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鋳造部品の品質の確保、さらには不良率低減に資する鋳造技術の確立に向けて、鋳造トレーサビリティ・システムを開発した。さらに、改善活動へフィードバックできるデータ・マネジメント技法についても検討した。

鋳造トレーサビリティ ·ソリューションによる品質保証システムの開発

甲南大学 長 坂 悦 敬  

1.まえがき      川下産業である自動車等製造企業の経営は厳しさを増す中、高機能化、低コスト化、早期量産立ち上げとともに、品質保証が企業の存亡を分ける時代となった。調達・生産・販売の各グローバル化が進む環境下においては、部品について川下に至るまでの品質保証が重要となっており、トレーサビリティ技術の要求が高まっている。一方、国内部品メーカーも系列を超えたグローバル展開が必要になっており、トレーサビリティを確保した品質保証は重要な戦略的技術のひとつとして位置づけられている。 鋳造業においても、徹底して欠陥を排除した部品作りを行い、品質保証を実現する技術が必要である。加工メーカーで機械加工後に初めて見つかる鋳巣等の内部欠陥は、鋳造品が信頼されない原因の一つになっている。 鋳巣防止は、クレームの低減ひいては鋳造品の信頼性向上のための必須の技術である。 一部のメーカーでシリンダーブロックなどを個体識別するトレーサビリティが始まっているものの、鋳造工程の生産プロセス管理と直結した個体管理による品質管理という、本来のトレーサビリティは実現していない。鋳物の不具合では、材料、方案、工程、人的ミス等の様々な要因が複雑な因果関係を作っているため、発生してからでは真の要因を特定し的確に解決することは容易ではない。品質保証では、仮説をつないで原因を特定することは望ましくない。また、抜き取り検査ではなく全数管理を徹底することが重要である。つまり、生産条件、生産状態と個体管理を直結させたトレーサビリティが必要である1)。 さらに、川上産業と川下産業を結ぶエンジニアリン

グチェーンを構築し、製造プロセスに関する情報のトレーサビリティを確保し、不具合に即座に対処して、品質レベルを飛躍的に向上させるシステムが必要である。このような情報の共有化のためのデータモデルを使用した鋳造分野専用の生産資源管理システムはまだどのベンダーからも提供されていない。設計、生産準備、調達、製造品質、在庫・原価に関わる情報がデータモデルで一元管理され、中小企業の基礎競争力を格段に向上させるための鋳造分野専用の生産資源管理システムが望まれる。 また、自動車等製品のライフサイクルが短縮化する中で、品質もコストも垂直立ち上げが求められている。このため、機能とコストの両面から製品価値の向上を図るためのバリューエンジニアリング(以下、VEという)の重要性が増している。とくに設計時、さらには製品企画段階でのVEが望まれている。そして、VE提案に適用される新技術が迅速に量産品に適用され、安定した品質が得られるようにするための品質保証システムが求められる。 ここでは、垂直立ち上げなど短納期化や、付加価値の高い複雑形状品等を製造できる生産方式、生産条件を実現するため、鋳造トレーサビリティと生産資源管理による品質保証技術の開発に取り組んだ。

2.鋳造トレーサビリティ・システムの開発      新製品開発における不良発生は大きなダメージになる。また、鋳造品の品質は鋳造プロセスの多様な条件のゆらぎに左右され、偶発的に不良が発生するという特徴をもつ。グローバル化の中でリコール問題が発生すれば部品メーカーとしては致命的な打撃を受ける。

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したがって、網羅的連続的な製造データの自動計測が可能で、製品個体との紐付けが可能なトレーサビリティ・システムが必要である。

2.1 システムの概要 製造データの自動計測、集約化技術の開発として、部品と鋳造条件、検査情報が紐つけできるハードウェアとソフトウェアが求められる。インテリジェント・センサー・デバイスの開発、低電力無線通信による工場内ネットワークシステムの開発を行い、個々のプロセスで収集したデータを統合するモジュールを開発した。このモジュールは計画情報と生産情報、品質情報を個別部品と工程の製造情報を関連付けした情報に編成し直し、鋳造工程、検査工程、出荷工程を一元管理できる生産資源データベースを構築するものである。図 1にトレーサビリティ・システムで対象としたプロセス、図 2に生産資源管理システムの概要を示す。

