スマート ファクトリー smart factory · 蒸気による 機械式製造装置の導入 ......

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「インダストリー4.0」で目指す新しい工場システム スマート ファクトリー Smart Factory

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Page 1: スマート ファクトリー Smart Factory · 蒸気による 機械式製造装置の導入 ... ⑥機械学習 ... 知したり、 生産ラインの異常を事前に検知して、運転停止や事故を未然に防ぐことで、メンテナンス・コスト削減につながります。

「インダストリー4.0」で目指す新しい工場システム スマート ファクトリー

Smart Factory

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ドイツが提唱する「インダストリー 4.0」が大きな注目を集めています。

インダストリー 4.0 の “ 4 つ目の産業革命” が今起こりつつあります。

機械が導入された第 1次、 電気が利用された第 2次、

そして IT によって製造プロセスが自動化された第 3次、

その次に来るのが 、この第4次産業革命です。

その背景には、モノのライフサイクルの短期化があります 。

ひと昔前は 10年ごとにモデルチェンジしてきたものが、

今では 1年でモデルチェンジに対応する必要が出てきました 。

しかも、グローバルで多様化する消費者ニーズや、

マス・カスタマイゼーション (個別大量生産 )も求められます。

また、価格競争の煽りを受け、安い労働力を新興国に求めてきましたが、

新興国の労働者賃金上昇や、製造ノウハウの伝承の難しさなどの問題もあります。

さらに、インターネットの普及と IT の進化も、4.0 の流れを加速させています。

インターネット活用により、さまざまな大量データの収集や処理を可能にします。

Internet of Things(IoT: モノのインターネット)の世界がそれであり、

さらに、Internet of Everything(あらゆるものがインターネットにつながること)や

Internet of Service(インターネットによるサービス)も視野に入ります。

「インダストリー 4.0」では、こうした大量な情報量や製造工程も飛躍的に進化します。

3D CADシミュレーションと 3Dプリンティング、 製造ロボット 、ウエラブル・センサー、

インターネット、IoT とこれらが結び付きで、今までにない製造業の姿「 スマートファクトリー」を実現します。

はじめにSmartFactory

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SmartFactory

SmartFactory

産業革命の4つの段階

スマートファクトリーの姿

モノがデータでつながるスマートファクトリー

スマートファクトリーの効果を引き出すアナリティクス

アナリティクスの前提として必要な生産管理の基礎

品質アナリティクス―PAOの実現に向けて

重要度を増す IoTへの対応

工場のデジタル化、生産技術の高度化

目 次

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産業革命の4つの段階SmartFactory

SmartFactory

政府と有力企業が主導するドイツのインダストリー 4.0

18世紀の終わり

*1 IoTは、Internet of Thingsの略*2 IoSは、Internet of Serviceの略

19世紀の終わり 1970年代の初め 今日

Industrial revolutionbased on Cyber-Phys ical System

First programmable logicController (PLC), Modicon 0841969

First production lineC incinnati s laughterhouses1870

First mechanical loom1784

蒸気による機械式製造装置の導入

電気を利用した製品の大量生産

電子機器、IT利用による生産プロセスの自動化

IoT*1、IoS*2による工業化の第4の段階

時間

複雑さ

サイバー・フィジカル・システム(Cyber-Physical System:CPS)という考え方を用い、現実世界をセンサーやデータを通じてサイバー空間に取り込み、サイバー空間におけるアナリティクスの結果を現実社会にフィードバックします

IoT(Internet of Things): モノのインターネット

あらゆるモノをインターネットに接続し通信することで相互認識、遠隔監視や制御をするという考え方。デジタル機器、家電製品、医療機器、自動車、産業用ロボットから設備に至るまで、あらゆるモノがインターネットに接続されれば、一つ一つのデバイスがネットワーク上で一意に識別されてコミュニケーションがとれるようになる。リモートからメンテナンスをしたり、モノ同士がつながって調整や修理をしたり、センサーから得られるビッグデータをクラウド上で分析・シミュレーションしたりすることが可能となる。

