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2016-A 信号解析基礎
教員: 苗村健 入力: 高橋光輝
September 25, 2017
1
第 1回
信号とは 物理量の変動の中に見いだされる情報
学科のキーワードでもある「物理」と「情報」の橋渡しをするもの
信号の種類
� 確定性
� 確定信号
* 観測済み* ある時刻の値がわかる
� 不規則信号
* 予測不可能性* 集団で見ると規則性がある
� 周期性
� 周期信号
* 過去から未来まで永遠に周期性を持つ理想的な信号
� 非周期信号
� 連続性
� 連続信号
� 離散信号
習得すべき世界観
� 時間領域
� 周波数領域
が互いに干渉しあう、どちらも出発点となりうるような世界の感覚。
2
今後の予定
� 第一部 (確定信号)
� フーリエ変換、その他
* (周期/非周期)Ö(連続/離散)
� 標本化
� →デジタル信号処理 (3年 S 信号処理工学)へ
� 第二部 (不規則信号)
� 相関関数
� 電力スペクトル密度
休講予定
� 11/7
� 12/26
� 1/7
期末試験 1/16(月)
意地悪な問題は出さない予定 (やればできる)
持ち込み不可・追試なし
中間レポート 12/5(月)
第一部のまとめを作る
A4用紙 1枚 (表裏)
イメージとしては、カンニングペーパー作り
評価の方法 原則、期末試験のみ
+α (体調不良などの場合の救済措置, 中間レポート/出席)
Chapter 1
第1部 信号とスペクトル
目的: 信号波の周波数解析
考え方: 信号を単純な波形の組み合わせで表現する
1.0.1 最初にやること
1. 複素正弦波
2. 線形システム
3. 信号を単純な波形に分解する
� 複素正弦波と線形システムの融合
� →フーリエ変換・フーリエ級数
1.1 第 1章 正弦波信号と線形システム
1.1.1 正弦波とは?
x (t) = A cos (2πft+ θ)
A: 振幅
f : 周波数
θ: 位相
3
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 4
周期
T =1
f(2πf · T = 2π)
角周波数
ω = 2πf
正弦波は円運動の投影[図 1]
1.1.2 複素正弦波
複素…2次元的な円運動の取り扱いに便利
複素数とはz = x+ iy
(x, y)の 2次元空間を表している。
i =√−1 = j
虚数は jで表記する!!!
複素平面
z = x+ jy
= r cosφ+ jr sinφ
= r (cosφ+ j sinφ)
オイラーの定理ejφ = cosφ+ j sinφ
d
dφejφ = − sinφ+ j cosφ
= j (cosφ+ j sinφ)
= jejφ
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 5
ej(φ1+φ2) = · · · = ejφ1 · ejφ2
z = x+ jy
= rejφ
と書ける。よって
x (t) = A cos (ωt+ θ) + jA sin (ωt+ θ)
= Aej(ωt+θ)
= Aejθ · ejωt
振幅と位相を時間変化する成分から分離して複素振幅として扱うことができるので、便利である。
ejωt に関するいろいろ
1. 時計回りと反時計回り
ejωt = cosωt+ j sinωt
e−jωt = cosωt− j sinωt
図 2
cosωt =ejωt + e−jωt
2
j sinωt =ejωt − e−jωt
2
2. 正規直交系
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 6
定義 内積 ⟨φn (t) , φm (t)⟩に対して、下記を満たす {φn (t)}を、正規直交系と呼ぶ。
⟨φn (t) , φm (t)⟩ =
{1 (n = m)
0 (n = m)
複素正弦波は下記において正規直交系を成す。
φn (t) = ejnω0t (ω = nω0)
T =2π
ω0
⟨φn (t) , φm (t)⟩ = 1
T
∫ T2
−T2
φn (t)φm (t)dt
証明
⟨φn (t) , φm (t)⟩ = ω0
2π
∫ πω0
− πω0
ejnω0t · ejmω0tdt
=ω0
2π
∫ πω0
− πω0
ej(n−m)ω0tdt
n = mのとき
⟨φn (t) , φm (t)⟩ = ω0
2π
1
j (n−m)ω0
[ej(n−m)ω0t
] πω0
− πω0
= 0
第 2回
複素正弦波
x (t) = Aej(ωt+θ)
= Aejθ · ejωt
Aejθ が複素振幅となり、ejωt は正規直交系をなす。
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 7
1.1.3 線形システム
システムの図示
(脱線)
線形システムとは? 定義: x1 (t) 7→ y1 (t) , x2 (t) 7→ y2 (t)のとき、
ax1 (t) + bx2 (t) 7→ ay2 (t) + by2 (t)
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 8
となるシステムを線形システムと呼ぶ。
より一般的には、x (t) =
∑k
akxk (t)
のとき、出力はy (t) = ϕ [x (t)] =
∑k
akϕ [xk (t)]
この講義では、線形システムで表される現象のみを扱う。世の中の極めて多くの現象がこれで扱うことができる。
線形システムの例 例 1) 定数倍 y (t) = c · x (t)
y (t) = ϕ[∑
akxk (t)]
=∑
ak [cxk (t)]
=∑
akϕ [xk (t)]
例 2) 微分 y (t) = ddtx (t)
例 3) 積分 y (t) =∫x (t) dt
例 4) 加減算 y (t) = ϕ1 [x (t)] + ϕ2 [x (t)]
例 5) 定数倍・微分・積分・加減算の組み合わせ
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 9
定係数連立微積分方程式で表されるすべての回路
線形でないもの
線形システムの扱い方
x (t) =∑
akxk (t)→ y (t) =∑
akϕ [xk (t)]
これを基本波形 xk (t)の線形合成に対する出力 (応答)は、それぞれの基本波形に対する応答 ϕ [xk (t)]の線形合成になる。したがって、基本波形の応答さえわかっていれば、その合成に対する応答も分かる。
それではどうするか?
