平成28年11月 長 野 市 - nagano · 2020-06-01 ·...

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平成 28 年 11 月 写真提供:特定非営利法人日本ジビエ振興協議会 (マルカッサン(仔イノシシ)骨付きロースのロティ パースニップを包んだパイアッソン添え)

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Page 1: 平成28年11月 長 野 市 - Nagano · 2020-06-01 · として有効活用するジビエ振興を行う」とされています。 なお、平成28年度中に、ジビエ振興計画を踏まえ、次期計画を策定する予定です。

平成28年 11月

長 野 市

写真提供:特定非営利法人日本ジビエ振興協議会

(マルカッサン(仔イノシシ)骨付きロースのロティ パースニップを包んだパイアッソン添え)

Page 2: 平成28年11月 長 野 市 - Nagano · 2020-06-01 · として有効活用するジビエ振興を行う」とされています。 なお、平成28年度中に、ジビエ振興計画を踏まえ、次期計画を策定する予定です。

目次

第1章 農業被害軽減とジビエ活用に向けて

1 計画策定の趣旨 ・・・・・・・・・・1

2 計画の位置付け ・・・・・・・・・・2

3 長野市の有害鳥獣による農業被害等の現状と課題 ・・・・・・・4

4 基本理念と基本方針について ・・・・・・・・・・11

第2章 適正な個体数調整による農業被害軽減の推進

1 捕獲数目標の設定と農業被害額軽減目標の設定・・・・・・・・・14

2 猟友会組織との連携 ・・・・・・・・・・15

第3章 ジビエ肉処理加工施設等の整備推進

1 既存施設の問題点と新たな施設の必要性・事業手法等・・・・・・17

2 ジビエ肉処理加工施設の整備推進の方向性について ・・・・・・20

3 処理加工目標等について ・・・・・・・・・22

4 施設建設について ・・・・・・・・・・23

5 移動式解体処理車を活用した良質なジビエ肉の供給について・・・27

6 施設整備費等 ・・・・・・・・・・28

第4章 新たな地域資源による中山間地域活性化の推進

1 ジビエ肉の戦略的な活用 ・・・・・・・・29

2 住民自治協議会との連携と6次産業化の推進 ・・・・・・・・30

3 6次産業化の取り組みイメージ ・・・・・・・・・・31

第5章 スケジュール

・・・・・・・・・・32

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第1章 農業被害軽減とジビエ活用に向けて

1

1 計画策定の趣旨

本市では、中山間地域が市域の74.3%の面積を占め、豊かな森林地帯を形成し、恵まれた

自然が形成する良好な景観を提供しています。

また、中山間地域は農業生産の場でもありますが、同時に、イノシシやニホンジカといっ

た野生鳥獣が数多く生息しております。

かつては、人と野生鳥獣の生息域との棲み分けがなされていましたが、近年、人の生息域

に野生鳥獣が数多く出現し、イノシシやニホンジカなどの野生鳥獣による農業被害が深刻化

しています。

これら有害鳥獣による被害は全国的に高水準で推移しており、本市においても各種の対策

を行っていますが、その被害は深刻な状況にあります。

被害の減少につながらない背景には、地球温暖化や気候の変化によって動物たちの生態が

変わり生息数や生息域が拡大していること、狩猟者数が減少していること、農業従事者の減

少によって耕作放棄地が増加していること、森林の荒廃によって野生鳥獣と人の住む土地と

の間の緩衝帯だった里山が消失していること、などが考えられます。

こうした状況を踏まえ、「生息域拡大・個体数増加⇒農業被害増加⇒耕作意欲減退⇒耕作

放棄地増加⇒里山消失⇒生息域拡大・・・」という負のスパイラルに歯止めをかけ、生態系

のバランスを保ちながら、農業被害の軽減を図る新たな施策が必要であります。

現在、駆除・個体数調整により捕獲されたイノシシやニホンジカの多くは埋設処理されて

いますが、それを新たな地域資源として有効活用することで、農家の皆さんや捕獲従事者の

労力を軽減して被害対策を促進するとともに、地域活性化を目指すものとします。

このために、本計画は、ジビエ活用によって野生鳥獣による農業被害の軽減と地域活性化

を同時に実現する仕組みを構築することを目的に、策定するものであります。

野生鳥獣による

農業被害軽減の仕組み

地域活性化に資する

仕組み

長野市ジビエ振興計画(趣旨)

