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U University of Tokyo I Institute of Social Science P Panel Survey Discussion Paper Series 東京大学社会科学研究所 パネル調査プロジェクト ディスカッションペーパーシリーズ 現代日本の若年・壮年層の離家: ジェンダー差・世代差・出身背景の影響に着目して Leaving the Parental Home in Contemporary Japan: Gender and Generational Differences and the Effects of Family Background 林雄亮(武蔵大学) Yusuke HAYASHI August 2021 No.145 東京大学社会科学研究所 INSTITUTE OF SOCIAL SCIENCE UNIVERSITY OF TOKYO

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UUniversity of Tokyo

IInstitute of Social Science

PPanel Survey

Discussion Paper Series

東京大学社会科学研究所 パネル調査プロジェクト

ディスカッションペーパーシリーズ

現代日本の若年・壮年層の離家:

ジェンダー差・世代差・出身背景の影響に着目して

Leaving the Parental Home in Contemporary Japan: Gender and Generational

Differences and the Effects of Family Background

林雄亮(武蔵大学)

Yusuke HAYASHI

August 2021

No.145

東京大学社会科学研究所

INSTITUTE OF SOCIAL SCIENCE UNIVERSITY OF TOKYO

Page 2: D iscussion Paper Series U Tokyo IInstitute of Social ......U niversity of Tokyo II nstitute of Social Science P anel Survey D iscussion Paper Series 東京大学社会科学研究所

東京大学社会科学研究所パネル調査プロジェクト ディスカッションペーパーシリーズ No.145 2021 年 8 月

現代日本の若年・壮年層の離家 ——ジェンダー差・世代差・出身背景の影響に着目して——

林 雄亮(武蔵大学)

要約 本稿では、人々が離家というライフイベントを経験していく様子を、ジェンダー、世代や

年齢、離家のきっかけ、出身背景の影響に着目しながら考察する。用いるデータは東京大学

社会科学研究所が 2007 年から実施している「働き方とライフスタイルの変化に関する全国

調査(Japanese Life Course Panel Surveys: JLPS)」の若年・壮年パネル調査である。記

述的な分析は性別、1966-75 年、1976-86 年、1987-98 年の 3 つの出生コーホート別に行

い、男女ともに 1966-75 年と 1976-86 年出生コーホートの間で離家の経験率が縮小し、差

はほぼなくなっていることがわかった。また離家の経験率のジェンダー差も、1976-86 年出

生コーホートでほぼ消失していた。その一方で、離家のきっかけにはいずれのコーホートで

もジェンダー差が依然として確認されており、男性は入学や就職、女性は結婚による離家が

多い状況が維持されていた。次に、調査対象者の 15-30 歳を 4 つに区分し、離家のきっか

けを考慮しながら出身背景の影響を多変量解析によって分析した。その結果、親の学歴やき

ょうだい構成、15 歳時点の家庭の雰囲気などの要因は、年齢段階やジェンダーによって離

家の発生に異なる影響を及ぼしていることが明らかになった。

謝辞 本研究は、科学研究費補助金基盤研究(S)(18103003, 22223005)の助成を受けたもの

である。東京大学社会科学研究所パネル調査の実施にあたっては、社会科学研究所研究資金、

株式会社アウトソーシングからの奨学寄付金を受けた。パネル調査データの使用にあたっ

ては社会科学研究所パネル調査企画委員会の許可を受けた。

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1. 問題の所在と研究目的 (1) 成人期への移行過程における離家

