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水理学Ⅱ及び同演習 第5回 管路の流れ①(摩擦損失と形状損失)
目標:管水路定流における基本的関係を理解する ・管水路の定流(定常流)に関する基礎式(エネルギー式, 連続式)と摩擦によるエネルギー損失(摩擦損失) ・管路の曲がりの部分などで発生する形状損失
連続の式
管水路定流の基礎式 .constAvQ ==
wRwpz
gv
dxd
0
2
2τ−=
++α
エネルギー(勾配)式
gRIρ=τ0
動水勾配Iを用いた せん断応力
速度水頭 位置水頭 圧力水頭
エネルギー補正係数 (一般には1を使う) w=ρg
径深 エネルギー勾配
42DA π=断面積
直径Dの 円管の場合
442 D
DD
sAR =
ππ==
D
s
Ds π=潤辺
管水路の摩擦によるエネルギー損失(摩擦損失)
wpz
gvE ++≡2
2
20 8
vfρ≡τ基準線
z
v
wp
A B
gv2
2
比エネルギー Eを定義
dxwR
dxwpz
gv
dxd B
A
B
A ∫∫ τ−=
++ 02
2
エネルギー式を管路に沿う2点(A,B)間で積分
dxRv
gfEEh
B
ABAf ∫=−=
2
8
摩擦損失係数 f を 用いたせん断応力τ0
dxg
vD
fEEhB
ABAf ∫=−=
21 2
4DR =
直径Dの
円管のR
速度水頭に係数がかかった形
一般断面の摩擦損失 円管の摩擦損失
fh
gvdx
gv
DfhhEEh
B
AfBA 221 22
∑∫∑ ζ+=+=−=
管の曲がりや急拡による エネルギー損失(形状損失)
摩擦損失以外にも,管の曲がりや急拡などによる エネルギー損失がある.この形状損失のことを形状損失と言い,
gvh2
2
ζ=速度水頭に比例定数(ζ)を かけた形で形状損失を表す
管路を流れる全てのエネルギー損失(h)
形状損失の和 摩擦損失
曲がり
急拡
直径D,長さlの単一管路で,十分長くて形状損失が無視できる場合
dxg
vD
fhEEB
AfBA ∫==−2
1 2
gDIf
gRIf
v 28==
lEEI BA −
=
等流の式
エネルギー勾配
摩擦損失係数fの実用式 Colebrookの式(実用されている市販管のf )から求める
+−=
fRDk
f e
s 7.182log274.1110
管路の流速公式(経験式)から求める
相当粗度 (教科書P109表4-1参照)
2/13/21 IRn
v =Manningの式
H-W(Hazen-Williams)の式 54.063.054.063.0 355.0849.0 ICDICRv ==
(m,s単位)
円管の場合 ( ) 63.063.063.0 4175.04/ DDR ==
等流の式を用いてIを消去して摩擦損失係数fを求める gRIf
v 8=
Manningの式
H-W(Hazen-Williams)の式
3/1
2
3/1
2 5.1248D
nRgnf ==
( ) 15.0167.085.11
849.008.10
vDCgf ⋅=
等流の式
摩擦損失係数fの式の適用範囲1 Manningの式から求まるfの式
3/1
2
3/1
2 5.1248D
nRgnf ==
流速v(Re数)を含まない
完全粗面に適している (滑面と粗面では,流速分布が異なるため)
gRIgn
RIRn
v6/1
2/13/21==Manningの式
を変形 gRIu =*
摩擦速度
6/16/1
*
=
s
s
kR
gnk
uv相当粗度ksを導入
無次元
+==ϕ≡
Rk
fuv s
2log274.188
10*
完全粗面の対数式 (教科書3.68’(b)より)
流速係数
ss kR
kD
101010 log66.562.6log221log274.18 +=
++=ϕ
+= 74.1
2log288
10sk
Df
摩擦損失係数fの式の適用範囲2
−==ϕ≡
Rk
fuv s
2log274.188
10*
完全粗面の対数式 (教科書3.68’(b)より)
流速係数
円管R=D/4の場合
完全粗面の対数式(3.68’(b))から求めた流速係数
6/16/1
*
=ϕ≡
s
s
kR
gnk
uvManningの式に
相当粗度ksを 導入した流速係数
この二式が一致する
gnks
6/1
を求める
摩擦損失係数fの式の適用範囲3
fuv 8*
=
管路や開水路における流れ
の値は一定(~7.66) gn
ks6/1
流速係数ϕ=8~25の範囲
この仮定に基づいた式 (Manning-Stricklerの式)
6/1
*66.7
=
skR
uv 66.7
6/1
=gn
ks
6/1
66.718
−
=
skRf
3/13/1
216.0136.0
=
=
Dk
Rkf ss
6/1skn ≈
粗度係数nと 相当粗度ksの関係
nとはksの 1/6乗に比例
摩擦損失係数fの式の適用範囲4 H-Wの式から求まるfの式
( ) 15.0167.085.11
849.008.10
vDCgf ⋅=
流速v(Re数)と相当粗度(ks/D)の関数(式4.12より)
( )
15.015.085.1
017.015.0
017.015.0
85.11
849.008.10
e
s
s
R133.4
vC133.4
kDk
vDCgf
⋅=
ν
ν
=
教科書・図4-3とH-W式の比較(moody線図)
Cの大きい約150程度のなめらかな管に対して適合性があるが Manningの式による摩擦係数fがより実用的である.