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第1章 農業被害軽減とジビエ活用に向けて

2

2 計画の位置付け

本計画は、以下の上位計画に基づくアクションプランに位置付けられます。

1 第四次長野市総合計画

市の最上位計画である第四次長野市総合計画後期基本計画(平成24年4月策定)におい

て、「地域ぐるみでの総合的な野生鳥獣対策を推進し、農作物への被害の防止を図る」(基

本施策522中山間地域の農業振興)とされています。

さらに、「地域や関係機関と連携し、野生鳥獣からの農林業への被害防止策の充実を図

り、人間と野生鳥獣との共存に向けた総合的な野生鳥獣対策を推進する」(基本施策523

豊かな森林づくりと林業の振興)とされています。

2 長野市やまざと振興計画

中山間地域が抱える問題を明らかにするとともに、既存の施策・事業を整理・体系化す

ることにより、市の中山間地域政策を総合的・計画的に展開することを目的に策定された

長野市やまざと振興計画(平成25年4月改訂)において、「農作物被害予防のため捕獲さ

れるイノシシ肉などを地域資源として活用し、野生鳥獣に負けない地域づくりを推進しま

す」(第2 施策の展開 2地域資源を活用した農林業等の産業の振興)とされています。

3 長野市ひと・まち・しごと創生総合戦略

少子・高齢化及び人口減少を克服し、将来世代に活力ある地域社会を引き継ぐことを目

的に策定された長野市ひと・まち・しごと創生総合戦略(平成28年2月策定)において、

「個体数調整や駆除のために捕獲した野生鳥獣を有効活用するため、捕獲したイノシシ・

ニホンジカのジビエとしての活用を推進する」(目標4「あふれる「宝」を活かし、安心

して住み続けたいまちの実現」)とされています。

また、重要業績評価指標として、個体数調整や駆除のために捕獲した野生鳥獣(イノシ

シ・ニホンジカ)を食肉として利用した割合を、40%(平成26年度1.1%)とするとされ

ています。

4 長野市鳥獣被害防止計画

鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律(平成19年12

月21日法律第134号)第4条に基づき策定した長野市鳥獣被害防止計画(計画期間:平成

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第1章 農業被害軽減とジビエ活用に向けて

3

26年度~平成28年)において、捕獲等をした対象鳥獣の処理に関する事項については、「若

穂ジビエ振興会が設置した食肉処理加工施設で処理されたイノシシ肉を、新たな地域資源

として有効活用するジビエ振興を行う」とされています。

なお、平成28年度中に、ジビエ振興計画を踏まえ、次期計画を策定する予定です。

【上位計画概念図】

第四次長野市総合計画

長野市ひと・まち

・しごと総合戦略

長野市ジビエ振興計画

長野市鳥獣被害防止計画

鳥獣被害防止特措法

長野市やまざと振興

計画

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第1章 農業被害軽減とジビエ活用に向けて

4

3 長野市の有害鳥獣による農業被害等の現状と課題

1 野生鳥獣による市内の農作物被害額の推移

この10年間の市内における野生鳥獣による農作物被害額については、6千万円から7千

万円台で高止まりの傾向にあります。

特に、イノシシとニホンジカによる被害額で全体の約3~4割を占めています。

イノシシの被害額は平成23年度には平成17年度の6割以上の増加となりピークとなり

ましたが、その後減少傾向にあります。

ニホンジカの被害額についてはこの5年間、平成17年度の5倍以上に激増し、減少の兆

候が全くみられません。

イノシシ ニホンジカ カラス ニホンザル ハクビシンその他の

鳥獣

イノシシ・

ニホンジカ

による被害

の割合(%)

合 計

H17 15,453 2,017 14,047 4,822 216 29,470 26.5 66,025

H22 23,618 10,809 16,269 4,229 4,725 13,695 46.9 73,345

H23 25,337 11,125 14,652 4,230 5,825 16,349 47.0 77,518

H24 18,222 11,271 13,470 4,132 6,618 18,677 40.7 72,390

H25 17,130 10,832 13,682 3,757 6,314 16,221 41.2 67,936

H26 15,461 10,932 14,066 3,772 5,914 17,621 38.9 67,766

H27 12,356 10,403 12,832 3,587 5,672 17,201 36.7 62,051

※その他の鳥獣 スズメ、ムクドリ、ネズミ、クマ など

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

90,000

H17 H22 H23 H24 H25 H26 H27

その他の鳥獣

ハクビシン

ニホンザル

カラス

ニホンジカ

イノシシ

(千円)

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第1章 農業被害軽減とジビエ活用に向けて

5

2 イノシシ・ニホンジカの市内における駆除・個体数調整頭数の推移

イノシシとニホンジカの市内における1年間の捕獲数の合計は、この10年間で大幅に増

加し、近年は千頭前後の捕獲数となっています。

特に、ニホンジカについては、平成17年当時はほとんど捕獲されていませんでしたが、

10年あまりの間で40~50倍と激増しています。

また、イノシシの捕獲数についてはこの10年間で4~6倍程度増加しています。。

135

585

388

608

863727

576

1089

152235

348

511419

0100200300400500600700800900

1000

H17 H22 H23 H24 H25 H26 H27

捕獲頭数

イノシシ・ニホンジカ捕獲頭数の推移

イノシシ ニホンジカ

145

674540

843

12111238

995

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

H17 H22 H23 H24 H25 H26 H27

イノシシ・ニホンジカ捕獲合計

イノシシ・ニホンジカ合計

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第1章 農業被害軽減とジビエ活用に向けて

6

3 市内地区別イノシシ・ニホンジカ捕獲数実績

イノシシとニホンジカの地区別の捕獲数については、年によって若干の変化はあります

が、概ね次の地区での捕獲数が比較的多い傾向にあります。

・大岡、信州新町、信更地区など市の西南部方面

・安茂里地区

・松代及び若穂地区といった市の東南部方面

芋井支部

戸隠支部

豊野支部

中条支部

信州新町支部

大岡支部

信更支部 松代支部

安茂里支部

若穂支部

共和支部

信里支部

七二会支部

小田切支部

第一支部

鬼無里支部

浅川支部

真島支部

若槻支部

360

387

135

11799

331

462

169

129 251

305

66

135

184 9

40

90

0

175

長野市鳥獣被害防止対策協議会各支部別イノシシ・シカ捕獲実績

(平成 25~27年度累計)

