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4 IoTの未来 2017-2026[特許分析編]

序章 

「IoTの未来」の構成と特許分析の手法 8

テーマ選定の考え方 13

第1章 生活環境

サマリー 16

1-1. スマートハウス 19

1-2. スマート家電 34

1-3. アシスタント・ロボット 49

1-4. 医療・ヘルスケア 64

1-5. スポーツ・エンターテインメント 79

第2章 移動手段

サマリー 96

2-1. スマートシティ 99

2-2. 自動運転 114

2-3. 公共交通機関 129

著者一覧 144

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5IoTの未来 2017-2026[特許分析編]

第3章 社会インフラ

サマリー 154

3-1.  スマートグリッド/エネルギー・資源 157

3-2.  次世代通信 172

3-3.  環境・災害対策 186

3-4.  ドローン 200

第4章 流通

サマリー 216

4-1. スマート販売 219

4-2. 次世代情報流通 234

第5章 オフィス/工場

サマリー 248

5-1. スマート工場 251

5-2. スマート農業 265

5-3. スマートオフィス 279

著者一覧 293

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8 IoTの未来 2017-2026[特許分析編]

「IoTの未来」の構成と特許分析の手法 本書は今後の日本の産業界にとって重要と考えられ

る技術テーマをロードマップとして解説した『テクノロ

ジー・ロードマップ2016-2025 <全産業編>』(日経BP

社、2015年)、『テクノロジー・ロードマップ2016-2025

<ICT融合新産業編>』(日経BP社、2016年)などから、

IoT(internet of things)技術の利用シーンを想定し、今

後の情報化社会にとって重要度が高いと思われる17の

テーマを選んで、解説したものである。今後10年の市場

や技術、プレーヤーなどの動向に関して、現在までの各

社の特許出願状況を裏付けとして分析し、新規参入に当

たって技術、製品群を探求する際の参考となることを意

図した構成となっている。

 従来の特許マップは、過去の状況を明確にすることに

特化したものが多い。本書に用いた特許マップは、特許

群の抽出の手法、分析対象とするマップの選び方、権利

存続状況、既存特許の価値評価の組み合わせに特徴があ

る。特許を裏付けに今後10年にどのような技術の方向

性が描けるかを導き出している。

 以降、各テーマの構成と、本書で使用した特許分析手

法および各種のデータ(特許マップ)の意味を解説する。

<各テーマの構成>

□技術やサービスの特徴

 特許の出願状況から見た今後10年の市場動向、技術動

向の予測を、以降の各パートの結果を踏まえて総括した。

出願が増加傾向にあるか、減少傾向にあるか、また、理

由が明確な場合はその根拠を解説する。また、開発およ

び特許の権利化に積極的な企業が明確な場合は、そこに

注目して解説している。今後10年の傾向が特許で浮き

彫りになる場合、その理由を解説するとともに新規事業

とした場合、どの技術が重要であり、何に着目して開発

を進めるべきか、さらに、どのような特許を出願してい

くべきかを明らかにしている。

□企業戦略の変遷

 企業戦略の変遷を市場動向、法的問題など外部要因を

踏まえて解説した。企業ごと、発明者ごとの特許分析マッ

プをベースに、各テーマに注力している企業を洗い出し

ている。ライセンス目的で多種多様な特許を保持してい

るプレーヤーは特徴的な動きをしている場合が多い。実

際の製品開発に関しては、市場動向にどれだけマッチし

ているかが判断材料になる。また、特許出願動向と一般

の報道で知られる企業の動きが必ずしも一致しないこ

とがある。ここでは、一般文献、Web記事、ニュースリリー

ス、発表資料などをリソースとし、特許出願動向だけに

とらわれずに全体を概観した。

□技術動向の変遷

 技術動向の変遷を解説した。各テーマに関する特許群

を二つの集合に分け、対比させることで注力している開

発テーマが何かを洗い出し、今後10年の技術動向予測を

行っている。二つの集合に関しては、マクロな視点での

分析を主体に、「用途:テーマを何に用いるのか」「課題:

その場合の技術的な課題」の2軸とすることを基本とし

た。また、特許文献のみでは情報不足の場合、一般文献、

Web記事、ニュースリリースなどから得られる情報を加

味し、市場に流通する商品/サービス群とその顧客価値

に関する期待機能の内容を示している。

□注目企業の動向

 上記の分析結果を踏まえ、各テーマでの注目企業を

ピックアップした。なぜ注目したかその理由と、その企

業の具体的な製品や技術開発に対する取り組みなどか

ら、その企業の特徴を抽出している。

□注目特許

 企業戦略の変遷、技術動向の変遷、注目企業の動向を

通して、今後10年の技術動向を見る上で注目すべき特許

公報をピックアップした。

<特許分析の手法とマップの意味>

 特許分析に関しては、通常の特許分析同様に、分析対

象の設定、マクロ分析からミクロ分析という流れで実施

した。ただし、未来予測がメインであるため、現在から

過去を詳細に分類分けし、厳密な解析処理を行うことは

していない。従って、従来の特許分析に多く見られた「A

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9IoTの未来 2017-2026[特許分析編]

