a evaluation early childhood education care sweden

12
Japan Society of Research on Early Childhood Care and Education NII-Electronic Library Service Japan Soclety of Research on Early Chlldhood Care and Educat lon 「保 育学研 究」第 52 巻第 2 2014 原著く論文〉 にお 保 育 評価 変容 関す 研究 2011 年教育改革後 教育学的 ドキ 着目 大野 本論文 目的 涯学制度 構築 した 2011 年教育改革後 され 保育 評価 特 徴 を検 討 す るこ 方法 とし「教育学 的 ドキ 」と 評価方法 焦点 を当 先行研究 検討 から 特徴 を分現地調 就学 学校 にお 応を 検討 結果,「教育学的 ドキ 幼児 育学 究 を基 盤 開発 れた 実践手法 ありびと 保育 びと 2 観察す う観 点 ら編 成 されて 明ら評価 ドキ 就学前学校活動 スウ 改革 A Study on Transformation of Evaluation of the EarlyChildhoodEducation and Carein Sweden Focus on the Pedagogica1 Documentation lntroduced after the EducationReform in2011 Ayumi Ohno lihe purposc of this paper isto cxamine features of the evaluation for preschool activities introduced afer the educational reform in 2011 in Swedenthat built the lifelong learning system As a method itfbcuscd on the pedagogical documentation and analyzed the featurefrom examination of previous studies Moreover the correspondence to introduction ofthe new evaluation method in the preschool was considered based on the field survey As a rcsult it was understood that the pedagogical documentation isthe unique practice developcd based on research ofthe early childhood education study of Sweden Itbecame clear that the pedagogical documentation isompQsed om a viewpoint which observes two learning processes ach d s learning and a preschool teacher s learning Key Word evaluation documentation preschool activities sweden education reform 大分大 育学 150 6 N 工工 Electronlc Llbrary

Upload: others

Post on 09-Feb-2022

1 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Japan Society of Research on Early Childhood Care and Education

NII-Electronic Library Service

Japan  Soclety  of  Research  on  Early  Chlldhood  Care  and  Educat 二lon

「保 育学研 究」第 52 巻第 2 号 2014 年

原著く論文〉

ス ウ ェー デ ン にお ける保育評価 の 変容 に関する研究

  一 2011年教育改革後の 教育学的 ドキュ メ ン テー シ ョ ン に着 目して一

大野 歩

 本論文の 目的は,生涯学習制度を構築 した ス ウ ェー

デ ン で,2011年教育改革後に導入 され た保育

評価の 特徴 を検討す る こ と に ある 。

 方法 として は,「教育学 的 ドキ ュ メ ン テー

シ ョ ン」 とい う評価方法に 焦点 を当て,先行研究 の検討

か らその 特徴 を分析 した 。 また,現地調査に基づ い て ,就学前学校 にお ける新 しい 評価 の 導入 へ の 対

応 を検討 した 。

 検討の 結果,「教育学的 ドキ ュ メ ン テー

シ ョ ン 」は ス ウ ェー

デ ン の 幼児教育学の 研究 を基盤 に開発

された独 自の 実践手法で あ り,子 どもの 学び と保育 者の 学 び と い う2 つ の 学び の プ ロ セ ス を観察する

と い う観点か ら編成され て い る こ とが 明らか とな っ た。

キー ワー ド 評価, ドキ ュ メ ン テーシ ョ ン,就学前学校活動 ス ウ ェ

ーデ ン,教育改革

A  Study on  Transformation of  Evaluation of  the Early Childhood Education

               and  Care in Sweden:

     Focus on  the Pedagogica1 Documentation lntroduced after

            the Education Reform in 2011

                 Ayumi  Ohno

 lihe purposc of this paper is to cxamine  features of  the evaluation  for preschool activities introduced afモer the

educational  reform  in 2011 in Sweden that  built the  lifelong learning system .

 As a method , it fbcuscd on  the“pedagogical documentation

”, and  analyzed  the  feature from examination  of

previous studies , Moreover, the correspondence  to introduction ofthe  new  evaluation  method  in the preschool

was  considered  based on  the field survey .

 As a rcsult , it was  understood  that the“pedagogical documentation

”is the unique  practice developcd based on

research  ofthe  early  childhood  education  study  of  Sweden. It became clear  that  the“pedagogical documentation

is⊂ompQsed 丘om  a viewpoint  which  observes  two  learning processes:ach 皿d’

s learning and  a preschool teacher’s

learning.

Key Word : evaluation , documentation, preschool activities , sweden , education  reform

大分大学 保育学

(150) 6

N 工工一Electronlc   Llbrary  

Japan Society of Research on Early Childhood Care and Education

NII-Electronic Library Service

Japan  Soclety  of  Research  on  Early  Chlldhood  Care  and  Educat 二lon

ス ウ ェー

デ ン にお け る保 育評価 の 変容 に 関 す る研 究

1. は じめに

 保育分野が政治の 場におい て ,大 きな注 目を

集め る よ うに な っ て 久 しい 。 1990年代後半か

ら,乳 幼児期 の 保育が UNESCO  “

? UNICEF ,

OECD ,世界銀行 (World Bank) とい っ た 国際

機 関の 最優先課題 として取 り上げられ る よ うに

なる とT そ の うね りは ますます大 きくなっ た 。

OECD が 「Starting Strong」 とい うス ロ ーガ

ン を掲げ,「誕生か ら就学前 まで の 乳幼児に対

する適切 な保育が,その 後の 人生の 確固た る基

盤になる」 こ とを強調する と,世界銀行は,教

育開発部門の 開発戦略にお い て,保育分野 へ

1990 年か ら 2006 年 の 間 に 累計 16 億米 ドル に

達す る融資 を行 っ た1)

 これは,乳幼児期における保育の 普及が人間

開発 の 推進 に つ なが る とい う理論Z}

とと もに ,

乳幼児期へ の 投資によ っ て ,女性就労 の 促進と

い う短期的 な課題の み な らず,国民の 就学年数

の 増加や所得向上 と い っ た長期的課題 へ 及ぼす

効果が実証 された こ とを事 由 として い る3>

方では , 保育を普及する うえで , 国家財政を圧

迫する福祉の コ ス トや,保育ア クセ ス の増進 な

ど と い っ た課題 の 解決が 求め られ る よ うに な

り,福祉 を供給す る制度 を再構 築す る と と も

に,教育の 領域で 問題 に対応 して い こ うとする

傾 向が み られ て い る4)

  こ うした状況 を背景 に,教 育政策の グ ロ ー

バ ル なシ ン ク タ ン ク とい われ る OECD は.生

涯学習の ス ター

トとして の ECEC (Early Child−

hood Education and  Care) を整 備す る た め に,

基 盤整備 へ の 公 共投 資の 拡大 の み な らず,保

育 ・幼児教 育政策 へ の 体系 的で統 合的 なア プ

ロー

チ を策定 し,教育制度 との 平等な パ ート

ナーシ ッ プ の 確 立 を図 ろ うとす る政策提 言 を

行 っ て きた5)

