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Page 1: ごあいさつ - Regional development · 浅田 康史 アサダ コウジ 青年海外協力隊ob (ベトナム村落開発普及員、05.11-07.11) 大嶋 恭子 オオシマ
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ごあいさつ i

ごあいさつ

はじめに、第6回UNCRDスタディキャンプも成功裡に終了しましたことを関係者の皆様

にご報告するとともに、第1回からの変わらぬご支援・ご協力に厚く感謝いたします。

今回のスタディキャンプでは、「持続可能な開発にむけて~アジアと未来を分かち合う

ために~」をテーマとし、アジア諸国において技術協力や国際協力分野の第一線で活躍す

る専門家を講師に招き、論文審査と面接で選ばれた18人の参加者が、アジア諸国に対し

て日本はどのような貢献ができるのかについて、夜を徹して討議しました。

期間中参加者は、講義や様々なプログラムを通じ、いかに相手を引き付け自分の信念を

貫きつつも諦めずに説得するかという、コミュニケーションやディベートの難しさを体感

しましたが、同時に、異なった考えを持つ人々と合意に到達したときの達成感や喜びも体

得することができました。異なる文化や価値観を持つ人々との合意形成がより一層求めら

れるグローバル社会において、この経験は必ず役に立つことでしょう。

また、第3回UNCRDスタディキャンプ修了生が地球の裏側のハイチからアドバイザーと

してこのキャンプに駆けつけ、後輩の指導にあたってくれました。今後、修了生の中から

アドバイザーや講師として、指導する側に立つ修了生がますます増えていくことが期待さ

れます。

お蔭様で第1回からの修了生が100名を越えました。この報告書の巻末に修了生の近

況報告を掲載いたしましたので、ご覧いただければ幸いです。これら修了生の活躍を見る

につけ、「地球規模の問題を自らの問題ととらえ、地域社会および国際社会で指導的役割

を担える人材の育成」というUNCRDスタディキャンプ企画当初の目的が達成されつつある

と自負しております。これも第1回からの歴代講師の皆様、アドバイサー、ファシリテー

タはじめ、ご協力いただいた全ての皆様のお蔭と感謝せずにはいられません。

国連地域開発センターでは、このようなキャンプを継続して開催し、若者たちの視野拡

大や地域の国際化に貢献したいと思っております。今後とも、皆様からの変わらぬご支

援・ご協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

国連地域開発センター所長

小野川和延

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第6回 UNCRDスタディキャンプ「持続可能な開発にむけて~アジアと未来を分かち合うために~」

Sixth UNCRD Study CampTowards Sustainable Development: Our Future Perspectives in Asia

前列右から4人目より、竹内ゆみ子・NPO法人ソムニード専務理事、大田正豁・元JICA国際協力専門員、小野川和延・国際連合地域開発センター所長、アーナンダー・クマーラ・鈴鹿国際大学国際学科教授

伊東早苗・名古屋大学大学院国際開発研究科准教授、鈴田恵里子・ユニセフハイチ事務所、プロテクション・オフィサー

持続可能な開発のためのワークショップ「2108」

第6回 UNCRDスタディキャンプ

フォトアルバムii

ワークショップ

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クマーラ先生

竹内ゆみ子先生

伊藤早苗先生 アドバイザー・鈴田恵里子

大田正豁先生

コーディネーター・小野川和延・UNCRD所長

フォトアルバム iii

講義

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チャレンジング・セッション

ナイトタイムディスカッション

第6回 UNCRDスタディキャンプ

フォトアルバムiv

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全体ディスカッション

ナイトタイムディスカッション

フォトアルバム v

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グループ発表

修了式

第6回 UNCRDスタディキャンプ

フォトアルバムvi

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目次 1

ごあいさつ .............................................................................................................................................................................. i

フォトアルバム ................................................................................................................................................................. ii

目次 .............................................................................................................................................................................................. 1

参加者一覧

参加者 ................................................................................................................................................................................... 2

講師・コーディネーター・アドバイザー・

ファシリテーター・ボランティア・事務局スタッフ ....................................................................... 3

スケジュール ...................................................................................................................................................................... 6

グループ発表 ........................................................................................................................................................................ 9

「国連/国際機関」グループ  .............................................................................................................................. 10

「政府開発援助(ODA)」グループ  .............................................................................................................. 12

「国際協力 NPO/NGO」グループ  ............................................................................................................... 14

「地域コミュニティ活動と社会起業家」グループ  ............................................................................. 16

スタディキャンプレポート 

「私が考える持続可能な開発とは」 ................................................................................................................. 19

「UNCRDスタディキャンプに参加して」.................................................................................................... 19

第1回~第5回スタディキャンプ参加者の近況報告とメッセージ................................................... 39

目  次

第6回 UNCRDスタディキャンプ報告書

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第6回 UNCRDスタディキャンプ

参加者2

参加者

名  前 カ  ナ 所属

グループ1<国連/国際機関> 伊東早苗先生、アドバイザー:鈴田恵里子氏、ファシリテーター:中川瑠美氏

グループ2<政府開発援助(ODA)> 大田正豁先生、ファシリテーター:渡邉英利子氏

浅田 康史 アサダ コウジ 青年海外協力隊OB (ベトナム村落開発普及員、05.11-07.11)

大嶋 恭子 オオシマ キョウコ 名古屋大学農学部応用生物科学科3年

上杉 高正 ウエスギ タカマサ 南山大学総合政策学部総合政策学科4年

大薮 里奈 オオヤブ リナ 愛知淑徳大学文化創造学部多元文化専攻4年

加藤 丈嗣 カトウ タケシ 日本福祉大学社会福祉学部社会福祉学科3年

月岡 勇気 ツキオカ ユウキ 豊橋技術科学大学工学部電気・電子工学課程3年

山田 瑞穂 ヤマダ ミズホ 愛知教育大学教育学部国際理解教育課程 日本語教育コース3年

野村 友紀 ノムラ ユキ 財団法人名古屋国際センター(広報情報課)

グループ3<国際協力NPO/NGOの活動> 竹内ゆみ子先生、ファシリテーター:大久保直樹氏

グループ4<地域コミュニティ活動と社会起業家> アーナンダ・クマーラ先生、ファシリテーター:小島孝太氏

岩本 麻未 イワモト マミ 名城大学農学部生物環境科学科2年

河辺 亮輔 カワベ リョウスケ 名古屋大学大学院国際開発研究科1年

愛知大学現代中国学部国際関係専攻3年 徐 文 ジョ ブンキン

中山 泰宏 ナカヤマ ヤスヒロ 南山大学総合政策学部総合政策学科2年

溝辺 育代 ミゾベ イクヨ 株式会社M-easy

神田 すみれ カンダ スミレ 名古屋大学大学院国際開発研究科1年

橋本 泰 ハシモト タイ 豊橋技術科学大学機械システム工学課程3年

渕上 雅文 フチカミ マサフミ 三菱電機株式会社(経理部)

若松 万里子 ワカマツ マリコ 南山大学総合政策学部総合政策学科3年

坂 有祈子 バン ユキコ 四日市市中部地区市民センター

金 金 金

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講師・コーディネーター・アドバイザー・ファシリテーター・ボランティア・事務局一覧 3

講師・コーディネーター・アドバイザー・ファシリテーター・ボランティア・事務局一覧

■講師

大田 正豁(おおた・まさひろ)元国際協力事業団(JICA)国際協力専門員

1965年北海道大学農学部卒。現在の環境省に入省し、フィールドにて国立公園管理、自然環境保全、野生動物管理

に従事。4年半にわたり国連環境計画(UNEP)アジア太平洋地域事務所次長を経験したことを契機に、幅広い環境管理を経

験し、タイ、フィリピンの環境担当部局のアドバイザー、インドネシア環境管理センターのプロジェクト・リーダーを経

験するとともに、その他多くの開発途上国の環境管理強化のためのプロジェクト発掘・デザイン、実施、研修活動等に約2

5年の経験を有する。

アーナンダ・クマーラ 鈴鹿国際大学国際学科教授・国際交流センター所長

開発と文化研究センター・チーフコーディネーター、NPO法人タランガ・フレンドシップ・グループ理事長

1982年スリジャヤワルダナプラ大学・大学院修了、翌年国費留学生として来日、東京工業大学大学院で工学修士・

博士号を取得。 1989年国際連合地域開発センター(UNCRD)研究員。1994年鈴鹿国際大学に就任。 インド洋ス

マトラ沖地震による津波被害者に関する調査や被害者に対する直接的な支援事業を実施。愛知県・新たな国際化推進計画

策定検討会議、三重県・多文化共生社会検討委員会各委員。スリランカ出身。

竹内 ゆみ子(たけうち・ゆみこ)NPO法人ソムニード専務理事・国内事業統括責任者

1993年NPO法人ソムニード前進の団体設立から活動に関わる。デザイン技術を活かし編集、広報活動に従事、そ

の後国内事業を担う。また飛騨地域を現場とし国内外NGO研修プログラムを開発、人材育成事業を担う。NPO法人名

古屋NGOセンター理事、NPO法人地域の未来・志援センター、(財)岐阜県教育文化財団理事等。

伊東 早苗(いとう・さなえ)名古屋大学大学院国際開発研究科准教授

1999年サセックス大学開発研究所 D. Phil(開発研究)。1980年代、青年海外協力隊員(社会学)として、バング

ラデシュ農村開発研究所に2年間勤務。その後、JICA(ジュニア専門員)、国際開発高等教育機構(研究員)に勤務。20

01年より現職。開発途上国の貧困問題、小規模金融、農水産業分野のグローバリゼーションについて研究と教育に従事。

■コーディネーター

小野川 和延(おのがわ・かずのぶ)国連地域開発センター(UNCRD)所長

1972年京都大学工学部卒業。同年環境省(旧環境庁)入庁。国際連合環境計画(UNEP)アジア太平洋地域事務局次

長(88-91、在バンコク/タイ)、環境庁大気保全局特殊公害課長(93-94)、環境庁自動車環境対策第一課長(94

-96)、国際応用システム解析研究所(IIASA、在オーストリア)上席研究員(96-97)、国立環境研究所主任研究企

画官(97-00)、中東欧地域環境センター事務局次長および日本特別基金局長(00-02、REC:在ハンガリー)。

2002年7月1日から現職。

■アドバイザー

鈴田 恵里子(すずた・えりこ)国連児童基金(ユニセフ)ハイチ事務所 プロテクションオフィサー

国際基督教大学社会科学科卒、政治学院ストラスブール校(フランス)ディプロマ取得後、民間(金融・人事)で勤務する

かたわらロンドン大学インペリアルカレッジで開発修士号取得(2005)。アフガニスタン・イランでのNGO活動を経て、

UNCRDリサーチインターン。その間第3回UNCRDスタディキャンプに参加。JICAタンザニア短期専門家(2005)、国

連開発計画(UNDP)プログラムアシスタント(東京事務所2006)を経て2006年11月より現職。人身売買、児童

労働などで被害をうけた子供達の保護を担当。

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第6回 UNCRDスタディキャンプ

講師・コーディネーター・アドバイザー・ファシリテーター・ボランティア・事務局一覧4

講師・コーディネーター・アドバイザー・ファシリテーター・ボランティア・事務局一覧

■ファシリテーター

大久保 直樹(おおくぼ・なおき)名古屋市総務局企画部大都市・広域行政推進室

大学卒業後、ワーキングホリデービザで1年間ニュージーランドにて過ごす。そこでの体験が現在の生き方の根幹とな

る。名古屋市に入庁後は、住宅都市局において、再開発事業・都市計画の策定など一貫して「まちづくり」に係る業務に

携わる。2007年4月より現所属。モットーは、常に国際感覚をもつことと、現場を大事にすること。第5回スタディ

キャンプにて最優秀グループ賞受賞。

小島 孝太(こじま・こうた)名古屋大学文学部東洋史学専攻4年

大学で東洋史学を学ぶ傍ら、国際協力や地域振興等にも興味を持ち、第5回スタディキャンプに参加。今回、卒業を間

近に控え、今一度 国際開発・協力のあり方について参加者の皆さんと一緒に学び考えていきたい。地域に伝わる伝統芸能

「島文楽」の保存継承活動に勤しむなど、地元一宮をこよなく愛する。

中川 瑠美(なかがわ・るみ)名古屋大学農学部資源生物学科4年

大学4年間=ラクロス。怪我の2年間を経て最後の夏に念願の東海決勝へ。目標をあと1点で逃すが、ラクロスを通じ

て人とのかけがえのないつながりを学び、スポーツからの国際貢献に関心を持つように。学部では分子レベルでの耐病性

植物の研究に触れる。漫才好き。周囲の幸せが自分の幸せだと思いながらも、未熟な自分を実感し日々奮闘中。第5回ス

タディキャンプにて最優秀グループ賞受賞および講師の平石先生から特別賞受賞。

渡邉 英利子(わたなべ・えりこ)会社員

南山大学総合政策学部卒業。ハウスメーカーの営業職を経て、現在地元の印刷会社に勤務。学生時代、米・カナダ・イ

ンドに留学をし、各国のNPO活動に携わる。第2回スタディキャンプに参加。古い町並み保存活動を行うNPOに焦点を

当てた発表を行い、最優秀グループ賞を受賞。現在は、社会人として、企業が社会に果たす役割とそこで働く人々との関

係性をテーマに理想と現実のギャップに向き合いながら日々全力で奔走中。

■ボランティア

松原 小夏(まつばら・こなつ)愛知県立大学外国語学部英米学科4年

4月から中学校教員として勤務する予定だが、開発・国際理解教育の目指すべきところ、自分ができることなど、未だ

模索中。グローバル化による地球環境への影響に関心があり、ボランティアとして参加しながら考えを深めたい。

河口 美緒(かわぐち・みお)愛知県立大学外国語学部英米学科4年

大学在学中に日本語教室のボランティアを始め、国際協力に興味を持つ。フィリピンで約2ケ月にわたる環境教育のボ

ランティアを経験。

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講師・コーディネーター・アドバイザー・ファシリテーター・ボランティア・事務局一覧

