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附属資料 3

赤谷プロジェクト・エリア「赤谷の森」の概要

「赤谷プロジェクト」対象エリアの国有林が位置する群馬県利根郡みなかみ町

(旧新治村、2005 年 10 月に町村合併)は、県北西部に位置する面積182.4

3㎢の地域で、対象エリアが含まれる三国山地は、群馬県・新潟県の県境稜線と

なっている。

三国山地は、標高2,000メートル級の山々が連なる太平洋と日本海の分水

嶺であり、一帯は冬季の強い北西季節風により、関東地方でも有数の豪雪地帯と

なっている。この気象条件を反映して、亜高山帯等の高標高地にはササ自然草原

が広く分布する特異な景観となっており、山地帯にはブナを中心とした森林が発

達している。

対象エリアは、ほぼ全域が上信越高原国立公園に指定されており、北部の主稜

線一帯は特別保護地区となっている。また、森林法による保安林(水源涵養保安

林・土砂流出防備保安林・土砂崩壊防備保安林)、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に

関する法律による県指定の鳥獣保護区(法師鳥獣保護区・赤谷湖鳥獣保護区・仙

ノ倉鳥獣保護区、他2の銃猟禁止区域)に指定されている。

当該地域では、1983年12月に村議会が「三国山系開発促進計画」を採択

し、ムタゴ沢流域の国有林を利用した「(仮称)三国高原猿ヶ京スキー場計画」が

計画されていた。計画地一帯は、88年12月に群馬県が「ぐんまリフレッシュ

高原リゾート構想」の対象地区に指定し、総合保養地域整備法(通称「リゾート

法」)の重点整備地区となった。また同計画は、前橋営林局(当時)によってリゾ

ート施策である「ヒューマン・グリーン・プラン」の候補にも選定された。また、

川古温泉の奥地一帯では、建設省関東地方整備局(当時)により「川古ダム」が

計画され、91年からは現地調査が開始されていた。

その後、社会状況の変化から、2000年1月に「(仮称)三国高原猿ヶ京スキ

ー場計画」が中止となり、同年9月には建設省関東地方整備局の「事業評価監視

委員会」において川古ダムの中止が勧告され、11月には正式に中止が決定した。

2001年には、国有林野において既設の保護林と保護林とを連結する「緑の

回廊・三国線」が当該地域の奥部に設定され、このことが赤谷プロジェクトの発

足を促すこととなった。

赤谷プロジェクトにおいては、1万ヘクタールの対象エリアを、その植生分布

や野生動物の生息状況、人間の利用上の要請を踏まえ、6つのサブ・エリアに区

分をし、それぞれに管理テーマを設けていくこととしている(図1)。

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図1 赤谷プロジェクト 対象地域(利根沼田森林管理署相俣担当区)

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赤谷プロジェクト サブエリアの「名称」と「主要テーマ区分」

エリア①(赤谷源流エリア)

「巨木の自然林の復元とイヌワシ営巣環境保全」

プロジェクトエリア全体の中でもっとも自然度を高く維持していくべき

地域特性を持ちイヌワシの繁殖地ともなっているため、発達した森林生

態系を復元することによる原自然の回復を第一に考慮する。

エリア②(小出俣エリア)

「植生管理と環境教育のための研究・教材開発と実践」

質的にはエリア①とほぼ同様の自然の潜在力を持っている。しかし人の

出入りの面からの許容度が相対的に高く、自然林への復元を進める際等の

自由度も高いため、環境教育の研究と実践を第一に考慮する。

エリア③(法師沢・ムタゴ沢エリア)

「水源の森の機能回復」

法師山、ムタコ沢・法師沢は水源・温泉源となっておりクマタカの繁

殖地でもあることから、谷奥の自然林と渓伴林をさらに豊かにし枝沢を

中心とした森林の水源機能の回復・復元を第一に考慮する。

エリア④(旧三国街道エリア)

「旧街道を理想的な自然観察路とするための森づくり」

三国旧街道は地域の歴史遺産であり、現在も一部は三国路自然歩道と

して活用されている。エリア全体が旧街道を中心とした、比較的大人数

の利用にも耐えられる自然観察路になる等の森と共生する歩道の整備

を第一に考慮する。

エリア⑤(仏岩エリア)

「炭焼き・道具作りなどの森林利用の研究と技術の継承」

この地域は、人里に最も近く里山的な環境と連続する環境にある。そ

のため、森と人との生活上のつながり、木材を活用した各種の伝統的な

技に関する場作りを第一に考慮する。

エリア⑥(合瀬谷エリア)

「実験的な、新時代の人工林管理の研究と実践」

人工林率が高く林道の敷設も谷全体にわたって行われている。人工林

において生物多様性の向上に貢献するための研究と実践を第一に考慮

する。

番 外 (「緑の回廊」地域)

「野生生物の移動経路の確保と保護地域の連続性向上」

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附属資料 4

赤谷プロジェクト 自然環境モニタリング基本方針 (第1期)