社が特許を○件出願しており」といった事象の説明では

なく、特許マップから、未来の動向をどうひもとくか、

特許マップに表れる特徴をどう読み解くかがポイント

になる、

 実際にどのような手順で行ったかを、図1に従って説

明し、随時作成される特許マップの意味について解説す

る。

1. 母集合の設定 母集合の設定に関しては、従来通り、特許検索ASP

(Application Service Provider)サービスを用いる。検

索式を組み立てて特許公報リストを取得する方式であ

る。未来技術については該当する特許分類は存在しない

場合が多いため、適切なキーワードを用いての、キーワー

ド検索がポイントとなる。

 キーワードの選定に当たっては、「テクノロジー・ロー

ドマップ」、各章の著者による市場の動向と製品動向な

どからキーワードをピックアップした。特許検索におい

てはノイズとして除外される無関係に見える特許群に

関しても、完全に無関係でない限り、必要に応じて対象

集合としている。

 検索は、特に注記のない限り以下を対象として検索を

実施している。

・出願年:

 特許の権利存続期間20年を考慮し、IoT技術の黎明期

をカバーするため、2000年以降の特許公報を対象とした。

・対象国:

 日本、米国、欧州、国際に対する特許出願。

・重複出願:

 INPADOCのパテントファミリーを用いて重複除去を

行い、特許公報の重複除去を行った。INPADOC

(International Patent Documentation Center)とは、欧

州特許庁(EPO)が作成している世界各国の特許の書誌

事項のデータベースである。INPADOCのパテントファ

ミリーは、同一の優先権または、その優先権の組み合わ

せを持つすべての文献を含むものとして定義されてい

る。特許庁に最初に提出された特許出願と、他の国の特

許庁に優先権主張期間内に優先権を主張して出願され

た同一の特許出願から生じるすべての特許文献は一つ

のものとする。

2. 母集合全体の動向・出願人年次推移図

 全体および出願件数上位の企業の出願推移を俯瞰す

る(図2)。新しい年度に出願が多いテーマほど、開発が

盛んなテーマといえる。ただし特許公報は、基本的に出

願されてしばらくの間(1年6カ月)は特許が公開されて

いない。このため、件数データとして有効なのは、2014

年までの範囲となる。グラフ全体での傾斜の特徴、特定

企業の急激な増加・減少を事象として読み取る。

・発明者年次推移図

 出願件数上位20名の発明者の出願推移を俯瞰する(図

図 1 特許分析の流れ

(アモティ)

母集合の設定

技術要素ごとの傾向

母集合全体の傾向

分類軸の設定

✓特許検索を行い、一次母集合を作成します

✓分類軸毎の動向を俯瞰します

✓より詳細に出願動向を俯瞰するために、一次母集合を、課題、製品種別、技術要素といった切り口で分類します

特許評価スコア✓出願数と特許評価スコアの比較を行い質の高い特許が多く出願されている技術要素を洗い出します

✓母集合全体の動向を俯瞰しますふかん

合計出願人

その他沖電気工業情報通信研究機構(NICT)KDDIGENERAL ELECTRIC

半導体エネルギー研究所INTEL

富士フイルムALCATEL_LUCENT

キヤノンリコーLG Electronics

SAMSUNG

富士通InterDigital

Microsoft

Philips

東芝グループ三菱グループシャープ日立グループNECQualcomm

ソニーNTTグループパナソニック

出願年(年)

出願件数(件)

合計折れ線グラフ(合計)

0

50

100

150

200

250

300

350

400

0

50

100

150

200

250

300

350

400

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2011

2009

2010

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2015

2013

2014

図 2 出願件数の推移

(アモティ)

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10 IoTの未来 2017-2026[特許分析編]