成人期への移行におけるライフイベントとして、学卒、離家、就職、結婚、子どもを持つ

ことが挙げられる(Shanahan 2000)。本稿ではこのうち親世帯からの物理的な独立である

離家に焦点を合わせ、その発生状況の世代による差異と性差および離家を促進したり抑制

したりする出身背景要因について検討する。

一般に、離家には多様な要素が含まれる。字面からすれば単に親と離れて暮らし始めると

いう住居の変更に過ぎないが、実際にはその手続きや新生活でのさまざまな困難などが含

まれ、経験者なら共感できることも多いだろう。すなわち離家には、親の監督・管理下から

離れ、大人としての役割、自身の世帯に対する責任、消費生活における自らの意思決定を持

つという含意もある(Mulder 2009)。 さらに離家の特徴として、若年期から壮年期におけるライフイベントと連動して経験さ

れることが多いことが挙げられる。進学や就職、結婚などがその具体例であり、多くの人々

はこれらのライフイベントをきっかけとして離家を経験していく。したがってそれぞれの

社会における高等教育機関への進学や労働市場への新規参入、結婚や同棲のあり方しだい

によって、離家の発生状況も大きく異なる。同時に、これらの構造的変化は当該社会におけ

る離家のあり方も変化させていくことになる。 進学や就職、結婚といった個人の意思決定によるイベントに限らず、離家は社会のマクロ

な福祉政策・住宅事情・労働市場の状況にも強く影響を受ける(Berngruber 2017)。失業

対策や高等教育における奨学金制度などの福祉の充実は、親元からの経済的独立をサポー

トすることで離家を促進させ、比較的安価な賃貸住居が多い社会も若年層の離家を促進す

る。また、学校から職業への成功的な移行を経験し、正規雇用で働くことは、自身の生活コ

ストの負担を可能にさせ離家を促すものの、若年層の失業率の高さはライフプランの不確

かさを募らせるため、親との同居を長引かせたり離家後の再同居を招いたりするという

(Newman 2012)。

(2) 日本社会の離家の特徴1

日本社会における離家を長期的に観察してきた国立社会保障・人口問題研究所の「世帯動

態調査」によると、第 4回(1999 年)以降の調査結果からは、男性で 1945-49 年出生コー

1 本稿での先行研究の整理は林(2021)によるものである。

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ホート、女性で 1950-54 年出生コーホート以降で、離家の遅れが確認されている(鈴木 2002)。 先述のように、高等教育への進学構造や労働市場、結婚市場の変容が離家のあり方を変え

ていくことに加え、ジェンダーや出身背景といったミクロな要因も離家の発生やそのタイ

ミングに影響を与えることが知られている。特に日本社会の特徴的な点として、男性より女

性の方が離家が遅いことが挙げられる(鈴木 2003, 2011)。これは離家を引き起こすきっか

けのジェンダー差に起因し、男性は進学と就職が、女性は結婚が主な離家のきっかけとなっ

ていることによる(福田 2003)。

ジェンダーに加え、居住地の都市度、親の社会経済的地位や親の不在、きょうだい数など

の家族構造も離家を左右する要因として注目されてきた。出身地域が大都市であることは

進学機会や就業機会が豊富なことを意味するため、離家が遅れたり起こりにくくなること

が多くの研究から明らかにされている(岩上 1999; 鈴木 2003; 福田 2003)。家族構造に

関しては、親元がひとり親世帯であることや(福田 2003; 田渕 2009)、きょうだい数が多

いことが離家を促進することが知られている(岩上 1999; 鈴木 2003; 福田 2003; 澤口・

嶋﨑 2004; 田渕 2009)。親の社会階層や教育レベルについては、父親の学歴が高いほど離

家が遅れるという結果がある一方で(鈴木 2003; 福田 2006)、子どもの離家に対して父親

の教育レベルの効果はないという結果も存在する(福田 2003; 田渕 2009)。出身階層につ

いても、田渕(2009)は父親がいわゆる一般従業者であることに比べて専門・管理職層と自

営業層は息子の離家が促進されると指摘しているが、福田(2003)は経営・管理職層では離

家が息子の促進されるものの、自営業層では一般従業者よりも離家が遅れるという結果を

示している。

(3) 本稿の目的

本稿の目的は、現時点での比較的若い人々を対象とし、離家の経験の有無やそのきっかけ

におけるジェンダー差と世代差、離家を促進・抑制する出身背景的要因について考察するこ

とである。具体的方法は後述するが、本稿で用いる東京大学社会科学研究所の「働き方とラ

イフスタイルの変化に関する全国調査(Japanese Life Course Panel Surveys: JLPS)」の

若年・壮年パネル調査データ(JLPS-Y, JLPS-M)では、2007 年開始時からのオリジナル

サンプル、2011 年に追加された追加サンプル、そして 2019 年に追加されたリフレッシュ

サンプルに含まれる人々の離家の経験を知ることができる。これは 2015 年 SSM 調査を分

析した林(2018,2021)よりも、さらに若い世代を含むものであると同時に、サンプルの

年齢層が SSM 調査ほど広くないために、若年・壮年世代の離家を手厚く分析することが可

能となっている。また本調査データの特徴として、対象者の毎Wave の回答のみならず、回

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顧的に尋ねられている多様なバックグラウンドを離家と関連づけて議論することができる。

2. データと方法 (1) 使用するデータ

本稿で使用するデータは、東京大学社会科学研究所が 2007 年から実施している「働き方

とライフスタイルの変化に関する全国調査(Japanese Life Course Panel Surveys: JLPS)」

の若年パネル調査(JLPS-Y)と壮年パネル調査(JLPS-M)である。 離家についての質問項目は、2016 年の調査票に設けられており、そこでは 2007 年から

