志賀日赤だより志賀日赤だより志賀日赤だより◎　第23号　◎

発 行：平成28年10月大津赤十字志賀病院〒520-0580　大津市和邇中298

ＴＥＬ：077-594-8777

ＦＡＸ：077-594-8778

大津赤十字志賀病院

「ダマされるな！医者に出されても 飲み続けてはいけない薬」に惑わされないで！ 循環器科部長　森川　雅

もりかわ　　まさる

　「先生、週刊誌に私が飲んでいるプラビックスが、飲んではいけないと書い

てました。やめたいんです。」

　「あなたは心臓の血管にステントを入れています。この薬を飲まないとせっ

かくステントで広げたところが血栓でつまってしまう危険性が高くなります。」

　「でもなんかしんどいのはこの薬のせいだと思うんです。今回はやめてみた

いんです。」

　　6月に某週刊誌で「ダマされるな！医者に出されても飲み続けてはいけな

い薬」という特集があり、「高血圧のディオバン、糖尿病のアクトス、コレス

テロールのクレストール、認知症のアリセプト、脳卒中のプラビックスほか」

と具体的な商品名をあげて、新聞広告に大きく掲載されました。これらの薬は医療機関でよく処方される

ものばかりなので、多くの人が「自分の薬だ」と注目します。そして体がだるかったり、どこかが痛かっ

たりするのはこの薬のせいだと思った多くの人が、主治医に訴えることとなりました。相談される人はま

だいいのですが、勝手に薬をやめてしまう人も少なくなく、医療の現場は大きく混乱しました。特集のお

かげでこの週刊誌は売れ行きを大幅に伸ばしたとのことで、その後も薬や手術を批判する特集が毎号続け

られ、これを書いている現在第 12弾に及んでいます。

　実際記事を読む（買うと出版社の思うつぼなので、インターネットで見ました）と先ほどのプラビック

スについても、「心筋梗塞のステント治療の後にこの薬を飲むと再発が大きく防げることがわかっていま

す。」と書かれていますが、多くの患者さんは実際の記事の内容を読んでいるわけではありません。新聞

広告の影響は絶大です。

　私たちからすればなぜ上記の薬だけが槍玉にあげられているのか理解に苦しみますし、記事に書かれて

いる副作用など十分承知の上で気をつけながら処方しています。この特集では多くの人が飲んでいる薬を

取り上げ、確率的には低い副作用を強調し、あたかも皆に重い副作用が出てしまうかのように表現し、「こ

んなにこわい薬だから飲んではいけない」と結論付けています。薬は化学物

質ですから、副作用の全くない薬はありません。漢方薬でも重い副作用が出

てしまうことはあります。リスクに気をつけながらメリットを生かしていく

というのが人類の知恵で、リスクがあるからダメというのでは、車にも飛行

機にも乗れません。

　この特集を見て薬をやめれば、何かが起こる確率は確実に高くなります。

そして何かが起こっても、誰も補償はしてくれません。どうかこのような特

集記事に惑わされないで、信頼できる主治医とよく相談して、納得のうえで

治療を続け、自身の健康を守っていってください。

志賀日赤の健康教室開催のご案内

大津赤十字志賀病院の医師やスタッフによる健康教室を地域の皆様を対象に開催します。健康に役立つ内容で

わかりやすくお話します。ぜひ、ご参加ください。

尚、今回は第４回志賀健康いきいき祭り内での開催となります。

●プログラム

日　時　●　平成 28年 11月 12日（土）　10：30　～　12：00

受　付　●　10：00　～

場　所　●　大津市和邇文化センター　　　　　　（ＪＲ和邇駅より徒歩 5分　駐車場あり）

テーマ　●　第 1部：「生活習慣病を知ろう！！　高血圧のお話」　　　　　　　　循環器科部長　　森川　雅

　 　 第 2部：「今からとりくもう！！　食事療法のコツ」　　　　　　　　　　～今日の晩ごはん、何にする？～　　　　　　　　管理栄養士　　　中田　有紀子

持 物　●　筆記用具等

※講師の都合上、変更することがありますので、ご了承願います。※日程の変更等は病院ホームページ上でご案内いたします。

お問合せ℡：077-594-8777Ｅ -m a i l ：soumu@otsu-shiga.jrc.or.jp

▲第 5回健康教室の模様

無料・申込不要

診療受付時間午　前 ● 8時30分　～　11時30分午　後 ● 12時00分　～　15時00分

※但し、緊急を要する患者さま　につきましては随時受け付け　しております。

ご案内

MRI 装置の更新 放射線技術課長　猪飼　正夫いかい　　　まさお

　MRI は、「磁気共鳴画像」と呼ばれる診断法で、検査台に寝た状態で磁石の埋め込まれたトンネルに入り、FM

ラジオで用いる電波を体に当て、体内の水素原子の分布や状態を調べ画像にする検査です。CTのようにX線を

使わない為、被爆しません。検査による痛みもありません。

　８月 29日より、MRI 装置が更新され稼働しています。従来の装置より、検査中の騒音も軽減し、コンパクト

でありながら広い開口で圧迫感の少なく明るい検査環境にて安心して検査を受けて頂けます。細部までよくわ

かる高画質の画像が得られ正確な診断ができます。

　MRI では、体内の様々な病巣を発見することができますが、特に脳、脊

椎・脊髄、肝臓・膵臓、子宮・卵巣・前立腺等の骨盤内臓器、四肢などでは、

圧倒的な検査能力を持っています。また、造影剤を使用せず血管（MRA）

や胆管・膵管 (MRCP) だけを画像にでき、動脈瘤や狭窄等の病気を描

出できます。また、乳房専用のコイルも導入し、従来よりも幅広い全身の

診断に効果が期待できます。