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文部科学省委託 平成28年度 専修学校留学生就職アシスト事業
日本の魅力を発信して日本留学への意識啓発を促進する
専修学校広報戦略
事業概要
平成29年3月
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事業概要
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1 事業概要
1.1 事業背景
◆ 日本留学の最近動向
独立行政法人日本学生支援機構「平成27年度外国人留学生在籍状況調査結果」
(平成28年3月)に拠れば、平成27年度に日本の教育機関に在籍する外国人留
学生の数は、前年度より2万4224人(13.2%)増の20万8379人、3年連続の増
加で20万人を超えて過去最高になった。
留学先の内訳は、大学院・
大学・短期大学・専修学校等
の高等教育機関の在籍者が15
万2062人、日本語学校等の日
本語教育機関の在籍者が5万
6317人である(右図)。
留学生の出身国・地域別の割合は、中国が45.2%、ベトナムが18.7%、ネ
パールが7.8%、韓国が7.3%、台湾が3.5%、インドネシアとタイが共に1.7%、
ミャンマーが1.3%、マレーシアと米国が共に1.2%等であった。つまり、留学
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生の92.7%はアジアの学生で、次いで欧州が3.5%、北米が1.3%、中東が0.8%、
アフリカと中南米が共に0.7%、大洋州が0.3%等で、アジア諸国からの留学生が
9割以上を占めるのが大きな特徴である。これを前年度と比較すると、中国と
韓国がやや減少しているのに対し、ネパールが55.5%増、ベトナムが47.1%増、
ミャンマーが42.4%増で、急増している。すなわち、アジア新興国の学生が、
日本に熱い視線を向けていることが窺える。
また、留学生の高等教育機関での専攻分野は、社会科学36.2%、人文科学
24.8%、工学16.2%、芸術3.7%、農学2.2%等で、人文社会科学系が6割以上
を占める。(以上、同調査結果より)
しかし、政府が掲げる、平成32(2020)年度までに外国人留学生を30万人に
増やすという「留学生30万人計画」の実現は、現状ではまだ厳しいと予想される。
つまり、日本留学は実際、アジア諸国の学生が中心であること、専攻分野は
人文社会科学系の割合が高いこと等を再度考慮した上で、外国人学生のニーズ
に沿った留学生誘致策を考える必要がある。
観光ビザの緩和に伴う訪日観光客は急増しており、平成26年に1300万人、平
成27年に1900万人を超え、今後さらに増加が見込まれる。タイ・マレーシア・
中国等の現地留学関係者に拠れば、この流れは留学にも徐々に好影響を与えて
おり、日本から帰国した後に自分の子供を日本に留学させたいという相談も増
えている。
つまり、今後、訪日観光客に対して日本の学校をアピールできるような機会
を創出し、それを留学に引き込むような方策も求められるのである
◆ 専修学校留学の振興需要
日本の産業競争力を強化するためには、日本企業や日系企業で活躍できる優
秀な外国人留学生の受容を促進することが重要な成長戦略の一つと捉えられる。
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しかし、今日の外国人受容体制は、留学生の受容、労働者の受容、留学生の
就職・転職支援、企業に対する外国人採用・雇用支援等の施策が各々個別に
なっているのが実情である。そのため、日本での就職を希望して日本に留学し
ても、その後の具体的な就労ビジョンを描けなかったり就職機会を得られな
かったりするまま、帰国せざるを得なくなった留学生も少くない。したがって、
外国人留学生の受容には、単発の留学・就職支援だけでなく、彼らが日本で職
業専門教育を受け、日本で就職し、日本の企業・地域等での就労・定着を実現
するという一連のプロセスを実効性のあるものにする環境の整備が必要である。
その際、平成27年度の留学先の内訳は、大学院・大学・短期大学・専修学校
等の高等教育機関の在籍者が15万2062人、日本語学校等の日本語教育機関の在
籍者が5万6317人であるが、前年比で見ると、特に「専修学校(専門課程)」の