サイバー・フィジカル・システム (Cyber-Pysical Systems:CPS)

サイバー・フィジカル・システムとは、現実の世界(Physical System)から得られるセンサーなどのデジタル・データを、サイバー空間のコンピューティング能力と結びつけ、バーチャルな空間でオブジェクトのシミュレーションなどを可能にするシステム。

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SmartFactory

スマートファクトリーに必要な要素と実現手段

SmartFactory

スマートファクトリーを構成する要素は、大きく 4つの領域に分けることができます。一つ目は<フレキシビリティーとアダプタビリティーを高め、マス・カスタマイゼーションを可能にする領域>です。具体的には、3D CADシミュレーション、3Dプリンティング、製造の実行状況を把握し、生産ラインに指示を送るMES*、リアルタイムな製造スケジューリングのシミュレーションなどの要素が含まれます。2つ目は、<効率化・自動化・自律化を実現するための領域>。製造ロボットの活用やウエアラブル・センサーの着装、アナリティクスによる工程管理の自動化などの要素であり、それを後押しする技術も進化しています。3つ目の領域は 、<バリューチェーン連動やトレース。 BOMの整備や各工場間のMESを統括管理するエンタープライズMESの導入など、 環境整備に関する要素><次世代センサーや IoT、個体認識技術といった新しい技術的な要素>。これによって高度な製造管理が実現でき、工場内だけでなく、取引先もサプライチェーンや顧客までも含んだトレースが可能になります。 これらの 3つの要素がバラバラに動くのではなく、それぞれが相互に連携することで、製造ロボットの作業内容が変更など 、サプライチェーンをまたがっ自律化も可能になります。さらに、機器やデバイスから取得したデータをデジタル解析し、その結果をフィードバックする仕組みとなる、4つ目の要素<サイバーフィジカル融合>につながります。

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MES: Manufacturing Execution System

製造実行システムとも言われる。工場内の製造装置や検査装置と連動して、生産ライン各工程における実行状況を把握して、優先順位に沿ったスケジューリングを指示するとともに、不測の事態が発生した際の迅速な対応、適正なコストの維持管理などを可能にする。工場の枠を超えて生産ラインを管理するMESは、エンタープライズMESと呼ばれる。

フレキシビリティー・アダプタビリティー

・ 3D CADシミュレーション・ 3D プリンティング・ MES(製造状況把握・指図)・ リアルタイム製造スケジューリング・シミュレーション など

効率化・自動化・自律化

・ 製造ロボット・ ウエアラブル・センサー・ アナリティクスによる行程管理自動化 など

バリューチェーン連動・トレース

・ BOM整備・ E-MES・ 次世代センサー・IoT・ 個体認識技術 など

サイバ

・フ

ジカル融合

スマートファクトリーの姿

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SmartFactory

<サイバ ー・フィジカル融合>を実現するシステムは、「現実の世界 (Physical System) から得られるセンサーなどのフィジカル・データを、サイバー空間のコンピューティ ング能力と結びつけ、サイバーな空間でオブジェクトのシミュレーションなどを可能にします。特に、スマートファクトリーでは、製造ラインや人に基づく “物理的な” 製造現場と、 データや 3Dシミュレーション等の “サイバー” の世界を融合することにより、効率化・自動化・ 自律化を促し、バリューチェーン連動やトレースを高めていくことが重要です。 スマートファクトリーの製造向けの技術要素を導入し 、I o T などを活用してサイバー・ フィジカルと融合することによって、製造工程が手に取るように把握し、分析した上で制御システムに指示を与えることで、生産の効率アップや製品の品質向上を目指す仕組みです。生産計画から製造指示が展開され、制御系ネットワークを介して作業者やロボットなどの組み立てラインに指示が与えられるという、従来の行程に加え、 スマートファクトリーでは、生産計画から設備制御までの指示系・計画系が相互につながる、“考える工場” という次世代のスタイルを構築します。

モノがデータでつながるスマートファクトリー

サイバー・システム

データ収集

データ変換

ビッグデータ分析

写像空間

程組立工(フロー)