例題4.1について m2.1=H
v鋳鉄管の長さl=1000m 直径D=80cm
新しい鋳鉄管 相当粗度ks=0.3mm Manningの粗度係数n=0.012 動水勾配I=H/l
gRIf
v 8=
管内流速vと摩擦損失係数fを求める
+−=
fRDk
f e
s 7.182log274.1110
Colebrookの式
ν=
vDRe
Reynolds数 等流の式
ν⋅
=ν
=ν
=DgDI
vgDIvDfvDfRe
22
( )
ν+−=
DgDIDk
fs
27.182log274.11
10
変形したColebrookの式からfを求める
gRIf
v 8=等流の式でvを求める
例題4.2について
相当粗度ksの値を求める
コンクリート管の粗度係数n=0.014として, Manning-Stricklerの式より
66.76/1
=gn
ks
( )666.7 gnks ×=
問4.1について1 円管,正方形,長方形断面でそれぞれ同じ断面積Aの 場合の流量の違いを求める
Manningの式
2/13/21 IRnA
Qv ==
流量Q
AIRn
AvQ 2/13/21==
流量の違いはR2/3の違い
Aa
a2
長方形
A
A
A
正方形
DA円管
問4.1について2 円管,正方形,長方形断面のそれぞれの経深をR1,R2,R3とする
Aa
a2
長方形
A
A
A
正方形
DA円管
4
2DA π=
π=
AD 4 π=
21AR
442A
AAR ==
22aA =
2/Aa = 62
2/63A
AAR ==
( ) 3/13/2
3/21 2
1 AR
π=
( ) 3/13/2
3/22 4
1 AR
=
( ) 3/13/2
3/23 6
2 AR
=
0.430 (円管との比1)
0.397(円管との比0.923)
0.382(円管との比0.888)
円管が最も 流れやすい
形状損失(形状係数)
管の曲がりや断面の急変によるエネルギー損失
断面の変化によって渦や二次流が発生し, この変化によってエネルギー損失hが発生
gvh2
2
ζ=
形状係数
速度水頭に比例係数がかかるような形で表す
急拡大部のエネルギー損失
gvh sese 2
2
ζ=
急拡大による損失 管の断面積がA1→A2に急拡大
1A 2Av
2
2
11
−=ζ
AA
se
急拡大部の 形状係数
教科書P.105例題(3.5)より
急拡大部 の損失
出口のエネルギー損失
gvh oo 2
2
ζ=
出口での損失
A2が無限大(∞)として
1Av
2
2
11
−=ζ
AA
se
急拡大部の形状係数
021 →AA 1≅ζo
出口の形状係数
出口の損失
急縮小部のエネルギー損失
gvh scsc 2
22ζ=
急縮小による損失 管の断面積がA1→A2に急縮小 (流水断面が一度CA2まで縮小)
22
2
2 111
−=
−=ζ
CCAA
sc
急縮小部の 形状係数
急拡大の損失係数に 速いほうの流速v2で定義
急縮小部 の損失
1A2A
1v 2v2CA
縮流後の拡大部(減速部) (CA2~A2)に損失が生じる (急拡大の損失と同じ考え方)
入口部のエネルギー損失 入口損失 急縮部のA1→∞に相当
2A1v 2v
A1→∞
gvh
ee 2
2
2ζ=
入口部の 形状係数
入口部 の損失
ζeは入口部の形によって異なる(教科書p.113)
5.0=ζe 25.0 )(2.0
)(1.0方形
円形05.0~01.0 0.1
θ
θ+θ+
2cos2.0cos3.05.0
角端 隅切り 丸味つき ベルマウス 突出し
管の断面積の漸変(漸拡)
1v 2v1D
2D
θ
漸拡の損失
gv
gv
AA
gvvh
segege
gege
221
221
21
2
2
1
22
21
ζζ=
−ζ=
−ζ=
急拡の損失係数ζseに漸拡(角度θ) の効果を表す係数ζgeをかける形
教科書図4.8
曲がりおよび屈折
屈折による損失
曲がりによる損失
θ r gvh bbb 2
2
21ζζ=v
曲率半径ρと管径Dの 比(ρ /D)によって決まる
中心角θとθ=90oの場合の 損失の比によって決まる
教科書図4.9
Weisbachの比較的小さい円管の実験
gvh bebe 2
2
ζ=2
sin05.22
sin946.0 42 θ+θ=ζbe
バルブ
バルブによる損失
スフェリカルバルブ 水力発電設備の水車入口弁として 高落差用の場合に使用
スルース弁 仕切り弁ともいう
バタフライ弁 円板状の弁体が回転する構造 流れの方向に対する弁体の角度を変えて 流量または圧力を調整
教科書p.115の表4.3