■事務局

脇阪 桂子(わきさか・けいこ)国連地域開発センター広報室 オペレーションオフィサー

愛知教育大学地理学科卒業後、UNCRDの研究助手として途上国プロジェクト対象地域の地図作成や統計資料の集計・解

析に携わる。年次報告の翻訳などの日本語出版担当を経て、国内向け広報担当。セミナー、シンポジウムなどを企画運営。

キャンプ期間中に参加者がどんどん積極的になっていく姿を見るのが何よりも嬉しい。

井上 直子(いのうえ・なおこ)国連地域開発センター広報室 オペレーションアシスタント

コンピューター会社でSEなどを経験後、2000年にUNCRDへ。コンピューターの知識を活かし、UNCRDホームペー

ジの作成・管理を担当。また、国際理解教育支援として学校などを対象に国連とUNCRDに関する講義を行っているほか、

UNCRDボランティアプログラムの運営にも携わる。毎年キャンプ参加者の熱い意欲に刺激され、生活のエコ指数も上昇中。

名古屋大学文学部文学科(英文学専攻)卒。

田中 秀(たなか・しげる)国連地域開発センター広報室(愛知県庁より出向)

愛知県健康福祉部、企画振興部において、保健衛生行政や統合型地理情報システム(GIS)の整備推進などに従事。20

07年4月より愛知県地域振興部国際課からUNCRDに出向。途上国行政官向け研修業務、国内向け広報活動を担当。日本

大学法学部卒業。

講師・コーディネーター・アドバイザー・ファシリテーター・ボランティア・事務局一覧 5

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第6回 UNCRDスタディキャンプ

スケジュール6

スケジュール 2008年3月13日(木)

8:408:50

8:408:50

10:00-10:15

10:15-10:30

10:30-10:45

10:45-10:50

10:50-12:30(100分)

12:30-13:30

13:30-15:30(120分)

15:30-15:45

15:45-16:00

16:00-17:30(90分)

17:30-17:45

17:45-18:45(60分)

18:45-19:00

19:00-20:30

20:30-

バス1グループ 名古屋駅太閤通口 高砂殿前道路(新幹線側サンクス前) 集合出発 

バス2グループ  名古屋国際センタービル1階ロビー集合出発

「かんぽの宿・知多美浜」到着、自己紹介とオリエンテーション (各自の荷物は2階201へ)

休憩(15分)

開会式 主催者挨拶: 小野川和延・UNCRD所長 (2階会議室)

休憩 (5分)

持続可能な開発のためのワークショップ 「 2108 」(アイスブレイキング)ファシリテーター: 中川瑠美、渡邉英利子、大久保直樹、小島孝太(第2回・第5回UNCRDスタディキャンプ参加者) (2階会議室)

昼食(60分) (2階レストラン)

基調講義 大田 正豁・元国際協力事業団(JICA)国際協力専門員「アジアと未来を分かち合うために~開発途上国のニーズ把握: フィリピンを事例に」ディスカッション                        (2階会議室)

写真撮影 (2階大広間)

コーヒーブレイク(15分)

セッションI 講義1 アーナンダ・クマーラ・鈴鹿国際大学教授「開発途上国からみた日本の国際協力: スリランカを事例に」

ディスカッション (2階会議室)

コーヒーブレイク(15分)

全体ディスカッション(1)コーディネーター: 小野川和延UNCRD所長 (2階会議室)

チェックイン

夕食(90分) (2階大広間)

ナイトタイムディスカッション、休憩・入浴グループ1《国連/国際機関》 伊東早苗先生、アドバイザー鈴田恵里子

ファシリテーター中川瑠美 (2階201)グループ2《政府開発援助》 大田正豁先生、ファシリテーター渡邉英利子 (2階202)グループ3《国際協力NGO/NPO》竹内ゆみ子先生、 ファシリテーター大久保直樹 (2階203)グループ4《地域コミュニティ活動と社会起業家》 アーナンダ・クマーラ先生

ファシリテーター小島孝太 (2階205)

(入浴時間: 夜12時まで、朝は5時から9時まで)

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スケジュール 3月14日(金)

7:15-8:30

8:45-10:15(90分)

10:15-10:25

10:25-11:55(90分)

11:55-12:05

12:05-13:00(55分)

13:00-14:00

14:00-15:30(90分)

15:30-15:45

15:45-17:00(75分)

17:00-18:00(60分)

18:00-18:30

18:30-20:30

20:30-

朝食 (2階レストラン)

セッションI 講義2 竹内ゆみ子・ソムニード専務理事「海外で自立支援&国内で地域作り」ディスカッション (2階会議室)

コーヒーブレイク(10分)

セッションI 講義3 伊東早苗・名古屋大学大学院国際開発研究科准教授 「援助から貿易へ-バングラデシュと日本をつなぐもの」ディスカッション

コーヒーブレイク(10分)

全体ディスカッション(2)コーディネーター: 小野川和延所長 (2階会議室)

昼食(60分) (2階レストラン)

セッションII チャレンジング・セッショングループ対抗「討論」判定  (2階会議室)

コーヒーブレイク(15分)

グループディスカッショングループ1《国連/国際機関》 伊東早苗先生、アドバイザー鈴田恵里子

ファシリテーター中川瑠美        (2階201)グループ2《政府開発援助》  大田正豁先生、ファシリテーター渡邉英利子   (2階202)グループ3《国際協力NGO/NPO》竹内ゆみ子先生、 ファシリテーター大久保直樹  (2階203)グループ4《地域コミュニティ活動と社会起業家》 アーナンダ・クマーラ先生

ファシリテーター小島孝太 (2階205)

全体ディスカッション(3)コーディネーター: 小野川和延UNCRD所長 (2階会議室)

休憩(30分)

夕食(120分) (2階大広間)

ナイトタイムディスカッション、発表準備、入浴グループ1《国連/国際機関》 伊東早苗先生、アドバイザー鈴田恵里子

ファシリテーター中川瑠美       (2階201)グループ2《政府開発援助》  大田正豁先生、ファシリテーター渡邉英利子   (2階202)グループ3《国際協力NGO/NPO》竹内ゆみ子先生、 ファシリテーター大久保直樹  (2階203)グループ4《地域コミュニティ活動と社会起業家》 アーナンダ・クマーラ先生

ファシリテーター小島孝太 (2階205)

スケジュール 7

(入浴時間: 夜12時まで、朝は5時から9時まで)

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スケジュール 3月15日(土)

7:15-8:45

9:00-9:15

9:15-9:30

9:30-9:45

9:45-10:00

10:00-10:15

10:15-10:30

10:30-10:45

10:45-11:00

11:00-11:30

11:30-13:00

13:00-13:15

13:15-14:30

14:30-15:00

15:00

16:00

朝食                           (2階レストラン)

チェックアウト

荷物を201へ移動

グループ発表とディスカッション

グループ1《国連/国際機関》

質疑応答およびコメント

グループ2《政府開発援助》

質疑応答およびコメント

グループ3《国際協力NGO/NPO》

質疑応答およびコメント

グループ4《地域コミュニティ活動と社会起業家》

質疑応答およびコメント (2階会議室)

コーヒーブレイク (30分)

修了式と全体ディスカッション(4)

修了証授与、最優秀者グループの表彰、総評

コーディネーター: 小野川和延UNCRD所長 (2階会議室)

アンケート記入

フェアウェルランチ (2階レストラン)

出発準備

名古屋駅太閤口(新幹線側)行きバス出発 16:00到着予定

名古屋国際センタービル行きバス出発 17:00 到着予定

スケジュール8

第6回 UNCRDスタディキャンプ

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9

グループ発表Group Presentation

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第6回 UNCRDスタディキャンプ

グループ発表10

「国連/国際機関」グループ/Sustainable Happiness Camp ̃持続可能な開発に向けた国連の役割̃

上杉高正、大藪里奈、坂有祈子、浅田康史

Sustainable Happiness Campとは?

アジア諸国における国家の枠組みを超えて、お互

いがお互いの幸せを分かち合い、今自分たちが持っ

ている幸せに気づき、自分たちが持っていない幸せ

を学ぶことで、バランスの取れた幸せ(Sustainable

Happiness)を持つ場を提

供することを目的とし

た、国連主導のスタディ

キャンプです。

(主催:UNCSH※)

※UNCSH:United

Nations Centre for

Sustainable Happiness

私たちの幸せとは?

まず我々は「自分の幸せ」とは何か、について話

し合いました。意見を出し合いグルーピングすると、

大きく二つのカテゴリーに分類することができまし

た。「経済的な幸せ」と「精神的な幸せ」です。そし

て出てきた意見の数は圧倒的に「精神的な幸せ」の

ほうが多かった。これは私たち日本人が精神面での

幸せをより多く望んでいる、ということが推測でき

る結果です。

次に、途上国で同様のブレインストーミングをし

たらどのような結果になるかを考えました。その際

に、国によって文化・風習等が異なるため単なるブ

レインストーミングでは意見が四方八方に散ってし

まうという配慮から、上記の「精神的な幸せ」と

「経済的な幸せ」を中心に考えました。そしてグルー

プメンバーがこれまで会ったことのある途上国の友

人・知人の考え方や意見をもとにしつつ、インター

ネット上の情報を参考にしながら話を進めた結果、

途上国では「経済的な幸せ」を望む声が集中的に集

められました。

日本:精神的な幸せ>経済的な幸せ

途上国:精神的な幸せ<経済的な幸せ

という構図が見えてきましたが、これだけで私た

ちの幸せの構造全てを表現しているわけではいない、

ということが我々の議論の焦点でした。なぜなら、

我々日本人はすべからく精神的に満たされていない

としても、途上国の人々と比べれば経済的な幸せは

享受しているし、途上国の人々は経済的に恵まれて

いなくても我々から見たら精神的に豊かだと思わせ

る機会は多くある。つまり両者とも自分たちが有して

いる幸せについては、それが当たり前であるゆえに

気づいていないだけではないか、と考えたのです。

そして、私たちがより幸せになるには、自分が有し

ている幸せに気づき、加えて私たちが望む幸せにつ

いて新たに学ぶことが重要であるという結論にたど

り着きました。そこで考案したのが、Sustainable

Happiness Campです。それはアジア諸国における多様

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グループ発表 11

なバックグラウンドを持つ国の人々を集めスタディ

キャンプに参加してもらうことで、自分の持ってい

る幸せに気づき新たな幸せについて学ぶ機会を提供

するものです。これは参加者が精神的にも経済的に

もバランスのとれた幸せ(Sustainable Happiness)を

享受できることを目指した人材交流・育成事業です。

なぜ国連か?

スタディキャンプを実施するには各国から参加者

を募るため、規模が大きくなり、また参加費無料で

実施するため資金が豊富な国連が行うことが有効で

あると考えます。また、政府や自治体の協力を取り

付け、参加者を集めるには信用があり名声があると

効率的であり、また政治体制の違う各国の参加者が

キャンプの中で自分の意見を率直に述べるには実施

機関に中立性があるべきです。また、キャンプで学

びの機会を提供するために専門家を招いて行うため、

専門性・情報量が豊富な国連であることは必須であ

ります。国連の持つ短所として、各国の政治力が影

響することやボトムアップのニーズ把握が不得意で

あるという点がありますが、このスタディキャンプ

では参加者各個人がそれぞれの幸せを追求すること

を目的としているため、国の政治的影響を受けるこ

とはなく参加者主体の実施体制を重視していること

から、それぞれの短所を予防した仕組みを取り入れ

ています。

なぜアジアか?