のオリジナルサンプル、2011 年からの追加サンプルに対して尋ねられている。また 2019 年

から新たに追加された若年リフレッシュサンプルについても、2020 年の調査票にて同様の

質問が設けられたことから、1966 年から 1998 年までの出生年の回答者の離家の状況を把

握することができるようになった。そこで本稿では、サンプルを出生年によって 3 つに区

分し、1966-75 年出生コーホート、1976-86 年出生コーホート、1987-98 年出生コーホート

を比較することで、離家の世代間の差異に着目する。 離家に関する設問は、「あなたは、親と離れて別の世帯に住んだことがありますか。」とい

うリード文に対して、「1. 親と離れて別の世帯に住んだことがある」「2. 生まれてからずっ

と親と同居している」「3. 親が亡くなるまでずっと一緒に住んでいた」から当てはまるもの

を 1 つ選択するものである。「1. 親と離れて別の世帯に住んだことがある」を選択した場合

は、付問 1 として「はじめて親と離れたのは、あなたが何歳のときでしたか。」という問い

に対して満年齢で回答し、付問 2 として「はじめて親と離れたきっかけは何ですか。」とい

う問いに対しては、「1. 入学・進学」「2. 就職・転職・転勤」「3. 結婚」「4. その他(具体的

に: )」から当てはまるものを 1 つ選択する2。

(2) 分析のストラテジーと方法

本稿では、本調査データでの離家に関する情報を要約的に考察することと、データに含ま

れる多様な情報を有意義に利用することを意図した分析を行う。

はじめに離家の発生状況についての記述的な分析として、調査時点での経験率や経験時

の年齢を性別、出生コーホート別に概観し、その後、離家のきっかけのジェンダー及び世代

2 「4. その他」からは、アフターコードとして「同棲」「独立・自立」「その他家庭の事

情」などが作成されているが、本稿ではこれらはすべて「その他」としてひとまとめにす

る。

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による差異について確認していく。最後に多変量解析では、離家をそのきっかけで区別し、

主に出身背景に着目した分析を行う。その際、年齢段階によって独立変数の影響が異なるこ

とを考慮し、若年期をいくつかに細かく区切って分析する。

3. 離家とそのきっかけについての記述的分析 (1) 調査時点における離家の発生状況

表 1 は、出生コーホートと男女別に、調査時点での離家経験率、離家年齢の中央値を示し

たものである。データ上では離家経験時の年齢は 1 歳刻みの情報でしかわからないが、こ

こでの離家年齢の中央値は、年間に等間隔で離家が起こると仮定し、ちょうどイベント発生

率が 0.500 になる年齢を当てている。

表 1 男女別、出生コーホート別の調査時点における離家経験率と離家年齢

離家経験率

(%)

離家年齢

中央値(歳)

男性 1966-75 年生 (n=824) 89.9 21.7

1976-86 年生 (n=615) 82.8 22.5

1987-98 年生 (n=711) 63.4 22.2

女性 1966-75 年生 (n=1078) 93.2 23.1

1976-86 年生 (n=837) 88.4 22.8

1987-98 年生 (n=944) 61.3 22.9

調査時点(オリジナルサンプル、追加サンプルに対しては 2016 年調査、リフレッシュサ

ンプルについては 2020 年調査)における離家経験率を見ると、男女ともに若いコーホート

ほど低いことがわかる。また 1987-98 年出生コーホートについては、最も若い者は調査時

点でちょうど大学を卒業する頃の年齢であり、今後、離家イベントが発生する可能性の高い

層が未経験者としてカウントされている。離家の経験者だけを取り出し、離家した年齢の中

央値を計算すると、男性では 22 歳前後、女性では 23 歳前後と、男女ともにコーホート間

で大きな差はないことがわかる。

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(2) 離家のきっかけの分布

次に、離家のきっかけの分布を男女別、出生コーホート別、離家経験年齢別に確認する。

離家経験年齢別とは、対象者が離家を経験した年齢を 15-17 歳、18-20 歳、21-24 歳、25-30 歳に区分するということであり、年齢段階によって離家のきっかけがどのように異なる

のかを把握する意図がある3。 図 1 が男性の結果、図 2 が女性の結果である。まず、男女ともに入学・進学による離家が

いずれのコーホートでも 10 代の離家の過半数を占めていることがわかる。これは高学歴化

にともない、高等教育機関への進学に際しての離家が増加したためであり、若いコーホート

ほどその割合は大きくなっている。特に入学・進学による離家は、1966-75 年出生コーホー

トと 1976-86 年出生コーホートの間で大幅に上昇している。

図 1 出生コーホート別、離家年齢別、離家のきっかけの分布(男性)