赤谷プロジェクト(「三国山地/赤谷川・生物多様性復元計画」)は、生物多様

性の復元を科学的根拠をもって進めるため、以下の目的と基本方針に基づいて自

然環境モニタリングを行う。

【目的】

[1]1万ヘクタールのプロジェクト・エリアの環境特性を明らかにするため、

エリア全体にわたる自然性を把握する。

[2]将来にわたる適切な調査項目の設定を行うため、エリアに生息する主要な

生物の基本生態を把握する。

[3]生物多様性復元のとりくみを的確に評価するため、人間の作為に対する自

然の応答と、作為の対象エリアの生物多様性復元に対する効果を把握する。

[4]エリア全域の生物多様性に対する働きかけの方向性を的確に評価するため、

人間の作為の集積と自然の有するダイナミズムとの応答関係を把握する。

【基本方針】

[1]生物多様性復元に向けたすべての活動は、自然環境のモニタリングに基づ

く科学的根拠を基盤として進めるものである。科学的根拠の集積と自然環

境モニタリング事業の審議検討は、「自然環境モニタリング会議」を設置

して行う。

[2]自然環境モニタリングには、自然性の把握だけでなく、人間の作為に対す

る反応を評価するとともに、その知見が場へフィードバックされる必要性

があることを認識する。

[3]調査設計、フィールド設定にあたっては、生物多様性復元に資するデータ

の集積可能性を最優先に考える。

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[4]生物の生態調査は、生物多様性復元事業を進めるにあたっての指標とする

ことに主眼をおく。

[5]調査研究の進捗に従って、モニタリング・ユニットの外縁が現れてくるよ

う、複数のテーマの成果を常に参照する。

[6]プロジェクトの環境教育プログラム、エリアのカントリーコード作成、野

生動物による農作物被害等の自然に関わる社会問題への説明など、他事業

への適切な情報提供機能を持つ。

[7]モニタリングは、地域住民に対してプロジェクト・エリアに対する関心を

醸成するような、啓蒙的要素の織り込みを認識する。

[8]林野庁職員、日本自然保護協会職員、地域協議会会員等のプロジェクト関

係者やサポーターに対する専門教育機会として活用されることを織り込

む。

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附属資料5

赤谷プロジェクト 2010年度第1回植生ワーキンググループ会議

日時:2010年5月20日(木)13:00~16:30(NACSJ会議室)

出席者 :亀山章(座長、NACS-J 専務理事)、長島成和(日本森林技術協会)、酒

井武(森林総合研究所)、土屋俊幸(東京農工大学)松井睦子(赤谷

プロジェクト地域協議会)、石澤尚史・齋藤哲・高平健二・武居邦広・

山本道裕・(関東森林管理局)、山崎隆治(沼田署)、鈴木綾子・藤代

和成(赤谷センター)、田米開隆男(赤谷サポーター)、大野正人・藤

田卓・出島誠一(NACS-J)

欠席:長池卓男(山梨県森林総合研究所))

議題

(1)森林計画編成のための全体スケジュールの確認

(2)森林計画編成の検討課題・植生WGスケジュール確認

(3)試験地設定方針および調査方法の検討

(4)今年度の調査計画の共有

(5)今年度の施業実施予定箇所の確認

資料1 今年度赤谷プロジェクト全体スケジュール(事務局)(略)

2 2010 年度植生WG検討課題と検討スケジュール(略)

3 生物多様性に配慮した間伐(選木)方法の検討について (略)

4 南ヶ谷湿地保全管理の指針保全エリア設定案(略)

5 試験地設定基本方針(略)

6 赤谷の森基本構想 (略)

7 森林計画編成スケジュール(関東森林管理局)(略)

8 今年度の調査計画(a 亀山委員; b 酒井委員; c 長池委員(略)

図表1 今年度施業予定箇所地図(略)

2 第四期施業予定箇所地図(略)

3 機能類型の分布(略)

4 施業群の分布(略)

5 潜在自然植生と人工林分布および人工林の林齢分布(略)

6 人工林を自然林に誘導するための体系的試験候補地一覧(略)

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議事抄録

(1)森林計画編成のための全体スケジュールの確認(資料1)

・10 月末が主な森林計画の〆切(山本)。

・林道治山伐採計画量の検討は、7 月末としていたが、素案の〆切であり、その

後の修正も期間も考慮して 8 月末を〆切。伐採・造林箇所の検討は 9 月末〆切(山

本・田米開)。

・〆切直前に内容の修正は難しいため、少なくとも素案は〆切の一ヶ月前には固

める必要がある。また、企画運営会議の開催は 9 月末開催として計画に反映する

(亀山)。

・計画の進め方は、1.実態の把握(森林調査簿の修正;9 月まで)2.意志(施

業群など)の決定3.施業の決定(伐採・林道・治山箇所など)の順で進める(田

米開)。

(2)森林計画編成の検討課題・植生WGスケジュール確認(資料2)

○地域管理経営計画への反映(全体)

・地域管理経営計画は、本編と別冊で構成、別冊において「赤谷の森の森林計画」

をまとめる(山本)。

・森林計画に書かなければいけないことは定められているが、書いてはいけない

ことは定められていない=「何を書いても良い」という解釈(田米開)。

②施業群の変更

・施業群の種類、内容の変更および各林小班の配置を含めた施業群全体を見直す

(山本)。

・おおむね4つの施業群を想定(①自然林、②自然林に誘導する人工林、③人工

林を維持する林分、④分収育林・造林)(山本)

・施業群の種類が多いことがきめ細かい施業につながる訳ではない(田米開)。

③機能類型の変更

・人との共生林空間利用タイプから水土保全林水源かん養タイプに変更の予定

(「いきもの村東側の一部」、「採草放牧跡地~茂倉沢」、「赤沢スキー場周辺の一

部」;山本))

