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平成30年度事業報告 公益財団法人科学技術交流財団

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平成30年度事業報告

公益財団法人科学技術交流財団

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目 次

平成30年度事業実施状況・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 ページ

公1 研究交流事業

(1)研究交流クラブ事業・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 ページ

(2)研究会事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 ページ

(3)技術普及推進事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 ページ

公2 共同研究・成果普及事業

(1)共同研究推進事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 ページ

(2)科学技術コーディネート事業・・・・・・・・・・・・・22 ページ

(3)企業連携技術開発支援事業・・・・・・・・・・・・・・25 ページ

(4)重点研究プロジェクト事業・・・・・・・・・・・・・・27 ページ

(5)基盤技術高度化支援事業・・・・・・・・・・・・・・・30 ページ

(6)事業化促進支援事業・・・・・・・・・・・・・・・・・34 ページ

(7)地域イノベーション・エコシステム形成事業・・・・・・38 ページ

公3 教育研修事業

技術経営研修事業・・・・・・・・・・・・・・・・・・40 ページ

公4 情報提供事業

情報誌の発行及びホームページへの情報掲載事業・・・・41 ページ

公5 あいちシンクロトロン光センター運営事業・・・・・・・43 ページ

総合企画活動等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48 ページ

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平成30年度事業実施状況

平成30年度において、当財団は、地域の科学技術の向上、産業活動の発展に向けて、

産学行政の研究者・技術者による幅広い交流を基盤として科学技術分野の研究開発を推

進するため、次の三つの観点から事業に取り組んだ。

第一に、財団設立当初からの使命である産学行政の連携を推進するため、当財団の基

本事業である研究交流事業や共同研究推進事業などに着実に取り組んだ。

第二に、「知の拠点あいち」の施設機能を十分に活用した取組を推進した。あいちシン

クロトロン光センターにおいては、利用者から得られた改善意見・要望をもとに改善活

動を実施するなど、利用者の利便性向上に向けた取組を進め、利用の拡大に努めた。ま

た、平成28年度に愛知県から受託した「知の拠点あいち重点研究プロジェクト(Ⅱ期)」

については、プロジェクト最終年度を迎え、研究管理及びマネジメントを実施するとと

もに、公開セミナーファイナルや最終成果発表会を開催することでプロジェクトの研究

成果について広く発信した。

第三に、国等の競争的資金を活用した研究開発プロジェクトを積極的に推進した。経

済産業省の戦略的基盤技術高度化支援事業や高エネルギー加速器研究機構の光ビームプ

ラットフォーム事業等を着実に実施するとともに、経済産業省の地域中核企業創出・支

援事業に採択されたほか、文部科学省の地域イノベーション形成プログラムに採択され、

地域イノベーション・エコシステム形成事業を立ち上げるなど、新たな科学技術を創出

し、社会への実装を試みる研究開発の推進に努めた。

これらの事業の推進に当たっては、企画運営委員会、中小企業企画委員会及びあいち

シンクロトロン光センター運営委員会を開催し、地域の産学行政の意見を踏まえ、財団

の総力を結集して取り組んだ。また、これらの事業の経費については、効率的、効果的

かつ適正な執行に努めた。

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公1 研究交流事業

(1)研究交流クラブ事業 科学技術の新たな芽を生み出す場として、産学行政の研究者、技術者、経営者などを

会員とする常設の交流組織である「研究交流クラブ」を運営することにより、既存の組

織・分野の枠を越えた交流や優れた業績を有する研究者との交流等を促進し、新たなヒ

ューマンネットワークの構築を推進した。

具体的には、研究者・技術者等による講演会及び企業・研究所等の見学会を実施した。

○定例会の開催状況

開催回数 7回 〔講演会:5回 見学会:2回〕

参加者数 延べ 429名

〔平均:講演会71名 見学会38名〕

○情報提供、催事案内

・見学会、講演会、成果報告会等の開催案内 (随時)

・プロジェクトや研究会の募集案内など (随時)

・メールマガジンの発行 (1回/月)

○会員数

608名 〔平成31年3月末日現在〕

【会員内訳】

産業界 283名

学界 222名

行政他 103名

(平成31年3月末日現在)

産・学・行政他別内訳

行政他17%

学界37%

産業界47%

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研究交流クラブ活動状況一覧表(1)

第189回 実施日 平成30年7月17日 出席者数 71名

場 所 名古屋銀行協会

内 容 【講演会】モノづくり研究開発へのAI活用

・講演1:「AI技術を活用した

新素材合成プロセスの高速最適化と可視化」

名古屋大学 未来材料・システム研究所

教授 宇治原 徹 氏

・講演2:「ディープラーニングを応用した

3次元超音波画像診断装置の開発」

名古屋工業大学 大学院工学研究科 教授 本谷 秀堅 氏

※平成29年度完了共同研究推進事業成果発表

第190回 実施日 平成30年8月21日 出席者数 34名

場 所 公益財団法人ソフトピアジャパン、㈱イマオコーポレーション

内 容 【見学会】ソフトピアジャパンと岐阜県のIoT先進工場

・「公益財団法人ソフトピアジャパン」

・「㈱イマオコーポレーション 美濃第1工場」

第191回 実施日 平成30年10月5日 出席者数 44名

場 所 KKRホテル名古屋

内 容 【講演会】廃熱をエネルギーに変える研究開発

・講演1:「熱音響機関による熱回生技術」

東海大学 工学部 動力機械工学科 准教授 長谷川 真也 氏

・講演2:「自動車向けホイスラー化合物熱電材料の開発」

名古屋工業大学 大学院工学研究科 教授 西野 洋一 氏

第192回 実施日 平成30年11月27日 出席者数 41名

場 所 ㈱スギヤス、三菱電機㈱

内 容 【見学会】Bishamon生産工場と最新IoT導入事例

・「㈱スギヤス」

・「三菱電機㈱ 名古屋製作所」

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研究交流クラブ活動状況一覧表(2)

第193回 実施日 平成30年12月20日 出席者数 56名

場 所 名古屋銀行協会

内 容 【講演会】モノづくり研究開発へのAI活用(第2弾)

・講演1:「マテリアルズ・インフォマティクスによる

蓄電池材料の探索」

名古屋工業大学 生命・応用化学専攻 教授 中山 将伸 氏

・講演2:「インフォマティクスを利用したタイヤとゴム材料の開発」

横浜ゴム㈱ 理事

研究本部 小石研究室 研究室長 小石 正隆 氏

第194回 実施日 平成31年1月17日 出席者数 58名

場 所 KKRホテル名古屋

内 容 【講演会】第13回「わかしゃち奨励賞」優秀提案発表会

イノベーションで未来に挑戦 ~次世代成長産業の創造~

・基調講演:「研究者は新研究分野のNucleationを目指そう」

大同特殊鋼㈱ 顧問 佐川 眞人 氏

・第13回「わかしゃち奨励賞」 優秀提案発表会

(若手研究者イノベーション創出奨励事業)

第195回 実施日 平成31年1月30日 出席者数 125名

場 所 愛知県信用保証協会

内 容 【講演会】中小・小規模企業のためのIT・IoTセミナー

・基調講演:「IT・IoTを活用して経営課題を解決しよう!

~DX(デジタル・トランスフォーメーション)を成長のチャンスにする~」

特定非営利活動法人ITコーディネータ協会 理事

特定非営利活動法人ITC中部 副理事長

㈱ARU 代表取締役 水口 和美 氏

・事例紹介1:「1時間で始めるSmart Factory」

i Smart Technologies㈱ 執行役員 黒川 龍二 氏

・事例紹介2:「ヘルスケアIoTを起点にしたスマート保育園構想」

ユニファ㈱ 代表取締役社長 土岐 泰之 氏

・支援施策・取組の紹介

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(2)研究会事業

公募等により決定したテーマごとに企業、大学、試験研究機関等の研究者・技術者

等をメンバーとした研究会を設置し、情報交換、技術トレンドの把握及び先導的な研

究テーマの発掘を実施した。

【研究会活動】

研 究 会 数

25研究会

平成29~30年度:10研究会

平成 30 年度: 1研究会

平成30~31年度:14研究会

化学・材料

情報・エレクトロニクス

機械システム

環境

農林水産

医療・福祉

エネルギー

バイオテクノロジー

その他

: 7研究会

: 4研究会

: 2研究会

: 1研究会

: 1研究会

: 3研究会

: 4研究会

: 1研究会

: 2研究会

開催回数 延べ 70回

【研究会構成員数等】

構成員数

(25研究会)

計561名

〔1研究会平均:22.4名〕

産 業 界:256名

学 界:224名

行 政 他: 81名

参加者数 延べ 1,165名

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【平成30年度研究会一覧】

研 究 会 名 座 長 実施年度

化学・材料

1 次世代創薬のためのトランスレーショナルサイエンス研究会

加藤 竜司 (名大 准教授)

29~30 2 小角X線散乱による評価技術開発研究会 杉本 泰伸 (名大 准教授)

3 複合材料を用いたマテリアルデザインによる高機能化部品/構造開発研究会

仙場 淳彦 (名城大 准教授)

4 ゼロエミッションを目指した C1 化学触媒システム開発研究会

小澤 智宏 (名工大 教授)

30~31 5 熱電変換薄膜材料及びプロセス開発研究会

高井 千加 (岐阜大 助教)

6 環境に優しいファインケミカル合成研究会 中村 修一 (名工大 教授)

7 ポストグラフェン材料のデバイス開発研究会 柚原 淳司 (名大 准教授)

情報・エレクトロニクス

8 AIとコレクティブインテリジェンス研究会 伊藤 孝行 (名工大 教授)

29~30

9 次世代高速車載ネットワークの信頼性技術 伊藤 嘉浩 (名工大 准教授)

30~31 10 窒化物半導体に関する最先端技術研究会 三好 実人 (名工大 教授)

11 既存のソフトウェアを活用した人工知能ロボットの開発

森田 良文 (名工大 教授)

機械システム

12 設計・製造技術の向上に向けた高精度 CAE のための先端実験技術研究会

西田 政弘 (名工大 教授)

29~30

13 スマート材料アクチュエータ実用化研究会 高木 賢太郎 (名大 准教授)

30~31

環境 14 イムノクロマト研究会 岩佐 精二 (豊技大 教授)

30

農林水産 15 「音の農薬」研究会 南 基泰 (中部大 教授)

29~30

医療・福祉

16 先進新診断システム研究会 齋藤 邦明 (藤田医科大 教授)

17 高齢者の自立排泄支援を可能にするロボティクスホーム研究会

加藤 健治 (長寿研 研究室長)

30~31 18

ヒト呼気による血中および肺組織の薬物動態解析に関する研究会

松島 充代子 (名大 講師)

エネルギー

19 小規模電力ネットワーク(マイクログリッド)技術に関する研究会

青木 睦 (名工大 准教授)

29~30

20 次世代移動体用超高性能モータ技術に関する研究会

加納 善明 (大同大 准教授)

30~31 21 実用エネルギー材料開発のためのオペランド解析研究会

種村 眞幸 (名工大 教授)

22 全固体電池及び実装技術開発に関する研究会 林 好一 (名工大 教授)

バイオテクノロジー

23 メラニン機能科学研究会 川本 善之 (中部大 准教授)

29~30

その他 24

誰もが備蓄したくなる大規模災害に対応した非常食に関する研究会

長谷川 摂 (食品工技 主任研究員)

25 マイクロ固体フォトニクス 平等 拓範 (分子研 教授)

30~31

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研 究 会 の 概 要

化学・材料

1 次世代創薬のためのトランスレーショナルサイエンス研究会

[名古屋大学大学院 創薬科学研究科 准教授 加藤 竜司]

近年の創薬研究は、新薬上市の難しさや開発コストの増大という課題解決のため、大学や

ベンチャーに創薬シーズを求め、その基礎研究力を基にした合理的創薬に期待が集まってい

る。本研究会はこのような現状における創薬力の強化を目指し、次世代を担う若い世代を中

心に、異分野の最先端サイエンスとテクノロジーを学び合い、日本独自の創薬研究の着想と

オープンイノベーションの着火を実現するための知的・人的交流を創ることを目的とした。

AMED、PMDA の方を外部講師に招き、研究開発制度や薬事関連の承認体制などについ

て情報共有等を行うとともに、各メンバーの所属組織での現状が紹介され、小規模な実務者

ミーティングが6回、メンバー主催のシンポジウムが1回開催された初年度の成果を受けて、

2年目となる本年度は、新規メンバーとしてラクオリア創薬が加わり、3回の研究会が開催

された。

本年度は、外部講師は呼ばずにメンバーの属する創薬科学、医学部、病院、製薬企業とい

ったそれぞれの組織でのアカデミア創薬に対する考え方や取組について、各メンバーの組織

での具体的実例の紹介・議論も交えて深く議論された。メンバー間のネットワークの構築や

課題の明確化がさらに進むとともに、財団共同研究への課題応募へ進展した。

2 小角X線散乱による評価技術開発研究会

[名古屋大学シンクロトロン光研究センター 准教授 杉本 泰伸]

本研究会は機能材料を構造解析することを目標として設定し、このような材料を対象とし

た小角散乱の解析手法あるいは材料を利用した実際の開発について、多くの分野で講演、議

論を実施した。小角散乱の解析手法についての問題を解決する場として実施するとともに、

電子顕微鏡法に関する講演を行い、両者の相補的な利用について考えた。また、小角散乱の

測定データを解析するにあたり、計算機を利用したシミュレーション技術や機械学習につい

ても議論を行うなど、幅広い視野で実験や解析を行う例を共有し、参加者の持つ問題を解決

するきっかけになった。

各回ごとに内部のメンバーから話題提供があり、ビームラインの現状、高分子ミセルの構

造解析、金属材料の構造などについて討議した。メンバーの一員である化粧品メーカーが実

際にあいち SR を利用して測定した界面活性剤について、データを示しながら参加者全員に

よる議論を行い、解析手法の検討も行った。

3 複合材料を用いたマテリアルデザインによる高機能化部品/構造開発研究会

[名城大学理工学部 准教授 仙場 淳彦]

