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92
公益財団法人塩事業センター 海水総合研究所 公開講演会 Salt & Seawater Science Seminar 2019 塩づくりの未来を支える 次世代イオン交換膜 Contents 1. 電子線グラフト重合法の基礎 早稲田大学 理工学術院 客員教授 斎藤恭一 2. 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の開発 公益財団法人塩事業センター 海水総合研究所 上席研究員 永谷剛 3. 次世代イオン交換膜の実用化に向けて AGCエンジニアリング株式会社 主幹技師 田柳順一 協賛:一般社団法人日本塩工業会、全国輸入塩協会、日本イオン交換学会、 日本膜学会、公益社団法人化学工学会、一般社団法人ラドテック研究会、 公益財団法人ソルト・サイエンス研究財団、日本海水学会、たばこと塩の博物館 2019年12月6日(金)

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公益財団法人塩事業センター 海水総合研究所 公開講演会

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

塩づくりの未来を支える 次世代イオン交換膜

Contents 1 電子線グラフト重合法の基礎

早稲田大学 理工学術院 客員教授 斎藤恭一

2 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の開発

公益財団法人塩事業センター 海水総合研究所 上席研究員 永谷剛

3 次世代イオン交換膜の実用化に向けて

AGCエンジニアリング株式会社 主幹技師 田柳順一

協賛一般社団法人日本塩工業会全国輸入塩協会日本イオン交換学会

日本膜学会公益社団法人化学工学会一般社団法人ラドテック研究会

公益財団法人ソルトサイエンス研究財団日本海水学会たばこと塩の博物館

2019年12月6日(金)

早稲田大学 理工学術院 斎藤 恭一

2019年12月6日(金)1305~1355

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

電子線グラフト重合法の基礎

酸味

甘味

青森県産のりんごはすべて「接ぎ木」

ジョナゴールド

つがる

ふじ

王林

放射線グラフト重合法とは

ガンマ線

ラジカル

ナイロン繊維 アニオン交換繊維

利点 2ラジカルを保存できる

利点 1出発材料の形を

選べる

利点 3グラフト鎖を伸ばせる

放射線グラフト重合法の利点

「不織布に放射線を照射して繊維の表面でウランを捕まえやすくする」

主な放射性物質の半減期

Before After

ヨウ素 131(I-131)

セシウム 137(Cs-137)

ストロンチウム90(Sr-90)

環境に放出された主な放射性物質

8 日

30 年

29 年

半減期

1号機

2号機

3号機

4号機

(200913) (2011314)

ldquoFukushima Nuclear Accidentrdquo

東電福島第一原発の上空写真(2013年 8月 23日)

1号機2号機3号機4号機

1~4号機取水路

フェロシアン化コバルト( K2Co[Fe(CN)6] )

K

K

K

K

K

K K

K

J Lehto et al J Radioanal Nucl Chem 164 39-46 (1992)

K

イオン交換

Cs

イオン半径 [Å]151 169

結晶構造ジャングルジム

(50 nm 程度の微粉末)

フェロシアン化コバルト

EBVBTAC

NVP

ナイロン繊維

K4[Fe(CN)6]

FC4-

CoCl2

アニオン交換繊維

フェロシアン化コバルト担持繊維

Cl-

Co2+

(1)グラフト重合反応(2) [Fe(CN)6]4-の

イオン交換吸着

(3) [Fe(CN)6]4-とCo2+

の沈殿生成反応

作製手順

FC4-

Cl-Co2+

[Fe(CN6)]4-吸着アニオン交換

繊維

フェロシアン化コバルト担持繊維の作製方法

平衡吸着量

[mg-C

sg

-dry

]

平衡濃度 [mg-CsL]

0

10

20

30

40

50

0 20 40 60 80 400 500

フェロシアン化コバルト担持繊維の Cs吸着性能

高速に吸着

残存

Cs濃度

[mg-C

sL

]

接触時間 [h]

10 mg-CsL-海水初濃度

除染現場で使用されているゼオライト

極低濃度域で高い吸着容量

pH [-]

繊維からの

Fe溶出率

[]

pH変化

塩濃度変化

塩化ナトリウム濃度 [M]

繊維からの

Fe溶出率

[]

海水

摩擦

不思議沈殿が繊維から欠落しなかった

だからどの液中でもこぼれない

グラフト鎖は フェロシアン化コバルトと多点で静電相互作用する

+

フェロシアン化コバルトの繊維上での担持構造

一度の反応で200 kg の吸着繊維を製造可能

モール状の吸着繊維を用いた Cs除去装置

2013年 6月17日~

3号機取水路付近で実地試験

(1) 大量製造 (2)形状加工 (3)直接投入

繊維状吸着材の現場投入 その1

繊維状吸着材の現場投入 その2

セシウム吸着繊維装置カーテン状ネット

「東京電力 HP」

セシウム吸着繊維を取りつけたカーテン状ネットを遮水壁開口部に設置

セシウム吸着繊維を港湾取水路前の汚染海水の浄化にldquo実際に使用rdquo

(1) 排水路

海側

山側

(2) 側溝 (3) 雨水ます

2015年4月13日 廃炉汚染水対策現地調整会議(第20回)

繊維状吸着材の現場投入 その3

1984 2019

ウラン セシウム

基材形状

官能基

不織布 繊維

キレート形成基

イオン交換基 イオン交換基

イオン交換基+

フェロシアン化コバルト

グラフトヒストリー 要した時間 35年

1990 2006 2011

nylon

食塩

非多孔性フィルム

PE nylon

タンパク質

多孔性中空糸膜

PEPEPP材質

高分子吸着材の源泉イオン交換(荷電)グラフト鎖

2014年

残部< 100

丸善 2800円

2018年

Springer 92 euro

springer kyoichi saito

検索

電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の開発

(公財)塩事業センター海水総合研究所上席研究員 チームリーダー

永谷 剛

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

2019年12月6日(金)

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

本講演 1

世界の塩生産

日本は岩塩等の資源をもたない

日本は天日製塩に適した条件(土地や日照)をもたない

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2

世界の総生産量=年間約28億トン

日本の総生産量=年間約92万トン26

34

40

塩の製造方法(2012)

Rock

Rock(Brine)

Solar

岩塩

天日塩

Roskill Information Services Ltd Salt Global Industry Markets and Outlook 14th Edition(2014)

海水からかん水(濃い塩水)を採取する方法「採かん」が発展した

世界の生産量の03

大正

藻塩焼き

塩田

流下式塩田法

縄文古墳飛鳥奈良

平安

鎌倉

室町

江戸

明治

昭和

平成

西暦500

1000

1500

日本における採かんの歴史

明治38年

平成9年塩専売制廃止

昭和24年

塩専売制施行

3

昭和47年イオン交換膜法

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

安土桃山

イオン交換膜法製塩4

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

電気透析による海水濃縮の原理 5

1 対

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 2:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

早稲田大学 理工学術院 斎藤 恭一

2019年12月6日(金)1305~1355

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

電子線グラフト重合法の基礎

酸味

甘味

青森県産のりんごはすべて「接ぎ木」

ジョナゴールド

つがる

ふじ

王林

放射線グラフト重合法とは

ガンマ線

ラジカル

ナイロン繊維 アニオン交換繊維

利点 2ラジカルを保存できる

利点 1出発材料の形を

選べる

利点 3グラフト鎖を伸ばせる

放射線グラフト重合法の利点

「不織布に放射線を照射して繊維の表面でウランを捕まえやすくする」

主な放射性物質の半減期

Before After

ヨウ素 131(I-131)

セシウム 137(Cs-137)

ストロンチウム90(Sr-90)

環境に放出された主な放射性物質

8 日

30 年

29 年

半減期

1号機

2号機

3号機

4号機

(200913) (2011314)

ldquoFukushima Nuclear Accidentrdquo

東電福島第一原発の上空写真(2013年 8月 23日)

1号機2号機3号機4号機

1~4号機取水路

フェロシアン化コバルト( K2Co[Fe(CN)6] )

K

K

K

K

K

K K

K

J Lehto et al J Radioanal Nucl Chem 164 39-46 (1992)

K

イオン交換

Cs

イオン半径 [Å]151 169

結晶構造ジャングルジム

(50 nm 程度の微粉末)

フェロシアン化コバルト

EBVBTAC

NVP

ナイロン繊維

K4[Fe(CN)6]

FC4-

CoCl2

アニオン交換繊維

フェロシアン化コバルト担持繊維

Cl-

Co2+

(1)グラフト重合反応(2) [Fe(CN)6]4-の

イオン交換吸着

(3) [Fe(CN)6]4-とCo2+

の沈殿生成反応

作製手順

FC4-

Cl-Co2+

[Fe(CN6)]4-吸着アニオン交換

繊維

フェロシアン化コバルト担持繊維の作製方法

平衡吸着量

[mg-C

sg

-dry

]

平衡濃度 [mg-CsL]

0

10

20

30

40

50

0 20 40 60 80 400 500

フェロシアン化コバルト担持繊維の Cs吸着性能

高速に吸着

残存

Cs濃度

[mg-C

sL

]

接触時間 [h]

10 mg-CsL-海水初濃度

除染現場で使用されているゼオライト

極低濃度域で高い吸着容量

pH [-]

繊維からの

Fe溶出率

[]

pH変化

塩濃度変化

塩化ナトリウム濃度 [M]

繊維からの

Fe溶出率

[]

海水

摩擦

不思議沈殿が繊維から欠落しなかった

だからどの液中でもこぼれない

グラフト鎖は フェロシアン化コバルトと多点で静電相互作用する

+

フェロシアン化コバルトの繊維上での担持構造

一度の反応で200 kg の吸着繊維を製造可能

モール状の吸着繊維を用いた Cs除去装置

2013年 6月17日~

3号機取水路付近で実地試験

(1) 大量製造 (2)形状加工 (3)直接投入

繊維状吸着材の現場投入 その1

繊維状吸着材の現場投入 その2

セシウム吸着繊維装置カーテン状ネット

「東京電力 HP」

セシウム吸着繊維を取りつけたカーテン状ネットを遮水壁開口部に設置

セシウム吸着繊維を港湾取水路前の汚染海水の浄化にldquo実際に使用rdquo

(1) 排水路

海側

山側

(2) 側溝 (3) 雨水ます

2015年4月13日 廃炉汚染水対策現地調整会議(第20回)

繊維状吸着材の現場投入 その3

1984 2019

ウラン セシウム

基材形状

官能基

不織布 繊維

キレート形成基

イオン交換基 イオン交換基

イオン交換基+

フェロシアン化コバルト

グラフトヒストリー 要した時間 35年

1990 2006 2011

nylon

食塩

非多孔性フィルム

PE nylon

タンパク質

多孔性中空糸膜

PEPEPP材質

高分子吸着材の源泉イオン交換(荷電)グラフト鎖

2014年

残部< 100

丸善 2800円

2018年

Springer 92 euro

springer kyoichi saito

検索

電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の開発

(公財)塩事業センター海水総合研究所上席研究員 チームリーダー

永谷 剛

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

2019年12月6日(金)

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

本講演 1

世界の塩生産

日本は岩塩等の資源をもたない

日本は天日製塩に適した条件(土地や日照)をもたない

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2

世界の総生産量=年間約28億トン

日本の総生産量=年間約92万トン26

34

40

塩の製造方法(2012)

Rock

Rock(Brine)

Solar

岩塩

天日塩

Roskill Information Services Ltd Salt Global Industry Markets and Outlook 14th Edition(2014)