1. 基本波形は何にするか?
2. 基本波形の応答を計算する方法は? ϕ [xk (t)]?
3. 任意の波形を基本波形に分解する方法? ak?
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 10
1.1.4 線形システムの応答
1. 基本波形は何にするか?: xk (t)を決める →複素正弦波を採用
メリット: 線形システムの場合、入出力の周波数に変化はなく、複素振幅のみ変化する。
2. 基本波形の応答を計算する方法は? 入力: x (t) = A1ejθ1 · ejωt
出力: y (t) = A2ejθ2 · ejωt
このとき、
比 =出力入力
=A1
A2ej(θ2−θ1)
となり、すべての周波数 ωに対して複素振幅の比を定義できる。
この比を、周波数 ωや f における伝達関数と呼び、H (f)と表記する。(伝達関数でシステムの特性 ϕを全て語れる)
伝達関数 (システムの特性)の例 複素関数を分かりやすく図示するため、
H (f) = |H (f)| ej∠H(f)
と考える。
|H (f)|: A2
A1振幅の比
ej∠H(f): θ2 − θ1 位相差
伝達関数をシステムの周波数特性と呼ぶこともよくある。
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 11
まとめ
1.2 第 2章 フーリエ級数とフーリエ変換
フーリエ解析の基本定理 物理的に実現可能な波形は正弦波の和で表される。
x (t)が周期 T を持つとき、ω0 とおいて
x (t) =
∞∑n=−∞
αnejnω0t
ejnω0t という飛び飛びの周波数で考えているので級数展開可能。
係数
αn =1
T
∫ T2
−T2
x (t) e−jnω0tdt
どこでもよいので 1周期分を積分して T で割ればよい。
x (t)に周期がないとき
x (t) =1
2π
∫ ∞
−∞X (ω) ejωtdω
(フーリエ逆変換)
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 12
係数
X (ω) =
∫ ∞
−∞x (t) e−jωtdt
(フーリエ変換)
Parsevalの等式 時間領域の電力=周波数領域の電力
1
T
∫ T2
−T2
|x (t)|2 dt =∞∑
n=−∞|αn|2
証明 {x (t) =
∑αnφn (t)
φn (t) = ejnω0t ←正規直行系
とおくと、
1
T
∫|x (t)|2 dt = 1
T
∫ {∑αnφn (t)
}{∑αmφm (t)
}dt
=∑n
∑m
αnαm ·1
T
∫φn (t)φm (t)dt
(正規直交系=
{1 (n = m)
0 (n = m)
)=∑n
αn · αn =∑n
|αn|2
第 3回
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 13
� 周期がある場合
� →フーリエ級数展開
� 周期がない場合
� →フーリエ変換
周期 T の場合
x (t) =∞∑
n=−∞αne
jnω0t
(ω0 = 2πT )となる
αn =1
T
∫ T2
−T2
x (t) e−jnω0tdt
Parsevalの等式1
T
∫ T2
−T2
|x (t)|2 dt =∞∑
n=−∞|αn|2
時間領域と周波数領域でエネルギーが保存される。
準備: 偶関数と奇関数 一般的に関数 f (t)は、
� 偶関数 even
fe (t) =f (t) + f (−t)
2← cos
� 奇関数 odd
fo (t) =f (t)− f (−t)
2← sin
に分解できて、f (t) = fe (t) + fo (t)
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 14
x (t)と αn の関係についてイメージをつかむ x (t)が実数の場合、
αn = αn + jbn
とおくと、(an, bn: 実数)
an =1
T
∫ T2
−T2
x (t) cosnω0dt
bn =−1T
∫ T2
−T2
x (t) sinnω0dt
と簡略化される。(x (t)の虚数成分が 0の場合を考えているから)
したがって、
a−n = an
b−n = −bn
(実部が偶関数、虚部が奇関数)、すなわち、
α−n = αn
ここで αn は αn の複素共役である。
x (t)が実数かつ偶関数のとき、bn = 0
即ち、αn は「実数のみの偶関数」
x (t)が実数かつ奇関数のとき、an = 0
すなわち、αn は「純虚数で奇関数」
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 15
1.2.1 [2] 非周期波形のフーリエ変換
x (t)周期なし→周期∞と考える
導出αnT = X (nω0) = X (ω)|ω=nω0
とおく。
X (ω) = limT→∞
αn · T ←級数展開
=
∫ ∞
−∞x (t) e−jωtdt
これがフーリエ変換である。
一方、逆変換に関しては、
x (t) =∞∑
n=−∞αne
jnωnt =∞∑
n=−∞
X (nω0)
Tejnω0t
ここで、