3. 分類軸の設定 分類軸の設定は、「テクノロジー・ロードマップ」にお

ける、市場の動向、製品動向の解説などからピックアッ

プしたキーワードを基に、母集合全体をより詳細に俯瞰

するために、細かな集合群に分けている。キーワードを

ピックアップする際には、今後10年にポイントとなる

キーワードをそれぞれのテーマごとに選択した。実際に

特許検索を行う際には、特許公報に記載されている用語

に変換し、シソーラス群を作成した。

 また、特許公報には、さまざまな特許分類、IPC注1)、

FI注2)、Fターム注3)、CPC注4)が付与されているが、

いずれも未来技術の分類には適していない。特許分類は、

既存製品、技術に該当する分野がある場合に使用してい

る。今回、使用した特許分類は、日本、米国、欧州、国際

出願で共通となっているIPCを用いた。また、本細分類

を作成する際に、もともとの母集合に不足や明らかなノ

イズが見られた場合は、集合全体の再設定し、1~3を再

実施している。

4. 技術要素ごとの動向 2では、未来予測を行うテーマ全体に対して動向を俯

瞰したが、ここではより詳細に、3でピックアップした用

3)。紙面上で全発明者を俯瞰するのは困難なため、上位

20名程度を可視化している。精力的に出願を続けている

発明者と所属する企業、団体の洗い出しを行う。

・発明者権利残存期間図

 2035年まで各年ごとに出願後20年権利が存続すると

して、登録後に権利が存続している特許公報(権利残存

または登録残存)が何件あるかの推移を示す。特許評価

スコアの高い特許を保持する発明者、上位20名の発明者

の出願推移を俯瞰する。全発明者を示すのは困難なため、

上位20名程度を可視化している。発明者年次推移図と対

比させることで、該当テーマのキーマンとなる人物が存

在するか、企業としてどこが中心となるのかを洗い出す。

・ライフサイクル

 縦軸に発明者、横軸に出願人の数を取り、出願動向を

俯瞰する。企業数、発明者数を対比することにより、一

つの特許出願にかける人員が明らかになり、少人数の研

究者による基礎研究段階にあるか、大規模な研究開発・

製品化のフェーズとなっているかを判断する。現在が、

開発のライフサイクルのどのシーンに属しているかを判

断することで、今後10年の発展性の判断材料として用い

る(図4)。

(出所:アモティ)

3

1

13

4

6

2

1

1

1

1

1

4

1

2

4

85

2

2

2

2

4

7

1

4

1

1

1

25

12

3

2

10

2

2

2

2

9

9

9

2

4

3

2

1

1

2

4

3

3

8

2

1

8

8

8

8

ソク,ヨンホ

柳康裕

インヒョクチャ

キム,ジョンキ

河村尚志

ダイアナパニ

クワク,ジンサム

ジャン-ルイスゴヴロー

宮内洋宜

ロッコディジローラモ

今仁和武

清家一徳

ハン,スンヒ

栗本和典

斎藤洋

高野裕昭

赤石和幸

小幡京加

浅井康太

木通秀樹

出願年

バブルチャート(最多出願人)

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

発明者

LG

清家一徳長浦善昭日本総合研究所アンリツInterDigital

パナソニック

最多出願人

NTTグループソニー

図 3 発明者年次推移図

0

372文書数

0

0

200

400

600

800

1000

1200

50 100 150 200 250 300 350 400 450 500

出願人数

ライフサイクル

発明者数

図 4 ライフサイクル図

(出所:アモティ)

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11IoTの未来 2017-2026[特許分析編]

マのため、基本的には、権利残存期間に大きな変動がな

いものが多い。技術自体が枯れてきていて、開発が積極

的になされていない場合は、早めの減少傾向となる。そ

のような技術要素の場合、画期的なアイデアがないと新

規参入は難しい。製品開発サイクル上のどの位置での停

滞かによって、アプローチは異なり、より詳細な分析が

必要となる。

・主要用途、課題、技術要素-出願件数対比図

・主要用途、課題、技術要素-特許評価スコア対比図

 単独の年次推移図に対して、各分類を対比させた図で

ある。(図7)。出願件数と特許評価スコアを同軸の分類

で対比させることで、強い権利の少ない開発黎明期にあ

るか、または減退期にあるかの判断材料とする。バブル

内の色分けは年次推移図と同様である。

5. 特許評価スコア 特許の出願動向を俯瞰するために、基本的には出願件

数を用いることが多い。数の理論として傾向を見るに

は正しいパラメータだが、無駄な特許が数多くある場合、

今後生き残れるかを判定するには不十分である。そこで、

技術要素に関しては特許評価スコアを用い、技術要素ご

との重要度を判定する手法を採った。

途、課題、技術要素ごとの動向を俯瞰する。

・主要用途、課題、技術要素年次推移図

 3でピックアップした主要技術の年次推移を俯瞰する。

主要技術に関しては、テーマによって、俯瞰しやすい切

り口を選択し、製品での分類、技術的な課題で分類する。

製品技術そのものでの分類を、それぞれテーマごとに選

択し俯瞰した。基本的には、直近に出願が多く、増加し

ているテーマほど開発が盛んになってきているテーマで

あり、直近までの大まかな開発動向を把握できる。課題、

製品など二つの分類軸を対比させることで今後10年の

傾向が明確になる場合は、対比させた図を用いた(図5)。

 また、バブル内は公報リストの上位5企業を色分けし

ており、該当分類で年度ごとに積極的に出願を行ってい

る企業の洗い出しにも利用した。上位数社で半数以上の

出願となっている寡占状態のテーマに関しては、新規参

入が難しいテーマといえる。

・主要用途、課題、技術要素-権利残存期間図

 各技術要素に関して2035年まで各年に権利の存続し

ている特許公報が何件あるかの推移を俯瞰する(図6)。

バブル内は公報リストの上位5企業を色分けしており、

該当分類で年度ごとに権利的に強い特許を保持してい

る企業の洗い出しにも利用した。比較的新しい技術テー

11HEMS

11快適性向上

11ホームセキュリティ

11見守り

11健康管理

11災害対応

11広告情報配信

出願年

バブルチャート(出願人バブル)