海水からかん水(濃い塩水)を採取する方法「採かん」が発展した

世界の生産量の03

大正

藻塩焼き

塩田

流下式塩田法

縄文古墳飛鳥奈良

平安

鎌倉

室町

江戸

明治

昭和

平成

西暦500

1000

1500

日本における採かんの歴史

明治38年

平成9年塩専売制廃止

昭和24年

塩専売制施行

3

昭和47年イオン交換膜法

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

安土桃山

イオン交換膜法製塩4

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

電気透析による海水濃縮の原理 5

1 対

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 3:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

酸味

甘味

青森県産のりんごはすべて「接ぎ木」

ジョナゴールド

つがる

ふじ

王林

放射線グラフト重合法とは

ガンマ線

ラジカル

ナイロン繊維 アニオン交換繊維

利点 2ラジカルを保存できる

利点 1出発材料の形を

選べる

利点 3グラフト鎖を伸ばせる

放射線グラフト重合法の利点

「不織布に放射線を照射して繊維の表面でウランを捕まえやすくする」

主な放射性物質の半減期

Before After

ヨウ素 131(I-131)

セシウム 137(Cs-137)

ストロンチウム90(Sr-90)

環境に放出された主な放射性物質

8 日

30 年

29 年

半減期

1号機

2号機

3号機

4号機

(200913) (2011314)

ldquoFukushima Nuclear Accidentrdquo

東電福島第一原発の上空写真(2013年 8月 23日)

1号機2号機3号機4号機

1~4号機取水路

フェロシアン化コバルト( K2Co[Fe(CN)6] )

K

K

K

K

K

K K

K

J Lehto et al J Radioanal Nucl Chem 164 39-46 (1992)

K

イオン交換

Cs

イオン半径 [Å]151 169

結晶構造ジャングルジム

(50 nm 程度の微粉末)

フェロシアン化コバルト

EBVBTAC

NVP

ナイロン繊維

K4[Fe(CN)6]

FC4-

CoCl2

アニオン交換繊維

フェロシアン化コバルト担持繊維

Cl-

Co2+

(1)グラフト重合反応(2) [Fe(CN)6]4-の

イオン交換吸着

(3) [Fe(CN)6]4-とCo2+

の沈殿生成反応

作製手順

FC4-

Cl-Co2+

[Fe(CN6)]4-吸着アニオン交換

繊維

フェロシアン化コバルト担持繊維の作製方法

平衡吸着量

[mg-C

sg

-dry

]

平衡濃度 [mg-CsL]

0

10

20

30

40

50

0 20 40 60 80 400 500

フェロシアン化コバルト担持繊維の Cs吸着性能

高速に吸着

残存

Cs濃度

[mg-C

sL

]

接触時間 [h]

10 mg-CsL-海水初濃度

除染現場で使用されているゼオライト

極低濃度域で高い吸着容量

pH [-]

繊維からの

Fe溶出率

[]

pH変化

塩濃度変化

塩化ナトリウム濃度 [M]

繊維からの

Fe溶出率

[]

海水

摩擦

不思議沈殿が繊維から欠落しなかった

だからどの液中でもこぼれない

グラフト鎖は フェロシアン化コバルトと多点で静電相互作用する

+

フェロシアン化コバルトの繊維上での担持構造

一度の反応で200 kg の吸着繊維を製造可能

モール状の吸着繊維を用いた Cs除去装置

2013年 6月17日~

3号機取水路付近で実地試験

(1) 大量製造 (2)形状加工 (3)直接投入

繊維状吸着材の現場投入 その1

繊維状吸着材の現場投入 その2

セシウム吸着繊維装置カーテン状ネット

「東京電力 HP」

セシウム吸着繊維を取りつけたカーテン状ネットを遮水壁開口部に設置

セシウム吸着繊維を港湾取水路前の汚染海水の浄化にldquo実際に使用rdquo

(1) 排水路

海側

山側

(2) 側溝 (3) 雨水ます

2015年4月13日 廃炉汚染水対策現地調整会議(第20回)

繊維状吸着材の現場投入 その3

1984 2019

ウラン セシウム

基材形状

官能基

不織布 繊維

キレート形成基

イオン交換基 イオン交換基

イオン交換基+

フェロシアン化コバルト

グラフトヒストリー 要した時間 35年

1990 2006 2011

nylon

食塩

非多孔性フィルム

PE nylon

タンパク質

多孔性中空糸膜

PEPEPP材質

高分子吸着材の源泉イオン交換(荷電)グラフト鎖

2014年

残部< 100

丸善 2800円

2018年

Springer 92 euro

springer kyoichi saito

検索

電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の開発

(公財)塩事業センター海水総合研究所上席研究員 チームリーダー

永谷 剛

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

2019年12月6日(金)

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

本講演 1

世界の塩生産

日本は岩塩等の資源をもたない

日本は天日製塩に適した条件(土地や日照)をもたない

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2

世界の総生産量=年間約28億トン

日本の総生産量=年間約92万トン26

34

40

塩の製造方法(2012)

Rock

Rock(Brine)

Solar

岩塩

天日塩

Roskill Information Services Ltd Salt Global Industry Markets and Outlook 14th Edition(2014)

海水からかん水(濃い塩水)を採取する方法「採かん」が発展した

世界の生産量の03

大正

藻塩焼き

塩田

流下式塩田法

縄文古墳飛鳥奈良

平安

鎌倉

室町

江戸

明治

昭和

平成

西暦500

1000

1500

日本における採かんの歴史

明治38年

平成9年塩専売制廃止

昭和24年

塩専売制施行

3

昭和47年イオン交換膜法

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

安土桃山

イオン交換膜法製塩4

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

電気透析による海水濃縮の原理 5

1 対

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 4:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

放射線グラフト重合法とは

ガンマ線

ラジカル

ナイロン繊維 アニオン交換繊維

利点 2ラジカルを保存できる

利点 1出発材料の形を

選べる

利点 3グラフト鎖を伸ばせる

放射線グラフト重合法の利点

「不織布に放射線を照射して繊維の表面でウランを捕まえやすくする」

主な放射性物質の半減期

Before After

ヨウ素 131(I-131)

セシウム 137(Cs-137)

ストロンチウム90(Sr-90)

環境に放出された主な放射性物質

8 日

30 年

29 年

半減期

1号機

2号機

3号機

4号機

(200913) (2011314)

ldquoFukushima Nuclear Accidentrdquo

東電福島第一原発の上空写真(2013年 8月 23日)

1号機2号機3号機4号機

1~4号機取水路

フェロシアン化コバルト( K2Co[Fe(CN)6] )

K

K

K

K

K

K K

K

J Lehto et al J Radioanal Nucl Chem 164 39-46 (1992)

K

イオン交換

Cs

イオン半径 [Å]151 169

結晶構造ジャングルジム

(50 nm 程度の微粉末)

フェロシアン化コバルト

EBVBTAC

NVP

ナイロン繊維

K4[Fe(CN)6]

FC4-

CoCl2

アニオン交換繊維

フェロシアン化コバルト担持繊維

Cl-

Co2+

(1)グラフト重合反応(2) [Fe(CN)6]4-の

イオン交換吸着

(3) [Fe(CN)6]4-とCo2+

の沈殿生成反応

作製手順

FC4-

Cl-Co2+

[Fe(CN6)]4-吸着アニオン交換

繊維

フェロシアン化コバルト担持繊維の作製方法

平衡吸着量

[mg-C

sg

-dry

]

平衡濃度 [mg-CsL]

0

10

20

30

40

50

0 20 40 60 80 400 500

フェロシアン化コバルト担持繊維の Cs吸着性能

高速に吸着

残存

Cs濃度

[mg-C

sL

]

接触時間 [h]

10 mg-CsL-海水初濃度

除染現場で使用されているゼオライト

極低濃度域で高い吸着容量

pH [-]

繊維からの

Fe溶出率

[]

pH変化

塩濃度変化

塩化ナトリウム濃度 [M]

繊維からの

Fe溶出率

[]

海水

摩擦

不思議沈殿が繊維から欠落しなかった

だからどの液中でもこぼれない

グラフト鎖は フェロシアン化コバルトと多点で静電相互作用する

+

フェロシアン化コバルトの繊維上での担持構造

一度の反応で200 kg の吸着繊維を製造可能

モール状の吸着繊維を用いた Cs除去装置

2013年 6月17日~

3号機取水路付近で実地試験

(1) 大量製造 (2)形状加工 (3)直接投入

繊維状吸着材の現場投入 その1

繊維状吸着材の現場投入 その2

セシウム吸着繊維装置カーテン状ネット

「東京電力 HP」

セシウム吸着繊維を取りつけたカーテン状ネットを遮水壁開口部に設置

セシウム吸着繊維を港湾取水路前の汚染海水の浄化にldquo実際に使用rdquo

(1) 排水路

海側

山側

(2) 側溝 (3) 雨水ます

2015年4月13日 廃炉汚染水対策現地調整会議(第20回)

繊維状吸着材の現場投入 その3

1984 2019

ウラン セシウム

基材形状

官能基

不織布 繊維

キレート形成基

イオン交換基 イオン交換基

イオン交換基+

フェロシアン化コバルト

グラフトヒストリー 要した時間 35年

1990 2006 2011

nylon

食塩

非多孔性フィルム

PE nylon

タンパク質

多孔性中空糸膜

PEPEPP材質

高分子吸着材の源泉イオン交換(荷電)グラフト鎖

2014年

残部< 100

丸善 2800円

2018年

Springer 92 euro

springer kyoichi saito

検索

電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の開発

(公財)塩事業センター海水総合研究所上席研究員 チームリーダー

永谷 剛

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

2019年12月6日(金)

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

本講演 1

世界の塩生産

日本は岩塩等の資源をもたない

日本は天日製塩に適した条件(土地や日照)をもたない

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2

世界の総生産量=年間約28億トン

日本の総生産量=年間約92万トン26

34

40

塩の製造方法(2012)

Rock

Rock(Brine)

Solar

岩塩

天日塩

Roskill Information Services Ltd Salt Global Industry Markets and Outlook 14th Edition(2014)

海水からかん水(濃い塩水)を採取する方法「採かん」が発展した

世界の生産量の03

大正

藻塩焼き

塩田

流下式塩田法

縄文古墳飛鳥奈良

平安

鎌倉

室町

江戸

明治

昭和

平成

西暦500

1000

1500

日本における採かんの歴史

明治38年

平成9年塩専売制廃止

昭和24年

塩専売制施行

3

昭和47年イオン交換膜法

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

安土桃山

イオン交換膜法製塩4

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

電気透析による海水濃縮の原理 5

1 対

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 5:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

ガンマ線

ラジカル

ナイロン繊維 アニオン交換繊維

利点 2ラジカルを保存できる

利点 1出発材料の形を

選べる

利点 3グラフト鎖を伸ばせる

放射線グラフト重合法の利点

「不織布に放射線を照射して繊維の表面でウランを捕まえやすくする」

主な放射性物質の半減期

Before After

ヨウ素 131(I-131)

セシウム 137(Cs-137)

ストロンチウム90(Sr-90)

環境に放出された主な放射性物質

8 日

30 年

29 年

半減期

1号機

2号機

3号機

4号機

(200913) (2011314)

ldquoFukushima Nuclear Accidentrdquo

東電福島第一原発の上空写真(2013年 8月 23日)

1号機2号機3号機4号機

1~4号機取水路

フェロシアン化コバルト( K2Co[Fe(CN)6] )

K

K

K

K

K

K K

K

J Lehto et al J Radioanal Nucl Chem 164 39-46 (1992)

K

イオン交換

Cs

イオン半径 [Å]151 169

結晶構造ジャングルジム

(50 nm 程度の微粉末)

フェロシアン化コバルト

EBVBTAC

NVP

ナイロン繊維

K4[Fe(CN)6]