伸び率(32.3%)が最も高く、際立つ(下表)。
【在学段階別留学生数】
学 校 種 留学生数 割 合 前 年 比
大学院 41396人 19.9% 1417人(3.5%)増
大学(学部) 67472人 32.4% 1607人(2.4%)増
短期大学 1414人 0.7% ▲19人(1.3%)減
高等専門学校 519人 0.2% 35人(7.2%)増
専修学校(専門課程) 38654人 18.5% 9427人(32.3%)増
準備教育課程 2607人 1.3% 410人(18.7%)増
日本語教育機関 56317人 27.0% 11347人(25.2%)増
合 計 208379人 100.0% 24224人(13.2%)増
独立行政法人日本学生支援機構「平成27年度外国人留学生在籍状況調査結果」(平成28年3月)
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その理由として、近年の専修学校が総じて留学生によって次のように認識さ
れていることが、「日本留学AWARDS」での学生コメント(下例)から窺われ
る。
日本留学AWARDS 2015 専門学校部門 上位入賞校 学生による推薦理由
● N専門学校
➢ 就職率が高い。入学から就職まで学習面生活面就職面のサポート体制が整っている。
➢ 学校設備がよく、教育内容が充実している。専門性が高い。
➢ 資格取得や就職サポートなどが充実しており、進学した学生からの評判が良い。
● 専門学校I
➢ 対応が親切で、教育方針もきちんとしている。
➢ 担当者の方が非常に熱心で、入学後の状況をきちんと連絡してくれる。
➢ 早期割引制度有、レベルに合った指導が行われている。
● 専門学校T
➢ 進学、就職ともに力を入れ、学生指導もしっかりしている。
➢ 面倒見がよく、学生へのケアがしっかりしている。
➢ 厳しい教育が徹底されており、マナー教育なども行き届いている。日本社会で通
用する人材を育てている。
➢ 奨学金制度が整っている。
● 専門学校H
➢ 確かな技術が身につけられ、就職率も高いと聞いている。
➢ 日本語学校との連携もしっかりしているので、安心感がある。
➢ 2年次から希望にあったコースが選べ、進学した学生が満足している。
すなわち、留学生における専修学校の認識は、次のようなものと整理できる。
○ 日本社会を支える重要な人材を輩出する学校である。
○ 昨今世界で注目を集める「クールジャパン」から、環境エネルギーや
IT・医療・福祉等の分野まで、今後の世界市場で成長が見込まれる産業
を支える専門人材を養成している。
○ 卒業者は職場の専門技術習得者として期待されるため、経済動向に拘
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らず、高い就職率を維持している。
○ 教育内容・学校設備が充実しており、学習・生活・就職等あらゆる面
での支援体制が整備されている。
そこで、後述する本事業の留学生支援環境整備構想の一環として、まずは日
本への誘致に焦点を当て、日本の専修学校で学びたいと考える外国人学生を対
象にし、彼らの日本に対する関心・意識を惹起する取組が求められる。
その際、従来の日本留学支援の取組は、その多くが就職等のゴールを漠然と
示して留学を促す功利的・即物的なアプローチであった。しかし、留学生誘致
の方法は、その本質論から言えば、日本の魅力や日本の専修学校で学ぶ意義の
理解を促進して日本留学・就職に繋げることを企図する啓発的アプローチこそ、
日本の成長戦略としてあるべき姿である。
1.2 事業経緯―平成27年度事業との関係
本事業では平成27年度、《外国人留学生の受容には、単発の留学・就職支援
だけでなく、彼らが日本で専門教育を受け、日本で就職し、日本の企業・地域
等での就労・定着を実現するという一連のプロセスを実効性のあるものにする
環境の整備が必要》(平成27年度事業計画書)との認識から、まず国内専門学校
で学ぶ外国人留学生を主対象にし、彼らの日本での就職を支援するため、留学
生採用意欲がある中小企業等とのマッチングを促進する各種セミナー等を産学
連携で企画・実施した。
このような留学生支援事業の実績を踏まえ、平成28年度事業では、日本への
誘致に焦点を当て、日本で学びたいと考える外国人学生を主対象にし、彼らの