複合材料は、その製造過程で異種材料や機構を組み込んで一体化できる自由度を持ってお

り、それによって斬新な特性を持つ部品や構造を製造できる可能性を持っている。本研究会

では、複合材料の一体部品や構造を局所的に材質変更や機構組込みをすることで期待できる

機能や製品について検討するとともに、製造過程で組み込みうる繊維種や発泡体、金属部材

等、それらを組み込むためのデザイン手法を検討した。

本年度は3回の研究会が実施され、第1回は研究会メンバーによる複合材料試作品の紹介、

第2回は複合材料のシミュレーション、第3回は欧州諸国の最新技術動向を工業用複合材に

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関する情報交換が行われ、懸案である実用化に向けたコスト等への対応や新規分野での応用

に向けた議論を深めることができた。2年間の研究会活動により、研究会参加企業間の共同

研究や新規分野に向けた外部資金への応募などが行われつつあり、当初の研究会の目的は十

分達成したと考えられる。

4 ゼロエミッションを目指したC1化学触媒システム開発研究会

[名古屋工業大学大学院 工学研究科 教授 小澤 智宏]

化石燃料に頼らない新規エネルギー生産システムに加え、製品の生産工程により放出され

るCO2を有機物に変換する反応がゼロエミッションの観点から非常に注目されている。本研

究会では低エネルギーかつ高活性・高耐久性を持つ、C1化学に対応可能な新規触媒プロセ

スの開発を目的とし、産学行政の参画者が多角的に検討する場を企画するものである。本研

究会を通じて共同研究網を構築し、東海地区にC1化学に対応する触媒材料研究の一大拠点

の形成を目指す。

本年度は、第一線でこの分野の研究をリードしている講師を招聘し、3回の研究会を開催

した。第1回ではできる限り貴金属を使用しない触媒系を用いた還元反応について、第2回

では太陽光エネルギーを直接利用した水素の生成技術を利用した多種エネルギー源への変換

反応等について学び、第3回では自然エネルギーを直接利用したCO2還元反応について学ん

だ。いずれの講師もトップランナーらしい自信と信念に溢れた講演内容で、参加メンバーと

活発な議論が実施された。研究会活動がC1化学触媒研究の拠点形成につながることを期待

したい。

5 熱電変換薄膜材料及びプロセス開発研究会

[岐阜大学工学部化学・生命工学科 物質化学コース 助教 高井 千加]

排熱エネルギーの有効利用の観点から、熱電変換技術が注目されている。特に、中低温領

域の排熱からのエネルギー回収技術の確立が急務であるが、中低温領域の排熱を有効利用す

る熱電変換材料としての無機材料は、その有害性から用途が限定的となっている。また、人

体など曲面で利用する際、軽量性や柔軟性も必要となる。導電性高分子は軽量・柔軟熱電変

換材料として期待されるが、現状変換効率が実用化レベルに達していない。本研究会では熱

マネジメントのコア技術となる革新的熱電変換材料の創製とエネルギー利用の効率化を狙

いとし、新たな研究領域の創出を目指すための産学共同体制構築を目指す。

本年度は、外部講師を招聘し2回開催した。第1回の研究会では、有機系熱電変換材料と

して頻繁に使用されるPEDOT/PSS の導電性をプローブとして応用するというものであり、

PEDOT/PSSの導電性を維持した薄膜の作製方法について紹介いただいた。第2回の研究会

は、汎用エーテル系の材料を加えるだけでカーボンナノチューブの熱電特性を顕著に向上さ

せる非常に簡便な手法を紹介いただいた。メンバーによる話題提供も含め、各講演後は機械

系、有機材料、無機材料系の異なるバックグラウンドを持つ研究者同士で議論し、研究会の

目的である熱電変換薄膜材料創成に向けて基盤技術、課題に関する知識を深めた。

2回の研究会を通じて、有機材料を基盤とした熱電変換薄膜を作製するにはPEDOT/PSS

の性質上、高性能化が難しいという結論に達し、メンバーを中心に新たな導電性高分子の開

発を視野に入れることになった。

6 環境に優しいファインケミカル合成研究会

[名古屋工業大学 大学院工学研究科 生命・応用化学専攻 教授 中村 修一]

本研究会では、近年、環境に優しいファインケミカル生産手法の開発が強く求められてい

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る中で残る問題点の解決を目指し、地球環境に配慮した新しい物質生産・有機合成技術の探

求を行う。主に、新触媒の開発研究、廃棄物を減少させる合成技術、合成装置、設備、分離

技術についての最新情報を共有し、相乗的に発展させることで、革新的な環境調和型合成技

術の創成を目指すとともに、ファインケミカル合成における先導的研究テーマの発掘も行っ

ている。

本年度は、最新の環境調和合成手法(触媒、溶媒等)に関する科学技術研究情報を共有し、

ハイレベルな情報交換を行うことを目標として、招待講演とメンバーによる話題提供を1つ

ずつ行う形で3回開催された。最新の固体化触媒の開発とその応用例、貴金属ナノ粒子触媒

による環境調和型合成技術、工業的スケールでの天然物合成の実施検討についての招待講演

のほか、メンバー3企業の事業紹介が行われ、それぞれの講演や話題提供に対して活発な意

見交換が行われた。

7 ポストグラフェン材料のデバイス開発研究会

[名古屋大学大学院 工学研究科エネルギー理工学専攻 准教授 柚原 淳司]

近年、ポストグラフェン材料は、グラフェンを超えるユニークな物性の期待とともに大変

注目されている。特に、重い元素からなるポストグラフェン材料は、スピントロニクスへの

応用に大変注目が集まっている。本研究会は、次世代デバイスの実現を目指す専門家とポス

トグラフェン材料開発の専門家が一堂に会し、情報交換や人的交流を活発に行い、世界をリ

ードする一大研究開発拠点を目指す。

本年度は、3回の研究会を開催した。毎回、最先端の研究者を招いて講演していただくと

ともに、メンバーやメンバー関係者に話題提供を多数してもらうようプログラムを組み、全

体として4件の招待講演、11件の話題提供が行われた。内容は、ヘテログラフェン、シリセ

ン、カゴメシリセン、ゲルマネンなど多種の物質、表面科学や微粒子処理など、基礎から応

用まで多岐にわたり、メンバーとの活発な議論が行われた。毎回、研究会後に懇親会が行わ

れて親密な交流も図られている。

座長の研究については、本年度に新聞掲載や学生優秀発表賞の受賞など、高い注目を得て

いるところで、本研究会で築かれた知見や人脈を生かして、来年度以降の競争的資金獲得が

大いに期待される。

情報・エレクトロニクス

8 AIとコレクティブインテリジェンス研究会

[名古屋工業大学大学院工学研究科情報工学専攻 教授 伊藤 孝行]

AI技術の普及に伴い、社会における様々なシステムの急速な進化が予想される。AI技術

によって、これまでには不可能と思われた大量のデータからの認知処理による合理的な意思

決定の支援が可能になって来た。さらにはAI技術が社会に浸透した場合に、どのように複

数のAIを調整し、新しい社会システムを構築していくのかという課題もある。産業応用は

世界的にもこの数年に爆発的に進展するものと思われる。そこで、愛知県においてもその産

業応用をいち早く進めるために、大学側のAI技術やその応用としてのコレクティブインタ

リジェンス理論をベースに、その産業応用について企業や行政と協力しあって進めた。

本年度は、AI技術の様々な分野への応用を考える上で必要となる、基礎的な知識を習得す

ることを狙いに2回の研究会が行われた。深層学習の具体的なプログラミングの基礎が企業

の方々にいかにシンプルなことかということをわかってもらうため、メンバーにパソコンを

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持参していただき、演習(ハンズオン)の形で行った。ハンズオンでは、深層学習の基本の

アヤメの分類、さらには、写真の分類のプログラムを入力して動かすところまで実現できた。

本研究会は、ハイレベルな情報交換、技術トレンドの把握及び先導的な研究テーマの発掘

を目的とした研究会とは異なり、AI人材育成的な側面から進められた。本研究会により、参

加メンバーのAI導入に対するハードルが低くなり、AI導入が促進されることが期待される。

9 次世代高速車載ネットワークの信頼性技術

[名古屋工業大学大学院工学研究科 准教授 伊藤 嘉浩]

本研究会では、次世代の高速車載ネットワークの要素技術となるサービス品質(Quality of

Service; QoS)、セキュリティ、EMC(電磁両立性)に関して3回の研究会を開催した。ト

ヨタ、日産、マツダなどをはじめとする自動車メーカーやデバイスメーカーなど 20 社以上

の企業から参加があり、次世代の車載ネットワークに関して横断的な情報共有を行うことが

できている。そして、各回ごとに、座長から世界標準規格を定める「IEEE802 会議」への

参加報告があり、最新のネットワーク検討情報が提供された。また、研究会活動の成果を発

展させ、競争的資金への申請やテクノフェアへの研究内容の展示などを行った。

10 窒化物半導体に関する最先端技術研究会

[名古屋工業大学大学院 窒化物半導体マルチビジネス創生センター 教授 三好 実人]

GaN系半導体は固体白色光源や青紫色レーザダイオードなどを次々と実現し、今なお高効

率パワーデバイスの分野にて社会の発展に寄与しようとしている。しかし、GaN系半導体の

もつ本来のポテンシャルに鑑みると、これまで開発された技術アイテムの範囲はそのほんの

一部でしかない。本研究会では、GaN系半導体による光・電子デバイスの最先端というだけ

でなく、GaN系材料の特長を活かした新しいアプリケーション領域への展開にも焦点を当て

る。技術分野を横断して情報交換を行うことで、未来社会の発展に資する GaN 系半導体の

基幹材料としての展開とその可能性を幅広い視点から議論している。

本研究会は本年度3回開催され、「結晶」「デバイス」「プロセス&システム」と多岐にわた

る分野の先端技術をカバーして実施し、活発な議論が行われた。今後も個々の技術のブラッ

シュアップを確認するとともに、「紫外線 LED」や「太陽電池」など 30 年度に包含しきれ

なかった個別の有望アイテムを積極的に取り込むことで、来年度も十分な進展が期待される。

11 既存のソフトウェアを活用した人工知能ロボットの開発

[名古屋工業大学大学院 工学研究科電気・機械工学専攻 教授 森田 良文]

人工知能ロボットの開発は、人工知能技術の蓄積のある一部大手企業が主体であり、なか

なか中小企業では手の出せない技術領域である。本研究会では既存の人工知能に関するオー

プンソースソフトウェアや人工知能チップを活用することによって、人工知能に関する十分

な技術を持たない中小企業においても人工知能ロボットが開発できるよう、人工知能に関す

る理解を深め、ロボットとのシステム化を可能にする技術・情報を共有する。

本年度は4回開催され、メンバーが、既存の人工知能開発用オープンソースソフトウェア

(OSS)や人工知能チップを用いて人工知能ロボットを開発することに狙いを定め、1 年目

の達成目標に「OSSを活用するための知識と技術の習得」を掲げた。外部講師からは機械学

習の基礎から音声処理技術、画像処理技術等について講演してもらい、メンバーによる話題

提供も組み入れながら、毎回、情報交換および議論を重ねていった。4回目終了後に行った

アンケート結果により、目標は概ね達成していることを確認した。

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2 年目に体験型ワークショップを開催するための準備として、座長の研究室の学生ととも

に OSS の教材を一部開発中である。また、座長に対しメンバー企業から共同研究に関する

相談が複数持ち込まれていることからも今後の展開が期待される。

機械システム

12 設計・製造技術の向上に向けた高精度CAEのための先端実験技術研究会

[名古屋工業大学大学院 工学研究科 教授 西田 政弘]

本研究会では、高精度シミュレーションに必要な実験技術の情報を共有するとともに、複

雑な応力状態を考慮した材料モデルや簡便法の提案に向けた方策について議論し、CAEによ

る「ものづくり力」の底上げを狙いとした。高速度変形に関する「設計・製造技術の向上に

向けた高精度 CAE」、近年発展が目覚しいデジタル画像相関(DIC)技術を使ったひずみ分

布測定、高精度三次元計測などの先端技術について講演を行い、現在の問題点や発展の可能

性がある領域について、メンバー間での理解を統一することができた。また、メンバーであ

る公設試や企業の施設を見学しながら、現状の報告を受け、測定拠点及びネットワークの構

築に向けて、今後の展開について議論した。

13 スマート材料アクチュエータ実用化研究会

[名古屋大学大学院 工学研究科機械システム工学専攻 准教授 高木 賢太郎]

近年、ロボット用人工筋肉やパワーアシスト、ハプティックデバイス、メカトロニクス機

器などへの応用を目指して、熱駆動繊維アクチュエータ、形状記憶材料、誘電エラストマー、

圧電材料などのスマート材料への注目が集まっている。本研究会では大学研究者、公的研究

機関研究者、企業研究者・技術者の連携体制を構築し、その体制のもと、スマート材料アク

チュエータの実用化を目指す。

本年度は3回の研究会を開催し、高分子の基礎とアクチュエータ応用、形状記憶材料、高

分子アクチュエータについて基調講演を実施するとともに、産学行政のメンバーからの話題

提供をショートプレゼンテーションの形で実施し、ニーズとシーズ技術の共有を図り、活発

な意見交換が行われた。その結果、高分子繊維アクチュエータ並びに形状記憶合金のシーズ

技術の共有を図ることができた上、自動車応用や医療応用におけるニーズの共有も図ること

ができ、初年度の目標は達成することができた。

環境

14 イムノクロマト研究会

[豊橋技術科学大学 環境・生命工学系 学長補佐 教授 岩佐 精二]