FC4-

CoCl2

アニオン交換繊維

フェロシアン化コバルト担持繊維

Cl-

Co2+

(1)グラフト重合反応(2) [Fe(CN)6]4-の

イオン交換吸着

(3) [Fe(CN)6]4-とCo2+

の沈殿生成反応

作製手順

FC4-

Cl-Co2+

[Fe(CN6)]4-吸着アニオン交換

繊維

フェロシアン化コバルト担持繊維の作製方法

平衡吸着量

[mg-C

sg

-dry

]

平衡濃度 [mg-CsL]

0

10

20

30

40

50

0 20 40 60 80 400 500

フェロシアン化コバルト担持繊維の Cs吸着性能

高速に吸着

残存

Cs濃度

[mg-C

sL

]

接触時間 [h]

10 mg-CsL-海水初濃度

除染現場で使用されているゼオライト

極低濃度域で高い吸着容量

pH [-]

繊維からの

Fe溶出率

[]

pH変化

塩濃度変化

塩化ナトリウム濃度 [M]

繊維からの

Fe溶出率

[]

海水

摩擦

不思議沈殿が繊維から欠落しなかった

だからどの液中でもこぼれない

グラフト鎖は フェロシアン化コバルトと多点で静電相互作用する

+

フェロシアン化コバルトの繊維上での担持構造

一度の反応で200 kg の吸着繊維を製造可能

モール状の吸着繊維を用いた Cs除去装置

2013年 6月17日~

3号機取水路付近で実地試験

(1) 大量製造 (2)形状加工 (3)直接投入

繊維状吸着材の現場投入 その1

繊維状吸着材の現場投入 その2

セシウム吸着繊維装置カーテン状ネット

「東京電力 HP」

セシウム吸着繊維を取りつけたカーテン状ネットを遮水壁開口部に設置

セシウム吸着繊維を港湾取水路前の汚染海水の浄化にldquo実際に使用rdquo

(1) 排水路

海側

山側

(2) 側溝 (3) 雨水ます

2015年4月13日 廃炉汚染水対策現地調整会議(第20回)

繊維状吸着材の現場投入 その3

1984 2019

ウラン セシウム

基材形状

官能基

不織布 繊維

キレート形成基

イオン交換基 イオン交換基

イオン交換基+

フェロシアン化コバルト

グラフトヒストリー 要した時間 35年

1990 2006 2011

nylon

食塩

非多孔性フィルム

PE nylon

タンパク質

多孔性中空糸膜

PEPEPP材質

高分子吸着材の源泉イオン交換(荷電)グラフト鎖

2014年

残部< 100

丸善 2800円

2018年

Springer 92 euro

springer kyoichi saito

検索

電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の開発

(公財)塩事業センター海水総合研究所上席研究員 チームリーダー

永谷 剛

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

2019年12月6日(金)

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

本講演 1

世界の塩生産

日本は岩塩等の資源をもたない

日本は天日製塩に適した条件(土地や日照)をもたない

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2

世界の総生産量=年間約28億トン

日本の総生産量=年間約92万トン26

34

40

塩の製造方法(2012)

Rock

Rock(Brine)

Solar

岩塩

天日塩

Roskill Information Services Ltd Salt Global Industry Markets and Outlook 14th Edition(2014)

海水からかん水(濃い塩水)を採取する方法「採かん」が発展した

世界の生産量の03

大正

藻塩焼き

塩田

流下式塩田法

縄文古墳飛鳥奈良

平安

鎌倉

室町

江戸

明治

昭和

平成

西暦500

1000

1500

日本における採かんの歴史

明治38年

平成9年塩専売制廃止

昭和24年

塩専売制施行

3

昭和47年イオン交換膜法

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

安土桃山

イオン交換膜法製塩4

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

電気透析による海水濃縮の原理 5

1 対

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 6:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

「不織布に放射線を照射して繊維の表面でウランを捕まえやすくする」

主な放射性物質の半減期

Before After

ヨウ素 131(I-131)

セシウム 137(Cs-137)

ストロンチウム90(Sr-90)

環境に放出された主な放射性物質

8 日

30 年

29 年

半減期

1号機

2号機

3号機

4号機

(200913) (2011314)

ldquoFukushima Nuclear Accidentrdquo

東電福島第一原発の上空写真(2013年 8月 23日)

1号機2号機3号機4号機

1~4号機取水路

フェロシアン化コバルト( K2Co[Fe(CN)6] )

K

K

K

K

K

K K

K

J Lehto et al J Radioanal Nucl Chem 164 39-46 (1992)

K

イオン交換

Cs

イオン半径 [Å]151 169

結晶構造ジャングルジム

(50 nm 程度の微粉末)

フェロシアン化コバルト

EBVBTAC

NVP

ナイロン繊維

K4[Fe(CN)6]

FC4-

CoCl2

アニオン交換繊維

フェロシアン化コバルト担持繊維

Cl-

Co2+

(1)グラフト重合反応(2) [Fe(CN)6]4-の

イオン交換吸着

(3) [Fe(CN)6]4-とCo2+

の沈殿生成反応

作製手順

FC4-

Cl-Co2+

[Fe(CN6)]4-吸着アニオン交換

繊維

フェロシアン化コバルト担持繊維の作製方法

平衡吸着量

[mg-C

sg

-dry

]

平衡濃度 [mg-CsL]

0

10

20

30

40

50

0 20 40 60 80 400 500

フェロシアン化コバルト担持繊維の Cs吸着性能

高速に吸着

残存

Cs濃度

[mg-C

sL

]

接触時間 [h]

10 mg-CsL-海水初濃度

除染現場で使用されているゼオライト

極低濃度域で高い吸着容量

pH [-]

繊維からの

Fe溶出率

[]

pH変化

塩濃度変化

塩化ナトリウム濃度 [M]

繊維からの

Fe溶出率

[]

海水

摩擦

不思議沈殿が繊維から欠落しなかった

だからどの液中でもこぼれない

グラフト鎖は フェロシアン化コバルトと多点で静電相互作用する

+

フェロシアン化コバルトの繊維上での担持構造

一度の反応で200 kg の吸着繊維を製造可能

モール状の吸着繊維を用いた Cs除去装置

2013年 6月17日~

3号機取水路付近で実地試験

(1) 大量製造 (2)形状加工 (3)直接投入

繊維状吸着材の現場投入 その1

繊維状吸着材の現場投入 その2

セシウム吸着繊維装置カーテン状ネット

「東京電力 HP」

セシウム吸着繊維を取りつけたカーテン状ネットを遮水壁開口部に設置

セシウム吸着繊維を港湾取水路前の汚染海水の浄化にldquo実際に使用rdquo

(1) 排水路

海側

山側

(2) 側溝 (3) 雨水ます

2015年4月13日 廃炉汚染水対策現地調整会議(第20回)

繊維状吸着材の現場投入 その3

1984 2019

ウラン セシウム

基材形状

官能基

不織布 繊維

キレート形成基

イオン交換基 イオン交換基

イオン交換基+

フェロシアン化コバルト

グラフトヒストリー 要した時間 35年

1990 2006 2011

nylon

食塩

非多孔性フィルム

PE nylon

タンパク質

多孔性中空糸膜

PEPEPP材質

高分子吸着材の源泉イオン交換(荷電)グラフト鎖

2014年

残部< 100

丸善 2800円

2018年

Springer 92 euro

springer kyoichi saito

検索

電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の開発

(公財)塩事業センター海水総合研究所上席研究員 チームリーダー

永谷 剛

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

2019年12月6日(金)

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

本講演 1

世界の塩生産

日本は岩塩等の資源をもたない

日本は天日製塩に適した条件(土地や日照)をもたない

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2

世界の総生産量=年間約28億トン

日本の総生産量=年間約92万トン26

34

40

塩の製造方法(2012)

Rock

Rock(Brine)

Solar

岩塩

天日塩

Roskill Information Services Ltd Salt Global Industry Markets and Outlook 14th Edition(2014)

海水からかん水(濃い塩水)を採取する方法「採かん」が発展した

世界の生産量の03

大正

藻塩焼き

塩田

流下式塩田法

縄文古墳飛鳥奈良

平安

鎌倉

室町

江戸

明治

昭和

平成

西暦500

1000

1500

日本における採かんの歴史

明治38年

平成9年塩専売制廃止

昭和24年

塩専売制施行

3

昭和47年イオン交換膜法

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

安土桃山

イオン交換膜法製塩4

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

電気透析による海水濃縮の原理 5

1 対

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

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Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

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本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 7:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

主な放射性物質の半減期

Before After

ヨウ素 131(I-131)

セシウム 137(Cs-137)

ストロンチウム90(Sr-90)

環境に放出された主な放射性物質

8 日

30 年

29 年

半減期

1号機

2号機

3号機

4号機

(200913) (2011314)

ldquoFukushima Nuclear Accidentrdquo

東電福島第一原発の上空写真(2013年 8月 23日)

1号機2号機3号機4号機

1~4号機取水路

フェロシアン化コバルト( K2Co[Fe(CN)6] )

K

K

K

K

K

K K

K

J Lehto et al J Radioanal Nucl Chem 164 39-46 (1992)

K

イオン交換

Cs

イオン半径 [Å]151 169

結晶構造ジャングルジム

(50 nm 程度の微粉末)

フェロシアン化コバルト

EBVBTAC

NVP

ナイロン繊維

K4[Fe(CN)6]

FC4-

CoCl2

アニオン交換繊維

フェロシアン化コバルト担持繊維

Cl-

Co2+

(1)グラフト重合反応(2) [Fe(CN)6]4-の

イオン交換吸着

(3) [Fe(CN)6]4-とCo2+

の沈殿生成反応

作製手順

FC4-

Cl-Co2+

[Fe(CN6)]4-吸着アニオン交換

繊維

フェロシアン化コバルト担持繊維の作製方法

平衡吸着量

[mg-C

sg

-dry

]

平衡濃度 [mg-CsL]

0

10

20

30

40

50

0 20 40 60 80 400 500

フェロシアン化コバルト担持繊維の Cs吸着性能

高速に吸着

残存

Cs濃度

[mg-C

sL

]

接触時間 [h]

10 mg-CsL-海水初濃度

除染現場で使用されているゼオライト

極低濃度域で高い吸着容量

pH [-]

繊維からの

Fe溶出率

[]

pH変化

塩濃度変化

塩化ナトリウム濃度 [M]

繊維からの

Fe溶出率

[]

海水

摩擦

不思議沈殿が繊維から欠落しなかった

だからどの液中でもこぼれない

グラフト鎖は フェロシアン化コバルトと多点で静電相互作用する

+

フェロシアン化コバルトの繊維上での担持構造

一度の反応で200 kg の吸着繊維を製造可能

モール状の吸着繊維を用いた Cs除去装置

2013年 6月17日~

3号機取水路付近で実地試験

(1) 大量製造 (2)形状加工 (3)直接投入

繊維状吸着材の現場投入 その1

繊維状吸着材の現場投入 その2

セシウム吸着繊維装置カーテン状ネット

「東京電力 HP」

セシウム吸着繊維を取りつけたカーテン状ネットを遮水壁開口部に設置

セシウム吸着繊維を港湾取水路前の汚染海水の浄化にldquo実際に使用rdquo

(1) 排水路

海側

山側

(2) 側溝 (3) 雨水ます

2015年4月13日 廃炉汚染水対策現地調整会議(第20回)

繊維状吸着材の現場投入 その3

1984 2019

ウラン セシウム

基材形状

官能基

不織布 繊維

キレート形成基

イオン交換基 イオン交換基

イオン交換基+

フェロシアン化コバルト

グラフトヒストリー 要した時間 35年

1990 2006 2011

nylon

食塩

非多孔性フィルム

PE nylon

タンパク質

多孔性中空糸膜

PEPEPP材質

高分子吸着材の源泉イオン交換(荷電)グラフト鎖

2014年

残部< 100

丸善 2800円

2018年

Springer 92 euro

springer kyoichi saito

検索

電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の開発

(公財)塩事業センター海水総合研究所上席研究員 チームリーダー

永谷 剛

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

2019年12月6日(金)

