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が支える豊かな「あいち」 をめざして~ 食 と 緑 の レ ポ ー ト’15 -平成26年度の取組報告- 平成 28 年3月

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Page 1: 食 と 緑 の レ ポ ー ト’15 - Aichi Prefecture · ちネットワーク会員(9業者)がそれぞれ持参した自社商 品の説明を行い、試食会を行いました。

~食と緑が支える豊かな「あいち」をめざして~

食 と 緑 の レ ポ ー ト’15 -平成26年度の取組報告-

平成 28 年3月

Page 2: 食 と 緑 の レ ポ ー ト’15 - Aichi Prefecture · ちネットワーク会員(9業者)がそれぞれ持参した自社商 品の説明を行い、試食会を行いました。

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目 次

Ⅰ 食と緑のレポート作成の趣旨 1

Ⅱ 食と緑の基本計画2015の施策体系 2

Ⅲ 重点的取組について 3

Ⅳ 県民が主体となった取組について 21

Ⅴ 次期「食と緑の基本計画」について 27

Ⅵ 愛知県の農林水産業あれこれ 28

本書は、食と緑が支える県民の豊かな暮らしづくり条例第7条に基づき平成23年5月に策定した「食と緑の基本計画2015」に定められた各推進項目に基づく具体的な施策や事業の平成26年度の取組状況に関する報告を行うものです。

なお、“食” と“緑” ということばが持つイメージは、人によってさまざまですが、「食と緑の基本計画2015」の中では、“食” は食べ物や食生活などを、“緑” は森林、農地及び木材や花など森林や農地で生産される物などを象徴することばとして使っています。

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Ⅰ 食と緑のレポート作成の趣旨

愛知県では、平成 16 年4月1日に「食と緑が支える県民の豊かな暮らしづくり

条例」(以下「条例」という。)を施行しました。条例では、①将来にわたって安全

で良質な食料等の安定的な供給が確保され、かつ、その適切な消費及び利用が行わ

れること、②将来にわたって森林等の有する多面的機能が適切かつ十分に発揮され

ることにより、安全で良好な県民の生活環境が確保されること、を基本理念として

おり、県はこの基本理念にのっとり、食と緑が支える県民の豊かな暮らしづくりに

関する総合的な施策を策定し、実施していく責務があります。

そのため、県は、条例に掲げた基本理念の実現に向けて取り組む基本的な方針と

して、平成 23 年5月に「食と緑の基本計画2015」(以下「基本計画」という。)

を策定しました。

基本計画では、「生産」、「消費」、「生活環境」の視点から、めざす3つの姿を掲げ、

それらをバランス良く発展させることで、「食と緑が支える豊かな暮らし」の実現を

図ることとしております。

このレポートは、基本計画に掲げためざす 3 つの姿に位置づけた重点的取組の状

況などを明らかにし、今後の取組の参考とするための資料として、平成 26 年度の

取組事例を中心に取りまとめたものです。

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Ⅱ 食と緑の基本計画2015の施策体系

基本計画では、めざす3つの姿を施策の柱に位置付け、その実現に向けた県の取

組、あるいは県と県民の協働・連携による取組をそれぞれの柱のもとに体系化して

います。

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Ⅲ 重点的取組について

基本計画の施策体系のもとで推進する取組のうち、次の 17 の取組を重点的取組

として位置付けています。

1 施策の柱 安全で良質な農林水産物の生産と供給の確保

県産農林水産物の国際競争力の強化 2 「農林水産業国際競争力強化センター」を設置して、高品質な県産農林水産物の海外へのPRや販路開拓

に取り組むとともに、そうした取組を担う人材を育成し、「あいちブランド」の確立を図ります。

「生産者と消費者の思いを伝える農林水産業」のモデル的取組の創出 1 消費者の農林水産物に対する“思い”(=ニーズ)に応える商品等の生産と、そうした商品等に込められ

た生産者の“思い”(=こだわり、セールスポイント)を消費者にわかりやすく伝える取組を推進します。

意欲ある多様な担い手の育成・確保 3

耕作放棄地の再生 4

農業生産基盤整備の推進 5

産・学・官の連携による農業先端技術開発の推進 6

県産木材の生産コストの削減 7

生産力を高める干潟・浅場の造成 8

水産資源の管理・回復の推進 9

産業としての農業を担う基幹経営体を育成します。また、「農起業支援センター」を設置し、企業やNPOなども含めた農外からの新規参入者への相談・支援を実施します。

担い手への農地の利用集積や、和牛放牧、市民農園などの多様な形態の農地利用を組み合わせ、農用地区域を中心に耕作放棄地の再生を推進します。

大学が持つ優れた人材や企業の開発力などを結集して、植物工場等の先端技術の開発を進め、農産物の高品質化や生産性の向上を図ります。

国際競争力のある足腰の強いあいちの農業を実現するため、その基礎となる農業生産基盤の整備を推進します。

森林施業地の取りまとめや高性能林業機械の活用などにより、低コストな林業技術の開発とその普及・定着を推進するとともに、産地~加工~供給の効率的な木材流通システムの構築に取り組みます。

魚介類の生育の場であるとともに、水質浄化能力を有する干潟・浅場を造成し、漁場生産力の向上と水環境の改善を図ります。

海・川の恵みである水産資源を持続的に利用するため、資源管理や種苗放流を推進します。

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2 施策の柱 県産農林水産物の適切な消費と利用の促進

農産物の生産段階における各工程の管理を適切に行うGAP手法や、加工段階における安全性を確保する「愛知県HACCP」の導入を推進します。

都市と農山漁村が近いという本県の特徴を活かし、農林漁業者と小学校が連携して、より多くの子どもたちが農林漁業を体験できる環境づくりを推進します。

本県の地産地消の取組である「いいともあいち運動」を強力に推進するとともに、農商工連携による新商品の開発などを進めます。また、学校給食等への県産農林水産物の利用拡大を図ります。

「あいち木づかいプラン」に基づき、公共施設整備、公共工事及び木造住宅における県産木材の利用拡大を進めます。

3 施策の柱 自然災害から守られ、緑と水に恵まれた生活環境の確保

森と緑の持つ公益的な機能を発揮させるため、「あいち森と緑づくり税」を活用して、森林、里山林、都市の緑の整備・保全を進めます。

「あいち森と緑づくり事業」の推進 14

COP10を契機とした生物多様性に対する県民の意識の高まりを活かし、里地・里山・里海などにおける県民参加型の環境保全活動を促進します。

生物多様性を保全する活動の推進 15

県土の礎である農地や森林、周辺集落を地震や洪水などの自然災害から守るため、ため池、排水機場、治山施設などの整備を推進します。

災害に強い農地や森林の整備 16

化学肥料・化学合成農薬の適正使用やCO2排出量の削減などの取組とともに有機農業を推進し、農業生産に起因する環境負荷の軽減を図ります。

環境に配慮した農業の推進 17

小学校を対象とした農林漁業体験の充実 11

「いいともあいち運動」の拡大 12

「あいち木づかいプラン」による県産木材の利用拡大 13

食の安全・安心の確保 10

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【重点的取組の事例】

1 「生産者と消費者の思いを伝える農林水産業」のモデル的取組の創出

生産者と消費者の交流を通じた新商品開発や地場産品の販売促進

~いいともあいち地域サロンの取組~

県内7地域において、「いいともあいち地域サロン」を開催し、生産者と消費者の交流等を通じた「思いを伝える」取組を実施しました。

このうち、尾張地域では 26 年 11 月に、生産者、農業関係団体、製造業者、商工関係団体と消費者が参加した交流会を開催し、生産者等の取組紹介や、出展されたジャム、アイスクリーム、シフォンケーキ、漬物の試食と意見交換を行いました。また、試食品のアンケートを実施し、その結果を出展者にフィードバックして、その後の加工品の改善につなげています。

豊田加茂地域では 26 年9月に、名古屋学院大学の秋山浩一教授から、農業者(生産者)が成功する商品開発のポイントについて講演いただくとともに、パネルディスカッションで、JAあいち豊田の熊谷実氏から新「とよた茶」について、(株)どんぐりの里いなぶの高木田栄一氏から「茶べりんだんご」について、それぞれ開発の経緯を発表していただき、売れる商品づくりのノウハウに関して消費者と意見交換を行いました。また、交流会では、いいともあいちネットワーク会員(9業者)がそれぞれ持参した自社商品の説明を行い、試食会を行いました。