・・・300~

・・・200~299

・・・100~199

・・・0~99

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第1章 農業被害軽減と

4 長野市内猟友会員の推移

鳥獣捕獲の担い手となる長野市内の猟友会員

平成元年度の約6割程度まで減少しています。

猟友会員のうち、銃猟者は減少が続いています

増加に比例し増加傾向にあります。

これは、野生鳥獣の被害を受けた農家が自衛のために

取得しているものと考えられます。

また、会員の高齢化が進み、

今後、高齢化による担い手の自然減少に加え、捕獲した鳥獣を埋設処理する際の

担から捕獲意欲の減退を招き、

加えて、わな猟者が増加しても銃猟者が減少しているため、捕獲鳥獣の止め刺しに支障

を及ぼすおそれが懸念されます。

633

448

0

100

200

300

400

500

600

700

H1 H7

総合計

農業被害軽減とジビエ活用に向けて

7

鳥獣捕獲の担い手となる長野市内の猟友会員数については、平成27年度は394

まで減少しています。

猟友会員のうち、銃猟者は減少が続いていますが、わな猟のみを行う者は農作物被害の

増加傾向にあります。

の被害を受けた農家が自衛のために比較的危険を伴わない

取得しているものと考えられます。

会員の高齢化が進み、60歳以上が7割を超えています。

、高齢化による担い手の自然減少に加え、捕獲した鳥獣を埋設処理する際の

担から捕獲意欲の減退を招き、さらなる減少を引き起こすことが懸念されます。

加えて、わな猟者が増加しても銃猟者が減少しているため、捕獲鳥獣の止め刺しに支障

懸念されます。

28.4%

71.6%

年齢割合(H27.3.31)

20~59歳 60歳~

341 360 358 385 402 394

H17 H23 H24 H25 H26 H27

総合計 わな猟者のみ 銃猟者

長野市内の猟友会員の推移

394人となり、

農作物被害の

比較的危険を伴わないわな免許を

、高齢化による担い手の自然減少に加え、捕獲した鳥獣を埋設処理する際の重い負

さらなる減少を引き起こすことが懸念されます。

加えて、わな猟者が増加しても銃猟者が減少しているため、捕獲鳥獣の止め刺しに支障

394

H27

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第1章 農業被害軽減とジビエ活用に向けて

8

5 これまでの長野市の施策

野生鳥獣による農作物被害の防止を図るためには、「駆除・個体数調整対策」、「防除対

策」、「環境整備対策」の3つを適切に組み合わせた総合的な取り組みが重要であります。

現在、市では次のとおり3つの対策に取り組んでいます。

(1) 駆除・個体数調整対策

駆除・個体数調整事業 イノシシ、ニホンジカ、カラス等による農作物被害

防止のために実施する個体数調整及び駆除に要する経

費を補助

捕獲おり・わな導入事業 農作物被害防止のために実施する個体数調整及び駆

除に使用する捕獲おり・わなの導入経費に要する経費

を補助

ニホンジカ等集中捕獲事

業(巻き狩り)

早春季に行うニホンジカ等集中捕獲に要する経費に

対し補助

狩猟免許取得事業 有害鳥獣捕獲従事予定者による狩猟免許の取得に要

する経費を補助

(2) 防除対策

電気柵等防護施設導入事

野生鳥獣による農作物被害防止のための電気柵等防

護施設導入に要する資材費を補助

電気柵等防護施設機能追

加事業

ニホンジカ対策として実施する既存の電気柵等防護

施設への機能追加に要する資材費に対し補助

追い払い 農作物被害を発生させている野生鳥獣を追い払うた

めに実施する活動に対する経費を補助

(3) 環境整備対策

緩衝帯整備事業 人間が住む集落・農地と野生鳥獣が住む森林との境

界を明確化し、野生鳥獣による農作物被害の軽減を図

るため、住民からの要望に基づき、市が緩衝帯を整備

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第1章 農業被害軽減とジビエ活用に向けて

9

【被害防止の取り組み イメージ】

(3)環境整備対策

(緩衝帯整備事業)

(1)駆除・個体数調整対策

(駆除・個体数調整事業)

(2)防除対策

(電気柵等防護施設導入事業)