免疫的測定法(イムノアッセイ)の原理を利用した簡便、廉価、迅速、高精度、様々な測定

環境に対応するセンサーの特徴を有する低分子残留農薬分析法の技術開発、調査、報告を目

的としている。

当初計画では、研究会の中核を担う企業が試作品を製造し、実証試験を実施する予定であ

ったが、諸般の事情により試作品製造を大型プロジェクトの中で推進することになったため、

中心的メンバーにより分科会を開催し、様々な研究推進の方法を模索した。その一つとして

提案した大型競争的資金であるSIP(戦略的イノベーション創造プログラム/内閣府)第2

期の「スマートバイオ産業・農業基盤技術」プロジェクト(5年間)が10月末に採択され、

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競争的資金獲得という大きな成果を得ることができた。

メンバー企業の状況変化により、メンバー全員が参加する研究会は開催できなかったが、

中心的メンバーの間で意見交換しながら競争的資金に応募し、プロジェクトに採択された。

本研究会は競争的資金を獲得できたことから、規定により単年度で終了した。

農林水産

15 「音の農薬」研究会

[中部大学応用生物学部 教授 南 基泰]

本研究会は、「生活と食の安心・安全」及び「野生生物との共生」が両立する社会を目指し、

特定の害虫や害獣のみを標的とする効果音などを合成し、それにより人や家畜などに影響の

ない「音の農薬」の実用化・事業化を目標とした。「音の農薬」は、耕作地や緑地における害

虫駆除、中山間地域における害獣対策など、農林業、環境、都市計画など多分野への活用が

期待でき、脱化学物質社会構築のさきがけとなることが期待される。

初年度は、害虫駆除についての実証実験を進める予定で第1回の研究会を開催したが、音

の農薬に関しては害獣対策に対してのニーズが高いこと、また、超音波機器のトップメーカ

である本多電子㈱がメンバーに加わったことから、超音波を用いた獣害対策について実証試

験を進めることになり、4回の分科会及び2回の研究会を開催した。その結果、愛知県農業

総合試験場を超音波忌避実証実験フィールドとすることになった。

2年度目は、中部大学、本多電子㈱、愛知県農業総合試験場の三者を中心とする体制で、

7回の分科会が開催され、超音波によるイノシシの忌避効果、屠殺時の音声サンプリング等

を行った。その結果、現時点では15kHz, 20kHzの超音波では効果が得られていない。しか

しながら三者での活動は継続の予定で、平成 31 年度愛知県農業総合試験場の戦略的重要研

究に採択されるとともに、環境省の競争的資金への応募が予定されている。

医療・福祉

16 先進新診断システム研究会

[藤田医科大学大学院保健学研究科 教授 齋藤 邦明]

疾患を同定するための診断技術は、疾患の発症と様々な因子との関係が明らかになってい

る過去の研究成果をもとに臨床応用されている。しかし、疾患の発症前に介入し、発症の防

止を目指す先制医療や、薬効・副作用予測を可能とする新しい診断技術など、個の医療のた

めのシステムは発展途上にある。本研究会では、社会的ニーズが高いうつ病等の精神神経疾

患に対する先制医療の実現及び新しい診断技術を用いた次世代診断薬の開発等に向けて議論

を行った。

本年度は3回の研究会を開催した。医療関係者がメンバーに多いため、土曜日午後の開催

となったが、いずれも 20 名前後の参加者があった。がん細胞周辺の環境改善による進行抑

制、動物のうつ症状の人との類似性、腸内細菌のバランスとストレス症状、肥満、がん・ア

レルギー等の関係性についての招待講演のほか、画像診断での AI 活用事例などの話題提供

が行われた。研究会を通して、医師、薬剤師、基礎研究者、臨床検査技師、放射線技師など

分野の異なるメンバーがそれぞれの視点で意見交換を行い、相互理解を深めることができた。

また、招待講師も交えた新たな共同研究や研究プロジェクトの提案向けての準備が進んでお

り、さらなる発展が期待される。

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17 高齢者の自立排泄支援を可能にするロボティクスホーム研究会

[国立長寿医療研究センター 健康長寿支援ロボットセンター

ロボット臨床評価研究室長 加藤 健治]

本研究会は、高齢者の転倒リスクに最も関連のある夜間排泄動作の自立支援システムの開

発を目的として、尿意自動検出技術、コミュニケーションロボット、移動補助の歩行ロボッ

トの開発とロボット間の通信技術により、高齢者を対象とした次世代型“ロボティクスホー

ム”の事業化につなげることを目標としている。

本年度は3回の開催を計画したが、3回目の講師の日程調整が年度内にできなかったため、

2回の開催となった。1回目は慶応義塾大学の牛場潤一准教授による、ブレイン・マシン・

インターフェース(脳の興奮性[脳波]により装具をリアルタイムに制御する)の基礎研究と

臨床研究に関する招待講演と、メンバーが開発中の杖型ロボットのデモンストレーションも

含めた開発の紹介が行われた。2回目は、理化学研究所の下田真吾ユニットリーダーによる

Invisible robotics(人間の適応機構を活かしたロボット制御法)などの招待講演と、メンバ

ーの話題提供として転倒リスクのマネジメントなどが紹介された。

脳科学からの取組と、ロボット、AIからのアプローチが程よく混合したプログラム構成が

なされ、参加者の活発な意見交換が進んでいる。

日程調整の都合で初年度に実施できなかった3回目の研究会も含め、全6回の研究会を行

うべく座長が計画を進めているところで、さらに多方面からの知見を得てメンバー間で議論

等を進めることで、競争的資金の獲得などが期待される。

18 ヒト呼気による血中および肺組織の薬物動態解析に関する研究会

[名古屋大学大学院医学系研究科 講師 松島 充代子]

本研究会の座長らは、動物実験により呼気によって血中の薬物が分析できること、さらに、

ヒトにおいても呼気による血中及び肺組織の薬物動態が解析できる可能性を見出した。そこ

で、本研究の第一ステップの実用化目標として、治療薬物の呼気による血中濃度のモニタリ

ングを設定した。本研究会では、ヒト対象試験を実施するために、特に医学領域の関連情報

収集と、実用化のための課題抽出及び具体的な目標設定を目指す。

本年度は公開、非公開を含めて4回開催し、動物実験を中心に呼気における薬物動態の解

析を行い、ヒト試験実施に向けた基盤構築を行った結果、血液に代わり呼気を用いて薬物動

態を解析する際に考慮すべき問題点等を明確にできた。

来年度は、本年度に引き続き外部講師による講演と、メンバーによる討議を深化させ、こ

れを実際の共同研究にフィードバックすることによって、第二ステップの研究(ヒト試験)

を目指した競争的資金獲得の準備を進めることにしている。

エネルギー

19 小規模電力ネットワーク(マイクログリッド)技術に関する研究会

[名古屋工業大学大学院 工学研究科 准教授 青木 睦]

本研究会は、多様なエネルギー供給源を効率的に活用する小規模な電力ネットワークにお

いて、周波数と電圧の維持、エネルギー利用効率向上、非常時のエネルギー供給継続の課題

解決策を検討することを目的とした。1年目は、小規模グリッドの要素技術に関しての知識

を深めるとともに、それぞれの技術について意見交換を行った。V2Gの研究開発動向、virtual

inertia、蓄電池のメンテナンスの低コスト化などについて議論し、系統をどのように構成し、

各要素技術のコストを含めてビジネスモデルをどのように構築していくかが課題であること

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をメンバー間で意見統一した。2年目は、小規模グリッドの実証事例、情報の活用、通信技

術及びシミュレーション技術に関する知識を深めるとともに、それぞれの技術について意見

交換を行った。そして、シミュレータを活用したモデルベース開発は分散型電源に欠かすこ

とができないパワーエレクトロニクス機器のシミュレーションに有効であることが確認でき

た。また、小規模電力ネットワークについて、各要素技術の研究開発において、社会的コス

トの低減と災害時の事業継続性を考慮したシステム構築が課題であることが明らかになった。

20 次世代移動体用超高性能モータ技術に関する研究会

[大同大学 工学部電気電子工学科 准教授 加納 善明]

本研究会では、省エネ・省資源の点で飛躍的なブレークスルーを成し遂げる次世代モータ

の創出を目指す。具体的には、国内外の文献・特許調査に基づいて性能向上に有効と思わ

れるモータ構造を抽出するほか、同モータを対象に磁場解析による性能評価を通じて性能向

上のボトルネックを分析するとともに、それらを解決する次世代モータの創出を行う。また

研究会後も続く新たな研究開発チームづくりとして、製品・構成部品・試作・分析評価等の

関連分野から、直接競合する企業が重ならないようにメンバーを人選している。

本年度はメンバー間の情報共有と共同開発に向けた準備を進めることを目標とし、参加企

業のうち2社の保有技術の紹介や現地視察を行ったほか、具体的な試作に向けたモータの仕

様や、共同研究・開発のための秘密保持などの枠組みづくりについて活発な議論がなされた。

その結果、各社の固有技術を織り込んだ試作モータ第1弾の製作目途が立った。

21 実用エネルギー材料開発のためのオペランド解析研究会

[名古屋工業大学大学院 工学研究科 教授 種村 眞幸]

材料開発は、従来の、動作後材料の分析結果を材料設計にフィードバックする時代から、

実動作環境下での動作の状態をその場で分析(operando解析)し、その結果を設計にフィー

ドバックする新たな局面を迎えつつある。本研究会では、次世代エネルギー開発を担う、電

池、キャパシター、分離膜、省エネルギーデバイス材料等の各種エネルギー関連材料につい

て、ラボレベルでのオペランド解析手法の開発と実用材料開発へと実践展開するための道を

拓くことを目標とする。そのため、解析の専門家、設計・合成の専門家、材料を実用化する

企業、及び分析装置メーカが三位一体となって活動する。

本年度は、3回の研究会を開催して、7件の招待講演、2件の話題提供について討議が進

められた。第1回では、ナノ科学工学分野での表界面計測、触媒のオペランド計測について

最新の解析結果の議論が進められ、第2回では、オペランド分析の電池材料開発への応用を

メインテーマに、第3回では、オペランド分析のカーボン系材料開発への応用をメインテー

マに活発な議論が進められた。3回の研究会を通じて、それぞれの分野でのオペランド分析

の現状と将来展望の情報の共有化ができた。来年度は、オペランド分析の実用エネルギー材

料への応用をメインテーマに議論が進められる予定で、本分野のネットワークの拡充を図る

と共に競争的資金等への応募も期待できる。

22 全固体電池及び実装技術開発に関する研究会

[名古屋工業大学 大学院工学研究科 物理工学専攻 教授 林 好一]

次世代自動車として有力視されている電気自動車(EV)に搭載される高性能蓄電池として、

その安全性・高容量・高出力の観点から全固体電池の採用が現実味を帯びている。実現に向

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け、大学・企業で精力的に開発が進められているが、実用化する上での課題は多い。本研究

会では、全固体電池の開発状況を把握するとともに、実装化に必要な構成部材や加工技術を

調査・情報共有して、新たな産学連携を創出する。

本年度は4回開催し、初年度の取組としては、全固体電池の最新開発状況や今後の展開等

について、講師やメンバーによる講演を通じてメンバー全員で共有することを目的とした。

講演を通して、固体電解質の開発について確立された技術はなく、克服すべき課題が多く残

されており、また、基礎研究の推進が高性能電池開発に必要不可欠であることも分かった。

初年度の目標である情報交換及び問題意識の共有という観点から、本研究会は十分な役割を

果たしたと判断できる。

また、本研究会における議論から得られたシーズ技術を愛知県の重点研究プロジェクトⅢ

期へ提案するなど、今後の活動が大いに期待される。

バイオテクノロジー

23 メラニン機能科学研究会

[中部大学生命健康科学部 准教授 川本 善之]

メラニンは生物界に広く分布しており、紫外線によるDNA障害を防ぐなど重要な役割を

担う。これほどありふれた生体成分でありながら、その構造・化学的性状については分かっ

ていないことが多い。本研究会の座長は、最近メラニンががんや免疫に関わる細胞機能調節

に関与する可能性を見出した。本研究会では、最新の解析技術を用いてメラニンの構造に関

する研究を掘り下げるとともに、従前知られていなかった機能とその利用の可能性を追究す

る。

本年度は、産業界との連携を充実させ、メラニンを機軸とした新研究テーマ・新産業につ

ながるシーズの創生を目標に、色素細胞の機能分化とメラニン合成、黒粕メラニンの毛髪染

料への利用、昆虫の生体防御反応でのメラニン形成についての招待講演に加え、メンバーに

よる話題提供が行われた。

本研究会の成果として、イカスミ由来のメラニン・合成メラニン双方でアレルギーを抑制

する効果を確認し、Biochemical Pharmacology電子版に論文掲載されたことが挙げられる。

また話題提供や招待講演をきっかけに、天然可食素材である黒粕から得られるメラニンを使

用した健康食品に向けた研究がスタートし、愛知県内の酒造会社との共同研究の目途が立っ

た。基礎データを取得するパイロットスタディを経て、財団共同研究事業などの競争的資金

への応募を予定している。

その他

24 誰もが備蓄したくなる大規模災害に対応した非常食に関する研究会

[あいち産業科学技術総合センター食品工業技術センター 主任研究員 長谷川 摂]