東三河地域では 26 年6月に、いいともあいちネットワーク会員有志 28 会員による「第1回いいともあいちフェア即売会 in 東三河」を開催しました。うずら卵を使った大判焼きやプリン、蒲郡で水揚げされたメヒカリの唐揚げ、田原産のキャベツと豚肉を使った餃子など、県産農林水産物や加工品を販売し、会員と消費者が直接触れ合い、商品の良さを伝えるよい機会となりました。

6次産業化・地産地消ビジネスフェアの開催

農林漁業者や食品製造事業者などが、県産農林水産物やその加工品を展示し、流通関係者等との商談や参加者相互の情報交換を行い、新商品の開発や新たな販路の開拓に取り組む「6次産業化・地産地消ビジネスフェア」を開催しました。

フェアには、72 の企業・団体が出展し、506 名の参加者でにぎわいました。また、11 企業が自社の取組や商品の紹介を行うプレゼンテーションを行いました。

フェアの開催に当たっては、事前に出展者と参加者に商談先の意向を聞き、その情報を提供しており、各ブースにおいて、熱心に情報交換や商談が行われました。

開 催 日 平成 27 年2月2日(月) 開催場所 アイリス愛知(名古屋市中区)

地産地消の加工品(尾張地域)

交流会の様子(豊田加茂地域)

即売会の様子(東三河地域)

会場の様子

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2 県産農林水産物の国際競争力の強化

「愛知フェア in タイ・バンコク」の開催

県産農林水産物及びその加工食品の輸出を促進するため、24 年度の上海、25 年度の香港に引き続き、新たな市場として有望なタイ・バンコクにおいて、販売促進会と商談会を行う「愛知フェア in タイ・バンコク」を開催しました。

販売促進会では、特に柿、桃、メロン、抹茶製品の人気が高く、目標とした販売額を大きく上回り、商談会についても、多くの現地バイヤーが参加し、出展者との間で活発な商談が行われるなど盛況でした。

開催日 平成 26年9月 5 日(金)~9月 14 日(日)(10 日間) 場 所 サイアム・パラゴン 売 上 約 450 万円

農林水産物等輸出促進セミナーの開催

県産農林水産物等の輸出を促進するため、「あいち・じもと農林漁業応援ファンド」の出資企業である(株)名古屋銀行と共催で、輸出のノウハウを学ぶ「農林水産物等輸出促進セミナー」を開催し、輸出を目指す 1 次、2 次、3 次産業者及び食品関連バイヤーなどが参加しました。

26年9月に開催した「愛知フェア in タイ・バンコク」の成果報告や、食料品の輸出拡大セミナー、海外輸出促進パネルディスカッションなどを行い、来場者らは熱心に聞き入っていました。

開催日 平成 27年 2 月2日(月) 場 所 アイリス愛知(名古屋市中区) 参加者 約 120 名

知事によるトップセールス

(販売促進会) 現地バイヤーとの商談会

パネルディスカッションの様子

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あいちひめこらぼ起業研修会

3 意欲ある多様な担い手の育成・確保

産地の就農支援研修受講者が次々に就農・援農

県内には、産地の関係者が連携して新規参入を支援する取組が見られます。 全国第3位のレンコン産地である愛西市では、24 年度に生産者団体、JA、市、県が

連携して「レンコン道場」を開設しており、26 年度には2年間の研修の修了者が、レンコン経営を開始しました。

豊田市では、豊田市とJAあいち豊田が共同で開設した豊田市農ライフ創生センターが 10 周年を迎え、担い手づくりコースの修了生は 26 年度までの累計で 464 名にのぼり、そのうち 370 名が就農しています。

新城市作手地区では、生産者団体、JA、農林業公社しんしろ、市、県が連携して、新規参入者の受け入れを支援しており、25 年度から研修を開始した4名が、26 年度に経営を開始しました。

小牧市・春日井市では、JAや関係機関が連携し、25年度から一般市民を対象としたモモ栽培サポーター養成講座を開講しており、26 年度には講座修了者9名によりモモ栽培農家の支援組織「モモ栽培サポータークラブ」が結成されました。

農林漁業就職フェアの開催

「農林漁業に就職したい」という人と農林漁業関係事業所とのマッチングを図るため、愛知労働局や農林漁業関係団体と連携して農林漁業就職フェアを開催しました。

フェアでは、20の事業所との就職面接会を始め、農林漁業団体による個別相談や農林漁業の現状などの情報を提供するガイダンスを実施しました。

求職者に対して行ったアンケート調査では、就職フェアの印象について「大変よかった」が 57%を占めるなど好評でした。

開催日 平成 26年8月 20 日(水) 場 所 ウィンクあいち(名古屋市中村区) 来場者 122 名

女性農業者の育成

働く場における女性の「定着」と「活躍」の場の拡大に向け、以下の3つの事業に取り組みました。 ■若手女性農業者育成事業

出産・子育て期の女性農業者が農業への関心を高め、早期に農業経営に参画するために、農業経営や農家生活に関する知識・技術を習得する「ヤングミセスセミナー」を開催しました。(県内 8 か所・延べ 24 回) ■方針決定の場で活躍できる女性農業者育成事業

女性農業者が公的機関・団体等の方針決定の場へ参画し、農業者・生活者の視点で貢献できるよう、人材育成セミナー及び「市町村幹部、農協組合長、農業委員会会長、先輩女性農業委員等との懇談会」を開催しました。(県内 3 か所) ■女性起業家確保・育成事業

起業活動を行っている女性農業者 64 名を対象に「あいちひめこらぼ起業研修会」を開催し、「農業者による商品開発のポイント」の講話や、現在販売している商品の改良について検討するワークショップなどを行いました。

会場の様子

モモ栽培サポータークラブによる作業風景

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4 耕作放棄地の再生

耕作放棄地再生利用緊急対策を活用した農地の再生

耕作放棄地の解消を推進するため、県内各地で国の耕作放棄地再生利用緊急対策を活用して、様々な取組が行われています。

26年度は、8市町、4.27ha の耕作放棄地が解消されました。 ■豊田市の事例

なのはな農園(株)は、再生した農地でナタネを栽培して菜種油の販売し、搾りかすの肥料利用による資源循環を目指すとともに、菜の花による景観改善に取り組んでいます。

■新城市の事例 長年に渡り耕作放棄されていた農地を近隣農家が再生し、愛知県一の生産量である煎

茶を栽培しています。

農地中間管理事業がスタート

公的機関である公益財団法人愛知県農業振興基金が「農地中間管理機構」として、市町村や農業協同組合、農業委員会などの協力により農地の貸し借りを仲介し、農業経営の規模拡大を進める農地中間管理事業が26年度からスタートしました。

【26年度実績】 1 説明会の開催

167 回 (参加者延べ 5,440 人)

2 農地の貸し借りの公募 50 市町村 (6月、9月、1月)

3 公募結果 ・借受申込者 625 人

(希望面積 11,742ha) ・貸出申込者 196 人

(希望面積 64.5ha)

再生前 再生後 再生中

再生前 再生後

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5 農業生産基盤整備の推進

水田の大区画化による生産性の向上

競争力のある足腰の強い農業を実現するには、農地の区画を大きくし、農業を支える担い手農家へ農地を集積する必要があります。豊田市の中田地区では経営体育成基盤整備事業を実施し、水田の区画を大きくする工事を行いました。

この事業により、大型機械を使った効率の良い農作業が可能となり、担い手農家への農地の集積が進み、生産性の向上が図られます。

○事 業 名 経営体育成基盤整備事業「中田地区」 ○受益面積 39ha ○事業工期 平成22年度~平成28年度 ○事業内容 水田の大区画化(区画整理39ha)

用水施設の更新による安定した水供給

本県では、古くから農業用水の整備を進めた結果、基幹的水路密度は全国1位となっており、本県の農業を支えてきましたが、近年、用水施設の老朽化が著しく、漏水補修に伴う維持管理費の増大が営農に支障をきたしています。

そのため、豊田市の舞木乙部地区では畑地帯総合土地改良事業を実施し、用水施設の更新を行いました。

○事 業 名 畑地帯総合土地改良事業「舞木乙部地区」 ○受益面積 44ha ○事業工期 平成22年度~平成28年度 ○事業内容 農業用用水施設の更新(管水路L=13.1km、揚水ポンプ 1 か所)

整備前

(畦畔で細かく仕切られていました)

整備後

(大区画になりました)

揚水機場(豊田市)