急速な経済発展を遂げているアジア諸国において、

今の経済成長を今後も維持した場合、現在の日本の

ように精神的な幸せが不足したアンバランスな幸せ

を持つにいたってしまうということを我々は危惧し

ています。アジア全体がそのような危険に陥る前に、

お互いに幸せを補完できる状態である現在において

アジア諸国でこのSustainable Happiness Campを実施す

ることはとても意義のあることだと考えます。

Sustainable Happinessを達成するとどうなるか?

私たちがSustainable Happinessの達成を目指すのは、

それが先進国や途上国という違い、国家の枠組みと

いったものを超えて追求できる理念だからです。持

続可能な開発を達成するための手段として、「人的交

流」という取り組みが必要不可欠です。このキャン

プを通して各参加者であるアジア人が自分の

Sustainable Happinessを獲得するだけでなく、参加者

同士がお互いを尊重し、お互いから学び合うことで

アジア地域の平和に大きく貢献できる人材の育成、

そしてアジアの平和へと続く人的ネットワークの構

築が可能となります。

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第6回 UNCRDスタディキャンプ

グループ発表12

0.はじめに

グループ2では、「アジア地域における持続可能な

開発について考える」というスタディキャンプのテ

ーマに沿い、アジアの農村地域におけるODAによる

開発支援に着眼した。具体的には、食料や最低限の

衛生設備などは満たされているものの、現代社会か

ら取り残され、進歩した医療の享受や市場経済への

参入といった面で不利益を被っている農村社会を想

定した。

1.農村の持続可能な開発とは

まず、持続可能な開発が実現された農村とは以下

のようなものであると定義した。

(a)充実した生活が継続される。

(b)将来に対する不安がない。

(c)コミュニティ内に格差がない。

(a)とは、例えば、現代社会に相応しい教育や医療

を受けられ、かつ将来に渡ってもそれらを享受でき

るということである。また、(b)とは、災害に備えて、

食料やお金を貯蓄できているということである。そ

して、(c)とは、コミュニティ内のすべての人が収穫

や現金収入を得る機会を平等に利用できるというこ

とである。

2.農村の現状

現代社会のグローバル化が圧力となり、これまで

成立していた農村社会の物々交換のシステムはもは

や限界を迎え、農村社会も現金の必要性に迫られる

ようになった。さらに、開発の進行に伴って保健衛

生が進歩し、人口が増加した。しかしながら、耕作

できる農地の面積には限りがあり、人口増加が無理

な開墾や都市への人口流出を招いている。このよう

な変化が農村社会とそこに形成されていたコミュニ

ティの崩壊に拍車をかけていると考えられる。

3.開発途上国政府の役割

農村の現状を改善するため、開発途上国政府は農

具の共同購入などの農業指導体制の整備や、新たな

収入源としての職業訓練の奨励により農業生産効率

を向上させる必要がある。また、コミュニティの崩

壊を防止するには、持続可能な開発を妨げるような

無理な土地利用をしないよう、該当するコミュニテ

ィ自身がルールを作り、規制する必要がある。その

際、周りの権力者からコミュニティが不当な圧力を

かけられないよう、政府は法を設けてルール作りを

バックアップすることが求められる。

4.開発途上国政府の問題点

本来ならば途上国政府によって国民の生活が保障

されるべきだが、開発途上国では財政難のため農村

支援にまで資金が回らない。また、法整備などのノ

ウハウがなく、制度の面でも支援が困難になる場面

があると考えられる。

「政府開発援助(ODA)」グループ /持続可能な開発とODA

大嶋恭子・加藤丈嗣・月岡勇気・野村友紀・山田瑞穂

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グループ発表 13

5.ODAの役割

グループ2ではODAは開発途上国が抱える困難点を

サポートするものであると捉えた。ただし、実際の

サポートの際には、プロジェクトの優先順位をよく

考慮するとともに、利益が期待できるプロジェクト

には円借款を、教育などの分野には無償支援を、と

いうような使い分けがなされるべきである。そうし

たODAによる支援は単に開発途上国の手助けとなる

だけでなく、支援することで結果的に国際社会にお

ける日本の評価を上げることにもつながる。

6.ODAの問題点

ODAの問題点は多々指摘される部分があるが、グ

ループ2が特に注目したのは連絡業務が煩雑で現場の

ニーズが計画に反映されにくく、また緊急の場合の

対処も遅れがちだという点である。

また、開発途上国政府の参与が少なくプロジェク

ト終了後の継続に支障があることや、日本国内のマ

スメディアに偏った報道をされることがあるため、

もっと情報公開を進めて透明性を高めていくべきだ

との指摘がなされた。

7.改善策

改善策として、東京のJICA本部から現地事務局の

事務局長に権限を委譲することを提唱した。ここで

言う権限委譲とは、現地事務局長がプロジェクト実

施に係るすべての事項の決定権をもち、かつ責任を

負うということである。現地事務局長は実際にプロ

ジェクト遂行に携わる人選も行なうため、現地にい

る人材や協力依頼のできるNGOの適性や能力をよく

理解していなければならない。

8.改善の結果

権限を委譲することにより、的確な人材による迅

速な支援が可能となる。そのような機動性に富んだ

支援によって、必要なときに、ニーズに合った支援

ができるということは、ODAの質そのものもが向上

するということである。そして迅速な対応が取れる

からこそ、現在の困難が悪化する前に対処でき、そ

れが先に挙げた農村の持続可能な開発につながるの

である。

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私たちのグループは「そもそもNGO、NPOって何

だ?」というところから議論をスタートさせた。以

下の原稿は、記憶を頼りに発表を再現したものであ

る。記憶はかなりあやふやであるが、当日の発表を

思い出していただけたら幸いである。

M (=もっさん)「今までさ、NPO、NGOに関してど

んなイメージを持っていた?」

Y (=やす)「え?NGOやる人なんて神!みたいな」

M 「でも、今回のキャンプで話を聞いてそれが変わ

ったよね」

Y 「そうそう、それは「行動する」ってこと!」

M 「偶然、人と人が出会って、友達になる。そんで

話をして、まわりを見ると問題に気づくんだよ」

Y 「この「気づく」ってのが大事なんだよね」

M 「でもなんでNGOじゃないとだめなの?国連に入

って問題を解決すればいいじゃん」

Y 「でもオレ、国連なんて入れねーし…」

M 「じゃあODAは?政府に頼ればいいんじゃない

?」

Y 「でも、ODAは時間がかかるし、手が届ききらな

いよ」

M 「そっか、国連やODAじゃ「誰でも」できないし、

「今すぐ」動くこともできないんだ」

Y 「友だちを助けるのに待ってらんないよ」

M 「でも一人だったら出来ないこともたくさんし、

お金も足りなくなることだってあるよね。でも

友だちを助けるんだったらどうにかしないとい

けない」

Y 「こうしたときに、協力し合える人がいて、それ

でお金をゲットするためにもNGOとかNPOって

のが出来て、それで行動するんだ」

M 「NGO、NPOっていってもそこには「人情」とか

「人と人の関係」が存在して、それで行動するこ

とが大事なんだね」

「人と人」ってことを考えたときに、うちのグル

ープにはじょくんがいて、今回のテーマ、「アジアと

未来を分かち合うために」を考えてもまず、じょく

んと意見を分かち合わないとアジアと未来を分かち

合うことなんてできないよ。ということで、これか

らパネルディスカッションをして意見を交換したい

と思います。

R (=りょう)「今日はパネルディスカッションに参

加してもらってありがとう。では早速、じょく

んは日本に来る前って日本にどんなイメージを

持っていた?」

J (=じょ)「えっと、日本は経済大国で、それで先

端技術を持ってる、みたいな」

R 「そっか。そのイメージって実際に日本に来てか

らはどう?」

J 「日本に来て思ったことは、日本の中でも格差、

経済格差が大きな問題になっているなってこと

です。だけど日本の若者はそれに大して危機感

を感じていないんじゃないか?と思ってびっく

第6回 UNCRDスタディキャンプ

グループ発表14

「国際協力NPO/NGO」グループ

岩本麻未、河辺亮輔、徐文 、中山泰宏、溝辺育代

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りしました」

R 「なるほど。日本は経済大国って言われるけど格

差が存在して、それに対して誰も問題だと思っ

てないと感じたってことか。それでは、もう一

人のゲスト、いくさんを紹介します!いくさん、

今日はようこそ。ところで何で今日自分が呼ば

れたかわかります?」

I (=いく)「え?なんでだろう…。全然わからない

です」

R 「いくさんはメンバーの中で唯一の社会人。立派

に働いてるってことで今日は話をしてもらおう

と思ったんですよ。失礼ですけど、今お給料っ

ていくらもらってます?」

I 「えええ~~言うんですか? ・・・(ピー)円 

です。。」

R 「マジで?ごめんなさい・・・。ってことで実は

いくさんは日本のワーキングプア代表ってこと

で来てもらいました!今じょくんの話にあった

ように、日本の若者は危機感を感じてないって

ことだったけどいくさんはどうですか?」

I 「経済格差ってこと?えっと、別に何も感じてな

いです」

R 「ほんとですか?給料で不安はないですか?」

I 「全然。いろんな人にも会えるし、これからよく

なるって希望もあるので全然大丈夫です」

R 「そうですか。じょくん、この話を聞いてどうで

すか?」

J 「ちょっと、びっくりです」

R 「逆に中国の若者が抱いている危機感ってどんな

ものですか?」

J 「そうですね、やっぱり中国では農村と都会とか

の経済格差について危機感を持ってる人が多い

です」

R 「なるほど。ではいくさんはどうですか?自分は 

どんな危機感を感じますか?」

I 「そうですねえ、私は農業をやっているので、や

っぱり環境のことなんかが気になります」

R 「そっか、こうやって話をしてみるまで考えたこ

ともなかったけど、中国と日本ってのはやっぱ

り全然違うんですねえ。中国で問題なのは経済 

格差、日本で問題なのは環境問題」

Y 「ちょっと待った!それってどっちでも問題なん

じゃないの?」

M 「そうそう、「アジア人」の私から見たら、両方

とも考えないといけない問題だよ」

R 「え!みんな席に座るの?一人だけ立ってたら寂

しいじゃん。一緒に座らせてよ。じゃあ、みん

なでこれからどうしたらいいか考えてみよっか」

I 「私は、環境とか経済とか言ったら問題が大きす

ぎてよくわからないから自分に身近なところか

ら考えてみたい」

J 「じゃあ僕はこの夏に中国に帰って自転車で環境

問題を訴えに行ってくるよ」

R 「すげえ。自分はそんなんできないから、、とり 

あえずマイ箸持つとこから始めよっかな」

M 「でも一人でやるんじゃなくて、みんなでやれば

いいんじゃない?」

Y 「そうだそうだ、みんなで何か行動してくのが大

事だよ」

R 「じゃあみんなでこれからマイ箸を買いに行こう

ぜ~」

こうやって人と人が出会って話をしていくことで

問題に気づき、そして「行動」が始まりました。

NGO、NPOといった言葉にはそこまで大きな意味は

なく、人と人の関係が続いて行けばそれは「持続す

る」ということであり、持続可能な開発とは人と人

が共に何かを行動していく、ということなのではな

いでしょうか。「誰でも」、そして「今すぐ」行動で

きる。それがNGO、NPOの担っている持続可能な開

発の役割ではないでしょうか。

グループ発表 15

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● グループ討論内容

・地域コミュニティとは?

お互いのため助け合ってある共通目的を達成させる、信頼関係を持った集まり。例えば、町内会など

・社会起業家とは?

地域が抱える問題(高齢化、少子化、過疎化など)によって地域コミュニティの機能が果たせない、など

の社会的問題を事業として解決する人。例えば、介護サービス、託児所など

<社会起業家とNPO・NGOの違い>

NPO・NGOの資金源は、個人もしくは民間などの寄付金や、政府からの支援金・助成金によって運営して

いるため、資金の収集が困難であるのに対し、社会起業家は、事業として運営に必要な利益を得るため、

NPO・NGOと比較して資金が確保しやすく、事業の継続が可能である。

<社会起業家と民間企業の違い>

民間企業の場合、営利目的であり、出資者に対して利益配当をするため、社会貢献が目的である社会起業

家と比較して、利用者の金銭的負担が大きくなる。

・今回のサブテーマ、「アジアと分かち合う」ためには?