本研究会では、大規模災害時の食の問題点やニーズを正しく理解することを重視するとと

もに、おいしさの研究に関する事例を研究会メンバーに提供できるよう、講演会の講師を選

定した。これにより、災害時のニーズに関してメンバーの理解が深まり、研究会活動の目標

は達成できた。

具体的には、災害現場に求められる食について深く追求したことにより、おいしくて変化

に富んだ食や、個々のニーズに応じた多様な食を用意することが非常に重要であることが明

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らかとなったほか、長期保存においては包材の劣化を考慮することが重要であり、組成が大

きく異なる幅広い食品に対する包材の性能を容易に判定する技術の開発が求められているこ

とが認識できた。これらのことから、保存性の高い食品を開発するにあたり、保存中の食品

及び包材の変化を短期間で評価する技術の必要性が求められていることが判明した。

また、非常時においても日常に近い食が求められることが明らかとなり、硬くなりにくい

短鎖アミロペクチン米の開発が非常食での活用が見込まれる新しい素材として有望であるこ

とが分かり、今後の非常食の研究開発につながっていくと考えられる。さらに、メンバーが

個別に情報交換を行い、新たな非常食の開発において協力関係を築いていく場面が見られた

ことから、今後、新たな連携による研究開発が進んでいくと期待できる。

25 マイクロ固体フォトニクス

[分子化学研究所 メゾスコピック計測研究センター 教授 平等 拓範]

本研究会は、光の波長と同じマイクロメータオーダーで物質・材料を設計するマイクロド

メイン制御などのマイクロ固体フォトニクスにより、必要とする光学機能を発現、強調させ

て劇的に輝度を高めたジャイアントな光を望む“ジャイアントマイクロフォトニクス”につ

いて議論を深めることを目的とする。

本年度は4回開催し、レーザー光源の高性能化によって開発が進むと想定される環境・エ

ネルギー、バイオ・医療、製造・IoT 分野における新たな可能性について企業、大学、国立

研究所等から構成されるメンバーがそれぞれの立場から議論を深めていった。

内閣府 ImPACT プログラム「ユビキタス・パワーレーザーによる安全・安心・長寿社会

の実現」は最終年度を迎えるが、これまでもJSTやNEDOなどの競争的資金を獲得してき

た実績があり、今後も大型プロジェクトでの資金獲得に向けた展開や可能性を探っていく。

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(3)技術普及推進事業

大学や試験研究機関等が持つ次代を担う基盤技術を中堅・中小企業に普及させること

を目的に、これらの関係機関と連携して分野別研究会(3分野)及び特別講座1回を開

催し、中堅・中小企業による新技術や新製品の開発を支援した。

【平成30年度実施の分野別研究会】

研究会名【開催回数】 開 催 内 容 参加者数

炭素繊維応用技術研究会【3回】

(平成30年9月14日、10月24日、

12月14日)

各種産業分野での採用が進む炭素繊維複合

材料の用途や加工技術の最新事例や今後の

展望について

130名

製造・開発現場への人工知能・機械学

習応用技術研究会【3回】

(平成30年10月17日、11月29日、

平成31年1月16日)

ものづくり現場における試行や実使用に役

立てもらうことを目的とした人工知能や機

械学習について

58名

異種材料接合技術研究会【3回】

(平成30年12月18日、

平成31年1月10日、1月24日)

新事業創出、新商品開発などに役立てても

らうことを目的とした異種材料接合の最新

の状況について

50名

製造・開発現場におけるAI活用講座

【1回】

(平成31年2月26日)

人工知能を用いて業務改革するためのデー

タ活用に必要な知識や実用技術について 17名

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公2 共同研究・成果普及事業

科学技術コーディネータが大学等のシーズと技術ニーズをマッチングすることにより、種々

の共同研究活動を推進した。

(1)共同研究推進事業 中堅・中小企業による革新的な製品・製造技術の開発、事業化を推進するため、中堅・

中小企業と大学等による共同研究開発課題に対し、2年間の研究委託を実施した。

平成30 年度は、平成29 年度に採択した継続の2テーマと平成30 年度に採択した2

テーマを実施した。

<当財団が定めた分野>

・次世代自動車分野

・航空宇宙分野

・ロボット分野

・健康長寿分野

・環境・新エネルギー分野

・水素エネルギーを活用したスマートコミュニティー分野

・IT産業、都市型産業分野

・知財戦略・デザイン重視のモノづくり分野

・農林水産業との連携による新分野

【平成29年度採択テーマ】実施期間 平成29年度~平成30年度

研究テーマ フラックスゲート磁気センサを用いた車載電池セパレータ用金属

異物検査装置の開発

研究統括者 豊橋技術科学大学 環境・生命工学系 教授 田中 三郎

研究開発の要約

昨今、電気自動車やハイブリッド車用リチウムイオン電池の生産

量増加に伴い、セパレータ内の金属異物検査需要が高まっている

が、高速(100-200m/分)対応が可能な検査装置がない。

共同研究者はこれまで磁気センサを用いた食品内微小金属検査

装置の開発を行ってきており、大手食品メーカーにも納入実績があ

る。そこでその技術を応用し、検査装置を試作したところ、良好な

性能を得たが、磁気センサが複数個必要となることもわかった。幅

1.8mの実生産ラインの検査装置に磁気センサを適用すると、160

チャンネル×2セットが必要なため、センサと電子回路基板のコス

トだけで1,000万円以上となり、構造が複雑かつ高コストとなるた

め、センサ数を減らす検討が必要となってきている。そこでセンサ

間を高透磁率材料で接続することで、金属異物からの磁束を効率良

く取り込む方式を検討し、センサ数を現状の1/2~1/4に減らして、

低コストで高感度な検査装置の開発を行った。

共同研究体 豊橋技術科学大学、アドバンスフードテック㈱

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研究成果

センサ数を1/3に削減し、幅1mのフィルムシートに対応できる

低コスト金属異物検査装置を開発した。検出できる異物の直径 100

ミクロン、周辺ノイズ対策により直径 65 ミクロンの異物検出が可

能である。今後工業用フィルム分野、電池産業分野の他、食品フィ

ルム分野での活用も期待される。

研究開発テーマ 中長鎖ペプチドの腸輸送を目指した多孔性無機材料の内表面設計

統括研究者 名古屋大学 予防早期医療創成センター 教授 本多 裕之

研究開発の要約

健康長寿に資する機能性ペプチドは多くの食品会社で研究開発

されている。可食性食品素材由来のタンパク質加水分解物から機能

性ペプチドを特定した場合、経口投与では酵素分解により不活化す

る。一方、多孔性無機材料は、ナノメートルオーダーの微細構造を

持ち比表面積が大きく、食品添加物や医薬品材料として認可も受け

ており、機能性ペプチドのキャリアとして利用価値が高い。

本研究では機能性ペプチドを多孔性無機材料担体に吸着(キャッ

チ)させ、酵素反応から保護すると同時に腸内 pH 環境で脱離(リ

リース)するシステムの開発を目指す。研究統括者は、ペプチドの

物理化学的性質と吸脱着を詳細に調べ、多孔性無機材料の表面改質

で、ある特定の物理化学的特性を持つペプチドが多孔性無機材料に

対してキャッチ&リリース可能であることを初めて明らかにした

(特許出願済)。本研究では、多孔性無機材料の内表面特性を仔細

にデザインすることでシステムの汎用性拡大を図る。

共同研究体 名古屋大学、富士シリシア化学㈱

研究成果

ペプチドの吸脱着及び腸デリバリーに最適な多孔性無機材料担

体であるシリカゲルの設計を行い、効率的に酵素分解防止が可能な

細孔径(8.9~17.2 nm)最適焼成処理温度(600 ℃)、コーティン

グ剤(水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム)を見出した。また、

既報のコレステロール吸収抑制効果のあるペプチドをベースにペ

プチドの設計を行い、既報ペプチドと同等の機能を持ち、1.4倍の

腸デリバリー特性をもつペプチドを見出し、その効果を動物実験で

示した。本研究で機能性ペプチドを酵素による分解を防ぎながら経

口投与できる可能性が示され、今後機能性食品やサプリメント等へ

の応用が期待される。

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【平成30年度採択テーマ】実施期間 平成30年度~平成31年度

研究開発テーマ 食品産業で活用できる高感度大腸菌検出システムの開発

統括研究者 名古屋工業大学 大学院工学研究科 生命・応用化学専攻

准教授 猪股 智彦

研究開発の要約

食品衛生や医療の現場では、迅速かつ高感度な微生物の検出技術

が求められている。本研究開発では、名古屋工業大学が有する微生

物の人工『餌』を利用した高感度かつ選択的な微生物固定化・検出

技術を用い、大腸菌に特化した微生物検出システムの開発を行う。

名古屋工業大学の研究グループが大腸菌に特化した人工『餌』の開

発及びその修飾基板の開発を行い、微生物計測システム開発などの

実績を有する株式会社槌屋が水晶振動子マイクロバランス法(QCM)

や交流インピーダンス法をベースとした既存の検出システムの改

良を行い、検出装置の簡便化・小型化を目指す。最終目標として、

無培養かつ高感度(100 CFU mL–1)で大腸菌のみを選択的に検出可

能な取扱が簡便かつ安価な装置の開発を行う。

共同研究体 名古屋工業大学、㈱槌屋

研究成果

シデロフォアを用いた大腸菌の検出のための人工餌を6種類合

成するとともに、人工餌に対する微生物の吸着挙動を調査した。そ

の結果、現状においても大腸菌群の検出には有効であるが、大腸菌

のみに特化した検出には更なる最適化が必要であることが分かっ

た。一方、水晶振動子マイクロバランス法(QCM)や交流インピー

ダンス法を用いて専用餌修飾基板による測定を行い、有効性を検証

するとともに、簡便化、小型化も含めた最適な検出装置の設計の基

盤を確立した。

研究開発テーマ 無痛性除細動機能付き心臓サポートネットの開発

統括研究者 株式会社iCorNet研究所 代表取締役 秋田 利明

研究開発の要約

重症心不全では致死的不整脈を伴うことが多く、約半数は突然死する。このような致死的不整脈に対して用いられる植込み型除細動装置は、極めて高電圧の電流(800V、10J~35J)を必要とし肉体的、精神的な傷害が大きい。一方、心臓をシート状電極で挟み除細動を行うと、はるかに低エネルギーでの除細動が可能であることが報告されている。本共同研究体は既にコンピュータ編み機を用い、心不全悪化の最大の原因である進行性心拡大(=心臓リモデリング)を防止する「テイラーメイド方式心臓サポートネット」の設計・製造

システムを開発、非臨床試験を終了し、現在多施設共同臨床研究を開始している。 本研究開発では、心臓サポートネットの技術を応用して、致死的

不整脈に対応可能な植込み型除細動装置の試作・開発を行う。

共同研究体 ㈱iCorNet研究所、名古屋大学

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研究成果

生体適合性材料として実績のあるタングステン細線とカーボン

ナノチューブ糸(CNT糸)の 2種類を選定し、撚糸技術等により編

成糸を開発し、ネット形状テストピースを編成、評価(導電性、剛

性評価)を行った。次に開発糸により、心臓にフィットする心臓サ

ポートネットを試作し、小動物(ウサギ)実験でフィッティングを

定性的に評価、除細動閾値評価実験を行い、除細動実験による除細

動に成功した。これらに加え、本年度の成果を特許申請した。

○研究活動の進捗管理

研究テーマごとに共同研究推進委員会を開催し、関係者の密接な情報交換と連携、ゴー

ルを目指すベクトルの共有化を図った。

・平成29年度採択テーマ

第3回共同研究推進委員会 (平成30年8月)

第4回共同研究推進委員会 (平成31年2月)

・平成30年度採択テーマ

第1回共同研究推進委員会 (平成30年7,8月)

第2回共同研究推進委員会 (平成31年2月)

○研究成果の普及

研究成果等を広く県民、研究者及び企業に普及させるため、平成27年度採択テーマ(平

成28年度終了テーマ)の成果発表会の開催や各種展示会への出展を行った。

会議名 開催日 場所 主な内容

共同研究推進事業

成果発表会

平成30年

7月17日 名古屋銀行協会

成果発表

参加者:71名

備 考:研究交流クラブ定例

会と同時開催

第8回「次世代モノづ

くり基盤技術産業展

TECH Biz EXPO 2019」

平成31年

2月6日~

2月7日

吹上ホール 試作品展示、パネル展示

ブース来場者数:90名

TECH Biz EXPO 2019

講演会・セミナー

平成31年

2月7日

吹上ホール

セミナー会場

講演、成果発表

参加者:31名

平成30年度中部地区

医療・バイオ系シーズ

発表会

平成30年

12月12日

名古屋商工会議

試作品展示、ポスター発表、

口頭発表

参加者:45名

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22

(2)科学技術コーディネート事業

科学技術コーディネータが、その活動の中で発掘した大学等の研究シーズを中堅・中

小企業に技術移転することにより、試作品の開発や新技術の実用化を支援する育成試験

を2件実施したほか、国等の制度を活用した新たなプロジェクトの企画提案活動を行っ

た。

〇 育成試験

試験課題 血液中循環がん細胞(CTC)自動検出システムの開発とその臨床評価

実施機関 マルヤス工業㈱

研究シーズ 愛知県がんセンター

試験内容

血液中循環がん細胞(CTC)は低侵襲で行える次世代診断ツール

(Liquid Biopsy)として長らく期待されているが、数が希少であること、

暗視野での多重蛍光染色に基づく不十分な形態情報のため CTC の正確

な診断に限界があること、測定コストが高いことなど種々の課題があ

り、一般臨床検査でのバイオマーカーの一つとして普及するには全く至

っていない。

本研究では、上記課題を克服する方法として、CTCを明視野で永久標

本による細胞診として低コストに検出できるよう、血液検体の濾過によ

り細胞診試料を自動的に作製する自動検出装置を開発・試作した。これ

により市中病院の臨床検査室でも使用可能な汎用性のある CTC 検出装

置として臨床データを蓄積し、将来的な事業化を目指す。

試験課題 X線暗視野撮影法に基づく高空間分解能位相コントラストX線カメラの

開発

実施機関 フルステージ㈱

研究シーズ 名古屋大学、北海道大学、総合科学研究機構、名古屋医療センター、あ

いちシンクロトロン光センター

試験内容

X 線暗視野法(XDFI)は位相コントラストによる X 線撮像法であるた

め、従来の吸収コントラストによるX線撮影よりも格段に高精細に生体

軟組織を描出できる能力を持ち、世界で初めての非浸潤性乳管癌の仮想

内視鏡観察や、非浸潤性小葉癌の3次元構築に成功している。

本課題では、位相コントラストを生成する角度アナライザー結晶とX

線カメラを一体化した、コンパクトで高空間分解能なX線カメラシステ

ムを開発・試作した。試作したX線カメラを用いてあいちシンクロトロ

ン光センター(あいちSR)BL8S2ビームライン等の放射光施設で行い、

生体軟組織試料の屈折コントラスト像を高空間分解能・大視野で、高画

質に撮像することができるようになった。

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23

[活動状況]