・地域の人の意向を受けた配置が必要。機能類型と実態があっていない(水源涵

養タイプにおいて主に人工林伐採が進んでいる)ので、実態にあった変更を考え

るべき。一般の人が見てもわかるような利用区分であるべきだ(土屋)。

・基本構想では、自然林は自然遷移に委ねるとしているので、101 年生の自然林

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は水源涵養タイプではなく、自然維持タイプとすべきではないか。一方で人工林

として維持すべき林分は、資源循環利用林にすべきではないか(出島)。

・ありえると思う。ただ自然維持タイプだと規制が厳しいので何もできなくなる。

赤谷は3者協働プロジェクトでそんなに変なことはできないし、全山試験地扱い

なので制約をつけすぎるのもよくない。機能類型は制約が多く、変更が難しいこ

とと、実質的な施業を決めるのは施業群なので、必要な機能は施業群で考える方

がよい(田米開)。

④小班界の変更

・境界の変更を赤谷全域で一気に行うことは難しいので、明らかに現状と違うと

ころ、人工林適地も考慮して変更する(高平)。

⑤水辺林(南ヶ谷を含む)の管理区域の設定および管理方法の検討

・全域の 1/4 の人工林の林班に含まれているので、今後検討する(藤田・田米開)。

・現場検討が大事なので、6/20-21 の現地検討においても現地検討を進める(亀

山)。

・今回の計画編成でできない場合は、課題として計画に書き込み、今後検討を進

める方針(田米開)。

⑥生物多様性に配慮した間伐方法の検討(林分

単位の配慮事項:資料3)

・20 年度にまとめた施業判定基準に基づく

4タイプの人工林ごとに間伐方法を検討す

る(藤田)。

・人工林を維持する林分と自然林に誘導す

る林分を分けて議論すべき(長池)。

・樹種(スギ・ヒノキ・カラマツ・アカマツ)で取り扱いを変えるかどうか検討

が必要(田米開)。

⑦生物多様性に配慮した森林配置(流域単位の配慮事項)

・自然林からの距離が遠く、多様性の低い人工林(林齢・樹種)が似通った林分

が集中する地域があり、今後の課題(図表5②;藤田)

・今後検討する必要があるが、どの程度のスケールで多様性を考慮すべきか整理

が必要。長池さんはどの程度のスケールを考えているか聞いて欲しい(亀山)。

⑧5カ年の施業箇所(間伐・除伐・林道・治山施設)の検討

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・まずは、考え方(施業群、機能類型など)を整理した上で決めるべき(田米開)。

(3)試験地設定方針および調査方法の検討(資料4)

・試験地の設定方針は資料4の通り。主伐、間伐、除伐について個別に検討。5

年後の計画編成に試験結果を反映させるために試験伐採は来年度実行する(藤田)。

・木材生産との両立が必要であるため、主伐実験を行う際は、50 年生前後で実行

するのが望ましい(田米開・山本)。

・生物多様性復元のための方法として、猛禽類や哺乳類など、他のWGにもやり

方を聞いてみる必要がある(高平)。

・7/1 日に今年度の間伐の発注を行うために、試験地は 6/20-21 の現地検討で決

める必要がある(山崎)。

(4)今年度の調査計画の共有(資料8b、c)

・長池:人工林内に天然更新している樹木の成長パターン解析と試験区の事前調

・酒井:列状間伐固定調査区設定、対照区として未間伐地の設定

・亀山:昨年までの試験地の継続調査

(5)今年度の施業実施予定箇所の確認(資料Ⅰ~Ⅲ)

・分収育林は伐採が始まって鉄塔線の下まで伐採終了。残りはしばらく後になる

(藤代)。

・分収育林の看板は、立派なものである必要はなく、実験をしていることがわか

るように簡潔に書いてあればよい(亀山)。

・今後の植生WG開催スケジュール

第二回 6/14 13:00~16:30 NACS-J

第三回 6/28 13:00~16:30 NACS-J

第四回 7/29 13:00~16:30 NACS-J

第五回 8/30 13:00~16:30 NACS-J

現地検討 6/20-21 赤谷

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・2010 年度植生WG検討課題<案>

1 2 現 3 4 5

議題 5/20 6/14 6/20 6/28 7/29 8/30

①人工林を自然林に導入するための体

系的な試験地設定の検討 ○ ● ● ●

②施業群の変更についての検討 ○ ●

③機能類型についての検討 ○ ●

④小班界の変更についての検討 ○ ● ●

⑤水辺林(南ヶ谷を含む)の管理区域の

設定および管理方法の検討 ○ ● ● ●

⑥生物多様性に配慮した間伐方法の検

討(林分単位の配慮事項) ○ ● ● ●

⑦生物多様性に配慮した森林配置(流域

単位の配慮事項) ○ ● ●

⑧5カ年の施業箇所(間伐・除伐・林道・

治山施設)の検討 ○ ● ●

計画文書の検討 ● ●

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附属資料6

赤谷プロジェクト 2010年度第2回植生ワーキンググループ会議

日時 :2010年6月14日(月) 13:00~16:30 於:NACSJ

会議室

出席者 :亀山章(座長、NACS-J 専務理事)、長島成和(日本森林技術協会)、土

屋俊幸(東京農工大学)、長池卓男(山梨県森林総合研究所)、酒井武

(森林総合研究所)、松井睦子(赤谷プロジェクト地域協議会)、石澤

尚史・齋藤哲・高平健二・武居邦広・山本道裕(関東森林管理局)、

山崎隆治(沼田署)、鈴木綾子・藤代和成(赤谷センター)、田米開隆

男(赤谷サポーター)、大野正人・藤田卓・出島誠一(NACS-J)