互いに問題を解決することでアジアと共存する。互いの抱えている問題とニーズを把握する。その1つと

して、地場産業により、地域を活性化など。

例えば、日本の金型産業の技術をインドネシアに持って行ったら成功した、など

● 発表の概要

①地域コミュニティと社会起業家

社会の変化(急速な工業化など、人口が都市部に集中し過疎化が進行)によって、お互いに助け合ってきた

社会構造が変化し、地域コミュニティの機能が低下していった。この問題の解決策として、社会起業家が地域

のコミュニティ活動を維持する役割を担うことができる。

例えば、過疎化・高齢化による介護の需要が高まった場合、事業として介護サービスを展開、など

②アジアと分かち合うために

社会の変化につれて、日本とアジア、それぞれ地域レベルの問題を抱えている。共通の問題、地域特有の問

題、そして、相互に解決できる問題が存在する。相互のニーズと問題を把握し、互いの問題を解決することこ

そ、アジアと分かち合うことである。

例えば、社会のニーズの変化により技術が不要となったものの、技術を残したい日本の町工場と、仕事を得

るために技術を必要とするあるアジアの町の場合、双方を結びつけることで、お互いにハッピーに。

第6回 UNCRDスタディキャンプ

グループ発表16

「地域コミュニティ活動と社会起業家」グループ/地域コミュニティ活動と社会起業家の関わり

神田すみれ・橋本泰・渕上雅文・若松万里子 

NPO・NGO 社会起業家 民間企業

目的 社会貢献 社会貢献、最低限の利益 営利目的

運営方式 寄付金、助成金など 事業として 事業として

ある日本の町工場 あるアジアの町

社会のニーズの変化によって、生産方式を変えることに。せっか

く培った技術がなくなってしまう。せめて、技術だけは残したい。

労働力はあるが、仕事がない。

仕事に必要な技術がほしい。背 景

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グループ発表 17

● 実例紹介  (ナ:ナレーター、社:社会起業家、ア:あるアジアの町、町:日本の町工場の人)

ナ:むかし、ある町では、地域ごとに互いを助け合ってきました。しかし、社会の変化によって若者は都会へ

出稼ぎに行ってしまい、過疎化などの問題が発生してしまいました

ある町の「介護の会」にて―――

A:「明日、用事があって出かけるんだけど、家のおばあちゃん、ちょっとお世話してもらえないかしら?」

B:「わかったわ。でも、人が少なくなってから、私たちだけで介護していくのは大変よね?」

A:「そうね、困ったわね。どうしよう?」

ナ:コミュニティ活動を継続するのが困難に。

社:「こんにちは!私は社会起業家です!お金は掛かりますが、

介護サービスを展開しましょう!」

B:「でも、費用が高いんじゃないの?なぜ社会企業家なの?」

社:「民間企業の場合、営利目的ですが、社会貢献が目的であ

る社会起業家は民間企業と比較して、利用者の金銭的負担

が小さいんですよ。それに、事業としてやるので、NPO・

NGOと違って寄付金や助成金を集める必要がないので継続して行えるんです!」

→こうして、「社会起業家」によって地域のコミュニティ活動を維持することができ、また、地域の雇用機会が

増えて地域の活性化につながり、お互いにハッピーになりました。

この社会起業家と、今回のサブタイトルである「アジアと分かち合うために」、社会起業家をアジア規模で考え

てみます。あるアジアの町では―――

ア:「あ~。仕事を始めたいんだが、何も技術がない。技術さえあれば、この町の働きたい人々に雇用機会を

与えられるのだが・・・」

社:「なるほど。技術が必要なんですね」

一方、ある日本の町工場では―――

町:「社会のニーズの変化によって、生産方式を変えることになってしまった。せっかく培った技術がなくな

ってしまう・・・。せめて、技術だけは残したいんだが。」

社:「なるほど、伝えたい技術があるんですね。実は、あるアジアの町でその技術を必要としている人々がい

るんです。ぜひ、伝えていただけませんか?」

→こうして、「社会起業家」によって技術を残したい日本の町工場と、仕事を得るために技術を必要とするある

アジアの町の双方を結びつけることで、お互いにハッピーになりました。

このように、それぞれの国は社会の変化によってニーズが変化する。大量生産がニーズであることもあれば、

「手作りであるからこそ」といったニーズもある。そのため、互いのニーズを把握し、地域レベルで結びつける

社会起業家こそ、アジアと分かち合うために必要なことではないだろうか。

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UNCRDスタディキャンプレポートReport of the UNCRD Study Camp

「私が考える持続可能な開発とは」「UNCRDスタディキャンプに参加して」

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2128 スタディキャンプレポート

私が考える持続可能な開発とは~政策立案の立場から~

名古屋大学農学部応用生物科学科 3年大嶋恭子

1.「持続可能な開発」(以下SD)の位置づけ今回取り上げられているSDは、簡明なようでいて共通の定義にまとめにくい。ただそれ自身が行動の

目標でないことは明らかで、SDはある共通の目標に向かう際のpathwayとしてのみ有意味である。従って、曖昧で多義ゆえに組織間での明確な齟齬を回避できる、という点で、むしろSDに厳密な定義は必要なく、相互の関係の中で持続的に更新されていくべきものである。ただしこう位置づけるに当たり、「共通の目標」については、ビジョンとして明確に提示される必要が

ある。1つの閉鎖系・地球に生きる面々とはいえども、重視するのはごく一部の空間に過ぎず、また個々に被る被害も異なる以上、皆で共有できるのは明確かつマクロなビジョンしかない。ビジョンを共有することは、連帯感や信頼感を構築すると共に、基軸がぶれないという点で議論を建

設的にする(曖昧なSDはこの役割を果たしえない)。このビジョンについて、日本はサミットを通じ世界に提示する機会を得ているが、これは国際社会における浮沈を掛けた大舞台でもある。ここで、ビジョンを支えるミッションとして、SDは未だ魅力的なキャッチフレーズとして使える。2.現場におけるSDキャンプで、私の班はアジアの農村におけるSDを取り上げた。しかし現場での現状について考える場

合の必然なのか、持続的というよりは主に現状打開の開発に絞って議論することになった。これは私にとって居心地の悪いものだった。というのも、現状打開は現状認識および対処が第一であって、将来への影響の考慮や起こりうる問題の予防を十分に行うことが難しく、サステイナブルにはなりづらいと考えているからだ。SDの実行に当たって、現場で必死に働いている人たち(対象国の人、NGOなど)の力は当然必要だ。

しかし、私は現場でどう行動するか以前に、まずマクロなビジョンを共有しているのかどうかが気になる。現場にいてどこまでグローバルに考えられるのか。行動の結果生じる正負両側面をどれくらい予測しそれに対して責任をもてるのか。現場や行動重視の姿勢を理解はできるが、それは持続性や世界における自身の責任に関して「考える余裕のなさ」を生みかねない。SDを掲げる現在、もはや『グローバル』に考え『ローカル』に行動するだけでは不十分で、自分の生きていない『未来』について考え(~持続性を考慮し)『今』行動することまでが求められている。現場の彼らは常に「考える足」でなければならず、現場にいない私たちは「行動の早いクリティカルシンカー」でなければならない。3.SD実行にあたっての具体的提案最後に、ビジョンを「循環型社会(仮)」とした場合のミッション(SD)推進策として1つ提案したい。それは排出権取引(CO2に限らない)と相補的関係にある「還元義務取引」の導入である。還元義務の内、汚染というアウトプットに対する浄化義務や一部のリサイクル義務は既存だが、それを資源循環なども含む「還元」にまで拡張し、かつ排出権取引のような経済・開発に組み込んだ国際的な動きにする。理由として、アウトプットをゼロにすること(プランA)が持続不可能である以上、アウトプット抑

制に限界があることを前提にした還元の推進(プランB)を実施すべきであること、排出権取引の中の還元努力部門を格上げして強化すべきであることが挙げられる。自然資源や環境の干渉能力はもはや不確定な要素となっており、真にサステナビリティを考えるならば人為的な「浄化・還元」のシステムが必要だ。ビジョンを縦の基軸とし、排出抑制と還元推進を横の基軸として循環のバランスを取りつつ、その中で開発を行い社会が発展していくならば、本質的にサステイナブルといえるだろう。(参加者へのメッセージ)今回、大事なのは「立場や意を異にする相手との相互理解を諦めないこと」だと気づかせていただき

ました。立場は異なりますが共通の経験をしたもの同士、刺激しあいつつそれぞれの関わり方に責任を持っていきましょう。このレポートや、科学・行政の関わり方について意見等ある方は、是非気軽にメールをください。皆さん本当にお疲れ様でした。