2.2 気づき情報システム 鋳造プロセスでは、製品品質への影響因子としてモデル化できていない要素がある可能性も排除できない。このため、センサーや画像で計測する情報などの

予め定めた特定情報以外に、作業者が作業中に気づいた情報、すなわち、非定型情報を活用して、鋳造品質に対する影響分析を行える“気づき情報システム”を開発した(図 3)。したがって、気づき情報も生産資源データベースに登録される。これにより、これまでプロセス毎に個別でしか参照できなかったデータが、部品ごとに各プロセスの情報を関連付けて数分以内で調査トレースすることが可能になった。

2.3 個体マーキング レーザーマーカーを用いて 2次元コードマーキングの調査を行った。その結果、1.6×1.6mmでの読取も可能であることがわかった。これらから、アルミ鋳物については、ドットピンおよびレーザーマーカーによるQRコードマーキングによる個体マーキングが可能になった(図 4左)。鋳鉄鋳物については、砂型に自

図 1 鋳造プロセスとトレーサビリティ・システム

図 2 生産資源管理システム概要

図 3 気づき情報システムのタッチパネル画面例

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動マーキング装置のプロトタイプを開発し、試行している(図 4右)。

2.4 製造データの自動計測および入力 溶解、注湯、造型、工場内温度・湿度など製造条件データの自動計測を可能にするとともに、鋳造プロセスの特徴を考慮し、次のようなデータ収集モジュールの開発も行った。 ①鋳造工程制御用シーケンサ(PLC)と中子造型工程制御用シーケンサ(PLC)からネットワークを経由してデータを取得し、データベースに保存するツールを開発した。このツールは PLCをモニターしていて、データが書き換えられるとデータを読み込み、データベースに保存する。同時に同じ工程の作業データベースから現在の作業者と材料を、温湿度計 PLC から温度と湿度を取得してまとめて保存する。中子造型から鋳造に至る素材情報を、自動トレースするシステムが構築され、従来製品をトレースする時間が数時間以上かかっていたものが数分レベルまでに短縮された。 ②鋳物品質と、型あるいは作業者を対応させるために、ICタグを中子や鋳物を搬送するパレットに装着し、あるいは現場を移動する作業員が携帯して、プロセス、製品品質との紐付けを可能にした。 ③タッチパネルを用いたデータ入力装置を開発した。図 5右は、鋳鉄工場の適用例で、作業者が注湯実績枠数を入力すると、注湯枠数がグラフ表示されると同時に、累計注湯枠数、残り注湯枠数が自動的にタッ

チパネルに表示される。図 5左はアルミ鋳物工場において、品質(検査)情報の収集が容易になるように、タッチパネルとハンディリーダを使用した検査データ収集システムを開発した例である。ハンディリーダで 2次元コードをスキャンし、軍手、皮手袋を着用したまま、画面に数回触れるだけで情報収集できるため、作業者に負担をかけることなく、データ蓄積が可能になった。

2.5 データ閲覧および分析 鋳造トレーサビリティ・システムで収集したデジタルデータを様々な形式で検索・表示し、分析できるようになった。図 6はMS-Excel で注湯実績データを表示した例である。

 また、①ヒストグラム(ひとつの「製造パラメータ」を解析軸としてその条件で製造された製品数および、そのうちの不良数を把握する機能)、②散布図(2つの「製造パラメータ」を解析軸として、不良発生条件を空間的にプロットし、品質への影響度合いを比較する)などによって表示することも可能になった(図 7)。

 製造条件と実績情報の一元化により、鋳造条件と実績の関係が可視化され、不良発生条件の抽出が容易になった。鋳造条件を変更する際にも、結果がすぐ確認できるため素早いフィードバックが可能となった。 ペーパレス化が進み、手書きの記入シート、製品や生産の履歴シートがデータベースに登録された形となり、実績として約40枚/日(100,000枚/年)の紙の節約となり、検索時間の短縮と合わせて原価低減にも寄与している。

