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1
1
基礎量子化学2015年4月~8月
4月17日-1 第2回
10章 原子構造と原子スペクトル
水素型原子の構造とスペクトル
10・1水素型原子の構造10・2原子オービタルと
そのエネルギー
担当教員:
福井大学大学院工学研究科生物応用化学専攻 前田史郎
E-mail:smaeda@u-fukui.ac.jp
URL:http://acbio2.acbio.u-fukui.ac.jp/phychem/maeda/kougi
教科書:アトキンス物理化学(第8版)、東京化学同人
10章 原子構造と原子スペクトル
11章 分子構造
休講・補講通知 休講 補講5月15日 4月17日(金) 3時間目 118M5月22日 6月5日(金) 3時間目 118M
2
4月10日
(1)パッシェン系列(n1=3)の最短波長の遷移にともなって放射される電磁波の波長λ/nmを計算せよ.
(nm)821(m)1021.8(m)10109677
9
ν~1
λ
)cm(9
1096771
3
1Rν~
72
12H
[例解]最短波長ということは最もエネルギーが大きいことを意味しており,
n2=からn1=3の準位への遷移である.
波長821 nmで,スペクトルの赤外領域にある.
APR17
3n→1
n→2
n→3
n→4
パッシェン系列で最もエネルギーの高い遷移はn=∞→3の遷移である.
EX
4
図10・1 水素原子のスペクトル 実測のスペクトルと,これを系列ごとに分解したもの.
可視領域赤外領域 紫外領域
パッシェン系列で最もエネルギーの高い(すなわち,波長の短い)遷移は n2=∞ → n1=3の遷移であり,波長は821nmである.
332
)11
(~22
21
H nnR
2
5
1.水素型原子の構造とスペクトル
2.原子オービタルとそのエネルギー
3.スペクトル遷移と選択律
4.多電子原子の構造
5.ボルン・オッペンハイマー近似
6.原子価結合法
7.水素分子
8.等核ニ原子分子
9.多原子分子
10.混成オービタル
11.分子軌道法
12.水素分子イオン
13.ヒュッケル分子軌道法(1)
14.ヒュッケル分子軌道法(2)
15.ヒュッケル分子軌道法(3)
2015年度 授業内容
6
10・1 水素型原子の構造
原子番号がZの水素型原子を考えよう。こ
の原子は,質量がmN ,電荷がZe+の原子核
と,質量がme ,電荷がe-の電子から構成さ
れている。この原子の持つエネルギーは, x
z
ymN
me
r
Ze+
e-
(1)質量が( mN + me )の原子全体の並進運動エネルギー
(2)原子核と電子の重心の周りの回転運動エネルギー
(3)原子核と電子の間に働くクーロン引力エネルギー
の和である。
332
7
クーロンポテンシャルは,
ハミルトニアンは
r
e
r
ZeV
2
0
2
4
2
2
2
2
2
22
0
22
22
2
422
zyx
r
Ze
mm
VEE
ee
NN
kk
電子核H x
z
ymN
me
r
Ze+e-
332
[ハミルトニアン(ハミルトン演算子)は全エネルギーの演算子である]
回転運動と水素原子の電子の運動
半径rポテンシャル
エネルギー
波動関数ψ(r,,f)
動径部分Rn,l(r)角度部分Yl,m(,f )Q () F (f)
平面上の
2次元回転運動一定 ゼロ
球面上の
3次元回転運動一定 ゼロ
水素原子の
電子の運動変数
クーロン引力
r
ZeV
0
2
4
flime
( )coslmlP
nln
lln eLn
N 2,, )(
lnL , :ラゲール多項式
:ルジャンドル多項式
3,2,1n
llllml ,1,,1, 1,,2,1,0 nl( )coslm
lP
EX
8
復習
3
9
(a)内部運動の分離
(原子のエネルギー)=
(原子全体の並進運動)+(原子の内部エネルギー)
シュレディンガー方程式も2つの項の和に分離して書くことができる.
1) 原子全体の並進運動
質量 m = mN+ meの粒子の自由並進運動
この問題は,すでに1次元の自由粒子の問題として解いてある
2) 原子の内部エネルギー
①重心のまわりの回転運動エネルギー
②核-電子間クーロンエネルギー(クーロン引力)
333
10
(1)重心のまわりのモーメントの釣り合いから
( ) ( )( )
22
11
21
211122
1122
xm
mx
m
mX
mmm
mmXmxmx
mxXmXx
m1 m2重心
x1 X x2
原子核 電子
373
xとすると
粒子の間隔を,x2-x1=x とすると,
xm
mXx
xmmx
xmxmm
xxmxmmX
21
21
2121
1211
)(
)(
xm
mXx
xmmx
xmxmm
xmxxmmX
12
12
1221
2221
)(
)(
同様に,
11
原子核と電子の座標を求めることができた
m1 m2重心
x1 X x2
xmmXx
2
1
xmmXx
1
2
上の2式を時間 t で微分すると,原子核と電子の速度が求まる.