前回WGの論点整理

議題

(1)人工林を自然林へ誘導するための体系的な試験地設定の方針およびモニタリン

グ計画の検討

(2)生物多様性復元のための間伐方法の検討

(3)地域管理経営計画の目次案についての検討

資料1 第一回植生WG議事抄録(略)

2 主伐試験地における林齢の考え方

3 赤谷プロジェクト 試験地設定基本方針

4 生物多様性に配慮した間伐(選木)方法の検討について(略)

5 第4次地域管理経営計画(利根上流森林計画区)別冊の作成について(略)

図表1 自然林再生試験地案(地図)(略)

2 自然林再生試験地候補一覧<案>

3 試験地候補地の現況(略)

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議事抄録

(1)人工林を自然林へ誘導するための体系的な試験地設定の方針およびモニタリ

ング計画の検討

■主伐試験を行う林分の林齢(前回WGにおいて 50 年生前後スギ林を対象としたこ

と)

・昨年まで標準伐期齢を基準に考えると言っていたので、急に前回WGにおいて

50 年生以上で実験を行うという条件が出てきたように感じる。また、エリアの目

標を考える必要があり、エリア1、2は自然林に戻すことを目標としている。自

然林に戻すのにすべて 50 年生を迎えるまで待つということか(長池)?

・「50 年生以上」は試験地設定における望ましい条件の1つであり、標準伐期齢

(35 年生)がダメということではない。ただ、人工林⇒天然林への転換は、①特

に急ぐ必要のあるところと②それ以外のところに大別されるが、①である箇所が

明示されていない。そうであれば、若令の人工林を対象にして、全くの投資的経

費のみ(つまり、税金)を使って実行するよりも、「林業」の範疇で人工林資源も

有効利用しつつ実行すべきだと思う(田米開)。

・赤谷の取り組みを全国へ拡げるという場合、伐期齢の考え方は2つある。標準

伐期齢は林分の成長量が一番高い時、35 年。国有林野施業実施計画で定める伐期

齢では、経済性を加味した林齢で、利根上流では 50 年となっている。施業実施計

画の通達では、主伐はこの伐期齢(50 年)以下で伐採してはならないとしている。

標準伐期齢でやった結果がでても、他の地域で実施できないため、全国のモデル

にするためには、伐期齢とする方がよい(高平)。

・赤谷はモデル性を追求すべきだが、場所毎に条件は異なる(多雪地と雪が少な

いところなど)ので、「試験地として何年生の人工林を伐採した」ということをモ

デルにすべきではない。「検討のプロセス」をモデルとすべきである(長池)。

・基本的には田米開さんの意見と同じ。ただ、施業上、標準伐期齢は意味がある

が、自然林に戻すという観点では標準伐期齢は意味がないだろう。林齢にこだわ

らず、どう自然林に戻していくのか?どう全国に波及させるのかという2つの観

点を整理したい。現実的にはお金という制限要因もあるので、いくつも、同時に

試験地を設けられる訳でもない(石澤)。

・林齢の問題もあるが、自然林に戻すエリア1,2をどうするのかという問題が

ある。小出俣は 30 齢前後の林分が多く、50 年生以上で主伐とすれば、今後 20 年

間は主伐ができないが、20 年後にもプロジェクトはあるのか?自然林に戻すとい

う目標を持っていたが、プロジェクトが終わってしまった。それでよいのか(長

池)?

・50 年生と 35 年生の伐った結果が、どう違うのかを整理する必要もある。35 年

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生でやってはいけないと言っているのではなく、同じ条件であるならば、事業の

しやすさ(投資額)も考慮した方がよい(田米開)。

・自然林への戻しやすさは、必ずしも林齢が強く効いている訳ではなく、地形や

履歴など他の要因の方が強く効いていると思う。赤谷全域を見渡すと、50 年生で

実験ができる箇所が少ないので、林齢にこだわらず、必要な知見が得られる実験

区を設定すべきだろう(酒井)。

・試験地の話がでてきた経緯を整理すると、皆伐をしたいが、できないという背

景があり、試験地の中で実験と位置づけてやろうということがあった。また、試

験地の設定と実際に施業を実行する場とは切り分けて話をした方がよい。試験地

は、理由をはっきりさせ標準伐期齢以上で検討することとする(亀山)。

■試験地について(資料 3)

・資料 3 を使って試験地設定の基本方針の説明(事務局)。図表1、2、資料①②

を使って各試験地候補の説明(事務局、赤谷センター)を行う。

・試験地設定の目的がわかりにくい。何の試験をするのにどこが適していて、適

していないのか?整理して、現地検討で確認を行う(亀山)。

・「赤谷の森の基本構想」に書いてある試験地で検証する項目は、伐区形状、自然

林からの距離、混交率、傾斜方位など立地条件に応じた天然更新の可能性を把握

するとしている。目的はしっかりしているので、それを整理すればよい(高平)。

・並木植えは自然林へ戻しやすい場所の試験として使える(長池)。

・実験結果の反映のさせ方として、伐採 4 年後の結果を反映させる方針(資料 3;

藤田)

・試験的伐採開始後4年の結果だけで、計画に反映させるのは無理があるだろう

(田米開)。

・候補地については、エリアの目標や人工林適地など、各場所の将来像を入れる

必要がある(長池)。

■試験を実行する優先順位について(資料 3)

・試験地の優先順位は、事務局としては、生物多様性保全上重要な地域(水辺林)