図 4 マーキング技術

15mm×15mmアルミ鋳物マーキング 鋳鉄砂型マーキングヘッド

図 5 タッチパネルによるデータ入力

図 7 ヒストグラム、散布図の出力例

図 6 注湯実績データの出力例(MS-Excel)

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3.X線CTスキャナとCAEによるNDI (非破壊検査)      アルミ鋳物工場および鋳鉄鋳物工場、それぞれに、X線CTスキャナ(図 8左)を導入し、非破壊で実部品の鋳巣の大きさと位置を確認し、さらにCAEによる鋳巣予測結果と突き合わせて比較、検証できるようにした。アルミ部品と鋳鉄部品のそれぞれにおいて、部品内に潜むクラック、鋳巣などの各種欠陥についての内部非破壊検査技術を検討し、今まで経験に頼っていた欠陥発生防止技術を飛躍的にレベルアップした。 さらに、CT断面データをSTL等のフォーマットに変換して出力し、3次元CADやCAEと組合せたデジタルエンジニアリングを実現した。図 8は㈱浅田可鍛鋳鉄所で開発された中空鋳物のスキャナ画像である。等肉厚であること、密閉内部の寸法情報などが数値化され保証される。

 新規受注の初期量産立ち上がりの段階で全数検査が可能になるよう、CTスキャナの 1枚あたりの画像データ処理時間短縮に取り組んだ。従来、2分 / 枚の処理時間を50%短縮し、1分 / 枚で処理可能とし、画像品質は標準設定と遜色なく十分に画像確認できることを確認した。また、図 9に示すようにCTスキャナの空洞部位置データを鋳造CAE(JS-CAST)の結果に取り込み、比較検討できるインターフェースを開発した。これにより、CAEから欠陥が出そうな部位を予測し、計測すべきCTスキャナ画像の枚数を最小限に特定できるノウハウの蓄積を行った。 これらにより、新規量産立ち上がり品には特定部位での内部鋳巣の確認が可能になり、川上産業の部品品質強化に大きく貢献できることが期待される。

 また、CTスキャナデータと3D-CADデータを比較し、非破壊で外部および内部の寸法検査を実施できる技術の開発を行った。 今まで、熟練かつ測定スキルをもった作業者が、製品に“けがき”マーキングや製品切断によって肉厚確認(魚拓)等の検査をしていた方法では製品全体の20%程度しか寸法保証ができていなかった。CTスキャナを導入することにより、この手作業工程を大幅に簡素化できる上、熟練工に頼ることなく、製品全ての部位において100%の寸法確認が可能になった(従来手法では図面の指示に従った切断部分のみの確認)。さらにこの検査方法により、従来見落とした部分も網羅的に検査が行き届き、今まで問題となっていた初期段階での客先不具合が、大幅に改善できた。さらに他部品との干渉部分も判別できるようになり、川下産業へ様々な提案ができるようになった。㈱ナカキンでは、これらの技術を駆使し、検査工程の短縮と修正工程の削減が可能となり、試作期間のリードタイムが23%短縮できるようになった(図10)。

 鋳包みや中空鋳物の内部品質保証についてもX線CTスキャナとCAEによるNDIは有効である。図11は、中空鋳物をすべてスキャンし、内部寸法、欠陥について保証した例である。今まで見えなかったものを「見える化」し、トレースすることも重要である。

図 8 X線 CTスキャナと鋳物の内部

図 9 X線 CTスキャナ画像と鋳物 CAEの欠陥予測

図10 寸法検査工数の削減効果(㈱ナカキン 提供)

図11 中空鋳物の内部寸法保証(㈱浅田可鍛鋳鉄所 提供)