・育成試験審査委員会

開催日 平成30年6月25日

場 所 愛知県産業労働センター(ウインクあいち)15階 研究交流センター

出席者 育成試験審査委員7名

・育成試験成果発表会

開催日 平成31年3月19日

場 所 「知の拠点あいち」あいち産業科学技術総合センター 講習会室

参加者 50名

備 考 企業連携技術開発支援事業と合同で成果発表会を実施

〇 応募型助成制度の申請支援

科学技術コーディネータが中心となり、国等の制度を活用したプロジェクトの企画提

案活動を実施した。平成30年度は、事業化を目指した応募型助成制度の申請を 25件支

援したところ、20件の採択を受け、企業主導の開発業務がスタートした。

【平成30年度に採択された競争的資金一覧】

主体 施策 内容 参画・実施機関

あいち産

業振興機

あいち中小企

業応援ファン

ド助成事業

炭素繊維複合材を使用した異形パイプの

製造販売に関する研究開発 豊光産業㈱

愛知県 新あいち創造

研究開発補助

金事業

とろみ飲料専用サーバー及びメンテナン

ス事業の研究開発 ㈱アペックス

ものづくりを支えるIoT/AIを使ったプレ

ス機械の予知保全実証実験

㈱コスモテッ

排泄介助における排便検出技術と排便予

測技術の研究開発 新東工業㈱

AI 解析でパーソナライズした介護用オム

ツIoTセンサーの研究開発

アルファポイ

ント㈱

シンクロトロン光及び高度分析機器を活

用した低コスト、高信頼性セラミックスの

製造技術に係る研究開発

㈱ヤスフクセ

ラミックス

手話の「曖昧さ」を許容するフレキシブル

な手話認識プログラムとAIによる手話教

育ツールの研究開発

㈱ユニオンソ

フトウェアマ

ネイジメント

車載電子部品用塗工剤の研究開発 中京樹脂㈱

移動体分野をターゲットにした超音波融

着機構を使用した新規な熱可塑性CFRP布

帛基材の研究開発

福井ファイバ

ーテック㈱

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こんにゃくの廃棄品を溶解し、植物肥料に

再生する技術の研究開発 高章食品㈱

QOL(生活の質)向上のための手指機能回

復リハビリ支援デバイスの研究開発

㈱松栄電子研

究所

高せん断整形加工法による高剛性低コス

ト射出成形用炭素繊維複合材料(CFRP)の

研究開発

佐久間特殊鋼

アクティブスクリーンプラズマ(ASP)窒

化法による大型・大容量装置及び技術の研

究開発

中日本炉工業

炭素繊維複合材料を用いた樹脂製医療器

具の研究開発 豊光産業㈱

全国中小

企業団体

中央会

ものづくり・

商業・サービ

ス経営力工場

支援補助金

高純度微細結晶の新型セラミック砥粒に

よる超高速次世代研削加工プラットホー

ム構築

㈱昭栄精機

制振用複層シート材の切断加工の生産性

向上と加工精度の向上 豊光産業㈱

動画データの集中管理と解析による大型

射出成形機による高精度成形時不良率の

低減技術開発

日多加産業㈱

検査装置導入によるシリンダ検査工程デ

ータの電子化と検査受託事業の拡充 半田重工業㈱

カートリッジヒーターの生産性改善によ

る競争優位性の獲得

㈱河合電器製

作所

中小企業

下請中小企

業・小規模事

業者自立化支

援対策費補助

曲面鏡面材質の微小損傷検査のための廉

価版AI画像診断装置の開発

半田重工業㈱

㈱ウォンツ

新あいち創造

研究開発補助

金事業

愛知県

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25

(3)企業連携技術開発支援事業

異分野の中堅・中小企業が連携して行う新しい技術開発が見込める案件について、実用

化に向けて、試作品の開発等の支援を実施した。

完成した技術(試作品)は、今後展示会等で幅広く紹介し、実用化・事業化を目指し

ていく。

試験研究課題名 漁業者及び海洋にやさしいアサリ資源保護資材の試作

実 施 企 業 ティビーアール㈱

協力企業/支援機関 ㈱キラックス あいち産業科学技術総合センター

実 施 内 容

アサリ資源保護に使用するパラフィンコートを施した天然繊維

ネットを試作した。試作したネット及び袋網加工品を、室内の海

水流水水槽と小鈴谷の実験フィールドに設置して、強度変化・形

状維持状況を継続的に観察した。その結果、アサリ保護資材とし

ての耐久性を確認するとともに、アサリの保護効果も確認できた。

試験研究課題名 技術伝承に向けたIoTによる自社技術の見える化技術の開発

実 施 企 業 ユーアイ精機㈱

協力企業/支援機関 ㈱アイリンク

実 施 内 容

ベテランが当たり前のこととして特に意識していない技術・ノ

ウハウが、IoTを活用した今回の試作品により見える化でき、個人

の経験を会社の強みとすることが可能となった。また、何を教え

れば良いかについても見える化できるため、若手社員の教育ツー

ルをIoTを利用して作ることも可能になった。

試験研究課題名 特定医療分野(皮膚科光線療法)におけるAI議論支援システムの

試作

実 施 企 業 TMKメディカル㈱

協力企業/支援機関 ARCHES㈱

実 施 内 容

皮膚科光線療法の医療従事者間の活発な議論が醸成され、治療

成績の向上、新しい治療プロトコルの策定につながることを目指

した AI議論支援システムの開発を進めた。専門性の高い議論の誘

導・強化機能、より深い議論ができると思われる医療従事者に意

見を促す機能などをAI機能により充実させ、合意形成を目指した。

本事業では、皮膚科光線療法のいくつかのテーマでの議論支援に

適用し、有効性を確認できた。

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○活動状況

・企業連携技術開発支援事業審査委員会

開催日 平成30年6月12日

場 所 「知の拠点あいち」あいち産業科学技術総合センター 3階会議室

出席者 企業連携技術開発試験審査委員4名

・企業連携技術開発支援事業成果発表会

開催日 平成31年 3月19日

場 所 「知の拠点あいち」あいち産業科学技術総合センター 講習会室

参加者 50名

備 考 育成試験と合同で成果発表会を実施

・メッセナゴヤ2018への出展

開催日 平成30年 11月 7日~10日

場 所 ポートメッセなごや

備 考 「知の拠点あいち」ブースにて、平成29年度実施課題3件の成果の展示紹

介(重点研究プロジェクト、シンクロトロン光センター紹介等と合同)

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(4)重点研究プロジェクト事業

大学等の研究シーズを活用して県内企業が有する様々な課題を解決し、新技術の開

発・実用化や、新産業の創出促進を目指して、産学行政が連携して取り組む「知の拠点

あいち重点研究プロジェクト(Ⅱ期)」を愛知県から受託して、平成 28~30 年度を事業

期間として研究管理に取り組んだ。

○重点研究プロジェクト(Ⅱ期)の平成30年度の取組

平成30年度はプロジェクトの最終年度であり、研究開発のフェーズ管理(下図)に取り組

むことにより、生産準備段階や実用化・製品化段階に至った研究が半数を超えたとともに、

愛知県が実施する最終評価においては全ての研究テーマにおいて「良」以上の評価を受けた。 また、研究成果の普及のため、公開セミナーファイナル及び最終成果発表会を開催し、プ

ロジェクトの研究成果について広く発信した。

①次世代ロボット社会形成技術開発プロジェクト(PR)

研究開発概要:ロボットの利用技術開発、実証試験を行うとともに、情報通信技術等

を活用した自動車安全技術の研究開発を実施することにより、次世代

ロボット社会形成に資する技術開発を推進した。

参加機関:10大学、8公的研究機関、38企業(うち中小企業24社)

研究開発会議等の開催:268回

特許等出願:23件

論文発表:24件

試作品作製・実証試験:6件

生産準備(製品設計・製造工程実装など):14件

実用化・製品化:9件

他のプロジェクトへの展開:3件

研究テーマ 研究リーダー 事業化リーダー

R1 高齢者が安心快適に生活できる

ロボティックスマートホーム

才籐 栄一(藤田医科

大学統括副学長)

菅 敬介

(トヨタ自動車㈱)

R2 介護医療コンシェルジュロボッ

トの研究開発

三枝 亮(神奈川工科

大学准教授)

富貴原 信

(新東工業㈱)

R3 航空エンジン製造自動化システ

ムに関する研究開発

梅崎 太造(名古屋工

業大学教授)

小池 一郎(㈱マクシスエ

ンジニアリング)

R4 施設園芸作物の収穫作業支援ロ

ボットの研究開発

三浦 純(豊橋技術科

学大学教授)

爪 光男(シンフォニアテ

クノロジー㈱)

R5 鳥獣害・災害対応ドローンに関す

る研究開発

橋口 宏衛

(大同大学講師)

加藤 善彦

(㈱プロドローン)

R6 愛知次世代ロボットの産業化・市

場創出を推進する要素技術開発

山田 陽滋

(名古屋大学教授)

佐藤 武

(㈱FUJI)

R7 ロボット実用化のためのリスク

アセスメント支援システム構築

山田 陽滋

(名古屋大学教授)

本山 景一(㈱エスクリエ

イト)

R8 眼球運動を指標としたドライバ

状態検知技術の実用化

平田 豊

(中部大学教授)

秋田 俊樹(㈱東海理化電

機製作所)

R9 交通事故低減のための安心安全

管理技術の開発

小栗 宏次

(愛知県立大学教授)

淺井 靖治(㈱キクテッ

ク)

③生産準備(製品設計・

製造工程j実装など)

④実用化・製品化

③生産準備(製品設計・

製造工程j実装など)

④実用化・製品化

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②近未来水素エネルギー社会形成技術開発プロジェクト(PE)

研究開発概要:知の拠点あいちの新エネルギー実証研究エリアなどを活用し、水素の

製造や利用等の基盤技術開発を行うとともに、近未来水素エネルギー

社会形成に資する技術開発を推進した。

参加機関:7大学、4公的研究機関、20企業(うち中小企業18社)

研究開発会議等の開催:203回

特許等出願:7件

論文発表:14件

試作品作製・実証試験:7件

生産準備(製品設計・製造工程実装など):1件

実用化・製品化:1件

他のプロジェクトへの展開:7件

研究テーマ 研究リーダー 事業化リーダー

E1 燃料電池フォークリフト用充填

装置と水素製造触媒装置の開発

田川 智彦(豊田工業

高等専門学校 校長)

國枝 洋尚

(㈱広島)

E2 高耐久性水素製造用改質触媒の

開発

下里 純也(伊藤忠セ

ラテック㈱)

髙橋 陽(伊藤忠セラテッ

ク㈱)

E3 メタン直接分解水素製造システ

ムの開発

中村 祐二(豊橋技術

科学大学 教授)

伊原 良碩

(㈱伊原工業)

E4

アルミ陽極酸化処理過程で発生

する副生水素の活用システム構

成田 吉徳

(中部大学 教授)

山田 邦博

(㈱アルマックス)

E5 水素社会形成に向けた、小型・高

効率燃料電池部材技術の開発

齋藤 永宏

(名古屋大学 教授)

橋本 剛(㈱名城ナノカー

ボン)

E6 水素炎を用いる加熱炉の開発

小林 敬幸

(名古屋大学 准教

授)

伊藤 猛史郎(伊藤レーシ

ングサービス㈱)

E7

省電力・高耐久ディスプレイの実

現に向けたマイクロ LED 実装研

天野 浩

(名古屋大学 教授)

牛田 泰久

(豊田合成㈱)

E8 深紫外280nm(UV-C) LEDの開発・

製品化

竹内 哲也

(名城大学 教授)

髙橋 祐次

(豊田合成㈱)

③モノづくりを支える先進材料・加工技術開発プロジェクト(PM)

研究開発概要:知の拠点あいちのシンクロトロン光センターを活用して、新材料開発

や地場産業の新展開を支援するとともに、モノづくりを支える先進材

料・加工に資する技術開発を推進した。

参加機関:9大学、2公的研究機関、43企業(うち中小企業31社)

研究開発会議等の開催:164回

特許等出願:18件

論文発表:24件

試作品作製・実証試験:5件

生産準備(製品設計・製造工程実装など):4件

実用化・製品化:11件

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29

研究テーマ 研究リーダー 事業化リーダー

M1 焼かずに作るセラミックスのシン

クロトロンによる解析と産業応用

藤 正督(名古屋工

業大学教授) 近藤 康雄(北川工業㈱)