就職・転職・転勤による離家は、男女ともに 10 代で縮小し、20 代では拡大している。就

職・転職・転勤による離家の多くは労働市場への新規参入時に経験されており、学校から職

業への移行と同時に発生しているため、高学歴化とともにその発生年齢も高まりを見せて

いる。 結婚による離家は男女ともに 10 代ではあまり見られず、ほとんどが 20 代で経験されて

いるが、晩婚化や未婚化を反映して若い世代ほど結婚による離家の割合は低下している。男

3 したがって 14 歳以前、31 歳以降で生じた離家については分析に含まれていない。

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性の 20 代後半に着目すると、結婚をきっかけとする離家は 1966-75 年出生コーホートで過

半数であったが、1976-86 年出生コーホートでは半数を下回っている。女性ではいずれのコ

ーホートでも 20 代後半の離家の最も多いきっかけではあるものの、その割合は徐々に低下

していることがわかる4。

図 2 出生コーホート別、離家年齢別、離家のきっかけの分布(女性)

(3) 離家イベントの可視化

ここで離家の発生状況を出生コーホート別に視覚化してみよう。離家の経験は、その経験

の有無やきっかけに加えて、ある年齢段階においてどのくらいの割合の人々がすでに離家

を経験しているのかという、集団レベルでの経験率の推移についての記述にも意義がある。

そこで、対象者の若年期(15-34 歳)を対象として、分析可能な単位である 1 年刻みの時間

軸の中で離家がどのように起こっていくのかを図示する。 図の縦軸は、それまでに経験された離家の割合(離家の累積経験率)であり、横軸に示さ

れた年齢時点で離家が経験された場合は、そのきっかけの色で経験率を積み重ね、それ以降

の年齢時点では「離家済み」とする。その年齢時点でまだ離家を経験していない場合は「親

と同居」とし、調査時点で横軸の年齢を過ぎていない場合は「対象年齢以下」とする5。

4 ただし 1987-98 年出生コーホートには調査時点で 30 歳に達していない者が含まれるた

め、今後、この差はある程度縮小していくことが予想される。 5 「対象年齢以下」について、調査時点で 34 歳以下であっても、すでに離家を経験してい

る場合は「対象年齢以下」には入らず、該当する離家のきっかけに振り分けられている。

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図 3 は、男性の離家の発生状況を出生コーホート別に図示したものである。18 歳までに

離家を経験した者の割合は、古いコーホートから順に 31%、29%、27%であり、早期の離

家がわずかに減少していることがわかる。2015 年 SSM 調査データを用いて 1935-50 年、

1951-70 年、1971-94 年出生コーホートに対して同様の分析をしている林(2021)では、男

性の 18 歳終了時点での離家の経験率は順に 47%、46%、36%であったことが示されている

ことから、18 歳終了時点までの離家は長期的にも減少し続けている。図からも明らかなよ

うに、この間の離家の多くは 18 歳時における入学・進学による離家で占められ、次いで多

いのはいずれのコーホートでも就職・転職・転勤による離家である。

図 3 離家の経験状況の可視化(男性)

25 歳終了時点での離家の経験率は、古いコーホートから順に 66%、61%、58%である。

2015 年 SSM 調査における 1935-50 年、1951-70 年、1971-94 年出生コーホートでは、そ

れぞれ 69%、68%、64%であったことから(林 2021)、長期的にも 25 歳終了時での離家

の経験率にはわずかな低下が見られるものの、大きな変化はないと言えよう。20 代前半に

おける離家のきっかけは、就職・転職・転勤によるものが多く、とりわけ 4 年制大学の現役

での卒業年齢に相当する 22 歳やその次の 23 歳において、大卒就職にともなう離家が多く

含まれている。 30 歳終了時点での状況は、古いコーホートから順に 80%、77%、63%が離家を経験済み

である。1987-98 年出生コーホートの割合が小さいのは、調査時点でこの 30 歳以下の者が

3 割ほど存在するためであり、実質的な変化を表しているものではない。20 代後半以降に

なると、離家のきっかけで最も多いのは結婚である。しかし新しいコーホートほど結婚によ

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る離家の割合は小さくなっている。 図 4 は、女性の離家の発生状況を出生コーホート別に図示したものである。18 歳までに

離家を経験した者の割合は、古いコーホートから順に 26%、26%、24%であり、ほとんど

変化がないことがわかる。2015 年 SSM 調査データでの値は 1935-50 年、1951-70 年、1971-94 年出生コーホートでそれぞれ 35%、34%、31%であったため(林 2021)、18 歳までの離