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6 産・学・官の連携による農業先端技術開発の推進

携帯端末を利用した施設園芸のモニタリングシステム「あぐりログ」の開発

施設園芸において、精密な栽培管理を行うためには、施設内環境を正確に測定して制御することが必要となります。

このため、施設内の温度、湿度、CO2 濃度のデータをインターネット経由で簡単にモニタリングできるシステムをITメーカー等と共同で開発しました。

このシステムは安価で携帯端末でも施設内環境が確認できるため、常時どこでも栽培施設環境の状態が把握できます (日本オペレーター(株)、(株)ファルコン、(株)IT工房Zとの共同研究)

施設園芸における環境制御技術の研究開発

近年、施設園芸においては収量・品質を向上させるため、CO2 施用やミストによる冷房など環境制御技術に対する関心が高まっています。この環境制御をより効率的に行うため、温室の窓をできるだけ長く閉鎖してエネルギーやCO 2 等 の 利 用 効 率 を 上 げ る 半 閉 鎖 型 管 理 ( S C M :Semi-Closed Management)が提案され、現地での試行が始まっています。農業総合試験場では、国の研究機関等と共同でSCMにおける統合型環境制御技術を確立するため、ミスト噴霧などによる高温対策技術、ヒートポンプ夜冷やCO2 局所施用等による収量・品質向上技術の研究を進めています。 (トヨハシ種苗(株)、(独)農研機構野菜茶業研究所との共同研究)

トヨタ自動車(株)が農業IT管理ツールを開発

トヨタ自動車(株)は、米生産農業法人向けの農業IT管理ツール「豊作計画」を開発し、26 年4月にプレスリリースを行いました。

このシステムは、同社の生産管理手法や工程改善ノウハウを農業分野に応用し、(有)鍋八農産(弥富市)と共同で開発されたものです。

そこで、農業総合試験場では、県内農業者等を対象に研究成果の発表や関連情報の提供を行う「実用化技術研究会」において、トヨタ自動車(株)の開発者を講師に招き、「豊作計画」に関する講演を行いました。

開催日 平成 26 年8月5日(火) 参加者 150 名

リアルタイムで施設環境を

モニタリング

バラ栽培で高度環境制御

実用化技術研究会の様子

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7 県産木材の生産コストの削減

木材生産コスト削減のための施業集約化の促進

本県では、16年度から高密度な簡易作業路の設置と高性能林業機械の活用等により、木材生産の効率化を図る低コスト木材生産システムの普及・定着に取り組み、木材生産コストの削減に一定の成果をあげてきました。しかし、本県の森林は小規模・分散的な所有構造であり、施業実施には、複数の所有者の森林をまとめる集約化が不可欠な状況です。

このため、施業集約化に有効な手段である「森林経営計画」の策定促進に取り組みました。

具体的には、計画策定者である森林組合等の林業事業体に対し、森林経営計画の制度や有効性の説明会を開催しました。また、市町村の協力も得て、地元説明会を開催し、森林所有者へ計画制度を説明し、理解を求めました。さらに、集約化に不可欠な森林境界の確認作業に立ち会うなどの支援を行いました。

森林資源循環システム構築モデル施業の取組開始 本県では、人工林(民有林)の 78%が主伐の対象となる 10 齢級以上(46 年生以上)

と、資源の成熟が進んでいます。森林資源の有効利用や、「森林の若返り」による地球温暖化防止機能の向上などを図る観点から、成熟した人工林を伐採・利用するとともに、跡地で再造林を行う「伐る・使う→植える→育てる」の森林資源の循環が求められています。

一方で、木材価格の低迷、ニホンジカなどによる植栽木の獣害の懸念から、伐って植えるというサイクルの実施が困難な状況にあります。

そこで、木材生産のみならず、植栽・保育まで含めたトータルコストの削減をめざして、森林所有者と森林組合が施業管理委託契約を結び、「木材の生産・販売」、「跡地に獣害対策を施し植栽」、「植栽後、下刈り等の保育施業を適期に実施し 20 年間管理」を行う「森林資源循環システムモデル施業」の取組を開始しました。

8 生産力を高める干潟・浅場の造成

生産力を高める干潟・浅場の造成

三河湾では、水質等の環境悪化に伴い、赤潮や貧酸素水塊が発生し、漁業生産に悪影響を及ぼしています。このため、アサリを始めとした魚介類の生育の場であり、水質浄化機能を有する干潟・浅場を造成し、水質や底質の環境と漁場生産力の改善を行っています。

26 年度は、約 35,000m3の砂を使って 4.8ha の干潟・浅場を造成しました。(西尾市港町地先:3.8ha、田原市伊川津地先:1.0ha)

なお、造成には、矢作川及び境川の治水工事で発生する河川砂を有効利用しました。 造成材(砂)の投入状況

地元説明会の様子

現地研修会の様子

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くるまえびの放流 くるまえびの種苗

9 水産資源の管理・回復の推進

種苗放流による水産資源の持続的利用

栽培漁業センターでは 8 魚種(くろだい、とらふぐ、がざみ、くるまえび、よしえび、あわび、なまこ、あゆ)の種苗 計 2,873 万尾(個)を生産し、漁業者によって生育場である伊勢湾・三河湾の干潟・浅場や河川などに放流されました。

種苗の放流は、水産資源が海況条件によって大きく変動して減少した時に、水産資源を底支えする役割を担っており、水産資源の持続的利用と水産物の安定供給に役立っています。

シラスの資源管理の取組

本県は全国有数のシラス(主にカタクチイワシの稚魚)の産地で、25年の漁獲量は 6,299tで全国3 位でした。

シラスは本県水産業にとって大変重要な魚種ですが、その漁獲量は愛知県海域に来遊する資源量によって大きく左右され、さらに近年はシラスの親であるカタクチイワシの資源量が全国的に減少傾向にあるため、資源管理の重要性が高まっています。このため愛知県では、23 年に漁業者が資源管理計画を策定して資源管理に努めています。

26年度も、資源の持続的な利用を図るため、漁業者の取り組みとして定期的な休漁や操業時間の短縮が実施されました。

今後もシラスの安定した水揚げを確保するため、こうした取組を続けていきます。

シラスの天日干し

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手洗い教室の様子 ブラックライトに反応するローション

を塗り、手洗い後、ブラックライトを

当てて洗い残しを確認

10 食の安全・安心の確保

飼養衛生管理基準遵守状況の確認調査を実施

我が国の近隣諸国においては、現在も散発的に口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザが発生しており、これら伝染病のウイルスが海外から我が国へ侵入する恐れがあるため、警戒が必要な状況が続いています。また、全国的な流行が見られた豚流行性下痢の衛生対策としても、飼養衛生管理基準(※)の指導、徹底が重要です。

そのため、県では県内の偶蹄類家畜(牛・豚等)、家きん(鶏・うずら等)を飼養する農場 1,292 農場を対象に、家畜保健衛生所職員が立入検査を行い、飼養衛生管理基準の遵守状況を確認するとともに、不備が認められる箇所を改善指導しました。

※飼養衛生管理基準

22 年度の口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザの発生を契機に、家畜伝染性疾病発生予防の観点から、家畜伝染病予防法に基づき定められた畜産農家が家畜の飼養に際し守るべき基準のこと。

現地見学型リスクコミュニケーションの開催

県民の皆様に食に関する正しい知識と食の安全・安心への取組について知っていただくため、食品の製造工程を見学していただいた後、消費者、食品事業者、行政の三者で意見交換を実施する、現地見学型リスクコミュニケーションを平成 21 年度から毎年開催しており、26 年度は、2回開催しました。

参加者からは「 後は、人間の目できちんと検査されているので安全で作られているのがわかりました。」「しっかり努力していることがわかりました。安心して買い物ができると思いました。」などの意見をいただきました。

■見て!聞いて!!安全でおいしい飲みものができるまで

開催日 平成 26 年8月 13 日(水) 場 所 コカ・コーライーストジャパンプロダクツ(株)東海工場 参加者 親子 10 組 23 名

■見て!聞いて!!安全でおいしい食べものが届くまで 開催日 平成 26 年 11 月5日(水) 場 所 イオンリテール(株)イオン東浦店 参加者 15 名

産学行政による食の検査技術のイノベーション

~「知の拠点あいち」重点研究プロジェクト~

大学等の技術シーズを企業の製品化・事業化につなげるため、産学行政の研究者による共同研究開発を実施しています。

その共同研究開発のテーマの1つとして、「食の安心・安全技術開発プロジェクト」を実施しており、食品や農産物の「残留農薬」、金属、毛髪、プラスチック等の「異物」、「食中毒菌」を簡単・迅速・高精度に検出する装置を開発しています。

