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10 0% 20% 40% 60% 80% 100% 事前① 事後① 事前② 事後② 事前③ 事後③ 事前④ 事後④ 15% 30% 12% 27% 14% 33% 30% 68% 55% 52% 45% 49% 40% 40% 36% 27% 27% 16% 38% 22% 42% 25% 32% 4% 3% 1% 4% 1% 4% 3% 3% 0% 調査協力者の3年次主免実習前後における学習指導力に関する到達目標の得点の比較 十分できる できる 概ねできる あまりできない 学習指導力 評価時期 主免実習前後の学習指導力評価の目標(①学習状況の把握力、②授業設計力、③授業実践力、④授業の分析・省察力) 事前① 教科等の目標や児童・生徒の発達の段階に応じて教材・教具を選定することができるか。 事後① 教科等の目標や児童・生徒の発達の段階に応じた教材・教具を選定し,授業を構成することができたか。 事前② 教科等の目標や児童・生徒の発達の段階に応じて学習指導案を作成することができるか。 事後② 教科等の目標や児童・生徒の発達の段階に応じた学習指導案を作成し,それに沿って授業を進めることができたか。 事前③ 発問や板書計画等の細案を作成することができるか。 事後③ 発問や板書計画等の細案を作成し,計画的に実行することができたか。 事前④ 授業を分析し,授業の問題点を見いだすことができるか。 事後④ 実施した授業を分析して問題点を見いだし,改善が必要な点を明らかにすることができたか。 学習状況の把握力 授業設計力 授業実践力 授業の分析・省察力 (2)教員養成コア・カリキュラムにおける教科内容構成に関する評価について 三島知剛(岡山大学教師教育開発センター)他 目的:3 年次主免実習後に行った中学校教育コースの学生へのアンケート調査に基づき、“教科内容 を構成することに関する学生の力量を学生が所属する専修の差異に着目しながら検討する。 結果: ①学習指導力に関する到達目標について 主免実習後には、学生が学習指導力について達成度は高くなった。 ②教科内容構成の力量に関する自信の調査 単元から教材・指導案作成”に関しては全体の 4 割強が自信をもっているが,他の項目は 2 割弱で “年間計画”は特に低い。①の結果と併せて考えると,主免実習で 1 時間の授業設計ができたとして も自信をもつ段階までは至っていないことが示唆される。

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事前①

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3%

0%

調査協力者の3年次主免実習前後における学習指導力に関する到達目標の得点の比較

十分できる できる 概ねできる あまりできない

学習指導力 評価時期 主免実習前後の学習指導力評価の目標(①学習状況の把握力、②授業設計力、③授業実践力、④授業の分析・省察力) 

事前① 教科等の目標や児童・生徒の発達の段階に応じて教材・教具を選定することができるか。

事後① 教科等の目標や児童・生徒の発達の段階に応じた教材・教具を選定し,授業を構成することができたか。

事前② 教科等の目標や児童・生徒の発達の段階に応じて学習指導案を作成することができるか。

事後② 教科等の目標や児童・生徒の発達の段階に応じた学習指導案を作成し,それに沿って授業を進めることができたか。

事前③ 発問や板書計画等の細案を作成することができるか。

事後③ 発問や板書計画等の細案を作成し,計画的に実行することができたか。

事前④ 授業を分析し,授業の問題点を見いだすことができるか。

事後④ 実施した授業を分析して問題点を見いだし,改善が必要な点を明らかにすることができたか。

学習状況の把握力

授業設計力

授業実践力

授業の分析・省察力

(2)教員養成コア・カリキュラムにおける教科内容構成に関する評価について

三島知剛(岡山大学教師教育開発センター)他

目的:3 年次主免実習後に行った中学校教育コースの学生へのアンケート調査に基づき、“教科内容

を構成することに関する学生の力量を学生が所属する専修の差異に着目しながら検討する。

結果:

①学習指導力に関する到達目標について

主免実習後には、学生が学習指導力について達成度は高くなった。

②教科内容構成の力量に関する自信の調査

単元から教材・指導案作成”に関しては全体の 4割強が自信をもっているが,他の項目は 2割弱で

“年間計画”は特に低い。①の結果と併せて考えると,主免実習で 1時間の授業設計ができたとして

も自信をもつ段階までは至っていないことが示唆される。

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教科専門知識

子どもの実態と1時間

系統性・原理と1時間

子どもの実態と単元

系統性・原理と単元

子どもの実態と年間計画

系統性・原理と年間計画

単元から教材・指導案作成

年間計画から教材・指導案作成

学生の教科内容構成の力量に関する設問ごとの回答分布

とても自信あり

まあ自信がある

どちらともいえない

あまり自信なし

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教科専門知識

子どもの実態と1時間

系統性・原理と1時間

子どもの実態と単元

系統性・原理と単元

子どもの実態と年間計画

系統性・原理と年間計画

単元から教材・指導案作成

年間計画から教材・指導案作成

国語教育専修の学生(N=8)の教科内容構成の力量に関する設問ごとの回答分布

とても自信あり

まあ自信がある

どちらともいえない

あまり自信なし

自信なし

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教科専門知識

子どもの実態と1時間

系統性・原理と1時間

子どもの実態と単元

系統性・原理と単元

子どもの実態と年間計画

系統性・原理と年間計画

単元から教材・指導案作成

年間計画から教材・指導案作成

英語専修の学生(N=10)の教科内容構成の力量に関する設問ごとの回答分布

とても自信あり

まあ自信がある

どちらともいえない

あまり自信なし

自信なし

③専修ごとの違い

国語専修では、子どもの実態と 1 時間の授業構成”に関する自信が低く、“単元から 1 時間の教材・

指導案作成”に関する自信は比較的高い

英語専修では、子どもの実態と 1 時間の授業構成”に関する自信が高く、“単元から 1 時間の教材・指導

案作成”に関する自信は低い。

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教科専門知識

子どもの実態と1時間

系統性・原理と1時間

子どもの実態と単元

系統性・原理と単元

子どもの実態と年間計画

系統性・原理と年間計画

単元から教材・指導案作成

年間計画から教材・指導案作成

数学教育専修の学生(N=13)の教科内容構成の力量に関する設問ごとの回答分布

とても自信あり

まあ自信がある

どちらともいえない

あまり自信なし

自信なし

数学専修では、1時間の授業構成や子どもの実態と単元”に関する自信が高く、“単元から1時間の教材

や指導案作成”に関しては特に自信が高い。

④まとめ

3 年次主免実習終了時には教科内容構成の力量に、あまり自信がないという学生の現状や、専修ごとの

学生評価の違いから・・・大学での授業内容や指導内容を,専修ごとの学生評価を参考にしながら改善

していくこと、特にインターンシップ実習を活用して 4 年次には年間の教育課程や授業の年間計画を意

識させること等を検討していく必要性がある

Ⅱ 大学院教育学研究科における取組

1)平成 20 年度教育学研究科の改組

国語教育専攻

社会科教育専攻

数学教育専攻

理科教育専攻

音楽教育専攻

美術教育専攻

保健体育専攻

技術教育専攻

家政教育専攻

英語教育専攻

改組後(5専攻)改組前(16専攻)

学校教育専攻

障害児教育専攻

養護教育専攻

学校教育臨床専攻

学校組織マネジメント専攻

カリキュラム開発専攻

幼児教育コース

特別支援教育コース養護教育コース

国語教育コース 社会科教育コース

数学教育コース 理科教育コース音楽教育コース 美術教育コース

保健体育コース 技術教育コース

家政教育コース 英語教育コース

学校教育学専攻

教育臨床心理学専攻

発達支援学専攻

教科教育学専攻

教職実践専攻(教職大学院)

国語教育専攻

社会科教育専攻

数学教育専攻

理科教育専攻

音楽教育専攻

美術教育専攻

保健体育専攻

技術教育専攻

家政教育専攻

英語教育専攻

国語教育専攻

社会科教育専攻

数学教育専攻

理科教育専攻

音楽教育専攻

美術教育専攻

保健体育専攻

技術教育専攻

家政教育専攻

英語教育専攻

改組後(5専攻)改組前(16専攻)

学校教育専攻

障害児教育専攻

養護教育専攻

学校教育臨床専攻

学校組織マネジメント専攻

カリキュラム開発専攻

幼児教育コース

特別支援教育コース養護教育コース

国語教育コース 社会科教育コース

数学教育コース 理科教育コース音楽教育コース 美術教育コース

保健体育コース 技術教育コース

家政教育コース 英語教育コース

学校教育学専攻

教育臨床心理学専攻

発達支援学専攻

教科教育学専攻

教職実践専攻(教職大学院)