整備前

整備後

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第1章 農業被害軽減とジビエ活用に向けて

10

6 現状と課題のまとめ

①野生鳥獣対策に取り組んだ結果、農作物被害額全体としては平成23年度か

ら減少傾向にあるが、依然として高止まりしている。

②捕獲数の拡大とともに、イノシシの被害額は平成23年度から減少傾向にあ

るが、ニホンジカの被害額はほとんど変化がない。

③中山間地域のイノシシとニホンジカの農作物被害は深刻であり、耕作意欲

を根底から消失し、地域の活力維持が困難となる懸念がある。

④年間千頭前後のイノシシとニホンジカが捕獲されているが、ほとんど利活

用されていない。

⑤捕獲数が急増し、埋設場所の確保が困難になっている。

⑥捕獲されたイノシシとニホンジカの大半は埋設処分せざるを得ず、会員数

の減少及び高齢化した狩猟者にとって負担が大きく、捕獲意欲の減退が懸

念される。

・高止まりしている被害の軽減に向け、新たな施策の取り組みが必要である。

・イノシシの捕獲水準を保ちながら、ニホンジカの捕獲強化を継続して行う

必要がある。

・捕獲個体を埋設するだけでなく、地域資源として無駄なく有効に活用する

施策をとおして、地域の活性化につなげる取り組みが求められる。

・狩猟者の捕獲意欲向上と新たな狩猟者の参入を促す必要がある。

現状

課題

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第1章 農業被害軽減と

4 基本理念と基本方針について

1 基本理念と基本方針について

本計画を策定するにあたっては、現状と課題及び第四次長野市総合計画など関連諸計画

を踏まえながら、農業被害軽減と地域振興が好循環する仕組みづくりのため、基本理念と

基本方針を次のとおりとします。

これにより、捕獲現場支援からジビエ肉処理加工及び地域活性化に至る一連の長野市独

自モデルを構築していきます。

基本方針② ジビエ肉処理加工施設

・ジビエ肉の安定供給に適した建設地の確保

・周辺環境に配慮した施設整備

・衛生管理の行き届いた施設整備と運営

・移動式解体処理車を配備した施設

基本方針① 適正な個体数調整による農業被害軽減

・捕獲数目標の設定と農業被害額軽減目標の設定

・猟友会組織と

基本方針③ 新たな地域資源による中山間地域活性化

・ジビエ肉の戦略的な活用

・住民自治協議会と

方向性

方向性

方向性

3つの基本方針

8つの方向性

“ながの

元気

農業被害軽減とジビエ活用に向けて

11

基本理念と基本方針について

基本理念と基本方針について

本計画を策定するにあたっては、現状と課題及び第四次長野市総合計画など関連諸計画

を踏まえながら、農業被害軽減と地域振興が好循環する仕組みづくりのため、基本理念と

基本方針を次のとおりとします。

これにより、捕獲現場支援からジビエ肉処理加工及び地域活性化に至る一連の長野市独

自モデルを構築していきます。

ジビエ肉処理加工施設の整備推進

・ジビエ肉の安定供給に適した建設地の確保

・周辺環境に配慮した施設整備

・衛生管理の行き届いた施設整備と運営

・移動式解体処理車を配備した施設

適正な個体数調整による農業被害軽減の推進

・捕獲数目標の設定と農業被害額軽減目標の設定

猟友会組織との連携

新たな地域資源による中山間地域活性化の推進

・ジビエ肉の戦略的な活用

住民自治協議会との連携と6次産業化の推進

基本理念

ながのきらめきジビエ”で

元気な地域づくり

本計画を策定するにあたっては、現状と課題及び第四次長野市総合計画など関連諸計画

を踏まえながら、農業被害軽減と地域振興が好循環する仕組みづくりのため、基本理念と

これにより、捕獲現場支援からジビエ肉処理加工及び地域活性化に至る一連の長野市独

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第1章 農業被害軽減と

【基本理念の取り組み(イメージ)

捕獲

①適正な個体数調整による農業被害軽減の推進

③新たな地域資源による

施設イメージ

②ジビエ肉処理加工施設等の整備推進

農業被害軽減とジビエ活用に向けて

12

【基本理念の取り組み(イメージ)】

止め刺し

①適正な個体数調整による農業被害軽減の推進

・6次産業化 ・ブランド化

・特産品化 ・消費・需要拡大

③新たな地域資源による中山間地域活性化の推進

出荷

住民自治協議会と

連携を検討

施設イメージ

②ジビエ肉処理加工施設等の整備推進

個体回収

移動式解体処理車

導入

猟友会組織へ

業務委託を検討

軽保冷車

導入

移動式解体処理車

導入検討

猟友会組織へ

業務委託を検討

軽保冷車

導入検討

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第1章 農業被害軽減とジビエ活用に向けて

13

2 計画の推進体制について

ジビエの活用に向けては様々な要素を検討する必要があることから、食品衛生、市有建

築物設計施工、商工観光振興、地域振興等市の関連各部局とプロジェクトチームを設立し、

本計画の推進を図っていくこととします。

また、専門的知見を有する特定非営利活動法人日本ジビエ振興協議会や学識経験者、信

州産シカ肉認証制度に関わる長野県等から適宜支援を受けながら推進していきます。

長野市は

・特定非営利活動法人日本ジビエ振興協議会特別会員

・国産ジビエ流通規格検討協議会構成員

であります。

いのしか対策課

食品衛生 建築物設計施工

商工観光振興 地域振興

日本ジビエ振興協議会・学識経験者・長野県

庁内プロジェクトチーム

助言

指導

など

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第2章 適正な個体数調整による農業被害軽減の推進

14

1 捕獲数目標の設定と農業被害額軽減目標の設定

イノシシとニホンジカの捕獲数目標を次のとおり設定し、農業被害の軽減を目指します。

1 イノシシの捕獲数目標

・被害額については平成23年度以降、捕獲数増加に伴い減少傾向にあります。

・このため、現行と同水準の捕獲を続ければ被害が減少していくと考えられます。

・したがって、イノシシについては、今後も過去5年間の平均捕獲数である概ね年600

頭の捕獲を維持し続けることを目標とします。

2 ニホンジカの捕獲数目標

・被害額については捕獲頭数が増加しているにも関わらずほとんど変化はありません。

・このことから、ニホンジカについては捕獲を強化する必要があります。

・したがって、ニホンジカについては、過去5年間の平均捕獲数(333頭)の概ね倍の

年700頭の捕獲を続けることを目標とします。

3 農業被害額軽減目標

目標1,300頭の捕獲を継続することにより、イノシシ・ニホンジカの農業被害額を、概

ね5年後を目処に、平成27年度被害額から半減させることを目標とします。

イノシシ捕獲目標

600 頭 + =

ニホンジカ捕獲目標

700 頭

年間捕獲目標

1,300 頭

0

5000

10000

15000

20000

25000

H27 目標

シカ

イノシシ

イノシシ・シカによる農業被害額(単位:千円)