。 最新 の 報告書で は,ECEC の 質

が社 会 の 広範 囲に 影響 を もた らす こ とを指摘

し,ECEC の 質を向上 させ るた め の 5 つ の 政 策

手段を提示 し て い る6〕

 加 えて,近年 で は,保育 の 質の 向上 は もと

7

よ り,質の 評価方法が 議論の 的 とな っ て い る 。

2010年 9 月に モ ス ク ワ で 開かれた世界幼児教

育会議 (The  World Conferences on  Early Child−

hood Care and  Development)で は,質 を 「(教

育 の 原理 や 方法な どの )教育学的な質⊥ 「保育

者その 他の 従事者の 質」,「プ ロ グ ラ ム の 質」の

3側 面か ら捉 える こ とが強調 された7〕

。 また,

2011年 の OECD に よ る 「質に 関す る ツー ル

ボ ッ ク ス お よ び ECEC ポータル に関す る調査

(Survey for the Quality Toolbox and  ECEC  Por−

tal)」か らは,  子 どもの発達また は成果   ス

タ ッ フ の 業務遂行,  サービ ス の 質 の 水準, 

法令 ・規定の 遵守t   カ リキ ュ ラ ム の 実施, 

保護者の 満足度,  労働力の 供給お よび労働条

件 とい っ た 7領域 に関 して ,各国が質をチ ェ ッ

クする ため の モ ニ タ リン グや評価を行 っ て い る

こ とが報告 されて い る8}

 ただ し,こ れ ら議論にお い て は質の 性質,プ

ロ グ ラ ム の 質 と実践 ・結果 との 関係性,質を 向

上 させ るた め の 明確 な方略などへ の 理解が不十

分 で あ る こ とが課題 と して あげ られた 。 また,

評価に 関 して は,「学習の成 果」を明らか にす

る ため に,よ り 「客観的」 と考えられ る基準や

指標が導入 され る よ うに な っ て きて い る 現状が

示 された 。 さらに,モ ニ タ リ ン グや評価 の 結果

が ,教育プロ グ ラ ム の改善をは じめ,子どもの

学習や発達の 向上 に 結び つ い て い る の か と い っ

た点に つ い て は,必ず しも明 らか に されて い な

い との指摘 もされ た9♪

 こ の よ うな 中,「世界 で 最 も発展 した 保育

シ ス テ ム の ひ とつ 」 le)

と し て の 覚 え も高い ス

ウ ェー

デ ン で は,2011 年の 教 育改革 に よっ て,

就学前学校注 D

の 活動 にお け る保育評価 を義務

づ け,学校庁注 2)

が新た な保育の 評価方法 を提

示 したm

 ス ウ ェー

デ ン は,1975年 に幼 保一元化を達

成 した後,1996年に は生涯学 習 の 基礎 とし て

就学前の 保育 ・教育を教育制度の 俎 上 に の せ る

こ とに成功 し,ケア と教育の 統合政策の 国際的

な ロール モ デ ル 国 とな っ た 。 2000年代に入 っ

(151)

N 工工一Electronlc   Llbrary  

Japan Society of Research on Early Childhood Care and Education

NII-Electronic Library Service

Japan  Soclety  of  Research  on  Early  Chlldhood  Care  and  Educat 二lon

「保育学研 究」第 52巻嬉 2 号 2014 年

て か らも,保 育料の 上限設定や 3〜 5歳児の 保

育料無償化な ど漸次的に 制度改革 を進め,就

学前保育 ・教育 は 非義務 の 就 学 と もとれ る ほ

ど,公 的 に 厚 く保 障 され る 傾 向がみ られ て き

た。 こ の 結果,ス ウ ェー

デ ン は他の OECD 諸

国 と比較 して も,GNP 費に 占め る子 ど もケ ア

(barnomsorg)費の 安定供給や 安価な保育料な

ど の 財政面の みな らず,保育に お ける子 ど もと

保育者の 比率や 子 どもの グ ル ープ規模 などにお

い て も優良な保育を提供 して い る と評価 され る

よ うに な っ た]Z)

。 近 年で は,先進諸 国の 中で

も合計特殊出生率が比較 的安定 して お り,国民

が子 ど もを生 み育てや す い 国 と して の 認識 も高

まっ て い る13)

  と こ ろが, ス ウ ェー

デ ン 国 内にお い て は,長

年築き上 げて きた教育制度の 崩壊が さ さやか れ

て い る 。 2009 年 に おける OECD の PISA (Pro−

gramme  for International Student Assessment )

の 結果,ス ウ ェー

デ ン の 15歳 の 読解力 と数学

的能力が 国際的 な平均 を下 回 っ た こ とが ,国

の 衝撃 と して 報道 され た14>

。 そ れ ば か りか,

2012年度の学校査察機関 (Skoiinspektionen)注 3}

調 査の 結果,義務教 育課程で ある 基礎学校 の

96% に 「問題あ り」との 評価が 下 っ た事実には,

「ス ウ ェー

デ ン の 教育制度は 全 く機能 し て い な

い 」 と社会か ら厳 しい批判の 声があが っ た15)

 こ れ ら逼迫 した国内の教育情勢を受 け,2006

年 の 総選挙に よ っ て 政権交代 を果た した保守派

の 連合政権は,社会民主党前政権の 社会民主主

義に よる教育政策を見直し,「工 業社会」か ら

「知識社 会」へ の 転換の 中で 基本的な学習ス キ

ル を重視する とと もに,雇用創出 を促進するた

めの 「数学」や 「科学」,「技術」 と い っ た能力

の 育成 を強調す る方向性を打 ち出 した16)

。 こ

の 流 れに沿 っ て 執 り行 われ た 2011年の 大規模

な教育改革の 中で は,就学前学校 に おける 「教

育学 の 強化 」が うたわれ,新 学校法 の 制定 に

よ っ て,就学前学校が独立 した ス ウ ェー

デ ン の

学校種 の 1 つ と して 位置づ けられ た 。 これ を受

けた就学前学校ナ シ ョ ナ ル カ リキ ュ ラ ム の 改訂

(152) 8

で は,活動 の 日標における 「言葉」や 「数学」,

「自然科学」,「技術」の 項 目が 増加 ・拡大 し,

活動 の 評価 が義務づ け られ た の で ある17〕

 保育制度は,そ もそ もよ り大 きな社会経済構

造の 中で ,経路依存的に組織化 され て い る た

め,経済 や政治的 な変 化 に影響 され る もの で

ある と い わ れ る18}

。 ス ウ ェー

デ ン の 保育制 度

も,ス ウ ェーデ ン 国家の 発展 ヴ ィ ジ ョ ン と密接

に 関係 して い る との 指摘19)

が ある 中 , 世 界で

も有数 の 質の 高 さを誇る ス ウ ェーデ ン の 就学前

保育 ・教育は ど こ へ 向かお うとして い る の だろ

うか 。 幼保一

元化 へ 向け,質 の 高 い 就学前 の 保

育 ・教育の 提供が課題 とな っ て い るわ が 国にお

い て も,ス ウ ェー

デ ン の 現状 は看過する こ と の

で きな い 問題 で あ る 。

 そ こで ,本研究で は ,2011年の教育改革に

よ っ て ,学校庁か ら新 た に提示 され た教育学的

ドキ ュ メ ン テー

シ ョ ン とい う就学前学校活動の

評価方法 に着 目し,文献研究 に よ っ て その特徴

を分析する 。 また,現地で の 視察や そ こ で収集

された資料 を もとに,新 しい 保育評価の 導入 に

対する現場の 取 り組み に つ い て検討 を行 う。 こ

れ に よ り,「教 育学 の 強化」に よ っ て もた らさ

れ た就学前学校活動 の 変革の 意味合 い を明らか

に し,生涯学習の 基礎 として の 就学前活動の あ

り方 へ 示唆 を得 る こ とを目的 とす る 。

2.ス ウ ェー デ ン の 保育 と教育学的ド

 キ ュ メンテー シ ョ ン

2−1.ペ ダゴジーの定着

  ス ウ ェー

デ ン の 保育で は,「エ デ ュ ケア (edu −

care )」 とい わ れる ような,養護と教育を一体化

した方法で ,子 どもの 関心 に基づ く 「遊 び を通

した学び」の 活動 を進 める こ とが重視 されて き

た 。こ の ような保育観を可能に し て い る の が,

ペ ダ ゴ ジー (pedagogy)亨矧

と よ ばれ る教育概

念で ある 。ペ ダ ゴ ジーの 概念が ス ウ ェ

ーデ ン の

公 的な保育に 導入 され たの は,1972年 と い わ

れ る 。 これ は,幼保一元化を図る に際 し,保育

施 設 調 査 委員 会 (1968ars barnstugeutredning)