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共通基礎科目2単位「学校教育の理念と今日的課題」全専攻共通研究者・高度な専門性を持つ教員の目的・使命に関する院生への意識付けを教員・院生参加の討論により行う

修士論文

専門基礎科目10単位専攻・コースの教育目標に応じたコースワーク

附属学校園

研究指導計画書

2月修士論文審査会

教育研究特論Ⅱ:研究方法論(コース単位)

教育研究特論Ⅵ

:教科内容

教育研究特論Ⅲ

:教科教育

課題研究

4単位

専門科目

16単位高度な

専門性を培う教科

教育学特論と教科

内容特論に関する豊富な

選択科目の設定

教育研究特論Ⅰ:基礎理論(専攻単位)

入学前

1年前期

1年後期

2年

教育研究特論Ⅴ

:実践研究

2)修士課程のコースワーク導入

(1)修士課程カリキュラムの実質化のねらい 修士課程教育課程の基本構成

①多様な大学院生に対する履修指導のために、

研究家の理念・目的を明確にし、系統的な

教育を行う2年間の履修課程の構造を理解

させる。

②開かれた組織的指導体制

指導教員の複数化と中間報告会の公開

③共通基礎科目の新設

研究能力を持った高度専門職業人として

の教員の養成、教育に強い研究者に必要な

学際的教養と職業倫理を培うための共通科

目で、教職大学院をのぞく全ての修士の大学

院生が履修する。在籍する大学院生の多様性

を生かしつつ、その修士課程の教育と研究の

共通の基盤となる共通科目を参加型で新設す

る。

④研究科教員と附属学校園教員の密接な連携に

よる体系的なコースワークの設定

教科理論、実践研究の一体化と附属学校園での

修士の大学院生による授業提案。

最終的に、附属学校園での教育課題に対する課題解決を教育研究特論Ⅴ(実践研究)で行う。

⑤先端的な知識技能の習得による高度な専門性の獲得を可能とする専門科目(選択科目)の設定。

(2)共通基礎科目「学校教育の理念と課題」概要と評価 シラバス

①講義の展開

教育学研究についての基礎的な力を身につ

けるための講義と、その力を活用するための

探求活動を効果的に組み合わせて展開する。

担当教員は 21 名で、うち 7 名が前半のオ

ムニバス形式の授業を担当、14 名が後半の

課題探求学習のグループ別指導にあたる。

《講義の内容》学校教育の理念や歴史教師の成長子どもの発達と指導上の問題等

《探究活動の内容》子どもの能力育成と教師の役割情報化、国際化と学校教育様々な支援を必要とする子ども等

教育学研究科院生としての基盤形成

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平成20年度前

平成21年度前

平成22年度前

平成23年度前

共通基礎科目「学校教育の理念と今日的課題」

授業全体に対する満足度

5=良い

4

3

2

1=悪い

②課題探求活動 課題探求活動の題目(平成 24 年度)

大学院生からの意見

・自分でテーマを見つけ方法を考え解決する

過程が興味深く,勉強になった.

・グループワークを通して他分野(他教科)の

大学院生の発想に触れて刺激された.

・三週間程度の準備期間では十分な調査がで

きなかった.

・グループの構成員間で意欲に差があり活動

がうまくいかない.

担当教員からの意見

内容及び運営方法について

・前半の講義と後半の課題探究活動のテーマ

が,十分に関連付けられていなかった。

・その結果として,課題探究活動が大学院生

にふさわしい十分に深まりのあるものと

なっていなかった。

・最終的な評価の観点をより明確にすべきで

ある。

③授業評価

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専門基礎科目10単位専攻・コースの教育目標に応じたコースワーク

教育研究特論Ⅴ:実践研究

教育研究特論Ⅵ

:教科内容

教育研究特論Ⅲ

:教科教育

教育研究特論Ⅱ:方法論

(専攻単位(分野別))

教育研究特論Ⅰ:基礎理論(専攻共通)

「教育研究特論Ⅰ」:小・中学校の教科内容編成の原理や方法などの

教科に関する基礎理論(専攻共通)「教育研究特論Ⅱ」

:実践研究のために必要な教科教育学研究の方法論

「教育研究特論Ⅲ」:教科教育学の理論や方法に関する発展的な内容

「教育研究特論Ⅳ」:教科内容に関する専門諸科学の発展的な内容

「教育研究特論Ⅴ」:附属学校など学校現場での実践研究とその成果に

関するレポート作成

(3)教科教育学専攻のコースワーク

①概要

②「教育研究特論Ⅰ(基礎理論)」について

教育研究特論Ⅰ(基礎理論)の概要

教務委員会の意見のまとめ

・教育を幅広い視点から見つめ,広い視野を

持って教育研究に取り組むための基盤を

形成する授業科目の,一つの形を示すもの

となった.

