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Cool Nagoya ― 外 国 人 が 見 る 名 古 屋 の 景 観 ・ 歴 史 ・ デ ザ イ ン ― ― 記 録 集 ―

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Page 1: 討論会「Cool Nagoya 外国人が見る名古屋の景観・歴史・デザイ … · ます。日本の場合、それが全然無くて怖かった。「逃げられない」「ホッと出来ない」と思いました。

Cool Nagoya

― 外 国 人 が 見 る 名 古 屋 の 景 観 ・ 歴 史 ・ デ ザ イ ン ―

― 記 録 集 ―

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開 催 概 要

[趣旨] 名古屋をよく知る外国人の方に「名古屋の Cool・Not Cool な景観・歴史・デザイン」につい

て討論してもらうことで、「外国人から見た名古屋」、「外国、日本の他都市」の景観・歴史・

デザインについて知るとともに、今まで気付かなかった名古屋の魅力を再発見する機会とす

る。 [日時] 平成 23 年 11 月 3 日(木曜日) 11 時 30 分~13 時 30 分 [場所] 文化のみち橦木館 和室 [主催] 名古屋市住宅都市局都市計画部都市景観室 / まちづくり企画部歴史まちづくり推進室 [協力] 公益財団法人名古屋国際センター/ 株式会社国際デザインセンター/ 名古屋都市センター [広報] 広報なごや 10 月号/ 歩こう!文化のみちマップ/ PR チラシ

名古屋市公式ウェブサイト/ 各センター公式ウェブサイト

[観覧者] 79 名 COOL NAGOYA PR チラシ

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出 演 者

[コーディネーター]

佐藤久美

英文情報誌「アベニューズ」代表 名古屋市広告・景観審議会委員 名古屋大学大学院博士後期課程修了。博士(学術)。 名古屋を発信地とする英文情報誌「アベニューズ」(1985 年創刊)にお

いて、中部地域を観光やビジネスで訪れる外国人や在住外国人に、日本

の文化、伝統、生活などを紹介。 2005 年の愛知万博では、「フレンドシップ・フィルム・フェスティバル」

(21 カ国の映画監督が愛知県内の 19 市町に滞在し、万博時の交流をテ

ーマに記録映画を製作)のプロデューサーを務める。 [外国人討論者]

ジュゼッペ・コロニティ

イタリア出身 建築家 Coroniti Design Room

カン・セイ

中国出身 大学院生(環境学) 名古屋大学大学院 NIC 地球市民教室外国人講師

クレメンス・メッツラー

ドイツ出身 グラフィックデザイナー クレメンス・メッツラーデザイン事務所

ダ・シルバ・エリサンジェラ・アパレシダ

ブラジル出身 語学講師 NIC 地球市民教室外国人講師

ラビーンドラン・ラビアムダン

インド出身 大学院生(機械工学) 名古屋工業大学大学院 NIC 地球市民教室外国人講師

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議 事 録

佐藤: 皆様こんにちは。今から二時間に渡って、私が司会進行役を務

めさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。皆様、文化の日

に文化のみちにいらっしゃる、非常に文化に関心の高い方ばかりで、こ

の会場の中も“Cool”どころか“Hot”な熱気に包まれているような気

がします。私は、25 年前から英語の雑誌を編集発行してまいりました。

私は名古屋生まれ名古屋育ちでして、(名古屋のまちを)日常の景色と

して見ていましたが、この雑誌を始めるようになり、いろいろな国の記

者達と取材に行くうちに、彼らの目を通しての名古屋を再発見するよう

になりました。時には、「これ、何かちょっと変だよね?」と言われる

こともありますし、「こんなにいい所が名古屋にあるんだね。」と記者達

から教えてもらうこともあり、新鮮な目で名古屋を見ることができるよ

うになったと思っています。名古屋を外国の人達に紹介するという趣旨でこの名古屋を改めて見ると、

新しい発見があります。今日はそのような話も含め、5 カ国のカッコイイ、“Cool”な人達に名古屋につ

いて熱く語っていただこうと思います。では、順番に聞いていきたいと思います。イタリアからやって

きた建築家のジュゼッペさんに聞いてみたいのですが、いつ名古屋にいらっしゃったのですか?

ジュゼッペ: 名古屋に来たのは 1997 年の 12 月だから、今

年で丸 14 年になる。イタリア半島の一番南、カラブリア州生

まれ、16 歳から 13 年くらいミラノで一人暮らし、それから

名古屋に飛んだ。 佐藤: なるほど。ミラノから名古屋に来てどうですか?最

初に飛び込んできた名古屋の景色はどのように見えました? ジュゼッペ: はい。最初来た時は、北海道から昔の小牧空

港に入ってきて、名古屋の上を通らないからどんなまちか見

られないし、日本の場合瓦の色が黒で、12 月だったから山も緑が無くてグレーなので、「どうかなぁ?」

「大丈夫かなぁ?」と思った。 佐藤: 墨絵っぽい色の印象があったのですね。 ジュゼッペ: そう。そこから車で神宮前三本松町に運ばれて、そこに 3 年間住むことになるのだけど、

まだ下町じゃないですか。友達の話では「名古屋は大きな街。大きな建物が沢山ある。」と聞いていたの

に大きな建物は見られないし、ちょっと心配でした。 佐藤: ここで自分は生活していかなくてはいけないのだという不安感もあって、最初の日々を過ごし

たわけですね。ありがとうございます。 続いて、カンさんは名古屋大学で勉強しているのですね。何を勉強しているのですか? カン: はい。環境学研究科で環境政策論を勉強しています。私は、9 年前、中国の大学で日本語を勉強

し、大学を出た後、中国の日系企業で 2 年位働いていました。日本語を勉強している間に、日本も過去

に深刻な公害問題を経験したことがあると知り、また、働いていた会社が環境に取り組んでいたことも

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あって、環境について勉強したいと思い、2008 年 10 月に名古

屋大学大学院に入りました。 佐藤: 名古屋の景色はどう見えました? カン: 中部国際空港から電車で金山に向かい、駅を出た時は

大きなインパクトを受けましたが、日本に来る前、中国で三番

目の大都市である広州にいたので、名古屋も日本で三番目の大

都市と言われていますが、広州と比べるとちょっと田舎だなと

感じました。高層ビルもそんなに多くないし。でも、金山に向

かう電車の中では、皆寝ているのではないかと思うくらい静かで、床の上にゴミも落ちていなくて、び

っくりしました。そして、それはまちも同じでした。また、その日泊めてもらった友達の家で水道水を

そのまま飲めることにも驚きました。中国では水道水を直接飲むなんてことはできませんから。 佐藤: なるほど。そういったカルチャーショックがあったのですね。

それでは、メッツラーさんはドイツからいらしたのですが、

こちらでグラフィックデザイナーのお仕事をされていらっし

ゃるのですよね。名古屋に来た時の印象はどうでしたか? メッツラー: 12 年位前だと思う。私は、ジュゼッペさんみ

たいに小牧から名古屋に入ってきました。その前にも日本に来

たことはあります。特に、関西に来たことはありました。和歌

山、神戸、京都とか。それで、初めて小牧から名古屋に入って、

まぁ、結構驚きました。大きな街、無限の海、建物ばかり、電

線ばかりで。 佐藤: 電柱と電線が多い? メッツラー: と、思ったね。それと、日本の街は終わらないね。どこまで行っても街に境界が無い。 前に住んでいたベルリンでは、ベルリンも大きな街ですが、真っ直ぐ走っていくと、道路の左側に黄色

い看板があり、ベルリンという文字の上に赤線が引いてあります。意味は「ベルリンはここで終わり」。 そこから先は田舎になります。道路の左右は農場とか森になります。街は終わります。はっきりしてい

ます。日本の場合、それが全然無くて怖かった。「逃げられない」「ホッと出来ない」と思いました。 佐藤: はい。日本の街はどんどん中心から外へ広がっていってしまっているのですよね。ここからこ

こまでという境界が無いですよね。 メッツラー: まぁ、それには理由があると思います。それが、日本の特徴ですね。 佐藤: なるほど。住んでみていかがですか?ホッとする所はありますか? メッツラー: あります。私は尾張旭市に住んでおりまして、山が見えるところですので。 佐藤: はい。ありがとうございます。 では、エリサンジェラさん。ブラジルから日本に来られて何年ですか?