N 工工一Electronlc   Llbrary  

Japan Society of Research on Early Childhood Care and Education

NII-Electronic Library Service

Japan  Soclety  of  Research  on  Early  Chlldhood  Care  and  Educat 二lon

ス ウ ェー

デ ンに お ける 保育評価の 変容に 関する 鯡究

が子 ど もの 保護 (omfattande >,養育 (fostran),

ケ ア (omsorg )を併せ 持つ 質の 高い 教育学的活

動 (pedagogiskt verksamhet )の 提 供 を国会 へ

提言した こ とに よ る20〕

。 1998 年に 施行され た

就学前学校ナ シ ョ ナ ル カ リキ ュ ラ ム で は,就

学 前学 校 の 活 動 を 「養 護 (omvardnad ),ケ ア

(omsorg ),養育 (fostran),学習 (1arande) を

包括す る教育学 的 (pedagogik ) な もの 」と定

義 して い る21)

こ とか らも,ス ウ ェ

ーデ ン の 保

育 にペ ダ ゴ ジー

概念が定着した こ とが 理解で き

るだ ろ う。 こ の よ うにペ ダ ゴジーを基底 とする

ス ウ ェー

デ ン の 保育 には,ケア・養育 ・学習 を

上 下 の ヒ エ ラ ル キーをつ けずに 互 い に結び つ

け,子 どもにアブ ロ ーチをする観点の ある こ と

が 指摘 され て い る22)

2−2.ポー トフ ォ リオ評価 の普及

  こ の ア プ ロ ーチ を実践化 して い く過程で 大 き

な影響 を与 えた の が, レ ッ ジ ョ・エ ミリァ 教育

で あ る 。 1970 年代 後半 に な り,子 ど もが 表現

するあ らゆ る方法で子 どもの 言葉を包括的に理

解す る と と もに,子 ど もと大人 が探求的活動を

協 同 して い くこ とで 双方に学び合うと い うレ ッ

ジ ョ・エ ミ リ ア教育の 哲学と実践が ス ウ ェ

ーデ

ン に紹介 される と,ス ウ ェーデ ン の伝統的 な保

育観をさらに洗練 させた幼児教育方法 として 国

内の 実践現場 に受け人れ られ た 。

  1998年 に策定 された就 学前学校 ナ シ ョ ナル

カ リキ ュ ラ ム で は, ロー

リス ・マ ラ グ ッ ツ ィ の

哲学 か らイ ン ス ピ レーシ ョ ン を得 た と され る

「文化と知識 の 創造者」 とい う, ス ウ ェー

デ ン

保育独 自の 子 ど も観が提 示 され た23}

。 こ の 子

ども観は,保育者 が子 ど もの 活動の 共同研究者

(co −researcher ) で あ り, 構築者 (constructor )

で あ り,さ らに は教 育者 (pedagogue )で あ る

と い う新 た な保育者像 も生 み 出 し,そ の 後の ス

ウ ェー

デ ン 保育 の 実践 に ,大 きな変革をもた ら

したm )。 また,具体 的な実践手 法 と して, ド

キ ュ メ ン テー

シ ョ ン が ス ウ ェー

デ ン の保育実践

に取 り入れ られ る よ うに な っ た25}

9

  ドキ ュ メ ン テー

シ ョ ン は,ポー トフ ォ リオと

もよばれ,子 どもの 成長や活動の 記録 をフ ァ イ

ル に ま とめ て い く評価 の 手法で あ る 。 フ ァ イ ル

に収め られ る の は,子どもの プ ロ フ ィール や 好

きなもの ,子 どもの 成長の 姿を写 した写真,絵

や なぐり書 きの 文字,子 ど もの 創 っ た作品な ど

で ある 。 特筆す べ きは,活動の 様子 を写した写

真 とともに,その 時 々 の 子 どもの声 も記録 され

保管されて い く点である 。 フ ァ イル は保育室の

棚 に 常時置か れ,子 ども も保護者 も好きな時に

見て,成長の 姿 を確認する ことがで きる よ うに

な っ て い る26}。

  ポー トフ ォ リオは,また 。保育者の 省察 に用

い られ ,クラス 内で の職員同士の話 し合 い や 園

における職員研修,子 どもの 個別発達計画の 作

成,保護者との面談や ,就学時の 引 き継 ぎの 資

料 など とし て も活用 され る 。こ の よ うに,ポ

トフ ォ リオ は子 ど もの 成長の 履歴 を記録しなが

ら,子 ども ・保育者 ・保護者が各 々 その 子を包

括的に理解するための支援 ツール とな っ た 。 さ

らには,保育者の 省察の ため の 資料や,子 ども

の 保育にかかわる大 人の 情報共有 と連携促進媒

体 とし て も広 く活用 され る よ うに なっ た27)

  現在, ス ウ ェー

デ ン の ほ とん ど の 就学前学校

で は T ポー

トフ ォ リオが採用 され てお り,就学

前学校へ 行 くと,室内の 棚 に子 ど も一

人 ひ とり

の フ ァ イル が並 んで い る景色 に必ず出会 う。 こ

の 事実か らは,レ ッ ジ ョ・エ ミリア教育の 影響

が一

時的な もの に とどま らず,ス ウ ェーデ ン の

保育に 定着 した こ とが理解で きよ う。

2−3.教育学的 ドキ ュ メ ン テーシ ョ ンの 成立

 他方,2000年代に 入 る と,1996年に教 育省

の 管轄下に移管 した就学前学校 に対 し,将来的

に学校教育法へ 統合 し , 学校 種の 1 つ とす る

こ とが 国会で提案され は じめ た28}

。 渦中で は,

1990年代 の 経済危機に よ っ て低下 した 保育の

質がなかなか回復せ ず,就学前学校の 質と等価

性が,大 きな課題 となっ て い た 。 就学前学校 は

ナ シ ョ ナ ル カ リキ ュ ラ ム に示され る 目的を達成

(153>

N 工工一Electronlc   Llbrary  

Japan Society of Research on Early Childhood Care and Education

NII-Electronic Library Service

Japan  Soclety  of  Research  on  Early  Chlldhood  Care  and  Educat 二lon

「保育学研 究」 第52巻第 2 号 2014年

し,職員は そ の 成果がすべ て の 子 どもに行 き渡

る よ う,就学前学校の 活動全体 を見通 して仕事

をす る力を要求される ようにな っ て きた29)。

  こ うような中,1988年か ら当時 の ス ト ッ ク

ホ ル ム教育大学 (現 : ス トッ クホ ル ム 大学) を拠

点と した 「ス トッ ク ホ ル ム ・プ ロ ジ ェ ク ト」 と

よばれ る実践研究が は じま り,教 育学的 ドキ ュ

メ ン テ ーシ ョ ン (pedagogisk dokumentation)と

い う,ス ウ ェー

デ ン独 自の 教育実践で あ り,活

動の 評価 と もなる手法が開発 されつ つ あ っ た。

研 究 に お い て は,Elsa K6hlerに よる教 育理論

や ,レ ッ ジ ョ・エ ミ リア 教育 の 哲学 と実践 を,

幼保一

元化 を模索 して い た 1972年の 保育施設

審議会答申 (SOU  1972)で導入 されて 以来,ス

ウ ェー

デ ン 保育の 基礎 とな っ て い た対話教育法

(dialogpedagogisk) に結 び つ け る こ とが 目的 と

された 。 こ の プ ロ ジ ェ ク トを契機に,ポ ス トモ

ダン主義 に基づ い た実践 の 再編 と就学 前学校制

度 の再建を行 い ,生 涯学習の 基礎 と して の 就学

前学校活動が模索されは じめ たの であ る3 

 教育学的 ドキ ュ メ ン テーシ ョ ン の 開発にお い

て は,子 ど もが周囲との 相互作用の 中で ,主体

的 に もの ご とを探求 して 知識やス キル を身につ

けて い きなが ら“変容 して い ぐ

「過程 を学び と

捉 える ,現象学の 意味生成論的ア プ ロー

チ が重

視 され た 。 そ して ,「文化 と知識 の 創造者」で

ある子 ど もが“変容 して い く

”姿 つ まり.学

びの 過程を,子 どもの 声を聞きなが ら可 視化す

る こ と が 目指 された31) 32)