・今後は,内容の系統性・体系性を持たせる

ような工夫をさらに行うともに,各教員の

担当回数を増やし内容を深めてほしいと

いう受講生の要望に応えていく必要があ

る.

・本学の教育学部出身者,他学部及び他大学

出身者,留学生といった多様なバックグラ

ウンドをもった大学院生に共通の基盤を形成するためには,さらなる工夫が必要である.

③教育研究特論Ⅱ~Ⅳについて

教務委員会の意見のまとめ

・落ち着いたペースで授業が進められ,理解を深めることができた.

・オムニバス形式の授業を実施している専攻・コースでは,講義のスピードがハイペースになった.

・特論Ⅲ,Ⅳについては,教科内容をまんべんなく学べたという意見が見られ,様々な基礎知識や研

究スキルに関する情報は確実に得られたと評価できる。

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アート

サイエンス クラフト

研究者教員

実務家教員

(理論知) (経験知)

広が

り広

がり

広がり

(直観的判断)

アート

サイエンス クラフト

研究者教員

実務家教員

(理論知) (経験知)

広が

り広

がり

広がり

(直観的判断)

3)教職大学院教職実践専攻の教育実習

(1)コア科目「教育実践研究」による「理論と実践の架橋・往還・融合」

本専攻では、「教育実践研究」をコア科目として位置づけ、学校における実習や連携協力校・現任校等

におけるフィールドワークと、共通科目・選択科目等とを連動させて実施している。

この「教育実践研究」では、“主観的・印象的な自己課題・学校課題から客観的・科学的な自己課題・

学校課題へ”を基本方針とし、個々の学生の考える自己課題・学校課題について、教員及び学生による

共同分析・省察の中で、その明確化を図り、多角的な分析を行い、さらに課題解決について多様な提案

を可能とするようにしている。特に「共通科目」に文部科学省が告示で示した5領域の他に、6つめの

領域として「教育実践研究の方法」を開講し、教育実践研究の方法論を学ぶことで、主体的な課題の発

見並びに分析を行う能力を育成するよう配慮した。

教育実践研究の指導は、主指導教員と副指導教員の複数担当制をとり、理論の押し付けとならないよ

うに「現場の思考」から出発し、理論と実践の往還を柱にしながら、高度専門職業人としてのアート(実

践の場での直観的判断力)の育成を意識した学修指導を行い、授業終了時には方向性と自信が得られる

ように配慮した。加えて「教育実践研究」の合同発表会には、実習校・現任校の校長等の教員や教育委

員会指導課長や指導主事等の参加・指導を得ていること、また現職教員学生には、それぞれの学校課題

に応じた岡山県教育委員会の指導主事が定期的に教育実践研究の指導を行っており、このような指導の

協力体制は他では見られない特色といえる。

学部新卒院生の選択必修授業である教育実践研究Ⅰ(課題発見)では、前週の課題発見実習のレポ

ートを基に展開される10数人の学部新卒院生に対して研究教員と実務家教員計9人が協働で指導に当

たっている。1つの演習室において4つの学生グループをつくり、グループでの一人ひとりのレポー

ト報告を基にそのグループに配置された教員(2~3人)がその指導に当たる。また必要に応じて全

体での討議・指導を行うこの授業は、教職大学

院の授業としてふさわしい内容と形態となっ

ている。

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履修時期・単位数 実習内容・目標

1年前期・3単位週1日8時間×15回

地域協動学校の特色ある取り組みを観察・参加実習することにより、教科指導、生徒指導、学級経営、教員・保護者・小中の連携の在り方等に関する実践的な教育課題を理解し、「教育実践研究Ⅰ(課題発見)」と連動して自己課題を明確にすると共に、学校における教育課程について体系化した分析をする。