エリサンジェラ: 今、2 回目で、合わせて 14 年になります。私は、サンパウロ出身で、サンパウロ州

のサンパウロ市から 450km、人口 8 万人のすごい田舎に住んでいましたので、初めて名古屋に来た時は

「わぁ、すごいなぁ、大都会だなぁ。」と、すごくびっくりしましたね。私が、今住んでいる所は緑区で

す。緑区は自然が多く、私の住んでいたまちと似ていますね。でも、バスで 50 分も行けば栄です。栄は

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私の住んでいたまちとは全然違いびっくりしましたね。本当に

“Cool”だと思いました。 佐藤: ありがとう。もうすぐ、2 人目の赤ちゃんが産まれる

のですね。「お母さん頑張ってね。」ってお腹の中で応援してい

るかな? エリサンジェラ: はい。あちこち動いています。ありがとう

ございます。 佐藤: ありがとう。

では、ラビさん。名古屋工業大学で勉強しているのですね。何を勉強されているのですか? ラビ: 自動車の関係です。 佐藤: いらっしゃった頃はどうでしたか? ラビ: 私は、4 年前日本に来ました。私が生まれて 16 年住

んでいた所は、インドでの生産量が 2 番目になるくらい塩作り

が盛んなまちだったので、全く木が無かった。大学の時はイン

ドで大都会と言われる所に住んでいたのだけど、人が多くて木

が全く無く、建物ばかりだった。建物も大きなもので 5 階位だ

った。日本に来た時、10 階以上の建物の多さにびっくりしま

した。10 階以上に昇ると空に近いので、太陽のパワーをもらえるような気がして、それに上からの景色

がきれいでいいなと思いました。あと、住んでみると、近くには山もあって自然と繋がっているまち、

自然も見えるまちだなと思った。 佐藤: なるほど、ちょっと足を延ばせば自然もあるということですかね。 というように皆さん元々住んでいた所との比較で名古屋を見るので「大都会だな。」と思った人もいれ

ば「田舎だな。」と思った人もいるということですね。では、5 人の方に聞きたいと思うんですけども、

文化のみちって知っていました? カン: 知っていました。 ジュゼッペ: 知りませんでした。 佐藤: 今回、皆さん名古屋のまちをいろいろ歩いて写真を撮ってきたのですよね。討論会が文化のみ

ちで行われるということで、“Cool”な文化のみちの写真も撮ってきてくれているので、それを見てみた

いと思います。

「まちなみ(文化のみち)」

佐藤: はい。では「まちなみ(文化のみち)」としてメッツラーさん。次の写真のどこが“Cool”カッ

コイイですか? メッツラー: この周辺は江戸時代からできた特徴的な雰囲気を持ったまちなみだと思います。“Cool”な所は、古い建物が無くなって新しい建物が入ってくる。この写真の左上の新しい建物は、その雰囲気

をよく分かって、その古い建物の形を真似して・意識して(古い建物が無くなって)出来た穴に入れて

あるので、大きなコントラストを感じずに、ずっと同じ気持ちでまちを歩ける。

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もちろん新しい建物だと見れば分かるのですが、そんなに大

きなコントラストは感じないのでいいなと、気を付けて新し

い建物を作ってくれたなと思いました。 佐藤: なるほど。歴史を壊さないように、新しい建物がき

ちんとデザインされている所がいい。調和・ハーモニーがあ

るということですね。 メッツラー: そうですね。新しい建物と古い建物とのハー

モニーですね。 佐藤: そうすると、右の写真は“Cool”じゃないのですか? メッツラー: この周辺は歴史のある雰囲気で、昔はどんな生

活だったのかとか考えながら歩いていると、突然、中途半端に

モダンで機能的な冷たい建物があって、建物の前には駐車場が

あってびっくりしました。雰囲気が壊れてしまった。とても

“Not Cool”な気持ち、残念な気持ちになった。 佐藤: 残念な気持ちになる建物が途中で現れてしまったと。 下の写真もメッツラーさんですね。

メッツラー: ここが残念だと思ったのは、道路もアスファル

ト、建物が無くなった駐車場もアスファルトで、アスファルト

の砂漠みたい。夏は暑いし。なんだか大きな虫が昔からのまち

なみを食べて大きな穴が開いてしまったようで、とても気持ち

が悪いです。とても残念です。この穴を見るとここにあったも

のを想像して、どうして無いのかなと残念な気持ちになります。

これは、何とかしてほしい。木を植えるとかして隠してほしい

です。 佐藤: そうですね。木があると随分イメージが変わりますかね。 メッツラー: 木はいくらあっても足りないと思います。緑で修景できると思います。 佐藤: 折角、昔の人達がどのような生活をしていたのだろうかと想いをはせながら歩いていたのだけ

れども、それが中断させられてしまうということですね。それが、“Not Cool”なのですね。ありがとう

ございます。それでは、ジュゼッペさん。右の写真のどこが

“Cool”ですかね? ジュゼッペ: メッツラーさんの話と繋がると思うのだけど、

建物の高さと道路の幅のバランスが、見守られている感じがし

て落ち着く。緑もあっていい所。メッツラーさんが言っていた

駐車場になっている所とか、前に駐車場があってモダンなビル

がある所は、広がっているから、見守られている感じが無くな

る。 佐藤: 木も生い茂っていますよね。 ジュゼッペ: はい。木もあります。建物と木がちょうどいいバランス。自分で撮った写真じゃないけ

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ど、右の写真を見てもそうなっているのですね。昔の京都みた

い。まちは自分の体に合わせてつくる、建物の高さはそれに合

わせてつくる。ここ、橦木館も見れば分かるけれど欄間がすご

く低いですね。僕達外国人はこのような家は無理。背が高くて。

でも、それがいい。 佐藤: 空間的なものね。 ジュゼッペ: はい。

佐藤: では、ラビさん。左の写真が、“Cool”だっていうこ

とだけど。 ラビ: この家の庭には松の木がいっぱいあるじゃないですか。

それを見ると日本という感じがする。松の木は日本でしか見ら

れない景色なのですよ。それがいいなと思って。 佐藤: この門構えなんかどうですか? ラビ: そうですね。門も、門の前のスペースも広いから、こ

の家は広いと思った。 佐藤: なるほど。この奥でどんな生活をしていらっしゃるのかしらと、ちょっと想像するよね。 ラビ: そうですね。今はマンションにも松の木が植えてあることがあって、マンションのように新し

い建物に松の木が植えてあるのもいいなと思う。 佐藤: 松が好きなんだ? ラビ: そういうわけじゃ、やっぱりそうだね。 佐藤: でも、松は刈り込むのがすごく大変で、お金が掛かるのよね。 ラビ: 掛かるんだけど、それが日本的でいいじゃないですか。 佐藤: そうですか。右の写真も見て下さい。この辺りは、マ

ンションになってしまっている所もあるのですが、この写真の

ように門や塀を残し、周辺との調和を図ろうとしているマンシ

ョンもあります。このような建物はどう思いますか? ラビ: 門や塀が残されている建物は古い感じがしますね。と

てもいいと思います。 佐藤: とてもいいですか。ありがとうございます。

「まちなみ(市内)」

佐藤: では、市内のまちなみの写真を見ていきましょう。メッツラーさんですね。次の写真“Cool”ですか? メッツラー: 名古屋のまちなみはバラバラだと思います。 佐藤: バラバラ。

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メッツラー: 初めて来た時は、まちなみのパターン、でき方

が全然分からなかった。田舎があって、マンションがあって、

一軒家があって、どんなパターンか?どんなつもりか?どんな

でき方か?全然分からずカオスのように見えた。 佐藤: カオス=混沌として見えたということですね。 メッツラー: 怖かったね。でも、よく見ると、このカオスの

中にあちこちパターンが出てくる。例えて言えば、パッチワー

クみたいな所が出てくる。赤塚という所かな?新しい建物が多

い中で、突然大きなコントラストとして、ポイントとして、とても古い神社、木があり、古い世界が残

っています。それはいいと思います。こういうポイントは名古屋にはよくあります。新しい建物の間、

あるいはその裏、その隣にすぐ古い世界が見つかります。そのコントラストがいいと思います。新しい

ものと古いものが隣り合い、はっきり分かれている。そのコントラストが面白い。そして、そのコント

ラストは名古屋らしい、日本らしいと思います。“Cool”だと思います。 佐藤: “Cool”ですか? メッツラー: “Cool”です。 佐藤: なるほど。ちょっとかわいそうな気がしませんか?神社とか木が。 メッツラー: そう思わない。 佐藤: 思わない? メッツラー: それは絶対思いません。 佐藤: なるほど。 メッツラー: 神社の世界は、まだはっきりしています。隣の土地が違うものになってしまったのは、

かわいそうに見えるけど、それは歴史だから、かわいそうだとは思いたくない。 佐藤: 新しいものばかりだと思って歩いていると、このような神社が残っていたりしてホッとすると

いうことですか? メッツラー: そう。ホッとするということです。 佐藤: この看板はどうですか?赤の目立つ看板がありますが?許しますか? メッツラー: 許します。 佐藤: 寛容ですね メッツラー: ここは大都会でしょ?20 世紀になり、看板があるのは普通です。まちはビジネスの為に

ありますので、看板が無いということはありえない。 佐藤: なるほど。 メッツラー: 神社はこの看板のせいで隠れているじゃないですか。この看板の裏で、陰で隠れている

ことでホッとすることが出来る。逆にこの看板は神社の世界をプロテクトするんじゃないですか? 佐藤: なるほど。 メッツラー: 基本的に他の所でも広告、看板は必要だと思います。 佐藤: 必要。また面白い意見が出ましたね。はい。次の写真もメッツラーさんですね。 メッツラー: これも私の写真ですね。

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佐藤: どこが“Cool”ですかね? メッツラー: 新しい建物の間に別の世界が残っています。面

白い。この古い雰囲気を探検しようと思って、車を停めて入っ

てみた。このコントラストは面白いと思う。 佐藤: 新しい建物と古い建物とが隣り合っている所が面白い。 メッツラー: 名古屋はモダンなまちですので、古い建物ばか

りということはあり得ないと思います。新しい建物もあります。

古い建物も残っていると思います。でも、それぞれのコントラ

ストは意識して作って欲しいな。 佐藤: 左もメッツラーさんですね。 メッツラー: これも私の写真です。 佐藤: 名古屋駅の近くですか? メッツラー: これは、名古屋駅の近くです。ここは、1 つの