>自然林化が困難と思われる場所>自然林化が容易と思われる場所、の順だと考

えている(藤田)。

・試験地は技術的課題があるところを優先して実行するべきだろう。一方で施業

の優先順位は、全く逆になる。施業では戻しやすい場所から実行すべき(田米開)。

・水辺林を特だしする理由を明確にする必要がある(亀山)。

・松井さんが以前、ムタコは川沿いまで人工林にされているので、本来の水辺林

を回復させる必要があると言っていたと思う(長池)。

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・ムタコの奥地には、台地上のカラマツ林内に湿地がある(藤田)。

・ここは林道の残土を盛った場所かもしれない。ただ人為的に作った場所であっ

ても試験地をしていけないという理由はない。地元の要望もあるし、水辺林の復

元という目的がはっきりしていれば、試験地としてもよい(田米開)。

・水辺林は、目的をはっきりさせることと、個々の場所を考慮して、今後検討す

ることにする(亀山)。

・試験地の優先順位としては、自然林への誘導が難しい箇所を優先する方がいい

だろう(長池)。

・自然林からの距離はどこまで実験すべきか(藤田)。

・自然林から遠い林班をどうやって戻していくかが課題になる。できる限り遠く

までとる方がよい(長池・亀山)。

・スギの純林で、自然林からの距離が遠い場所を含む林分(=面積が大きい場所)、

二代目を優先的に選ぶこととする(藤田・藤代)

・試験区はいくつぐらい実行できそうか(田米開)?

・資料 3、P4 でおおざっぱに試算し、約 4 地点の調査地が実行可能かと思う(藤

田)。

・調査をもう少し省力化して多数の地点をやりたいが、検証可能なデータをとる

ためには、反復数をしっかりとる必要がありしょうがない。今後検討する(亀山)。

・試験地は、今期5年間の具体的な場所を一つ残らず指定する必要はなく、試験

地の考え方をまとめることが大事。5年間で知見が集まる中で、優先的に試験す

べき箇所を変える必要がでてくる可能性もあるので、まずは考え方をまとめ、想

定される試験地を例示として指定しておくという弾力的な扱いがよい。何のため

に試験をするかを明確にして、例えば、どことどことどこの林班として例示し、

おおむねこの程度の伐採量を決めておくのでよい。ただし、伐採量の総量を超え

ることはできない。6月中に5年間の試験地をすべて決めてしまうと拙速になっ

てしまう。もう少し時間をとって考え方を整理する必要がある(田米開)。

・除伐の試験についてはどうする。前回WGにおいて優先順位は低いが、今後検討す

ることになっていた(藤田)。

・除伐は 20 齢以下の人工林が対象になる。やれる場所は限られている(高平)。

・除伐による誘導は、自然林へ戻りやすいので、検討する必要がある(田米開・長池)。

(2)生物多様性復元のための間伐方法の検討 (資料 4)

・自然林へ誘導する間伐と木材生産の間伐を分けて考えるべきで、WGの話の進

め方もはっきり分ける必要がある(長池・亀山)。

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・自然林へ誘導するための間伐はどのように考えたらよいか(亀山)?

・自然林に戻す場合は間伐という言葉がなじまなくて、“抜き伐り”という言葉が

よいだろう。自然林へ誘導する場合は木材生産を無視することも考えられる(長

池)。

・間伐の際に、とりうる手段としては、植栽木伐採、広葉樹・枯死木・大径木保

残、伐採幅変更と考えているが、他に何があるか(藤田)?

・間伐の回数を増やすことができる(藤代)。

・制度上は5年立てば可能。ただし、林冠がうっぺいしていないと伐ることはで

きない(高平)。

・人工林を維持する林分では、成長の悪い木を伐るのが普通。しかし自然林へ誘

導する林分では、成長のよい木ばかり伐るというやり方があり、成長の悪い木が

残るので、結果的に自然林へ戻りやすくなるだろう。このような指針を書くこと

はできるけれども、役所としては結構しんどい(田米開)。

・林内に残すか残さないか、伐り捨てをする方法も考えられる(出島)。

・伐り捨ては、短期的に見れば、更新の阻害になるが、長期的に見れば、栄養分

になり、よいはずだ(齋藤・高平)。

・計画書の中に、赤谷の間伐の指針を書かない訳にはいかない(田米開)。

・間伐の指針は、たたき台を作ってもらうしかない(田米開)。

・今後は間伐試験地も同時に考えないといけない(藤代)。

・間伐の指針を作る中で間伐の試験が必要になってきたら、試験地を設定すれば

よい(亀山)。

・間伐の指針も作るが、資料 4p2(3)の表にあるように、主伐、除伐等含めた

全体像のプロセスをまとめ、間伐をどのように位置づけるかも整理する。これは

宿題として今後検討しましょう(亀山)。

・樹種を分けて指針を作るべきか(藤田)?

・スギ・ヒノキとカラマツ・アカマツは分けて考えればよいだろう(田米開)。

・今日は、細かい話を詰める時間がないので、考え方の整理をすると、間伐の指

針も作るが、資料 4p2(3)の表にあるように、主伐、除伐等含めた全体像のプ

ロセスをまとめ、間伐をどのように位置づけるかも整理する。後は、局と話し合

っていただいて、素案を出してもらい、これは宿題として今後検討しましょう。

(亀山)。

(3)地域管理経営計画の目次案についての検討(資料 5)

・サポーター活動も書く必要がある(田米開)。

・地域の人だけでなく、ボランティアというより広域に関わる人との関係も作りまし

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(25)

ょうということは新しい重要な取り組みなので、一つの柱としてもよい(亀山)。

・“サポーターやボランティアとの連携”として入れるのがよい。考えます(高平)。

・“(1)施業群・生産群を設定しない森林”はどんなことを記述されるイメージか?