1年前期・5単位5週間

課題発見実習と「教育実践研究Ⅰ(課題発見)」の成果をもとに、大学教員ならびに実習校の担当教員の指導下で、取り組む課題について解決策と実施計画を立案し、それを実地に検証するものである。主体的に教育計画の立案を行い、実施し学校運営に関る活動など幅広く学校教育活動に参画し、責任を持って課題を解決する力を身につける。

通年・2単位週1回3時間×15回

教師としての実践的な指導力の強化を図るために、大学教員ならびに実習校の担当教員の指導の下、指導補助を行い、特に特別活動や特別な支援を必要とする子どもなど多面的な子ども理解を深め、相互に関り交流する中で記録や省察を行う。また保護者や教職員、他機関との連携の大切さを実感的に理解する。

インターンシップ実習

課題解決実習

科目名

課題発見実習

科目名 履修時期・単位数 実習内容・目標

課題分析実習

通年・2単位

週1日 3 時間×15 回

中堅教員として、教科、生徒指導、地域との連携教育等に関する現任校の様々な課題を分析し、本当に解決しなければならない現任校の課題を現任校の教師と連携して把握する。

シャドウイング実習

通年・2単位

週1日 3 時間×15 回

学校リーダーとして、校長、副校長、教頭、教務主任、主幹教員等の職務を注意深く観察し、学校経営戦略、

学校組織開発、学校危機管理の方法等、具体的、行動的に理解する。

(2)自ら企画・立案する参画型の教育実習

学校での実習は、学部新卒学生は優れた新人教員になるための真の自己課題を発見する「課題発見実

習」から、現職教員学生は優れた中堅教員や学校リーダーになるために現任校の課題を分析する「課題

分析実習」からそれぞれ始まる。自ら、明確な目的意識、課題意識をもって実習に取り組み、それぞれ

の戦略的課題を発見する。学部新卒学生は、戦略的な自己課題を発見し「課題解決実習」のプログラム

を自ら企画・立案して主体的、創造的に課題解決に取り組む実習にしている。また、現職教員学生は、

現任校の真の課題を分析・発見し、現任校の課題を解決するためいくつかの建設的な方略を提案し、現

任校の教員と協働して次年度の教育課程の改善に向けて主体的に取り組める実習にしている。

学部新卒学生の教育実習

現職教員学生の教育実習

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<参考文献ならびに発表資料>

●笠原和彦,住野好久,上村弘子,山崎光洋,高旗浩志,黒崎東洋郎,高塚成信,高橋香代:教員養成の質を

保証するための「教職実践ポートフォリオ(第2版)」の開発、日本教育大学協会研究年報第 29集 p91-p105、

平成 23年 3 月

●原 祐一、山崎光洋、高岡敦史、上村弘子、三島知剛、高橋香代、加賀 勝:教育実習の積み重ねによる課

題意識の変化に関する研究-岡山大学教育学部 Web版教職実践ポートフォリオのテキスト分析を通して-、平

成 24 年度日本教育大学協会研究集会、平成 24年 10月

●三島 知剛・髙塚成信・尾島卓・高橋香代・加賀勝:教員養成コア・カリキュラムにおける教科内容構成に

関する評価について、平成 24 年度日本教育大学協会研究集会、平成 24年 10 月

●喜多雅一、桑原敏典、三村由香里、平井安久、赤木里香子、熊谷愼之輔、高橋香代:大学院修士課程カリキ

ュラム実質化の事例検証―岡山大学大学院教育学研究科における共通科目及びコースワークの導入について

ー、日本教育大学協会研究年報第 27集 p93-105、平成 21 年 3月

●佐藤 園・平井安久・山口健二(教育学研究科教務委員会):教育学研究科におけるコースワークの取り組

み、岡山大学桃太郎フォーラム、平成 24年 9 月

●尾上雅信、山口健二、髙旗浩志、早川倫子、上村弘子、原祐一、桑原敏典(教育学研究科FD委員会)

:教育学研究科カリキュラムの点検と今後の課題、大学院教育学研究科FD研修会、平成 22 年 12月

●岡山大学大学院教育学研究科教職実践専攻:教職大学院認証評価自己評価書、平成24年6月

●樫田健志、 高旗浩志、江木英二、曽田佳代子、加賀 勝:全学教職課程における「教職実践演習への取組」

ー教科専門科目担当教員の意識に着目してー、平成 24 年度日本教育大学協会研究集会、平成 24年 10 月