22,759

約 10,000

約 12,000千円

減少目標

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第2章 適正な個体数調整による農業被害軽減の推進

15

2 猟友会組織との連携

捕獲数目標を継続して達成し、農業被害の低減とジビエを活用した地域振興が好循環す

る仕組みづくりのため、今後、狩猟を担う猟友会組織と連携しながら協働して取り組んで

いきます。

○連携・協働して取り組む新たな事項

(1) 捕獲目標の継続的な達成

捕獲圧を高め、捕獲数目標を継続して達成し、農業被害の軽減に資するよう取り組

みます。

(2) 移動式解体処理車の運用

市は良質なジビエ肉を確保するため、大手自動車会社と日本ジビエ振興協議会が共

同開発した「移動式解体処理車」の導入を検討します。

導入した場合は、捕獲現場での止め刺しから移動式解体処理車での内臓摘出及びは

く皮までの一連の業務遂行が可能な猟友会組織により運用することを検討していき

ます。

(3) 新たな狩猟者の参入を促進

狩猟者の減少及び高齢化が課題となっていますが、捕獲個体をジビエ活用する取り

組みによって、市民に対し狩猟に対する興味・関心を高める効果が期待できます。

このため、捕獲現場からジビエ肉処理に至る取り組みを効果的にPRし、新たな狩

猟者の参入促進を図っていきます。

(4) マニュアルづくりと啓発

捕獲の際、くくりわなはボリュームのある後脚を避け前脚にかけるようにしなけれ

ばなりませんし、腹部に着弾した個体は食用に供することはできません。

また、味が良く臭みの少ないジビエ肉を確保するためには、施設へ迅速に捕獲個体

を搬入しなければなりません。

詳細:P21 方向性④移動式解体処理車を配備した施設

P27 移動式解体処理車を活用した良質なジビエ肉の供給について

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第2章 適正な個体数調整による農業被害軽減の推進

16

このため、今後、わなかけから止め刺し、施設への搬入等に関するマニュアルを作

成し、ジビエ肉としての食肉利用率を向上させるようにします。

(5) 年間を通した個体の安定的確保

有害鳥獣対策により捕獲された個体だけでなく、狩猟期間において捕獲された個体

についても、施設への搬入が促進されるよう市と猟友会組織協働で取り組みます。

(6) 新たな狩猟者の育成教育

猟友会組織とともに長野県ハンター養成学校等とも連携しながら、新たな狩猟者に

対し、狩猟に関する知識・技術を身に付けさせることで、育成教育を図ります。

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第3章 ジビエ肉処理加工施設等の整備推進

17

1 既存施設の問題点と新たな施設の必要性・事業手法等

1 既存施設(若穂食肉処理加工施設)について

長野市内には平成25年3月、若穂保科高岡地区に民間事業者である若穂ジビエ振興会

により、ジビエ肉の処理加工施設が建設され、運営されてます。

設置方式 民設民営

運営 若穂ジビエ振興会(若穂地区有害鳥獣対策協議会、若穂猟友

会、若穂地区住民自治協議会ほかで構成)

建築年 平成25年3月

延床面積 42.9㎡

建設費 約1,530万円(市が95%補助)