ポイントとしてじゃなく、結構長い道路に小さな昔からの建物

が並んでいます。この周辺(白壁)みたいに昔の世界に入れる

所がいい。 佐藤: 生活感がありますしね。でも、メッツラーさん。放っ

ておいたらこういう建物もすぐ無くなってコンクリートの建物になってしまうのです。 メッツラー: なってしまいますね。残念だと思います。 佐藤: 残念ですよね。 メッツラー: 新しい建物は、古い建物より「話」が出来ない。人間はものを見て、情報を読み取れる、

分かる。そういう「話」ができると面白いです。新しい建物は大体そういう「話」が出来なくて冷たい、

つまらない。 佐藤: 人々の生活、営みがそこから推し量れる。それがいいわけですね。ありがとうございます。そ

して、右の写真が brother さんの看板なのですが、これはデザ

インが優れているということで都市景観賞を獲った看板です。

自分の会社をデカデカと宣伝するのではなく、綺麗なデザイン

であるということですが、デザイナーのメッツラーさんの目か

ら見てどうですか?上の看板とは随分趣が違いますけれど。 メッツラー: この建物は、堀田ですよね? 佐藤: よく知っていますね。堀田です。 メッツラー: この看板は「ここは brother だよ。」という案

内です。brother のブランド、アイデンティティをよく見せている。brother の青とか brother のテンプ

レートを使って上手くデザインしている。

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佐藤: なるほど。そして、右はメッツラーさんが持ってきて

くれたドイツのまちなみの写真ですね。 メッツラー: そうですね。これはたまたまインターネットで

見つかった写真ですけれども、ドイツの昔からのまちなみをそ

のまま残した雰囲気が見えます。ここで 1 つの建物がなくなっ

ても、絶対にこの昔の建物の形を真似して新しい建物をつくる

べきだと思います。 佐藤: そうですね。ファサード(正面)と言うのですかね?

中は非常に近代的であっても、正面の形は残していくということですね。はい。ありがとうございます。

「建造物(歴史)」

佐藤: では、次の写真にいきますか。さて、私達が見慣れ

た写真も出てきていますが。カンさん。左の写真はどこです

か?春田邸ですかね?今はレストランになっている所かな? カン: はい。レストランになっている所です。 佐藤: こういうの、カッコイイ? カン: はい。さっきも言ったように、私は日本に来る前に

大都市で働いていたんですが、実際は福建省の海の直ぐそば

にある小さいまちで生まれ育ったんです。小さい頃、この建

物に似ている所に住んでいました。多分、気候と風土が似ているのかもしれない。もちろん畳は無いで

すけど、屋根も三角形で、屋根の上の龍もとても親しい感じがしました。 佐藤: 屋根の上の龍?鬼瓦ですかね?そういうものがすごく良かったんだ。じゃあ、カンさんのお家

にもそういう屋根が? カン: 今は普通のものですが、昔は。福建省は森林率(緑被率)が中国で一番高いんです。8割以上。 佐藤: 森が沢山残っているんですね カン: 山もあって、ウーロン茶が有名でしょ?そういう所に住んでいたんです。それで、この建物に

来ると昔の小さい頃のことを思い出したんです。こんな素敵な場所で、家族と一緒に外の景色を見なが

ら飲んだりできれば最高じゃないかと思います。 佐藤: 本当ね。カンさん。恋人とここでロマンチックに食事などできたらいいですね。 カン: そうですね。 佐藤: 今、フランス料理店になっているんですね。こういうレストランにするっていうのはどうです

か? カン: いいと思います。ただの見るだけの観光地だと、あの雰囲気を十分に楽しむことができないか

もしれない。レストランにすることで皆で中で楽しめ、文化財の大切さが分かるようになると思います。 佐藤: 非常にいい形で利用されていると。では、是非行けるように。 カン: でも、ちょっと高い。 佐藤: ちょっとね。留学生だから難しいかな?

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カン: はい。恋人ができたら行きたいです。 佐藤: はい。ありがとう。では、ジュゼッペさん 左の写真

は有名な建物ですが。これはどうですか?こういう建物、こう

いうスタイル。 ジュゼッペ: イタリア人だからすごく引っ掛かったんですね。

赤色の屋根が(日本では)珍しくて。それから、後でこの話は

繋がるんだけど、(日本で)草(芝生)があるのが珍しいんで

すよ。 佐藤: はいはい。地面に芝生が生えているのがね。

ジュゼッペ: 地面に芝生が生えているのがすごく珍しかった。自分の故郷のイタリアの建築のような

感じの建物を初めて見たんですね。自分が住みたいとは思わないのだけれど、内装も椋の階段とか、す

ごく素敵だと思った。それで、僕はカンさんと違い、昔の建物がレストランになったりカフェになった

りすることに大反対なんですよ。 佐藤: 面白い意見だ。 ジュゼッペ: 大学で勉強したんですけど、まちにはどこにでも「魂」があるんですね。ラテン語でゲ

ニウス・ロキ。例えば、お家として生まれてお家の魂が灯っているんだけど、それがレストランになる

と何か変と感じる。何かが無くなったような。簡単に言うと、ディズニーランドのシンデレラ城と同じ

で、何にも無い。だって、本当のシンデレラ城でもないし。だから、すごく大反対なんですよ。 佐藤: 歴史を受け継いでいるわけではなく、いきなりそれが ジュゼッペ: そう、いきなり、昔の家をレストランとかカフェにしているんですね。 使われるだけありがたいんだけど。それ(レストランやカフェにする)よりも誰かが住んだり、ここ(橦

木館)みたいにした方がいいんじゃないかなと思います。 佐藤: 写真を撮っていただいた二葉館もレストランではないですよね。このように残せばいいですか? ジュゼッペ: 床が素晴らしいとか外観が素晴らしいとか思うけど、でも部屋がガラガラで何にも入っ

ていない。棚とか天袋とか地袋があると思うんだけど、僕みたいな外国人、外国人だけじゃなく日本人

の若い人は何に使っていたか分からないじゃないですか。お香を立てるとか、書道の筆を入れるとか、

何に使う所なのか分からない。空の和室に入ると、どんな使い方をしていたのか分かりません。普通の

写真を見るのと同じ感じしかしない。だからそれをもうちょっとね。 佐藤: そうか、入った時にそう思ったのね。 ジュゼッペ: そうそう。 佐藤: なるほど。やっぱり、分かりやすい設えをしておいてほしいと。 ジュゼッペ: そう。それだけ。 佐藤: でも、イタリアにも古い建物の中にレストランがあるじゃないですか?あれは元々レストラン

だったの? ジュゼッペ: あれは元々レストランだったの。 佐藤: なるほど。住んでいた所をレストランにするという発想は無い? ジュゼッペ: 無い。あと、イタリアの場合1階に住んでないから。1階って基本的に商売だもん。ヨ

ーロッパはどこでもそうだと思うんだけど 例えば、建物の2階とか3階にレストラン、カフェは無い

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んだよね。基本的に1階ですよ。 メッツラー: そのパターンが多いね。 佐藤: なるほど ジュゼッペ: 1 階は倉庫かレストランやカフェになっていて、上に住んでる。それがずっと続いていく。 佐藤: 私達にすれば、こういう所に中々入れないので、食事をしながらその雰囲気を楽しむことがで

きるのは、すごく嬉しい事なんですけど、いろんな考え方があるということが今日は発見できましたね。 はい。ありがとうございます。はい。ラビさん。右の写真、どこが“Cool”ですか? ラビ: これは江戸の門の所です。そこに井戸がありますよね。 佐藤: 井戸ね。 ラビ: 日本に来て初めて見た井戸です。インドだと、一般的

に井戸がある家が多いので、まちにも大きな井戸があって、イ

ンド人は子供の頃、水泳を井戸で習うんですよ。 佐藤: え?井戸で、泳ぎを覚えるの? ラビ: はい。結構大きい井戸で。子供の頃そこで習う。 佐藤: 深いじゃん。 ラビ: これは、小さいんだけど、これを見て子供の頃を思い出したんだけど。今、この井戸は中が見

えないようになっているけど、中が見えるようにしてほしい。勿論、安全のためにだと思うんだけど。 佐藤: これが、井戸だなって外から見ても分かるような見せ方をしてほしいと。 ラビ: はい。それと、新聞がいっぱい置いてあるんですよ。 佐藤: 何で置いてあったんだろうね?廃品回収だったのかな? ラビ: やめた方がいいんじゃないかな。江戸の門の隣に新聞がっていうのは。 佐藤: これは文化のみちに唯一残っている江戸時代の門ですよね。 ラビ: そうですね。 佐藤: はい。なるほど。自分の育った所と比較して見るから面白いですね。 ラビ: あと、カフェなんだけど、(値段が)高いんじゃないですか? 佐藤: 高いのがいけないと。 ラビ: そういう建物をカフェとかレストランにした所は高いと思う。入ってみたいと思っても入りに

くいじゃないですか。 佐藤: じゃあ、今度一緒に行こうか。コーヒーぐらい奢ってあげるよ。でも、こういうレストランと

かカフェに利用するのはどう?高いのは置いておいて。 ラビ: 私は使われているからいいと思います。 佐藤: 無くなっちゃうよりは、使われて残っていった方がいい。 ラビ: そうですね。こういう古い建物はレストランになっていなかったら、誰もメンテナンスせず、