家は長期的には減少しているが、その傾向は男性よりも緩やかである。この間に起こった離

家のきっかけについては、男性と同様、18 歳時における入学・進学による離家が最も多く、

18 歳時における就職・転職・転勤による離家が続く。

図 4 離家の経験状況の可視化(女性)

25 歳終了時点での離家の経験率は、古いコーホートから順に 63%、62%、56%であり、

最も若い 1987-98 年出生コーホートで経験率がやや低い。女性の 20 代前半における離家の

きっかけは就職・転職・転勤と結婚でほぼ占められているが、若いコーホートになるにつれ

就職・転職・転勤が増加し、結婚が減少している。

30 歳終了時点での状況は、古いコーホートから順に 84%、83%、61%が離家を経験済み

である。20 代後半における女性の離家のきっかけはほとんどが結婚であり、次に多いのが

「その他」である。 ここまで、男女それぞれについて離家の状況を記述的に確認してきた。次に離家の経験状

況のジェンダー差に着目してみよう。18 歳終了時点での離家の経験率の男女差は 1966-75

年と 1976-86 年出生コーホートの間で縮小し、25 歳終了時点では 1976-86 年出生コーホー

トにおいてジェンダー差がなくなっている。30 歳終了時点ではそれ以前の年齢段階とは異

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なり、女性の方が男性よりも経験率が高くなっているが、これは家業を継いだり結婚後も実

親と同居したりする確率が男性の方がより高く、すなわち、これ以降に離家を経験する予定

がない人々が含まれるためであろう。

総じて言えば、離家の経験率という量的な側面ではジェンダー差はほぼ消滅したが、離家

のきっかけという質的なジェンダー差は依然として残存していると言える。

4. 多変量解析による出身背景の効果に関する検討 離家に対する出身背景の影響について、多変量解析を用いて検討しよう。ここでは、若年

期の中での年齢と離家のきっかけとなるライフイベントとの関係性を考慮し、

Goldscheider and Goldscheider(1998)のように、リスク期間をやや細かく区切ったうえ

で、その間に起こった離家に対する出身背景の影響を考察する。具体的には、対象者の 15-

30 歳を 15-17 歳、18-20 歳、21-24 歳、25-30 歳の 4 つに区分し、それぞれの年齢段階ごと

に男女別に分析を行う。推定するのはこれまで用いてきた離家のきっかけを区別した離散

時間型多項ロジットモデル(競合リスクモデル)であり、従属変数は離家イベントが起きな

いことを基準カテゴリとした、それぞれのきっかけでの離家イベントの生起である。 独立変数、統制変数の定義は以下の通りである。両親に関係する変数として、15 歳時点

で父親が不在であったことを示すダミー変数(基準カテゴリは父親が健在であったこと)、

15 歳時点での母親の職業または不在であったこと(正規雇用・自営業を基準カテゴリとし、

非正規雇用、無職、不在をそれぞれダミー変数で投入)、父親と母親それぞれに高等教育経

験があることを示すダミー変数(基準カテゴリは高等教育経験がないことであり、統制変数

としてそれぞれの学歴不明を別途ダミー変数で投入)を用いる。きょうだいについては、自

分を含めたきょうだい数、男性であれば長男、女性であれば長女であることを示すダミー変

数を投入する。15 歳時点での家庭の状況については、15 歳時点での家庭の暮らしむきと家

庭の雰囲気を、それぞれ良いほど値が高くなるように変換して投入する。その他に 3 つの

出生コーホートを区別するためのダミー変数、対象時点の年齢(対象時の年齢を線形で投入)

を統制変数として用いている6。

なお、年齢段階によっては離家のきっかけを区別すると、発生した離家イベントが非常に

少なく、十分に分析に耐えうるサンプルサイズが確保できない。したがってそのような場合

には、従属変数からそのきっかけによる離家イベントの発生を削除し、右センサーとして扱

う。さらに該当ケースが少なく推定が不安定になる独立変数のカテゴリがある場合も、その

カテゴリを除いた分析結果を採用している。

6 標準誤差は、同一個人の反復測定と捉え、ID 変数によるクラスターロバスト標準誤差を

用いる。

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表 2 は多変量解析の結果の概要を示しており、上記の過程で分析結果が得られない箇所

は網掛けで示している。空欄は 10%水準で統計的に有意ではないことを、+と−は 5%水準で統計的に有意な効果でありその符号を表したもの、(+)と(−)は 10%水準で統計的に有意