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第6回 UNCRDスタディキャンプ

22 29スタディキャンプレポート

私が考える持続可能な開発とは~今私が出来ること~

日本福祉大学社会福祉学部社会福祉学科 3年加藤丈嗣

スタディキャンプに臨む前に、書類審査の小論文に書いた「持続可能な開発」を何度も読み直しまし

た。そこには「安心して、生きがいを持って長く生活を送ることが出来るように働きかけること」と書

いています。これをどのような形で行われるのが理想なのかをテーマとしてスタディキャンプに臨みま

した。

現時点での結論として、私が考える「持続可能な開発」は上で述べたことと変わりはありません。し

かし視点や考え方が参加する前と後では大きく変化したと思います。スタディキャンプに参加をする前

では、開発途上国における貧困問題は国際機関、政府、そして経験を積んだ民間団体が真摯に取り組む

分野であり、一種の学問のような捉え方をしてしまっていたのかもしれません。しかしスタディキャン

プを通じて、国際協力の原点にあるものは人間が本来持っている助け合いの精神から来るものであり、

私だったら何ができるか、何をするべきかといった視点が必要であることを学びました。特に講義や討

論、またグループ3<国際協力NPO/NGOの活動>の発表を通じて、求められる姿勢は普段身近にある

「こうすればよくなるのではないか」という意識を行動に移すことであり、「持続可能な開発」を考える

上で、当事者の視点で見ることに意義があることを感じ取りました。また「持続可能な開発」、国際協力

を考える上で、日本人として何が出来るのかを考えなければならないと思いました。「日本では当たり前

と思うことが、世界では全く違う」ということをスタディキャンプでは何度も聞きました。当たり前と

感じていることも、まずはじっくり検証し、物事を批判的に見ることが大切であることが分かりました。

繰り返しになりますが、このスタディキャンプに参加をして一番大切だと感じたことが「私だったら

何が出来るか」ということです。まずは行動をする。そこから新たに学ぶことが必要であると実感しま

した。以上のことから、「持続可能な開発」は一人一人が普段感じる社会問題について、まず出来ること

から行動をし、それを日常生活の中に取り入れ継続させることだと思います。そして行動範囲が広げる

ことで、大きな問題に対しても向き合うことが出来るのではないかと思います。そこで変えたいという

強い意志やそれを実行する強い決断力をつけるために、また同じ意識を持った人と取り組むために、周

囲から信頼される人間にならなければならないと思います。また開発途上国に赴き、実情を肌で実感し

たいと考えています。

スタディキャンプは三日間という限られた時間であり、学んだことを整理して的確に意見を出すこと

に大変苦労をしました。しかし、これは国際的な仕事に携わるためには必要な能力だと思います。その

他にも多くの課題を多く見つけることが出来ました。そして「持続可能な開発」は一生をかけてじっく

り考えたいテーマとなりました。最後にスタディキャンプに参加された全ての皆様に感謝の意を込め報

告書の終わりとさせて頂きます。

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私が考える持続可能な開発とは

愛知大学現代中国学部国際関係専攻 3年

持続可能な開発とは、環境、社会、経済への考慮をすべて含み、地球上の自然のシステムを保全しつ

つ経済成長することが可能な開発を意味する言葉です。しかし、経済的に相当豊かな国々や地域では、

環境問題の重要性が叫ばれていますが、開発途上国ではそれよりもまず「食べることが先に」という状

況です。先進国の多くは環境問題に取り組み、開発途上国の多くは環境よりも経済発展に力を入れてい

るという矛盾を理解した上で、「持続可能な開発」について考えました。

まず注目したのは環境です。人類の欲望から生まれた生産、利用、廃棄、という繰り返しが地球規模

で起きている今日、地球は深刻な危機に直面することを認識して、そこから生まれたのが「持続可能な

開発」という考え方です。では具体的にどのような行動をとればいいのでしょうか。環境問題に対する

受け止め方法は国によって様々です。地球が直面している問題から言うと、フロンによるオゾン層の破

壊や、石炭や石油の燃焼による二酸化炭素ガスの増加による「地球温暖化」などがすでに起こっていま

すし、他にも様々な経済開発による環境諸問題が起きています。このまま放置すれば、持続可能な開発

にならないのではないかと危機感を感じました。現実的には、快適な生活をしている先進国の人々が生

活レベルを下げたくないと思っているのは当たり前のことです。だからといって、多くの人口を抱える

途上国に対して、生活レベルを下げろという同じ要求を押し付けるのは不平等ではないかと思います。

先進国のマスメディアは途上国が感じているこの不平等感を明らかにする責任があるのではないでしょ

うか。そして先進国と途上国の認識の差を減らし、そのバランスをどう調整していくのかということが

持続可能な開発の重要課題となると思います。

次に注目したのは経済的格差から起こる危機感です。地域と地域の間に経済的格差が広がれば暴動が

起きるかもしれないという危機感を持ちます。国際的には、国際紛争勃発の可能性が高まるという危機

感を持ちます。このような危機感を持つことは格差が存在しているからといえるでしょう。危機感をな

くすためには格差を減らさなければなりません。しかし、先進国と途上国の間で、経済と環境の間で、

ますます格差は拡大しています。先進国は環境的危機感に重点を置き、途上国は経済的危機感に重点を

置く、という矛盾を解決するにはどうすればいいのでしょうか。

つまり持続可能な開発を実現するためには地球レベルでの格差を減らさなければならないのです。こ

れには政府間の協力だけでは足らず、一般の人々の協力が必要だと思います。今後はNGOやNPOの力を

重視すべきではないでしょうか。現場に起きた問題は現場にいる人によって解決する方がより効率的だ

からです。NGOやNPOの成長に伴い、いずれ中央政府に代わってその機能を果たす日々がやって来るで

しょう。その時、人と人との交流によって、国境の概念も変わってきます。国籍に関係なく自由に地球

上のどこにでも行けるような時代の到来が期待できると思っています。

つまり私が考える持続可能な開発はNGOやNPOの発展が必要であるということです。緑色NGO/NPO

(中国語で環境NGO/NPOの意味で、自然的生命力の持続性や、健康的精神力に貢献する開発のことを示

す)の構造的組織化が実現すれば、地球に美しい未来はあると考えています。

スタディキャンプレポート

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第6回 UNCRDスタディキャンプ

24 33スタディキャンプレポート

私が考える持続可能な開発とは~そして、次の参加者へ~

三菱電機株式会社(経理部)渕上雅文

持続可能な開発、それはそれぞれが持つ役割の中で果たしていく価値に気付くこと、これがキャンプ

を終えた今の私に一番しっくりとくる考えです。

テーマは巨大で漠然としていますが、だからといって誰かが支配し、コントロールしていることでも

ない。社会を構成する一人一人の生活の結果を大きな視点で捉えた時に立ち現れ、立ちすくんでしまう

一人一人の心の問題だと思います。多くの人は、持続可能な開発は政府や国連をはじめとする国際機関

が考えるべき問題だとして、視界から遠ざけることで自己を肯定しがちです。しかし、このキャンプで

は専門家でもない参加者たちが持続可能な開発を身近な問題として引き寄せ、自分たちに何ができるの

かを真剣に議論することで心の問題を克服することができました。それはこのキャンプに「知識はなく

ていい、丸腰で真っ向から議論することこそが価値のあることだ」という舞台装置が整っていたからで

す。普段なら絵空事に聞こえることでも、自分の意見を述べ議論することで、一体感や何かできるかも

しれないという高揚感や自信さえ生まれました。

また、一流の講師の方々や様々なバックグラウンドを持つ参加者と議論を重ねる内に、私は自然と自

分の現在の立ち位置を意識するようになりました。民間の企業で働く一人の社会人として、例え経理と

いうモノ作りの後方支援の仕事であっても、間接的な形で持続可能な開発に貢献できている部分を見出

すことができるし、また、それを強化していくような判断や行動をしていくこともできる。つまり、私

にできる持続可能な開発とは、多くの学生参加者ほどの自由度はないかもしれないが、今の立場、役割

の中で一生懸命考え、働き、ベストを尽くすことであり、そうすることが持続可能な開発に繋がってい

くという信念をまず持つことが大事であると強く確信しました。この価値観に気付けたことはこれから

の人生の大きな励みになるであろうし、この気付きの次のステップとして今できること、次の参加者に

メッセージを送ることを早速実践してみたい。

このレポートを読む次回の参加者の方に

このレポートの読者には、このキャンプで何が得られるか、とりわけ社会人の中には取りにくい休暇

を取ってまでも参加する価値があるのかと損得計算のヒントをこの中に見出そうとする人もいるだろう。

事実私自身もそうであったので、そうした方に是非伝えたい。

「案ずるより、産むがやすし。」

少しでも関心があるなら、是非参加すべきです。社会経験を持っていることで議論に貢献できることは

たくさんありますし、また、講義や議論を通じて得られるものはそれ以上に多くあります。会社という

一種の同質集団を離れて、様々な背景を持つ参加者と切磋琢磨することで視野が大幅に広げられます。

そして、何よりもあなたの参加が次の持続可能な開発に繋がると思えば、参加しない理由などないので

はないでしょうか。

最後にこのキャンプを発案・企画・継続して頂いているUNCRD小野川所長に、そして、示唆に富

む講義をしていただいた講師の方々、とりわけ地域コミュニティー活動と社会起業家グループのアーナ

ンダ・クマーラ先生に、互いに成長しあったグループや参加者のメンバー、ファシリテーター、ボラン

ティア、事務局の方々に感謝を述べたい。また、こうした機会の参加を認めてくれた会社と妻にも感謝

している。本当にありがとうございました。

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UNCRDスタディキャンプに参加して

青年海外協力隊OB(ベトナム村落開発普及員、05.11-07.11)浅田康史

たくさん笑いながら学んだ3日間だった。

参加者、講師の方々、UNCRDスタッフ、そこにいたアクターそれぞれが持ち味を活かし、それぞれの

バックグラウンドのユニークさや持ち前のユーモアを十二分に発揮していた。そして、スタディキャン

プという一つのフレームワークの中で同時多発的に、そして幾度となくそれぞれがもつ多様性が化学反

応を起こし、単なる学習の場といえるものよりも数段次元の高い成長の機会が創出されていた。

そんな多様性のぶつかり合いの真っ只中にいて私が気づいたことは、このディスカッションや学びの

場は、「途上国支援の現場と同じである」、ということだった。

私が協力隊員として活動していたベトナムの農村では、把握しきれないほどの多様性とダイナミズム

があった。各村はそれぞれの遺伝子をもち、文化・風習・言語それぞれが各々の特徴を有していた。同

じ村の中でもコミュニティーごとにさらに違っていることもあった。このスタディキャンプの期間中、

ふと自分が、そんなベトナムの片田舎にある自分の活動地だった村の農家の一人になったような錯覚に、

何度か襲われていた。こういった学びの場を提供されたとき、彼らもこのときの私と同様に、何らかの

目的を伴った上昇志向とエネルギーを持って、なんとかして今抱えている問題を乗り越えようとしてい

た。そして周りを取り巻く環境の多様性はこのスタディキャンプと酷似している。私は、このスタディ

キャンプで、自分が支援をしていたベトナムの村人の生活の一部分を疑似体験していたのだった。

その中で見えてきたことは、多人数で合意を見出すことの難しさと、ともに何かを形にしていくこと

のおもしろさだった。そして、振り返る。協力隊員として活動していた自分は、かのベトナムの村人た

ちにそんな充実した学びのきかっけと楽しい時間を提供できていただろうか。否である。しかし、この

スタディキャンプに参加したことで、この楽しさを知ることができた。これまでよりも、より彼らの立

場にたった支援ができる。今度はリベンジができる。

私は、このスタディーキャンプを同じ参加者・同じ講師陣で第2回、第3回と行ってもらいたいと心か

ら思っている。なぜなら楽しかったから。そして思う、参加者にそう思ってもらうことが持続可能な開

発への第1歩なのだと。途上国支援の現場において、まずは支援対象者に「楽しい」と思ってもらうこと

が持続可能な開発のファーストステップなのだとわかった。

スタディキャンプレポート

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第6回 UNCRDスタディキャンプ

26 35スタディキャンプレポート

UNCRDスタディキャンプに参加して

南山大学総合政策学部総合政策学科 4年上杉高正

私は今回二つの目的をもってこのスタディキャンプに参加しました。将来、世界銀行や国際通貨基金で働きたいと考えているので、実際に国際機関で働いた経験を持つ人から国際機関で働くということはどういうことなのかを聞く、ということが二つの目的の内の一つでした。もう一つの目的は、開発は何故必要で、どのような開発が必要とされているのか、ということを再確認し、それをこれから始まる大学院の研究に活かしたい、ということでした。こういった目的を持ってスタディキャンプに参加したわけですが、これらの目的とは関係なく今回のスタディキャンプで新しい発見もありました。これらのことについて順に述べていきたいと思います。まず国際機関で働いた人から話を聞くことについてですが、私は国連・国際機関のグループに所属し、

グループディスカッションの中で国連・国際機関の長所と短所についての話し合いをしました。その際に、現在国連・国際機関で働いている人の話を聞き、そういった機関での仕事をより具体的に知ることができました。そしてキャンプの後、自分も国連・国際機関で働いてみたいと改めて決意することができました。こういった情報を下さった鈴田恵里子さんにとても感謝しています。次に開発に関することですが、今回のスタディキャンプでは、持続可能な開発とはどのようなものか

については具体的に話し合うことができたのですが、何故開発が必要か、ということについてはあまり議論できませんでした。私はこれから経済学の研究者として進んでいくのですが、今先進国が途上国に対して行っている経済開発は、先進国側の偏見に基づいたものである可能性があると考えたことがあります。何故開発が必要なのか、このことに対する答えを明確にさせておけば、将来開発政策立案・施行者として自分が社会に出た際に、より効果的で効率的な政策が立てられると思います。ですから、今回のスタディキャンプで持続可能な開発について議論したことを用いて、何故開発が必要であるのか問い事に関しての具体的な答えを見つけるためにもう一度自分でディスカッションの場を設けて、再び考えてみたいと思いました。このスタディキャンプで私は、ある一つのことを意識するようになりました。それは、ただ勉強して

いる段階から抜けて、実際に社会に出て開発に携わる時期がすぐに訪れるという当事者意識です。今までは、ただ勉強しているだけでしたので、あまりこういった意識を得られませんでした。このキャンプでは、様々な経験を持った方々が率直な意見交換をしていました。こういった方々の意見は経験に基づいたものであるため、一言一句が極めて現実的なものでした。私のみならず多くの参加者はこのスタディキャンプを通してNGOの開発政策に関して資金面などで限界性を感じ取ったと思います。NGOはtransnational actorとして国際社会の各所で開発に対する役割が期待されているにも拘らず、このような限界性が指摘されたので、私はこのことに関連させて、transnational actorはどのような役割を担うべきかという質問をしたわけでありますが、その方は私に、「あなたたちがこれに関しての答えを考えていけばいいのではないですか」というような回答をされました。確かに、と思いました。今回のスタディキャンプでのディスカッションは今まさに国際貢献をしておられる方々の意見であり、その方々の問題も今まさに起きているわけであるのです。今後社会に出る我々の世代も上記のような限界性を非難するだけでなく、一緒になって克服していこうと努力すること自体が必要とされているのではないかと感じました。このように我々が新たに社会に出て開発に携わるようになること自体も持続可能な開発を達成していく上で必要な事柄で、こういったことが一般的に言われる草の根的な活動の一つとなればよいと思います。このような当事者意識を持ってこれからは開発を考えていきたいです。UNCRDスタディキャンプでは自分にとってとても良い経験となりました。今回のスタディキャンプを

通して得られたものを今後の研究に活かしていきたいと思います。当事者意識を持って国際開発に携わることで、より開発政策を効果的にかつ効率的に行っていけるような人材になれるように、これから日々努力していくことをここに決意したいと思います。