無くなってしまうんじゃないですか? 佐藤: そうそう。この辺は土地も高いしね。 ラビ: そう。売っちゃうんじゃないですか? 佐藤: 日本は税金も掛かるんですよ。 ラビ: 使われれば昔の建物も残せる。

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佐藤: なるほどね。はい。エリサンジェラさんはいろいろな

名古屋の名所とも言える所の写真を撮ってきてくれましたが。 エリサンジェラ: はい、私は城が大好きで。 佐藤: 城が好き。 エリサンジェラ: はい。城ハンターになったね。ガイドを買

って、あちこち、城探しに行きました。松本に住んでいました

ので、最初に訪ねたお城は松本城なんです。名古屋城とは違っ

て、外観も内観も綺麗だと思いましたね。何度も行きました。

名古屋に来た時、名古屋城が名古屋で一番いい所だと思って行きましたが、中に入った時はちょっとが

っかりしましたね。中だけね。 佐藤: すみません。 エリサンジェラ: 中はエレベータもあるし。便利だけど。 でも、松本城と比べてすごく便利ですね。そして、名古屋城の方が綺麗ですね。だから、機会がある時

は行きますね。4 月に行かなければ、すごく静かな所ですね。お花見で 4 月に行った時はすごく混んでい

て。 佐藤: 桜がすごく綺麗ですよね。名古屋城は第二次世界大戦でアメリカの空爆により全部焼けてしま

ったのですね。それで、コンクリートで再建されたのですよ。もうすぐね、本丸御殿が、オリジナルの

形で再建されるので是非その時は行ってみて下さいね。 エリサンジェラ: はい。是非。あと、建築のデザインがブラ

ジルとは結構違いますね。県庁も初めて見た時、「この建物は

何かな?」「城と関係があるのかな?」と思いました。日本の

屋根はブラジルと違い、形も三角形ですごく綺麗だなと思いま

す。下にある大須観音の屋根も「日本の屋根だな。」と、ブラ

ジルの人は直ぐ分かります。日本の建築の特徴だと思いますね。 佐藤: 瓦を使った屋根だとか、カーブのある形がカッコイイ、

“Cool”だということですね。 エリサンジェラ: そうですね。すごく綺麗だと思いますね。 佐藤: はい。ありがとう。名古屋城の前に写っているベビー

カーには、お子さんが乗っているのですか? エリサンジェラ: はい。そうです。 佐藤: いい記念写真ですね。ありがとう。

「建造物(現代)」

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佐藤: では、次の写真いきますか。エリサンジェラさん。右の写真は

“Cool”? エリサンジェラ: ええ。名古屋のスパイラルタワーはすごく綺麗だと

思いますね。すごく“Cool”だと思います。同じまちの中に城とこのよ

うな建築があって、友達に見せたら同じまちじゃないと思われる。 佐藤: いろいろなデザインがありますね。 エリサンジェラ: メッツラーさんが言ったように、コントラストです

ね。このようなまちに住んでいることを友達にいつも誇りますね。モダ

ンな建築もあれば、歴史的な建築もあるコンプリートな街ですね。 佐藤: 神社やお寺、名古屋城もあるけれど、こういう高層なモダンな

建物もあるのが名古屋だよと、伝えてくれているのですね。ジュゼッペ

さんはどうですか?建築家としてこういう建物は? ジュゼッペ: カッコイイかな?僕が選ぶなら豊田ビルが好きですね。

スパイラルタワーじゃなくて。 佐藤: 一番素っ気ないじゃないですか? ジュゼッペ: 街の中ではそれがいいんですよ。自分で目立たない方が

いいと思います。街全体が綺麗になって。それが街のプランニングだと

思います。14 年くらい名古屋に住んでいて、名古屋が大好きなんですね。

独立してから東京とか大阪じゃなくて、まだ名古屋に残っているのは名

古屋が住みやすいから。歩道が広くて、物価的にもそんなに高くない、

地下鉄に乗らなくても自転車でどこへでも行ける。気楽。スパイラルタ

ワーみたいな建物が出てくると残念。 佐藤: 関係者の方いない?大丈夫? ジュゼッペ: 関係者がいても気にしない。この世界は自由だから。最

近では、広小路通りと大津通りの交差点のアルマーニビルの隣にできた

新しい建物も大反対ですね。それから、久屋大通のパルコの隣くらいの 2 階建ての新しい建物も。自分

が目立ちたいからじゃなくて、街全体を綺麗にしてもらいたいんですね。統一感が無い。選ぶなら、豊

田ビルとか JR のビルです。ナディアパークはきちんと見たことない。通るんだけど見たいと思わないん

ですよ。僕が好きなスタイルではないということです。 僕はやっぱり静かで普通なビル、ニューヨーカー的なビルがいいんです。

佐藤: なるほど、その一つ一つの建物が主張し過ぎな

い方がいいということですね。 ジュゼッペ: そう。左がオスカー・ニーマイヤー設計

のブラジリアの写真ですね。 ブラジリアはテーブルで作られたまちで、ここは緑、こ

こは市役所というようあらかじめ決められ何年間か掛か

って設計して建てられたものだから。 佐藤: いいわけですね。なるほど。ブラジリアがテー

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ブルで作られたというのは図面できちっとプランニングもゾーニングもされている。そのため、建物の

調和がとれ、まちに溶け込んでいるということですね。 ジュゼッペ: そうですね。ヨーロッパも同じやり方で、ドイツもイタリアもフランスも変わらないん

ですが、まちの中のこと決まっているんですね。オフィスゾーン、病院ゾーン、緑ゾーンとか。 佐藤: ゾーニングがちゃんとされているということですね。先程、日本のまちはどこまで行ってもま

ちが続いていると言ったように、どんどん外へ広がっていくんですね。人口が増えることによってね。

だから、ゾーニングありきじゃない都市計画なのかもしれませんね。 メッツラー: 多分まちづくりはいろいろ難しい所があるので、そんな簡単にはゾーニングをどうすれ

ばいいという答えは出ないと思います。私は、スパイラルタワーは建物として面白いと思う。(ジュゼッ

ペさんに)反対します。 佐藤: いろいろな意見がありますね。スパイラルは面白いそうです。 ジュゼッペ: 建築エンジニアリングとして面白い建物ですよ。建物としては面白い。構造とかすごく

面白いし。でも、そこで止まって欲しい。わかります? どこまで自分のまちが欲しいか。僕的にはかな。 佐藤: 中々皆さんはっきり言って面白いですね。この右の写真は庄内川にかかる橋ですね。ジュゼッ

ペさん。どうですか?あの橋は? ジュゼッペ: 多分通ったことあるんだけど、この角度か

らは初めて見る。 佐藤: 走っていると見えないもんね。 ジュゼッペ: 走っていると見えないです。 メッツラー: この形はとんぼに見える。 佐藤: とんぼに見える。なるほどね。 メッツラー: 設計者が元々考えてプランニングしたのか

分からないけど。 佐藤: とんぼに見えて楽しい? メッツラー: うん。楽しいと思います。名古屋の人達のユーモアだと思う。 佐藤: ユーモアですか? メッツラー: ユーモアがある。 佐藤: なるほど。いろいろな意見があって面白いですね。皆さん。

「道路」

佐藤: それでは、次に名古屋のストリートの方に話を持っていきたいのですが。ラビさん。下の写真

の木がいいんですか? ラビ: また、木の話なんだけど。こんなでっかい木が名古屋にあるのが珍しいと思った。また、この

木を守るために、道路が凹んでいるのがいいなと思った。たぶん、結構古い木だと思いますが、ここに

「この木は何の木」とか、「何年くらい古い」とか分かるようにするともっといいと思う。

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佐藤: そうした方が、もっと愛情が湧くよね。「この木はこういう木で

す。」っていう案内が欲しいってことですね。 ラビ: 日本は木が多いですけど、街の木はほとんど切られているじゃ

ないですか。あれは切らない方がいいと思う。 佐藤: 切るというのは剪定のこと?チョキチョキ切る?刈り込む? ラビ: そう。伸ばさないじゃない、日本。 佐藤: 伸ばさない。一生懸命切るよね。1 年に 2 回とか。 ラビ: うん、松の木みたいに綺麗な形に切るのはいいんだけど、伸ば

さないようにするために切るのは、ちょっと。 佐藤: なるほど。では、その右の写真は? ラビ: 歩道の話で、インドだと歩道が車道より結構高いんですよ。多

分これ(腰くらいの高さを指して)より高いんですよ。 佐藤: 車道と歩道が。 ラビ: 歩道のほうが結構高い。それで、ここは全部をアスフ

ァルトにせずに、歩道と車道をデザインで分けている。歩くと

気持ちいい。 佐藤: 同じ高さだけど、こうやって素材を変えることで人が

歩く所が分かりやすくなっているのが面白い。“Cool”。なるほ

ど。 メッツラー: まあ、見やすいしね。歩くのが楽しくなる。また、アスファルトとそのタイルのコント

ラストがちょうどいい。私も“Cool”だと言いたいです。 佐藤: “Cool”ですか。意見が一致していますね。 右のはメッツラーさんですね。これ、どこが“Cool”なんです