M2 窯業競争力向上のためのセラミッ

クス焼成収縮・変形の解明

橋本 忍(名古屋工

業大学教授)

矢野 仁(合資会社マルワ

イ矢野製陶所)

M3 シンクロトロン光の清酒製造プロ

セスへの活用

山本 晃司(あいち

産業科学技術総合

センター)

榊原 康彰

(中埜酒造㈱)

M4 シンクロトロン次世代ナノ・マイ

クロ加工技術の開発

馬場 嘉信

(名古屋大学教授)

岡本 巌(㈱三琇プレシジ

ョン)

M5 デバイス実装用高熱伝導部材およ

びデバイス材料研削砥石の開発

宇治原 徹

(名古屋大学教授)

前田 孝浩

(㈱三幸)

M6 航空機製造工程の革新によるコス

ト低減と機体の軽量化・高性能化

社本 英二

(名古屋大学教授)

喜多野 聡

(三菱重工業㈱)

M7 自動車軽量化のための熱可塑性炭

素繊維強化樹脂の加工技術開発

守富 寛(岐阜大学

特任教授)

嘉藤 太造

(㈱名機製作所)

M8 セルロースナノファイバーを活用

した高機能複合材料開発と実用化

山本 勝宏(名古屋

工業大学准教授)

高田 じゆん

(東亞合成㈱)

M9 革新的金型製造技術の開発とその

産業応用

小橋 眞

(名古屋大学教授)

伊部 博之(㈱フジミイン

コーポレーテッド)

○研究成果の普及

プロジェクトの研究成果等を広く県民、研究者及び企業に普及させるため、大規模

展示会への出展、公開セミナーファイナルや最終成果発表会を開催した。

会議名 開催日 場所 主な内容

メッセナゴヤ2018 11月7日

~10日 ポートメッセなごや 試作品展示、パネル展示

公開

セミナー

ファイナル

PR 2月22日 あいち産業科学技術

総合センター

成果報告、試作品展示、パネル展示

【参加者:168名】

PE 2月21日 あいち産業科学技術

総合センター

成果報告、試作品展示、パネル展示

【参加者:125名】

PM 2月20日 あいち産業科学技術

総合センター

成果報告、試作品展示、パネル展示

【参加者:207名】

最終成果発表会 3月18日 あいち産業科学技術

総合センター

成果報告、試作品展示

【参加者:262名】

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(5)基盤技術高度化支援事業

経済産業省(中部経済産業局)の「戦略的基盤技術高度化支援事業」を活用し、モノ

づくり技術に資する中堅・中小企業と大学との共同研究に対し支援を行った。平成 30

年度は継続案件5件に加え、新たに採択された2件を実施した。

○研究概要及び活動状況

【平成28年度採択テーマ】

テ ー マ 名 手話の自動翻訳を実現させる高精度な動作検出と動作のパターンマ

ッチングの技術開発

総括研究代表者 ㈱ユニオンソフトウェアマネイジメント

代表取締役 青井 基行

研 究 共 同 体 ㈱ユニオンソフトウェアマネイジメント、名古屋工業大学

研 究 概 要

人のコミュニケーション手段は、音声や文字、手話などと様々で

あるが、手話の音声や文字へ自動翻訳は実用に耐えられるデバイス

がなく、開発が待たれている。本事業では、手話の自動翻訳デバイ

スを実現する、赤外線センサとカメラ画像を用いた高精度な動作検

出技術と、動作のパターンマッチングの技術開発に取り組む。

研究開発期間 平成28年度~30年度

・実施内容

1.精密3次元座標解析プログラムの開発

2.動作パターンの認識率80%以上の実現

・研究開発委員会の開催

開催日 開催場所

第1回 平成30年10月5日 愛知県産業労働センター

第2回 平成31年2月19日 愛知県産業労働センター

テ ー マ 名 航空機複合材構造用高強度・高弾性率隙間埋め材の開発

総括研究代表者 ㈱槌屋 執行役員 新製品開発センター長 林 宏明

研 究 共 同 体 ㈱槌屋、京都大学、立命館大学

研 究 概 要

航空機へ複合部材が適用されてきているが、金属部材に比べ寸法

公差が一桁以上大きいため、部材組上げの際に隙間埋め工程が必須

となる。現状、この工程は手作業が多く、非常に手間と時間が必要

となる。また、隙間埋め材の強度・弾性率が低いため、ボルト締結

数が削減できず、軽量化が困難である。そこで、ボルト締結数の削

減による軽量化、更に施工性改善による工程時間短縮化のために、

高強度・高弾性率の隙間埋め材を開発する。

研究開発期間 平成28年度~30年度

・実施内容

1.隙間埋め材の適正施工法確立及び施工法に適した隙間埋め材性状確立

2.隙間埋め材の工程時間短縮化の課題への対応

3.川下ニーズを踏まえた隙間埋め材の品質評価技術の確立への対応

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31

・研究開発委員会の開催

開催日 開催場所

第1回 平成30年10月30日 ㈱槌屋

第2回 平成31年 2月21日 ㈱槌屋

テ ー マ 名 単一の測定装置による熱電3物性値の同時計測可能な方法の開発

総括研究代表者 オザワ科学㈱ 技術本部 産業機器課課長 小川 清

研 究 共 同 体 オザワ科学㈱、名古屋大学、産業技術総合研究所

研 究 概 要

熱エネルギー高効率利用の観点から熱電発電技術が注目され

ているが、熱電変換材料の性能指数評価に必要となるゼーベック

係数、電気抵抗率、熱伝導率の熱電3物性とその温度依存性を同

時に高精度且つ迅速に計測できる技術がないため、性能評価に多

大な時間と労力を要していた。

そこで熱電3物性を同時に計測するための接触式マルチセン

シングプローブ(センサ)及び計測手法を新たに構築し、簡易迅

速、高精度かつ広い温度範囲で計測できる装置を開発する。

研 究 開 発 期 間 平成28年度~30年度

・実施内容

1.熱電物性同時計測システムの構築

・研究開発委員会の開催

開催日 開催場所

第1回 平成30年10月9日 オザワ科学㈱

第2回 平成31年2月22日 オザワ科学㈱

【平成29年度採択テーマ】

テ ー マ 名 自動車摺動部品の低摩擦化と生産性を両立する精密加工装置の開発

総括研究代表者 ㈱タマリ工業 レーザー事業部 理事 三瓶 和久

研 究 共 同 体 ㈱タマリ工業、名古屋工業大学、あいち産業科学技術総合センタ

研 究 概 要

自動車エンジンのシリンダボア摺動部の低摩擦損失化のため、

表面テクスチャリング加工への要望が非常に大きい。レーザによ

る微細加工技術が確立されつつあるが、加工時間が遅く量産への

適用ができない大きな課題がある。本研究開発ではフェムト秒レ

ーザの高速走査と同期制御により、量産適用可能な高速レーザテ

クスチャリング加工装置と加工技術を開発する。事業化を図るこ

とでエンジン効率向上、CO2排出量削減に貢献する。

研 究 開 発 期 間 平成29年度~31年度

・実施内容

1.高速レーザテクスチャリング精密加工装置の開発 2.高速レーザテクスチャリング加工技術の開発

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32

・研究開発委員会の開催

開催日 開催場所

第1回 平成30年7月25日 産業技術センター

第2回 平成30年12月12日 名古屋工業大学

テ ー マ 名 大型薄肉ダイカスト金型向けナノカーボン表面処理技術の開発

総括研究代表者 ㈱メックインターナショナル

シニアアドバイザー 柴田 勉

研 究 共 同 体 ㈱メックインターナショナル、岐阜大学、あいち産業科学技術総

合センター

研 究 概 要

㈱メックインターナショナルが世界で初めて開発したナノカ

ーボン表面処理(CC処理)アルミダイカスト金型は、従来技術に

比べ複雑形状賦形性が高く、自動車のエンジン等ダイカストで高

品質・不良低減に高く貢献している。今日、自動車の更なる軽量

化を目指し、ボディ等の大型部材のアルミ化が志向され、より複

雑で大きな製品を鋳造できるCC処理技術開発は喫緊の課題であ

る。本開発により高い意匠性を持つ自動車や家電製品のダイカス

ト化を加速させる。

研 究 開 発 期 間 平成29年度~31年度

・実施内容

1.表面活性化技術の開発

2.実金型での鋳造評価

・研究開発委員会の開催

開催日 開催場所

第1回 平成30年9月13日 ㈱メックインターナショナル

第2回 平成30年11月26日 あいち産業科学技術総合センター

【平成30年度採択テーマ】

テ ー マ 名 鍛造による管の増肉・軸成形技術の確立とそれを活用した高機

能・高圧配管締結技術である溶接レス「MKジョイント」の開発

総括研究代表者 新郊パイプ工業㈱

コーポレート戦略ものづくり本部R&D 係長 森 雄次郎

研 究 共 同 体 新郊パイプ工業㈱、名古屋工業大学

研 究 概 要

産業車両に使用される配管の締結は、溶接によるネジ・ナット

などでされているが、配管の内部は液体・気体が通ることから、

締結部分からの漏れがなく、かつ劣悪環境に対応した高強度化が

求められている。この要望に対し、従来技術では困難であった管

端末の鍛造による増肉・軸成形を施し、管を強力に締結する高圧

配管締結技術である溶接レス「MKジョイント」を完成させるこ

とで、漏れが無く高強度となる高機能高圧配管を開発する。

研 究 開 発 期 間 平成30年度~32年度

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33

・実施内容

1.鍛造加工法の研究

2.製造プロセス課題への対応

・研究開発委員会の開催

開催日 開催場所

第1回 平成30年9月10日 名古屋工業大学

第2回 平成30年11月30日 新郊パイプ工業㈱

テ ー マ 名 離型剤の効率的塗布可能なポーラス形状部を金属3Dプリンタ

で実現する高生産性・長寿命ダイカスト金型の開発

総括研究代表者 七宝金型工業㈱ 製造部 技術戦略室室長 林 信久

研 究 共 同 体 七宝金型工業㈱、金沢大学、岐阜大学

研 究 概 要

金属3Dプリンタで、従来不可能であったポーラス形状やラテ

ィス構造を金型に組み込み、現在スプレーで塗布されている離型

剤を金型内部から染み出させ、製品不良を起こす「焼き付き」を

防止するとともに、離型剤の消費量を削減し、鋳造サイクル時間

を短縮化することにより、川下企業である自動車部品メーカーの

コストダウンを可能にする。また、冷却配管を金型形状に沿って

配置し、金型の長寿命を実現する。

研 究 開 発 期 間 平成30年度~32年度

・実施内容

1.ポーラス形状部の気孔制御課題への対応

2.造形品自体の強度向上課題への対応

3.ポーラス形状部あるいは微小管を含んだ新しい金型の使用方法課題への対応

4.3Dプリンタで製作された金型の解析に関わる研究課題への対応

・研究開発委員会の開催

開催日 開催場所

第1回 平成30年9月12日 安保ホール

第2回 平成30年12月6日 安保ホール

Page 36: 平成30年度 ¦業報告 - astf.or.jpº‹業報告.pdf · ・講演2:「ディープラーニングを応用した 3次元超音波画像診断装置の開発」 名古屋工業大学

34

(6)事業化促進支援事業 中堅・中小企業向け事業化促進の支援のため、事業化を目指す企業の取組について、

科学技術コーディネータが中心となり、大学や各種研究機関と多面的に連携し総合的な

支援を実施した。

中堅・中小企業のモノづくりのIoT/AIの活用に関する活動について、各事業の中で

支援を行った。

また、平成29年度で終了したスーパークラスター推進事業に関して、目標未達テーマ

のその後の達成状況や、成果の社会実装状況をフォローするとともに、コア・サテライ

トの自治体とも協力して社会実装を支援するため、スーパークラスター推進事業のフォ

ローアップを実施した。これらに加え、経済産業省(中部経済産業局)の委託事業であ

る「地域中核企業創出・支援事業」を実施した。

事業名 内容

研究交流クラ

ブ事業

実施日:平成30年7月17日 参加者数:71名

場 所:名古屋銀行協会

【講演会】モノづくり研究開発へのAI活用

・講演1:「AI技術を活用した新素材合成プロセスの高速最適化と可視化」

名古屋大学未来材料・システム研究所 教授 宇治原 徹 氏

・講演2:「ディープラーニングを応用した3次元超音波画像診断装置の開発」

名古屋工業大学大学院 工学研究科 教授 本谷 秀堅 氏 実施日:平成30年8月21日 参加者数:34名

【見学会】ソフトピアジャパンと岐阜県のIoT先進工場

・「公益財団法人ソフトピアジャパン」

・「㈱イマオコーポレーション 美濃第1工場」

実施日:平成30年12月20日 参加者数:56名

場 所:名古屋銀行協会

【講演会】モノづくり研究開発へのAI活用(第2弾)

・講演1:「マテリアルズ・インフォマティクスによる蓄電池材料の探索」

名古屋工業大学 生命・応用化学専攻 教授 中山 将伸 氏

・講演2:「インフォマティクスを利用したタイヤとゴム材料の開発」

横浜ゴム㈱ 理事 研究本部 小石研究室 研究室長 小石 正隆 氏

実施日:平成31年1月30日 参加者数:125名

場 所:愛知県信用保証協会

【講演会】中小・小規模企業のためのIT・IoTセミナー

・基調講演:「IT・IoTを活用して経営課題を解決しよう! ~DX(デジタ

ル・トランスフォーメーション)を成長のチャンスにする~」

特定非営利活動法人ITコーディネータ協会 理事

特定非営利活動法人ITC中部 副理事長

㈱ARU 代表取締役 水口 和美 氏

【平成30年度のIoT/AI活動支援(再掲)】

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・事例紹介1:「1時間で始めるSmart Factry」