ω0 =2π
T= ∆ω
と表記すると、1
T=
∆ω
2π
よって、
x (t) =1
2π
∞∑n=−∞
X (n∆ω) ejn∆ωt∆ω
−−−−−−−−→T→∞,∆ω→0
1
2π
∫ ∞
−∞X (ω) ejωtdω
これがフーリエ逆変換である。
x (t)が非周期なら、
フーリエ変換
X (ω) =
∫ ∞
−∞x (t) e−jωtdt
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 16
フーリエ逆変換
x (t) =1
2π
∫ ∞
−∞X (ω) e−jωtdω
他の書き方 ω = 2πf とおいて、
X (ω) = X (2πf)→ X (f)
と表記。
dω = 2πdf
となるので、
X (f) =
∫ ∞
−∞x (t) e−j2πftdt
x (t) =
∫ ∞
−∞X (f) ej2πftdf
f で書くか ω で書くかは自由度があるけれど、正しい組み合わせで利用することが大事。
(第 3の表記法) 積分の前に 12π がついたりつかなかったりするのは嫌だが、eの肩に
2πが毎回あるのも嫌だという場合の表記法。
X (ω) =1√2π
∫ ∞
−∞x (t) e−jωtdt
x (t) =1√2π
∫ ∞
−∞X (ω) ejωtdω
フーリエ変換でも、以下が成立。
� Parsevalの等式 (エネルギー保存)
� 実偶→実偶、実奇→虚奇
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 17
1.3 第 3章 信号波のフーリエ解析
1.3.1 非周期波形のフーリエ変換
例 1
単一方形波
X (f) =
∫ ∞
−∞x (t) e−j2πftdt
=
∫ τ2
− τ2
E · e−j2πftdt
=E
−j2πf[e−j2πft
] τ2
− τ2
= Esin(2πf · τ2
)πf
= E · τ︸︷︷︸方形波の面積
sin (πfτ)
πfτ︸ ︷︷ ︸sin xx の形になる
sin xx を描く
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 18
sinc関数・標本化関数
逆に、
方形関数と標本化関数が 1対 1で対応している。このような対応関係をフーリエ変換対と呼ぶ。
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 19
X (f) = Eτsin (πτf)
πτf
例 2: インパルス関数のフーリエ変換
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 20
幅 τ、高さ 1τ の方形波を考える。
E · τ = 1のままで、τ → 0
ロピタルの定理より、
X (f) = limτ→0
sin (πτf)
πτf= 1
逆に
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 21
直流のフーリエ変換は周波数 0のところのインパルス
例 3
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 22
第 4回
前回 フーリエ変換対
� 方形関数⇔標本化関数
� 定数⇔ δ関数
� ガウス関数⇔ガウス関数
フーリエ変換対 (非周期)とフーリエ変換級数展開 (周期)の関係
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 23
結論 周期 T と 1周期分の波形 x∗ (t)のフーリエ変換X∗ (f)が与えられれば、フーリエ級数の係数 αn が求まる。
定理 周期波形 x (t)が孤立波形 x∗ (t)を 1周期成分とする繰り返し波形のとき、x (t)とフーリエ級数の係数 αnは、
X∗(H)T を包絡線とする間隔 1
T の離散スペクトルになる。
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 24
式で書くと、
αn =1
TX∗ (f)|f=nf0
(f0 =
1
T
)
略証
αn =1
T
∫ T2
−T2
x (t) e−j2πnf0tdt
=1
T
∫ ∞
−∞x∗ (t) e−j2πnf0dt
=1
TX∗ (f)|f=nf0
パラメータを変えてみよう
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 25
高さ E、幅 τ の方形波が周期 T で繰り返す波形
ここで τ :一定、T →∞にすると、
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 26
サンプリング: 変化あり、包絡線: 変化なし
一方、E · τ = 1、τ → 0(T は一定)
サンプリング: 変化なし、包絡線: 変化
インパルス列 x (t) =∑∞
t=−∞ δ (t− kT )
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 27
非周期波形と周期波形の混在
・準備
δ関数について
定義 x (t)が t = t0 で連続のとき、∫ ∞