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4.データ・マネジメント      鋳造トレーサビリティ・システムによって、不良問題が起こったとき、その製品に関わる製造条件を数分で検索し、同一の製造条件であるロットをおさえて、場合によっては、そのロットをすべて回収するという対策が迅速に行えるようになった。しかし、その不良の原因を分析し、対策を行わなければ現場力は向上しない。 xbar-R管理図は、計量値(重さ、長さ、電圧、電流など量として測定できるモノ)の平均値(xbar・エックスバー)と範囲(R・アール)が「偶然要因」によるばらつきの範囲内に入っているかどうかを確認するための管理図で、工程内異常値を知るためによく使われている。しかし、鋳造工場では、図12のように、ひとつのプロセス(工程)だけを見ていても不十分で、工程がつながっていることを鑑み、製品 1個ずつ、その製品の生まれの履歴をすべて把握し、プロセス連鎖の中での「ゆらぎ」が一定の管理限界の中に入るように管理していかなければならない。

 鋳造トレーサビリティ・システムによって製造部門で起こっている事実を網羅的に計測し、事実に基づき改善を進めることが可能になる。図13は鋳造工場でデータを自動連続計測した(抜き取りではない)例であるが、管理幅をはずれたものが散在することがわかる。 シックスシグマ活動、SPC(Statistical Process Control)という手法は、「統計的プロセス管理」と訳され、各

製造工程のチェックポイントで収集された膨大なデータを基に統計的手法を用いた処理を行う。製造条件や各工程における製品の品質などの推移(傾向)を監視、製造工程を安定な状態に維持管理するデータ・マネージメント・システムである。ここでは、SPCを BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)2)の中に組み込むデータ・マネジメント手法を構築した(図14)。 現場で実測できるものは離散的で一見つながりがないように思われている。それらをまとめて管理できるようにしなければ意味がない。製造現場には必ず「ゆらぎ」があり、その「ゆらぎ」がプロセス間にまたが

図13 製造データの計測例

図12 xbar-R管理図(プロセスの連鎖と最終品質)

図14 データ・マネジメント手法

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り連鎖したとき不良品が出現する。ただし、いろいろやみくもに計測しても意味がない。品質やコストに直接的に影響する要因に注目しなければ意味がない。例えば、金型温度のある範囲と段取り時間の設定とある製品形状との組合せが製品不良に結びつくことがわかれば、それらの組合せがないようにそれらの因子を制御すればよい。その場合は、工場内の湿度やマテハンロボットの動作時間をいくら制御しても関係ない。つまり、品質に関わる主要因の抽出することが重要で、それはすなわち、製造プロセスのKPI(Key performance indicator)の抽出である。①判別分析 判別分析では、従属変数(例えば品質)を構成するカテゴリー(例えば良品、不良品)を判別するために「群分け」を行う。群分けとは 独立変数(例えば種々の鋳造条件)を利用して、複数あるカテゴリーを 2分する 1本の直線を導き出すことである。この直線を表す関数を「判別関数」と呼ぶ。カテゴリーが 2つの場合には 1本の直線を、カテゴリーが 3つある場合には2本の直線を引く。例えば、別々のプロセスで計測された温度、作業性、形状複雑性のランクのどのような組み合わせで不良が発生するかが特定できれば、それらの組み合わせが起こらないように製造することで不良を避けることができる。不良と良品を区別できる製造要因(KPI)の組み合せを判別分析で抽出する。この分析に判別分析を用いる。 鋳鉄工場の実際のデータで分析した例を図15に示す。判別値だけで完全に不良の有無を説明できるわけではないが、不良確率でみると判別値との相関が高いことがわかる。つまり、判別値 10.0 以下では不良確率36.7%、判別値 1.0 以下では不良確率 18.3%、判別値-3.7 以下では不良確率 3.3%となり、判別値が大きくなると不良が多くなることを示している。つまり、この判別値をKPI に設定して、KPI が小さくなるようなプロセス管理を行えばよい。このKPI を小さくするため