⑥機械学習⑤最適化④シミュレーション③予測②アラート①詳細に見える化

企業経営層

組立ライン

対話

出 荷

(工場経営層

工場運営層

設備制御層

物理層

CAD/CAM

経営ダッシュボードSCM

・データをつなげる・データを業務上意味ある形に変換

購買 受注

垂直的にネ

トワ

ク化

フィードバック

現場内の“モノ” がつながる現場内の“モノ”がつながる

物理的な世界

分析の高度化

リアルタイム性

方法Method

モノMaterial

設備Machine

人Man

「考える工場 」スマートファクトリーのモデル

生産管理生産計画)

工場実行システム

制御 I/F

検査装置 製品ロボット部品 設備FA機器 作業者

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SmartFactory

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SmartFactory

スマートファクトリーを実現には、<1. データ活用の課題><2. 品質のアプローチ><3. 品質領域のアナリスク>について考える必要があります。1. データ活用における日本企業の課題今の日本の製造業はデータ活用について、有効に活用できず眠らせてしまっているのが現状です。こうした課題を解決するのが、機器やデバイスからのデータを収集・統合し、解析するのが PAO(PredictiveAssetOptimization)。スマートファクトリーにおいて、不可欠なソリューション基盤です。2.PAOが変える製品品質のアプローチ PAOの構成は、設備や機器のデータを集めて、業務に影響を及ぼしそうな事象を検出。統計やデータマイニングなど様々な解析を施します。このように新しい最適化されたビジネス・プロセスを構築することで、生産性、稼働率・収益性の向上を図り、ビジネスバリューをもたらします。3. 品質領域におけるアナリティクスの適用 スマートファクトリーでは、PAOを大きく 2つの品質領域に適用します。 一つが品質向上。製品の品質を予測分析することで、不良品の流出を防止。検査工程に係る人員設備費用の削減と品質管理の向上。もう一つが、予防保全。設備や機器からのデータを分析することで、故障につながる予兆を感知したり、 生産ラインの異常を事前に検知して、運転停止や事故を未然に防ぐことで、メンテナンス・コスト削減につながります。

スマートファクトリーの効果を引き出すアナリティクス

新たな、最適化された ビジネス・プロセス・ビジネスモデル

可視化・意思決定支援もしくは自動化・自律化

予測+事象の解析

イベント処理 + リアルタイムデータ統合

設備・機器からさまざまな情報の収集

位置情報、稼働状況、コンディション、外部の環境状況

送電網 シティ/交通 製造工程 工場設備 交通機関 自動車 建機 船舶

データ活用における日本企業の課題

PAOが変える製品品質のアプローチ

品質領域におけるアナリティクスの適用

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SmartFactory

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MESと PAOを連携した新しい工場システム

1. 基幹系と制御系をつなぐMESの役割スマートファクトリーの効果を発揮するには 、MES(リアルタイムに製造実行するシステム)の整備が前提となります。 MESによって生産ラインの状況を把握することで、PAOに適切なデータを渡し、PAO から新たなプロセスの実行指示が発信され、装置を制御します。PAOによる工場内オペレーションを最適化に機能するMESを整備していない企業は多く、未だ ERPからのデータを人手で処理したり、システム化され ていても、独自開発のためにデータの受け渡しに手間取ったり、生産プロセス全体が見えない場合も多い。MESは、ERPや SCMといった基幹システムと製造・検査装置の制御系システムとの間に置かれるシステムで制御あることから、基幹業務システムから生産計画や生産スケジュール、生産指示など “何を作るか” といったデータを受け取り、制御システムに対して、 製造指示や製造仕様などを指示します 。 MESによって、基幹業務システムの製造指示が制御システムに伝わることで、計画に沿った生産活動が行われ、製造現場のリアルタイムな情報を制御システムから吸い上げて、基幹業務システムに伝えることで、正確な納期が把握でき、正しい意思決定が可能になる。そこに PAOが介在すれば 、現状から得た新しい洞察に基づいて、計画・指図が変更され、効率的な工場経営が実現可能になります。