年間処理頭数 約30頭

2 既存施設の問題点について

(1) 交通アクセスの悪さ

汚物、汚水及び臭気発生不安から交通アクセスが良好な敷地での建設ができず、幹

線道路から離れ大型トラックでの搬出入ができない敷地での建設となりました。

(2) 運営の担い手不足

地域の限られた人員での運営であるため、解体処理、衛生管理及び販売促進に従事

できる人員が不足しています。

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第3章 ジビエ肉処理加工施設等の整備推進

18

3 新たなジビエ肉処理加工施設の必要性について

民設民営である若穂食肉処理加工施設は、その問題点から、年間処理頭数が約30頭程

度にとどまっています。

今後、この民間施設だけでは、長野市全域で捕獲されるイノシシやシカをカバーしな

がらジビエの利活用拡大を図ることは困難です。

こうしたことから、新たなジビエ肉処理加工施設を整備することが必要です。

4 ジビエ肉処理加工施設の事業手法について

既存施設の問題点を踏まえ、新たなジビエ肉処理加工施設の事業手法は、次のとおり

とします。

・新たなジビエ肉施設加工施設は、市が建設する。

・施設の運営は当初、市直営で行う。

・5年後を目処に、指定管理移行を目指す。

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第3章 ジビエ肉処理加工施設等の整備推進

19

5 若穂食肉処理加工施設の今後の展開について

・若穂食肉処理加工施設については、施設及び人員規模を踏まえ、主に若穂地区で捕獲

された個体の食肉処理を中心に担いながら、民間施設ならではの独自の手法で運営し

ていきます。

・市では、平成28年度からスタートする「地域発きらめき事業」(※)において、若穂食

肉処理加工施設を活用した若穂地区の取り組み【ジビエ振興による地域おこしと有害

鳥獣駆除のモチベーションアップ事業】を支援していく予定です。

※地域発きらめき事業・・・地域で抱える課題の解決や、地域独自の資源

の活用を行うために、全市的な手法による事業ではなく、地区を単位とし

た事業を展開することで、よりきめ細やかな地域づくりを支援するために

実施する事業

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第3章 ジビエ肉処理加工施設等の整備推進

20

2 ジビエ肉処理加工施設の整備推進の方向性について

施設整備にあたっては、次の4つの方向性を重視しながら推進していきます。

方向性① ジビエ肉の安定供給に適した建設地の確保

良質なジビエ肉を安定的に供給するためには、食用個体を効率良く搬入、処理加工し出

荷することが必要であることから、交通アクセスが良好な用地を確保しなければなりませ

ん。

しかし、適地の確保にあたっては、止め刺ししたイノシシやシカを持ち込み内臓摘出や

はく皮を行う施設であることに対し、地域住民の理解を得て建設することは大きな課題で

す。

こうしたことを踏まえ、今後、建設に最適な候補地の地域住民に十分な説明を行いなが

ら、建設地を決定します。

方向性② 周辺環境に配慮した施設の整備

周辺環境に配慮するため、次の3つの視点を重視した設備を導入します。

(1) 排水処理設備の設置

施設や洗車エリアからの排水に対しては、施設外へ飛散流出しないよう処理設備を

設け、浄化後、下水に流します。

(2) 臭気対策設備の設置

施設内から臭気を発生させないよう、洗浄・殺菌設備を設置します。

(3) 周辺背景に調和した建物

施設のデザインや色彩等は、建設地の周辺背景との調和に配慮します。

方向性③ 衛生管理の行き届いた施設整備と運営

狩猟で得る野生獣のイノシシ・ニホンジカの食肉加工については、特別な衛生管理の必

要性など、家畜の食肉処理加工と比べ大きな課題があます。

このため、食品衛生法その他関係法令はもとより、「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針

(ガイドライン)」(厚生労働省)や「信州ジビエ衛生管理ガイドライン・信州ジビエ衛生

マニュアル」(長野県)等に基づき、施設にはジビエ肉の高度な衛生管理を適切に実施する

ための十分な設備を設けます。

また、施設従事者や狩猟者がこれらガイドライン等に基づき衛生管理に取り組んでいく

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第3章 ジビエ肉処理加工施設等の整備推進

21

よう必要な指導や徹底したモニタリングを行っていきます。

さらに、「信州産シカ肉認証制度」(※)による認証を受けることを目指します。

※信州産シカ肉認証制度

シカ肉の処理・加工・販売を実施している施設が、シカ肉の販売に至るまでの処理において、「信

州ジビエ衛生管理ガイドライン・信州ジビエ衛生マニュアル」に沿って適切な処理等を行ってい

ることについて「信州産シカ肉認証処理施設」として認証するとともに、認証基準に従って認証

施設において処理され販売される信州産シカ肉について、「信州産認証シカ肉」として認証を行う

もの。

長野県と信州ジビエ研究会が協働して認証する制度である。

方向性④ 移動式解体処理車を配備した施設

広大な長野市域においても、捕獲現場から処理施設までの運搬距離や運搬時間に影響さ

れることなく良質なジビエ肉を得ることが期待できる移動式解体処理車の配備を目指しま

す。

移動式解体処理車は、大手自動車会社が特定非営利法人日本ジビエ振興と連携し、1号

車が平成28年7月に完成しました。

今後、日本ジビエ振興協議会と連携し実証実験の結果を検証しながら、導入について検

討を行います。

検討の結果、移動式解体処理車の導入が困難となった場合は、冷凍車で対応できるよう

検討します。

P27 移動式解体処理車を活用した良質なジビエ肉の供給について

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第3章 ジビエ肉処理加工施設等の整備推進

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3 処理加工目標等について

ジビエ肉処理加工施設での処理加工目標については、次のとおりとします。

・他の処理施設の事例から、通常1日3~5頭の処理は十分可能であります。

・個体数自体に各年変動があること、また、捕獲獣の品質は個体差が大きく食肉として活

用可能な個体数も変動があり得ることから、1日平均約3頭を処理可能頭数と想定し、

年間の処理頭数の目標は約 600 頭と設定(施設の年間稼動日数を約 200 日と想定)しま

す。

・なお、長野市まち・ひと・しごと創生総合戦略においては、個体数調整や駆除のために

捕獲した野生鳥獣(イノシシ・ニホンジカ)を食肉として利用する割合(食肉利用率)

について、40%を目標値として掲げております。

・農業被害の軽減に向けたイノシシとニホンジカの捕獲数目標については、年間1,300頭と

設定しております。

・年間 600 頭を食肉処理加工すれば、食肉利用率は約 46%となり、目標値である 40%を超

過します。

・しかし、野生獣は、安定的な品質の家畜と異なり、品質ごとにバラツキが大きいため、

捕獲技術や解体技術を向上させることにより、食用個体 600 頭の確保を目指していきま

す。

施設稼動日数

約 200 日

1日平均処理頭数

約3頭

年間想定処理頭数

約 600 頭

(食肉利用率約46%)

