

ポーランドにおいて石炭は極めて重要なエネルギー源であり、2008 年には一次

エネルギー需要の 60%近く、発電量の 90%以上を石炭が占めている。

2004 年に EU に加盟したため、エネルギー政策も EU 全体の方針に沿うこととな

り、厳しい環境基準をクリアしていかなければならない。

ポーランドのエネルギー部門にとっては、エネルギー効率改善、原子力の導入

による供給源多様化、再生エネルギー利用促進、発電による環境負荷低減など

が政策目標となっている。

2030 年に向けてのエネルギー政策において、石炭については以下のような対

策が挙げられている。

・ 政策達成のための規制の導入

・ 石炭ガス化、液化等の研究開発

・ 炭鉱メタンガス、VAM の積極的利用

・ 最新採掘技術導入による競争力、保安、環境保護の強化

・ 石炭資源調査の強化 など

(1) 生産と消費

Hard Coal、Lignite とも 1990 年代よりも生産量は減少しており、今後も漸減の見

通しである。

Page 37: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

35

【ポーランドの石炭生産量の推移】

1990 1995 2000 2005 2006 2007 2008

Hard Coal 147.736 137.166 103.331 97.904 95.223 88.312 84.345

Lignite 67.584 63.547 59.484 61.636 60.844 57.538 59.668

出典 2000~2007:IEA Coal Information 2009

2008:Energy Statistics 2007-2008, Central Statistical Office

2030 年の需要見通しは約 1 億 1,000 万トンであり、2006 年実績と比較すると約

2,600 の減少が見込まれている。

【ポーランドの石炭需要の実績と見通し】

(単位:百万トン)

2006 2010 2015 2020 2025 2030

Hard Coal 76.5 66.1 61.7 60.4 59.3 64.0

Lignite 59.4 52.8 57.2 44.2 52.7 45.7

合計 135.9 118.9 118.9 104.6 112.0 109.7

出典 Projection of Demand for Fuels and Energy until 2030, Ministry of

Economy

(2)資源

現在開発が進んでいるのは Hard Coal であり、2008 年時点における資源量は

432 億トン、可採埋蔵量は 41 億 7,000 万トンである。主な賦存地域は Upper

Silesia 炭田、Lower Silesia 炭田、Lubelskie 炭田であり、資源量 432 億トンのうち

Upper Silesia 炭田が 80%近くを占め、残り 20%のほとんどを Lubelskie 炭田が占

める。

Lignite については 2008 年時点で 135 億 6,000 万トンの資源量があり、そのうち

可採埋蔵量は 13 億 7,000 万トンである。中央部から西部にかけて賦存してい

る。

【ポーランドの石炭資源賦存状況】

Lower Silesia Coal basin

Upper Silesia Coal basin

Lubelskie Coal basin

Hard Coal

Lignite 出典:Polish Geological Institute

Page 38: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

36

(3)CCT の状況

2006 年の石炭による発電量は合計 136TWh であり、総発電量の 92%を占めてい

るが、今後は原子力発電導入等により石炭による発電量割合は減少する見込

みである。

しかし石炭はポーランド国産の重要なエネルギー資源であり、2030 年において

も発電量 114.1TWh(総発電量 201.8TWh の 56.5%)を石炭が担うと見込まれてい

る。

石炭利用に際しては環境負荷の低減が求められている。ポーランドにおいても

CCT・CCS による温室効果ガス削減をはじめとする環境対策が計画されている。

特に計画されているものとしては、IGCC、地下ガス化、EOR、EGR がある。研究

開発にあたっては官民協力・国際提携を重要視している。

【ポーランドの燃料別発電量の実績と見通し】

(単位:TWh)

2006 2010 2015 2020 2025 2030

Hard Coal 86.1 68.2 62.9 62.7 58.4 71.8

Lignite 49.9 44.7 51.1 40.0 48.4 42.3

Natural gas 4.6 4.4 5.0 8.4 11.4 13.4

Oil products 1.6 1.9 2.5 2.8 2.9 3.0

Nuclear fuel 0.0 0.0 0.0 10.5 21.1 31.6

Renewable energy 3.9 8.0 17.0 30.1 36.5 38.0

Pump water 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0

Waste 0.6 0.6 0.6 0.6 0.7 0.7

合計 147.7 128.8 140.1 156.1 180.4 201.8

出典:Projection of Demand for Fuels and Energy until 2030, Ministry of Economy

8.EU

エネルギー構成での石炭は、41%の石油、26%の天然ガスについで 17%

天然ガスは 60%を輸入しており、その 42%即ち 4 分の 1 はロシアに依存

エネルギー戦略の基本は 2009 年 1 月の EU 産業・研究・エネルギー委員会勧告

EU のグリッド、ガスパイプラインの連携強化による供給安定化

2050 年には大気中 GHG 濃度を現在比で 60~80%削減し、再生可能エネルギ

ーを 60%までに高め、更にはエネルギー消費を 35%削減

中期目標の13%は2005年比、1990年比では20%削減となるが、この20-20-20

計画では、2020 年までに GHG 排出量を 20%削減し、20%の省エネ、再生可能

エネルギーを 20%とする計画

石炭生産は 5.37 億トンで、消費量の約 8 億トンを自給できず、輸入依存

石炭消費はその 7 割が電力用炭

Page 39: クリーンコールを巡る最近の動向2010 - brain-c-jcoal.info · 出典:IEAエネルギー技術展望2010 . 国連環境計画(United Nations Environment Program, UNEP)公式サイトに掲

【2010CCD 資料】

37

(単位:百万トン)

2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年

生産量 628.4 608.0 595.5 593.4 578.7

消費量 817.8 809.3 820.7 839.0 793.8

輸入量 245.6 244.1 266.2 269.4 262.0

〃(一般炭) 188.9 186.5 205.8 207.0 199.1

(出典: IEA Coal Information 2009)/BP 統計 2010

【欧州石炭需給推移】

(1)生産と消費

主要石炭生産国は、褐炭主体のドイツ、深部化したポーランド

(2)CCT 政策

低炭素社会に向けた国際的なオピニオン・リーダーシップ

電力供給の 30%は石炭火力であるが、今後石炭火力が維持されるのか、エネ

ルギー構成に注目

CCS に関し、持続可能な化石燃料発電、2020 年以降の石炭ゼロエミッションを

目指し、2015 年までに最大 12 件の CCS 実証

CCS 促進のための枠組みとして 30MW 以上の新設石炭火力に CCS 設備の追

加導入の評価が義務化

出典:EU ホームページ