−∞δ (t− t0)x (t) dt = x (t0)
積分で定義される積分汎関数
δ関数のフーリエ変換 δ (t)F−→ 1
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 28
X (f) =
∫ ∞
−∞δ (t) e−j2πftdt = e−j2πf ·0 = 1
δ (t− t0)→ e−j2πft0
この逆でej2πf0t
F−→ δ (f − f0)
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 29
ということは、
フーリエ級数x (t) =
∑n
αne−j2πnf0t
→フーリエ変換
X (f) =∑n
αnδ (f − nf0)
連続スペクトルでありつつ、同期的に大きな値を持つ成分が現れる。
1.3.2 フーリエ級数とフーリエ変換の仕事
1. Parsevalの等式
2. x (t)を実数偶成分→X (f)の実偶成分など
3. 畳み込み積分 convolution
y (t) =
∫ ∞
−∞h (t)x (t− τ) dτ
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 30
定理x (t)
F−→ X (f) , h (t)F−→ H (f)
とずると、
y (t) =
∫ ∞
−∞h (τ)x (t− τ) dτ
F−→ Y (f) = H (f)X (f)
畳み込み積分→単なる積 (簡単便利)
1.3.3 線形システムの応答
インパルス応答 h (t)を持つ線形システムの応答
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 31
たたみこみ積分 convolution
y (t) =
∫ ∞
−∞h (t)x (t− τ) dτ
周波数領域では、Y (f) = H (f) ·X (f)
X (f): 入力Y (f): 出力H (f): インパルス応答のフーリエ変換→伝達関数: 線形システムの特性を記述するもの
まとめ
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 32
※ x (t) = δ (t)のときX (f) = 1なので、Y (f) = H (f)となり、インパルス入力に対する応答が、即ち伝達関数に対応している。
告知 デジタルコンテンツエキスポ 日本科学未来館
10/27(木)~10/30(日) 11:00-17:00
第 5回
来週 11/7は休講
1.4 第 4章 信号の標本化
デジタル信号処理の基本 デジタル化: 2通りの離散化
� 時間軸: 標本化 (sampling)
� 振幅軸: 量子化 (quantization)
1.4.1 標本化とは
T0: 標本周期
f0 = 1T0: 標本化周波数
連続波形 x (t)の、とびとびの時点 t = nT0 における値 (標本値)x (nT0)を取り出す操作。
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 33
標本化周期列の実現
PAM(Pulse Amplitude Modulation)
ここから出発して τ → 0を考える。
x∗ (t)︸ ︷︷ ︸離散
=∞∑
n=−∞x (nT0)︸ ︷︷ ︸連続
δ (t− nT0)
回路的には、
1.4.2 標本化信号 x∗ (t)のスペクトル
ヒント
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 34
数式で書くと、インパルスの数式表現
δ∗ (t) =
∞∑n=−∞
δ (t− nT0)
=
∞∑n=−∞
αmej2πmfst
αm =1
T0
∫ T02
−T02
δ (t) e−j2πmfst
δ (t)は積分汎関数なので、
αm =1
T0· e−j2πmfs·0 =
1
T0
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 35
したがって、
δ∗ (t) =∞∑
n=−∞δ (t− nT0) =
1
T0
∞∑m=−∞
ej2πmfst
ポアソンの和公式という。
標本化信号は?
x∗ (t) = x (t) · δ∗ (t)
(ただの乗算)
フーリエ変換すると、
X∗ (f) =
∫ ∞
−∞x∗ (t) e−j2πftdt
=
∫ ∞
−∞x (t) ·
[1
T0
∞∑m=−∞
ej2πmfst
]e−j2πftdt
=1
T0
∞∑m=−∞
∫ ∞
−∞x (t) · e−j2π(f−nf0)tdt
=1
T0
∞∑m=−∞
X (f − nf0)
X (f)を fs 間隔で無限に並べたものとなる。
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 36
日本語で書くと、標本化信号 x∗ (t)のスペクトルは、原信号 x (t)のスペクトルX (f)の 1
T0倍を 1周期とし、fs =
1T0間隔で繰り返す周期スペクトルとなる。(※数式のほ
うが正確)
1.4.3 標本化定理
信 5-8
保管によって、元の波形 x (t)が復元できるのか? 同じになるとならどのような条件で成立するのか?