。 こ の 「子 どもの 学

び を可視化する」とい う目的に沿 っ た実践を行

ううえで,保育者に最 も必要な能力 と して求め

られた の が,観察す る力であ っ た 。 保育の 中で

観察する力 が重要と され る こ と自体 は,これ ま

で の ス ウ ェー

デ ン 保育の ポー トフ ォ リオ評価 と

同 じであ ろ う。ところ が,こ の 教育学的 ドキ ュ

メ ン テ ーシ ョ ン で 保育者 に求め られ る観察は,

2 つ の点で今まで と大 きく異な っ て い た 。

 先ずは子 どもの 「学 び」 を観察す る と い う点

で ある 。 具体的な方法として は,ノー

トや録音,

写真や ビデ オ等 の 録画,子 どもの作品な ど様 々

(154) 10

な方法で記録が と られ,それ らをもとに子 ども

の 成長が 日に み える よ うな具体的 な資料が作ら

れ る 。 こ れ は,従来の ポー

トフ ォ リオ評価で 行

われ て い た作業と変わ らない 。 た だ し,こ れ ま

で は 「成長の 記録」 として捉 えて きた子 どもの

姿 を 「学びの 記録」 として再編する発想 の転換

が 求め られ た 。つ ま り,子 ど もが何ある い は誰

とかかわ り,どの よ うな関係性が生成 され,そ

こ か ら子 どもは何を創造 したか 。 それを自分の

中の ど の 部分 と結び つ け, どの ような 「声」で

表現 し, どうい っ た周囲の 世界ヘ フ ィー ドバ ッ

ク させ る の か 。 こ の一

連の状 況を,保育者の 観

察 とその 記録 に よ っ て 明 らか に して い くこ とが

必要 とな っ たの で ある33〕。

  さ ら に 重要 なの が, こ れ ら子 どもの 学 びの

「観察の プ ロ セ ス 」を観察す る とい う点で ある 。

意味生成論 にお い て は,保育者は子 ど もに知識

を与 える の で は な く,自ら学 ん で い こ うとする

子どもに い か に かか わ るかが重視 される 。 その

た め保育者 には,子 どもの 現状を どの よ うに理

解 し,子 どもの 何 を引 き出そ うとするた め に,

い か よ うに働 きか け,それが子 ど もの 学 びに ど

の ような影響を及ぼ した の か ,ある い は否か を

明 らか にす る こ とが求 め られ る。上述 の よ う

に,教育学 的 ドキ ュ メ ン テー

シ ョ ン の 実践で は

子 どもの 学びに対する観察記録 を文書化 して い

くが ,そ の 中で は,観察者の視点 に基づ く記述,

解釈 説明,新 た な問い が視覚化 され る こ とに

な る 。 こ れ に よ り,い わ ば,子 どもの 学び の み

ならず,保育者 自身の 学びの プ ロ セ ス が 可視化

され る こ とが ね らわ れて い る の で ある34)

 こ の ように,子 どもの 学 びと保育者の 学び の

2 つ の プ ロ セ ス と,過程 にお ける両 者の 関係性

が 明らか に され る と い う特徴 によ り,教育学的

ドキ ュ メ ン テ ーシ ョ ン は子 ど もの 学び を評価す

る と と もに,保育者が子 どもの 学び に ど の よ う

に貢献 して い る の か につ い ての 評価を可能にす

る実践手法とな っ た。

N 工工一Electronlc   Llbrary  

Japan Society of Research on Early Childhood Care and Education

NII-Electronic Library Service

Japan  Soclety  of  Research  on  Early  Chlldhood  Care  and  Educat 二lon

ス ウ ェー

デ ン に お ける保 育評 価の 変容 に 関す る研 究

2−4,学校庁に よる教育学的 ドキ ュ メン テー

 ショ ンの推奨

 他方,学校庁は 2000年代初め の 就学前学校

改革以降 生涯学習の 基礎 を担う教育活動とし

て 就学前 学校 の 活動 を評価 す る使 命 を国か ら

担 っ て い た 。 そ の ため に は,個々 の 子 どもを測

定する評価 で はな く,子 どもたちの 学び の た め

に保育者が どの ような責任 を果た して い る の か

をモ ニ タリ ン グする こ とが 大きな課題 とな っ て

い た 。 こ の 課題 に取 り組 む中で,

こ の教 育学的

ドキ ュ メ ン テ ーシ ョ ン の 手法は高 い 評価 を受 け

た 。 2005 年 に学校庁 か ら発刊 され た 「就学前

学校の 評価」 とい う報告書で は,「教育学的 ド

キ ュ メ ン テー

シ ョ ン は,保育者へ 子 どもに対す

る 自分の 見解 を意識 させ ,ナシ ョ ナル カ リキ ュ

ラ ム の学習観と実践の つ なが りを振 りかえる手

助 けと なり,その 結果を子 どもとの 実践活動に

反映 さ せ る 機能が ある 」た め, 「保育者が 自分

の 仕事や そ の 説明に責任 をもつ 」 こ とが可能に

な る との 見解が示され た35)

  さて ,2011年の 教 育改革で は, これ まで 法

律に定め られ て い なか っ たス ウ ェー

デ ン の 学校

教育にお け る活動の 質が ,新学校 法に 初め て 明

記され た。また,質の 評価 を 「国一地方 自治体

一学校」の 3段階で 体系化 し,「計画 ・文書化 ・

説明」 とい う具体 的な活動 によ っ て 確実に評価

を行う責任が各学校の 長に課せ られた36〕

  こ の 流 れ を受け T 改訂版の 就学前ナ シ ョ ナ

ル カ リキ ュ ラ ム で は,新 た に 「フ ォ ロ ーア ッ

プ,評価,発展」 と い う項が加 わ り,保育評価

が 義務づ け られ た3η

。 そ して,保育評価 の 具

体的手法と して,学校庁か ら新たに提示され た

の が,教育学的 ドキ ュ メ ン テー

シ ョ ン で あ っ

た38〕

  つ ま り,教育学的 ドキ ュ メ ン テ ーシ ョ ン は,

レ ッ ジ ョ・エ ミ リ ア教育の 影響を受けて開発 さ

れた保育の 評価手法とい う枠組み を超え,今や

「ス ウ ェー

デ ン の 教育」 として の 質の一

端 を担

う評価手法に まで発展 した と考えられ る 。

ll

3. 保育現場における新評価方法導入

 へ の対応

3−1.教育学的 ドキ ュ メンテーシ ョ ン導入の課題

 教 育学 的 ドキ ュ メ ン テー

シ ョ ン の 手法 は,

「子 ど もの 様々 な側面 を可視化で き るだ けで な

く,子どもにばか り注 目せ ず にほかの と こ ろ へ

も目を向ける よ う保育者の 注意を喚起する ッー

ル で ある」 として ,保育現場で も好意的に受け

入 れ られ た39)