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日本に対する関心・意識を啓発する広報媒体を制作した。
その際、本事業では、その発展的展開として、外国人学生の留学から学習・
就職(延いては転職)までを総合的にサポートする就学生支援環境の構築・整備
を構想した。それにおいて、平成27年度事業と平成28年度事業は各々、下図の
ように位置づけられる。
上図において、①は、留学生を対象にし、日本での就職活動を支援するもの
である。②は、日本で就職したい留学生/留学生を採用したい企業の双方の
マッチングを支援するものである。③は、留学生を採用したい企業を対象にし、
留学生採用・外国人雇用を支援するものである。④は、日本に留学・就職した
いアジア圏大学生を主対象にし、彼らの留学を支援するものである。
その上で、平成27年度事業では、①②③の領域での取組に注力した。これを
踏まえ、平成28年度事業では、④の領域での取組を検討した結果、日本留学を
促進するための広報媒体の制作を実施することになった。
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1.3 事業目的
本事業は、日本の専修学校で学びたいと考える外国人学生を主な対象にし、
彼らの日本での学習や就職を促進・支援するため、複数言語対応ウェブサイト
の構築やリーフレットの制作を実施するものである。
その目的は、日本で学ぶことの魅力を発信することで、外国人学生における
日本への関心・意識を啓発し、専修学校への留学を促進することである。
また、日本留学に必要な入学・生活・就職等に関する実用的情報も発信する
ことで、外国人留学生の受容を支援し、彼らが日本の産業競争力の向上に寄与
することを企図する。
その上で、本事業の実施によって達成される目標として、次の3点を設定した。
● 本事業成果物を利用した専修学校留学生数の増加
● 本事業成果物を活用した専修学校留学生受容体制の構築
● 本事業の発展的展開による留学生の学習・就職支援環境の整備
1.4 事業内容
本事業では、外国人学生における日本への関心・意識の啓発と専修学校への
留学意欲の喚起を目的にする、次の2点の広報媒体を制作した。
① ウェブサイト
② リーフレット
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① ウェブサイト
日本で学ぶことの魅力や意義を理解することを通じ、日本への留学・
就職を促す啓発的アプローチによる内容・構成のウェブサイトを制作した。
そこでは、専修学校が日本社会を支える重要な人材を輩出する学校で、
卒業者は職場の専門技術習得者として期待されることを明記し、学びの
中で就職を意識させる内容にした。また、多くの学生閲覧者を獲得する
手段として、SNSを連動的に活用することにした。
② リーフレット
ウェブサイトのエッセンシャル版であることに加え、その紹介と活用
促進を目的にするリーフレットを制作した。日本留学を目指す学生や既
に日本で学ぶ留学生が常時携帯できるツールになるような仕様にした。
1.5 事業体制
本事業では、その実施主体として、当財団が、事業推進の方針策定・管理・
評価等を担う「企画推進委員会」(およびそれを補助する「事務局」)、その下部組
織である「分科会」、そして事業推進の各種リソース・成果・経費等の管理や
内外の調整を担う「企画推進管理者」等を運用する体制を敷いた。それを次頁
に図示する。
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その上で、企画推進委員会と分科会は各々、次の委員で構成された。
▼ 企画推進委員会構成員
氏 名 所属・職名 分科会
1 赤羽幸雄 一般財団法人日本教育基盤財団 理事 ○
2 篠原克彦 学校法人滋慶学園 東洋言語学院 事務局長 ○
3 中川由加里 学校法人滋慶学園 滋慶国際交流COM 代表 ○
4 根本峰人 学校法人仙台北学園 仙台リハビリテーション専門学校 事務局次長 ○
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5 浅川英文 学校法人 専門学校東京スクール・オブ・ビジネス 校長
6 申景浩 学校法人金井学園 秀林外語専門学校 理事長 ○
7 細野修一 学校法人アテネ・フランセ 専門学校アテネ・フランセ 理事・事務局長 ○