26 年度には、食品開発展 2014 を開催し、プロジェクトの概要やこれまでに得られた成果を紹介しました。

立入検査で基準の

遵守状況を確認

食品内部画像検査装置

(提供:豊橋技術科学大学 福田研究室)

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間伐体験

水産物に直接触れる体験

稲刈り体験

収穫体験

111111 小学校を対象とした農林漁業体験の充実

JAによる年間を通じた小学校での農業体験学習の取組

JA西三河では、地域の農業者の協力を得て、小学5年生の米作り体験を実施しています。

26 年度は、管内の小学校 16 校を対象に、地域農業指導者の協力のもと、田植え、かかしづくり、稲刈り、収穫祭と年間を通して米作りの農業体験授業を行いました。

子どもたちは、毎日食べているお米が食卓に届くまでに、多くの人々の手間がかかることを知り、感謝して残さずご飯をいただくことの大切さを学びました。

生誕 100 周年 地元特産物「次郎柿」の栽培体験

26 年は豊橋で初めて次郎柿が実ってから、ちょうど100 年の節目の年です。豊橋市中野小学校では、5 年生76 人が地元特産物である次郎柿について理解を深めるため、石巻小野田町の柿園(鈴木義弘さん代表)を訪れ、5月には摘果作業を、10 月には収穫体験を行ったり、学校で鉢植えの柿を育てたりしながら、次郎柿の栽培について学びました。

間伐体験で森林・林業への理解を深める

岡崎市内の小学6年生40人が森林について学ぶため、宮崎財産区有林内で間伐作業を体験しました。

額田林業クラブの会員6名が指導者となり、ロープ結び、伐倒、ロープ引き、枝払い、搬出、皮むきの一連の作業の手本を示しながら、児童たちにわかりやすく教えていました。作業の合間に森林の機能や手入れの大切さ等の解説もあり、児童たちは真剣に話を聞き、森林への理解が進んだ様子でした。

また、児童たちは伐倒した木を輪切りにし、年輪を数えたり、においをかいだり、五感を使って、楽しみながら木に親しんでいました。

「魚食の伝道師」を小学校に派遣

子どもたちに魚食の大切さや漁業のすばらしさ、役割などを伝える「魚食の伝道師派遣事業」を 24 年度から実施しています。

26 年度も「魚食の伝道師」として漁業者と県職員を、県内9か所の小学校の授業に派遣し、生きた魚の観察や直接触れての体験、本県で獲れる水産物や本県の漁業に関する授業を行い、子どもたちの漁業や水産物への理解促進を図りました。

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111222 「いいともあいち運動」の拡大

「あいちの農林水産フェア」の開催

全国有数の生産量を誇る愛知の農林水産業を広く紹介するとともに、生産者と消費者との交流を通じて、県民の農林水産業に対する理解促進を図るため、「あいちの農林水産フェア」を開催しました。

フェアには、50 の団体・企業が出展し、愛知が誇る農林水産物及びその加工品の紹介・販売が行われ、多くの来場者で賑わいました。

また、イートインコーナーでは、ガマゴリうどんや名古屋コーチン親子丼、離島3島の丼として、しらす海鮮丼(篠島)、めじろ(穴子)のせタコ飯(日間賀島)、大あさりフライ丼(佐久島)が出品され、カーネーションの無料配付や、各種の試食など、日替わりイベントも充実し、いずれの企画も大変好評でした。

来場者アンケートでは、97%の人から次回も来場したいとの回答がありました。

開催日 平成 26 年 11 月 13 日(木)~18 日(火) 場 所 丸栄(名古屋市中区) 来場者 31,394 名

いいともあいちネットワーク会員同士の連携による新商品開発

豊橋養鶉農協(ネットワーク会員・豊橋市)が、ネットワークを活用し、桝塚味噌蔵元の(資)野田味噌商店(ネットワーク会員・豊田市)に製造を依頼し、コラボ商品が完成しました。

新商品は、野田味噌商店が、とよた五平餅学会用に開発した味噌だれに、うずら卵を一日漬け込んで味付けしました。うずら卵を味噌に漬けたところ、卵が縮んで固くなってしまったため、軟らかい食感を残しつつ味付けすることに苦心し、開発に一年を要しました。

また、(株)セントラルファースト(ネットワーク会員・岡崎市)が土産用の化粧箱を作成し、東三河の新名物として販路拡大を目指しています。

この取組が評価され、26 年度優良ふるさと食品中央コンクールで見事、農林水産省食料産業局長賞を受賞しました。

いいともあいち運動シンボルマークの貼付促進

「いいともあいち運動」を広く県民の方々にアピールしていくため、いいともあいちネットワーク会員に対して、県産農林水産物を使った商品パッケージや梱包用の段ボール、包装紙などへ、運動のシンボルマークを貼付する取組を推進しました。

また、県の web ページ「いいともあいち情報広場」にシンボルマーク商品情報を掲載し、シンボルマークを表示した商品について、広く県民にPRしました。

26 年度は、県産小麦「きぬあかり」と県産あさりを使用したうどんや、県産とまとを使用したトマトピューレーなど、新たに 41 商品にシンボルマークが使用されました。

フェア会場の様子

新商品を手にした会員

いいともあいち

シンボルマーク

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平角材の曲げ強度試験

会場における木材利用の様子(左から展示用建具、ベンチ・テーブル、演台)会場における木材利用の様子(左から展示用建具、ベンチ・テーブル、演台) 木製の認定証

111333 「あいち木づかいプラン」による県産木材の利用拡大

公共施設での県産木材の利用

県自らが率先して県産木材の利用促進を図るために、15 年度から毎年度、県産木材利用の取組計画である「あいち木づかいプラン」を策定しています。

23 年度からは、本プランを「公共建築物等木材利用促進法」に基づく県の基本方針として位置付け、公共施設や公共工事で県産木材を利用するなどの取組を推進しています。

また、26 年度には、愛知県内の全ての市町村において、法に基づく市町村木材利用方針が策定され、県内各地で公共施設での県産木材の利用が着実に広がりをみせています。

「愛知県産木材利用の手引き」の作成

県産のスギ・ヒノキの強度性能を明らかにするため、森林・林業技術センターにおいて、実大梁・桁材の強度試験を行い、その結果を用いて基準強度を算出しました。

また、算出した基準強度をもとに、木造住宅において横架材の断面寸法を決定するための早見表、いわゆる「スパン表」を作成しました。さらに、あいち認証材製品のカタログを作成し、これらを合わせて「愛知県産材利用の手引き」としてまとめました。

これにより、住宅等での県産木材の利用の拡大を目指しています。

『ESD ユネスコ世界会議』において木材利用をPR

26 年 11 月 10 日(月)から 12 日(水)まで、名古屋国際会議場において開催された ESD ユネスコ世界会議において、県産木材が様々な形で利用され、持続可能な再生資源である木材の利用促進をPRすることができました。

なお、会議で使用した卓上プレートは、県産木材である「あいち認証材」を住宅等に利用した消費者に、その環境貢献度をわかりやすく「見える化」して交付している二酸化炭素貯蔵量認定証に再利用しました。

愛知県がんセンター愛知病院

地域緩和ケアセンター

道の駅「もっくる新城」

木の特性

を生かし

再利用

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■人工林の整備…9市町村 43 か所(1,248ha) ■里山林の整備…13 市町 39 か所

■都市の緑の整備・保全…40 市町

239 件

奥地林の間伐

上:間伐前

右:間伐後

公道沿いの間伐

上:間伐前

右:間伐後

竹の伐採体験 間伐体験

14 「あいち森と緑づくり事業」の推進

あいち森と緑づくりによる森林整備と都市の緑化

様々な働きで私たちの暮らしを支えている森や緑を、健全な状態で将来に引き継いでいくため、21 年4月から県民の皆様や企業の方々にご負担をいただく「あいち森と緑づくり税」を導入・活用して、人工林、里山林、都市の緑の整備・保全を進めています。

「森と緑づくり体感ツアー」の開催

森や緑の現状を県民の皆様に直接ご覧、ご体験いただき、森と緑づくりへの理解を一層深めていただくことを目的としたバスツアーを開催しました。

26 年度は、都市の緑体験コースと、森の緑体験コースの 2 コースに分かれ、それぞれお子様でも楽しめる内容としました。

開催日 平成 26 年 11 月 15 日(土)

【都市の緑体験コース(参加者 38 名)】 ●環境活動地の見学…善光寺山公園(犬山市)

●クラフト体験…大高緑地(名古屋市) ●竹の伐採体験…大高緑地(名古屋市)