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

本講演 1

世界の塩生産

日本は岩塩等の資源をもたない

日本は天日製塩に適した条件(土地や日照)をもたない

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2

世界の総生産量=年間約28億トン

日本の総生産量=年間約92万トン26

34

40

塩の製造方法(2012)

Rock

Rock(Brine)

Solar

岩塩

天日塩

Roskill Information Services Ltd Salt Global Industry Markets and Outlook 14th Edition(2014)

海水からかん水(濃い塩水)を採取する方法「採かん」が発展した

世界の生産量の03

大正

藻塩焼き

塩田

流下式塩田法

縄文古墳飛鳥奈良

平安

鎌倉

室町

江戸

明治

昭和

平成

西暦500

1000

1500

日本における採かんの歴史

明治38年

平成9年塩専売制廃止

昭和24年

塩専売制施行

3

昭和47年イオン交換膜法

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

安土桃山

イオン交換膜法製塩4

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

電気透析による海水濃縮の原理 5

1 対

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 8:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

東電福島第一原発の上空写真(2013年 8月 23日)

1号機2号機3号機4号機

1~4号機取水路

フェロシアン化コバルト( K2Co[Fe(CN)6] )

K

K

K

K

K

K K

K

J Lehto et al J Radioanal Nucl Chem 164 39-46 (1992)

K

イオン交換

Cs

イオン半径 [Å]151 169

結晶構造ジャングルジム

(50 nm 程度の微粉末)

フェロシアン化コバルト

EBVBTAC

NVP

ナイロン繊維

K4[Fe(CN)6]

FC4-

CoCl2

アニオン交換繊維

フェロシアン化コバルト担持繊維

Cl-

Co2+

(1)グラフト重合反応(2) [Fe(CN)6]4-の

イオン交換吸着

(3) [Fe(CN)6]4-とCo2+

の沈殿生成反応

作製手順

FC4-

Cl-Co2+

[Fe(CN6)]4-吸着アニオン交換

繊維

フェロシアン化コバルト担持繊維の作製方法

平衡吸着量

[mg-C

sg

-dry

]

平衡濃度 [mg-CsL]

0

10

20

30

40

50

0 20 40 60 80 400 500

フェロシアン化コバルト担持繊維の Cs吸着性能

高速に吸着

残存

Cs濃度

[mg-C

sL

]

接触時間 [h]

10 mg-CsL-海水初濃度

除染現場で使用されているゼオライト

極低濃度域で高い吸着容量

pH [-]

繊維からの

Fe溶出率

[]

pH変化

塩濃度変化

塩化ナトリウム濃度 [M]

繊維からの

Fe溶出率

[]

海水

摩擦

不思議沈殿が繊維から欠落しなかった

だからどの液中でもこぼれない

グラフト鎖は フェロシアン化コバルトと多点で静電相互作用する

+

フェロシアン化コバルトの繊維上での担持構造

一度の反応で200 kg の吸着繊維を製造可能

モール状の吸着繊維を用いた Cs除去装置

2013年 6月17日~

3号機取水路付近で実地試験

(1) 大量製造 (2)形状加工 (3)直接投入

繊維状吸着材の現場投入 その1

繊維状吸着材の現場投入 その2

セシウム吸着繊維装置カーテン状ネット

「東京電力 HP」

セシウム吸着繊維を取りつけたカーテン状ネットを遮水壁開口部に設置

セシウム吸着繊維を港湾取水路前の汚染海水の浄化にldquo実際に使用rdquo

(1) 排水路

海側

山側

(2) 側溝 (3) 雨水ます

2015年4月13日 廃炉汚染水対策現地調整会議(第20回)

繊維状吸着材の現場投入 その3

1984 2019

ウラン セシウム

基材形状

官能基

不織布 繊維

キレート形成基

イオン交換基 イオン交換基

イオン交換基+

フェロシアン化コバルト

グラフトヒストリー 要した時間 35年

1990 2006 2011

nylon

食塩

非多孔性フィルム

PE nylon

タンパク質

多孔性中空糸膜

PEPEPP材質

高分子吸着材の源泉イオン交換(荷電)グラフト鎖

2014年

残部< 100

丸善 2800円

2018年

Springer 92 euro

springer kyoichi saito

検索

電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の開発

(公財)塩事業センター海水総合研究所上席研究員 チームリーダー

永谷 剛

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

2019年12月6日(金)

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

本講演 1

世界の塩生産

日本は岩塩等の資源をもたない

日本は天日製塩に適した条件(土地や日照)をもたない

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2

世界の総生産量=年間約28億トン

日本の総生産量=年間約92万トン26

34

40

塩の製造方法(2012)

Rock

Rock(Brine)

Solar

岩塩

天日塩

Roskill Information Services Ltd Salt Global Industry Markets and Outlook 14th Edition(2014)

海水からかん水(濃い塩水)を採取する方法「採かん」が発展した

世界の生産量の03

大正

藻塩焼き

塩田

流下式塩田法

縄文古墳飛鳥奈良

平安

鎌倉

室町

江戸

明治

昭和

平成

西暦500

1000

1500

日本における採かんの歴史

明治38年

平成9年塩専売制廃止

昭和24年

塩専売制施行

3

昭和47年イオン交換膜法

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

安土桃山

イオン交換膜法製塩4

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

電気透析による海水濃縮の原理 5

1 対

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 9:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

フェロシアン化コバルト( K2Co[Fe(CN)6] )

K

K

K

K

K

K K

K

J Lehto et al J Radioanal Nucl Chem 164 39-46 (1992)

K

イオン交換

Cs

イオン半径 [Å]151 169

結晶構造ジャングルジム

(50 nm 程度の微粉末)

フェロシアン化コバルト

EBVBTAC

NVP

ナイロン繊維

K4[Fe(CN)6]

FC4-

CoCl2

アニオン交換繊維

フェロシアン化コバルト担持繊維

Cl-

Co2+

(1)グラフト重合反応(2) [Fe(CN)6]4-の

イオン交換吸着

(3) [Fe(CN)6]4-とCo2+

の沈殿生成反応

作製手順

FC4-

Cl-Co2+

[Fe(CN6)]4-吸着アニオン交換

繊維

フェロシアン化コバルト担持繊維の作製方法

平衡吸着量

[mg-C

sg

-dry

]

平衡濃度 [mg-CsL]

0

10

20

30

40

50

0 20 40 60 80 400 500

フェロシアン化コバルト担持繊維の Cs吸着性能

高速に吸着

残存

Cs濃度

[mg-C

sL

]

接触時間 [h]

10 mg-CsL-海水初濃度

除染現場で使用されているゼオライト

極低濃度域で高い吸着容量

pH [-]

繊維からの

Fe溶出率

[]

pH変化

塩濃度変化

塩化ナトリウム濃度 [M]

繊維からの

Fe溶出率

[]

海水

摩擦

不思議沈殿が繊維から欠落しなかった

だからどの液中でもこぼれない

グラフト鎖は フェロシアン化コバルトと多点で静電相互作用する

+

フェロシアン化コバルトの繊維上での担持構造

一度の反応で200 kg の吸着繊維を製造可能

モール状の吸着繊維を用いた Cs除去装置

2013年 6月17日~

3号機取水路付近で実地試験

(1) 大量製造 (2)形状加工 (3)直接投入

繊維状吸着材の現場投入 その1

繊維状吸着材の現場投入 その2

セシウム吸着繊維装置カーテン状ネット

「東京電力 HP」

セシウム吸着繊維を取りつけたカーテン状ネットを遮水壁開口部に設置

セシウム吸着繊維を港湾取水路前の汚染海水の浄化にldquo実際に使用rdquo

(1) 排水路

海側

山側

(2) 側溝 (3) 雨水ます

2015年4月13日 廃炉汚染水対策現地調整会議(第20回)

繊維状吸着材の現場投入 その3

1984 2019

ウラン セシウム

基材形状

官能基

不織布 繊維

キレート形成基

イオン交換基 イオン交換基

イオン交換基+

フェロシアン化コバルト

グラフトヒストリー 要した時間 35年

1990 2006 2011

nylon

食塩

非多孔性フィルム

PE nylon

タンパク質

多孔性中空糸膜

PEPEPP材質

高分子吸着材の源泉イオン交換(荷電)グラフト鎖

2014年

残部< 100

丸善 2800円

2018年

Springer 92 euro

springer kyoichi saito

検索

電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の開発

(公財)塩事業センター海水総合研究所上席研究員 チームリーダー

永谷 剛

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

2019年12月6日(金)

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

本講演 1

世界の塩生産

日本は岩塩等の資源をもたない

日本は天日製塩に適した条件(土地や日照)をもたない

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2

世界の総生産量=年間約28億トン

日本の総生産量=年間約92万トン26

34

40

塩の製造方法(2012)

Rock

Rock(Brine)

Solar

岩塩

天日塩

Roskill Information Services Ltd Salt Global Industry Markets and Outlook 14th Edition(2014)

海水からかん水(濃い塩水)を採取する方法「採かん」が発展した

世界の生産量の03

大正

藻塩焼き

塩田

流下式塩田法

縄文古墳飛鳥奈良

平安

鎌倉

室町

江戸

明治

昭和

平成

西暦500

1000

1500

日本における採かんの歴史

明治38年

平成9年塩専売制廃止

昭和24年

塩専売制施行

3

昭和47年イオン交換膜法

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

安土桃山

イオン交換膜法製塩4

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

電気透析による海水濃縮の原理 5

1 対

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

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Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

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本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 10:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

EBVBTAC

NVP

ナイロン繊維

K4[Fe(CN)6]

FC4-

CoCl2

アニオン交換繊維

フェロシアン化コバルト担持繊維

Cl-

Co2+

(1)グラフト重合反応(2) [Fe(CN)6]4-の

イオン交換吸着

(3) [Fe(CN)6]4-とCo2+

の沈殿生成反応

作製手順

FC4-

Cl-Co2+

[Fe(CN6)]4-吸着アニオン交換

繊維

フェロシアン化コバルト担持繊維の作製方法

平衡吸着量

[mg-C

sg

-dry

]

平衡濃度 [mg-CsL]

0

10

20

30

40

50

0 20 40 60 80 400 500

フェロシアン化コバルト担持繊維の Cs吸着性能

高速に吸着

残存

Cs濃度

[mg-C

sL

]

接触時間 [h]

10 mg-CsL-海水初濃度

除染現場で使用されているゼオライト

極低濃度域で高い吸着容量

pH [-]

繊維からの

Fe溶出率

[]

pH変化

塩濃度変化

塩化ナトリウム濃度 [M]

繊維からの

Fe溶出率

[]

海水

摩擦

不思議沈殿が繊維から欠落しなかった

だからどの液中でもこぼれない

グラフト鎖は フェロシアン化コバルトと多点で静電相互作用する

+

フェロシアン化コバルトの繊維上での担持構造

一度の反応で200 kg の吸着繊維を製造可能

モール状の吸着繊維を用いた Cs除去装置

2013年 6月17日~

3号機取水路付近で実地試験

(1) 大量製造 (2)形状加工 (3)直接投入

繊維状吸着材の現場投入 その1

繊維状吸着材の現場投入 その2

セシウム吸着繊維装置カーテン状ネット

「東京電力 HP」

セシウム吸着繊維を取りつけたカーテン状ネットを遮水壁開口部に設置

セシウム吸着繊維を港湾取水路前の汚染海水の浄化にldquo実際に使用rdquo

(1) 排水路

海側

山側

(2) 側溝 (3) 雨水ます

2015年4月13日 廃炉汚染水対策現地調整会議(第20回)