I Smart Technologies㈱ 執行役員 黒川 龍二 氏

・事例紹介2:「ヘルスケアIoTを起点にしたスマート保育園構想」

ユニファ㈱ 代表取締役社長 土岐 泰之 氏

・支援施策・取組の紹介

研究会事業

・AIとコレクティブインテリジェンス研究会(平成29~30年度)

座長:名古屋工業大学 伊藤 孝行 教授

・設計・製造技術の向上に向けた高精度CAEのための先端実験技術

研究会(平成29~30年度)

座長:名古屋工業大学 西田 政弘 教授

技術普及推進

事業

・製造・開発現場への人工知能・機械学習応用技術研究会 参加者:58名

ものづくり現場における試行や実使用に役立てもらうことを目的とし

た人工知能や機械学習についての分野別研究会。 ① 平成30年10月17日開催

② 平成30年11月29日開催

③ 平成31年 1月16日開催

・製造・開発現場におけるAI活用講座 参加者:17名

人工知能を用いて業務改革するためのデータ活用に必要な知識や実用

技術についての分野別研究会。

① 平成31年2月26日開催

科学技術コーデ

ィネート事業

・競争的資金の獲得支援

①ものづくり補助金(3件)

②新あいち補助金(4件)

③下請け中小企業・小規模事業者自立化支援対策費補助金(1件)

企業連携技術

開発支援事業

・技術伝承に向けたIoTによる自社技術の見える化技術の開発

実施企業:ユーアイ精機㈱

協力企業:㈱アイリンク

・特定医療分野(皮膚科光線療法)におけるAI議論支援システムの試作

実施企業:TMKメディカル㈱

協力企業:ARCHES㈱

基盤技術高度

化支援事業

・手話の自動翻訳を実現させる高精度な動作検出と動作のパターンマッチン

グの技術開発(平成28~30年度)

手話の自動翻訳デバイスを実現する、赤外線センサとカメラを用いた高

精度な動作検出技術と、動作パターンマッチングの技術開発に取り組む。

総括研究代表者:㈱ユニオンソフトウェアマネイジメント

代表取締役 青井 基行

研究共同体:㈱ユニオンソフトウェアマネイジメント、

名古屋工業大学

研究交流クラ

ブ事業

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○スーパークラスター推進事業のフォローアップ

・スーパークラスター推進事業について

平成25年12月から国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の委託を受けたスーパ

ークラスター事業は、平成30年3月末に終了した。当財団を中核機関として大学等研究

機関や企業、長野・福井・山口のサテライトクラスターと共同研究契約等を締結し、高

度な省エネルギー社会の実現に向け、「パワーデバイス用半導体」、「ナノマテリアル」を

柱に研究開発を進めた結果、研究成果を基にサンプル出荷や商品化がなされるなど、社

会実装につながる成果を挙げることができた。

・事業終了後のフォローアップ

目標未達テーマのその後の達成状況や、成果の社会実装状況をフォローするとともに、

コア・サテライトの自治体とも協力して社会実装を支援して行くことを目的として、当

財団を事務局としたスーパークラスター成果継承推進会議を発足させたほか、当財団の

職員がGaN結晶国際標準化委員会の委員としてGaN結晶欠陥の分類項目・方法の国際標

準開発を進めるなど、スーパークラスター推進事業終了後のフォローアップを行った。

① スーパークラスター成果継承推進会議の開催

座長:元スーパークラスタープログラム代表研究統括 宮田隆司名大名誉教授

【第1回会議(キックオフ会議)】

開催日時:平成30年5月28日

開催場所:愛知県産業労働センター(ウインクあいち)

参加機関:科学技術振興機構、愛知県、名古屋市、科学技術交流財団、長野県、長

野県テクノ財団、福井県、ふくい産業支援センター、山口県、山口県産

業技術センター、名古屋大学

概 要:事務局から、スーパークラスターの成果の説明及び今後の成果管理実施

内容と社会実装推進業務に関する具体的取組内容について説明した。各

サテライトからも、今後の運営体制、社会実装抜向けての支援施策など

の説明があった。JST 野口部長からは、スーパークラスターのネットワ

ークを活かして地域間連携を今後も維持して、機会があれば再度連携し

て各種事業へ提案いただきたいとの話があった。

【第2回会議】

開催日時:平成31年3月27日

開催場所:安保ホール

参加機関:科学技術振興機構、愛知県、名古屋市、科学技術交流財団、長野県、長

野県テクノ財団、福井県、ふくい産業支援センター、山口県、山口県産

業技術センター、㈱FUJI

概 要:事業終了後 1年間での、未達だった技術目標の達成状況、社会実装状況

を調査の上、コア・サテライトから報告した。社会実装としては、大気

圧プラズマの装置が㈱FUJIから商品化されたこと、実用化として、サイ

オクスからGaN/Siウェハのサンプル出荷などがあること、企業化として

AlN ウィスカを製造する U-MAP がベンチャーとして発足したことなどを

報告した。

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② GaN結晶国際標準化委員会について

スーパークラスターの成果を基にGaN結晶欠陥評価法を国際標準化することが、経

済産業省の平成30年度「省エネルギー等国際標準開発」事業に採択され、3年間の予

定で進められている。JFCCの石川由加里グループ長が実質的なリーダーとなって、本

委員会(委員長:金沢工大上田修教授)、2つのワーキンググループ(WG1:山口大只友

一行教授、WG2:JFCC石川グループ長)を組織し、スーパークラスター参画の研究者及

び関係企業にも委員として多数参加していただき活動している。

スーパークラスター推進事業に従事していた当財団の職員も委員として参加し、平

成30年度は、結晶転位の検出装置、方法についてのラウンドロビンテストを行って、

課題抽出を行った。来年度以降は国際標準に向けて他国との意見交換・調整と活動を

拡げることとなっている。

○地域中核企業創出・支援事業

中部経済産業局の委託事業である、「平成30年度地域中核企業創出・支援事業~窒化ガリ

ウム等次世代半導体の社会実装加速に向けた中間・後工程に係る高度な技術を有する企業群

の拡大支援事業~」を受託した。名古屋工業大学の江龍副学長をプロジェクトリーダーとし、

名古屋大学、名古屋工業大学、名城大学と中核企業6社の産学行政の構成員で活動を行った。

・事業目標

①出口指向・新たな連携への展開支援として、中核企業のニーズをくみ取ったクローズ

ドセミナーの開催

②先導的なプロジェクトの組成

③次世代半導体実用化に関心を示す新規参入者の裾野拡大

・事業成果

①のセミクローズセミナーでは、GaN 基板の研磨・表面加工にテーマを絞り、参画企業

との情報共有を図るとともに、②のプロジェクト組成に関わる取組を行った。また、名城

大学も大学のシーズ(青色 LED技術関連)を活かし、企業との共同研究のマッチングを 7

件行うことができた。

③の新規参入の裾野拡大では、「GaNのロードマップから先端実装技術まで」と「第5世

代移動通信」に関するセミナーを開催した。いずれも好評で多くの参加があり、裾野の拡

大を図ることができた。

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(7)地域イノベーション・エコシステム形成事業

平成30年9月に文部科学省「地域イノベーション・エコシステム形成プログラム」の

採択を受け、「あいち次世代自動車イノベーション・エコシステム形成事業~100年に 1

度の自動車変革期を支える革新的金型加工技術の創出~」のマネジメントを行う事業プ

ロデュースチームを整備し、事業運営、研究開発マネジメント、事業化支援(市場分析、

知財戦略策定等)を実施した。

平成30年度は、事業運営として、参画機関・企業等で構成される運営開発会議(計4

回)及び総会を開催した。

また、事業化支援として、市場技術動向調査及び特許技術動向調査等を実施した。

【事業概要】

テーマ名 あいち次世代自動車イノベーション・エコシステム形成事業

~100年に1度の自動車変革期を支える革新的金型加工技術の創出~

事業期間 5年間:平成30年(2018)9月~平成35年(2023年)3月

概要 ・加工技術に関する3つのコア技術を統合・深化させ、微細・超精密な革新

的金型加工技術を創出する。

コア技術①:アトム窒化技術

コア技術②:超音波楕円振動切削技術

コア技術③:レーザによる工具刃先鋭利化技術

・革新的金型加工技術により、次世代の精密金型・精密製品(次世代 ADAS

製品、次世代精密製品 等)の実現・事業化を目指す。

・次世代製品の実現・事業化により、愛知地域発のイノベーション・エコシ

ステムを構築する。

体制 <事業プロデュースチーム(事務局:科学技術交流財団)>

・土屋 総二郎(科学技術交流財団 事業プロデューサー)

・石原 正史(科学技術交流財団 地域イノベーション・エコシステム統括部長)

・社本 英二(名古屋大学 教授)

・糸魚川 文広(名古屋工業大学 教授)

・鷹取 一雅(科学技術交流財団 コーディネータ)

・愛知県 担当者

・科学技術交流財団 担当者

<参画機関(6機関)>

名古屋大学、名古屋工業大学、(一社)日本金型工業会

愛知県プラスチック成形工業組合、愛知県、(公財)科学技術交流財団

<参画企業(11社)>

オーエスジー㈱、㈱三琇ファインツール、㈲菅造型工業、大同特殊鋼㈱、

多賀電気㈱、㈱デンソー、トヨタ自動車㈱、㈱ナガセインテグレックス、

㈱ニデック、㈱プラズマ総合研究所、村田機械㈱

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【会議開催状況】

会議 参加者 実施日 内容

運営

開発

会議

事業プロデュースチーム

企業担当者

9月28日 キックオフ

10月31日 市場調査、特許調査、年度計画の承認

12月11日

市場調査、特許調査の開始報告

年度計画の審議と承認

2月28日

市場調査中間報告

研究進捗報告

ワーキンググループ発足

研究開発管理、知財管理要領の審議と承認

総会 事業プロデュースチーム

企業代表者

3月26日 事業報告、来年度事業計画

市場調査結果報告

【市場技術動向調査の実施内容】

調査目的

・金型産業及び精密加工技術等の現状・課題分析

・本プロジェクトの研究成果の展開可能性調査

・企業ヒアリングによるニーズ調査

・事業化戦略検討の基礎資料作成

調査項目 ①金型産業の現状と課題の把握・分析

・国内金型産業の基礎データ ・金型事業者データ

②革新的金型加工技術に関する技術動向調査

・精密金型加工技術及び精密部品加工技術の動向

・革新的金型加工技術のニーズ調査 ・展開分野の市場規模

③革新的加工技術に関する適用可能性調査

・コア技術のニーズ調査 ・金型加工以外の用途可能性調査

セミナー 「革新的切削加工技術セミナー」開催

開催日:1月15日 参加者数:56名

内容:コア技術の紹介、アンケート等による企業ニーズ調査

【特許動向調査の実施内容】

調査目的

・競合技術及びその周辺技術の特許調査

・侵害特許調査(研究開発及び将来の事業化の障害となり得る第三者特許

の状況把握)

・知的財産戦略検討の基礎資料作成

調査項目 ①窒化層のダイヤモンド切削技術

②金型の超微細表面加工技術

③ダイヤモンドコーティング工具の剥離防止技術

④ガラス素子用の金型材料・金型加工技術

⑤高精度刃先成形技術

⑥レーザによる高精度加工を実現するための工作機械の設計

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公3 教育研修事業

○技術経営(MOT)研修事業

主に地域の中小企業に対し、技術と経営の双方の専門知識を理解し、研究開発の成果

を効率的に新事業・新製品に結実させることができる人材を育成するため、技術経営(M

OT)の普及を目的としたMOTの概要を学ぶ「基礎コース」と、顧客ニーズを技術に

繋げるMOTマーケティングの手法取得を目的として演習やグループディスカッション

を行う「実践コース」の2コースの研修を実施した。

【基礎コース】

開催日 平成30年7月6日、19日、8月2日の3日間

開催場所 名古屋商工会議所ビル

参加者数 56名

研修内容

及び講師

技術者・経営者のための最新MOT(技術経営)の考え方

~ 新規事業を成功させる基礎と実践の方法論と事例紹介~

㈱テクノ・インテグレーション 代表取締役 出川 通 氏

ベンチャー企業に学ぶ新規事業創出 ~ファイナンス戦略の視点から~

セレンディップ・コンサルティング㈱ 代表取締役 髙村 徳康 氏

新規事業の創出 ~富士フイルム第二の創業と化粧品事業の立ち上げ~

富士フイルム㈱ イノベーションアーキテクト 中村 善貞 氏

イノベーションマネジメント ~柔軟な修正が実現性を高める~

日本ガイシ㈱ 取締役

元 名古屋工業大学大学院 教授 浜田 恵美子 氏

イノベーションと経営戦略

名古屋大学大学院 経済学研究科 教授 山田 基成 氏

【実践コース】

開催日 平成30年9月12日、13日の2日間

開催場所 愛知県産業労働センター(ウインクあいち)

参加者数 15名

研修内容

及び講師

① マーケティングのためのMOT基礎知識

② マーケットの区分けとしてのライフサイクルとキャズム超え

③ 顧客と対話して隠れたニーズを探りベネフィット展開へ

④ 見えないマーケットの推定と定量化でのフェルミ推定の活用

⑤ 研究開発・新事業テーマのためのMOTマーケティング

(②~⑤は、演習&グループ議論)