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UNCRDスタディキャンプに参加して

愛知淑徳大学文化創造学部多元文化専攻 4年大薮里奈

私たちが物質的・精神的に満たされ、幸せに暮らせるための方法、それが持続可能な開発である。私

がこのスタディキャンプで得た1つの結論です。

このキャンプの間、「持続可能な開発とは何か。」何度もその意義を探し続けました。考えれば考える

ほどわからなくなり、突飛な考えに行き着きそうなときもありました。なぜ、持続可能でなければなら

ないのか。開発とはなにか。

私たちのグループは、このキャンプに参加するまでの間に体験したこと、自分が知る世界の現状、問

題解決のためのアイデアを出し合いました。そこで導き出した結論が、「何のための持続可能な開発なの

か→世界が平和に暮らせるため≒私たちの幸せ(物質的・精神的に満たされた状態)のため」というも

のでした。色んな背景を持ったグループの4人で1つの方向性を見出し、臨んだプレゼンテーション。

グループが1つにまとまった満足感は今でもしっかりと胸に残っています。発表を通して、日本とアジ

アが相互理解をすすめるためにはより工夫が必要であることが分かりました。理想のSustainable

Happinessの形はキャンプが終わった今でもまだまだ模索中です。しかし少なくとも私たちは今の生活の

中で豊かな点と貧しい点について意識を向けることが必要だと気づきました。

このスタディキャンプは、「持続可能な開発にむけて」議論しあうものですが、それと同時に自分の弱

い部分をさらけ出し、いつもより一歩前に出て積極的になろうとする成長の場でもありました。他人に

対して、心を開いて本音でぶつかること。これがどんな話し合いにも必要だと感じました。初対面の参

加者同士がほとんどでしたが、情熱をもって疑問をぶつけた話し合いが出来、キャンプのあちこちで小

さなディスカッションが行われていました。私は、自分の異文化体験を通じて得た問題意識や疑問をた

めらいなくぶつけ、語り合える場を求めて、このキャンプに参加しました。そして、時に異なる意見を

持ちつつも、認め合い、共通の問題意識を持つ参加者の皆さんと、本当に納得がいくまでディスカッシ

ョンをすることが出来ました。ディスカッション中は相手を論破することに重きを置きがちでしたが、

本当に大切なことは相手をやっつけることではなく、いかに相手を納得させ、共により良いほうへ歩む

か、ということだと思います。

このスタディキャンプは世界規模で持続可能な開発を考えるための1つのモデルだと思います。2泊

3日でようやく1つのグループが1つの結論に達し、公表できるのだから、もし、この話し合いが世界

規模で行われるのであれば、その道のりはもっともっと長く険しいものとなるでしょう。しかし、理想

論かもしれませんが、様々な背景を持つ私たちが持続可能であるためには、互いを否定しあうのではな

く共に生きるための道を探ること。それが持続可能な開発のために不可欠だと思います。

これからも、Global issuesを考える時だけではなく、人と向き合う中でこの姿勢を大事にしていこうと

思います。また自分なりの形でアジアと日本の輪を広げ、アジア単位で考えるSustainable Happinessとは

何か、これからも交流を通して探していきたいです。

そして、いつも疑問と問題意識、自分なりの考えを持ち、それを検証する姿勢を忘れないようにした

いと思います。

最後になりましたが、小野川所長を始めとするUNCRDのみなさん、講師の先生方、ファシリテーター

のみなさん、私達の活動を支えてくれたボランティアのお2人、第6回参加者のみなさん。このキャン

プで出会った全ての方々、充実した時間をありがとうございました。

スタディキャンプレポート

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第6回 UNCRDスタディキャンプ

28 37スタディキャンプレポート

UNCRDスタディキャンプに参加して

四日市市中部地区市民センター坂 有祈子

持続可能な開発とは――環境・経済・社会における有限な資源を公平に分かち合いながら、すべての

国の人々が物質的にも精神的にも幸せな状態になること。それがスタディキャンプの3日間を通して得

た、現時点での私なりの答えです。

幸せな状態(つまり持続可能な幸福:Sustainable happiness、私たちのグループはこの言葉を使い定義

しました)とは、衣・食・住が満たされていること、車があること、お金があること、家族と一緒に暮

らすこと、何でも話せる友達がいること、人間関係が豊かなこと、夢や目標を達成できること、などの

状態です。グループで話し合ったとき、こんな結論が出ました。「先進国は物質的には満たされているが、

精神的な幸せを求めている。その反対に、途上国では精神的には満たされているが、物質的な幸せを求

めている。先進国と途上国はそれぞれの持つ幸せについて学び合い、幸せを分かち合うことができるの

ではないか。」そこで私たちのグループは、先進国の若者と途上国の若者が宿泊形式で参加する、国連主

催のスタディキャンプを提案しました。人的交流こそが持続可能な開発である、と。

人的交流の意味は大きいと思います。私にできる持続可能な開発にむけた一歩として、職場である地

区市民センターで、途上国の人々の生活と私たちの生活がどのように関わっているのかを考える講座を

企画すること、その講師としてクマーラ先生にお越し頂くことを考えています。スリランカ出身のクマ

ーラ先生のお話を伺うことは、地域の住民にとって貴重な経験となり、人的交流にもなると思うからで

す。

私たちのグループには「国連/国際機関」のテーマが与えられたので、国連・国際機関の長所と短所

について考えました。伊東先生やアドバイザーの鈴田さんから、国連の長所としてはどの国にも中立の

立場をとること、短所としては政治的な思惑が絡み合うことなど、私が知らないさまざまな現実を伺う

ことができ、有意義でした。高校生の時から国連で働きたいという夢を持っていた私にとって、今回の

スタディキャンプに参加して国連・国際機関について考えたことには意味がありました。国連で働くに

は、外国語や仕事の能力もありますが、もっと積極的で自発的でなければいけないと分かりました。そ

れに挑戦するか、他の道を考えるか、自分と向き合って選んでいきたいです。

このスタディキャンプに参加することは、一つの挑戦でした。積極的に発言すること、論理的に議論

をすることは、今の私にとって容易ではなかったからです。しかし、それをしているグループのメンバ

ーや他の参加者を見て、「自分もそうなりたい!」と感じたので、そのための一歩を踏み出そうと思いま

す。まずは毎日の仕事にもっと積極的に取り組むこと、地域で起こっていることと世界で起こっている

ことに問題意識を持ち自分の意見を持つこと、発言の機会を持つこと、などを通して、積極的な自分に

なっていきたいです。

今の自分にすぐに出来ることとして、地区市民センターでの仕事を頑張ろうと思います。将来の夢は

国際的に働くことですが、現在は地区市民センターで働いているので、まずは地域社会の中で指導的役

割を担える人材を目指したいと思います。そして、自分の夢である、国際社会の中で指導的役割を担え

る人材になる、ということも諦めずに求めていきたいです。

最後に、このスタディキャンプを支えてくださったスタッフの皆様、講師の先生方、参加者の皆様に、

心から感謝しています。どうもありがとうございました。

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UNCRDスタディキャンプに参加して

豊橋技術科学大学工学部電気・電子工学課程 3年月岡勇気

私は今回UNCRDスタディキャンプに参加したことで、講師の先生方をはじめ多くの方々からたくさん

のことを教えて頂いた。そのおかげで以前より視野が広がり、自分のこれからの生き方をもう一度考え

直さなければならないと感じるようになった。私は以前から、どんな形でもいいから国際協力に関わる

職を生涯の仕事にしようと考え、開発コンサルタント、つまり海外技術協力を行う技術者になるために

大学の工学部で勉強していた。しかしこのスタディキャンプに参加したことで、開発途上国への技術協

力の難しさや問題点を知り、自分がこれから目指すべき方向性に疑問が浮かんできてしまったのである。

「本当に喜ばれるための国際協力は、持続可能な開発は、はたしてこれからの自分にできるのだろうか」

と。

スタディキャンプで知った国際協力の課題の中で私が最も重要だと感じたものは、「開発途上国の人々

にとっての本当のニーズをいかに見極めるか」であった。開発途上国の持つ課題の本質を見極めて、そ

れを解決していくための手助けをすることが「本当の国際協力」であると、今回知ることが出来た。し

かしこれは同時に、ただ技術協力だと言って技術者として開発途上国へ赴き、安易にプロジェクトを進

めていくだけでは、それは「本当の国際協力」になるとは限らない、ということも意味している。場合

によってはプロジェクトそのものが「開発途上国の人々にとっての本当のニーズ」に即していないこと

もあるからだ。この問題を解決するためには、NGOなど現地の実情をよく知る人の意見をもとに、経験

豊かな専門家が「本当のニーズ」を見極めてプロジェクトを立案し、それを技術者である開発コンサル

タントが実現する、というそれぞれの立場の人が持つ強みを生かせる協力体制が必要であると私は考え

る。国際協力は、政府機関やNGO、一般企業、現地の地域コミュニティなど、異なった立場の人たちが

互いに協力し合うことで初めて、最も効果的に行えるのではないだろうか。そしてこれができればきっ

と、持続可能な開発は今よりもっと実現に近づくのだろう。

そういった理想的な国際協力を実現するために、これから先自分はどのような形で関わっていくのか。

また、このまま開発コンサルタントを目指すのか、それともNGOスタッフや政府機関職員、国連職員な

どになることを目指すのか。そして、世界の持続可能な開発を実現するために、どうやって自分のわず

かな力を役立てるのか。これらを私はもう一度考え直していくつもりである。

誰もが正しいことをしたい、相手の役に立ちたいと思って行動するけれど、それがいつも本当に正し

くて相手の役に立つことであるとは限らない。何が正しくてどうするのが一番喜ばれるのか、それはそ

う簡単にはわからないからだ。だから、私たちのような国際協力をしようとする人間は、常に相手の立

場に立って、想像力を使って「何をすべきか」を考えていかなければならない。それが出来て初めて、

相手と自分たち双方が、みんなが幸せになれる「本当の国際協力」が実現できるのではないだろうか。

これが私が今回のスタディキャンプで得た考えである。

このような考えが持てるようになったのは、小野川所長や、深夜まで議論に付き合って下さった大田

先生とファシリテーターの渡邉さん、グループ2のみんなを始め、スタディキャンプで出会った全ての

方々のおかげです。本当にありがとうございました。

スタディキャンプレポート

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第6回 UNCRDスタディキャンプ

30 39スタディキャンプレポート

UNCRDスタディキャンプに参加して

財団法人名古屋国際センター(広報情報課)野村友紀

持続可能な開発というのは、まさしく私のテーマでした。4ヶ月間ボリビアのNGOでボランティア活

動をし、先住民族の生活を向上させるプロジェクトに携わって以来、この分野に興味を持ち、将来的に

博士号を取ろうと考えています。そんな少しばかりの経験と、日頃書籍などを読んで得た知識はありま

したが、そのテーマに沿って話し合う場が無かった私にとって、このキャンプはまたとないチャンスで

した。

さて、そんな期待を持って望んだこのスタディキャンプでしたが、それを終えて振り返ってみると、

とても一言ではまとめられず、様々な思い出や感情が溢れてきます。今、キャンプから数週間が経ち、

余熱が冷めてきたところで、少しここで整理したいと思います。

まず、このキャンプでの大きな発見だったのは、ディスカッションのパワーです。初日のグループデ

ィスカッションでは、まだお互いの距離感もあり、テーマも抽象的で、ポツリ、ポツリとしか発言が出

てこなく、なかなか進行していかなかったのを覚えています。次第に皆が発言することに慣れてきたも

のの、議論に焦点がなく、ただ時間が過ぎていきました。たまりかねた講師の太田先生から助言をいた

だき、段々と的が絞られていく中、論点がうまく一つの線上に乗ったり、バラバラに分散してしまった

りまるで生き物のように変化していったのです。昼間の講義で加わる知識とともに肉付けされ、徐々に

プレゼンテーションに向かって形づいていったのは見るに面白いものがありました。そして、2夜続け

ての濃いグループディスカッションを通して、赤の他人だったグループメンバーの個性が少しずつ見え

てきて、最後にはまるで家族のような親密感が残っていました。

またそんな中で人に伝えること、人と共有することの重要性を実感しました。これまで、知識を得て