× =食肉利用率目標値

約 520 頭

(食肉利用率 40%)

詳細:P14 捕獲数目標と農業被害額軽減目標の設定

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第3章 ジビエ肉処理加工施設等の整備推進

23

4 施設建設について

1 施設計画

(1) 施設計画例(現時点でのイメージ)

施設の計画例を示します(施設総延床面積約250㎡、敷地面積約500~1,000㎡程度)。

なお、施設の整備にあたっては、今後、基本設計及び実施設計において詳細な検討

を行います。

①搬入・洗浄室

(約13㎡)

②一時処理室

(約21㎡)

③冷蔵室

(約13㎡)

④二次処理室

(約21㎡)

⑤保管室

(約13㎡)

⑥通路(約28㎡)

⑪洗車エリア

(約200㎡程度)

⑨研修室

(約64㎡)

搬入

ガレージ

⑦加工室

(約13㎡)

事務室・

更衣室等

(約17㎡)

⑧廃棄物

保管室

(約34㎡)

⑩監視員室

(約13㎡)

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第3章 ジビエ肉処理加工施設等の整備推進

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(2) 各施設の機能・内容

(1) で示した各施設の機能は次のとおりです。

① 搬入・洗浄室

捕獲されたイノシシとシカは最初にここに搬入し、個体検査後、洗浄します。

② 一時処理室

洗浄後の個体について、はく皮と内臓摘出を行い枝肉化します。

③ 冷蔵室

うまみを引き出すため、一定期間、冷蔵庫で枝肉を熟成させるための部屋です。

また、余分な血液を放血します。

④ 二次処理室

枝肉を部位ごとに切り分け、スライサー等の加工機器で処理し、製品化します。

⑤ 保管室

製品化したジビエ肉を出荷するまで保管するため、冷凍庫等を設置します。

⑥ 通路

人や物品の行き来による細菌の進入を防ぎ衛生管理を徹底するため、処理工程ご

とに部屋を間仕切り、各部屋から部屋へ直接入らないよう通路を設置します。

⑦ 加工室

二次処理された製品を、ハムやソーセージ等の加工品に製品化する施設です。

⑧ 廃棄物保管室

解体処理後に発生した残渣(産業廃棄物)を、産業廃棄物処理業者に搬出するま

での間保管するために、冷凍保管庫等を設置します。

⑨ 研修室

ガラス張りになった窓から処理状況を見学できる構造とし、衛生管理が徹底して

いる様子を見学することができます。

また、施設で生産されるジビエのPRのために活用します。

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第3章 ジビエ肉処理加工施設等の整備推進

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⑩ 監視員室

衛生管理のモニタリングを行なうための部屋です。

⑪ 洗車エリア

運搬に使用する車両の荷台は、捕獲個体の血液やダニ等による汚染を防止するた

め、使用の前後に洗浄するため、洗車できるエリアを設置します。

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第3章 ジビエ肉処理加工施設等の整備推進

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2 施設に導入する機器類について

主に次の機器類を導入します。

・高圧洗浄機(個体洗浄)

・ハンディガスバーナー(個体殺菌や飛散したダニ類等の焼却)

・空調設備(作業時に15℃以下に冷房できる能力を有するもの)

・オゾン発生装置(施設等の消毒)

・電解水生成装置(はく皮後の個体洗浄及び施設全体の殺菌消毒)

・レール(懸吊設備。冷蔵室まで通す)

・ウィンチ

・温湯器(83度以上の湯が出るもの)

・センサー式手洗い

・二層シンク

・解体作業テーブル

・急速液体凍結機(アルコール液による急速冷凍で鮮度を保つ)

・包丁消毒器

・真空包装機

・金属検出器(ハンディタイプの検出器は不可)

・Ⅹ線検査器(金属検出器と併用して使用する)

・ラベラー(個体識別番号などが印字できるタイプ)

・スライサー(出荷するスライスの厚さに対応できるタイプを導入する)

・ミンチ製造器

・搬入個体用計量器(200kg以上計測可能なもの)