繊維状吸着材の現場投入 その3

1984 2019

ウラン セシウム

基材形状

官能基

不織布 繊維

キレート形成基

イオン交換基 イオン交換基

イオン交換基+

フェロシアン化コバルト

グラフトヒストリー 要した時間 35年

1990 2006 2011

nylon

食塩

非多孔性フィルム

PE nylon

タンパク質

多孔性中空糸膜

PEPEPP材質

高分子吸着材の源泉イオン交換(荷電)グラフト鎖

2014年

残部< 100

丸善 2800円

2018年

Springer 92 euro

springer kyoichi saito

検索

電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の開発

(公財)塩事業センター海水総合研究所上席研究員 チームリーダー

永谷 剛

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

2019年12月6日(金)

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

本講演 1

世界の塩生産

日本は岩塩等の資源をもたない

日本は天日製塩に適した条件(土地や日照)をもたない

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2

世界の総生産量=年間約28億トン

日本の総生産量=年間約92万トン26

34

40

塩の製造方法(2012)

Rock

Rock(Brine)

Solar

岩塩

天日塩

Roskill Information Services Ltd Salt Global Industry Markets and Outlook 14th Edition(2014)

海水からかん水(濃い塩水)を採取する方法「採かん」が発展した

世界の生産量の03

大正

藻塩焼き

塩田

流下式塩田法

縄文古墳飛鳥奈良

平安

鎌倉

室町

江戸

明治

昭和

平成

西暦500

1000

1500

日本における採かんの歴史

明治38年

平成9年塩専売制廃止

昭和24年

塩専売制施行

3

昭和47年イオン交換膜法

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

安土桃山

イオン交換膜法製塩4

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

電気透析による海水濃縮の原理 5

1 対

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 11:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

平衡吸着量

[mg-C

sg

-dry

]

平衡濃度 [mg-CsL]

0

10

20

30

40

50

0 20 40 60 80 400 500

フェロシアン化コバルト担持繊維の Cs吸着性能

高速に吸着

残存

Cs濃度

[mg-C

sL

]

接触時間 [h]

10 mg-CsL-海水初濃度

除染現場で使用されているゼオライト

極低濃度域で高い吸着容量

pH [-]

繊維からの

Fe溶出率

[]

pH変化

塩濃度変化

塩化ナトリウム濃度 [M]

繊維からの

Fe溶出率

[]

海水

摩擦

不思議沈殿が繊維から欠落しなかった

だからどの液中でもこぼれない

グラフト鎖は フェロシアン化コバルトと多点で静電相互作用する

+

フェロシアン化コバルトの繊維上での担持構造

一度の反応で200 kg の吸着繊維を製造可能

モール状の吸着繊維を用いた Cs除去装置

2013年 6月17日~

3号機取水路付近で実地試験

(1) 大量製造 (2)形状加工 (3)直接投入

繊維状吸着材の現場投入 その1

繊維状吸着材の現場投入 その2

セシウム吸着繊維装置カーテン状ネット

「東京電力 HP」

セシウム吸着繊維を取りつけたカーテン状ネットを遮水壁開口部に設置

セシウム吸着繊維を港湾取水路前の汚染海水の浄化にldquo実際に使用rdquo

(1) 排水路

海側

山側

(2) 側溝 (3) 雨水ます

2015年4月13日 廃炉汚染水対策現地調整会議(第20回)

繊維状吸着材の現場投入 その3

1984 2019

ウラン セシウム

基材形状

官能基

不織布 繊維

キレート形成基

イオン交換基 イオン交換基

イオン交換基+

フェロシアン化コバルト

グラフトヒストリー 要した時間 35年

1990 2006 2011

nylon

食塩

非多孔性フィルム

PE nylon

タンパク質

多孔性中空糸膜

PEPEPP材質

高分子吸着材の源泉イオン交換(荷電)グラフト鎖

2014年

残部< 100

丸善 2800円

2018年

Springer 92 euro

springer kyoichi saito

検索

電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の開発

(公財)塩事業センター海水総合研究所上席研究員 チームリーダー

永谷 剛

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

2019年12月6日(金)

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

本講演 1

世界の塩生産

日本は岩塩等の資源をもたない

日本は天日製塩に適した条件(土地や日照)をもたない

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2

世界の総生産量=年間約28億トン

日本の総生産量=年間約92万トン26

34

40

塩の製造方法(2012)

Rock

Rock(Brine)

Solar

岩塩

天日塩

Roskill Information Services Ltd Salt Global Industry Markets and Outlook 14th Edition(2014)

海水からかん水(濃い塩水)を採取する方法「採かん」が発展した

世界の生産量の03

大正

藻塩焼き

塩田

流下式塩田法

縄文古墳飛鳥奈良

平安

鎌倉

室町

江戸

明治

昭和

平成

西暦500

1000

1500

日本における採かんの歴史

明治38年

平成9年塩専売制廃止

昭和24年

塩専売制施行

3

昭和47年イオン交換膜法

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

安土桃山

イオン交換膜法製塩4

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

電気透析による海水濃縮の原理 5

1 対

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

11 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

ご清聴ありがとうございました

Page 12:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

pH [-]

繊維からの

Fe溶出率

[]

pH変化

塩濃度変化

塩化ナトリウム濃度 [M]

繊維からの

Fe溶出率

[]

海水

摩擦

不思議沈殿が繊維から欠落しなかった

だからどの液中でもこぼれない

グラフト鎖は フェロシアン化コバルトと多点で静電相互作用する

+

フェロシアン化コバルトの繊維上での担持構造

一度の反応で200 kg の吸着繊維を製造可能

モール状の吸着繊維を用いた Cs除去装置

2013年 6月17日~

3号機取水路付近で実地試験

(1) 大量製造 (2)形状加工 (3)直接投入

繊維状吸着材の現場投入 その1

繊維状吸着材の現場投入 その2

セシウム吸着繊維装置カーテン状ネット

「東京電力 HP」

セシウム吸着繊維を取りつけたカーテン状ネットを遮水壁開口部に設置

セシウム吸着繊維を港湾取水路前の汚染海水の浄化にldquo実際に使用rdquo

(1) 排水路

海側

山側

(2) 側溝 (3) 雨水ます

2015年4月13日 廃炉汚染水対策現地調整会議(第20回)

繊維状吸着材の現場投入 その3

1984 2019

ウラン セシウム

基材形状

官能基

不織布 繊維

キレート形成基

イオン交換基 イオン交換基

イオン交換基+

フェロシアン化コバルト

グラフトヒストリー 要した時間 35年

1990 2006 2011

nylon

食塩

非多孔性フィルム

PE nylon

タンパク質

多孔性中空糸膜

PEPEPP材質

高分子吸着材の源泉イオン交換(荷電)グラフト鎖

2014年

残部< 100

丸善 2800円

2018年

Springer 92 euro

springer kyoichi saito

検索

電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の開発

(公財)塩事業センター海水総合研究所上席研究員 チームリーダー

永谷 剛

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

2019年12月6日(金)

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

本講演 1

世界の塩生産

日本は岩塩等の資源をもたない

日本は天日製塩に適した条件(土地や日照)をもたない

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2

世界の総生産量=年間約28億トン

日本の総生産量=年間約92万トン26

34

40

塩の製造方法(2012)

Rock

Rock(Brine)

Solar

岩塩

天日塩

Roskill Information Services Ltd Salt Global Industry Markets and Outlook 14th Edition(2014)

海水からかん水(濃い塩水)を採取する方法「採かん」が発展した

世界の生産量の03

大正

藻塩焼き

塩田

流下式塩田法

縄文古墳飛鳥奈良

平安

鎌倉

室町

江戸

明治

昭和

平成

西暦500

1000

1500

日本における採かんの歴史

明治38年

平成9年塩専売制廃止

昭和24年

塩専売制施行

3

昭和47年イオン交換膜法

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

安土桃山

イオン交換膜法製塩4

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

電気透析による海水濃縮の原理 5

1 対

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 13:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

だからどの液中でもこぼれない

グラフト鎖は フェロシアン化コバルトと多点で静電相互作用する

+

フェロシアン化コバルトの繊維上での担持構造

一度の反応で200 kg の吸着繊維を製造可能

モール状の吸着繊維を用いた Cs除去装置

2013年 6月17日~

3号機取水路付近で実地試験

(1) 大量製造 (2)形状加工 (3)直接投入

繊維状吸着材の現場投入 その1

繊維状吸着材の現場投入 その2

セシウム吸着繊維装置カーテン状ネット

「東京電力 HP」

セシウム吸着繊維を取りつけたカーテン状ネットを遮水壁開口部に設置

セシウム吸着繊維を港湾取水路前の汚染海水の浄化にldquo実際に使用rdquo

(1) 排水路

海側

山側

(2) 側溝 (3) 雨水ます

2015年4月13日 廃炉汚染水対策現地調整会議(第20回)

繊維状吸着材の現場投入 その3

1984 2019

ウラン セシウム

基材形状

官能基

不織布 繊維

キレート形成基

イオン交換基 イオン交換基

イオン交換基+

フェロシアン化コバルト

グラフトヒストリー 要した時間 35年

1990 2006 2011

nylon

食塩

非多孔性フィルム

PE nylon

タンパク質

多孔性中空糸膜

PEPEPP材質

高分子吸着材の源泉イオン交換(荷電)グラフト鎖

2014年

残部< 100

丸善 2800円

2018年

Springer 92 euro

springer kyoichi saito

検索

電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の開発

(公財)塩事業センター海水総合研究所上席研究員 チームリーダー

永谷 剛

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

2019年12月6日(金)

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

本講演 1

世界の塩生産

日本は岩塩等の資源をもたない

日本は天日製塩に適した条件(土地や日照)をもたない

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2

世界の総生産量=年間約28億トン

日本の総生産量=年間約92万トン26

34

40

塩の製造方法(2012)

Rock

Rock(Brine)

Solar

岩塩

天日塩

Roskill Information Services Ltd Salt Global Industry Markets and Outlook 14th Edition(2014)

海水からかん水(濃い塩水)を採取する方法「採かん」が発展した

世界の生産量の03

大正

藻塩焼き

塩田

流下式塩田法

縄文古墳飛鳥奈良

平安

鎌倉

室町

江戸

明治

昭和

平成

西暦500

1000

1500

日本における採かんの歴史

明治38年

平成9年塩専売制廃止

昭和24年

塩専売制施行

3

昭和47年イオン交換膜法

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

安土桃山

イオン交換膜法製塩4

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

電気透析による海水濃縮の原理 5

1 対

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 14:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

一度の反応で200 kg の吸着繊維を製造可能

モール状の吸着繊維を用いた Cs除去装置

2013年 6月17日~

3号機取水路付近で実地試験

(1) 大量製造 (2)形状加工 (3)直接投入

繊維状吸着材の現場投入 その1

繊維状吸着材の現場投入 その2

セシウム吸着繊維装置カーテン状ネット

「東京電力 HP」

セシウム吸着繊維を取りつけたカーテン状ネットを遮水壁開口部に設置

セシウム吸着繊維を港湾取水路前の汚染海水の浄化にldquo実際に使用rdquo

(1) 排水路

海側

山側

(2) 側溝 (3) 雨水ます

2015年4月13日 廃炉汚染水対策現地調整会議(第20回)