11機能

2000

1999

1998

1997

1996

1995

1994

1993

1992

1991

1990

1989

1988

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

パナソニック

その他

ソニー

日立グループ

NTTグループ

Qualcomm

出願人

図 5 主要用途、課題、技術要素年次推移図

(出所:アモティ)

11HEMS

11快適性向上

11ホームセキュリティ

11見守り

11健康管理

11災害対応

11広告情報配信

登録残存

バブルチャート(出願人バブル)

11機能

2016

2017

2018

2019

2020

2021

2022

2023

2024

2025

2026

2027

2028

2029

2030

2031

2032

2033

2034

2035

パナソニック

その他

Philips

ソニー

NTTグループ

Qualcomm

出願人

図 6 主要用途、課題、技術要素-権利残存期間図

(出所:アモティ)

パナソニック

その他NTTグループ日立グループPhilips

Qualcomm

バブルチャート(出願人バブル)

出願人

11HEMS 11快適性向上 11ホームセキュリティ 11見守り

11機能

11健康管理 11災害対応 11広告情報配信

11センサー

11負荷対策

11不正ウイルス対策

11統計解析処理

11ロボティクス

11技術課題

図 7 主要用途、課題、技術要素-対比図

(出所:アモティ)

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12 IoTの未来 2017-2026[特許分析編]

アップする目的で行う(図10)。価値の高い特許が多い

技術要素は、各テーマが主要な技術要素となっていくこ

とが推測される。一方、同じ技術要素を用いた新規参入

に関してはハードルが高い技術といえる。

 また、特許マップの俯瞰、分析の過程において、今後

10年を考えた場合にカギとなる特許公報が見つかる。そ

の場合、各特許庁の特許公報のフロントページを引用し

ている。

注1)IPC:International Patent Classificationの略で、各国特許庁が共通で用いる、特許の技術内容を基にした国際分類

注2)FI:IPCを基にした日本国特許庁独自の特許分類注3)Fターム:特許を技術テーマとテーマ内要素に分けて分類した日本国特許庁独自

の特許分類注4)CPC:欧州特許庁と米国特許商標庁との共同で策定した新しい特許分類で

2013年から運用が開始された。注5)「特許評価指標PCI(Patent Competency Index)は、プロパティが権利を保有

し、アモティはプロパティからライセンス提供を受けて自社の特許評価ASPサービス「PCI-ReSerge」で利用している。

 特許評価スコアは、特定の特許に対してその価値を定

量的に判定するためのさまざまなスコアリング手法が

ある。詳しい説明は割愛するが、今回は、アモティの特

許分析評価ASPサービスで用いられている「AECIL

(Amoty Evaluation of Competency Index for

Literature)」を用いた(図8)。

 AECILは、特許評価指標「PCI(Patent Competency

Index)」(図9)の設計思想を基にしており、特許文献の

みでなく技術文献全体を定量分析、評価するための評価

指標である。PCIは、特許を「外からの注目度」「自社の

注力度」「権利/技術の強さ・広さ」「権利状態」の四つの

観点からスコアリングすることで、特許情報を「重要度」

の観点から定量分析、定量評価を可能にする特許評価指

標である注5)。

 技術要素の単純な出願件数と特許評価スコアの比較

は、より価値の高い特許公報が多い技術要素をピック

PCIの設計思想

PCIスコア その他のAECILスコア

AECIL

PCI®準拠の設定 その他の設定

各種技術文献

特許公報

吸収汎用化

図 8 今回用いた特許評価スコア「AECIL」

(出所:アモティ)

製品合計 出願件数 製品合計 特許評価スコア

418.5(48%)

158(18%)

123.9(14%)

107.1(12%)

32(4%)24.6(3%) 8.4(1%)

TFTプロジェクター有機ELLTPS電子ペーパーIGZOIPS-FFS

822(37%)

783(35%)

311(14%)

175(8%)77(3%)

37(2%) 36(2%)

製品

図 10 特許評価スコア比較

(アモティ)

・登録・審査請求済・未審査請求・消滅

× ウェイト

×

・第一請求項の文字数・請求項数・明細書のページ数・IPCクラスの数

× ウェイト

技術の深さ・広さ

・被引用数・閲覧請求回数・情報提供数・異議申立 /無効 審判請求人数

× ウェイト

外からの注目度

・早期審査の有無・外国出願の有無

× ウェイト

自社の注目度

権利の状態

図 9 「PCI」の概要

(出所:アモティ)

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Page 9: 特別編集版 - Nikkei BP M · る(図2)。新しい年度に出願が多いテーマほど、開発が 盛んなテーマといえる。ただし特許公報は、基本的に出

13IoTの未来 2017-2026[特許分析編]