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第3章 ジビエ肉処理加工施設等の整備推進

27

5 移動式解体処理車を活用した良質なジビエ肉の供給について

東西約37km、南北約42km、面積約835 という広大な長野市域においては、捕獲場所に

よっては処理施設までの運搬距離や運搬時間の問題が発生することから、食肉利用を可

能とするための捕獲個体をどのように確保するかが課題です。

このため、今後、運搬距離及び運搬時間に影響されることなく良質なジビエ肉を得る

ため、移動式解体処理車の活用による捕獲個体の収集運搬体制を検討していきます。

特定非営利法人日本ジビエ振興協議会において、全国各地域で移動式解体処理車の実

証実験が行われることになっています。

今後、日本ジビエ振興協議会と連携し実証実験の結果を検証しながら、導入について

検討を行います。

検討の結果、移動式解体処理車の導入が困難となった場合は、冷凍車で対応できるよ

う検討します。

●移動式解体処理車とは

・大手自動車会社が日本ジビエ振興協議会と連携して製作

・2tトラックを改造したもの

・捕獲現場で直ちに放血、洗浄、内臓摘出等ができる設備を持つので、良質なジ

ビエ肉が得られる

・解体及び保管スペースに冷却器を装備し保冷状態で運搬できる

・内部は防さび、撥水加工なので衛生管理が容易にできる

・1号車が平成 28 年7月に完成

処理施設までの運搬距離・運搬時間に影響されることなく良質なジビエ肉を得ること

が可能となり、ジビエ肉の食肉利用率の向上に貢献する

H28.7.25 長野県庁にて

お披露目会の様子

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第3章 ジビエ肉処理加工施設等の整備推進

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6 施設整備費等

1 施設整備費

現時点での事業費は約3億5千万円を見込んでいますが、今後の基本設計、実施設計

及び事業内容の詳細検討時において精査します。

単位:千円

建築費(S造平屋250㎡、設計費等含む) 217,830

車両 71,200

備品、排水設備類 58,000

事業費合計 347,030

2 財源

市の財政負担を軽減するため、現時点では農林水産省の鳥獣被害防止総合対策交付金

や過疎対策事業債(元利償還金の7割を国が交付税措置する有利な起債)の活用を想定

しています。

単位:千円

鳥獣被害防止総合交付金 5,170

過疎対策事業債

(うち交付税措置分)

341,800

(239,260)

一般財源 60

事業費合計 347,030

3 運営管理費の試算

現時点での施設運営管理費については、他施設の事例を参考に次のとおり試算しまし

たが、今後、事業内容の詳細検討時において精査します。

単位:千円

支出

人件費 8,700

維持管理費 13,300

合計 22,000

収入 事業収入 24,000

※収支は、食肉処理できた頭数や販売価格等に大きく左右されるため、現時点での

参考値です。

その他、移動式解体処理車等を導入した場合に必用となる業務委託費用等は、今

後事業を詳細に検討しながら決定します。

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第4章 新たな地域資源による中山間地域活性化の推進

29

1 ジビエ肉の戦略的な活用

ジビエ肉を新たな地域資源として活用し、地域の活性化につなげ、本事業が持続的に発

展していくよう、処理加工施設で製品化されたジビエ肉を戦略的に活用していきます。

今後、戦略活用に向けた販路の確保に取り組んでいきます。

【ジビエ肉活用のイメージ】

[施設建設地の住民組織へ供給]

・地元特産品として新ビジネス化

[市内の観光関連施設、飲食店、旅

館等へ供給]

・誘客ビジネスに活用

[中小レストラン等へ供給]

・長野市産ジビエ肉ファン拡大

[大手事業者へ供給]

・まとまった数量の販売

+ +

地域経済に波及効果

を及ぼす活用

ジビエ肉の安定販先

の確保

ジビエ肉は、地域活性化のため地域で優先的に活用するとともに、

需要の大きい首都圏等への販売を、一定割合ずつ行う

首都圏等へ

地域へ

最優先 需要の大きい消費地へ向けて供給

新たな資源として地域のために供給

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第4章 新たな地域資源による中山間地域活性化の推進

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2 住民自治協議会との連携と6次産業化の推進

農業被害を及ぼすイノシシ・シカを新たな地域資源として有効活用し、地域活性化に

結びつけるためには、地域住民自らによる積極的な取り組みが必要です。

このため、今後、ジビエ肉処理加工施設の建設地となる住民自治協議会と連携しなが

ら、ジビエを活用した地域活性化を支援します。

1 ジビエ肉処理加工施設の指定管理運営移行について

・ジビエ活用の拡大を図るため、施設運営については、当初は市直営で行い、食用個体

の安定確保、歩留まりの向上及び販路の確保等、安定運営に向けた基盤づくりをしま

す。

・その後、概ね5年後を目処に指定管理者による民間運営への移行を目指します。

・まずは、中山間地域の活性化に向け、住民自らの運営を目指すよう、住民自治協議会

等に指定管理移行することを検討します。

・建設地決定後、地元住民自治協議会と施設運営についての協議を進め、運営の担い手

づくりを進めます。

2 6次産業化による雇用と所得の創出について

地域活性化のため、地域の特色を生かしながら6次産業化による地域の雇用確保と所

得向上を目指し、住民自治協議会等と連携しながら、次の取り組みを進めていきます。

(1) 長野市ジビエのブランド化の推進

・新商品の開発

・商品のストーリー性、ネーミング、魅力的な商品パッケージデザインの検討 等

(2) 消費・需要の拡大

・地元(道の駅、旅館、飲食店等)への供給による特産品化及び観光資源化

・積極的なプロモーション活動を行い、新たな需要を創出 等

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第4章 新たな地域資源による中山間地域活性化の推進新たな地域資源による中山間地域活性化の推進

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第5章 スケジュール

32

スケジュール

ジビエ活用に向けたスケジュールは下記のとおりです。

今後、建設候補地を選定し、設計、建設の順に着手し、試験運用を経て本格運用を目指

します。

本格運用までの間に、施設運営に必要な人材育成・確保をするとともに、販路の確保や

商品開発も行います。

第1年次 第2年次 第3年次 第4年次

内容

設計 試験

稼動

建設候補地

選定

人材育成・確保

建設

運営開始

販路確保・商品開発

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長野市ジビエ振興計画

平成28年11月

発行 長野市

問い合わせ先

長野市農林部いのしか対策課

〒380-8512 長野市大字鶴賀緑町1613番地

TEL (026)224-8470 FAX (026)224-7812

E-mail [email protected]