アナリティクスの前提として必要な生産管理の基礎 _1

製造実行システム(MES) アナリティクス(PAO)

個別ロットスケジューリング

装置制御システム

分析モデルを作成・検査結果 処理装置とプロセスデータ・処理装置プロセスデータ、処理数、稼働時間・保守履歴(保守項目、交換部品)・品質モデル(製造条件因子・結果)と最適化

*1 PMQ Predictive Maintenance and Quality*2 PAO Predictive Asset Optimization

作業者 検査装置製造装置

ロット#プロセスデータ

設備プロセスデータ

設備アラーム

製造実行システム(MES)

製造条件データ

ロット製造履歴

装置モニターデータ

ロット検査データ

ロット指示 品質予測

品質データ管理システム

製造条件調整フィードバックフィードフォワード

データマイニング要因探索

検査データ

ics品質予測

最適製造条件

分析モデル品質予測

製造実績データ PMQ/PAO

品質分析モデリング品質予測現場への

フィードバック

Advanced Analyt

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SmartFactory

SmartFactory

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サプライチェーンのインテリジェンスを実現する GIView

2. グローバル競争環境で進化するMESMESは当初は一つの工場内で閉じていましたが、製造業のグローバル化と共に進化しました 。 各拠点のMESの基本部分を標準化し、グローバルで横軸に見られるのが<エンタープライズMES>です。特徴は、一つの工場のプロセスだけでなく、別の工場の プロセスを含めて一気通貫に見ることで、生産ラインでの計画とのかい離が、どう影響するかを把握し効果的な対策が可能になります。MESは、5つのレイヤーからなり、一番 下の工場内に閉じたMESとエンタープライズMESの 2つが「GIV i e w 統合工程管理」、次が財務会計・購買・生産などの「基幹系 ERP」。複数部門の連携対応する「グローバルS&OP、SCP」、最も上のレイヤーが予実ギャップと対応策の効果を可視化する「マネジメント・コックピット」です。「GIView 統合工程管理システム」 は 、「 品 質 管 理 」「 作 業 者 管 理 」「装置接続」の機能と、「複数の生産拠点を一元的に見える化」「製造プロセスごとにデータ収集」「トレーサビリティー」といった複数の工場を横串する機能、さらに「アナリティクス連携 」「 ERP連携 」が機能しています。スマートファクトリーでは、工程全体をリアルタイムに把握することが欠かせない。「 G I View 統合工程管理システム」を導入することで、MESの世界の中で工場内のすべての要素が連携し、こうした環境作りがスマートファクトリーの基盤整備につながります。

アナリティクスの前提として必要な生産管理の基礎 _2

実行View

仮想工場View

計画View

経営View

GIView Cockpit

GIViewS&OP/Planner / 需要予測

SAP/Oracle などの基幹システム

GIView EMES

GiViewFactory Suite(SiView)

ERPView

GIView統合工程管理システム各拠点のMESを標準化して、グローバル視点で見える化を実現

マネジメント・コックピット予実のギャップと打ち手の効果を把握する 

─ 需給・経営の見える化 ─レイヤー1

グローバルS&OP,SCP 複数部門が連携して、環境変化に対応する

─ 収益向上、需要変動対応、在庫削減・納期遵守 ─レイヤー2

基幹系ERP財務・会計・購買・生産の実行を支える レイヤー

3

レイヤー4

レイヤー5

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SmartFactory

SmartFactory品質アナリティクス―PAOの実現に向けて _1

1.PAOソリューションの概要PAOの主な役割は、<収集と整理><数理・統計予測 モデルを作成><発生状況を把握・原因を追究>。この一連の流れによって、製造品質の向上・予防保全を実現>します。 さらに、出荷後の製品アフターフォローを実施し、故障の回避や 、リコール対策に結びつけることも可能になります。具体的なシステムの構成は、まず設備・機器・製造工程・部品・環境などの情報からデータを収集し、原因分析やリアルタイム分析 、予知・予測分析 を実施。これらの分析結果から、全工程における指示を配信。これら一連の流れによって生産ラインの効率化や製品品質の工場を図ります。