Shaman-染谷の標本化定理 x (t)の帯域が |f | < W に周波数制限されていれば、標本化周波数 fs > 2W で標本化すれば完全に復元できる。
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 37
fs < 2W だと、
補間法
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 38
|f | < W の成分のみを通す伝達関数を持つシステム (フィルタ)を LPFと呼ぶ。
周波数軸に置けぬ LPFの時間軸上での姿
伝達関数H (f) =
{1 (|f | < W )
0
→インパルス応答 h (t) = sin 2iWt2πWt
fs = 2W の時の補間を考える→ T0 = 1f0
= 12W
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 39
標本値列
x∗ (t) =
∞∑n=−∞
x (nT0) δ (t− nT0)
=∑
x( n
2W
)δ(t− n
2W
)復元信号
x (t) =∞∑−∞
x( n
2W
)︸ ︷︷ ︸標本値列
sin 2πW(t− n
2W
)2πW
(t− n
2W
)︸ ︷︷ ︸LPF のインパルス応答
sinc関数による補間のイメージ
第 6回
信号の標本化
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 40
標本化定理 標本化したときに、スペクトルの重なりが生じなければ、、x∗ (t)からx (t)が完全に復元可能である。
(音楽 20kHz以下→ CDは 44.1kHzサンプリング)
復元法
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 41
x∗ (t) =
∞∑s=−∞
x (nT0) δ (t− nT0)
(T0 =
1
2W
)
→ x (t) =∞∑
n=−∞x
(n
1
2W
sin 2πW(t− n
2W
)2πW
(t− n
2W
) )
図的理解
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 42
� |f | < W に帯域制限された連続信号 x (t) (連続系の情報理論)
�1
2W ごとの標本値列 x(
n2W
)(サンプル値系の情報理論)
の 2つは等価である。
1.5 第 5章 信号とスペクトルのまとめ
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 43
残るは��離散周期信号
既に学んだ 3つからわかること
� 連続↔非周期
� 離散↔周期
つまり、
� 連続周期↔離散非周期
� 連続非周期↔連続非周期
� 離散非周期↔連続周期
� 離散周期↔離散周期
(色分け略)
離散フーリエ級数 1周期分
x (t) =
N−1∑n=0
x (nT0) · δ (t− nT0)︸ ︷︷ ︸離散
F0 = 1NT0
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 44
フーリエ級数展開すると
αk =1
NT0
∫ NT0
0
x (t) e−j2πkF)tdt
=1
NT0
N−1∑n=0
x (nT0)
∫δ (t− nT0) e
−j2πkF0tdt
=1
NT0
N−1∑n=0
x (nT0) e−jkF0(nT0)
=1
NT0
N−1∑n=0
x (nT0) e−j 2πN kn
(離散的)
周期性は?
αk+N =1
NT0
∑x (nT0) e
−j 2πN (k+N)n
=1
NT0
∑x (nT0) e
−j 2πN kn · e−jNN 2π·n
= αk
離散フーリエ級数の係数 αk は周期 N を持つ。
離散フーリエ変換 離散フーリエ級数に対して、
� データ x (nT0)→ x (n)
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 45
� 係数 αk ·NT0 → X (k)
と書き改める。
WN = e−j 2πN とおくと、
X (k) =N−1∑n=0
x (n) ·W k·nN
となる。N 個の離散データを N 個の係数に変換する。
行列表現すると、 X (0)X (1)...
X (N − 1)
=[W k·n
N
]
x (0)x (1)...
x (N − 1)
離散フーリエ変換 (Discrete Fourier Transform, DFT)という。
FFT(Fast Fourier Transform)の登場で DFTの高速計算が可能に。
余談: DCT (Discrete Cosine Transform)
画像圧縮のスタンダード (JPEG, MPEG...)
なぜ DCTが圧縮に適しているのか?
→ 実数→実数にしたいから。
画像中のブロックを切り出した段階では、周期性はない。
→ FFTなどの便利なツールを使いたいから周期化して考えよう
周期性の与え方に工夫の余地あり
CHAPTER 1. 第 1部 信号とスペクトル 46
第 7回
後半の予定 11/21 第 1回
11/28 駒場祭 休講
12/5 第 2回
12/12 第 3回
12/19 第 4回
12/26 休講
1/7 休講
1/16 期末試験
Chapter 2
第2部 不規則信号の解析
確率的変動を伴う信号の解析1つ 1つの信号波形そのものではなく、波形の集合と共通の性質を探る。
ここで扱うトピック 統計量 (復習)、定常性とは→集合平均、時間平均→相関関数 (自己/相互)→スペクトル密度 (電力/相互)
相関関数↔スペクトル密度: フーリエ変換対
2.1 第 6章 不規則信号の基礎
2.1.1 不規則信号とは?