【森の緑体験コース(参加者 31 名)】 ●里山林整備地の見学(豊田市) ●人工林見学(豊田市) ●間伐体験………愛知県昭和の森(豊田市)

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15 生物多様性を保全する活動の推進

「農地・水・環境のつどい」の開催

農業農村多面的機能支払事業では、農地法面の草刈りや水路の泥上げ、農道の補修など、農地等の地域資源の保全管理や、生態系保全、植栽活動などの農村環境保全の向上活動等に地域ぐるみで取り組んでいる活動組織を支援しています。

これらの取組に対する県民の理解を深め、活動の一層の普及を目指し、26 年度は、422 の組織が活動している中、他の組織の模範となる13 の組織に知事賞などの表彰を行いました。

開催日 平成 26 年 11 月3日(月) 場 所 安城市文化センター 参加者 約 500 名

農業水利施設の環境整備

ため池や用排水路などの農業水利施設の水辺空間を利活用し、景観や親水性、生態系に配慮した環境整備を推進しています。

水環境整備事業では、26 年度に15地区でため池や用排水路の環境整備を実施しました。整備された、せせらぎ水路や遊歩道は、地域の貴重な水辺空間、憩いの場として利用されています。

「海上の森」の保全と活用における多様な主体との協働

あいち海上の森センターでは、愛知万博の理念と成果を承継し発展させていくため、多様な主体と協働して、「海上の森」の保全と活用の取組を進めています。26 年度は、センターと NPO 団体、企業、学校等の団体が協働で畑仕事等の里の作業や間伐等の山の作業の体験等の取組を実施しました。

今後も、人と自然が共生する社会の実現を目指し、より多くの県民の皆様に森林・里山に関心を持っていただくための取組を進めていきます。

■体験学習の実施

内 容 里と森の教室、森の楽校、調査学習会等 参加者 延べ 2,346 人

■多様な主体との協働 内 容 海上の森の会等NPOとの協働

企業との連携(6社活動) 海上の森サポーターの登録

模範となる組織を表彰

企業連携(間伐)

せせらぎ水路(西尾市) 遊歩道(安城市)

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16 災害に強い農地や森林の整備

農業用ため池の耐震診断

今後想定される大規模地震に備え、防災重点ため池(決壊した場合に人家や重要な公共施設に影響を与えるおそれがあるため池)735 か所について、耐震診断をしています。

26 年度は、239 か所の耐震診断を行い、これまでに 565 か所の耐震診断を実施しました。

自然災害から農地や周辺集落を守る排水機場等の整備

農地や周辺集落を地震や洪水などの自然災害から守るため、ため池や排水機場等の整備を推進しています。

26 年度は、たん水防除事業や緊急農地防災事業により 37 か所の排水機場の整備を実施し、老朽ため池等整備事業や防災ダム事業、緊急農地防災事業により20 か所のため池について整備を実施しました。

防災重点ため池の耐震対策については、26 年度までに 39 か所のため池で対策を実施しました。

自然災害から暮らしを守る治山施設

森林の維持造成を通して、山地災害から県民の生命・財産を守るとともに、森林の持つ水源涵養等の公益的機能の向上を図ることを目的として治山事業を実施しています。

26 年度は、公共治山事業により 55 か所の治山施設等の整備を行い、また単県治山事業により、小規模な荒廃地の復旧及び荒廃のおそれのある林地の予防工事を 107か所で実施し、557ha の防災機能の向上を図りました。

耐震診断のための土質試料採取状況

保田ケ池(みよし市)

県民の安全を守る法枠工(南知多町)

大神場第一排水機場(弥富市)

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17 環境に配慮した農業の推進

堆肥の連用効果を利用した施肥量削減技術の開発

愛知県農業総合試験場では、連用した堆肥に含まれる養分を考慮して化学肥料を減らす野菜の栽培研究を行いました。その結果、施肥量を大幅に削減しても、野菜の収量は化学肥料だけで栽培した場合と同量以上を確保できました。

この技術を利用することにより、肥料コストを低減させるとともに地下水や河川の水質を保全することが可能であり、成果を農業者に広めてまいります。

CO2の排出量削減につながるヒートポンプの導入

燃油価格の高騰が続く中、国は 24 年度補正予算で「燃油価格高騰緊急対策」を開始しました。

この対策は、高騰する燃油価格そのものの価格補てんを行う「施設園芸セーフティネット構築事業」と、ヒートポンプなど燃油消費を抑える省エネ設備の導入を支援する「施設園芸省エネ設備リース導入支援事業」との2つからなる対策です。

本県では、JA愛知中央会、JAあいち経済連及び県を構成員とする「愛知県燃油高騰対策推進協議会」を設立し、積極的に事業推進を行った結果、26 年度の「施設園芸省エネ設備リース導入支援事業」の活用実績は全国1位となりました。

特に、省エネ効果が高く、CO2の排出量削減に大きく寄与するヒートポンプについては、65.5ha の園芸用施設に合計 2,045 台が導入されました。

飼料用稲の利活用推進

県内の飼料用稲の生産・利用は、20 年以降急速に各地域で拡大を続けています。飼料用稲を刈り取った後にサイレージ調製した稲発酵粗飼料は優良な自給粗飼料として注目されており、また、飼料用米は輸入トウモロコシの代替としての利用が期待されています。

そこで、飼料用稲のさらなる生産利用拡大に向け、関係者の意見交換、理解醸成の場とするため、農業総合試験場の「実用化技術研究会」と共催で「飼料用稲の利用」研修を開催しました。

受講者から「参考になった」、「大変参考になった」という回答が 86%あったことからも、この取組への高い関心が伺えます。

開催日 平成 26 年 11 月 14 日(金) 場 所 愛知県農業大学校 大講義室 参加者 農家・市町村・県職員関係者など 58 名 「飼料用稲の利用」研修の様子

ヒートポンプを利用した施設

キャベツ畑における堆肥の連用試験

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県内小学校における本県産花きを

使用した花育教室

生産者・事業者等の知事訪問

きぬあかりの

シンボルマーク

Ⅳ 県民が主体となった取組について

食と緑が支える豊かな暮らしの実現には、生産者だけではなく、県民一人ひとり

が農林水産業の恩恵を等しく受けている生活者であるということに気づいていただ

き、食と緑に関する取組をそれぞれの立場から進めていくことが必要です。ここで

は、基本計画において県民のみなさんに提案している「生産者と消費者の思いを伝

える農林水産業」と「農のある暮らし」の取組について紹介します。

「花いっぱい県民運動」の取組 【花の王国あいち県民運動実行委員会】

県と関係機関、花き団体で構成する「花の王国あいち県民運動実行委員会」は、昭和

37 年以来連続日本一である「花の王国あいち」を県民に PR して「あいちの花」を暮らしの中に取り入れていただくことを目的に「花いっぱい県民運動」に取り組んでいます。

花の王国あいちPR促進運動として、月ごとに「今月のあいちの花」を設定し、県内の主要な施設(県庁、セントレア、オアシス 21、名鉄金山駅、豊橋駅、主産地の市町村庁舎内)で装飾・展示しています。

また、花や緑にふれ、優しさや美しさを感じる気持ちを育む「花育」を推進するため、県内小学校 18 校を対象に花育教室を実施し、多くの生徒が花とのふれあいを楽しみました。

さらに、花以外のイベントにおいて「あいちの花」を活用して、「花の王国あいち」を幅広く県民に対してPRしました。

小麦新品種「きぬあかり」の普及推進に向けた取組 【小麦「きぬあかり」普及推進プロジェクトチーム】

行政、製粉・製麺関係団体、生産者関係団体等を構成員

とする『小麦「きぬあかり」普及推進プロジェクトチーム』を 25 年度に設置し、県農業総合試験場が開発した小麦新品種「きぬあかり」をあいちのブランドとして普及し、地産地消を進めています。

具体的な取組として、①「きぬあかり」シンボルマークの作成・活用、②WEBでの情報発信及びブースター(熱烈なファン)の募集、③PRグッズの作成・活用等を実施しました。

これらにより、製粉・製麺・麺類関係外食事業者等において「きぬあかり」を使用した新商品や新メニューが開発・販売されたほか、27 年3月末時点、商品やメニューの販売において、61 事業者等が「きぬあかり」シンボルマークを活用しています。