か? メッツラー: また木の話ですけども、道路の左右に木がある

ことはよくあります。それはとても気持ちいい。ここは、突然、

道路の真ん中に大きな木があってびっくりした。普通ならば木

を切って道路を真っ直ぐ作った方がお金が掛からないと思う

ので、これを見るとこの木が大事にされているのだと分かった。

現代はエコロジーがテーマになっているので、この木が看板み

たいにそのメッセージになると思います。 佐藤: なるほど。この木そのものが自然環境について

のメッセージになっているということですね。 メッツラー: 1つの木を生き物として、とても不便な

所なのに大事にして残すのはいいと思いました。とても

“Cool”です。 佐藤: 良かったです。左はドイツのまちなみですか? メッツラー: そうですね。ドイツでよくある道です。

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特徴は、木が多いですね左右に、道路はアスファルトより石ですね。路面が石で作られています。 佐藤: そうですね。では。ジュゼッペさん。下の写真同じように木がある所が“Cool”なんですか? ジュゼッペ: そうです。メッツラーさんの写真の続きのように思いませんか? 佐藤: そうですね。続きだと思う。 ジュゼッペ: 続きに見えますね。実は桜通 19 号線の交差点から名古

屋駅に向かっている途中の写真なんです。時間がある時に自転車でここ

に行くんですね。なぜか落ち着くんですよ。やっぱり、ヨーロッパの雰

囲気を出しているからだと思います。残念なのは、オフィス街で喫茶店

が少ないので、サンドイッチとか飲み物持っていくのですが、休憩する

場所が無い。ベンチが欲しいです。あと、昼間でも桜通は車がそんなに

通らないんですよ。広小路通とか錦通みたいな所じゃないから、排気ガ

スも少ない。だから、100m 間隔でベンチがあれば最高かなと思います。 佐藤: 本当ですね。 ジュゼッペ: まちの中、名古屋だけじゃなく日本のどのまちでもベン

チが無いですね。喫茶店かどこかに入らないと座れない。 佐藤: そうね。ベンチで自然を楽しみながら、四季を感じながらお茶を飲んだりしたいですよね。こ

こはね、ちょっと車じゃ走りにくい所なんですよ。だけど、やっぱり歩く人とか自転車の人にはとても

心地いい場所なんですね。 ジュゼッペ: そう。ずっと駐輪場も無料であるし、本当に素敵な雰囲気。一度、散歩に行ってくださ

い。 佐藤: はい。じゃあ、左の写真は、これは何なんです

か?“Cool”じゃない。“Not Cool”ですね。 ジュゼッペ: そう。最初、日本に来た時これがびっく

りでした。歩道とか道路もずっと工事をやっている。こ

こが終わっても 10m 先でまた工事が始まる。これは下町

とか田舎じゃなくて錦通りの国際ホテルの前なんです。

もともとあったタイルが工事終わったら、タイルじゃな

くてアスファルトになっている。どうしてか分からない。

なんで取ったタイルを元に戻さないか分からない。 佐藤: 自分が削ったところはコンクリートで固めちゃったということですか。 ジュゼッペ: そう。あと、交差点を挟んでこちら側と反対側の歩道のタイルが全然違うこともありま

す。 佐藤: 仕上げがバラバラ。 ジュゼッペ: たぶん業者の趣味か、在庫があるタイルを貼るからだと思うんだけど。全部バラバラ。 佐藤: 在庫と楽な方法でこうなっているなと。 ジュゼッペ: そう。 佐藤: それが許されちゃっているって所が問題だと。 ジュゼッペ: はい。それと、僕は自転車生活だからこうなっているとすごく走りにくくて。自転車だ

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けじゃなく、車椅子の人はとても無理。 佐藤: そうね。どこに連続していくのかも分かりにいくいですよね。 ジュゼッペ: そう。これが“Not Cool”です. 佐藤: “Not Cool”。こういう所まで気を付けた方がいいですね。やはり自転車でまちを走っているか

らいろいろな所が気になりますね。はい。では次の写真いきますか。

「公園」

佐藤: はい。では、エリサンジェラさん。綺麗なお花の写真

が出てきました。 エリサンジェラ: 初めて日本に来た時、新潟県の長岡という

まちに 1 ヶ月住みました。ちょうど、その時期は 5 月くらいで

チューリップを初めて見ました。それまで、他の所では見かけ

なかったね。 佐藤: そうなんだ。 エリサンジェラ: それで、鶴舞公園に行って、「あ、またチ

ューリップがあるな。」と同じ色のチューリップを見て思い出したね。ここは、すごい綺麗な公園ですね。

いつも来るとホッとしますね。次の写真は、博物館の庭ですね。 佐藤: 桜山にある名古屋市博物館ですね。

エリサンジェラ: はい。城ハンターだけじゃなく美術館ハン

ターにもなります。 佐藤: 大好きなのね。 エリサンジェラ: はい。ガイドブックの写真を見ただけでは

こんなに綺麗な庭があるなんて思わなかったです。これもまた、

庭と裏の都会の景色がコントラストになっていてすごく

“Cool”だと思った。また「こんなまちに住んでいます。」っ

て誇ります。 佐藤: なるほど。建物が沢山ある所にもこういう庭園があるまちということを自慢したい? エリサンジェラ: はい。ピクニックしたり、写真を撮ったら

いいなと思った。 佐藤: なるほど。右の写真もエリサンジェラさんの? エリサンジェラ: はい。名古屋で一番綺麗な景色だと思って。 佐藤: 噴水? エリサンジェラ: はい。皆さんも知っている所(久屋大通公

園)だと思います。ブラジルにも噴水はあるけれどもこんなに

綺麗な噴水は無いですね。 佐藤: そうなんですか。 エリサンジェラ: はい。名古屋にはとてもびっくりする所がありますね。だから大好きです。

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佐藤: はい。いろいろな公園がありますね。ジュゼッペさん。

左の写真は“Cool”じゃないんですか? ジュゼッペ: 確かに日本は緑が多いけど、木が多いんですね。

セントラルパークとか、名城公園とか、熱田神宮とか、天白川

の隣の公園とか、緑は沢山あるんだけど、まちの中の子供が遊

ぶ所に木があっても芝生が無い。公園が全て裸になっているん

ですよ。 佐藤: 芝生が無いのね。 ジュゼッペ: そうそう、日本の場合、芝生が無い。下のイタ

リアの写真は、普通の公園だけど、夏になるとブランケットの

上で本読んだりとかちょっと話したりとか、そういうことがあ

る。日本は何故か芝生が無いんですよね。それが悲しい。 佐藤: なるほどね。転がったり出来ないもんね。 ジュゼッペ: これは橘公園だから、そこに行ってそんなこと

はしないけど、隣が橘小学校と周りがマンションだから、子供

達がいつも遊ぶんだよね。小学校の一年生とか二年生くらいの

子供が遊ぶから、あまりにもかわいそうだと思ったよ。 佐藤: 土だとね。 ジュゼッペ: 土だと風が強い日はすごく埃が出る。 佐藤: 砂埃がね。 ジュゼッペ: そうそう。 佐藤: どうして、日本の公園って芝生が無いんだろう。 ジュゼッペ: わからない。 佐藤: たぶん雨が多いし、草が生えるし、芝を刈るのが大変とかいろいろ思っちゃうのかな?私もね、

カナダ人の友達に言われたのだけど、公園に行きたいからって、地図を広げてみると、地図上では公園

は緑で塗ってあるんですよ。だから、そこに行けば緑がいっぱいあると思って行ったら土しかなかった

って。あるのは遊具とかで、芝生が無いのにものすごく驚いた、がっかりした、って言われたので。芝

生はあった方がいいんですね。 ジュゼッペ: あと、メンテナンスが大変って言うけど、また、橘公園の話になるけれど、この2年間

くらい、2年前くらいから、あるおじさんが一区画でヒマワリ植えたりとか、茄子植えたりとか。どん

な方か知りませんが勝手にやっているとは思いませんが、隅っこでやっているので。幼稚園もあるから

子供も喜ぶけど、それより芝生を植えて、その芝生をメンテナンスしたらいいじゃないですか。 佐藤: 芝生のメンテナンスを市民がやればいいのよね。 ジュゼッペ: はい。 佐藤: どこかに頼むとお金も掛かるし、市民が出て、自分たちの公園としてメンテナンスにも関われ

るといいのかな。 ジュゼッペ: おじさんもボランティアでやっていると思うけど、同じようにやればいいと思う。 佐藤: そうですよね。

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ジュゼッペ: 草取りじゃなくて、草取りのボランティアはいるから、芝生のメンテナンスをしましょ

う。 佐藤: なるほどね。そういうボランティアの形もありますね。はい。ありがとうございます。じゃあ、

次いきますか?はい、メッツラーさん。

「デザイン・その他」

メッツラー: “Cool”と思ったのは、散歩していると、足

元に突然こういう立派なイラスト?グラフィック?普通のマ

ンホールだけど。普通のマンホールは、ドイツだととてもつ

まらないパターンで出来ています。パターンがあれば、デザ

イナーに頼んでもっと面白いものを作ってもらえれば。そう

いうものが名古屋では初めて気になりました。 佐藤: マンホールが。 メッツラー: 普通のマンホールです。機能的なものですね、

穴に人が入らないようにした蓋です。足元にあるその機能的なものをとても大事にして、立派なイラス

ト入れたりするのは、ここで初めて気づいて、とてもいい気持ちだった 佐藤: そうなんだ。いろんなデザインがね。丸いのがあったり、またその中の模様もね、いろいろな

パターンがあるのでね。 メッツラー: いろいろパターンがあります。 佐藤: 楽しめますよね。 メッツラー: 探してみたい、コレクションしたいなあ、と思いました。 佐藤: なるほど。 メッツラー: 写真に撮ったりしてね。他の所には本当に無いのかなと、インターネットのグーグルで