繊維状吸着材の現場投入 その3

1984 2019

ウラン セシウム

基材形状

官能基

不織布 繊維

キレート形成基

イオン交換基 イオン交換基

イオン交換基+

フェロシアン化コバルト

グラフトヒストリー 要した時間 35年

1990 2006 2011

nylon

食塩

非多孔性フィルム

PE nylon

タンパク質

多孔性中空糸膜

PEPEPP材質

高分子吸着材の源泉イオン交換(荷電)グラフト鎖

2014年

残部< 100

丸善 2800円

2018年

Springer 92 euro

springer kyoichi saito

検索

電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の開発

(公財)塩事業センター海水総合研究所上席研究員 チームリーダー

永谷 剛

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

2019年12月6日(金)

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

本講演 1

世界の塩生産

日本は岩塩等の資源をもたない

日本は天日製塩に適した条件(土地や日照)をもたない

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2

世界の総生産量=年間約28億トン

日本の総生産量=年間約92万トン26

34

40

塩の製造方法(2012)

Rock

Rock(Brine)

Solar

岩塩

天日塩

Roskill Information Services Ltd Salt Global Industry Markets and Outlook 14th Edition(2014)

海水からかん水(濃い塩水)を採取する方法「採かん」が発展した

世界の生産量の03

大正

藻塩焼き

塩田

流下式塩田法

縄文古墳飛鳥奈良

平安

鎌倉

室町

江戸

明治

昭和

平成

西暦500

1000

1500

日本における採かんの歴史

明治38年

平成9年塩専売制廃止

昭和24年

塩専売制施行

3

昭和47年イオン交換膜法

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

安土桃山

イオン交換膜法製塩4

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

電気透析による海水濃縮の原理 5

1 対

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 15:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

繊維状吸着材の現場投入 その2

セシウム吸着繊維装置カーテン状ネット

「東京電力 HP」

セシウム吸着繊維を取りつけたカーテン状ネットを遮水壁開口部に設置

セシウム吸着繊維を港湾取水路前の汚染海水の浄化にldquo実際に使用rdquo

(1) 排水路

海側

山側

(2) 側溝 (3) 雨水ます

2015年4月13日 廃炉汚染水対策現地調整会議(第20回)

繊維状吸着材の現場投入 その3

1984 2019

ウラン セシウム

基材形状

官能基

不織布 繊維

キレート形成基

イオン交換基 イオン交換基

イオン交換基+

フェロシアン化コバルト

グラフトヒストリー 要した時間 35年

1990 2006 2011

nylon

食塩

非多孔性フィルム

PE nylon

タンパク質

多孔性中空糸膜

PEPEPP材質

高分子吸着材の源泉イオン交換(荷電)グラフト鎖

2014年

残部< 100

丸善 2800円

2018年

Springer 92 euro

springer kyoichi saito

検索

電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の開発

(公財)塩事業センター海水総合研究所上席研究員 チームリーダー

永谷 剛

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

2019年12月6日(金)

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

本講演 1

世界の塩生産

日本は岩塩等の資源をもたない

日本は天日製塩に適した条件(土地や日照)をもたない

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2

世界の総生産量=年間約28億トン

日本の総生産量=年間約92万トン26

34

40

塩の製造方法(2012)

Rock

Rock(Brine)

Solar

岩塩

天日塩

Roskill Information Services Ltd Salt Global Industry Markets and Outlook 14th Edition(2014)

海水からかん水(濃い塩水)を採取する方法「採かん」が発展した

世界の生産量の03

大正

藻塩焼き

塩田

流下式塩田法

縄文古墳飛鳥奈良

平安

鎌倉

室町

江戸

明治

昭和

平成

西暦500

1000

1500

日本における採かんの歴史

明治38年

平成9年塩専売制廃止

昭和24年

塩専売制施行

3

昭和47年イオン交換膜法

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

安土桃山

イオン交換膜法製塩4

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

電気透析による海水濃縮の原理 5

1 対

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 16:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

(1) 排水路

海側

山側

(2) 側溝 (3) 雨水ます

2015年4月13日 廃炉汚染水対策現地調整会議(第20回)

繊維状吸着材の現場投入 その3

1984 2019

ウラン セシウム

基材形状

官能基

不織布 繊維

キレート形成基

イオン交換基 イオン交換基

イオン交換基+

フェロシアン化コバルト

グラフトヒストリー 要した時間 35年

1990 2006 2011

nylon

食塩

非多孔性フィルム

PE nylon

タンパク質

多孔性中空糸膜

PEPEPP材質

高分子吸着材の源泉イオン交換(荷電)グラフト鎖

2014年

残部< 100

丸善 2800円

2018年

Springer 92 euro

springer kyoichi saito

検索

電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の開発

(公財)塩事業センター海水総合研究所上席研究員 チームリーダー

永谷 剛

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

2019年12月6日(金)

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

本講演 1

世界の塩生産

日本は岩塩等の資源をもたない

日本は天日製塩に適した条件(土地や日照)をもたない

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2

世界の総生産量=年間約28億トン

日本の総生産量=年間約92万トン26

34

40

塩の製造方法(2012)

Rock

Rock(Brine)

Solar

岩塩

天日塩

Roskill Information Services Ltd Salt Global Industry Markets and Outlook 14th Edition(2014)

海水からかん水(濃い塩水)を採取する方法「採かん」が発展した

世界の生産量の03

大正

藻塩焼き

塩田

流下式塩田法

縄文古墳飛鳥奈良

平安

鎌倉

室町

江戸

明治

昭和

平成

西暦500

1000

1500

日本における採かんの歴史

明治38年

平成9年塩専売制廃止

昭和24年

塩専売制施行

3

昭和47年イオン交換膜法

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

安土桃山

イオン交換膜法製塩4

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

電気透析による海水濃縮の原理 5

1 対

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

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1984 2019

ウラン セシウム

基材形状

官能基

不織布 繊維

キレート形成基

イオン交換基 イオン交換基

イオン交換基+

フェロシアン化コバルト

グラフトヒストリー 要した時間 35年

1990 2006 2011

nylon

食塩

非多孔性フィルム

PE nylon

タンパク質

多孔性中空糸膜

PEPEPP材質

高分子吸着材の源泉イオン交換(荷電)グラフト鎖

2014年

残部< 100

丸善 2800円

2018年

Springer 92 euro

springer kyoichi saito

検索

電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の開発

(公財)塩事業センター海水総合研究所上席研究員 チームリーダー

永谷 剛

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

2019年12月6日(金)

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

本講演 1

世界の塩生産

日本は岩塩等の資源をもたない

日本は天日製塩に適した条件(土地や日照)をもたない

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2

世界の総生産量=年間約28億トン

日本の総生産量=年間約92万トン26

34

40

塩の製造方法(2012)

Rock

Rock(Brine)

Solar

岩塩

天日塩

Roskill Information Services Ltd Salt Global Industry Markets and Outlook 14th Edition(2014)

海水からかん水(濃い塩水)を採取する方法「採かん」が発展した

世界の生産量の03

大正

藻塩焼き

塩田

流下式塩田法

縄文古墳飛鳥奈良

平安

鎌倉

室町

江戸

明治

昭和

平成

西暦500

1000

1500

日本における採かんの歴史

明治38年

平成9年塩専売制廃止

昭和24年

塩専売制施行

3

昭和47年イオン交換膜法

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

安土桃山

イオン交換膜法製塩4

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

電気透析による海水濃縮の原理 5

1 対

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 18:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

高分子吸着材の源泉イオン交換(荷電)グラフト鎖

2014年

残部< 100

丸善 2800円

2018年

Springer 92 euro

springer kyoichi saito

検索

電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の開発

(公財)塩事業センター海水総合研究所上席研究員 チームリーダー

永谷 剛

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

2019年12月6日(金)

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

本講演 1

世界の塩生産

日本は岩塩等の資源をもたない

日本は天日製塩に適した条件(土地や日照)をもたない

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2

世界の総生産量=年間約28億トン

日本の総生産量=年間約92万トン26

34

40

塩の製造方法(2012)

Rock

Rock(Brine)

Solar

岩塩

天日塩

Roskill Information Services Ltd Salt Global Industry Markets and Outlook 14th Edition(2014)

海水からかん水(濃い塩水)を採取する方法「採かん」が発展した

世界の生産量の03

大正

藻塩焼き

塩田

流下式塩田法

縄文古墳飛鳥奈良

平安

鎌倉

室町

江戸

明治

昭和

平成

西暦500

1000

1500

日本における採かんの歴史

明治38年

平成9年塩専売制廃止

昭和24年

塩専売制施行

3

昭和47年イオン交換膜法

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

安土桃山

イオン交換膜法製塩4

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

電気透析による海水濃縮の原理 5

1 対

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 19:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

2014年

残部< 100

丸善 2800円

2018年

Springer 92 euro

springer kyoichi saito

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電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の開発

(公財)塩事業センター海水総合研究所上席研究員 チームリーダー

永谷 剛

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

2019年12月6日(金)

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

本講演 1

世界の塩生産

日本は岩塩等の資源をもたない

日本は天日製塩に適した条件(土地や日照)をもたない

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2

世界の総生産量=年間約28億トン

日本の総生産量=年間約92万トン26

34

40

塩の製造方法(2012)

Rock

Rock(Brine)

Solar

岩塩

天日塩

Roskill Information Services Ltd Salt Global Industry Markets and Outlook 14th Edition(2014)

海水からかん水(濃い塩水)を採取する方法「採かん」が発展した

世界の生産量の03

大正

藻塩焼き

塩田

流下式塩田法

縄文古墳飛鳥奈良

平安

鎌倉

室町

江戸

明治

昭和

平成

西暦500

1000

1500

日本における採かんの歴史

明治38年

平成9年塩専売制廃止

昭和24年

塩専売制施行

3

昭和47年イオン交換膜法

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

安土桃山

イオン交換膜法製塩4

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

電気透析による海水濃縮の原理 5

1 対

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 20:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の開発

(公財)塩事業センター海水総合研究所上席研究員 チームリーダー

永谷 剛

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

2019年12月6日(金)

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

本講演 1

世界の塩生産

日本は岩塩等の資源をもたない

日本は天日製塩に適した条件(土地や日照)をもたない

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2

世界の総生産量=年間約28億トン

日本の総生産量=年間約92万トン26

34

40

塩の製造方法(2012)

Rock

Rock(Brine)

Solar

岩塩

天日塩

Roskill Information Services Ltd Salt Global Industry Markets and Outlook 14th Edition(2014)

海水からかん水(濃い塩水)を採取する方法「採かん」が発展した

世界の生産量の03

大正

藻塩焼き

塩田

流下式塩田法

縄文古墳飛鳥奈良

平安

鎌倉

室町

江戸

明治

昭和

平成

西暦500

1000

1500

日本における採かんの歴史

明治38年

平成9年塩専売制廃止

昭和24年

塩専売制施行

3

昭和47年イオン交換膜法

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

安土桃山

イオン交換膜法製塩4

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

電気透析による海水濃縮の原理 5

1 対

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 21:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

本講演 1

世界の塩生産

日本は岩塩等の資源をもたない

日本は天日製塩に適した条件(土地や日照)をもたない

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2

世界の総生産量=年間約28億トン

日本の総生産量=年間約92万トン26

34

40

塩の製造方法(2012)

Rock

Rock(Brine)

Solar

岩塩

天日塩

Roskill Information Services Ltd Salt Global Industry Markets and Outlook 14th Edition(2014)

海水からかん水(濃い塩水)を採取する方法「採かん」が発展した

世界の生産量の03

大正

藻塩焼き

塩田

流下式塩田法

縄文古墳飛鳥奈良

平安

鎌倉

室町

江戸

明治

昭和

平成

西暦500

1000

1500

日本における採かんの歴史

明治38年

平成9年塩専売制廃止

昭和24年

塩専売制施行

3

昭和47年イオン交換膜法

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

安土桃山

イオン交換膜法製塩4

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

電気透析による海水濃縮の原理 5

1 対

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 22:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