も自分の中までで止まり、それを誰かと共有することの無かった私にとっては、自分の意見を人に伝え

ることは大きな壁となりました。思うように自分の意見を伝えられないのは、自分の頭の中でも整理が

ついていなく、要点が見えていないからでした。日頃から論理的思考を養い、相手に明確に伝えること

と、人の意見からうまく要素を汲み取る能力を身に付けることが必要だとひしひしを感じました。特に

持続可能な開発には、様々な分野が絡み、多方面からのアプローチが必要です。様々な人と対話の中で、

自分の意見をぶつけ、他人と理解しあうことで、独自の必要性が見え始め、解決策が導き出せるものと

思います。

このキャンプは、様々な人から刺激、エネルギーをもらい、また人との関わりの重要性を再確認する

ものとなりました。流れ込んでくる様々な情報に溺れつつも、自分のするべき仕事を流れ作業のように

処理をして、立ち止まることや振り返ることの無かった普段の生活から抜け出し、3日間共通のテーマ

に沿ってじっくり話し合うことは非常に有意義な経験でした。また自分自身も見つめ直す、良い機会と

もなりました。

テーマの持続可能な開発ということに関して、キャンプを終えて確信したことは、「その根本にあるの

は世界中の人々が継続的に幸福でいること」ということです。その方法を導き出すのも実行するのも

我々人間次第で、それを目指す人々たちでこのキャンプのように熱く語り合うことが、持続可能な社会

に向けての第一歩なのだと思います。

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UNCRDスタディキャンプに参加して

愛知教育大学教育学部国際理解教育課程日本語教育コース 3年山田瑞穂

「持続可能な開発にむけて」と題されたこのスタディキャンプ。たまたま広告を見かけ、何気なく応

募した私にとって、このスタディキャンプは風速20メートルの暴風の中に立たされているような、そん

な感じのする3日間だった。

最初に参加者の自己紹介を聞いた時点で私は自分の知識のなさを痛感し、続く講義や質疑応答でもた

だただ圧倒されるばかりだった。「知識のなさなんて気にせず参加すればいい!」と思うものの、行動に

結びつかない自分が悔しかった。しかし、夜のグループディスカッションやグループ対抗セッションを

こなすうち、私はどんどん話すようになった。なぜそうなれたのか、理由もきっかけも自分自身分らな

い。ただ明らかなのは主張すること、意見を戦わせることにわくわくし、いつの間にか夢中になってい

たということだ。その証拠に2日目は夜が明けるまでグループのメンバーと意見ぶつけ合った。そして

初日に感じていた引け目は消え去り、3日目はとにかく自分の考えを表現しよう、伝えようと思えるよ

うになった。それに加えて、意見を否定されても食らいつく「強さ」も得られたように思う。自分の主

張を押し通すことが絶対いいわけではないが、簡単に意見を譲っていては、簡単な浅い結論にしか辿り

つけないと思う。意見を競わせてこそ、完成度の高い結論を導くことができるのだと気がついたのであ

る。

発言がなければ議論にならない、発言しないなら議論に参加する意味がない、そんな当たり前のこと

を、3日間のスタディキャンプを通してようやく実感できた。この経験は今後出くわす議論の場におい

て、必ず私の積極性を生み出す糧となるに違いない。

また、私は日本語教育という分野で日本人と外国の方との人的交流に携わってきたが、このスタディ

キャンプはその活動においても新しい視点をもたらしてくれた。例えば、「持続可能な開発」と言っても、

国レベルの活動、NPOによる活動などがあり、それぞれにできることとできないことなどの特徴がある。

そして、それらを上手く組み合わせることが持続可能な開発の実現に必要とされると思う。このような

ことから自分の活動を振り返ってみると、自分のやってきた活動の長所や短所、そして日本語教育とい

う分野においてどんな役割を果たせるのかということを自分自身が理解できていなかったと気がついた

のである。このスタディキャンプの参加したことで本当に必要な支援をするには、相手の求めるものと、

こちらが提供できるものをきちんと把握しておくことが必要不可欠だということを学ぶことができた。

3日間という短いスタディキャンプではあったが、自分個人としても、現在行なっている活動に関し

ても、非常に大きなものを得ることができた。このように大きな収穫を得られたのは、何より素晴らし

い先生方に出会い、ともに意見を言い合える仲間がいたからだと思う。キャンプを終えて、先生方、参

加者のみなさん、素晴らしい機会を与えて下さった事務局関係者の方々に感謝の気持ちでいっぱいであ

る。この気持ちを言葉で表すことはできないかもしれないが、その代わりに私は今回の経験を生かし、

今後の活動における行動と成果で感謝の気持ちを示していきたいと思う。

スタディキャンプレポート

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第6回 UNCRDスタディキャンプ

32 41スタディキャンプレポート

UNCRDスタディキャンプに参加して

名城大学農学部生物環境科学科 2年岩本 麻未

「自分の好きなことをすればいい」そう言われて私は履修しなければいけない授業をとらずにこのキャンプに参加した。どうしても取りたい、取らなければいけない授業の単位を失った。けれど私はこのキャンプの3日間にとても満足している。私にとってこの3日間は、今までの私の考えや行動を考えさせられるものだった。私はとてもいいかげんで、いつも好きなことばかりしている人間だ。単位を失ってまでこのキャンプ

に参加すると決めたのも、私のそんな性格が手伝ってのことだ。ただ、このキャンプに参加してから私の中の「好きなことをする」の意味は大きく変わった。このキャンプの中で、私たち3班はテーマであるNGO・NPOについて議論した。けれど、私たちは与

えられたテーマの何をどう話し合えばいいのか全くわからず、私自身何を言えばいいのかすらわからなかった。2日目の夜になり、かなり意見は出るようになってきていたものの、「自分達の意見が全く出ていない」ということに気づき、ちょっと焦った。けれど、勝ちたかった。机の上にみんなで手を出して絶対勝とうと円陣を組んだ。みんながいろんな意見を出す中からいろいろなことに気づいてきた。方向性が見えてきた。そんな頃にはもうまとめるギリギリの時間。自分達が話した内容、見えてきたことをみんなに伝えるにはどうしたらいいのだろう?自分の伝える能力のなさに愕然とした。ギリギリまで班のみんなで協力して、一睡もせずに向かえたリハーサル。結果はボロボロ。自分達が話してきた内容が全く出せていないのが自分でわかった。すごく悔しかった。その時言われたのが、「あなたたちが話してきたこと、気づいたことをそのまま伝えればいい」という言葉だった。そこには自信があった。私たちはたくさん話し合った。たくさん気づいた。それは班のみんながわかっている。練習なんてしなくても出せる。発表本番はとても気持ち良く感じた。自分達の話した内容を、自分達の言葉で伝える。練習していな

いから手探り的な発表でおぼつかなかったけど、誰かが発言すると「あぁ、あの時話していたことだ」といった感じで、班のみんながフォローしてくれた。本番が終わったブレイクタイム、3班の5人は自然に集まってみんな口々に「よかったぁ~」と言っ

た。出し切った感があった。それだけですごい達成感だった。そして最優秀グループに選ばれた。めちゃくちゃ嬉しかった。勝手に涙が出てきた。いろんな意味での「よかった~」だったと思う。このキャンプで私は、議論の内容やテーマのみならず、それ以上に多くのことをこの班の中から得る

ことが出来たと思う。私は、好きなことをするためにこのキャンプに参加した。けれど実際は、大好きな睡眠も3日間のうちで3時間だけ。発表だって好きじゃない。超ハードなスケジュール。好きなこととは真逆だった。あれ?何をするために参加したんだっけ?得るものが多すぎてわからない、が正直な感想。けれど、間違いなく楽しかった。睡眠時間を削ってでも話したかった。自分の経験してきたこと、思

っていること、気がついたことを他人に伝わるよう、自分の言葉で表現できなくて悔しかった。ありのままを伝えることができない。そんな自分に気づいた。とにかくたくさんのことに気づいた。私は、このレポートを書くにあたり、「好きなこと」の意味を考え直してみた。このキャンプは私にと

って楽しいもので、好きなことは楽しいことで、楽しかったのが気づくことだったのだから、「気づくために参加した」、これで間違いないと思った。これでは毎回好きなことが変わるのではないかと思うけど、それでいい。好きなことをしに行き、好きな内容を得られればいい。このキャンプはそれが出来た。このキャンプに参加できて本当に良かった。キャンプに携わったすべての人に感謝している。・・・そして、来年こそ落とした単位を取得したいと思う。

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UNCRDスタディキャンプに参加して

名古屋大学大学院国際開発研究科 1年河辺亮輔

一瞬で過ぎ去った3日間、でした。もともとキャンプ前の一週間殆ど寝ていなかったこともあって、今

でもあれは夢の中にいたのではないか、って気がしてなりません。というのも、細かいことは全然覚え

ていなくて、今回グループ発表のまとめも写真を送ってもらってやっと書き上げたくらいで、今から何

を書こうかも実際途方にくれているからです。

そんな忘れっぽい自分ですが、あのスタディキャンプで得た忘れられないことってのは、「世界って意

外と単純かも」ということでした。世界を動かすのは凄い人とか、人智を超えた力であろう、と思って

いたけれど、でも実際にそこに介在しているのは「人の気持ち」なんだ、ということ。個人の気持ち、

熱意こそが世界を動かすんだ、ということ。そして個人の気持ちが合わさって大きなものになっていく

のだ、ということ。普段大学院で堅苦しい(?)話ばかりしている自分にとってはこんな単純なことが

実際大発見でした。今は開発だとか国際協力とかいったことを勉強していて、性格も悪くなりつつある

けれど(半分冗談)、いつでもこのことを自分の根っこに持って行動していこうと心を新たにしました。

こうしたことを気づかせてくれたのは講師の皆様、コーディネーターはじめとしたスタッフの皆様、そ

してグループメンバーはじめ参加者の皆のおかげです。素晴らしい機会を与えてくれて、ありがとうご

ざいました!

…もう書き終わってしまった。さすがにこれではアレなので、もう少し書きたいと思います。「開発」

「協力」という分野でこれからやっていくことを考えると、自分は「外部者」としてこれからどこかしろ

の開発業界でやっていくことになります。外部者に出来ることって何だろう、という疑問が自分の中に

ずっとあり、それについてしつこくキャンプで質問させていただきました。しかし、「人と人」の関係が

重要なのだから、外部者の問題がどうこう、と考えるより前に、自分の立ち位置を踏まえた上で自分の

周りの人、環境に対し自分がどうありたいか考えたら答えは自ずと見えるだろう、と理解できました。

まずは自分を理解し、そして他者を理解する。結局はやはり「気持ち」だなあというのが今回のスタデ

ィキャンプの結論です。僕の中でスタディキャンプはこれで終わりではありません。人生いつでもスタ

ディキャンプ、未来を分かち合えるように行動していきたいと思います。と意味はよくわからないけど

なんとなくそれっぽく聞こえるように締めてレポートを終わろうと思います。

最後に、繰り返しになりますが所長、スタッフの皆様、くだらない質問に答えてくれた竹内さん、大

久保さん、鈴田さんをはじめとする講師、ファシリテーターの皆様、グループの皆、そしてキャンプに

関わった全ての人に感謝の気持ちを述べたいと思います。ありがとうございました。

スタディキャンプレポート

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第6回 UNCRDスタディキャンプ

34 43スタディキャンプレポート

UNCRDスタディキャンプに参加して

南山大学総合政策学部総合政策学科 2年中山泰宏

はじめに、小野川所長はじめUNCRDスタディキャンプに関わる方々、第6回の3日間を通して、講師、

アドバイザー、ファシリテーター、ボランティア、事務局の皆様、本当にありがとうございました。

僕はこのキャンプに参加して何を感じ、どのような変化を起こすのか。

どうだろう、正直分からない。ただ一つ分かることは自分が今までやってきたことに自信がついたと

いうことである。自分の普段いる環境から飛び出して、向上心の高い人たちの中に入ったときに何が出

来るのか、自分は何をどうするのか、このような環境に入った自分を見てみたかった自分がいた。今回

のスタディキャンプでは自分のグループのメンバーに恵まれたということは大いにあるが、僕たちの班

は最優秀グループ賞を頂いた。このことが、僕の中で出来かけてきた自信の源であるように思う。では

なぜ僕たちは最優秀グループ賞をとれたのであろうか?それは良い発表をしたからである。良い発表と

はどういうものなのだろうか? 