「生産者と消費者の思いを伝える農林水産業」

登録商標第 5667486 号

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せとまとくらぶ販売コーナー

瀬戸豚商品

「道の駅瀬戸しなの」における地元ブランド展開

【せとまとくらぶ、瀬戸豚養畜農家】

23 年3月にオープンした「道の駅瀬戸しなの」では、地元農業者が産地直売の活動を実施しています。

■「せとまとくらぶ」の活動

研究会「せとまとくらぶ」は、年間を通して直売所で人気の高いトマトに着目し、24 年 12 月に会員8名で発足しました。26 年度は年7回講師を招いて栽培管理を学んだり、各ほ場を巡回し意見交換を行う等、技術向上に努めたほか、「せとまとくらぶ販売コーナー」の設置や販売用シールの作成、規格外トマトのレストランでの活用等、様々な販売促進活動も行っています。 ■地元ブランドの開発及び消費者との交流

「瀬戸豚」は、地元の養豚農家が生産規模の拡大や衛生管理の充実を通して開発したブランドで、プレスハムやベーコン等の加工品を直売所で販売し好評を博しています。

26 年度には、さらに消費者に知ってもらうため「せともの祭」でも瀬戸豚のシュウマイを販売しました。

今後も様々な産品を開発するとともに、ホームページや「道の駅だより」による情報発信、軽トラ市やイベント開催による消費者との交流に力を入れていくこととしています。

産地直売施設を拠点とした6次産業化 【(有)小久井農場】

(有)小久井農場(岡崎市)では、生産部門(水稲、小麦、

大豆、野菜栽培)から、加工部門(味噌、米の精製)、25 年4月に開設した直売所を拠点とする販売部門まで、6次産業化に取り組んでいます。

その取組は幅広く、生産の基本となる土づくりから、地域の小中学校への農業体験の提供(26 年度は小学校5校・中学校5校)など、消費者の視点にたった「安全・安心でおいしい健康な作物」、「一度食べたら忘れられない味」を目指して活動を展開しています。

津島市・愛西市産いちごを使ったアイスクリームの開発 【JAあいち海部など】

JAあいち海部、星野科学㈱と栄養職員が連携して、地

元の特産物である「いちご」を活用した「ゆめのか苺アイスクリーム」を開発しました。

この取組は、地元生産者の「安全・安心で美味しいイチゴを生食のみならず、加工品としても全国の人に知ってもらいたい。さわやかな食味を地域の子供達に知ってもらいたい、食べてもらいたい。」という思いを実現し、地域の特産品のPRと知名度の向上、高付加価値化を図るため、アイスクリーム製作企業と協力して行ったものです。

26 年7月には、愛西市立北河田小学校において全児童が「ゆめのかアイスクリーム」の試食を行いました。

直売所

開発したアイスクリーム

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生産者による店頭での試食会

作成、配付された作業基準

加工直売施設外観

6次産業化事業による鶏卵製品の魅力アピール

【(有)デイリーファーム】

年間に鶏卵約3千トンを生産する大型養鶏事業者、㈲デイリーファーム(常滑市)は、鶏卵の生産加工販売を一貫して行うことで、品質管理の徹底による高品質化と加工・販売コスト低減のみならず、農業所得の増大を通じて養鶏業の持続的発展を目指しています。27 年6月にはイートインコーナーを備えた加工直売施設を整備し、『ココテラス』を開店しました。

鶏卵の高付加価値商品として、プリン等の焼き菓子類を始めとした加工食品を、加工直売施設において製造及び販売し、自社の鶏卵の高品質性と魅力を広くアピールしています。

なお、27 年度に同社の計画を含む国家戦略特区の区域計画を申請し、認定を受けました。

豊川エコポークの生産者による店頭PR 【豊川宝飯地域農業研究・普及協議会】

豊川宝飯地域農業研究・普及協議会(構成員:JAひまわり他)(以下「協議会」)で

は、食品残さを液状飼料に加工し、市内3戸の養豚農家で構成する「豊川エコフィード」に供給し、JAひまわりが、「豊川エコポーク」というブランド名を付け販売を促進しています。

これらの取組が評価され、平成 27 年1月、当協議会は 2015 愛知環境賞の優秀賞を受賞しました。

また、27 年1月、JAひまわりはJAグリーンセンター音羽で「豊川エコポーク」の試食会を開きました。生産者の一人が自ら店頭に立ち、塩・コショウで味付けした肉を提供し、また店頭入口でもチラシやレシピを配布してPRを行いました。

試食したお客さんから直接「脂が甘く美味しい」と好評であったことで、今後の励みにもなり自信に繋がったということです。

イチゴのパック詰め作業工程管理基準を活用した安全・安心な生産

【JA愛知東苺部会】

JA愛知東苺部会では、イチゴ生産出荷における作業工程管理の導入を進め、品質管理活動を行っています。

26 年度は部会役員会の協議によりパック詰め作業の工程管理基準を作成し、部会員に配布しました。作業基準にはパック詰め作業で気を付けなければならないこと、避けなければならないことが絞り込まれました。イチゴ農家の意見を取り入れた、分かりやすく、いちご農家ならではのアイデアが盛り込まれた、分かりやすく実践的な基準となりました。

これまでの取組と合わせて、栽培から出荷に至るまでの一連のGAPができたことで、消費者が求める安全・安心なイチゴをPRし、販売に結びつけていきます。

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生産者と消費者の思いを伝える愛知県農林水産物のPR

【愛知県】 県は、県農林水産物の魅力を多くの消費者に伝えるため、さまざまなPRを行ってい

ます。こうした取組は、生産者の思いを消費者に伝え、消費者のニーズを知る機会となっています。

■愛知県茶会(10 月)

茶の消費拡大及び文化の振興を図るため、知事が席主となって茶会を県公館で開催しました。会場では、県内で生産された茶葉や商品、県内の茶産地を紹介したパネル等を展示しました。

■愛知県畜産フェスタ(11 月) 県畜産総合センター以外での開催は初となる、刈谷ハ

イウェイオアシスにおいて、県民の皆様に畜産についての理解を深めていただくため、県産畜産物の試食や、動物とのふれあい、搾乳模擬体験などを行いました。

■イオン「いいともあいちフェア」における知事トップセ

ールス(11 月) イオン(株)と県は、連携と協力に関する包括協定を締

結しており、イオンモール新瑞橋において開催されたイオン「いいともあいちフェア」において、知事によるトップセールスを行いました。

■あいち花フェスタ 2014(11 月)

知多のポインセチアを使った大きなクリスマスツリーや、生産者等による花の展示や即売のほか、フラワーアレンジメント教室、生産者が育てた逸品を来場者が人気投票するあいちフラワーコンテスト、コケ玉づくりや模擬セリなどのステージイベント等を、中部国際空港で開催し、国内外にあいちの花をPRしました。

■フラワーバレンタインプロモーション(2月) バレンタインデーに男性から女性へ花を贈る習慣の

定着を目指して 23 年度から取り組んでおり、26 年度は名古屋市内での取組と併せ、初めて東京都内でも開催しました。

名古屋市内では、OS☆U によるライブや、知事とのトークショー、プロの花屋さんの指導のもと男性がブーケを作成し、女性へプレゼントするイベントなどを実施しました。

■あいちの農産物トップセールス in 東京(2月)

県産農産物のさらなる消費拡大を目指し、東京都内で知事と県内農業団体が、本県農業・農産物の紹介や来場者への花束のプレゼントによって、本県農業・農産物をPRしました。

■フラワー・ガーデニングショー(3月) 花等の販売のほか、あいちフラワーコンテスト、いけ

ばな作品展示、園芸教室、フラワーアレンジメント教室、などをオアシス 21 で行いました。

愛知県茶会

あいち花フェスタ 2014

メインディスプレイ

フラワーバレンタイン プロモーション

あいちの農産物

トップセールス in 東京

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酪農体験(餌やり)

ファーマーズマーケットの見学の様子

漁業士による料理講習

大学生を対象としたファーマーズマーケットツアー 【JA愛知中央会】

JA愛知中央会では、大学で食について学んでいる

学生を対象に、ファーマーズマーケット(産地直売所)を見学してもらいました。(27 年2月。「グリーンプラザおおぶ」及び「でんまぁと安城西部」)

また、タマネギ、ニンジンのほ場に出向いて収穫・食味体験をしてもらいました。

新鮮で安全・安心な農産物が購入できる産直の魅力や、採れたての新鮮な農産物の魅力を知ってもらう良い機会となりました。

地元水産物を生かした料理講習会による魚食普及の推進 【知多地区漁業士】

近年、若い世代で魚離れが進んでいると言われています。そこで、知多地区漁業士が、

魚食の普及活動として、大学生や幼児の保護者を対象とした料理講習会を実施しました。 食材は、漁業士自らが用意した魚介類を用い、参加者と

一緒に魚をさばいて調理、試食しました。 また、魚の旬、捕れる場所、漁法、食べ方等について意

見交換を行いました。 今後も、子どもを持つ親など比較的若い世代に対して水

産物料理講習会を行い、地元水産物を用いた献立やレシピ紹介、意見交換などを通じて、魚食の普及を進めていくこととしています。 ●26 年 7 月 日本福祉大学(美浜町)子ども発達学部学生 ●26 年 7 月 かるも保育園(南知多町)の保護者 ●26 年 10 月 大和幼稚園(常滑市)の保護者