世界の塩生産

日本は岩塩等の資源をもたない

日本は天日製塩に適した条件(土地や日照)をもたない

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2

世界の総生産量=年間約28億トン

日本の総生産量=年間約92万トン26

34

40

塩の製造方法(2012)

Rock

Rock(Brine)

Solar

岩塩

天日塩

Roskill Information Services Ltd Salt Global Industry Markets and Outlook 14th Edition(2014)

海水からかん水(濃い塩水)を採取する方法「採かん」が発展した

世界の生産量の03

大正

藻塩焼き

塩田

流下式塩田法

縄文古墳飛鳥奈良

平安

鎌倉

室町

江戸

明治

昭和

平成

西暦500

1000

1500

日本における採かんの歴史

明治38年

平成9年塩専売制廃止

昭和24年

塩専売制施行

3

昭和47年イオン交換膜法

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

安土桃山

イオン交換膜法製塩4

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

電気透析による海水濃縮の原理 5

1 対

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

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Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

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本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 23:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

大正

藻塩焼き

塩田

流下式塩田法

縄文古墳飛鳥奈良

平安

鎌倉

室町

江戸

明治

昭和

平成

西暦500

1000

1500

日本における採かんの歴史

明治38年

平成9年塩専売制廃止

昭和24年

塩専売制施行

3

昭和47年イオン交換膜法

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

安土桃山

イオン交換膜法製塩4

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

電気透析による海水濃縮の原理 5

1 対

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

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本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 24:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

イオン交換膜法製塩4

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

電気透析による海水濃縮の原理 5

1 対

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 25:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

電気透析による海水濃縮の原理 5

1 対

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 26:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

次世代イオン交換膜開発の必要性昭和47年イオン交換膜製塩法の導入

6

平成22年に現行膜の芯材であるテビロンが製造中止

国内製塩企業のさらなる国際競争力を高めるためにはより高性能なイオン交換膜を開発する必要がある

膜性能の向上電気透析装置の改善により実用化当時に比べエネルギー(電力)消費量は半減

現行のイオン交換膜製造法(熱重合法)は開発から50年以上経過しすでに成熟した技術であるため更なるエネルギー消費量の低減は困難

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

次世代イオン交換膜開発へ

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

11 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

ご清聴ありがとうございました

Page 27:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

本講演 7

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 28:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

8

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

海水総合研究所における膜開発2 次世代イオン交換膜開発の概要

(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

11 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

ご清聴ありがとうございました

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(公財)塩事業センター

研究開発プロジェクト

海水研開発推進グループ

研究運営連絡会

研究開発評価委員会

研究開発協議会

委託研究委託研究

膜メーカー大学研究者一般社団法人日本塩工業会(公財)塩事業センター

製塩工場技術責任者

千葉大学斎藤教授

東京工業大学山口教授

プロジェクト研究の研究体制2 次世代イオン交換膜開発の概要

9

10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

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10

〇 透析電力原単位の低減

〇 海水の高濃度濃縮

〇 電気透析装置の解体洗浄間隔の延長

プロジェクト研究の目的

次世代イオン交換膜の開発

イオン交換膜製塩工場の採かん工程の高度化を推進し国内製塩企業の国際競争力強化を図る

2 次世代イオン交換膜開発の概要

11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

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11

〇 電子線グラフト重合法

〇 細孔フィリング法

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 32:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

製塩用イオン交換膜に求められる性能

(1) 濃縮性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること透析電力原単位の低減=電気透析工程での

省エネルギー効果海水の高濃度濃縮=晶析工程での省エネルギー効果

電気透析工程

砂ろ過工程 晶析工程

乾燥工程

海水

塩分濃度 3 rarr 20

++

+-

-

-

+ -

+-

+-+

- +

-

-

+-+ -

Na+

-cathode

Cl-

陽イオン交換膜

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-+

anode

hellip hellip

濃縮室 脱塩室

海水かん水

122 次世代イオン交換膜開発の概要

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 33:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

陰イオン交換膜

Na+

Cl-

陽イオン交換膜

Ca2+

SO42-

Na+

スケール

透析中にスケールが析出すると膜が破損する

Cl-

(2) 選択透過性能

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いことスケール発生による運転トラブルを抑制

製塩用イオン交換膜に求められる性能13

2 次世代イオン交換膜開発の概要

14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

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14

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

プロジェクト研究における膜開発

次世代イオン交換膜の開発

2 次世代イオン交換膜開発の概要

〇 電子線グラフト重合法

開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

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開発スケジュール

平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年

膜合成のスクリーニング

合成法の最適化

実用性向上

スケールアップ手法の検討

製膜設備の設計制作

工程試験用膜の製造

工程試験工程試験準備

膜合成法の検討

スケールアップ技術の開発

工程試験

152 次世代イオン交換膜開発の概要

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 36:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

本講演 16

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の概要

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 37:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

電子線グラフト重合法

溶媒

重合性モノマー

STEP 1 電子線照射

基材となるフィルムに電子線を照射し基材内にラジカルを発生させる

STEP 2 グラフト重合

ラジカルを基点にグラフト鎖を形成する

反応溶液

イオン交換基

グラフト鎖

STEP3 イオン交換基の導入

グラフト鎖にイオン交換基を導入する

グラフト膜

電子線

ラジカル

フィルム

イオン交換膜

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

17

基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

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基材の選定 18

基材 重合のしやすさ 強度

低密度ポリエチレン(LDPE) times(ラジカルが消失しやすい)

times

LDPE含有高密度ポリエチレン times(酸化防止剤含有量が多い)

times

高密度ポリエチレン(HDPE) 〇 times

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)

(ラジカルが消失しにくい)

(酸化防止剤含有量が非常に少ない)

汎用性が高く入手しやすいポリエチレンフィルムを各種入手しスクリーニングを実施

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

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超高分子量ポリエチレンの特徴

厚み [μm] 結晶化度 []分子量引張り強さ [kg cm2]特性

6064

160万440

耐磨耗耐衝撃耐薬品

用途 人工関節他

193 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

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Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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製造スキーム陽イオン交換膜

20

UHMWPE

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

トリメチルアミン

水溶液

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 41:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

評価項目 21

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 42:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 2505 molL

NaCl

濃縮液(かん水)

濃縮性能の評価

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

1対

陽イオン交換膜

6対

濃縮室 脱塩室

223 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 43:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

濃縮性能(かん水濃度と膜抵抗との関係)

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

目標

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

現状と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

目標と濃縮性能およびエネルギーコストが同程度であると算出される膜抵抗とかん水濃度との関係

23

現状

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

目標

現状

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 44:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

20

25

30

35

40

45

50

2 3 4

製造した膜の濃縮性能

現行膜と比較し高い濃縮性能が得られた

24

かん

水Cl濃

度[m

ol

L]

膜抵抗の合計値 [Ω cm2]

(陽イオン交換膜抵抗+陰イオン交換膜抵抗)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 45:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

評価項目 25

(1)濃縮性能

(2)選択透過性能

低電気抵抗で高濃度に濃縮できる膜を開発すること

陰イオン交換膜における硫酸イオン透過性が低いこと

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

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Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

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架橋

グラフト鎖

陰イオン交換膜架橋構造に起因する篩効果を利用

水和イオン半径(ストークス半径)

++

+

+

陰イオン交換膜への選択透過性能の付与

NNNlsquoNrsquo-tetramethyl-16-hexanediamine (TMHDA)

N(CH3)2

(CH3)2N

26

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

SO42-

Cl-

SO42-Cl-

製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

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製造スキーム 27

陰イオン交換膜

電子線

UHMWPE

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

架橋の導入

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 48:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

架橋の導入により

架橋部分の測定28

反応部位を膜表面に限定したい

篩効果が得られる

膜抵抗が増加する

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 49:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

CH2 N(CH3)2Cl

CH2Cl

CH2 N(CH3)2Cl

+ -

+10 molL

NaBr

CH2 N(CH3)2Br

CH2 N(CH3)2Br

+ -

+

架橋部分の塩化物イオンを臭化物イオンにイオン交換

CH2Cl

CH2Cl

CH2Cl

- -

29架橋部分の測定

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 50:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

膜断面方向におけるBrの分布

強度

85 μm

膜の断面方向の臭素の分布

SEM-EDX

75 μm

30

反応部位を膜表面に限定できた

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

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小型電気透析槽

有効膜面積 2 times 4 cm電流密度 003 Acm2

透析温度 25

1対

陽イオン交換膜

6対

31硫酸イオン透過性の評価

05 molL NaCl0025 molL Na2SO4

(海水相当のSO42-濃度)

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

濃縮液(かん水)

陰イオン交換膜

-

-

-

+

+

+

Na+

Na+

Na+

Na+

Cl-

Cl-Na+

Na+

Cl-

Cl-

Cl-

Cl-

濃縮室 脱塩室

SO42-

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

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0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

Cl-と比べてSO4

2-が通りにくい現行AEM

(選択処理付与)

32

Cl-の濃縮倍率

選択性が向上

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

TS

O4

[-]

Cl

0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

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0

002

004

006

008

0 1 2 3

選択透過係数の算出

硫酸イオン選択透過係数 (T ) [-]SO4Cl

=SO4

2-の濃縮倍率

33

Cl-の濃縮倍率

T =002を達成するにはCl- rarr 7倍濃縮SO4

2- rarr 015倍濃縮

ClSO4

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

002

現行AEM(選択処理付与)

TS

O4

[-]

Cl

000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

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000

002

004

006

008

010

0 1 2 3 4

選択透過係数と膜抵抗との関係

反応量 rarr 膜抵抗 rarr TSO4Cl

現行AEM

未処理020

34

現行と比較し同程度のTSO4が得られたCl

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

陰イオン交換膜の抵抗 [Ω cm2]

TS

O4

[-]

Cl

002

35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

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35

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇製造した膜は現行膜と比較し低電気抵抗で高濃度に濃縮できた

〇製塩用陰イオン交換膜の選択透過性能を付与する架橋剤としてTMHDAを選定した

〇製造した膜は現行膜と比較し同等の選択透過性能を示した

まとめ3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

Page 56:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

本講演 36

1 次世代イオン交換膜開発の経緯

2 次世代イオン交換膜開発の目的

3 電子線グラフト重合法を用いた次世代イオン交換膜の合成法の検討

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

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130 cm

4 cm

8 cm

60 cm

ラボスケール ハーフサイズ

37

工程試験

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験4 スケールアップ技術の開発および工程試験

60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

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60 cmロール形状基材を用いた製造装置の設計試作

38

大型製造装置の試作 工程試験

イオン交換膜の製造

スケールアップ技術の開発

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

スケールアップ技術の開発および工程試験

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

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製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置 グラフト重合装置

陽イオン交換基導入装置

394 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

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40

窒素雰囲気

超高分子量PE

電子線照射

幅60cmのフィルムに連続的な照射が可能

製造装置の試作(陽イオン交換膜)

電子線照射装置

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

11 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

ご清聴ありがとうございました

Page 61:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

グラフト重合装置

41

溶液ライン窒素ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能系内の酸素を重合を阻害しない濃度まで低減できる構造

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

11 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

ご清聴ありがとうございました

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42

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ50mまで処理可能装置材料にはフッ素樹脂を使用(耐酸耐有機溶媒)

製造装置の試作(陽イオン交換膜)4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陽イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

スチレンラジカル

クロロスルホン酸

ジクロロエタン

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

11 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

ご清聴ありがとうございました

Page 63:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

電子線照射装置 グラフト重合装置

43製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

11 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

ご清聴ありがとうございました

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溶液ライン

幅60cmのフィルムを1バッチ100mまで処理可能悪臭対策のため着脱式溶液槽を利用

着脱式溶液槽

44製造装置の試作(陰イオン交換膜)