㈱テクノ・インテグレーション 代表取締役 出川 通 氏

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公4 情報提供事業

○情報誌の発行及びホームページへの情報掲載事業

(1)情報誌の発行

あいちシンクロトロン光センターを始めとする各事業の活動状況や、共同研究等の研

究開発成果、研究交流クラブの開催報告等の情報を提供する情報誌「科学技術交流ニュ

ース」を発行した。発行部数は各1,500部で、主に研究交流クラブ会員、学協会、関係

機関等に配付している。

発行月 平成30年7月(夏季号) 通巻第79号

掲載内容

・発見!地域の小さな巨人企業(KTX㈱)

・平成30年度の事業計画

・愛知地域スーパークラスタープログラム5年間の成果

・あいちシンクロトロン光センター(BL8S1によるコンビナトリアルケミストリ

ー合成試料の高速XRD測定)

・重点研究プロジェクト(Ⅱ期)

・平成30年度新設研究会

・わかしゃち奨励賞

発行月 平成30年11月(冬季号) 通巻第80号

掲載内容

・発見!地域の小さな巨人企業(フルハシEPO㈱)

・あいちシンクロトロン光センター(シンクロトロン光を利用した化粧品開発)

・重点研究プロジェクト(Ⅱ期)

・育成試験

①止血クリップ等の手術器具に用いる形状記憶合金材料試作と特性試験研究

②炭素繊維複合材料(CFRP)を用いた鍛造型の製作

・企業連携

①新規コーティング材を用いた溶融アルミニウム用高耐食性鋳鉄ラドルの試作

②寒冷地や酷暑地でも施工可能なコンクリート保護剤の試作(社会インフラ

構造物の長寿命化)

③炭素繊維複合材料を中心とした樹脂製異形パイプの製作工法の確立と製作

治具の試作

・研究交流クラブ第186回・第187回定例会(講演要旨)

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発行月 平成31年3月(春季号) 通巻第81号

掲載内容

・発見!愛知の小さな巨人企業(新郊窯業㈱)

・研究交流クラブ第188回定例会(講演要旨)

・あいちシンクロトロン光センター(軟X線XAFS・光電子分光Ⅰ、Ⅱ(BL6N1、

BL1N2)ビームラインの最新状況)

・戦略的基盤技術高度化支援事業

①車載センサー向け高性能コーティング膜 製造用スパッタ装置の開発

②竹の流動成形による高音質な薄肉・複雑形状スピーカー振動版の実用化

・共同研究

①金属イオン依存性リガンド結合分子を用いたインフルエンザウイルス濃縮

デバイスの開発

②H型プローブ方式による安価で簡便な健診向け 3次元超音波画像診断装置

の開発

・IoT・AI活用事例紹介(㈱アペックス、中日本炉工業㈱)

・技術経営(MOT)研修

・あいち次世代自動車イノベーション・エコシステム形成事業

(2)ホームページへの情報掲載

科学技術情報をインターネットにより発信した。

発信の内容 ・財団の概要

・愛知県の科学技術振興施策

・財団の活動状況

・科学技術関連の催事情報

・金融助成制度案内 等

利用状況 訪問数 40,533件、延べアクセス数 116,678件

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公5 あいちシンクロトロン光センター運営事業

あいちシンクロトロン光センターの運営・管理を行い、企業、大学等を始めとしたユーザ

ーの利用に供するとともに、産業利用コーディネータやビームライン技術者等による技術指

導、解析支援等を実施することで、企業、大学等の課題解決及び研究開発の高度化支援を行

った。

(1)あいちシンクロトロン光センターの運営状況

ア 利用状況

・全11ビームラインの利用シフト数:1,925シフト

・測定代行時間数:340時間

・利用者数:67企業、48大学・公的研究機関

【年度別利用シフト数(シンクロ全ビームライン)】

【年度別測定代行利用時間数】

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イ 運営事業の取組

成果公開を条件とした課題提案方式による成果公開無償利用制度や利便性の向上を目的

とした測定代行制度を引き続き実施するとともに、活用事例の抽出、成果公開の情報発信

を行い、企業等ユーザーの新規開拓に努めた。

【平成30年度の成果公開無償利用事業採択課題一覧(14テーマ)】

テーマ名 企業・大学名

様々な反応場中での酸化物合成と元素の価数・配位環境の変化

(蛍光材料)

豊橋技術科学大学

フルテック㈱

特異的アルカリ金属塩化物が起こすリゾチームの結晶化

-時間分割X線小角散乱法による機構検証-(医薬品・食品)

産業技術総合研究所

丸和栄養食品㈱

ヨウ素法による銅鉱石からの銅浸出過程における硫黄分挙動の

軟X線XAFS解析(金属材料)

早稲田大学

JX金属㈱

ハイスループット技術と機械学習を活用した機能性材料探索

(電子材料)

東京理科大学

㈱デンソー

XAFSおよびUPSによるスズ・スズ合金電極表面における熱酸化

膜の電子状態解明(電子材料) ㈱デンソー

マッピングXAFSによる反応分布可視化と車載用Ni-MH電池開発

への応用(二次電池)

プライムアース

EVエナジー㈱

X線吸収分光による炭素鋼の炭素拡散挙動に関する研究(金属

材料) 新日鐵住金㈱

「瀬戸染付と西アジア青色顔料の発色原因物質の解明と新規顔

料開発」

-コバルト・ニッケル・銅の窯業顔料研究-(窯業)

愛知県立芸術大学

㈱池垣化学工業所

樹脂材料のX線応力ひずみ計測(樹脂材料) ㈱豊田中央研究所

X線散乱を用いた皮膚真皮構造評価系の開発(化粧品・食品) 日本メナード化粧品㈱

小角X線散乱を用いたバラシロップの色素安定性評価(食品) 岐阜大学

ココノエフーズ㈱

XAFS及びSAXによる錯体構造評価を利用した、MA回収用抽出剤

構造の最適化(原子力廃棄物処理)

日本原子力研究開発機構

㈱ケミクレア

液体油との組み合わせにおけるトリアシルグリセロールの

結晶化挙動:液体油の組成が与える影響(食品) 不二製油グループ本社㈱

鉄リン酸塩ガラスの廃棄物固化への適用性評価のためのXAFS及

びX線回折実験(原子力廃棄物処理)

日本原子力研究開発機構

セントラル硝子㈱

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(2)利用促進活動等

施設の利用促進を目的とし、愛知県、大学連合、経済団体や他の放射光施設等と連携し、

セミナーやシンクロトロン光に係る利用者研究会を開催したほか、展示会に出展するなど

施設の積極的なPRを行った。

また、センター運営事業の具体的な企画立案及び効果的な運営を図ることを目的とする

運営委員会を開催し、運営課題と改善への取組等について検討を行ったほか、実験装置(光

源及びビームライン)の円滑な運転のため、技術者、研究者を中心とした会議を定期的に

開催し、実験装置の運転状況や諸課題についての検討を行った。

【セミナーの実施】

名称 第1回シンクロトロン光産業利用セミナー

主催 公益財団法人科学技術交流財団、立命館大学

実施日 平成30年10月1日 場所 愛知県産業労働センター

内容

【立命館大学SRセンター事例紹介】

・立命館大学SRセンター軟X線ビームラインの現状

・オペランド軟X線XAFSによる二次電池の反応解析

【あいちシンクロトロン光センター事例紹介】

・あいちSR BL7Uにおける軽元素XAFS

・あいちSR BL1N2の紹介

・あいちSR BL6N1の現状

【個別利用相談】

企業等 6件

参加者数 47名

名称 第2回シンクロトロン光産業利用セミナー

主催 公益財団法人科学技術交流財団

実施日 平成31年1月28日 場所 愛知県産業労働センター

内容

【高輝度光科学研究センター事例紹介】

・薄膜X線回折・散乱技術入門とSPring-8での事例紹介

【あいちシンクロトロン光センター事例紹介】

・BL8S1:ビームラインの紹介と測定事例

・BL8S3:小角・広角X線散乱測定の紹介

【名古屋工業大学事例紹介】

・小角X線散乱技術入門とソフトマテリアルの構造解析実施例

【名古屋大学事例紹介】

・斜入射測定を利用した導電性高分子膜の深さ方向解析

【個別利用相談】

企業等 10件

参加者数 55名

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名称 第7回あいちシンクロトロン光センター事業成果発表会

主催 公益財団法人科学技術交流財団、愛知県

実施日 平成31年3月5日 場所 愛知芸術文化センター

内容

【講演】 ・未来に向けたクルマのトレンドと課題

トヨタ自動車㈱

【2018年度成果公開無償利用課題成果発表】 ・X線散乱を用いた皮膚真皮構造の評価

日本メナード化粧品㈱ ・様々な反応場中での新規蛍光体酸化物合成と元素の価数・配位環境の変化

豊橋技術科学大学 ・瀬戸染付成立について-瀬戸・肥前呉須顔料の比較研究 愛知県立芸術大学 【光ビームプラットホーム施設連携成果発表】 ・硬X線光電子分光法におけるデータベースの開発-施設間連携による取り組み- 高輝度光科学研究センター ・小角散乱における施設横断測定の検討 あいちシンクロトロン光センター 【あいち産業科学技術総合センター成果発表】 ・ハロゲンフリーPt化合物を用いた触媒材料のシンクロトロン光分析 あいち産業科学技術総合センター ・メタン直接分解触媒のシンクロトロン光分析

あいち産業科学技術総合センター 【ポスター発表】 ・国立研究開発法人産業技術総合研究所、㈱丸和栄養食品始め20件

参加者数 136名

【シンクロトロン光利用者研究会】

主 催 愛知県、大学連合、公益財団法人科学技術交流財団

内 容 シンクロトロン光の利活用事例の紹介、施設の装置を活用した実地研修、

解析実習など

入門講習会

(10/15、16)

【シンクロトロン光計測入門講習会】

・XAFS入門

・解析ソフトAthenaの使い方

・AichiSRの手引き

・ビームラインの見学と紹介

・測定・解析実習

25名

解析講習会

(12/10)

【EXAFS解析講習会】

・EXAFS入門

・解析ソフトAthenaの使い方

・解析ソフトArtemisの使い方

19名

実地研修

(6/8~3/7の間に全13回)

実験計画、サンプル準備実習、測定実習、

データ処理・解析実習、試し測定等をレ

ベル別に実施

各回合計

29名

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【展示会への出展の概要】

目的 あいちシンクロトロン光センターの認知度の向上

展示会内容

日程 展示会名 開催場所

7/11~12 ものづくり岡崎フェア2018 岡崎中央総合公園

総合体育館

9/4~7 JASIS2018

(旧 分析展/科学機器展) 幕張メッセ

9/13 第14回中部大学フェア 中部大キャンパス内

10/20 テクノフェア・名大2018 名大キャンパス内

11/7~10 メッセナゴヤ2018 ポートメッセなごや

(3)光ビームプラットフォーム事業の実施

全国8か所の放射光施設等が連携実施する光ビームプラットフォーム事業(文部科学省)

において、各施設で標準化可能な技術・試料条件等を整理するとともに、他施設でも課題解

決を希望するユーザーに技術研究員が同行し、一貫した支援を実施した。また、成果公開事

例の精査分析とデータベース化及び検索システムの整備等を実施した。

・ラウンドロビン実験 7件(平成29年度14件)

・他施設での支援 1件(平成29年度4件)

・シンポジウムの開催

平成31年3月 1日(金)秋葉原UDX 4 階 Gallery

<検索システムの概要>

対象施設:高エネルギー加速器研究機構(施設名:PHOTON FACTORY)

佐賀県立シンクロトロン光研究センター

(施設名:SAGA Light Source)

高輝度光科学研究センター(施設名:SPring-8)

兵庫県立大学(施設名:New SUBARU)

大阪大学(施設名:レーザー科学研究所)

立命館大学(施設名:SRセンター)

科学技術交流財団(施設名:あいちシンクロトロン光センター)

東京理科大学(施設名:赤外自由電子レーザー研究センター)

内 容:各施設における成果公開事例(2,231件)のキーワード検索が可能

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総合企画活動等

理事会、評議員会、企画運営委員会、中小企業企画委員会及びあいちシンクロトロン光セ

ンター運営委員会を開催した。 (1)定例理事会

第 1 回

開 催 日 平成30年5月22日

開催場所 あいち産業科学技術総合センター

議 題 会長の選定について

平成29年度事業報告及び収支決算について 他

第 2 回

開 催 日 平成31年3月22日

開催場所 あいち産業科学技術総合センター

議 題 平成31年度事業計画及び収支予算について

諸規程の改正について 他 (2)評議員会

定 時

開 催 日 平成30年6月28日

開催場所 あいち産業科学技術総合センター

議 題 平成29年度事業報告及び収支決算について

理事の選任について (3)企画運営委員会

第1回

開 催 日 平成30年5月11日

開催場所 アイリス愛知

議 題

平成29年度事業報告

平成31年度研究会事業および共同研究推進事業の見直しに

ついて(案)

第2回

開 催 日 平成30年12月12日

開催場所 アイリス愛知

議 題 研究会事業及び共同研究推進事業の進め方について

第3回

開 催 日 平成31年3月15日

開催場所 アイリス愛知

議 題 平成31年度事業計画(案)

(4)中小企業企画委員会

第1回

開 催 日 平成30年5月17日

開催場所 安保ホール

議 題 平成29年度事業報告について

第2回

開 催 日 平成31年3月19日

開催場所 今池ガスビル

議 題 平成31年度事業計画について

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(5)あいちシンクロトロン光センター運営委員会

第1回

開 催 日 平成30年7月12日

開催場所 あいち産業科学技術総合センター

議 題 平成29年度事業報告について

平成30年度の取組状況について

第2回

開 催 日 平成31年2月28日

開催場所 あいち産業科学技術総合センター

議 題 センターの利用状況、取組状況について

平成31年度の年間運営計画(案)について