であったことを示している。

表 2 性別、年齢段階別の多変量解析の結果概要

1

5

1

5

1

5

1

5

きょ

1

5

1

5

1

5

1

5

1

5

1

5

きょ

1

5

1

5

15−17歳 +

18−20歳 (−) − + (+) + − −

21−24歳 +

25−30歳 (+)

18−20歳 − − − − + (−)

21−24歳 +

25−30歳

(続き)

1

5

1

5

1

5

1

5

きょ

1

5

1

5

1

5

1

5

1

5

1

5

きょ

1

5

1

5

15−17歳

18−20歳

21−24歳 − (+) +

25−30歳 (+) + − (+)

18−20歳 (−) − + (+) −

21−24歳 − (+) (−) −

25−30歳 − − + − − (+) (+)

就職・転職・転勤による離家

その他のきっかけによる離家

注:符号のみのセルは5%水準で、括弧付きのセルは10%水準で統計的に有意であったことを示す。出生コーホート、対象時

の年齢、親の学歴不明、切片については省略している。

入学・進学による離家

結婚による離家

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すべての分析結果を掲載するのは煩雑なため、特徴的ないくつかの分析結果を別途図示

している(図 5-7)7。この結果はそれぞれの独立変数のロジスティック回帰係数の推定値を

ドットで、その 95%信頼区間をエラーバーでプロットしたもので、エラーバーが 0 をまた

ぐ場合は当該独立変数の効果が 5%水準で統計的に有意ではないことを示している。 男性の結果から確認しよう。男性の 15-17 歳の分析では、入学・進学以外のきっかけによ

る離家のイベント数が少ないため、入学・進学による離家が起こった場合のみイベントが発

生したと見なす(多項ではない)離散時間ロジットモデルとなっている。このとき、入学・

進学以外のきっかけで生起した離家イベントは、その直前の年齢段階までを観察期間とし、

それ以降を右センサーとして扱う。変数の効果を見ると、15 歳時父親不在の正の効果があ

り、父親が不在だと高等教育ではない教育機関への早期の進学が促されることがわかる。

18-20 歳の分析では、入学・進学による離家に対して母親が無職の負の効果が確認でき、

正規雇用や自営で働いていることと比べて主に専業主婦であることがこの間における息子

の入学・進学による離家を抑制するという結果である。きょうだいに関する変数では、きょ

うだい数と長男であることがともに正の影響を持っている。また 15 歳時の家庭の雰囲気が

良いことは入学・進学による離家が促進される。一方で、就職・転職・転勤による離家に対

しては、両親の高等教育経験が有意な負の効果を示している8。先の入学・進学による離家

の際には両親の高等教育経験は有意な効果を持っていなかったが、両親が高学歴であると

この年齢段階で就職・転職・転勤による離家が起こりにくいことの背景には、そもそも子ど

もも高等教育を受ける可能性が高いため、この年齢段階での就職が稀なためだろう。なお、

男性の 18-20 歳において結婚やその他のきっかけによる離家はわずかしか発生しない。

図 5 男性 18-20 歳の分析結果の図示

7 図 5-7 の各グラフの左上にあるのが、多項ロジットモデルにおける従属変数の値であ

る。 8 この年齢段階における離家では、そのほとんどが転職・転勤ではなく就職である。

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21-24 歳の分析では、父親の高等教育経験が就職・転職・転勤による離家に正、結婚によ

る離家に負の影響を与えている。これはちょうど大学を卒業する年齢に相当することから

大卒就職を反映した結果と考えられ、ライフイベントの経験が非大卒者よりも遅いことの

表れであろう。15 歳時の家庭の雰囲気が良いことが、結婚やその他のきっかけによる離家

を促進していることの背景には、結婚という新たな世帯形成に際して出身家庭からの十分

なサポートが受けられることや、経済的自立を促進するための基盤の証かもしれない。 25-30 歳の分析では興味深いことに、結婚による離家に対して父親の高等教育経験は正、

母親の高等教育経験は負の効果を示している。どのようなメカニズムでこのような結果が

得られるのか解釈が困難だが、後述するようにこの傾向は女性の分析結果でも確認できる。

図 6 女性 18-20 歳の分析結果の図示

次に女性の分析結果を見てみよう。15-17 歳の結果がないのは、この年齢段階での離家の

発生が男性よりさらに少ないためである。18-20 歳の分析では、入学・進学による離家に対

して母親の働き方の効果が見られ、母親が正規雇用や自営であることに比べて、非正規であ

ることや無職であることが離家を抑制することがわかる。就職・転職・転勤による離家と結

婚による離家に対しても、母親の無職の負の効果が見られる。すなわち母親が無職であると、

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少なくともこの年齢段階までは離家が起こりにくい。きょうだいの多さは、この年齢段階に