。 しか しなが ら,2011年教育 改

革で 活動評価が義務化 され,保育者全員が こ の

評価方法を実践するに は厳 しい 現状があ っ た 。

 ス ウ ェーデ ン の 就学前学校で は,1 ク ラ ス 20

名程度の 子 どもに対 し,3名 の 保育者が チーム

を組ん で 保育をす るチーム 保 育が行 われて い

る 。 こ の保育者には主に,大学 の 専門課程卒業

程度の 就学前学校教員 (f6rskollarare)と高等学

校の 専門課程卒業程度の 保育士 (Barnskotare )

の 2 つ の 資格が 存在す る。養成課程の 教 育内容

を考 える と,こ の 両者の 間で ,教育学的 ドキ ュ

メ ン テー

シ ョ ン を活用する 際に理解の 差が生 じ

る こ とが予想 された 。

  こ の た め,改訂 カ リキ ュ ラ ム で は,チ ーム 内

で も特 に就学前学校教員が教育学的 ドキ ュ メ ン

テーシ ョ ン の 実践 に責任 をもっ て 取 り組 み,全

員が ドキ ュ メ ン テー

シ ョ ン によ る評価活動を行

える よ う導い て い く役割を規定 され た4ω

。 と

こ ろが , 就学前学校教員 にお い て も,全員が こ

の 新しい 評価方法の 実践 に馴染み が ある わ けで

もな く,観察の 方法や記述の 仕方に戸惑い の声

が あが っ た 。

  導入直後の 2011年 11月に現地の 就学前学校

を訪問 した際,評価 の 義務づ けや 教育 学的 ド

キ ュ メ ン テー

シ ョ ン の 導入 に つ い て保育者に尋

ね る と,「教育学的 ドキ ュ メ ン テ ーシ ョ ン の 作

成 は,私 たちが毎日の 保育実践 の 中で .自分が

子 どもの ため に何 をして い るか とい うこ とを確

認で きる方法だ と思 う。 た だ,これ まで ドキ ュ

メ ン テーシ ョ ン をほ とんど活用 して こ なか っ た

人に と っ て は,か な り難 しい もの だ と思う」 と

(155)

N 工工一Electronlc   Llbrary  

Japan Society of Research on Early Childhood Care and Education

NII-Electronic Library Service

Japan  Soclety  of  Research  on  Early  Chlldhood  Care  and  Educat 二lon

「保育学研 究」第52 巻第 2 号 20]4 年

の 答えが 返 っ て きた湘 )

。 そ し て 、こ れを解決

するた め に施設内で の 自主研修 や地区で の 研修

会を開 い て ,理 解 に努め て い る とい う様子が 聞

か れた 。

 この ような現場の 状況につ い ては,行政 も看

過で きない 重要 な課題で ある と捉え,学校庁や

自治体で は.教育学的 ドキュ メ ン テー

シ ョ ン に

関する冊子の 配布や ,保育者研修な どを行 うこ

とに よ る対応が 図 られ た’11)

3−2.ス トッ クホル ム市 M 地区における 「ツ ー

  ルボ ッ クス 」の 配布

 他方,2011年教 育改革 に よ っ て ,就学 前学

校が独立 した学校種 の一形態 と学校法に規定さ

れ た こ と に よ り,就学前学校 も学校査 察機 関

に よ る評価 の 対象 と なっ た 。 こ の 2011年度 の

学校査察機 関調査注 6)

にお い て,首都で あ る ス

トッ クホル ム 市 の 就学前学校の 質は全 国平均を

下 回 る との 評価 を受けた 。中で も M 地区注 7〕

は,

「大学卒業程度の 保 育者が不足 して い る」,「就

学前学校 における職員間の 連携が 機能 して い な

い 」,「カ リキ ュ ラ ム の 目標に基づ い た活動を導

くような計画の 立案が見出せ な い 」と い っ た点

を指摘 された42)。

  こ れ ら課題が示 され る 中,M 地 区で は,区

内の 全 就学前学校へ 「ッール ボ ッ ク ス (Verk−

tygsl邑da)」な る もの を配布 したiV. 8)

。 ッール ボ ッ

ク ス は,新た に 導入 された評価手法の 実施の 困

難さを解決す る た め に,地区内の 就学前学校が

協 同して 開発 した教育学的 ドキ ュ メ ン テー

シ ョ

ン の 作成 ツール で ある。ツ ール ボ ッ ク ス に は,

  観察記録シー ト,  活動評価 シー ト,  テ キ

ス ト,  子 どもへ の 言葉が け集,  省察シー

ト,  グ ル ープ討議の 書式,  ドキ ュ メ ン テ

シ ョ ン をま とめ る た め の 手引 きなど全 部で 31

の デ ータが含 まれて い る 。

 例 えば,あ る観察記録シー

トで は,表の   子

ど もの 会話や様子,  遊び の 環境や教材,  環

境 や教材 の 有用性,魅力,  ふ りかえ りとい う

項 目に沿 っ て観察内容 を整理 して書き込 むこ と

(156) 12

で ,自ず と観察内容を分析的な視点で記述する

こ とが で きる ような構成とな っ て い る 。

  活動評価 シ ー トは,保育者が活動の 中で子 ど

もを観察した後に,ナ シ ョ ナ ル カ リキ ュ ラ ム の

目標 に 沿 っ て 活動評価を行 う際に 用 い る 。 ナ

シ ョ ナル カ リキ ュ ラ ム の 「子 どもの 影響」 と

い う項で 示 され て い る 内容を,実 際の 活動 の

中 に お ける 子 ど もの ど の よ うな姿 に よ っ て成

果があっ たとみ なすか とい う具体例が 3 つ 提示

され (例 :子 ど もの 影響が,活動 の 中で 具体的に

表現 さ れ て い る),そこ に 示 された子 ど もの 姿 を

裏づ けるため に必要 な観点 と情報 (子 どもの 様

子,観察記録 の 方法,ふ りか え り,今後 の 課題 な

ど)が表の 枠 の 項 目を形成 し,子 どもの観察か

ら保育者が学 び考えた こ と と,次の 課題 と して

見出され た点が ,子 どもの どの 姿 と結 び つ い て

お り,その 論拠 となる記録の 出処がひ と目で わ

か る よ うな構成 となっ て い る 。

  また,省察 シ ー トで は,保育者が シー

トに書

か れ てあ る文章を読み なが ら,そ の 下に答えを

書い て い くと,自然 と省察が促 され る よ うな文

例 が示 され て お り, 省察を平易に行 える支援

ッール とな っ て い る 。 さ らに,子 どもへ の 言葉

が け集で は,「知識」や 「ア イ デ ア 」,「創造 」,

「好奇心」,など とい っ た項 目ご とに子 ど もの 気

持ちや考えを聞 き出す ための 質問の 仕方や疑 問

の 投 げか け方 な どが 文例 として 記さ れ て い る

(例 : ミ ツ バ チが巣 の 外 に 出 て 飛 ん で い る時は,何

を して い る と思 う ?)。 その うえで ,「子 どもの

問 い を行動 へ つ なげ る 問 い か け」や ,「子 ども

に観察や探索 を促す問 い かけ⊥ 「予想や仮説 を

立て させ る問い か け」,「子 ど もの 交流 を促す問

い か け」な どが 記 されて い る (例 : 毛虫さ ん に

も影がある かな ? 何色 の 影かな ? こ っ ち の 毛 虫

さ ん と あ っ ちの 毛虫 さ ん が 「ご っ つ ん こ 」する に

はど うす れば い い の かな P)。こ の よ うに保 育者

が 子 ど もに 「教育学的」 な刺激 を与 えられ る よ

うな言葉がけが 40事例記載 されて お り,保育

者に特定の知識や 経験が な くて も,子ど もの 観

察能力や創造性を引出し合理 的な思考を深め る

N 工工一Electronlc   Llbrary  

Japan Society of Research on Early Childhood Care and Education

NII-Electronic Library Service

Japan  Soclety  of  Research  on  Early  Chlldhood  Care  and  Educat 二lon

ス ウェーデ ンに おける 保 育評価 の 変容に 関する 研究

た め の かか わ りがで きる ような配慮が 示 され て

い る。ほか に も,一般 的な考 えで はな く 「

“分

析”