� 現象
� 確定現象 (e.g. 月の動き)
� 不確定現象
* 完全に規則性のないもの* 統計的な規則性があるもの (e.g. 元旦の気温)
それぞれの事象は確率的であるが、数多く観察することで共通の性質が見えてくる。[図: 標本点と事象の集合 (標本空間)]
不規則変数 random variable (元旦の気温など)事象が数値で表される確率的統計現象
不規則信号 random signal 事象が時間信号である確率的統計現象
47
CHAPTER 2. 第 2部 不規則信号の解析 48
統計量の定義 記号の定義
� 個々の信号 xi (t): i番目の標本
� xi (t)の集合: 確率集合 ensemble
不規則信号の記述法
1. 標本信号を多数書き出す
2. 式で与える x (t) = A cos (ωt+ θ)
3. 確率分布、統計量
4. 信号の生成方法を示す (音声なら声質のモデルなど��)
2.1.2 確率密度関数と統計量
確率分布 1変数 x
確率分布 P (x) = Prob {X ≤ x} (X: 観測値)
確率密度 p (x) = ddxP (x)
[図: p (x)と P (x)]
統計量: p (x)の特徴を示すパラメータ
X の平均値・期待値
E [X] =1
N
N∑i=1
xi =
∫ ∞
−∞x · p (x) dx
= n (mean)
X の n次モーメント
E [Xn] =
∫ ∞
−∞xn · p (x) dx
= nn (moment)
CHAPTER 2. 第 2部 不規則信号の解析 49
X の n次中心モーメント
E [(X −m)n] =
∫ ∞
−∞(x−m)
np (x) dx
= µn
µ0 =
∫ ∞
−∞1p (x) dx = 1
µ1 =
∫ ∞
−∞xp (x) dx−m
∫ ∞
−∞p (x) dx = m−m = 0
µ2 = E[(x−m)
2]= δ2
δ2: (分散: variance) 分布の広がり
δ: 標準偏差µ3
δ3 : 分布の非対称性 (歪度)
µ4
δ4 − 3: 分布の非対称性 (尖度)
不規則信号 時点 t1, t2, · · · , tn における信号値を x1, x2 · · ·xn とする。
→ n個の変数の確率分布で考える。
密度
pn (x1, t1;x2, t2; · · · ;xn, tn) = lim∆1,∆2,··· ,∆n→0
Prob {x1 ≤ x (t1) ≤ x1 +∆1, x2 ≤ x (t2) ≤ x2 +∆2, · · · , xn ≤ x (tn) ≤ xn +∆n}
不規則信号の n次確率密度関数
不規則信号論の公理 不規則信号は任意の自然数 nと任意の n個の時点 t1, t2, · · · , tnにおける確率密度関数が与えられれば、完全に記述される。
不規則信号の統計量 t = t1 で定義される統計量
集合平均
E [xn (t1)] =1
N
N∑i=1
xi (ti)
CHAPTER 2. 第 2部 不規則信号の解析 50
t = t1 において、x (t1) = x1 となる確率密度関数を p (x1, t1)と表記すると、
E [x (t1)] =
∫ ∞
−∞x1p (x1, t1) dx1
(集合平均
)E[x2 (t1)
]=
∫ ∞
−∞x21p (x1, t1) dx1
(集合二乗平均
)t = t1, t = t2 で定義される統計量集合相関
E [x (t1)x (t2)] =
∫ ∞
−∞
∫ ∞
∞x1x2. (x1t1;x2t2) dx1dx2
2.1.3 定常信号
統計的な性質がどの時点観測しても同じ信号例: Ö地震波 ◯音声
定常信号の定義 {x (t) ,−∞ < t <∞} において、任意の n, τ (−∞ < τ <∞) に対して、
pn (x1, t1;x2, t2; · · · ;xn, tn) = pn (x1, t1 + τ ;x2, t2 + τ ; · · · ;xn, tn + τ)
その意味 確率集合が時間推移変換に対して不変→確率密度関数は、時間差 (t2 − t1) , (t3 − t1) , · · · , (tn − t1)のみによって記述される。2種類に分けて考えよう。
� 強定常信号 strictly Stationary Signal: すべての確率密度関数 p (t)が時間差のみの関数
� 弱定常信号 weakly Stationary Signal: 1次と 2次の統計量が時間差のみの関数
弱定常信号 期待値 E [x (t1)] = mが t1 によらず一定共分散 E [(x (t1)−m) (x (t2)−m)]が t1−t2
時間差 のみの関数になる。
上記も満たす {x (t)}を弱定常という。弱定常ならば集合平均が時刻に依存しない。では時間平均はどうなるの?
集合平均 E [x (t1)] =1N
∑Ni=1 xi (t1)← t1 に依存しない
時間平均 ⟨x (t)⟩ = 1N
∑Ni=1 x (ti)
CHAPTER 2. 第 2部 不規則信号の解析 51
エルゴード定理 エルゴード信号では、時間平均と集合平均が一致する。
→時間平均を便利に扱える。
エルゴード信号
1. 強定常であり、
2. 強定常な真部分確率集合を持たない
エルゴード仮説 複雑な定常的物理現象は、エルゴード信号とみなしてよい
第 8回
前回 不規則信号→ 1つ 1つの信号波形ではなく、集合に共通する確率的な性質を扱う。
集合を扱う→集合平均
定常性: 統計的な性質がどの時点ド観測しても同じ→時間平均をとっても変化しない。
エルゴード性: 強定常かつ強定常 (1次・2次だけでない)な真部分集合を含まない。→集合平均は時間平均に一致する。
エルゴード仮説 複雑な定常物理現象は、エルゴード信号とみなしてよい。
この仮設を信じて前進する!
CHAPTER 2. 第 2部 不規則信号の解析 52
2.2 第 7章 相関関数とスペクトル
不規則信号 (エルゴード仮説)の 2次統計量による解析
相関とは? 2変数の場合
相関
σXY =1
N
N∑i=1
(xi − x) (yi − y)
{x = 1
N
∑Ni=1 xi
y = 1N
∑Ni=1 yi
CHAPTER 2. 第 2部 不規則信号の解析 53
2つの信号の相関
σXY =1
N
∑(xi − x) (yi − y)
N ·∆t = T,∆t→ 0
σXY =1
T
∫ T2
−T2
(x (t)− x) (y (t)− y) dt
自己相関関数 x (t)と x (t+ τ)の相関
φX (τ) = limT→∞
1
T
∫ T2
−T2
x (t)x (t+ τ) dt
τ : 時間差
※ただし、x = 0と仮定して略記する。
φX (τ) = ⟨x (t)x (t+ τ)⟩ 時間平均エルゴード信号の場合、
= E [x (t)x (t+ τ)] 集合平均
CHAPTER 2. 第 2部 不規則信号の解析 54
自己相関関数の性質
1.