・空間利用タイプ、国土保全タイプなどが該当する。天然林は手をつけない。その他

の人工林は景観に配慮した抜き伐りをするという程度になるだろう(高平)。

・次回WGまでに目次案に対して委員から意見をもらい次回WGで議論する(亀山)。

・施業群の内容、各施業群の箇所付けについては、人工林として維持すべき林分は、

エリアを考慮して、地位がよいところ、林道から近いところ、標高 900m以下という

条件で原案を作り、次回もしくは次々回に提示する予定です(高平)。

・この検討スケジュールは(亀山)?

・8 月末までに大枠ができあがり、9 月末に完成させる必要がある(山本)。

・検討スケジュールを詰める必要がある。まずは、次回のWGで、目次項目について

委員から意見をもらい、それを基に局がたたき台を作るという進め方だろう。次々回

WGで話合うためにもWGの一週間前までにはメールで委員に送り、WGで議論した

方がよい(田米開・亀山)。

(4)その他

・資料③:南ヶ谷周辺の人工林の間伐について、急いで間伐をいれないといけないと

いう状況でないが、次期計画には間伐を予定したい(藤代)。

・急いで間伐をいれないといけない状況ではないので、慎重に検討する必要がある。

検討する場としては、湿地の専門家からなる南ヶ谷WGを新たに立ち上げるか、植生

WGで検討する(田米開)。

・資料④:次期計画時における林道については、桜沢林道と袖沢の作業道、赤沢林道・

赤谷林道の崩壊箇所の補修を考えている(山崎)。

・桜沢林道は、すべてを林道ではなく、作業道にするという予定ではなかったのか(藤

田)。

・林道は、流域の人工林の将来像を決定してからでないと、計画できない。まずは、

茂倉流域の将来像、および人工林の取り扱いをはっきりさせる(田米開)。

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資料2

主伐試験地における林齢の考え方

1)経緯

21年度、第三~五回植生WG

・主伐試験は、標準伐期齢以上の林分を対象。

22年度、第一回植生WG

・主伐試験は、今後の林齢分布(20 年後に多くの人工林が 50 年生以上)、採

算性も考慮して50年生前後の人工林を対象.。

→採算性を度外視した試験では、他の国有林に対するモデルとならない

しかし、標準伐期齢~50 年生までの人工林の主伐試験は本当に必要ないか?

2)主伐試験地における林齢の考え方の整理

・主伐試験は、将来を見据え、生物多様性を速やかに回復させるための実験

として“標準伐期齢~50 年生の人工林”における実験も必要。理由は下記の

3点。

○現在ある人工林から自然林への転換を早める必要性がある

理由1.拡大造林政策後期(概ね 1970~1985 年)に実施された多くの施業が、

人工林生育不適地といえるような場にまで伐採・造林を拡大し、生物多様性

を劣化させている。

(例えば、イヌワシの営巣地周辺の人工林率が高いと繁殖率が低下する傾向)

理由2.その結果、林齢、樹種がそろった単純な人工林が広がる地域があり、

これらをモザイク化させることが必要

理由3.生物多様性が高い水辺林の多くを人工林に転換し、これらの回復が

課題。

○人工林を自然林へ誘導するには時間がかかる(約 50 年以上)ことと、その知

見がないため、実験も必要であり、実験結果がでて施業に反映させるまでに

時間がかかる(5~30 年後)。

○林齢が若い林分ほど、自然林へと誘導しやすい可能性が高い。

3)目標植生に達するまでの時間、プロジェクト内における意思統一の必要性

・エリア1~4の目標植生は潜在自然植生としているが、おおよそいつまで

に目標植生にするのか?プロジェクトの意志を決める必要がある。

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資料3

赤谷プロジェクト 試験地設定の基本方針

(21 年度第 5 回WG、前回WG資料の振り返り+補足)

■設定の目的 本来あるべき森林に誘導するための、人工林管理手法の技術と仕組みの開発

→生物多様性復元のための森林施業を赤谷全域に展開する前のやり方を定め

る。

■赤谷プロジェクトにおける試験地とは? (1)施業技術のモデルとなるため、反復回数・調査頻度・検証項目などに、

科学的厳密さを確保した試験地

(2)「全域が試験地的取扱い」という観点から、実験的施業を積極的に実施、

反復回数・検証項目などを簡素化した試験地

■試験区配置の考慮事項 ・対象エリア:自然林に誘導するエリア②~④が対象。⑤⑥でも可。エリア①

は除外(方法が確立した後実施)。

・樹種 :スギを主。カラマツは林床のササとセットの場合に考える。

・潜在植生 :ブナ・ミズナラ、クリ・コナラ、渓畔林の3タイプ。

・保安林規制:保安林の「指定施業要件」中の、「植栽義務」の有無がポイント

・アクセス :林道近くがよい

・面積 :小班面積が大きい方がよい(同一条件下で複数の施業実験可)

・自然林までの距離

・人工林履歴(一代目・二代目)

・混交率

主伐、間伐、除伐ごとに分けて実施

・林齢: 標準伐期齢=スギ・アカマツ 35 年、カラマツ・ヒノキ 40 年

※主伐は、通常 50 年生以上(スギ)で実施

・施業方法 :群状(20×20m2、100×100m2)、帯状(20m 幅、40m 幅)、列状間

(2 伐 4 残など)、無施業区(対照区)、シカ対策の柵設置

潜在植生×自然林からの距離×履歴で整理した上で、優先順位を検討(図表2)