おける就職・転職・転勤による離家と結婚による離家を促進する。女性の結婚による離家に

対するきょうだい数の効果は、2015 年 SSM 調査でも同様の結果が示されており(林 2021)、

比較的頑健な結果だと言えよう。一方で、母親の高等教育経験は結婚による離家を抑制し、

15 歳時の家庭の雰囲気もその他のきっかけによる離家に対して負の影響を持っている。

21-24 歳の分析では、就職・転職・転勤による離家と結婚による離家で、18-20 歳の場合

と同様にきょうだい数の正の効果が確認できる。また父親の高等教育経験は、この年齢段階

における結婚やその他のきっかけによる離家を抑制している。

25-30 歳の分析では、結婚による離家においてさまざまな効果が確認できる。母親の働き

方は、正規雇用や自営であることに対して非正規雇用、無職であることが負の影響を持って

おり、結婚による離家を抑制している。また前述のように父親の高等教育は正、母親の高等

教育は負の影響を示し、長女であることも負の影響を持っている。意図的かそうでないかに

かかわらず、何らかの理由で 24 歳まで親元にとどまっている女性にとって、20 代後半にな

って親の働き方や学歴が結婚による離家を左右する様子は、その後のライフイベントにも

影響を与えうる現象として注目に値する。

図 7 女性 25-30 歳の分析結果の図示

5. まとめと今後の課題 本稿では、親元からの物理的な離脱を意味する離家というライフイベントについて、その

基本的な考察を行ってきた。記述的な分析結果からは、離家の量的特性とも言うべき経験率

について、先行研究で見られていた世代差が、1966-75 年出生コーホートと 1976-86 年出

生コーホートの間でほぼ消滅していることが明らかになった。また 20 代までの離家の発生

状況に限れば、離家経験率のジェンダー差も明確ではなくなっている。しかしその一方で、

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離家のきっかけという質的な側面において、ジェンダー差が依然として大きいことがわか

った。 多変量解析から得られた知見を総合すると、以下の 3 点が指摘できる。第 1 に、今回分

析で取り上げた出身家庭の影響は年齢段階によって異なっており、それぞれの年齢段階に

特有の効果がもたらされているということである。このことは、年齢段階を区切らずに分析

を行った場合には、それぞれの効果がぼやけてしまい、本来の影響を見落としてしまうこと

を意味する。 第 2 に、出身家庭の影響として取り上げた独立変数のうち、統計的に有意な効果はそれ

ほど多くはなかったものの、その中で有意であった効果も男女で様相が異なっていること

である。10 代後半から 30 歳までの若年期にも、進学先や就業形態などにジェンダー差があ

ることは広く知られている。しかし先に見た離家のきっかけのジェンダー差のみならず、離

家に対する出身家庭の影響にもジェンダー差があることは、成人期への移行過程において

ジェンダーが複雑な役割を果たしていることを示唆する。単に、離家のきっかけにジェンダ

ー差があるというだけでなく、出身家庭のさまざまな要素を媒介する働きを持っている。 第 3 に、概して女性の方が男性よりも出身家庭の影響を受けるようである。特にきょう

だいが多いことは就職・転職・転勤による離家、結婚による離家を促し、出身家庭からの地

理的、経済的な離脱を経験させやすくする。これも第 2 の点と関連して、きょうだい内での

ジェンダーによる識別がもたらす帰結だと考えられる。 今後の方法論的な発展可能性として次の点が挙げられる。本稿では多変量解析に当たっ

て年齢段階と性別に分析を行ったが、結果の頑健性が保たれる条件が整えば、性別や年齢段

階と諸変数との交互作用項を用いることで、よりダイレクトな検証が可能になるだろう。ま

た、パネル調査であることを活かした分析として、離家前後での意識の変化などのより個人

の内面にフォーカスした考察が考えられる。JLPS の若年・壮年パネル調査には観察期間中

に離家を経験する者も含まれており、さらにリフレッシュサンプルの中には今後、離家を経

験するであろう人々も多い。成人期への移行をテーマとする研究において、着目するイベン

ト前後の個人の動態を把握できることは大きな強みであり、それぞれのライフイベントの

文脈的解釈も豊かになるだろう。

引用文献 Berngruber, Anne, 2017, “Leaving the Parental Home as a Transition Marker to

Adulthood,” Andy Furlong ed., Handbook of Youth and Young Adulthood: Second Edition, 193-198, Routledge.