<対象読者>

 本書では、幅広い産業分野をカバーすることで、読者

対象を広げている。そのため、産業分類による絞り込み

は行わず、下記の企業を対象としている。

・新規事業創出/事業領域開拓に取り組む企業

・既存事業の見直しに取り組む企業

・現状をベースとした経営計画では成長が難しい企業

・中期経営計画を策定する企業

・新たな事業領域で商品・サービスを開発したい企業

・コンサルティング会社・シンクタンク

 また、各企業の対象部門としては、以下を想定した。

・経営企画

・新規事業開発

・技術開発

・市場調査・予測

・マーケティング

・海外戦略企画

・商品・サービス企画

<テーマ選定の基準>

 本書で解説するテーマは、IoTを要素技術と捉えず、

IoTをさまざまな産業分野で活用することによって生じ

るイノベーションを意識し、IoTの利用シーンを想定し

た上で、以下の条件に合わせて選定を行った。

(1)今後10年先までを見通して技術開発が活発になる

(2)今後10年先までを見通して産業界に与える影響が大

きい

(3)今後10年先までを見通して多くの人々が関わる

テーマ選定の考え方

合計

三菱グループNTN

日立グループ住友重機械工業パナソニック

出願人

出願年(年)

折れ線グラフ(合計)

出願件数(件)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015

前半部 後半部 未公開分が含まれる未公開分が含まれる

図 1 増加傾向の判断

(出所:アモティ)

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14 IoTの未来 2017-2026[特許分析編]

(2)移動手段

・スマートシティ

・自動運転

・公共交通機関

(3)社会インフラ

・スマートグリッド/エネルギー・資源

・次世代通信

・環境・災害対策

・ドローン

(4)流通

・スマート販売

・次世代情報流通

(5)オフィス/工場

・スマート工場

・スマート農業

・スマートオフィス

 利用シーンを想定する上で5領域を設定した(下記)。

(1)生活環境

(2)移動手段

(3)社会インフラ

(4)流通

(5)オフィス/工場

<件数データからのピックアップ>

 本書では特許分析の結果をベースに解説を行うこと

から、基本的には特許の出願件数が増加傾向であること

を判断基準として重視した。特許公報は、早期審査など

の特殊な場合を除き、出願から1年6カ月は未公開の状態

にあり、特許そのものを見ることができない。このため、

どのようにして出願数の増加傾向であるかを判断した

かについて解説する(図1)。

 本書で特許分析に用いたデータは、特に注記がない限

り2016年3月末時点のものを用いている。1年6カ月の未

公開特許が含まれることを考慮すると、2014年、2015年、

2016年の特許件数データに関しては完全ではない。こ

のため、増加または減少の傾向を判断するに当たっては、

2014年以降のデータを除外した。2006年から2013年を

前半部と後半部に分けて、それぞれの総和の比較から増

減を判断している。

 また、2026年までの未来予測がメインであるため、特

に注記のない限り2026年から特許の権利存続期間20年

を遡った2006年からの特許公報を、特許分析のターゲッ

トとした。ただし、作図においては動向を見やすくする

ためにも2000年からの作図としている。また予測する

に当たり、2006年以前の特許公報が不可欠な場合は、適

宜使用している。

 このような基準によりピックアップしたテーマは、以

下の通りである。

(1)生活環境

・スマートハウス

・スマート家電

・アシスタント・ロボット

・医療・ヘルスケア

・スポーツ・エンターテインメント

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16 IoTの未来 2017-2026[特許分析編]