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■実験結果の評価方法および成果の反映のさせ方<案>

5年後に立地条件ごとの施業方針を決定できる実験計画 →実験は来年度実行

する必要

※評価、計画への反映方法は、達古武と同様の手法を選択

<参考>釧路における自然再生事業における調査結果を森林計画へ反映させるための考

えた方(釧路自然環境事務所 2006)

→どこで、どの施業を実施すべきか

を決定

試験および検証スケジュール(5 年後の第五次森林計画への反映)

2010 年 施業前の調査区設置、事前調査実施(夏~秋)

2011 年 施業実施

2011~2014 年 追跡調査実施(夏~秋)

2014 年 試験結果の評価

(成林可能な実生密度、生物多様性復元に寄与する実験区の抽出)

2015年 第五次森林計画への反映

2011 年前後に調査・伐採が集中するため、労力分散のため、2012~2015 年に伐

採試験を行う可能性も考える?

評価基準

①生物多様性復元の目標・指標は?(達古武では森林性ほ乳類、鳥類、昆虫を

調査)

②広葉樹林への誘導の目標は?(成林可能な実生密度;5 年後 3000 本/ha など)

成果を

計画へ

反映

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■試験地選定の進め方

1)行うべき実験を整理し、2)その中で優先順位付けを行い、3)現有体制

でできる努力量を加味して、試験地を選定する

※すべての実験を実行できないため、実験条件を絞り込む必要あり

1)行うべき実験の整理~生物多様性復元(広葉樹林化)に有効な施業方法は何

か?~

目的:①広葉樹林化が容易と予想される場所(自然林から近い)と、②困難と

予想される場所(自然林から遠い)における更新技術開発試験<長池>

試験① 広葉樹林化が容易と思われる場所(人工林と自然林モザイク=自然

林に近い)

現状から将来像(自然林の連続帯)に向かうために必要な施業方法は何か?

・主伐:4つの伐採方法:皆伐、漸伐、択伐、伐採なし<長池>

・除伐:最も効率的な自然林誘導の方法としての植栽木伐採<酒井>247、

248 など

試験② 広葉樹林化が困難と思われる場所

(人工林の連続帯=自然林から遠い)

現状から将来像(モザイク→自然林の連続

帯)に向かうために必要な施業方法は何

か?(6つの伐採方法:皆伐、群状伐採2

パターン、群状伐採+列状伐採2パターン、

伐採なし)<長池>

試験③ 水辺林<長池>

林分の現況に応じて「水辺林管理の手引き」

に基づく実験(小面積皆伐など)

試験④ 生物多様性復元に貢献する間伐方法

試験①~③の立地に応じた間伐方法 →

・間伐頻度:10年に1度、5年に1度など

・列幅:1伐2残、2伐4残など

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・どこで: 潜在植生×自然林からの距離×履歴で整理(図表2)

→施業方法の絞り込み(群状(20×20m2、100×100m2)、帯状(20m 幅、40m 幅)、

柵)

2)優先順位付け<案>(図表1⑤)

1.生物多様性保全上重要な地域(水辺林) → 試験③

2.広葉樹林化が困難な場所かつ面積の大きい条件 → 試験②

3.広葉樹林化が容易と予想される場所 → 試験①

※ 試験④の間伐は必要に応じて実施

3)現有体制(委託事業)で実行可能な努

力量

10×10m2 方形区:昨年同様の長池調査チ

ーム→約 100 地点

●方法<案>

・実験区配置方法として、1つの伐採方法につき4反復設定が理想。1つは詳細調査、

3つは通常調査区として実施。

詳細調査区:毎年調査、各個体にマークして追跡調査

通常調査区:1,4年後、高木性樹種の本数カウントのみ実施

※ 調査区は基本的に 10×10m

例:1伐採に対して、4 反復×4 地点=16 地点

6 コの伐採処理:6 伐採処理×16=96 地点

※通常調査区は、詳細調査区の1/3の労力と仮定すると、2倍の量がこなせ

る。

→ 約 12 コの伐採処理の調査が可能か(1 調査区について3~4の伐採処理

を行うとすれば、約 4 地点の試験地が実行可能?

● →現地検討で確認すべき事項

※実行体制について

サポーターや地域住民が親しみながら調査に参加する仕組みも必要(長池)

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図表2

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(32)

附属資料7

赤谷プロジェクト 2010年度植生ワーキンググループ会議(現地検討会)

日時 :2010年6月20-21日 (赤谷プロジェクトエリア)

出席者 :亀山章(座長、NACS-J 専務理事)、長島成和 1(日本森林技術協会)、

土屋俊幸 1(東京農工大学)、長池卓男 1(山梨県森林総合研究所)、酒

井武(森林総合研究所)、松井睦子(赤谷プロジェクト地域協議会)、

石澤尚史・齋藤哲・高平健二・武居邦広・山本道裕(関東森林管理局)、

山崎隆治(沼田署)、内山 2(森林官)、鈴木綾子 1・藤代和成(赤谷セ

ンター)、田米開隆男 2(赤谷サポーター)、藤田卓・出島誠一(NACS-J)、

小川智也(東京農大:オブザーバー)

※ 1:20 日のみ出席、2:21 日のみ出席

議題

(1)人工林を自然林へ誘導するための体系的な試験地設定の方針およびモニタリング

計画の検討

(2)水辺林管理の方法の検討

予定

6/20 10:00 いきもの村 集合(上毛高原駅 9:20 集合)