調べたら、もちろんドイツでもありましたが、とても気になったのは本当に名古屋が初めてでした。 佐藤: グラフィックデザイナーさんとしてどう思います?こういう所にもデザインをするという日本

のマンホールは。 メッツラー: まず、バラエティーはいいと思います。いろいろした方がいいと思います。例えば、地

域のランドマークとかを大事にしてシンボルを定義して特徴的なものにすればいいと思います。 佐藤: マンホールが“Cool”という意見をいただきましたね。

メッツラー: それは、“Cool”だと思います。 佐藤: ありがとう。 メッツラー: 足元なのに。 佐藤: はい、それからバス停。これのどこが“Cool”です

か? メッツラー: この古いやつはいいと思いますよ。形もいい。

たまたま私が住んでいる周辺にあるものですので、結構錆び

ています。すみません、いい写真が撮れなくて。でも、この

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バス停の形は本当にオリジナリティがあると思います。面白いと思います。この写真には 2 つのバス停

があります このバス停の奥にもう 1 つありますよね 佐藤: はい。茶色い方のですよね。 メッツラー: この向こうのはオリジナリティが無いと思います。これは、本当につまらない形です。

この手前のバス停は、傘みたいに、そのバス停の機能が見ればわかるよね。雨が降れば、待っている人

たちを守って、暑い日の陽の暑さが通らないように。そんな傘みたいな形は本当に見ればよく分かりま

す。そして、この屋根はバス停に相応しい構造で繋がっています。木の幹みたいに、枝みたいにフレー

ムがって、このフレームが布をホールドしています。 佐藤: なるほど。 メッツラー: そのでき方は見ればよく分かると思います。 佐藤: 鉄のパイプがね。その傘をどうやって支えているのかとか、素材も分かるし、構造も。 メッツラー: 素材の、材料の組み合わせも面白い。布とスチールはただの組み合わせじゃなくて紐で

縫っています、誰でも見れば分かる 佐藤: 紐でね。 メッツラー: そういうことは、奥のバス停では全然無いです。屋根がちょっと重く見える。こんなに

重いのがこの上にあると柱は勿論必要ですよね。柱が無いと倒れる。構造上、普通は4つの柱が必要だ

けど、このバス停は 2 つしかないんですよ。2 つの柱しかないと、普通倒れるんじゃないですか?不思議

とこれは倒れない。この形は嘘です。 佐藤: 嘘?嘘の形? メッツラー: 嘘をついてる形です。逆に、これが正直な形です。 佐藤: こちらは正直なのね。 メッツラー: なので、こちらがいいと思います。 佐藤: なるほど、面白い所を見ていますね。ありがとうございます。そうしたらラビさん、歩道“Cool”ですか? ラビ: その前に、メッツラーさんの写真についてお話ししたいんですけど? 佐藤: どうぞ。 ラビ: あれ(マンホール)、鉄なんです。あれが自転車で走ると雨の日はよく滑るんですよ。 佐藤: それはありますね。 ラビ: マンホールは滑る!危ない! 佐藤: なるほど。 ラビ: 同じデザインで違う材料とかにすればいいかなと思います。 佐藤: なるほど。ということですが。 メッツラー: 残念でした。いや、ちょうどこの鉄は沢山車とかが通ったり、人が歩くせいでピカピカ

になっている。でも、そのピカピカなのが超いいと思ったけど。 佐藤: ピカピカは滑る。 メッツラー: 確かに雨の時は危ないと思います。

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佐藤: なるほど。いろんな視点ですね。じゃあ、歩道はどう

ですか? ラビ: 歩道はね、インドには無い、目の見えない人のための

ブロックが置いてあるのがとてもいいなと思った。 佐藤: なるほど。こういうのがまちの中にあるっていうのが

目の見えない人への配慮もあるってことかな?止まれという

足の絵はどう? ラビ: あれがあれば、子どもがよく来て、子どもが楽しめる

と思う。もう1つは歩道に段差が無いんですよ。それが自転車で走っていると降りやすいし、あと車椅

子も降りやすいし、運転しやすいんですよ。 佐藤: うん。 ラビ: 今はその形が増えているけど、やっぱり無い所が多いので、段差がある所はそれを増やして欲

しいです。 佐藤: バリアフリーにして欲しいということですね。 ラビ: そういうふうに斜めにすると自転車と車椅子が降りやすいし。 佐藤: 緩やかなスロープにするとね。はい。ありがとうございました。じゃあ、カンさん。石垣が出

ているよ。 カン: はい。私の撮った写真の中、建築とかまちなみに関するものが少ないと気づいていただいたで

しょうか?地理的にも近いし、昔も何千年もはるか昔から交流があるので、他の 4 つの国の人に比べる

と多分日本の現代的インパクトと伝統的な文化から受けたインパクトはそんなに大きくないかもしれな

いです。私が一番感心していること、皆さんに伝えたいことは、日本人は本当に物を大切にして尊重し

ていることです。昔、20 年程前、中国は全体として貧しかったんですけど、逆に環境が良く、水、河川

や海も汚染されておらず、木も沢山ありました。ただ、現在は急速に発展して、人の心も落ち着かなく

て、昔の物や伝統を大切にしてなくて。例えば今の中国では道路を作る時、さっきのように木に守るこ

とはほとんど無いです。木があったら切ると思います。でも、

日本人はそうじゃなくて、この木は昔からそこにあるからその

ままにして残しておくじゃないですか。でも、中国はそうじゃ

ないんです。なんでも世界一になりたい。社会全体が穏やかじ

ゃないんです。植物であれ、人間であれ、日本人は命をちゃん

と尊敬しているんです。例えば、右の写真を見ていただきたい

んですけど、これは身体障害者のためにスロープを作ったんで

すね。自分が障害を持った時、世間の人が自分のことをどう見

ているかとか気になるかもしれないけど、日本ではこんな所が沢山ある。だから、身体障害者も堂々と

普通の人たちと同じように、こんな所にも行けるんじゃないかと思います。地下鉄とかに乗る時も歩け

ない人を時々見かけるんですけど、隣に守ってくれる人がいなくても彼らは一人で車椅子に乗って、行

動するんです。周りの人も皆、全然平気であの人は健常な人じゃないと思わない、普通の人と変わらな

いじゃないかと。 佐藤: 皆、自分で行動出来ているから、そんなに自分に障害があるということを意識しなくても行動

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できている。 カン: 周りの人も軽蔑しないですし、そういう所がすごくいいと思います。

佐藤: それで、石垣は触れられるからいいのかな? カン: はい。これも昔から残ったものですよね。私も小さい

頃こんな家に住んでいました。夏は涼しくて、冬は暖かい家だ

ったんですけど、今はこんな所は少ない。今の中国は、おから

工程(手抜き工事)ばかりという印象ではないでしょうか?お

から工程分かりますか?メンツが大切で、高い建物を建てたり

とか、古いものは壊したりとか、外から来た人に悪い所、素敵

じゃないイメージを見せたくないんです。 佐藤: ああ、なるほど。綺麗な所だけを何とか外側だけでも見せようとしている所が今の中国にはあ

るということですかね。 カン: はい。 佐藤: 石垣に触ると、なんだか温かさを感じる。 カン: そうそう。ここの周りの建物と雰囲気やまちを見ると昔の 20 年前の自分のふるさとの風景を思

い出したんですよ。20 年前に戻りたいなという風に思いました。 佐藤: そうね。一度無くなってしまったら、二度とね、元に

は戻らないものね。はい。左の写真は空っぽの川? カン: 最初見た時、ちょっとおかしいなと思ったんです。上

に橋があるのに下は川、水が無いんだろうって。 佐藤: 水が無いから不思議だなと思ったのね。 カン: 聞いてみたら昔は両側に建物があって人が通らないよ

うにこういう風にした。 佐藤: 空堀と言っていましたね。

カン: だからってなんで今も?ちゃんと、花とか木を植えた

りした方がいいんじゃないですか? 佐藤: 空堀はもう必要ないのに、でもその当時は、やっぱり

空堀として敵方が攻めてくるのをここで守っていたわけだか

ら、やっぱりこのまま残すのもいいかもね。 カン: そうですね。 佐藤: はい。ありがとうございます。また、最後に話聞くけ

ど、ちょっと面白い写真があったので皆さん見てみたいと思い

ます。あの、エリサンジェラさん。右の写真“Cool”ですか? エリサンジェラ: はい。とても“Cool”です。これは、ブラジルには全然無いから。初めてレストラ

ンに行った時に、もちろん外国人で日本語読めなかったので、実は 2 つの“Cool”なことがあります。

一番目は、皿があるでしょ、サンプルね。最初はそのサンプルはすごく大事でした。あの、日本語読め

なかったので店員に(サンプルを指差しながら)「これを、お願いします。」と言いました。 これは、

ブラジルには無いんですね、文字のメニューだけです。日本にはメニューとサンプルがあります。すご

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くいいと思います。二番目は、椅子です。ブラジルには混んでいるレストランは立ったままでね、ずっ