8 福岡壯司 学校法人コンピュータ総合学園 神戸電子専門学校 校長
9 小山裕司 公立大学法人首都大学東京 産業技術大学院大学 情報アーキテクチャ専攻長
10 宮里智樹 国立大学法人琉球大学 工学部 システム情報工学 助教 ○
11 荒木義弘 一般社団法人国際人流振興協会 理事
12 重田誠 一般社団法人全国地域生活支援機構 常務理事
13 久保田学 一般社団法人留学生支援ネットワーク 事務局長
14 新井永鎮 株式会社ヒューマンパワー 代表取締役社長 ○
15 工藤尚美 株式会社オリジネーター 取締役 ○
16 平山雄一 株式会社アルバイトタイムス 外国人採用支援室室長 ○
17 林田かおる ヒートウェーブ株式会社 代表取締役
18 増田一人 ジェイアイティーグローバルサポート株式会社 代表取締役社長
1.6 事業実績
◆ 事業の活動指標と成果目標
本事業では計画時、次のような活動指標と成果目標を設定した。
▼ 活動指標
a 企画推進委員会開催: 3回
b 開発分科会開催: 2回
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c 事業継続分科会開催: 1回
d 成果報告会開催: 1回
e ウェブサイト(60頁程度・複数言語対応)制作: 公開
f リーフレット(16頁程度・2箇国語対応)制作・印刷: 1000部
g 事業報告書作成・印刷: 200部
▼ 成果目標
a 本事業成果物を利用した専修学校留学生数の増加
b 本事業成果物を活用した専修学校留学生受容体制の構築
c 本事業の発展的展開による留学生の学習・就職支援環境の整備
この10項について、本事業の実施による結果は、次の通りである。
▼ 活動指標
a~gは全て達成した。
▼ 成果目標
a~cはいづれも、次年度以降の本格運用の成果として設定された目標
である。したがって、本事業成果物をプロトタイプと位置づけ、まずはそ
の本格運用に先立つ評価・検証を行う。その結果に基づいて改良・拡張を
施し、その運用・普及活動の基盤になる事業推進体制を構築する。その体
制構築とプロトタイプの改良・拡張を実現すれば、a~cが具体性を帯び
た目標設定になる。以上の旨を企画推進委員会で協議し、合意を得た。
◆ 開催した企画推進委員会と分科会
本事業では実施期間内、企画推進委員会3回と分科会3回を開催した。その
概要を以下に列挙する。
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▼ 企画推進委員会
【目的】事業方針・計画の策定、事業推進の管理・評価
回 日 時 場所 人数 検討内容
第1回
平成28年
11月15日
14時~
東京都
11
人
○ 広報対象(年齢層・出身国・関心度)を限定の
必要
○ 東南アジア諸国事情を踏まえたウェブサイト
仕様設定の必要
○ SNS連動活用の必要
第2回
平成29年
1月27日
15時~
8
人
○ 広報対象を誘致局面に限定の必要
○ 日本の専修学校の職業網羅性の広さを提示す
る必要
○ 本年度事業で実現可能な範囲の設定の必要
第3回
平成29年
3月13日
16時~
13
人
○ 制作したウェブサイトの周知方法の策定の必要
○ 制作したウェブサイトの拡充方策の検討の必要
○ 継続運営費確保の方策の検討の必要
▼ 分科会(開発/事業継続)
【目的】開発方針・仕様の策定、事業終了後の継続展開方針の策定
回 日 時 場所 人数 検討内容
第1回
平成29年
1月11日
16時~
東京都
5人
○ 東南アジア諸国事情を踏まえたウェブサイト
仕様の設定
○ SNS連動活用の具体的方策の策定
第2回
平成29年
1月27日
13時~
4人
○ ウェブサイト内容・構成の設定
○ Facebookに特化したSNS連動活用の具体的
仕様の設定
第3回
平成29年
3月10日
13時~
4人
○ 制作したウェブサイトの次年度以降の拡張対
象の策定
○ 継続運営方策の検討と連携可能主体の選定
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文部科学省委託 平成28年度 専修学校留学生就職アシスト事業
日本の魅力を発信して日本留学への意識啓発を促進する専修学校広報戦略
事 業 報 告 書
発行日
平成29年3月
発行者
一般財団法人日本教育基盤財団
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