PredictiveAsset

Optimization

データの収集と整理 構造化・非構造化・ストリーム1

数理・統計予測モデルの作成2

故障・品質問題発生 状況把握と原因追究3

策根拠に基づく回避 の具体的な実行 5

早期警戒による警告と回避策の提示 4

製造品質向上の追求

製造設備の事前保全

リコール問題の早期解決

アドバンスド・アナリティクス

データリポジトリ

EAI

データソース

Descriptive Analytics(原因分析、可視化)

Real Time Analytics(リアルタイム分析)

Predictive Analytics(予知・予測)

Prescriptive Analytics(分析とアクションの連動)

・生データ・集計データ・マスターデータ

・クレンジング・フィルタリング・集約・結合

作業指示配信

MES処理配信

原因分析、可視化 アクション連動

リアルタイム分析

予知・予測 ・予測モデルによる 不良発生スコアリング・予測モデルによる生産設備故障予知・予測結果に応じて、工程処理、保守判断

・リアルタイムのプロセスデータ取得

・リアルタイムで異常傾向判断・リアルタイム分析、予知・予測結果から、アクション指示連携・工程条件調整指示・ライン停止指示・工程処理指示・設備事前保全指示・部品回収指示

・不良原因分析・レポートによる状況の可視化SPSS

COGNOS

07

製造設備情報

製造工程情報

機器情報

故障部品情報

環境情報

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SmartFactory品質アナリティクス―PAOの実現に向けて _2

2. 高い効果を上げる予防保全への適用PAOを適用することで、大きな成果が期待できるもう一つの領域が予防保全の領域です。設備保守の各機能において、データを活用することで高い効果を上げることができます。 まず、工場内の各種の設備の管理体制を構築。これらの設備に対して、点検整備情報を把握・稼働状況を収集、遠隔監視します。原因分析システムでは異常や検知などの保守作業を行い、 運転を再開・継続し、既存の計画に保守作業の結果を反映させていきます。これらの予防保全活動によって、異常を早期に発見し対策を施すことで、トラブルを未然に防いだり、早期の回復を図り、コストの削減や業務の効率 化に繋げることが可能になります。また、一連の作業を、 すべて共通の認証・管理基盤のうえで行うことで、一元的に情報の管理が可能になり、保守・メンテナンスの正確性と効率性を向上につながります。

共通基盤機能(認証、システム管理、セキュリティー、ログ管理、サービス運用他)

構築中のMaximoによる管理 センサーデータを用いた遠隔監視・早期検知やツールを用いた故障要因分析機能を追加

既存の計画に、検知・分析結果を反映して業務を実施

診断・解析設備情報管理 状態監視異常検知 保守作業 運用・運転

共通マスター管理IBM Maximo

文書管理

機器状態管理

資産管理

ユーザー管理

作業項目

カレンダー

アクセス権限

作業パターン

帳票 マニュアル管理

機器状態登録・参照

保守計画管理

計画立案

計画立案補助機能

IBM Maximo

予備品在庫管理

在庫管理

運転実績管理

運転実績登録・参照

点検整備履歴管理

作業記録登録・参照

承認ワ

クフロ

遠隔点検システム

センサ・インタフ

センサー管理

原因分析システム

保全計画提案

自動予防保全

故障・問題実績

センサーデータ実績点検整備実績

センサー認証データ受信

センサーデータストアデータ送信状況解析

点検結果報告

同期インタ

同期インタ

実績

保守要員による点検と結果登録

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SmartFactory

スマートファクトリーの実現には、幅広いソリューションが必要です。<製造現場の設備や機器からデータを収集><制御ネットワークで機器をコントロール><製造状況を一元的に管理>。<情報を分析・品質や生産性向上のために製造計画を変更><再び製造現場の設備や機器にフィードバック> <成果を正確に把握・評価>というプロセスが求められます。工場経営の視点から工 場の運営に対しては「GIView Planner」、工場内の施設・設備の 管理については「Maximo」、工場間の情報共有については「 GIView 統合工程管理システム 」、データ分析については「SPSS」や「Cognos」など、多くのツールを用います。さらに今後の IoT の広がりに対応するための、工場内の設備や機器にセンサーを装着し、データを収集、分析の活用方法の設計が重要となり、その成否によって競争力は大きく左右されることになり、見極めには試行錯誤を繰り返し行う必要があります。