1. 生活環境 生活環境に関しては、「スマートハウス」「スマート家

電」「アシスタント・ロボット」「医療・ヘルスケア

「スポーツ・エンターテインメント」の5テーマを採り上

げた。

 スマートハウスに関しては、住環境の快適性向上、エ

ネルギー需要供給のバランスを最適化するなどの取り組

みが積極的に行われ始めている。スマート家電は、遠隔

地から、家電を設置する場所周辺の状態や家電の操作、

スマート家電の利用状況を把握する。家電メーカーや電

子商取引(EC)サービスの事業者のモニタリングが主体

となっている。この点に関しては、スマート家電はIoT

(internet of things)の利用が先行している分野でもあ

る。

 アシスタント・ロボットは、作業環境や共同作業する

人間の状態を把握し、的確な自律制御を行うためにIoT

が利用される。また、クラウドと連携することにより、

高度な認識や制御、ロボット同士の連携動作に向けた

データ収集などにも使われる。

 医療・ヘルスケアは、医療機関に集中していた検査、

診断、処置、事後対応の機能を、日々の暮らしの中、社会

の中に分散させるためにIoTが有効である。医療機関に

集中していた負荷を、社会全体に分散させ、病気の顕在

化や深刻化が進む前に予防・処置することで最小化す

るメリットを生む。こうしたメリットの大きさと及ぶ範

囲の広さから、医療・ヘルスケアでのIoT関連技術を開

発する動きが、業種を超えて急拡大している

 スポーツ・エンターテインメントは、IoT技術の利用

シーンを大きく二つに分けて考える必要がある。スポー

ツや娯楽作品を観るためのIoTと、参加するためのIoT

である。この二つは、利用するIoT機器、システムが大き

く異なっている。

□ 企業戦略トレンド

 スマートハウスに関しては、日本において、住宅メー

カーが、住環境の向上のために積極的にIoTに対する取

り組みを行っている。しかしながら、欧米においては、

機器メーカーやサービス事業会社が積極的な取り組み

を見せている場合が多い。スマートハウス用のIoT機器

において、欧米では成功事例が出ている。買収によって

米Google社傘下に入った米Nest lab社は、「 Nest

Thermostat」と呼ぶ、空調設備を制御するコントローラ

を100万台以上販売している。

 スマート家電に関しては、サービス事業者が家電での

技術開発に携わるようになった点がポイントである。

IT系のサービス事業者の資金力が、家電メーカーをはる

かに上回るようになり、自社サービスに有利な機能を持

つ家電機器の独自開発が可能になった。機器制御の高度

化により、ITとしてのシステム構築が必要となりノウハ

ウが豊富なサービス事業者が優位になってきた。

 アシスタント・ロボットに関しては、関わる企業が大

きく二つのグループに分かれている。一つは、機械とし

てのロボットの動きを制御する技術を開発するグルー

プ、もう一つは、知的な機械としてのロボットの知覚・

判断を担う技術を開発するグループである。IoTとして

親和性の高い、知覚・判断を担う技術が、スマート家電

と連携した形で先行していく可能性が高い。

 医療・ヘルスケアに関しては、大きく四つの技術戦略

に分かれている。(1)病気の発症や重症化を未然に防ぐ

予防医療に向けた技術、(2)遠隔医療や在宅医療に向け

た技術、(3)介護や生活習慣指導を含めた地域包括ケア

に向けた技術、(4)生体情報を医療以外の用途に利用す

る技術である。

 スポーツ・エンターテインメントに関しては、スポー

ツビジネスは、ビジネス展開の戦略に、伝統的な方向性

がある。プロスポーツなどのアスリートに向けたビジネ

スで技術を高め、同時にマーケティングを進める。その

後、一般向けに展開するという方法である。この流れは

IoTであっても変わらず、観戦に関するエンターテイン

メントの付加価値向上、大規模施設での今までにない体

験の提供といったサービスから始まっていくものと予測

される。

□ 特許出願動向

 技術課題への取り組みを軸に、特許出願動向を見てい

くとユビキタス、M2M(machine to machine)の流れが

ある。機器へのデータ送受信に関して、技術課題ごとの

急激な増減は見られない。生活環境全体としては、セン

サー制御もしくはセンサーそのものに関する特許出願が

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多い。

 図1は、今後10年の特許出願予測である。生活環境に

関しては、継続的な出願がある。IoTによるインターネッ

ト接続環境が既に整っていることもあり、IoTのサーバー

側の仕組みである、統計・解析、人工知能(AI)エンジン

の開発の進み具合と同調して、関連する出願の増加が予

測される。

 スマート家電は、低価格で利便性の向上が体感できる

製品が製造しやすく、今後10年は急激な増加が見込まれ

る。スマートテレビに代表される映像製品群に出願が多

い状況だが、放送そのものの仕組みのあり方、動画配信

との差異化の点で特許価値の高い出願は多くない。

 アシスタント・ロボットに関しては、まずはスタンド

アロンでの動作に主軸が置かれ開発されてきたが、安全

な外部データとの連携が確立されれば、有益なシステム

構築が可能になるだろう。IoTの連携用途として、位置、

座標の特定といったAI技術の活用には離れたところに、

出願件数が多くなっている。今後、情報の連携、協調動

作の側面でのIoT利用が増加すると予測される。

 スマートハウスに関しては、スマート家電と連動する

ものに関して出願増加傾向にある。統計・解析、AIに関

する出願が多い。システム全般に関する研究開発では、

応用製品としていかに見せるか、アイデア系特許の出願

が主体となる。医療・ヘルスケアに関しては、公衆回線

への接続に関するセキュリティーの問題、スポーツ・エ

ンターテインメントに関しては、大規模システムの構築

が求められる点から、微増にとどまる可能性が高い。

□ 技術トレンド

 スマートハウスに関しては、HEMS(home energy

management system)、ホームセキュリティーといった、

スマートハウスを事業化する上で訴求している機能が

先行している。広告、情報配信技術に関しての特許出願

が近年増えてきており、新しいビジネスモデルがこの分

野で誕生する可能性がある。

 スマート家電に関しては、一般消費者が取り扱う以上、

機器操作の簡易化は重要である。IoT機能によってAIク

ラウドに接続、スマート家電へのアシスタントシステム

の搭載が今後は進むものと予測される。特許出願として

は、行動履歴などの活用によるリコメンデーションに用

いるデータの取得、分析に関する出願が主体となってい

る。アシスタントシステムとしてIoTの積極活用はまだ

少ないが、今後の増加が見込まれる技術である。

 アシスタントロボットに関しては、高度な作業を可能

とし、広範な用途で利用するため、新しい技術の登場が

期待されている。機能安全に関わる技術の確立、ホスピ

タリティーを高めるための技術課題、音声や映像を認識

する技術課題である。

 医療・ヘルスケアに関しては、IoTを効率よく活用す

るための課題がいくつか残されている。予防医療の高度

2000200120022003200420052006200720082009201020112012201320142015 2025

2025年予測値

4012

2938

805

355

142

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

3500

4000

4500

折れ線グラフ(積み上げ)