福田節也, 2003, 「日本における離家要因の分析——離家タイミングの規定要因に関する考

察」『人口学研究』, 33: 41-60.

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————, 2006, 「未婚女性の離家・ライフスタイル・結婚」『季刊家計経済研究』, 72: 31-

42. Goldscheider, Frances, K. and Calvin Goldscheider, 1998, “The Effects of Childhood

Family Structure on Leaving and Returning Home,” Journal of Marriage and Family, 60 (3): 745-756.

林雄亮, 2018, 「戦後日本の離家現象——趨勢と離家理由に着目して」荒牧草平『2015 年

SSM 調査報告書 2 人口・家族』, 45-59. ————, 2021, 「離家の変化と出身背景による格差」中村高康・三輪哲・石田浩編『少子

高齢社会の階層構造——人生初期の階層構造』, 203-223. 岩上真珠, 1999, 「20 代、30 代未婚者の親との同別居構造分析——第 11回出生動向基本調

査 独身者調査より」『人口問題研究』, 55 (4): 1-15.

Mulder, Clara H., 2009, “Leaving the Parental Home in Young Adulthood,” Andy Furlong

ed., Handbook of Youth and Young Adulthood: New Perspectives and Agendas, 203-210, Routledge.

Newman, Katherine S., 2012, The Accordion Family: Boomerang Kids, Anxious Parents and the Private Toll of Global Competition, Beacon Press, (=萩原久美子・桑島薫訳, 2013, 『親元暮らしという戦略——アコーディオン・ファミリーの時代』岩波書店).

澤口恵一・嶋﨑尚子, 2004, 「成人期への移行過程の変動——学校・職業・家族の共時性」

渡辺秀樹・稲葉昭英・嶋﨑尚子編『現代家族の構造と変容』, 東京大学出版会, 99-120.

Shanahan, Michael J., 2000, “Pathways to Adulthood in Changing Societies: Variability

and Mechanisms in Life Course Perspective,” Annual Review of Sociology, 26, 667-692.

鈴木透, 2002, 「世帯の形成と拡大」国立社会保障・人口問題研究所編『現代日本の世帯変

動——第 4回世帯動態調査』, 31-38.

————, 2003, 「離家の動向・性差・決定因」『人口問題研究』, 59 (4): 1-18. ————, 2011, 「世帯動態調査からみた家族の現状と変化」『家族社会学研究』, 23 (1): 23-

29. 田渕六郎, 2009, 「離家とその規定要因——日本・ドイツ・イタリアの比較を通じて」『人口

問題研究』, 65 (2): 28-44.

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東京大学社会科学研究所パネル調査プロジェクトについて

労働市場の構造変動、急激な少子高齢化、グローバル化の進展などにともない、日本社

会における就業、結婚、家族、教育、意識、ライフスタイルのあり方は大きく変化を遂げ

ようとしている。これからの日本社会がどのような方向に進むのかを考える上で、現在生

じている変化がどのような原因によるものなのか、あるいはどこが変化してどこが変化し

ていないのかを明確にすることはきわめて重要である。

本プロジェクトは、こうした問題をパネル調査の手法を用いることによって、実証的に

解明することを研究課題とするものである。このため社会科学研究所では、若年パネル調

査、壮年パネル調査、高卒パネル調査、中学生親子パネル調査の4つのパネル調査を実施

している。

本プロジェクトの推進にあたり、以下の資金提供を受けた。記して感謝したい。

文部科学省・独立行政法人日本学術振興会科学研究費補助金 基盤研究 S:2006 年度~2009 年度、2010 年度~2014 年度 基盤研究 C:2013 年度~

2016 年度 特別推進研究:2015 年度~2017 年度 若手研究 A:2015 年度~2018 年度

基盤研究 B:2016 年度~2020 年度 特別推進研究:2018 年度~2024 年度

厚生労働科学研究費補助金 政策科学推進研究:2004 年度~2006 年度

奨学寄付金 株式会社アウトソーシング(代表取締役社長・土井春彦、本社・静岡市):2006 年度

~2008 年度

東京大学社会科学研究所パネル調査プロジェクト ディスカッションペーパーシリーズについて

東京大学社会科学研究所パネル調査プロジェクトディスカッションペーパーシリーズは、

東京大学社会科学研究所におけるパネル調査プロジェクト関連の研究成果を、速報性を重

視し暫定的にまとめたものである。

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東京⼤学社会科学研究所 パネル調査プロジェクト https://csrda.iss.u-tokyo.ac.jp/panel/