10:30~14:30 小出俣試験地候補(241 る(1 代目 49 年生)・れ・た(2 代目

36 年生))

15:00~16:00 茂倉間伐予定地(228 る 1(1代目 47 年生))

16:20~17:30 南ヶ谷試験地候補(247 に(2 代目 43 年生、水辺林))

18:00 いきもの村 解散

6/21 9:00 いきもの村 集合

9:30~13:00 南ヶ谷湿地周辺の人工林(水源のスギ林の間伐方法の検討)

14:00~15:30 いきもの村試験地候補(248 な・ら1(1 代目 55、65 年生、水

辺林))

16:00~16:30 茂倉右岸の人工林の視察

17:00 いきもの村 解散

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(33)

議事抄録

6 月 20 日

■小出俣試験地候補(241 た・る 1・れ 2・れ 1・る)

1.“241 た・る 1”を試験地とする。“241 れ 2・れ 1・る”

は今年度間伐(1 伐 2 残)を行う。

(241 た:若齢林のため、林業的に成り立たないため、避

ける方がよい(藤代)という意見もあったが、潜在自

然植生への復元が難しい林分でかつ面積が大きい場所

は、ここしかないため、“241 た”で実験を行う(長池・

長島・酒井・亀山)こととした)

2.“241 た・る 1”に隣接したカラマツ-広葉樹混交林“241 よ 2” 241 る 1 北部“は、

カラマツの抜き伐り試験を行うことも可能(高平)。

3.241 た北部1代目スギ林:並木植えのスギ林。広葉樹が多数侵入しているので、自

然林へ戻しやすいだろう。植栽木伐採による自然林回復実験も可能。

※1 241 る 1 南部1代目のスギ林:実生が少なく、復元が難しい可能性がある。

※2 241 た南部2代目スギ林:重力散布種子の実生はほとんどなく更新が難しいが、そ

の他の広葉樹実生があるので、更新は可能かもしれない。

■南ヶ谷試験地候補(247 に)

1.北部の水辺林(黄色□)は、周囲の水辺を荒らさ

ないよう伐採(山側に木を倒すなど)、試験地を設

ける(水辺林を回復すべき人工林の立地は様々なパ

ターンがありえるので、今後パターン毎の施業方針

を作ることが望ましい)

2.他のエリアは、人工林を維持する場所であ

るため、自然林に復元する試験を行わない。

6 月 21 日

■南ヶ谷湿地周辺の人工林

1.水源の人工林”248 る 2”について、スギが

過密なので、間伐した方がよいが、湿地の湧

水に悪影響を与えないよう細心の注意を払

って間伐を行う。

2.”湿地の水源保全エリア”内は自然林に誘導

する。このエリア内の若齢 17・19 年生スギ

林(248 わ・ち 3・ち 6)は、速やかに自然

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林へ誘導するために、植栽木(スギ)を伐採する”除伐2類”を用いる。除伐2類

は 20 年生までなので、早急に除伐を実行する必要がある。

3.湿地生態系保全のための動物防護柵の設置は、専門家による現地ヒアリングを実

施・対策について意見集約し、事務局が動物摂食対策をとりまとめ、モニタリング

委員へ確認。7 月末までに対策方法を決定する(柵設置のデメリットが大きい場合、

柵は設置せずモニタリングを優先することもありえる)。

4.湿地の今後の取り扱いについては、湿地生態系に関する専門家(中井委員、両生類・

植生の専門家)からなる”南ヶ谷WG<仮称>”で決定する

■桜沢林道と茂倉右岸の人工林の取り扱い

1.署としては、茂倉右岸の人工林を伐るため、桜沢林道を計画している。以前から話

している橋を作る案を考えている。腹案として、橋ではなく、5号ダム下まで作っ

たモノレール跡地を使ってモノレールを設置、右岸にもモノレールを設置し、後は、

作業道などを作るという方策も考えている(山崎)。

2.まずは、茂倉沢やその周辺部を含めた流域の将来像をはっきりさせ、そのために必

要な施業・林道を考える必要がある(田米開)。

■茂倉の間伐予定地(228 る 1)

1.急傾斜地であり、ダム撤去を行った茂倉2号ダム~保全工の間にある。沢近くの部

分は水辺林であるが、沢に土砂を出さないような伐採を行うのが望ましい。6/20 日

前日の検討では斜面方向の列状間伐はやらないというWGの見解を出した。

2.しかし、21 日に改めて検討したところ、モノレール設置のため、昨年斜面方向に

列で伐採した場所では、土砂が流れる兆候は認められない。森林にとっても、クマ

タカの狩り場環境確保のためにも、間伐は実行した方がよい。伐採によって沢に土

砂がでないよう伐採方法を慎重に検討し、今年度間伐するかどうか、最終的に署が

調整し、次回植生WGで報告する。

■ムタコ沢(219 か 1・217 へ 5)

1.ムタコの日などを通じて、地域の方々と水辺林再生のための活動(若齢の

カラマツ林の間伐やヤマハンノキ林の間伐など)に使うのが望ましい(亀山)。

2.“219 か 1”の若齢カラマツ林の台地は、送電線工事の際の残土によって人

為的に作られたため、自然の推移に任せるだけでなく、水辺林再生など、地

元の活動に利用することも可能。

■分収育林(223 は 1)

1.看板の文案を 6/28 次回植生WGにて話し合う(亀山)。