出願件数(件)

スポーツ・エンターテイメント医療・ヘルスケアアシスタント・ロボットスマート家電スマートハウス

テーマ

(年)

図 1 テーマごとの特許出願件数予測

(出所:アモティ)

生活環境

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18 IoTの未来 2017-2026[特許分析編]

も多く、ネットワーク環境も同様である。このため、AI

系のシステムを先行しているメーカーに強みがある。

 テーマごとに見ると、スマートハウスに関しては、米

Qualcomm社が相互接続の規格化において優位な立場

にある。建物間の連携、スマートシティ、スマートグリッ

ドにつながる仕組みとして注目すべき企業である。ス

マート家電に関しては、相互の家電製品群が孤立してし

まっては意味がないため、規格化が優先されるべき課題

ではある。これもスマートハウスと同様に、Qualcomm

が注目される企業となる。

 アシスタント・ロボットに関して、カギはAIエンジン

であり、IoTを利用して効率よく情報収集することがポ

イントとなる。米国のICT企業が軒並み先行している状

況であり、米Amazon.com社、米Apple社、米IBM社、米

Microsoft社、Googleが挙げられる。医療・ヘルスケアに

関しては、オランダPhilips社が、実際の製品、特許でも

先行しており、注目できる。スポーツ・エンターテイン

メントについては、Amazon、Googleがゲーミフィケー

ション関連で興味深い研究開発が多い。米Nike社につ

いては、製品としては先行例がいくつか存在するが、特

許評価スコア上、質の高い出願は見当たらなかった。

化、一人ひとりの体質や状態に合わせて治療法をカスタ

マイズする個別医療(オーダーメード治療)の実現、非侵

襲、非接触のセンシング技術の実現である。スポーツ・

エンターテインメントに関しては、IoT利用に向けて、仮

想現実(VR)/拡張現実(AR)、ゲーミフィケーションの

応用を拡大するための技術、ウエアラブル技術などが期

待される。

 図2は、テーマごとの特許出願件数、特許評価スコア合

計の対比である。出願件数と比較して、特許評価スコア

の高い、質の良い特許が多いテーマはスマート家電とな

り、医療・ヘルスケアはその逆となる。新規参入障壁と

しては、質の良い特許が多いスマート家電が高いことと

なる。一方で、医療・ヘルスケアは参入障壁が低いこと

になる。ただし、スマート家電に関しては、アイデア勝

負での参入が可能な分野といえる。

□ 注目プレーヤー

 生活環境において、注目すべきプレーヤーは、Google

である。行動パターンの解析やクラウド型のAIエンジン

の研究開発に積極的であり、関連する特許出願も多い。

生活環境においては、電力が豊富、保守がしやすいといっ

た点から、既存のセンサーの改良で問題が解決すること

図 2 テーマごとの特許評価スコア対比

(出所:アモティ)

出願件数 特許評価スコア

3406.3(37%)

464.5(5%)

1267.0(14%)

1536.4(17%)

2631.4(28%)

スマート家電スマートハウス医療・ヘルスケアスポーツ・エンターテインメントアシスタント・ロボット

生活環境

4300(35%)

581(5%)

1680(14%)

2250(18%)

3428(28%)

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19IoTの未来 2017-2026[特許分析編]