⟨x (t)x (t+ τ)⟩⟨x (t)x (t− τ)⟩ = ⟨x (t− τ)x (t)⟩
φX (τ) = φX (−τ): 偶関数
2. φX (0) =⟨x (t)
2⟩信号の平均電力
3. φX (0) ≥ |φX (τ)|
例 1x (t) = A cos (ωt+ θ)
※ x = 0
φX (τ) = ⟨x (t)x (t+ τ)⟩= A2 ⟨cos (ωt+ θ) cos (ω (t+ τ) + θ)⟩
=A2
2⟨cos (2ωt+ 2θ + ωτ) + cosωτ⟩
=A2
2cosωτ
←自己相関
CHAPTER 2. 第 2部 不規則信号の解析 55
例 2 白色雑音 (完全にランダム)
φX (τ) = δ (τ)
一般的には…
相互相関関数 x (t)と y (t+ τ)の相関
φX (τ) = limT→∞
1
T
∫ T2
−T2
x (t) y (t+ τ) dt
τ : 時間差
CHAPTER 2. 第 2部 不規則信号の解析 56
※ただし、x = 0, y = 0と仮定して略記する。
自己相関関数は、y (t) = x
と置いた時の相互相関関数であるとみなされる。
相互相関関数の性質
1. 必ずしも偶関数とは限らない。
φXY (τ) = ⟨x (t) y (t+ τ)⟩φXY (−τ) = ⟨x (t) y (t− τ)⟩
= ⟨y (t− τ)x (t)⟩ = φY X (τ)
φXY (−τ) = φY X (τ)が成立する。
2. |φXY (τ)| ≤√
φX (0)φY (0)
使い方の例
雑音 n (t) どんなに大きくても構わないが、入力 x (t)と無相関である。
CHAPTER 2. 第 2部 不規則信号の解析 57
φXY (τ) = ⟨x (t) y (t+ τ)⟩(展開
)= ⟨x (t) {x (t− t0 + τ) + n (t+ τ)}⟩= ⟨x (t)x (t− t0 + τ)⟩+ ⟨x (t)n (t+ τ)⟩= ⟨x (t)x (t+ (τ − t0))⟩ = φX (τ − t0)
φXY (τ)を t0 だけ平均移動したもの→ t0 に最大値を持つので、φXY (τ)が最大になる τ が遅延 t0 を表す。
このような使い方をする時の注意点 φX (τ)が、インパルス関数のような形であることが望ましい。→白色雑音が最も効果的ちゃんと正規化したいときは、
ρX (τ) =φX (τ)
φX (0)
ρXY (τ) =φXY (τ)√
φX (0)φY (0)
第 9回
前回 相関関数: 不規則信号の 2次統計量による解析自己相関関数 φX (τ) (時間差 τ だけの関数)
相互相関関数 φXY (τ)
[2] 電力スペクトル密度 目的: 不規則信号の周波数分布を調べたい→位相はここの標本信号ドバラバラなので無視。振幅に着目する
CHAPTER 2. 第 2部 不規則信号の解析 58
定義
ΦX (f) = limT→∞
1
TE[|X (f)|2
]E[|X (f)|2
]: 2乗の集合平均「電力」
性質
1. ΦX (f) ≥ 0
2. x (t): real のとき、ΦX (f) = ΦX (−f)
→偶関数になる
|X (f)|2 = |X (−f)|2 ⇐ X (−f) = X∗ (f)
波形全体の電力
P = E
[1
T
∫T
|x (t)|2 dt]
= E
[1
T
∫ ∞
−∞|X (f)|2 df
] (∵パーセバルの等式
)=
∫ ∞
−∞
1
TE[|X (f)|2
]df
=
∫ ∞
−∞ΦX (f) df
ΦX (f): 平均電力を周波数分解したもの
CHAPTER 2. 第 2部 不規則信号の解析 59
x (t): real で、ΦX (f)が偶関数のときは�
P =
∫ ∞
−∞ΦX (f) df
=
∫ ∞
0
Φ′X (f) df
ΦX (f): 両側電力スペクトル密度Φ′
X (f) = 2ΦX (f): 片側電力スペクトル密度
相互スペクトル密度
ΦXY (f) = limT→∞
1
TE [X∗ (f)Y (f)]
(y (t) = x (t) , Y (f) = X (f)のときは、電力スペクトル密度になる)
性質
CHAPTER 2. 第 2部 不規則信号の解析 60
1. ΦXY (f) = Φ∗Y X (f)
2. |ΦXY (f)| ≤√ΦX (f) ΦY (f)
→正規化・コヒーレンシー γXY (f) = ΦXY (f)√ΦX(f)ΦY (f)
3. Wiener-Khinchinの定理
略証
1
TE[|X (f)|2
]=
1
TE [X∗ (f)X (f)]
=1
TE
[∫T
x (t) ej2πftdt
∫T
x (t′) e−j2πft′dt′]
=1
T
∫T
∫T
E [x (t)x (t′)] e−j2π(t′−t)dtdt′
=1
T
∫∫E [x (t)x (t+ τ)] e−j2πftdtdτ
=1
T
∫T
dt
∫φX (τ) e−j2πfτdτ
→電力スペクトル密度は φX (τ)のフーリエ変換になる
CHAPTER 2. 第 2部 不規則信号の解析 61
CHAPTER 2. 第 2部 不規則信号の解析 62
第 10回
期末試験 1/16(月) 8:30~
※レポート返却は今日まで
2.3 第 8章 信号ベクトルの表現
目的 x =
x1
x2
...xN
と表記されるような信号を扱う。どのような場合に xを扱うのか?