xm
mXx
xm
mXx
12
21
原子核の位置
電子の位置
原子核の速度
電子の速度
373
12
運動量 p =質量m×速度v は次のように表すことができる.
xm
mmXmxmp
xm
mmXmxmp
212222
211111
したがって,運動エネルギーは,
22
2212
2
22
1
21
2
1
2
1
22
1
22
xXm
xm
mmXm
m
p
m
p
系全体の並進運動(重心座標に関する項)
内部運動(相対座標に関する項)
系全体の並進運動の運動量を と書き, と定義する.XmP xp
m
mm
mm
mm
mm
mm
mm
21
21
21
21
21
21
111
実効質量 の定義
373
4
13
系全体の並進運動の運動量を と書き, と定義すると,XmP xp
Vp
m
PxXmE
222
1
2
1 2222
xip
したがって, などと書き換えると,3次元ハミルトニアンは,
Vm
22
c.m.2
2
22 H
全波動関数は,
(c.m.:center of mass)
と書ける.ここで, は重心座標だけ, は相対座標だけの関数である.
ΨΨΨ c.m.total
c.m.Ψ Ψ
333
14
シュレディンガー方程式は次のように書ける.
totaltotaltotal ΨEΨ H
ΨΨΨ c.m.total 波動関数 を代入すると,左辺に重心座標だけの項,
右辺に相対座標だけの項を含む等式が導かれる.この等式が任意のX
とxについて常に成り立つためには,両辺がゼロに等しくなければならな
い.したがって,次のように系全体の並進運動(重心座標だけの式)と内
部運動(相対座標だけの式)の2つのシュレディンガー方程式が成り立つ.
EΨVΨΨ
ΨEΨm
22
c.m.c.m.c.m.c.m.2
2
2
2
333
系全体の並進運動
内部運動
15
左辺は重心座標だけの項,右辺は相対座標の項だけを含む.任意のXとxについて等式が成り立つためには両辺がともにゼロでなければならない.
( )
02
02
2
1
2
1
22
22
22
22
22
......2
..
2
22
......2
..
2
..
22
........2
..
2
......2
2
....2
..
2
......2
2
..2
..
2
....2
22
..
2
EV
Em
EVEm
EVEm
EEVm
EEVm
EVm
EH
mcmcmcmc
mcmcmcmcmc
mcmcmcmcmc
mcmcmcmcmcmc
mcmcmcmcmc
mcTmcmc
TTT[証明]333
16
実効質量 を用いる理由
m1m2重心
x
z
y
重心の回りを2つの質点が回転している
2体問題
原点の回りを実効質量 の質点が回転している
(m1>>m2だと,μ≈m2)
1体問題
実効質量を用いると運動を簡単に表すことができる.
333
5
17
これ以降は,内部相対座標だけを考えることにする.
シュレディンガー方程式は
ここで, である.
ポテンシャルエネルギー V は r だけの関数であり,角度( ,f )には無関係である. を半径 rだけの関数R(r)と角度だけの関数Y(,f)に変数分離できる.
EΨVΨΨ 22
2
r
ZeV
0
2
4
( ) ( ) ( )ff ,,, ,mlr YrRr
動径分布関数 球面調和関数
Ψ
333
18
水素型原子の電子のシュレディンガー方程式を解くために,
動径部分Rr(r)と角度部分Ylm(,f)に変数分離する.
• 角度部分のシュレディンガー方程式は,3次元の剛体回転子の問題
と同じであり,すでに§9・7で解が球面調和関数になることがわかって
いる.ここで,剛体回転子というのは,回転半径が固定されていること,
つまり,半径 r の球の表面ではポテンシャルエネルギーがゼロである
が,それ以外の領域ではポテンシャルエネルギーが無限大であること
意味している.
• 一方,動径部分については新たに解を求めなければならない.
( ) ( ) ( )ff ,,, ,mlr YrRr
動径波動関数 球面調和関数
333
波動関数 を,次のシュレディンガー
方程式に代入すれば良い.
19
f
sinsin
1
sin
12
2
22Λ
22
22
2
2
2222
22
2
2
2
2
2
11
sin
1sin
sin
11
Λrr
rrr
rrrr
rrzyx
f
3次元における∇2は,次のようにルジャンドル演算子L2を含んだ式で表される.
ここで,ルジャンドル演算子L2は次式で表される.
EΨVΨΨ 22
2
( ) ( ) ( )ff ,,, ,mlr YrRrΨ
333
20
波動関数 を,シュレディンガー方程式に代入する.