1-1. スマートハウス スマートハウスとは、ICT(情報通信技術)を活用する

ことによって、住環境の快適性や安心・安全の向上、家

庭内のエネルギー需給量の最適管理を目指す住宅のこ

とを指す。富士経済の2014年の調査によると、国内スマー

トハウス市場は、2020年には約23兆9000億円に達し、新

築住宅の20%弱に当たる7.5万戸のスマートハウスが建

てられるという。

 今後10年において、電力制御に関する開発が続く状況

になる(図1)。スマートハウスの電力制御において、IoT

(internet of things)化のメリットは、より上位のスマー

トシティー、スマートグリッド側の開発、浸透が不可欠

である。その場合、スマートグリッド側での制御を受け

る形でのスマートハウス側の制御、もしくはトータルシ

ステムとしての制御となり、IT系大手通信機器メーカー

が存在感を高めてくる。電力網全体での制御と合わせる

形で、宅内住宅機器通信の共通プロトコル化、対応機器

の開発、製造販売が進むといった流れになる。

 同時に、統合環境として効率の良い制御が求められ、

知識ベースとしてIoTによる外部分析エンジンの提供が

行われるだろう。電力制御の流れとは別に、ユーザビリ

ティの高い家、住宅のICT化は、IoTの導入で加速して

いく。電力制御関連は大手の開発、特許出願が多くなっ

ているが、ユーザビリティ、利便性の向上に関しては、ア

イデアベースで個人、中小企業の開発、出願も徐々に増

加してきている。少子化に伴う、住宅需要の減少は明ら

かであり、付加価値の高い住居の提供が望まれている。

特許出願状況から見ると、アイデアベースの出願が単発

で発生している状況で、今後10年の間にヒット商品とな

るようなものは見受けられない。

 スマートハウス内のヘルスケア関連も注目されている

が、スマートハウス内での健康管理に関する出願で注目

に値するものは見当たらない。住宅にいながら、特別な

機器なしで健康状態を把握できなければ、スマートハウ

ス内での健康管理としては意味がない。スマートハウス

として見た場合、住宅にいながら、健康状態をチェック

可能なセンサーなどの登場が待たれる現状である。

 10年後の実現性としては、まだ不透明だが、住宅簡易

オペレーションの自動化、アシスタント・ロボットの登

場といった流れ、ロボティクスに関する、知識データベー

スのようなIoT関連の出願は、少ないながらも特許群を

形成するような出願がされてきている。より利便性の高

い住環境の提供は重要なテーマになってきていると推

測される。

 スマートハウスでは、住民が必要とする場面をICTで

見定め、サービスや電力をタイムリーに提供し、本来両

立し難い快適性の向上と無駄の削減を両立させること

を目指している。近年、健康管理や子どもや高齢者の見

守りなど、新たな機能を付加し、より快適で豊かなライ

フスタイルを提供する住宅としても注目されている。

 スマートハウスにおけるIoTは、住人の活動や設備の

稼働状況を、きめ細かく、リアルタイムで把握するため

に用いられる。IoTを活用するスマートハウスに関連し

た技術やサービスを開発する企業の業種は、極めて多彩

である(図2)。他のIoTの応用に比べて、スマートハウ

ス関連の技術開発で特徴的な点がある。まず、家電メー

カーが機器だけではなく、住宅内に機器を設置した後の

利用法も含めて技術開発する例が多い。加えて、住宅メー

カーや警備会社、電力会社など、スマートハウスに向け

てサービスを提供する企業でも、独自の技術開発が進め

られている。そして、新たな価値を持った商品やサービ

スやビジネスモデルの創出に取り組んでいる。

□ 技術やサービスの特徴

 スマートハウスでのIoTに関連した技術やサービスに

は、以下のような特徴がある。

(1)スマートハウスでのIoTに関連した特許出願は、増

加傾向にある。ただし、現時点でスマートハウスに関

する特許に関しては、先端的で先進的なIoT技術に

関する決定的な影響力を持つ特許は、見当たらない。

(2)センサーや半導体、ソフトウエアなどコンポーネン

ト・レベルの技術、通信ネットワークやビッグデータ

解析などシステム基盤の技術に関しては、専業企業

が開発した技術を活用する傾向がある。

(3)電子機器メーカーは、スマートハウスへの応用に特

化した技術を開発し、同時に提供する機器の利用技

術の開発にも取り組んでいる。日本国内では、特に

自社グループ内に住宅メーカー、住宅事業部門や家

電メーカーを持つグループ企業において、権利化が

生活環境

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20 IoTの未来 2017-2026[特許分析編]

図1 スマートハウスの現在と10年後

現在の出願状況 10年後の状況

機能快適性向上HEMS

ホームセキュリティー健康管理広告情報配信災害対応見守り家事代行

800

10003000

2000

2000

1500

1000

1000

主要出願人 機能のポイント

パナソニックQualcommNTTグループソニーPhilips

・今後 10 年も ICTに強い企業の出願が多い傾向・HEMS に関する開発が、直近は伸びる・徐々により利便性の高い機能の提供にシフト、家事代行、空調管理の発展系など

技術課題

デバイス相互接続の規格化 HEMS HEMS 生活パターンの学習生活パターンの学習(Nestlab社の買収)

家庭内アシスタントロボットキーとなる技術

Qualcomm パナソニック 大和ハウス工業 三菱電機 Google iRobot注目企業

1482

523

712

1106

896

1144

1761

940

658

453

231

153

1500

1500

1000

300

300

500

200

センサー統計解析処理負荷対策不正ウイルス対策ロボティクス障害対策対人安全性

・不正ウイルス対策は大きな変化はなし・統計解析処理そのものの増加・負荷対策が増加・実用化に伴い必須となる、障害対策、安全性に関する出願が増加

パナソニックQualcommNTTグループソニーPhilips

主要出願人 機能のポイント

図 1 スマートハウスの現在と10年後

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