ファームツアー!青年農業者が農業を通して交流活動

【豊田みよし4Hクラブなど】

豊田市、みよし市、JAあいち豊田、農業経営士、農村生活アドバイザー、青年農業士などで構成する豊田加茂農業後継者対策協議会は、農業体験を通して参加者との交流を行い、農産物の消費拡大や豊田加茂地域の農業振興を目的として、ファームツアーを開催しています。

ファームツアーの企画・運営は、青年農業者で構成する「豊田みよし4Hクラブ」が行い、新聞、広報誌、タウン誌及びインターネットで参加者を募り、26 年度は女性8名が参加しました。

今回は一泊二日とし、酪農体験、ナシ収穫体験、地元産小麦粉を用いたうどん打ち、収穫したナシや牛乳を用いたデザート作りといった農業体験としました。

参加した8名からは「命の大切さがわかった」「農産物がおいしかった」「若い農業者が頑張っていることが分かった」との声が多く聞かれ、「来年も是非参加したい」と大好評でした。

「 農 の あ る 暮 ら し 」

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花の王国サポート企業

認定式

「農」のある暮らしの機会の提供 【愛知県】

県は、県民の皆様に「農」のある暮らしに取り組んでいただけるよう、さまざまな機

会を提供しています。 ■県民公開講座「家庭で楽しむ果物づくり」(5月) 果樹生産技術指導の経験者の長縄光延氏を講師に招

き、かき、みかん、うめ、いちじく、もも等の果樹栽培の基礎知識や、病害虫の防除方法等について、スライドを交えながら説明を行いました。

■県民公開講座「プロから教わる秋冬野菜づくり」(7月) 学識経験者加藤國雄氏を講師に招き、野菜の生育で

必要な6つの要素、栽培上の注意事項、管理方法、間引きのねらいと仕方、よい苗の見分け方、体表的な秋冬野菜の播種時期等についての講義を行いました。

■花の王国あいちサポート企業の認定 県民の皆様に暮らしの中にもっと花を取り入れてい

ただく「花いっぱい県民運動」の趣旨に御賛同いただき、県産の花を用いた活動を実践していただける県内企業等を「花の王国あいちサポート企業」として募集し、5社の企業を認定しました。

■企業の森づくり

企業の社会貢献活動の場として県有林を提供し、森林整備活動等を行っていただく「企業の森づくり」を進めています。26 年度には、愛知県信用農業協同組合連合会と協定を締結し、県有林内で枝打ちや除伐、森林内のごみ拾い等が行われました。

■親子で楽しむ金魚の学校(6月) 県水産試験場と弥富金魚漁業協同組合は、県民の皆様に県の特産品である弥冨の金魚に

ついて理解を深めていただくため、金魚の知識や飼育のポイントを学び、実際に家庭で飼育して、金魚の色変わりを観察していただく講座を開催しました。

■試験場公開デー 県農業総合試験場、森林・林業技術センター及び水産試験場では、試験場の役割を広く

県民の皆様に知っていただくとともに、農林水産業についての理解を深めていただくため、公開デーを開催しました。

農業総合試験場(26 年 11 月)では、生産物等の販売及び試験場が開発した名古屋コーチン卵を使ったカステラ・プリンや、開発した囲い罠「おりべえ」で捕獲したイノシシの肉を加工したソーセージの食味試験など、森林・林業技術センター(26 年7月)では、木工体験やエリンギもぎ取り体験など、水産試験場(26 年 10 月)では、『元漁師で水産庁職員「上田勝彦氏(通称:ウエカツさん)」』による地元水産物を使った簡単料理教室など、様々なイベントを行い、県民の皆様に農林水産業について親しんでいただきました。

エリンギもぎ取り体験 食味試験

県民公開講座「家庭で楽しむ

果物づくり」の様子

企業の森づくり

簡単料理教室

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Ⅴ 次期「食と緑の基本計画」について

「食と緑の基本計画2015」を平成 23 年5月に策定して以降、県民や関係団

体、NPOなどとの連携により様々な取組を行ってきました。

これらの取組によって、ニーズに即した農林水産物の生産や加工・販売の取組が

増加し、新規就業者の計画的な確保や生産基盤の整備、生産現場での環境への配慮

や安全への対応が進みました。また、農林水産業への理解は徐々に広がり、多面的

機能の維持や災害に強い生活環境の確保についても、着実に進展しました。

しかし、農林漁業者は依然として減少しており、その結果、農業では、一部の品

目を除いて生産量も減少傾向にあるなど、本県の農林水産業は、必ずしも良い方向

に向かっているわけではありません。

一方で、モノづくり県である本県の強みを生かした他分野の先端技術を用いた技

術、例えば、施設園芸における高度な環境制御技術や水田作における効率的な作業

システムなど、生産性を高める革新的な技術の導入の動きもみられます。

また、農林漁業者の減少や都市部への人口集中が進んだ結果、農林水産業を体験

する機会が減少して食卓と生産現場の距離が拡大し、食や農林水産業に対する県民

の理解の希薄化が進んでいます。その一方で、食品への異物の混入や食品表示の偽

装など、食の安全性を脅かす事件や事故の発生により、食の安全や健康への関心は

高まっています。

さらに、農林漁業者の減少に伴い、森林・農地・漁場の適切な管理が困難になっ

てきており、それらが持つ自然環境の保全や洪水防止、水源かん養などの多面的機

能が十分に発揮されなくなることが懸念されるとともに、東日本大震災を機に、農

山漁村地域の強靭化に向けた防災・減災対策への県民意識が一層高まっています。

加えて、日豪EPAなどの経済連携が進展する中、平成28年2月にTPP協定

が署名されるなど、グローバル化がさらに進むことで、輸入関税引き下げなどのメ

リットが見込まれる反面、一部の農林水産物では安価な輸入品の増加による国内生

産への影響が懸念されており、早期に競争力の高い生産構造を構築していく必要が

あります。

こうした中、「食と緑の基本計画2015」が平成 27 年度で計画期間を終えるこ

とから、28 年度から 32 年度を計画期間とする次期「食と緑の基本計画」を策定

し、現行の基本計画の成果を生かしながら、さらに発展させ、食と緑が支える豊か

な「あいち」をめざしてまいります。

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指標全国シェア(全国平均)

順位調査

年(月)総 農 家 数 3.4% 7 25(2)販 売 農 家 数 2.6% 17 25(2)主 業 農 家 数 3.0% 14 25(2)専 業 農 家 2.5% 16 25(2)基幹的農業従事者数 3.2% 10 25(2)耕 地 面 積 1.7% 16 26(7)農 産 物 販 売 金 額500 万 円 以 上家 族 経 営 体 数

3.8% 6 25(2)

農 産 物 販 売 金 額1,500 万 円 以 上家 族 経 営 体 数

5.3% 2 25(2)

農 業 産 出 額 3.6% 7 26生 産 農 業 所 得 3.1% 7 26販売農家1戸当 たり生 産 農 業 所 得

(2,130千円) 16 26

総 農 家 1 戸 当 た り耕 地 面 積

(209.6a) 35 26

耕 地 10a 当 た り生 産 農 業 所 得

(63千円) 4 26

愛知県

73,833戸35,068戸8,754戸

11,105戸55,332人

105.5a

112千円

(資料 農林業センサス、耕地面積調査、生産農業所得統計)