とは何 か」 を説明する テキス トや,アイデ

アや 知識 を視覚化 して 理解す るための 思考 マ ッ

プ を作成する手引きなどが入っ て い る 。

 保育者 は,各 自に こ の ッール ボ ッ クス をデー

タ と して所持してお り,適宜 に コ ン テ ン ツ を活

用 し,観察の 整理 や観察内容の 分析 を行う。 ま

た,保育者 同士 が各自の ドキ ュ メ ン テ ーシ ョ ン

を持ち寄っ て 情報 を共有 した り,話 し合 い を

行 っ た りす る こ と もある が,その 際 に は,グ

ループ討議の 書式 を活用する こ とがで きる 。 こ

こ で は,全体で の 討議を進め るた め の 観点が い

くつ か文章で 示 され て お り, それに沿 っ て 話 を

しなが ら,話され た内容を書式の 枠に整理する

と, 話 し合われ た 内容 を取 り組む べ きテ

ーマ に

沿 っ て まとめるこ とがで きる仕組み に なっ て い

る 。 そ の うえで ,個 々 の観 察 と分析 を もとに

チ ーム で 月に 1 つ か 2 つ の 教育学的 ドキ ュ メ ン

テーシ ョ ン を作成す る 。 作成 され た教育学的 ド

キ ュ メ ン テーシ ョ ン は

, 学期ご と に 園全体で 集

計 した うえで年度内にすべ て を確認 し,その 結

果 は就学前学校の 活動の 評価として ま とめ る と

と もに,就学前学校 の様 々 な環境の 見直しに も

使用 され る 。

  つ ま り,こ の ツール ボ ッ ク ス は コ ン テ ン ツ を

活用 しなが ら文書 を作成 して い くこ とで,保育

者が 自分 の み て い る もの (子 どもの様子)を意

識 し,そ れ ら子 どもの 様子 と 自分 の 行動 (保育

実践)の つ なが りを探 り,省察を行い ,次の課

題を見出す と い う,活動評価の た め の 作業行程

を知 らぬ 間 にた ど る こ とがで きる よ う体系化

されて い る の で ある 。 使用 して み た感想 を保育

者へ 尋ねた際に は,「分析や 省察の 観点 が具体

的 に示 され て い て わか りやす い 」「ドキ ュ メ ン

テーシ ョ ン の 作成 に (心理的に も)取 り組 み や

すい 」との評判が聞かれた 。

  こ の よ うに,M 地 区で は教育学的 ドキ ュ メ

ン テー

シ ョ ン の 導入 に あた り,「ツ ール ボ ッ ク

ス 」を配布する こ とで ,こ の 新 しい 評価方法を

13

誰 もが確実 に実践で きる環境 を設定 し,改革で

求め られた就学前学校の 質を保証 しよ うとした

の で ある 。

4. まとめ

 本研究 で は,2011年の 教育改革後に導入 さ

れた教育学的 ドキ ュ メ ン テ ーシ ョ ン の 特徴を分

析する とともに,新評価方法導入に対す る現場

にお ける取 り組み を検討 した、そ の 結果,次の

よ うな点が見 出され.た 。

 先ずは,こ の評価方法が ス ウ ェー

デ ン の 幼児

教育学の研 究の 中か ら生 まれ て きた と い う点で

あ る 。 今 回 の 教育 改革で 学校 法の 完全 適用 と

な っ た就学前学校 に対 し て は t 「学校化」注9)

増大 して い る 」 と の 懸念が あ っ た43)

。 確か に,

就学前学校ナ シ ョ ナ ル カ リキ ュ ラム 改訂版作成

ワ ーキ ン グ グル ープに よる政府覚書 (Promerno−

ria )の 中で は,「(就学前学校で の )面 白い あそび

に満 ちた学習は,子 ど もの 将来的な就学 に 向け

る意味合 い を有する」ため,就学前学校活動に

「教 育 学 的使命 の 強化 (F6rstarkt pedagogiskt

uppdrag )」 を図る必要性が説か れ て い た。例え

ば言語 に関 して い えば,「就学前学校 における

子 ど もの 言語発達 は,学校で の 読み 書 きをよ く

理解 で きる よ うに培 われ る こ とが 重要」で あ

る との 説明が み られ る44)

。 こ れ らを鑑み る に ,

教育改革の 設計にお い て は,就学前学校 に義務

教育以 降の 学力向上 を見越 した活動内容の 設定

を求め る意図が 少なか らずあ っ た の で は ない か

と考え られる 。

  ただ し,活動 の質 の 評価 を義務づ けた際に,

国が幼児教育学研究をベ ース に 開発 され た保育

評価 を推奨 した こ とが ,単純に 就学前領域外か

らの圧力 に よる改革 とは い えな い 状況 を生んだ

とい えよう。 つ ま り,今回の 変革 には,外か ら

の 圧力だ けで な く,内側か ら変革に働 きか ける

力 も作用 して い たの で ある 。

  社会の 変化 に よ っ て 就学前領域が福祉か ら教

育へ 制度を転換され る中, ス ウ ェーデ ン の 保育

界 は その 流 れ を受け入 れ,飲 み込 み なが ら も,

(157)