と。もちろんブラジルでは待ちたくないからすぐ諦めようと帰りますね。日本は座ってのんびり待ちな

がら。 佐藤: 食べ物、何にしようかなって考えながらね。 エリサンジェラ: そうですね。すごく“Cool”だと思います。本当に、顧客を喜ばせる施設だね。日

本にはいろいろありますね。もちろん日本人は生まれてからそのような施設がありますのであまり気づ

かないかもしれませんけど。外国人にとっては、すごくいいな、うちの国にもあったらいいなって。 佐藤: こういうのって日本だけですよね?他の国では私も見たことないんですけど。 エリサンジェラ: そうですね、どこにも。 カン: 中国にもありますよ。 佐藤: 中国にもある? エリサンジェラ: ありますか。 佐藤: なるほど。じゃあ、今度中国行った時見てみないと。 ラビ: 最初本物かと思って触ってみたけど、本物じゃなかった。 エリサンジェラ: ねえ。 佐藤: 持って帰って食べようと思うよね。 エリサンジェラ: そうそう。見たらすぐね。私も。 佐藤: はい。なるほど。 エリサンジェラ: これ、なんで作られているの? 佐藤: 蝋燭の蝋。 エリサンジェラ: 蝋燭の蝋ですね、はい。初めて見た時に、「どうやって作ったの?」「冷めないの?」

って。こんなの見たこと無いから。いいと思います。 佐藤: はい。ありがとうございます。最後カンさん。この

橦木館の前だよね。 カン: はい。そうです。 佐藤: これ、カンさんが撮った写真だよね。 カン: はい。そうです。外から撮った写真です。日本に来

てから、こんな風景初めて見たんですよ。私はずっと北欧に

憧れていて、テレビでよくこんな場面(写生)を見たんです

けど、日本では初めてです。第三者の目で見ると、このおじ

いさんが橦木館の価値を認識して、絵にしていると思うんです。こんな落ち着く雰囲気の中で、こんな

面白いことをするのは、日本ではよくあるんですか? 佐藤: 子供たちは学校の授業で写生大会とかあるんですけど、大人もこんな風にね、橦木館の前でね。 カン: 大人も皆、ちゃんとこの文化財の価値を意識していると言えるんじゃないかと。 佐藤: そうですね。この建物がとっても愛されてるということが伝わってくると、この風景から。 カン: そうですね。多分プロの芸術家じゃないと思うんですけど、普通の人もこんなことができるの

は落ち着いた社会じゃないと、あんまりこんなことはできないじゃないですか。 佐藤: 落ち着いてゆとりが無いとね。

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カン: はい。しかも、その絵を見てもらいたんですけど、実物より可愛いじゃないですか。 佐藤: 実物よりちょっと可愛らしくできている。そういう想いがあるんだと。 カン: 多分このおじいさんはピュアな世界を描いているんじゃないかと思う。 佐藤: 無心にね、無心に描いてるんじゃないかとね。 カン: 自分もやってみたいと思いました。 佐藤: そうね、いろいろできるね、文化のみちで。レストラン「デュボネ」でデートをしないといけ

ないしね、絵も描いてみたいしね。いろんな夢を広げて下さっているようなのですが、ここで会場にい

らっしゃっている方々からこの人に何か聞いてみたいとか、ご質問があれば是非受けたいと思いますが、

いかがですか?はい。では、ご所属とお名前と簡単に質問を、あとどなたにということをおっしゃって

いただけますか?

「質疑応答」

質問者: ラビさんと同じ名古屋工業大学で、デザインをやっております、山本と申します。今、名古

屋の文化研究みたいなことをやっていまして、皆さんにちょっと聞きたいんですが、今回はまちなみな

んかがメインのお話だったんですが、今名古屋のお土産について調べておりまして、皆さんは家族であ

ったり、母国であったり、いろんな場所に持っていくときに、海外の方から見た名古屋のお土産として

はどんなものを選んだり、どんなものが好きだったりするのかな、ということをちょっとお聞きしたい

なと思いまして。 佐藤: スーベニア。お土産。何かいいものありますかね? メッツラー: 名古屋のお土産かは分からないんですけれども、先ほどの食べ物のサンプルは私の友達

だったら誰でも買って帰りたいです。レストランよりそのものの興味がありますよ。 佐藤: なるほど。じゃあ、ラビさん ラビ: 手羽先じゃないですか?ういろうは買って行けない。ういろうは日本の味だから日本人は食べ

られるけど、私たちはあんまり好きじゃない。 佐藤: 手羽先はインドの人も好きかな? ラビ: そうだと、思います。大好きだと思います。 佐藤: そう、ちょっとスパイスも効いてるし。 ラビ: そうそう。 佐藤: だそうです。じゃあ、エリサンジェラさんどう? エリサンジェラ: ちょっと、難しい質問ですね。あのスクロール?なんて言うんだっけ?英語でスク

ロール。あれは、すごく人気があります。 佐藤: 何のスクロール? エリサンジェラ: 名古屋城とか、いろいろな黒くて日本語で名前がありますが、英語でスクロールと

いいますね。巻いて、黒くて、壁に あ、ここにありますね。 佐藤: 掛け軸。 エリサンジェラ: 掛け軸。 佐藤: 食べるものじゃないのね。

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エリサンジェラ: 違います。ブラジルへ帰るとき、名古屋城の掛け軸をよく持っていきますね。すご

く人気があります。壁に掛けて、いつも日本を感じてもらえて、いつまでもずっと残るお土産です。あ

と、まんじゅうも大好きだからまんじゅうも持っていきます。そのようなお土産を持っていきます。 佐藤: エリサンジェラさんが今着ているのは絞りじゃない? エリサンジェラ: そうですね。貰いました。 佐藤: 有松でしょ? エリサンジェラ: はい。 佐藤: 絞りのお洋服だよね。 エリサンジェラ: そうですね。すごく好きです。これも、ブラジルの人が見ると、それはどこで貰っ

たの?買ったの?って、聞かれます。うちの近くの有松です。お隣さんに貰いました。 佐藤: はい。じゃあ、カンさんはどうですか? カン: 食べ物としては、味噌煮込みうどんかも。友達を連れて来てあげたいです。最初 1 年半くらい

駅前の味噌煮込みうどん屋でバイトをやっていた。 佐藤: バイトしてちょっと食べさせてももらえた? カン: はい。半額で。半額って言っても高いんですよ。 佐藤: でも、大好きになったのね? カン: 味は濃いので、週に 1 回だといいです。毎日だと大変です。私は、あっさりした料理が好きで

すから、刺身とか大好きで。あと、名古屋の優れた生産技術とか環境技術を友達に紹介したいです。 佐藤: 素晴らしい!産業技術について。 カン: そうですね。トヨタの何博物館?に行ったことがあるんですけど。 佐藤: 産業技術記念館? カン: そうですね。いいと思っています。 佐藤: ものづくりを見てもらいたいということですね。 カン: はい。そうですね。 佐藤: さあ、ジュゼッペさん。 ジュゼッペ: イタリアに持っていくお土産?それとも、日本のどこかに持っていくお土産? 質問者: それは、バラバラでも、イタリアに持っていくものでもいいです。 ジュゼッペ: イタリアに持ち帰るものは、えびせん。名前は覚えてないけど、名古屋の薄っぺらい茶

色いえびせん。 佐藤: 「ゆかり」? ジュゼッペ: 「ゆかり」。それいつも持っていきます。あと、個人用にはお味噌汁持っていきます。や

っぱり、15 年名古屋に住んでいるから向こうで 3、4 日間は我慢できるんだけど、しょうゆ味がないと

落ち着かない。だから、インスタント味噌汁としょうゆせんべいを持っていきます。 佐藤: あら。 ジュゼッペ: 日本国内の場合、八丁味噌です、赤味噌 どこ行っても友達に赤味噌持っていきます。

あと、みそかつ用のスーパーで売っている「つけてみそかけてみそ」とか、いつも友達に持っていきま

す。やっぱり、向こうで売ってないから。国内でも海外行ってもなかなか売ってないから。 佐藤: イタリア人好き?みそ味。

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ジュゼッペ: 好きですよ。 佐藤: 本当?スパゲティにかけたりとかはしないの? ジュゼッペ: しない! 佐藤: じゃあ、イタリアでは何にかけるの?「つけてみそかけてみそ」。ピザ? ジュゼッペ: お母さんはジャムだと思ってる。 佐藤: パンにつけるの? ジュゼッペ: バターと一緒にパンにつけたら意外と美味しいですよ。 佐藤: 面白い。本当に皆さん、名古屋に住んで名古屋の味を愛しちゃってるんですね。それを、世界

に広めていきたいというように思っている人達が多いと思いますが、山本さんいいですか?何かいいア

イディアにはなりましたか? 質問者: はい。ありがとうございます。 佐藤: じゃあ、イタリア語とかつけてあげたり、なんか外国の言葉をつけたりするといいかもしれな

いですね。そういうえびせんべいとか向こうの人分からないでしょ。ぱっと見て。 ジュゼッペ: そう。ポテトチップスとかにしか見えないですね。もちろん、味で分かる。エビとかイ

カが入っているからすぐわかりますけど。 佐藤: なるほど。はい。ありがとうございます。もう一人くらいいかがですか?どなたか。 質問者: 寺町と申します。今日は“Cool”な名古屋についてお話いただいたのですが、皆さん、名古

屋のまちは好きですか? 佐藤: 名古屋は好きかという質問です。いいですよ。はっきり言ってもらって。さっきみたいにおし

ゃっていただいた方が。 ジュゼッペ: 好きですよ。 佐藤: ちょっと一瞬間があったね。 ジュゼッペ: じゃなくて、名古屋の暮らし僕、好きですよ。栄とかその辺りとか星ヶ丘テラスとか、