images/SignalAnalysys/10-1.jpg
CHAPTER 2. 第 2部 不規則信号の解析 63
images/SignalAnalysys/10-2.jpg
確率密度関数p (x1, x2, · · ·xN ) = p (x)
p: スカラー値出力x: ベクトル入力
images/SignalAnalysys/10-3.jpg
統計量
1. 期待値ベクトル
n = E [x] =
E [x1]E [x2]
...E [xN ]
2. 共分散行列
N ×N 行列 (ij 要素
)= E
(xi − xi)︸ ︷︷ ︸x′iと表記
(xj − xj)
CHAPTER 2. 第 2部 不規則信号の解析 64
Λ =
E [x′
1x′1] E [x′
1x′2] · · · E [x′
1x′N ]
E [x′2x
′1]
. . ....
. . .
E [x′Nx′
1] · · · · · · E [x′Nx′
N ]
対角成分は各成分の分散
非対角成分は成分間の相関
すなわち、
Λ = E
x′1
x′2...
x′N
︸ ︷︷ ︸
N×1
[x′1 x′
2 · · · x′N
]︸ ︷︷ ︸1×N
= E
[(x−m) (x−m)
t]
共分散行列の性質
1. x: real ならば、Λは実対称行列
2. Λの固有値は非負の実数
3. xの成分が互いに無双間のときは、対角行列
多次元ガウス信号 p (x)が多次元ガウス分布になっている信号
1次元の復習
p (x) =1√2πσ2
e−(x−m)2
2a2
{m = E [x]
σ2 = E[(x−m)
2]
CHAPTER 2. 第 2部 不規則信号の解析 65
多次元の場合
p (x) =1√
(2π)N |Λ|
exp
−1
2(x−m)
t︸ ︷︷ ︸1×N
Λ−1︸︷︷︸N×N
(x−m)︸ ︷︷ ︸N×1︸ ︷︷ ︸
スカラー
x: ベクトル
|Λ|: 共分散行列の行列式 (スカラー)
Λ−1: 共分散の逆行列
images/SignalAnalysys/10-4.jpg
等高線とは?p (x) = const
→ (x−mt) Λ−1 (x−m) = const
→等高線は楕円 (ガウスの場合)
images/SignalAnalysys/10-5.jpg
多次元が薄信号の特別な場合
CHAPTER 2. 第 2部 不規則信号の解析 66
1. x1, x2, · · · , xN が無相関
Λは対角行列
p (x) = p (x1) p (x2) · · · p (xN )
積の形に分解できる
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2. さらに σ21 = σ2
2 = · · · = σ2N のとき
Λ = σ21
[1 00 1
]
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ベクトルの線形変換y = Ax
y: 出力ベクトル
A: システム行列
x: 入力ベクトル
CHAPTER 2. 第 2部 不規則信号の解析 67
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期待値ベクトルE [y] = E [Ax] = AE [x] = Am
共分散行列 m = 0として表記
Λy = E[yyt
]= E
[Ax · xtAt
]= AE
[xxt
]At
= AΛXAt
Λy = AΛxAt
Λy 出力の共分散
Λx 入力の共分散
無相関化
images/SignalAnalysys/10-9.jpg
CHAPTER 2. 第 2部 不規則信号の解析 68
images/SignalAnalysys/10-10.jpg
KL変換 (カルーネン・レーベ変換)
Λy = AΛxAt
Λy を対角行列にしたい (無相関化のためには)
A: Λxの固有値 λ1, λ2, · · · , λN に、それぞれに対応する固有ベウトルを行ベクトルとする行列
Λy: λ1, λ2, · · · , λN を対角要素とする対角行列
情報圧縮の分野では��
x入力
A−→ y圧縮・送信
伝送−−→ y受信
A−1
−−−→ x復号
符号化暗号化などのシステムでは、Aが入力 xに依存しないことが望ましい。
画像圧縮の場合は、KLを理論限界とみなして固定的な Aで最も効果的な物を探した→ DCT (Discrete Cosine Transform)