77,400ha

8,060戸

3,974戸

3,010億円869億円

2,478千円

Ⅵ 愛知県の農林水産業あれこれ

○愛知県の農業

本県の農業産出額の順位は、常に全国

10 位以内にあり、3 千億円程度の産出額を

有する 3 番手グループに位置しています。

26 年の産出額は、3,010 億円で前年に比べ

74 億円(1.2%)減少し、全国第 7 位でし

た(A表)。

品目別にみると、米が価格の下落により

60 億円(19.4%)減少したほか、野菜がキ

ャベツなどの価格下落により 91 億円

(8.3%)減少するとともに、花きが主要

品目であるキク等の出荷量減少などによ

り 14 億円(2.5%)減少しました。

一方、畜産では豚肉及び鶏卵の価格上昇

などにより 91億円(11.2%)増加しました。

品目別順位をみると、花きが全国第 1 位(前年度第1位)、野菜が第 5 位(同第 5 位)、麦類

が 7 位(同第 7 位)、乳用牛が第 7 位(同第 7 位)、鶏卵が 6 位(同第 8 位)と園芸、畜産部門

は全国でも上位を占めています(B表)。また、耕種全体では第 5 位、畜産全体では第 10 位と

なっています。

本県農業の主要指標に関する全国シェ

アをみると、総農家数 3.4%、販売農家数

2.6%、基幹的農業従事者数 3.2%、耕地面

積 1.7%、農業産出額 3.6%、生産農業所得

3.1%で、いずれの指標も 2~4%前後を占

めています(C表)。

また、総農家 1 戸当たりの平均耕地面積

は 105.5a であり、全国平均の 209.6aと比

べると約半分であるものの、耕地 10a 当た

りの生産農業所得は全国第 4 位の 112 千円

と全国平均の 1.8 倍となっています。

これは、本県農業の特徴である、農業産

出額に占める野菜、花き、果実等の園芸部

門の割合が高く、施設での生産が多いこと

や各品目において生産性の高い農業が展開

されていることを示しています。

A表 農業産出額の全国順位

C表 農業の主要指標

区分 21年 22年 23年 24年 25年 26年 (億円)第1位 北海道 北海道 北海道 北海道 北海道 北海道 (11,110)

2 茨城 茨城 茨城 茨城 茨城 茨城 (4,292)3 千葉 千葉 鹿児島 千葉 千葉 鹿児島 (4,263)4 鹿児島 鹿児島 千葉 鹿児島 鹿児島 千葉 (4,151)5 宮崎 熊本 熊本 熊本 熊本 宮崎 (3,326)6 熊本 愛知 愛知 愛知 宮崎 熊本 (3,283)7 愛知 宮崎 宮崎 宮崎 愛知 愛知 (3,010)8 青森 青森 青森 栃木 青森 青森 (2,879)9 栃木 新潟 新潟 新潟 栃木 栃木 (2,495)10 新潟 栃木 栃木 青森 新潟 新潟 (2,448)

(資料 生産農業所得統計)

B表 農業産出額(26 年)の品目別順位

鶏 卵新 潟 北 海 道 北 海 道 青 森 愛 知 北 海 道 鹿 児 島 北 海 道 鹿 児 島 鹿 児 島 茨 城北 海 道 福 岡 茨 城 山 形 千 葉 鹿 児 島 北 海 道 栃 木 宮 崎 宮 崎 千 葉秋 田 佐 賀 千 葉 和 歌 山 福 岡 静 岡 宮 崎 熊 本 千 葉 岩 手 鹿 児 島茨 城 栃 木 熊 本 長 野 静 岡 沖 縄 熊 本 群 馬 北 海 道 茨 城 広 島山 形 群 馬 愛 知 山 梨 埼 玉 熊 本 岩 手 千 葉 茨 城 千 葉 岡 山宮 城 埼 玉 埼 玉 愛 媛 長 野 群 馬 宮 城 岩 手 群 馬 青 森 愛 知千 葉 愛 知 群 馬 熊 本 茨 城 宮 崎 長 崎 愛 知 愛 知 北 海 道 北 海 道

26年 20位 7位 5位 11位 1位 16位 19位 7位 7位 11位 6位25年 20位 7位 5位 12位 1位 16位 19位 7位 10位 12位 8位

乳 用 牛 豚 鶏

第1位

区 分 米 麦 類 野 菜 果 実 花 き工 芸農 作 物

肉 用 牛

(資料  生産農業所得統計)

愛知

234567

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○愛知県の森林・林業

1 森林資源

本県は 218,913ha の森林を有し、そのうち民有林が 207,277ha です。地域森林計画対象森

林の人工林率は 63.6%と全国平均の 45.8%を大きく上回っています(全国第 3 位)。

主伐の対象となる 10 齢級以上(46 年生以上)の人工林は 77.8%と全国の 52.1%に比べ

て大きい割合を占め、資源の成熟が進んでいます。

注:全国、愛知県とも民有林(地域森林計画対象森林)。愛知県は林務課資料(27 年 3 月 31 日現在)。

全国は林野庁業務資料(24 年 3 月 31 日現在)。

2 林業産出額

26 年次の本県の林業産出額は 29.8 億円で前年の 25.7 億円

から 4.1 億円の増加となりました。

部門別に見ると、木材生産は前年の 19.2 億円から 20.3%

増加し 23.1 億円となったほか、栽培きのこ類は 6.3 億円から

3.2%増加し、6.5 億円となっています。

3 木材産業

本県は東海地方の集散地であったことや、大きな木材港があったこと、大消費地を控えて

いたことなどから、木材の流通・加工の拠点となっており、特に木製品の出荷額は全国的に

上位にあります。

26 年次の木材・木製品出荷額は、135,617 百万円と、全国 5 位の位置にあり、全国シェア

の 5.4%を占めます。

また、25 年次の製材工場数(134 工場)は、全国 15 位で、製材品出荷量は 82 千 m3 とな

っています。

資料:経済産業省調査統計部「工業統計調査(産業編)」(23 年次は「平成 24 年経済センサス-活動調査(産業編)」

C表 林業産出額 順位 26 年次 (億円)1位 2位 3位 4位 5位

長 野 県 北 海 道 新 潟 県 岩 手 県 宮 崎 県

(551)(470)(434)(233)(227)

32 位 愛 知 県 ( 30)資料:農林水産省統計部

「生産林業所得統計報告書」

D表 木材・木製品出荷額(百万円)

順位 21 年 22 年 23 年 24 年 25 年 26 年

1位

2位

3位

4位

5位

北海道

(145,121)

愛知県

(138,326)

静岡県

(120,153)

茨城県

(119,057)

大阪府

(100,376)

静岡県

(161,855)

愛知県

(144,831)

北海道

(133,020)

茨城県

(124,601)

広島県

(102,078)

静岡県

(156,468)

北海道

(150,220)

愛知県

(143,412)

広島県

(118,502)

大阪府

(116,432)

静岡県

(154,524)

北海道

(139,691)

愛知県

(131,517)

茨城県

(128,454)

大阪府

(106,258)

静岡県

(175,096)

茨城県

(157,467)

北海道

(147,565)

愛知県

(147,377)

広島県

(132,707)

静岡県

(172,754)

茨城県

(170,604)

北海道

(160,727)

広島県

(144,172)

愛知県

(135,617)

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○愛知県の水産業

海面漁業・養殖業において本県の生産量

は全国で第 17 位(秘匿値のある都県を除

く)、生産額は第 20 位(秘匿値のある都県

を除く)となっていますが(A表)、多くの

漁業種類や魚種で上位を占めているのが特

色です。

漁業種類別では、小型底びき網、船びき

網、採貝・採藻等が盛んで、これらの生産

量は全国的にもトップレベルにあります。

魚種別では、がざみ類、あさり類、あゆ

養殖が第 1 位、かたくちいわし、くろだ

い・へだい、くるまえび、うなぎ養殖、き

んぎょ養殖が第 2 位、しらす、すずき類が

第 3 位となっています。全国シェアでは、

あさり類が 69.7%と突出して高く、うなぎ

養殖が 22.1%、あゆ養殖が 20.1%、がざみ

類が 17.7%と高くなっています(B表)。

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愛知県を代表する農林水産物 (全国1位の産品)

記載例

①愛知県の産出額、出荷量、漁獲量等

②愛知県産出額等の全国シェア

(データは平成 26 年)

キャベツ ①252,800t(出荷量)

②19.2%

ふき ①11 億円(産出額)

②37.9%

しそ ①110億円(産出額)

②68.3%

観葉植物(鉢) ①40 億円(産出額)

②33.6%

うずら卵 ①31 億円(産出額)

②68.9%

あさり類 ①10,563t(漁獲量)

②54.3%

がざみ類 ①341t(漁獲量)

②14.6%

いちじく ①20 億円(産出額)

②28.6%

きく ①208億円(産出額)

②32.9%

ばら ①26億円(産出額)

②13.9%

洋ラン(鉢) ①63 億円(産出額)

②20.2%

養殖あゆ ①1,114t(生産量)

②21.6%

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食と緑のレポート'15

平成28年3月発行

愛知県農林水産部農林政策課

〒460-8501

名古屋市中区三の丸三丁目1番2号

電 話(052)961-2111(代表) 内線 3623

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