( ) ( ) ( )ff ,,, ,mlr YrRr
( )
( )
( )
( ) YY
rEVr
Rr
rR
VEr
YYr
Rr
rR
RYVEYr
R
r
Rr
rr
Y
RYVERY
EΨVΨΨ
22
222
2
222
22
22
2
22
22
22
211
2
2
2
L
L
L
333
6
21
そうすると,左辺にR (r)だけ,右辺にY(,f)だけを含む式の形に書くことができる.
この式が,任意の (r, , f,) に対して,常に成り立つためには両辺が定数でなければならない.この定数を
と書くと,次の式が得られる.
2
)1(2
ll
YΛY
rEVr
Rr
r
Rr
R2
22
2
22
2
2)(
d
d2
d
d
2
左辺{R (r)だけを含む関数} = 右辺{Y(,f)だけを含む関数}
rと(,f)の間には関係がなく自由な値をとることができる.
333
22
)B(2
)1(
2
)A(2
)1()(
d
d2
d
d
22
22
22
2
22
2
YllY
RllRrEVrRr
rRr
L
(B)はすでに解いてあり,解は球面調和関数Y(,f)である.
(A)は次のように書き直すことができる.
2
2
0
2
2
22
2
)1(
4
d
d2
d
d
2
r
ll
r
ZrV
ERRVr
R
rr
R
eff
eff
ここで,有効ポテンシャルエネルギーVeffは、
333
23
2
2
0
2
2
)1(
4 r
ll
r
ZeVeff
有効ポテンシャルエネルギー
図10・2 水素原子の有効ポテンシャ
ルエネルギー Veff
l=0 (s電子)のときVeffはクーロンポテ
ンシャルエネルギーである。
l≠0 (s電子以外)のときVeffの第2項は
プラス(反発力)の寄与をするので原
子核の近傍で非常に大きな値となる。
s電子とs電子以外では原子核近傍で
波動関数の形が大きく違うことが予想
される。
334
r
ZeVeff
0
2
4
s電子
s電子以外
r >>0では一致する。
24
(b)動径部分に対する解
動径部分の解はラゲールの陪多項式を用いて取り扱うことができる.
( )
2
20
00
2121,,
4,
2
)(
ema
na
Zr
eLNrR
e
ln
llnln
ここで,
2220
2
42
32 n
eZEn
量子数 n は整数であり,許されるエネルギーは,
n = 1, 2, …
335
7
25
ここで,
Rn,lはr l に比例するので, l=0 (s電子)のときRn,lは原子核の位置(r=0)で
有限な値を持つが,l=0 (s電子)以外のときは原子核の位置でゼロになる.
s電子は原子核との相互作用を持つが, s電子以外は原子核と相互作
用を持たないので,電子と原子核の相互作用を考えるときは, s電子だけ
を考慮すれば良い.
( )
2
20
00
2121,,
4,
2
)(
ema
na
Zr
eLNrR
e
ln
llnln
335図10・3 Rn,lはr l に比例するので,
(1) l=0 (s電子)のときRn,lは原子核
の位置(r=0)で有限な値を持つ
(2) l=1 (p電子)のときは r に比例する.
(3) l=2 (d電子)のときは r2に比例
する.
(4) l=3 (f電子)のときは r3に比例
する.
27
[1]p電子とd電子は,関数の中に r を含んでおり,r = 0の原点(原
子核の位置)で存在確率がゼロになる.[2]2sは1次関数,3sは2
次関数を含んでいるので,それぞれ1つまたは2つの節面を持つ.
表10・1 335
28
数値例10・1 確率密度の計算
原子核の位置における1s電子の確率密度を計算するには,
n=1, l=0, ml=0
とおいて,r =0における波動関数ψの値を計算する.すなわち,
そうすると,確率密度は
で,これを計算すると,Z =1のとき 2.15×10-6pm-3 となる.
( ) ( )2/12/3
00,00,10,0,1 4
12,)0(,,0
ff
a
ZYRΨ
( )30
3
0,0,12 ,,0
a
ZΨ
f
337
球面調和関数Yl,mは表9・3(p312)をみよ.
8
29
1s (l=0)
3s (l=0)
3p (l=1)
2s (l=0)
2p (l=1)
3d (l=2)
(1) s電子(l=0)は原子核の位置で有限の値.他の電子(l0)ではゼロ.
(2) 1sには節面はない.2s,3sはそれぞれ1つまたは2つの節面を持つ.
図10・4 原子番号Zの水素型原子の最初の数個の状態の動径波動関数.
336
30
4月17日-1,学生番号,氏名
(1)自習問題10・2 n=2,=0,ml=0 をもつ電子の原子核位置における
確率密度を計算せよ.
(2)本日の授業についての質問,意見,感想,苦情,改善提案などを
書いてください.
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