には、管理可能な製造条件の提示が必要である。それを導くには、決定木分析が有効である。②決定木分析 樹木モデル(tree-based model)は、非線形回帰分析、判別分析のひとつの方法で、分類の問題では分類木(classification tree)あるいは決定木(decision tree)と呼ばれている。樹木モデルは、説明変数の値を分岐させ、それらを組み合わせて、判別・予測のモデルを構築する。分析の結果はIF-THENのような簡潔なルールを生成させ、またそのルールを樹木構造で図示することで理解することができる。決定木ソフトとして、J. R. キンランが開発した Rulequest 社の See5.0/C5.0 が有名である。また、フリーソフトWEKAには、グラフィカル・ユーザインターフェースもあるので便利である。その他、一般にデータマイニングと呼ばれるツールで決定木分析が可能である。 決定木分析によって、最終ゴールである品質が合格する(不良品にならないような)製造条件(例えば、溶湯温度、注湯速度、鋳型強度等)の組み合わせを探すことができる。図16に、製造条件の複合的なパラメータともいえる判別値が大きなマイナス値(不良確率が低い、ゴール=-1)、ゼロ付近(不安定状態、ゴール=0)、大きなプラス値(不良確率が高い、ゴール=1)という 3つのグループに分けられるように分析した例を示す。この例では、溶湯温度が適切である場合に良品に、溶湯温度が高すぎる場合に不良品になる確率が高いことがわかった。さらに、鋳型強度や注湯速度等の諸条件の組み合わせによって不良になる可能性があると考えられた。これらの製造条件を実現するためには、「作業者の意識」から「技能者の意識」に変革することをも意味する。 網羅的データの計測とその分析により、作業の意味が「見える化」され、技術水準を高めることができる。

図15 品質ばらつきのあるデータにおける判別分析図16 決定木分析結果のテキスト表示

      (不良対策としてどうすべきかを示唆)

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 BPMの概要を図17に示す。戦略の実践にこだわらず、「財務」、「顧客」、「内部プロセス」、「学習と成長」4つの視点相互間の「因果関係」を重視し3)、ビジネス・プロセスを基軸とした改善活動を展開することで大きな効果を上げることができる。このプロセスの改善には、データ・マネジメントが有効である。 BPMとデータ・マネジメントは、結果的にBSC(Balanced Scorecard)4)の枠組みでの業績管理にマッピングすることが可能である。BSCは、組織のビジョンと戦略を 4つの視点における目標と業績評価指標に置き換えるものであるが、BPMでのデータ・マネジメントからBSCにおけるパフォーマンス・ドライバー(Performance Drivers)を抽出し、管理することで、事実の計測、管理、業績評価、戦略マッピングが結びつく。

5.まとめ      鋳造トレーサビリティ・システムで製造データと品質データを網羅的に計測し、不具合と製造要因の紐付けが即座に実施できるようになった。それに加え、不良分析が迅速に実施可能で、製造品質問題の解決からプロセスの改善に結びつき、生産コスト削減や品質向上など企業経営の成果レベルを飛躍的に向上させる仕

組みづくりが望まれてきたことを受けて、データ・マネジメントとBPMの組み合わせ手法を開発した。 ①データ・マネジメント:不良を出さない(または、不良の原因となった)製造条件をみつけて、現場にフィードバックする。これは、“作業”→“技能”への意識変革。現場力の向上の礎となる。 ② BPM:現場力向上が経営力向上につながることを可視化。現場力→企業価値向上につながる。

 謝辞 本研究の成果は、経済産業省、中小企業基盤整備機構、“戦略的基盤技術高度化支援事業”、「鋳造トレーサビリティによる品質保証システムの開発」プロジェクトによるものである。プロジェクトメンバー各位に深く感謝いたします。

 参考文献1 ) 長坂悦敬,“鋳物工場のオートメーションとプロセス・マネジメント”,pp.561 -569,日本鋳造工学会誌,Vol.81/No.11(2009)

2 ) 李健泳・小菅正伸・長坂悦敬編,戦略的プロセス・マネジメント-理論と実践-(2006)税務経理協会

3) G. Lee, M. Kosuga and Y. Nagasaka,“Business Process Management of Japanese and Korean Companies” World Scientific Pub Co Inc(2010)

4 ) Kaplan, R. S. and Norton, D. P.,(1992), The Balanced Scorecard-Measures That Drive Performance, Harvard Business Review, Jan-Feb, pp.71-79.

甲南大学 経営学部〒658-8501 兵庫県神戸市東灘区岡本 8-9-1研究室ダイヤルインTEL/FAX 078-435-2454

図17 BPMの概要


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