重要度を増す IoTへの対応

工場経営

工場運営

ネットワーク

設備・デバイス

製造・設備情報の解析による不具合検知・予知と根本原因追究原材料、製造、設備情報

の実績管理

オーダー管理・納期回答

IoTによる稼働状況監視

生産実行管理

スキル管理

順序計画

F. PMQ /SPSS

C. GIView MES

G. IoT Platform

D. GIView E-MESオーダー管理・納期回答

検査装置 製品ロボット部品 設備FA機器 作業者

A. GIView Planner

ILOB. G

MaximoE.

Fore-cast

Order

稼働状況

/ 稼働状況を考慮した需要・物流計画GIView統合工程管理システム

SmartFactory

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SmartFactory

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デジタル化による工場の生産技術の高度化には 3つのプロセスがあります。<1. スマートファクトリーを実現する工場俯瞰図の作成><2. 装置単位のアーキテクチャーの作成><3. ビッグデータの分析能力の強化>。インダストリー 4.0 のコンセプト・デモには、生産ラインを流れる商品 の状況をお客様が参照したり、注文仕様の変更を行っているものもあります。そのために必要となるのが工場の俯瞰図です。「新しい時代の工場とはどのようなものか ?」を自社で共有し、技術要素・通信・データこの 3つの観点が未来のデジタル工場、サイバー工場の姿を机上で共有することが可能になります。 次に考えるのが装置単位のアーキテクチャーです。製造装置 からセンサーなどでリアルタイムに情報を収集しクラウドに蓄積できるようになると、瞬時に分析、レポートやアラートを出せるようになります。工 程 が異なる多種の商品を製造するようになると、効率良く生産するために、装置の最適化。さらに緻密な生産計が可能になります。また、予期しない故障がなくなれば、損害や復旧のための費用が軽減します。ビックデータの分析は、今後の大きな課題です。企業ではビッグデータを収集、保管、分 析、利用するための基盤と、ビッグデータを分析するデータ・サイエンティストのようなスキル(人材)が必要となります。工場から収集した様々なデータを可視化し、予測 、最適化へと分析し強化させていくことが求められます。まずは、できるところから効果を測定しながら段階的に戦略に取り入れていくことが現実的といえます。

工場のデジタル化、生産技術の高度化

分析活動の高度化

③アクションを提示する分析(Prescriptive)

未来の予測

過去/現在の分析

複雑度

②予測的な分析(Predictive)

①原因の分析(Descriptive)

確率最適化 変動要素を加味し、どうすれば最高の結果を得られるのか?

最適化 どうすれば最高の結果を得られるのか?

予測的モデル 次には何が起こるのか?

シミュレーション 何が起こりうるのか?

予測 この傾向が続いたらどうなるのか?

アラート どんなアクションが必要か?

クエリ/ドリルダウン 何が問題なのか?

アドホックレポート 金額、数量、頻度、ロケーションは?

定型レポート 何が起こったのか?

競争優位性

 インダストリー4.0はドイツ発の製造革命への取り組みだが、グローバルに見て、製造業全体が4.0的な方向に向かっていると考えられる。その中でも、IoT やセンサーを活用して、製品や生産性の向上を目指すスマートファクトリーへの取り組みは、日本の製造業の強みを大いに活かせる分野であろう。 スマートファクトリーの実現に向けては、データの収集から分析、設備や機器の制御など多くの技術要素が必要となるが、常にカイゼンに取り組んできた日本の製造業の強みが活かせる分野だけに、IoT の可能性の開拓も含めた積極的な取り組みが期待される。

インダストリー 4.0

SmartFactory