N 工工一Electronlc   Llbrary  

Japan Society of Research on Early Childhood Care and Education

NII-Electronic Library Service

Japan  Soclety  of  Research  on  Early  Chlldhood  Care  and  Educat 二lon

「保育学研 究」 第 52巻 第2号 2014年

そこに とど まらず能動的 に発展 しようとする力

を働か せ て きた の だろ う。 そ して ,教 育学的 ド

キ ュ メ ン テー シ ョ ン は制度 の 変遷 過程 にお い

て,保育や就学前教 育で はな く,ス ウ ェー

デ ン

独 自の 「生涯学習の 基礎と して の 活動」 と い う

もの を根気強 く問い 続け,研究や実践 を積み重

ねて きた ス ウ ェー

デ ン 保育界が辿 り着い た 1 つ

の 答えな の で は ない だ ろ うか 。 その 成果を国が

採用す るに至 っ た点は,こ れ まで問題 視され て

い た 「学校化」と い う現象 とは少 々趣が異な っ

て い る こ とが理解で きよ う。

 また,教育学的 ドキ ュ メ ン テーシ ョ ン で は,

評価の 視点が子 ど もの 学びだ けで はな く保育者

の 学び の プ ロ セ ス に ある と い う点 も意義深 い。

子 ど もの 学 びを見取 る大人の 学び を観察する と

い う着想か ら作成 した こ とに よ り,就学前学校

活動の 中で ,保育者の 仕事 と了一どもの 学び の 過

程で 何が起 きて い る の か を理 解する こ と へ の

「客観性」が 担保 され る もの とな っ た 。 同時 に,

保育者へ の 生涯学習 の 意味合 い を持たせ る こ と

で,保育の 質の 向上 とい う課題 に対 し,一

定基

準 を満た して い るか否かの 確認 を目指すので は

な く.学 び続 ける保育者の 変容する姿に よ っ て

応 える とい う方向性 を示 した こ とが新 しい とい

えよ う。

 一

方で は , 課題 も見受けられ る 。 科学的な学

問体系 を基盤 とした教育概念や発達観 保育哲

学,実践方法などが 盛 り込 まれ,それ らを軸 と

し て編成 され た教育学的 ドキ ュ メ ン テーシ ョ ン

は,多少の 外力で は揺るがな い 強 さを感じ られ

る 内容 とな っ て い るが ,そ の 分,す ぐに使 い こ

なすに は難解な手法で ある と もい え よう。 特 に

保育者の 保育 に対す る分析が大 きな要 とな っ て

い る 。

 事例でみ た よ うなツ ールボ ッ ク ス の 配布はな

か なか の 策で はある が,内容を理解せ ずに書式

のみ を単純に活用 して しまうと,実践の マ ニ ュ

ア ル 化を引 き起こ し,と もすれ ば活動の 定型化

や 硬直化,形骸化を もた らし て しま う危険性 も

ある 。 したが っ て,養成課程で の 教育や現職者

(158) 14

の 研修な どにお い て ,教育学的 ドキ ュ メ ン テー

シ ョ ン の 具体な活用法 はもとよ り,原理 を理解

で きる よ うな内容を編成する必 要 が あ るだ ろ

う。

 ふ りかえっ て,わが 国で は子ども了一育て支援

新制度の 本格実施に 向け,準備が進め られて い

る 。 質の 高い 就学前保育 ・教育 の 提供が掲 げ ら

れて い る 中で,内容 の 具体が 未だみ えて こ ず,

ど うな る の か とい う不安ばか りが先行 して い る

現状に ある 。 口本の 保育 とい うもの は,子 ども

をどうい う存在と捉 え て い る の か 。 子 どもが育

つ 過程 の 物事 をどの ようなヴィ ジ ョ ン で統一的

に把握 しようとして い るの か 。 子どもの 活動の

基盤 とな る基本的な形態 は何を手がか りに 理解

され る の か 。

 大 きな変革 を前に した今,こ の ような問題 に

つ い て,実践者 と研究者が 認識 を明確に共有す

る と と もに,保育 ・幼児教育領域の 外 に向けて

説得力の ある形 と して 提示 して い く努力の 必要

性が,わ れ われ に 最 も求め られ て い る課題な の

で はない だろ うか と考 える次第で ある 。

(注 1)主 に 1 〜 5歳 を対象 とす る就学前施設 。

 2012年秋にお け る就学率は 84%であ る45}

(注 2)ス ウ ェー

デ ン の 学校 や 保育施設 を監督

  し,国の 保育 ・教育政策が 遂行され る よ う積

 極的に働 きか ける こ とを主な任務 とする国の

 行政機 関 。

(注 3)安全な環境 の 中で 良い 教 育が行 われ る

  ような支援 を図る ために,学校運営の 適用性

 や妥当性を評価する独立行政機関 。 就学前か

 ら成 人教育まで の あ らゆ る 施設を対象とす

 る 。

(注 4)「学校 教育 にお け る カ リ キ ュ ラ ム と結

 び つ い た 教 育 (education −associated −with −the

 academic ・curriculum )」 とは区別 され る 「もっ

  とも広 い 意味で の 教育 (education ・in−its−broad−

 est −sense )」を指して お り,学校教育 ・そ の 他

 フ ォー

マ ル な形態に限定されずに子 どもか ら

N 工工一Electronlc   Llbrary  

Japan Society of Research on Early Childhood Care and Education

NII-Electronic Library Service

Japan  Soclety  of  Research  on  Early  Chlldhood  Care  and  Educat 二lon

ス ウ ェーデ ン に お ける 保 育評価 の 変容 に 関す る 研究

 成人 まで を適用 の 対 象 とす る,包括的 な人

 間 1 身体,心,感情,精神,創造性,由々 し

 さt 他者 との 関係性の 教育と して 用い られる

 言葉で ある46>

(注 5)2011 年 11 月 30 日 ス ト ッ ク ホ ル ム 市 S

 地区 L 就学前学校訪問時の 聞き取 りに よ る 。

(注 6)調査 は,調査官が全 国の い くつ かの ラ

 ン ダ ム に選択された学校を訪問して行うもの

 であるが,就学前学校に 関して は,自治体や

地区ごとで の評価が 行われ る形式 とな っ て い

 る 。 評価結果 はすべ て 報告書にまとめ られる

 とともに,SIRISと呼ばれ る学校庁の 評価シ

 ス テ ム の web 上 に公表され る 。

(注 7)ス トッ ク ホ ル ム 中心部 の 北部に 位置 し,

 古 くか ら発 展 して い る 。 人 口 は,6万 6,800

 人 (2013年度)の 人 口増加地域で あり,80歳

 以上の 高齢者が減少 し,逆 に就学前児童が増

 加 して い る特徴を持 つ。 地区住民 の 67%が

 高等教育を受けて お り,市内で も比較 的教育

 レ ベ ル の 高い 地域で ある。地 区内には公立私

 立あわせ て 74の 就学前学校 があ り, こ れ ら

 を 7 つ の 区域 に分けて行政管理が行われて い

 る 。

(注 8)2012年 9 月 24 日の M 地 区役 所 と区内

 の S 就学前 学校 訪 問時 にお ける観 察 と聞 き

 取 り調査 に よる 。

(注 9)就学前保育 ・教育の 独 自の プ ロ グ ラ ム

 に対 し.学校 シ ス テ ム の ア プ ロ ーチ (教室 の

 構造,カ リ キ ュ ラ ム ,教授法,子 どもとス タ ッ

 フ の 比率,子 ども期 に関する概 念な ど)に よ っ

 て変容 を迫 るような圧力がかか るこ と 。

引用文献

(1)浜野 隆 ・三 輪千明 (2012)発展途上国 の 保育

  と国際協力.東信堂.

(2)Van  der Gaag, J.(2002).From  Child Devel−

 opment  to Human  Development. In Mary ,E.

 Y.(eds .) , From  Early Child DeveloPment to

 Human  Devetopment, World  Bank

, Washing −

  ton, D ℃,

15

(3)前掲(1)

(4)UNESCO  (2006).EFA  OIobal Monitoring

 RePort 2007 Strongfoundations Early child −

 hood care  and  education . Paris:UNESCO .

(5)OECD  (2006), Starting Strong H −■Early

  Childhood Education and  Care, OECD .

(6)OECD (2012). Starting Strong皿 :AQuat −

 ity  Toolbox for Early  Childhood Education and  Care, OECD .

(7)北村友人 (2013)国際比較 を通 した幼児教育

 の 質に関する考察.平成 24年度文部科学省

 委託 「幼児教育の 改善 ・充実調査研究」諸外

 国 (ア メ リカ,イ ギ リ ス ,フ ラ ン ス ,ドイ ツ,

 ス ウ ェー

デ ン, ニ ュージー

ラ ン ド,韓国)の

 幼児教育施設の 教育内容 ・評価の 現状や動 向

 に関する調査お よび幼児教育の質保証 に関す

  る国際比較研究.上智大学.7−15

  前掲(4)

  前掲(7)

(10)UNICEF (2008),  The   Chitd Care  Transi−

 tion’ ALeague   Table  of  Early Childhood

  Education and  Care in Economicalty Ad −

  vanced  Countries, Florence:UNICEF  Inno−

 centi Research Center.

(11)Skolverket ger f6rskolechefen st6d  (2010),

 Ny  skollag  och fO’rtydligad  tdiroPlan fO

’r fO

’r−

  skolan . Stockhelm:Skolverket.

  前掲(4〕

〔13)Save the Children (2012).Nutrition in the

  First 1,000 Days : State〔ガ伽 凧 フパ騰 痂 漉一

  ers  2012. Save the Children.