もちろん自分の感じ方の違いではあるが、僕は今回のスタディキャンプで本当によく言われるある大

切なことを学んだ。それは「個」である。個には個の力、能力があり個々の考えもそれは当然各々違う。

能力の差はあるし、個に合う適性も違う。色んな個がいる。能力の伴わないやつとは一緒に仕事はやれ

ない,この仕事は僕には無理だ、などはっきりきっぱり言葉を言える個もいればそうでない個もいる。友

達が困っているから本当は助けたくないのに助けてしまうという個もいれば、そんなの知らないという

個もいる。そしてそんな個を取り巻く集団がある。誰かが動かなければ集団は出来ず、人と人とのつな

がりによって「行動」が促され、行われる。集団は個が行動を起こすことによって出来てくる。つまり

は何をするにしても個が大事であって、もちろんすべての個に受け入れられるようなものはあるはずが

ない。

スタディキャンプ最終日の発表ではグループごとに発表をしたが、その話し合いの中では個と個のぶ

つかり合いである。なぜぶつかり合うのだろうか?個一つ一つが行動しているからである。個の力関係

はやはり存在するけれども、個々の意見を尊重し、その意見を理解した上で、色々な状況下で考えなけ

ればいけない。

僕は人間観察が好きだ。思うことを言葉に出して欲しいから、納得してなさそうな誰かがポッと言っ

た一言を聞き逃すことなく拾い、他人の意見を自分のものにする、この行動を僕は自信を持ってやって

いこうと思う。そして、色んなことを手際よく知り、ここでは彼が、あそこでは彼女が、というように

個々の力を最大限に引き出して何らかの政策を作っていける存在を、僕は目指しそこに向かって行動し

始める。その前に自分のなよなよさを無くせるよう行動していかないといけない。人は色々な行動をし

ているのだなと思う。

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UNCRDスタディキャンプに参加して

株式会社M-easy溝辺育代

キャンプの間に、ずっと抱えていた迷いが晴れ、今やっている仕事を一生懸命することが世界にもつ

ながっている、と自分なりに確信しました。キャンプから帰ってきてから、日々すっきりした気持ちで

仕事に励むことができます。今回の機会と、出会った皆様にとても感謝しています。ありがとうござい

ます。

私は子どものころに海外に住んでいたことがあり、いつか世界の人と一緒に、なにか役に立てるよう

な仕事がしたいという夢を持っていました。しかし今まったく関係のない仕事をしていて、今の仕事は

とてもやりがいがあるのですが、疲れたときなどに度々、今の仕事をこのまま続けていくことに対して、

いまだに迷いの気持ちが生まれることがありました。しかし学生のときも含めて今まで、いろいろなチ

ャンスはあったと思うのですが、勇気がなかったり、いざとなると面倒くさがったり、すぐあきらめた

りして、例えばNGOの活動に参加してみるとか、青年海外協力隊に応募するとか、何か行動を起こすと

いうことはほとんどしてきませんでした。そのようなわけで、今回のキャンプに参加したのは、個人的

な理由としては、自分の今の仕事に対する(大きくいうと人生に対する)迷いをすっきりさせたかった

のが一番の理由でした。

たった3日間で、そのような何年もの迷いがすっきりしてしまうくらいの、とても濃い3日間でした。

睡眠時間も3日間で3時間ほど、疲れとぎりぎりまでプレゼンができてない切迫感で、腹痛と耳鳴りがす

るほどでした。2日目の夜は、人生これまでにないくらい必死でした。がんばれたのはグループの4人

と、ファシリテーターの大久保さんのおかげだと思っています。

グループの担当をしてくださった竹内ゆみ子先生のされているソムニードの活動が、今の私の仕事と

似ている部分があり、先生のお話を通して今の仕事の方向性をみつけることができたのも、大きな収穫

でした。本ではなく、実際に先生のお話をうかがうことができたのが、なによりの経験でした。また、

「出会ってしまったからしかたなく」始めたというお話は、衝撃的でした。

そして、ずっと憧れだった国際開発の分野で実際に仕事をされている方のお話をじかに聞くことがで

き、今の仕事でしていることとの接点が見つかったり、国際開発の仕事をしていない方や学生の方がそ

れぞれの思いを持って参加されていて、そのことも励みになり、迷いが晴れました。また皆さんにお会

いできたらうれしいです。

キャンプを終えて、まだ疑問に残っていることがあります。なぜ3日間あんなにも必死になって、の

めりこんでやることができたのか、ということです。あんなにも必死になって物事に取り組めば、今後、

できないことはないような気がします。

スタディキャンプレポート

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第6回 UNCRDスタディキャンプ

36 43スタディキャンプレポート

UNCRDスタディキャンプに参加して

名古屋大学大学院国際開発研究科 1年神田すみれ

スタディキャンプでは講師の方々や参加者、そしてグループのメンバーからいくつもの課題意識を高めていただいた。スタディキャンプ終了後もそれらの課題について考える日が続いている。1つ目の課題はキャンプテーマのサブタイトルであった「アジアと未来を分かち合うために」につい

て、私にできること、あるいは私の果たすべき役割は何だろうか、ということである。アジアは多くの共通した問題を抱えている。たとえば貧富の格差、地域格差、相互扶助システムの崩壊、都市化、環境問題などである。 これらの諸問題を真に解決するには、単に「豊かな日本の余りものをアジアの貧しい人々におすそ分けする」という一方的な「支援」ではなく、これらの諸問題を関係者が自らの解決すべき共通の課題として設定し、共に解決するための方策を見いだしていくことがアジアと未来を分かち合うということだと考える。日本は経済的・技術的に優位であり、そのこと自体が、アジア諸国の諸問題の解決に貢献できる能力

が備わっていることだと勘違いすることがある。しかし、自分たちの問題を自分たちで解決できなければ、他の国の問題解決に貢献できる能力はない。私は何をすればいいのだろうか。私にできること、私の果たすべき役割は何だろうか。それは、私自

身を、そして私が暮らす地域を、さらには日本の社会をもっと知ること、そしてそれらの抱える諸問題の解決に取り組むことではないだろうか。そしてそれらの問題をアジアの友人たちと共有し、さらにいえば、自分たちの問題を自分たちで解決していく力をつけること。これは地域づくり、コミュニティの再生にもつながると考える。それができるようになったとき、私はアジアの他の地域で同じ問題に取り組んでいる人たちと、共にその問題について考え、取り組めるようになるのではないだろうか。2つ目の課題は自分の考えを表現する能力、そして異なる価値観をもつ人たちとの間で合意を形成す

るその仕方についてである。大勢の前で手をあげ発言するという、普段はあまり求められないことをするのは随分勇気が必要なことであり、新鮮な体験であった。初めは戸惑ったが、発言しなければその場にいる意味がない、何も貢献していないことになる、という所長の言葉に「とにかく何か発言してみよう」と挑戦した。スタディキャンプでは異なる文化的背景を持ち、異なる価値観を持つ人たちが集まり3日間意見交換

を行った。それを通して、自分が普段如何に自分と近い価値観を持つ人たちの中で過ごしているかに気づかされ、世の中には全く異なる価値観をもつ人が存在するということを改めて実感させられた。価値観の違う人々が1つのテーマについて話し合い、合意形成の訓練をすることがグループワークの大きな目的だったと思う。しかし、自分の思いや考えを言葉にして表現し、それをグループのメンバーと共有するという作業は大変難しいことだった。参加前はグループワークでこんなに大変な思いをするとは予想もしていなかったが、結果として自分自身の価値観を知り合意形成能力の未熟さを知ることができた大変意味のある作業だった。まず自分の考えを正確に相手に伝えること、次いで相手の考えを同じく正確に知ること、そうして自

分と相手の考えを一段と高めることができるような的確な質問を相手に投げかけること、こうした一連のコミュニケーション能力を向上させる訓練の必要性を強く感じた。このような新たな課題意識の機会を与えてくださったスタディキャンプとメンバーたちに感謝している。現在、私が通う大学の研究科内で1泊2日のスタディキャンプを企画している。UNCRDスタディキャ

ンプに習い、日本を含めたアジア各国からの学生達とともにアジアの未来について議論しようという計画である。私は、私が利用できる環境、例えばスタディキャンプのような企画、大学の授業、NGO活動などを通じて、相手に自分の考えを伝える訓練、的確な質問を投げかける訓練をして、コミュニケーション能力を高めていきたいと考えている。

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UNCRDスタディキャンプに参加して~自分がすべきことって何だ?~

豊橋技術科学大学機会システム工学課程 3年橋本 泰

スタディキャンプに参加したきっかけは、「持続可能」という言葉に惹かれたからです。短い言葉です

が、持っている意味はとてつもなく広くて大きなものです。この「持続」にも、途上国が自分たちで発

展していくための持続と、先進国が大量に消費する資源の持続、の2種類あると思います。自分は後者の

考えしか無かったため、前者について討論したキャンプでは学ぶことが非常に多かった反面、聞き入っ

てしまったことが反省点です。

キャンプに参加して学んだことは、2つあります。1つは、国連、ODAのような政府、NPO・NGOとい

った団体、地域コミュニティの4方面から見た途上国に対する開発支援に関して。ODAやNGOは、いか

に現地のニーズを把握して実行に移すか、本当のニーズは何なのか、誰のためのODAなのか、人材育成

は誰がするのか、しているのか、など。とても興味深く、考えさせられました。もう1つは、「相手に伝

える」ことが重要ではなくて、「共有する」ことが重要であること。ただ相手に正論をぶつけても行動ま

で移るでしょうか。いかに相互にハッピーになる方法・言い回しをデザインし、シナリオを作るか。そ

のためには、討論し、相互に理解し、言い回しや熱意・信念を持つことも必要なので、最後のプレゼン

に集約されていたと思います。

話を聞いて、いざ、自分に何ができるのでしょうか。

資源の枯渇や砂漠化、温暖化といった環境的な問題から、貧困、民族、宗教や経済などが引き起こす

社会的な問題まで、様々な問題に対して、あらゆる分野から解決しようとしています。しかしながら、

今から自分が進路を変更するのは、答えではないと思います。そこで、自分が勉強してきた「技術」と

いう点に絞って考えました。

技術というのは、いい意味でも悪い意味でも、生活に与える影響力が大きいと思います。自分は技術

者になる人間として、世界の諸問題に対して、技術者に求められる考え方を多角的に知る必要があると

思いました。それと同時に、こういった考えを持つ技術者の卵が増えればいいと感じました。自分の場

合、それは教育現場であると思います。

自分の場合、技術者を選択したのは、中学校の頃「総合学習」という授業がきっかけでした。「難民と

支援する組織」を題材に、貧困や技術支援について調べた際、JICAについて知り、技術支援したいと思

いました。しかし、自分一人よりも、自分のような考えを持った技術者が多くなれば、その方が影響力

は大きいと思い、自分のすべきことを考えました。

自分がすべきこと、それは自分が教師になって、技術を技術だけで終わらせない人材を育成するこ

と!世界でハッピーを作る技術者、理想です。その為にも、もっと幅広く勉強し、それを共有させます。

最後に、今回のスタディキャンプに参加する機会を与えてくださった、小野川所長はじめUNCRD職員

の方々、夜遅くまで討論してくださった諸先生方ならびにグループメンバー、運営にご協力いただいた

ファシリテーター、ボランティアスタッフの皆様、本当にありがとうございました。

スタディキャンプレポート

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第6回 UNCRDスタディキャンプ

38 43スタディキャンプレポート

UNCRDスタディキャンプに参加して

南山大学総合政策学部総合政策学科 3年若松万里子

何にでも、誰にでもオープンであること、これが三日間のキャンプを通じて、自分自身の課題として

浮かび上がってきたことです。もちろん自分を否定されたわけではありませんが、このままでいたくな

い、成長したい、と痛烈に感じました。キャンプでは多くの人に出会って、多くの話をしましたが、私

にとってこのキャンプは自分と向き合った三日間でした。

私がキャンプで学んだことは、「持続可能な開発がどうのこうの」という知識ではなく、コミットする

姿勢や「伝える」ということの重要性でした。私は家族の中でも友達といるときでも無口な方で、何か

考えていても口に出さないこともあるのですが、キャンプで「国際社会では何も発言しなければ、そこ

に存在していないのと同じ」とか「口数の少ない日本人は外国に行くとみじめな思いをする」と言われた

ことと、スタディキャンプ最終日に参加者の一人が「このキャンプで殻を破ることができた」と言って

いたことで、自分が分厚い殻を作り上げていることに気づきました。よく言われていることですが、自

分のこの部分がつまりは「殻」なのだと明確に認識したのは初めてでした。殻を被ったままでは本当に

仲良くなることは難しいし、ただの優等生ぶった人のままに終わってしまう。今回のキャンプでは、残

念ながら殻をつつく程度に終わってしまいましたが、逆に言えば殻のつつき方がわかった気がします。

このキャンプは私にとってターニングポイントでありスタートでもあるので、これから少しずつ自分を

変化させていきたいと思いました。

また、「議論をする」、「発表をする」ということに関しても多くのことを学べたと思います。私が最後

の発表で一番驚かされたのはグループ1の発表でした。テーマが「持続可能な開発にむけて」で、国際

機関のグループならば、私なら持続可能な開発にむけてどういう問題があり、国連や国際機関がどうい

う関わりすべきか考えるところを、国民総幸福量(GNH)の概念を持ってきて全然ちがう、独創的な内

容にしていました。型どおりに考えるだけでは「小学生方式」のよく言われていることを並べた、つま

らないものになってしまいますが、議論にとことんのめり込み、楽しむことによりいろんな意見が出て

きて、そのグループ独自の発表ができあがるのではないかと思いました。

キャンプはとてもいい経験になりました。でも、これからが一番大事ですね。キャンプで出会ったす

ばらしい人たちに負けないくらい、私も成長したいです。そして、その方法が少しわかった気がします。

ありがとうございました!

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第6回 UNCRDスタディキャンプ

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第6回UNCRDスタディキャンプ報告書持続可能な開発にむけて 

~アジアと未来を分かち合うために~

2008年6月

編集:国連地域開発センター名古屋市中村区那古野1-47-1名古屋国際センタービル6階TEL. 052-561-9377

発行:国連センター協力会名古屋市中区栄二丁目10-19会議所ビル10階社団法人中部開発センター内TEL. 052-221-6421

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