そういう部分が僕はちょっと苦手なんですね。ショッピングモールとかデパートメントが大嫌い。東別

院は中区なんだけど、裏に行くとまだ昔の八百屋さんとか御茶屋さんとか肉屋さんとかがあって僕はそ

こでお買い物をするのが好き。買い物も人間関係であると思ってるから。多分、栄辺りは仕事の打合せ

がなければ 2 ヶ月 1 に回とか 3 ヶ月に 1 回しか行かないですよ。 佐藤: なるほど。 ジュゼッペ: だから、こういうまちのどこの部分が好きとかじゃなくて、名古屋の僕の暮らしが好き。

さっきも言っていた物価的にもそんなに高くない。あと、名古屋の大きさ、ミラノと似てるから、東京

みたいじゃないんですね。バスでも電車でも 15、20 分以内で移動できるじゃないですか?東京の場合で

はありえない。僕の友達は仕事場まで毎日 2 時間半。以上です。 佐藤: ありがとうございます。 カン: 大好きです。毎日青空見えるし、車の排気もそんなに石油臭くないです。 メッツラー: まあ、好きになりました。最初の頃は大変でしただけど。もう慣れてきて好きな所もい

ろいろ見つかって、逃げられる場所も分かって、生活しやすい好きな所になりました。 エリサンジェラ: 私も大好きですね。どうしてかというと住んでいる緑区は田舎みたいな所で静かで、

そこからバスに 50 分乗るだけでいろいろな、何でもある場所に行けるから、だから大好きですね。いつ

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もブラジルに帰るとなにか物足りないね。ブラジルで 1 週間だけ楽しんで 2 週間目には荷物を片付けて

早く戻りたくなる。大好きですね。 ラビ: 名古屋は道が広いし、栄の地下鉄のモールには結構ショッピングがあるし、いろいろ食べ物も

おいしいから、でら好き。 佐藤: でら好き。出ましたね。はい。どうぞ。 ジュゼッペ: やっぱり外国から見た時、中国までは大陸だけど日本は島でもっと遠く感じるんですね。

ロサンゼルスより日本の方が遠く感じる。たぶんロサンゼルスの方が遠いと思うけど。それで、僕たち

外国人が日本に来る時、最初全部初めてじゃないですか、最初の発見ですね、すごく全部面白い。見た

こと無い国。それで、登山家と一緒で山登る時は頂上に何があるかすごく楽しみで、その楽しさが分か

ったら、その山から普通の生活に戻るために降りなければならないんですね、降りた後、また次の山登

りたい人だけ日本に残ります。次の山を登る気にならないと外国人帰ります。最初に山を登るのは楽し

いけど、次は疲れるだけじゃないですか。日本語分からない時の生活は大変、自分の文化じゃないし全

然違う。だから、次の山登りたい人だけ日本に残ります。 質問者: ありがとうございます。 佐藤: はい。ありがとうございました。5 人のパネリストの皆さん本当にありがとうございました。も

う一回ね、山を登ってみたいと思えるような日本であるといいわけよね。聞いていて皆さんお気づきに

なったことがあると思うんですが、やっぱりモダンな建物、近代的な建物というのも都会だからあるん

ですけど、やっぱりその中に生活感にあふれる、人々の暮らしが分かるような建物やそういうまちなみ

に皆大事な所を見つけてくれている、というふうに思いました。一番売れているトラベルガイド、「ロン

リープラネット」というガイドブックがあるんですが、その“JAPAN”という本を私いくつかバージョ

ンを持っているんですが、名古屋の所を見ると、1989 年のバージョンには、「名古屋は道路も広い。真

っ直ぐだ。だけれども見るべき所はない。魂が感じられない。」というふうに書いてあって。私は非常に

衝撃を受けて、そうじゃないんだ、名古屋にはこんないい所があるんだ、という思いでアベニューズと

いう雑誌を作ってきました。こうやって外国の方たちにも認めてもらえるようないい所を沢山残しなが

ら、この歴史を感じられるまちを皆さんと一緒に作っていけたらいいと思っております。名古屋市も歴

史まちづくりというものに力を入れようとしていますので、是非関心を持っていただきたいと思います。

この辺りは、名古屋城に勤めるお侍さんが

住んで居たんだよということを伝えるこ

とで、お侍さんの格好をした人たちが歩い

ていたんだな、ということに想いを馳せな

がら、このまちを楽しんでもらいたいです

ね。歴史を知ってもらって、ますます文化

のみちも含めて名古屋を好きになっても

らいたいと思います。本当に今日は長い間

ありがとうございました。パネリストの皆

さんありがとうございました。

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ア ン ケ ー ト 結 果

会場にお越しいただいた観覧者 79 名に対しアンケート用紙を配布し、アンケートを実施。 47 名が回答。(アンケート回収率 60%) 1.この企画を知ったきっかけは? 2.討論会の内容はおもしろかったですか?

おもしろかった 89%

3.名古屋の魅力を感じることができましたか? 4.ご自身でも名古屋のまちを歩き、その魅力を探

したいと思いましたか?

感じられた 72%

思った 77%

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5.今後の橦木館での企画に参加したいですか?

参加したい 60%

6.文化のみちや橦木館でどのような企画があれば、参加したいですか?(自由記入)

・和の生活、文化入門のような参加型企画(40 代女性) ・日本文化、名古屋文化(食・生活 etc)などに関するトークサロン(30 代女性) ・古き文化について考える。(40 代男性) ・名古屋ゆかりの詩人・歌人の朗読会(50 代女性) ・ヴァイオリン・フルート等のソロコンサート、文化琴・大正琴の演奏会(50 代女性) ・交通の何か(10 代男性) ・コンサート、オカリナ(60 代女性) ・コンサート(30 代女性) ・名古屋の味(65 歳以上女性) ・名古屋の歴史が理解できる写真展などの展覧会、現代アートの展覧会(50 代男性) ・和布を使ったクラフト等の教室や展示会(50 代女性) ・外の目を意識した企画が良いと思う。(40 代男性) ・演奏会(50 代女性) ・和を感じる習い事(40 代女性) ・外国の楽器演奏(60 代男性) ・東京好き・大阪好き・博多好きという人の討論もおもしろい。(50 代男性)

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7.今回の討論会の感想などをお聞かせ下さい。(自由記入)

・まちを見る視点がいろいろあっておもしろかったです。(50 代男性) ・ちょっと時間が長かった。意外な視点がおもしろかった。(40 代女性) ・いろんな「お国柄」をベースにした気付き、おもしろかったです。(30 代女性) ・五カ国の方に楽しく名古屋の街を語ってもらえた。日本語がとてもうまくユーモアたっぷりの語り

に感動しました。(65 歳以上女性) ・いろんな視点から興味深い話を聞けておもしろかったです。(30 代女性) ・とても良かった。(40 代男性) ・予想した事が、発言で多かったが、日本人・名古屋人に気付かない点もあって良かった。外国人の

方の生の声が良かった。(50 代女性) ・とてもすごかったです。(10 代男性) ・外国の方も日本人の私も感じ方は一緒だなと思いました。(50 代女性) ・意外な cool を見られて良かった。(50 代男性) ・パネラーを 3 人程でもっと話が聞けると思います。(50 代男性) ・それぞれに同じ街を見ていても別々の感想を持っていることがおもしろかった。視点の違いにも驚

きを感じた。(40 代女性) ・とても楽しく聞きました。私が当たり前に思っている事をきちんと考えて生活している事にあらた

めて驚きました。(65 歳以上女性) ・「名古屋」としての文化と「日本」の文化に対して、国外の文化を比較する中から名古屋の魅力を見

出すことは簡単ではありませんが、こうした場で話し合うことで少しずつですが見出すことができ

たと思います。(20 代男性) ・ふんふん、そうそうと会場が頷くのが印象的だった。この場所でこの企画。大変良い。(40 代男性) ・様々な国の方から見た「日本」ではなく「名古屋」のイメージを知ることができよかったです。(20 代女性) ・それぞれのお国柄が出ていておもしろかったです。(50 代女性) ・討論者の皆さんが大変率直に名古屋の事を語っていただき、興味深く拝聴しました。好企画で満足度大です。(50 代男性) ・長すぎると思った。11:30~13:30 という昼時の設定もおかしいのではないか。(50 代女性) ・色々な視点、感覚からの率直な意見が聞けておもしろかった。(40 代男性) ・外国の方の名古屋に対するまちなみについてのいろいろな意見が聞けて良かった。気付かなかった

良い面を教えてもらえて良かった。(50 代女性) ・外国人から見るとはおもしろい企画でした。(50 代男性) ・まちとしての名古屋を考える事ができた。統一性のないまちと思っていたが、それを特徴として見

るのも一つかと思えてきた。(50 代女性) ・色々な考え方がありおもしろかった。一方、外国人の方とあまりそう考えに大差がないような気も

した。名古屋は住まないと魅力が分らないかなと思いました。(40 代女性) ・アメリカ人・イギリス人も参加させてほしかった。(60 代男性) ・名古屋を好きな人の集まりであった。(50 代男性) ・早めに情報ほしい。(30 代男性)

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8.性別 9.年齢

男 43% 女 57%

50 代 54% 10.住まい

市内 79%

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名古屋市住宅都市局

都市計画部都市景観室 / まちづくり企画部歴史まちづくり推進室

名古屋市中区三の丸三丁目 1番 1号