(14)Skolverket (2010).15−diringars ldisfb’rstielse

 och   skolans   lihvdirdighet har fb’rsdimrats .

  Stockholm:Skolverket.

  DN .seBetyget (2013).De klarar inte kraven,

 http:〃 www .dn.se /nyheter /sverige /betyget−

  de−klarar−inte−kraven/(情報取得 2013/4/ll)

(16)Skolverket (2010). Utmaningar fb’r skolan

  Den   nya  sholl αgen och   de nya  reformen .

  Stockholm:Skolverket.

(159)

N 工工一Electronlc   Llbrary  

Japan Society of Research on Early Childhood Care and Education

NII-Electronic Library Service

Japan  Society  of  Research  on  Early  Childhood  Care  and  Educat 二ion

「保育学研 究 」第 52巻 第 2 号  2014年

(17)Utbildningsdepartementet (2011 ).  F6r−

  skolans  stillning och  pedagogiska  upPdrag

  starks . F  4KTABLAI ),  Ul1 ,008 funi 2011

 Reviderad version , Regeringskanslie.

(18)Esping−Andersen , G,(2002). A hild−centerd

 Investment Strategy. In Espin−Andersen , G.,

  Gallie, D ., Hemerick, A .& Myyles , J.(Eds.),

  Why  we  need  a new  welfare  State. England:

  Oxford University Press.

  Dahlberg , G., Moss,P.& Pence, A .(2007).

 Beyond Quatity in Ear!y Chilhood Education

 and   Care: Language   of  Ev αluation  Second

 Edition, Routledge, Great Britain.

  Cohen, B., Moss .P., Petrie.P,& Wallace, J.

  (2004),A1 >セzo I)eal  for Children・P Re−fo「m −

 ing education  and  care  in Engiαnd , Scotland

  and  Sweden. The Policy Press.

(21)Skolverket (1998)、Ldiroptanノδ7 ノ∂7∫鳶o ’α η

 Z妙 98.Stockholm:Skolverket.

吻前掲〔4)

(23>Dahlberg , G.& Taguchi, L.(2013). Fδ7−

  skolan  och  skola −om  tvdi traditioner och  om

 visionen  om  en mb’tesplats. Stockholm :Liber

  F6rlag,

  Engdahl ,1.(2004),Implementing a National

  Curriculum in Swedish Preschools. Jnterna−

 tional/burnal of  Ear!y Childhood EducatiOn,  10〔2),53−78.

  Dahlberg, G., Moss,P.,& Pence, A ,(2002).

 Frdin kvalitet ti〃 meningsskaPande −Postmod−

  erna  Persウektiv −exemPletfb’rskolan . Stock −

  holm :sthlm  Univers F6rlag.

  大野歩 ・是永か な子 (2007)ポー トフ ォ リオ

  の作成の 仕方.七木田敦 (編著)実践事例 に

 基づ く障害児保育 ; ちょ っ と気 になる子 へ の

  かか わ り.保育出版社 ,126−129

伽同上

  Utbildningsdepartementet  1999 ars skol −

 lagskommitt6(2002)Shollag fb’r hvalitlet och

 likvdirdighet(SOU  2002’12Z丿. http;〃 www .

(160) 16

  regeringen .se/sb /d/108/a/677(情報取得2014/

  10/07)

(29狂くorpi β.M .(2006).FOI〜SKOL  41> 1 POLJ −

  7YKEA 「 _om   intentioner och   beslblt bakom

  den svensha /b”rsholans  framVtZxt. Stockhol皿

  Utbildningsdepartementet.

  肖訂掲(25)

(31)Lenz  Taguchi , H .(2013)Varfb’r 1》edagogisk

 dohumentation.P ’ verktyg  fb’r  ldirande och

 /b”rdindring  iプ加 ∫たoJ砌 och  skotan . Malm6 :

 Gleerup.

(32)Lenz Taguchi, H.(2000).Emancipation och

  motstdind .’dokumentation   och  keoPerativa

 ldiroproee∬ er i fb’rskolan , Stockholm; HLS

 f6rlag.

闘前掲  

(3胴 上

 5)Skolverket(2005).Skolverhetsα〃mtinna  rdid

 Kvalitet i/b”rskolan . Stockholm:Skolverket.

岡Utbildningsdepartementet (2010 ). SFS

 20ヱ0.・800Sko 〃agen . Regeringskansliet.

 7)Skolverket (2010>. Ldiroplan!δ7 ノ∂7∫んoJσπ

 Lpfb’ 98 Reviderad 20ヱ0. Stockholm:Skolver−

  ket.

(38〕Skolverket (2012)。  UpPfdi’迂ブning ,

  utvdirder −

  ing och  utvechling  iプ∂ア∫児o’αη.  Stockholm:

  Skolverket.

(39)Lararf6rbundet (2008).  F6rskolan.Tid −

  skrift .2/2008

  前掲劭

(41)Skolverket(2012)Pedagogisk Documentation.

 http://www ,skolverket ,se /laroplaner−amnen −

 och −kuser/fbrskola/stod −i−arbetet /pedagogisk−

  dokumentation(情報取得 2014/10/07)

(e)Skolinspectionen(2011).Ko 〃z〃iunbeslut 一醗 召ア

 tillsyn av  fb’rskoleverhsamheten  i Stockholms

 kommun . Stockholm:Skolinspectionen.

  Kaga,Yoshie., Bennette, J.& Moss, P,(2010),

 Caring and  Learning  Together A  cro ∬ −na −

 tional study  on  the integration of  early  chiid 一

N 工工一Electronic   Library  

Japan Society of Research on Early Childhood Care and Education

NII-Electronic Library Service

Japan  Soclety  of  Research  on  Early  Chlldhood  Care  and  Educat 二lon

ス ウ ェーデ ン に おけ る保 育評価 の 変 容に 関する 研 究

  hood care απゴ education   within   education ,

  UNESCO .

  Utbildningsdepartementet Arbetesgruppen

  (U2010:A )(2010)Promemoria ’Forstag ti〃

 vissa ノ’

ortydliganden  och  homP励 eringar  av

 /brskolans ldiroplan. http;//www .regeringen .

 se /content /1/c6 /15/03/71/863b49dαpdf (情

 報取得 2014/10/07)

(45)Skolverket (2014)Beskrivande data 20 ヱ3

 Fb−rshola ,  skola  och  vuxenutbildning . Stock−

  hoIm:Skolverket,

(46)Patrie, P,(2002).Social pedagogy :an histor−

  1cal account  of  care   and  education  as  social

 controL  In BrannenJ ,& Moss, P.(Eds.),

Re −

  thinking children’s care . Buckingham:OPEN

UNIVERSITY  PRESS ,61−79.

謝辞

 本研究 に関 して,深遠 なるご指導を賜 っ た広

島大学大学院の 七木田敦先生 に は深甚の 謝意を

表 します。 また ,本研究にお ける現地調査 へ の

コ ーデ ィ ネー トと貴重 な現地情報に つ い て 多

大 な ご尽力 と ご示 唆を賜 っ た Stockholm大 学

の Gunilla Dahlberg先生,  Ingrid Engdahl先生,

現地視察や 聞 き取 り調査 に ご協力 い ただ い たス

ウ ェー

デ ン の 就学 前学校,ス トッ ク ホ ル ム 市

M 地区役所 お よび学校庁 関係者の 皆 様,な ら

び に現地調査 へ ご 同行 い た だ き終始熱心に ご協

力 くだ さっ た弘前大学の 飯野祐樹先生へ ,心 よ

り感謝 を申し上げます。

17 (161)

N 工工一Electronlc   Llbrary