HF-MAC11 / HF-MAC02
1mm
解像度による影響
気泡組織測定装置
0.003㎜/Pixelの分解能を有するHF-MAC seriesの拡大率
は333倍の倍率に達します。高精細版では0.0014㎜/Pixel
の分解能を有し,拡大率は約714倍の倍率になります。
このため,真値に近い値を求めることが可能です。
しかし,ASTM C457-16「Standard Test Method for
Microscopical Determination of Parameters of the Air-Void
System in Hardened Concrete」に記載されている顕微鏡
やスキャナーを用いた方法とは,異なる計測結果が得ら
れると推測します。
解像度の異なる試験機器による空気量と気泡間隔係数
は,高解像度になることにより,空気量が0.5%程度増加
する傾向を示し,気泡間隔係数は50μm程度向上する傾
向が認められます(図-2)。これらの傾向は分解能が向
上したことによる影響と推測します。
従来では判別出来なかった微細な気泡組織を捉える
HF-MAC seriesは,気泡組織によるコンクリートの耐久性
評価等に新しい視点を広げることが可能です。
測定原理
HF-MAC seriesは,画像処理を行う際の気泡認識作業を
測定面への光の当たり方により生じる陰影の違いに着目
して計測を行っています。この方法によれば,計測面の
特殊加工処理(樹脂等の埋込等)は必要なく,通常の研
磨処理だけで測定することが可能です。
基本的な原理は図-1に示すようなデジタル画面上の差分
法により気泡を認識し,二値化することにより,リニア
トラバース法に展開します。
特徴(HF-MAC11 / 02)
‣カメラ分解能0.003mm/pixel(HF-MAC11 / 02)
0.0014mm/pixel(HF-MAC11高精細版)
‣コア抜き不要(HF-MAC02)
‣高精度・個人誤差なし
‣骨材中の空隙・エントラップドエアーの自動認識
‣画像解析のため,測定面の特殊処理不要(研磨のみ)
‣再編集作業が可能
‣CSV形式によるデータ出力
ASTM C457-16 「Standard Test Method for Microscopical Determination of Parameters of the Air-Void System in Hardened Concrete」準拠
図-2 解像度による違い図-1 計測メカニズム
1次照明
光源1 光源2
2次照明 減算処理後
0
1
2
3
4
5
6
7
0 1 2 3 4 5 6 7
高解像度:空気量
(%)
在来型:空気量 (%)
100
150
200
250
300
350
400
100 150 200 250 300 350 400
高解像度:気泡間隔係数
(μm)
在来型:気泡間隔係数 (μm)
影骨材骨材
1mm測定位置おける評価
配(調)合不明なコンクリートの評価
0
50
100
150
200
250
300
0 1 3 5
気泡間隔係数(μm)
測定位置 (mm)
JIS 10s-10 10s-20 30s-10 30s-20
30×30×30㎝の試験体を作製し,測定面から10㎝,側
面から15㎝の位置において振動締固め(叩き,10秒)
を実施した。評価深さは,型枠面から0,1,3,5mmおよび
試験体中央の位置において評価した。
試験体中央の気泡間隔係数は205μmに対し,表層部
の見かけ上の気泡間隔係数が向上していることが分か
ります(図-3,4)。表面から概ね5㎜程度でコンクリー
ト内部と等価になるが,測定位置によってその差は大
きいと推測します。HF-MAC02は,現場計測を対象とし
ており,測定位置は深さ0~1㎜程度の範囲となりま
す。この範囲における見かけ上の気泡間隔係数は,耐
久性評価上安全側ではなく,表層部からコンクリート
全体の評価は難しいと考えられます。しかし,耐凍害
性に寄与する気泡径(0.1㎜以下,図-5)に着目し評価
した場合,内部と表層部の気泡間隔係数は類似するた
め,表層部からコンクリート内部の評価を可能とし,
HF-MAC02を用いることによって簡易にコンクリート全
体の気泡状態を把握できます。
0
100
200
300
400
500
600
0.0265
0.075
0.125
0.175
0.225
0.275
0.325
0.375
0.425
0.475
0.525
0.575
0.65
0.75
0.85
0.95
気泡個数(個)
気泡径 (mm)
10s-100-010s-200-010s-100-110s-200-110s-100-310s-200-310s-100-510s-200-5JIS-100
㈱八洋コンサルタント / ㈱ファースト
コンクリートは不均質です。
コンクリート表面はセメントペーストであり,内部に
進むにつれてモルタルそしてコンクリートとなります。
資料保管年数を過ぎた橋梁等といった構造物は,使
用材料や配(調)合が不明瞭かつ,当時の施工プロセ
スが現代とは異なるため,適切に算出できないことが
想定されます。
このようなケースに対応するため,単位測線当たり
の気泡個数に着目し評価した結果,気泡個数によって,
三段階のグレード(Good:<200μm,Normal:200~400μm,
Bad:>400μm,図-5)に分けて評価できる可能性があり
ます。
迅速かつ微小径の気泡を捉えることが可能となった
HF-MAC seriesは,歴史的なコンクリート構造物から一
般構造物にかけて,損傷を最小限に当時の施工状態や
耐久性評価に幅広く使用できます。
様々な使用用途
‣ひび割れ幅計測
‣気泡径分による施工性評価(振動締固めの影響など)
‣配(調)合不明なコンクリートの評価
‣凍害抵抗性の評価
図-3 測定深さ毎の気泡間隔係数
図-4 測定深さ毎の気泡径分布
図-5 気泡間隔係数と気泡個数の関係
0
200
400
600
800
100μm以
下の気泡の気泡間隔係数(μm)
単位長さあたりの100μm以下の気泡数(個/mm)
表層
内部
Good (<200μm)
Normal (200~400μm)
Bad (>400μm)