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

陰イオン交換基導入装置

電子線

キシレン

クロロメチル

スチレンラジカル

トリメチルアミン

水溶液

TMHDA

メタノール

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

11 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

ご清聴ありがとうございました

Page 65:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

次世代陽イオン交換膜 次世代陰イオン交換膜

60 cm

130 cm

60 cm

130 cm

得られたイオン交換膜の外観45

ロール形状基材を用いた製造方法を確立できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

11 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

ご清聴ありがとうございました

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130 cm

60 cm

46

工程試験

ロール形状基材を用いた製造方法を確立

スケールアップ技術の開発

スケールアップ技術の開発および工程試験

ハーフサイズ

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

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場所 ナイカイ塩業株式会社様 敷地内(岡山県)

製塩メーカーにおける工程試験

実験室

ナイカイ塩業株式会社様 HPより

47

実用化モデル電気透析装置を用いて工程試験を実施

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

11 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

ご清聴ありがとうございました

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工程試験における評価項目48

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

上記運転性能が長期にわたって維持されるか

長期運転中にスケールトラブルが発生しないか

低電気抵抗で高濃度に濃縮できること

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

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140

160

180

200

220

240

0 30 60 90 120 150

経過日数 [day]

かん

水N

aCl濃

度[g

L

]

次世代イオン交換膜

現行イオン交換膜

工程試験結果

かん水NaCl濃度および消費電力は140日間にわたり安定であった

かん水NaCl濃度は現行イオン交換膜とほぼ同等であった

49

100

120

140

160

180

200

0 30 60 90 120 150

透析

電力

原単

位[

kW

h

tonndashN

aCl]

消費電力は現行イオン交換膜と比較し10低減した

140日経過後膜解体時にスケールは見られなった

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

11 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

ご清聴ありがとうございました

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評価結果 50

(1)濃縮性能

(2)長期安定性

(3)選択透過性能

現行イオン交換膜と比較し向上した

140日にわたり安定した濃縮性能を示した

スケールの発生を抑制できた

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

11 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

ご清聴ありがとうございました

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〇 ロール形状基材を用いた製造方法を確立した

〇 上記装置を用いて次世代イオン交換膜を製造した

〇 次世代イオン交換膜の濃縮性能は現行膜と比較し向上した

〇 次世代イオン交換膜は140日にわたり安定した濃縮性能を示した

〇 次世代イオン交換膜は選択透過処理を施すことによりスケールの発生を抑制できた

51まとめ

スケールアップ技術の開発

工程試験

4 スケールアップ技術の開発および工程試験

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

11 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

ご清聴ありがとうございました

Page 72:  · Author û±x\? 8Õh ¦¾ O:½9ànf ®Ù Oº{ Created Date: ùEº¾±¨ ßMÔ³Í mà!©)tø~ ô¦ r% ným äya` GÁ{×½ w

プロジェクト研究の結果 52

〇超高分子量ポリエチレンを基材として用い電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の合成法を確立した

〇ロール形状基材を用いた電子線グラフト重合法による製塩用イオン交換膜の製造方法を確立した

〇上記装置を用いて製造した次世代イオン交換膜は現行膜と比較し高い濃縮性能を示したまた140日間にわたり安定した性能を示しスケールトラブルも発生しなかった

工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

11 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

ご清聴ありがとうございました

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工業化に向けて

目標

プロジェクト研究終了後膜メーカー2社に工業化に関する共同研究を打診

rArrAGCエンジニアリング株式会社と工業化に向けて共同研究を実施

プロジェクト研究

53

工業化

共同研究

4 cm

8 cm 130 cm

60 cm

平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

11 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

ご清聴ありがとうございました

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平成18年4月~平成23年3月塩製造技術高度化研究開発事業(プロジェクト研究)

平成23年6月~平成25年1月陽陰イオン交換膜への1価イオン選択透過性付与に関わる処理条件の最適化

平成25年2月~製塩用次世代膜の工業化に関する研究

AGCエンジニアリング株式会社との共同研究

近年の海水総合研究所におけるイオン交換膜開発に関する検討

54工業化に向けて

おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

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おわりに 55

次世代イオン交換膜の歴史は始まったばかりである

海水総合研究所では引き続き製塩用イオン交換膜の研究に取り組んでいく

プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

1 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

5 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

6 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

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プロジェクト研究の成果(電子線グラフト)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2006年度報告海水総合研究所研究報告 9 48-50 (2007)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2007年度報告海水総合研究所研究報告 10 25-28 (2008)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2008年度報告海水総合研究所研究報告 11 36-42 (2009)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業2009年度報告海水総合研究所研究報告 12 55-60 (2010)

吉川直人塩製造技術高度化研究開発事業最終報告海水総合研究所研究報告 13 21-40 (2011)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255350 (2008)

永谷剛吉川直人製塩用陰イオン交換膜およびその製造方法特開2008-255351 (2008)

永谷剛吉川直人大村信彦製塩用陽イオン交換膜およびその製造方法特開2009-256638 (2009)

永谷剛加留部智彦一価陰イオン選択透過性製塩用陰イオン交換膜及びその製造方法特開2012-201693 (2012)

永谷剛 加留部智彦 吉川直人 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の開発(第1報) 日本海水学会第60年会研究技術発表講演要旨集 42-43 (2009)

永谷剛加留部智彦吉川直人大村信彦土田清 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第2報 Bull Soc Sea Water Sci Jpn 64 140 (2010)

加留部智彦永谷剛吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第3報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 140 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第4報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 65 141 (2011)

永谷剛加留部智彦吉川直人土田清浅田勝利 電子線グラフト重合法による次世代イオン交換膜の研究開発(第5報) Bull Soc Sea Water Sci Jpn 66 123 (2012)

T Nagatani T Karube and N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 9th World Congress of Chemical

Engineering (2013)

永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いたイオン交換膜の開発」永谷平成27年度一般社団法人先端膜工学研究推進機春季講演会膜工学サロン(2016)T Nagatani T Karube and N Yoshikawa DEVELOPMENT OF ION-EXCHANGE MEMBRANE USING AN ELECTRON-BEAM-INDUCED GRAFT POLYMERIZATION METHOD

Program RadTech Asia 2016 45 Tokyo (2016)

T Nagatani T Karube N Yoshikawa Development of Ion-Exchange Membrane Using an Electron-Beam-Induced Graft Polymerization Method 2018 World Salt Symposium

Paper ID WSS18-046 Utah (2018)

永谷剛 「わが国固有の塩作り「イオン交換膜製塩法」 -次世代イオン交換膜の開発-」電気透析および膜技術研究会シンポジウム(2018)永谷剛 「電子線グラフト重合法を用いた省エネルギー製塩用イオン交換膜の開発」 ニューメンブレンテクノロジーシンポジウム(2019)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (I) Cation-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 71 300-307 (2017) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (II) Anion-Exchange Membranes Bull Soc Sea Water Sci Jpn 72 96-103 (2018) (Japanese)

T Nagatani T Sasaki and K Saito Production of Polyethylene-Based Ion-Exchange Membranes for Electrodialysis of Seawater

Using Electron-Beam-Induced Graft Polymerization (III) Mono-Valent Anion Selective Anion-Exchange Membranes MEMBRANE 43 231-237 (2018) (Japanese)

研究報告

特許

発表

投稿論文

56

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Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

2 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

3 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

9 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

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Salt amp Seawater Science Seminar 2019

次世代イオン交換膜の実用化に向けて

2019126

AGCエンジニアリング株式会社

田柳 順一

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本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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本日の講演内容

1塩事業センター様との共同研究の経緯2新膜の性能3FORBLUETM商品群のご紹介

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

4 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

7 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

10 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト

実用化へ向けてのポイント 量産スケールでの製膜条件の最適化 製塩用次世代膜の

パイロット電槽での評価実電槽実装テスト各テストフィードバックと改良

パイロットプラント量産試験 商業生産

目標

112 cm

130 cm

4 cm

8 cm

230 cm

60 cm

塩製造技術高度化研究開発事業

ラボスケールハーフ電槽スケール

実電槽スケール

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

FORBLUETMの詳細は httpwwwagc-chemicalscomjpjafluorineproductsforblue

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ご清聴ありがとうございました

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

8 copy AGC Chemicals All Rights Reserved

標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

次世代膜(セレミオン膜)はAGC株式会社FORBLUETMファミリーとして AGCエンジニアリングが販売します

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基材 グラフト重合 イオン化反応

グラフト重合法イオン交換膜とは

-(CH2-CH)n-

-(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

X

電子線 -(CH2-CH)n-

(CH2-CH)n

Y

モノマー溶液への浸漬(グラフト重合)

ラジカル活性化(電子線照射)フィルムにスチレン系モノマーをグラフト重合後イオン交換基を導入互いに非相溶な材料 (フィルム と イオン交換樹脂) を分子レベルで結合均一に分散させることが可能フィルムのしなやかさを保持した非補強タイプのイオン交換膜(現行膜同等の性能)の開発に成功

イオン交換基導入

補強布

グラフト重合法

従来法

モノマーの充填(熱重合)

スチレン系樹脂充填膜

-(CH2-CH)n-

X

イオン交換基導入

イオン交換樹脂複合膜

-(CH2-CH)n-

Y

カチオン膜 X=H

rarr Y=SO3Na

アニオン膜 X=CH2Cl

rarr Y=CH2N+(CH3)3

グラフト重合法イオン交換膜

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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AGC FORBLUETMファミリー

商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

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共同研究~商業生産までの経緯

2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019

量産技術コンセプト パイロットプラント量産試験 商業生産

ハーフ電槽での性能評価実電槽での実装試験

開発当初ハーフ電槽サイズ 新膜 実電槽サイズ(112times230cm)

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セレミオン 新旧膜比較(標準用途膜)

旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

CMVAMV

弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

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旧セレミオン膜 新セレミオン膜

Type CMV AMV CMVN AMVN

Resistivity [Ωcm2] 2~4 1~4 1~3 1~3

Thickness [μm] 100~115 90~130 75~95 80~120

Transport Number [-] >096 >096 >096 >096

Burst Strength [kPa] 200~240 200~250 230~270 260~300

Feature brittle brittle flexible flexible

最大の特徴はフィルムのような均質性としなやかさ実電槽での取り扱いが容易新膜は2019年より商業生産を開始

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

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弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

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標準用途新膜(CMVNAMVN)の濃縮性能

グラフト重合法イオン交換膜の基本性能は従来膜より高い濃縮性能を有する

100

120

140

160

180

200

220

240

2 3 4 5 6

濃縮室濃度(gL)

A+C膜合計抵抗 (Ω2)

CMVNAMVN

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弊社独自NaCl水脱塩試験結果

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次世代製塩用新膜の性能

ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

114 094

100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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商品名 セレミオンreg フレミオンreg FORBLUETM

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構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

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ハーフスケール電槽(60130cm)での性能評価結果

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100 100

      対現行膜

           比率

 組合せ

濃縮液Cl濃度

新C膜新A膜

現行C膜現行A膜

電力原単位

新膜は現行膜と比較し〇 高い濃縮性能〇 低い電力原単位

1価イオン選択透過性は セレミオン現行膜と同等性能は120日間安定に推移

現行膜を10としての相対比較値

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構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

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Sシリーズサンセップreg

構造上の特徴 炭化水素系陽陰イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

パーフルオロ陽イオン交換膜

フッ素系樹脂中空糸モジュール

主な用途

海水濃縮(製塩)廃水処理酸回収

食塩電解(苛性ソーダ製造)

水電解燃料電池レドックスフロー電池

空気(ガス)の加湿除湿(例計装エアー除湿)

取り扱い AGCエンジニアリング AGC化学品カンパニー AGC化学品カンパニー AGCエンジニアリング

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